(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記ポリオルガノシロキサン(C−1)と、前記ポリオルガノシロキサン(C−2)と、カーボネート前駆体と、二価フェノールとを重合する工程を有する、請求項1に記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
  前記ポリオルガノシロキサン(C−1)と前記ポリオルガノシロキサン(C−2)とを配合する工程(I)、工程(I)により得られるポリオルガノシロキサン(C)と前記カーボネート前駆体及び前記二価フェノールとを重合する工程(II)を有する、請求項2に記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
  前記工程(II)において、前記工程(I)により得られるポリオルガノシロキサン(C)と、前記カーボネート前駆体と前記二価フェノールとの反応により得られるカーボネートオリゴマーとを重合する、請求項3に記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
  前記ポリオルガノシロキサン(C−1)と前記ポリオルガノシロキサン(C−2)とを質量比1:99〜99:1の割合で用いる、請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
  前記ポリオルガノシロキサン(C−1)と前記ポリオルガノシロキサン(C−2)とを質量比10:90〜90:10の割合で用いる、請求項1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
  前記ポリオルガノシロキサン(C−1)の平均鎖長が30〜50である、請求項1〜7のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
  前記ポリオルガノシロキサン(C−2)の平均鎖長が70〜200である、請求項1〜8のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
  前記ポリオルガノシロキサン(C−2)の平均鎖長が80〜150である、請求項1〜9のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
  本発明のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(以下、PC−POS共重合体と略することがある)は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロック(A)及び下記一般式(II)で表される繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロック(B)を含む:
 
【0010】
  上記一般式(I)中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。Xは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、フルオレンジイル基、炭素数7〜15のアリールアルキレン基、炭素数7〜15のアリールアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO
2−、−O−又は−CO−を示す。a及びbは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示す。
  上記一般式(II)中、R
3及びR
4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。
 
【0011】
  上記一般式(I)中、R
1及びR
2がそれぞれ独立して示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
  R
1及びR
2がそれぞれ独立して示すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基(「各種」とは、直鎖状及びあらゆる分岐鎖状のものを含むことを示し、以下、同様である。)、各種ペンチル基、及び各種ヘキシル基が挙げられる。R
1及びR
2がそれぞれ独立して示すアルコキシ基としては、アルキル基部位が前記アルキル基である場合が挙げられる。
  Xが表すアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。Xが表すアルキリデン基としては、エチリデン基、イソプロピリデン基等が挙げられる。Xが表すシクロアルキレン基としては、シクロペンタンジイル基やシクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基等が挙げられ、炭素数5〜10のシクロアルキレン基が好ましい。Xが表すシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロヘキシリデン基、3,5,5−トリメチルシクロヘキシリデン基、2−アダマンチリデン基等が挙げられ、炭素数5〜10のシクロアルキリデン基が好ましく、炭素数5〜8のシクロアルキリデン基がより好ましい。Xが表すアリールアルキレン基のアリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。Xが表すアリールアルキリデン基のアリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
  a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
  中でも、aおよびbが0であり、Xが単結合または炭素数1〜8のアルキレン基であるもの、またはaおよびbが0であり、Xが炭素数3のアルキレン基、特にイソプロピリデン基であるものが好適である。
 
【0012】
  上記一般式(II)中、R
3又はR
4で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。R
3又はR
4で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基(「各種」とは、直鎖状及びあらゆる分岐鎖状のものを含むことを示し、以下、同様である。)、各種ペンチル基、及び各種ヘキシル基が挙げられる。R
3又はR
4示されるアルコキシ基としては、アルキル基部位が前記アルキル基である場合が挙げられる。R
3又はR
4で示されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
  なお、R
3及びR
4としては、いずれも、好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基であり、いずれもメチル基であることがより好ましい。
 
【0013】
  本発明のPC−POS共重合体における一般式(II)で表される繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロック(B)の含有量は、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1.5〜15質量%である。ポリオルガノシロキサンブロック(B)の含有量が0.5質量%未満であると、低温耐衝撃性が十分に得られず、20質量%を超えると耐熱性の低下がみられる。
 
【0014】
  本発明のPC−POS共重合体における上記一般式(II)で表される繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロック(B)は、好ましくは下記一般式(II’)で表される。
【化4】
 
【0015】
[式中、R
3〜R
6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。Yは単結合、又は−C(=O)−、脂肪族若しくは芳香族を含む有機残基であって、SiとO又はSiとZに結合している有機残基を示す。nは、ポリオルガノシロキサン部の平均鎖長を示し、n−1は平均繰り返し数を示す。]
 
【0016】
  R
3及びR
4は上述したとおりであり、R
5及びR
6はR
3及びR
4と同様である。R
3〜R
6としては、いずれも、好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基であり、いずれもメチル基であることがより好ましい。Yとしては、好ましくはアルキル基を有するフェノール系化合物の残基であり、アリルフェノール由来の有機残基やオイゲノール由来の有機残基がより好ましい。なお、単結合であるYとは、Yに隣接する基を結ぶ結合を意味する。nはポリオルガノシロキサンの平均鎖長を、n−1はポリオルガノシロキサンブロックの平均繰り返し数を示す。
 
【0017】
  本発明のPC−POS共重合体における上記一般式(II)で表される繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロック(B)が、下記一般式(II’’)で表される構造であることも好ましい。
 
【0019】
  上記式(II’’)中、R
3〜R
6及びnは、前記一般式(II’)中のものと同様であり、好ましいものも同じである。Y’は一般式(II’)中のYと同様であり、好ましいものも同じである。mは、0又は1を示す。Z’は、−R
7O−、−R
7COO−、−R
7NH−、−COO−又は−S−を示し、R
7は直鎖、分岐鎖若しくは環状アルキレン基、アリール置換アルキレン基、環上にアルコキシ基を有してもよいアリール置換アルキレン基、置換されていてもよいアリーレン基又はアリーレンアルキル置換アリール基を示す。pとqはそれぞれポリオルガノシロキサンブロック単位の平均繰り返し数を示す1以上の整数であり、pとqの和はn−2である。
  また、βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基又はジカルボン酸由来の2価の基を示す。該ジイソシアネート化合物由来の2価の基及びジカルボン酸由来の2価の基の具体例については後述する。
 
