(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、添付図面に示す開示の発明を詳細に説明する。
【0027】
主に
図1A〜
図19を参照して、半導体ウェーハ作製におけるプロセス制御の向上に適した品質測定値プロセスを提供するための方法およびシステムについて、本開示に基づいて説明する。オーバレイ誤差の原因として、多様な要素がある。このような1つの要素を挙げると、1組のサンプリングされたオーバレイ計測標的のうち1つ以上の非対称な標的構造(例えば、下部標的層または上部標的層)の存在がある。オーバレイ標的が非対称性である場合、所与のオーバレイ標的の測定が幾何学的に不明瞭になる場合がある。このようににオーバレイが幾何学的不明瞭になった場合、オーバレイ計測プロセスそのものとの非線形相互作用を通じてシステム誤差の向上に繋がり得る。その正味の影響に起因して、オーバレイ誤差が(10nmにも)増大し得る。本発明は、品質測定値を提供するための方法およびシステムに関する。この品質測定値は、サンプリングされた半導体ウェーハの多様な計測標的から得られた各オーバレイ測定信号と関連付けられたオーバレイ誤差を定量化するように、構成される。本発明は、品質測定値を用いて異常値標的除去を介してプロセス制御を向上させることと、計測レシピの向上または最適化とにさらに関する。
【0028】
品質測定値の生成および分析の後、本発明の計測測定を用いて、修正(「修正可能値」として知られる)を計算することが可能であることがさらに認識される。この「修正可能値」を用いて、半導体ウェーハに対して所与のプロセスを行う際に用いられる関連付けられたプロセスツールを修正する。
【0029】
本開示全体において用いられる「修正可能値」という用語は、リソグラフィーツールまたはスキャナツールのアライメントを修正して、オーバレイ性能についての後続リソグラフィックパターニングの制御を向上させるために用いることが可能なデータを主に指す。一般的に、修正可能値により、ウェーハプロセスを所望の制限内において進行させることが可能になる。このような進行は、フィードバックおよびフィードフォワードを提供してプロセスツールアライメントを向上させることにより、行われる。
【0030】
本開示全体において用いられる「計測シナリオ」という用語は、計測ツールおよび計測標的の特定の組み合わせを指す。しかし、所与の計測シナリオ内において、計測測定を行うことが可能な広範な可能な計測設定が存在する。
【0031】
本開示全体において用いられる「ウェーハ」という用語は、半導体材料または非半導体材料によって形成された基板を主に指す。例えば、半導体材料または非半導体材料を非限定的に挙げると、単結晶シリコン、ガリウムヒ素およびリン化インジウムがある。ウェーハは、1つ以上の層を含み得る。例えば、このような層を非限定的に挙げると、レジスト、誘電材料、導電性材料および半導体材料がある。多数の異なる種類のこのような層が当該分野において公知であり、本明細書中において用いられる「ウェーハ」という用語は、全ての種類のこのような層が載置され得るウェーハを包含し得る。
【0032】
典型的な半導体プロセスを挙げると、ロットによるウェーハ処理がある。本明細書中において用いられる「ロット」という用語は、同時に処理される複数のウェーハからなる1つのグループ(例えば、25個のウェーハからなるグループ)を指す。ロット中の各ウェーハは、リソグラフィー処理ツール(例えば、ステッパー、スキャナ)からの多数の露出フィールドを含む。各フィールド内には、複数のダイが存在し得る。ダイは機能単位であり、最終的には単一のチップとなる。製造ウェーハ上において、オーバレイ計測標的を典型的にはケガキ線領域(例えば、フィールドの4つの角部内のもの)内に配置する。これは典型的には、露出フィールド周囲(およびダイ外部の)回路を含まない領域である。いくつかの場合において、オーバレイ標的は、ストリート内に配置される。ストリートは、ダイ間の領域であるが、フィールド周囲には設けられない。重要なダイ領域内の製造ウェーハ上にオーバレイ標的が配置されることは稀である。なぜならば、この領域は、回路にとて必須の部分だからである。しかし、(製造ウェーハではなく)ウェーハの設計および特徴付けにおいて、典型的には、このような制限が無い場合、フィールド中心全体において多数のオーバレイ標的が存在する。
【0033】
ウェーハ上に形成された1つ以上の層は、パターンしてもよいし、あるいはパターンしなくてもよい。例えば、ウェーハは、複数のダイを含み得る。各ダイは、反復可能なパターンフィーチャを有する。このような材料層の形成および処理の結果、最終的にデバイスが完成する。多数の異なる種類のデバイスをウェーハ上に形成することができ、本明細書中において用いられる「ウェーハ」という用語は、当該分野において公知の任意の種類のデバイスが作製されるウェーハを包含する。
【0034】
図1Aおよび
図1Bは
、対称な計測および非対称な計測標的の断面図である。
図1Aおよび
図1Bのこれらの計測標的は、第1の層(例えば、プロセス層)の標的構造と、第2の層(例えば、レジスト層)の標的構造とを含み得ることが認識される。例えば、
図1Aに示すように、オーバレイ計測標的100は、プロセス層構造104および対応するレジスト層標的構造102を含み得る。さらに、計測標的100は対称であるため、第1の層(例えば、プロセス層)標的104および第2の層(例えば、レジスト層)標的と関連付けられたオーバレイ106は、良好に規定される(102)。よって、理想的な計測標的100の対応するオーバレイ計測測定における不明瞭性が無くなる。これとは対照的に、
図1Bは、一定の非対称性を有する標的構造112を含む非理想的な計測標的110を示す。この点において、標的110は
、対称なプロセス層標的構造114と、非対称なレジスト層標的構造112とを含む。レジスト層標的構造112における非対称性は、標的構造112の壁角度116aおよび116bが等しくない(すなわち、左壁角度116aが90°であり、右壁角度116bは90°ではない)点に起因する。その結果、標的110pのプロセス層構造114は、良好に規定された対称中心を有す一方、標的110のレジスト層構造112は、良好に規定された対称中心を持たない。これら2つの層間の対称性の差に起因して、レジスト層構造112における幾何学的不明瞭性が発生する。例えば、レジスト層構造112の上部118aに対して規定されたオーバレイは、レジスト層構造112の下部118bに対して規定されたオー
バレイと異なる。このような非対称なレジスト層構造112と関連する不明瞭性に起因して、オーバレイ116が良好に規定されなくなる。所与の計測測定ツールがオーバレイマークの非対称性に対して感度を有する場合、非対称性の存在(例えば、
図1Bに示すもの)に起因して、測定信号の非対称性が向上し得、その結果オーバレイ測定誤差に繋がる点にさらに留意されたい。
【0035】
当該分野において、計測ツール設定に起因して、計測測定結果に影響が出る場合があることが公知である。そのため、測定されたオーバレイは、対象層に所属する構造間におけるシフトのみによって規定されない。第1の例として、異なる測定焦点面が選択された場合、測定結果も相応に異なり得る。第2の例として、異なる照明スペクトルが測定において用いられる場合、測定結果も相応に異なり得る(すなわち、照明選択と共に非ランダムに異なり得る)。これらの影響の原因として、少なくとも2つの要因があり得る。第1の要因は、計測標的そのものに関連する。例えば、
図2に示すように、標的プロファイルが非対称である場合、計測システムの焦点面のシフトに起因して、計測結果が明らかに横方向にシフトする。このように、第1の焦点距離F1と関連付けられた照明は、上側層標的構造202の上面と強く相互作用し得る一方、焦点距離F2を有する照明は、上側層標的構造202の下部表面と強く相互作用し得る。その結果、上部構造202と下部構造204との間のオーバレイ測定206は、対応するオーバレイ不明瞭性208を含み得る。
【0036】
あるいは、
図3に示すように、スペクトル依存型の吸収特性を有する層がある場合(例を非限定的に挙げると、ポリSiまたは炭素ハードマスクと、埋設層中の非対称標的構造との組み合わせ)、測定されたオーバレイは、照明スペクトルと共に変化し得る。このようにして、対象となる特定の材料および入射照明に応じて、第1の波長と関連付けられた照明を材料層中において第1の深さ(d
λ1)のみまで浸透させ、第2の波長の照明をさらなる深さ(d
λ2)まで浸透させることが可能になる。このような差に起因して、異なる照明は、下部層の標的構造304と異なる様態で相互作用する。そのため、上部構造302と下部構造304との間のオーバレイ測定306は、対応するオーバレイ不明瞭性308を含み得る。本明細書中以下にさらに詳述するように、本発明の一局面において、オーバレイ測定結果を最適化するかまたは少なくとも向上させる測定レシピの1組のパラメータを特定するのに適したシステムおよび方法が提供される。
【0037】
計測システムがノミナルに完全であり、ツールに起因するシフトまたは他の任意の形態のシステム的バイアスを計測結果において誘発させない場合であっても、これらの不明瞭性は存在する点に留意されたい。(特にスキャッタロメトリー計測において重要となる)さらなる標的関連特性は、計測標的内の1よりも多くののセルに対して計測が行われることが多い点に関連する。このセル間変動性に関連する計測不明瞭性は、本明細書中に記載の方法によっても推定される。照明非対称性の原因を以下に非限定的に挙げる:i)先行層および現在の層双方の側壁角度の非対称性、ii)現在の層と先行層との間の高さの差、iii)測定された層とその下側の層との間の中間層の高さの差、iv)局所的欠陥に起因する変化。
