(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本開示の実施の形態について説明する。
【0010】
<一実施形態>
以下、本開示の一実施形態を図面に即して説明する。
【0011】
(1)基板処理装置の構成
まず、一実施形態に係る基板処理装置について説明する。
【0012】
本実施形態に係る処理装置100について説明する。基板処理装置100は、例えば、絶縁膜形成ユニットであり、
図1に示されているように、枚葉式基板処理装置として構成されている。
【0013】
図1に示すとおり、基板処理装置100は処理容器202を備えている。処理容器202は、例えば水平断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、処理容器202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料または、石英により構成されている。処理容器202内には、基板としてのシリコンウエハ等のウエハ200を処理する第1処理空間(第1処理室)201aと第2処理空間(第2処理室)201b、移載空間(移載室)203が形成されている。処理容器202は、上部容器202aと下部容器202bで構成される。上部容器202aと下部容器202bの間には仕切部204が設けられる。上部処理容器202aに囲まれた空間であって、仕切部204よりも上方の空間を第1処理室201aと呼ぶ。また、仕切部204よりも下方の空間であって、下部容器202b内を排気する第2排気口1481よりも上方の空間を第2処理室201bと呼ぶ。また、好ましくは、第2処理室201bは、基板支持部210が、第2処理位置201cに位置した際に形成され、仕切部204よりも下方の空間であって、基板載置面211よりも上方の空間が第2処理室201bとなる。また、下部容器202bに囲まれた空間であって、ゲートバルブ1490付近を移載室203と呼ぶ。
【0014】
下部容器202bの側面には、ゲートバルブ1490に隣接した基板搬入出口1480が設けられており、ウエハ200は基板搬入出口1480を介して図示しない搬送室と移載室203との間を移動する。下部容器202bの底部には、リフトピン207が複数設けられている。更に、下部容器202bは接地されている。
【0015】
処理室201内には、ウエハ200を支持する基板支持部210が設けられている。基板支持部210は、ウエハ200を載置する載置面211と、載置面211を表面に持つ載置台212、加熱部としてのヒータ213を主に有する。基板載置台212には、リフトピン207が貫通する貫通孔214が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられている。また、ヒータ213は、温度制御部258に接続され温度制御可能に構成される。また、基板載置台212には、ウエハ200や処理室201にバイアスを印加するバイアス電極256が設けられていても良い。バイアス電極256は、バイアス調整部257に接続され、バイアス調整部257によって、バイアスが調整可能に構成される。
【0016】
基板載置台212はシャフト217によって支持される。シャフト217は、処理容器202の底部を貫通しており、更には処理容器202の外部で昇降部218に接続されている。昇降部218を作動させてシャフト217及び支持台212を昇降させることにより、基板載置面211上に載置されるウエハ200を昇降させることが可能となっている。なお、シャフト217下端部の周囲はベローズ219により覆われており、処理室201内は気密に保持されている。
【0017】
基板載置台212は、ウエハ200の搬送時には、ウエハ移載位置に移動し、ウエハ200の第1処理時には
図1の実線で示した第1処理位置(ウエハ処理位置)に移動する。また、第3処理時には、
図1の破線で示した第2処理位置に移動する。なお、ウエハ移載位置は、リフトピン207の上端が、基板載置面211の上面から突出する位置である。
【0018】
具体的には、基板載置台212をウエハ移載位置まで下降させた時には、リフトピン207の上端部が基板載置面211の上面から突出して、リフトピン207がウエハ200を下方から支持するようになっている。また、基板載置台212をウエハ処理位置まで上昇させたときには、リフトピン207は基板載置面211の上面から埋没して、基板載置面211がウエハ200を下方から支持するようになっている。なお、リフトピン207は、ウエハ200と直接触れるため、例えば、石英やアルミナなどの材質で形成することが望ましい。
【0019】
(排気系)
処理室201(上部容器202a)の内壁には、処理室201の雰囲気を排気する第1排気部としての第1排気口221が設けられている。第1排気口221には排気管224が接続されており、排気管224には、処理室201内を所定の圧力に制御するAPC(Auto Pressure Controller)等の圧力調整器227と真空ポンプ223が順に直列に接続されている。主に、第1排気口221、排気管224、圧力調整器227により第一の排気系(排気ライン)が構成される。なお、真空ポンプ223も第一の排気系の構成としても良い。また、移載室203の内壁側面には、移載室203の雰囲気を排気する第2排気口1481が設けられている。また、第2排気口1481には排気管1482が設けられている。排気管1482には、圧力調整器228が設けられ、移載室203内の圧力を所定の圧力に排気可能に構成されている。また、移載室203を介して処理室201内の雰囲気を排気することもできる。
【0020】
(ガス導入口)
処理室201の上部に設けられるシャワーヘッド234の上面(天井壁)には、処理室201内に各種ガスを供給するためのガス導入口241が設けられている。ガス供給部であるガス導入口241に接続される各ガス供給ユニットの構成については後述する。
