(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に用いるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、中心に亜鉛金属を配し、ハロゲン以外の置換基が置換してもよいフタロシアニン環に、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素から選ばれるハロゲン原子が少なくとも1つ以上置換された化合物であり、各置換基の合計数は最大16個である。ハロゲン及びハロゲン以外の置換基で置換されていない部分は、水素原子であるものを指す。
なかでも、本発明に用いるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、色再現範囲の広いカラーフィルタを設計する観点から、1分子中にハロゲン原子を平均10〜14個有し、このうち臭素原子数が平均8〜12個であり、塩素原子数が平均2〜5個であるものが好ましい。
【0013】
本発明に用いる顔料誘導体は、上記一般式(1)で表すことができる。
なかでも、緑色カラーフィルタの主顔料と顔料誘導体の色相を類似させる観点から、前記顔料誘導体は、前記一般式(1)中、Z
1〜Z
16が臭素原子、塩素原子、水素原子又はスルホ基の何れかを有し、かつ一分子中の平均で、少なくともZ
1、Z
4、Z
5、Z
8、Z
9、Z
12、Z
13、Z
16から選ばれるいずれか2以上が塩素原子を有するものを用いることが好ましい。
【0014】
また、緑色カラーフィルタの主顔料と顔料誘導体の色相を類似させる観点から、前記顔料誘導体は、前記一般式(1)中、Z
1〜Z
16が臭素原子、塩素原子、水素原子またはスルホ基の何れかを有し、かつ一分子中の平均で、少なくともZ
1、Z
4、Z
5、Z
8、Z
9、Z
12、Z
13、Z
16から選ばれるいずれか2以上が臭素原子を有するものを用いることも好ましい。
なお、Z
1、Z
4、Z
5、Z
8、Z
9、Z
12、Z
13、Z
16の位置に塩素原子又は臭素原子が入ると色相が緑味化することは、特開2010−189528に記載されている。
【0015】
顔料誘導体の色相を、主顔料の色相により類似させる観点から、Z
1〜Z
16に一分子中の平均で、ハロゲン原子を10〜14個、臭素原子を8〜12個、塩素原子を2〜5個含有するものであることがより好ましい。
【0016】
上記のような本発明の顔料組成物は、従来からあるような顔料と同系統骨格の顔料誘導体との単純な組み合わせによるものではなく、次のような思想に基づき、本発明を完成させた。
【0017】
(A)まず、一般的な有機顔料は分子全体として高度な共役系が形成されており、平面的な構造となるのがエネルギー的に安定である。この平面状の各分子が積層されるように(平行に)配置すると、各分子間が有する共役系のπ電子が重なり合うため、より安定な状態になる。本発明で用いる一般式(1)で表される顔料誘導体は、フタロシアニン環を有するため平面的構造であり、有機顔料の平面構造との間に相互作用が働きやすい。さらに、主顔料がハロゲン化フタロシアニン顔料である場合には、誘導体のπ電子との間にハロゲン−π相互作用が特に働きやすいと考えられる。このような特定の顔料誘導体を有機顔料の分散工程で共存させると、分散時に新たに発生するハロゲン化フタロシアニン顔料の活性な表面に誘導体が効率的に吸着すると考えられる。また、極性基であるスルホ基によりハロゲン化フタロシアニン顔料を微細な状態で分散安定化できるようになるため、輝度を向上させることができる。ここで、本発明のスルホン化フタロシアニン誘導体は顔料化時に加えても良いし、分散時に加えても良好な効果を発揮することができるが、顔料化工程で共存させると、ハロゲン化フタロシアニン顔料の分子間に入り込み、一次粒子を微細に保持させることができるため、本発明のスルホン化フタロシアニン誘導体は、分散時に添加した場合よりも、顔料化時に共存させた方がはるかに大きな輝度改良を実現できる。
(B)さらに、顔料と誘導体の吸収スペクトルの重なり方にも着目して本発明を完成するに至った。緑色画素のカラーフィルタにおいて明るく鮮明な表示を得るためには、510nmから560nmまでの透過率を高くすることが特に好ましい。この狭い波長域のみを透過するカラーフィルタを設計するために、緑色顔料と黄色顔料とを組み合わせて使用するため、緑色顔料に処理される顔料誘導体は、510〜560nmにおいて緑色顔料の透過波長と類似する組合せとすることが好ましい。
(C)また、430nmから460nmの透過率が高いと、色度y値が大幅に低下し、緑の鮮明さが大きく損なわれてしまうため、この波長範囲の透過率は低いほうが好ましいことが特開平8−240708に記載されている。色度y値が低い場合には膜厚を厚くして色度y値を高くする必要があるが、膜厚を厚くすると輝度が低下してしまう。したがって、430nmから460nmの透過率がなるべく低くなるような顔料誘導体の選択が必要である。特に、カラーフィルタの緑色画素は、緑色顔料に対してキノフタロン系黄色顔料であるC.I.ピグメントイエロー138(Y138)を組み合わせて用いることが一般的である。Y138は、460nmあたりで吸収帯から透過帯へ移行すると特開2015−26077に記載があることから、460nmよりも短波長の吸収を作り出すことはできるが長波長側の吸収を作るには不向きであるため、緑顔料に処理される誘導体の460nmの透過率は低いほうが好ましい。
【0018】
このような上記(B)及び(C)の観点から、上記式(1)中の中心金属Mは、Al、Znが好ましく、なかでも、Znであることが好ましい。(C)の観点を詳述すれば、顔料誘導体として上記式(1)中の中心金属Mが、Alのものを用いるよりも、Znのものを用いた方が、430nm〜460nmにおける透過率が低いので、輝度の高い顔料組成物を作製することができる。
【0019】
このような顔料誘導体は、例えば、以下のような従来公知の方法により得ることができる。即ち、フタロシアニンまたはハロゲン化フタロシアニンを硫酸に溶解し、100℃以上に加熱するか、あるいは発煙硫酸に溶解して低温度で処理することにより得ることができる。なお、厳しい反応条件でフタロシアニン環へのスルホ基の導入を行うと、硫酸または発煙硫酸によりフタロシアニン環が酸化分解し、顔料誘導体の純度が低下してしまう。より純度の高い顔料誘導体を用いる観点から、前記一般式(1)中、一分子中の平均で、スルホ基の平均置換基数が0.1〜4個であることが好ましく、0.5〜2個であることがより好ましい。
【0020】
スルホ基は、スルホン酸であっても、塩の状態であってもよい。塩を形成する対イオンの例としては、アンモニウムイオン、1〜3価の金属イオン(具体例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン、アルミニウムイオンなどが挙げられる)及び有機カチオン(具体例としては、エチルアンモニウムイオン、ブチルアンモニウムイオン等のモノアルキルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン等のジアルキルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン等のトリアルキルアンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン等のアルカノールアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオンなどが挙げられる)が含まれる。特にカラーフィルタ製造における現像工程での顔料誘導体の溶出量を低減させることができる点で、本発明における顔料誘導体のスルホ基は、スルホン酸または有機カチオン塩であることが好ましい。
【0021】
本発明において、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の平均ハロゲン原子数は、質量分析により求めることができる。質量分析は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析計(日本電子株式会社製JMS−S3000)を用いて行い、分子量がQであることが既知の化合物の質量分析を行った際に、m/z=Qが検出されるように、各測定パラメータを設定する。本発明では、分子量1840の既知化合物の質量分析を行った際に、m/z=1840が検出されるようにJMS−S3000の設定を調節した。なお、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料0.5mgをテトラヒドロフラン1mLに分散させた懸濁液1μLを用いて質量分析を行った。
【0022】