【0038】
以下の記載において、非対称性に起因するオーバレイ精度について理論的に説明する。画像化に基づいたオーバレイ計測の場合、非対称性を有する標的層に対応する収集画像の部分は、以下のように表すことができる。
【数1】
【0039】
式中、α
0、α
+1、α
+1、...は、画像形成に用いられる信号の電界の異なる回折次数の振幅に対応し、φ
0、φ
+1、φ
+1、...は、画像形成に用いられる信号の位相に対応する。信号対称性の前提は、以下のように表すことができる。
【数2】
【0040】
信号の幾何学的中心は電界の位相によって決定されるため、位相対称性を分解すると、幾何学的オーバレイの不明瞭性に対応する。さらに、振幅a
+nおよびa
−nの対称性を分解すると、オーバレイ誤差が得られる。このオーバレイ誤差は、幾何学的不明瞭性を大幅に超え得る。例えば、ほとんどの測定誤差の原因が第1の回折次数である場合、オーバレイ誤差Δは以下のように表される。
【数3】
【0041】
式中、αは、計測構成と関連付けられた1つ以上の材料パラメータ(例えば、波長、焦点、照明角度)の関数である。Eq.3中の第1の項は、幾何学的不明瞭性を示す。適切なオーバレイ標的設計により、1nmよりも小さな幾何学的不明瞭性が達成可能であることが予測される。加えて、Eq.3の第2の項は、標的の非対称性をオーバレイするための所与の計測技術の感度と関連付けられたさらなる誤差を示す。一定の材料パラメータについて、αは、10もの大きな値をとり得、その場合、Eq.3の第2の項の結果、オーバレイ誤差は5nmよりも大きくなる。
【0042】
簡潔さのため、所与のオーバレイ標的の非対称性は、オーバレイ標的の1つの層(例えば、プロセス層またはレジスト層)のみに存在すると仮定される。標的構造は本質的に期間Pを有する周期的なものであることがさらに仮定される。しかし、双方の標的層において非対称性が存在し、標的が非周期的である場合、同様の結果が達成可能であることが認識される。
【0043】
回折ベースのオーバレイ(DBO)計測の場合、オーバレイマークは、ゲーチングオーバーグレーチング構造からなり、そのうち1つは対称であり、他方は上記した仮定に従って非対称である。オーバレイは、+一次回折次数および−一次回折次数間の差として計算された信号から抽出され得ることが認識される。この差分信号は、以下のように表すことができる。
【数4】
【0044】
式中、α
n,mは、グレーチングオーバーグレーチングマークからの(n+m)次回折次数の振幅を示し、非対称なグレーチングからのn次回折次数および対称グレーチングからのm次回折次数からなる。画像化ベースのオーバレイ計測の場合と同様に、非対称なグレーチングからの第1の回折次数からのほとんどの信号誤差結果の場合、誤差Δは以下の形態をとる。
【数5】
式中、ここでも計測構成と関連付けられた1つ以上の材料パラメータ(例えば、波長、焦点、照明角度)に応じて、第1の項は、良好に設計されたオーバレイマークの場合に1nmよりも小さくなると予測される幾何学的不明瞭性に対応する。第2の項は、不明瞭性を超える誤差に起因する。DBO計測の場合、第2の項は、10nmくらい大きなまたは10nmよりも大きな大きさに到達し得る。一般的には、DBO計測は、画像化オーバレイ計測に対してよりもオーバレイマーク非対称性に対してより高感度であり得る点に留意されたい。本明細書中、画像化ベースのオーバレイ計測の場合、測定信号は、広範囲の波長および角度にわたって平均化される点に起因し得ることが認識される。異なる波長および角度に起因して異なる誤差が発生するため、平均化は、観測された誤差を統計的に低減させる役割を果たす。
【0045】
図4Aおよび
図4Bは、標的の測定されたオーバレイに対する照明波長および非対称性角度の影響を示す。
図4Aに示すように、対称な標的の場合、照明波長は、測定波長の逸脱に影響しない。これとは対照的に、
図4Bに示すように、家庭用水の場合、照明波長は、測定オーバレイに対して強い影響を持つ。
【0046】
図5は、半導体ウェーハ作製におけるプロセス制御の向上に適した品質測定値プロセスを提供するためのシステム500を示す。一実施形態において、システム500は、計測システム502を含み得る(例えば、半導体ウェーハ506の特定された位置においてオーバレイ計測を行うように構成されたオーバレイ計測システム504)。さらなる実施形態において、計測システム502は、設計された計測計画を実行するために、システム500の別のサブシステムからの命令を受容するように構成され得る。例えば、計測システム502は、システム500の1つ以上の計算システム508からの命令を受信し得る。計算システム508からの命令を受信した後、計測システム502は、提供された命令中において特定された半導体ウェーハ506の位置において、オーバレイ計測を行うことができる。後述するように、コンピュータシステム508から提供された命令は、品質測定値生成器アルゴリズム512を含み得る。品質測定値生成器アルゴリズム512は、システム502の各オーバレイ測定と関連付けられた1つ以上の品質測定値を生成するように、構成される。
【0047】
図6は、本発明の一実施形態による品質測定値生成プロセスの概念図である。品質測定値生成プロセス600は、N個のオーバレイアルゴリズム604(例えば、オーバレイアルゴリズム1、オーバレイアルゴリズム2、およびオーバレイアルゴリズム3)を、N個のオーバレイ推定値(例えば、オーバレイ推定値1、オーバレイ推定値2およびオーバレイ推定値3)を計算するための1つ以上の取得された計測信号602(例えば、関連付けられた計測ツールを用いて取得されたもの)に適用することを含み得る。その後、これらの計算されたオーバレイ推定値のスパンまたは分布に基づいて、ウェーハの各サンプリングされた計測標的のための品質測定値608を生成することができる。この点において、各オーバレイ計測標的について得られた品質測定値608は、オーバレイ結果の変化の測定値または推定値を1組の適用されたオーバレイアルゴリズムの関数として表す。
【0048】
本明細書中、本発明の品質測定値により、所与の計測標的についての関連付けられたオーバレイ結果の精度の定量的評価が可能となる点に留意されたい。この点において、ウェーハの計測標的の各オーバレイ値には、対象標的の特定のオーバレイ測定の精度に関連する対応する品質測定値が付随する。本発明の品質測定値は、全ての画像化計測標的に適用可能である(例を非限定的に挙げると、BiB、AIM、AIMid、Blossomおよび多層AIMid)ことがさらに予測される。
【0049】
再度
図5を参照して、さらなる局面において、品質測定値生成器アルゴリズム512の結果を多様な目的のために用いることが可能である点に留意されたい。一実施形態において、システム500は、オーバレイ測定レシピ最適化器514を含み得る。オーバレイ測定レシピ最適化器514はアルゴリズムであり、本発明の1組の生成された品質測定値を最適なまたは向上したオーバレイ測定レシピを計算するための入力として利用するように、構成される。この点について、オーバレイ測定レシピ最適化器514は、1組の測定された計測標的から取得された複数組の品質測定値を用いて、オーバレイ精度を最適化するための計測測定レシピ(例えば、照明波長、フィルタリング構成、偏光構成、照明角度)を規定する。多数のウェーハの同一ウェーハまたは他のウェーハ上における後続オーバレイ測定に対し、レシピ最適化器アルゴリズム514の結果を実行することが可能である点にさらに留意されたい。この点において、向上したまたは最適化された(レシピ最適化器514によって計算された)計測レシピを、計測システム502へフィードバックすることができる。本明細書中、以下、本発明の生成された品質測定値を用いたレシピ最適化についてさらに詳述する。
【0050】
別の実施形態において、システム500は、計測標的異常値除去器516を含み得る。計測標的異常値除去器516はアルゴリズムであり、本発明の1組の生成された品質測定値を入力として用いて、異常値計測標的を特定および除去するように構成される。この点について、異常値除去器516は、品質測定値値が高い(およびよってオーバレイ誤差が高い)計測標的を特定することができ、後続のプロセスツールによる修正可能値の計算の目的のために、これらの標的を無視することができる。修正可能値計算における異常値標的の除去は、より高精度の標的に対する修正可能値の計算により大きな重みを付加するため有利であり、これにより修正可能値計算を向上させることが認識されるべきである。本発明の生成された品質測定値を用いた計測標的異常値の除去について、本明細書中においてさらに以下に詳述する。
【0051】
別の実施形態において、システム500は、サンプリング計画生成器519を含み得る。サンプリング計画生成器519はアルゴリズムであり、本発明の生成された品質測定値を入力として用いて1つ以上のオーバレイ計測サンプリング計画を生成するように構成される。この点について、サンプリング計画生成器519は、サンプリング計画を生成する(例えば、サブサンプリング計画)。サンプリング計画により、特定された高品質標的に対しては大きな重みを付与しかつ低品質計測標的に対しては小さな重みを付与することが可能になる。別の局面において、サンプリング計画生成器519は、サンプリング計画を生成し得る。サンプリング計画は、特定された低品質標的のグループのサンプリング速度を高めることにより、低品質標的の存在を軽減する。本発明の生成された品質測定値を用いた計測サンプリング計画生成について、本明細書中においてさらに以下に詳述する。