【0021】
(ガス分散ユニット)
ガス分散ユニットとしてのシャワーヘッド234は、バッファ室232、第1活性化部としての第1電極244を有する。第1電極244には、ガスをウエハ200に分散供給する孔234aが複数設けられている。シャワーヘッド234は、ガス導入口241と処理室201との間に設けられている。ガス導入口241から導入されるガスは、シャワーヘッド234のバッファ室232(分散部とも呼ぶ)に供給され、孔234aを介して処理室201に供給される。
【0022】
なお、第1電極244は、導電性の金属で構成され、ガスを励起するための活性化部(励起部)の一部として構成される。第1電極244には、電磁波(高周波電力やマイクロ波)が供給可能に構成されている。なお、蓋231を導電性部材で構成する際には、蓋231と第1電極244との間に絶縁ブロック233が設けられ、蓋231と第1電極部244の間を絶縁する構成となる。
【0023】
なお、バッファ室232に、ガスガイド235が設けられていても良い。ガスガイド235は、ガス導入孔241を中心としてウエハ200の径方向に向かうにつれ径が広がる円錐形状である。ガスガイド235の下端の水平方向の径は孔234aが設けられる領域の端部よりも更に外周にまで延びて形成される。ガスガイド235が設けられていることによって、複数の孔234aそれぞれに均一にガスを供給することができ、ウエハ200の面内に供給される活性種の量を均一化させることができる。
【0024】
(第1活性化部(第1プラズマ生成部))
第1活性化部としての第1電極244には、スイッチ274を介して整合器251と高周波電源部252が接続され、電磁波(高周波電力やマイクロ波)が供給可能に構成されている。これにより、第1処理室201a内に供給されたガスを活性化させることができる。また、第1電極244は、容量結合型のプラズマを生成可能に構成される。具体的には、第1電極244は、導電性の板状に形成され、上部容器202aに支持されるように構成される。第1活性化部は、少なくとも電極部244、整合器251、高周波電源部252で構成される。なお、第1活性化部に、インピーダンス計254を含めるように構成しても良い。なお、第1電極244と高周波電源252との間に、インピーダンス計254を設けても良い。インピーダンス計254を設けることによって、測定されたインピーダンスに基づいて、整合器251、高周波電源252をフィードバック制御することができる。
【0025】
(第2活性化部(第2プラズマ生成部))
第2活性化部としての第2電極344には、スイッチ274を介して整合器251と高周波電源部252が接続され、電磁波(高周波電力やマイクロ波)が供給可能に構成されている。これにより、処理室201b内に供給されたガスを活性化させることができる。なお、第2電極344は、誘導結合型のプラズマを生成可能に構成されている。誘導結合型のプラズマを生成することにより、第2処理空間201b内に大量の活性種を生成することができる。具体的には、第2電極344はコイル状に構成されている。更に、第2電極344は、石英部材345で囲まれ、第2電極344がガスに直接触れない様に構成される。また、石英部材345は、ガス導入口241から第2処理室201bに供給されるガスのガイドとしても作用し、第2処理室201bに設けられたウエハ200に均一にガスを供給できる。また、石英部材345の下端は、基板載置台212の上端215よりも下側に位置する様に基板支持部201を配置させることが好ましい。なお、この配置位置を第2処理位置201cと呼ぶ。この様に配置させることにより、基板載置台212の周囲に、ガス排気路355を形成させることができ、ウエハ200の外周から均一にガスを排気させることができる。なお、スイッチ274を設けずに、整合器351と高周波電源部352を設けて高周波電源部352から第2電極344に電力を供給可能に構成しても良い。
【0026】
(ガス供給系)
ガス導入口241には、ガス供給管150が接続されている。ガス供給管150からは、後述の第1ガス、第2ガス、第3ガス、第4ガス、パージガスが供給される。
【0027】
図2に、第1ガス供給部、第2ガス供給部、第3ガス供給部、第4ガス供給部、パージガス供給部等のガス供給系の概略構成図を示す。
【0028】
図2に示す様に、ガス供給管150には、ガス供給管集合部140が接続されている。ガス供給管集合部140には、第1ガス(処理ガス)供給管113a、パージガス供給管133a、第2ガス(処理ガス)供給管123a、第3ガス(改質ガス)供給管143a、第4ガス(添加ガス)供給管153aが接続される。
【0029】
(第1ガス供給部)
第1ガス供給部には、第1ガス供給管113a、マスフロ―コントローラ(MFC)115、バルブ116が設けられている。なお、第1ガス供給管113aに接続される第1ガス供給源113を第1ガス供給部に含めて構成しても良い。また、処理ガスの原料が液体や固体の場合には、気化器180が設けられていても良い。
【0030】
(第2ガス供給部)
第2ガス供給部には、第2ガス供給管123a、MFC125、バルブ126が設けられている。なお、第2ガス供給管123aに接続される第2ガス供給源123を第2ガス供給部に含めて構成しても良い。
なお、リモートプラズマユニット(RPU)124を設けて、第2ガスを活性化させるように構成しても良い。
【0031】
(パージガス供給部)
パージガス供給部には、パージガス供給管133a、MFC135、バルブ136が設けられている。なお、パージガス供給管133aに接続されるパージガス供給源133をパージガス供給部に含めて構成しても良い。
【0032】
(第3ガス供給部)
第3ガス供給部(改質ガス供給部)には、第3ガス供給管143a、MFC145、バルブ146が設けられている。なお、第3ガス供給管143aに接続される第3ガス供給源143を第3ガス供給部に含めて構成しても良い。
