特許第6461142号(P6461142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6461142イソニアジドの顆粒およびリファペンチンの顆粒を含むコーティング錠の形態の抗結核性の安定な医薬組成物ならびにその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6461142
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】イソニアジドの顆粒およびリファペンチンの顆粒を含むコーティング錠の形態の抗結核性の安定な医薬組成物ならびにその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4409 20060101AFI20190121BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20190121BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20190121BHJP
   A61K 9/28 20060101ALI20190121BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20190121BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20190121BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20190121BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20190121BHJP
   A61P 31/06 20060101ALI20190121BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   A61K31/4409
   A61K31/497
   A61K9/20
   A61K9/28
   A61K47/22
   A61K47/04
   A61K47/10
   A61K47/12
   A61P31/06
   A61P43/00 121
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-528509(P2016-528509)
(86)(22)【出願日】2014年7月22日
(65)【公表番号】特表2016-539109(P2016-539109A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】EP2014065761
(87)【国際公開番号】WO2015011161
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2017年5月22日
(31)【優先権主張番号】3341/CHE/2013
(32)【優先日】2013年7月26日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】プラジャパティ・ディリップ
(72)【発明者】
【氏名】プラサド・クム
(72)【発明者】
【氏名】クーラー・プラヴィーン
(72)【発明者】
【氏名】クマー・ラメッシュ
(72)【発明者】
【氏名】クマー・シャクティ
【審査官】 磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−505918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/4409
A61K 9/20
A61K 9/28
A61K 31/497
A61K 47/04
A61K 47/10
A61K 47/12
A61K 47/22
A61P 31/06
A61P 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結核の処置に使用するための固定用量経口医薬組成物であって、
a)イソニアジドおよび少なくとも1つの顆粒内添加剤を含む顆粒と、
b)リファペンチンおよび少なくとも1つの顆粒内添加剤を含む顆粒と、
c)少なくとも1つの顆粒外添加剤とを含み、
少なくとも1つの顆粒外添加剤は、アスコルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシル化トルエン、クエン酸、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、酒石酸、およびそれらの混合物を含む、前記経口医薬組成物。
