(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に、塩基存在下、酸ハライドを反応させることにより、混合酸無水物を得る工程(A)、
工程(A)で得られた混合酸無水物に、塩基存在下、下記式(1)
【化1】
(式中、Aは、水素原子、メチル基又は塩素原子を表し、nは1〜20の整数を表す。)で示されるヒドロキシ化合物を反応させることにより、下記式(2)
【化2】
(式中、A、nは前記と同じ意味を表す。)で示されるシクロヘキサンカルボン酸モノエステル化合物、及び、下記式(3)
【化3】
(式中、A、nは前記と同じ意味を表す。)で示されるシクロヘキサンカルボン酸ジエステル化合物を含む反応混合物を得る工程(B)、並びに、
工程(B)で得られた反応混合物から粗結晶を得、得られた粗結晶をアルコール溶媒に溶解させ、不溶物をろ過することにより、前記式(3)で示されるシクロヘキサンカルボン酸ジエステル化合物を除去する工程(C)
を有し、
前記アルコール溶媒が、炭素数1〜3のアルコールである、
前記式(2)で示されるシクロヘキサンカルボン酸モノエステル化合物の製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来、下記式(I)
【0003】
【化1】
(I)
【0004】
(式中、Aは水素原子等を表し、Rは水素原子等を表し、R
Xはそれぞれ独立して水素原子等を表し、nは1〜20の整数を表す。)で示される重合性化合物(以下、「重合性化合物(I)」ということがある。)は、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムを作製することができる重合性化合物として知られている(国際公開第2014/010325号)。
重合性化合物(I)は、以下の工程により製造することができる。
【0005】
【化2】
【0006】
(式中、A、R、R
X、nは前記と同じ意味を表す。Lは、水酸基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等の脱離基を表す。)
すなわち、式(II)で示されるアルデヒド化合物と、式(2a)で示されるカルボン酸又はカルボン酸誘導体とを反応させることにより、式(III)で示される化合物を得、次いで、このものと、式(IV)で示されるヒドラジン誘導体とを反応させることにより、目的とする重合性化合物(I)を得ることができる。
また、上記製造方法に用いる製造中間体である、式(2a)で示される化合物のうち、Lが水酸基である化合物(化合物(2))は、例えば、以下の工程により製造することができる。さらに、Lが水酸基以外の化合物は、化合物(2)から誘導することができる。
【0007】
【化3】
【0008】
(式中、A、nは前記と同じ意味を表す。R
bは、メチル基等のアルキル基、又は、p−メチルフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基を表す。)
すなわち、先ず、トリエチルアミン等の塩基存在下、式(4)で表される1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と、スルホニルクロリドとの反応を行うことにより、混合酸無水物を含む反応混合物を得る。
次いで、得られた反応混合物に、前記式(1)で表される化合物(化合物(1))と、トリエチルアミン等の塩基を加えて、さらに反応を行うことにより、化合物(2)を得ることができる(特許文献1)。
しかしながら、この製造方法には、下記式(3)
【0009】
【化4】
(3)
【0010】
(式中、A、nは前記と同じ意味を表す。)で示される化合物(化合物(3))が副生成するため、化合物(3)を分離するためのカラム精製等が必要となり、目的物の化合物(2)を工業的生産規模で製造する上で問題があった。
また、化合物(2)を、保護基を用いて製造する方法が開示されているが、コスト面で工業的に有利な製造方法とは言えない(特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、かかる実情のもとになされたものであって、前記重合性化合物(I)を工業的に有利に製造するために有用な製造中間体(化合物(2))を、低コストで収率よく、かつ、高純度で製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した。その結果、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に、酸ハライドを反応させることにより、混合酸無水物を得、得られた混合酸無水物に、化合物(1)を反応させることにより、化合物(2)及び化合物(3)を含む反応混合物を得、得られた反応混合物の粗結晶をアルコール溶媒に溶解させ、不溶物である化合物(3)をろ取することにより、目的とする化合物(2)を、収率よく高純度で得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
かくして本発明によれば、(1)〜(4)のシクロヘキサンカルボン酸モノエステル化合物(化合物(2))の製造方法が提供される。
(1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に、塩基存在下、酸ハライドを反応させることにより、混合酸無水物を得る工程(A)、
工程(A)で得られた混合酸無水物に、塩基存在下、下記式(1)
【0015】
【化5】
(1)
【0016】
(式中、Aは、水素原子、メチル基又は塩素原子を表し、nは1〜20の整数を表す。)で示されるヒドロキシ化合物を反応させることにより、下記式(2)
【0017】