【0052】
別の実施形態において、システム500は、修正可能値生成器518を含み得る。修正可能値生成器518はアルゴリズムであり、生成された品質測定値を用いて1つ以上の複数組のプロセスツール修正可能値を生成するように構成される。その後、コンピュータシステム508によって計算された修正可能値をプロセスツール(例えば、システム500のスキャナツールまたはリソグラフィーツール)へフィードバックすることができる点に留意されたい。修正可能値生成器518は、本発明の他方の分析ルーチンの出力を用いて、1組のプロセスツール修正可能値を計算することができる点にさらに留意されたい。例えば、本発明の修正可能値生成器518は、異常値の除去アルゴリズム516の出力を用いた後、1組のプロセスツール修正可能値を計算することができる。本明細書中、プロセスツール計算について以下さらに詳述する。
【0053】
一実施形態において、1つ以上のコンピュータシステム508は、多数のウェーハの1つ以上のウェーハのサンプリングプロセスにおいて計測システム502(例えば、オー
バレイ計測システム504)によって行われる1組の測定を受信するように構成され得る。1つ以上のコンピュータシステム508は、1組の品質測定値、最適化された測定レシピ、1組の高値標的を計算または特定するようにさらに構成され得る(すなわち、異常値標的を特定して、修正可能値の計算から除去する)かまたはサンプリングプロセスから受信された測定を用いて1組のプロセスツール修正可能値を計算または特定するようにさらに構成され得る。さらに、1つ以上のコンピュータシステム508はその後、関連付けられたプロセスツール(例えば、スキャナツールまたはリソグラフィー)ツールへ命令を送って、プロセスツールを調節することができる
。
【0054】
上記および本開示の残り部分全体において述べるステップは、単一のコンピュータシステム508によって行ってもよいし、あるいは複数の計算システム508によって行ってもよい点が認識される。さらに、システム500の異なるサブシステム(例えば、計測システム502)は、上記したステップのうち少なくとも一部を実行するのに適した計算システムを含み得る。よって、上記記載は、本発明を制限するものとしてではなく、単なる例示として解釈されるべきである。
【0055】
別の実施形態において、1つ以上のコンピュータシステム508は、命令を1つ以上のプロセスツールへと送り得る。これらの命令は、本明細書中に記載のプロセスのうち任意の1つから得られた1組のプロセスツール修正可能値を示す。さらに、1つ以上のコンピュータシステム508は、本明細書中に記載の方法実施形態のうちいずれかの他の任意のステップ(単数または複数)を行うように構成され得る。
【0056】
別の実施形態において、コンピュータシステム508は、当該分野において公知の様態で、計測システム502またはプロセスツールへと通信可能に接続され得る。例えば、1つ以上のコンピュータシステム508は、計測システム502のコンピュータシステム(例えば、オーバレイ計測システム504のコンピュータシステム)またはプロセスツールのコンピュータシステムへ接続され得る。別の例において、計測システム502およびプロセスツールは、単一の計算システムによって制御され得る。このようにして、システム500の1つ以上の計算システム508を、単一の計測プロセスツールコンピュータシステムへ接続することができる。さらに、システム500の1つ以上の計算システム508は、他のシステムからのデータまたは情報(例えば、検査システムからの検査結果、別の計測システムからの計測結果、またはシステム(例えば、KLA−TencorのKTAnalyzer)によって計算されたプロセスツール修正可能値)を伝送媒体によって受信および/取得するように、構成され得る。伝送媒体は、有線部分および/または無線部分を含み得る。このようにして、伝送媒体は、システム500の計算システム508と他のサブシステムとの間のデータリンクとして機能し得る。さらに、計算システム508は、データを伝送媒体を介して外部システムへと送り得る。例えば、コンピュータシステム508は、計算された品質測定値、プロセスツール修正可能値、最適化された測定レシピを別個の計測システムへと送り得る。この別個の計測システムは、記載のシステム500から独立して存在する。
【0057】
計算システム508を非限定的に挙げると、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、並列プロセッサ、または当該分野において公知の他の任意のデバイスがある。一般的に、「コンピュータシステム」という用語は、メモリ媒体からの命令を実行する1つ以上のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するように、広範に規定される。
【0058】
本明細書中に記載のような命令を実行するプログラム命令510は、キャリア媒体520を介して送ってもよいし、あるいはキャリア媒体52上に保存してもよい。キャリア媒体は、伝送媒体であり得る(例えば、ワイヤ、ケーブルまたは無線伝送リンク)。キャリア媒体はまた、記憶媒体も含み得る(例えば、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスクまたは光ディスク、または磁気テープ)。
【0059】
図5に示すシステム500の実施形態は、本明細書中に記載のようにさらに構成することができる。加えて、システム500は、本明細書中に記載の方法実施形態(単数または複数)のうち任意のものの他の任意のステップ(単数または複数)を実行するように、構成され得る。
【0060】
図7Aはフロー図であり、半導体ウェーハ作製におけるプロセス制御の向上に適した品質測定値プロセスを提供するための方法700において行われるステップを示す。第1のステップ702において、第1の選択された測定レシピを用いて、多数のウェーハの1つ以上のウェーハフィールドにわたって分布する複数の計測標的から複数のオーバレイ計測測定信号を取得することができる。この点において、計測測定信号は、複数の計測標的の各計測標的について取得され得る。一実施形態において、計測プロセスは、多数のウェーハの1つ以上のウェーハフィールドにわたって分布する複数の標的の1つ以上の特性(例えば、オーバレイエラー)を測定し得る。さらなる実施形態において、1つ以上の計測信号は、本明細書中において既述したシステム500の計測システム502(例えば、オーバレイ計測システム504)を用いて取得され得る。このようにして、計測システム502を用いて取得された計測信号を、データリンク(例えば、有線または無線信号)を介して計算システム508へと送ることができる。
【0061】
一実施形態において、方法700は、1つ以上のウェーハ上の複数の測定スポットにおけるウェーハからなる少なくとも1つのロット中の1つ以上のウェーハに対してオーバレイ計測測定を行うことを含む。
図7Bおよび
図7Cに示すように、これらの測定スポットは、1つ以上のウェーハ506上の1つ以上のフィールド752を含み得る。例えば、
図7Bに示すように、ウェーハ506内には、複数のフィールド752が形成される。
図7B中においては、ウェーハ506上に特定の数および配置のフィールド752が設けられている様子が示されているが、ウェーハ上のフィールドの数および配置は、例えばウェーハ上に形成されているデバイスによって異なり得る。これらの測定は、ウェーハ506上に形成された複数のフィールド752と、少なくとも第1のロット中の他のウェーハ上の複数のフィールドとにおいて行われ得る。これらの測定は、フィールド中に形成されたデバイス構造および/またはフィールド中に形成された試験構造に対して行われ得る。加えて、フィールドそれぞれにおいて行われる測定は、計測プロセス時において行われる測定(例えば、1つ以上の異なる測定)全てを含み得る。
【0062】
別の実施形態において、サンプリングプロセスにおいて測定される測定スポットは全て、所与のロット内のウェーハの各測定されたフィールド内の複数の標的を含み得る。例えば、
図7Cに示すように、ウェーハ506上に形成されたフィールド752は、複数の標的754を含み得る。
図7B中、フィールド752中に特定の数および配置の標的754が設けられている様子が図示されているが、フィールド752内の標的754の数および配置は、例えばウェーハ506上に形成されているデバイスに応じて異なり得る。標的754は、デバイス構造および/または試験構造を含み得る。よって、この実施形態において、各フィールド752内に形成された任意の数の標的754に対し、これらの測定を行うことができる。これらの測定は、計測プロセス時において行われる全ての測定(例えば、1つ以上の異なる測定)も含み得る。
【0063】
別の実施形態において、サンプリングステップにおいて行われる測定結果は、測定プロセスにおける変化についての情報を含み得る。測定変化は、当該分野において公知の任意の様態で決定され得る(例えば、標準偏差、変化量)。測定における変化は、プロセスまたはプロセス逸脱における変化を示すことが多いため、サンプリングステップにおいて測定されるウェーハのロット数は、プロセスまたはプロセス逸脱に応じて異なり得る。このステップにおいて特定されるかまたは決定されるの変化の源を挙げると、変化の任意の源がある(例を非限定的に挙げると、オーバレイ変化、ウェーハの他の特性の変化、ロット間の変化、ウェーハ間の変化、フィールド間の変化、側部間の変化、変化の統計源、またはこれらの任意の組み合わせ)。
