特許第6455511号(P6455511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ JNC株式会社の特許一覧 ▶ JNC石油化学株式会社の特許一覧

特許6455511CF2O結合基とトラン骨格を有する液晶化合物、液晶組成物および液晶表示素子
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6455511
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】CF2O結合基とトラン骨格を有する液晶化合物、液晶組成物および液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   C07C 43/225 20060101AFI20190110BHJP
   C09K 19/20 20060101ALI20190110BHJP
   C09K 19/34 20060101ALI20190110BHJP
   C09K 19/42 20060101ALI20190110BHJP
   C09K 19/54 20060101ALI20190110BHJP
   C09K 19/30 20060101ALI20190110BHJP
   C09K 19/12 20060101ALI20190110BHJP
   C09K 19/14 20060101ALI20190110BHJP
   C09K 19/32 20060101ALI20190110BHJP
   C09K 19/18 20060101ALI20190110BHJP
   C07D 239/26 20060101ALI20190110BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   C07C43/225 CCSP
   C07C43/225 D
   C09K19/20
   C09K19/34
   C09K19/42
   C09K19/54 B
   C09K19/54 C
   C09K19/54 Z
   C09K19/30
   C09K19/12
   C09K19/14
   C09K19/32
   C09K19/18
   C07D239/26
   G02F1/13 500
【請求項の数】15
【全頁数】120
(21)【出願番号】特願2016-527775(P2016-527775)
(86)(22)【出願日】2015年6月4日
(86)【国際出願番号】JP2015066246
(87)【国際公開番号】WO2015190399
(87)【国際公開日】20151217
【審査請求日】2018年2月5日
(31)【優先権主張番号】特願2014-120566(P2014-120566)
(32)【優先日】2014年6月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】311002067
【氏名又は名称】JNC株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596032100
【氏名又は名称】JNC石油化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 道子
(72)【発明者】
【氏名】藤森 さや香
(72)【発明者】
【氏名】笹田 康幸
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/047260(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/150963(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/090780(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/105286(WO,A1)
【文献】 国際公開第96/011897(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 43/00
C07D 239/00
C09K 19/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される化合物。


式(1)において、
は、炭素数1から15のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CHCH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
環A、環A、および環Aは独立して、1,4−フェニレン、2−ハロゲノ−1,4−フェニレン、2,6−ジハロゲノ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
1およびZ2は独立して、単結合または−C≡C−であるが、少なくとも1つは−C≡C−であり;
は、ハロゲン、−OCF、または−CFであり;
およびLは独立して、ハロゲンであり;
mおよびnは独立して、0、1または2であり、mおよびnの和は1または2である。
【請求項2】
請求項1に記載の式(1)において、
は、炭素数1から15のアルキル、炭素数2から15のアルケニル、炭素数2から15のアルコキシ、少なくとも1つの水素がハロゲンにより置き換えられた炭素数1から15のアルキル、少なくとも1つの水素がハロゲンにより置き換えられた炭素数2から15のアルケニル、または少なくとも1つの水素がハロゲンにより置き換えられた炭素数2から15のアルコキシであり;
環A、環A、および環Aは独立して、1,4−フェニレン、2−ハロゲノ−1,4−フェニレン、2,6−ジハロゲノ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
およびZは独立して、単結合または−C≡C−であり、m個のZ1およびn個のZ2のうちの少なくとも1つは−C≡C−であり;
は、ハロゲン、−OCF、または−CFであり;
およびLは独立して、ハロゲンであり;
mおよびnは独立して、0、1、または2であり、mおよびnの和は1または2である。
【請求項3】
式(1−1)〜(1−3)のいずれか1つで表される、請求項1に記載の化合物


式(1−1)〜(1−3)において、
は、炭素数1〜15のアルキル、炭素数2〜15のアルケニル、炭素数1〜14のアルコキシ、または炭素数2〜14のアルケニルオキシであり;
環A、環A、および環Aは独立して、1,4−フェニレン、2−ハロゲノ−1,4−フェニレン、2,6−ジハロゲノ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
およびZは独立して、単結合または−C≡C−であり、m個のZおよびn個のZのうちの少なくとも1つは−C≡C−であり;
は、ハロゲン、−OCF、または−CFであり;
およびLは独立して、フ素である。
【請求項4】
式(1−1)〜(1−3)において、環A、環A、および環Aは独立して、1,4−フェニレン、2−ハロゲノ−1,4−フェニレン、2,6−ジハロゲノ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり;Lは、フッ素、−OCF、または−CFである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
式(1−4)〜(1−28)のいずれか1つで表される、請求項1に記載の化合物



式(1−4)〜(1−28)において、Rは、炭素数1〜15のアルキル、炭素数2〜15のアルケニル、炭素数1〜14のアルコキシ、または炭素数2〜14のアルケニルオキシであり;Y、Y、Y、Y、Y、およびYは独立して、水素、フッ素、または塩素であり;Lは、フッ素、塩素、−OCF、または−CFであり;LおよびLは独立して、水素またはフッ素であるが、少なくとも1つはフッ素である。
【請求項6】
式(1−4)〜(1−28)において、Lは、フッ素または−CFである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つを含有する液晶組成物。
【請求項8】
式(2)〜(4)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項7に記載の液晶組成物。


式(2)〜(4)において、
11は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH2−は−O−で置き換えられてもよく;
11は、フッ素、塩素、−OCF3、−OCHF2、−CF3、−CHF2、−CH2F、−OCF2CHF2、または−OCF2CHFCF3であり;
環B、環Bおよび環Bは独立して、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
11、Z12およびZ13は独立して、単結合、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、または−(CH−であり、Z11、Z12およびZ13のいずれかが−C≡C−である場合、他方は単結合、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCF−、−CHO−、または−(CH−であり、Z11、Z12およびZ13のいずれかが−CFO−である場合、他方は単結合、−CHCH−、−CH=CH−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、または−(CH−であり;
11およびL12は独立して、水素またはフッ素である。
【請求項9】
式(5)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項7または8に記載の液晶組成物。


式(5)において、
12は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH2−は−O−で置き換えられてもよく;
12は−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nであり;
環Cは、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
14は、単結合、−CHCH−、−C≡C−、−COO−、−CFO−、−OCF−、または−CHO−であり;
13およびL14は独立して水素またはフッ素であり;
iは、1、2、3、または4である。
【請求項10】
式(6)〜(12)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項7から9のいずれか1項に記載の液晶組成物。


式(6)〜(12)において、
13およびR14は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
15は、水素、フッ素、炭素数1から10のアルキル、または炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
11は水素またはメチルであり;
13およびX14は独立して、−CF−、−O−、または−CHF−であり;
環D、環D、環D、および環Dは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、またはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり;
環Dおよび環Dは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン,テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、またはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり;
15、Z16、Z17、およびZ18は独立して、単結合、−CHCH−、−COO−、−CHO−、−OCF−、または−OCFCHCH−であり;
15およびL16は独立して、フッ素または塩素であり;
j、k、m、n、p、q、r、およびsは独立して、0または1であり、k、m、n、およびpの和は、1または2であり、q、rおよびsの和は、0、1、2、または3であり、tは、1、2、または3である。
【請求項11】
式(13)〜(15)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項7〜10のいずれか1項に記載の液晶組成物。


式(13)〜(15)において、
16およびR17は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルまたはアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
環E、環E、環E、および環Eは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
19、Z20およびZ21は独立して、単結合、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、または−COO−である。
【請求項12】
重合可能な化合物、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、および消泡剤の少なくとも1つをさらに含有する、請求項7から11のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項13】
請求項7から12のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
【請求項14】
液晶組成物をカプセルに内包させることを特徴とする、請求項13に記載の液晶表示素子。
【請求項15】
液晶組成物を2D−3D間スイッチングに利用されるレンズに使用することを特徴とする、請求項13に記載の液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶性化合物、液晶組成物および液晶表示素子に関する。さらに詳しくは、CFO結合基とトラン骨格を有する液晶化合物、この化合物を含有し、ネマチック相を有する液晶組成物、およびこの組成物を含む液晶表示素子に関する。
【0002】
液晶表示素子は、パソコン、テレビなどのディスプレイに広く利用されている。この素子は、液晶性化合物の光学的異方性、誘電率異方性などの物性を利用したものである。液晶表示素子の動作モードとしては、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、BTN(bistable twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)モード、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)、FFS(Fringe Field Switching)、PSA(polymer sustained alignment)などのモードがある。
【0003】
このような液晶表示素子では、適切な物性を有する液晶組成物が使われている。液晶表示素子の特性をさらに向上させるには、この組成物に含まれる液晶性化合物が、下記の(1)〜(8)で示す物性を有するのが好ましい。
(1)熱、光などに対する高い安定性
(2)高い透明点
(3)液晶相の低い下限温度
(4)小さな粘度(η)
(5)大きな光学的異方性(Δn)
(6)大きな誘電率異方性(Δε)
(7)適切な弾性定数(K)
(8)他の液晶性化合物との優れた相溶性
【0004】
液晶性化合物の物性が素子の特性に及ぼす効果は、次のとおりである。(1)のように、熱、光などに対する高い安定性を有する化合物は、素子の電圧保持率を大きくする。これによって、素子の寿命が長くなる。(2)のように、高い透明点を有する化合物は、素子の使用可能な温度範囲を広げる。(3)のように、ネマチック相、スメクチック相などのような液晶相の低い下限温度、特にネマチック相の低い下限温度を有する化合物も、素子の使用可能な温度範囲を広げる。(4)のように、粘度の小さな化合物は、素子の応答時間を短くする。
【0005】
(5)のように、大きな光学的異方性を有する化合物は、素子のコントラストを向上させる。素子の設計に応じて、大きな光学的異方性または小さな光学的異方性、すなわち適切な光学的異方性を有する化合物が必要である。素子のセルギャップを小さくすることにより応答時間を短くする場合には、大きな光学的異方性を有する化合物が適している。(6)のように大きな誘電率異方性を有する化合物は、素子のしきい値電圧を下げる。これによって、素子の消費電力が小さくなる。一方、小さな誘電率異方性を有する化合物は、組成物の粘度を小さくすることによって、素子の応答時間を短くする。
【0006】
(7)に関しては、大きな弾性定数を有する化合物は、素子の応答時間を短くする。小さな弾性定数を有する化合物は、素子のしきい値電圧を下げる。したがって、向上させたい特性に応じて適切な弾性定数が必要になる。(8)のように他の液晶性化合物との優れた相溶性を有する化合物が好ましい。これは、異なった物性を有する液晶性化合物を混合して、組成物の物性を調節するからである。
【0007】
これまでに、大きな誘電率異方性を有する液晶性化合物が種々合成されてきた。大きな光学的異方性を有する液晶化合物も種々合成されてきた。新規な化合物には、従来の化合物にはない優れた物性が期待されるからである。新規な化合物を液晶組成物に添加することによって、少なくとも2つの物性の間の適切なバランスが得られると期待されるからである。このような状況から、上記の物性(1)〜(8)に関して優れた物性と適切なバランスを有する化合物、とりわけ誘電率異方性(Δε)と光学的異方性(Δn)が共に大きな化合物が望まれている。
【0008】
特許文献1にはCFO基とトラン骨格を有する化合物(S−1)が記載されている。
【0009】
【化1】
【0010】
非特許文献2にはCFO基とトラン骨格を有する化合物(S−2)が記載されている。
【0011】
【化2】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第96/011897号パンフレット.
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Liq. Cryst. 2013. 40. P91-96.
【非特許文献2】Mol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, P109.
【非特許文献3】Mol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, P327.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の第一の課題は、熱や光に対する高い安定性、高い透明点、液晶相の低い下限温度、小さな粘度、大きな光学的異方性、大きな誘電率異方性、適切な弾性定数、他の液晶性化合物との優れた相溶性などの物性の少なくとも1つを充足する液晶性化合物を提供することである。類似の化合物と比較して、大きな光学的異方性と大きな誘電率異方性を有する化合物を提供することである。第二の課題は、この化合物を含有し、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、大きな光学的異方性、大きな誘電率異方性、適切な弾性定数などの物性の少なくとも1つを充足する液晶組成物を提供することである。この課題は、少なくとも2つの物性に関して適切なバランスを有する液晶組成物を提供することである。第三の課題は、この組成物を含み、素子を使用できる広い温度範囲、短い応答時間、大きな電圧保持率、低いしきい値電圧、大きなコントラスト比、および長い寿命を有する液晶表示素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、式(1)で表される化合物、この化合物を含有する液晶組成物、およびこの組成物を含む液晶表示素子に関する。

式(1)において、
は、炭素数1から15のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CHCH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
環A、環A、および環Aは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、2−ハロゲノ−1,4−フェニレン、2,6−ジハロゲノ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり;
1およびZ2は独立して、単結合または−C≡C−であるが、少なくとも1つは−C≡C−であり;
は、ハロゲン、−OCF、または−CFであり;
およびLは独立して、水素またはハロゲンであるが、少なくとも1つはハロゲンであり;
mおよびnは独立して、0、1、または2であり、mおよびnの和は1または2である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第一の長所は、熱や光に対する高い安定性、高い透明点、液晶相の低い下限温度、小さな粘度、大きな光学的異方性、大きな誘電率異方性、適切な弾性定数、他の液晶性化合物との優れた相溶性などの物性の少なくとも1つを充足する液晶性化合物を提供することである。類似の化合物と比較して、大きな光学的異方性と大きな誘電率異方性を有する化合物を提供することである(比較例1を参照)。第二の長所は、本発明中の化合物を含有し、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、大きな光学的異方性、大きな誘電率異方性、適切な弾性定数などの物性の少なくとも1つを充足する液晶組成物を提供することである。この長所は、少なくとも2つの物性に関して適切なバランスを有する液晶組成物を提供することである。第三の長所は、本発明中の組成物を含み、素子を使用できる広い温度範囲、短い応答時間、大きな電圧保持率、低いしきい値電圧、大きなコントラスト比、および長い寿命を有する液晶表示素子を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この明細書における用語の使い方は、次のとおりである。液晶性化合物は、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物、および液晶相を有しないが、上限温度、下限温度、粘度、誘電率異方性のような組成物の物性を調節する目的で添加する化合物の総称である。これらの化合物は、1,4−シクロヘキシレンや1,4−フェニレンのような六員環を有し、その分子構造は棒状(rod like)である。このような液晶性化合物を混合することによって液晶組成物が調製される。液晶性化合物の割合(含有量)は、この液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)で表される。この組成物に、重合可能な化合物、重合開始剤、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、消泡剤、色素のような添加物が必要に応じて添加される。添加物の割合(添加量)は、液晶性化合物の割合と同様に、液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)で表される。重量百万分率(ppm)が用いられることもある。
【0018】
液晶表示素子は、液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。液晶性化合物、液晶組成物、液晶表示素子をそれぞれ化合物、組成物、素子と略すことがある。透明点は、液晶性化合物における液晶相−等方相の転移温度である。液晶相の下限温度は、液晶性化合物における固体−液晶相(スメクチック相、ネマチック相など)の転移温度である。ネマチック相の上限温度は、液晶組成物におけるネマチック相−等方相の転移温度であり、上限温度と略すことがある。ネマチック相の下限温度を下限温度と略すことがある。
【0019】
式(1)で表される化合物を化合物(1)と略すことがある。この略記は式(2)などで表される化合物にも適用することがある。式(1)〜(15)において、六角形で囲んだA、B、Cなどの記号はそれぞれ環A、環B、環Cなどに対応する。末端基R11の記号を複数の化合物に用いる。これらの化合物において、任意の2つのR11が表す2つの基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。例えば、化合物(2)のR11がエチルであり、化合物(3)のR11がエチルであるケースがある。化合物(2)のR11がエチルであり、化合物(3)のR11がプロピルであるケースもある。このルールは、他の末端基、環などの記号にも適用される。式(5)において、iが2のとき、2つの環Cが存在する。この化合物において、2つの環Cが表す2つの基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。このルールは、iが2より大きいときの任意の2つにも適用される。このルールは、他の環、結合基などの記号にも適用される。
【0020】
「少なくとも1つの“A”は、“B”で置き換えられてもよい」の表現は、“A”の数が1つのとき、“A”の位置は任意であり、“A”の数が2つ以上のときも、それらの位置は制限なく選択できることを意味する。「少なくとも1つのAが、B、C、またはDで置き換えられてもよい」という表現は、任意のAがBで置き換えられる場合、任意のAがCで置き換えられる場合、および任意のAがDで置き換えられる場合、さらに複数のAがB、C、Dの少なくとも2つで置き換えられる場合を含むことを意味する。例えば、「少なくとも1つの−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキル」には、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルケニルオキシアルキルが含まれる。なお、連続する2つの−CH−が−O−で置き換えられて、−O−O−のようになることは好ましくない。アルキルなどにおいて、メチル部分(−CH−H)の−CH−が−O−で置き換えられて−O−Hになることも好ましくない。
【0021】
ハロゲンはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。好ましいハロゲンは、フッ素および塩素である。さらに好ましいハロゲンはフッ素である。液晶性化合物のアルキルは直鎖状または分岐状であり、環状アルキルを含まない。直鎖状アルキルは、一般的に分岐状アルキルよりも好ましい。これらのことは、アルコキシ、アルケニルなどの末端基についても同様である。1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、上限温度を上げるためにシスよりもトランスが好ましい。2−フルオロ−1,4−フェニレンは、下記の2つの二価基を意味する。化学式において、フッ素は左向き(L)であってもよいし、右向き(R)であってもよい。このルールは、テトラヒドロピラン−2,5−ジイルのような、環から水素を2つ除くことによって生成した非対称な二価基にも適用される。
【0022】
本発明は、下記の項などである。
【0023】
項1. 式(1)で表される化合物。