【化6】
(2)
【0018】
(式中、A、nは前記と同じ意味を表す。)で示されるシクロヘキサンカルボン酸モノエステル化合物、及び、下記式(3)
【0019】
【化7】
(3)
【0020】
(式中、A、nは前記と同じ意味を表す。)で示されるシクロヘキサンカルボン酸ジエステル化合物を含む反応混合物を得る工程(B)、並びに、
工程(B)で得られた反応混合物から粗結晶を得、得られた粗結晶をアルコール溶媒に溶解させ、不溶物をろ過することにより、前記式(3)で示されるシクロヘキサンカルボン酸ジエステル化合物を除去する工程(C)を有する、
前記式(2)で示されるシクロヘキサンカルボン酸モノエステル化合物の製造方法。
【0021】
(2)前記酸ハライドが、式:R
aSO
2−X(R
aは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、又は、無置換若しくは置換基を有する炭素数1〜20のアリール基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で表されるスルホン酸ハライドである、(1)に記載の製造方法。
(3)前記アルコール溶媒がメタノールである、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)前記式(1)〜(3)中、Aが水素原子を表し、nが6である、(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明の製造方法によれば、光学フィルムの製造原料である重合性化合物(I)の製造中間体である化合物(2)を、低コストで収率よく、かつ、高純度で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を、詳細に説明する。
本発明の製造方法は、下記の工程(A)〜工程(C)を有する化合物(2)の製造方法である。
工程(A):1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に、塩基存在下、酸ハライドを反応させることにより、混合酸無水物を得る工程
工程(B):工程(A)で得られた混合酸無水物に、塩基存在下、前記式(1)で示されるヒドロキシ化合物を反応させることにより、前記式(2)で示されるシクロヘキサンカルボン酸モノエステル化合物(化合物(2))、及び、前記式(3)で示されるシクロヘキサンカルボン酸ジエステル化合物(化合物(3))を含む反応混合物を得る工程
工程(C):工程(B)で得られた反応混合物から粗結晶を得、得られた粗結晶をアルコール溶媒に溶解させ、不溶物をろ過することにより、化合物(3)を除去する工程
【0025】
前記式中、Aは、水素原子、メチル基又は塩素原子を表し、水素原子又はメチル基であるのが好ましく、水素原子であるのがより好ましい。
nは1〜20の整数を表し、2〜10の整数であるのが好ましく、6であるのがより好ましい。
【0026】
本発明の製造方法によって得られる化合物(2)は、前記重合性化合物(I)の製造中間体として有用である。
【0027】
(工程(A))
本発明の製造方法において、工程(A)は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(4)に、塩基存在下、酸ハライドを反応させることにより、混合酸無水物を得る工程である。
【0028】
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、トランス体であってもシス体であっても、異性体混合物であっても構わないが、望ましい目的物を得る観点から、トランス体であるのが好ましい。
【0029】
用いる酸ハライドとしては、式:R
aSO
2−Xで表されるスルホン酸ハライド、式:R
aCO−Xで表されるカルボン酸ハライドが挙げられる。ここで、Xは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を表す。R
aは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、又は、無置換若しくは置換基を有する炭素数1〜20のアリール基を表す。
炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基が挙げられる。
無置換若しくは置換基を有する炭素数1〜20のアリール基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
【0030】
スルホン酸ハライドの具体例としては、メタンスルホニルクロリド、エタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリド、パラトルエンスルホニルクロリド、メタンスルホニルフロリド、メタンスルホニルブロミド、エタンスルホニルブロミド、ベンゼンスルホニルブロミド、メタンスルホニルアイオダイド、ベンゼンスルホニルアイオダイド等が挙げられる。
【0031】
カルボン酸ハライドの具体例としては、アセチルクロリド、プロピオン酸クロリド、ベンゾイルクロリド、アセチルブロミド、プロピオン酸ブロミド等が挙げられる。
【0032】
これらの中でも、収率よく目的物が得られることや、入手容易性、製造コスト等の観点から、酸ハライドとしては、式:R
aSO
2−Xで表されるスルホン酸ハライドを用いるのが好ましく、式:R
aSO
2−Clで表されるスルホン酸クロリドを用いるのがより好ましく、メタンスルホニルクロリド、パラトルエンスルホニルクロリドを用いるのがさらに好ましい。
酸ハライドの使用量は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に対して、通常0.1〜0.7倍モルである。
