特許第6454804号(P6454804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6454804
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】冷菓用油中水滴型カカオ含有物
(51)【国際特許分類】
   A23G 1/30 20060101AFI20190107BHJP
   A23G 1/36 20060101ALI20190107BHJP
   A23G 1/54 20060101ALI20190107BHJP
   A23G 9/04 20060101ALI20190107BHJP
   A23G 9/48 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   A23G1/30
   A23G1/36
   A23G1/54
   A23G9/04
   A23G9/48
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-53049(P2018-53049)
(22)【出願日】2018年3月20日
【審査請求日】2018年3月30日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年9月25日より、全国の小売店にて販売
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006116
【氏名又は名称】森永製菓株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】根岸 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】松田 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】河本 政人
【審査官】 池上 文緒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−006277(JP,A)
【文献】 特開平10−108624(JP,A)
【文献】 特開2017−175928(JP,A)
【文献】 特開昭60−241853(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2030510(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 1/00−9/52
A23G 9/04
A23G 9/48
A23D
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
FSTA(STN)
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
品温50℃における固体脂含有率が20〜55%である油中水滴型カカオ含有物であって、品温50℃の前記油中水滴型カカオ含有物を冷媒温度−20℃の環境下に置き、20秒ごとの固体脂含有率を測定したとき、冷却開始から、120秒経過時から300秒経過時までの、時間に対する固体脂含有率の変化を示す近似直線の傾きが、0.03〜0.05であり、水分が3%以下であることを特徴とする、油中水滴型カカオ含有物。
【請求項2】
塑性粘度が、品温50℃において0.2〜5Pa・sであることを特徴とする、請求項1に記載の油中水滴型カカオ含有物。
【請求項3】
降伏値が、品温50℃において0.2〜5Paであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の油中水滴型カカオ含有物。
【請求項4】
前記油中水滴型カカオ含有物全量に対する総脂肪分が、30〜60質量%であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の油中水滴型カカオ含有物。
【請求項5】
カカオ分8%以上又はココアバター2%以上のチョコレートコーチングであることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の油中水滴型カカオ含有物。
【請求項6】
冷菓用である、請求項1〜5の何れかに記載の油中水滴型カカオ含有物。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の油中水滴型カカオ含有物からなるチョコレート生地が固化したチョコレート部と、凍結食品とを隣接して含む、複合冷菓。
【請求項8】
請求項7に記載の複合冷菓の製造方法であって、溶融状態の前記チョコレート生地を、凍結状態又は半凍結状態の凍結食品原料に接触させる冷却固化工程を備える、複合冷菓の製造方法。
【請求項9】
さらに、前記チョコレート生地に外力を加え、変形させる変形工程を備え、前記冷却固化工程と前記変形工程が、同時に行われることを特徴とする、請求項8に記載の複合冷菓の製造方法。
