(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
重合可能な化合物、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、および消泡剤から選択される少なくとも1つをさらに含有する、請求項8〜12のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。液晶性化合物は、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物、および液晶相を有しないが、上限温度、下限温度、粘度、誘電率異方性のような組成物の物性を調節する目的で添加する化合物の総称である。これらの化合物は、1,4−シクロヘキシレンや1,4−フェニレンのような六員環を有し、その分子構造は棒状(rod like)である。このような液晶性化合物を混合することによって液晶組成物が調製される。液晶性化合物の割合(含有量)は、この液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)で表される。この組成物に、重合可能な化合物、重合開始剤、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、消泡剤、色素のような添加物が必要に応じて添加される。添加物の割合(添加量)は、液晶性化合物の割合と同様に、液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)で表される。重量百万分率(ppm)が用いられることもある。液晶表示素子は、液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。液晶性化合物、液晶組成物、液晶表示素子をそれぞれ化合物、組成物、素子と略すことがある。透明点は、液晶性化合物における液晶相−等方相の転移温度である。液晶相の下限温度は、液晶性化合物における固体−液晶相(スメクチック相、ネマチック相など)の転移温度である。ネマチック相の上限温度は、液晶組成物におけるネマチック相−等方相の転移温度であり、上限温度と略すことがある。ネマチック相の下限温度を下限温度と略すことがある。
【0015】
式(1)で表される化合物を化合物(1)と略すことがある。この略記は式(2)などで表される化合物にも適用することがある。式(1)から式(15)において、六角形で囲んだA
1、B
1、C
1などの記号はそれぞれ環A
1、環B
1、環C
1などに対応する。末端基R
11の記号を複数の化合物に用いた。これらの化合物において、任意の2つのR
11が表す2つの基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。例えば、化合物(2)のR
11がエチルであり、化合物(3)のR
11がエチルであるケースがある。化合物(2)のR
11がエチルであり、化合物(3)のR
11がプロピルであるケースもある。このルールは、他の末端基、環などの記号にも適用される。式(5)において、iが2のとき、2つの環C
1が存在する。この化合物において、2つの環C
1が表す2つの基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。このルールは、iが2より大きいときの任意の2つにも適用される。このルールは、他の環、結合基などの記号にも適用される。
【0016】
「少なくとも1つの“A”は、“B”で置き換えられてもよい」の表現は、“A”の数が1つのとき、“A”の位置は任意であり、“A”の数が2つ以上のときも、それらの位置は制限なく選択できることを意味する。「少なくとも1つのAが、B、CまたはDで置き換えられてもよい」という表現は、任意のAがBで置き換えられる場合、任意のAがCで置き換えられる場合、および任意のAがDで置き換えられる場合、さらに複数のAがB、C、Dの少なくとも2つで置き換えられる場合を含むことを意味する。例えば、少なくとも1つの−CH
2−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキルには、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルケニルオキシアルキルが含まれる。なお、連続する2つの−CH
2−が−O−で置き換えられて、−O−O−のようになることは好ましくない。アルキルなどにおいて、メチル部分(−CH
2−H)の−CH
2−が−O−で置き換えられて−O−Hになることも好ましくない。
【0017】
2−フルオロ−1,4−フェニレンは、下記の2つの二価基を意味する。化学式において、フッ素は左向き(L)であってもよいし、右向き(R)であってもよい。このルールは、テトラヒドロピラン−2,5−ジイルのような、非対称の二価の環にも適用される。
【0018】
本発明は、下記の項1〜14に記載された内容を包含する。
【0019】
項1. 式(1)で表される化合物。
式(1)において、
R
1は、炭素数1〜15のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2CH
2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
環A
1および環A
2は独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり;
Z
1およびZ
2は独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、または−OCO−であり;
L
1、L
2、およびL
3は独立して、水素またはハロゲンであり;
aは、0、1、2、または3である。
【0020】
項2. 項1に記載の式(1)において、R
1が炭素数1〜15のアルキル、炭素数2〜15のアルケニル、炭素数1〜14のアルコキシ、炭素数2〜14のアルケニルオキシで
る、項1に記載の化合物。
【0021】
項3. 項1に記載の式(1)において、Z
1およびZ
2が独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF
2O−、または−COO−である、項1または2に記載の化合物。
【0022】
項4. 式(1−1)〜(1−4)のいずれか1つで表される、請求項1に記載の化合物。
式(1−1)〜(1−4)において、
環A
1、環A
2、環A
3、および環A
4は独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイルであり;
Z
1、Z
2、Z
3、およびZ
4は独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、または−COO−であり;
R
1は、炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;
L
1およびL
2は独立して、水素またはハロゲンである。
【0023】
項5. 式(1−1)〜(1−4)において、
環A
1、 環A
2、 環A
3、および環A
4が独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、または1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり;
Z
1、Z
2、Z
3、およびZ
4が独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、または−CF
2O−であり;
R
1が、炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;
L
1およびL
2が独立して、水素またはフッ素である、項1に記載の化合物。
【0024】
項6. 式(1−5)〜(1−12)のいずれか1つで表される、項1に記載の化合物。
式(1−5)〜(1−12)において、
環A
1および環A
2は独立して、1,4−シクロへキシレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、または1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり;
Z
1およびZ
2は独立して、単結合または−CF
2O−であり;
R
1は、炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;
L
1、L
2、L
3、L
4、L
5、L
6、L
7、およびL
8は独立して、水素またはフッ素である。
【0025】
項7. 式(1−13)〜(1−23)のいずれか1つで表される、請求項1に記載の化合物。
式(1−13)〜(1−23)において、
R
1は、炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;
L
1、L
2、L
3、L
4、L
5、L
6、L
7、およびL
8は独立して、水素またはフッ素である。
【0026】
項8. 項1〜7のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つを含有する液晶組成物。
【0027】
項9. 式(2)〜(4)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項8に記載の液晶組成物。
式(2)〜(4)において、
R
11は、炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく;
X
11は、フッ素、塩素、−OCF
3、−OCHF
2、−CF
3、−CHF
2、−CH
2F、−OCF
2CHF
2、または−OCF
2CHFCF
3であり;
環B
1、環B
2、および環B
3は独立して、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
Z
11、Z
12、およびZ
13は独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、または−(CH
2)
4−であり;
L
11およびL
12は独立して、水素またはフッ素である。
【0028】
項10. 式(5)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項8または9に記載の液晶組成物。
式(5)において、
R
12は、炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく;
X
12は、−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nであり;
環C
1は、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
Z
14は、単結合、−CH
2CH
2−、−C≡C−、−COO−、−CF
2O−、−OCF
2−、または−CH
2O−であり;
