特許第6460878号(P6460878)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6460878
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】配光レンズ
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/58 20100101AFI20190121BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20190121BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20190121BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20190121BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20190121BHJP
   G02B 3/02 20060101ALI20190121BHJP
   G02B 13/00 20060101ALI20190121BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20190121BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20190121BHJP
【FI】
   H01L33/58
   F21V5/00 320
   F21V5/00 510
   F21V5/04 500
   F21V17/00 200
   F21V19/00 150
   F21V19/00 170
   F21V5/00 100
   F21V5/00 600
   G02B3/02
   G02B13/00
   G02B13/18
   F21Y115:10
【請求項の数】22
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2015-66389(P2015-66389)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-195377(P2015-195377A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2017年9月20日
(31)【優先権主張番号】特願2014-69186(P2014-69186)
(32)【優先日】2014年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597096161
【氏名又は名称】株式会社朝日ラバー
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(74)【代理人】
【識別番号】100151068
【弁理士】
【氏名又は名称】塩崎 進
(72)【発明者】
【氏名】本柳 翔之
(72)【発明者】
【氏名】中村 宗知
(72)【発明者】
【氏名】田崎 益次
(72)【発明者】
【氏名】大黒 弘樹
【審査官】 吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/157166(WO,A1)
【文献】 特開2012−216747(JP,A)
【文献】 米国特許第08382338(US,B2)
【文献】 特開2011−040315(JP,A)
【文献】 特開2008−305923(JP,A)
【文献】 特開平07−094785(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/004642(WO,A1)
【文献】 特開2010−085493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
F21V 5/04
G02B 3/00−3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子に装着する配光レンズであって、発光素子に面する光入射側と、その反対側の光出射側とを有し、光出射側からみたレンズ輪郭がつくる平面形は、レンズの光入射側面上にある長軸と同じ面上に在ってそれに直交する短軸を有し、発光素子の光源中心を通り、光入射側から光出射側に抜ける、レンズ中心光軸は、前記長軸及び短軸の交点で各軸に直交し、
光出射側レンズ表面が、
上記長軸およびレンズ中心光軸を含む面で切ったレンズ断面であるレンズ長軸断面において、光出射側の形状がレンズ中心光軸を含むその近傍では凹形状であり、その両外側では凹形状に続いて凸形状であり、上記短軸およびレンズ中心光軸を含むレンズ断面であるレンズ短軸断面において、光出射側の形状がレンズ中心光軸を含むその近傍で短軸の長さに対して5%以上の長さの直線部を有し、その両外側に直線に続いて凸形状であり直線の両端においても凸形状である、三次元表面形状を有している、前記配光レンズ。
【請求項2】
レンズ長軸断面の光出射側の曲線に沿う連続した位置において、レンズ短軸断面に平行な平面で切ったレンズ断面形状における光出射側の形状が、レンズ短軸断面に平行な直線部をレンズ長軸断面と交差して有し、その両外側に凸形状を有する、三次元表面形状であり、その直線部の集合によって、連続曲面がレンズ中心光軸と交差して形成される、請求項1に記載の配光レンズ。
【請求項3】
レンズ短軸断面に平行な直線部が、レンズ短軸に平行である、請求項2に記載の配光レンズ。
【請求項4】
前記連続曲面においてレンズ短軸断面に平行な平面で切ったレンズ断面形状における光出射側の形状に、レンズ短軸断面に平行な直線部をレンズ長軸断面と交差して有しており、前記連続曲面がレンズ中心光軸と交差して形成され、光出射側より見たときのその連続曲面の長軸方向の長さが、長軸長さに対して8%以上となる値を有する、請求項2または3に記載の配光レンズ。
【請求項5】
レンズ長軸断面の光出射側の曲線に沿って形成された前記連続曲面として、レンズ中心光軸が貫いている第一連続曲面に加えて、レンズ中心光軸位置を含まない第二の連続曲面を有しており、第二連続曲面は、第一連続曲面から離れて、レンズ長軸断面の凸曲線部に形成されている、請求項4に記載の配光レンズ。
【請求項6】
レンズ長軸断面の光出射側の凸形状部において、光源中心と前記凸形状部とを結ぶ線が凸形状部の凸曲線の法線と一致する凸曲線上の交点の位置に切欠き部を有し、切欠き部は、凸曲線から法線に沿って、且つ、法線より外側の凸曲線が窪むようにして、または法線から外側の凸曲線が膨らむようにして設けられ、第二の連続曲面を、法線より外側の、切欠き部に接する凸形状部に有する請求項5に記載の配光レンズ。
【請求項7】
レンズ長軸断面形状において、光出射側の形状がレンズ中心光軸位置を含むその近傍に長軸の長さに対して5%未満の直線部を有し、その両外側が凹形状であり、さらにその外側では凸形状である断面形状を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の配光レンズ。
【請求項8】
長軸断面形状及び短軸断面形状における前記直線部内に、更に、凹部を有する請求項7に記載の配光レンズ。
【請求項9】
光出射側レンズ表面の三次元形状が、滑らかな連続面である、請求項1〜5、7及び8のいずれか一項に記載の配光レンズ。
【請求項10】
光出射側レンズ表面の三次元形状が、切欠き部を除き、滑らかな連続面である、請求項6に記載の配光レンズ。
【請求項11】
凸形状が曲率の異なる曲線を有する請求項1〜10のいずれか一項に記載の配光レンズ。
【請求項12】
レンズ短軸断面の光出射側の形状における直線部の外側の凸形状が単純円からなる円弧を有する請求項1〜11のいずれか一項に記載の配光レンズ。
【請求項13】
レンズ中心光軸にほぼ平行な直線を含む面を、レンズの周縁部の全体または一部に有し、該面がレンズ輪郭の全体または一部を成す、請求項1〜12のいずれか一項に記載の配光レンズ。
【請求項14】
光出射側のレンズ表面の三次元形状が、光出射側のレンズ中心軸方向から見たレンズ輪郭形状よりも光入射側のレンズ基底面における輪郭形状の方が小さいものであり、レンズ基底面における輪郭形状から外側に膨らむようにして、基底面における輪郭位置から立ち上がる凸形状である、1〜13のいずれか一項に記載の配光レンズ。
【請求項15】
光出射側レンズ表面の三次元形状が、直交する2枚の鏡面対称面を有するものであり、レンズ中心光軸が、該2枚の鏡面対称面の交線である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の配光レンズ。
【請求項16】
光入射側面に、発光素子、発光素子封止部材および/またはそれらを載置した基板の全部または一部を収容するための逃げ凹部を有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の配光レンズ。
【請求項17】
光入射側面に、接着剤または充填剤のための液逃げ凹部を有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の配光レンズ。
【請求項18】
液逃げ凹部の輪郭が、光入射側からみて多角形状、放射状凸部を有する星形またはこれらの角を丸めた形状を有する、請求項17に記載の配光レンズ。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の配光レンズおよび発光素子を載置した基板または回路基板を含む、発光装置。
【請求項20】
レンズの光入射側の面と回路基板との間に隙間が設けられている、請求項19に記載の発光装置。
【請求項21】
請求項1〜18のいずれか一項に記載のレンズを、シクロオレフィン、シクロオレフィンコポリマー、アクリル、シリコーン、エポキシ及びこれらの樹脂またはゴムのいずれかを金型に注入し、硬化して成形することを特徴とする配光レンズの製造方法。
【請求項22】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の配光レンズおよび発光素子を載置した基板または回路基板を含む、発光装置の製造方法において、以下の(1)〜(3)のいずれかの工程を含む発光装置の製造方法。
(1)電極端子に電気的に接続された半導体発光素子(チップ)を透明素材で封止したLEDパッケージを準備する工程、光入射側レンズ面に逃げ凹部及び液逃げ凹部を設けた配光レンズを準備する工程、逃げ凹部に接着剤を充填する工程、接着剤の充填部とLEDパッケージの封止部とを、発光中心とレンズ光軸中心が一致するように押し当てて接着する工程、接着剤を硬化する工程、LEDパッケージを基板回路に載置し、固定する工程。
(2)回路基板上の回路に半導体発光素子(チップ)を載置し、半導体発光素子(チップ)と回路とを電気的に接続してチップオンボードのLED発光光源を有する回路基板を製造する工程、光入射側レンズ面に逃げ凹部及び液逃げ凹部を設けた配光レンズを準備する工程、逃げ凹部に接着剤を充填する工程、接着剤の充填部とLED発光光源とを、半導体発光素子の発光中心とレンズ光軸中心が一致するように押し当てて接着する工程、接着剤を硬化する工程。
(3)光入射側レンズ面に逃げ凹部および嵌着機構を設けた配光レンズを準備する工程、レンズに設けた嵌着機構に対応して嵌合する嵌着受け機構を設けた、LEDパッケージまたは半導体発光素子(チップ)を基板回路上に載置したチップオンボードのLED発光光源を有する回路基板を準備する工程、レンズと、LEDパッケージまたは回路基板とを嵌着機構により、接着剤を使わずに、嵌合一体化する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED等の発光素子を用いた発光素子ランプ等の上に設けるレンズに関する。
より詳しくは、例えば本レンズ装着前は被照射面をほぼ等方の回転対称に照射する発光素子の光を、本レンズ装着後は、被照射面において、所望の配光分布である、長軸と短軸とを有する、長くのびて均一な配光となるように配光制御するための、特定の表面形状を有するレンズ、そのレンズを用いた発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に実装されたLEDに代表される発光素子と、その発光素子からの光を所望の配光状態にするレンズとを組み合わせたランプが知られている。これらランプに用いられるレンズは、例えば表示装置等のバックライトとして使用される場合、バックライトとしての所望の配光特性を有することが求められ、街路灯として使用される場合は、路面に適った街路灯としての配光特性を有するものが求められる。