【0033】
反応は、塩基の存在下で行う。
用いる塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、フェニルジメチルアミン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の有機塩基;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;が挙げられる。これらは1種単独で、或いは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、収率よく目的物が得られる観点から、有機塩基が好ましく、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の3級アミンがより好ましく、トリエチルアミンが特に好ましい。
塩基の使用量は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸1当量に対して、通常0.1〜0.7当量である。
【0034】
反応は有機溶媒中で行うのが好ましい。
用いる有機溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;等が挙げられる。
これらの溶媒は一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、収率よく目的物が得られることなどの理由から、エーテル類が好ましく、THFがより好ましい。
【0035】
溶媒の使用量は、特に限定されず、用いる化合物の種類や反応規模等を考慮して適宜定めることができるが、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸1gに対し、通常1〜20gである。
【0036】
反応温度は、通常、−10℃〜+40℃、好ましくは−5℃〜+15℃である。反応時間は、反応規模等にもよるが、通常、数分から数十時間、好ましくは数十分から数時間である。
反応が終了したことは、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等により確認することができる。
以上のようにして、混合酸無水物を含む反応混合物を得る。混合酸無水物は、単離することもできるが、通常単離することなく反応混合物をそのまま次の工程(B)に供する。
【0037】
(工程(B))
工程(B)は、工程(A)で得られた混合酸無水物に、塩基存在下、化合物(1)を反応させることにより、化合物(2)及び化合物(3)を含む反応混合物を得る工程である。
化合物(1)は、従来公知の方法により製造することができる(国際公開2014/010325号等)。また、市販品をそのまま用いることもできる。
化合物(1)の使用量は、用いた1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に対し、通常、0.1〜1倍モル、好ましくは、0.4〜0.6倍モルである。
【0038】
用いる塩基としては、工程(A)で例示したのと同様のものが挙げられる。
これらの中でも、トリエチルアミン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、及び、これらの混合物が好ましい。
塩基の使用量は、用いた化合物(1)に対して、通常、1〜3倍モル、好ましくは1〜1.5倍モルである。
反応は、工程(A)で得られた反応混合物中に、化合物(1)及び塩基を加え、撹拌することにより行うことができる。
【0039】
反応温度は、通常−10℃〜+40℃、好ましくは0℃〜30℃、より好ましくは、5〜15℃である。
反応時間は、反応規模等にもよるが、通常、数分から数時間である。
これにより、目的とする化合物(2)、及び、副生成物である化合物(3)を含む反応混合物が得られる。
【0040】
(工程(C))
工程(C)は、工程(B)で得られた反応混合物から粗結晶を得、得られた粗結晶をアルコール溶媒に溶解させ、不溶物をろ過することにより、化合物(3)を除去する工程である。
【0041】
工程(B)で得られた反応混合物から粗結晶を得る方法としては、例えば、工程(B)で得られた反応混合物に水を加え、常圧下で加熱し、或いは減圧下で有機溶媒を留去させ、得られた濃縮液を、放冷又は冷却することで、粗結晶を析出させる方法等が挙げられる。
加える水の量は、粗結晶が析出させることができる量であればよく、用いた化合物(1)100gに対し、通常300〜3000g、好ましくは500〜1500gである。
得られる析出物をろ過し、乾燥することで、粗結晶を得ることができる。
なお、加熱して有機溶媒を留去する際には、溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等の重合禁止剤を、化合物(1)に対し0.01倍モル程度添加してもよい。
【0042】
得られた粗結晶に加えるアルコール溶媒は、化合物(2)を溶解し易く、かつ、化合物(3)を溶解し難いものであればよい。このような溶媒を用いることにより、粗結晶中の不溶物である化合物(3)を除去でき、化合物(2)を単離することが可能となる。
用いるアルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール等の炭素数1〜6の脂肪族アルコール;シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール等の炭素数3〜10の脂環式アルコール;等が挙げられる。これらの中でも、目的物をより収率よく得る観点、及び、経済的観点から、炭素数1〜3のアルコールが好ましく、メタノールが特に好ましい。
