【実施例】
【0053】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いた各測定装置等は以下のとおりである。
(1)GPC(ゲル浸透クロマトグラフィ)
装置:SHIMADZU社製 SCL−10Avp GPCに改造
カラム:Shodex K−804L+K−805L
カラム温度:60℃
溶媒: N−メチル−2−ピロリドン(1%LiCl添加)
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレン
(2)
1H−NMRスペクトル
装置:日本電子データム(株)製 JNM−ECA700
溶媒:DMSO−d
6
内部標準:テトラメチルシラン
(3)全光透過率,ヘイズ
装置:日本電色工業(株)製 NDH5000
(4)屈折率
装置:ジェー・エー・ウーラム・ジャパン製 多入射角分光エリプソメーターVASE
(5)示差熱天秤(TG−DTA)
装置:(株)リガク製 TG−8120
昇温速度:10℃/分
測定温度:20〜500℃
(6)Photo DSC
装置:NETZSCH製 DSC 204F1 Phoenix
昇温速度:30℃/分
測定温度:25〜300℃
(7)鉛筆硬度
装置:(株)安田精機製作所製 鉛筆硬度計No.553−M FILM HARDNESS TESTER BY MEANS OF PENCILS
測定法:JIS−K5600−5−4記載に従い、薄膜面に対して角度45°,荷重750gで鉛筆を7mmの距離を押し、欠陥による圧痕が生じるまで鉛筆の硬さを順次増して測定した。
【0054】
[1]トリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーの合成
[実施例1]
【化11】
【0055】
窒素下、50mL四口フラスコに、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(3g、11.3mmol、東京化成工業(株)製)とN−メチル−2−ピロリドン(13.3g、純正化学(株)製)とを仕込み、1,3−フェニレンジアミン(0.92g、8.48mmol、デュポン(株)製)およびアニリン(0.79g、8.48mmol、純正化学(株)製)をN−メチル−2−ピロリドン(13.3g、純正化学(株)製)に溶解した溶液を、内温12℃で30分かけて滴下して重合した。滴下後、室温下で30分撹拌し、純水(3g)を滴下してからさらに30分撹拌した後、反応液を純水(450g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、再度、THF(24g、関東化学(株)製)と純水(1.8g)の混合溶媒に溶解させ、これを純水(450g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、2時間乾燥し、目的とするトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー(以下TmPDA−Anと略す)3.3gを得た。TmPDA−Anの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図1に示す。
TmPDA−AnのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは12600、多分散度Mw/Mnは2.38であった。
【0056】
[実施例2]
【化12】
【0057】
窒素下、50mL四口フラスコに、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(3g、11.3mmol、東京化成工業(株)製)とN−メチル−2−ピロリドン(16.7g、純正化学(株)製)とを仕込み、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(2.1g、8.48mmol、東京化成工業(株)製)およびアニリン(0.79g、8.48mmol、純正化学(株)製)をN−メチル−2−ピロリドン(16.7g、純正化学(株)製)に溶解した溶液を、内温−10℃で30分かけて滴下して重合した。滴下後、室温下で30分撹拌し、純水(3g)を滴下してからさらに30分撹拌した後、反応液を純水(450g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、再度、THF(24g、関東化学(株)製)と純水(1.8g)の混合溶媒に溶解させ、これを純水(450g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、2時間乾燥し、目的とするトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー(以下TAS−Anと略す)4.4gを得た。TAS−Anの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図2に示す。
TAS−AnのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは8090、多分散度Mw/Mnは4.19であった。
【0058】
[実施例3]
【化13】
【0059】
窒素下、50mL四口フラスコに、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(3g、11.3mmol、東京化成工業(株)製)とN−メチル−2−ピロリドン(19.1g、純正化学(株)製)とを仕込み、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(2.96g、8.48mmol、東京化成工業(株)製)およびアニリン(0.79g、8.48mmol、純正化学(株)製)をN−メチル−2−ピロリドン(19.1g、純正化学(株)製)に溶解した溶液を、内温−10℃で30分かけ滴下して重合した。滴下後、室温下で30分撹拌し、純水(3g)を滴下してからさらに1時間撹拌した後、反応液を純水(450g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、2時間乾燥し、目的とするトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー(以下TFdA−Anと略す)3.0gを得た。TFdA−Anの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図3に示す。