L
13およびL
14は独立して、水素またはフッ素であり;
iは、1、2、3、または4である。
【0029】
項11. 式(6)〜(12)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項8〜10のいずれか1項に記載の液晶組成物。
式(6)〜(12)において、
R
13およびR
14は独立して、炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
R
15は、水素、フッ素、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数2〜10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
S
11は、水素またはメチルであり;
Xは、−CF
2−、−O−、または−CHF−であり;
環D
1、環D
2、環D
3、および環D
4は独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、またはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり;
環D
5および環D
6は独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、またはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり;
Z
15、Z
16、Z
17、およびZ
18は独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−COO−、−CH
2O−、−OCF
2−、または−OCF
2CH
2CH
2−であり;
L
15およびL
16は独立して、フッ素または塩素であり;
j、k、m、n、p、q、r、およびsは独立して、0または1であり、k、m、n、およびpの和は、1または2であり、q、r、およびsの和は、0、1、2、または3であり、tは、1、2、または3である。
【0030】
項12. 式(13)〜(15)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項8〜11のいずれか1項に記載の液晶組成物。
式(13)〜(15)において、
R
16およびR
17は独立して、炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
環E
1、環E
2、環E
3、および環E
4は独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
Z
19、Z
20、およびZ
21は独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−C≡C−、または−COO−である。
【0031】
項13. 重合可能な化合物、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、および消泡剤から選択される少なくとも1つをさらに含有する、項8〜12のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0032】
項14. 項8〜13のいずれか1項に記載の液晶組成物を含む液晶表示素子。
【0033】
本発明の化合物、液晶組成物および液晶表示素子について、順に説明する。
【0034】
1−1.化合物(1)
本発明の化合物(1)は、1,1,3,3−テトラフルオロアリルオキシ基を有する化合物であるので、特に、熱に対する高い安定性と、他の液晶化合物との優れた相溶性を有し、かつ大きな誘電率異方性を有するという特徴がある。本発明の化合物(1)の好ましい例について説明をする。化合物(1)における末端基、環構造、結合基、および置換基の好ましい例は、化合物(1)の下位式にも適用される。
式(1)において、
R
1は、炭素数1〜15のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2CH
2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0035】
このような末端基R
1の例は、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルケニルオキシアルキル、およびアルコキシアルケニルである。これらの基において、少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。好ましいハロゲンは、フッ素および塩素である。さらに好ましいハロゲンはフッ素である。これらの基は、直鎖または分岐鎖であり、シクロヘキシルのような環状基を含まない。これらの基において分岐鎖よりも直鎖の方が好ましい。
【0036】
アルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。−CH=CHCH
3、−CH=CHC
2H
5、−CH=CHC
3H
7、−CH=CHC
4H
9、−C
2H
4CH=CHCH
3、および−C
2H
4CH=CHC
2H
5のような奇数位に二重結合をもつアルケニルにおいてはトランス配置が好ましい。−CH
2CH=CHCH
3、−CH
2CH=CHC
2H
5、および−CH
2CH=CHC
3H
7のような偶数位に二重結合をもつアルケニルにおいてはシス配置が好ましい。好ましい立体配置を有するアルケニル化合物は、高い透明点または液晶相の広い温度範囲を有する。Mol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, 109およびMol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, 327、に詳細な説明がある。
【0037】
アルキルの例は、−CH
3、−C
2H
5、−C
3H
7、−C
4H
9、−C
5H
11、−C
6H
13、および−C
7H
15である。
【0038】
アルコキシの例は、−OCH
3、−OC
2H
5、−OC
3H
7、−OC
4H
9、−OC
5H
11、−OC
6H
13、および−OC
7H
15である。
【0039】
アルコキシアルキルの例は、−CH
2OCH
3、−CH
2OC
2H
5、−CH
2OC
3H
7、−(CH
2)
2−OCH
3、−(CH
2)
2−OC
2H
5、−(CH
2)
2−OC
3H
7、−(CH
2)
3−OCH
3、−(CH
2)
4−OCH
3、および−(CH
2)
5−OCH
3である。
【0040】
アルケニルの例は、−CH=CH
2、−CH=CHCH
3、−CH
2CH=CH
2、−CH=CHC
2H
5、−CH
2CH=CHCH
3、−(CH
2)
2−CH=CH
2、−CH=CHC
3H
7、−CH
2CH=CHC
2H
5、−(CH
2)
2−CH=CHCH
3、および−(CH
2)
3−CH=CH
2である。
【0041】
アルケニルオキシの例は、−OCH
2CH=CH
2、−OCH
2CH=CHCH
3、および−OCH
2CH=CHC
2H
5である。
【0042】
少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたアルキルの例は、−CH
2F、−CHF
2、−CF
3、−(CH
2)
2−F、−CF
2CH
2F、−CF
2CHF
2、−CH
2CF
3、−CF
2CF
3、−(CH
2)
3−F、−(CF
2)
3−F、−CF
2CHFCF
3、−CHFCF
2CF
3、−(CH
2)
4−F、−(CF
2)
4−F、−(CH
2)
5−F、−(CF
2)
5−F、−CH
2Cl、−CHCl
2、−CCl
3、−(CH
2)
2−Cl、−CCl
2CH
2Cl、−CCl
2CHCl
2、−CH
2CCl
3、−CCl
2CCl
3、−(CH
2)
3−Cl、−(CCl
2)
3−Cl、−CCl
2CHClCCl
3、−CHClCCl
2CCl
3、−(CH
2)
4−Cl、−(CCl
2)
4−Cl、−(CH
2)
5−Cl、および−(CCl
2)
5−Clである。
【0043】
少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたアルコキシの例は、−OCH
2F、−OCHF
2、−OCF
3、−O−(CH
2)
2−F、−OCF
2CH
2F、−OCF
2CHF
2、−OCH
2CF
3、−O−(CH
2)
3−F、−O−(CF
2)
3−F、−OCF
2CHFCF
3、−OCHFCF
2CF
3、−O(CH
2)
4−F、−O−(CF
2)
4−F、−O−(CH
2)
5−F、−O−(CF
2)
5−F、−OCH
2Cl、−OCHCl
2、−OCCl
3、−O−(CH
2)
2−Cl、−OCCl
2CH
2Cl、−OCCl
2CHCl
2、−OCH
2CCl
3、−O−(CH
2)
3−Cl、−O−(CCl
2)
3−Cl、−OCCl
2CHClCCl
3、−OCHClCCl
2CCl
3、−O(CH
2)
4−Cl、−O−(CCl
2)
4−Cl、−O−(CH
2)
5−Cl、および−O−(CCl
2)
5−Clである。
【0044】
少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたアルケニルの例は、−CH=CHF、−CH=CF
2、−CF=CHF、−CH=CHCH
2F、−CH=CHCF
3、−(CH
2)
2−CH=CF
2、−CH
2CH=CHCF
3、−CH=CHCF
2CF
3、−CH=CHCl、−CH=CCl
2、−CCl=CHCl、−CH=CHCH
2Cl、−CH=CHCCl
3、−(CH
2)
2−CH=CCl
2、−CH
2CH=CHCCl
3、および−CH=CHCCl
2CCl
3である。
【0045】
R
1の好ましい例は、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニル、炭素数1〜9のアルコキシ、1つまたは2つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数1〜10のアルキル、または1つまたは2つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2〜10のアルケニルである。R
1のさらに好ましい例は、炭素数1〜7のアルキルおよび炭素数2〜7のアルケニルである。R
1の最も好ましい例は、−CH
3、−C
2H
5、−C
3H
7、−C
4H
9、−C
5H
11、−CH=CH
2、−CH=CHCH
3、−(CH
2)
2−CH=CH
2、−CH
2CH=CHC
2H
5、および−(CH
2)
2−CH=CHCH
3である。
【0046】
式(1)において、環A
1および環A
2は独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルである。