本発明において、顔料誘導体の平均スルホン化率は、高速液体クロマトグラフ質量分析計(島津製作所製LC−MS−8040)により求めることができる。顔料誘導体をジメチルスルホキシドで定容し、10mmol/L炭酸水素アンモニウム水溶液/メタノール/テトラヒドロフランの混合溶媒を移動相としてグラジエント溶離したプロファイルを使用した。得られたピークは質量分析(イオン化モード:DUIS)によりそれぞれ定性し、スルホン化率はピーク面積比により算出した。
【0023】
また、本発明の前記顔料誘導体において、前記一般式(1)中、Z
1、Z
4、Z
5、Z
8、Z
9、Z
12、Z
13、Z
16のハロゲン置換基数m、及びZ
2、Z
3、Z
6、Z
7、Z
10、Z
11、Z
14、Z
15のハロゲン置換基数nは、顔料誘導体を硫酸セリウムで分解してフタルイミド類とした後に、得られたフタルイミド類を液体クロマトグラフィーで分析することで求められる。液体クロマトグラフィーの結果得られた、全フタルイミド類の合計モル濃度をa、3位または6位にハロゲンを有するフタルイミド類の合計モル濃度をb(3,6位両方にハロゲンを有するフタルイミド類の場合はそのフタルイミド類のモル濃度は実測の2倍として計算する)、4位または5位にハロゲンを有するフタルイミド類の合計モル濃度をc(4,5位両方にハロゲンを有するフタルイミド類の場合はそのフタルイミド類のモル濃度は実測の2倍として計算する)とした場合、m=4×b/a、n=4×c/aとして計算される。なお、液体クロマトグラフィー分析でもm、nを求められるが、仕込原料を制御することでm、nを自由に決定できる。例えば、3−クロロフタル酸無水物を原料として合成したテトラクロロ亜鉛フタロシアニンをスルホン化して得られる顔料誘導体は、m=4、n=0である。また、4−クロロフタル酸無水物を原料として合成したテトラクロロ亜鉛フタロシアニンをスルホン化して得られる顔料誘導体は、m=0、n=4である。
【0024】
また、本発明において顔料誘導体の平均ハロゲン原子数は、前述のマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析計を用いた質量分析により求めることができる。
【0025】
本発明の顔料誘導体は、粗顔料の合成時や顔料化の後に加えてもよいが、顔料化時に粗顔料とともに顔料化することもできる。また、カラーフィルタ用分散液やカラーフィルタ用レジストインキの分散性が増し輝度が向上するので、分散時やレジスト作製時に顔料誘導体を添加することもできる。本発明で用いる顔料誘導体は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の分子間に入り込み一次粒子を微細に保持できるため、顔料化時に顔料誘導体を加えて、粗顔料とともに顔料化するのが好ましい。
【0026】
上記、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と前記式(1)で表される顔料誘導体とを含有する顔料組成物は、必要に応じてアトライター、ボールミル、振動ミル、振動ボールミル等の粉砕機内で乾式磨砕し、ついで、ソルベントソルトミリング法やソルベントボイリング法等で顔料化することによって、顔料化前よりも分散性や着色力に優れ、かつ、明度の高い緑色を発色する顔料が得られる。
【0027】
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と前記式(1)で表される顔料誘導体との割合は、特に限定しないが質量換算でハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料100部あたり前記式(1)で表される顔料誘導体を0.1〜10部含有することが、該顔料組成物をカラーフィルタとして使用した時に、厚膜化することなく輝度を向上できるため好ましい。
【0028】
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と前記式(1)で表される顔料誘導体からなる緑色顔料組成物の顔料化方法には特に制限はなく、例えば、顔料化前のハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と前記式(1)で表される顔料誘導体とを含有する顔料組成物を分散媒に分散させると同時に顔料化を行ってもよいが、多量の有機溶剤中でハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と前記式(1)で表される顔料誘導体からなる顔料組成物を加熱攪拌するソルベント処理よりも、容易に結晶成長を抑制でき、かつ比表面積の大きい顔料粒子が得られる点で、ソルベントソルトミリング処理を採用するのが好ましい。
【0029】
このソルベントソルトミリングとは、合成直後またはその後に磨砕を行った、顔料化を経ていないハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と前記式(1)で表される顔料誘導体からなる顔料組成物と、無機塩と、有機溶剤とを混練磨砕することを意味する。この際の混練機としては、例えばニーダー、ミックスマーラー、トリミックス、二軸押出機等が使用できる。
【0030】
上記無機塩としては、水溶性無機塩が好適に使用でき、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を用いることが好ましい。また、平均粒子径0.5〜50μmの無機塩を用いることがより好ましい。この様な無機塩は、通常の無機塩を微粉砕することにより容易に得られる。
【0031】
本発明では、一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.10μmのハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と前記式(1)で表される顔料誘導体と、からなる顔料組成物をカラーフィルタ用途に用いるのが好ましい。本発明における前記した好ましい粒子径を得るに当たっては、ソルベントソルトミリングにおける粗顔料使用量に対する無機塩使用量を高くするのが好ましい。即ち当該無機塩の使用量は、粗顔料1質量部に対して5〜20質量部とするのが好ましく、7〜15質量部とするのがより好ましい。
【0032】
有機溶剤としては、結晶成長を抑制し得る有機溶剤を使用することが好ましく、このような有機溶剤としては水溶性有機溶剤が好適に使用でき、例えばジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2ー(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール等を用いることができる。当該水溶性有機溶剤の使用量は、特に限定されるものではないが、粗顔料1質量部に対して0.01〜5質量部が好ましい。
【0033】
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と前記式(1)で表される顔料誘導体からなる顔料組成物をソルベントソルトミリングにより製造する場合は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料および前記式(1)で表される顔料誘導体をそれぞれソルベントソルトミリングして、後に合わせても構わないし、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と前記式(1)で表されるフタロシアニン顔料誘導体とを同時に装置内で混合して、ソルベントソルトミリングすることもできる。カラーフィルタによる光学特性評価においては、どちらの方法でも輝度を向上できる点で大差はない。
【0034】
本発明の顔料組成物は、前記した通り、従来のハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と同様、380〜780nmにおける分光透過スペクトルの透過率が最大となる波長(Tmax)は、500〜525nmであり、その透過曲線の半値幅が110nm以下と非常にシャープである(この波長は、後述するような感光性樹脂による影響を受けない)。
【0035】
カラーフィルタ評価における分光透過スペクトルとは、日本工業規格JIS Z 8722(色の測定方法−反射及び透過物体色)の第一種分光測光器に準じて求められるもので、ガラス基板等の上に前記所定乾燥膜厚に製膜した顔料組成物を含む樹脂被膜について所定波長領域の光を走査照射して、各波長における各透過率値をプロットしたものである。
