【文献】
PRESTON,J. et al.,New High-Temperature Polymers. VIII. Ordered Benzoxazole- and Benzothiazole-Imide Copolymers,JOURNAL OF POLYMER SCIENCE PART A-1: Polymer Chemistry,1969年,vol.7,pp.283-296
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
線熱膨張係数が40ppm/K以下であり、ガラス転移温度が300℃以上であり、動的粘弾性曲線における、ガラス転移温度付近での貯蔵弾性率(E´)の減少率(−d logE´/ dT)が0.05以上であることを特徴とする請求項2または3記載の耐熱性フィルム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、低い線熱膨張係数(CTE)、高いガラス転移温度及び熱可塑性を有し、特に、例えば多層電子基板といったデバイスの絶縁膜材料に適用することで、更に多層構造とすることができ、電子機器の高性能化、高機能化や小型化、軽量化に寄与し得る、ポリイミド樹脂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、所定のベンゾオキサゾール基を含むジアミン化合物と、所定の芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導されるポリイミドが、新規な多層電子基板の絶縁材料に要求される特性、即ち、低い線熱膨張係数(CTE)、高いガラス転移温度及び熱可塑性を同時に発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1. 式(1−1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド、
【化1】
〔式中、X
1は、式(2)〜(6)のいずれかで表される4価の基を表す。
【化2】
(Rは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、またはハロゲン原子を表し、nは、0〜4の整数を表す。)〕
2. 式(1−1)で表される繰り返し単位と式(1−2)で表される繰り返し単位を有することを特徴とするポリイミドの共重合体、
【化3】
〔式中、X
1は、式(2)〜(6)のいずれかで表される4価の基を表し、X
2は、式(7)〜(11)のいずれかで表される2価の基を表す。
【化4】
(Rは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、またはハロゲン原子を表し、nは、0〜4の整数を表す。)〕
3. 前記式(1−1)で表される繰り返し単位の含有率が20.0〜99.9mol%である2のポリイミドの共重合体、
4. 1のポリイミドまたは2もしくは3のポリイミドの共重合体からなる耐熱性フィルム、
5. 膜厚が1〜100μmである4の耐熱性フィルム、
6. 線熱膨張係数が40ppm/K以下であり、ガラス転移温度が300℃以上であり、動的粘弾性曲線における、ガラス転移温度付近での貯蔵弾性率(E´)の減少率(−d logE´/ dT)が0.05以上であることを特徴とする4または5の耐熱性フィルム、
7. 電子回路の電気絶縁基板材料用である4〜6のいずれかの耐熱性フィルム、
8. 式(1−3)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体、
【化5】
〔式中、X
1は、式(2)〜(6)のいずれかで表される4価の基を表す。
【化6】
(Rは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、またはハロゲン原子を表し、nは、0〜4の整数を表す。)〕
9. 式(1−3)で表される繰り返し単位および式(1−4)で表される繰り返し単位を有することを特徴とするポリイミド前駆体の共重合体、
【化7】
〔式中、X
1は、式(2)〜(6)のいずれかで表される4価の基を表し、X
2は、式(7)〜(11)のいずれかで表される2価の基を表す。
【化8】
(Rは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、またはハロゲン原子を表し、nは、0〜4の整数を表す。)〕
10.前記式(1−3)で表される繰り返し単位の含有率が20.0〜99.9mol%である9のポリイミド前駆体の共重合体、
11.0.5dL/g以上の固有粘度を有する、8のポリイミド前駆体または9もしくは10のポリイミド前駆体の共重合体、
12.8もしくは11のポリイミド前駆体、または9〜11のいずれかのポリイミド前駆体の共重合体を含む耐熱性フィルム形成用ワニス、
13.12の耐熱性フィルム形成用ワニスを用いることを特徴とする耐熱性フィルムの製造方法、
14.12の耐熱性フィルム形成用ワニスを基板上に塗布し、これを300℃以上で加熱することを特徴とする耐熱性フィルムの製造方法、