【0047】
環A
1および環A
2の好ましい例は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、および2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイルである。1,4−シクロへキシレンには、シスおよびトランスの立体配置が存在する。高い上限温度の観点から、トランス配置が好ましい。少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンの好ましい例は、環(A−1)〜(A−17)である。
【0049】
2−フルオロ−1,4−フェニレンは、左右対称ではない。化学式において、フッ素が左末端基の側に位置する場合(左向き)と、右末端基の側に位置する場合(右向き)とが存在する。好ましい2−フルオロ−1,4−フェニレンは、誘電率異方性を大きくするために右向き(A−1)である。このことは、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンなどにも当てはまる。すなわち、基(A−1)〜(A−5)がより好ましい。
【0050】
少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンのさらに好ましい例は、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−6−フルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジクロロ−1,4−フェニレン、および2−クロロ−1,4−フェニレンである。少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンの最も好ましい例は、2−フルオロ−1,4−フェニレンおよび2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。
【0051】
環A
1および環A
2のさらに好ましい例は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、および1,3−ジオキサン−2,5−ジイルである。
【0052】
式(1)において、Z
1およびZ
2は独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、または−OCO−である。Z
1およびZ
2の好ましい例は、単結合、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−COO−、および−CF
2O−である。Z
1およびZ
2のさらに好ましい例は、単結合および−CF
2O−である。
【0053】
式(1)において、L
1、L
2、およびL
3は独立して、水素またはハロゲンである。好ましいハロゲンは、フッ素および塩素である。さらに好ましいハロゲンはフッ素である。L
1、L
2、およびL
3の好ましい組み合わせは、L
3が水素であり、L
1およびL
2の一方が水素であり、他方がフッ素である。L
1、L
2、およびL
3のさらに好ましい組み合わせは、L
3が水素であり、L
1およびL
2の両方がフッ素である。
【0054】
式(1)において、aは、0、1、2、または3である。好ましいaは、1、2、または3である。さらに好ましいaは、1または2である。小さな粘度の観点から、好ましいaは1である。高い上限温度の観点から、好ましいaは2である。
【0055】
1−2.化合物(1)の物性
化合物(1)において、R
1、環A
1、環A
2、Z
1、Z
2、L
1、L
2、L
3、およびaの種類を適切に組み合わせることによって、透明点、光学的異方性、誘電率異方性などの物性を任意に調整することが可能である。化合物の物性に大きな差異がないので、化合物(1)は、
2H(重水素)、
13Cなどの同位体を天然存在比の量より多く含んでもよい。R
1などの種類が化合物(1)の物性に及ぼす主要な効果を以下に説明する。
【0056】
左末端基R
1が直鎖であるときは、液晶相の温度範囲が広く、そして粘度が小さい。R
1が分岐鎖であるときは、他の液晶性化合物との相溶性がよい。R
1が光学活性である化合物は、キラルドーパントとして有用である。この化合物を組成物に添加することによって、液晶表示素子に発生するリバース・ツイスト・ドメイン(reverse twisted domain)を防止することができる。R
1が光学活性でない化合物は、組成物の成分として有用である。R
1がアルケニルであるとき、好ましい立体配置は二重結合の位置に依存する。好ましい立体配置を有するアルケニル化合物は、小さい粘度、高い上限温度または液晶相の広い温度範囲を有する。
【0057】
環A
1および環A
2のすべてが1,4−シクロヘキシレンであるときは、透明点が高く、粘度が小さい。環A
1および環A
2の少なくとも1つが1,4−フェニレンであるとき、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであるときは、光学的異方性が比較的大きく、そして配向秩序パラメーター(orientational order parameter)が比較的大きい。環A
1および環A
2のすべてが、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、またはこれらの組み合わせであるときは、光学的異方性が特に大きい。環A
1および環A
2の少なくとも1つが、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイルであるときは、誘電率異方性が大きい。
【0058】
結合基Z
1またはZ
2が、単結合、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、または−CF
2O−であるときは、粘度が小さい。Z
1またはZ
2が−CH=CH−または−CH
2O−であるときは、液晶相の温度範囲が広く、そして弾性定数(K)が大きい。Z
1またはZ
2が、−CH=CH−または−C≡C−であるときは、光学的異方性が大きい。Z
1またはZ
2が、−CF
2O−または−COO−であるときは、誘電率異方性が大きい。Z
1またはZ
2が、単結合、−CH
2CH
2−、−CF
2O−、または−CH
2O−であるときは、化学的安定性が高い。
【0059】
L
3が水素であり、L
1およびL
2の一方がフッ素であるときは誘電率異方性が大きい。L
3が水素であり、L
1およびL
2の両方がフッ素であるときは、特に誘電率異方性が大きく、他の化合物との相溶性が優れている。
【0060】
aが0のときは、他の化合物との相溶性が優れており、粘度が極めて小さい。aが1のときは、他の化合物との相溶性が優れており、粘度が小さく、誘電率異方性が大きい。aが2のときは、透明点が高く、誘電率異方性が大きく、光学的異方性が大きい。aが3のときは、透明点が極めて高く、光学的異方性が大きい。
【0061】
以上のように、環構造、末端基、結合基などの種類を適切に選択することによって目的の物性を有する化合物を得ることができる。したがって、化合物(1)は、PC、TN、STN、ECB、OCB、IPS、VAのようなモードの液晶表示素子に用いられる液晶組成物の成分として有用である。
【0062】
1−3.好ましい化合物
化合物(1)の好ましい例は、化合物(1−1)〜(1−4)である。より好ましい例は、化合物(1−5)〜(1−12)である。最も好ましい例は、化合物(1−13)〜(1−23)である。
式(1−1)〜(1−4)において、
環A
1、環A
2、環A
3、および環A
4は独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたは2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイルであり;
Z
1、Z
2、Z
3、およびZ
4は独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、または−COO−であり;
R
1は、炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;
L
1およびL
2は独立して、水素またはハロゲンである。
【0063】
式(1−1)〜(1−4)において、
環A
1、 環A
2、 環A
3、および環A
4が独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、または1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり;
Z
1、Z
2、Z
3、およびZ
4が独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、または−CF
2O−であり;
R
1が、炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;
L
1およびL
2が独立して、水素またはフッ素である化合物がさらに好ましい。
【0064】
式(1−5)〜(1−12)において、
環A
1および環A
2は独立して、1,4−シクロへキシレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、または1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり;
Z
1およびZ
2は独立して、単結合または−CF
2O−であり;
R
1は、炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;
L
1、L
2、L
3、L
4、L
5、L
6、L
7、およびL
8は独立して、水素またはフッ素である。
【0065】
式(1−13)〜(1−23)において、
R
1は、炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;
L
1、L
2、L
3、L
4、L
5、L
6、L
7、およびL
8は独立して、水素またはフッ素である。
【0066】
本発明の液晶性化合物は、前記R
1、環A
1、環A
2、Z
1、およびZ
2とともに、1,1,3,3−テトラフルオロ−2−プロペニルオキシ基を有しているので熱、光などに対する高い安定性、高い透明点、液晶相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学的異方性、大きな誘電率異方性、適切な弾性定数、他の液晶性化合物との優れた相溶性などにバランスよく優れ、しかも他の液晶性化合物との特に優れた相溶性と熱、光などに対する高い安定性を有し、かつ大きな誘電率異方性を有する。
【0067】
1−4.化合物(1)の合成