【0064】
さらなる局面において、第1の選択された測定レシピを用いて、1つ以上の計測信号をウェーハの1つ以上の計測標的から取得することができる。当業者であれば、計測レシピは、広範なパラメータ選択を含み得ることを認識する。例えば、測定レシピの例を非限定的に挙げると、照明波長、照明角度、焦点、フィルター特性、偏光がある。本発明のさらなる局面において、本明細書中において以下にさらに詳述するように、プロセスフロー700によって生成された品質測定値結果を部分的に用いることで、システム500によって実行される計測レシピを最適化するかまたは少なくとも部分的に向上させることができる。
【0065】
本発明における実行に適した計測プロセスおよびシステムについて、米国特許出願第12/107,346号(出願日:2008年4月22日)に主に記載がある。本明細書中、同文献を参考のため援用する。
【0066】
第2のステップ704において、複数のオーバレイアルゴリズムを各オーバレイ計測測定信号へ適用することにより、ステップ302のオーバレイ計測測定信号それぞれについての複数のオーバレイ推定値を決定することができる。
【0067】
一局面において、ウェーハ506の選択された複数の計測標的それぞれから取得された各計測信号へ複数の異なるアルゴリズムをを適用して、各計測信号についてオーバレイ推定値を決定することができる。例えば、オーバレイ推定値アルゴリズム1〜Nそれぞれを、ウェーハの各1組の測定された計測標的から取得された各信号へ適用することができる。各アルゴリズムは、各標的について独立したオーバレイ推定値を計算する。さらなる局面において、実行されたアルゴリズムはそれぞれ、非対称な信号の対称中心を高精度に提供するように構成され得る。しかし、信号が対称である場合、複数のアルゴリズムの多様なアルゴリズムにより、おおよその対称中心についての異なる推定値を得ることができる。この点において、計測標的の非対称性が非ゼロ度である場合、アルゴリズム1...Nにより、測定された各標的について、標的オーバレイについて異なる値が計算される。
【0068】
第3のステップ706において、1組のオーバレイ推定値分布を生成することができる。この生成は、ステップ704において得られた1組のオーバレイ推定値を用いて計測測定信号それぞれについてのオーバレイ推定値分布を計測標的それぞれから生成することにより、行われる。この点について、ウェーハの測定された複数の標的の各標的について、アルゴリズム1-Nによって生成された多様な推定値を収集して、単一のオーバレイ推定値分布とすることができる。よって、ステップ706は、各測定された計測標的についてオーバレイ推定値分布を生成する。本明細書中、幾何学的オーバレイの不明瞭性およびオーバレイの不明瞭性向上は、広がり関数として出現するか、または、各分析された計測信号のオーバレイ推定値分布の大きさにわたって広がる点にさらに留意されたい。よって、所与の計測信号のオーバレイ不明瞭性が大きいほど、(ステップ704のアルゴリズム1-Nによって生成された)関連付けられた1組のオーバレイ推定値の広がりまたは幅も大きくなる。
【0069】
第4のステップ708において、複数の品質測定値が生成され得る。一局面において、プロセス700のステップ706において生成されたオーバレイ推定値分布を用いて、これら複数の品質測定値値が生成され得る。この点について、生成された品質測定値はそれぞれ、ステップ706のオーバレイ推定値分布のうち1つと関連付けられる。各生成された品質測定値は、対応するオーバレイ推定値分布の幅または広がりの関数であり、所与の計測標的から取得された所与の信号と関連付けられたオーバレイ不明瞭性および誤差の測定値または推定値を表す。さらなる局面において、ステップ708の品質測定値は、完全に対称な信号の場合はゼロになるように構成され、所与の非対称な信号と関連付けられたオーバレイ誤差に比例する。非対称な信号の品質測定値をゼロとするためには、対称信号と同一のオーバレイ推定値を生成するようにステップ704の各オーバレイアルゴリズムを構成する必要がある点に留意されたい。各オーバレイ計測標的について得られた品質測定値は、isオーバレイ結果の非対称性に起因する変化の測定値または推定値であり、1組の適用されるオーバレイアルゴリズムの関数である。よって、1つ以上の計測標的から取得された1組のオーバレイ測定と関連付けられた1つ以上の品質測定値値を分析することにより、非対称性に起因するオーバレイ誤差を分析するための「測定基準」が得られる。
【0070】
図8Aは、本発明によるオーバレイ誤差マップを示す。
図8Aのウェーハマップ800は、関連付けられたオーバレイ信号のオーバレイ誤差の方向および大きさを示す。この点において、マップ800中の矢印のX構成要素およびY構成要素は、XおよびYオーバレイ中の誤差にそれぞれ対応する。
図8Bは、本発明の実施形態による、生成された複数の品質測定値を示す。
図8Bの各品質測定値は、1組のサンプリングされた計測標的の計測標的に対応する点に留意されたい。品質測定値分布または品質測定値「クラウド」がX−Y方向において広範になるほど、対応するオーバレイ計測測定の精度が低下する点にさらに留意されたい。本明細書中においてさらに以下に詳述するように、品質測定値クラウドのサイズを低減するための方法およびシステムは、異常値の除去およびレシピ最適化を含む。
【0071】
本発明のさらなる実施形態において、1組の測定された計測標的それぞれから取得されたオーバレイ計測信号は、ツール起因型シフト(TIS)のために修正された後、品質測定値生成プロセス700が実行される。このようにすると、特に有利である。なぜならば、本発明の品質測定値は、取得された計測信号中に存在する任意の非対称性(例えば、計測システムの光学系によって生成された非対称性)を検出するように構成されるからである。よって、大幅なTISを生成する光学成分を計測システム502が有する場合、取得された計測信号に対して先ずTIS修正を適用することが有利であり、これにより、標的に起因するオーバレイ誤差の評価をより高精度に行うことが可能となる。
【0072】
図9に示すフロー図は、本発明のさらなる実施形態によるさらなるプロセスフロー900を示す。プロセスフロー900において、プロセス700において生成された品質測定値を用いて、ウェーハのサンプリングされた1組の計測標的の異常値計測標的を特定する。ステップ902において、複数の計測標的の1つ以上の異常値計測標的を特定する。この点について、サンプリングされた標的の他方の計測標的の分布の品質測定値から大幅に逸脱した品質測定値を示す計測標的を特定することができる。例えば、
図8Bに示すように、3つの範囲外の品質測定値が特定される(円によってデマークされる)。これらの異常な品質測定値は、(非異常標的と比較して)高レベルの非対称性を有しよって高レベルのオーバレイ誤差を有する複数のサンプリング計測標的の計測標的に対応する。本明細書中、プロセス700において得られた品質測定値分布中の異常値の特定は、当該分野において公知の任意の様態で行うことが可能であることが認識される。この点において、任意の定量的分析パッケージを用いて、計測標的異常値を特定することができる。さらに、計測標的の品質測定値を異常値として規定する作業を、閾値定義および分析ルーチンと共にプログラムされた統計分析パッケージを介して、ユーザによってまたは自動的に行うことができる。この点について、例えば、システム500は、以下に基づいて、異常な品質測定値を自動的に特定するようにプログラムされ得る:i)サンプリングされた標的の品質測定値の大きさが選択されたレベルを超えている、または、ii)品質測定値値の選択されたパーセンテージがほとんどの範囲外となっている(例えば、最大10%の品質測定値を範囲外として規定するもの)。ユーザによる選択の場合、品質測定値分布(例えば、
図8Bの品質測定値分布)を、システム500の表示デバイス(図示せず)上に表示することができる。その後、ユーザは、異常値と思われる品質測定値を手動で選択することができる。
【0073】
第2のステップ904において、ステップ902において特定された異常値標的を排除することにより、修正された1組の計測標的を生成することができる。この点について、修正可能値の計算に用いられる計測標的からステップ902の特定された異常値計測標的を除去することにより、修正された1組の計測標的を生成することができる。
【0074】
第3のステップ906において、ステップ904において得られた修正された1組の計測標的を用いて、1組のプロセスツール修正可能値を計算する。この点において、修正された1組の計測標的中に残っている計測標的についてのオーバレイ情報のみを用いて、1組のオーバレイ修正可能値を計算する。さらなるステップにおいて、計算システム508を介して計算されたプロセスツール修正可能値を、通信可能に接続されたプロセスツール(例えば、ステッパーまたはスキャナ)へ送ることができる。オーバレイ計測結果を用いたプロセスツール(例えば、ステッパーまたはスキャナ)修正可能値の計算について、米国特許第7,876,438号(発行日:2011年1月25日)中に主に記載がある。本明細書中、同文献を参考のため援用する。
【0075】