【請求項2】
前記経口医薬組成物が化学的に安定である、請求項1に記載の経口医薬組成物。
【請求項3】
前記経口医薬組成物がコーティング錠の形態である、請求項1または2に記載の経口医
薬組成物。
【請求項4】
前記経口医薬組成物が、
-イソニアジド顆粒(a)および少なくとも1つの顆粒外添加剤を含む層と、
-リファペンチン顆粒(b)および少なくとも1つの顆粒外添加剤を含む層と、
-フィルムコーティングと
を含むコーティングされた二層錠剤の形態である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
【請求項5】
前記経口医薬組成物が、コーティングされた二層錠剤の形態であり、
- イソニアジド顆粒(a)および少なくとも一種の顆粒外賦形剤を含む層
- リファペンチン顆粒(b)、およびアスコルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシル化トルエン、クエン酸、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、酒石酸およびそれらの混合物から選択される安定剤を含む少なくとも一種の顆粒外賦形剤、および
- フィルムコーティング
を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
【請求項6】
リファペンチン対イソニアジドの比率が、5:1から1:0.5までを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
【請求項7】
リファペンチン対イソニアジドの比率が1:1である、請求項1〜のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の経口医薬組成物の製造方法であって、イソニアジドを造粒する明確なステップと、リファペンチンを造粒する明確なステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記顆粒の製造を、好ましくは水性溶媒中で、湿式造粒によって行うことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の方法であって、
a)イソニアジド顆粒を製造するステップと、
b)リファペンチン顆粒を製造するステップと、
c)ステップa)およびb)から得た顆粒と、アスコルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシル化トルエン、クエン酸、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、酒石酸、およびそれらの混合物から選択される安定剤を含む顆粒外添加剤とを混合するステップと、
d)ステップc)の混合物を圧縮して錠剤を得るステップと、
e)錠剤をフィルムコーティングするステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項8または9に記載の方法であって、
a)イソニアジド顆粒を製造するステップと、
b)ステップa)から得た顆粒を、顆粒外添加剤の少なくとも一部と混合するステップ
と、
c)リファペンチン顆粒を製造するステップと、
d)ステップc)から得た顆粒を顆粒外添加剤の残りの部分と混合するステップと、
e)ステップb)およびd)の混合物を圧縮して二層錠剤を得るステップと、
f)錠剤をフィルムコーティングするステップと
を含むことを特徴とする方法
【請求項12】
請求項8または9に記載の方法であって:
a)イソニアジド顆粒を製造するステップと、
b)ステップa)から得られた顆粒を顆粒外賦形剤と混合し、
c)リファペンチン顆粒を製造するステップと、
d)ステップc)で得られた顆粒と、アスコルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシル化トルエン、クエン酸、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、酒石酸及びそれらの混合物から選択される安定剤を含む顆粒外賦形剤と混合するステップと、
e)ステップb)およびd)の混合物を圧縮して二層錠剤を得るステップ、および
f)錠剤をフィルムコーティングするステップ
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、別々の顆粒中に2つの活性成分、すなわち、リファペンチンおよびイソニアジドを含むコーティング錠の形態の化学的に安定な抗結核性の医薬固定用量組成物(fixed dose composition)に関する。また、本発明は、このような抗結核性医薬組成物の製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