なお、リモートプラズマユニット(RPU)144を設けて、第3ガスを活性化させるように構成しても良い。
【0033】
(第4ガス供給部)
第4ガス供給部(添加ガス供給部)には、第4ガス供給管153a、MFC155、バルブ156が設けられている。なお、第3ガス供給管143aに接続される第4ガス供給源153を第4ガス供給部に含めて構成しても良い。
なお、リモートプラズマユニット(RPU)154を設けて、第4ガスを活性化させるように構成しても良い。
【0034】
(制御部)
図1に示すように基板処理装置100は、基板処理装置100の各部の動作を制御するコントローラ260を有している。
【0035】
コントローラ260の概略を
図3に示す。制御部(制御手段)であるコントローラ260は、CPU(Central Processing Unit)260a、RAM(Random Access Memory)260b、記憶装置260c、I/Oポート260dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM260b、記憶装置260c、I/Oポート260dは、内部バス260eを介して、CPU260aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ260には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置261や、外部記憶装置262、受信部285などが接続可能に構成されている。
【0036】
記憶装置260cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置260c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ、ウエハ200への処理に用いるプロセスレシピを設定するまでの過程で生じる演算データや処理データ等が読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ260に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM260bは、CPU260aによって読み出されたプログラム、演算データ、処理データ等のデータが一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0037】
I/Oポート260dは、ゲートバルブ1490、昇降部218、温度制御部258、圧力調整器227、真空ポンプ223、整合器251(351)、高周波電源部252(352)、MFC115,125,135、145、155、バルブ116,126,136,146,156,228、(RPU124,144,154、気化器180、)バイアス制御部257等に接続されている。また、インピーダンス計254(354)等にも接続されていても良い。また、スイッチ274にも接続されていても良い。
【0038】
演算部としてのCPU260aは、記憶装置260cからの制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置261からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置260cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。また、受信部285から入力された設定値と、記憶装置260cに記憶されたプロセスレシピや制御データとを比較・演算して、演算データを算出可能に構成されている。また、演算データから対応する処理データ(プロセスレシピ)の決定処理等を実行可能に構成されている。そして、CPU260aは、読み出されたプロセスレシピの内容に沿うように、ゲートバルブ1490の開閉動作、昇降部218の昇降動作、温度制御部258を介してヒータ213への電力供給動作、圧力調整器227の圧力調整動作、真空ポンプ223のオンオフ制御、MFC115,125,135、145、155でのガス流量制御動作、RPU124,144,154のガスの活性化動作、バルブ116,126,136,146,156,228でのガスのオンオフ制御、整合器251の電力の整合動作、高周波電源部252の電力制御、バイアス制御部257の制御動作、インピーダンス計254(354)が測定した測定データに基づいた整合器251(351)の整合動作や、高周波電源252(352)の電力制御動作、スイッチ274のON/OFF動作等を制御するように構成されている。各構成の制御を行う際は、CPU260a内の送受信部が、プロセスレシピの内容に沿った制御情報を送信/受信することで制御する。
【0039】
なお、コントローラ260は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていても良い。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)262を用意し、係る外部記憶装置262を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ260を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置262を介して供給する場合に限らない。例えば、受信部285やネットワーク263(インターネットや専用回線)等の通信手段を用い、外部記憶装置262を介さずにプログラムを供給するようにしても良い。なお、記憶装置260cや外部記憶装置262は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置260c単体のみを含む場合、外部記憶装置262単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合が有る。