【請求項10】
前記冷却固化工程が、凍結状態又は半凍結状態の前記凍結食品原料と溶融状態の前記チョコレート生地を、同時充填する工程であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の複合冷菓の製造方法。
【請求項11】
前記複合冷菓が、第一の可食容器と、第二の可食容器との間に、前記チョコレート部及び凍結食品が挟持されている複合冷菓であって、
前記変形工程が、第一の可食容器に、凍結状態又は半凍結状態の前記凍結食品原料と溶融状態の前記チョコレート生地を充填し、前記第一の可食容器の反対側から前記凍結食品原料及びチョコレート生地に第二の可食容器を被せて押圧する工程であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の複合冷菓の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油中水滴型カカオ含有物、これを含む複合冷菓、及び前記複合冷菓の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コーチング用チョコレートにより、パン、菓子、冷菓等の一部又は全部を被覆する、チョコレート被覆食品が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の比較例には、0.5mmのチョコレートフィルムを使用して、20mm×20mm×7mmに成形したアイスクリームの2つの面をサンドした、サンドアイスクリームが開示されている。
また、特許文献1には、融液状態にあるチョコレートに、20mm×20mm×7mmに成形したアイスクリームを浸漬し、余分のチョコレートを落とすことで製造した、チョコレートコーティングアイスクリームが開示されている。
【0004】
特許文献2の実施例には、カカオバター及びカカオマスを含むコーティング用混合物に、アイスクリームブランクを浸漬し、被覆された製品を液体窒素へ浸漬する、コーティング方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−140342号公報
【特許文献2】特表2000−508917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
引用文献1及び2にも記載の通り、従来、冷菓にチョコレートをコーティングする方法としては、まず、アイスクリーム部を製造し、そのアイスクリームをチョコレート液に浸漬する方法、又はアイスクリーム部にチョコレート液を噴霧する方法等が知られていた。
【0007】
このような、冷菓にチョコレートが接触している形態の複合冷菓を製造するにあたって、以下の問題がある。
【0008】
チョコレート液の取り扱い易さを優先すると、本来意図した位置にチョコレート液が留まらず流れてしまう、すなわち、滞留性に欠けるという問題があった。このようなチョコレート液は、冷却固化後のチョコレートの分布にムラが生じてしまい、美観や食感を損ねる。また、複合冷菓の製造過程で垂れ落ちる量が増えるため、費用面から見ても効率的でない。
【0009】
一方で、上述した問題を解決するために、チョコレート液の滞留性を高めようすると、製造過程における機械振動等の外力や、冷却固化により生じる体積変化等による内力の影響で、冷却固化後のチョコレートが割れてしまい、このような場合も、製品としての美観や食感を損ねる。
【0010】
冷菓にチョコレートが被覆している形態の複合冷菓にあっては、特に美観の問題が顕著に現れる。
【0011】
ところで、現在、クリーム等の凍結食品原料及びチョコレート液を、それぞれ流動性を有する状態で同時に充填する技術について検討されている。
【0012】
しかし、同時充填技術の確立は難しく、チョコレート液のみならず、クリームも流動性を有しているため、柔らかいチョコレート液を使用した場合のチョコレート分布のムラが特に顕著である。さらに、同時充填を行う場合には、充填後に複合冷菓の成形を行う必要があり、成形時にかかる外力によるチョコレートの割れの発生が特に顕著である。
【0013】
そこで、本発明は、溶融状態において適度な滞留性を有し、かつ冷却固化後の割れの発生を抑制することができる油中水滴型カカオ含有物を提供することを課題する。
また、本発明は、凍結食品原料との同時充填による複合冷菓が容易に製造可能な油中水滴型カカオ含有物を提供することをさらなる課題とする。
また、本発明は、当該油中水滴型カカオ含有物を含む複合冷菓、及び複合冷菓の製造方法を提供することをさらなる課題とする。
【0014】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の物性を有する油中水滴型カカオ含有物が、溶融状態において適度な滞留性を有し、かつ冷却固化後の割れの発生を抑制することができることを見出し、本発明に至った。
【0015】