感染性疾患、結核(TB)は、単一のヒト病原体による世界的に主要な死亡原因であり、後天性免疫不全症候群(AIDS)、マラリア、下痢、ハンセン病のような疾患および他のすべての複合型の熱帯病よりもより多くの成人の命が奪われている(非特許文献1)。世界の人口の約1/3は、現在、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(Mtb)、病原体に感染しており、感染者の10%は、臨床疾患を発症するであろう。これらの人々がTBを発症する比率は低下してきたにもかかわらず、WHOの数字によれば、症例数はゆっくり増加を続けている。最も酷い発症地域は発展途上世界にあり、ここでは、貧困、他の疾患および不十分な健康管理が要因である。毎年約160万人の人々が死亡しており、HIV/AIDSの後、TBは、世界的に感染性の死亡原因の第2位である。
【0003】
現在、TBの有効な処置では、処置の初期段階に8週間、少なくとも以下の薬物、イソニアジド、リファンピンおよびピラジナミドの組合せを患者に与え、その間に、薬物を組み合せて用いて急速に増大するMtb集団を殺すだけでなく、薬剤耐性の発生を予防する。この処置の初期段階の後に24週間の継続段階が続き、その間、少なくとも以下の薬物、イソニアジドおよびリファペンチンの組合せを患者に与える。このような長期の併用療法は、特に薬剤耐性菌を生じている患者では、必ずしも成功するとは限らない。また、比較的長期の処置での服薬遵守は、一般に乏しい。このような服薬不履行により、処置が失敗して薬剤耐性が発生することがある。
【0004】
薬剤耐性結核の発生を抑制するために、WHOは、同じ製剤中に、2つの異なる活性成分、すなわち固定的比率のイソニアジドおよびリファペンチンを含む錠剤形態の固定用量配合剤(fixed dose combinations)(FDC)の使用を推奨している。錠剤形態のFDCは、以前に開示された。
【0005】
特許文献1は、SUKA PHARMACEUTICAL CO., LTDの名義で、結核処置のための医薬組成物およびキットを開示する。この医薬組成物は、オキサゾール化合物、リファペンチンおよびイソニアジドを含み、それは錠剤の形態をとることができる。
【0006】
特許文献2は、GUANXIN CENの名義でリファペンチンおよびイソニアジドを含む医薬組成物を開示しており、それは錠剤の形態をとることができる。
【0007】
特許文献3は、SHUAIHUA MEDICINE SCI TECH COの名義でリファペンチンおよびイソニアジドを含む持続放出製剤(植込錠)を開示しており、それは錠剤の形態をとることができる。
【0008】
しかし、このようなFDCの使用では、特に胃の酸性環境の触媒的条件において、イソニアジドとの望ましくない化学反応のため、リファペンチンの生物学的利用能が低減しうることが当業者によく知られている(非特許文献2)。
【0009】
このように、リファペンチンの生物学的利用能の低下およびイソニアジドとの望ましくない化学反応を防ぐことができるリファペンチンおよびイソニアジドの両方を含む化学的に安定な抗結核性の経口医薬組成物が依然として必要とされている。
【0010】
出願人は、2つの活性成分を別々に造粒し、それらを医薬組成物に導入することによって、両活性成分の満足のいく生物学的利用能を有するこのような経口医薬組成物を提供することが可能であることを発見した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO2007/43542
【特許文献2】CN1717912
【特許文献3】CN185728
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Zumla A, Grange J . B M J (1998) 316, 1962-1964
【非特許文献2】Prasad B. et al. J. Pharm. Biomed. Anal. 2006; 41:1438-1441
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の第1の目的は、結核の処置に使用するための化学的に安定な経口医薬固定用量組成物であって、
a)イソニアジドおよび少なくとも1つの顆粒内添加剤を含む顆粒と、
b)リファペンチンおよび少なくとも1つの顆粒内添加剤を含む顆粒と、
c)少なくとも1つの顆粒外添加剤と
を含む経口医薬組成物である。
【0014】