【0020】
  本発明のPC−POS共重合体におけるポリオルガノシロキサンブロック(B)の平均鎖長nは、好ましくは20〜85、より好ましくは20〜75、さらに好ましくは20〜60である。該平均鎖長は核磁気共鳴(NMR)測定により算出される。平均鎖長nが20以上であれば低温における耐衝撃性が十分に得られる。また、平均鎖長nが85以下であれば、透明性に優れる共重合体を得ることができる。
 
【0021】
<ポリオルガノシロキサン>
  本発明においては、特定鎖長のポリオルガノシロキサンを原料として用いる。すなわち、下記一般式(ii)又は(iii)で表され、かつ、平均鎖長nが20以上60未満のポリオルガノシロキサン(C−1)と、下記一般式(ii)又は(iii)で表され、かつ、平均鎖長nが60以上500以下のポリオルガノシロキサン(C−2)とを原料として用いる。ポリオルガノシロキサン原料として上記(C−1)と(C−2)とを用い、該ポリルガノシロキサン原料と、二価フェノール及びポリカーボネート前駆体とを反応させて得られるPC−POS共重合体におけるポリオルガノシロキサンブロックの平均鎖長nは、上記した通り好ましくは20〜85、より好ましくは20〜75、さらに好ましくは20〜60となる。該平均鎖長は核磁気共鳴(NMR)測定により算出される。
  上記ポリオルガノシロキサン(C−1)とポリオルガノシロキサン(C−2)とは、(C−1):(C−2)質量比=1:99〜99:1の割合で用いることが好ましく、より好ましくは10:90〜90:10の割合で用いる。
  ポリオルガノシロキサン原料として、上記ポリオルガノシロキサン(C−1)と(C−2)とを予め配合して得られるポリオルガノシロキサン(C)を用いることがより好ましく、この配合比は、上述した(C−1):(C−2)質量比と同様に、好ましくは質量比1:99〜99:1であり、より好ましくは10:90〜90:10である。
  上記ポリオルガノシロキサン(C−1)の平均鎖長nは、好ましくは30〜50であり、より好ましくは35〜45である。上記ポリオルガノシロキサン(C−2)の平均鎖長nは、好ましくは70〜200であり、より好ましくは80〜150である。
 
【0023】
[式(ii)及び(iii)中、R
3〜R
6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。YおよびY’はそれぞれ独立に、単結合、又は−C(=O)−、脂肪族若しくは芳香族を含む有機残基であって、SiとO又はSiとZに結合している有機残基を示す。mは0又は1を示し、Zはそれぞれ独立に、ハロゲン、−R
7OH、−R
7COOH、−R
7NH
2、−R
7NHR
8、−COOH又は−SHを示し、R
7は直鎖、分岐鎖若しくは環状アルキレン基、アリール置換アルキレン基、環上にアルコキシ基を有してもよいアリール置換アルキレン基、置換されていてもよいアリーレン基又はアリーレンアルキル置換アリール基を示し、R
8はアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を示し、Z’はそれぞれ独立に、−R
7O−、−R
7COO−、−R
7NH−、−COO−又は−S−を示し、R
7は直鎖、分岐鎖若しくは環状アルキレン基、アリール置換アルキレン基、環上にアルコキシ基を有してもよいアリール置換アルキレン基、置換されていてもよいアリーレン基又はアリーレンアルキル置換アリール基を示す。βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基又はジカルボン酸由来の2価の基を示す。nは、ポリオルガノシロキサン部の平均鎖長を示し、n−1は平均繰り返し数を示す。pとqはそれぞれ平均繰り返し数を示す1以上の整数であり、pとqの和はn−2である。]
  なお、Z又はZ’におけるアリーレンアルキル置換アリール基とは、後述する一般式(1−6)及び(1−11)に記載するようにZの2つのアリール基のうち末端アリール基が水酸基OHと結合していることを意味する。
 
【0024】
  R
3及びR
4は上述したとおりであり、R
5及びR
6はR
3及びR
4と同様である。R
3〜R
6としては、いずれも、好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基であり、いずれもメチル基であることがより好ましい。
  YおよびY’としては、好ましくはアルキル基を有するフェノール系化合物の残基であり、アリルフェノール由来の有機残基やオイゲノール由来の有機残基がより好ましい。なお、単結合であるYおよびY’とは、YおよびY’に隣接する基を結ぶ結合を意味する。
  また、βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基又はジカルボン酸由来の2価の基を示し、例えば、以下の一般式(3−1)〜(3−5)で表される2価の基が挙げられる。
 
【0026】
  上記で掲げたものの他、特表2013−523938号公報、特開平4−225059号公報、特表2006−518803号公報、及び国際公開公報WO2013/115604等に記載されているポリオルガノシロキサン化合物も好適に用いることができる。
 
【0027】
  本発明のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を構成する一般式(II)で表される繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロック(B)は、上記ポリオルガノシロキサンブロック(B)のポリスチレンを換算基準としたゲル浸透クロマトグラフ法による測定から得られる、横軸が分子量Mの対数値log(M)であり、縦軸が濃度分率wを分子量の対数値log(M)で微分したdw/dlog(M)である微分分子量分布曲線において、
(1)dw/dlog(M)の値が、3.4≦log(M)≦4.0の範囲で最大となり、
(2)前記微分分子量分布曲線において、4.0≦log(M)≦4.5の範囲でdw/dlog(M)値を積分した値が、log(M)の全範囲でdw/dlog(M)値を積分した値に対して6%以上40%以下である
ことが好ましい。
 
【0028】
  本発明のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を構成するポリオルガノシロキサンブロック(B)が当該特徴を有するには、原料に用いられる下記一般式(ii)または(iii)で表されるポリオルガノシロキサンが上記(1)及び(2)の特徴を有することが好ましい。
 