【0040】
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、基板としてのウエハ200上にシリコン酸化膜(SiO膜)を形成する基板処理シーケンスの例について、
図4〜
図10を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ260により制御される。
【0041】
図4,
図5,
図6,
図7に示す基板処理工程では、第1温度としたウエハ200に対してアミノシランガス、ジシラン(Si
2H
6:DS)ガスを供給し、ウエハ200上に、Si含有膜403を形成する第1処理工程(成膜工程)と、
ウエハ200上に第1プラズマを生成してSi含有膜403を酸化し、シリコン酸素含有膜404を形成する第2処理工程(酸化工程)と、
ウエハ200上に第2プラズマを生成してシリコン酸素含有膜404をトリートメントし、シリコン酸化膜405を形成する第3処理工程(トリートメント工程)と、
を同一の処理室201内で行う。
【0042】
上述の成膜工程では、
図8にガス供給タイミングを示すように、
ウエハ200に対して第1ガスとしてのアミノシランガスを供給する工程S203と、
ウエハ200に対して第2ガスとしてのDSガスを供給する工程S205と、
を交互に行うサイクルを所定回数行うことで、ウエハ200上にSi含有膜403を形成する。
【0043】
本明細書において、「ウエハ」という言葉を用いた場合には、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等とその積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハに形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。
【0044】
従って、本明細書において「ウエハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や、「ウエハに形成されている層や膜等に対して、すなわち、積層体としてのウエハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合が有る。また、本明細書において「ウエハ上に所定の層(又は膜)を形成する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)上に所定の層(又は膜)を直接形成する」ことを意味する場合や、「ウエハに形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としてのウエハ最表面の上に所定の層(又は膜)を形成する」ことを意味する場合が有る。
【0045】
なお、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も「ウエハ」という言葉を用いた場合と同様であり、その場合、上記説明において、「ウエハ」を「基板」に置き換えて考えればよい。
【0046】
(基板搬入工程S201)
基板処理に際しては、先ず、ウエハ200を第1処理室201aに搬入させる。具体的には、基板支持部210を昇降部218によって下降させ、リフトピン207が貫通孔214から基板支持部210の上面側に突出させた状態にする。また、処理室201(201a,201b)内や移載室203を所定の圧力に調圧した後、ゲートバルブ1490を開放し、ゲートバルブ1490からリフトピン207上にウエハ200を載置させる。ウエハ200をリフトピン207上に載置させた後、ゲートバルブ1490を閉じ、昇降部218によって基板支持部210を所定の位置まで上昇させることによって、ウエハ200が、リフトピン207から基板支持部210へ載置されるようになる。なお、
図4に示す様に、ウエハ200は、表面層401上に、凸状の炭素含有膜402が複数形成されている。この炭素含有膜402は、ダブルパターニングで用いられるコアとして形成されている。例えば、炭素含有膜402は炭素膜である。表面層401は、例えば、シリコン基板の表面で形成される。また、好ましくは、凸状の炭素含有膜402は、ライン状に形成される。この様なライン状のコアは、ダブルパターニングが終わるまで、形状を維持させる必要がある。しかし、以下の原因により、コアの形状が変化する課題がある。例えば、炭素が脱離することにより発生することがある。また、他の膜の中の元素や、他の膜の形成時に供給されるガスと炭素が反応して脱離することにより発生することがある。
【0047】
(減圧・昇温工程S202)
続いて、第1処理室201a内が所定の圧力(真空度)となるように、排気管224を介して第1処理室201a内を排気する。この際、圧力センサ(不図示)が計測した圧力値に基づき、圧力調整器227としてのAPCバルブの弁の開度をフィードバック制御する。また、温度センサ(不図示)が検出した温度値に基づき、第1処理室201a内が所定の温度となるようにヒータ213への通電量をフィードバック制御する。具体的には、基板支持部210をヒータ213により予め加熱しておき、ウエハ200又は基板支持部210の温度変化が無くなってから一定時間置く。この間、処理室201内に残留している水分あるいは部材からの脱ガス等が有る場合は、真空排気やN
2ガスの供給によるパージによって除去しても良い。これで成膜プロセス前の準備が完了することになる。なお、処理室201内を所定の圧力に排気する際に、一度、到達可能な真空度まで真空排気しても良い。
【0048】
このときのヒータ213の温度は、100〜600℃、好ましくは100〜500℃、より好ましくは250〜450℃の範囲内の一定の温度となるように設定する。
【0049】