本発明の別の目的は、本発明による経口医薬組成物の製造方法であって、イソニアジドを造粒する明確なステップと、リファペンチンを造粒する明確なステップとを含む方法である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による医薬組成物は、化学的に安定であり、かつ経口投与による結核の処置に適している。
【0016】
「化学的に安定な」とは、25℃から30℃までの通常および慣用の作業環境を包含するサーモスタットで維持された温度で、60%RHから75%RHまでの間で6ヵ月未満の貯蔵後、リファペンチンから形成された不純物の総量が、錠剤中に最初に存在するリファペンチンの質量に対して8%w/w未満であり、かつイソニアジドから形成された不純物の総量が、錠剤中に最初に存在するイソニアジドの質量に対して2%w/w未満であることを意味する。
【0017】
理論によってなんら関連付けられるわけではないが、本発明による錠剤では、経口医薬組成物の特定の構造により、胃の条件下でリファペンチンとイソニアジドとの間の反応が制限されるため、両活性物質の良好な有効性が得られると考えられる。
【0018】
経口医薬組成物は、固定用量組成物である。「固定用量組成物」とは、単一の投与単位、すなわち錠剤中に存在する2つの薬物または活性成分の組合せを意味する。
【0019】
経口医薬組成物は、2つの活性成分、すなわちリファペンチンおよびイソニアジド、ならびに薬学的に許容される添加剤を含む。
【0020】
より正確には、経口医薬組成物は、イソニアジドおよび少なくとも1つの顆粒内添加剤を含む顆粒(イソニアジド顆粒)と、リファペンチンおよび少なくとも1つの顆粒内添加剤を含む顆粒(リファペンチン顆粒)と、少なくとも1つの顆粒外添加剤とを含む。
【0021】
経口医薬組成物は、コーティング錠の形態である。このフィルムコーティングは、活性成分の制御放出をもたらさないが、しかし、嚥下を促進し、かつ外観を強調する慣用のフィルムコーティングである。
【0022】
コーティング錠は、コーティングされた単層またはコーティングされた二層の錠剤であることができる。
【0023】
実施態様によれば、経口医薬組成物がコーティングされた二層錠剤である場合、経口医薬組成物の1つの層は、イソニアジド顆粒および顆粒外添加剤の少なくとも一部分を含む。経口医薬組成物のもう一方の層は、リファペンチン顆粒および少なくとも残りの顆粒外添加剤を含む。
【0024】
顆粒外添加剤は、安定剤を含む。安定剤は、アスコルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、EDTA二ナトリウム、ブチルヒドロキシル化トルエン、クエン酸、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、酒石酸、およびそれらの混合物を含む群から選択される。好ましくは、顆粒外は、アスコルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、EDTA二ナトリウムおよびそれらの混合物から選択される。
【0025】
顆粒外添加剤は、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、可溶化剤、およびそれらの混合物を含む群から選択される化合物を含むこともできる。
【0026】
賦形剤として、微結晶性セルロース、アルファ化デンプン、リン酸二カルシウム、マンニトール、およびそれらの混合物、好ましくは微結晶性セルロースを挙げることができる。
【0027】
崩壊剤として、クロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、クロスカルメロース、デンプングリコール酸ナトリウム、トウモロコシデンプン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸およびそれらの混合物、好ましくはデンプングリコール酸ナトリウムを挙げることができる。
【0028】
滑沢剤として、粉状滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ベへン酸グリセリルおよびそれらの混合物、好ましくはステアリン酸カルシウムを挙げることができる。
【0029】
可溶化剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ツイーン80(Tween 80)、PEG4000、およびそれらの混合物、好ましくはラウリル硫酸ナトリウムを挙げることができる。
【0030】
特定の実施態様によれば、イソニアジド顆粒中に存在する顆粒内添加剤は、リファペンチン顆粒中に存在するものと異なる。