式(1)において、
は、炭素数1から15のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CHCH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
環A、環A、および環Aは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、2−ハロゲノ−1,4−フェニレン、2,6−ジハロゲノ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり;
1およびZ2は独立して、単結合または−C≡C−であるが、少なくとも1つは−C≡C−であり;
は、ハロゲン、−OCF、または−CFであり;
およびLは独立して、水素またはハロゲンであるが、少なくとも1つはハロゲンであり;
mおよびnは独立して、0、1、または2であり、mおよびnの和は1または2である。
【0024】
項2. 項1に記載の式(1)において、
は、炭素数1から15のアルキル、炭素数2から15のアルケニル、炭素数2から15のアルコキシ、少なくとも1つの水素がハロゲンにより置き換えられた炭素数1から15のアルキル、少なくとも1つの水素がハロゲンにより置き換えられた炭素数2から15のアルケニル、または少なくとも1つの水素がハロゲンにより置き換えられた炭素数2から15のアルコキシであり;
環A、環A、および環Aは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、2−ハロゲノ−1,4−フェニレン、2,6−ジハロゲノ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり;
およびZは独立して、単結合または−C≡C−であり、m個のZ1およびn個のZ2のうちの少なくとも1つは−C≡C−であり;
は、ハロゲン、−OCF、または−CFであり;
およびLは独立して、水素またはハロゲンであるが、少なくとも1つはハロゲンであり;
mおよびnは独立して、0、1、または2であり、mおよびnの和は1または2である。
【0025】
項3. 式(1−1)〜(1−3)のいずれか1つで表される、項1に記載の化合物

式(1−1)〜(1−3)において、
は、炭素数1〜15のアルキル、炭素数2〜15のアルケニル、炭素数1〜14のアルコキシ、または炭素数2〜14のアルケニルオキシであり;
環A、環A、および環Aは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、2−ハロゲノ−1,4−フェニレン、2,6−ジハロゲノ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり;
およびZは独立して、単結合または−C≡C−であり、m個のZおよびn個のZのうちの少なくとも1つは−C≡C−であり;
は、ハロゲン、−OCF、または−CFであり;
およびLは独立して、水素またはフッ素であり、少なくとも1つはフッ素である。
【0026】
項4. 式(1−1)〜(1−3)において、環A、環A、および環Aは独立して、1,4−フェニレン、2−ハロゲノ−1,4−フェニレン、2,6−ジハロゲノ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり;Lは、フッ素、−OCF、または−CFである、項3に記載の化合物。
【0027】
項5. 式(1−4)〜(1−28)のいずれか1つで表される、項1に記載の化合物



式(1−4)〜(1−28)において、Rは、炭素数1〜15のアルキル、炭素数2〜15のアルケニル、炭素数1〜14のアルコキシ、または炭素数2〜14のアルケニルオキシであり;Y、Y、Y、Y、Y、およびYは独立して、水素、フッ素、または塩素であり;Lは、フッ素、塩素、−OCF、または−CFであり;LおよびLは独立して、水素またはフッ素であるが、少なくとも1つはフッ素である。
【0028】
項6. 式(1−4)〜(1−28)において、Lは、フッ素または−CFである、項5に記載の化合物。
【0029】
項7. 項1から6のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つを含有する液晶組成物。
【0030】
項8. 式(2)〜(4)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項7に記載の液晶組成物。

式(2)〜(4)において、
11は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH2−は−O−で置き換えられてもよく;
11は、フッ素、塩素、−OCF3、−OCHF2、−CF3、−CHF2、−CH2F、−OCF2CHF2、または−OCF2CHFCF3であり;
環B、環Bおよび環Bは独立して、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
11、Z12およびZ13は独立して、単結合、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、または−(CH−であり、Z11、Z12およびZ13のいずれかが−C≡C−である場合、他方は単結合、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCF−、−CHO−、または−(CH−であり、Z11、Z12およびZ13のいずれかが−CFO−である場合、他方は単結合、−CHCH−、−CH=CH−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、または−(CH−であり;
11およびL12は独立して、水素またはフッ素である。
【0031】
項9. 式(5)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項7または8に記載の液晶組成物。

式(5)において、
12は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH2−は−O−で置き換えられてもよく;
12は−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nであり;
環Cは、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
14は、単結合、−CHCH−、−C≡C−、−COO−、−CFO−、−OCF−、または−CHO−であり;
13およびL14は独立して水素またはフッ素であり;
iは、1、2、3、または4である。
【0032】
項10. 式(6)〜(12)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項7から9のいずれか1項に記載の液晶組成物。


式(6)〜(12)において、
13およびR14は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
15は、水素、フッ素、炭素数1から10のアルキル、または炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
11は水素またはメチルであり;
13およびX14は独立して、−CF−、−O−、または−CHF−であり;
環D、環D、環D、および環Dは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、またはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり;
環Dおよび環Dは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン,テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、またはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり;
15、Z16、Z17、およびZ18は独立して、単結合、−CHCH−、−COO−、−CHO−、−OCF−、または−OCFCHCH−であり;
15およびL16は独立して、フッ素または塩素であり;
j、k、m、n、p、q、r、およびsは独立して、0または1であり、k、m、n、およびpの和は、1または2であり、q、rおよびsの和は、0、1、2、または3であり、tは、1、2、または3である。
【0033】
項11. 式(13)〜(15)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項7〜10のいずれか1項に記載の液晶組成物。

式(13)〜(15)において、
16およびR17は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルまたはアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
環E、環E、環E、および環Eは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
19、Z20およびZ21は独立して、単結合、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、または−COO−である。
【0034】
項12. 重合可能な化合物、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、および消泡剤の少なくとも1つをさらに含有する、項7から11のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0035】
項13. 項7から12のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
【0036】
項14. 項7から12のいずれか1項に記載の液晶組成物をカプセルに内包させることを特徴とする、項13に記載の液晶表示素子。
【0037】
項15. 項7から12のいずれか1項に記載の液晶組成物を2D−3D間スイッチングに利用されるレンズに使用することを特徴とする、項13に記載の液晶表示素子。
【0038】
本発明の化合物、液晶組成物および液晶表示素子について、順に説明する。
【0039】
1.本発明の化合物(1)
1−1.好ましい例
本発明の化合物(1)は、−CFO−および−C≡C−を有することを特徴とする。化合物(1)は、類似の化合物と比較して、大きな誘電率異方性(Δε)と大きな光学的異方性(Δn)を有する。化合物(1)の好ましい例について説明をする。化合物(1)における末端基、環構造、結合基、および置換基の好ましい例は、化合物(1)の下位式にも適用される。

【0040】
式(1)において、Rは、炭素数1から15のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CHCH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0041】
の例は、炭素数1から15のアルキル、炭素数2から15のアルケニル、炭素数1から15のアルコキシ、少なくとも1つの水素がハロゲンにより置き換えられた炭素数1から15のアルキル、少なくとも1つの水素がハロゲンにより置き換えられた炭素数2から15のアルケニル、または少なくとも1つの水素がハロゲンにより置き換えられた炭素数1から15のアルコキシである。
【0042】
の例は、炭素数1から15のアルキル、炭素数2から15のアルケニル、炭素数2から15のアルコキシ、少なくとも1つの水素がハロゲンにより置き換えられた炭素数1から15のアルキル、少なくとも1つの水素がハロゲンにより置き換えられた炭素数2から15のアルケニル、または少なくとも1つの水素がハロゲンにより置き換えられた炭素数2から15のアルコキシでもある。
【0043】
このような左末端基Rの例は、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルケニルオキシアルキル、およびアルコキシアルケニルである。これらの基において、少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。好ましいハロゲンは、フッ素または塩素である。さらに好ましいハロゲンはフッ素である。これらの基は、直鎖または分岐鎖であり、シクロヘキシルのような環状基を含まない。これらの基において分岐鎖よりも直鎖の方が好ましい。
【0044】
アルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。−CH=CHCH、−CH=CHC、−CH=CHC、−CH=CHC、−CCH=CHCH、および−CCH=CHCのような奇数位に二重結合をもつアルケニルにおいてはトランス配置が好ましい。−CHCH=CHCH、−CHCH=CHC、および−CHCH=CHCのような偶数位に二重結合をもつアルケニルにおいてはシス配置が好ましい。好ましい立体配置を有するアルケニル化合物は、高い透明点または液晶相の広い温度範囲を有する。Mol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, 109およびMol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, 327、に詳細な説明がある。
【0045】
アルキルの例は、−CH、−C、−C、−C、−C11、−C13、または−C15である。
【0046】
アルコキシの例は、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、または−OC15である。
【0047】
アルコキシアルキルの例は、−CHOCH、−CHOC、−CHOC、−(CH−OCH、−(CH−OC、−(CH−OC、−(CH−OCH、−(CH−OCH、または−(CH−OCHである。
【0048】
アルケニルの例は、−CH=CH、−CH=CHCH、−CHCH=CH、−CH=CHC、−CHCH=CHCH、−(CH−CH=CH、−CH=CHC、−CHCH=CHC、−(CH−CH=CHCH、または−(CH−CH=CHである。
【0049】
アルケニルオキシの例は、−OCHCH=CH、−OCHCH=CHCH、または−OCHCH=CHCである。
【0050】
少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたアルキルの例は、−CHF、−CHF、−CF、−(CH−F、−CFCHF、−CFCHF、−CHCF、−CFCF、−(CH−F、−(CF−F、−CFCHFCF、−CHFCFCF、−(CH−F、−(CF−F、−(CH−F、−(CF−F、−CHCl、−CHCl、−CCl、−(CH−Cl、−CClCHCl、−CClCHCl、−CHCCl、−CClCCl、−(CH−Cl、−(CCl−Cl、−CClCHClCCl、−CHClCClCCl、−(CH−Cl、−(CCl−Cl、−(CH−Cl、または−(CCl−Clである。
【0051】
少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたアルコキシの例は、−OCHF、−OCHF、−OCF、−O−(CH−F、−OCFCHF、−OCFCHF、−OCHCF、−O−(CH−F、−O−(CF−F、−OCFCHFCF、−OCHFCFCF、−O(CH−F、−O−(CF−F、−O−(CH−F、−O−(CF−F、−OCHCl、−OCHCl、−OCCl、−O−(CH−Cl、−OCClCHCl、−OCClCHCl、−OCHCCl、−O−(CH−Cl、−O−(CCl−Cl、−OCClCHClCCl、−OCHClCClCCl、−O(CH−Cl、−O−(CCl−Cl、−O−(CH−Cl、または−O−(CCl−Clである。
【0052】
少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたアルケニルの例は、−CH=CHF、−CH=CF、−CF=CHF、−CH=CHCHF、−CH=CHCF、−(CH−CH=CF、−CHCH=CHCF、−CH=CHCFCF、−CH=CHCl、−CH=CCl、−CCl=CHCl、−CH=CHCHCl、−CH=CHCCl、−(CH−CH=CCl、−CHCH=CHCCl、または−CH=CHCClCClである。
【0053】
の好ましい例は、炭素数1から15のアルキル、炭素数2から15のアルケニル、炭素数1から14のアルコキシ、または炭素数1から14のアケニルオキシである。Rの、より好ましい例は、炭素数1から7のアルキル、炭素数1から7のアルコキシ、炭素数2から8のアルケニル、または炭素数2から8のアルケニルオキシである。Rのさらに好ましい例は、−CH、−C、−C、−C、−C11、−C13、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−CH=CH、−CH=CHCH、−(CH−CH=CH、−CHCH=CHC、−(CH−CH=CHCH3、−OCHCH=CH、−OCHCH=CHCH、または−OCHCH=CHCである。Rの最も好ましい例は、−C、−C、−C11、−C13、−OC、−OC、−OC、−(CH−CH=CH、−(CH−CH=CHCH、−OCHCH=CHである。
【0054】
式(1)において、環A、環A、および環Aは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、2−ハロゲノ−1,4−フェニレン、2,6−ジハロゲノ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルである。
【0055】
環A、環A、および環Aの好ましい例は、1,4−フェニレン、2−ハロゲノ−1,4−フェニレン、2,6−ジハロゲノ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルである。少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンの好ましい例は、式(A−1)〜(A−5)である。
【0056】
【0057】
2−フルオロ−1,4−フェニレンは、左右対称ではない。化学式において、フッ素が左末端基の側に位置する場合(左向き;A−6)と、右末端基の側に位置する場合(右向き;A−1)とが存在する。好ましい2−フルオロ−1,4−フェニレンは、誘電率異方性を大きくするために右向き(A−1)である。このことは、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンなどにも当てはまる。すなわち、フッ素が右末端基の側に位置する場合である、式(A−1)〜(A−5)が好ましい。
【0058】
少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンのさらに好ましい例は、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−6−フルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジクロロ−1,4−フェニレン、または2−クロロ−1,4−フェニレンである。少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンの最も好ましい例は、2−フルオロ−1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。
【0059】
環A、環A、または環Aのさらに好ましい例は、環Aは、1,4−フェニレン、2−ハロゲノ−1,4−フェニレン、2,6−ジハロゲノ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり、環Aまたは環Aは、1,4−フェニレン、2−ハロゲノ−1,4−フェニレン、または2,6−ジハロゲノ−1,4−フェニレンである。
【0060】
式(1)において、ZおよびZは独立して、単結合または−C≡C−であるが、少なくとも1つは−C≡C−である。すなわち化合物(1)は、−CFO−および−C≡C−を有する。化合物(1)は2つの−C≡C−を有してもよい。化合物(1)の好ましい例を項5に示した。これらの化合物において、さらに好ましい例は、化合物(1−4)、化合物(1−5)、化合物(1−6)、およいび化合物(1−16)から化合物(1−24)である。特に好ましい例は、化合物(1−7)から化合物(1−15)である。
【0061】
式(1)において、Lは、ハロゲン、−OCF、または−CFであり;L、Lは独立して、水素またはハロゲンであるが、少なくとも1つはハロゲンである。Lの好ましい例は、フッ素、塩素、−OCF、または−CFであり、LおよびLの好ましい例は、フッ素または塩素である。Lのさらに好ましい例は、フッ素、−OCFまたは−CFであり、LおよびLのさらに好ましい例は、フッ素である。LおよびLの好ましい組み合わせは、LおよびLの一方が水素であり、他方がフッ素であるか、またはLおよびLの両方がフッ素である。LおよびLのさらに好ましい組み合わせは、LおよびLの両方がフッ素である。
【0062】
式(1)において、mおよびnは独立して、0、1、または2であり、mおよびnの和は、1または2である。mおよびnの和が1のとき、この化合物は3環を有する。mおよびnの和が2のとき、この化合物は4環を有する。低粘度の観点から、好ましい組み合わせは、mは1でnは0である。高い上限温度の観点から、好ましい組み合わせは、mは1でnは1、またはmは2でnは0である。
【0063】
1−2.化合物(1)の物性
化合物(1)において、R、環A、環A、環A、Z、Z、L、L、およびLの種類を適切に組み合わせることによって、透明点、光学的異方性、誘電率異方性などの物性を任意に調整することが可能である。化合物の物性に大きな差異がないので、化合物(1)は、H(重水素)、13Cなどの同位体を天然存在比の量より多く含んでもよい。Rなどの種類が化合物(1)の物性に及ぼす主要な効果を以下に説明する。
【0064】
左末端基Rが直鎖であるときは、液晶相の温度範囲が広く、そして粘度が小さい。Rが分岐鎖であるときは、他の液晶性化合物との相溶性がよい。Rが光学活性である化合物は、キラルドーパントとして有用である。この化合物を組成物に添加することによって、液晶表示素子に発生するリバース・ツイスト・ドメイン(reverse twisted domain)を防止することができる。Rが光学活性でない化合物は、組成物の成分として有用である。Rがアルケニルであるとき、好ましい立体配置は二重結合の位置に依存する。好ましい立体配置を有するアルケニル化合物は、小さい粘度、高い上限温度または液晶相の広い温度範囲を有する。
【0065】
環A、環A、および環Aのすべてが1,4−シクロヘキシレンであるときは、透明点が高く、粘度が小さい。環A、環A、および環Aの少なくとも1つが、1,4−フェニレンであるとき、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであるときは、光学的異方性が比較的大きく、そして配向秩序パラメーター(orientational order parameter)が比較的大きい。環A、環A、および環Aのすべてが、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、またはこれらの組み合わせであるときは、光学的異方性が特に大きい。環A、環A、および環Aの少なくとも1つが、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであるときは、誘電率異方性が大きい。
【0066】
結合基Zが、単結合であるときは、化学的安定性が高く、粘度が小さい。Zが−C≡C−であるときは、光学的異方性および誘電的異方性が大きく、上限温度が高い。
【0067】
およびLの一方がフッ素であるときは、誘電率異方性が大きい。LおよびLの両方がフッ素であるときは、誘電率異方性が特に大きい。
【0068】
化合物(1)の好ましい例は、化合物(1−1)、化合物(1−2)、および化合物(1−3)である。化合物(1−1)は、低い下限温度の観点から好ましい。化合物(1−2)または化合物(1−3)は高い上限温度の観点から好ましい。化合物(1−2)は大きな光学的異方性の観点から好ましい。化合物(1−3)は低温での優れた相溶性の観点から好ましい。化合物(1−1)〜化合物(1−3)の好ましい例は、光学的異方性や誘電率異方性の観点から化合物(1−4)〜化合物(1−28)である。
【0069】
以上のように、環構造、末端基、結合基などの種類を適切に選択することによっての物性を有する化合物を得ることができる。したがって、化合物(1)は、PC、TN、STN、ECB、OCB、IPS、VAのようなモードの液晶表示素子に用いられる液晶組成物の成分として有用である。
【0070】
1−3.化合物(1)の合成
化合物(1)の合成法について説明する。化合物(1)は有機合成化学の合成法を適切に組み合わせることにより合成できる。出発物に目的の末端基、環および結合基を導入する方法は、「オーガニック・シンセシス」(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc.)、「オーガニック・リアクションズ」(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc.)、「コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス」(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、「新実験化学講座」(丸善)などの成書に記載されている。
【0071】
1−3a.結合基の生成
化合物(1)における結合基を生成する方法は、下記のスキームのとおりである。このスキームにおいて、MSG(またはMSG)は、少なくとも1つの環を有する一価の有機基である。複数のMSG(またはMSG)が表す一価の有機基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。化合物(1A)〜(1G)は、化合物(1)に相当する。
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
(I)単結合の生成
アリールホウ酸(21)と化合物(22)を、炭酸塩、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒の存在下で反応させ、化合物(1A)を合成する。この化合物(1A)は、化合物(23)にn−ブチルリチウムを、次いで塩化亜鉛を反応させ、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒の存在下で化合物(22)を反応させても合成される。
【0078】
(II)−COO−の生成
化合物(23)にn−ブチルリチウムを、続いて二酸化炭素を反応させてカルボン酸(24)を得る。化合物(24)と、化合物(21)から公知の方法で合成されるフェノール(25)とをDCC(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド)とDMAP(4−ジメチルアミノピリジン)の存在下で脱水させて−COO−を有する化合物(1B)を合成する。
【0079】
(III)−CFO−の生成
化合物(1B)をローソン試薬で硫黄化し、化合物(26)を得る。化合物(26)をフッ化水素ピリジン錯体とNBS(N−ブロモスクシンイミド)でフッ素化して化合物(1C)を合成する。M. Kuroboshi et al., Chem. Lett., 1992,827.を参照。化合物(1C)は化合物(26)をDAST((ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド)でフッ素化しても合成される。W. H. Bunnelle et al., J. Org. Chem. 1990, 55, 768.を参照。
【0080】
(IV)−CH=CH−の生成
化合物(22)をn−ブチルリチウム、次いでDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)と反応させてアルデヒド(27)を得る。ホスホニウム塩(28)とカリウムt−ブトキシドを反応させて発生させたリンイリドを、アルデヒド(27)と反応させて化合物(1D)を合成する。反応条件によってはシス体が生成するので、必要に応じて公知の方法によりシス体をトランス体に異性化する。
【0081】
(V)−CHCH−の生成
化合物(1D)をパラジウム炭素触媒の存在下で水素化し、化合物(1E)を合成する。
【0082】
(VI)−C≡C−の生成
ジクロロパラジウムとヨウ化銅の触媒存在下で、化合物(23)に2−メチル−3−ブチン−2−オールを反応させたのち、塩基性条件下で脱保護して化合物(29)を得る。ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムとハロゲン化銅との触媒存在下、化合物(29)を化合物(22)と反応させて、化合物(1F)を合成する。
【0083】
(VII)−CHO−の生成
化合物(27)を水素化ホウ素ナトリウムで還元して化合物(30)を得る。これを臭化水素酸で臭素化して化合物(31)を得る。炭酸カリウムの存在下、化合物(32)と化合物(31)を反応させて、化合物(1G)を合成する。
【0084】
1−3b.環A、環A、および環Aの生成
1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、などの環に関しては出発物が市販されているか、または合成法がよく知られている。
【0085】
1−3c.合成例
化合物(1−A)を合成する方法の例は、次のとおりである。既存の方法により合成できる化合物(32)にs−ブチルリチウム、ついでヨウ素と反応させることにより化合物(33)を得る。化合物(33)にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドおよびヨウ化銅(I)の存在下でエチニルトリメチルシランを反応させて化合物(34)を得る。化合物(34)を炭酸カリウムの存在下で脱シリル化させて化合物(35)を得る。既存の方法により合成できる化合物(36)にPdCl(Amphos)(Pd−132)および炭酸セシウムの存在下で化合物(35)と反応させて化合物(1−A)を合成する。
【0086】