【0029】
  一般式(ii)または(iii)で表されるポリオルガノシロキサンの分子量・分子量分布測定値を得るためのGPC装置には特に制限はなく、一般に市販されている高温型GPC装置、例えば、東ソー株式会社製、示差屈折計(RI)内蔵型高温GPC測定機、「HLC−8200」を利用することが可能である。具体的には、GPCカラムとして、東ソー株式会社製、「TSK−GEL  G4000HXL」と「TSK−GEL  G2000HXL」とを連結させたものを用いる。カラム温度は40℃に設定し、溶離液にはテトラヒドロフラン(THF)を用い、流速1.0ml/分にて測定する。検量線の作製には、東ソー株式会社製の標準ポリスチレンを用いる。このようにして得られる分子量の対数値を、対数分子量(log(M))と称する。
 
【0030】
  GPC装置の示差屈折(RI)検出計において検出される強度分布の時間曲線(一般に、溶出曲線と呼ぶ)を、分子量既知の物質から得た較正曲線を用いて溶出時間を分子量に換算する。ここで、RI検出強度は成分濃度とは比例関係にあるので、溶出曲線の全面積を100%としたときの強度面積を求め、それぞれの溶出時間の濃度分率を求める。濃度分率を順次積算し、横軸に分子量の対数値(log(M))、縦軸に濃度分率(w)の積算値をプロットすることにより積分分子量分布曲線を得ることができる。
  続いて、各分子量の対数値における曲線の微分値(すなわち、積分分子量分布曲線の傾き)を求め、横軸に分子量の対数値(log(M))、縦軸に上記微分値(dw/dlog(M))をプロットして微分分子量分布曲線を得ることができる。従って、微分分子量分布とは、濃度分率(w)を分子量の対数値(log(M))で微分した値、すなわち「dw/dlog(M)」を意味する。この微分分子量分布曲線から、特定のlog(M)における微分分子量分布dw/dlog(M)を読み取ることができる。なお、複数のポリオルガノシロキサンを配合したポリオルガノシロキサン配合物についても、ポリオルガノシロキサン配合物をGPC法により測定した後、同じ手法により微分分子量分布曲線を得ることができる。
 
【0031】
  本発明においては、(1)dw/dlog(M)の値が、3.4≦log(M)≦4.0の範囲で、より好ましくは3.5≦log(M)≦3.8の範囲で最大となることが好ましい。微分分子量分布dw/dlog(M)の最大値とは、微分分子量分布曲線におけるピークトップを指す。(1)の値が3.4以上であれば、より優れた低温耐衝撃性が得られ、4.0以下であれば、より優れた透明性を得ることが出来る。
 
【0032】
  本発明においては、(2)前記微分分子量分布曲線において、4.0≦log(M)≦4.5の範囲でdw/dlog(M)値を積分した値が、log(M)の全範囲でdw/dlog(M)値を積分した値に対して6%〜40%であることが好ましく、より好ましくは6.5%〜30%である。上記割合が6%以上であれば、より優れた低温耐衝撃性が得られ、40%以下であれば、より優れた透明性を得ることが出来る。ここで、4.0≦log(M)≦4.5の範囲でdw/dlog(M)値を積分した値の、log(M)の全範囲でdw/dlog(M)値を積分した値に対する割合は、PDMSの分子量分布において、log(M)が4.0〜4.5である成分がPDMS全体に対して存在する割合を示すものである。
 
【0033】
  一般式(ii)で示されるポリオルガノシロキサンを以下に例示する。
 
【0035】
  上記一般式(1−2)〜(1−11)中、R
3〜R
6及びn−1は上記の通りであり、好ましいものも同じである。また、R
8はアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を示し、cは正の整数を示し、通常1〜6の整数である。また、R
8としては、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基である。
  これらの中でも、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を製造する際の重合の容易さの観点においては、上記一般式(1−2)で表されるフェノール変性ポリオルガノシロキサンが好ましい。また、入手の容易さの観点においては、上記一般式(1−3)で表される化合物中の一種であるα,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、上記一般式(1−4)で表される化合物中の一種であるα,ω−ビス[3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンが好ましい。
 
【0036】
  本発明に用いられる粗ポリオルガノシロキサンの製造方法は特に限定されない。例えば、特開平11−217390号公報に記載の方法によれば、シクロトリシロキサンとジシロキサンとを酸性触媒存在下で反応させて、α,ω−ジハイドロジェンオルガノペンタシロキサンを合成し、次いで、ヒドロシリル化反応用触媒の存在下に、該α,ω−ジハイドロジェンオルガノペンタシロキサンにフェノール性化合物(例えば2−アリルフェノール、4−アリルフェノール、オイゲノール、2−プロペニルフェノール等)等を付加反応させることで、粗ポリオルガノシロキサンを得ることができる。また、特許第2662310号公報に記載の方法によれば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラメチルジシロキサンとを硫酸(酸性触媒)の存在化で反応させ、得られたα,ω−ジハイドロジェンオルガノポリシロキサンを上記と同様に、ヒドロシリル化反応用触媒の存在下にフェノール性化合物等を付加反応させることで、粗ポリオルガノシロキサンを得ることができる。なお、α,ω−ジハイドロジェンオルガノポリシロキサンは、その重合条件によりその鎖長nを適宜調整して用いることもできるし、市販のα,ω−ジハイドロジェンオルガノポリシロキサンを用いてもよい。
 
【0037】
  上記ヒドロシリル化反応用触媒としては、遷移金属系触媒が挙げられるが、中でも反応速度及び選択性の点から白金系触媒が好ましく用いられる。白金系触媒の具体例としては、塩化白金酸,塩化白金酸のアルコール溶液,白金のオレフィン錯体,白金とビニル基含有シロキサンとの錯体,白金担持シリカ,白金担持活性炭等が挙げられる。
 