なお、好ましくは、ウエハ200が所定の温度に到達する前に、真空排気と不活性ガスの供給とを繰り返すサイクルパージを行う。これにより、第1処理室201a中の酸素濃度を低下させ、残留酸素と炭素膜402との反応を抑制させることができる。
【0050】
(成膜工程S301)
続いて、第1処理として、ウエハ200にSi含有膜403を成膜する例について説明する。成膜工程S301の詳細について、
図4、
図5、
図8を用いて説明する。
【0051】
ウエハ200が基板支持部210に載置され、第1処理室201a内の雰囲気が安定した後、S203〜S207のステップが行われる。
【0052】
(第1ガス供給工程S203)
第1ガス供給工程S203では、第1ガス供給部から第1処理室201a内に第1ガス(処理ガス)としてのアミノシランガスを供給する。具体的には、第1ガス供給源113から供給されたアミノシランガスをMFC115で流量調整した後、基板処理装置100に供給する。流量調整されたアミノシランガスは、バッファ室232を通り、シャワーヘッド234のガス供給孔234aから、減圧状態の第1処理室201a内に供給される。また、排気系による処理室201内の排気を継続し第1処理室201a内の圧力を所定の圧力範囲(第1圧力)となるように制御する。このとき、ウエハ200に対してアミノシランガスが供給されることとなる。アミノシランガスは、所定の圧力(第1圧力:例えば10Pa以上1000Pa以下)で第1処理室201a内に供給する。このようにして、ウエハ200にアミノシランガスを供給する。アミノシランガスが供給されることにより、ウエハ200上に、シリコン含有層が形成される。ここで、アミノシランガスは、具体的には、以下が有る。ブチルアミノシラン(BAS)ガス、ビスターシャリブチルアミノシラン(BTBAS)ガス、ジメチルアミノシラン(DMAS)ガス、ビスジメチルアミノシラン(BDMAS)ガス、トリスジメチルアミノシラン(3DMAS)ガス、ジエチルアミノシラン(DEAS)ガス、ビスジエチルアミノシラン(BDEAS)ガス、ジプロピルアミノシラン(DPAS)ガス、ジイソプロピルアミノシラン(DIPAS)ガス。また、ここで、シリコン含有層とは、シリコン(Si)を主成分とする層であって、炭素(C)、塩素(Cl)、窒素(N)の内少なくとも一つ以上を含む層である。以下では、シリコンと炭素を含む層の場合を説明する。
【0053】
(第1パージ工程S204)
ウエハ200上にシリコン含有層が形成された後、第1ガス供給管113aのガスバルブ116を閉じ、アミノシランガスの供給を停止する。第1ガスを停止することで、処理室201中に存在する第1ガスや、バッファ室232の中に存在する処理ガスを第1の排気部から排気されることにより第1パージ工程S204が行われる。
【0054】
また、第1パージ工程S204では、単にガスを排気(真空引き)してガスを排出すること以外に、パージガス供給源133より不活性ガスを供給して、残留ガスを押し出すことによる排出処理を行うように構成しても良い。この場合、バルブ136を開け、MFC135で不活性ガスの流量調整を行う。また、真空引きと不活性ガスの供給を組み合わせて行っても良い。また、真空引きと不活性ガスの供給を交互に行うように構成しても良い。
【0055】
所定の時間経過後、バルブ136を閉じて、不活性ガスの供給を停止する。なお、バルブ136を開けたまま不活性ガスの供給を継続しても良い。
【0056】
このときのヒータ213の温度は、ウエハ200への第1ガス供給時と同様の温度となるように設定する。不活性ガス供給系から供給するパージガスとしてのN
2ガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜20000sccmの範囲内の流量とする。パージガスとしては、N
2ガスの他、Ar,He,Ne,Xe等の希ガスを用いても良い。
【0057】
(第2ガス供給工程S205)
第1パージ工程S204の後、第2ガス供給部から、第1処理室201a内に第2ガス(処理ガス)としての、DSガスを供給する。具体的には、バルブ126を開け、ガス導入口241、バッファ室232、複数の孔234aを介して、第1処理室201a内にDSガスを供給する。なお、第2ガスは、ウエハ200を処理する処理ガスや、第1ガス,シリコン含有層,ウエハ200と反応する反応ガスとも呼ばれる。なお、第2ガスは、シリコンと水素の化合物であれば良く、Si
2H
6に限るものでは無い。
【0058】
このとき、DSガスの流量が所定の流量となるようにMFC125を調整する。なお、DSガスの供給流量は、例えば、1sccm以上10000sccm以下である。
【0059】
DSガスがウエハ200上に形成されているシリコン含有層に供給されると、シリコン含有層が改質され、所定の厚さのSi層が形成される。Si層は、例えば、第1処理室201a内の圧力、DSガスの流量、ウエハ200の温度、等に応じて、所定の厚さ、所定の分布で形成される。
【0060】
所定の時間経過後、バルブ126を閉じ、DSガスの供給を停止する。
【0061】
このときのヒータ213の温度は、ウエハ200への第1ガス供給時と同様の温度となるように設定される。
【0062】
(第2パージ工程S206)
第1パージ工程S204と同様の動作によって、第2パージ工程S206が行われる。例えば、処理室201中に存在するDSガスや、バッファ室232の中に存在するDSガスは、DSガスの供給を停止することで、第1の排気部から排気されることにより第2パージ工程S206が行われる。また、バッファ室232と処理室201にパージガスを供給することによって、パージしても良い。
【0063】
(判定工程S207)