【0087】
化合物(1−B)を合成する方法の例は、次のとおりである。既存の方法により合成できる化合物(37)にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドおよびヨウ化銅(I)の存在下で化合物(38)を反応させて化合物(39)を得る。化合物(39)にs−ブチルリチウム、ついでイソプロポキシボロン酸ピナコールを反応させて化合物(40)を得る。化合物(40)をテトラキス(トリフェニルスホフィン)パラジウム(0)およびリン酸カリウムの存在下で、既存の方法により合成できる化合物(36)と反応させて化合物(1−B)を合成する。
【0088】

【0089】
これらの化合物において、R、環A、環A、環A、L、L、およびLの定義は、前記と同じである。
【0090】
2.液晶組成物
2−1.化合物(2)〜(15)
本発明の液晶組成物について説明をする。この組成物は、少なくとも1つの化合物(1)を成分Aとして含む。組成物は、2つまたは3つ以上の化合物(1)を含んでいてもよい。組成物の成分が化合物(1)のみであってもよい。組成物は、化合物(1)の少なくとも1つを1重量%から99重量%の範囲で含有することが、優良な物性を発現させるために好ましい。誘電率異方性が正である組成物において、化合物(1)の好ましい含有量は5重量%から60重量%の範囲である。誘電率異方性が負である組成物において、化合物(1)の好ましい含有量は30重量%以下である。組成物は、化合物(1)と、本明細書中に記載しなかった種々の液晶性化合物とを含んでもよい。
【0091】
好ましい組成物は、以下に示す成分B、C、D、およびEから選択された化合物を含有する。組成物を調製するときには、例えば、化合物(1)の誘電率異方性を考慮して成分を選択することもできる。TFT、IPS、FFSなどのモード用に誘電率異方性が正の組成物を調製するとき、主要な成分は、成分A、BおよびEである。STN、TNなどのモード用に誘電率異方性が正の組成物を調製するとき、主要な成分は、成分A、CおよびEである。VA、PSAなどのモード用に誘電率異方性が負の組成物を調製するとき、主要な成分は、成分DおよびEであり、成分Aは素子の電圧−透過率曲線を調整する目的で添加される。成分を適切に選択した組成物は、高い上限温度、低い下限温度、小さな粘度、適切な光学的異方性、大きな誘電率異方性、および適切な弾性定数を有する。
【0092】
成分Bは、化合物(2)〜(4)である。成分Cは化合物(5)である。成分Dは、化合物(6)〜(12)である。成分Eは、化合物(13)〜(15)である。これらの成分について、順に説明する。
【0093】
成分Bは、右末端にハロゲンまたはフッ素含有基を有する化合物である。成分Bの好ましい例として、化合物(2−1)〜(2−16)、化合物(3−1)〜(3−113)、または化合物(4−1)〜(4−57)を挙げることができる。これらの化合物において、R11およびX11の定義は、前記の項8と同一である。
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
成分Bは、誘電率異方性が正であり、熱、光などに対する安定性が非常に優れているので、TFT、IPS、FFSなどのモード用の組成物を調製する場合に用いられる。成分Bの含有量は、組成物の重量に基づいて1重量%から99重量%の範囲が適するが、好ましくは10重量%から97重量%の範囲、より好ましくは40重量%から95重量%の範囲である。この組成物は、化合物(13)〜(15)(成分E)をさらに添加することにより粘度を調整することができる。
【0101】
成分Cは、右末端基が−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nである化合物(5)である。成分Cの好ましい例として、化合物(5−1)〜(5−64)を挙げることができる。これらの化合物(成分C)において、R12およびX12の定義は、前記の項9と同一である。
【0102】
【0103】
【0104】
成分Cは、誘電率異方性が正であり、その値が大きいのでSTN、TN、PSAなどのモード用の組成物を調製する場合に主として用いられる。この成分Cを添加することにより、組成物の誘電率異方性を大きくすることができる。成分Cは、液晶相の温度範囲を広げる、粘度を調整する、または光学的異方性を調整する、という効果がある。成分Cは、素子の電圧−透過率曲線の調整にも有用である。
【0105】
STN、TNなどのモード用の組成物を調製する場合には、成分Cの含有量は、組成物の重量に基づいて1重量%から99重量%の範囲が適しているが、好ましくは10重量%から97重量%の範囲、より好ましくは40重量%から95重量%の範囲である。この組成物は、成分Eを添加することにより液晶相の温度範囲、粘度、光学的異方性、誘電率異方性などを調整できる。
【0106】
成分Dは、化合物(6)〜(12)である。これらの化合物は、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンのように、ラテラル位が2つのハロゲンで置換されたベンゼン環を有する。成分Dの好ましい例として、化合物(6−1)〜(6−8)、化合物(7−1)〜(7−17)、化合物(8−1)、化合物(9−1)〜(9−3)、化合物(10−1)〜(10−11)、化合物(11−1)〜(11−3)、または化合物(12−1)〜(12−3)を挙げることができる。これらの化合物(成分D)において、R13、R14およびR15の定義は、前記の項10と同一である。
【0107】
【0108】
【0109】
成分Dは、誘電率異方性が負の化合物である。成分Dは、主としてVA、PSAなどのモード用の組成物を調製する場合に用いられる。成分Dのうち、化合物(6)は2環化合物であるので、主として、粘度の調整、光学的異方性の調整、または誘電率異方性の調整の効果がある。化合物(7)および(8)は3環化合物であるので、上限温度を高くする、光学的異方性を大きくする、または誘電率異方性を大きくするという効果がある。化合物(9)〜(12)は、誘電率異方性を大きくするという効果がある。
【0110】
VA、PSAなどのモード用の組成物を調製する場合には、成分Dの含有量は、組成物の重量に基づいて、好ましくは40重量%以上であり、より好ましくは50重量%から95重量%の範囲である。成分Dを誘電率異方性が正である組成物に添加する場合は、成分Dの含有量が組成物の重量に基づいて30重量%以下が好ましい。成分Dを添加することにより、素子の電圧−透過率曲線を調整することが可能となる。
【0111】
成分Eは、2つの末端基がアルキルなどである化合物である。成分Eの好ましい例として、化合物(13−1)〜(13−11)、化合物(14−1)〜(14−19)、または化合物(15−1)〜(15−7)を挙げることができる。これらの化合物(成分E)において、R16およびR17の定義は、前記の項11と同一である。
【0112】
【0113】
成分Eは、誘電率異方性の絶対値が小さいので、中性に近い化合物である。化合物(13)は、主として粘度の調整または光学的異方性の調整の効果がある。化合物(14)および(15)は、上限温度を高くすることによってネマチック相の温度範囲を広げる効果、または光学的異方性の調整の効果がある。
【0114】
成分Eの含有量を増加させると組成物の誘電率異方性が小さくなるが、粘度が小さくなる。そこで、素子のしきい値電圧の要求値を満たす限り、含有量は多いほうが好ましい。したがって、組成物を調製する場合には、成分Eの含有量は、組成物の重量に基づいて、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上である。
【0115】
2−1.添加物
組成物の調製は、必要な成分を高い温度で溶解させるなどの方法により行われる。用途に応じて、この組成物に添加物を添加してよい。添加物の例は、光学活性化合物、重合可能な化合物、重合開始剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、消泡剤、色素などである。このような添加物は当業者によく知られており、文献に記載されている。
【0116】
組成物は、少なくとも1つの光学活性化合物をさらに含有してもよい。光学活性化合物は、液晶分子にらせん構造を誘起して必要なねじれ角を与えることによって逆ねじれを防ぐという効果を有する。光学活性化合物の好ましい例として、下記の化合物(Op−1)〜(Op−18)を挙げることができる。
【0117】

化合物(Op−18)において、環Fは1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、R21は炭素数1から10のアルキルである。
【0118】
組成物は、このような光学活性化合物を添加して、らせんピッチを調整する。らせんピッチは、TFTモード用およびTNモード用の組成物であれば40μmから200μmの範囲に調整するのが好ましい。STNモード用の組成物であれば6μmから20μmの範囲に調整するのが好ましい。BTNモード用の組成物の場合は、1.5μmから4μmの範囲に調整するのが好ましい。らせんピッチの温度依存性を調整する目的で2つ以上の光学活性化合物を添加してもよい。
【0119】
組成物は、重合可能な化合物を添加することによってPSAモード用に使用することもできる。重合可能な化合物の例は、アクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、ビニルオキシ化合物、プロペニルエーテル、エポキシ化合物(オキシラン、オキセタン)、ビニルケトンなどである。重合可能な化合物は、紫外線照射などにより重合する。光重合開始剤などの開始剤を添加してもよい。重合のための適切な条件、開始剤の適切なタイプ、および適切な量は、当業者には既知であり、文献に記載されている。重合可能な化合物の好ましい例として、化合物(M−1)〜(M−12)を挙げることができる。
【0120】
【0121】
化合物(M−1)〜(M−12)において、R25、R26およびR27は独立して、水素またはメチルであり;u、xおよびyは独立して、0または1であり;vおよびwは独立して、1から10の整数であり;L21、L22、L23、L24、L25、およびL26は独立して、水素またはフッ素である。
【0122】
酸化防止剤は、大きな電圧保持率を維持するために有効である。酸化防止剤の好ましい例として、下記の化合物(AO−1)または(AO−2);IRGANOX(登録商標) 415、IRGANOX 565、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 3114、またはIRGANOX 1098を挙げることができる。紫外線吸収剤は、上限温度の低下を防ぐために有効である。紫外線吸収剤の好ましい例は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、トリアゾール誘導体などである。具体例として下記の化合物(AO−3)または(AO−4);TINUVIN(登録商標) 329、TINUVIN P、TINUVIN 326、TINUVIN 234、TINUVIN 213、TINUVIN 400、TINUVIN 328、TINUVIN 99−2;または1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を挙げることができる。
【0123】
立体障害のあるアミンのような光安定剤は、大きな電圧保持率を維持するために好ましい。光安定剤の好ましい例として、下記の化合物(AO−5)または(AO−6)、TINUVIN 144、TINUVIN 765、またはTINUVIN 770DFを挙げることができる。熱安定剤も大きな電圧保持率を維持するために有効であり、好ましい例としてIRGAFOS 168(商品名:BASF社)を挙げることができる。GH(guest host)モードの素子に適合させるために、アゾ系色素、アントラキノン系色素などのような二色性色素(dichroic dye)が組成物に添加される。消泡剤は、泡立ちを防ぐために有効である。消泡剤の好ましい例は、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどである。
【0124】
【0125】
化合物(AO−1)において、R30は炭素数1から20のアルキル、炭素数1から20のアルコキシ、−COOR31または−CHCHCOOR31であり、R31は炭素数1から20のアルキルである。化合物(AO−2)において、R32は炭素数1から20のアルキルである。化合物(AO−5)において、R32は炭素数1から20のアルキルであり;R33は水素、メチルまたはO(酸素ラジカル)であり;環Gは1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり;zは、1、2、または3である。
【0126】
組成物は、メロシアニン系、スチリル系、アゾ系、アゾメチン系、アゾキシ系、キノフタロン系、アントラキノン系、テトラジン系などの二色性色素を添加すれば、GH(guest host)モード用に使用することもできる。
【0127】
3.液晶表示素子
組成物は、PCモード、TNモード、STNモード、OCBモード、PSAモードなどの動作モードを有し、アクティブマトリックス(AM方式)で駆動する液晶表示素子に使用できる。組成物は、PCモード、TNモード、STNモード、OCBモード、VAモード、IPSモードなどの動作モードを有し、パッシブマトリクス(PM)方式で駆動する液晶表示素子にも使用することができる。これらのAM方式およびPM方式の素子は、反射型、透過型、半透過型のいずれのタイプにも適用ができる。
【0128】
組成物は、ネマチック液晶をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)素子、液晶中に三次元網目状高分子を形成して作製したポリマー分散型液晶表示素子(PDLCD)、ポリマーネットワーク液晶表示素子(PNLCD)、ナノカプセル分散型液晶表示素子にも使用できる。この組成物は、立体画像表示装置にも用いることができる。この装置では、通常の液晶表示素子に液晶レンズパネルが組み合わされる。このパネルに電圧を印加して液晶の屈折率を変化させることによって、レンズ状態または非レンズ状態にすることができる。このようにして、2D表示と3D表示の間のスイッチングが可能になる。化合物(1)は、このようなスイッチ液晶の成分としても有用である。
【実施例】
【0129】
実施例(合成例、使用例を含む)により本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれら実施例によっては制限されない。本発明は、使用例1の組成物と使用例2の組成物との混合物を含む。本発明は、使用例の組成物の少なくとも2つを混合することによって調製した組成物をも含む。
【0130】
1.化合物(1)の実施例
化合物(1)は、下記の手順により合成した。合成した化合物は、NMR分析などの方法により同定した。化合物や組成物の物性、および素子の特性は、下記の方法により測定した。
【0131】
NMR分析
測定には、ブルカーバイオスピン社製のDRX−500を用いた。H−NMRの測定では、試料をCDClなどの重水素化溶媒に溶解させ、室温で、500MHz、積算回数16回の条件で測定した。テトラメチルシランを内部標準として用いた。19F−NMRの測定では、CFClを内部標準として用い、積算回数24回で行った。核磁気共鳴スペクトルの説明において、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、quinはクインテット、sexはセクステット、mはマルチプレット、brはブロードであることを意味する。
【0132】
測定試料
相構造および転移温度を測定するときには、液晶性化合物そのものを試料として用いた。ネマチック相の上限温度、粘度、光学的異方性、誘電率異方性などの物性を測定するときには、化合物を母液晶に混合して調製した組成物を試料として用いた。
【0133】
化合物を母液晶と混合した試料を用いる場合には、次のように測定した。化合物15重量%と母液晶85重量%とを混合して試料を調製した。この試料の測定値から、次の式で表される外挿法にしたがって、外挿値を計算し、この値を記載した。〈外挿値〉=(100×〈試料の測定値〉−〈母液晶の重量%〉×〈母液晶の測定値〉)/〈化合物の重量%〉
【0134】
化合物と母液晶との割合がこの割合であっても、結晶(または、スメクチック相)が25℃で析出する場合には、化合物と母液晶との割合を10重量%:90重量%、5重量%:95重量%、1重量%:99重量%の順に変更をしていき、結晶(または、スメクチック相)が25℃で析出しなくなった割合で試料の物性を測定した。なお、特に断りのない限り、化合物と母液晶との割合は、15重量%:85重量%である。
【0135】
母液晶としては、下記の母液晶(i)を用いた。母液晶(i)の成分の割合を重量%で示す。
【0136】
測定方法
物性の測定は下記の方法で行った。これらの多くは、社団法人電子情報技術産業協会(Japan Electronics and Information Technology Industries Association;以下、JEITAと略す)で審議制定されるJEITA規格(JEITA・ED−2521B)に記載された方法、またはこれを修飾した方法であった。測定に用いたTN素子には、TFTを取り付けなかった。
【0137】
(1)相構造
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−52型ホットステージ)に試料を置き、3℃/分の速度で加熱しながら相状態とその変化を偏光顕微鏡で観察し、相の種類を特定した。
【0138】
(2)転移温度(℃)
測定には、パーキンエルマー社製の示差走査熱量計Diamond DSCシステム、またはエスアイアイ・ナノテクノロジー社製の高感度示差走査熱量計X−DSC7000を用いた。3℃/分速度で昇降温し、試料の相変化に伴う吸熱ピーク、または発熱ピークの開始点を外挿により求め、転移温度を決定した。化合物が固体からスメクチック相、ネマチック相などの液晶相に転移する温度を「液晶相の下限温度」と略すことがある。化合物が液晶相から等方性液体に転移する温度を「透明点」と略すことがある。
【0139】
結晶はCと表した。結晶の種類の区別がつく場合は、それぞれCまたはCと表した。スメクチック相はS、ネマチック相はNと表した。スメクチック相の中で、スメクチックA相、スメクチックB相、スメクチックC相、またはスメクチックF相の区別がつく場合は、それぞれS、S、S、またはSと表した。液体(アイソトロピック)はIと表した。転移温度は、例えば、「C 50.0 N 100.0 I」のように表記した。これは、結晶からネマチック相への転移温度が50.0℃であり、ネマチック相から液体への転移温度が100.0℃であることを示す。
【0140】
(3)低温相溶性
化合物の割合が、20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、3重量%、および1重量%となるように母液晶と化合物とを混合した試料を調製し、試料をガラス瓶に入れた。このガラス瓶を、−10℃または−20℃のフリーザー中に一定期間保管したあと、結晶またはスメクチック相が析出しているかどうか観察をした。
【0141】
(4)ネマチック相の上限温度(TNIまたはNI;℃)
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。試料が化合物と母液晶との混合物であるときは、TNIの記号で示した。試料が化合物と成分Bなどとの混合物であるときは、NIの記号で示した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
【0142】
(5)ネマチック相の下限温度(T;℃)
ネマチック相を有する試料を0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、Tを≦−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
【0143】
(6)粘度(バルク粘度;η;20℃で測定;mPa・s)
測定には東京計器株式会社製のE型回転粘度計を用いた。
【0144】
(7)粘度(回転粘度;γ1;25℃で測定;mPa・s)
測定は、M. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。ツイスト角が0°であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであるTN素子に試料を入れた。この素子に16Vから19.5Vの範囲で0.5V毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM. Imaiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算に必要な誘電率異方性の値は、この回転粘度を測定した素子を用い、下に記載した方法で求めた。
【0145】
(8)光学的異方性(屈折率異方性;25℃で測定;Δn)
測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率(n‖)は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率(n⊥)は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学的異方性(Δn)の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
【0146】
(9)誘電率異方性(Δε;25℃で測定)
2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0147】
(10)弾性定数(K;25℃で測定;pN)
測定には横河・ヒューレットパッカード株式会社製のHP4284A型LCRメータを用いた。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmである水平配向素子に試料を入れた。この素子に0ボルトから20ボルト電荷を印加し、静電容量および印加電圧を測定した。測定した静電容量(C)と印加電圧(V)の値を「液晶デバイスハンドブックク」(日刊工業新聞社)、75頁にある式(2.98)、式(2.101)を用いてフィッティングし、式(2.99)からK11およびK33の値を得た。次に171頁にある式(3.18)に、先ほど求めたK11およびK33の値を用いてK22を算出した。弾性定数Kは、このようにして求めたK11、K22、およびK33の平均値で表した。
【0148】
(11)しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V)
測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が0.45/Δn(μm)であり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(32Hz、矩形波)は0Vから10Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が90%になったときの電圧で表した。
【0149】
(12)電圧保持率(VHR−1;25℃で測定;%)
測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は5μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線で硬化する接着剤で密閉した。この素子に25℃でパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率で表した。
【0150】
(13)電圧保持率(VHR−2;80℃で測定;%)
電圧保持率(VHR−2)は、80℃で測定した以外はVHR−1と同様の方法で求めた。得られた結果をVHR−2の記号で示した。
【0151】
原料
ソルミックス(登録商標)A−11は、エタノール(85.5%)、メタノール(13.4%)と2−プロパノール(1.1%)の混合物であり、日本アルコール販売(株)から入手した。
【0152】
[合成例1]
化合物(1−6−77)の合成