図10に示すフロー図は、本発明のさらなる実施形態によるさらなるプロセスフロー1000を示す。プロセスフロー1000において、プロセス700において生成された品質測定値を用いて、向上したまたは最適化されたオーバレイ測定レシピを特定する。第1のステップ1002において、少なくともさらなる測定レシピを用いて、複数の計測標的からのさらなる複数のオーバレイ計測測定信号を取得することができる。第2のステップ1004において、少なくともさらなる複数の測定信号の各オーバレイ測定信号へ複数のオーバレイアルゴリズムを適用することにより、少なくともさらなる複数のオーバレイ測定信号それぞれについての少なくともさらなる複数のオーバレイ推定値を決定することができる。第3のステップ1006において、複数のオーバレイ推定値を用いて少なくともさらなる複数のオーバレイ測定信号それぞれについてのオーバレイ推定値分布を複数の計測標的から生成することにより、少なくともさらなる複数のオーバレイ推定値分布を生成することができる。第4のステップ1008において、生成された少なくともさらなる複数のオーバレイ推定値分布を用いて、少なくともさらなる複数の品質測定値を生成することができる。第5のステップ1010において、第1の測定レシピと関連付けられた第1の複数の品質測定値の分布と、少なくとも1つのさらなる測定レシピと関連付けられた少なくともさらなる複数の品質測定値の分布とを比較することにより、向上したまたは最適化されたプロセス測定レシピを決定することができる。
【0076】
この点について、各品質測定値生成サイクルについて異なる標的測定レシピを用いて品質測定値生成プロセスを複数回行うことにより、向上したまたは恐らくは最適なオーバレイ測定レシピを得ることができる。例えば、第1のサイクルにおいて、第1の測定レシピを用いて実行される1組のオーバレイ測定を用いて、サンプリングされた計測標的についての品質測定値を得ることができる。その後、第2のサイクルにおいて、第2の測定レシピを用いて実行される1組のオーバレイ測定を用いて、サンプリングされた計測標的についての品質測定値を得ることができる。第2のレシピは、第1のレシピに相対して変化する(例えば、波長が変化し、焦点位置が変化し、照明方向が変化する)。その後、各品質測定値生成サイクルにおいて取得された品質測定値の複数の分布を相互に比較して、品質測定値分布が最小となる測定レシピを特定する。
【0077】
図11に示す品質測定値分布は、第1のフィルターおよび第2のフィルターを用いて得られる。X−Y品質測定値分布におけるより小型の空中分布によって示すように、色フィルター2により、対応するオーバレイ計測測定における誤差が小さくなる。よって、後続計測測定においてフィルター1とフィルター2とのうちいずれかを選択する際、フィルター2を用いることにより、オーバレイ精度が向上し、その結果プロセスツール修正可能値も向上する。このプロセスは、任意の数のレシピパラメータ(例えば、波長、焦点位置、照明方向、偏光構成、フィルター構成)について、任意の回数だけ徐々に繰り返すことができる(例えば、1回、2回、3回またはN回まで)ことがさらに認識される。
【0078】
図12Aに示すフロー図は、本発明の実施形態による、プロセスツール修正可能値を提供するための方法1200において行われるステップを示す。プロセス1200において、プロセス700の生成された品質測定値に基づいて、1組のプロセスツール修正可能値が計算される。第1のステップ1202において、多数のウェーハの1つ以上のウェーハフィールドにわたって分布する複数の計測標的の各計測標的についてのオーバレイ計測結果が取得される。一実施形態において、計測システム502を用いて計測標的に対して1つ以上のオーバレイ計測測定を行うことにより、複数の計測標的の各計測標的についてのオーバレイ計測結果を取得することができる。第2のステップ1204において、各取得されたオーバレイ計測結果と関連付けられた品質測定値が取得され得る。一実施形態において、品質測定値は、本開示全体において記載される多様な方法および実施形態によるプロセスを用いて生成され得る。よって、1組の測定計測標的それぞれについて計測結果を得た後、システム500は、計測測定それぞれについて品質測定値を計算することができる。
【0079】
第3のステップ1206において、各計測標的についての取得されたオーバレイ計測結果および関連付けられた品質測定値結果を用いて、変更されたオーバレイ値を各計測標的について決定することができる。一局面において、各計測標的についての変更されたオーバレイ値は、計測シナリオの少なくとも1つの材料パラメータ要素の関数である(例えば、波長、焦点位置、照明角度などに依存するもの)。例えば、変更されたオーバレイは、以下のように表すことができる。
【数6】
【0080】
式中、OVL
accurateは、変更されたオーバレイを示し、OVL
measuredは、測定されたオーバレイを示し、f(QM)は品質関数を示し、計測標的それぞれと関連付けられた品質測定値(QM)に依存する。一実施形態において、品質関数は、材料パラメータ要素αに対して直線状である関数によって表され得る。この場合、変更されたオーバレイは、以下のように表すことができる。
【数7】
【0081】
式中、αは同様に材料パラメータ要素を示し、QMは、本発明のオーバレイ測定それぞれについて計算された品質測定値を示す。本明細書中、Eq.7の上記品質関数は制限的なものではなく、ひとえに例示的なものとして解釈されるべきであることが認識される。品質関数f(QM)は多様な数学的形態をとり得ることが予測される。
【0082】
第4のステップ1208において、複数の材料パラメータ要素について、修正可能値の関数と、修正可能値関数に対応する1組の残余とを計算することができる。この点について、パラメータαを変更することができ、新規の修正可能値関数と、各修正可能値関数と関連付けられた残余とを各α値について計算することができる。さらなる局面において、当該分野において公知の任意の種類の修正可能値関数を実行して、OVL
accurateに適合させることができる。例えば、修正可能値関数は、線形のまたはより高次の修正可能値関数を含み得る。当該分野において公知の修正可能値関数のうち1つ以上を用いることにより、一連の修正可能値関数を(各α値に対して1つ)生成することができる。例えば、修正可能値関数および対応する残余をα
1、α
2、α
3およびα
Nまで計算することができる。修正可能値の計算において用いられる関数について、主に米国特許第7,876,438号(発行日:2011年1月25日)に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0083】
第5のステップ1210において、1組の残余を少なくとも実質的に最小化するのに適した材料パラメータ要素の値を決定されする。この点について、各α
1...α
Nと関連付けられた残余を分析することで、オーバレイ残余レベルが最小になるα値を得ることができる。例えば、
図11に示すグラフ1220は、複数のα値それぞれについて計算されたステップ1208からの1組の残余値を対応するトレンドライン1222に沿ってプロットして得たグラフである。
図11から分かるように、1組の所与の残余について、α値がおよそ−3.66である場合、所与の計測シナリオにおいて残余値が最小となる。
【0084】
ステップ1212において、少なくとも実質的に最小化された1組の残余と関連付けられた1組の修正可能値を特定することができる。例えば、ステップ1210において提供される残余最小化の例示のために、αについて最小化された残余を用いて、1組の修正可能値を計算することができる。ステップ1210において特定されたαをロットウェーハ中の後続ウェーハの分析時において適用することで、これらの後続ウェーハに関連する修正可能値を発見することができることがさらに予想される。
【0085】
さらなる実施形態において、ステップ1212において生成された1組の修正可能値を1つ以上のプロセスツール(例えば、ステッパーまたはスキャナ)へ来ることができる。さらなる局面において、取得された複数のオーバレイ計測測定信号へTIS修正プロセスを適用した後、信号中に存在するTISに起因する非対称性を低減するための分析を行う。
【0086】
図13に示すフロー図は、プロセスツール修正可能値の変化を特定するための方法1300を行うステップを示す。ステップ1302において、多数のウェーハの1つ以上のウェーハフィールドにわたって分布する複数の計測標的の各計測標的についてのオーバレイ計測結果を取得することができる。一実施形態において、計測システム502を用いて1つ以上のオーバレイ計測測定を計測標的に行うことにより、複数の計測標的のうち各計測標的についてのオーバレイ計測結果を取得することができる。
【0087】
ステップ1304において、各取得されたオーバレイ計測結果と関連付けられた品質測定値を取得する。一実施形態において、本開示全体において記載される多様な方法および実施形態によるプロセスを用いて、品質測定値を生成することができる。よって、1組の測定計測標的それぞれについての計測結果を取得した後、システム500は、計測測定それぞれについての品質測定値を計算することができる。
【0088】
ステップ1306において、各計測標的および品質関数についての取得されたオーバレイ計測結果を用いた複数の計測標的についての複数の変更されたオーバレイ値が決定される。一局面において、品質関数は、各計測標的の取得された品質測定値の関数である。一実施形態において、ステップ1306の変更されたオーバレイは、プロセス1200のEq.6および/またはEq.7において見られる形態をとり得る。品質関数f(QM)は、任意の数の数学的形態をとり得ることが認識される。
【0089】