【0031】
顆粒内添加剤は、賦形剤、崩壊剤、可溶化剤、安定剤、造粒結合剤およびそれらの混合物を含む群から選択される。
【0032】
賦形剤、可溶化剤、安定剤および崩壊剤は、上記のとおりである。それらは、顆粒外添加剤として用いられる賦形剤、可溶化剤、安定剤および崩壊剤と同一であることができるし、またはそれらは異なることができる。
【0033】
造粒結合剤は、ポビドン、例えばポビドンK30およびポビドンK90、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、トウモロコシデンプン、アルファ化デンプン、およびそれらの混合物、好ましくはポビドンまたはアルファ化デンプンから選択することができる。
【0034】
フィルムコーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アスコルビン酸ナトリウム、EDTA二ナトリウム、ポリ酢酸ビニル、ラクトース一水和物、ポリエチレングリコール、グリセリン三酢酸塩および顔料、好ましくはポリ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、EDTA二ナトリウムおよびそれらの混合物を含んでもよい。
【0035】
本発明による経口医薬組成物は、任意の適したパッケージング中、例えば包装装置によりダブルアルミニウムブリスターパッケージング中に包装してもよい。
【0036】
実施態様によれば、経口医薬組成物は、リファペンチン100mgから400mgまで、およびイソニアジド50mgから400mgまでを含む。
【0037】
結核の処置は、その間に投与計画が変化する長期処置となる。例えば、一般的に処方された投与は、TB処置の初期段階では2ヵ月まで他の抗結核性薬物と組み合わせて投与間隔が連続3日(72時間)以上で、2ヵ月間、週2回600mgであった。週1回600mgの上記2ヵ月の段階の後に、イソニアジドまたは別の適当な抗結核剤を用いる直接観察療法を4ヵ月段階続ける。イソニアジドに関して一般的に処方された投与は、単回投与5mg/kgから最大一日300mg、そして2〜3回/週で15mg/kgから最大900mg/日である。
【0038】
上記処置タイプのため、リファペンチン/イソニアジドの比率が互いに異なる、別々の錠剤が利用可能であることは非常に有用である。
【0039】
実施態様によれば、リファペンチン対イソニアジドの比率は、5:1から1:0.5までを含み、好ましくは、リファペンチン対イソニアジドの比率は、1:1である。
【0040】
より詳しくは、本発明による錠剤は、リファペンチン300mgおよびイソニアジド300mg、リファペンチン300mgおよびイソニアジド75mg、またはリファペンチン225mgおよびイソニアジド75mgを含有することができる。
【0041】
安定剤がアスコルビン酸ナトリウムである好ましい実施態様によれば、アスコルビン酸ナトリウム対リファペンチンの比率は、1:100から1:0.1まで、好ましくは1:70から1:50までを含み、より好ましくは1:65から1:55までであり、そしてさらにより好ましくは1:60である。
【0042】
パーセンテージは、錠剤の全質量に関して質量で表される。
【0043】
実施態様によれば、経口医薬組成物は、
・リファペンチン10%から70%まで、好ましくは20%から50%まで、そしてさらにより好ましくは30%から43%までと、
・イソニアジド5%から70%まで、好ましくは10%から45%まで、そしてさらにより好ましくは11%から36%までと
を含む。
【0044】
実施態様によれば、経口医薬組成物は、賦形剤0.1%から50%まで、好ましくは5%から45%まで、そしてより好ましくは13%から42%までを含む。
【0045】
実施態様によれば、経口医薬組成物は、崩壊剤0.1%から10%まで、好ましくは1%から7%まで、そしてより好ましくは2%から4%までを含む。
【0046】
実施態様によれば、経口医薬組成物は、結合剤0.1%から10%まで、好ましくは2%から7.5%まで、そしてより好ましくは3%から7%までを含む。
【0047】
実施態様によれば、経口医薬組成物は、滑沢剤0.1%から1%まで、好ましくは0.2%から0.9%まで、そしてより好ましくは0.25%から0.8%までを含む。
【0048】
実施態様によれば、経口医薬組成物は、可溶化剤0.1%から1%まで、好ましくは0.3%から0.80%まで、そしてより好ましくは0.5%から0.7%までを含む。
【0049】
実施態様によれば、経口医薬組成物は、安定剤0.1%から2%まで、好ましくは0.25%から1.5%まで、そしてより好ましくは0.5%から1%までを含む。
【0050】