【0153】
第1工程:
公知の方法で合成した化合物(T−1)(11.4g,30.96mmol)とビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(2.17g,3.10mmol)、ヨウ化銅(I)(0.59g,3.10mmol)のトリエチルアミン(175ml)溶液に、エチニルトリメチルシラン(3.34g,34.04mmol)を滴下し、室温で2時間撹拌した。反応混合物をろ紙で濾過し、パラジウム残渣をトルエンにて洗浄し、一緒にした濾液を濃縮した。残渣に水(250ml)を加え、トルエン(250ml)で抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=20/1、容積比)によって精製し、化合物(T−2)(9.59g,28.33mmol、91.5%)を得た。
【0154】
第2工程:
第1工程で得られた化合物(T−2)(9.59g,28.33mmol)をジクロロメタン(55ml)およびメタノール(55ml)に溶解した。炭酸カリウム(5.28g,38.18mol)を固体のまま少しずつ添加したのち、室温にて2時間撹拌した。反応混合物を水(150ml)へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−3)(6.75g、25.34mmol、79.7%)を得た。
【0155】
第3工程:
PdCl(Amphos)(Pd−132;0.0246g,0.03mmol)と炭酸セシウム(4.983g,15.29mmol)に第2工程で得られた化合物(T−3)(2.22g,8.33mmol)と公知の方法で合成した化合物(T−100)(2.70g,6.94mmol)のアセトニトリル(12ml)溶液を混合し、2.5時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水(50ml)へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=100/1、容積比)、続いて再結晶(酢酸エチル/2−プロパノール=1/10、容積比)にて精製し、化合物(1−6−77)(2.22g、3.87mmol、55.7%)を得た。
【0156】
H−NMR(CDCl;δppm):7.55(1H,t,J=7.6Hz),7.51(2H,d,J=8.1Hz),7.40(1H,dd,J=1.7Hz,8.1Hz),7.36(1H,dd,J=1.3Hz,10.6Hz),7.27(2H,t,J=8.1Hz),7.18(2H,d,J=9.4Hz),6.98(2H,dd,J=6.0Hz,7.4Hz),2.66(2H,t,J=7.6Hz),1.65(2H,quin,J=7.5Hz),1.36−1.34(4H,m),0.91(3H,t,J=6.9Hz).
【0157】
化合物(1−6−77)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度: C 60.3 S 81.8 N 161.5 I.
上限温度(TNI)=125.7℃;誘電率異方性(Δε)=39.5;光学的異方性(Δn)=0.270.
【0158】
[合成例2]
化合物(1−6−42)の合成
【0159】


第1工程:
化合物(T−4)(5.00g,19.21mmol,ジーベンケミカル)のTHF(50ml)溶液を、−70℃に冷却し、n−BuLiを滴下した。−70℃で2.25時間撹拌した後、ヨウ素(5.85g,23.05mmol)のTHF(50ml)溶液を滴下した。−70℃で2時間撹拌した後、反応混合物を室温に戻した。チオ硫酸ナトリウム水溶液(100ml)へ注ぎ、トルエンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−5)(7.90g、19.21mmol、定量的)を得た。
【0160】
第2工程:
第1工程で得られた化合物(T−5)(7.90g、19.21mmol)とビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(1.44g,2.05mmol)、ヨウ化銅(I)(0.39g,2.05mmol)のトリエチルアミン(120ml)溶液に、エチニルトリメチルシラン(3.34g,34.04mmol)を滴下し、室温で4時間撹拌した。反応混合物をろ紙で濾過し、パラジウム残渣をトルエンにて洗浄し、一緒にした濾液を濃縮した。残渣に水(150ml)を加え、トルエン(150ml)で抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=100/1、容積比)によって精製し、化合物(T−6)(7.25g,20.34mmol、99.4%)を得た。
【0161】
第3工程:
第1工程で得られた化合物(T−6)(7.25g,20.34mmol)をジクロロメタン(40ml)およびメタノール(40ml)に溶解した。炭酸カリウム(3.37g,24.40mol)を固体のまま少しずつ添加したのち、室温にて1.5時間撹拌した。反応混合物を水(100ml)へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=50/1、容積比)によって精製し、化合物(T−7)(4.84g、17.02mmol、83.7%)を得た。
【0162】
第4工程:
PdCl(Amphos)(Pd−132;0.0311g,0.04mmol)と炭酸セシウム(5.729g,17.58mmol)に第3工程で得られた化合物(T−7)(2.5g,8.79mmol)と公知の方法で合成した化合物(T−100)(2.7g,6.94mmol)のアセトニトリル(13ml)溶液を混合し、3時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水(50ml)へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=100/1、容積比)、続いて再結晶(酢酸エチル/2−プロパノール=1/10、容積比)にて精製し、化合物(1−6−42)(2.22g、3.87mmol、55.7%)を得た。
【0163】
H−NMR(CDCl;δppm):7.49(2H,d,J=8.2Hz),7.28(2H,t,J=8.1Hz),7.20(4H,dd,J=2.4Hz,10.8Hz),6.98(2H,dd,J=6.1Hz,7.4Hz),2.66(2H,t,J=7.8Hz),1.65(2H,quin,J=7.4Hz),1.35−1.34(4H,m),0.91(3H,t,J=6.9Hz).
【0164】
化合物(1−6−42)の物性は、次のとおりであった。なお、上限温度、光学的異方性および誘電率異方性の測定には、化合物と母液晶との割合が10重量%:90重量%である試料を用いた。
相転移温度:C 87.5 S 109.1 N 163.1 I.
上限温度(TNI)=113.7℃;誘電率異方性(Δε)=48.9;光学的異方性(Δn)=0.257.
【0165】
[合成例3]
化合物(1−6−11)の合成


【0166】
第1工程:
公知の方法で合成した化合物(T−8)(12.50g,42.79mmol)と(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン酸(T−9)(7.43g,47.07mmol)のトルエン(63ml)溶液に、炭酸カリウム(17.74g,128.4mmol)とテトラブチルアンモニウムブロミド(2.76g,8.56mmol)のソルミックス(63ml)懸濁液を加えた。そこにパラジウム炭素(0.277g,2.6mmol)と水(63ml)を加え混合し、1.5時間還流した。反応混合物をろ紙で濾過し、パラジウム残渣をトルエンにて洗浄し、一緒にした濾液を濃縮した。残渣に水(100ml)を加え、トルエン(100ml)で抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−10)(10.37g、37.26mmol、87.0%)を得た。
【0167】
第2工程:
第1工程で得られた化合物(T−10)(10.37g、37.26mmol)のTHF(100ml)溶液を、−70℃に冷却し、n−BuLiを滴下した。−70℃で2.5時間撹拌した後、ヨウ素(11.35g,44.71mmol)のTHF(100ml)溶液を滴下した。−70℃で1時間撹拌した後、反応混合物を室温に戻した。チオ硫酸ナトリウム水溶液(100ml)へ注ぎ、トルエンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−11)(13.44g、33.25mmol、89.2%)を得た。
【0168】
第3工程:
第2工程で得られた化合物(T−11)(8.00g、19.79mmol)とビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(1.39g,1.98mmol)、ヨウ化銅(I)(0.38g,1.98mmol)のトリエチルアミン(110ml)溶液に、エチニルトリメチルシラン(2.14g,21.77mmol)を滴下し、室温で2.5時間撹拌した。反応混合物をろ紙で濾過し、パラジウム残渣をトルエンにて洗浄し、一緒にした濾液を濃縮した。残渣に水を加え、トルエンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−12)(6.61g,17.67mmol、89.2%)を得た。
【0169】
第4工程:
第3工程で得られた化合物(T−12)(6.61g,17.67mmol)をジクロロメタン(40ml)およびメタノール(40ml)に溶解した。炭酸カリウム(2.92g,21.18mol)を固体のまま少しずつ添加したのち、室温にて1時間撹拌した。反応混合物を水(100ml)へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水(および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=100/1、容積比)によって精製し、化合物(T−13)(4.98g、16.47mmol、93.3%)を得た。
【0170】
第5工程:
PdCl(Amphos)(Pd−132;0.0293g,0.04mmol)と炭酸セシウム(5.39g,16.54mmol)に第4工程で得られた化合物(T−13)(2.50g,8.27mmol)と公知の方法で合成した化合物(T−100)(3.86g,9.92mmol)のアセトニトリル(26ml)溶液を混合し、4.5時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水(50ml)へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=100/1、容積比)、続いて再結晶(酢酸エチル/2−プロパノール=1/10、容積比)にて精製し、化合物(1−6−11)(2.99g、4.90mmol、59.2%)を得た。
【0171】
H−NMR(CDCl;δppm):7.34(1H,t,J=8.1Hz),7.22−7.19(4H,m),7.07−6.97(4H,m),2.65(2H,t,J=7.9Hz),1.65(2H,quin,J=7.5Hz),1.37−1.32(4H,m),0.91(3H,t,J=6.9Hz).
【0172】
化合物(1−6−11)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度: C 92.0 S 156.3 I.
上限温度(TNI)=99.7℃;誘電率異方性(Δε)=54.6;光学的異方性(Δn)=0.250.
【0173】
[合成例4]
化合物(1−5−32)の合成

【0174】
第1工程:
PdCl(Amphos)(Pd−132;0.0266g,0.04mmol)と炭酸セシウム(4.89g,17.58mmol)に、公知の方法で合成した化合物(T−14)(1.47g,7.50mmol)および公知の方法で合成した化合物(T−101)(4.0g,7.50mmol)のアセトニトリル(100ml)溶液を加え、4時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水(50ml)へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/トルエン=4/1、容積比)、続いて再結晶(ヘプタン/ソルミックス=1/4、容積比)にて精製し、化合物(1−5−32)(1.1g、1.71mmol、22.8%)を得た。
【0175】
H−NMR(CDCl;δppm):7.44−7.36(2H,m)、7.49(2H,d,J=6.05Hz),7.25(2H,d,J=9.65Hz),6.99(2H,d,J=10.0Hz),6.95(2H,d,J=9.7Hz),2.63(2H,t,J=7.6Hz),1.63(2H,quin,J=7.7Hz),1.37−1.29(4H,m),0.90(3H,t,J=6.7Hz).
【0176】
化合物(1−5−32)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度: C 79.2 S 99.2 N 150.6 I.
上限温度(TNI)=103.7℃;誘電率異方性(Δε)=57.4;光学的異方性(Δn)=0.250.
【0177】
[合成例5]
化合物(1−6−84)の合成

【0178】
第1工程:
PdCl(Amphos)(Pd−132;0.043g,0.06mmol)と炭酸セシウム(7.42g,22.78mmol)に、前項で合成した化合物(T−3)(3.03g,11.4mmol)および公知の方法で合成した化合物(T−102)(5.0g,11.39mmol)のアセトニトリル(150ml)溶液を加え、4時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水(50ml)へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/トルエン=4/1、容積比)、続いて再結晶(ヘプタン/ソルミックス=1/4、容積比)にて精製し、化合物(1−6−84)(1.52g、2.43mmol、21.4%)を得た。
【0179】
H−NMR(CDCl;δppm):7.55(1H,t,J=7.70Hz),7.51(2H,d,J=8.15Hz),7.38(1H,dd,J=1.6Hz,8.0Hz),7.36(1H,dd,J=1.0Hz,10.7Hz),7.28(2H,d,J=8.10Hz),7.18(2H,d,J=9.6Hz),6.97(2H,d,J=9.9Hz),2.65(2H,t,J=7.6Hz),1.65(2H,quin,J=7.5Hz),1.38−1.32(4H,m),0.91(3H,t,J=6.8Hz).
【0180】
化合物(1−6−84)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度: C 92.9 N 156.4 I.
上限温度(TNI)=119.7℃;誘電率異方性(Δε)=52.8;光学的異方性(Δn)=0.264.
【0181】
[合成例6]
化合物(1−5−50)の合成