すなわち、前記課題を解決する本発明は、品温50℃における固体脂含有率が20〜55%である油中水滴型カカオ含有物であって、品温50℃の前記油中水滴型カカオ含有物を冷媒温度−20℃の環境下に置き、20秒ごとの固体脂含有率を測定したとき、冷却開始から、120秒経過時から300秒経過時までの、時間に対する固体脂含有率の変化を示す近似直線の傾きが、0.03〜0.2であり、水分が3%以下である、油中水滴型カカオ含有物である。
上記物性を有する油中水滴型カカオ含有物は、溶融状態において適度な滞留性を有し、かつ冷却固化後の割れの発生を抑制することができる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、塑性粘度が、品温50℃において0.2〜5Pa・sである。
このような物性を有する油中水滴型カカオ含有物は、溶融状態において適度な滞留性を有し、かつ冷却固化後の割れの発生を抑制することができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、降伏値が、品温50℃において0.2〜5Paである。
このような物性を有する油中水滴型カカオ含有物は、溶融状態において適度な滞留性を有し、かつ冷却固化後の割れの発生を抑制することができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記油中水滴型カカオ含有物全量に対する総脂肪分が、30〜60質量%であることを特徴とする。
総脂肪分が上記範囲内である油中水滴型カカオ含有物は、カカオの風味に優れる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記油中水滴型カカオ含有物が、カカオ分8%以上又はココアバター2%以上のチョコレートコーチングである。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記油中水滴型カカオ含有物は、冷菓用である。
本発明の油中水滴型カカオ含有物は、冷菓に用いるのに適している。
【0021】
また、前記課題を解決する本発明は、前記油中水滴型カカオ含有物からなるチョコレート生地が固化したチョコレート部と、凍結食品とを隣接して含む、複合冷菓である。
【0022】
また、前記課題を解決する本発明は、前記複合冷菓の製造方法であって、溶融状態の前記チョコレート生地を、凍結状態又は半凍結状態の凍結食品原料に接触させる冷却固化工程を備える。
本願発明の製造方法によれば、前記油中水滴型カカオ含有物からなるチョコレート部と、凍結食品とを隣接して含む複合冷菓を、前記チョコレート生地を意図する位置に滞留させ、かつ冷却固化後の割れを発生させずに製造することができる。
【0023】
本発明の好ましい形態では、さらに、前記チョコレート生地に外力を加え、変形させる変形工程を備え、前記冷却工程と前記変形工程が、同時に行われる。
本願発明の製造方法によれば、冷却を行いながらチョコレート生地に外力を加え変形させても、当該チョコレート生地を意図する位置に滞留させ、かつ冷却固化後の割れを発生させずに、複合冷菓を製造することができる。
【0024】
本発明の好ましい形態では、前記冷却固化工程が、凍結状態又は半凍結状態の前記凍結食品原料と溶融状態の前記チョコレート生地を、同時充填する工程である。
本願発明の好ましい形態によれば、前記凍結食品原料と溶融状態の前記チョコレート生地を同時充填した場合であっても、前記チョコレート生地を意図する位置に滞留させ、かつ冷却固化後の割れを発生させずに複合冷菓を製造することができる。
【0025】
本発明の好ましい形態では、前記複合冷菓が、第一の可食容器と、第二の可食容器との間に、前記チョコレート部及び凍結食品が挟持されている複合冷菓であって、
前記変形工程が、第一の可食容器に、凍結状態又は半凍結状態の前記凍結食品原料と溶融状態の前記チョコレート生地を充填し、前記第一の可食容器の反対側から前記凍結食品原料及びチョコレート生地に第二の可食容器を被せて押圧する工程である。
本願発明の好ましい形態によれば、可食容器に前記チョコレート食品及び前記凍結食品が挟持されている形態の複合冷菓であっても、前記チョコレート生地を意図する位置に滞留させ、かつ割れを発生させずに、当該複合冷菓を製造することができる。
【発明の効果】
【0026】
本願発明の油中水滴型カカオ含有物は、溶融状態において適度な滞留性を有し、かつ冷却固化後の割れの発生を抑制することができる。
また、本願発明の好ましい形態では、凍結食品原料との同時充填による複合冷菓の製造が容易である。
本願発明の複合冷菓の製造方法によれば、前記油中水滴型カカオ含有物からなるチョコレート部と、凍結食品とを隣接して含む複合冷菓を、前記チョコレート部を意図する位置に滞留させ、かつ割れを発生させずに製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、実施例1〜6、比較例1〜2の、冷却時間に対する固体脂含有率を示す図である。