【0043】
アルコール溶媒の添加量は、用いるアルコールや化合物(2)の種類、反応規模等にもよるが、用いた化合物(1)100gに対し、通常100〜3000g、好ましくは500〜1500gである。
【0044】
アルコール溶媒を添加した後は、化合物(2)を速やかに溶解させるために、アルコール溶液を撹拌するのが好ましい。撹拌温度は、通常0〜40℃、好ましくは10〜35℃、撹拌時間は、通常数分から数時間、好ましくは数分から1時間である。
あまりに高温で、又は長時間撹拌すると、化合物(3)がアルコール溶媒に溶解し、後に単離する化合物(2)の純度が低下するおそれがある。一方、あまりに低温では、又は撹拌時間が短いと、化合物(2)が溶解しきれず化合物(2)の収率が低下するおそれがある。
撹拌後、不溶物として残存する化合物(3)を、ろ過することにより除去することができる。
これにより、化合物(2)を高濃度で含むろ液を得ることができる。
【0045】
工程(C)で得られた化合物(2)のアルコール溶液から、化合物(2)を再結晶することにより、高純度の化合物(2)の結晶を得ることができる。
再結晶の方法は特に制限されない。例えば、前記アルコール溶液に水を加えて結晶を析出させ、45〜60℃で加熱溶解させた後、該溶液を−20〜0℃に冷却することにより、化合物(2)の結晶を析出させることができる。
用いる水の添加量は、化合物(1)の種類によるが、用いたアルコール100gに対し、通常10〜1000g、好ましくは20〜500gである。
水を加えて加熱する際には、溶液に、さらに、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等の重合禁止剤を、用いた化合物(1)に対し0.001倍モル程度添加してもよい。
【0046】
結晶が析出した溶液をろ過することで、化合物(2)の結晶を高純度で得ることができる。
得られる化合物(2)の純度は、通常80%以上である。
得られる化合物(2)の収率は、通常、40%以上である。
本発明によれば、重合性化合物(I)の製造中間体である化合物(2)を、低コストで収率よく高純度で、工業的に有利に製造することができる。
【実施例】
【0047】
以下、本発明を、実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
【0048】
(実施例1)化合物1の製造
【0049】
【化9】
(1a)
【0050】
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸130.28g(756.65mmol)とテトラヒドロフラン(THF)750gを加えた。次いで、反応器を氷浴に浸して反応液内温を5℃とした後、反応液に、メタンスルホニルクロリド45.50g(397.21mmol)を加えた。さらに、トリエチルアミン42.11g(416.15mmol)を、反応液内温を15℃以下に保持しながら、30分かけて滴下した。滴下終了後、全容を5℃でさらに1時間撹拌した。
得られた反応液に、4−(6−アクリロイルオキシ−ヘクス−1−イルオキシ)フェノール(DKSH社製)100.00g(378.33mmol)、及び、4−(ジメチルアミノ)ピリジン4.62g(37.82mmol)を加えた。そこへ、トリエチルアミン42.11g(416.15mmol)を、反応液内温を15℃以下に保持しながら、30分間かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃でさらに2時間撹拌した。
【0051】
反応終了後、反応液を15℃に冷却し、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)0.83g(3.77mmol)と蒸留水800gを加えた。得られた溶液を常圧下で溶液内温が75℃になるまで濃縮を行うことでTHFを留去した。その後、濃縮液を60℃まで冷却し、ろ過助剤(ロカヘルプ4209、三井金属鉱業社製)20.0gを加え、更に5℃まで冷却した。そして、析出物をろ取し、ろ過物を真空乾燥して粗結晶を得た。
【0052】
得られた粗結晶をメタノール1080gに加え、25℃で30分撹拌した後に不溶成分をろ過し、ろ液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)0.08g(0.36mmol)と蒸留水519gを加えた。次いで、溶液を55℃まで加熱した後に−5℃まで冷却して再結晶を行った。得られた結晶をろ取し、ろ過物を真空乾燥させることで白色固体として化合物1を79.16g得た(収率=50%)。
目的物の構造は
1H−NMRで同定した。
【0053】
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6,TMS,δppm)=12.12(s,1H)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.92(d,2H,J=9.0Hz)、6.32(dd,1H,J=1.5Hz,175Hz)、6.17(dd,1H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,1H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.11(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.48−2.56(m,1H)、2.18−2.26(m,1H)、2.04−2.10(m,2H)、1.93−2.00(m,2H)、1.59−1.75(m,4H)、1.35−1.52(m,8H)