【0182】
第1工程:
公知の方法で合成した化合物(T−15)(5.00g、18.8mmol)のTHF(40ml)溶液を、−70℃に冷却し、s−BuLi(1.01M;シクロヘキサン溶液、22.3ml)を滴下した。−70℃で2時間撹拌した後、化合物(T−16)(4.56ml,22.5mmol)のTHF(10ml)溶液を滴下し、室温に戻した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(50ml)へ注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣を再結晶(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−17)(4.64g、11.8mmol、63%)を得た。
【0183】
第2工程:
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.267g,0.23mmol)とリン酸カリウム(4.91g,23.1mmol)に化合物(T−17)(3.63g,9.25mmol)と公知の方法で合成した化合物(T−100)(3.00g,7.71mmol)の1,4−ジオキサン(30ml)溶液を混合し、10時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水(100ml)へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/トルエン=10/1、容積比)、続いて再結晶(2−プロパノール)によって精製し、化合物(1−5−50)(2.53g、4.40mmol、57%)を得た。
【0184】
H−NMR(CDCl;δppm):7.46(2H,d,J=8.1Hz)、7.42−7.39(2H,m)、7.35(1H,d,J=11.8Hz)、7.24(2H,d,J=10.6Hz)、7.19(2H,d,J=8.1Hz)、7.02−6.97(2H,m)、2.63(2H,t,J=7.8Hz)、1.63(2H,quin,J=7.6Hz)、1.37−1.29(4H,m)、0.90(3H,t,J=7.0Hz).
【0185】
化合物(1−5−50)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度: C 63.3 N 149.3 I.
上限温度(TNI)=119℃;誘電率異方性(Δε)=37.1;光学的異方性(Δn)=0.257.
【0186】
[合成例7]
化合物(1−7−31)の合成
【0187】
第1工程:
PdCl(Amphos)(Pd−132;46.2mg,0.0652mmol)と炭酸セシウム(8.04g,24.7mmol)に化合物(T−14)(2.82g,14.8mmol)と公知の方法で合成した化合物(T−103)(5.96g,12.3mmol)のアセトニトリル(120ml)溶液を混合し、4時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水(100ml)へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水(200ml)および飽和食塩水(50ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/トルエン=10/1、容積比)、続いて再結晶(2−プロパノール/酢酸エチル=5/1、容積比)によって精製し、化合物(1−7−31)(3.49g、5.89mmol、48%)を得た。
【0188】
H−NMR(CDCl;δppm):7.43−7.34(2H,m),7.18−7.12(6H,m),6.99−6.93(2H,m),2.63(2H,t,J=7.9Hz),1.62(2H,quin,J=7.5Hz),1.38−1.26(4H,m),0.90(3H,t,J=7.0Hz).
【0189】
化合物(1−7−31)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度: C 74.7 N 126.4 I.
上限温度(TNI)=84.4℃;誘電率異方性(Δε)=47.5;光学的異方性(Δn)=0.230.
【0190】
[合成例8]
化合物(1−4−10)の合成
【0191】
第1工程:
PdCl(Amphos)(Pd−132;0.067g,0.09mmol)と炭酸セシウム(6.17g,18.92mmol)に(T−14)(1.80g,9.46mmol)と公知の方法で合成した化合物(T−100)(4.05g,10.41mmol)のアセトニトリル(32ml)溶液を混合し、8時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水(50ml)へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)、続いて再結晶(酢酸エチル/2−プロパノール=1/10、容積比)にて精製し、化合物(1−4−10)(1.39g、2.79mmol、29.5%)を得た。
【0192】
H−NMR(CDCl;δppm):7.41(1H,t,J=7.4Hz),7.15(2H,d,J=9.6),6.99−6.95(4H,m),2.63(2H,t,J=7.6Hz),1.62(2H,quin,J=7.5Hz),1.35−1.30(4H,m),0.90(3H,t,J=6.8Hz).
【0193】
化合物(1−4−10)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度: C 4.4 N 16.2 I.
上限温度(TNI)=25.0℃;誘電率異方性(Δε)=38.6;光学的異方性(Δn)=0.164.
【0194】
[合成例9]
化合物(1−4−32)の合成

【0195】
第1工程:
PdCl(Amphos)(Pd−132;0.074g,0.10mmol)と炭酸セシウム(6.80g,20.90mmol)に1−エチニル−4−ペンチルベンゼン(1.80g,10.45mmol,ジーベンケミカル)と公知の方法で合成した化合物(T−100)(4.88g,12.54mmol)のアセトニトリル(32ml)溶液を混合し、11.5時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水(50ml)へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)、続いて再結晶(酢酸エチル/2−プロパノール=1/10、容積比)にて精製し、化合物(1−4−32)(1.17g、2.44mmol、23.3%)を得た。
【0196】
H−NMR(CDCl;δppm):7.45(2H,d,J=8.1Hz),7.19(2H,d,J=8.1Hz),7.12(2H,d,J=9.6Hz),6.97(2H,dd,J=7.6Hz,6.1Hz).2.63(2H,t,J=7.7Hz),1.62(2H,quin,J=7.4Hz),1.35−1.30(4H,m),0.90(3H,t,J=6.8Hz).
【0197】
化合物(1−4−32)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度: C 30.6 I.
上限温度(TNI)=33.0℃;誘電率異方性(Δε)=32.6;光学的異方性(Δn)=0.177.
【0198】
[合成例10]
化合物(1−5−23)の合成
【0199】
第1工程:
PdCl(Amphos)(Pd−132;0.0266g,0.04mmol)と炭酸セシウム(4.89g,17.58mmol)に公知の方法で合成した化合物(T−18))(1.47g,7.50mmol)および公知の方法で合成した化合物(T−101)(4.0g,7.50mmol)をアセトニトリル(100ml)へ加え、4時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水(50ml)へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水(50ml)および飽和食塩水(50ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘプタン/トルエン=4/1(容積比))によって分取後、再結晶(溶媒:ヘプタン/ソルミックス=1/5)にて精製し、化合物(1−5−23)(1.2g、1.82mmol、24.2%)を得た。
H−NMR(CDCl;δppm):7.46−7.38(3H,m)、7.49(2H,d,J=10.4Hz),6.99(2H,d,J=9.85Hz),6.78(2H,d,J=8.10Hz),2.62(2H,t,J=7.65Hz),1.62(2H,quin,J=7.45Hz),1.37−1.29(4H,m),0.90(3H,t,J=6.8Hz).
【0200】
化合物(1−5−23)の物性は、次のとおりであった。なお、上限温度、光学的異方性および誘電率異方性の測定には、化合物と母液晶との割合が5重量%:95重量%である試料を用いた。
相転移温度: C 112.7 SmA 133.9 N 163.7 I.
上限温度(NI)=97.7℃;誘電率異方性(Δε)=62.1;光学的異方性(Δn)=0.237.
【0201】
[合成例11]
化合物(1−5−28)の合成
【0202】
第1工程:
2−フルオロ−4−ヒドロキシベンゾニトリル(50.00g,364.7mmol,TCI)と炭酸カリウム(50.42g,364.82mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(200ml)溶液を50℃で1時間加熱した後、1−ブロモブタン(50.01g,364.99mmol)を滴下した。80℃で3時間加熱した後、反応混合物を室温に戻した。水(300ml)へ注ぎトルエンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(トルエン)によって精製し、化合物(T−19)(64.67g、360.7mmol、98.9%)を得た。
【0203】
第2工程:
第1工程で得られた化合物(T−19)(33.18g,171.7mmol)のTHF(350ml)溶液を、−70℃に冷却し、ジイソブチルアンモニウムヒドリド(180ml,181.80mmol)を滴下し、−70℃で2時間撹拌した。室温まで戻し、室温で15時間撹拌した後、3N−HClへ注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、化合物(T−20)(32.28g、164.8mmol、95.8%)を得た。
【0204】
第3工程:
四臭化炭素(104.03g,396.6mmol)のジクロロメタン(200ml)溶液を0℃に冷却し、トリフェニルホスフィン(65.71g,198.1mmol)を滴下し10分撹拌した。第2工程で得られた化合物(T−20)(32.28g,164.5mmol)のジクロロメタン溶液(70ml)を滴下し、0℃で1時間撹拌した。反応混合物をヘプタンで薄め、セライトろ濾過し、固体残渣を除去し、溶液を減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(トルエン)によって精製し、化合物(T−21)(62.03g,160.5mmol、97.6%)を得た。
【0205】
第4工程:
第3工程で得られた化合物(T−21)(56.49g,160.5mmol)のTHF(300ml)溶液を−70℃に冷却し、n−BuLi(205.6ml,329.0mmol)を滴下し、−70℃で1時間撹拌した。室温まで戻し、反応混合物を水(500ml)へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−22)(7.98g、41.51mmol、25.9%)を得た。
【0206】
第5工程:
1−ブロモ−2−フルオロ−4−ヨードベンゼン(10.87g,36.13mmol,TCI)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.367g,0.52mmol)、ヨウ化銅(I)(0.075g,0.39mmol)のトリエチルアミン(100ml)溶液を混合し、第4工程で得られた化合物(T−22)(7.48g,36.19mmol)を滴下し、室温で18時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、トルエンに溶解し、塩化アンモニウム、水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/トルエン=4/1、容積比)、続いて再結晶(2−プロパノール)にて精製し、化合物(1−23)(7.51g、20.56mmol、56.8%)を得た。
【0207】
第6工程:
第5工程で得られた化合物(T−23)(3.91g,10.71mmol)、公知の方法で合成した化合物(T−105)(4.67g,10.71mmol)、テトラキス(トリフェニル)パラジウム(0)(0.67g,0.58mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.89g,2.76mmol)および炭酸カリウム(2.21g,16.0mmol)のトルエン(7ml)、ソルミックス(7ml)および水(7ml)溶液を混合し、46時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/トルエン=3/1、容積比)、続いて再結晶(2−プロパノール)にて精製し、化合物(1−5−28)(2.18g、3.67mmol、34.3%)を得た。
【0208】
H−NMR(CDCl;δppm):7.44−7.39(3H,m),7.35(1H,d,J=11.3Hz),7.24(2H,d,J=10.6Hz),7.00(2H,dd,J=7.5Hz,6.0),6.71−6.66(2H,m),3.98(2H,t,J=6.6Hz),1.79(2H,quin,J=6.5Hz),1.54−1.46(2H,m),0.99(3H,t,J=7.5Hz).
【0209】
化合物(1−5−28)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度: C 82.5 S 124.9 N 184.3 I.
上限温度(TNI)=124.4℃;誘電率異方性(Δε)=43.4;光学的異方性(Δn)=0.264.
【0210】
[合成例12]
化合物(1−5−31)の合成
【0211】
第1工程:
前項で合成した化合物(T−23)(3.20g,8.76mmol)、公知の方法で合成した化合物(T−104)(4.27g,8.78mmol)、テトラキス(トリフェニル)パラジウム(0)(0.61g,0.53mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.71g,2.20mmol)および炭酸カリウム(1.81g,13.10mmol)のトルエン(7ml)、ソルミックス(7ml)および水(7ml)溶液を混合し、28時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/トルエン=3/1、容積比)、続いて再結晶(2−プロパノール)にて精製し、化合物(1−5−31)(2.90g、4.50mmol、51.4%)を得た。
【0212】
H−NMR(CDCl;δppm):7.42−7.39(3H,m),7.36(1H,d,11.4Hz),7.25(2H,d,J=10.3),6.99(2H, d,J=9.9),6.71−6.66(2H,m),3.98(2H,t,J=6.7Hz),1.79(2H,quin,J=6.5Hz),1.54−1.46(2H,m),0.99(3H,t,J=7.3Hz).
【0213】
化合物(1−5−31)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度: C 80.2 C 88.5 S 148.3 N 182.8 I.
上限温度(TNI)=118.4℃;誘電率異方性(Δε)=58.9;光学的異方性(Δn)=0.257.
【0214】
[合成例13]
化合物(1−5−49)の合成

【0215】
第1工程:
1−ブロモ−2−フルオロ−4−ヨードベンゼン(62,75g,208.5mmol,TCI)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(13.31g,18.96mmol)、ヨウ化銅(I)(3.61g,18.96mmol)のトリエチルアミン(500ml)溶液を混合し、1−ブチル−4−エチニルベンゼン(30.00g,189.6mmol,ジーベンケミカル)を滴下し、室温で17時間撹拌した。反応混合物をろ紙で濾過し、パラジウム残渣をトルエンにて洗浄し、一緒にした濾液を濃縮した。残渣に水を加え、トルエンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−24)(59.99g,181.1mmol、95.5%)を得た。
【0216】
第2工程:
第1工程で得られた化合物(T−24)(15.37g,46.40mmol)、公知の方法で合成した化合物(T−106)(17.25g,48.72mmol)、パラジウム炭素(1.64g,0.769mmol)、Amphos(1.92mg,0.0072mmol)、炭酸カリウム(12.83g,92.81mmol)とテトラブチルアンモニウムブロミド(2.99g,9.28mmol)のトルエン(70ml)、ソルミックス(70ml)および水(70ml)溶液を混合し、2時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=100/1、容積比)、続いて再結晶(2−プロパノール/酢酸エチル=10/1)にて精製し、化合物(1−5−49)(15.33g、27.35mmol、58.9%)を得た。
【0217】
H−NMR(CDCl;δppm):7.46(2H,d,J=8.1Hz),7.42−7.39(2H,m),7.35(2H,d,J=11.6),7.24(2H,d,J=10.7),7.19(2H,d,J=8.1),7.00(2H,t,J=6.2),2.64(2H,t,J=7.7Hz),1.61(2H,quin,J=7.9Hz),1.36(2H,sext,J=7.4),0.94(3H,t,J=7.4Hz).
【0218】
化合物(1−5−49)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度: C 56.4 N 147.3 I.
上限温度(TNI)=113.7℃;誘電率異方性(Δε)=36.9;光学的異方性(Δn)=0.250.
【0219】
[合成例14]
化合物(1−5−54)の合成

【0220】
第1工程:
1−ブロモ−2−フルオロ−4−ヨードベンゼン(4.71g,15.65mmol,TCI)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.549g,0.78mmol)、ヨウ化銅(I)(0.298g,1.57mmol)のトリエチルアミン(30ml)溶液を混合し、公知の方法で合成した化合物(T−25)(3.00g,17.22mmol)滴下し、室温で15時間撹拌した。反応混合物をろ紙で濾過し、パラジウム残渣をトルエンにて洗浄し、一緒にした濾液を濃縮した。残渣に水を加え、トルエンで抽出した。抽出液を水(50ml)および飽和食塩水(50ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−26)(4.38g,13.01mmol、83.1%)を得た。
【0221】
第2工程:
第1工程で得られた化合物(T−26)(4.77g,13.74mmol)、公知の方法で合成した化合物(T−106)(5.11g,14.42mmol)、パラジウム炭素(0.117g,0.05mmol)、Amphos(7.29mg,0.03mmol)、炭酸カリウム(3.80g,27.48mmol)とテトラブチルアンモニウムブロミド(0.89g,2.75mmol)のトルエン(20ml)、ソルミックス(20ml)および水(20ml)溶液を混合し、9時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=100/1、容積比)、続いて再結晶(2−プロパノール/酢酸エチル=10/1)にて精製し、化合物(1−5−54)(5.63g、9.77mmol、71.1%)を得た。
【0222】
H−NMR(CDCl;δppm):7.48(2H,d,J=8.7Hz),7.43−7.39(2H,m),7.33(1H,d,J=11.7),7.24(2H,d,J=10.7Hz),7.00(2H,t,J=7.4),6.91(2H,d,J=8.7),4.00(2H,t,J=6.5),1.80(2H,quin,J=8.0Hz),1.56−1.48(2H,m),1.00(3H,t,J=7.4Hz).
【0223】
化合物(1−5−54)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度: C 78.7 S 92.1 N 183.8I.
上限温度(TNI)=136.4℃;誘電率異方性(Δε)=38.8;光学的異方性(Δn)=0.277.
【0224】
[合成例15]
化合物(1−5−56)の合成
【0225】
第1工程:
1−フルオロ−3−ヨードベンゼン(10.00g,45.05mmol,TCI)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(3.16g,4.50mmol)、ヨウ化銅(I)(0.858g,4.50mmol)のトリエチルアミン(130ml)溶液を混合し、1−エチニル−4−ペンチルベンゼン(8.53g,49.55mmol,ジーベンケミカル)滴下し、室温で16時間撹拌した。反応混合物をろ紙で濾過し、パラジウム残渣をトルエンにて洗浄し、一緒にした濾液を濃縮した。残渣に水を加え、トルエンで抽出した。抽出液を水(100ml)および飽和食塩水(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−27)(11.79g,44.26mmol、98.3%)を得た。
【0226】
第2工程
第1工程で得られた化合物化合物(T−27)(11.74g,44.08mmol)のTHF(120ml)溶液を、−70℃に冷却し、s−BuLi(48.97ml,52.89mmol)を滴下した。−70℃で6時間撹拌した後、ヨウ素(15.66g,61.71mmol)のTHF(220ml)溶液を滴下した。−70℃で2時間撹拌した後、反応混合物を室温に戻した。チオ硫酸ナトリウム水溶液(100ml)へ注ぎ、トルエンで抽出した。抽出液を水(150ml)および飽和食塩水(150ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−28)(16.34g、41.66mmol、94.5%)を得た。
【0227】
第3工程:
第2工程で得られた化合物(T−28)(1.70g,4.34mmol)、公知の方法で合成した化合物(T−107)(1.46g,3.61mmol)、パラジウムカーボン(0.0319g,0.30mmol)、炭酸カリウム(1.00g,7.23mmol)とテトラブチルアンモニウムブロミド(0.23g,0.72mmol)のトルエン(9ml)、ソルミックス(9ml)および水(9ml)溶液を混合し、8.5時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=100/1、容積比)、続いて再結晶(2−プロパノール/酢酸エチル=10/1)にて精製し、化合物(1−5−56)(0.86g、1.37mmol、37.9%)を得た。
【0228】
H−NMR(CDCl;δppm):7.46(2H,d,J=8.0Hz),7.42−7.41(2H,m),7.35(1H,d,J=11.7),7.25(2H,d,J=9.2Hz),7.19(2H,d,J=8.1),6.99(2H,d,J=9.9),2.63(2H,t,J=4.9),1.63(2H,quin,J=7.3Hz),1.35−1.30(4H,m),0.90(3H,t,J=7.0Hz).
【0229】
化合物(1−5−56)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度: C 86.8 N 140.0 I.
上限温度(TNI)=112.4℃;誘電率異方性(Δε)=50.1;光学的異方性(Δn)=0.244.
【0230】
[合成例16]
化合物(1−6−49)の合成