TFdA−AnのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは12900、多分散度Mw/Mnは1.87であった。
【0060】
[比較例1]
【化14】
【0061】
窒素下、100mL四口フラスコに、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(5g、18.8mmol、東京化成工業(株)製)とN−メチル−2−ピロリドン(29.4g、純正化学(株)製)とを仕込み、1,3−フェニレンジアミン(1.53g、14.1mmol、デュポン(株)製)をN−メチル−2−ピロリドン(29.4g、純正化学(株)製)に溶解した溶液を、内温−15℃で30分かけ滴下して重合した。滴下後、純水(10g)とN−メチルピロリドン(10g、純正化学(株)製)とを加えて1時間撹拌した後、反応液を純水(750g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、2時間乾燥し、目的とするトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー(以下TmPDAと略す)4.4gを得た。TmPDAの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図4に示す。
TmPDAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2717、多分散度Mw/Mnは2.77であった。
【0062】
[比較例2]
【化15】
【0063】
窒素下、50mL四口フラスコに、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(2g、7.53mmol、東京化成工業(株)製)とN−メチル−2−ピロリドン(13.2g、純正化学(株)製)とを仕込み、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(0.94g、3.77mmol、東京化成工業(株)製)をN−メチル−2−ピロリドン(13.2g、純正化学(株)製)に溶解した溶液を、内温−20℃で滴下して重合した。滴下後、純水(2g)を滴下して室温下で1時間撹拌した。反応液を濾過した後、これを純水(300g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、2時間乾燥し、目的とするトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー(以下TASと略す)1.35gを得た。TASの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図5に示す。
TASのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは85551、多分散度Mw/Mnは38.81であった。
【0064】
[比較例3]
【化16】
【0065】
窒素下、50mL四口フラスコに、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(1g、3.77mmol、東京化成工業(株)製)とN−メチル−2−ピロリドン(8.93g、純正化学(株)製)とを仕込み、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(0.98g、2.83mmol、東京化成工業(株)製)をN−メチル−2−ピロリドン(8.93g、純正化学(株)製)に溶解した溶液を、内温−20℃で滴下して重合した。滴下後、室温下で1時間撹拌した後、反応液を純水(150g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、2時間乾燥し、目的とするトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー(以下TFdAと略す)2.0gを得た。TFdAの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図6に示す。
TFdAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは12900、多分散度Mw/Mnは1.87であった。
【0066】
[実施例4]
【化17】
【0067】
窒素下、100mL四口フラスコに、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(5g、18.8mmol、東京化成工業(株)製)とN−メチル−2−ピロリドン(25.9g、純正化学(株)製)とを仕込み、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(2.8g、14.1mmol、東京化成工業(株)製)およびアニリン(1.32g、14.1mmol、純正化学(株)製)をN−メチル−2−ピロリドン(25.9g、純正化学(株)製)に溶解した溶液を、内温20℃で30分かけて滴下して重合した。滴下後、室温下で30分撹拌し、純水(5g)を滴下してからさらに30分撹拌した後、反応液を純水(750g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、再度、THF(40g、関東化学(株)製)と純水(3g)との混合溶媒に溶解させ、これを純水(750g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、2時間乾燥し、目的とするトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー(以下HPODAと略す)6.63gを得た。HPODAの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図7に示す。
HPODAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは14700、多分散度Mw/Mnは4.60であった。
【0068】
[実施例5]
【化18】
【0069】
窒素下、100mL四口フラスコに、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(8g、30.1mmol、東京化成工業(株)製)とN−メチル−2−ピロリドン(41.3g、純正化学(株)製)とを仕込み、3,4’−ジアミノジフェニルメタン(4.5g、22.6mmol、東京化成工業(株)製)およびアニリン(2.10g、22.6mmol、純正化学(株)製)をN−メチル−2−ピロリドン(41.3g、純正化学(株)製)に溶解した溶液を、内温20℃で30分かけて滴下して重合した。滴下後、室温下で30分撹拌し、純水(8g)を滴下してからさらに30分撹拌した後、反応液を純水(1200g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、再度、THF(64g、関東化学(株)製)と純水(4.8g)との混合溶媒に溶解させ、これを純水(1200g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、2時間乾燥し、目的とするトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー(以下HPDDMと略す)12.08gを得た。HPDDMの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図8に示す。
HPDDMのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは14600、多分散度Mw/Mnは4.12であった。
【0070】
[実施例6]
【化19】
【0071】
窒素下、100mL四口フラスコに、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(8g、30.1mmol、東京化成工業(株)製)とジメチルアセトアミド(42.2g、純正化学(株)製)とを仕込み、2,2’−エチレンジアニリン(4.8g、22.6mmol、東京化成工業(株)製)およびアニリン(2.10g、22.6mmol、純正化学(株)製)をジメチルアセトアミド(42.2g、純正化学(株)製)に溶解した溶液を、内温20℃で30分かけて滴下して重合した。滴下後、室温下で30分撹拌し、純水(8g)を滴下してからさらに30分撹拌した後、反応液を純水(1200g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、再度、THF(64g、関東化学(株)製)と純水(4.8g)との混合溶媒に溶解させ、これを純水(1200g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、2時間乾燥し、目的とするトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー(以下HPEDAと略す)10.43gを得た。HPEDAの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図9に示す。
HPEDAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは7600、多分散度Mw/Mnは2.79であった。
【0072】
[実施例7]
【化20】
【0073】
窒素下、50mL四口フラスコに4,4’−ジアミノベンズアニリド(1.93g、8.48mmol、日本純良薬品(株)製)、アニリン(0.80g、8.48mmol、純正化学(株)製)とN−メチル−2−ピロリドン(17.1g、純正化学(株)製)を仕込み、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(3g、11.3mmol、東京化成工業(株)製)をN−メチル−2−ピロリドン(17.1g、純正化学(株)製)に溶解した溶液を内温−10℃で3分かけて滴下して重合した。滴下後、室温下で30分撹拌し、純水(3g)を滴下してからさらに30分撹拌した後、反応液を純水(420g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、2時間乾燥した。再度、ジメチルアセトアミド(24g、純正化学(株)製)に溶解させ、不溶成分をセライト濾過してからこれを純水(420g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、2時間乾燥し、目的とするトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー(以下HPDABAと略す)2.23gを得た。HPDABAの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図10に示す。
HPDABAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは11300、多分散度Mw/Mnは5.03であった。
【0074】
[実施例8]
【化21】
【0075】
窒素下、50mL四口フラスコに、2,7−ジアミノフルオレン(1.11g、5.66mmol、東京化成工業(株)製)、アニリン(0.53g、5.66mmol、純正化学(株)製)、およびN−メチル−2−ピロリドン(10.3g、純正化学(株)製)を仕込み、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(2g、7.54mmol、東京化成工業(株)製)をN−メチル−2−ピロリドン(10.3g、純正化学(株)製)に溶解した溶液を、内温−10℃で10分かけて滴下して重合した。滴下後、室温下で30分撹拌し、純水(2g)を滴下してからさらに30分撹拌した。撹拌後、不溶成分を取り除くために反応液をろ過し、これを純水(300g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、2時間乾燥し、目的とするトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー(以下HPDAFと略す)2.23gを得た。HPDAFの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図11に示す。
HPDAFのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは8600、多分散度Mw/Mnは4.29であった。
【0076】
[実施例9]
【化22】
【0077】
窒素下、50mL四口フラスコに、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(3g、11.3mmol、東京化成工業(株)製)とN−メチル−2−ピロリドン(14.2g、純正化学(株)製)とを仕込み、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1.21g、8.48mmol、東京化成工業(株)製)およびアニリン(0.79g、8.48mmol、純正化学(株)製)をN−メチル−2−ピロリドン(14.2g、純正化学(株)製)に溶解した溶液を、内温20℃で30分かけて滴下して重合した。滴下後、室温下で30分撹拌し、純水(3g)を滴下してからさらに30分撹拌した後、反応液を純水(450g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、再度、THF(24g、関東化学(株)製)と純水(1.8g)との混合溶媒に溶解させ、これを純水(450g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、2時間乾燥し、目的とするトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー(以下HPAMCと略す)1.25gを得た。HPAMCの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図12に示す。
HPAMCのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2500であった。
【0078】
[実施例10]
【化23】
【0079】
窒素下、100mL四口フラスコに、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(5g、18.8mmol、東京化成工業(株)製)とN−メチル−2−ピロリドン(23.7g、純正化学(株)製)とを仕込み、1,8−ジアミノオクタン(2.04g、14.1mmol、東京化成工業(株)製)およびアニリン(1.32g、14.1mmol、純正化学(株)製)をN−メチル−2−ピロリドン(23.7g、純正化学(株)製)に溶解した溶液を、内温20℃で30分かけて滴下して重合した。滴下後、室温下で30分撹拌し、純水(5g)を滴下してからさらに30分撹拌した後、反応液を純水(750g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、再度、THF(40g、関東化学(株)製)と純水(3g)との混合溶媒に溶解させ、これを純水(750g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、2時間乾燥し、目的とするトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー(以下HPOAと略す)2.93gを得た。HPOAの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図13に示す。
HPOAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3000、多分散度Mw/Mnは2.40であった。
【0080】
[実施例11]
【化24】
【0081】
窒素下、50mL四口フラスコに、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(10g、37.7mmol、東京化成工業(株)製)とテレフタロイルクロリド(1.91g、9.42mmol、東京化成工業(株)製)とN−メチル−2−ピロリドン(49.9g、純正化学(株)製)とを仕込み、1,3−フェニレンジアミン(3.06g、28.3mmol、デュポン(株)製)およびアニリン(2.63g、28.3mmol、純正化学(株)製)をN−メチル−2−ピロリドン(49.9g、純正化学(株)製)に溶解した溶液を内温−10℃で30分かけて滴下して重合した。滴下後、室温下で30分撹拌し、純水(11.9g)を滴下してからさらに60分撹拌して、純水(1500g)へ再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、再度、THF(80g、関東化学(株)製)と純水(6g)との混合溶媒に溶解させ、これを純水(1500g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、2時間乾燥し、目的とするトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー(以下LPmDAと略す)12.6gを得た。LPmDAの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図14に示す。
LPmDAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは8800、多分散度Mw/Mnは2.09であった。
【0082】
[各ポリマーの熱分析]
上記実施例1〜11および比較例1〜3で得られた各ポリマーについて、DSCによりガラス転移温度(Tg)を、TG−DTAにより5%重量減少温度(Td
5%)を、それぞれ測定した。結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