【0038】
  粗ポリオルガノシロキサンを吸着剤と接触させることにより、粗ポリオルガノシロキサン中に含まれる、上記ヒドロシリル化反応用触媒として使用された遷移金属系触媒に由来する遷移金属を、吸着剤に吸着させて除去することが好ましい。
  吸着剤としては、例えば、1000Å以下の平均細孔直径を有するものを用いることができる。平均細孔直径が1000Å以下であれば、粗ポリオルガノシロキサン中の遷移金属を効率的に除去することができる。このような観点から、吸着剤の平均細孔直径は、好ましくは500Å以下、より好ましくは200Å以下、更に好ましくは150Å以下、より更に好ましくは100Å以下である。また同様の観点から、吸着剤は多孔性吸着剤であることが好ましい。
 
【0039】
  吸着剤としては、上記の平均細孔直径を有するものであれば特に限定されないが、例えば活性白土、酸性白土、活性炭、合成ゼオライト、天然ゼオライト、活性アルミナ、シリカ、シリカ−マグネシア系吸着剤、珪藻土、セルロース等を用いることができ、活性白土、酸性白土、活性炭、合成ゼオライト、天然ゼオライト、活性アルミナ、シリカ及びシリカ−マグネシア系吸着剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
 
【0040】
  粗ポリオルガノシロキサン中に含まれる遷移金属を吸着剤に吸着させた後、吸着剤は任意の分離手段によってポリオルガノシロキサンから分離することができる。ポリオルガノシロキサンから吸着剤を分離する手段としては、例えばフィルタや遠心分離等が挙げられる。フィルタを用いる場合は、メンブランフィルタ、焼結金属フィルタ、ガラス繊維フィルタ等のフィルタを用いることができるが、特にメンブランフィルタを用いることが好ましい。
  遷移金属の吸着後に吸着剤をポリオルガノシロキサンから分離する観点から、吸着剤の平均粒子径は、通常1μm〜4mm、好ましくは1〜100μmである。
 
【0041】
  本発明において吸着剤を使用する場合には、その使用量は特に限定されない。粗ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜20質量部の範囲の量の多孔性吸着剤を使用することができる。
 
【0042】
  なお、処理する粗ポリオルガノシロキサンの分子量が高いために液体状態でない場合は、吸着剤による吸着及び吸着剤の分離を行う際に、ポリオルガノシロキサンが液体状態となるような温度に加熱してもよい。または、塩化メチレンやヘキサン等の溶剤に溶かして行ってもよい。
 
【0043】
  本発明のポリオルガノシロキサンは、特定のポリオルガノシロキサンを配合することにより得られる。本発明のポリオルガノシロキサンは、複数のα、ω-ジハイドロジェンオルガノポリシロキサンを配合したあと、ヒドロシリル化反応用触媒の存在下にフェノール化合物等を付加反応させることで得ることもできる。また、複数の粗ポリオルガノシロキサンを配合したのち、ヒドロシリル化反応触媒を除去させるなどの精製を行ってもよい。精製後の複数のポリオルガノシロキサンを配合してもよい。
 
【0044】
<ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体>
  本発明のPC−POS共重合体を製造する方法としては、界面重合法(ホスゲン法)、ピリジン法、エステル交換法等の公知の製造方法を用いることができる。特に界面重合法の場合に、PC−POS共重合体を含む有機相と未反応物や触媒残渣等を含む水相との分離工程が容易となり、アルカリ洗浄、酸洗浄、純水洗浄による各洗浄工程におけるPC−POS共重合体を含む有機相と水相との分離が容易となり、効率よくPC−POS共重合体が得られる。
 
【0045】
  PC−POS共重合体の製造方法に特に制限はなく、公知のPC−POS共重合体の製造方法、例えば、特開2010−241943号公報等に記載の方法を参照して製造することができる。
  本発明のPC−POS共重合体の製造方法としては、上述した通り、ポリオルガノシロキサン(C−1)とポリオルガノシロキサン(C−2)とを原料として用いることを特徴とする。より具体的には、前記ポリオルガノシロキサン(C−1)と、前記ポリオルガノシロキサン(C−2)と、カーボネート前駆体と、二価フェノールとを重合する工程を有する。好ましくは、カーボネート前駆体及び二価フェノールと反応させる前にポリオルガノシロキサン(C−1)とポリオルガノシロキサン(C−2)とを予め配合する工程(I)を有し、工程(I)により得られるポリオルガノシロキサン(C)と、カーボネート前駆体と、二価フェノールとを重合する工程(II)を有していても良い。原料として用いるポリオルガノシロキサン(C−1)と(C−2)との質量比は上述した通りであり、カーボネート前駆体及び二価フェノールについては後述する。
  さらに、工程(II)において上記カーボネート前駆体と二価フェノールとの反応により得られるポリカーボネートオリゴマーを工程(I)により得られるポリオルガノシロキサン(C)と反応させても良い。具体的には、予め製造された芳香族ポリカーボネートオリゴマーと、上記ポリオルガノシロキサンとを、非水溶性有機溶媒(塩化メチレン等)に溶解させ、二価フェノール系化合物(ビスフェノールA等)のアルカリ性化合物水溶液(水酸化ナトリウム水溶液等)を加え、重合触媒として第三級アミン(トリエチルアミン等)や第四級アンモニウム塩(トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等)を用い、末端停止剤(p−t−ブチルフェノール等の1価フェノール)の存在下、界面重縮合反応させることにより製造できる。また、PC−POS共重合体は、ポリオルガノシロキサンと、二価フェノールと、ホスゲン、炭酸エステル又はクロロホーメートとを共重合させることによっても製造できる。
 
【0046】
  ポリオルガノシロキサンとしては、上述した通り、一般式(ii)又は(iii)で表され、かつ、平均鎖長nが20以上60未満のポリオルガノシロキサン(C−1)と、一般式(ii)又は(iii)で表され、かつ、平均鎖長nが60以上500以下のポリオルガノシロキサン(C−2)とを原料として用い、好ましくは上記(C−1)と(C−2)とを配合したポリオルガノシロキサン(C)を原料として用いる。上記(C−1)と(C−2)とを配合したポリオルガノシロキサン(C)のポリスチレンを換算基準としたGPC法による測定結果から得られる微分分子量分布曲線において、縦軸をdw/dlog(M)、横軸をlog(M)(wは濃度分率、Mは分子量である)としたとき、(1)dw/dlog(M)の値が、3.4≦log(M)≦4.0の範囲で最大となり、(2)上記微分分子量分布曲線において、4.0≦log(M)≦4.5の範囲でdw/dlog(M)値を積分した値が、log(M)の全範囲でdw/dlog(M)値を積分した値に対して6%〜40%であることが好ましい。
 