【0231】
第1工程:
PdCl(Amphos)(Pd−132;0.040g,0.06mmol)と炭酸セシウム(7.42g,22.78mmol)に公知の方法で合成した化合物(T−29)(3.24g,11.4mmol)および公知の方法で合成した化合物(T−102)(5.0g,11.39mmol)をアセトニトリル(150ml)へ加え、4時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水(50ml)へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水(50ml)および飽和食塩水(50ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘプタン/トルエン=4/1(容積比))によって分取後、再結晶(溶媒:ヘプタン/ソルミックス=1/4)にて精製し、化合物(1−6−49)(3.86g、6.01mmol、52.8%)を得た。
H−NMR(CDCl;δppm):7.47(2H,d,J=8.15Hz)、7.27(2H,d,J=8.15Hz),7.17(2H,d,J=9.85Hz),6.96(2H,d,J=9.75Hz),2.64(2H,t,J=7.65Hz),1.64(2H,quin,J=7.40Hz),1.39−1.30(4H,m),0.90(3H,t,J=6.8Hz).
【0232】
化合物(1−6−49)の物性は、次のとおりであった。なお、上限温度、光学的異方性および誘電率異方性の測定には、化合物と母液晶との割合が5重量%:95重量%である試料を用いた。
相転移温度: C1 5.4 C2 100 SmX 107.4 SmA 124.2 N 161.4 Iso.
上限温度(NI)=105.7℃;誘電率異方性(Δε)=60.1;光学的異方性(Δn)=0.257.
【0233】
[合成例17]
化合物(1−6−62)の合成

【0234】
第1工程:
1−クロロ−4−ヨードベンゼン(25.00g,41.94mmol,TCI)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(7.36g,4.19mmol)、ヨウ化銅(I)(2.00g,4.19mmol)のトリエチルアミン(250ml)溶液を混合し、トリメチルシリルアセチレン(11.33g,46.13mmol)を滴下し、室温で16時間撹拌した。反応混合物をろ紙で濾過し、パラジウム残渣をトルエンにて洗浄し、一緒にした濾液を濃縮した。残渣に水を加え、トルエンで抽出した。抽出液を水(150ml)および飽和食塩水(150ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−30)(18.87g,90.39mmol、86.2%)を得た。
【0235】
第2工程
第2工程で得られた化合物(T−30)(18.87g,90.39mmol)をジクロロメタン(150ml)およびメタノール(150ml)に溶解した。炭酸カリウム(14.99g,108.5mol)を添加したのち、室温にて16時間撹拌した。反応混合物を水(100ml)へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水(100ml)および飽和食塩水(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)によって精製し、化合物(T−31)(9.63g、70.51mmol、78.0%)を得た。
【0236】
第3工程:
公知の方法で合成した化合物(T−100)(11.73g,30.14mmol)、PdCl(Amphos)(Pd−132;0.43g,0.60mmol)と炭酸セシウム(19.64.60.28mmol)のアセトニトリル(120ml)溶液を混合し、第2工程で得られた化合物(T−31)(5.94g,43.49mmol)を加え、14時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、酢酸エチルにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=100/1、容積比)によって精製し、化合物(T−32)(12.20g、27.43mmol、91.0%)を得た。
【0237】
第4工程:
第3工程で得られた化合物(T−32)(6.88g,15.47mmol)、公知の方法で合成された化合物(T−33)(3.90g,18.6mmol)、PdCl(Amphos)(Pd−132;0.11g,0.15mmol)、炭酸カリウム(4.27g,30.94mmol)とテトラブチルアンモニウムブロミド(1.00g,3.09mmol)のトルエン(20ml)、ソルミックス(20ml)および水(20ml)溶液を混合し、9時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=100/1、容積比)、続いて再結晶(2−プロパノール/酢酸エチル=10/1)にて精製し、化合物(1−6−62)(4.48g、7.80mmol、50.4%)を得た。
【0238】
H−NMR(CDCl;δppm):7.59(4H,dd,J=11.9Hz,3.2Hz),7.35(1H,t,J=8.1),7.15(2H,d,J=9.6),7.05(1H,dd,J=9.1Hz,1.1Hz),7.01−6.97(3H,m),2.65(2H,t,J=7.6Hz),1.65(2H,quin,J=7.4Hz),1.37−1.32(4H,m),0.91(3H,t,J=7.0Hz).
【0239】
化合物(1−6−62)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度: C 84.3 N 145.3 I.
上限温度(TNI)=121.0℃;誘電率異方性(Δε)=42.9;光学的異方性(Δn)=0.257.
【0240】
[合成例18]
化合物(1−6−83)の合成

【0241】
第1工程:
4−ブロモ−2−フルオロベンズアルデヒド(10.00g,49.26mmol)、エチレングリコール(3.97g,64.04mmol)とp−トルエンスルホン酸一水和物(0.47g,2.46mmol)のトルエン(200ml)溶液を4時間加熱還流した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウムへ注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=20/1、容積比)によって精製し、化合物(T−34)(11.49g,46.51mmol、94.4%)を得た。
【0242】
第2工程
第1工程で得られた化合物(T−34)(11.49g,46.51mmol)、公知の方法で合成した化合物(T−35)(9.39g,48.39mmol)、パラジウムカーボン(0.41g,3.86mmol)、炭酸カリウム(12.86g,93.01mmol)とテトラブチルアンモニウムブロミド(3.00g,9.30mmol)のトルエン(40ml)、ソルミックス(40ml)および水(40ml)溶液を混合し、9時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=8/1、容積比)によって精製し、化合物(T−36)(12.52g、39.57mmol、85.1%)を得た。
【0243】
第3工程:
第2工程で得られた化合物(T−36)(12.52g、39.57mmol)、ギ酸(20.90ml,554.0mmol)とテトラブチルアンモニウムブロミド(0.29g,11.87mmol)のトルエン(125ml)溶液を室温にて17.5時間撹拌した。反応混合物を水へ注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=20/1、容積比)によって精製し、化合物(T−37)(9.68g,35.6mmol、89.9%)を得た。
【0244】
第4工程:
トリフェニルホスフィン(14.83g,56.55mmol)のトルエン溶液(70ml)に四臭化炭素(9.38g,28.28mmol)を加え、室温で3.5時間撹拌し、第3工程で得られた化合物化合物(T−37)(3.5g,12.85mmol)のトルエン(70ml)溶液を加え15時間撹拌した。反応混合物を水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=10/1)によって精製し、化合物(T−38)(5.36g、12.52mmol、97.4%)を得た。
【0245】
第5工程:
第4工程で得られた化合物(T−38)(11.45g,26.74mmol)のTHF(115ml)溶液を−70℃に冷却し、n−BuLi(33.43ml,53.40mmol)を滴下し、−70℃で2時間撹拌した。室温まで戻し、反応混合物を氷水(200ml)へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=100/1)によって精製し、化合物(T−39)(4.60g、17.14mmol、64.1%)を得た。
【0246】
第6工程:
PdCl(Amphos)(Pd−132;0.15g,0.28mmol)と炭酸セシウム(2.19g,6.71mmol)のアセトニトリル(5ml)溶液に第5工程で得られた化合物(T−39)(1.50g,5.59mmol)と公知の方法で合成した化合物(T−100)(2.39g,6.15mmol)のアセトニトリル(15ml)溶液を混合し、7.5時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=40/1)、続いて再結晶(酢酸エチル/2−プロパノール=1/10、容積比)にて精製し、化合物(1−6−83)(0.79g、1.37mmol、24.5%)を得た。
H−NMR(CDCl;δppm):7.55−7.52(3H,m),7.37(1H,dd,J=8.1Hz,1.7Hz),7.33(1H,dd,J=10.7,1.2Hz),7.18(2H,d,J=9.6Hz),6.99−6.96(4H,m),4.02(2H,t,J=6.5Hz),1.80(2H,quin,J=7.1Hz),1.56−1.48(2H,m),0.99(3H,t,J=7.5Hz).
【0247】
化合物(1−6−83)の物性は、次のとおりであった。なお、上限温度、光学的異方性および誘電率異方性の測定には、化合物と母液晶との割合が10重量%:90重量%である試料を用いた。
相転移温度: C 110.3 S 144.1 N 196.2 I.
上限温度(TNI)=142.7℃;誘電率異方性(Δε)=39.8;光学的異方性(Δn)=0.287.
【0248】
[合成例19]
化合物(1−6−86)の合成

【0249】
第1工程:
PdCl(Amphos)(Pd−132;0.13g,0.24mmol)と炭酸セシウム(1.85g,5.67mmol)のアセトニトリル(5ml)溶液に前項で合成した化合物(T−39)(1.27g,4.73mmol)と公知の方法で合成した化合物(T−102)(2.18g,4.97mmol)のアセトニトリル(10ml)溶液を混合し、13時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=40/1)、続いて再結晶(酢酸エチル/2−プロパノール=1/10、容積比)にて精製し、化合物(1−6−86)(0.64g、1.02mmol、21.6%)を得た。
H−NMR(CDCl;δppm):7.55−7.51(3H,m),7.37(1H,dd,J=8.1Hz,1.7Hz),7.33(1H,dd,J=10.7Hz,1.5Hz),7.19(2H,d,J=9.6Hz),7.00−6.97(4H,m),4.02(2H,t,J=6.6Hz),1.80(2H,quin,J=7.5Hz),1.55−1.48(2H,m),1.00(3H,t,J=7.5Hz).
【0250】
化合物(1−6−86)の物性は、次のとおりであった。なお、上限温度、光学的異方性および誘電率異方性の測定には、化合物と母液晶との割合が3重量%:97重量%である試料を用いた。
相転移温度: C 70.8 C 135.0 N 190.7 I.
上限温度(TNI)=131.7℃;誘電率異方性(Δε)=51.9;光学的異方性(Δn)=0.304.
【0251】
[合成例20]
化合物(1−7−32)の合成

【0252】
第1工程
1−フルオロ−3−プロピルベンゼン(90.91g,521.7mmol,ジーベンケミカル)のTHF(500ml)溶液を、−70℃に冷却し、s−BuLi(500ml,540.00mmol)を滴下した。−70℃で2時間撹拌した後、ヨウ素(139.4g,549.2mmol)のTHF(500ml)溶液を滴下し、反応混合物を室温に戻した。塩化アンモニウム水溶液(100ml)へ注ぎ、チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、ヘキサンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)によって精製し、化合物(T−40)(100.6g、381.0mmol、73.0%)を得た。
【0253】
第2工程:
第1工程で得られた化合物化合物(T−40)(60.00g,227.2mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(1.629g,2.32mmol)、ヨウ化銅(I)(0.441g,2.32mmol)のトリエチルアミン(500ml)溶液を混合し、トリメチルシリルアセチレン(24.88g,253.31mmol)を滴下し、室温で3時間撹拌した。反応混合物をろ紙で濾過し、パラジウム残渣をトルエンにて洗浄し、一緒にした濾液を濃縮した。残渣に水を加え、トルエンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−41)(46.84g,199.86mmol、88.0%)を得た。
【0254】
第3工程
第2工程で得られた化合物(T−41)(52.93g,225.83mmol)をメタノール(300ml)に溶解した。炭酸カリウム(37.62g,272.2mol)を添加したのち、室温にて6時間撹拌した。反応混合物を水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/トルエン=9/1、容積比)によって精製し、化合物(T−42)(36.63g、225.83mmol、92.6%)を得た。
【0255】
第4工程:
PdCl(Amphos)(Pd−132;0.076g,0.11mmol)と炭酸セシウム(13.56g,41.62mmol)に第3工程で得られた化合物(T−42)(3.56g,21.95mmol)と公知の方法で合成した化合物(T−103)(10.00g,20.70mmol)のアセトニトリル(80ml)溶液を混合し、4時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/トルエン=6/1、容積比)、続いて再結晶(トルエン)にて精製し、化合物(1−7−32)(3.10g、5.49mmol、26.5%)を得た。
H−NMR(CDCl;δppm):7.41(1H,t,J=7.5Hz),7.37(1H,t,J=8.6),7.18−7.13(6H,m),6.98−6.94(2H,m),2.61(2H,t,J=7.5Hz),1.62(2H,sext,J=7.6Hz),0.95(3H,t,J=7.4Hz).
【0256】
化合物(1−7−32)の物性は、次のとおりであった。なお、上限温度、光学的異方性および誘電率異方性の測定には、化合物と母液晶との割合が3重量%:97重量%である試料を用いた。
相転移温度: C 118.8 N 132.5 I.
上限温度(TNI)=88.4℃;誘電率異方性(Δε)=55.2;光学的異方性(Δn)=0.237.
【0257】
[合成例21]
化合物(1−8−9)の合成
【0258】
第1工程
公知の方法で合成した化合物T−108(5.00g,13.47mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.78g,0.67mmol)のトルエン(35ml)および2N―炭酸カリウム水溶液(70ml)を混合し、公知の方法で合成された化合物(T−33)(3.11g,14.82mmol)のソルミックス(35ml)溶液を加え、5.5時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−42)(5.81g、12.73mmol、94.5%)を得た。
【0259】
第2工程:
第1工程で得られた化合物(T−42)(5.89g,12.91mmol)のTHF(80ml)溶液を−70℃に冷却し、n−BuLi(8.87ml,14.20mmol)を滴下し、−70℃で2時間撹拌し、ヨウ素(3.93g,15.49mml)のTHF(30ml)溶液を滴下した。0℃まで戻し、反応混合物を亜硫酸ナトリウム水溶液へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−43)(5.01g、11.89mmol、92.1%)を得た。
【0260】
第3工程:
第2工程で得られた化合物(T−43)(5.44g,9.34mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.656g,0.93mmol)、ヨウ化銅(I)(0.178g,0.93mmol)のトリエチルアミン(110ml)溶液を混合し、トリメチルシリルアセチレン(1.44ml,10.28mmol)を滴下し、室温で4時間撹拌した。反応混合物をろ紙で濾過し、パラジウム残渣をトルエンにて洗浄し、一緒にした濾液を濃縮した。残渣に水を加え、トルエンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=100/1)によって精製し、化合物(T−44)(4.90g,8.87mmol、95.0%)を得た。
【0261】
第4工程:
第3工程で得られた化合物(T−44)(4.90g,8.87mmol)をジクロロメタン(25ml)およびメタノール(25ml)に溶解した。炭酸カリウム(1.47g,10.64mol)を添加したのち、室温にて2時間撹拌した。反応混合物を水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−45)(3.76g、7.83mmol、88.3%)を得た。
【0262】
第5工程:
PdCl(Amphos)(Pd−132;0.027g,0.04mmol)と炭酸セシウム(4.98g,15.28mmol)に第4工程で得られた化合物(T−45)(3.67g,7.64mmol)と1−ブロモ−3,4,5−トリフルオロベンゼン(1.93g,9.17mmol,ジーベンケミカル)のアセトニトリル(25ml)溶液を混合し、11時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)、続いて再結晶(酢酸エチル/2−プロパノール=1/10、容積比)にて精製し、化合物(1−8−9)(1.79g、2.93mmol、38.4%)を得た。
H−NMR(CDCl;δppm):7.33(1H,t,J=7.9Hz),7.23−7.18(4H,m),7.07(1H,dd,J=7.8Hz,1.1Hz),7.02(1H,dd,12.0Hz,0.9Hz),6.95(2H,d,J=7.6),2.65(2H,t,J=7.7Hz),1.65(2H,quin,J=7.3Hz),1.38−1.31(4H,m),0.91(3H,t,J=6.8Hz).
【0263】
化合物(1−8−9)の物性は、次のとおりであった。なお、上限温度、光学的異方性および誘電率異方性の測定には、化合物と母液晶との割合が5重量%:95重量%である試料を用いた。
相転移温度: C 97.2 N 134.0 I.
上限温度(TNI)=83.7℃;誘電率異方性(Δε)=52.1;光学的異方性(Δn)=0.217.
【0264】
[合成例22]
化合物(1−10−24)の合成
【0265】
第1工程:
1−フルオロ−3−ヨードベンゼン(4.24g,22.30mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(1.42g,2.03mmol)、ヨウ化銅(I)(0.386g,2.03mmol)のトリエチルアミン(67.5ml)溶液を混合し、T−14(4.50g,20.27mmol)滴下し、室温で2時間撹拌した。反応混合物をろ紙で濾過し、パラジウム残渣をトルエンにて洗浄し、一緒にした濾液を濃縮した。残渣に水を加え、トルエンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−47)(5.12g,18.00mmol、88.8%)を得た。
【0266】
第2工程
第1工程で得られた化合物化合物(T−47)(5.56g,19.55mmol)のTHF(90ml)溶液を、−70℃に冷却し、s−BuLi(22.78ml,23.78mmol)を滴下した。−70℃で3時間撹拌した後、ヨウ素(6.20g,24.44mmol)のTHF(20ml)溶液を滴下し、反応混合物を室温に戻した。チオ硫酸ナトリウム水溶液(100ml)へ注ぎ、トルエンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−48)(7.93g、19.33mmol、98.9%)を得た。
【0267】
第3工程:
第2工程で得られた化合物化合物(T−48)(6.32g,15.41mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(1.08g,1.54mmol)、ヨウ化銅(I)(0.293g,1.54mmol)のトリエチルアミン(94.8ml)溶液を混合し、トリメチルシリルアセチレン(1.66g,16.95mmol)を滴下し、室温で6.5時間撹拌した。反応混合物をろ紙で濾過し、パラジウム残渣をトルエンにて洗浄し、一緒にした濾液を濃縮した。残渣に水を加え、トルエンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−49)(4.81g,12.64mmol、82.1%)を得た。
【0268】
第4工程
第3工程で得られた化合物(T−49)(4.81g,12.64mmol)をジクロロメタン(20ml)およびメタノール(20ml)に溶解した。炭酸カリウム(2.10g,15.17mol)を添加したのち、室温にて4.5時間撹拌した。反応混合物を水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−50)(3.59g、11.64mmol、92.1%)を得た。
【0269】
第5工程:
PdCl(Amphos)(Pd−132;0.0258g,0.04mmol)と炭酸セシウム(4.74g,14.55mmol)のアセトニトリル(20ml)溶液に第4工程で得られた化合物(T−50)(2.69g,8.73mmol)と公知の方法で合成した化合物(T−100)(2.83g,7.27mmol)のアセトニトリル(30ml)溶液を混合し、5時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)、続いて再結晶(トルエン/2−プロパノール=1/5、容積比)にて精製し、化合物(1−10−24)(2.82g、4.58mmol、62.9%)を得た。
H−NMR(CDCl;δppm):7.49(1H,t,J=7.6Hz),7.41(1H,t,J=7.6),7.35−7.29(2H,m),7.17(2H, d,J=9.3),6.99−6.94(4H,m),2.62(2H,t,J=7.7Hz),1.62(2H,quin,J=7.5Hz),1.38−1.27(4H,m),0.90(3H,t,J=6.8Hz).
【0270】
化合物(1−10−24)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度: C 92.5 S 112.5 N 187.4 I.
上限温度(TNI)=132.4℃;誘電率異方性(Δε)=47.9;光学的異方性(Δn)=0.324.
【0271】
[合成例23]
化合物(1−5−57)の合成