【0003】
従来技術における、長短2軸を有するような配光特性が得られる、発光素子用のレンズとしては、例えば特許文献1、2に開示されるようなレンズが知られている。
【0004】
特許文献1のレンズは、「光軸からの開き角度が大きくなるに従って輝度が急激に低下してしまうという従来の発光ダイオードの輝度分布を改善することができる発光ダイオードを提供する」(段落番号0010)ものであって、「封止部材の表面形状に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたもの」(段落番号0011)であり、「所定の光軸上に配置されたチップと、このチップを上記光軸方向前方側から封止する透明の封止部材と、を備えてなる発光ダイオードにおいて、上記封止部材の前面に曲面部が形成されており、この曲面部の、上記光軸を含む第1の平面に沿った断面形状が、上記光軸近傍に凹曲線が配置されるとともに該凹曲線の両側に凸曲線が配置されてなる波形曲面で構成されており、上記曲面部の、上記光軸と平行でかつ上記第1の平面と直交する第2の平面に沿った断面形状が、凸曲線で構成されている、ことを特徴とするもの」(段落番号0012)である。
【0005】
特許文献2のレンズは、「光ビームに所望の形状を与えるための光学装置」(段落番号0001)であって、「とりわけ、照明面であって、道路、街路又は高速道路などのそれらの幅に対して大きな長さを持つ照明面に関連する」(段落番号0001)ものであり、「光ビームに細長い形状を与えるための光学装置」(段落番号0010)であって、「ジオプタは、異なる屈折率を持つ2つの光伝搬媒体を分ける光学面」(段落番号0018)であって、「図2に図示されるようにベース面5が内接している基平面に対しても垂直である2つの直行する対称面IIA、IIBを持つ。面IIAおよびIIBは、レンズ2の中心線22において交差する。」(段落番号0031)ものであり、「光ビームに細長い形状を与えるためには、前記光ビームを拡大する必要がある。それ故、出口ジオプタ4は、第1収束部41と、第2収束部42と、前記第1及び第2収束部41、42の橋渡しをする発散部43とを有する」(段落番号0032)。そして、このレンズは「位置CとDとの間に含まれる曲線を、軸23を中心に回転させると、出口ジオプタ4全体が得られる」(段落番号0034)という表面形状を有している。
【0006】
これら従来の配光調整レンズは、被照射面の配光を、円形ではなく長手方向を有する長円様パターンとするために、単純な球状表面ではなく、照度パターンの長手方向に、レンズ断面を見た場合、レンズ断面形状が、二つの山を有して中央がへこんだ形状とすることによって、断面中心を通る光線は両側に拡散し、断面図におけるレンズ中央線から両側へ傾いた二つの方向に集光する作用を利用して、配光パターンが長く伸びた形状を得るものであった。このような、双峰状のレンズを、その配光特性の形からの連想で「バットウイングレンズ」と称している。
これら従来の配光調整レンズの斜視模式図を図10により例示し、その照度パターン及び配光特性を図11に例示する。図11aにおいては白黒図面であるため、左の平面図における照度パターンについて説明をすると、リング状に明るく示される部分の内側が、右の照度スケールにおける強度の高い部分を表しており、左の平面図のリングの外側部分が、強度の低い部分を示している。リング状部分の内側が外側より照明強度の高い部分であることは、本願におけるすべての照明強度分布図において同様である。長手方向の配光分布に関しては、レンズ中心を通るレンズ中心光軸4方向よりも軸から傾いた方向に光が配分され、より細長い範囲を照射するものではあったが、その照度パターンは、図11aの如く、幅方向に痩せ細った長円形であり、長円形の先も尖った形の配光を持つパターンであった。短軸方向に均質な配光分布で一定の幅を確保しつつより広い面積を持ち、長軸方向においても均質な配光分布が得られ、長円の先においても尖らずに面積を持つ配光を得る被照射面を得ることはできなかった。また、長円形状の配光を維持しながら均質な配光分布を保ちながら、或いは一定の配光面積を保ちながら所望に応じて複雑な配光を得ることはできなかった。
即ち、これら従来の発光素子レンズは、長手方向の長軸断面でみた光出射側の形状により、配光分布が長円形に延びた形にはなるものの、レンズの長手方向に直角な短軸断面でみた光出射側の形状は、凸曲線の構成(特許文献1の段落番号0012)や、円形或いは二次曲面の断面回転形状(特許文献2の段落番号0033、0034)であるため、幅方向付近の配光において、発光素子の光源に対して回転対称の等方性のレンズ形状の影響が強くなって被照射面に反映し、その結果、光軸を含む短軸方向の配光分布が強く出て、短軸近辺から長手方向に拡がらず、十分均一な被照射面とはならなかった。また、照度パターンも光軸を含む短軸の配光が大きいため、全体の楕円形状も菱形に近い楕円となってしまう傾向にあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5148682号公報
【特許文献2】特表2010−524170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、LED等の発光素子に装着することによって、光源である発光素子からの光を、略長方形状に近い楕円形や長円形状にむらなく、また、所望の照度分布をもって配光することができ、光配分調整を精度よく発揮するレンズであって、従来の長円形配光と比較して、均質な配光分布の面積がより広く確保される長円形配光を有する、また、より細かく照度パターンを設計できるレンズを提供するものである。
【0009】
さらに、本発明は、従来の略長円形配光分布が長円の短軸位置に沿って配光強度が強くなりがちな分布を有するのに比して、照射された面の輪郭が陸上競技のトラックのように長軸に平行に伸びた直線部を有するような照度パターンをもちながら均質配光を持つレンズを提供するものであり、更には、長方形に近づく照度パターンが得られるレンズ及び発光装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決する、以下の配光レンズ(以下、本発明の配光レンズを単にレンズと称する場合がある。)及び発光装置に関する。
【0011】
本発明は以下の態様を有する。
[1]
発光素子に装着する配光レンズであって、発光素子に面した光入射側と、その反対側の光出射側とを有し、光出射側からみたレンズ輪郭がつくる平面形は、レンズの光入射側面上にある長軸と同じ面上に在ってそれに直交する短軸を有し、発光素子の光源中心を通り、光入射側から光出射側に抜ける、レンズ中心光軸は、前記長軸及び短軸の交点で各軸に直交し、
光出射側レンズ表面が、
上記長軸およびレンズ中心光軸を含む面で切ったレンズ断面であるレンズ長軸断面において、光出射側の形状がレンズ中心光軸を含むその近傍では凹形状であり、その両外側では凸形状であり、上記短軸およびレンズ中心光軸を含むレンズ断面であるレンズ短軸断面において、光出射側の形状がレンズ中心光軸を含むその近傍で短軸の長さに対して5%以上の長さの、直線部を有し、その両外側において凸形状である、三次元表面形状を有している、前記配光レンズ。
[2]
レンズ長軸断面の光出射側の曲線に沿う連続した位置において、レンズ短軸断面に平行な平面で切ったレンズ断面形状における光出射側の形状が、レンズ短軸断面に平行な直線部をレンズ長軸断面と交差して有し、その両外側に凸形状を有する、三次元表面形状であり、その直線部の集合によって、連続曲面がレンズ中心光軸と交差して形成される、[1]に記載の配光レンズ。
[3]
レンズ短軸断面に平行な直線部が、レンズ短軸に平行である、[2]に記載の配光レンズ。
[4]
前記連続曲面においてレンズ短軸断面に平行な平面で切ったレンズ断面形状における光出射側の形状に、レンズ短軸断面に平行な直線部をレンズ長軸断面と交差して有しており、前記連続曲面がレンズ中心光軸と交差して形成され、光出射側より見たときのその連続曲面の長軸方向の長さが、長軸長さに対して8%以上となる値を有する、[2]または[3]に記載の配光レンズ。
[5]
レンズ長軸断面の光出射側の曲線に沿って形成された前記連続曲面として、レンズ中心光軸が貫いている第一連続曲面に加えて、レンズ中心光軸位置を含まない第二の連続曲面を有しており、第二連続曲面は、第一連続曲面から離れて、レンズ長軸断面の凸曲線部に形成されている、[4]に記載の配光レンズ。
[6]
レンズ長軸断面の光出射側の凸形状部において、光源中心と前記凸形状部とを結ぶ線が凸形状部の凸曲線の法線と一致する凸曲線上の交点の位置に切欠き部を有し、切欠き部は、凸曲線から法線に沿って、且つ、法線より外側の凸曲線が窪むようにして、または法線から外側の凸曲線が膨らむようにして設けられ、第二の連続曲面を、法線より外側の、切欠き部に接する凸形状部に有する[5]に記載の配光レンズ。
【0012】
[7]
レンズ長軸断面形状において、光出射側の形状がレンズ中心光軸位置を含むその近傍に長軸の長さに対して5%未満の直線部を有し、その両外側が凹形状であり、さらにその外側では凸形状である断面形状を有する、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の配光レンズ。
[8]
長軸断面形状及び短軸断面形状における前記直線部内に、更に、凹部を有する[7]に記載の配光レンズ。
[9]
光出射側レンズ表面の三次元形状が、滑らかな連続面である、[1]〜[5]、[7]及び[8]のいずれか一項に記載の配光レンズ。
[10]
光出射側レンズ表面の三次元形状が、切欠き部を除き、滑らかな連続面である、[6]に記載の配光レンズ。
[11]
凸形状が曲率の異なる曲線を有する[1]〜[10]のいずれか一項に記載の配光レンズ。
【0013】
[12]
レンズ短軸断面の光出射側の形状における直線部の外側の凸形状が単純円からなる円弧を有する[1]〜[11]のいずれか一項に記載の配光レンズ。
[13]
レンズ中心光軸にほぼ平行な直線を含む面を、レンズの周縁部の全体または一部に有し、該面がレンズ輪郭の全体または一部を成す、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の配光レンズ。
[14]
光出射側のレンズ表面の三次元形状が、光出射側のレンズ中心軸方向から見たレンズ輪郭形状よりも光入射側のレンズ基底面における輪郭形状の方が小さいものであり、レンズ基底面における輪郭形状から外側に膨らむようにして、基底面における輪郭位置から立ち上がる凸形状である、[1]〜[13]のいずれか一項に記載の配光レンズ。
[15]
光出射側レンズ表面の三次元形状が、直交する2枚の鏡面対称面を有するものであり、レンズ中心光軸が、該2枚の鏡面対称面の交線である、[1]〜[14]のいずれか一項に記載の配光レンズ。
[16]
光入射側面に、発光素子、発光素子封止部材および/またはそれらを載置した基板の全部または一部を収容するための逃げ凹部を有する、[1]〜[15]のいずれか一項に記載の配光レンズ。
【0014】
[17]
光入射側面に、接着剤または充填剤のための液逃げ凹部を有する、[1]〜[15]のいずれか一項に記載の配光レンズ。
[18]
液逃げ凹部の輪郭が、光入射側からみて多角形状、放射状凸部を有する星形またはこれらの角を丸めた形状を有する、[17]に記載の配光レンズ。
[19]
[1]〜[18]のいずれか一項に記載の配光レンズおよび発光素子を載置した基板または回路基板を含む、発光装置。
[20]
レンズの光入射側の面と回路基板との間に隙間が設けられている、[19]に記載の発光装置。
[21]
[1]〜[18]のいずれか一項に記載のレンズを、シクロオレフィン、シクロオレフィンコポリマー、アクリル、シリコーン、エポキシ及びこれらの樹脂またはゴムのいずれかを金型に注入し、硬化して成形することを特徴とする配光レンズの製造方法。
[22]
[1]〜[18]のいずれか一項に記載の配光レンズおよび発光素子を載置した基板または回路基板を含む、発光装置の製造方法において、以下の(1)〜(3)のいずれかの工程を含む発光装置の製造方法。
(1)電極端子に電気的に接続された半導体発光素子(チップ)を透明素材で封止したLEDパッケージを準備する工程、光入射側レンズ面に逃げ凹部及び液逃げ凹部を設けた配光レンズを準備する工程、逃げ凹部に接着剤を充填する工程、接着剤の充填部とLEDパッケージの封止部とを、発光中心とレンズ光軸中心が一致するように押し当てて接着する工程、接着剤を硬化する工程、LEDパッケージを基板回路に載置し、固定する工程。