図2図2は、実施例1〜6、比較例1〜2の、冷却開始から、120秒経過時から300秒経過時までの、固体脂含有率を示す図である。
図3図3は、実施例1〜6、比較例1〜2の、冷却開始から、120秒経過時から300秒経過時までの、時間に対する固体脂含有率の変化を示す近似直線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願発明の油中水滴型カカオ含有物は、品温50℃における固体脂含有率が20〜55%である油中水滴型カカオ含有物であって、品温50℃の前記油中水滴型カカオ含有物を冷媒温度−20℃の環境下に置き、20秒ごとの固体脂含有率を測定したとき、冷却開始から、120秒経過時から300秒経過時までの、時間に対する固体脂含有率の変化を示す近似直線の傾きが、0.03〜0.2であり、水分が3%以下である。
以下、本願発明について詳細に説明する。
【0029】
(1)油中水滴型カカオ含有物
本願発明の油中水型カカオ含有物は、品温50℃における固体脂含有率が20〜55%である。
【0030】
品温50℃における固体脂含有率は、好ましくは25〜55%、より好ましくは30〜55%、さらに好ましくは35〜55%、特に好ましくは40〜55%であり、最も好ましくは45〜55%である。
【0031】
本願発明の油中水滴型カカオ含有物は、品温50℃の固体脂含有率が20〜55%である前記油中水滴型カカオ含有物を、冷媒温度−20℃の環境下に置き、20秒ごとの固体含有率を測定すると、冷却を始めてから120秒経過時から、300秒経過時までの、時間に対する固体脂含有率の変化を示す近似直線の傾き(以下、本明細書中において「傾き」という)が、0.03〜0.2であるという物性を有する。
前記固体脂含有率及び前記傾きを上記範囲内とすることで、適度な滞留性を有し、かつ割れの発生を抑制することができる油中水滴型カカオ含有物となる。
【0032】
前記傾きとは、すなわち、前記油中水滴型カカオ含有物の品温の低下に伴う、時間に対する固体脂含有率の上昇割合(固化速度)を意味する。
本発明者らは、後述する実施例で示す通り、上記の条件で測定した油中水滴型カカオ組成物の傾きの値と、前記油中水滴型カカオ組成物の溶融状態における滞留性、及び冷却固化後の割れの発生頻度に相関があることを実験的に見出した。
【0033】
本願発明の油中水滴型カカオ含有物の傾きは、好ましくは0.03〜0.16、より好ましくは0.03〜0.1、さらに好ましくは0.03〜0.05、特に好ましくは0.035〜0.05である。
前記傾きが特に好ましい範囲内である油中水滴型カカオ含有物は、溶融状態において意図した位置から垂れ落ちること、及び冷却固化後の割れがほとんどなく、同時充填による複合冷菓を容易に製造することができる
【0034】
なお、「同時充填による複合冷菓を容易に製造することができる」とは、同時充填後において、油中水滴型カカオ含有物からなるチョコレート生地に外力が加わった場合であっても、垂れ、割れが生じず、何ら問題なく複合冷菓を製造できることを意味する。
前記チョコレート生地に外力が加わった場合に、垂れ、割れが生じるが、製品としては問題ない範囲内で製造できる場合は、「同時充填による複合冷菓を製造することができる」と評する。
【0035】
前記固体脂含有率、及び前記傾きの値は、以下の方法により測定することができる。
【0036】
(固体脂含有率、及び傾きの値の測定方法)
試験管に、油中水滴型カカオ組成物を5mL加え、サンプルを作成し、当該サンプルを恒温槽に入れ、50℃に調温する。
次に、冷媒装置を−20℃に設定し、固体脂含有率(SFC)測定器に冷媒を流し込み、SFC測定器内部の空気温度を−5℃に調整する。
空気温度が調整された前記SFC測定器に、調温しておいた前記サンプルを入れ、前記サンプルの品温が−5℃に達するまでの固体脂含有率を20秒毎に測定する。
測定後、測定時間に対する固体脂含有率をプロットし、冷却開始から、120秒経過時から300秒経過時までの、時間に対する固体脂含有率の変化を示す近似直線を作成し、当該近似曲線の傾きの値を計算する。
なお、近似直線の作成、及び傾きの計算は、一般的な表計算ソフトを用いて行うことができる。
【0037】
本願発明の油中水滴型カカオ含有物は、品温−5℃における固体脂含有率が、好ましくは55〜80%、より好ましくは55〜70%である。
品温−5℃における固体脂含有率が上記範囲内である油中水滴型カカオ含有物は、より適度な滞留性を有しており、垂れの発生を抑制する効果により優れている。
【0038】
本願発明の油中水滴型カカオ含有物としては、品温50℃における固体脂含有率が45〜55%であり、品温−5℃における固体脂含有率が55〜70%であるものが最も好ましい。
このような物性を有する油中水滴型カカオ含有物は、同時充填による複合冷菓をより容易に製造することができる。
【0039】
本願発明の油中水滴型カカオ含有物は、品温50℃における塑性粘度が0.2〜5Pa・sであれば、溶融状態において適度な滞留性を有し、かつ、冷却固化後の割れの発生を抑制することができる。