ここで、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を用いて極大透過波長における分光透過率が70%になるように形成した塗膜の510nm〜560nmの透過率の積分値をD1とし、前記一般式(1)で表される顔料誘導体を酸化アルミニウムに担持させて得られる誘導体担持体を用いて極大透過波長における分光透過率が70%になるように形成した塗膜の510nm〜560nmの透過率の積分値をD2とした際に、D1とD2の比率(D2/D1)が0.7以上となる分光特性を有するカラーフィルタ用顔料組成物であることが、顔料誘導体による緑色カラーフィルタの輝度低下を最小限にとどめることができるため好ましい。また、より輝度の高い緑色カラーフィルタを設計するために、D1とD2の比率(D2/D1)が1.0以上となる分光特性を有するカラーフィルタ用顔料組成物であることがより好ましく、D1とD2の比率(D2/D1)が1.2以上となる分光特性を有するカラーフィルタ用顔料組成物であることがさらに好ましい。
そして、前記一般式(1)で表される顔料誘導体を酸化アルミニウムに担持させて得られる誘導体担持体を用いて極大透過波長における分光透過率が70%になるように形成した塗膜の460nmにおける透過率が60%以下となる分光特性を有するカラーフィルタ用顔料組成物であることが、色度yの低下が抑制された色再現性の高い緑色カラーフィルタを作製できるため好ましい。また、より色再現性の高い緑色カラーフィルタを設計するために、460nmにおける透過率が55%以下となる分光特性を有するカラーフィルタ用顔料組成物であることがより好ましく、460nmにおける透過率が50%以下となる分光特性を有するカラーフィルタ用顔料組成物であることがさらに好ましい。
【0036】
本発明の顔料組成物は、それだけをそのままカラーフィルタの緑色画素部の製造に用いることができるが、必要に応じて、他の緑色顔料などを併用して用いても良い。
【0037】
また、緑色顔料の他に、特性を発現させるため調色用に黄色顔料を使用することがある。ここで併用できる黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー83、同110、同129、同138、同139、同150、同180、同185、同231等の黄色有機顔料が挙げられる。本発明のハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料組成物と黄色顔料との併用割合は、前記ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料組成物100質量部当たり、黄色顔料が1〜200質量部である。
【0038】
(カラーフィルタ)
本発明の顔料組成物を用いて緑色画素を形成することで、カラーフィルタを得ることができる。
【0039】
(カラーフィルタの製造方法)
本発明の顔料組成物は、公知の方法でカラーフィルタの緑色画素部のパターンの形成に用いることができる。典型的には、本顔料組成物と、感光性樹脂とを必須成分して含むカラーフィルタ緑色画素部用感光性組成物を得ることができる。
【0040】
カラーフィルタの製造方法としては、例えば、本発明のカラーフィルタ用顔料組成物を感光性樹脂からなる分散媒に分散させた後、スピンコート法、ロールコート法、スリットコート法、インクジェット法等でガラス等の透明基板上に塗布し、ついでこの塗布膜に対して、フォトマスクを介して紫外線によるパターン露光を行った後、未露光部分を溶剤等で洗浄して緑色パターンを得る、フォトリソグラフィーと呼ばれる方法等が挙げられる。
【0041】
その他の製造方法としては、例えば、電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(Photovoltaic Electrodeposition)法等の方法で緑色画素部のパターンを形成して、カラーフィルタを製造する方法等が挙げられる。なお、赤色画素部のパターン及び青色画素部のパターンも公知の顔料を使用して、同様の方法で形成できる。
【0042】
カラーフィルタ緑色画素部用感光性組成物を調製するには、例えば、本発明のカラーフィルタ用顔料組成物と、感光性樹脂と、光重合開始剤と、前記樹脂を溶解する有機溶剤とを必須成分として混合する。より具体的には、本発明の顔料組成物と有機溶剤と必要に応じて分散剤を用いて分散液を調製してから、そこに感光性樹脂等を加えて調製する方法が一般的である。
【0043】
前記分散剤としては、例えば、ビックケミー社のディスパービック(DISPERBYK、登録商標)130、同161、同162、同163、同170、同LPN−6919、同LPN−21116等が挙げられる。また、レベリング剤、カップリング剤、カチオン系の界面活性剤なども併せて使用してもよい。
【0044】
前記有機溶剤としては、例えばトルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物のようなカルバミン酸エステル、水等がある。有機溶剤としては、特にプロピオネート系、アルコール系、エーテル系、ケトン系、窒素化合物系、ラクトン系、水等の極性溶媒で水可溶のものが適している。
【0045】
本発明の顔料組成物100質量部当たり、300〜1000質量部の有機溶剤と、必要に応じて0〜100質量部の分散剤とを、均一となる様に攪拌分散して分散液を得ることができる。次いでこの分散液に、本発明の顔料組成物100質量部当たり、3〜20質量部の感光性樹脂、感光性樹脂1質量部当たり0.05〜3質量部の光重合開始剤と、必要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に攪拌分散してカラーフィルタ緑色画素部用感光性組成物を得ることができる。
【0046】
前記感光性樹脂としては、例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド酸系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等の熱可塑性樹脂や、例えば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマー、トリメチルロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等のような多官能モノマー等の光重合性モノマーが挙げられる。
【0047】
前記光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4'−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4'−アジドベンザル)−2−プロパン−2'−スルホン酸、4,4'−ジアジドスチルベン−2,2'−ジスルホン酸等が挙げられる。
【0048】
調製されたカラーフィルタ緑色画素部用感光性組成物は、フォトマスクを介して紫外線によるパターン露光を行った後、未露光部分を有機溶剤やアルカリ水等で洗浄することにより、カラーフィルタを得ることができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において特に断りがない場合は、「部」及び「%」は質量基準である。
また、後記する実施例で使用した測定方法は以下の通り。
【0050】
[輝度の評価]
得られたカラーフィルタのC光源における色度x,y及び輝度を、分光光度計U−3900(株式会社日立ハイテクサイエンス製)で測定した。輝度は高いほど優れる。
【0051】
参考例1
300mlフラスコに、塩化スルフリル(和光純薬工業試薬)90g、塩化アルミニウム(関東化学試薬)105g、塩化ナトリウム(東京化成工業試薬)14g、DIC株式会社製 亜鉛フタロシアニン27g、臭素(和光純薬工業試薬)55gを仕込んだ。130℃まで昇温し、水に取り出した後、ろ過、水洗、乾燥することによりハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R1)を得た。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R1)について日本電子株式会社製JMS−S3000による質量分析を行い、平均塩素化率が2.9個、平均臭素化率が9.3個であることを確認した。なお、質量分析時のDelay Timeは510ns、Laser Intensityは40%、m/z=1820以上1860以下のピークのResolving Power Valueは65086であった。