を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のポリイミドは、低い線熱膨張係数、高いガラス転移温度および熱可塑性を兼ね備えている。そのため、本発明のポリイミドは、近年重要性が急速に高まってきた、多層電子基板やフレキシブルプリント基板等の高密度実装回路基板材料に適しており、電子機器の高性能化、高機能以下、小型化および軽量化に寄与し得る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
<ポリイミドおよび耐熱性フィルム>
本発明のポリイミドは、式(1−1)で表される繰り返し単位を有する。
【化9】
【0013】
式(1−1)中、X
1は、式(2)〜(6)のいずれかで表される4価の基を表す。
【化10】
【0014】
Rは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。
炭素数1〜12のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
炭素数1〜12のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
とりわけ、Rとしては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基またはエチル基がより一層好ましく、メチル基が最適である。
nは、ベンゼン環に結合するRの数を示し、0〜4の整数であるが、0〜3が好ましく、0〜2がより好ましく、0または1がより一層好ましく、0が最適である。
なお、Rが複数存在する場合、Rは全て同一であっても、互いに異なっていてもよい。
【0015】
とりわけ、X
1としては、低熱膨張特性と優れた熱可塑性が得られる観点から、式(2)、(3)、(4)または(6)で表される4価の基が好ましく、更に低熱膨張化する観点から、式(2)、(3)または(4)で表される4価の基がより好ましい。
【0016】
本発明のポリイミドは、低熱膨張特性と優れた熱可塑性の観点から、式(1−1)で表される繰り返し単位のほかに、式(1−1)および式(1−2)で表される繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。
【化11】
【0017】
式(1−2)中、X
2は、式(7)〜(11)のいずれかで表される2価の基を表す。
【化12】
【0018】
とりわけ、X
2としては、低熱膨張特性と優れた熱可塑性が得られる観点から、式(7)、(10)または(11)で表される2価の基が好ましく、更に製造コストの観点から、式(7)で表される2価の基がより好ましい。
【0019】
本発明のポリイミドの共重合体において、式(1−1)で表される繰り返し単位の含有率は、特に限定されるものではないが、好ましくは20.0〜99.9mol%である。
【0020】
本発明のポリイミドは、低い線熱膨張係数、高いガラス転移温度および熱可塑性を有していることから、多層電子基板やフレキシブルプリント基板等の高密度実装回路基板、特に電子回路の電気絶縁基板、に用いる耐熱性フィルムとして好適である。
【0021】
本発明のポリイミドからなる耐熱性フィルムは、後述の方法で得られるポリイミド前駆体を加熱して、脱水環化反応(イミド化反応)することで製造することができる。
すなわち、耐熱性フィルム(ポリイミドフィルム)は以下のようにして製造する。
本発明のポリイミド前駆体を含むワニスをガラス、銅、アルミニウム、ステンレス、シリコン等の基板上に流延し、オーブン中40〜180℃、好ましくは50〜150℃で乾燥する。
得られたポリイミド前駆体フィルムを基板上で真空中、窒素等の不活性ガス中、あるいは空気中、200〜450℃、好ましくは250〜430℃で加熱することで本発明のポリイミドからなるフィルムが得られる。
この際、加熱温度はイミド化反応を完結するという観点から200℃以上、生成したポリイミドフィルムの熱分解を抑制するという観点から450℃以下が好ましい。またイミド化は真空中あるいは不活性ガス中で行うことが望ましいが、イミド化温度が高すぎなければ空気中で行っても、差し支えない。
【0022】
イミド化反応は、熱処理に代えて、ポリイミド前駆体フィルムをピリジンやトリエチルアミン等の3級アミン存在下、無水酢酸等の脱水環化試薬を含有する溶液に浸漬することによって行うことも可能である。また、これらの脱水環化試薬をあらかじめポリイミド前駆体を含むワニス中に室温で投入・攪拌し、それを上記基板上に流延・乾燥することで、部分的にイミド化したポリイミド前駆体フィルムを作製することもでき、これを更に上記のように熱処理することでポリイミドフィルムが得られる。
本発明のポリイミド前駆体のワニスを金属箔例えば銅箔上に塗付・乾燥後、上記の条件によりイミド化することで、金属層とポリイミド樹脂層の積層体を得ることができる。更に塩化第二鉄水溶液等のエッチング液を用いて金属層を所望する回路状にエッチングすることで、無接着剤型フレキシブルプリント基板を製造することができる。また、複数の上記積層体を熱プレスにより更に積層することもできる。
【0023】
本発明の耐熱性フィルム(ポリイミドフィルム)の厚さは、特に限定されるものではなく、使用目的に応じて適宜厚さを決定すればよいが、回路基板として用いる場合であれば、1〜100μm程度が好適である。
【0024】