【0047】
  ポリカーボネートオリゴマーは、塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等の有機溶剤中で、二価フェノールとホスゲンやトリホスゲンのようなカーボネート前駆体との反応によって製造することができる。なお、エステル交換法を用いてポリカーボネートオリゴマーを製造する際には、二価フェノールとジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体との反応によって製造することもできる。
  二価フェノールとしては、下記一般式(i)で表される二価フェノールを用いることが好ましい。
 
【0049】
  式中、R
1、R
2、a、b及びXは上述した通りである。
 
【0050】
  上記一般式(i)で表される二価フェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらの二価フェノールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
  これらの中でも、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系二価フェノールが好ましく、ビスフェノールAがより好ましい。二価フェノールとしてビスフェノールAを用いた場合、上記一般式(i)において、Xがイソプロピリデン基であり、且つa=b=0のPC−POS共重合体となる。
 
【0051】
  ビスフェノールA以外の二価フェノールとしては、例えば、ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、ジヒドロキシアリールエーテル類、ジヒドロキシジアリールスルフィド類、ジヒドロキシジアリールスルホキシド類、ジヒドロキシジアリールスルホン類、ジヒドロキシジフェニル類、ジヒドロキシジアリールフルオレン類、ジヒドロキシジアリールアダマンタン類等が挙げられる。これらの二価フェノールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
 
【0052】
  ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類としては、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン等が挙げられる。
 
【0053】
  ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類としては、例えば1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン等が挙げられる。ジヒドロキシアリールエーテル類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等が挙げられる。
 
【0054】
  ジヒドロキシジアリールスルフィド類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等が挙げられる。ジヒドロキシジアリールスルホキシド類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等が挙げられる。ジヒドロキシジアリールスルホン類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等が挙げられる。
 
【0055】
  ジヒドロキシジフェニル類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。ジヒドロキシジアリールフルオレン類としては、例えば9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等が挙げられる。ジヒドロキシジアリールアダマンタン類としては、例えば1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等が挙げられる。
 
【0056】
  上記以外の二価フェノールとしては、例えば4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−9−アントロン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2,3−ジオキサペンタン等が挙げられる。
  カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、又はハロホルメート等を用いることができ、具体的にはホスゲン、トリホスゲン、二価フェノールのジハロホルメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等を用いることができる。
 
【0057】
  得られるPC−POS共重合体の分子量を調整するために、末端停止剤を使用することができる。末端停止剤としては、例えば、フェノール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、m−ペンタデシルフェノール及びp−tert−アミルフェノール等の一価フェノールを挙げることができる。これら一価フェノールは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
 
【0058】
  上記界面重縮合反応後、適宜静置して水相と有機溶媒相とに分離し[分離工程]、有機溶媒相を洗浄(好ましくは塩基性水溶液、酸性水溶液、水の順に洗浄)し[洗浄工程]、得られた有機相を濃縮[濃縮工程]、及び乾燥する[乾燥工程]ことによって、PC−POS共重合体を得ることができる。
 
【0059】
  本発明のPC−POS共重合体の粘度平均分子量は、使用される用途や製品により、適宜、目的の分子量となるように分子量調整剤等を用いることにより製造することができる。通常は、12,000〜40,000、好ましくは15,000〜30,000程度の範囲として製造される。粘度平均分子量が12,000未満であると成形品の強度が十分とならない。また、粘度平均分子量が40,000を超えると共重合体の粘度が大きくなるため、射出成形や押出成形時の温度を高くする必要があり、熱劣化により透明性が低下し易くなる。
  また、成形温度を上げることによりPC−POS共重合体の粘度を下げることも可能であるが、その場合、成形サイクルが長くなり経済性に劣るほか、温度を上げすぎるとPC−POS共重合体の熱劣化により透明性が低下する傾向がある。
  なお、粘度平均分子量(Mv)は、20℃における塩化メチレン溶液の極限粘度〔η〕を測定し、Schnellの式(〔η〕=1.23×10
−5×Mv
0.83)より算出した値である。
 
【0060】
  本発明のPC−POS共重合体には、所望に応じて、ポリカーボネート樹脂組成物に公知の種々の添加剤類が配合可能であり、これらとしては補強材、充填剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、染料、顔料、その他の難燃剤や耐衝撃性改良用のエラストマーなどが挙げられる。
 
【0061】
  本発明のPC−POS共重合体に必要に応じて公知の添加剤類を配合し、混練することによってPC樹脂組成物とすることができる。
  上記配合、混練は、通常、用いられている方法、例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等を用いる方法により行うことができる。
  なお、混練に際しての加熱温度は、通常、250〜320℃の範囲で選ばれる。
 
【0062】
  得られたPC樹脂組成物の成形には、従来公知の各種成形方法、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法及び発泡成形法などを用いることができるが、金型温度60℃以上、好ましくは80〜120℃で射出成形することが好ましい。
  この際、射出成形における樹脂温度は、通常、280〜360℃程度、好ましくは280〜330℃である。
 