このようにして得られたハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R1)40g、粉砕した塩化ナトリウム400g、ジエチレングリコール63gを双腕型ニーダーに仕込み、80℃で8時間混練した。混練後80℃の水2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、緑色顔料組成物(RG1)を得た。緑色顔料組成物(RG1) 2.48gを、ビックケミー社製BYK−LPN6919 1.24g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 1.86g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.92gと共に0.3〜0.4 mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物(RMG1)を得た。着色組成物(RMG1)4.0g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 0.98g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することで評価用組成物(RCG1)を得た。この評価用組成物(RCG1)をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、日立ハイテクサイエンス社製U−3900で分光透過スペクトルを測定した。なお、スピンコートする際にスピン回転数を調整することにより、極大透過率が70%となる分光透過スペクトルを測定した。透過スペクトル測定の際には、ソーダガラスを使用してベースライン補正を行った。510nm〜560nmの透過率の積分値が2511.6であり、460nmの透過率が8.79であった。
【0052】
参考例2
300mlフラスコに、塩化スルフリル(和光純薬工業試薬)91g、塩化アルミニウム(関東化学試薬)109g、塩化ナトリウム(東京化成工業試薬)15g、DIC株式会社製 亜鉛フタロシアニン30g、臭素(和光純薬工業試薬)230gを仕込んだ。130℃まで昇温し、水に取り出した後、ろ過、水洗、乾燥することによりハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R2)を得た。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R2)について日本電子株式会社製JMS−S3000による質量分析を行い、平均塩素化率が1.8個、平均臭素化率が13.2個であることを確認した。なお、質量分析時のDelay Timeは500ns、Laser Intensityは44%、m/z=1820以上1860以下のピークのResolving Power Valueは31804であった。
このようにして得られたハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R2)40g、粉砕した塩化ナトリウム400g、ジエチレングリコール63gを双腕型ニーダーに仕込み、80℃で8時間混練した。混練後80 ℃の水2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、緑色顔料組成物(RG2)を得た。緑色顔料組成物(RG2) 2.48gを、ビックケミー社製BYK−LPN6919 1.24g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 1.86g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.92gと共に0.3〜0.4 mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物(RMG2)を得た。着色組成物(RMG2)4.0g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 0.98g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することで評価用組成物(RCG2)を得た。この評価用組成物(RCG2)をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、日立ハイテクサイエンス社製U−3900で分光透過スペクトルを測定した。なお、スピンコートする際にスピン回転数を調整することにより、極大透過率が70%となる分光透過スペクトルを測定した。透過スペクトル測定の際には、ソーダガラスを使用してベースライン補正を行った。510nm〜560nmの透過率の積分値が2787.8であり、460nmの透過率が3.07であった。
【0053】
合成例1
98%の硫酸288gと30%発煙硫酸272gを10℃に冷却しながら攪拌し、DIC株式会社製 亜鉛フタロシアニン 70gを加えた。次いで、60℃で3時間攪拌した。反応液を水1750gに取り出し、1時間攪拌後に、ろ過、水洗、乾燥することにより、スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S1)を得た。スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S1)についてLC−MS測定により平均スルホン化率が1個であることを確認した。日本アエロジル社製酸化アルミニウム(AEROXIDE Alu C) 30gにエタノール100gを加えてよくかき混ぜた後、水2000gを加えて白色のスラリーを作製した。スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S1)1.5gを加え、水酸化カリウム水溶液でpH12に調整し、室温で2時間攪拌した。10%塩酸でpH3に調整し、室温でさらに1時間撹拌した後、ろ過、水洗、乾燥、粉砕することにより、誘導体担持体(A1)を得た。誘導体担持体(A1) 2.48gを、ビックケミー社製BYK−LPN6919 1.24g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 1.86g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.92gと共に0.3〜0.4 mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物(AMG1)を得た。着色組成物(AMG1)4.0g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 0.98g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することで評価用組成物(ACG1)を得た。この評価用組成物(ACG1)をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、日立ハイテクサイエンス社製U−3900で分光透過スペクトルを測定した。なお、スピンコートする際にスピン回転数を調整することにより、極大透過率が70%となる分光透過スペクトルを測定した。透過スペクトル測定の際には、ソーダガラスを使用してベースライン補正を行った。510nm〜560nmの透過率の積分値が1988.8であり、460nmの透過率が55.27であった。
【0054】
合成例2
1Lフラスコに3−クロロフタル酸無水物55g、フタル酸無水物45g、塩化亜鉛20g、尿素116g、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物600mg及びスルホラン250gを仕込み、190℃で5時間攪拌した。その後、加熱を停止し、放冷後濾過して、2−プロパノール780g、1%水酸化ナトリウム水溶液1000g、1%塩酸1000gを用いて洗浄した。水洗後、得られたウェットケーキを90℃で12時間乾燥し、青色固体のジクロロ亜鉛フタロシアニンを得た。95%の硫酸20gと30%発煙硫酸180gを10℃に冷却しながら攪拌し、ジクロロ亜鉛フタロシアニン20gを加えた。次いで、80℃で5時間攪拌した。反応液を水1000gに取り出し、30分間攪拌後に、ろ過、水洗、乾燥することにより、スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S2)を得た。スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S2)についてLC−MS測定により平均スルホン化率が1個、平均塩素化率が2個であることを確認した。日本アエロジル社製酸化アルミニウム(AEROXIDE Alu C) 30gにエタノール100gを加えてよくかき混ぜた後、水2000gを加えて白色のスラリーを作製した。スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S2)1.5gを加え、水酸化カリウム水溶液でpH12に調整し、室温で2時間攪拌した。10%塩酸でpH3に調整し、室温でさらに1時間撹拌した後、ろ過、水洗、乾燥、粉砕することにより、誘導体担持体(A2)を得た。誘導体担持体(A2) 2.48gを、ビックケミー社製BYK−LPN6919 1.24g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 1.86g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.92gと共に0.3〜0.4 mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物(AMG2)を得た。着色組成物(AMG2)4.0g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 0.98g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することで評価用組成物(ACG2)を得た。この評価用組成物(ACG2)をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、日立ハイテクサイエンス社製U−3900で分光透過スペクトルを測定した。なお、スピンコートする際にスピン回転数を調整することにより、極大透過率が70%となる分光透過スペクトルを測定した。透過スペクトル測定の際には、ソーダガラスを使用してベースライン補正を行った。510nm〜560nmの透過率の積分値が3054.6であり、460nmの透過率が57.47であった。