(2)回路基板上の回路に半導体発光素子(チップ)を載置し、半導体発光素子(チップ)と回路とを電気的に接続し、チップオンボードのLED発光光源を有する回路基板を製造する工程、光入射側レンズ面に逃げ凹部及び液逃げ凹部を設けた配光レンズを準備する工程、逃げ凹部に接着剤を充填する工程、接着剤の充填部とLED発光光源とを、半導体発光素子の発光中心とレンズ光軸中心が一致するように押し当てて接着する工程、接着剤を硬化する工程。
(3)嵌着機構を設けたレンズを準備する工程、レンズに設けた嵌着機構に対応して嵌合する嵌着受け機構を設けたLEDパッケージまたは半導体発光素子(チップ)を基板回路上に載置したチップオンボードのLED発光光源を有する回路基板を準備する工程、レンズと、LEDパッケージまたは回路基板とを嵌着機構により、接着剤を使わずに、嵌合一体化する工程。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、光出射側のレンズ長軸断面輪郭でみると、双峰状であるためレンズ長軸方向に光の配光が広がり、光度分布としては長軸方向により広い配光が得られる。
光出射側のレンズ短軸断面輪郭でみると、レンズ中心光軸位置を含むその近傍に直線部が存在することによって、短軸方向及び短軸周辺の配光分布が、直線部が存在しないものに比較して、短軸から離れて長軸側及び短軸方向に、外側により広がったものとなって、配光強度が均質になる。
また、レンズ短軸断面に平行な断面のレンズ中心光軸近傍に設ける直線を変えることにより、所望の配光を得ることができる。
【0016】
本発明の他の態様においては、レンズ中心光軸位置の近傍において、レンズ短軸断面のみならず、これに平行な平面で切ったレンズ断面形状の光出射側輪郭にも、レンズ長軸断面と直交する、短軸に平行な直線部を有する。特に、レンズ中心光軸位置を含むその近傍において、レンズ短軸断面に平行な平面で切ったレンズ断面形状の光出射側輪郭にも、レンズ長軸断面と直交する、短軸に平行な直線部を有し、短軸に平行な直線部が連続して設けられている形となり、複数の直線部によって長軸断面の出射側の輪郭に沿って、長軸方向に連続曲面を構成することにより、短軸周辺の配光分布強度が長軸側に広がるので、短軸周辺の配光集中部分が一層均質となり、しかも、短軸付近の配光分布が長軸に平行に引き延ばされた形となり、ちょうど、陸上競技場の400mトラックのような、長軸に平行な直線部分のある配光パターンとなり、極めて均質で一定の幅があって長さのある良好な配光を得ることができる。
また、レンズ長軸断面の光出射側の曲線に沿って形成された連続曲面として、レンズ中心光軸と交差する第一連続曲面に加えて、レンズ中心光軸と交差しない第二の連続曲面を有しており、第二連続曲面は、第一連続曲面から離れて、レンズ長軸断面の凸曲線部に形成することにより、被照射面における長軸先端部付近の長円の照度パターンの曲率を小さくして長方形状に近づく配光にすることができる。
また、本発明の他の態様においてはレンズ長軸断面において長軸方向にも直線部を設けており、全体的に均質で一定の幅があって長さのある良好な配光被照射面の中央部に相対的に照度の高い配光を重ねることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明のレンズの1実施例を示す図である。図1aは斜視模式図、図1b(1)はレンズ短軸断面(B−B断面)図、図1b(2)はレンズ長軸断面(A−A断面)図である。
図2図2は、図1の配光レンズを用いた被照射面の照度パターン及び配光特性図を示す。図2aは被照射面の照度パターン、図2bは配光特性図である。
図3図3は、本発明のレンズの別の実施例を示す図である。図3aは斜視模式図、図3bはその平面図、図3cはレンズ長軸断面(A−A断面)図、レンズ短軸断面(B−B断面)図、およびレンズ短軸断面に平行な断面(B1−B1及びB2−B2断面)図である。
図4図4は、図3のレンズによる被照射面の照度パターン及び配光特性図を示す。 図4aは被照射面の照度パターン、図4bは配光特性図である。
図5図5は、本発明のレンズの別の実施例を示す図である。図5a(1)および図5a(2)は斜視模式図、図5b(1)は図5a(1)のレンズ短軸断面(B−B断面)に平行な断面(B3−B3断面)、図5b(2)は図5a(2)のレンズ短軸断面(B−B断面)に平行な断面(B3−B3断面)の一例、図5b(3)はレンズ短軸断面(B−B断面)の例である。
図6図6は、本発明のレンズの別の実施例を示す図である。図6aは、凸状部に現れる切欠き部を説明する斜視模式図、図6b(1)〜(3)は、切欠き部を有するレンズ長軸断面の部分図である。
図7図7は、本発明のレンズの別の実施例を示す図である。図7aは、斜視模式図、図7b(1)は、レンズ短軸断面(B−B断面)図、図7b(2)は、レンズ長軸断面(A−A断面)図である。
図8図8は、図7のレンズによる被照射面の照度パターン及び配光特性を示す図である。図8aは照度パターン、図8bは配光特性図である。
図9図9は、本発明のレンズの別の実施例を示す図である。図9aは、斜視模式図、図9b(1)は、レンズ短軸断面(B−B断面)図、図9b(2)は、レンズ長軸断面(A−A断面)図である。
図10図10は、従来技術のバットウイングレンズを示す。図10aは斜視模式図、図10b(1)はレンズ短軸断面(B−B断面)図、図10b(2)はレンズ長軸断面(A−A断面)図である。
【0018】
図11図11は、図10の被照射面の照度パターン及び配光特性を示す。図11aは被照射面の照度パターン、図11bは配光特性図である。
図12図12は、本発明の一実施例のレンズである。図12aは光入射側の斜視模式図、図12b(1)はレンズ短軸断面(B−B断面)図、図12b(2)はレンズ長軸断面(A−A断面)図、である。
図13図13は、図12のレンズとLEDパッケージとが一体化する際の状態を説明する断面図である。図13aは、レンズ短軸断面における説明図、図13bは、レンズ長軸断面における説明図である。
図14図14は、本発明の発光装置の一実施例の断面図である。図14aは、長軸断面における発光装置の断面図の一例、図14bは、長軸断面における発光装置の断面図の別の例。
図15図15は、本発明の発光装置の別の実施例の断面図である。図15aは嵌着をLEDパッケージのベース側面でおこなうもの、図15bは脚部を有するものを示す。最上図は嵌着状態の断面図、中央はレンズ嵌着前の断面図、最下図は光入射側からみたレンズ面の図である。
図16図16は、本発明の発光装置の別の実施例の断面図である。最上図面、は嵌着状態の断面図、中央はレンズ嵌着前の断面図、最下図は光入射側からみたレンズ面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の配光レンズについて、図とともに説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態の配光レンズは、図1に示されるように、発光素子に面した光入射側と、その反対側の光出射側とを有し、光出射側からみたレンズ外形は、長軸とそれに直交する短軸を有し、発光素子の光源中心を通り、光入射側から光出射側に抜ける、レンズ中心光軸を有し、レンズ中心光軸は、前記長軸及び短軸の交点で各軸に直交している。
光出射側レンズ表面の形状は、上記長軸およびレンズ中心光軸を含むレンズ断面であるレンズ長軸断面と、上記短軸およびレンズ中心光軸を含むレンズ断面であるレンズ短軸断面の光出射側の形状含む三次元表面形状を有している。
即ち、レンズ長軸断面における光出射側の形状は、レンズ中心光軸を含むその近傍では凹形状であり、凹形状の両外側では凸形状を有する。レンズ短軸断面における光出射側の形状は、レンズ中心光軸を含むその近傍で短軸の長さに対して5%以上の長さの、短軸に平行な直線部を有し、その両外側において凸形状を有する、三次元形状を有する。
【0020】
ここで長軸及び短軸の長さとは、レンズ長軸断面及びレンズ短軸断面に現れる光入射側のレンズ面の長さをいう。光入射側のレンズ面の外周側に鍔などを設けて光出射側平面で見た外形が広がる形で大きくなる場合においては、短軸及び長軸の長さは、凸状のレンズ面をレンズ基底面に外挿し、光入射面に設けた短軸線及び長軸線と交わった位置の距離が短軸及び長軸の長さとなる。また、後述するように、光源中心と短軸及び長軸を含む平面との位置関係は、光源中心がレンズ中心光軸に沿って、レンズ内に位置する場合、光源中心は短軸及び長軸を含む平面よりやや光出射側に位置することになるが、その場合においても、また、光源中心が短軸及び長軸の平面内にあっても平面より外側にあっても短軸及び長軸の長さは同様の長さを用いる。
【0021】
光出射側からみた、短軸の位置は、長軸方向に形成される凹部の底部の中心部を通る直線の直下にあり、長軸の位置は、双峰状の二つの凸状部の頂点中心部を通る直線の直下にある。
レンズ中心光軸は、この短軸と長軸の交点にあって、いずれの軸とも垂直であるので、光入射側レンズ面に対して垂直となる。また、光源は物理的には、発光面積を有するが、その発光面の中心を光源中心とする。
【0022】
第1実施形態の配光レンズは、図1aの斜視模式図に示されるような立体形状を有している。図1b(1)は、レンズ中心光軸4とレンズ短軸(B―B線)を含む面で切ったレンズ短軸断面形状を示し、図1b(2)はレンズ中心光軸4とレンズ長軸(A−A線)を含む面で切ったレンズ長軸断面を示している。図1b(1)では、光出射側の形状には、短軸に平行な直線部1aがレンズ中心光軸と直交して存在する。太い実線で模式的に記している(以下、同様に図面に表している)、この直線部の長さは、短軸長さ(B−B線におけるレンズの長さ)に対する相対値を%で表し、短軸長さに対して5%以上である。この直線部は、前記した従来の配光調整レンズには存在していないものである。
図2aは、直線部の長さが短軸に対して18%のときの配光レンズの被照射面の照度パターンを示している。そのパターン形状は短軸方向に幅があり、面積のある長円または楕円の形状をしている。照度パターンのうち比較的外側の短軸側の縁部は、わずかに湾曲しているものの、照度パターンの長軸にほぼ平行し、長軸側に伸びた直線状に近い照度パターンを示している。図2bはそのときの配光特性図を示している。図2bの配光特性図において、点線による曲線は短軸上に現れる相対発光強度を示し、0°において最も小さい値を示す曲線は長軸上に現れる相対発光強度を示し、そのどちらでもない曲線は長軸及び短軸に対して45度の軸上に現れる相対発光強度を示している。以下、他の配光特性図においても同様である。前記したとおり、図2aにおいても白黒図面であるため、左の平面図における照度パターンは、リング状に明るく示される部分の内側が、右の照度スケールにおける強度の高い部分を表しており、左の平面図のリングの外側部分が、強度の低い部分を示している。
【0023】
一方、図10は、従来技術のレンズを示しており、短軸断面において、光出射側の形状が単純円に似た円弧状の凸状曲線18を有するレンズを示しており、そのレンズによる被照射面の照度パターンを図11aに示している。光出射側のレンズ短軸断面に直線部がない、凸状の短軸断面の凸レンズ形状であるため、光が照度パターンの長軸近傍に集まり、照度パターンの短軸付近の領域においても、レンズ中心光軸に寄った、短軸の中心付近に強く集中した照度パターンとなり、幅方向に広がりの少ない配光となっている。長軸方向の全体にわたって、照度パターンの長軸から少し離れた長軸付近においても、光が長軸側の周辺に拡散して広がらないので、長軸方向に尖った先端の配光となり、配光面積の小さい細長いひし形状となり配光も均質ではない。すなわち、本願発明の第1実施形態の配光レンズによる被照射面とは、顕著に異なっている。
【0024】
レンズ短軸断面における直線部をどのように設けるかによって、この照度パターンの短軸方向及び短軸周辺の配光のひろがりを所望のものとすることができる。所望の配光を設計するに際して、レンズ短軸断面における形状の工夫をする部分が直線であるので設計が容易である。直線の長さは、短軸の長さに対して5〜40%が好ましい。更に、8〜30%、特に10〜20%であることが好ましい。直線が、レンズ短軸の長さに対して5%未満であると、そのレンズ短軸断面が単なる円弧状の凸形状とあまり差がなくなり配光調節の効果が出ない。また、直線が長すぎると、配光が広がりすぎて照度パターンがいびつになる。また、レンズ短軸断面の直線部の両外側に繋がる凸形状にも影響してくる。40%を超えるとその外側の凸形状が緩やかな凸曲線の調節範囲が狭くなり、均質な配光が得にくくなる。