【0040】
前記品温50℃における塑性粘度は、好ましくは0.5〜4.5Pa・s、さらに好ましくは0.7〜4Pa・s、特に好ましくは1〜3.5Pa・sである。
【0041】
塑性粘度が好ましい範囲内にある油中水滴型カカオ含有物は、塑性粘度が好ましい範囲外である油中水滴型カカオ含有物と比して、より適度な滞留性を有しており、割れの発生が少なく、同時充填による複合冷菓を比較的容易に製造することができる。
塑性粘度が特に好ましい範囲内にある油中水滴型カカオ含有物は、溶融状態において意図する位置から垂れ落ちること、及び冷却固化後の割れがほとんどなく、同時充填による複合冷菓を容易に製造することができる。
【0042】
本願発明の油中水滴型カカオ含有物は、品温50℃における降伏値が0.2〜5Paであれば、適度な滞留性を有しており、かつ割れの発生を抑制することができる。
【0043】
前記品温50℃における降伏値は、好ましくは0.3〜4Pa、さらに好ましくは0.4〜3.5Pa、特に好ましくは0.5〜3Paである。
【0044】
降伏値が好ましい範囲内である油中水滴型カカオ含有物は、降伏値が好ましい範囲外である油中水滴型カカオ含有物と比して、より適度な滞留性を有しており、割れの発生が少なく、同時充填による複合冷菓を比較的容易に製造することができる。
降伏値が特に好ましい範囲内にある油中水滴型カカオ含有物は、溶融状態において意図した位置から垂れ落ちること、及び冷却固化後の割れがほとんどなく、同時充填による複合冷菓を容易に製造することができる。
【0045】
前記塑性粘度及び降伏値の何れかが上述した範囲内である油中水滴型カカオ含有物であれば、本願発明の効果を奏するが、前記塑性粘度及び降伏地の何れもが上述した範囲内である油中水滴型カカオ含有物は、特に適度な滞留性を有しており、割れを抑制する効果に優れ、同時充填による複合冷菓をより容易に製造することができる。
すなわち、本願発明は、品温50℃における塑性粘度が、0.2〜5Pa・sであることを特徴とする、油中水滴型カカオ含有物である。
また、本願発明は、品温50℃における降伏値が、0.2〜5Paであることを特徴とする、油中水滴型カカオ含有物である。
【0046】
本願発明の油中水滴型カカオ含有物は、水分が3%以下である。
【0047】
本願発明の油中水滴型カカオ含有物の総脂肪分は、好ましくは30〜60質量%、より好ましくは35〜55質量%である。
【0048】
本願発明の油中水滴型カカオ含有物は、上述した物性を有するものであれば、特に限定されないが、カカオ分が8%以上又はココアバターが2%以上のチョコレートコーチングであることが好ましい。
【0049】
本願発明の油中水滴型カカオ含有物は、上述した物性を有するものであれば、どのような成分組成を有していてもよいが、本願発明の油中水滴型カカオ含有物に含有することができる成分の一例を以下に示す。
【0050】
カカオ原料としては、カカオマス、ココアバター、ココアケーキ、ココアパウダー及び調整ココアパウダー等の、チョコレート製品に一般に用いられるカカオ原料を用いることができる。
【0051】
油脂としては、前記傾きが特定の範囲内となるように、前記粘度が特定の範囲内となるように、又は前記降伏値が特定の範囲内となるように調製することが可能な製菓用油脂を用いていることができる。
【0052】
ココアバターの含有量及び総脂肪分等によるが、一般的なココアバターの固化速度に鑑みれば、前記製菓用油脂として、常温での固体脂含有率が低い油脂を用いることが好ましく、常温で液体の、液体油を用いることがより好ましい。
液体油としては、なたね油及び大豆油等の融点が0℃以下の植物油脂が例示できる。
【0053】
油脂として、融点が0℃以下の植物油脂を用いる場合、その含有量は、油中水滴型カカオ含有物全量に対して、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは20〜50質量%、さらに好ましくは20〜40質量%、特に好ましくは20〜35質量%、最も好ましくは25〜35質量%である。
【0054】
また、液体油として、ヤシ油、パーム油、パーム核油等の、比較的融点が高い植物油脂を、前記融点が0℃以下の植物油脂と組み合わせて用いることができる。この場合、前記融点が0℃以下の植物油脂及び前記比較的融点が高い植物油脂の合計含量が、前述した好ましい範囲内にあることが好ましい。
【0055】
前記融点が0℃以下の植物油脂及び前記融点が高い植物油脂を組み合わせる場合には、前記融点が0℃以下の植物油脂の含有量が、植物油脂の合計含量に対して、80〜95質量%以上であることが好ましく、85〜95質量%であることがより好ましい。
【0056】
本願発明の油中水滴型カカオ含有物は、前記カカオ原料及び前記油脂の他に、チョコレート製品に一般的に用いられる成分を含むことができる。