【実施例】
【0063】
  次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。なお、各例における特性値、評価結果は、以下の要領に従って求めた。
【0064】
(1)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
  ポリオルガノシロキサンのGPC測定は以下の条件で行った。
  試験機器:TOSOH  HLC  8220
  測定条件:TOSOH  TSK−GEL  GHXL−L,G4000HXL,G2000HXL
  溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
  カラム温度:40℃
  流速:1.0ml/分
  検出器:RI
  注入濃度:0.2w/v%
  注入量:0.1ml
  検量線の作製には、東ソー株式会社製の標準ポリスチレンを用いた。
  なお、ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン(PC−PDMS)中のポリオルガノシロキサンの分子量分布測定は以下の通りに行った。得られたPC−PDMS共重合体のフレーク3.9gをメチレンクロライドに10質量%溶液となるように加え、フレークを完全に溶解した。マグネチックスターラーで撹拌しながら、48wt%の水酸化ナトリウムメタノール水溶液30mlを加え、3時間撹拌した。その後、メチレンクロライドを30ml追加したのち、析出した結晶(主成分:ビスフェノールA)をひだ折りろ紙にてろ過し、結晶をメチレンクロライドで洗浄した。ろ液のメチレンクロライド溶液を15容積%の0.03mol/LのNaOH水溶液で二度洗浄した後、15容積%の0.2NのHClで洗浄後、15容積%の純水で洗浄した。得られたメチレンクロライド溶液を乾燥機にて乾燥し、得られた粘調な液体(主成分:PDMS)をGPCにて測定し、用いたポリオルガノシロキサンと同様の分子量分布であることを確認した。
【0065】
  微分分子量分布曲線は、次のような方法で得ることが出来る。まず、RI検出計において検出される強度分布の時間曲線(溶出曲線)を、検量線を用いて分子量の対数値(log(M))に対する分子量分布曲線とした。次に、分布曲線の全面積を100%とした場合のlog(M)に対する積分分子量分布曲線を得た後、この積分分子量分布曲線をlog(M)で、微分することによってlog(M)に対する微分分子量分布曲線を得ることが出来る。なお、微分分子量分布曲線を得るまでの一連の操作は、通常、GPC測定装置に内蔵の解析ソフトウェアを用いて行うことが出来る。
図1は、得られる微分分子量分布曲線の一例を示すグラフであり、dw/dlog(M)の値が最大値のlog(M)の値及びdw/dlog(M)について、4.0≦log(M)≦4.5の範囲で積分した値を斜線部分で示したものである。
【0066】
(2)ポリジメチルシロキサン含有量
  NMR測定によって、ポリジメチルシロキサンのメチル基の積分値比により算出した。
【0067】
(3)ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の粘度平均分子量
  粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式(Schnell式)にて算出した。
  [η]=1.23×10
−5×Mv
0.83
【0068】
<ポリカーボネートオリゴマーの製造>
製造例
  5.6質量%の水酸化ナトリウム水溶液に、ビスフェノールA(BPA)(後から溶解する)に対して2000ppmの亜二チオン酸ナトリウムを加えた。これにBPA濃度が13.5質量%となるようにBPAを溶解し、BPAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。このBPAの水酸化ナトリウム水溶液を40L/hr、塩化メチレンを15L/hr、及びホスゲンを4.0kg/hrの流量で内径6mm、管長30mの管型反応器に連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。管型反応器を出た反応液を、後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入し、ここにさらにBPAの水酸化ナトリウム水溶液を2.8L/hr、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を0.07L/hr、水を17L/hr、1質量%のトリエチルアミン水溶液を0.64L/hrの流量で添加して反応を行なった。槽型反応器から溢れ出る反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。
  このようにして得られたポリカーボネートオリゴマーは濃度321g/L、クロロホーメート基濃度0.73mol/Lであった。
【0069】
実施例1
  邪魔板、パドル型攪拌翼及び冷却用ジャケットを備えた50L槽型反応器に上記の通り製造したポリカーボネートオリゴマー溶液15L、塩化メチレン8.3L、[平均鎖長n=75;dw/dlog(M)が最大値となるlog(M)が3.8;log(M)4.0〜4.5の範囲でdw/dlog(M)値を積分した値が、log(M)の全範囲でdw/dlog(M)値を積分した値に対して(以下、実施例においてはlog(M)4.0〜4.5の割合と呼ぶことがある)24.4%(平均鎖長n=34,dw/dlog(M)が最大値となるlog(M)が3.6,log(M)4.0〜4.5の割合が5.4%のアリルフェノール末端変性PDMSと、平均鎖長n=92,dw/dlog(M)が最大値となるlog(M)が4.1,log(M)4.0〜4.5の割合が34.5%のアリルフェノール末端変性PDMSとを質量比3:7で配合したもの)]であるアリルフェノール末端変性ポリジメチルシロキサン(PDMS)393g、及びトリエチルアミン5.8mLを仕込み、攪拌下でここに6.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液1496gを加え、10分間ポリカーボネートオリゴマーとアリルフェノール末端変性PDMSの反応を行った。
  この重合液に、p−t−ブチルフェノール(PTBP)の塩化メチレン溶液(PTBP70gを塩化メチレン0.3Lに溶解したもの)、BPAの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH648gと亜二チオン酸ナトリウム2.0gとを水9.5Lに溶解した水溶液にBPA1099gを溶解させたもの)を添加し50分間重合反応を実施した。
  希釈のため塩化メチレン10Lを加え10分間攪拌した後、ポリカーボネートを含む有機相と過剰のBPA及びNaOHを含む水相に分離し、有機相を単離した。
  こうして得られたPC−PDMSの塩化メチレン溶液を、その溶液に対して、15容積%の0.03mol/LNaOH水溶液、0.2N塩酸で順次洗浄し、次いで洗浄後の水相中の電気伝導度が0.01μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。
  洗浄により得られたポリカーボネートの塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下120℃で乾燥した。PDMS量は6.5質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は47.4、粘度平均分子量Mv=17,700であった。
  得られたPC−PDMS共重合体のフレーク100質量部、酸化防止剤としてIRGAFOS168(商品名:ADEKA株式会社製)を0.1質量部混合し、ベント式単軸押出成形機に供給し、樹脂温度280℃にて溶融混練し、評価用ペレットサンプルを得た。この評価用ペレットサンプルを120℃で8時間乾燥させた後、射出成形機を用いて、成形樹脂温度280℃、金型温度80℃にて、射出成形して各試験を行うための試験片を作成し、以下の試験を行った。