直線部はレンズ中心光軸からみて対称の位置になくてもよく、レンズ短軸に対して傾いていてもよい。照射パターンの短軸方向に非対称の楕円形状の照度パターンを望む場合などは、直線を適宜設定することができる。
直線の両外側に続く凸部とのつながり方は、不連続でも滑らかに接続していてもよい。滑らかに接続している場合は、不連続な接続部に起因する光の屈折変化が明部や暗部を生じないので好ましい。
【0025】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態の配光レンズは、図3に示されるように、
光出射側レンズ表面が、レンズ短軸断面に平行な平面で切ったレンズ断面形状における光出射側の形状がレンズ短軸断面に平行な直線部をレンズ長軸断面と交差して有し、その両外側に凸形状を有するような三次元表面形状を有するもので、光源中心からレンズ短軸及びレンズ長軸の間の方向に出射した光や、光源が面積を有する面光源に対しても第1実施形態において説明した配光の効果が顕著になる。
更に、好ましくは、レンズ短軸断面に平行な平面で切った複数のレンズ断面形状における光出射側の形状に、レンズ短軸に平行な直線部をレンズ長軸断面と交差して有し、レンズ長軸断面の光出射側の曲線に沿うようにして、その直線部の集合によって、レンズ中心光軸がそれを貫く連続曲面8が形成され、光出射側より見たときのその連続曲面の長軸方向の長さは、レンズ長軸長さに対して8%以上である配光レンズである。
【0026】
即ち、図3においては、レンズ短軸断面に平行な断面における光出射側の形状に設けられた、レンズ短軸に平行で、レンズ長軸断面と直交する直線部の集合により形成される連続曲面を有し、その連続曲面の平面図における長さは、レンズ長軸長さに対して8%以上である。また、該連続曲面を構成するレンズ短軸に平行な直線の長さは、好ましくは、レンズ短軸断面上で最も大きな値を取り、前記レンズ短軸断面と平行な断面がレンズ短軸断面から離れるに従って徐々に小さくなり、図3では、直線はレンズ長軸断面位置においてなくなっている。
これは、光源中心からの光が、レンズ短軸に平行な直線部を有するレンズ面において、前記レンズ短軸断面と平行な断面の直線部が長軸に沿って外側へ移動するのに伴って小さくなり、拡散作用を有する凹レンズのような作用をする状態から直線部を減じてその分集光作用を有する凸レンズ状に変化するようにするためである。
ここでの拡散作用とは光源より出射された各光線がレンズ中心光軸とのなす角において、レンズ通過後に該なす角が増加するように変化することである。
【0027】
従って、出射側レンズ表面の三次元形状を平面図としてみると、連続曲面8は、その一例として、図3bにおいてはレンズの長軸および短軸に対角を有する略ひし形の形状となる。
前記レンズ短軸断面と平行な断面が、レンズ短軸断面から距離が遠くなるのに伴って直線部の長さが減少するようにしないと、レンズ長軸方向の外側において所定の集光が得られず、被照射面における照度パターンの長軸方向において光量の低下が生じ不均一を生じる傾向が出る。しかし、長軸側の連続面の端部は必ずしも直線がゼロになって終わらなければならないという必要はなく、連続曲面の終端部がレンズ長軸断面に垂直な方向に長さを持っていてもよい。
【0028】
このレンズの被照射面の照度パターンは、図4に示されるように、極めて均質な被照射面が得られるだけでなく、照度パターンの短軸方向の配光分布が照度パターンの長軸方向に平行に引き延ばされた形となっている。第1実施形態の配光レンズのものと比較すると、照度パターンの輪郭の短軸方向のふくらみがより直線状になり、あたかも陸上競技場の400mトラックのような、均質にして、長軸に平行な直線部分のある照度パターンとなり、短軸方向に一定の幅があって長軸方向に長さのある良好な配光を得ることができる。
連続曲面部8は、レンズ中心光軸からみて対称の位置になくてもよく、長軸方向からみてレンズ短軸方向に対して傾いていてもよい。また、その傾きがレンズ短軸断面に平行な、異なる断面において、異る傾きを有していてもよい。例えば、レンズ短軸断面における直線部はレンズ長軸断面に直交し、レンズ短軸断面に平行な断面における直線は短軸方向に傾きを持ち、レンズ短軸断面とレンズ短軸断面に平行な断面との間を、連続曲面がねじれた面でつながる連続曲面部であってもよい。照射パターンの短軸方向に非対称の楕円形状の照度パターンを望む場合などは、連続曲面部を適宜調節することができる。
連続曲面の外側に続く凸部とのつながり方は、不連続でも滑らかに接続していてもよいが、滑らかに接続していることが好ましい。 滑らかに接続している場合は、不連続な接続部に起因する光の屈折変化が配光に影響して生じる明部や暗部を生じない。
【0029】
第2実施形態の配光レンズの出射側レンズ表面の三次元形状を、光出射側から見た平面図でみると、レンズ短軸に平行な直線部の集合によって光出射側レンズ表面に形成される連続曲面の平面図に現れる形状は、被照射面の配光特性に応じて適宜変化してよい。
具体的には、レンズ短軸断面上の直線が最も長く、レンズ短軸断面に平行な断面上の直線はそれより短かく任意に設けられる。短軸方向の直線部の幅は、最も広いところで、短軸長さの、5〜40%、好ましくは8〜30%、更に好ましくは10〜20%の範囲である。
レンズ長軸断面方向の長さは任意に設定することができ、光出射側の全体に設けることもでき、第1実施形態も考慮に入れれば、本発明においては、レンズ長軸長さに対して0〜100%ということになるが、本実施形態の効果を奏するためには、8%以上あることが好ましい。好ましくは8〜70%、更に好ましくは10〜50%の範囲にあることが好ましい。
【0030】
[第3実施形態]
第3実施形態の配光レンズは、図5a(1)の斜視模式図に示すように、
光出射側のレンズ長軸断面の曲線に沿うようにして形成された、レンズ短軸に平行な直線を含む、上記連続曲面に加えて、レンズ中心光軸位置を含まない第二連続曲面であって、レンズ短軸に平行な直線の集合からなる第二の連続曲面8bを有し、該第二の連続曲面8bは第一連続曲面8aとは離れて、レンズ長軸断面における凸曲線部に形成されている、配光レンズである。
レンズ中心光軸位置を含む第一の連続曲面においては、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。これに加えて、第3実施形態の配光レンズは、レンズ中心光軸位置を含まない第二の連続曲面を、第一の連続曲面と離れて、レンズ長軸断面における凸曲線部に設けることにより、被照射面の照度パターンにおける長軸側(A−A方向)の先端部の配光を減じ、その分の配光を長軸方向からずれた方向(図3a、3bにおいてC−Cとして示した方向、以下、(C−C方向)は、図3に同じ)への配光に向けることにより、A−A方向の照度パターンの曲率を小さくしてC−C方向の曲率を大きくする照度パターンとすることができる。あたかも第2実施形態の陸上競技場の400mトラック形状の照度パターンを長方形状に近づけた(丸みを帯びた角を有する長方形状)照度パターンとすることができる。
【0031】
第一の連続曲面から離れて、第二の連続曲面を設ける、レンズ長軸断面における凸曲線部の位置は、レンズ長軸断面において2つの山の形をなす凸状形状の頂点より外側に設けることが好ましい。レンズ長軸断面における凸状形状の頂点よりも外側の領域から出射する光は、主にA−A方向の先端部に配光され、A−A方向の照度パターンの曲率を決める要素であるので、この曲率を下げ、且つ、C−C方向に出射光を向けさせるためには、凸状形状の頂点から外側の領域にレンズ短軸に平行な直線の集合からなる第二の連続曲面を設け、A−A方向に向かう出射光をC−C方向に屈折させることが好ましい。
【0032】
図5b(1)の断面図は、第二の連続曲面が、短軸に平行な直線を有する連続曲面であるときの、任意のB3−B3断面図である。
図5b(3)は、レンズ短軸断面における第一の連続曲面の様子を示すものである。
【0033】
更に、第二の連続曲面の中に、溝状の凹部を設けてもよい。この場合、レンズ短軸断面に平行な断面(図5a(2)におけるB3−B3断面)において、図5b(2)に示すように、レンズ長軸断面と交叉する位置に凹曲線の底部が存在する凹曲線1dを有する断面となる。即ち、溝の底部中央に沿う曲線は、レンズ長軸断面の平面内に存在する。かかる溝状の凹部を第二の連続曲面8bに含むことにより、A−A方向に向かう出射光を、顕著にC−C方向に拡散させることができ、長円形照度パターンの長軸方向について所望の照度パターンを得ることができ、A−A方向の曲率を小さくすることもできる。第二の連続曲面の中に、場合によっては、短軸に平行な直線を含まなくてもよいこともある。
なお、溝の底部中央に沿う曲線8cは、レンズ長軸断面の凸状部の成す曲線に沿うことが好ましいが、所望する配光によっては、レンズ長軸断面の凸状部が成す曲線に沿わない場合もある。
【0034】
[第4実施形態]
第4実施形態の配光レンズは、図6に示すように、
光出射側のレンズ長軸断面の凸曲線部において、光源中心と凸曲線とを結ぶ線が凸曲線の法線と一致する凸曲線上の交点の位置に切欠き部を有し、切欠き部は、凸曲線から法線に沿って、且つ、法線より外側(レンズ中心光軸より離れた側)の凸曲線が窪むようにして、または法線から外側の凸曲線が膨らむようにして設けられ、短軸に平行な直線を含む連続曲面を、法線より外側の、切欠き部に接する凸形状部に、有する配光レンズである。
【0035】
即ち、レンズ中心光軸4及び光源中心10から凸形状部に出射する光線を含む平面内において、光源中心と凸曲線を結ぶ線が凸曲線の法線となる交点の位置における出射光はレンズが存在していても屈折することなく直進する出射光となる。凸形状部の曲面において凸曲線の法線となって現れる同様の出射光の軌跡は、曲線が略同じ曲線である場合には図6aのごとくレンズ中心光軸を軸として回転した仮想の円錐の円錐面となり、出射光線13と凸曲線の接線が直交する点の連続としてレンズ表面上に弧状の軌跡12として描かれる。この仮想円錐の頂角は回転したときの線13が交わる凸曲面の形に従って変化する。このようにして、レンズの胴回りの、レンズ中心光軸4及び光源中心10から凸形状部に出射する光線を含む、各平面内において、曲線が変化するのに応じて、光源中心から出射した光線が凸形状部の凸曲線と法線の関係にある点は、レンズの凸形状部に光入射面からの高さを変えながら軌跡11として現れる。
また、配光レンズが短軸断面を介して鏡面対称である場合は、その反対側の凸形状部の表面にも同じ軌跡12は存在する。
【0036】
レンズ長軸断面付近では、この凸形状面の弧状の軌跡12に沿って、図6bの切欠き部9が設けられている。図6b(1)〜(3)は、レンズ長軸断面に対して、光源中心からの出射光が法線となって、法線上に現れる切欠き部9を示す部分断面図である。ひとつは、図6b(1)のごとく、この弧状の軌跡の外側(法線を境にレンズ中心光軸とは反対側)の凸形状のレンズ面が、窪む形で切欠き部9が設けられる。もう一つは、図6b(2)及び(3)のごとく、この弧状の軌跡の外側の凸形状のレンズ面が、膨らむ形で切欠き部が設けられる。そして、好ましくは、弧状の軌跡の外側のレンズ面は、レンズ短軸に平行な直線を含む連続曲面をレンズ長軸断面と直交して有している。
【0037】
図6b(1)のレンズ長軸断面に現れる切欠き部について説明する。光源中心と凸曲線を結ぶ線が凸曲線と交わる点での曲面の面法線となり、その交点の位置から法線に沿って、法線より外側(法線を境にレンズ中心光軸とは反対側)の凸曲線が窪むようにして切欠き部9が設けられている。切欠き部により窪んだ線は、更に外側(下側)の凸形状部に繋がっており、その窪んだ線の部分には、レンズ短軸に平行な直線を含む連続曲面を長軸断面と直交して有している。
かくして、レンズ長軸断面における、切欠き部により窪んだ曲線の接線は、切欠き部のない状態の凸形状部の接線の傾きよりも光軸側に傾いた接線となるので、光源中心からの光はその曲面で光が広がり、レンズのサイズを大きくすることなく、A−A方向への光を増すとともに、その連続曲面はレンズ短軸に平行な直線を含むので、長円形の照度パターンのA−A方向先端部の配光をC−C方向に広げる広配光のレンズとなる。
【0038】