また、上記実施例1〜3および比較例1〜3で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーについて、以下の各溶媒に対する溶解性を検討し、以下の基準にて評価した。なお、溶液はポリマー濃度が10質量%となるように調製し、溶解性は110rpmのミックスローターで1時間撹拌後、25℃における目視で確認した。
(1)有機溶媒
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)
ジメチルスルホキシド(DMSO)
5質量%純水を含むテトラヒドロフラン(THF)
5質量%純水を含むシクロヘキサノン(CYH)
(2)評価基準
○:ポリマーは完全に溶解し、透明な溶液となる。
△:ポリマーは溶解するが、白色溶液となる。
×:ポリマーは完全に不溶、あるいは一部膨潤して溶け残る。
【0085】
【表2】
【0086】
表2に示されるように、一官能性物質であるアニリンの存在下で重合させて得られた実施例1〜3のトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーは、アニリンを用いなかった比較例1〜3のそれらと比べて、有機溶媒に対する溶解性が向上していることがわかる。
【0087】
[2]膜形成用組成物および薄膜
[実施例12〜22]
空気下、10mLサンプル瓶に、上記実施例1〜11で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー0.2000gをそれぞれ加え、これに溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))1.8000gを加えてミックスローター(110rpm)を用い、室温にて完全に溶解して溶液が均一になるまで1時間撹拌した。撹拌後、ポリマーが完全に溶解した薄黄色透明溶液として固形分の総質量%が10質量%のポリマーワニスを得た。
調製した各ポリマーワニスを、石英基板上にスピンコーターを用いて2000rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、150℃のホットプレートで10分焼成し、トリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーの薄膜を得た。
得られた各薄膜について、HAZE値、全光透過率、および屈折率を測定した。それら結果を表3に示す。
【0088】
【表3】
【0089】
表3に示されるように、上記実施例1〜11で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーは、透明性が非常に高く、その平均屈折率は1.70以上を示し、高屈折率材料であることがわかった。
【0090】
[3]熱硬化試験および溶剤耐性試験
[実施例23〜27]
上記実施例12,15,16,18および19にて150℃で10分焼成した薄膜を、さらに300℃で10分焼成することで熱硬化させた薄膜を得た。焼成後の薄膜に関してHAZE値、全光透過率、および屈折率を測定した結果を表4に示す。
また、300℃で焼成後の薄膜をDMAcに1分浸漬させた後、エアーで乾燥し、150℃のホットプレートで10分焼成した。残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定した。300℃焼成後の膜厚を初期膜厚(100%)とした場合の残膜率を併せて表4に示す。
【0091】
【表4】
【0092】
表4に示されるように、加熱後も膜の透明性および屈折率は損なわれず、また得られた硬化膜は良好な溶剤耐性を有していることがわかる。
【0093】
[4]トリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーの合成2
[実施例28]HPpDA
【化25】
【0094】
窒素下、100mL四口フラスコに、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(5g、18.8mmol、東京化成工業(株)製)とN−メチル−2−ピロリドン(22.2g、純正化学(株)製)とを仕込み、1,4−フェニレンジアミン(1.53g、14.1mmol、東京化成工業(株)製)およびアニリン(1.32g、14.1mmol、純正化学(株)製)をN−メチル−2−ピロリドン(22.2g、純正化学(株)製)に溶解した溶液を、内温20℃で30分かけて滴下して重合した。滴下後、室温下で30分撹拌し、純水(5g)を滴下してからさらに30分撹拌した後、反応液を純水(750g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、再度、THF(40g、関東化学(株)製)と純水(3g)の混合溶媒に溶解させ、これを純水(750g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、3時間乾燥し、目的とするトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー(以下HPpDAと略す)5.48gを得た。HPpDAの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図15に示す。
HPpDAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは12900、多分散度Mw/Mnは3.91であった。
【0095】
[実施例29]
【化26】
【0096】