化合物(1)の合成法について説明する。化合物(1)は有機合成化学の方法を適切に組み合わせることにより合成できる。出発物に目的の末端基、環および結合基を導入する方法は、「オーガニック・シンセシス」(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc.)、「オーガニック・リアクションズ」(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc.)、「コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス」(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、「新実験化学講座」(丸善)などの成書に記載されている。
【0068】
1−4−1.結合基の生成
化合物(1)における結合基を生成する方法の例は、下記のスキームのとおりである。このスキームにおいて、MSG
1(またはMSG
2)は、少なくとも1つの環を有する一価の有機基である。複数のMSG
1(またはMSG
2)が表す一価の有機基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。化合物(1A)〜(1G)は、化合物(1)または化合物(1)の中間体に相当する。
【0075】
(I)単結合の生成
アリールホウ酸(21)と化合物(22)を、炭酸塩、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒の存在下で反応させ、化合物(1A)を合成する。この化合物(1A)は、化合物(23)にn−ブチルリチウムを、次いで塩化亜鉛を反応させ、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒の存在下で化合物(22)を反応させても合成される。
【0076】
(II)−COO−と−OCO−の生成
化合物(23)にn−ブチルリチウムを、次いで二酸化炭素を反応させ、カルボン酸(24)を得る。このカルボン酸(24)と、化合物(21)から誘導したフェノール(25)とをDCC(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド)とDMAP(4−ジメチルアミノピリジン)の存在下で脱水させて−COO−を有する化合物(1B)を合成する。この方法によって−OCO−を有する化合物も合成する。
【0077】
(III)−CF
2O−と−OCF
2−の生成
化合物(1B)をローソン試薬で硫黄化し、化合物(26)を得る。化合物(26)をフッ化水素ピリジン錯体とNBS(N−ブロモスクシンイミド)でフッ素化し、−CF
2O−を有する化合物(1C)を合成する。M. Kuroboshi et al., Chem. Lett., 1992,827.を参照。化合物(1C)は化合物(26)をDAST((ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド)でフッ素化しても合成される。W. H. Bunnelle et al., J. Org. Chem. 1990, 55, 768.を参照。この方法によって−OCF
2−を有する化合物も合成する。
【0078】
(IV)−CH=CH−の生成
化合物(22)をn−ブチルリチウム、次いでDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)と反応させてアルデヒド(27)を得る。ホスホニウム塩(28)とカリウムtert−ブトキシドを反応させて発生させたリンイリドを、アルデヒド(27)と反応させて化合物(1D)を合成する。反応条件によってはシス体が生成するので、必要に応じて公知の方法によりシス体をトランス体に異性化する。
【0079】
(V)−CH
2CH
2−の生成
化合物(1D)をパラジウム炭素触媒の存在下で水素化し、化合物(1E)を合成する。
【0080】
(VI)−C≡C−の生成
ジクロロパラジウムとヨウ化銅の触媒存在下で、化合物(23)に2−メチル−3−ブチン−2−オールを反応させたのち、塩基性条件下で脱保護して化合物(29)を得る。ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムとハロゲン化銅との触媒存在下、化合物(29)を化合物(22)と反応させて、化合物(1F)を合成する。
【0081】
(VII)−CH
2O−と−OCH
2−の生成
化合物(27)を水素化ホウ素ナトリウムで還元して化合物(30)を得る。これを臭化水素酸で臭素化して化合物(31)を得る。炭酸カリウムの存在下、化合物(25)と化合物(31)を反応させて、化合物(1G)を合成する。この方法によって−OCH
2−を有する化合物も合成する。
【0082】
(VIII)−CF=CF−の生成
化合物(23)をn−ブチルリチウムで処理したあと、テトラフルオロエチレンを反応させて化合物(32)を得る。化合物(32)をn−ブチルリチウムで処理したあと化合物(22)と反応させて化合物(1H)を合成する
以上を組み合わせてフェノール(33)を合成する。
【0083】
1−4−2.環A
1および環A
2の生成
1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイルなどの環に関しては出発物が市販されているか、または合成法がよく知られている。
【0084】
1−4−3.合成例
化合物(1)を合成する方法の例は、次のとおりである。
合成法1
公知の方法により合成されるフェノール(33)と1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラフルオロプロパンを炭酸カリウムの存在下でアセトニトリル中65℃で4時間反応させて化合物(1)を合成する。
【0086】
合成法2
公知の方法により合成されるフェノール(33)と1,1,3,3−テトラフルオロプロペンを炭酸カリウムの存在下でTHF中、室温で12時間攪拌させて化合物(1)を合成する。なお、この反応に用いる1,1,3,3−テトラフルオロプロペンは、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペンをジエチルエーテル中でt―ブチルリチウムと反応させることにより得られる。
【0088】
これらの化合物において、R
1、環A
1、環A
2、Z
1、Z
2、L
1、L
2、L
3、およびaの定義は、項1に記載した式(1)と同一である。
【0089】
2.組成物(1)
本発明の液晶組成物(1)について説明をする。この組成物(1)は、少なくとも1つの化合物(1)を成分Aとして含む。組成物(1)は、2つ以上の化合物(1)を含んでいてもよい。液晶性化合物の成分が化合物(1)のみであってもよい。組成物(1)は、化合物(1)の少なくとも1つを1〜99重量%の範囲で含有することが、優良な物性を発現させるために好ましい。誘電率異方性が正である組成物において、化合物(1)の好ましい含有量は5〜60重量%の範囲である。誘電率異方性が負である組成物において、化合物(1)の好ましい含有量は30重量%以下である。組成物(1)は、化合物(1)と、本明細書中に記載しなかった種々の液晶性化合物とを含んでもよい。
【0090】
好ましい組成物は、以下に示す成分B、C、D、およびEから選択された化合物を含有する。組成物(1)を調製するときには、例えば、化合物(1)の誘電率異方性を考慮して成分を選択することもできる。TFT、IPS、FFSなどのモード用に誘電率異方性が正の組成物を調製するとき、主要な成分は、成分A、BおよびEである。STN、TNなどのモード用に誘電率異方性が正の組成物を調製するとき、主要な成分は、成分A、CおよびEである。VA、PSAなどのモード用に誘電率異方性が負の組成物を調製するとき、主要な成分は、成分DおよびEであり、成分Aは素子の電圧−透過率曲線を調整する目的で添加される。成分を適切に選択した組成物は、高い上限温度、低い下限温度、小さな粘度、適切な光学的異方性、大きな誘電率異方性、および適切な弾性定数を有する。
【0091】
成分Bは、項9に記載した化合物(2)〜(4)である。成分Cは、項10に記載した化合物(5)である。成分Dは項11に記載した、化合物(6)〜(12)である。成分Eは、項12に記載した化合物(13)〜(15)である。これらの成分について、順に説明する。
【0092】
成分Bは、右末端にハロゲンまたはフッ素含有基を有する化合物である。成分Bの好ましい例として、化合物(2−1)〜(2−16)、化合物(3−1)〜(3−113)、化合物(4−1)〜(4−57)を挙げることができる。これらの化合物において、R
11およびX
11の定義は、項9に記載した化合物(2)〜(4)と同一である。
【0099】
成分Bは、誘電率異方性が正であり、熱、光などに対する安定性が非常に優れているので、TFT、IPS、FFSなどのモード用の組成物を調製する場合に用いられる。成分Bの含有量は、組成物の重量に基づいて1〜99重量%の範囲が適するが、好ましくは10〜97重量%の範囲、より好ましくは40〜95重量%の範囲である。この組成物は、化合物(13)〜(15)(成分E)をさらに添加することにより粘度を調整することができる。
【0100】
成分Cは、右末端基が−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nである化合物(5)である。成分Cの好ましい例として、化合物(5−1)〜(5−64)を挙げることができる。これらの化合物(成分C)において、R
12およびX
12の定義は、項10に記載した化合物(5)と同一である。
【0103】
成分Cは、誘電率異方性が正であり、その値が大きいのでSTNモード用、TNモード用またはPSAモード用の組成物を調製する場合に主として用いられる。この成分Cを添加することにより、組成物の誘電率異方性を大きくすることができる。成分Cは、液晶相の温度範囲を広げる、粘度を調整する、または光学的異方性を調整する、という効果がある。成分Cは、素子の電圧−透過率曲線の調整にも有用である。
【0104】
STNモード用またはTNモード用の組成物を調製する場合には、成分Cの含有量は、組成物の重量に基づいて1〜99重量%の範囲が適しているが、好ましくは10〜97重量%の範囲、より好ましくは40〜95重量%の範囲である。この組成物は、成分Eを添加することにより液晶相の温度範囲、粘度、光学的異方性、誘電率異方性などを調整できる。
【0105】
成分Dは、化合物(6)〜(12)である。これらの化合物は、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンのように、ラテラル位が2つのハロゲンで置換されたベンゼン環を有する。成分Dの好ましい例として、化合物(6−1)〜(6−8)、化合物(7−1)〜(7−17)、化合物(8−1)、化合物(9−1)〜(9−3)、化合物(10−1)〜(10−11)、化合物(11−1)〜(11−3)および化合物(12−1)〜(12−3)を挙げることができる。これらの化合物(成分D)において、R
13、R
14およびR
15の定義は、項11に記載した化合物(6)〜(12)と同一である。
【0108】