ステップ1308において、取得されたオーバレイ計測結果の複数のランダム選択されたサンプリングおよび複数の計測標的の関連付けられた品質測定値それぞれについて複数の変更されたオーバレイ値を用いて1組のプロセスツール修正可能値を決定することにより、複数組のプロセスツール修正可能値を生成することができる。ランダムサンプリングはそれぞれ、同一サイズである。この点において、複数のランダムサブサンプリングを行うことができ、利用可能なデータポイントのうち選択された数または選択されたパーセンテージが生成される。この点について、複数のサブサンプリングはそれぞれ、同一数のサンプリングされたデータポイント(例えば、90%、80%、50%)を含み得る。例えば、ステップ1302のオーバレイ計測結果のデータポイントのうち90%のN個のランダムサンプリングを行うことができ、各ランダムサンプリングは、利用可能なデータポイントの異なるランダムサンプリングを示す(しかし、サンプリングされたデータポイントは同一数である)。その後、N個のランダムサンプリングそれぞれを用いて、1組のプロセスツール修正可能値を生成することができる。同一品質関数f(QM)を用いて、修正可能値それぞれを計算することができる点にさらに留意されたい。
【0090】
ステップ1310において、複数組のプロセスツール修正可能値の変化を特定することができる。本明細書中、ステップ1308において計算されたこれら複数組のプロセスツール修正可能値間の変化は、その品質を示すことが認識される。本明細書中、N個の修正可能値においてみられる変化が小さいほど、修正可能値の品質が向上することがさらに認識される。
【0091】
本明細書中、各オーバレイ値へ取り付けられた品質値により、所与の測定における非ランダム誤差の推定値が得られる点にさらに留意されたい。しかし、この品質値には、オーバレイ測定のランダム誤差よりも高いランダム誤差が関連付けられ得る。上記したようにこの品質値を用いる場合として、非ランダム誤差がランダム誤差よりも高い場合がある。非ランダム誤差がランダム誤差よりも高い場合、オーバレイ値を修正することで、ランダム誤差値を増加させるとよい(非ランダム誤差を低減しつつ、ランダム誤差を多数の測定にわたって平均化することで、より低い値にすることができる点に留意されたい)。
【0092】
図14に示すフロー図は、本発明の実施形態による、計測サンプリング計画を生成するための方法1400において行われるステップを示す。プロセス1400において、プロセス700の生成された品質測定値に基づいて、計測サンプリング計画が生成される。ステップ1402において、多数のウェーハの1つ以上のウェーハフィールドにわたって分布する複数の計測標的からの複数のオーバレイ計測測定信号を取得する。ステップ1404において、複数のオーバレイアルゴリズムを各オーバレイ計測測定信号へ適用することにより、複数のオーバレイ計測測定信号それぞれについて複数のオーバレイ推定値を決定する。ステップ1406において、複数のオーバレイ推定値を用いて複数の計測標的からの複数のオーバレイ計測測定信号それぞれについてのオーバレイ推定値分布を生成することにより、複数のオーバレイ推定値分布を生成する。ステップ1408において、生成された複数のオーバレイ推定値分布を用いて、第1の複数の品質測定値が生成される。
【0093】
ステップ1410において、複数の計測標的の生成された第1の複数の品質測定値を用いて、1つ以上の計測サンプリング計画を生成することができる。この点について、1組の測定された計測標的と関連付けられた品質測定値に基づいて、サブサンプリング計画または別のサンプリング計画を選択することができる。新規サンプリング計画を特定した後、システム500は、多数のウェーハの後続ウェーハの計測測定時においてサンプリング計画を適用することができる。
【0094】
一実施形態において、複数の計測標的の生成された第1の複数の品質測定値を用いて1つ以上の計測サンプリング計画を生成して、1つ以上の低品質標的を特定することにおいて、1つ以上の低品質標的は、生成された1つ以上の計測サンプリング計画から排除される。この点について、(計測シナリオについての)対応する品質測定値を介して低標的計測標的を特定し、後続測定に用いられるサンプリング計画から排除する。
【0095】
図15A〜
図15Cは、3つの異なる波長の照明についての一連の品質測定値データを示す。
図15Aは、215個の標的の1組のオーバレイ計測測定から取得された3つの異なる波長(白色、赤色および緑色)についての品質測定値値を示す。
図15Bは、最低品質を有する60個の標的(すなわち、最大の大きさの品質測定値を有する60個の標的)を除去して155個の標的をサンプリング対象として残した(すなわち、N=155サンプリング)場合の、残りの品質測定値を示す。さらに、
図15Cは、最低の品質値を有する115個の標的を除去して100個の標的をサンプリング対象として残した(すなわち、N=100サンプリング)場合の、残りの品質測定値を示す。出願人らによれば、上記記載においてw、1組の低品質標的の排除による標的選択について述べてきたが、1組の高品質標的をサンプリング計画に含めるものとして選択するのも直接的方法である。
【0096】
図16A〜
図16Dは、y方向における初期オーバレイサンプリングN=215と、後続調節されたサンプリングN=155およびN=100とにおける残余値およびR
2値を示す。N=155およびN=100を初期のN=215サンプリングと比較した場合、
図16A〜
図16Dにおいて、全ての3つの波長によってサンプリングされた残余の大きさが低減していることが明確に分かる。同様に、
図16A〜
図16Dに示すように、各波長において、各サブサンプリング計画(例えば、N=100およびN=155)のためのR
2が全般的に増加している。当業者であれば、これらの向上した残余およびR
2特性により、向上したプロセスツール修正可能値が得られ、これらのプロセスツール修正可能値を関連付けられたプロセスツールへ送ることが可能であることを認識する。
【0097】
一実施形態において、複数の計測標的の生成された第1の複数の品質測定値を用いて1つ以上の計測サンプリング計画を生成して、1つ以上の低品質標的を特定する。1つ以上の低品質標的は、生成された1つ以上の計測サンプリング計画から排除され、1つ以上の低品質標的の近隣に配置された1つ以上のさらなる計測標的を用いて、1つ以上の低品質標的に代替する。この点について、(計測シナリオについての)対応する品質測定値を介して低標的計測標的を特定し、後続測定に用いられるサンプリング計画から排除することができる。一方、排除された低品質標的の近隣に配置されたさらなる標的を、ロットの後続ウェーハ上に用いられるサンプリング計画へ挿入することができる。
【0098】
図18A〜
図18Bは、初期オーバレイサンプリングおよび後続調節サンプリングのためのx方向およびy方向における残余値およびR
2値を示す。低品質標的を、排除された低品質標的の近隣に配置された標的と交換した。
図8Aは、低品質標的を近隣に配置された標的と交換した場合のx方向およびy方向双方における残余レベルの低下を示す。同様に、
図8Bは、低品質標的と近隣に配置された標的を交換した場合のR
2値の増加を示す。ここでも、当業者であれば、これらの向上した残余特性およびR
2特性により、向上したプロセスツール修正可能値が得られ、これらの修正可能値を関連付けられたプロセスツールへ送ることが可能になることを認識する。
【0099】
プロセス1400は、第1の複数の品質測定値を用いてウェーハの複数の品質ゾーンを特定するステップをさらに含み得る。品質ゾーンはそれぞれ、実質的に同様の品質レベルを有する複数の計測標的を含む。例えば、
図19に示すように、第1の品質ゾーン1902〜1906を特定する際、内部に含まれる全標的1901が実質的に同じ品質となるように、特定を行う。さらなる実施形態において、後続オーバレイ計測プロセス時におけるサンプリングレート実行は、所与の特定された品質ゾーンの関数であり得る。例えば、ゾーン1902、1904および1906内においてサンプリングされた標的数は、これらのゾーンに含まれる標的の品質レベルに依存し得る。さらなる局面いおいて、初期サンプリング計画計測測定プロセスは、ウェーハマップ全体を測定することと、フルロットマップを測定することまたはウェーハのサブロットを測定することとを含む。
【0100】
第1のウェーハサンプリング計画を品質測定値に基づいて規定した後、事前規定された制約を提供しつつ、特定されたサンプリング計画を次のウェーハへ適用することができる。例えば、制約は、いくつかのサブ制約によって構成され得、各サブ制約は、サンプリング計画の微小変更(例えば、一部と別の部分との交換)を必要とする。このプロセスは、後続ロット上において累積的に継続し得る。これらの制約は、サンプリング量を考慮に入れつつ、測定されたウェーハ/ウェーハ統計値の品質測定値(例えば、標準偏差、平均、範囲)に基づき得る。
【0101】
ここで
図20A〜
図20Fを参照して、本発明の実施形態による、プロセス署名マッピングを提供するための方法およびシステムについて説明する。この点について、プロセス署名マッピングによるソリューション(本明細書中以下「プロセス署名マッパー」)は、半導体デバイス作製におけるパターニングプロセス制御の向上を支援し得る。
【0102】