また、本発明の耐熱性フィルム(ポリイミドフィルム)を高密度実装回路基板に用いる場合、線熱膨張係数は、好ましくは40ppm/K以下であり、より好ましくは35ppm/以下である。また、そのガラス転移温度は、好ましくは300℃以上であり、より好ましくは350℃以上である。そして、動的粘弾性曲線における、ガラス転移温度付近での貯蔵弾性率(E´)の減少率(−d logE´/ dT)は、好ましくは0.05以上であり、より好ましくは0.07以上である
【0025】
<ポリイミド前駆体>
本発明の式(1−1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドは、式(1−3)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体から製造することができる。
【0026】
【化13】
(式中、X
1は、前記と同じ意味を示す。)
【0027】
また、本発明の式(1−1)で表される繰り返し単位および式(1−2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドは、式(1−3)で表される繰り返し単位および式(1−4)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体の共重合体から製造することができる。
【化14】
(式中、X
1およびX
2は、前記と同じ意味を示す。)
【0028】
式(1−3)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、式(12)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、式(13)で表されるジアミンとを反応させることで製造できる。
【0029】
【化15】
(式中、X
1は、前記と同じ意味を示す。)
【0030】
また、式(1−3)で表される繰り返し単位および式(1−4)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、式(12)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、式(13)で表されるジアミンと、式(14)で表されるジアミンとを共重合反応させることで製造できる。
【0031】
【化16】
(式中、X
1およびX
2は、前記と同じ意味を示す。)
【0032】
式(12)で表される酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ハイドロキノンビス(トリメリテートアンハイドライド)、または4,4’−ビフェノールビス(トリメリテートアンハイドライド)が挙げられる。
【0033】
式(13)で表されるジアミンとしては、式(13−1)、式(13−2)等で表されるジアミンが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0035】
式(14)で表されるジアミンとしては、p−フェニレンジアミン、ベンジジン、4,4”−p−ターフェニレンジアミン、式(15)で表されるジアミン、または式(16)で表されるジアミンが挙げられる。
【0037】
式(12)で表されるテトラカルボン酸二無水物、式(13)で表されるジアミンおよび式(14)で表されるジアミンは、それぞれ1種類単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0038】
上記各反応に使用される溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホオキシド、3−メトキシN,N−ジメチルプロパンアミド、3−n−ブトキシN,N−ジメチルプロパンアミド、3−sec-ブトキシN,N−ジメチルプロパンアミド、3−t−ブトキシN,N−ジメチルプロパンアミド等の非プロトン性溶媒が好ましいが、原料モノマーと生成するポリイミド前駆体が溶解すれば問題はなく特にその構造には限定されない。例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、γ−プチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−プチロラクトン等の環状エステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒、トリエチレングリコール等のグリコール系溶媒、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフエノール等のフェノール系溶媒、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどが使用可能である。更にフェノール、o−クレゾール、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプチル、プロピレングリコールメチルアセテート、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロへキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン等の一般的な溶媒も部分的に使用してもよい。
【0039】
上記各反応の反応温度は、通常0〜100℃であるが、好ましくは20〜60℃であり、反応時間は、通常0.5〜300時間であるが、好ましくは1〜72時間である。