窒素下、100mL四口フラスコに、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド(3g、11.3mmol、東京化成工業(株)製)とN−メチル−2−ピロリドン(17.6g、純正化学(株)製)とを仕込み、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン(2.43g、8.48mmol、和歌山精化(株))およびアニリン(0.79g、8.48mmol、純正化学(株)製)をN−メチル−2−ピロリドン(17.6g、純正化学(株)製)に溶解した溶液を、内温20℃で20分かけて滴下して重合した。滴下後、室温下で30分撹拌し、純水(3g)を滴下してからさらに30分撹拌した後、反応液を純水(450g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、再度、THF(24g、関東化学(株)製)と純水(1.8g)の混合溶媒に溶解させ、これを純水(450g)へ加えて再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で50℃、5時間乾燥し、目的とするトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー(以下HPDA5MGと略す)5.18gを得た。HPDA5MGの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図16に示す。
HPDA5MGのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは19300、多分散度Mw/Mnは6.90であった。
【0097】
[5]膜形成用組成物および薄膜2
[実施例30,31]
上記実施例28,29で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーを用い、上記実施例12〜22と同様に、固形分の総質量%が10質量%のポリマーワニスを調製し、薄膜を作製した。
得られた各薄膜について、HAZE値、全光透過率、および屈折率を測定した。それらの結果を表5に示す。
【0098】
【表5】
【0099】
[6]複屈折率測定
[実施例32〜41]
空気下、10mLサンプル瓶に、上記実施例1〜7,9,28および29で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー0.4000gをそれぞれ加え、これに溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))1.6000gを加えてミックスローター(110rpm)を用い、室温にて完全に溶解して溶液が均一になるまで1時間撹拌した。撹拌後、ポリマーが完全に溶解した薄黄色透明溶液として固形分の総質量%が20質量%のポリマーワニスを得た。
調製した各ポリマーワニスを、石英基板上にスピンコーターを用いて1000rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、150℃のホットプレートで10分焼成し、トリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーの薄膜を得た。
得られた各薄膜について、プリズムカプラ(メトリコン(登録商標)モデル2010/Mプリズムカプラ、メトリコン社製)を用いて複屈折率を測定した。それらの結果を表6に示す。
【0100】
【表6】
【0101】
表6に示されるように、高い屈折率を有している、上記実施例1〜7,9,28および29で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーは、複屈折が比較的小さな高屈折率材料であることがわかる。
【0102】
[7]誘電率測定
[実施例42〜45]
空気下、10mLサンプル瓶に、上記実施例1,2,6および28で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー0.4000gをそれぞれ加え、これに溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))1.6000gを加えてミックスローター(110rpm)を用い、室温にて完全に溶解して溶液が均一になるまで1時間撹拌した。撹拌後、ポリマーが完全に溶解した薄黄色透明溶液として固形分の総質量%が20質量%のポリマーワニスを得た。
調製した各ポリマーワニスを、石英基板上にスピンコーターを用いて1000rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、150℃のホットプレートで10分焼成し、トリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーの薄膜を得た。
得られた各薄膜について、直径6mm、厚さ70nmのアルミニウムを蒸着し、LCRメーター(Agilent E4980AプレシジョンLCRメーター、Agilent Technologies社製)を用いて誘電率を測定した。それら結果を表7に示す。
【0103】
【表7】
【0104】
表7に示されるように、上記実施例1,2,6および28で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーは、100Hzにおいて誘電率が約4以上と一般的なポリアミドと同等であり、屈折率に対してほぼ比例関係を示すことがわかった。
【0105】
[8]耐熱性試験
[実施例46]
空気下、10mLサンプル瓶に、上記実施例1で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーTmPDA−An0.4000gを加え、これに溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))1.6000gを加えてミックスローター(110rpm)を用い、室温にて完全に溶解して溶液が均一になるまで1時間撹拌した。撹拌後、ポリマーが完全に溶解した薄黄色透明溶液として固形分の総質量%が20質量%のポリマーワニスを得た。
調製したポリマーワニスを、石英基板上にスピンコーターを用いて1000rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、300℃のホットプレートで10分焼成し、熱硬化した薄膜を得た。さらに熱硬化した薄膜について、300〜350℃で30分焼成して耐熱性を検討した。焼成後の薄膜に関してHAZE値、全光透過率、および屈折率を測定した結果を表8に示す。また各温度での焼成後の膜厚を初期膜厚(100%)と比較した場合の残膜率を併せて表8に示す。