成分Dは、誘電率異方性が負の化合物である。成分Dは、主としてVAモード用またはPSAモード用の組成物を調製する場合に用いられる。成分Dのうち、化合物(6)は2環化合物であるので、主として、粘度の調整、光学的異方性の調整、または誘電率異方性の調整の効果がある。化合物(7)および(8)は3環化合物であるので、上限温度を高くする、光学的異方性を大きくする、または誘電率異方性を大きくするという効果がある。化合物(9)〜(12)は、誘電率異方性を大きくするという効果がある。
【0109】
VAモード用またはPSAモード用の組成物を調製する場合には、成分Dの含有量は、組成物の重量に基づいて、好ましくは40重量%以上であり、より好ましくは50〜95重量%の範囲である。成分Dを誘電率異方性が正である組成物に添加する場合は、成分Dの含有量が組成物の重量に基づいて30重量%以下が好ましい。成分Dを添加することにより、組成物の素子の電圧−透過率曲線を調整することが可能となる。
【0110】
成分Eは、2つの末端基がアルキルなどである化合物である。成分Eの好ましい例として、化合物(13−1)〜(13−11)、化合物(14−1)〜(14−19)、および化合物(15−1)〜(15−7)を挙げることができる。これらの化合物(成分E)において、R
16およびR
17の定義は、項12に記載した化合物(13)〜(15)と同一である。
【0112】
成分Eは、誘電率異方性の絶対値が小さいので、中性に近い化合物である。化合物(13)は、主として粘度の調整または光学的異方性の調整の効果がある。化合物(14)および(15)は、上限温度を高くすることによってネマチック相の温度範囲を広げる効果、または光学的異方性の調整の効果がある。
【0113】
成分Eの含有量を増加させると組成物の誘電率異方性が小さくなるが、粘度が小さくなる。そこで、素子のしきい値電圧の要求値を満たす限り、含有量は多いほうが好ましい。したがって、組成物を調製する場合には、成分Eの含有量は、組成物の重量に基づいて、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上である。
【0114】
組成物(1)の調製は、必要な成分を高い温度で溶解させるなどの方法により行われる。用途に応じて、この組成物に添加物を添加してよい。添加物の例は、光学活性化合物、重合可能な化合物、重合開始剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、消泡剤、色素などである。このような添加物は当業者によく知られており、文献に記載されている。
【0115】
組成物(1)は、少なくとも1つの光学活性化合物をさらに含有してもよい。光学活性化合物は、液晶分子にらせん構造を誘起して必要なねじれ角を与えることによって逆ねじれを防ぐという効果を有する。光学活性化合物の好ましい例として、下記の化合物(Op−1)〜(Op−18)を挙げることができる。
【0116】
化合物(Op−18)において、環Fは1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、R
21は炭素数1〜10のアルキルである。
【0117】
組成物(1)は、このような光学活性化合物を添加して、らせんピッチを調整する。らせんピッチは、TFTモード用およびTNモード用の組成物であれば40〜200μmの範囲に調整するのが好ましい。STNモード用の組成物であれば6〜20μmの範囲に調整するのが好ましい。BTNモード用の組成物の場合は、1.5〜4μmの範囲に調整するのが好ましい。らせんピッチの温度依存性を調整する目的で2つ以上の光学活性化合物を添加してもよい。
【0118】
組成物(1)は、重合可能な化合物を添加することによってPSAモード用に使用することもできる。重合可能な化合物の例は、アクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、ビニルオキシ化合物、プロペニルエーテル、エポキシ化合物(オキシラン、オキセタン)、ビニルケトンなどである。重合可能な化合物は、紫外線照射などにより重合する。光重合開始剤などの開始剤を添加してもよい。重合のための適切な条件、開始剤の適切なタイプ、および適切な量は、当業者には既知であり、文献に記載されている。重合可能な化合物の好ましい例として、化合物(M−1)〜(M−12)を挙げることができる。
【0120】
化合物(M−1)〜(M−12)において、R
25、R
26およびR
27は独立して、水素またはメチルであり;u、xおよびyは独立して、0または1であり;vおよびwは独立して、1〜10の整数であり;L
21、L
22、L
23、L
24、L
25、およびL
26は独立して、水素またはフッ素である。
【0121】
酸化防止剤は、大きな電圧保持率を維持するために有効である。酸化防止剤の好ましい例として、下記の化合物(AO−1)および(AO−2)、IRGANOX 415、IRGANOX 565、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 3114、およびIRGANOX 1098(商品名:BASF社)を挙げることができる。紫外線吸収剤は、上限温度の低下を防ぐために有効である。紫外線吸収剤の好ましい例は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、トリアゾール誘導体などである。具体例として下記の化合物(AO−3)および(AO−4)、TINUVIN 329、TINUVIN P、TINUVIN 326、TINUVIN 234、TINUVIN 213、TINUVIN 400、TINUVIN 328、TINUVIN 99−2(商品名:BASF社)、および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を挙げることができる。立体障害のあるアミンのような光安定剤は、大きな電圧保持率を維持するために好ましい。光安定剤の好ましい例として、下記の化合物(AO−5)および(AO−6)、TINUVIN 144、TINUVIN 765、およびTINUVIN 770DF(商品名:BASF社)を挙げることができる。熱安定剤も大きな電圧保持率を維持するために有効であり、好ましい例としてIRGAFOS 168(商品名:BASF社)を挙げることができる。消泡剤は、泡立ちを防ぐために有効である。消泡剤の好ましい例は、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどである。
【0123】
化合物(AO−1)において、R
30は炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルコキシ、−COOR
31または−CH
2CH
2COOR
31であり、R
31は炭素数1〜20のアルキルである。化合物(AO−2)において、R
32は炭素数1〜20のアルキルである。化合物(AO−5)において、R
32は炭素数1〜20のアルキルであり;R
33は水素、メチルまたはO
・(酸素ラジカル)であり;環Gは1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり;zは1、2、または3である。
【0124】
組成物(1)は、メロシアニン系、スチリル系、アゾ系、アゾメチン系、アゾキシ系、キノフタロン系、アントラキノン系、テトラジン系などの二色性色素を添加すれば、GH(guest host)モード用に使用することもできる。
【0125】
3.液晶表示素子
組成物(1)は、PCモード、TNモード、STNモード、OCBモード、PSAモードなどの動作モードを有し、アクティブマトリックス(AM方式)で駆動する液晶表示素子に使用できる。組成物(1)は、PCモード、TNモード、STNモード、OCBモード、VAモード、IPSモードなどの動作モードを有し、パッシブマトリクス(PM)方式で駆動する液晶表示素子にも使用することができる。これらのAM方式およびPM方式の素子は、反射型、透過型、半透過型のいずれのタイプにも適用ができる。
【0126】
組成物(1)は、ネマチック液晶をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)素子、液晶中に三次元網目状高分子を形成して作製したポリマー分散型液晶表示素子(PDLCD)、ポリマーネットワーク液晶表示素子(PNLCD)にも使用できる。
【実施例】
【0127】
実施例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれら実施例によっては制限されない。
【0128】
1−1.化合物(1)の実施例
化合物(1)は、下記の手順により合成した。合成した化合物は、NMR分析などの方法により同定した。化合物の物性は、下記に記載した方法により測定した。
【0129】
NMR分析
測定には、ブルカーバイオスピン社製のDRX−500を用いた。
1H−NMRの測定では、試料をCDCl
3などの重水素化溶媒に溶解させ、室温で、500MHz、積算回数16回の条件で測定した。テトラメチルシランを内部標準として用いた。
19F−NMRの測定では、CFCl
3を内部標準として用い、積算回数24回で行った。核磁気共鳴スペクトルの説明において、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、quinはクインテット、sexはセクステット、mはマルチプレット、brはブロードであることを意味する。
【0130】
測定試料
相構造および転移温度を測定するときには、液晶性化合物そのものを試料として用いた。ネマチック相の上限温度、粘度、光学的異方性、誘電率異方性などの物性を測定するときには、化合物を母液晶に混合して調製した組成物を試料として用いた。
【0131】
化合物を母液晶と混合した試料を用いる場合には、次のように測定した。化合物15重量%と母液晶85重量%とを混合して試料を調製した。この試料の測定値から、次の式で表される外挿法にしたがって、外挿値を計算し、この値を記載した。〈外挿値〉=(100×〈試料の測定値〉−〈母液晶の重量%〉×〈母液晶の測定値〉)/〈化合物の重量%〉
【0132】
化合物と母液晶との割合がこの割合であっても、結晶(または、スメクチック相)が25℃で析出する場合には、化合物と母液晶との割合を10重量%:90重量%、5重量%:95重量%、1重量%:99重量%の順に変更をしていき、結晶(または、スメクチック相)が25℃で析出しなくなった割合で試料の物性を測定した。なお、特に断りのない限り、化合物と母液晶との割合は、15重量%:85重量%である。
【0133】
母液晶としては、下記の母液晶(i)を用いた。母液晶(i)の成分の割合を重量%で示す。
【0134】
測定方法
物性の測定は下記の方法で行った。これらの多くは、社団法人電子情報技術産業協会(Japan Electronics and Information Technology Industries Association;以下、JEITAと略す)で審議制定されるJEITA規格(JEITA・ED−2521B)に記載された方法、またはこれを修飾した方法であった。測定に用いたTN素子には、TFTを取り付けなかった。