【0040】
式(1−3)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体の製造におけるジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の仕込みは、物質量比で、式(12)で表されるテトラカルボン酸二無水物1に対して、式(13)で表されるジアミンを0.8〜1.1とすることができるが、好ましくは0.9〜1.1であり、より好ましくは0.95〜1.05である。
【0041】
一方、式(1−3)で表される繰り返し単位および式(1−4)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体の共重合体の製造におけるジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の仕込みは、物質量比で、式(12)で表されるテトラカルボン酸二無水物1に対して、ジアミン成分(式(13)で表されるジアミンおよび式(14)で表されるジアミン)を0.8〜1.1とすることができるが、好ましくは0.9〜1.1であり、より好ましくは0.95〜1.05である。
【0042】
上記各反応において、モノマー濃度(ジアミンおよび酸二無水物の濃度)は、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。このモノマー濃度範囲で重合を行うことにより、モノマー及びポリマーの溶解性を十分確保することができ、均一で高重合度のポリイミド前駆体溶液を得ることができ、その結果、より高い靭性を有するポリイミドフィルムを製造できる。
なお、ポリイミド前駆体の重合度が増加しすぎて、重合溶液が攪拌しにくくなった場合は、適宜同一溶媒で希釈することもできる。
【0043】
ポリイミド前駆体(ポリイミド前駆体の共重合体を含む。)の固有濃度は、ポリイミドフィルムの靭性およびその前駆体ワニスのハンドリングの観点から、0.5dL/g以上であることが好ましく、0.5〜5.0dL/gの範囲内であることがより好ましい。
【0044】
本発明において、式(12)で表されるテトラカルボン酸二無水物と共に、その他のテトラカルボン酸二無水物を用いてもよい。
そのような酸二無水物として、4,4’−オキシジフタリックアンハイドライド、ハイドロキノンジフタリックアンハイドライド、4,4’−ビフェノールジフタリックアンハイドライド、3,3’ ,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらは1種類単独で用いてもよく、2種類以上用いてもよい。
【0045】
上記のその他のテトラカルボン酸二無水物の使用量は、テトラカルボン酸二無水物の種類等に応じて変わるため一概に規定できないが、概ね、全テトラカルボン酸二無水物に対して、30モル%未満が好ましく、20モル%未満がより好ましく、10モル%未満がより一層好ましく、5モル%未満がさらに好ましい。
【0046】
本発明において、式(13)で表されるジアミンと共に、あるいは、式(13)で表されるジアミンおよび式(14)で表されるジアミンと共に、その他のジアミンを用いてもよい。
そのようなジアミンとしては、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル等が例として挙げられる。これらは2種類以上用いてもよい。
上記のその他ジアミンの使用量は、アミンの種類等に応じて変わるため一概に規定できないが、概ね、全ジアミンに対して、30モル%未満が好ましく、20モル%未満がより好ましく、10モル%未満がより一層好ましく、5モル%未満がさらに好ましい。
【0047】
本発明のポリイミド前駆体はその重合溶液をそのまま、あるいは、大量の水やメタノール等の貧溶媒中への滴下・濾過・乾燥し、粉末として単離し、これを再度溶媒に溶解させたものを、本発明の耐熱性フィルムを製造するために用いてもよい。
【0048】
<式(13)で表されるジアミンの合成>
式(13)で表されるジアミンは、出発原料として式(17)で表されるビス(o−アミノフェノール)またはその二塩酸塩を用いて合成される。
【0050】
以下、ビス(o−アミノフェノール)として3,3’−ジヒドロキシベンジジン(以下、p−HABという。)を用いた合成方法について例示するが、合成方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。
【0051】
まず、3つ口フラスコ中、p−HABをよく脱水したアミド系溶媒に溶解し、これに脱酸剤としてピリジンを添加し、セプタムキャップでシールしてA液とする。
次に、ナス型フラスコ中、p−HABの2倍モル量の3−ニトロ安息香酸クロリドをA液と同様の溶媒に溶解し、セプタムキャップでシールしてB液とする。
そして、B液を氷浴中で冷却し、回転子で撹拌しながらシリンジにてA液をB液に少しずつ加え、添加終了後数時間撹拌を続け、ジアミド体を合成する。
【0052】
次に、氷浴を外し、室温で12時間撹拌した後、脱水環化反応を完結させるためこの反応溶液に適当量のp−トルエンスルホン酸を加え、数時間還流を行う。
生成した沈殿物を濾別して水で繰り返し洗浄した後、真空乾燥して式(18)で表されるジニトロ体が得られる。