【0106】
【表8】
【0107】
[9]熱硬化性組成物およびその被膜作製
[実施例47]
(1)熱硬化性組成物の調製
空気下、10mLサンプル瓶に、上記実施例1で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーTmPDA−An0.4000gを加え、これに溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))1.6000gを加えてミックスローター(110rpm)を用い、室温にて完全に溶解して溶液が均一になるまで1時間撹拌した。撹拌後、ポリマーが完全に溶解した薄黄色透明溶液として固形分の総質量%が20質量%のポリマーワニスを得た。次いで、この20質量%ポリマーワニス1.0000gにN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))0.293gを加え、その後架橋剤としてエポキシ基を含有する化合物EHPE3150(ダイセル化学工業(株)製)0.040g(ポリマーの固形分100質量部に対して20.0質量部)を加えた。溶質が完全に溶解して溶液が均一になるまで撹拌し、固形分の総質量%が15質量%のポリマーワニス(以下、TmPDA−AnEP1と略す)を得た。
(2)被膜の作製
上記で得られたポリマーワニス(TmPDA−AnEP1)を、石英基板上にスピンコーターを用いて初め200rpm(5秒)、その後2000rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、200℃のホットプレートで20分焼成し、薄膜を得た。得られた薄膜の膜厚は293.8nmであった。
【0108】
<溶剤耐性試験>
上記薄膜の膜厚293.8nmを初期膜厚とした。この薄膜を良溶媒の一つであるN,N−ジメチルアセトアミドに1分完全に浸漬させた。次いで、エアーで乾燥後、200℃のホットプレートで1分焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚と比較した。初期膜厚を100%とした際に、得られた薄膜の残膜率は100%であり、高い溶剤耐性があることがわかった。
なお、溶剤耐性試験とは、本焼成後の被膜が溶剤への接触に対して、不溶化していることを示す試験である。溶剤耐性は被膜の上にレジストなどをリコートし、パターニングする後工程が加わった際に必要になる特性であり、溶剤耐性がない場合、リコートする際のレジスト溶剤に溶解してしまい、被膜とレジストとがミキシングされてしまって、本来の特性が発現しないことがある。
【0109】
<被膜の屈折率>
上記で得られた薄膜の屈折率を測定したところ、589nmにおける屈折率は1.6907、633nmにおける屈折率は1.6836であった。このように、熱硬化性の架橋剤を添加した組成物から得られた薄膜においても、その屈折率は1.7近くあり、高い屈折率を有していることがわかった。
【0110】
<被膜の耐熱性>
上記で得られたポリマーワニス(TmPDA−AnEP1)を、石英基板上にスピンコーターを用いて初め200rpm(5秒)、その後1000rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、200℃のホットプレートで20分焼成し、膜厚1μm程度の厚膜を得た。
得られた厚膜を220、240、260℃のホットプレートで1時間焼成し、この前後での透過率測定を行って耐熱性を評価した。結果を
図17〜19に示す。
図19に示されるように、260℃の高温下で1時間焼成した際にも、可視領域(400〜800nm)での透過率が90%以上を維持しており、高い耐熱黄変性を持つことがわかった。
【0111】
[実施例48]
(1)熱硬化性組成物の調製
空気下、10mLサンプル瓶に、上記実施例1で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーTmPDA−An1.0000gを加え、これに溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))4.0000gを加えてミックスローター(110rpm)を用い、室温にて完全に溶解して溶液が均一になるまで1時間撹拌した。撹拌後、ポリマーが完全に溶解した薄黄色透明溶液として固形分の総質量%が20質量%のポリマーワニスを得た。次いで、この20質量%ポリマーワニス3.0000gにN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))を0.7000g加え、その後、架橋剤としてアミノプラスト系架橋剤であるCymel303(日本サイテックインダストリーズ(株)製)を60質量%となるようPGMEで希釈した溶液0.300g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して30.0質量部)を加えた。溶質が完全に溶解して溶液が均一になるまで撹拌し、固形分の総質量%が15質量%のポリマーワニス(以下、TmPDA−AnCy1と略す)を得た。
(2)被膜の作製
上記で得られたポリマーワニス(TmPDA−AnCy1)を、石英基板上にスピンコーターを用いて初め200rpm(5秒)、その後1500rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、200℃のホットプレートで5分焼成し、薄膜を得た。得られた薄膜の膜厚は691.1nmであった。
【0112】
<溶剤耐性試験>
上記薄膜の膜厚691.1nmを初期膜厚とした。この薄膜をN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))に1分完全に浸漬させた。次いで、エアーで乾燥後、150℃のホットプレートで1分焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚と比較した。初期膜厚を100%とした際に、得られた薄膜の残膜率は100%であり、加熱により薄膜が架橋されて高い溶剤耐性があることがわかった。
【0113】
<被膜の屈折率>