【0055】
合成例3
1Lフラスコに3−クロロフタル酸無水物111g、塩化亜鉛20g、尿素116g、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物600mg及びスルホラン250gを仕込み、190℃で5時間攪拌した。その後、加熱を停止し、放冷後濾過して、2−プロパノール780g、1%水酸化ナトリウム水溶液1000g、1%塩酸1000gを用いて洗浄した。水洗後、得られたウェットケーキを90℃で12時間乾燥し、青色固体のテトラクロロ亜鉛フタロシアニンを得た。30%発煙硫酸 131gを10℃に冷却しながら攪拌し、テトラクロロ亜鉛フタロシアニン15gを加えた。次いで、90℃で3時間攪拌した。反応液を水750gに取り出し、15分間攪拌後にろ過、水洗、乾燥することにより、スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S3)を得た。スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S3)についてLC−MS測定により平均スルホン化率が1.6個、平均塩素化率が4個であることを確認した。日本アエロジル社製酸化アルミニウム(AEROXIDE Alu C) 30gにエタノール100gを加えてよくかき混ぜた後、水2000gを加えて白色のスラリーを作製した。スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S3)1.5gを加え、水酸化カリウム水溶液でpH12に調整し、室温で2時間攪拌した。10%塩酸でpH3に調整し、室温でさらに1時間撹拌した後、ろ過、水洗、乾燥、粉砕することにより、誘導体担持体(A3)を得た。誘導体担持体(A3)2.48gを、ビックケミー社製BYK−LPN6919 1.24g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 1.86g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.92gと共に0.3〜0.4 mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物(AMG3)を得た。着色組成物(AMG3)4.0g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 0.98g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することで評価用組成物(ACG3)を得た。この評価用組成物(ACG3)をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、日立ハイテクサイエンス社製U−3900で分光透過スペクトルを測定した。なお、スピンコートする際にスピン回転数を調整することにより、極大透過率が70%となる分光透過スペクトルを測定した。透過スペクトル測定の際には、ソーダガラスを使用してベースライン補正を行った。510nm〜560nmの透過率の積分値が3065.8であり、460nmの透過率が53.41であった。
【0056】
合成例4
300mlフラスコに、塩化スルフリル(和光純薬工業試薬)54g、塩化アルミニウム(関東化学試薬)63g、塩化ナトリウム(東京化成工業試薬)8.6g、スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(A)17g、臭素(和光純薬工業試薬)87gを仕込んだ。130℃まで昇温し、水に取り出した後、ろ過、水洗、乾燥することによりスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S4)を得た。スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S4)について日本電子株式会社製JMS−S3000による質量分析を行い、平均スルホン化率が1個、平均塩素化率が2.2個、平均臭素化率が10.8個であることを確認した。なお、質量分析時のDelay Timeは275ns、Laser Intensityは42%、m/z=1820以上1860以下のピークのResolving Power Valueは42559であった。日本アエロジル社製酸化アルミニウム(AEROXIDE Alu C) 30gにエタノール100gを加えてよくかき混ぜた後、水2000gを加えて白色のスラリーを作製した。スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S4)1.5gを加え、水酸化カリウム水溶液でpH12に調整し、室温で2時間攪拌した。10%塩酸でpH3に調整し、室温でさらに1時間撹拌した後、ろ過、水洗、乾燥、粉砕することにより、誘導体担持体(A4)を得た。誘導体担持体(A4) 2.48gを、ビックケミー社製BYK−LPN6919 1.24g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 1.86g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.92gと共に0.3〜0.4 mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物(AMG4)を得た。着色組成物(AMG4)4.0g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 0.98g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することで評価用組成物(ACG4)を得た。この評価用組成物(ACG4)をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、日立ハイテクサイエンス社製U−3900で分光透過スペクトルを測定した。なお、スピンコートする際にスピン回転数を調整することにより、極大透過率が70%となる分光透過スペクトルを測定した。透過スペクトル測定の際には、ソーダガラスを使用してベースライン補正を行った。510nm〜560nmの透過率の積分値が3273.1であり、460nmの透過率が42.89であった。
【0057】
合成例5