図6b(2)及び(3)のレンズ長軸断面に現れる切欠き部について説明する。光源中心と凸曲線を結ぶ線が凸曲線と交わる点での曲面の面法線となり、その交点の位置から法線に沿って、法線より外側(法線を境にレンズ中心光軸とは反対側)の凸曲線が膨らむようにして切欠き部9が設けられている。切欠き部により膨らんだ曲線は、更に下側の凸形状部に繋がっており、その膨らんだ曲線の部分は、レンズ短軸に平行な直線を含む連続曲面を長軸断面と直交して有している。
かくして、レンズ長軸断面における、切欠き部により膨らんだ曲線の接線は、切欠き部のない状態の凸曲線の接線の傾きよりも外側への傾きが大きい接線となるので、光源中心からの光はその曲面で光が中心光軸側に屈折するので、照度パターンのA−A方向の配光を減ずることとなり、A−A方向にある半円状の曲率は小さい曲率の照度パターンとなる。また、A−A方向の光はC−C方向の光となるので、トラック形状の照度パターンはA−A方向の曲率が小さくなってC−C方向の曲率が大きくなり、その結果、角のとれた長方形に近い照度パターンの配光レンズとなる。図6b(3)の場合、光入射側のレンズ縁部から立ち上がるレンズ曲面の接線は、図6b(1)、図6b(2)の場合は光入射側のレンズ面(水平)に対して90°以下で中心光軸側(内側)に傾いているのに対して、90°を超えて外側に傾いているので、光源中心から水平及び水平よりやや角度をもった浅い角度で出射した光線もレンズ中心光軸側に屈折させて出射させることができ、従来迷光となる光も有効に利用することができる。
【0039】
レンズ長軸断面を含む凸形状部に円弧状の軌跡に沿って設けられる切欠き部の長さは、所望に応じて調節することができる。好ましくは平面図でみて光源中心においてなす角度は2°〜70°、好ましくは、3°〜60°更に好ましくは、5°〜50°である。
法線の外側に設けられた連続曲面には、所望により、短軸に平行な直線を含まなくてもよい。また、第3実施形態の第二の連続曲面と同様に、溝の底部中心及び溝の長さ方向が長軸断面に一致する溝状の凹部を含んでいてもよい。
【0040】
[第5実施形態]
第5実施形態の配光レンズは、図7に示すように、
レンズ長軸断面形状において、光出射側の形状がレンズ中心光軸位置を含むその近傍にレンズ長軸長さに対して5%未満の長軸に平行な直線部を更に有し、その両外側が凹形状であり、さらにその外側では凸形状である断面形状を有する配光レンズである。
即ち、レンズ表面の三次元形状が、レンズ中心光軸位置を含むその近傍に、レンズ中心光軸に直角に、長軸にも短軸にも直線を持つ領域を有するものである。
【0041】
第5実施形態の配光レンズは、図7に示すように、好ましくは、レンズ長軸及びレンズ短軸の各軸に平行な直線を共に含む部分、すなわち平面部を有し、所望により、レンズ長軸に平行な直線の集合がレンズ短軸断面における凸曲線を含む曲面部を形成し、平面部と曲面部が滑らかに繋がっている面14を有する。図7b(1)及び図7b(2)に、レンズ短軸断面及びレンズ長軸断面の出射側に現れる直線1a及び1cを示している。図8は、その被照射面の照度パターン及び配光特性を示す。図8aには、照度パターンの短軸側に幅があって、長軸方向に長い、均質な長円形の照度パターンの中に、レンズ中心光軸近傍に円形状の相対的に照度のやや大きい部分が重なって存在する照度パターンを得ることが示されている。レンズ中心光軸近傍の相対的に照度の高い円形状の照度パターンは、光源中心から出射した光が、光出射側のレンズ中心光軸位置を含みその近傍にある小さな平面部を透過して、狭い角度で放射状に出射し、円形状の照度パターンを均質な長円形の配光に重ねて与えるものである。
【0042】
この平面部があまり大きいと、長軸断面上の中心部の凹部がなくなる状態となって長軸側に出射光を広げることができない状態となるので、直線の長さは、長軸の長さに対して5%未満が好ましい。この直線を含む平面部は短軸または長軸に、又は短軸及び長軸に対して傾いていてもよい。
なお、レンズ中心光軸付近に集中する光を避けるために、このレンズ中心光軸を含む平面部内に、レンズ中心光軸を含む凹部を設けることにより、レンズ中心光軸の極近傍の強い出射光を長軸方向及び短軸方向に広げて、レンズ中心光軸の極近傍の極端な照度の高い配光をなくし、円形状の相対的に照度の高い配光の中で更に均質にして、均質な長円形の配光に重ねて設けることもできる。
【0043】
[第6実施形態]
第6実施形態の配光レンズは、図9に示すように、光出射側のレンズ面が、光入射側のレンズ基底面の輪郭よりも外側に膨らむようにして、光入射側レンズ表面の輪郭から立ち上がって出射側レンズ表面に凸形状を含む三次元形状を形成する。
即ち、光出射側からみた配光レンズの投影面積は凸形状の水平方向の膨らみによって、レンズ長軸及びレンズ短軸を含む光入射側のレンズ面の輪郭より大きくなっている。
【0044】
第1〜5実施形態でもみられたように、一般にレンズ長軸及びレンズ短軸を含む光入射側のレンズ面の輪郭から凸状曲面が立ち上がり、レンズ短軸及びレンズ長軸を含む面と成すレンズ立ち上がり角度は、通常90°以下であるが、図9に示される配光レンズは、その角度が90°を超えて、光入射側のレンズ面の輪郭より外側に膨らむようにして凸形状部の一部を構成する。
従って、水平方向に最も膨らんだ曲面による、光出射側からみた配光レンズの投影面の輪郭は、光入射側レンズ面の輪郭より外側の周囲にある。レンズ中心光軸を含むレンズ長軸断面における立ち上がり部及びその近傍の凸曲線の接線15は、短軸及び長軸を含む面と成す角度が90°を超える斜角となるので、水平方向または水平よりわずかに角度のある浅い角度で発光中心から出てくる光であっても、レンズ中心光軸側に屈折し、これまでのレンズでは利用されていなかった、これらの光も有効に利用できる。
【0045】
レンズ中心光軸及び発光中心から発光する光線を含む平面における凸曲線上の接線15が、レンズ短軸及びレンズ長軸を含む面(水平面)と成す角度が90°となる接点(水平方向に最も膨らんだ曲面における垂直方向の接線の交わる点)をレンズ凸形状の周囲に軌跡17として示すことができる。90°を超える斜角を凸状レンズ曲面のどの高さの位置まで設けるかは、軌跡17のレンズ入射側のレンズ面からの位置高さで示すことができ、所望に応じて選択し得る。レンズ凸形状部の軌跡17の位置を、発光中心を中心点にして軌跡17と中心光軸とのなす角度でいうと、長軸方向で70°〜90°、好ましくは75°〜85°、短軸方向で50°〜85°、好ましくは、60°〜75°の範囲に設けることが好ましい。凸形状の曲面上においてこの角度を小さくして軌跡の位置が高くなりすぎると、設計された光出射側の三次元形状の有効照度パターンに影響し、設計通りの配光を崩してしまう。
中心光軸を含むレンズ断面において、光入射側のレンズ輪郭に繋がる光出射側の凸形状部の形状は凸曲線であっても直線であってもその組み合わせであってもよい。好ましくは曲率の異なる曲面である。
【0046】
[第7実施形態]
その他、光出射側レンズ表面の三次元形状として、付加的に或いは好ましく採用される実施形態について説明する。 凸部や凹部の接続が不連続であると、不連続部によって光の屈折が不連続になるので、配光に明部や暗部が出現し、被照射面に反映することがある。
本発明の上記各実施形態の配光レンズにおける光出射側レンズ表面の三次元形状は、直線部や凹部や凸部の接続が、不連続につながっていてもよいが、全面が滑らかな連続面であることが好ましい。
切欠き部を有する場合は、光出射側レンズ表面の三次元形状が、切欠き部を除き、滑らかな連続面であることが好ましい。
レンズ短軸に平行な直線を含むレンズ短軸断面及びそれに平行な断面において、レンズ短軸に平行な直線の両外側の凸曲線は、単純円からなる円弧であってもよいが、曲率の異なる曲線が組み合わさって、曲率が一定でない凸曲線を有することが好ましい。単なる円弧状の凸曲線では、被照射面全面に均質に配光することが難しくなる。レンズ短軸に平行な直線を含まない凸形状部においても非球面であることが好ましい。レンズ中心光軸を含むレンズ短軸断面においては、直線が他の断面の直線の長さに比較して最も長くなることが好ましいので、直線に続く両外側の凸曲線は他の位置の曲線に比較して円弧状の凸曲線であってもよい。凸形状を構成する凸曲線は、必要に応じて凸曲線の間や曲線の外側に直線を組み合わせて凸形状を構成してもよい。
【0047】
本発明の配光レンズは、レンズの平面図における輪郭部に輪郭面を設けてもよい。
輪郭面は、レンズ中心光軸にほぼ平行な直線を含む面を、レンズ縁端部の全体または一部を囲むようにして、壁面のように、レンズ輪郭を有してもよい。
例えば、図1a、図3a、図3c、図5a、図5b(3)に見られるように、レンズ短軸断面は、B−B軸に接している付近にB−B軸から立ち上がる直線を有している。この直線を含む面はレンズの端に、立ち壁面のようになって、レンズの輪郭曲面を形成する。この直線はレンズ中心光軸に平行であっても、外側に傾いていても内側に傾いていてもよいが、平行または外側に傾いていることが好ましい。壁面のような輪郭面は、例えば、短軸付近のレンズの幅方向の膨らみをとるために一部設けたり、レンズの周囲全体を取り囲むように、設けてもよい。
【0048】
この輪郭面によってレンズの輪郭を構成することによって、レンズを必要以上に平面方向に大きくすることを避けることができ、レンズの形を整えることができる。また、レンズの配置においても基板上に密に配置することができる。
【0049】
本発明の配光レンズは、レンズ短軸断面を中心に非対称であってもよく、レンズ長軸断面を中心に非対称であってもよく、そのような非対称の配向レンズは、レンズを複数配置する場合において、コーナー部や段差のある被照射面に随時対応して用いることができる。通常では、光出射側レンズ表面の三次元形状が、レンズ中心光軸を含み直交するレンズ短軸断面及び長軸断面により、それぞれ鏡面対称である配光レンズが使いやすく便利ではある。 非鏡面対称である場合の配光レンズは目視では識別できない場合があるので光学的非鏡面対称が分かるよう、配光に影響のないところに、例えば光入射面などに、マークを入れるとよい。
本発明の配光レンズの光入射側あるいは出射側の一部または全体に曇り処理を施してもよい。フレネル形状にしてもよい。
【0050】
[第8実施形態]
第8実施形態は配光レンズの光入射側のレンズ形状に関する。本発明の配光レンズは、光入射側のレンズ形状については特に限定されず、目的とする配光が崩れない限り、全体がフラットであっても凹面であっても凸面であってもあるいは小さな凹凸が刻まれていてもよい。
光入射側のレンズ形状の好ましい第8実施形態を図12に示す。図12の斜視模式図に示すように、レンズ中心光軸がその底部を貫くドーム状の逃げ凹部19が形成されており、これが発光素子、発光素子封入部材および/またはそれらを載置した基板の一部を収容するための逃げ凹部となる。ドーム状を有する形状にしているのは、発光素子の封止部が半球状の封止体で構成されている光源を収容できるよう対応している。また、半球状のドームとすることで、光源中心から出射する光に対して光学的な屈折の影響を与えないので、光出射面の三次元形状の設計への影響を少なくすることができる。また、逃げ凹部に接着剤を注入した際、接着剤とともに空気が巻き込まれることがあり、発光素子を、接着剤が充填された逃げ凹部に押し込んで余分な接着剤がはみ出る際に巻き込まれた空気が、余分な接着剤といっしょに外に出やすくなる形状を与えている。逃げ凹部の形状は、ドーム状に限らず、LEDパッケージやLED光源の形状に対応して適宜変えることができる。
【0051】
この逃げ凹部は、発光素子が半球状のモールドにより封止されているタイプである場合、そのモールド体積を収容できる大きさを持つことが好ましい。半球封止体に対するドーム状の逃げ凹部の大きさは、半球封止体の高さに対して10%〜15%大きいドームとすることが好ましい。
また、発光素子を接着剤または充填剤の入っている逃げ凹部に押し込むと過剰の接着剤がはみ出てくるので、逃げ凹部19の周囲には、はみ出た接着剤または充填剤を溜めることができる液逃げ凹部20を設けることが好ましい。液逃げ凹部20を設けることによって、逃げ凹部からあふれ出た接着剤または充填剤がレンズの光学特性や、その後の作業に影響を与えないようにしている。液逃げ凹部の深さは光学特性に影響しないように逃げ凹部よりやや浅くするとともに、十分な容積を確保するために十分広い面積で四方に設けられることが好ましい。
【0052】
また、LEDパッケージを接着剤または充填剤の入っている逃げ凹部に押し込んだ際、LEDパッケージが必要以上に逃げ凹部または液逃げ凹部に進入しないよう、レンズに対してLEDパッケージが一定の深さで止まる挿入ストッパー21が、液逃げ凹部の底面よりやや浅い位置に棚状にランドを形成して設けられることが好ましい。