第2パージ工程S206の終了後、コントローラ260は、上記の成膜工程S301(S203〜S206)が所定のサイクル数nが実行されたか否かを判定する。即ち、ウエハ200上に所望の厚さのSi含有膜403が形成されたか否かを判定する。上述したステップS203〜S206を1サイクルとして、このサイクルを少なくとも1回以上行う(ステップS207)ことにより、ウエハ200上に所定膜厚のSi含有膜403を成膜することができる。なお、上述のサイクルは、複数回繰返すことが好ましい。これにより、ウエハ200上に所定膜厚のSi含有膜403が形成される。また、ここで、Si含有膜403は、Siを主成分とする膜であって、C,Cl,Nの内少なくとも一つ以上が残留している膜である。以下では、Cが残留している場合を説明する。
【0064】
判定工程S207で、成膜工程S301が所定回数実施されていないとき(No判定のとき)は、成膜工程S301のサイクルを繰り返し、所定回数実施されたとき(Yes判定のとき)は、成膜工程S301を終了し、第2処理工程S302を実行させる。
【0065】
(第2処理(酸化処理)工程S302)
続いて、第2処理として、ウエハ200に成膜されたSi含有膜403を酸化処理(する例について説明する。第2処理工程S302の詳細について、
図4、
図6を用いて説明する。
【0066】
(基板調整工程S303)
第2処理に際しては、先ず、第1処理室201a内を所定の圧力に調圧する。また、バイアス電極256の電位を調整しても良い。これらの調整後、第3ガス供給工程S304を行う。ここでは、ウエハ200の温度は、第1処理時と同程度になるようにヒータ213の温度を調整する。
【0067】
なお、ここで、Si含有膜403に含まれるSi原子の移動(マイグレーション)や、Si含有膜403からのSiの脱離(サーマルエッチング)が発生を抑制させるため、ウエハ200の温度を第1処理時よりも低くなるように構成しても良い。
【0068】
マイグレーションは熱エネルギーによりSi原子が熱振動することにより発生する。それ故、マイグレーションを抑制させるには、温度を下げることが好ましい。例えば、第1処理時よりも低くなるように温度調整し、後述の第1プラズマを発生させる直前に、第1処理時の温度と同程度になるように調整しても良い。Si原子のマイグレーションを抑制させることによって、Si含有膜403の形状(例えば膜厚)の変化を抑制することができる。Si原子がマイグレーションすることにより、局所的に表面粗さ(ラフネス)が変化し、半導体デバイスの特性に影響を与える課題が有る。サーマルエッチングは、Siが昇華することにより発生する。
【0069】
(第3ガス供給工程S304)
第3ガス供給工程S304では、第3ガス供給系から第1処理室201a内に第3ガス(酸化ガス)として酸素(O
2)ガスを供給する。具体的には、第3ガス供給源143から供給されたO
2ガスをMFC145で流量調整した後、基板処理装置100に供給する。流量調整されたO
2ガスは、バッファ室232を通り、シャワーヘッド234のガス供給孔234aから、減圧状態の第1処理室201a内に供給される。また、第1排気口221から第1処理室201a内の雰囲気の排気を継続し第1処理室201a内の圧力を所定の圧力範囲(第2圧力)となるように制御する。このとき、ウエハ200に対してO
2ガスが供給されることとなる。O
2ガスは、所定の圧力(第2圧力:例えば10Pa以上1000Pa以下)で第1処理室201a内に供給する。
【0070】
(第1プラズマ生成工程S305)
高周波電源部252から、整合器251を介して第1電極244に高周波電力を供給する。第1電極244に高周波電力が供給されることによって、孔234a内や、第1処理室201a内に第3ガスのプラズマ(第1プラズマ)が生成される。第1プラズマには、第3ガスの活性種が含まれる。活性化されたO
2が、ウエハ200上に形成されているSi含有膜403に供給されると、Si含有膜403が改質され、シリコン酸素含有(SiO)膜404が形成される。この様に、第1電極244を用いて、ウエハ200の直上にプラズマを生成することによって、イオン成分を多く含む活性種をウエハ200に供給することができる。これにより、Si含有膜403の表面のみを酸化させることができる。Si含有膜403の表面が酸化されることによって、Siの凝集や脱離を抑制させることができ、最終的に形成されるSiO膜の表面ラフネスの悪化を回避することが可能となる。一方で、Si含有膜403の内部には炭素が残留する可能性が有る。残留した炭素は、次の第3処理工程で除去することが可能となる。なお、ここで、第1電極244を用いて生成する第1プラズマは、容量結合性プラズマであるため、ウエハ200に供給されるイオン成分の量は、後述の第2プラズマ中に含まれるイオン成分よりも多く構成される。
【0071】
所定時間、第1プラズマを生成して処理した後、第1電極244への電力供給および第3ガスの供給を停止させて、第1処理室201a内の雰囲気を排気させる。なお、第1処理室201a内を排気させる際には、上述の第1パージ工程S204と同様のパージを行っても良い。
【0072】
なお、高周波電力の供給は、第3ガスの供給の後に開始しているが、第3ガスの供給開始前から高周波電力を供給されるように構成しても良い。
【0073】
また、基板載置台212内に設けられたバイアス電極256の電位をバイアス調整部257によって調整させることによって、ウエハ200への荷電粒子の供給量を調整させることもできる。
【0074】
また、第2処理は、第1処理を行った処理室を同じ処理室(第1処理室201a)内で行うことが好ましい。同じ処理室で処理することによって、Si含有膜403中のSi原子のマイグレーションを抑制することができる。
【0075】
(第3処理(トリートメント処理)工程S402)
続いて、第3処理として、ウエハ200に成膜されたシリコン酸素含有膜404をトリートメント処理する例について説明する。第3処理工程S402の詳細について、
図7を用いて説明する。
【0076】
(基板位置調整工程S403)
第3処理に際しては、先ず、ウエハ200を