【0272】
第1工程:
前項で合成した化合物(T−26)(2.54g,7.33mmol)、公知の方法で合成した化合物(T−104)(3.74g,7.69mmol)、パラジウム炭素(0.624g,0.03mmol)、Amphos(3.89mg,0.01mmol)、炭酸カリウム(2.03g,14.65mmol)とテトラブチルアンモニウムブロミド(0.472g,1.47mmol)のトルエン(10ml)、ソルミックス(10ml)および水(10ml)溶液を混合し、11時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=100/1、容積比)、続いて再結晶(2−プロパノール/酢酸エチル=10/1)にて精製し、化合物(1−5−57)(3.19g、5.09mmol、69.5%)を得た。
【0273】
H−NMR(CDCl;δppm):7.48(2H,d,J=4.9Hz),7.43−7.38(2H,m)),7.33(1H,d,J=11.9Hz),7.28−7.24(2H,m),6.99(2H,d,J=9.9Hz),6.89(2H,d,J=7.0Hz),3.99(2H,t,J=6.5Hz),1.79(2H,quin,J=7.1Hz),1.50(2H,sext,J=7.5Hz),0.98(3H,t,J=7.5Hz).
【0274】
化合物(1−5−57)の物性は、次のとおりであった。なお、上限温度、光学的異方性および誘電率異方性の測定には、化合物と母液晶との割合が10重量%:90重量%である試料を用いた。
相転移温度: C 109.9 N 177.2 I.
上限温度(TNI)=127.7℃;誘電率異方性(Δε)=50.1;光学的異方性(Δn)=0.267.
【0275】
[合成例24]
化合物(1−6−66)の合成

【0276】
第1工程:
4−ブロモ−3−フェノール(3.50g,18.32mmol,TCI)、1−ブロモブタン(2.51g,18.32mmol)と炭酸カリウム(5.07g,36.65mmol)のアセトン(70ml)溶液を14.5時間加熱還流した後、反応混合物を室温に戻した。水へ注ぎ酢酸エチルで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)によって精製し、化合物(T−51)(4.13g、16.71mmol、91.2%)を得た。
【0277】
第2工程:
塩化イソプロピルマグネシウム(9.19ml,18.38mmol)を−10℃に冷却し、第1工程で得られた化合物(T−51)(4.13g、16.71mmol)のTHF溶液(35ml)を滴下し、−10℃で2時間撹拌した。ホウ酸トリメチル(1.91g,18.38mmol)のTHF(5ml)溶液を滴下し、−10℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温に戻し、1N−HClへ注ぎ、1時間撹拌し、酢酸エチルにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣ヘプタンを加え、濾過し減圧下で乾燥し、化合物(T−52)(1.32g、6.23mmol、37.3%)を得た。
【0278】
第3工程:
第2工程で得られた化合物(T−52)(1.32g、6.23mmol)、T−31(2.31g,5.19mmol)、PdCl(Amphos)(Pd−132;0.0367g,0.05mmol)、炭酸カリウム(1.43g,10.38mmol)とテトラブチルアンモニウムブロミド(0.334g,1.04mmol)のトルエン(7ml)、ソルミックス(7ml)および水(7ml)溶液を混合し、8.5時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=100/1、容積比)、続いて再結晶(2−プロパノール/酢酸エチル=10/1)にて精製し、化合物(1−6−66)(0.45g、0.78mmol、15.1%)を得た。
【0279】
H−NMR(CDCl;δppm):7.46(2H,d,J=8.7Hz),7.37(1H,t,J=8.7Hz),7.18−7.13(4H,m),7.10(2H,d,J=9.6Hz),6.89(2H,d,J=8.8Hz),3.99(2H,t,J=6.5Hz),1.79(2H,quin,J=7.1Hz),1.50(2H,sext,J=7.5Hz),0.99(3H,t,J=7.4Hz).
【0280】
化合物(1−6−66)の物性は、次のとおりであった。なお、上限温度、光学的異方性および誘電率異方性の測定には、化合物と母液晶との割合が5重量%:95重量%である試料を用いた。
相転移温度: C 102.8 N 176.5 I.
上限温度(TNI)=139.7℃;誘電率異方性(Δε)=40.1;光学的異方性(Δn)=0.277.
【0281】
[合成例25]
化合物(1−7−90)の合成

【0282】
第1工程:
PdCl(Amphos)(Pd−132;0.12g,0.17mmol)と炭酸セシウム(1.85g,5.67mmol)のアセトニトリル(5ml)溶液に前項で合成した化合物(T−25)(1.59g,9.15mmol)と公知の方法で合成した化合物(T−103)(4.02g,8.32mmol)のアセトニトリル(35ml)溶液を混合し、7.5時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=100/1)、続いて再結晶(酢酸エチル/2−プロパノール=1/10、容積比)にて精製し、化合物(1−7−90)(2.66g、4.61mmol、55.5%)を得た。
H−NMR(CDCl;δppm):7.59−7.54(4H,m),7.36(1H,t,J=8.8Hz),7.15(2H,d,J=9.5Hz),6.98(2H,dd,J=7.4Hz,6.4Hz),6.78(1H,dd,J=8.6Hz,2.4Hz),6.72(1H,dd,J=12.8,2.4Hz),4.00(2H,t,J=6.5Hz),1.80(2H,quin,J=7.1Hz),1.51(2H,sext,J=7.4Hz),1.00(3H,t,J=7.4Hz).
【0283】
化合物(1−7−90)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度: C 56.7 C 70.0N 151.9 I.
【0284】
[合成例26]
化合物(1−6−92)の合成

【0285】
第1工程:
1−ブロモ−3−フルオロ−4−ヨードベンゼン(20.00g,66.47mmol,TCI)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(4.67g,6.65mmol)、ヨウ化銅(I)(1.27g,6.65mmol)のトリエチルアミン(200ml)溶液を混合し、2−メチル−3−ブチン−2−オール(6.15g,73.12mmol)を滴下し、室温で16時間撹拌した。反応混合物をろ紙で濾過し、パラジウム残渣をトルエンにて洗浄し、一緒にした濾液を濃縮した。残渣に水を加え、トルエンで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=8/1)によって精製し、化合物(T−53)(17.09g,66.47mmol、定量的)を得た。
【0286】
第2工程:
第1工程で得られた化合物(T−53)(17.36g、67.52mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(18.00g,70.90mmol)、酢酸カリウム(19.88g,202.6mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.780g,0.68mmol)の1,4−ジオキサン(175ml)溶液を混合し、11.5時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=4/1、容積比)によって精製し、化合物(T−54)(18.70g、61.48mmol、91.1%)を得た。
【0287】
第3工程:
第2工程で得られた化合物(T−54)(17.80g、59.84mmol)、T−55(9.82g、54.40mmol)、PdCl(Amphos)(Pd−132;0.377g,0.54mmol)、炭酸カリウム(14.71g,108.8mmol)とテトラブチルアンモニウムブロミド(3.43g,10.88mmol)のトルエン(60ml)、ソルミックス(60ml)および水(60ml)溶液を混合し、8.5時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=100/1、容積比)によって精製し、化合物(T−56)(13.75g、42.12mmol、79.2%)を得た。
【0288】
第4工程:
第3工程で得られた化合物(T−56)(9.98g、30.57mmol)および水酸化カリウム(1.87g,33.33mmol)のトルエン(200ml)を混合し、3時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、塩化アンモニウム水溶液へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(トルエン)によって精製し、化合物(T−57)(8.04g、29.87mmol、97.7%)を得た。
【0289】
第5工程:
PdCl(Amphos)(Pd−132;0.107g,0.15mmol)と炭酸セシウム(19.56g,60.03mmol)に第4工程で得られた化合物(T−57)(8.04g,29.87mmol)と公知の方法で合成した化合物(T−100)(11.80g,30.33mmol)のアセトニトリル(100ml)溶液を混合し、時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷したのち、水へ注ぎ、トルエンにて抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/トルエン=1/4、容積比)、続いて再結晶(トルエン/2−プロパノール=1/1)にて精製し、化合物(1−6−92)(5.90g、10.23mmol、34.3%)を得た。
H−NMR(CDCl;δppm):8.65(2H,s),8.25(1H,dd,J=8.2,1.2),8.22(1H,d,J=10.6),7.62(1H,t,7.5Hz),7.19(2H,d,J=9.4Hz),6.98(2H,dd,J=7.2,6.2Hz),2.65(2H,t,J=7.6Hz),1.67(2H,quin,J=7.5Hz),1.37−1.35(4H,m),0.91(3H,t,J=6.8Hz).
【0290】
化合物(1−6−92)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度: C 105.6 SA 153.0 N 181.2 I.
上限温度(TNI)=134.4℃;誘電率異方性(Δε)=56.8;光学的異方性(Δn)=0.270.
【0291】
[比較例1]
比較するために、下記の化合物(A)を選んだ。この化合物は、−CFO−を有するが、−C≡C−を有しないからである。化合物(A)は、国際公開第96/011897号パンフレットの記載に従って合成した。
【0292】
H−NMR(CDCl;δppm):7.68(2H,d,J=8.5Hz),7.63(2H,d,J=8.5Hz),7.55(2H,d,J=6.8Hz),7.30−7.25(4H,m),7.00(2H,dd,J=6.0,7.5Hz),2.65(2H,t,J=7.5Hz),1.65(2H,quin,J=7.7Hz),1.44−1.34(4H,m),0.96(3H,t,J=7.5Hz)
【0293】
化合物(A)の物性は、次のとおりであった。
相転移温度:C 108.6 N 139.9 I.上限温度(TNI)=117.7℃;誘電率異方性(Δε)=25.6;光学的異方性(Δn)=0.204.
【0294】
合成例1〜24、26と比較例1で合成した化合物の物性を表1にまとめた。この結果から、化合物(1)は比較化合物(A)よりも大きな誘電率異方性(Δε)と大きな光学的異方性(Δn)を有している点で優れていることがわかった。
【0295】
既に記載した化合物(1)の合成法に従って以下の化合物(1−4−1)〜(1−4−45)、化合物(1−5−1)〜(5−1−99)、化合物(1−6−1)〜(1−6−124)、化合物(1−7−1)〜(1−7−115)、化合物(1−8−1)〜(1−8−115)、化合物(1−9−1)〜(1−9−104)、化合物(1−10−1)〜(1−10−90)、化合物(1−11−1)〜(1−11−24)、化合物(1−12−1)〜(1−12−55)、化合物(1−13−1)〜(1−13−57)、または化合物(1−14−1)〜(1−14−60)を合成する。
【0296】























































































































































