【0135】
(1)相構造
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−52型ホットステージ)に試料を置き、3℃/分の速度で加熱しながら相状態とその変化を偏光顕微鏡で観察し、相の種類を特定した。
【0136】
(2)転移温度(℃)
測定には、パーキンエルマー社製の示差走査熱量計Diamond DSCシステム、またはエスエスアイ・ナノテクノロジー社製の高感度示差走査熱量計X−DSC7000を用いた。3℃/分速度で昇降温し、試料の相変化に伴う吸熱ピーク、または発熱ピークの開始点を外挿により求め、転移温度を決定した。化合物が固体からスメクチック相、ネマチック相などの液晶相に転移する温度を「液晶相の下限温度」と略すことがある。化合物が液晶相から等方性液体に転移する温度を「透明点」と略すことがある。
【0137】
結晶はCと表した。結晶の種類の区別がつく場合は、それぞれC
1またはC
2と表した。スメクチック相はS、ネマチック相はNと表した。スメクチック相の中で、スメクチックA相、スメクチックB相、スメクチックC相、またはスメクチックF相の区別がつく場合は、それぞれS
A、S
B、S
C、またはS
Fと表した。液体(アイソトロピック)はIと表した。転移温度は、例えば、「C 50.0 N 100.0 I」のように表記した。これは、結晶からネマチック相への転移温度が50.0℃であり、ネマチック相から液体への転移温度が100.0℃であることを示す。
【0138】
(3)低温相溶性
化合物の割合が、20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、3重量%、および1重量%となるように母液晶と化合物とを混合した試料を調製し、試料をガラス瓶に入れた。このガラス瓶を、−10℃または−20℃のフリーザー中に一定期間保管したあと、結晶またはスメクチック相が析出しているかどうか観察をした。
【0139】
(4)ネマチック相の上限温度(T
NIまたはNI;℃)
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。試料が化合物と母液晶との混合物であるときは、T
NIの記号で示した。試料が化合物と成分Bなどとの混合物であるときは、NIの記号で示した。
【0140】
(5)ネマチック相の下限温度(T
C;℃)
ネマチック相を有する試料を0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、T
Cを≦−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
【0141】
(6)粘度(バルク粘度;η;20℃で測定;mPa・s)
測定には東京計器株式会社製のE型回転粘度計を用いた。
【0142】
(7)粘度(回転粘度;γ1;25℃で測定;mPa・s)
測定は、M. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。ツイスト角が0°であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであるTN素子に試料を入れた。この素子に16Vから19.5Vの範囲で0.5V毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM. Imaiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算に必要な誘電率異方性の値は、この回転粘度を測定した素子を用い、下に記載した方法で求めた。
【0143】
(8)光学的異方性(屈折率異方性;25℃で測定;Δn)
測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率(n‖)は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率(n⊥)は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学的異方性(Δn)の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
【0144】
(9)誘電率異方性(Δε;25℃で測定)
2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0145】
(10)弾性定数(K;25℃で測定;pN)
測定には横河・ヒューレットパッカード株式会社製のHP4284A型LCRメータを用いた。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmである水平配向素子に試料を入れた。この素子に0ボルトから20ボルト電荷を印加し、静電容量および印加電圧を測定した。測定した静電容量(C)と印加電圧(V)の値を「液晶デバイスハンドブックク」(日刊工業新聞社)、75頁にある式(2.98)、式(2.101)を用いてフィッティングし、式(2.99)からK
11およびK
33の値を得た。次に171頁にある式(3.18)に、先ほど求めたK
11およびK
33の値を用いてK
22を算出した。弾性定数Kは、このようにして求めたK
11、K
22、およびK
33の平均値で表した。
【0146】
(11)しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V)
測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が約0.45/Δn(μm)であり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(32Hz、矩形波)は0Vから10Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が90%になったときの電圧で表した。
【0147】
(12)電圧保持率(VHR−1;25℃で測定;%)
測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は5μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線で硬化する接着剤で密閉した。この素子に25℃でパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率で表した。
【0148】
(13)電圧保持率(VHR−2;80℃で測定;%)
電圧保持率(VHR−2)は、80℃で測定した以外はVHR−1と同様の方法で求めた。
【0149】
原料
ソルミックスA−11(商品名)は、エタノール(85.5%)、メタノール(13.4%)とイソプロパノール(1.1%)の混合物であり、日本アルコール販売(株)から入手した。
【0150】
[実施例1] 4−((3,5−ジフルオロー4−((1,1,3,3−テトラフルオロアリル)オキシ))フェノキシ)ジフルオロメチル)−3,5−ジフルオロ−4’−プロピル−1,1’−ビフェニル (No.1−2−73)の合成
【0151】
特開2007−277127記載の方法で合成した4−((3,5−ジフルオロ−4’−プロピル−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)ジフルオロメトキシ)−2,6−ジフルオロフェノール(2.00g,4.69mmol)と炭酸カリウム(2.16g,15.62mmol)、そして1,3−ジブロモ−1,1,3,3−テトラフルオロプロパン(2.15g,7.83mmol)とをアセトニトリル中、65℃で3時間攪拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を、水、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターで溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーおよび再結晶で精製することにより、化合物(No.1−2−73)を得た(収率62%)。
【0152】
1H−NMR(CDCl
3)δ7.50−7.48(m,2H)、7.30−7.29(m,2H)、7.22−7.20(m,2H)、7.00−6.97(m,2H)、5.00−4.93(m,1H)、2.66−2.63(m,2H)、1.68(sex,J=7.6Hz,2H)、0.97(t,J=7.3Hz,3H).
【0153】
化合物(No.1−2−73)の物性は、次のとおりであった。相転移温度:C 52.5 I.上限温度(NI)=39.0℃;誘電率異方性(Δε)=16.2;光学的異方性(Δn)=0.150;粘度(η)=35.5mPa・s.
【0154】
[実施例2] 4−(3,5−ジフルオロ−4−((1,1,3,3−テトラフルオロアリル)オキシ)フェニル)−4’−プロピル−1,1’−ビ(シクロヘキサン) (No.1−2−40)の合成
【0155】
特開2007−277127記載の方法で合成した2,6−ジフルオロ−4−(4’−プロピル−[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−イル)フェノール(3.00g,8.92mmol)を用いて、実施例1と同様の方法により化合物(No.1−2−40)を得た(収率75%)。
【0156】
1H−NMR(CDCl
3)δ6.83−6.79(m,2H)、4.99−4.91(m,1H)、2.44−2.38(m,1H)、1.91−1.84(m,4H)、1.78−1.71(m,4H)、1.38−1.23(m,5H)、1.16−0.95(m,8H)、0.89−0.82(m,5H).
【0157】
化合物(No.1−2−40)の物性は、次のとおりであった。相転移温度:C 46.0N 172 I.上限温度(NI)=116℃;誘電率異方性(Δε)=6.1;光学的異方性(Δn)=0.104;粘度(η)=33.5mPa・s.
【0158】
[実施例3] 1−(4−プロピルシクロヘキシル)−4−((1,1,3,3−テトラフルオロアリル)オキシ)ベンゼン (No.1−1−9)の合成
【0159】
特開2007−277127記載の方法で合成した4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェノール(2.00g,9.16mmol)を用いて実施例1と同様の方法により化合物(No.1−1−9)を得た(収率41%)。
【0160】
1H−NMR(CDCl
3)δ7.18−7.17(m,2H)、7.10−7.08(m,2H)、4.90−4.83(m,1H)、2.49−2.43(m,1H)、1.89−1.85(m,4H)、1.46−1.25(m,5H)、1.23−1.19(m,2H)、1.08−1.00(m,2H)、0.90(t,J=7.3Hz,3H).