1Lフラスコにフタロニトリル60gと1−クロルナフタレン300g及び塩化アルミニウム16gを仕込み、6時間還流下攪拌した。その後、加熱を停止し、200℃まで放冷後熱時濾過して、熱トルエン600g、アセトン300gを用いて洗浄した。得られたウェットケーキをトルエン250gに分散させ、3時間攪拌還流した。再度、熱時濾過をして、熱トルエン600g、アセトン300gを用いて洗浄した後、1500gのイオン交換水へ分散し、60℃で60分間加熱攪拌を加えた。濾過、水洗後50℃で真空乾燥し、青色固体のアルミニウムフタロシアニン(AlPc−Cl)を得た。アルミニウムフタロシアニン(AlPc−Cl)30gを濃硫酸1200gに温度を5℃に保ちながら徐々に溶解させ、この温度で1時間攪拌した。これを氷水6000gへ温度が5℃を超えないように攪拌しながら注加し、注加終了後さらに1時間攪拌した。濾過、水洗後、6500gのイオン交換水へ再分散し、再度濾過した。水洗後ウェットケーキを4%アンモニア水2500gに再分散して6時間還流下攪拌した。濾過後、ケーキをイオン交換水で洗浄した後、50℃で真空乾燥し、青色固体のアルミニウムフタロシアニン(AlPc−OH)を得た。98%の硫酸288gと30%発煙硫酸272gを10℃に冷却しながら攪拌し、アルミニウムフタロシアニン(AlPc−OH)70gを加えた。次いで、60℃で3時間攪拌した。反応液を水1750gに取り出し、1時間攪拌後に、ろ過、水洗、乾燥することにより、スルホン化アルミニウムフタロシアニン誘導体(S5)を得た。スルホン化アルミニウムフタロシアニン誘導体(S5)についてLC−MS測定により平均スルホン化率が1個であることを確認した。日本アエロジル社製酸化アルミニウム(AEROXIDE Alu C) 30gにエタノール100gを加えてよくかき混ぜた後、水2000gを加えて白色のスラリーを作製した。スルホン化アルミニウムフタロシアニン誘導体(S5)1.5gを加え、水酸化カリウム水溶液でpH12に調整し、室温で2時間攪拌した。10%塩酸でpH3に調整し、室温でさらに1時間撹拌した後、ろ過、水洗、乾燥、粉砕することにより、誘導体担持体(A5)を得た。誘導体担持体(A5) 2.48gを、ビックケミー社製BYK−LPN6919 1.24g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 1.86g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.92gと共に0.3〜0.4 mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物(AMG5)を得た。着色組成物(AMG5)4.0g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 0.98g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することで評価用組成物(ACG5)を得た。この評価用組成物(ACG5)をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、日立ハイテクサイエンス社製U−3900で分光透過スペクトルを測定した。なお、スピンコートする際にスピン回転数を調整することにより、極大透過率が70%となる分光透過スペクトルを測定した。透過スペクトル測定の際には、ソーダガラスを使用してベースライン補正を行った。510nm〜560nmの透過率の積分値が2757.5であり、460nmの透過率が64.24であった。
【0058】
合成例6
日本アエロジル社製酸化アルミニウム(AEROXIDE Alu C) 30gにエタノール100gを加えてよくかき混ぜた後、水2000gを加えて白色のスラリーを作製した。Solsperse 12000(日本ルーブリゾール株式会社製スルホン化銅フタロシアニン誘導体)1.5gを加え、水酸化カリウム水溶液でpH12に調整し、室温で2時間攪拌した。10%塩酸でpH3に調整し、室温でさらに1時間撹拌した後、ろ過、水洗、乾燥、粉砕することにより、誘導体担持体(A6)を得た。誘導体担持体(A6) 2.48gを、ビックケミー社製BYK−LPN6919 1.24g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 1.86g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.92gと共に0.3〜0.4 mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物(AMG6)を得た。着色組成物(AMG6)4.0g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 0.98g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することで評価用組成物(ACG6)を得た。この評価用組成物(ACG6)をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、日立ハイテクサイエンス社製U−3900で分光透過スペクトルを測定した。なお、スピンコートする際にスピン回転数を調整することにより、極大透過率が70%となる分光透過スペクトルを測定した。透過スペクトル測定の際には、ソーダガラスを使用してベースライン補正を行った。510nm〜560nmの透過率の積分値が1303.8であり、460nmの透過率が64.19であった。
【0059】
合成例7
1Lフラスコにスルホラン15g、四塩化チタン10g、フタル酸ジメチル200g、4−クロロフタル酸ナトリウム塩100g、20%発煙硫酸を31g仕込み、170℃で30分間加熱した後、尿素150g、塩化銅(I)9.5gを加えた。さらに、150℃で1時間、170℃で1時間、190℃で8時間加熱した。80℃まで冷却した後、水酸化ナトリウム60gを溶解させた700gの水に取り出した。85℃で1時間撹拌した後、2300gの水に撹拌しながら注ぎ込み、80℃で更に2時間撹拌した。ろ過、熱水洗浄を行った後、35%塩酸140gを溶解させた2300gの水に再スラリー化し、撹拌しながら70℃で1時間加熱した。ろ過、熱水洗浄を行った後、80℃で17時間乾燥することにより、青色固体のテトラクロロ銅フタロシアニンを得た。30%発煙硫酸 131gを10℃に冷却しながら攪拌し、テトラクロロ銅フタロシアニン15gを加えた。次いで、90℃で3時間攪拌した。反応液を水750gに取り出し、15分間攪拌後に、ろ過、水洗、乾燥することにより、スルホン化銅フタロシアニン誘導体(S7)を得た。スルホン化銅フタロシアニン誘導体(S7)についてLC−MS測定により平均スルホン化率が1個、平均塩素化率が4個であることを確認した。日本アエロジル社製酸化アルミニウム(AEROXIDE Alu C) 30gにエタノール100gを加えてよくかき混ぜた後、水2000gを加えて白色のスラリーを作製した。スルホン化銅フタロシアニン誘導体(S7)1.5gを加え、水酸化カリウム水溶液でpH12に調整し、室温で2時間攪拌した。10%塩酸でpH3に調整し、室温でさらに1時間撹拌した後、ろ過、水洗、乾燥、粉砕することにより、誘導体担持体(A7)を得た。誘導体担持体(A7) 2.48gを、ビックケミー社製BYK−LPN6919 1.24g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 1.86g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.92gと共に0.3〜0.4 mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物(AMG7)を得た。着色組成物(AMG7)4.0g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 0.98g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することで評価用組成物(ACG7)を得た。この評価用組成物(ACG7)をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、日立ハイテクサイエンス社製U−3900で分光透過スペクトルを測定した。なお、スピンコートする際にスピン回転数を調整することにより、極大透過率が70%となる分光透過スペクトルを測定した。透過スペクトル測定の際には、ソーダガラスを使用してベースライン補正を行った。510nm〜560nmの透過率の積分値が1401.9であり、460nmの透過率が64.60であった。
【0060】
製造例1
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R1) 36g、スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S1)4g、粉砕した塩化ナトリウム400g、ジエチレングリコール63gを双腕型ニーダーに仕込み、80℃で8時間混練した。混練後80℃の水2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、緑色顔料組成物(G1)を得た。
【0061】
製造例2
製造例1においてスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S1)をスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S2)に代えた以外は同様にして、緑色顔料組成物(G2)を得た。
【0062】
製造例3
製造例1においてスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S1)をスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S3)に代えた以外は同様にして、緑色顔料組成物(G3)を得た。
【0063】