  また、PC−PDMS中のPDMSのGPC測定により、用いたPDMSと同様の分子量分布であることを確認した。
【0070】
[全光線透過率及びヘーズ値]
  厚み3mmの試験片について、全光線透過率についてはISO13468に基づいて3回測定し、ヘーズ値についてはISO14782に基づいて3回測定し、それぞれその平均を求めた。結果を表1に示す。
[アイゾット衝撃強度]
  射出成形機で作製した厚さ3mm(約1/8インチ)の試験片を用いて、ASTM規格D−256に準拠して、測定温度−40℃におけるノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
  また、後述する実施例2〜9についても各実施例で得られたPC−PDMS共重合体のフレークを用いて同様に試験片を作成し、全光線透過率、ヘーズ値及びアイゾット衝撃強度についても測定した。結果を表1に共に示す。
【0071】
実施例2
  実施例1において用いたアリルフェノール末端変性PDMSを、[平均鎖長n=46;dw/dlog(M)が最大値となるときのlog(M)が3.7;log(M)4.0〜4.5の割合が10.3%(平均鎖長n=34,dw/dlog(M)が最大値となるときのlog(M)が3.6,log(M)4.0〜4.5の割合が5.4%のアリルフェノール末端変性PDMSと、平均鎖長n=92,dw/dlog(M)が最大値となるときのlog(M)が4.1,log(M)4.0〜4.5の割合が34.5%のアリルフェノール末端変性PDMSとを質量比8:2で配合したもの)]のアリルフェノール末端変性PDMSに変えた以外は実施例1と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は6.7質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は47.4、粘度平均分子量Mv=17,700であった。
【0072】
実施例3
  実施例1において用いたアリルフェノール末端変性PDMSを、[平均鎖長n=57;dw/dlog(M)が最大値を取るときのlog(M)が3.6;log(M)4.0〜4.5の割合が11.2%(平均鎖長n=34,dw/dlog(M)が最大値を取るときのlog(M)が3.6,log(M)4.0〜4.5の割合が5.4%のアリルフェノール末端変性PDMSと、平均鎖長n=143,dw/dlog(M)が最大値を取るときのlog(M)が4.3,log(M)4.0〜4.5の割合が42.9%のアリルフェノール末端変性PDMSとを質量比8:2で配合したもの)]のアリルフェノール末端変性PDMSに変え、PTBPを50g用いた以外は実施例1と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は6.9質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は53.3、粘度平均分子量は20,300であった。
【0073】
実施例4
  実施例3において用いたPTBPを70gに変えた以外は実施例3と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は6.8質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は47.4、粘度平均分子量は17,700であった。
【0074】
実施例5
  実施例4において用いたアリルフェノール末端変性PDMSを262gに変えた以外は実施例4と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は4.4質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は47.2、粘度平均分子量は17,600であった。
【0075】
実施例6
  実施例4において用いたPDMSを、[平均鎖長n=67;dw/dlog(M)が最大値を取るときのlog(M)が3.7;log(M)4.0〜4.5の割合が14.4%(平均鎖長n=34,dw/dlog(M)が最大値を取るときのlog(M)が3.6,log(M)4.0〜4.5の割合が5.4%のアリルフェノール末端変性PDMSと、平均鎖長n=143,dw/dlog(M)が最大値を取るときのlog(M)が4.3,log(M)4.0〜4.5の割合が42.9%のアリルフェノール末端変性PDMSとを質量比7:3で配合したもの)]のアリルフェノール末端変性PDMSに、PTBPを50gに変えた以外は実施例4と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は6.6質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は53.3、粘度平均分子量は20,300であった。
【0076】
実施例7
  実施例4において用いたアリルフェノール末端変性PDMSを、[平均鎖長n=40;dw/dlog(M)が最大値を取るときのlog(M)が3.6;log(M)4.0〜4.5の割合が6.8%(平均鎖長n=34,dw/dlog(M)が最大値を取るときのlog(M)が3.6,log(M)4.0〜4.5の割合が5.4%のアリルフェノール末端変性PDMSと、平均鎖長n=143,dw/dlog(M)が最大値を取るときのlog(M)が4.3,log(M)4.0〜4.5の割合が42.9%のアリルフェノール末端変性PDMSとを質量比9.5:0.5で配合したもの)]のアリルフェノール末端変性PDMSに、PTBPを51gに変えた以外は実施例4と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は6.7質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は52.0、粘度平均分子量は19,700であった。
【0077】
実施例8
  実施例4において用いたアリルフェノール末端変性PDMSを、[平均鎖長n=46;dw/dlog(M)が最大値を取るときのlog(M)が3.6;log(M)4.0〜4.5の割合が8.3%(平均鎖長n=34,dw/dlog(M)が最大値を取るときのlog(M)が3.6,log(M)4.0〜4.5の割合が5.4%のアリルフェノール末端変性PDMSと、平均鎖長n=143,dw/dlog(M)が最大値を取るときのlog(M)が4.3,log(M)4.0〜4.5の割合が42.9%のアリルフェノール末端変性PDMSとを質量比9:1で配合したもの)] のアリルフェノール末端変性PDMSに変えた以外は実施例4と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は6.7質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は52.6、粘度平均分子量は20,000であった。
【0078】
実施例9
  実施例8において、PTBPを70gに変えた以外は実施例8と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は6.8質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は46.8、粘度平均分子量は17,400であった。
【0079】
実施例10
  実施例1において用いたアリルフェノール末端変性PDMSを、[平均鎖長n=64;dw/dlog(M)が最大値となるlog(M)が3.8;log(M)4.0〜4.5の割合が18.4%(平均鎖長n=34,dw/dlog(M)が最大値となるlog(M)が3.6,log(M)4.0〜4.5の割合が5.4%のアリルフェノール末端変性PDMSと、平均鎖長n=92,dw/dlog(M)が最大値となるlog(M)が4.1,log(M)4.0〜4.5の割合が34.5%のアリルフェノール末端変性PDMSとを質量比5:5で配合したもの)]のアリルフェノール末端変性PDMSに変えた以外は実施例1と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は6.3質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は46.7、粘度平均分子量Mv=17,300であった。