【0161】
化合物(No.1−1−9)の物性は、次のとおりであった。相転移温度:C 11.8 I.上限温度(NI)=7.0℃;誘電率異方性(Δε)=2.77;光学的異方性(Δn)=0.0637;粘度(η)=−15.6mPa・s.
【0162】
[実施例4] 4−プロピル−4’−((1,1,3,3−テトラフルオロアリル)オキシ)フェノキシ)−1,1’−ビ(シクロヘキサン) (No.1−2−36)の合成
【0163】
特開2007−277127記載の方法で合成した4−(4’−プロピル−[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−イル)フェノール(2.00g,6.66mmol)を用いて実施例1と同様の方法により化合物(No.1−2−36)を得た(収率8.6%)。
【0164】
1H−NMR(CDCl
3)δ7.20−7.19(m,2H)、7.12−7.10(m,2H)、4.93−4.85(m,1H)、2.48−2.43(m,1H)、1.94−1.85(m,3H)、1.80−1.75(m,3H)、1.43−1.28(m,8H)、1.18−0.98(m,7H)、0.91−0.85(m,5H).
【0165】
化合物(No.1−2−36)の物性は、次のとおりであった。相転移温度:C 32.5 S
B 180 N 192 I.上限温度(NI)=151℃;誘電率異方性(Δε)=3.43;光学的異方性(Δn)=0.117;粘度(η)=13.5mPa・s.
【0166】
[実施例5] 2’−フルオロ−4”−プロピル−4’−((1,1,3,3−テトラフルオロアリル)オキシ)−1,1’:4’−1”−ターフェニル (No.1−2−3)の合成
【0167】
化合物(T−1)の合成
4−ブロモフェノール(10.0g,57.8mmol)と炭酸カリウム(2.26g,192.5mmol)、そして1,3−ジブロモ−1,1,3,3−テトラフルオロプロパン(26.4g,96.5mmol)とをアセトニトリル中、65℃で3時間攪拌した。反応液を水に注ぎ、ペンタンで抽出した。有機層を、水、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターで溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、1−ブロモ−4−((1,1,3,3−テトラフルオロアリル)オキシ)ベンゼン(T−1)を得た(収率67%)。
【0168】
化合物(1−2−3)の合成
窒素雰囲気下の反応器へ、上記で得られた化合物(T−1)(6.00g,21.1mmol)、3−フルオロー4’−プロピル−[1,1’−ビフェニル]−4−イルボロン酸(5.98g,23.2mmol)、Pd−132(0.15g,0.21mmol)、炭酸カリウム(5.82g,42.1mmol)、およびTBAB(2.41g,7.48mmol)を加え、1,4−ジオキサン中、100℃で8時間攪拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を、水、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターで溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーおよび再結晶で精製することにより、化合物(No.1−2−3)を得た(収率15%)。
【0169】
1H−NMR(CDCl
3)δ7.59−7.57(m,2H)、7.54−7.53(m,2H)、7.49−7.43(m,2H)、7.40−7.38(m,1H)、7.29−7.27(m,4H)、4.96−4.88(m,1H)、2.66−2.63(m,2H)、1.69(sex,J=7.6Hz,2H)、0.98(t,J=7.5Hz,3H).
【0170】
化合物(No.1−2−3)の物性は、次のとおりであった。相転移温度:C 57.2 S
E 81.6 S
B 117 N 181 I.上限温度(NI)=120℃;誘電率異方性(Δε)=8.77;光学的異方性(Δn)=0.230;粘度(η)=18.4mPa・s.
【0171】
[実施例6] 4−(4−プロピルシクロヘキシル)−4’−((1,1,3,3−テトラフルオロアリル)オキシ)−1,1’−ビフェニル (No.1−2−21)の合成
【0172】
化合物(1−2−21)の合成
窒素雰囲気下の反応器へ、実施例5で得られた化合物(T−1)(10.6g,37.4mmol)、(4(4−プロピルシクロヘキシル)フェニル)ボロン酸(10.1g,41.1mmol)、Pd−132(0.26g,0.37mmol)、炭酸カリウム(10.3g,74.8mmol)、TBAB(2.41g,7.48mmol)を加え、1,4−ジオキサン中、100℃で8時間攪拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を、水、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターで溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーおよび再結晶で精製することにより、化合物(No.1−2−21)を得た(収率14%)。
【0173】
1H−NMR(CDCl
3)δ7.56−7.53(m,2H)、7.49−7.48(m,2H)、7.29−7.27(m,2H)、7.24−7.22(m,2H)、4.94−4.86(m,1H)、2.54−2.48(m,1H)、2.54−2.48(m,1H)、1.94−1.87(m,4H)、1.53−1.45(m,2H)、1.43−1.28(m,3H)、1.25−1.20(m,2H)、1.11−1.03(m,2H)、0.90(t,J=7.4,3H).
【0174】
化合物(No.1−2−21)の物性は、次のとおりであった。相転移温度:C 20.5 S
B 178 S
A 189 I.上限温度(NI)=141℃;誘電率異方性(Δε)=5.23;光学的異方性(Δn)=0.170;粘度(η)=13.1mPa・s.
【0175】
[実施例7] 5−プロピル−2−(4−((1,1,3,3−テトラフルオロアリル)オキシ)フェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン (No.1−1−12)の合成
【0176】
化合物(1−1−12)の合成
窒素雰囲気下の反応器へ、特開2007−277127記載の方法で合成した4−(5−プロピルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)フェノール(2.00g,9.08mmol)、炭酸カリウム(1.63g,11.8mmol)を加え、THF中、室温で12時間攪拌した。なお、テトラフルオロアレンは、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(4.80g,36.3mmol)に1.6Mのt-ブチルリチウム(22.7ml,36.3mmol)を−70℃でジエチルエーテル中で反応させることにより得られたものを全量用いた。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を、水、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターで溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーおよび再結晶で精製することにより、化合物(No.1−1−12)を得た(収率27%)。
【0177】
1H−NMR(CDCl
3)δ7.35−7.32(m,2H)、7.15−7.13(m,2H)、4.89−4.82(m,1H)、4.27−4.24(m,1H)、4.10−4.06(m,1H)、3.21(t,J=11.2Hz,1H)、2.01−1.96(m,1H)、1.88−1.84(m,1H)、1.72−1.52(m,2H)、1.43−1.08(m,5H)、0.92(t,J=7.4Hz,3H).
【0178】
化合物(No.1−1−12)の物性は、次のとおりであった。相転移温度:C 30.4 I.上限温度(NI)=−1.6℃;誘電率異方性(Δε)=4.1;光学的異方性(Δn)=0.057;粘度(η)=−11.9mPa・s.
【0179】
[実施例8] 4−(4−((1,1,3,3−テトラフルオロアリル)オキシ)フェニル)−4’−ビニル−1,1’−ビ(シクロヘキサン) (No.1−2−58)の合成
【0180】
化合物(1−2−58)の合成
特開2007−277127記載の方法で合成した4−4’−ビニル[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−イル)フェノール(2.51g,8.82mmol)を用いて、実施例7と同様の方法により化合物(No.1−2−58)を得た(収率26%)。
【0181】
1H−NMR(CDCl
3)δ7.18−7.16(m,2H)、7.10−7.08(m,2H)、5.82−5.75(m,1H)、4.98−4.94(m,1H)、4.90−4.83(m,2H)、2.47−2.41(m,1H)、1.92−1.79(m,9H)、1.44−1.37(m,2H)、1.17−1.07(m,8H).
【0182】
化合物(No.1−2−58)の物性は、次のとおりであった。相転移温度:C 32.7 S
B 125.6 N 172.3 I.上限温度(NI)=140.4℃;誘電率異方性(Δε)=3.0;光学的異方性(Δn)=0.124;粘度(η)=7.6mPa・s.