製造例4
製造例1においてスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S1)をスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S4)に代えた以外は同様にして、緑色顔料組成物(G4)を得た。
【0064】
製造例5
製造例1においてスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S1)をスルホン化アルミニウムフタロシアニン誘導体(S5)に代えた以外は同様にして、緑色顔料組成物(G5)を得た。
【0065】
製造例6
製造例1においてスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S1)をスルホン化銅フタロシアニン誘導体(S7)に代えた以外は同様にして、緑色顔料組成物(G6)を得た。
【0066】
製造例7
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R1) 38g、スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S1)2g、粉砕した塩化ナトリウム400g、ジエチレングリコール63gを双腕型ニーダーに仕込み、80℃で8時間混練した。混練後80℃の水2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、緑色顔料組成物(G7)を得た。
【0067】
製造例8
製造例7においてスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S1)をスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S2)に代えた以外は同様にして、緑色顔料組成物(G8)を得た。
【0068】
製造例9
製造例7においてスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S1)をスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S3)に代えた以外は同様にして、緑色顔料組成物(G9)を得た。
【0069】
製造例10
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R2)36g、スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S3)4g、粉砕した塩化ナトリウム400g、ジエチレングリコール63gを双腕型ニーダーに仕込み、80℃で8時間混練した。混練後80℃の水2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、緑色顔料組成物(G10)を得た。
【0070】
製造例11
製造例10においてスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S3)をスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S4)に代えた以外は同様にして、緑色顔料組成物(G11)を得た。
【0071】
製造例12
製造例10においてスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S3)をSolsperse12000(日本ルーブリゾール株式会社製スルホン化銅フタロシアニン誘導体)に代えた以外は同様にして、緑色顔料組成物(G12)を得た。
【0072】
製造例13
ピグメントイエロー138(大日精化社製クロモファイン エロー6206EC) 1.65gを、DISPERBYK−161(ビックケミー社製) 3.85g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 11.00gと共に0.3〜0.4 mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物(MY1)を得た。着色組成物(MY1) 4.0g、ユニディックZL−295 0.98g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することで調色用組成物(TY1)を得た。
【0073】
実施例1
緑色顔料組成物(G1) 2.48gを、ビックケミー社製BYK−LPN6919 1.24g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 1.86g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.92gと共に0.3〜0.4 mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物(MG1)を得た。着色組成物(MG1)4.0g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 0.98g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG1)を得た。製造例13で作製した調色用組成物(TY1)と評価用組成物(CG1)を混合して得られる塗液をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、C光源における色度(x,y)=(0.250,0.615)を示す塗膜を作製した。日立ハイテクサイエンス社製U−3900で輝度を測定し、日立ハイテクサイエンス社製白色干渉顕微鏡VS1330で膜厚を測定した。
【0074】
実施例2
実施例1において緑色顔料組成物(G1)を緑色顔料組成物(G2)に代えた以外は同様にして評価用組成物(CG2)を得た。製造例13で作製した調色用組成物(TY1)と評価用組成物(CG2)を混合して得られる塗液をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、C光源における色度(x,y)=(0.250,0.615)を示す塗膜を作製した。日立ハイテクサイエンス社製U−3900で輝度を測定し、日立ハイテクサイエンス社製白色干渉顕微鏡VS1330で膜厚を測定した。
【0075】
実施例3
実施例1において緑色顔料組成物(G1)を緑色顔料組成物(G3)に代えた以外は同様にして評価用組成物(CG3)を得た。製造例13で作製した調色用組成物(TY1)と評価用組成物(CG3)を混合して得られる塗液をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、C光源における色度(x,y)=(0.250,0.615)を示す塗膜を作製した。日立ハイテクサイエンス社製U−3900で輝度を測定し、日立ハイテクサイエンス社製白色干渉顕微鏡VS1330で膜厚を測定した。
【0076】
実施例4
実施例1において緑色顔料組成物(G1)を緑色顔料組成物(G4)に代えた以外は同様にして評価用組成物(CG4)を得た。製造例13で作製した調色用組成物(TY1)と評価用組成物(CG4)を混合して得られる塗液をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、C光源における色度(x,y)=(0.250,0.615)を示す塗膜を作製した。日立ハイテクサイエンス社製U−3900で輝度を測定し、日立ハイテクサイエンス社製白色干渉顕微鏡VS1330で膜厚を測定した。
【0077】
実施例5
実施例1において緑色顔料組成物(G1)を緑色顔料組成物(G5)に代えた以外は同様にして評価用組成物(CG5)を得た。製造例13で作製した調色用組成物(TY1)と評価用組成物(CG5)を混合して得られる塗液をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、C光源における色度(x,y)=(0.250,0.615)を示す塗膜を作製した。日立ハイテクサイエンス社製U−3900で輝度を測定し、日立ハイテクサイエンス社製白色干渉顕微鏡VS1330で膜厚を測定した。
【0078】
実施例6
実施例1において緑色顔料組成物(G1)を緑色顔料組成物(G7)に代えた以外は同様にして評価用組成物(CG7)を得た。製造例13で作製した調色用組成物(TY1)と評価用組成物(CG7)を混合して得られる塗液をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、C光源における色度(x,y)=(0.250,0.615)を示す塗膜を作製した。日立ハイテクサイエンス社製U−3900で輝度を測定し、日立ハイテクサイエンス社製白色干渉顕微鏡VS1330で膜厚を測定した。
【0079】
実施例7