LEDパッケージのベース(基板)またはケーシングが挿入ストッパー21に突き当たり固定されるので、光源の高さをレンズに対して一定に保つことができる。挿入ストッパー21の形態は、LEDを安定して再現性よく止める機能があれば、その形状を特定しない。ピン状に出ていてもよいし、液逃げ凹部の底面に台状に設けられてもよい。
【0053】
光入射側から見える液逃げ凹部の輪郭形状は、任意の形状に設けることができ、例えば、多角形状、放射状凸部を有する星形またはこれらの角を丸めた形状などである。また、液逃げ凹部の輪郭形状の別の機能として、LEDパッケージなどの光源のレンズ内での水平方向のずれをなくし、所定の位置に固定する横ずれ防止機能を持たせることが好ましい。例えば、LEDパッケージのベース部またはケーシングが光軸方向からみて四角形である場合、LEDパッケージのベース部またはケーシングの一部が液逃げ凹部に挿入されたときに、液逃げ凹部の輪郭に当接して挿入され、LEDパッケージのベース部またはケーシングの四つの辺または角を液逃げ凹部の輪郭をなす壁面(横ずれ防止壁21a及び21b)により固定できる形状を有することが好ましい。
【0054】
[第9実施形態]
第9実施形態は、図14に示すように、配光レンズと光源とを組み合わせた発光装置に関する。前記した各実施形態の配光レンズとLEDパッケージとを組み合わせて一体化したLEDパッケージを回路基板25に配設した発光装置24a、及び基板上の回路に発光素子(チップ)を載置しその周りを封止することにより回路基板に直接LEDパッケージを形成した光源部の上に配光レンズを固定して一体化した発光装置24bに関する。
光源としてのLEDパッケージは、ケーシングに発光素子(チップ)を載置し、素子と電極を結線した後ケーシング内を透明樹脂で封止するとともに、電極の端子が外側に露出している1個独立して存在するもの、或いはセラミック等の板状ベース(基板)に電極回路が設けられ、発光素子(チップ)を電極回路に載置し、電極と発光素子を結線し、結線を含む発光素子に透明樹脂またはガラスをポッティングして半球状の封止体を設けて完成する1個独立して存在する、いわゆるCOBタイプのLEDパッケージがある。別の光源は、金属薄膜の回路が設けられた回路基板(プリント配線基板)に発光素子(チップ)を載置し、チップと回路を接続し、発光素子周辺を透明樹脂で封止して回路基板上に光源を直接作る、いわゆるチップオンボード(COB)回路基板である。
【0055】
図13は、配光レンズの光入射側の逃げ凹部にLEDパッケージが嵌入し、LEDパッケージの半球封止体と液逃げ凹部の隙間を透明接着剤で接着固定されたレンズ付きLEDパッケージの短軸断面図13aおよび長軸断面図13bを示す。
図14aは、レンズ付きLEDパッケージを、基板回路に載置し、リフロー工程に通して回路基板に固定した発光装置24aを示す断面図である。
図14aにおける発光装置は、光入射側のレンズ面と、LEDパッケージを載置した回路基板との間に隙間C27が設けられていることが好ましい。隙間があることによって、例えば、リフローの際に発生する半田の厚みの違いによるレンズの位置のずれや回路基板のレンズ周辺の凹凸によるレンズと回路基板との接触を防ぐことができ、レンズ光軸の方向調節にも自由度を与えることができる。図14bはプリント基板上の光源を設ける予定の回路の位置に、予めチップオンボードの半球封止した発光光源部を設け、その封止部に配光レンズを接着した発光装置24bである。1枚の回路基板の上には、複数の発光光源部を設けることができる。
【0056】
[第10実施形態]
第10実施形態は、図15に示されるように、接着剤を用いないで組み上げられた発光装置に関する。接着剤を用いて、配光レンズとLEDを一体化するのは、LEDパッケージと逃げ凹部との間の空気層をなくして、屈折率の相違による光取り出し効率の低下を抑える利益がある反面、工程が煩雑となり、また、未硬化の接着剤による不用意な汚れを惹起し易いという要素もある。特に多数の配光レンズを接着工程なしで固定できれば、大きなメリットとなる。
【0057】
図15aは、レンズとLEDパッケージとが嵌着機構により一体化したレンズ付きLEDパッケージを回路基板にリフローにより接着固定した発光装置30aを示す。
図15aに示されるように、LEDパッケージにおけるセラミック製ベース(基板)などのベース側面にクサビ形の嵌着受け凹部35を設け、一方、レンズには、LEDのベースに嵌合する爪32を、LEDベースの側面方向に突き出すように設け、レンズの変形とともに爪32がベース側面の嵌着受け凹部35に嵌入して固定される。これらの嵌着機構は、寸法精度よく光源とレンズとの位置を決めることができる。
図15bは、COB型LED光源を備えた回路基板に嵌着機構によりレンズがワンタッチで位置決め固定された発光装置30bを示す。
図15bに示されるように、レンズには、回路基板25に開けられた孔34に嵌入する脚部31を備え、脚部31の先端には嵌着する爪32、脚部根元部には、回路基板に対するレンズの高さの位置合わせ部33が設けられている。爪32は一度回路基板の孔に嵌着すると抜けない作用を持ち、位置合わせ部33は、脚部が深く孔に入りこまないよう、LEDパッケージの挿入ストッパー21と同じ効果を得ることができる。脚部は少なくとも2か所以上あることが好ましい。また、脚部自体がレンズ本体と一体のものであってもレンズとは別の材質で別体で成形したものを一体化したものであってもよい。また、位置合わせ部33はレンズの光入射面にリング状に設けられていてもよい。 なお、この嵌着機構を採用する場合においても必要に応じて光源とレンズの逃げ凹部との空隙を接着剤で充填してもかまわない。
図16は、さらに、リング状の凸条シール体を光入射面に設けたレンズを回路基板に嵌着した発光装置を示す。
図16に示されるように、レンズ入射面にはリング状の凸条シール体が逃げ凹部を囲堯するように設けられており、ゴム弾性を有し、脚部31が回路基板に嵌着することによりつぶれる高さを有し、嵌着作用によりレンズと回路基板との間を液密に密圧着する。これによりLEDとレンズの間の空隙およびLEDのリフロー半田の接合面や露出している回路が外部雰囲気と遮断されるので、街路灯やトンネル、外付け看板など外気に曝される発光装置として用いられる所では結露や埃の付着を防止することができ、結露による配光の乱れ防止やLED近傍の回路などの防錆に寄与することができる。凸条シール体は、レンズ材料と同じ材質で一体成形されていてもよいし、レンズ材料とは硬さの異なる別の材料で構成されていてもよく、長期間の使用に耐えうる持続性のある弾性や脚部31や爪32を傷めない適度の反発力がある材料であればよい。好ましくは、ショアA硬度80以下であり、ゲル状ゴムも使用し得る。さらに好ましくは、ショアA硬度10〜80のゴムが好ましい。その平面形状は、楕円状、多角形状など、光入射側のレンズの形状に応じてLEDおよびその近傍の露出している回路やリフロー半田接点を囲堯できればよい。シール体の凸条形状はその断面形状において先の尖った山形、半円形、台形や四角形でもよく、高さは、位置合わせ部33より大きな寸法であればよい。また、凸条シール体の反発力を利用して、位置合わせ部33を省略して所望する隙間Cを得ることも可能である。
【0058】
[第11実施形態]
第11実施形態は、各実施形態の配光レンズ及びその配光レンズを用いた発光装置の製造方法に関する。配光レンズの製造方法は、金型成形による。金型成形方法は、射出成形、押圧成形、注型成形等、特に限定することなく各種方法を用いることができる。好ましい態様としては、光出射側の三次元形状を彫った金型を下金型、光入射側の形状を彫った金型を上金型とし、光出射側の下金型にレンズ材料を充填し、上と下とから金型で押圧とともに加熱して成形する。この金型一面に、数十個〜数百個のレンズ型を彫って効率よく製造することができる。
光出射側の切欠き部や光入射側の液逃げ凹部あるいは嵌着機構など、レンズが金型から外れない形状を有する場合は、上下金型を更に複数のピースに分けて成形することができる。また、レンズ材料の硬さに注目してやや柔軟なゴム質の材料を選択して、材料の変形を利用して無理抜きして、金型からの取り出すこともできる。
【0059】
また、上記実施態様の配光レンズおよび発光素子を載置した基板または回路基板を含む、発光装置の製造方法は、次の(1)、(2)、(3)のうちのいずれかの工程を含む発光装置の製造方法である。
(1)電極端子に電気的に接続された半導体発光素子(チップ)を透明素材で封止したLEDパッケージを準備する工程、光入射側レンズ面に逃げ凹部及び液逃げ凹部を設けた配光レンズを準備する工程、逃げ凹部に接着剤を充填する工程、接着剤の充填部とLEDパッケージの封止部とを、発光中心とレンズ光軸中心が一致するように押し当てて接着する工程、接着剤を硬化する工程、およびLEDパッケージを基板回路に載置し、固定する工程。即ち、(1)は個別に独立したLEDパッケージを用いる発光装置の製造方法である。
1個独立したLEDパッケージに本発明の配光レンズを接着して一体化し、このLEDパッケージを、基板回路に載置し、固定する。レンズと一体化したLEDを基板回路に固定する方法は、リフロー半田による。また、最初に基板回路にLEDをリフローにより固定し、回路基板上のLEDパッケージにレンズを接着する方法もある。
【0060】
図13は、レンズ短軸断面とレンズ長軸断面におけるレンズ逃げ凹部の接着剤の充填部とLEDパッケージの封止部とを、発光中心とレンズ中心光軸が一致するように押し当てて接着する工程を模式的に示している。LEDパッケージは、四角形のベース(基板)上で発光素子を半球状に封止したものであり、レンズは、図12に示す光入射面側の形状を有している。即ち、逃げ凹部はLEDパッケージの半球状封止体より一回り大きい。また、LEDパッケージがレンズに過剰に押し込まれないよう、ベース部が突き当たって挿入深さがコントロールされる挿入ストッパー21が設けられており、その結果、図13のごとく、接着剤23が存在する隙間が形成される。この隙間は、封止体と逃げ凹部が接触して光軸に生じる不具合を取り除いている。
【0061】
また、液逃げ凹部のA−A方向、B−B方向の各四辺の壁がLEDパッケージのケーシングまたはベース側面の各四辺に当接する寸法になっていてLEDの横ずれを防止してレンズ中心光軸と発光中心とを一致させる機構となっている。LEDパッケージがレンズに押し込まれる深さは挿入ストッパーにより適宜調節されるが、好ましくは、発光装置としてレンズと回路基板とが、リフロー半田などにより、一体化された際、図14aに示されるように回路基板とレンズの光入射側の面との間に隙間Cが設けられる程度に、LEDパッケージのベース板またはケーシングの厚さ方向の一部はレンズ入射面の外側に存在することが好ましい。かかる隙間を設けることにより、リフロー半田の盛り具合の変化の影響を少なくすることができる。隙間Cは、0.25mm〜0.7mmが好ましい。
【0062】
(2)回路基板上の回路に半導体発光素子(チップ)を載置し、半導体発光素子(チップ)と回路とを電気的に接続し、チップオンボードのLED発光光源を有する回路基板を製造する工程、光入射側レンズ面に逃げ凹部及び液逃げ凹部を設けた配光レンズを準備する工程、逃げ凹部に接着剤を充填する工程、接着剤の充填部とLED発光光源部とを、半導体発光素子の発光中心とレンズ光軸中心が一致するように押し当てて接着する工程、および接着剤を硬化する工程。
具体的には、(2)は、回路基板上に直接LEDが形成された、いわゆるチップオンボード(COB)型の光源部にレンズを設置して発光装置を製造する方法である。ここで、一個独立したLEDパッケージの中にもCOBタイプのLEDがあるが、(2)の発光装置でいうチップオンボードのLED発光光源とは、概ね、レンズの面積より広い面積を有する1枚の回路基板上に直接作成され完成された光源である。
【0063】
回路基板上にCOBタイプの光源を作る方法として、回路基板の回路の所定の位置に半導体発光素子(チップ)を載置し、チップの両極を基板回路に結線などによる電気的に接続する工程を含む。そしてチップ及び結線部、必要に応じてその周辺をいっしょに透光性樹脂で封止し、回路基板上に直接LED発光光源を作る。通常封止は、封止液の盛り上がりにより、凸状となる場合が多い。場合によっては内部がすり鉢状の筒状のケーシングをチップがケーシング内に収まるように回路基板に接着して、筒の内部を封止してCOB光源を製造してもよい。また、逃げ凹部に充填した接着剤に、半導体発光素子(チップ)の封止液の役割を持たせてもよい。次に、光入射側レンズ面に設けられた逃げ凹部に接着剤を充填する工程があり、そのレンズを基板上の半導体発光素子の上にある封止体に押し当て接着する工程、続いて、接着剤を硬化する工程を含む。図14bは、回路基板に直接COBタイプのLED発光光源が作成されている発光装置のレンズ長軸断面図である。接着工程は、特に限定しないが、光源に逐次レンズを接着していくのもよいが、補助板等を用いて所定の位置にレンズを配置し、逃げ凹部に接着剤を充填し、その上から回路基板を被せてもよい。逆に、接着剤を充填したレンズを所定の位置に配置した補助具を回路基板に被せて発光装置を製造してもよい。