【0183】
既に記載した化合物(1)の合成法および実施例1〜4に記載した合成手順に従って以下の化合物(No.1−1−1)〜(No.1−1−32)、(No.1−2−1)〜(No.1−2−120)、(No.1−3−1)〜(No.1−3−150)、および(No.1−4−1)〜(No.1−4−32)を合成できる。
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
【0195】
[比較例1]
比較化合物として、化合物(S−1)を合成した。この化合物は、特開2007−277127に記載されたものであり、本発明の化合物から水素がフッ素に置き換わったパーフルオロアリルオキシ基を有するものである。
【0196】
1H−NMR(CDCl
3)δ7.50−7.48(m,2H)、7.30−7.28(m,2H)、7.23−7.21(m,2H)、7.03−7.00(m,2H)、2.66−2.63(m,2H)、1.72−1.65(sex,2H)、0.99−0.96(t,3H).
【0197】
化合物(S−1)の物性は、次のとおりであった。相転移温度:C 45.8 N 46.8 I.上限温度(NI)=38.4℃;誘電率異方性(Δε)=22.8;光学的異方性(Δn)=0.130;粘度(η)=33.5mPa・s.
【0198】
実施例1の化合物と、比較例1の化合物(S−1)の特性を比較するうえで、以下の母液晶(ii)を用いた。母液晶(ii)の成分の割合を重量%で示す。
【0199】
【0200】
実施例1の化合物(No.1−2−73)と比較化合物(S−1)の物性を表1にまとめた。表中の低温相溶性の値はその重量%で化合物を母液晶に混ぜて−20℃のフリーザー内で一定期間放置しても、結晶またはスメクチック相が析出しなかったことを表す。化合物(No.1−2−73、)は(S−1)と比較して、電圧保持率(VHR−2)が高い。よって化合物(No.1−2−73)の方が、熱に対して安定な優れた化合物であると言える。また、化合物(No.1−2−73)は(S−1)と比較して、−20℃での低温相溶性が優れている。したがって化合物(No.1−2−73)の方が、より広い温度範囲で使用可能な優れた化合物であると言える。
【0201】
1−2.組成物(1)の実施例
実施例により本発明の液晶組成物(1)を詳細に説明する。実施例における化合物は、下記の表2の定義に基づいて記号により表した。表2において、1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。実施例において記号の後にあるかっこ内の番号は化合物の番号に対応する。(−)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)である。最後に、組成物の物性値をまとめた。物性は、先に記載した方法にしたがって測定し、測定値を(外挿することなく)そのまま記載した。
【0202】
【0203】
[実施例5]
3−BB(F,F)XB(F,F)−OCF2VFF
(1−2−73) 3%
3−HB−O2 (13−5)10%
5−HB−CL (2−2)13%
3−HBB(F,F)−F (3−24) 4%
3−PyB(F)−F (2−15)10%
5−PyB(F)−F (2−15)10%
3−PyBB−F (3−80)10%
4−PyBB−F (3−80)10%
5−PyBB−F (3−80)10%
5−HBB(F)B−2 (15−5)10%
5−HBB(F)B−3 (15−5)10%
NI=99.0℃;Δn=0.191;Δε=8.1;η=39.6mPa・s.
【0204】
[実施例6]
3−HHB(F,F)−OCF2VFF (1−2−40) 5%
2−HB−C (5−1) 4%
3−HB−C (5−1)12%
3−HB−O2 (13−5)15%
2−BTB−1 (13−10) 3%
3−HHB−F (3−1) 4%
3−HHB−1 (14−1) 6%
3−HHB−O1 (14−1) 5%
3−HHB−3 (14−1)12%
3−HHEB−F (3−10) 4%
5−HHEB−F (3−10) 4%
2−HHB(F)−F (3−2) 7%
3−HHB(F)−F (3−2) 7%
5−HHB(F)−F (3−2) 7%
3−HHB(F,F)−F (3−3) 5%
NI=100.1℃;Δn=0.100;Δε=4.7;η=18.6mPa・s.
【0205】
[実施例7]
3−HB−OCF2VFF (1−1−9) 4%
5−HB−CL (2−2)13%
3−HH−4 (13−1)12%
3−HH−5 (13−1) 4%
3−HHB−F (3−1) 4%
3−HHB−CL (3−1) 3%
4−HHB−CL (3−1) 4%
3−HHB(F)−F (3−2)10%
4−HHB(F)−F (3−2) 8%
5−HHB(F)−F (3−2) 9%
7−HHB(F)−F (3−2) 8%
5−HBB(F)−F (3−23) 4%
1O1−HBBH−5 (15−1) 3%
3−HHBB(F,F)−F (4−6) 2%
4−HHBB(F,F)−F (4−6) 3%
5−HHBB(F,F)−F (4−6) 3%
3−HH2BB(F,F)−F (4−15) 3%
4−HH2BB(F,F)−F (4−15) 3%
NI=114.3℃;Δn=0.091;Δε=3.7;η=18.7mPa・s.
【0206】
[実施例8]
3−HHB−OCF2VFF (1−2−36) 3%
3−HHB(F,F)−F (3−3) 9%
3−H2HB(F,F)−F (3−15) 8%
4−H2HB(F,F)−F (3−15) 8%
5−H2HB(F,F)−F (3−15) 8%
3−HBB(F,F)−F (3−24)20%
5−HBB(F,F)−F (3−24)19%
3−H2BB(F,F)−F (3−27) 9%
5−HHBB(F,F)−F (4−6) 3%
5−HHEBB−F (4−17) 2%
3−HH2BB(F,F)−F (4−15) 3%
1O1−HBBH−4 (15−1) 4%
1O1−HBBH−5 (15−1) 4%
NI=100.7℃;Δn=0.116;Δε=8.8;η=34.3mPa・s.
上記組成物100重量部に、化合物(Op−05)を0.25重量部添加したときのピッチは65.3μmであった。
【0207】
[実施例9]
3−B(F)B(F,F)XB(F,F)−OCF2VFF
(1−2−76)5%
5−HB−CL (2−2)11%
3−HH−4 (13−1) 8%
3−HHB−1 (14−1) 5%
3−HHB(F,F)−F (3−3) 8%
3−HBB(F,F)−F (3−24)20%
5−HBB(F,F)−F (3−24)13%
3−HHEB(F,F)−F (3−12)10%
4−HHEB(F,F)−F (3−12) 3%
5−HHEB(F,F)−F (3−12) 3%
3−HBEB(F,F)−F (3−39) 5%
5−HBEB(F,F)−F (3−39) 3%
3−HHBB(F,F)−F (4−6) 6%
【0208】
[実施例10]
3−GB(F)B(F,F)−OCF2VFF
(1−2−29) 4%
3−HH−4 (13−1) 4%
3−HBB(F,F)−F (3−24)31%
5−HBB(F,F)−F (3−24)30%
3−H2HB(F,F)−F (3−15)10%
4−H2HB(F,F)−F (3−15)10%
5−H2HB(F,F)−F (3−15) 8%
3−HHBB(F,F)−F (4−6) 3%
【0209】
[実施例11]
3−BB(F)B(F,F)−OCF2VFF
(1−2−12) 3%
5−HB−CL (2−2) 3%
7−HB(F)−F (2−3) 7%
3−HH−4 (13−1) 9%
3−HH−EMe (13−2)20%
3−HHEB−F (3−10) 8%
5−HHEB−F (3−10) 8%
3−HHEB(F,F)−F (3−12)10%
4−HHEB(F,F)−F (3−12) 5%
4−HGB(F,F)−F (3−103) 5%
5−HGB(F,F)−F (3−103) 6%
2−H2GB(F,F)−F (3−106) 4%
3−H2GB(F,F)−F (3−106) 5%
5−GHB(F,F)−F (3−109) 7%
【0210】
[実施例12]
3−HBB(F,F)−OCF2VFF (1−2−18) 5%
1V2−BEB(F,F)−C (5−15) 6%
3−HB−C (5−1)17%
2−BTB−1 (13−10)10%
5−HH−VFF (13−1)28%
3−HHB−1 (14−1) 4%
VFF−HHB−1 (14−1) 8%
VFF2−HHB−1 (14−1)10%
3−H2BTB−2 (14−17) 4%
3−H2BTB−3 (14−17) 4%
3−H2BTB−4 (14−17) 4%