【0297】
2.組成物の実施例
実施例により本発明の組成物を詳細に説明する。本発明は、使用例1の組成物と使用例2の組成物との混合物を含む。本発明は、使用例の組成物の少なくとも2つを混合した混合物をも含む。使用例における化合物は、下記の表2の定義に基づいて記号により表した。表2において、1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。使用例において記号の後にあるかっこ内の番号は、化合物が属する化学式を表す。(−)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)である。最後に、組成物の物性値をまとめた。物性は、先に記載した方法にしたがって測定し、測定値を(外挿することなく)そのまま記載した。
【0298】
【0299】
[使用例1]
5−BTB(F)B(F,F)XB(F,F)−F
(1−5−50) 5%
5−HB−CL (2−2) 11%
3−HH−4 (13−1) 8%
3−HHB−1 (14−1) 5%
3−HHB(F,F)−F (3−3) 8%
3−HBB(F,F)−F (3−24) 20%
5−HBB(F,F)−F (3−24) 15%
3−HHEB(F,F)−F (3−12) 10%
4−HHEB(F,F)−F (3−12) 3%
5−HHEB(F,F)−F (3−12) 3%
2−HBEB(F,F)−F (3−39) 3%
5−HBEB(F,F)−F (3−39) 3%
3−HHBB(F,F)−F (4−6) 6%
NI=82.2℃;Δn=0.110;Δε=9.3;η=23.4mPa・s.
【0300】
[使用例2]
5−B(F)B(F,F)TB(F,F)XB(F,F)−F
(1−6−11) 5%
2−HB−C (5−1) 5%
3−HB−C (5−1) 12%
3−HB−O2 (13−5) 15%
3−HHB−F (3−1) 4%
3−HHB−1 (14−1) 8%
3−HHB−O1 (14−1) 5%
3−HHB−3 (14−1) 14%
3−HHEB−F (3−10) 4%
5−HHEB−F (3−10) 4%
2−HHB(F)−F (3−2) 7%
3−HHB(F)−F (3−2) 7%
5−HHB(F)−F (3−2) 7%
3−HHB(F,F)−F (3−3) 3%
NI=104.2℃;Δn=0.104;Δε=6.7;η=20.9mPa・s.
【0301】
[使用例3]
5−BB(F,F)TB(F,F)XB(F,F)−F
(1−6−42) 5%
7−HB(F,F)−F (2−4) 3%
3−HB−O2 (13−5) 7%
2−HHB(F)−F (3−2) 10%
3−HHB(F)−F (3−2) 10%
5−HHB(F)−F (3−2) 10%
2−HBB(F)−F (3−23) 8%
3−HBB(F)−F (3−23) 8%
5−HBB(F)−F (3−23) 14%
2−HBB−F (3−22) 4%
3−HBB−F (3−22) 4%
5−HBB−F (3−22) 3%
3−HBB(F,F)−F (3−24) 4%
5−HBB(F,F)−F (3−24) 10%
NI=87.3℃;Δn=0.121;Δε=7.8;η=26.4mPa・s.
【0302】
[使用例4]
5−BB(F)TB(F,F)XB(F,F)−F
(1−6−77) 5%
5−HB−CL (2−2) 16%
3−HH−4 (13−1) 12%
3−HH−5 (13−1) 4%
3−HHB−F (3−1) 4%
3−HHB−CL (3−1) 3%
4−HHB−CL (3−1) 4%
3−HHB(F)−F (3−2) 10%
4−HHB(F)−F (3−2) 9%
5−HHB(F)−F (3−2) 9%
7−HHB(F)−F (3−2) 8%
5−HBB(F)−F (3−23) 4%
1O1−HBBH−5 (15−1) 3%
5−HHBB(F,F)−F (4−6) 3%
3−HH2BB(F,F)−F (4−15) 3%
4−HH2BB(F,F)−F (4−15) 3%
NI=111.9℃;Δn=0.097;Δε=5.2;η=18.7mPa・s.
【0303】
[使用例5]
5−B(F)TB(F,F)XB(F)B(F,F)−F
(1−7−31) 5%
5−HB−F (2−2) 12%
6−HB−F (2−2) 9%
7−HB−F (2−2) 7%
2−HHB−OCF3 (3−1) 5%
3−HHB−OCF3 (3−1) 5%
4−HHB−OCF3 (3−1) 6%
5−HHB−OCF3 (3−1) 5%
3−HH2B−OCF3 (3−4) 4%
5−HH2B−OCF3 (3−4) 4%
3−HHB(F,F)−OCF2H (3−3) 4%
3−HHB(F,F)−OCF3 (3−3) 5%
3−HH2B(F)−F (3−5) 3%
3−HBB(F)−F (3−23) 10%
5−HBB(F)−F (3−23) 10%
5−HBBH−3 (15−1) 3%
3−HB(F)BH−3 (15−1) 3%
【0304】
[使用例6]
5−B(F)TB(F)B(F,F)XB(F,F)−CF3
(1−5−32) 5%
5−HB−CL (2−2) 17%
7−HB(F,F)−F (2−4) 3%
3−HH−4 (13−1) 10%
3−HH−5 (13−1) 5%
3−HB−O2 (13−5) 10%
3−HHB−1 (14−1) 8%
3−HHB−O1 (14−1) 5%
2−HHB(F)−F (3−2) 7%
3−HHB(F)−F (3−2) 7%
5−HHB(F)−F (3−2) 7%
3−HHB(F,F)−F (3−3) 6%
3−H2HB(F,F)−F (3−15) 5%
4−H2HB(F,F)−F (3−15) 5%
【0305】
[使用例7]
5−BB(F)TB(F,F)XB(F,F)−CF3
(1−6−84) 5%
5−HB−CL (2−2) 3%
7−HB(F)−F (2−3) 7%
3−HH−4 (13−1) 9%
3−HH−EMe (13−2) 20%
3−HHEB−F (3−10) 8%
5−HHEB−F (3−10) 6%
3−HHEB(F,F)−F (3−12) 10%
4−HHEB(F,F)−F (3−12) 5%
4−HGB(F,F)−F (3−103) 5%
5−HGB(F,F)−F (3−103) 6%
2−H2GB(F,F)−F (3−106) 4%
3−H2GB(F,F)−F (3−106) 5%
5−GHB(F,F)−F (3−109) 7%
【0306】
[使用例8]
5−B(F)TB(F,F)XB(F)TB(F,F)−F
(1−9−36) 4%
3−HB−O1 (13−5) 13%
3−HH−4 (13−1) 5%
3−HB(2F,3F)−O2 (6−1) 12%
5−HB(2F,3F)−O2 (6−1) 12%
2−HHB(2F,3F)−1 (7−1) 12%
3−HHB(2F,3F)−1 (7−1) 12%
3−HHB(2F,3F)−O2 (7−1) 12%
5−HHB(2F,3F)−O2 (7−1) 12%
3−HHB−1 (14−1) 6%
【0307】
[使用例9]
4O−BB(F)TB(F,F)XB(F,F)−F
(1−6−83) 5%
3−HB−O1 (13−5) 15%
3−HH−4 (13−1) 5%
3−HB(2F,3F)−O2 (6−1) 12%
5−HB(2F,3F)−O2 (6−1) 12%
2−HHB(2F,3F)−1 (7−1) 12%
3−HHB(2F,3F)−1 (7−1) 10%
3−HHB(2F,3F)−O2 (7−1) 10%
5−HHB(2F,3F)−O2 (7−1) 13%
6−HEB(2F,3F)−O2 (5−12) 6%
【0308】
[使用例10]
4O−B(F)TB(F)B(F,F)XB(F,F)−F
(1−5−28) 5%
2−HH−5 (13−1) 3%
3−HH−4 (13−1) 15%
3−HH−5 (13−1) 4%
3−HB−O2 (13−5) 12%
3−H2B(2F,3F)−O2 (6−4) 13%
5−H2B(2F,3F)−O2 (6−4) 12%
3−HHB(2F,3CL)−O2 (7−12) 5%
2−HBB(2F,3F)−O2 (7−1) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (7−1) 9%
5−HBB(2F,3F)−O2 (7−1) 9%
3−HHB−1 (14−1) 3%
3−HHB−3 (14−1) 4%
3−HHB−O1 (14−1) 3%
【0309】
[使用例11]
4O−BB(F)TB(F,F)XB(F,F)−CF3
(1−6−86) 5%
2−HH−3 (13−1) 21%
3−HH−4 (13−1) 9%
1−BB−3 (13−8) 9%
3−HB−O2 (13−5) 2%
3−BB(2F,3F)−O2 (6−3) 9%
5−BB(2F,3F)−O2 (6−3) 6%
2−HH1OB(2F,3F)−O2(7−5) 11%
3−HH1OB(2F,3F)−O2(7−5) 18%
3−HHB−1 (14−1) 5%
3−HHB−O1 (14−1) 3%
5−B(F)BB−2 (14−8) 2%
【0310】
[使用例12]
5−B(F)B(F,F)XB(F)TB(F,F)−F
(1−8−35) 5%
2−HH−3 (13−1) 16%
7−HB−1 (13−5) 10%
5−HB−O2 (13−5) 8%
3−HB(2F,3F)−O2 (6−1) 15%
5−HB(2F,3F)−O2 (6−1) 15%
3−HHB(2F,3CL)−O2 (7−12) 3%
4−HHB(2F,3CL)−O2 (7−12) 3%
3−HH1OCro(7F,8F)−5
(10−6) 5%
5−HBB(F)B−2 (15−5) 10%
5−HBB(F)B−3 (15−5) 10%
【0311】
[使用例13]
5−B(F)TB(F,F)XB(F,F)−F
(1−4−10) 5%
2−HH−3 (13−1) 6%
3−HH−V1 (13−1) 10%
1V2−HH−1 (13−1) 8%
1V2−HH−3 (13−1) 7%
3−BB(2F,3F)−O2 (6−3) 8%
5−BB(2F,3F)−O2 (6−3) 4%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (6−5) 7%
2−HH1OB(2F,3F)−O2(7−5) 7%
3−HH1OB(2F,3F)−O2(7−5) 17%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (7−3) 6%
3−HHB−1 (14−1) 3%
3−HHB−3 (14−1) 2%
2−BB(2F,3F)B−3 (8−1) 10%
【0312】
[使用例14]
5−BTB(F)B(F,F)XB(F,F)−F
(1−5−50) 3%
3−GB(F)B(F,F)XB(F,F)−F
(4−57) 5%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F
(4−47) 3%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F
(4−47) 4%
5−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F
(4−47) 3%
3−HH−V (13−1) 41%
3−HH−V1 (13−1) 7%
3−HHEH−5 (14−13) 3%
3−HHB−1 (14−1) 4%
V−HHB−1 (14−1) 5%
V2−BB(F)B−1 (14−6) 5%
1V2−BB―F (2−1) 3%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F
(3−97) 6%
3−GB(F,F)XB(F,F)−F
(3−113) 5%
3−HHBB(F,F)−F (4−6) 3%
NI=82.2℃;Δn=0.105;Δε=7.5;η=12.9mPa・s.
【0313】
[使用例15]
5−BTB(F)B(F,F)XB(F,F)−CF3
(1−5−56) 5%
2−HB−C (5−1) 5%
3−HB−C (5−1) 11%
3−HB−O2 (13−5) 14%
2−BTB−1 (13−10) 3%
3−HHB−F (3−1) 4%
3−HHB−1 (14−1) 8%
3−HHB−O1 (14−1) 4%
3−HHB−3 (14−1) 14%
3−HHEB−F (3−10) 3%
5−HHEB−F (3−10) 4%
2−HHB(F)−F (3−2) 7%
3−HHB(F)−F (3−2) 6%
5−HHB(F)−F (3−2) 7%
3−HHB(F,F)−F (3−3) 5%
NI=100.2℃;Δn=0.106;Δε=6.8;η=22.3mPa・s.
【0314】
[使用例16]
4−BTB(F)B(F,F)XB(F,F)−F
(1−5−49) 6%
3−HB−CL (2−2) 12%
3−HH−4 (13−1) 12%
3−HB−O2 (13−5) 8%
3−HHB(F,F)−F (3−3) 3%
3−HBB(F,F)−F (3−24) 29%
5−HBB(F,F)−F (3−24) 22%
5−HBB(F)B−2 (15−5) 4%
5−HBB(F)B−3 (15−5) 4%
NI=71.0℃;Δn=0.122;Δε=7.2;η=21.5mPa・s.
【0315】
[使用例17]
4O−BTB(F)B(F,F)XB(F,F)−F
(1−5−54) 4%
7−HB(F,F)−F (2−4) 3%
3−HB−O2 (13−5) 7%
2−HHB(F)−F (3−2) 10%
3−HHB(F)−F (3−2) 10%
5−HHB(F)−F (3−2) 9%
2−HBB(F)−F (3−23) 9%
3−HBB(F)−F (3−23) 8%
5−HBB(F)−F (3−23) 15%
2−HBB−F (3−22) 4%
3−HBB−F (3−22) 4%
5−HBB−F (3−22) 3%
3−HBB(F,F)−F (3−24) 4%
5−HBB(F,F)−F (3−24) 10%
NI=87.4℃;Δn=0.121;Δε=7.0;η=27.1mPa・s.
【0316】
[使用例18]
4O−BTB(F)B(F,F)XB(F,F)−CF3
(1−5−57) 5%
5−HB−CL (2−2) 16%
3−HH−4 (13−1) 12%
3−HH−5 (13−1) 3%
3−HHB−F (3−1) 3%
3−HHB−CL (3−1) 3%
4−HHB−CL (3−1) 4%
3−HHB(F)−F (3−2) 9%
4−HHB(F)−F (3−2) 8%
5−HHB(F)−F (3−2) 9%
7−HHB(F)−F (3−2) 8%
5−HBB(F)−F (3−23) 3%
1O1−HBBH−5 (15−1) 3%
3−HHBB(F,F)−F (4−6) 2%
4−HHBB(F,F)−F (4−6) 3%
5−HHBB(F,F)−F (4−6) 3%
3−HH2BB(F,F)−F (4−15) 3%
4−HH2BB(F,F)−F (4−15) 3%
NI=115.3℃;Δn=0.100;Δε=6.0;η=22.3mPa・s.
【0317】
[使用例19]
5−B(F,F)TB(F)B(F,F)XB(F,F)−CF3
(1−5−23) 3%
5−HB−F (2−2) 12%
6−HB−F (2−2) 9%
7−HB−F (2−2) 7%
2−HHB−OCF3 (3−1) 7%
3−HHB−OCF3 (3−1) 6%
4−HHB−OCF3 (3−1) 7%
5−HHB−OCF3 (3−1) 5%
3−HH2B−OCF3 (3−4) 3%
5−HH2B−OCF3 (3−4) 4%
3−HHB(F,F)−OCF2H (3−3) 4%
3−HHB(F,F)−OCF3 (3−3) 4%
3−HH2B(F)−F (3−5) 3%
3−HBB(F)−F (3−23) 10%
5−HBB(F)−F (3−23) 10%
5−HBBH−3 (15−1) 3%
3−HB(F)BH−3 (15−2) 3%
NI=85.2℃;Δn=0.096;Δε=6.1;η=16.2mPa・s.
【0318】
[使用例20]
4O−B(F)TB(F)B(F,F)XB(F,F)−CF3
(1−5−31) 5%
5−HB−CL (2−2) 11%
3−HH−4 (13−1) 7%
3−HHB−1 (14−1) 5%
3−HHB(F,F)−F (3−3) 7%
3−HBB(F,F)−F (3−24) 19%
5−HBB(F,F)−F (3−24) 14%
3−HHEB(F,F)−F (3−12) 10%
4−HHEB(F,F)−F (3−12) 3%
5−HHEB(F,F)−F (3−12) 3%
2−HBEB(F,F)−F (3−39) 3%
3−HBEB(F,F)−F (3−39) 5%
5−HBEB(F,F)−F (3−39) 3%
3−HHBB(F,F)−F (4−6) 5%
NI=81.7℃;Δn=0.111;Δε=11.2;η=26.2mPa・s.
【0319】
[使用例21]
5−BB(F,F)TB(F,F)XB(F,F)−CF3
(1−6−49) 3%
3−HB−CL (2−2) 6%
5−HB−CL (2−2) 3%
3−HHB−OCF3 (3−1) 5%
3−H2HB−OCF3 (3−13) 5%
5−H4HB−OCF3 (3−19) 15%
V−HHB(F)−F (3−2) 5%
3−HHB(F)−F (3−2) 4%
5−HHB(F)−F (3−2) 4%
3−H4HB(F,F)−CF3 (3−21) 8%
5−H4HB(F,F)−CF3 (3−21) 10%
5−H2HB(F,F)−F (3−15) 5%
5−H4HB(F,F)−F (3−21) 7%
2−H2BB(F)−F (3−26) 5%
3−H2BB(F)−F (3−26) 10%
3−HBEB(F,F)−F (3−39) 5%
NI=70.8℃;Δn=0.102;Δε=9.9;η=26.6mPa・s.
【0320】
[使用例22]
5−B(F)BTB(F,F)XB(F,F)−F
(1−6−62) 4%
5−HB−CL (2−2) 17%
7−HB(F,F)−F (2−4) 3%
3−HH−4 (13−1) 10%
3−HH−5 (13−1) 4%
3−HB−O2 (13−5) 14%
3−HHB−1 (14−1) 7%
3−HHB−O1 (14−1) 5%
2−HHB(F)−F (3−2) 7%
3−HHB(F)−F (3−2) 6%
5−HHB(F)−F (3−2) 7%
3−HHB(F,F)−F (3−3) 6%
3−H2HB(F,F)−F (3−15) 5%
4−H2HB(F,F)−F (3−15) 5%
NI=82.2℃;Δn=0.105;Δε=7.5;η=12.9mPa・s.
【0321】
[使用例23]
5−B(F)BTB(F,F)XB(F,F)−F
(1−6−66) 3%
5−HB−CL (2−2) 3%
7−HB(F)−F (2−3) 7%
3−HH−4 (13−1) 9%
3−HH−5 (13−1) 10%
3−HB−O2 (13−5) 13%
3−HHEB−F (3−10) 8%
5−HHEB−F (3−10) 7%
3−HHEB(F,F)−F (3−12) 8%
4−HHEB(F,F)−F (3−12) 5%
3−GHB(F,F)−F (3−109) 5%
4−GHB(F,F)−F (3−109) 6%
5−GHB(F,F)−F (3−109) 7%
2−HHB(F,F)−F (3−3) 4%
3−HHB(F,F)−F (3−3) 5%
NI=71.1℃;Δn=0.072;Δε=6.9;η=19.6mPa・s.
【0322】
[使用例24]
5−PyB(F)TB(F,F)XB(F,F)−F
(1−6−92) 5%
3−HB−O1 (13−5) 14%
3−HH−4 (13−1) 5%
3−HB−O2 (13−5) 2%
3−HB(2F,3F)−O2 (6−1) 10%
5−HB(2F,3F)−O2 (6−1) 12%
2−HHB(2F,3F)−1 (7−1) 10%
3−HHB(2F,3F)−1 (7−1) 12%
3−HHB(2F,3F)−O2 (7−1) 11%
5−HHB(2F,3F)−O2 (7−1) 13%
3−HHB−1 (14−1) 6%
NI=88.0℃;Δn=0.097;Δε=−3.1;η=36.8mPa・s.
【0323】
[使用例25]
3−B(F)TB(F,F)XB(F)B(F,F)−F
(1−7−32) 3%
2−HH−5 (13−1) 3%
3−HH−4 (13−1) 15%
3−HH−5 (13−1) 4%
3−HB−O2 (13−5) 12%
3−H2B(2F,3F)−O2 (6−4) 14%
5−H2B(2F,3F)−O2 (6−4) 14%
3−HHB(2F,3CL)−O2 (7−12) 5%
2−HBB(2F,3F)−O2 (7−7) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (7−7) 8%
5−HBB(2F,3F)−O2 (7−7) 9%
3−HHB−1 (14−1) 3%
3−HHB−3 (14−1) 4%
3−HHB−O1 (14−1) 3%
NI=76.5℃;Δn=0.097;Δε=−3.9;η=20.4mPa・s.
【0324】
[使用例26]
5−B(F)B(F,F)XB(F,F)TB(F,F)−F
(1−8−9) 3%
2−HH−3 (13−1) 21%
3−HH−4 (13−1) 9%
1−BB−3 (13−8) 9%
3−HB−O2 (13−5) 2%
3−BB(2F,3F)−O2 (6−3) 9%
5−BB(2F,3F)−O2 (6−3) 6%
2−HH1OB(2F,3F)−O2(7−5) 12%
3−HH1OB(2F,3F)−O2(7−5) 20%
3−HHB−1 (14−1) 4%
3−HHB−O1 (14−1) 3%
5−B(F)BB−2 (14−6) 2%
NI=82.2℃;Δn=0.105;Δε=7.5;η=12.9mPa・s.
【0325】
[使用例27]
5−B(F)TB(F)TB(F,F)XB(F,F)−F
(1−10−24) 5%
1−BB−3 (13−8) 9%
3−HH−V (13−1) 29%
3−BB(2F,3F)−O2 (6−3) 12%
2−HH1OB(2F,3F)−O2(7−5) 19%
3−HH1OB(2F,3F)−O2(7−5) 13%
3−HHB−1 (14−1) 7%
5−B(F)BB−2 (14−6) 6%
NI=77.1℃;Δn=0.116;Δε=−2.8;η=16.5mPa・s.
【0326】
[使用例28]
5−BTB(F,F)XB(F,F)−F
(1−4−32) 5%
1V2−BEB(F,F)−C (5−15) 5%
3−HB−C (5−1) 17%
2−BTB−1 (13−10) 10%
5−HH−VFF (13−1) 29%
3−HHB−1 (14−1) 4%
VFF−HHB−1 (14−1) 8%
VFF2−HHB−1 (14−1) 10%
3−H2BTB−2 (14−17) 5%
3−H2BTB−3 (14−17) 3%
3−H2BTB−4 (14−17) 4%
NI=78.9℃;Δn=0.132;Δε=7.2;η=12.4mPa・s.
【0327】
[使用例29]
5−B(F,F)TB(F)B(F,F)XB(F,F)−CF3
(1−5−23) 2%
4O−BTB(F,F)XB(F)B(F,F)−F
(1−7−90) 1%
5−HB(F)B(F,F)XB(F,F)−F
(4−41) 5%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F
(4−47) 3%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F
(4−47) 7%
5−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F
(4−47) 3%
3−HH−V (13−1) 38%
3−HH−V1 (13−1) 7%
3−HHEH−5 (14−13) 3%
3−HHB−1 (14−1) 4%
V−HHB−1 (14−1) 5%
V2−BB(F)B−1 (14−6) 5%
1V2−BB―F (13−8) 3%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F
(3−97) 11%
3−HHBB(F,F)−F (4−6) 3%
【産業上の利用可能性】
【0328】
本発明の液晶性化合物は、優れた物性を有する。この化合物を含有する液晶組成物は、パソコン、テレビなどに用いる液晶表示素子に広く利用できる。