例えば、砂糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、オリゴ糖、マルトース、パラチノース、ガラクトース等の糖類、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチュロース等の糖アルコール、グルチルリチン、ステビオサイド、レバウディオサイド等の天然甘味料、スクラロース、アステルパーム等の人工甘味料、牛乳、全粉乳及び脱脂粉乳等の乳原料並びに香料等が挙げられる。
【0057】
本願発明の油中水滴型カカオ含有物は、乳化剤として、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを含むことが好ましい。
【0058】
本願発明の油中水滴型カカオ含有物は、特定の総脂肪分に、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを特定量配合することで、容易に製造することができる。
【0059】
この場合、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの含有量は、油中水滴型カカオ含有物の組成により異なるが、0.05〜1質量%とすることができる。
【0060】
また、本願発明の油中水滴型カカオ含有物は、パン、菓子及び冷菓等の様々な食品へのコーティングに適用することができ、特に冷菓の被覆に用いることに適している。
したがって、本願発明の油中水滴型カカオ含有物からなるチョコレート生地が固化したチョコレート部と、凍結食品とを隣接して含む、複合冷菓も本願発明である。
【0061】
(2)複合冷菓の製造方法
以下、本願発明の複合冷菓の製造方法について説明する。
【0062】
本願発明の複合冷菓の製造方法は、本願発明の油中水滴型カカオ含有物からなるチョコレート生地であって、溶融状態のものを、凍結状態又は半凍結状態の凍結食品原料に接触させる冷却固化工程を備える。
溶融状態の前記チョコレート生地を前記凍結食品原料に接触させることによって、前記チョコレート生地の品温が低下し、固化する。
【0063】
本願発明の複合冷菓の製造方法によれば、前記複合冷菓が、前記凍結食品原料に前記チョコレート生地が被覆している形態のものであったとしても、前記チョコレート生地を意図する位置に留まらせ、かつ冷却固化後の割れを生じさせることなく製造することができる。
【0064】
前記凍結食品原料としては、凍結状態又は半凍結状態のものであれば、特に限定されず、クリーム、スポンジ、クッキー、ビスケット、及び果物等が例示できる。
【0065】
接触させる方法としては、前記凍結食品原料を前記チョコレート生地に浸漬させる方法、前記凍結食品原料に前記チョコレート生地を掛ける方法等が例示できる。
また、本願発明の複合冷菓の製造方法によれば、前記凍結食品原料及び前記チョコレート生地を同時充填することにより接触させる方法であったとしても、前記チョコレート生地を意図する位置に留まらせ、かつ冷却固化後の割れを生じさせることなく、製造することができる。
【0066】
同時充填の方法としては、二重ノズルを用いて、前記凍結食品原料及び前記チョコレート生地を、それぞれ別々のノズルから噴出させる方法が例示できる。
【0067】
本願発明の複合冷菓の製造方法によれば、さらに、前記チョコレート生地に外力を加え、変形させる変形工程を備え、前記冷却固化工程と前記変形工程を同時に行うことが可能である。
【0068】
本願発明の複合冷菓の製造方法によれば、外力を加えても、溶融状態の前記チョコレート生地が意図せず広がりすぎて流れることがなく、冷却固化後の割れを発生させずに、複合冷菓を製造することができる。すなわち、本願発明の複合冷菓の製造方法によれば、冷却を行いながら、複合冷菓の成形が可能となる。
【0069】
ここで、「前記冷却固化工程と前記変形工程が、同時に行われる」とは、前記冷却固化工程と前記変形工程とが、同時に行われる時間が存するという意味であり、前記冷却固化工程の開始から終了まで、前記変形工程が行われること、又は前記変形工程の開始から終了まで、前記冷却固化工程が行われることを要さない。
【0070】
また、本発明の複合冷菓の製造方法によれば、第一の可食容器と、第二の可食容器との間に、前記チョコレート部及び前記凍結食品が挟持されている複合冷菓を、溶融状態の前記チョコレート生地が当該複合冷菓から垂れ落ちることなく、かつ冷却固化後の割れを発生させずに製造することができる。
【0071】
可食容器の間にチョコレート部及び凍結食品が挟持されている複合冷菓は、挟持の過程でチョコレート部及び凍結食品原料に外力が加えられるため、溶融状態のチョコレート生地が垂れ落ちたり、冷却固化後のチョコレート生地の割れの発生が、他の形態の複合冷菓と比して顕著である。
【0072】
しかし、本願発明の製造方法によれば、溶融状態のチョコレート生地及び凍結食品原料が可食容器に挟持された場合であっても、前記チョコレート生地が意図せず広がりすぎて流れることがなく、かつ冷却固化後の割れが発生しない。
【0073】