接着剤を硬化する工程は、UV硬化でも熱硬化でもよい。
【0064】
(3)嵌着機構を設けたレンズを準備する工程、レンズに設けた嵌着機構に対応して嵌合する嵌着受け機構を設けた、LEDパッケージまたは半導体発光素子(チップ)を載置し電気的に接続した回路基板を準備する工程、およびレンズと、LEDパッケージまたは半導体発光素子(チップ)を載置し電気的に接続した回路基板とを嵌着機構により、接着剤を使わずに、一体化する工程。
即ち、(3)は、接着剤を用いることなく、レンズ側と、LED側または基板側とに互いに嵌合する嵌着機構を設けることによって、一体化する発光装置の製造方法であって、

レンズ側の嵌着機構は、LEDパッケージに嵌合する場合と回路基板に嵌合する場合のいずれかの嵌着機構を光源の形態に応じて選択して設けることができる。
【0065】
レンズとLEDパッケージとを嵌着機構により一体化した発光装置について、図15aに、長軸断面図を用いて、嵌着前と嵌着後の発光装置を示す。レンズ側の嵌着機構は、光入射側のレンズの凹部の壁もしくは光入射面より突き出た位置に、LEDパッケージのベース板(基板)の側面またはケーシングの側面方向を向いた凸状の爪を設ける。この爪の形状は嵌着機能があれば、任意であり、楔型でも丸型でもよい。一方LEDパッケージのベース板またはケーシングの側面には、嵌着受け機構として、レンズ側の凸状の爪が嵌合する溝が設けられる。そして、互いに嵌合する爪と溝により、レンズとLEDパッケージを押し付けると、レンズ及びLEDパッケージのベースのたわみにより、両者は嵌着し、一体的に組み上がる。LEDパッケージのベース板がセラミック製である場合はレンズの弾性変形により嵌着してLEDパッケージを把持する。
【0066】
レンズ及びLEDパッケージに設ける嵌着機構及び嵌着受け機構は、両者を入れ替えて行ってもよい。また、LEDパッケージの 辺ではなく、角を利用してもよい。図15aでは、爪とそれに嵌合する溝を示しているが、パッケージ挿入ストッパー21とレンズ側に設けた抑え爪によりベース板を上下に挟む形で把持してもよい。また、ベース板を台形状にして側面を斜めにしてエッジを作ったり、 ベースの側壁に凹凸をつけて、レンズ液逃げ凹部の横ずれ防止壁21a、21bにレンズの弾性を利用して食い込ませるようにして嵌着してもよい。
その後、レンズと一体化したLEDパッケージを回路基板の所定の回路に載置してリフローなどにより、固定して発光装置としてもよいし、あらかじめLEDパッケージを回路基板の所定の回路に載置してリフローなどにより、固定してから、その上からレンズを嵌着して発光装置としてもよい。
【0067】
レンズと半導体発光素子(チップ)を載置し、結線した回路基板とを嵌着機構により一体化された発光装置について、図15bに、長軸断面図を用いて、嵌着前と嵌着後の発光装置を示す。
レンズ側の嵌着機構は、光入射側レンズ輪郭近傍の光入射レンズ面またはレンズ輪郭近傍の光出射レンズ面の位置に、回路基板25に開けられた孔34に嵌入する脚部31を備え、脚部31の先端には嵌着する爪32と、脚部根元部には、回路基板に対するレンズの高さの位置合わせ部33を備えている。爪32は一度回路基板の孔に嵌着すると抜けない作用を持ち、位置合わせ部33は、脚部が深く孔に入りこまないよう、また、レンズががたつかないようLEDパッケージと逃げ凹部との間隔を一定に固定でき、LEDパッケージ挿入ストッパー21と同じ効果を得ることができる。脚部は少なくとも2か所以上あることが好ましい。また、脚部自体とレンズ本体とが一体のものであっても、脚部をレンズとは別の材質で別体で成形したものを準備し、これをレンズと一体化したものであってもよい。また、位置合わせ部はレンズの光入射面にリング状に設けられていてもよい。図15bの、嵌着機構を有する光入射側より見たレンズ面を示す図からわかるように、予め光入射側のレンズ面には、リング状の位置合わせ部が所定の位置に固定されるよう突起36が成形されており、リング状の位置合わせ部33には突起と対応する孔が設けられており、同時に爪31を有する脚部が一体成形されている。そして、位置合わせ部の孔を固定用突起36を介して嵌着することにより、また、必要により接着剤で接着するとともにレンズの光入射面にリング状に嵌着機構が設けられていてもよい。
【0068】
一方、半導体発光素子(チップ)を所定の回路位置に載置し結線し、結線部を含めて半導体発光素子(チップ)を封止した回路基板には、レンズに設けた脚部が嵌入する孔が設けられている。
そして、レンズと基板とを押し付けると、爪を設けた脚部と孔とが嵌着しレンズがワンタッチで回路基板に嵌着する。互いに嵌合する嵌着機構と嵌着受け機構を両者入れ替えてもよい。
孔に嵌入する脚部の材料はレンズと同じ材質で一体成形してもよい。機械的振動の大きい所や物理的に外力がかかる所などには、大きく変形しても復元力のあるゴム弾性の材質が好ましい。
【0069】
脚部の数は少なくとも二本、更に好ましくは、三本以上あることが好ましい。複数の脚部をレンズに独立して設置してもよいが、レンズの輪郭のまわりにリング状の筒を嵌めその筒に爪などの嵌入部を設けるのもよい。このレンズに脚部を設ける方法は、LEDパッケージを、リフローにより固定した基板にレンズを装着する場合にも有効である。また、あらかじめLEDパッケージに固定したレンズを基板にリフローとともに固定する場合にも有効である。特に、レンズに広がりのある比較的面積の大きいレンズの場合、脚部によって、レンズのがたつきを安定化できるのでリフローで固定するときにも有用である。
【0070】
嵌着機構を用いた(3)の発光装置の製造方法は、数百個〜数千個、あるいは何万個といった単位のレンズを使う場合、接着剤を用いてLEDに接着することは工程上、極めて煩雑であり、接着剤の取扱いにも注意が必要である。嵌着機構を用いた本発明の発光装置の製造方法では、LED光源が形成された回路基板(COB)とレンズ側に、またはLEDとレンズ側に設けた嵌着機構により、ワンタッチでレンズと光源とが正確な位置に固定できる。また、半導体発光素子を封止する封止部とレンズとを接着剤で固定する方法は、接着界面の表面エネルギーの違いや、長期の熱の上昇下降の繰り返しにより、内部歪が出てきて劣化したりして、レンズがLEDから剥離することがあるが、嵌着機構を用いることにより、環境変化に対しても安定して用いることができる。
【0071】
(レンズ材料)
本発明のレンズに用いられる材料は透明で成形可能なものであれば特に限定されない。例えば、軟質ガラス、シクロオレフィン、シクロオレフィンコポリマー、ポリカーボネート、ポリスチレン、フッ素、アクリル、エポキシ、シリコーンが好ましく、中でもフッ素、アクリル、シクロオレフィン、シクロオレフィンコポリマー、シリコーン、エポキシ、及びこれらの樹脂またはゴムから選ばれることが好ましい。特にアクリル、シクロオレフィン、シクロオレフィンコポリマー、エポキシ、シリコーンの樹脂またはゴムが好ましく、中でもシリコーン樹脂またはシリコーンゴムが良い。シリコーンの場合、耐熱性、耐寒性があり、長時間使用しても黄変したり劣化しないので、長期に亘って初期の特性を維持できるので好ましく用いられる。用いられるシリコーンとしては、液状シリコーンが好ましく、付加重合タイプが好ましく用いられる。
【0072】
付加反応硬化型のシリコーン樹脂組成物としては、透明なシリコーン硬化物を形成するものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、オルガノポリシロキサンをベースポリマーとし、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび白金系触媒等の重金属系触媒を含む組成物が挙げられる。
【0073】
オルガノポリシロキサンの具体例としては、例えば、下記一般式(1):
RaSiO(4−a)/2 …(1)
(式中、Rは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜10の非置換または置換一価炭化水素基であり、aは0.8〜2の正数である。)で示されるものが挙げられる。
【0074】
非置換または置換一価炭化水素基であるRの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;ビニル基,アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;これらの炭素原子に結合した水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されたクロロメチル基、クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基;あるいは、シアノ基で置換された2−シアノエチル基等のシアノ基置換炭化水素基;等が挙げられる。これらの中では、全Rのうち5〜80モル%がフェニル基であるものが、光学レンズの耐熱性および透明性に優れる点からとくに好ましい。
【0075】
また、Rとしてビニル基等のアルケニル基を含むもの、特に全Rのうちの1〜20モル%がアルケニル基であるものが好ましく、中でもアルケニル基を1分子中に2個以上有するものが好ましく用いられる。このようなオルガノポリシロキサンとしては、例えば末端にビニル基等のアルケニル基を有するジメチルポリシロキサンやジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等の末端アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンが挙げられ、特に常温で液状のものが好ましく用いられる。
【0076】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。また、触媒としては、白金、白金化合物、ジブチル錫ジアセテートやジブチル錫ジラウリレート等の有機金属化合物、またはオクテン酸錫のような金属脂肪酸塩などが挙げられる。これらオルガノハイドロジェンポリシロキサンや触媒の種類や量は、架橋度や硬化速度を考慮して適宜選択される。
【0077】
シリコーン樹脂組成物としては、例えば、信越化学工業(株)製の「KJR632」、「KE−1935」等が挙げられる。
硬化後のシリコーン樹脂の硬さは、適宜選択できる。ゴムで作られた配光レンズは、外部からの力や熱膨張による変形にも、衝撃にも強い。一方で、柔らかい表面となるので、塵埃が付着しやすい。硬化後の樹脂が硬い樹脂で成形された配光レンズは、表面に傷がつきにくく塵埃も付着しにくい。一方で、レンズとLEDの嵌着などには、変形が少ないので、好ましくない。なお、本発明の配光レンズの硬度は、JIS K 7215(プラスチックのデュロメーター硬さ試験方法)の方法により測定されるショアD硬度、及びIS K 6253(ゴムのデュロメーター硬さ試験方法)の方法により測定されるショアA硬度で、A30〜A90、及びD10〜80、好ましくはA50〜90、D10〜70、さらにA60〜90、D10〜50が好ましい。
道路灯、街路灯やトンネル、鉄道のプラットホームなどの照明器に用いられる場合、自動車ガスや列車の埃、構内の塵埃が付着し明るさが低下する場合は、フッ素コーティングするとよい。
【0078】
未硬化シリコーン組成物中には、有色染料または顔料等を分散せしめ、フィルター機能をレンズに持たせてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、LED素子から発光した光の波長を変換することにより、発光色を変換するための蛍光体や、光を拡散させるための光拡散剤等を含んでもよい。また、シリコーンレンズの内部または表面には、さらに蛍光体層、カラーフィルター層や光拡散層を設けてもよい。
また、シリコーンレンズは、被接着面側にシリコーンゲルやシリコーンエラストマーなどの緩衝層を設けたレンズであると、LED装置の封止体とシリコーンレンズとの熱膨張の差による内部応力を緩和させることができ好ましい。