【0080】
  実施例11
  実施例1において用いたアリルフェノール末端変性PDMSを、[平均鎖長n=69;dw/dlog(M)が最大値となるときのlog(M)が3.8;log(M)4.0〜4.5の割合が21.3%(平均鎖長n=34,dw/dlog(M)が最大値となるときのlog(M)が3.6,log(M)4.0〜4.5の割合が5.4%のアリルフェノール末端変性PDMSと、平均鎖長n=92,dw/dlog(M)が最大値となるときのlog(M)が4.1,log(M)4.0〜4.5の割合が34.5%のアリルフェノール末端変性PDMSとを質量比4:6で配合したもの)]のアリルフェノール末端変性PDMSに変えた以外は実施例1と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は6.1質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は46.5、粘度平均分子量Mv=17,300であった。
【0081】
実施例12
  実施例1において用いたアリルフェノール末端変性PDMSを、[平均鎖長n=64;dw/dlog(M)が最大値となるときのlog(M)が3.8;log(M)4.0〜4.5の割合が21.2%]のアリルフェノール末端変性PDMSに変えた以外は実施例1と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は6.3質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は46.5、粘度平均分子量Mv=17,300であった。
【0082】
実施例13
  実施例10において、ポリカーボネートオリゴマー溶液とともに仕込む塩化メチレンの量を12.1Lとした他は、実施例10と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は6.2質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は46.3、粘度平均分子量Mv=17,200であった。
【0083】
実施例14
  実施例11において、ポリカーボネートオリゴマー溶液とともに仕込む塩化メチレンの量を14.2Lとした他は、実施例11と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は5.8質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は48.3、粘度平均分子量Mv=18,000であった。
【0084】
実施例15
実施例12において、ポリカーボネートオリゴマー溶液とともに仕込む塩化メチレンの量を14.5Lとした他は、実施例12と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は6.4質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は46.1、粘度平均分子量Mv=17,100であった。
【0085】
【表1-1】
【表1-2】
【0086】
比較例1
  実施例1において用いたアリルフェノール末端変性PDMSを、平均鎖長n=88,dw/dlog(M)が最大値を取るときのlog(M)が4.1,log(M)4.0〜4.5の割合が34.5%のアリルフェノール末端変性PDMSに変えた以外は実施例1と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は6.0質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は45.3、粘度平均分子量は16,700であった。また、得られたPC−PDMS共重合体のフレークを用いて、実施例1と同様に試験片を作成し、全光線透過度、ヘーズ値及びアイゾット衝撃強度を測定した。結果を表2に共に示す。また、後述する比較例2〜4についても各比較例で得られたPC−PDMS共重合体のフレークを用いて実施例1と同様に試験片を作成し、全光線透過度、ヘーズ値及びアイゾット衝撃強度を測定した。結果を表2に共に示す。
【0087】
比較例2
  比較例1において用いたアリルフェノール末端変性PDMSを、平均鎖長n=40,dw/dlog(M)が最大値を取るときのlog(M)が3.6,log(M)4.0〜4.5の割合が5.4%のアリルフェノール末端変性PDMSに変えた以外は比較例1と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は5.9質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は47.3、粘度平均分子量は17,500であった。
【0088】
比較例3
  比較例1において用いたアリルフェノール末端変性PDMSを、[平均鎖長n=46,dw/dlog(M)が最大値を取るときのlog(M)が3.3,log(M)4.0〜4.5の割合が6.5%(平均鎖長n=22,dw/dlog(M)が最大値を取るときのlog(M)が4.26,log(M)4.0〜4.5の割合が0.32%のアリルフェノール末端変性PDMSと、平均鎖長n=143,dw/dlog(M)が最大値を取るときのlog(M)が3.3,log(M)4.0〜4.5の割合が42.9%のアリルフェノール末端変性PDMSとを質量比8:2で配合したもの)]のアリルフェノール末端変性PDMSに変えた以外は比較例1と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は6.6質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は47.4、粘度平均分子量は17,600であった。
【0089】
比較例4
  比較例1で得られたPC−PDMS共重合体と比較例2で得られたPC−PDMS共重合体とを質量比7:3で配合したものを用いた。このPC−PDMS共重合体のフレーク100質量部に、酸化防止剤としてIRGAFOS168(商品名、(株)ADEKA製)を0.1質量部混合し、ベント式単軸押出成形機に供給し、樹脂温度280℃にて溶融混練し、評価用ペレットサンプルを得た。この評価用ペレットサンプルを120℃で8時間乾燥させた後、射出成形機を用いて、成形樹脂温度280℃、金型温度80℃にて、射出成形して各試験を行うための試験片を作成し、実施例1と同様に全光線透過度、ヘーズ値及びアイゾット衝撃強度を測定した。結果を表2に共に示す。
【0090】
比較例5
  実施例1において用いたアリルフェノール末端変性PDMSを、平均鎖長n=153,dw/dlog(M)が最大値となるときのlog(M)が4.3,log(M)4.0〜4.5の割合が42.9%のアリルフェノール末端変性PDMS151gに変えた以外は実施例1と同様に行った。得られたフレークのPDMS量は2.5質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は47.3、粘度平均分子量は17,500であった。
【0091】
【表2】
【0092】
  表から明らかなように、特定鎖長のPOS原料を用いることにより、低温での耐衝撃性が発現し、かつ得られる成形品は高い透明性を有する。PC−POS共重合体同士を配合した場合には、本発明の効果である低温での耐衝撃性と透明性との両立を図ることは出来ない。これは特定鎖長のPOS原料を用い、好ましくはPOS原料をポリカーボネートとの重合に先立って配合することにより、PC−POS共重合体同士を配合した場合と比べて、透明性を低下させるシロキサンドメインの形成を抑えることができるため、または形成されるシロキサンドメインのサイズを低減できるためであると考えられる。
  また、ポリオルガノシロキサン共重合体は水酸化ナトリウムのメタノール溶液のような強アルカリ性の水溶液を用いることによって、ポリオルガノシロキサンのみ取り出すことができる。