実施態様によれば、経口医薬組成物は、フィルムコーティング1%から10%まで、好ましくは2.5%から7.5%まで、そしてより好ましくは3.7%から5%までを含む。
【0051】
別の目的によれば、本発明は、イソニアジドを造粒する明確なステップと、リファペンチンを造粒する明確なステップとを含む経口医薬組成物の製造方法に関する。
【0052】
特定の実施態様によれば、単層錠剤の製造方法は、
a)イソニアジド顆粒を製造するステップと、
b)リファペンチン顆粒を製造するステップと、
c)ステップa)およびb)から得た顆粒を顆粒外添加剤と混合するステップと、
d)ステップc)の混合物を圧縮して錠剤を得るステップと、
e)当業者に知られている方法によって錠剤をフィルムコーティングするステップと
を含む。
【0053】
明確な造粒ステップは、湿式造粒によって実施する。
【0054】
湿式造粒は、水性溶媒、液体結合剤、有機溶媒、例えばイソプロピルアルコール、アセトンおよびクロロホルム、好ましくは水性溶媒であることができる造粒組成物を用いて実施する。また、上記造粒組成物は、結合剤、賦形剤、崩壊剤またはそれらの混合物を含むこともできる。
【0055】
湿式造粒の後、顆粒を乾燥する。それをふるいにかけて乾燥度を改善および増強することができる。
【0056】
次いで、顆粒を篩過して均一な粒径を得、そして均一に混合することができる。好ましくは、イソニアジドの顆粒およびリファペンチンの顆粒のサイズは、均一に混合される1.3mmから0.1mmまで、好ましくは1.25mmから0.25mmまで、より好ましくは1.15mmから0.50mmまでを含む。
【0057】
混合終了後に組み込まれる滑沢剤を除き、すべての顆粒外添加剤を一緒に混合する。
【0058】
均一サイズの粒子にして圧縮を促進するため、圧縮の前に混合物を篩過することができる。
【0059】
錠剤を形成するとき、当業者に知られている方法によってそれをコーティングする。コーティングは、活性物質の放出を改良しようとするものではなく、その外観を改善し、かつその嚥下を促進するためのものである。
【0060】
特定の実施態様によれば、二層錠剤の製造方法は、
a)イソニアジド顆粒および顆粒外添加剤の少なくとも一部を含む層を製造するステップと、
b)リファペンチン顆粒および顆粒外添加剤の残りの部分を含む層を製造するステップと、
e)ステップa)の層およびステップb)の層を圧縮して二層錠剤を得るステップと、
f)当業者に知られている方法によって錠剤をフィルムコーティングするステップと
を含む。
【0061】
また、単層錠剤のための上記の異なるステップの特異性は、二層錠剤にも適用される。
【0062】
層を製造するステップは、活性成分の顆粒を製造し、次いで、それを顆粒外添加剤と混合し、場合により、その後、篩過することを含む。以下の実施例において、本発明をより詳細に説明するが、それらは、例示のためだけに提供される。
【実施例1】
【0063】
コーティングされた二層錠剤の組成
【表1】
【0064】
コーティングされた二層錠剤の製造方法
微結晶性セルロース、アルファ化デンプンおよびデンプングリコール酸ナトリウムを、それぞれ0.425mm、0.250mmおよび0.180mmのふるいを通して別々にふるいにかける。次いで、0.500mmのふるいを通して、これらの物質をリファペンチンと共に同時にふるいにかける。
【0065】
これらのふるいにかけた物質を、次いで高速ミキサー造粒機中100rpmで20分間乾式混合する。
【0066】
次いで、それらを高速ミキサー造粒機中で、最初に精製水を用いて125rpmおよびチョッパー1000rpmで3分間造粒する。この同じ混合物を、175rpmおよびチョッパー1000rpmで6分20秒間さらに混練して所望の稠度の顆粒を得る。
【0067】
次いで、得られた湿潤顆粒を、流動床乾燥機中55℃から60℃までの入口温度で4時間乾燥する。次に、生成した乾燥顆粒を、0.850mmのふるいを通してふるいにかけ、ふるいにかけた乾燥顆粒を得る。
【0068】
アスコルビン酸ナトリウムおよびデンプングリコール酸ナトリウムを、0.180mmのふるいを通してふるいにかけ、そしてラウリル硫酸ナトリウムを、0.425mmのふるいを通してふるいにかける。次いで、これらのふるいにかけた物質を、得られたふるいにかけた乾燥顆粒と共にダブルコーンブレンダー中18rpmの速度で25分間混ぜ合わせる。
【0069】
最後に、この混合物を、ステアリン酸カルシウム(0.250mmのふるいを通して篩過した)を用いて、18rpmの速度のダブルコーンブレンダー中で5分間なめらかにする。
【0070】