上記で得られた薄膜の屈折率を測定したところ、589nmにおける屈折率は1.7105、633nmにおける屈折率は1.7032であった。このように、熱硬化性の架橋剤を添加した組成物から得られた薄膜においても、その屈折率は1.7以上と高い屈折率を有していることがわかった。
【0114】
[実施例49]
(1)熱硬化性組成物の調製
空気下、10mLサンプル瓶に、上記実施例1で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーTmPDA−An1.0000gを加え、これに溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))4.0000gを加えてミックスローター(110rpm)を用い、室温にて完全に溶解して溶液が均一になるまで1時間撹拌した。撹拌後、ポリマーが完全に溶解した薄黄色透明溶液として固形分の総質量%が20質量%のポリマーワニスを得た。次いで、この20質量%ポリマーワニス3.0000gにN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))0.8200gを加え、その後、架橋剤としてフェノプラスト系架橋剤であるTM−BIP−A(旭有機材工業(株)製)0.1800g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して30.0質量部)を加えた。溶質が完全に溶解して溶液が均一になるまで撹拌し、固形分の総質量%が15質量%のポリマーワニス(以下、TmPDA−AnTM1と略す)を得た。
(2)被膜の作製
上記で得られたポリマーワニス(TmPDA−AnTM1)を、石英基板上にスピンコーターを用いて初め200rpm(5秒)、その後1500rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、200℃のホットプレートで5分焼成し、薄膜を得た。得られた薄膜の膜厚は809.8nmであった。
【0115】
<溶剤耐性試験>
得られた薄膜の膜厚809.8nmを初期膜厚とした。この薄膜をN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))に1分完全に浸漬させた。次いで、エアーで乾燥後、150℃のホットプレートで1分焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚と比較した。初期膜厚を100%とした際に、得られた薄膜の残膜率は100%であり、加熱により薄膜が架橋されて高い溶剤耐性があることがわかった。
【0116】
<被膜の屈折率>
上記で得られた薄膜の屈折率を測定したところ、589nmにおける屈折率は1.6935、633nmにおける屈折率は1.6867であった。このように、熱硬化性の架橋剤を添加した組成物から得られた薄膜においても、その屈折率は1.7近くあり、高い屈折率を有していることがわかった。
【0117】
<被膜の硬度測定>
上記実施例48,49で作製したTmPDA−AnCy1およびTmPDA−AnTM1の薄膜の鉛筆硬度を測定した。また比較のため実施例23で作製したTmPDA−Anの薄膜に関しても同様に鉛筆硬度を測定した。得られた結果を表9に示す。
【0118】
【表9】
【0119】
表9に示されるように、TmPDA−An単独膜での熱硬化で得られた実施例23の薄膜は硬度が低く、一方、分子間での架橋密度を上げる目的で架橋剤を添加した実施例48,49の薄膜では、硬度が大きく向上していることがわかった。
【0120】
[実施例50]
(1)熱硬化性組成物の調製
空気下、10mLサンプル瓶に、上記実施例1で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーTmPDA−An1.0000gを加え、これに溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))4.0000gを加えてミックスローター(110rpm)を用い、室温にて完全に溶解して溶液が均一になるまで1時間撹拌した。撹拌後、ポリマーが完全に溶解した薄黄色透明溶液として固形分の総質量%が20質量%のポリマーワニスを得た。次いで、この20質量%ポリマーワニス3.0000gにN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))0.8800gを加え、その後、架橋剤としてビスフェノールM(東京化成工業(株)製)0.120g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して20.0質量部)を加えた。溶質が完全に溶解して溶液が均一になるまで撹拌し、固形分の総質量%が15質量%のポリマーワニス(以下、TmPDA−AnBP1と略す)を得た。
(2)被膜の作製
上記で得られたポリマーワニス(TmPDA−AnBP1)を、石英基板上にスピンコーターを用いて初め200rpm(5秒)、その後1500rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、300℃のホットプレートで10分焼成し、薄膜を得た。得られた薄膜の膜厚は722.9nmであった。
【0121】
<溶剤耐性試験>
得られた薄膜の膜厚722.9nmを初期膜厚とした。この薄膜をN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))に1分完全に浸漬させた。次いで、エアーで乾燥後、150℃のホットプレートで1分焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚と比較した。初期膜厚を100%とした際に、得られた薄膜の残膜率は100%であり、加熱により薄膜が架橋されて高い溶剤耐性があることがわかった。
【0122】
<被膜の屈折率>
上記で得られた薄膜の屈折率を測定したところ、589nmにおける屈折率は1.7121、633nmにおける屈折率は1.7042であった。このように、熱硬化性の架橋剤を添加した組成物から得られた薄膜においても、その屈折率は1.7以上と高い屈折率を有していることがわかった。