図20Aは、リソグラフィープロセス制御ループの一実施形態を示す。リソグラフィープロセス制御ループを非限定的に挙げると、レチクル2002、スキャナ2004、プロセス追跡モジュール2006、計測システム2010、および高度プロセス制御(APC)システム2012がある。プロセス追跡モジュール2006は、複数の非リソグラフィックプロセス経路2008を追跡するように構成される。典型的なリソグラフィープロセス制御ループ2000において、計測測定2010は、リソグラフィープロセスの制御ループへフィードバックされることが意図され、ウェーハの計測標的上へ行われる。この計測標的には、先行プロセス層および現在のプロセス層双方上へのリソグラフィープロセス(ならびに他のプロセス(例えば、先行層上へのエッチングおよび研磨)が施されている。計測プロセス2010の目的は、リソグラフィードリフトの修正を可能にすることであるが、実際の測定オーバレイは、非リソグラフィックプロセス2008に関連する影響に起因してバイアスしている場合があり、特定のウェーハの経路履歴に依存し得る。本明細書中、バイアスは、本明細書中において既述したように計測不明瞭性としてみなされることが認識される。現行技術において、任意の先行プロセス経路からのウェーハから修正された計測データを用いて、履歴平均化された修正可能値をAPCシステム2012によって計算し、その後この修正可能値をリソグラフィック露出プロセス(すなわち、スキャナ2004)へ送ることができる。本発明の1つの目的は、ウェーハの特定の処理経路への測定オーバレイの依存性を定量化することである。この手順を、プロセス署名マッピングと呼ぶ。
【0103】
図20Bは、本発明の一実施形態による、プロセス署名マッピングのプロセスフローを示す。ステップ2012において、リソグラフィープロセスの後、オーバレイ計測プロセス(例えば、画像化計測またはスキャッタロメトリー)を用いて、レチクル
(例えば、試験レチクルまたは製品レチクル)上に形成された複数のプロキシ標
的を測定する。この測定は、エッチングプロセスの前およびエッチングプロセスの後両方において行う。この点について、
図20Cに示すように、リソグラフィープロセスの
後およびウェーハの第1のエッチングプロセスの
前の複数のプロキシ標的から取得された第1の1組の計測結果2022と、ウェーハの第1のエッチングプロセスの後の複数のプロキシ標的から取得された少なくとも第2の1組の計測結果2024とを比較する(例えば、両者間の差を規定する)ことにより、ウェーハ上の位置の関数としての第1のプロセス署名2026を決定することができる。
【0104】
さらに、
図20Cに示すように、第1のプロセス署名と、特定のプロセス経路とを相関付けることができる。この点について、ウェーハ(上記においてDI−FIバイアスと呼ぶ)上における位置の関数としての2つの計測測定2021と計測測定2023との間の差をタグ付けすることで、特定のプロセス経路(例を非限定的に挙げると、プロセス順序、特定のプロセスツールの特定、タイムスタンプ)を指定することができる。
【0105】
ステップ2014において、第1のエッチングプロセスの後、デバイス相関バイアスを測定することができる。この点について、第1のエッチングプロセスの後、ウェーハの複数のデバイス相関標的に対して第1の1組の計測測定を行うことにより、デバイス相関バイアスを測定することができる。本発明のデバイス相関バイアスは、計測構造とウェーハのデバイスとの間のバイアスを示し、計測フィーチャは典型的には、デバイスフィーチャと異なる寸法(実質的により大きい寸法)を有する点に留意されたい。さらなる実施形態において、
図20Dに示すように、デバイス相関バイアスは、計測測定2034(例えば、CD−SEM測定またはAFM測定)をウェーハのデバイス相関標的に対して行うことにより、測定することができる。ウェーハのデバイス相関標的は、デバイス状寸法および計測状寸法双方のフィーチャを含む。さらに、この計測ステップは、エッチング後に行われる。デバイス相関測定の例について、主に「Improved Overlay Metrology Device Correlation on 90−nm Logic Processes」(Uenoら著、Metrology,Inspection,and Process Control for Microlithography XVIII、編著:Silver,RichardM.SPIE,Volume5375,pp.222−231(2004))に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0106】
さらに、決定された第1のエッチ署名
(第1のプロセス署名)およびさらなるエッチ署名
(さらなるエッチ署名)それぞれと、第1の測定されたデバイス相関バイアスおよび各さらなるデバイス相関バイアスとを用いて、プロセス署名マップを生成することができる。この点について、ステップ2012および/またはステップ2014の結果をシステムのメモリ中に保存し、この結果を用いて、プロセス署名マップデータベースを計算することができる。
【0107】
ステップ2016において、ステップ2012および2014を、各層および制御ループの各非リソグラフィックプロセス経路について繰り返すことができる。この点について、ステップ2016は、各さらなるプロセス層とウェーハの各さらなる非リソグラフィックプロセス経路とについてさらなるエッチ署名をウェーハ上の位置の関数として決定することを含み得る。さらに、ステップ2016は、各さらなるプロセス層およびウェーハの各さらなる非リソグラフィックプロセス経路に追随するさらなるデバイス相関バイアスを測定することを含み得る。プロセス経路の可能な置換リストは極めて大きいため、特徴付け対象として選択された1組のプロセス経路は、プロセスツールのファミリ内のマッチングおよび固有固有変動性に基づいて特定される。プロセスツールが良好なマッチングを示す場合、各マッチングしたツールのための独立したプロセス経路の測定は不要となり得る。さらなるステップにおいて、プロセスを周期的に更新することで、プロセス署名データベースを最新の状態で保持し、これにより、プロセスドリフトの監視を有効化する。
【0108】
図20Eは、本発明の一実施形態によるリソグラフィープロセス制御ループにおけるプロセス署名マッパーデータベースの実行を示す。プロセス制御ループ2040を非限定的に挙げると、スタック情報および設計規則モジュール2042と、計算計測モジュール2044と、プロキシ標的設計およびデバイス相関標的設計情報を受信するように構成されたレチクル2046と、スキャナ2048と、複数の非リソグラフィックプロセス2056を追跡するように構成された追跡モジュール2050と、計測システム2052と、プロキシ標的2058およびデバイス相関標的2060から計測結果を受信するように構成されたプロセス署名マッパー2054と、APC2062とがある。
【0109】
プロセス署名マッパーデータセットを入手した後、このプロセス署名マッパーデータセットをAPC制御ループ2062において用いることができる。
図20Eに示すように、計測データがプロセス署名マッパー2054へと送られると、プロセス署名マッパー2054は、ロット毎またはウェーハ毎の特定の経路であるプロセス修正を実行する。その後、この修正されたデータをAPCループ2062へと送る。APCループ2062は、履歴平均化された修正可能値を生成する。これらの履歴平均化された修正可能値は、当業者に公知の方法を用いて生成される。このようにして、プロセス署名マッパーモジュール2054は、現在の既存の作製設備の既存のAPC内部構造と適合性を持つべきである。一般的に、プロセス署名マッパー2054によって計算された経路依存型プロセス署名は、フィールド位置およびウェーハ位置の関数としてプロセスバイアスの形態で保存され得、あるいはより詳細には、プロセスツールの修正自由レベルと関連付けられた標準的修正可能値の形態で保存され得る。
【0110】
図20Fは、本発明の実施形態によるプロセス署名マッパーの実行を示す。修正項全てが分かった場合、所与のデバイスについての方程式を表すことが可能になる。この方程式は、ウェーハ上における任意の点(x、y)におけるオーバレイを示す。このオー
バレイは、プロキシ標的
(レチクル側標的)の測定から生成された較正データと、CD−SEMまたはAFM上へのエッチングの後のデバイス相関標的
(ウェーハ側標的)の測定とに基づく。これらのプロキシ標的は、n個のプロセス経路OVLppn(x、y)それぞれについての処理後(ステップ2052)に測定される。最も単純な場合において、デバイス相関修正は、処理特性のフィーチャサイズ依存性に起因する、ウェーハまたはフィールド位置またはプロセス経路から独立した一定のオフセットである。しかし、より一般的な場合、ウェーハおよびフィールド位置ならびにリソグラフィック処理経路を考慮する必要がある。一例として、デバイスサイズのフィーチャと計測サイズのフィーチャとの間のバイアスの原因がスキャナ収差に起因するパターン配置誤差である場合、このバイアスは、スキャナのスリットにわたって変化する可能性が高い。よって、m本のリソグラフィー経路それぞれについて、デバイス相関データOVLlpm(x、y)を収集する必要がある(ステップ2054)。別の実施形態において、非リソグラフィープロセス経路それぞれについて、デバイス相関データを測定する場合もある。各場合において、次のステップにおいて、当該分野において公知の従来の露出ツール修正可能値モデリングにより、特定のデータセットそれぞれからの標準的1組の修正可能値Cpp
nおよびClp
mを生成する(ステップ2056およびステップ2058)。修正可能値モデリングについては、主に「Fundamental Principles of Optical Lithography」に記載がある(Chris Mack著、Wiley&sons、2007)。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。ステップ2060において、各プロセス/リソグラフィー経路置換のためのプロセス署名マッパー修正可能値を生成する。これを以下に示す。