このような形態の複合冷菓の具体的な製造方法としては、まず、第一の可食容器に、前記凍結食品原料及び溶融状態の前記チョコレート生地を充填する。この時、凍結食品原料に接触した前記チョコレート生地は、冷却固化し始める。次に、前記第一の可食容器の反対側から前記凍結食品原料及び前記チョコレート生地に第二の可食容器を被せて押圧する。この段階では、前記チョコレート生地及び凍結食品原料は固化しておらず変形可能であるため、押圧により前記凍結食品原料及び前記チョコレート生地の成形が可能である。
前記押圧が、前述した変形工程に相当する。
【0074】
ここで、本明細書中において「可食容器」とは、冷菓を保持、載置、挟持することができる冷菓以外の食品を意味し、器状のもののみならず、板状のものも含む。
可食容器の種類については限定されないが、焼成食品であることが好ましく、
クッキー、モナカ皮、ビスケット、及びワッフル等が例示できる。
また、第一の可食容器及び第二の可食容器は、同一の種類の可食容器であっても、それぞれ異なる種類の可食容器であってもよい。
【0075】
本願発明の製造方法によれば、前記チョコレート生地を冷却しながら成形をすることが可能であるため、少ない作業工程で複合冷菓を製造することができる。
【0076】
さらに、本願発明の製造方法によれば、前記第一の可食容器に、前記凍結食品原料及び前記チョコレート生地を充填する工程において、同時充填を採用することも可能である。この場合、さらに少ない作業工程で複合冷菓を製造することができる。
【実施例】
【0077】
(試験例1)傾きの測定
表1に記載の組成に従い、油中水滴型カカオ含有物を製造した(実施例1〜6、比較例1〜2)。なお、表1中の数字は、質量%を表わす。
各油中水滴型カカオ含有物を、それぞれ口径9mmの試験管に5mLずつ加え、サンプルを作成した。各サンプルは、恒温槽(「SFC−3000」、Oxford社製)を用いて50℃に調温した。
次に、冷媒装置(「ECO RE 1050」LAUDA社製)を−20℃に設定し、
SFC測定器(「MQCパルス核磁気共鳴装置」Oxford社製)内部に冷媒を流し込むことで、測定器内の空気温度を−5℃とした。
調温しておいた各サンプルを、内部の空気温度が−5℃である当該SFC測定器に入れ、各サンプルの品温が−5℃に達するまでの固体脂含有率を20秒ごとに測定した。
当該測定の結果に基づいて、冷却開始から、120秒経過時から300秒経過時までの、時間に対する固体脂含有率の変化を示す近似直線を作成し、傾きの値を計算した。結果を図1〜3に示す。
【0078】
(試験例2)割れ、垂れの評価
各油中水滴型カカオ含有物からなる、溶融状態のチョコレート生地及び凍結状態のクリームを、二重ノズルを用いて、前記チョコレート生地が前記クリームを被覆するとともに、円形板状のワッフルに乗せ、前記ワッフルの反対側から前記凍結状態のクリーム及びチョコレート生地に別の円形板状のワッフルを被せて押圧し、複合冷菓を製造した。この複合冷菓における、チョコレート部の垂れ、割れについて、以下の評価基準に従い、評価した。結果を表2に示す。
【0079】
評価基準
◎・・・垂れ、割れが発生せず、容易に同時充填が可能である。
〇・・・わずかに、割れ、垂れが発生しているが、同時充填が可能である。
△・・・割れ、垂れが発生しているが、同時充填が可能である。
×・・・割れ、垂れが発生し、同時充填が不可能である。又は、生地が硬く、分注ができない。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
図1から、実施例1〜6、比較例1〜2の固体脂含有率は、冷却開始から120秒経過時までには、ほとんど変化がないことがわかる。これは、この時間帯では、まだ冷媒の温度が油中水滴型カカオ含有物に伝わっておらず、品温がほとんど変化していないことを示している。
したがって、時間に対する固体脂含有率の変化を示す近似直線を作成するにあたって、120秒経過時を始点とするのは妥当であるといえる。
【0083】
表2に、実施例1〜6、比較例1〜2の前記傾きと、試験例2により製造した複合冷菓におけるチョコレート部の割れ、垂れの評価を示す。
【0084】
表2の結果から、前記傾きの値が0.03〜0.2の範囲内である実施例1〜6は、同時充填による複合冷菓の製造が可能であった。
【0085】
一方で、前記傾きの値が0.03以下である比較例1は、チョコレート生地の顕著な垂れが発生した。
また、前記傾きの間が0.2以上である比較例2は、チョコレート部の顕著な割れが発生した。
【0086】
以上の結果から、前記傾きの値は、複合冷菓の製造におけるチョコレート生地の垂れの発生、及びチョコレート部の割れの発生と相関があり、前記傾きの値が0.03〜0.2の範囲内である油中水滴型カカオ含有物は、溶融状態において適度な滞留性を有しており、かつ冷却固化後の割れの発生を抑制することができることがわかった。
【0087】
特に、前記傾きの値が0.035〜0.05の実施例1〜3は、垂れ、割れが発生せず、同時充填による複合冷菓の製造が容易であった。