また、シリコーンの屈折レンズ材料となる樹脂またはゴムの中には、屈折率や線膨張係数を調節するために微細なシリカを混合して成形することもできる。
レンズをLEDに接着する接着剤としては、耐熱性が必要なことから、エポキシ接着剤やシリコーン接着剤が好ましい。レンズがシリコーンで作られている場合は、シリコーン接着剤がよく、特に硬化後にレンズと同等の屈折率を持つシリコーンが好ましい。使用する接着剤の例としては、例えばモメンティブマテリアルパフォーマンス社製のTSE3221などがある。
【0079】
配光レンズ逃げ凹部に注入し、接着硬化する接着剤としては、シリコーンまたはエポキシのゴムが好ましい。シリコーン系接着剤として、例えば、JIS K2220に準拠し針入度計で測定した針入度が90〜37の硬さのポリジメチルシロキサンのゲル膜やシリコーンエラストマー層、JIS Z2246に準拠したShoreA硬度計で測定した5〜60のショア硬さのポリジメチルシロキサンのエラストマー層が挙げられる。透明接着剤は、低分子シロキサンカット品、例えばLPS−1400、LPS−2400(何れも信越化学工業株式会社製;商品名)、OE−6250、ソテファ、SE1740(何れも東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製;商品名)のような市販品であってもよい。このシリコーンゲル層のようなゲル状物質の物理的な粘着性やシリコーンエラストマー層の物理的弾性によってLEDとレンズが隙間無く、密着している。
【0080】
透明接着剤層23が、シリコーンゲル層又はシリコーンエラストマー層であると、レンズとLEDとの線膨張係数の相違に基づく応力を緩和するのに役立つ。
本発明のレンズの大きさについては所望により選択できるが、少なくともLED発光光源の全体を覆う大きさが必要であり、発光装置として中心光軸側より見たときLEDパッケージの大きさに対してレンズ短軸方向で1.2倍以上大きいことが望ましい。
【0081】
本発明の照明装置に光源として用いられるLEDパッケージは、適宜選択して用いることができる。その場合、パッケージの形状に合わせて光入射側のレンズの逃げ凹部の形状を変えて用いることができる。好ましく用いられるLEDパッケージとしては、半導体発光素子(チップ)の上部を半球状に透明樹脂で封止したタイプが好ましい。例えば日亜化学工業(株)製のNVSW219Bシリーズ、NCSW219Bシリーズが好ましく用いられる。また、COBタイプ(例えば日亜工業化学(株)製NCSWL036Aシリーズ)や内面がすり鉢型のケーシングに半導体発光素子(チップ)が入ったトップエミッティングタイプ(例えば日亜工業化学(株)製NS6W183B)においても光入射側のレンズ面の形状をパッケージに適合する形に逃げ凹部を作るなどして、また、硬化後の接着剤の屈折率をレンズの屈折率と同等のものを選ぶなどして、使用することができる。また、LED光源は青色単色のLEDであっても赤色単色であっても、紫外線発光のLEDであっても赤外線発光のLEDでもよい。パワーLEDであってもよい。
【0082】
発光色は、照明用としては白色系が好ましいが、白色系の中でも暖色、寒色などの色相調節や、看板などのカラーに応じて調色させる必要があることから、LED光源の上部にカラーフィルター層や波長変換層を設けることもできる。LEDの封止部の上や逃げ凹部の面に合ったサイズの蛍光体または顔料色素を含むシリコーンキャップを介在させるとよい。レンズに含ませてもよい。また、接着剤にカラー顔料や蛍光体を混入して所望の色調にしてもよい。
本発明において、好ましく用いられる蛍光体は顔料系であって、シリケート系、アルミネート系、サイアロン系、カズン系蛍光体を適宜用いることができる。
【0083】
照射する対象部に合わせて照明光を調色する場合、本発明の配光レンズでは、光を楕円形または、長方形に配光するので、RGBの半導体発光素子(チップ)が一つのパッケージに入って混色した光を発するLEDを用いると、色分離を起こし演色性が低下する傾向がある。青色発光半導体チップ上に、半導体チップを覆うように蛍光体が載置されたLEDを用いた方が色分離を起こしにくい。また複数個の半導体発光素子を有するLEDよりも一素子のLEDの方が色分離を起こしにくい。
【0084】
本発明で用いられる、回路基板は、照明装置のケース内に設置できる強度を有し、耐熱性、耐寒性、耐光性を有する発光装置を提供できるものであれば、特別のものでなくてもよい。好ましくは、LEDパッケージの発熱を外部に放熱する熱伝導性を有する材料が好ましい。例えば、銅、アルミなどの金属板やグラファイトの上に絶縁層を設けその上に回路を設けた回路基板やセラミックを用いた回路基板であると熱伝導性が向上し好ましい。通常のガラエポ回路基板などの地が白色でない場合は、発光装置の電極の接点部を除く周辺部の回路基板の表面を白色反射剤を塗布して反射効率を上げることができる。
白色反射剤としては、未硬化のシリコーン樹脂またはシリコーンゴムに酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、酸化亜鉛などの白色系顔料を充填した塗液を用いることができる。例えば、(株)朝日ラバー社製SWR−PKシリーズのインクがある。
【0085】
本発明の配光レンズに用いられる脚はレンズと同じ材質で一体的に製造されたものであってもよく、配光レンズよりも柔らかいゴムを用いてもよい。また、金属であってもよい。
金属である場合は、脚と輪が一体となった脚を用意して、輪の部分をレンズの縁に加締めて脚をレンズに固定してもよい。また、専用の嵌合部品を用意し組み立ててもよい。
【0086】
本発明の配光レンズを用いて、街路灯やバックライト用光源を作製する場合は、レンズの光出射側に光拡散板を設けてもよい。また、街路灯や、廊下の天井、倉庫の天井、トンネル内照明などのように、高い位置からの照明であって被照射面を長方形に照射する場合は、複数の発光装置を同一方向に並べて用いるとよい。また、トンネル内照明においては、トンネルの壁面から照明する場合は、短軸方向のレンズの形状を長軸に対して非対称のレンズとすることで、道路横斜め上からの照明であっても照度の大きい配光部分により光源から遠い道路位置を照らすようにすることによって、道路に沿った路面に対して均質な照明をすることができる。また、レンズの長軸方向以外の所望の方向にも光を散らしたいときは、複数並んでいるうちの幾つかのレンズの長軸を他のレンズの長軸と角度を変えて配置するとよい。
【0087】
また、幅のある道路に対して、道路の方向とレンズ長軸方向とを同一方向にすると、前方斜めから照射される光が浅い角度で目に入り、眩惑されるときがあるので、その場合は、レンズ長軸を道路の幅方向に合わせ、長軸方向の配光を道路幅に合わせ、レンズ短軸の照射幅で道路の進行方向を照明することにより、照明光は大きい仰角でしか目に入ってこないので照明光によって幻惑されることが避けられる。
また、1枚の基板上に照度パターンの異なる本発明の配光レンズを組み合わせて発光装置としてもよいし、他のレンズを搭載して組み合わせて発光装置としてもよい。
発光装置の基板及び反射装置を収納する筐体の内側には、光反射層を設けると光を有効に前方に出射できる。光反射層は、鏡面反射にするより、白色塗料を塗布して反射させる方が安価で好ましい。
【0088】
本発明の発光装置は、回路基板上に発光波長の異なるLED光源を複数個載置して全体としての照明光を調色してもよく、個別に発光波長の異なる発光装置を組み合わせて光をミックスして用いてもよい。
【実施例】
【0089】
(作成例)
〔レンズの作製〕
下金型に配光レンズの光出射面の三次元構造の形状を刻んだ。上金型には、成形後の配光レンズに日亜化学工業株式会社製(NCSW119)のLEDパッケージの半球封止部が収容できる逃げ凹部、余剰の接着剤が溜まる液逃げ凹部ができるよう、光入射側の立体形状を刻んだ。一枚の金型には長軸方向に10個、短軸方向に20個並べて、一対の上下金型で一回に合計200個できる金型とした。
次に、硬化後のレンズの硬度がショアA硬度でA90となる液体シリコーン(モメンティブ社製のSR−7090)を下金型の窪みにポッティングで注入し、上金型を閉じ成形条件180℃×10分で加熱し、圧縮成形した。
次に、レンズを金型から取り出して、ベース部等の仕上げを行い検査を行った。
金型で成形された検査後の図3に示される形状の配光レンズは、設計通りに作製されていることが検証された。
(1)レンズ長軸長さ:7.7mm、短軸長さ:5.4mm、
(2)光出射面側からみた三次元形状に設けられた短軸に平行な直線部を含む連続曲面
レンズ短軸に平行な直線:短軸の長さに対して最大で18.2%
長軸側連続面の長さ:長軸長さに対して40.5%
(3)光入射面側のレンズ形状
直径3.3mmの半球形状の逃げ凹部
3.6×3.6mmのLEDのベースが当接する液逃げ凹部の壁
液逃げ凹部深さ0.45mm
挿入ストッパー深さ0.3mm
【0090】
〔レンズとLEDの接着〕
次に、光入射面の逃げ凹部に、接着剤(モメンティブ社製TSE−3221)を適量注入し、LEDパッケージ(NCSW119)を搬送し、レンズの接着剤充填部に封止部を押し込みLEDパッケージが入らなくなるまで押し込んで接合した。このとき、LEDパッケージのベースの一部はレンズ内に入り込む形で接合している。また、余剰な接着剤は入射側に設けられた液逃げ凹部へ広がり端子部へのはみ出しが防止されている。
その後オーブンによる120℃×30分の加熱処理を行い接着剤を硬化した。
(1)光入射面から出ているLEDパッケージのベース板の厚み 0.3mm
(2)逃げ凹部と半球封止部の隙間の接着剤の充填厚さ 0.2mm(封止部直径の14%に相当)
【0091】
〔発光装置の作製〕
接着後の検査を経て、回路基板の半田が盛られた所定の回路の位置に複数個のレンズ付きLEDパッケージを載置し、リフロー半田をして、発光装置が完成する。このときの回路基板は、アルミ板の上に絶縁層が設けられ、その上に回路が設けられた板で、LEDパッケージが搭載される所以外は、(株)朝日ラバー製の白色インク(SWR−PK−01)が30μm塗布され硬化して光反射層が形成されている。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の配光レンズ、及びその配光レンズを装着したLED発光照明装置は、被照射面に均質な光を長軸と短軸を持つ配光により照射することができるので、道路沿いの街路灯、机を照明するスタンド、表示パネルのバックライト、廊下の天井、トンネル、駅プラットホーム、自動車ランプなど、長方形、楕円状など異方性の被照射面に対する照明装置に有用に利用できる。また、異方形の看板、液晶表示パネルのバックライト用光源としても有用に利用できる。
【符号の説明】
【0093】
1 直線部:1a レンズ短軸断面上の直線部、1b レンズ短軸断面に平行な直線部 1c レンズ長軸断面上の直線部
1d 溝凹部の断面の曲線
2 光出射側のレンズ短軸断面形状を示す曲線
3 光出射側のレンズ長軸断面形状を示す曲線
4 レンズ中心光軸
5 短軸
6 長軸
7 光出射側の長軸断面形状に沿う連続面の断面を示す曲線
8 光出射側の三次元形状に現れる、レンズ短軸断面及びその断面に平行な断面に直線を有する連続面。
8a 第一連続面
8b 第二連続面
8c 第二連続面におけるレンズ長軸断面の光出射側輪郭部
9 切り欠き部
10 光源中心
【0094】
11 光源中心と凸状部レンズ面と直交するレンズ表面の軌跡
12 切欠き部のエッジ部となる弧状の軌跡
13 光源中心と凸状部レンズ面と直交する円錐面を有する仮想円錐
14 長軸方向、短軸方向に直線部を有する平面部
15 光入射面の立ち上がり凸状部の接線
16 接線が光入射面に対して90°になるレンズ面の点と光源中心を結ぶ線
17 接線が光入射面に対して90°になるレンズ面の点の軌跡
18 レンズ短軸断面の円弧状曲線
19 逃げ凹部
20 液逃げ凹部
21 LEDパッケージ挿入ストッパー
21a、21b LEDパッケージ横ずれ防止壁
22 LEDパッケージ
23 接着剤
24a、24b 発光装置
25 回路基板
26 チップオンボード(COB)の発光光源部
27 回路基板と光入射側レンズ面との隙間C
30a、30b 嵌着機構により組み立てられた発光装置
31 脚部
32 爪
33 位置合わせ部
34 孔
35 嵌着受け溝
36 位置合わせ部固定用突起
37 突条シール体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16