図1における点線で示す第2処理位置201cまで下降させる。具体的には、基板支持部210を昇降部218によって下降する。この時、ウエハ200は、第1処理室201aの下部空間であり、第1処理室201aと連通する第2処理室201b内に位置される。また、第2処理室201b内を所定の圧力に調圧する。この調圧では、第1排気口221からの排気を止め、第2排気口1481から排気する。また、ヒータ213の温度や、バイアス電極256の電位を調整しても良い。これらの調整後、第3ガス供給工程S304を行う。
【0077】
(第3ガス供給工程S404)
第3ガス供給工程S404では、第3ガス供給系から第2処理室201b内に第3ガス(トリートメントガス)として酸素(O
2)ガスを供給する。具体的には、第3ガス供給源143から供給されたO
2ガスをMFC145で流量調整した後、基板処理装置100に供給する。流量調整されたO
2ガスは、バッファ室232を通り、シャワーヘッド234のガス供給孔234aから、減圧状態の第1処理室201aを介して、第2処理室201b内に供給される。また、第2排気口1481から第2処理室201b内の雰囲気の排気を継続し第2処理室201b内の圧力を所定の圧力範囲(第2圧力)となるように制御する。このとき、ウエハ200に対してO
2ガスが供給されることとなる。O
2ガスは、所定の圧力(第3圧力:例えば10Pa以上1000Pa以下)で第2処理室201b内に供給する。
【0078】
(第2プラズマ生成工程S405)
ここで、スイッチ274を切り替え、高周波電源252から第2電極344に電力を供給可能にする。スイッチ274の切り替え後、石英部材345内に設けられた第2電極344に高周波電力を供給する。第2電極344に高周波電力が供給されることによって、第2処理室201b(第2電極344間)内に第3ガスの第2プラズマ(第3ガスの活性種)が生成される。活性化されたO
2が、ウエハ200上に形成されているシリコン酸素含有膜404に供給されると、トリートメント処理が行われる。具体的には、活性化されたO
2中の酸素成分が、シリコン酸素含有膜404中に残留するCを除去させる。このときCは炭酸(CO)ガスとして排出される。また、活性化されたO
2中の酸素成分は、除去されたCのサイトや、他のサイトに入りこみシリコン酸素含有膜404の特性が改善(改質)される。これにより、シリコン酸化(SiO)膜405が形成される。なお、ここで、第2プラズマは、コイル状の第2電極344で生成しているため、誘導結合性プラズマとなる。誘導結合性プラズマでは、電極とウエハ200の距離に関わらずプラズマを発生させることができるため、ウエハ200と電極との位置を調整することによって、ウエハ200に供給されるイオン成分の量を、上述の容量結合性プラズマで供給されるイオン成分量よりも少なくすることができる。
【0079】
所定時間プラズマを生成し、処理した後、第2電極344への電力供給および第3ガスの供給を停止させて、第2処理室201b内の雰囲気を排気させる。なお、第2処理室201bを排気させる際には、上述の第1パージ工程S204と同様のパージを行っても良い。なお、ここでの排気は、第1排気口221からの排気を併用するようにしても良い。第1排気口221からも排気することで、排気時間を短縮することができる。
【0080】
(搬送圧力調整工程S208)
プラズマ生成工程S305の後、搬送圧力調整工程S208では、第2処理室201b内や移載室203が所定の圧力(真空度)となるように、第2排気口1481を介して排気する。なお、この搬送圧力調整工程S208の間や前や後で、ウエハ200の温度が所定の温度まで冷却するようにリフタピン207で保持するように構成しても良い。なお、ここでの排気は、第1排気口221からの排気を併用するようにしても良い。第1排気口221からも排気することで、排気時間を短縮することができる。
【0081】
(基板搬出工程S209)
搬送圧力調整工程S208で第2処理室201b内が所定圧力になった後、ゲートバルブ1490を開き、移載室203から図示しない真空搬送室にウエハ200を搬出する。
【0082】
本実施例においては、第1処理時に第1ガスとしてアミノシラン、第2ガスとしてDSを使用してSi含有膜403を成膜し、第2処理時に第3ガスとしてO
2を用いてSi含有膜403を酸化処理してシリコン酸素含有膜404を形成し、第3処理時に第3ガスとしてO
2を用いてシリコン酸素含有膜404をトリートメント処理したが、これに限るものでは無い。例えば、TiN膜を成膜する場合には、第1ガスとしてTiCl
4、第2ガスとしてNH
3、第3ガスとしてNH
3を用いても良い。また、SiN膜を成膜する場合には、第1ガスとしてアミノシラン、第2ガスとしてNH
3、第3ガスとしてNH
3を用いても良い。また、HfO膜を成膜する場合には、第1ガスとしてHfCl
4又はTEMAH、第2ガスとしてO
2、第3ガスとしてO
2を用いても良い。
【0083】
また、トリートメント処理する際、第3ガスに加えて第4ガスを供給しても良い。例えば、第3ガスに酸素含有ガスとしてのO
2ガスを用い、第4ガスに水素含有ガスとしてのH
2ガスを用いる。このように、水素含有ガスを添加することにより、所定の膜中に存在する不純物(Cl、C、N)等を除去しながら、膜を構成する元素を補給することが可能となる。この場合は、例えば、Clを除去しながら酸素元素を補給できる。具体的には第3ガスにO
2ガスを用い、第4ガスにH
2ガスを用いる。
【0084】
また、第1処理時に生成される活性種密度と第2処理時に生成される活性種密度は、第1処理<第2処理とすると良い。すなわち、第2処理時に生成される活性種密度を前記第1処理時に生成される活性種密度よりも高くすると良い。
また、第1処理時は、サイクリック処理であるため、第1処理室201aの容積を小さくする必要が有る
【0085】