実施例1において緑色顔料組成物(G1)を緑色顔料組成物(G8)に代えた以外は同様にして評価用組成物(CG8)を得た。製造例13で作製した調色用組成物(TY1)と評価用組成物(CG8)を混合して得られる塗液をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、C光源における色度(x,y)=(0.250,0.615)を示す塗膜を作製した。日立ハイテクサイエンス社製U−3900で輝度を測定し、日立ハイテクサイエンス社製白色干渉顕微鏡VS1330で膜厚を測定した。
【0080】
実施例8
実施例1において緑色顔料組成物(G1)を緑色顔料組成物(G9)に代えた以外は同様にして評価用組成物(CG9)を得た。製造例13で作製した調色用組成物(TY1)と評価用組成物(CG9)を混合して得られる塗液をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、C光源における色度(x,y)=(0.250,0.615)を示す塗膜を作製した。日立ハイテクサイエンス社製U−3900で輝度を測定し、日立ハイテクサイエンス社製白色干渉顕微鏡VS1330で膜厚を測定した。
【0081】
実施例9
緑色顔料組成物(RG1) 2.23g、スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S1) 0.25gを、ビックケミー社製BYK−LPN6919 1.24g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 1.86g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.92gと共に0.3〜0.4 mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物(MG10)を得た。着色組成物(MG10)4.0g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 0.98g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG10)を得た。製造例13で作製した調色用組成物(TY1)と評価用組成物(CG10)を混合して得られる塗液をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、C光源における色度(x,y)=(0.250,0.615)を示す塗膜を作製した。日立ハイテクサイエンス社製U−3900で輝度を測定し、日立ハイテクサイエンス社製白色干渉顕微鏡VS1330で膜厚を測定した。
【0082】
実施例10
実施例9においてスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S1)をスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S2)に代えた以外は同様にして評価用組成物(CG11)を得た。製造例13で作製した調色用組成物(TY1)と評価用組成物(CG11)を混合して得られる塗液をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、C光源における色度(x,y)=(0.250,0.615)を示す塗膜を作製した。日立ハイテクサイエンス社製U−3900で輝度を測定し、日立ハイテクサイエンス社製白色干渉顕微鏡VS1330で膜厚を測定した。
【0083】
実施例11
実施例9においてスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S1)をスルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体(S3)に代えた以外は同様にして評価用組成物(CG12)を得た。製造例13で作製した調色用組成物(TY1)と評価用組成物(CG12)を混合して得られる塗液をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、C光源における色度(x,y)=(0.250,0.615)を示す塗膜を作製した。日立ハイテクサイエンス社製U−3900で輝度を測定し、日立ハイテクサイエンス社製白色干渉顕微鏡VS1330で膜厚を測定した。
【0084】
実施例12
実施例1において緑色顔料組成物(G1)を緑色顔料組成物(G10)に代えた以外は同様にして評価用組成物(CG13)を得た。製造例13で作製した調色用組成物(TY1)と評価用組成物(CG13)を混合して得られる塗液をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、C光源における色度(x,y)=(0.275,0.570)を示す塗膜を作製した。日立ハイテクサイエンス社製U−3900で輝度を測定し、日立ハイテクサイエンス社製白色干渉顕微鏡VS1330で膜厚を測定した。
【0085】
実施例13
実施例1において緑色顔料組成物(G1)を緑色顔料組成物(G11)に代えた以外は同様にして評価用組成物(CG14)を得た。製造例13で作製した調色用組成物(TY1)と評価用組成物(CG14)を混合して得られる塗液をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、C光源における色度(x,y)=(0.275,0.570)を示す塗膜を作製した。日立ハイテクサイエンス社製U−3900で輝度を測定し、日立ハイテクサイエンス社製白色干渉顕微鏡VS1330で膜厚を測定した。
【0086】
比較例1
実施例1において緑色顔料組成物(G1)を緑色顔料組成物(G6)に代えた以外は同様にして評価用組成物(CG6)を得た。製造例13で作製した調色用組成物(TY1)と評価用組成物(CG6)を混合して得られる塗液をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、C光源における色度(x,y)=(0.250,0.615)を示す塗膜を作製した。日立ハイテクサイエンス社製U−3900で輝度を測定し、日立ハイテクサイエンス社製白色干渉顕微鏡VS1330で膜厚を測定した。
【0087】
比較例2
実施例1において緑色顔料組成物(G1)を緑色顔料組成物(G12)に代えた以外は同様にして評価用組成物(CG12)を得た。製造例13で作製した調色用組成物(TY1)と評価用組成物(CG12)を混合して得られる塗液をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後に、C光源における色度(x,y)=(0.275,0.570)を示す塗膜を作製した。日立ハイテクサイエンス社製U−3900で輝度を測定し、日立ハイテクサイエンス社製白色干渉顕微鏡VS1330で膜厚を測定した。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
表1、2の通り、スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体、スルホン化アルミニウムフタロシアニン誘導体を使用したものは、スルホン化銅フタロシアニン誘導体を使用したものよりも輝度が高いことが確認された。また、膜厚が3.4μmよりも薄いものを◎、3.4μm以上3.6μm以下のものを○、3.6μmよりも厚いものを×として判定したところ、スルホン化亜鉛フタロシアニン誘導体、スルホン化アルミニウムフタロシアニン誘導体を使用したものは、◎もしくは○となった。
【0091】
本発明では、従来から使用されてきたスルホン化銅フタロシアニン(SOLSPERSE12000、スルホン化銅フタロシアニン誘導体(S7))よりもD2/D1が高くなる顔料誘導体を選択して使用しているため、輝度が高い。さらに、本発明では、従来から使用されてきたスルホン化銅フタロシアニン(SOLSPERSE12000、スルホン化銅フタロシアニン誘導体(S7))よりも460nmの透過率が低い顔料誘導体を選択して使用しているため、膜厚が薄い。
本発明が解決しようとする課題は、厚膜化することなく、輝度が向上したカラーフィルタを得るための顔料組成物を提供することにある。本発明は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と、下記一般式(1):
は、それぞれ独立して、臭素原子、塩素原子、水素原子又はスルホ基を表し、少なくともスルホ基の平均置換基数が0.1〜4個であり、MはAl、Si、Sc、Ti、V、Mg、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、In、Sn又はPbを表す。)で表される顔料誘導体と、を含有することを特徴とするカラーフィルタ用顔料組成物及びこれを画素部に有してなるカラーフィルタを提供することができる。