イソニアジドおよび微結晶性セルロースを、最初に0.425mmのふるいを通して篩過し、次いで高速ミキサー造粒機中75rpmで15分間乾式混合する。この生成した混合物を精製水中に溶解したポビドンK30の溶液を用いて高速ミキサー造粒機中、最初に100rpmおよびチョッパー280rpmで1.5分間造粒する。この同じ混合物を、さらに125rpmおよびチョッパー500rpmで3分間混練して所望の稠度の顆粒を得る。
【0071】
次いで、得られた湿潤顆粒を、流動床乾燥機中45℃から50℃までの入口温度で15分間乾燥する。次いで、生成した乾燥顆粒を、0.600mmのふるいを通してふるいにかけて0.600mm未満のサイズを有する乾燥顆粒を選択する。
【0072】
デンプングリコール酸ナトリウムおよび微結晶性セルロースを、それぞれ0.180mmおよび0.425mmのふるいを通して別々に篩過する。次いで、これらのふるいにかけた物質を、ダブルコーンブレンダー中18rpmの速度で、以前に選択された乾燥顆粒と15分間混ぜ合わせる。
【0073】
最後に、ステアリン酸カルシウム(0.250mmのふるいを通して篩過した)を用いて、18rpmの速度のダブルコーンブレンダー中で、この混合物を5分間なめらかにした。
【0074】
二層錠剤は、第1の層のホッパーに第1の混合物、次いで第2の層のホッパー中に第2のものを連続して導入することによって得られ、そして20mm×10.5mmのカプセル形状の工具を用いて二層錠剤として圧縮して厚さ5.8mmの二層錠剤が得られる。
【0075】
次いで、生成した二層錠剤を、自動塗工機を用い、そして以下のパラメータを用いて、カラコン(Colorcon)から商業的に入手可能なオパドライII(Opadry II)の水溶液(必要な添加剤入りのPVAポリマーのレディーメイドプレミックス)でコーティングする:パン速度は12rpmから14rpmまでであり、スプレーポンプ速度は2rpmから3rpmまでであり、入口温度は55℃から65℃までであり、床温度は36℃であり、そして噴霧化空気圧は1Barである。
【0076】
最後に、コーティングされた二層錠剤を、alu-aluブリスター中に包装する。
【0077】
包装したコーティングされた二層錠剤の安定性データ研究
包装したコーティングされた二層錠剤を、加速条件[40℃/75%RH]およびリアルタイム条件[25℃/60%RHおよび30℃/75%RH]で安定性研究にかけた。製造直後(初期)、3ヵ月および6ヵ月で、HPLCによる分析を実施した。HPLC方法による分析により、リファペンチンおよびイソニアジド関連物質の両方に関して不純物の総量を導く。表1は、これらの条件下でリファペンチンおよびイソニアジドの分解の結果を示す。結果は、リファペンチンおよびイソニアジド関連物質の両方に関する不純物の総量が規格より下であることを示した。
【0078】
【表2】
【実施例2】
【0079】
コーティングされた単層錠剤の組成
【表3】
【0080】
コーティングされた単層錠剤の製造方法
実施例1に開示されたとおりであるが、上の表に記載された成分を用いて顆粒を製造する。
【0081】
リファペンチンおよびイソニアジドの選択された乾燥顆粒を、最初に顆粒外添加剤:アスコルビン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウムおよびラウリル硫酸ナトリウムと混ぜ合わせる。次いで、生成した混合物を、ステアリン酸カルシウムを用いてなめらかにする。最後に、なめらかにした混合物を、単層圧縮装置中で14mm円形標準凹形工具を用いて丸い錠剤に圧縮する。生成した単層錠剤の直径および厚さは、それぞれ14mmおよび6.30mmである。
【0082】
次いで、単層錠剤は、以下のパラメータで自動塗工機を用いて、溶解EDTA二ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムおよび商業的に入手可能なオパドライ(Opadry)(Colorcon, India Ltd(必要な添加剤入りのHPMCポリマーのレディーメイドプレミックス)の水性溶液でコーティングする:パン速度は4rpmから6rpmまでであり、スプレーポンプ速度は1rpmから6rpmまでであり、入口温度は約70℃であり、床温度は約38℃であり、そして噴霧化空気圧は約1Barである。
【0083】
最後に、コーティングされた単層錠剤を、alu-aluブリスター中に包装する。
【0084】
包装したコーティングされた単層錠剤を、実施例1中のとおり安定性研究にかけた。
【0085】
表2は、これらの条件下でリファペンチンおよびイソニアジドの分解を示す。結果は、リファペンチンおよびイソニアジド関連物質の両方に関する不純物の総量が規格より下であることを示す。
【0086】
【表4】