【0088】
(試験例3)塑性粘度及び降伏値について
次に、表3に記載の組成に従い、油中水滴型カカオ含有物を製造し(実施例1、実施例7〜12、なお、実施例1は、試験例2と同一)、品温50℃におけるそれぞれの塑性粘度及び降伏値を測定した。
塑性粘度及び降伏値は、B型粘度計(「アナログ粘度計 HAT」、ブルックフィールド社製)を用いて、2回又は3回測定し、その平均値を算出した。その後、試験例2の記載に従い、割れ、垂れの評価を行った。
結果を表4に示す。
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
表4の結果から、塑性粘度が0.2〜5Pa・sの範囲内である油中水滴カカオ含有物は、いずれも同時充填が可能であることがわかった。
【0092】
この結果から、塑性粘度が0.2〜5Pa・sの範囲内である油中水滴型カカオ含有物は、溶融状態において適度な滞留性を有しており、かつ割れの発生を抑制することができることがわかった。
また、塑性粘度が0.5〜4.5Pa・sの範囲内である油中水滴型カカオ含有物は、上記範囲外の油中水滴型カカオ含有物と比して、垂れ、割れの発生が少なく、比較的容易に同時充填による複合冷菓を製造できることがわかった。
特に、塑性粘度が1〜3.5Pa・sの範囲内である油中水滴型カカオ含有物は、垂れ、割れがほとんど生じず、同時充填による複合冷菓の製造が容易であった。
【0093】
表4の結果から、降伏値が0.2〜5Paである油中水滴型カカオ含有物は、いずれも同時充填が可能であることがわかった。
【0094】
この結果から、降伏値が0.2〜5Pa・sの範囲内である油中水滴型カカオ含有物は、溶融状態において適度な滞留性を有しており、かつ割れの発生を抑制することができることがわかった。
また、降伏値が0.4〜3.5Paの範囲内である油中水滴型カカオ含有物は,上記範囲外の油中水滴型カカオ含有物と比して、垂れ、割れの発生が少なく、比較的容易に同時充填による複合冷菓を製造できることがわかった。
【0095】
また、塑性粘度及び降伏値は、何れかが特定の範囲内であれば、発明の効果を奏する。
【0096】
なお、実施例8及び実施例9については、見かけ上の組成は同一であるが、異なる混合条件で製造したため、塑性粘度、及び降伏値が異なる。
しかし、実施例8及び実施例9の何れも、塑性粘度及び降伏値が特定の数値範囲内に含まれるため、割れ、及び垂れの発生が少なく、同時充填が可能であった。
【0097】
(製造例)
表5に記載の組成に従い、油中水滴型カカオ含有物を製造し(実施例1、7、8、9、参考例1〜8)、試験例2と同じ方法、同じ評価基準を用いて、割れ、垂れの評価を行った。結果を表5に示す。なお、評価が×のものに関しては、前記傾きは0.03〜0.2の範囲外であり、前記塑性粘度は0.2〜5Pa・sの範囲外であり、前記降伏値は0.2〜5Paの範囲外であった。
【0098】
【表5】
【0099】
表5について、実施例1、参考例1、参考例5に着目すると、これらは、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの含有量が異なり、他の成分の含有量についてはほとんど差異がない。
これは、油中水滴型カカオ含有物にポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを添加することで、前記傾き、前記塑性粘度、及び前記降伏値という物性を大きく変化させることができるので、組成を大きく設計変更することなく、容易に本願発明の油中水滴型カカオ含有物を製造できることを示している。
【0100】
また、本願発明の油中水滴型カカオ含有物とするための、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの含有量は、総脂肪分や、他の成分割合によって異なるが、本願明細書の記載に触れた当業者であれば、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの量を適宜調製し、本願発明の油中水滴型カカオ含有物とすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、パン類、菓子類及び冷菓等のコーティング用カカオ製品に応用することができる。

【要約】
【課題】本発明の課題は、適度な滞留性を有し、かつ割れの発生が抑制された油中水滴型カカオ含有物を提供することにある。
【解決手段】
品温50℃における固体脂含有率が20〜55%である油中水滴型カカオ含有物であって、品温50℃の前記油中水滴型カカオ含有物を冷媒温度−20℃の環境下に置き、20秒ごとの固体脂含有率を測定したとき、冷却開始から、120秒経過時から300秒経過時までの、時間に対する固体脂含有率の変化を示す近似直線の傾きが、0.03〜0.2であり、水分が3%以下であることを特徴とする、油中水滴型カカオ含有物。
【選択図】図1
図1
図2
図3