Cpsm
n,m=Cpp
m+Cpp
n(Eq.8)
【0111】
その後、
図20Fに示すように、このデータをプロセス署名マッパーデータベース2062中に保存する。以下に述べる修正可能値生成手順は、複数の異なる可能なモデリングシナリオを含み得る点に留意されたい。例えば、修正可能値は、xおよびyにおける平行移動の標準的1組の線形ウェーハおよびフィールド修正可能値と、ウェーハおよびフィールドレベル回転と、ウェーハおよびフィールドレベルの拡大のみを含み得る。あるいは、露出ツールモデルおよびその修正私有レベルに応じて、より高次の項を含み得る(例えば、台形)ならびに他のより高次のウェーハおよびフィールド項を含み得る。プロセス修正可能値については、リソグラフィー修正可能値に関係無く、関連付けられたプロセスバイアスを最も効率的に記述する特定の修正可能値を生成することが適切であり得る。
【0112】
典型的な製造計測およびプロセス制御シナリオについて、以下に説明する。この段階において、製造ウェーハに対して計測を行う。サンプリングは、修正可能値モデルおよびAPC方法に応じて、多様なサンプル計画に従って行われ得る。その後、リソグラフィー経路mおよびプロセス経路nから得られる製造ウェーハ修正可能値Cpw
m,nを生成するための上記したような標準的方法により製造ウェーハデータOVLpw
m,nをモデル化し、その後このデータをプロセス署名マッパーへ送る。プロセス署名マッパーは、subtractsプロセス署名マッパー修正可能値Cpsm
n,mを現在の製造ウェーハ修正可能値から減算して、修正された製造ウェーハ修正可能値C’pw
n,mを生成する。これを以下に示す。
CpW
n,m=CpW
n,m-Cpsm
n,m(Eq.9)
【0113】
その後、修正された製造ウェーハ修正可能値をAPCシステムへと送り、プロセス制御を従来の様態で(例えば、指数ウィンドウ移動平均方法または当該分野において公知の他の任意の適切な技術を用いて)進行させる。
【0114】
本明細書中に記載の方法は全て、方法実施形態の1つ以上のステップの結果を記憶媒体中に保存することを含み得る。これらの結果は、本明細書中に記載の結果を含み得、当該分野において公知の任意の様態で保存され得る。記憶媒体は、本明細書中に記載の任意の記憶媒体または当該分野において公知の任意の他の適切な記憶媒体を含み得る。結果を保存した後、記憶媒体中の結果にアクセスすることができ、この結果を本明細書中に記載の方法またはシステム実施形態のうち任意のものによって利用することができ、フォーマットしてユーザへ表示し、別のソフトウェアモジュール、方法、またはシステムなどによって利用することができる。例えば、方法によってサブサンプリング計画を生成した後、方法は、サブサンプリング計画を記憶媒体中の計測レシピに保存することを含み得る。加えて、本明細書中に記載の実施形態の結果または出力を計測システム(例えば、CDSEM)によって保存およびアクセスすることができ、これにより、出力ファイルが計測システムによって理解可能であるという前提の下で、計測システムがサブサンプリング計画を計測のために用いることが可能になる。さらに、結果は、「永久的に」、「半永久的に」、「一時的に」または一定期間にわたって保存され得る。例えば、記憶媒体はランダムアクセスメモリ(RAM)であり得、結果は必ずしも記憶媒体中に無限に残留しなくてもよい。
【0115】
上記した方法の実施形態はそれぞれ、本明細書中に記載の任意の他の方法(単数または複数)の任意の他のステップ(単数または複数)を含み得ることがさらに企図される。加えて、上記した方法の実施形態はそれぞれ、本明細書中に記載のシステムのうち任意のものによって実行することが可能である。
【0116】
当業者であれば、本明細書中に記載のプロセスおよび/またはシステムおよび/または他の技術を実行することが可能な多様なビークルがあり(例えば、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェア)、好適なビークルは、プロセスおよび/またはシステムおよび/または他の技術が用いられる文脈によって異なることを理解する。例えば、実行者が速度および精度を最重要事項として決定した場合、実行者は、主にハードウェアおよび/またはファームウェアビークルを選択する。あるいは、柔軟性が最重要である場合、実行者は、主にソフトウェアの実行を選択する。あるいは、実行者は、ハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアの何らかの組み合わせを選択する。よって、本明細書中に記載のプロセスおよび/またはデバイスおよび/または他の技術を実行することが可能なビークルはいくつか存在し、そのいずれも、固有に他方よりも優れるものではない。なぜならば、任意の用いられるべきビークルは、ビークルが用いられる文脈と、実行者の特定の懸念(例えば、速度、柔軟性または予測可能性)とによって異なるからである。これらの懸念のうちいずれも変動し得る。当業者であれば、実行の光学局面においては典型的には、光学的に方向付けられたハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアを用いることが多い。
【0117】
当業者であれば、当該分野において、デバイスおよび/またはプロセスについて本明細書中に記載の様態で記述することは一般的であり、その後技術的慣習を用いて、このような記載のデバイスおよび/またはプロセスを統合してデータ処理システムとすることは一般的である。すなわち、合理的な量の実験を通じて、本明細書中に記載のデバイスおよび/またはプロセスのうち少なくとも一部を統合してデータ処理システムとすることが可能である。当業者であれば、典型的なデータ処理システムは、以下のうち1つ以上を主に含むことを認識する:システムユニットハウジング、ビデオ表示デバイス、メモリ(例えば、揮発性および不揮発性メモリ、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサおよびデジタル信号プロセッサ)、計算エンティティ(例えば、オペレーティングシステム、ドライバ、グラフィカルユーザインターフェース、およびアプリケーションプログラム)、1つ以上の相互作用デバイス(例えば、タッチパッドまたは画面)および/または制御システム(例えば、フィードバックループおよび制御モーター(例えば、位置および/または速度を感知するフィードバック、構成要素および/または数量の移動および/または調整のための制御モーター)。典型的なデータ処理システムは、任意の適切な市販の構成要素(例えば、典型的にはデータ計算/通信および/またはネットワーク計算/通信システムにおいてみられるもの)を用いて実行することができる。
【0118】
本明細書中に記載の発明において、異なる構成要素が異なる他の構成要素内に含まれるかまたは異なる他の構成要素と接続されている様子を示す場合がある。このような記載のアーキテクチャはひとえに一例であり、実際、同一機能を達成する多数の他のアーキテクチャを実行することが可能であることが理解されるべきである。概念的にいうと、同一機能を達成するための構成要素の任意の配置構成を有効に「関連付ける」ことで、所望の機能が達成される。よって、本明細書中において特定の機能を達成するために組み合わせられた任意の2つの構成要素を相互に「関連付ける」ことで、アーキテクチャまたは中間構成要素に関係無く、所望の機能を達成することができる。同様に、このようにして関連付けられた任意の2つの構成要素を所望の機能を達成するように相互に「接続」または「連結」されたものとみなすことができ、このようにして関連付けられた任意の2つの構成要素を、所望の機能を達成するように「連結可能なもの」としてみなすことができる。連結可能なものの特定の例を非限定的に挙げると、物理的に噛み合い可能な構成要素および/または物理的に相互作用する構成要素および/または無線的に相互作用可能な構成要素および/または無線的に相互作用する構成要素および/または論理的に相互作用する構成要素および/または論理的に相互作用可能な構成要素がある。
【0119】
本明細書中に記載の本発明の特定の局面について図示および記載してきたが、当業者であれば、本明細書中に記載の教示内容を鑑みれば、本明細書中に記載の発明およびそのより広範な局面から逸脱することなく変更および改変が可能であり、よって、添付の特許請求の範囲は、本明細書中に記載の発明の真なる精神および範囲内のものとしてこのような変更および改変を全て包含するものであることを理解する。
【0120】
さらに、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定されることが理解される。
【0121】
本発明の特定の実施形態について例示してきたが、当業者であれば、多様な改変および本発明の実施形態を上記開示の範囲および意図から逸脱することなく実行することができることが明らかである。よって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲のみによって限定される。
【0122】
本開示および多数の付随する利点は、上記の記載から理解されるものと考えられ、構成要素の形態、構造および配置において多様な変更が(本開示から逸脱することなくまたはその重要な利点全てを犠牲にすることなく)可能であることが明らかである。記載の形態はひとえに例示のためであり、このような変更を包含するのは、以下の特許請求の範囲である。