第1処理(成膜処理)時と第2処理(酸化処理)時のガス排気部は、第1排気口221を用い、第3処理(トリートメント処理)時のガス排気経部は、第2排気口1481を用いる。
【0086】
第1処理室201aは第1処理(成膜処理)時に用いられ、第2処理室201bは、第1処理室の下側空間に設けられ、第3処理(トリートメント処理)時に用いられる。
【0087】
また、第3処理時には、ウエハ200の上面が第2電極344よりも下側、かつ、ウエハ200の側面が第2電極344の石英部材345と対向する位置に下げられて処理される。ウエハ200の上面を第2電極344よりも下側に位置させることにより、第2電極344で生成される活性種の内、イオン成分がウエハ200に到達する量を低減することが可能となる。また、ウエハ200の側面が第2電極344の石英部材345と対向する位置にすることにより、基板載置台212と石英部材345との間に、ガス排気路355を形成することができ、基板載置台212の周囲からトリートメントガスを排出することができ、トリートメントの処理均一性を向上させることが可能となる。
【0088】
以上、本開示の一実施形態を具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。以下に、本開示の他の形態について、
図9を用いて説明する。
<他の実施形態>
炭素含有膜402は、膜を形成する炭素が処理中に脱離してしまう。この脱離量は、温度に比例するため、低温でSi含有膜403を形成することが望ましい。しかしながら、低温にした場合、Si含有膜403の成膜速度が低下する課題が有る。そこで、脱離を抑制しつつ成膜速度を上げるため、
図9に示す様に第1処理工程S301中のウエハ200の温度を変える方法が有る。
図9に示す様に、第1処理工程を2つのStepに分け、ウエハ200の表面層401と炭素含有膜402の表面が覆われるまでをStep1として、脱離を抑制する温度で成膜し、その後、温度を上げたStep2を行う。なお、Step1とStep2のそれぞれでは、
図8に示すガス供給シーケンスを行う。この様にすることで、炭素含有膜402からの炭素の脱離を抑制しつつ、Si含有膜の成膜速度の低下を抑制することができる。なお、温度の変更中もStep2の一部として、第1処理ガスと第2処理ガスの供給を行っても良い。
【0089】
また、上述では、第1ガスと第2ガスを交互に供給して成膜する方法について記したが、他の方法にも適用可能である。例えば、第1ガスと第2ガスの供給タイミングが重なる様な方法である。具体的には、CVD(Chemical Vapor Deposition)法や、サイクリックCVD法が有る。CVD法を用いることによって、基板処理工程を短縮化させることができる。
【0090】
また、上述では、第1処理、第2処理、第3処理を同じ基板処理装置で行う様に構成したが、これに限らず、別々の基板処理装置で行う様に構成しても良い。
【0091】
また、上述では、第1処理ガスとしてアミノシランガスを用いたが、これに限らず、クロロシラン系ガスを用いても良い。例えば、DCS、HCDS、MCS等が有る。シラン系のガスを用いることによって、Si含有膜403中の炭素混入を抑制させることができる。
【0092】
また、第1処理ガスとして、Cを含むシラン原料ガス、例えば、Si−C結合を有するシラン原料ガスを用いるようにしてもよい。例えば、第1の処理ガスとして、1,1,2,2−テトラクロロ−1,2−ジメチルジシラン((CH
3)
2Si
2Cl
4、略称:TCDMDS)ガス、ビストリクロロシリルメタン((SiCl
3)
2CH
2、略称:BTCSM)ガス等を用いるようにしてもよい。
【0093】
また、上述では、第1処理、第2処理、第3処理を同じ温度帯で行う様に構成したが、これに限らず、温度を変化させても良い。例えば、第1処理時の温度T1、第2処理時の温度T2、第3処理時の温度T3を以下の関係にすることが有る。
【0094】
I)T2<T1<T3
T2を低くすることによって、Si含有膜403のSiのマイグレーションやサーマルエッチングを抑制させることができ、最終的に形成されるSiO膜405の表面ラフネスの悪化を回避できる。
II)T1<T2<T3
T2をT1よりも高い温度かつT3よりも低い温度に設定することで、Si含有膜403中に含まれる炭素の除去効率を向上させることができる。
【0095】
また、上述では、成膜処理について記したが、他の処理にも適用可能である。例えば、プラズマを用いた拡散処理、酸化処理、窒化処理、酸窒化処理、還元処理、酸化還元処理、エッチング処理、加熱処理などが有る。例えば、反応ガスのみを用いて、基板表面や基板に形成された膜をプラズマ酸化処理や、プラズマ窒化処理する際にも本発明を適用することができる。また、反応ガスのみを用いたプラズマアニール処理にも適用することができる。これらの処理を第1処理として、その後、上述の第2処理を行わせても良い。
【0096】
また、上述では、半導体装置の製造工程について記したが、実施形態に係る発明は、半導体装置の製造工程以外にも適用可能である。例えば、液晶デバイスの製造工程、太陽電池の製造工程、発光デバイスの製造工程、ガラス基板の処理工程、セラミック基板の処理工程、導電性基板の処理工程、などの基板処理が有る。
【0097】
また、上述では、シリコン酸化膜を形成する例を示したが、他のガスを用いた成膜にも適用可能である。例えば、酸素含有膜、窒素含有膜、炭素含有膜、ホウ素含有膜、金属含有膜とこれらの元素が複数含有した膜等が有る。なお、これらの膜としては、例えば、AlO膜、ZrO膜、HfO膜、HfAlO膜、ZrAlO膜、SiC膜、SiCN膜、SiBN膜、TiN膜、TiC膜、TiAlC膜などが有る。
【0098】
また、上述では、一つの処理室で一枚の基板を処理する装置構成を示したが、これに限らず、複数枚の基板を水平方向又は垂直方向に並べた装置であっても良い。