【0054】
次に3つ口フラスコ中、このジニトロ体をアミド系溶媒に溶解し、触媒として適当量のPd/Cを加え、水素雰囲気中還元反応を行う。反応の進行は薄層クロマトグラフィーによって追跡することができる。
反応終了後、濾過によりPd/Cを分離・除去した後、濾液を大量に水にゆっくりと滴下して生成物を析出させる。沈殿物を濾別して水で繰り返し洗浄した後、真空乾燥する。必要に応じて適当な溶媒から再結晶して更に高純度化することもできる。
このようにして本発明のポリイミド前駆体の重合に供することのできる式(19)で表されるジアミンが得られる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における物性値は、次の方法により測定した。また、「BO基」とは、ベンゾオキサゾール基を意味する。
【0057】
<赤外線吸収スペクトル>
フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製FT−IR4100)を用い、KBrプレート法にてジアミンの赤外線吸収スペクトルを測定した。また透過法にてポリイミド前駆体およびポリイミド薄膜(約5μm厚)の赤外線吸収スペクトルを測定した。
【0058】
<
1H−NMRスペクトル>
日本電子社製NMR分光光度計(ECP400)を用い、重水素化ジメチルスルホキシド中でBO基含有ジアミンの
1H−NMRスペクトルを測定した。
【0059】
<示差走査熱量分析(融点および融解曲線)>
BO基含有ジアミンの融点および融解曲線は、ブルカーエイエックス社製示差走査熱量分析装置(DSC3100)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度5℃/分で測定した。融点が高く融解ピークがシャープであるほど、高純度であることを示す。
【0060】
<固有粘度>
0.5重量%のポリイミド前駆体溶液を、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
【0061】
<ガラス転移温度(T
g)>
ブルカーエイエックス社製熱機械分析装置(TMA4000)またはTAインスツルメンツ社製動的粘弾性測定装置(Q800)を用いて周波数0.1Hz、昇温速度5℃/分における損失ピーク温度からポリイミドフィルム(20μm厚)のガラス転移温度を求めた。尚、明瞭なガラス転移が観測されない場合は未検出(ND)と表記する。T
gが高い程、より高温まで急激な軟化が抑制されていることを表し、本測定によりT
gが未検出の場合、フィルム試料の軟化は測定の全温度域で全く起こらないことを表す。
【0062】
<線熱膨張係数(CTE)>
ブルカーエイエックス社製熱機械分析装置(TMA4000)を用いて、熱機械分析により、荷重0.5g/膜厚1μm当たり、昇温速度5℃/分における試験片の伸びより、100〜200℃の範囲での平均値としてポリイミドフィルム(膜厚約20μm)のCTEを求めた。CTE値が0に近いほど熱工程に対する寸法安定性にすぐれていることを表す。
【0063】
<熱可塑性>
熱可塑性の指標として、動的粘弾性曲線におけるT
g付近での貯蔵弾性率(E´)減少の傾き即ち、−d logE´/ dT を求めた。この値が大きいほど、ポリイミドフィルムの熱可塑性が高いことを表す。
【0064】
[合成例1]
<BO基含有ジアミンの合成>
3つ口フラスコ中、3,3’−ジヒドロキシベンジジン(以下、p−HABという。)(和歌山精化社製、4.33g、20mmol)をよく脱水したN−メチル−2−ピロリドン(NMP、80mL)に溶解し、これに脱酸剤としてピリジン(3.2mL、40mmol)を添加し、セプタムキャップでシールしてA液とした。次にナス型フラスコ中、3−ニトロ安息香酸クロリド(7.62g、42mmol)をNMP(67mL)に溶解し、セプタムキャップでシールしてB液とした。B液を氷浴中で冷却し、回転子で撹拌しながらシリンジにてA液をB液に少しずつ加え、添加終了後3時間撹拌し、更に室温で12時間撹拌してジアミド体を合成した。
【0065】
次に脱水環化反応を完結させるため、この反応溶液にp−トルエンスルホン酸一水和物(2.38g、12mmol)を加え、窒素雰囲気中、200℃で3時間還流を行った。これを室温で静置し、生成した沈殿物を濾別してNMP、メタノールおよび水で洗浄した。この際、洗液に1%硝酸銀水溶液を適宜添加して白色沈殿が見られなくなるまで洗浄を繰り返し、塩化物イオンを完全に除去した。更にメタノールで洗浄後、100℃で12時間真空乾燥して収率41%で黄緑色粉末を得た。
【0066】
この生成物は重水素化ジメチルスルホオキシド(DMSO−d
6)やCDCl
3に殆ど不溶であったため、
1H−NMR測定は実施できなかったが、示差走査熱量分析により321℃にシャープな融点を示した。この生成物の赤外線吸収スペクトルは、1626cm
−1にBO基C=N伸縮振動バンド、1527/1351cm
−1にニトロ基伸縮振動バンドを示し、アミドC=O伸縮振動バンドやフェノール性O−H伸縮振動バンドは見られなかった。これらの結果から生成物は目的とする式(18)で表されるジニトロ体であると考えられる。
【0067】
【化22】
【0068】
次に3つ口フラスコ中、このジニトロ体(10.22g、21.4mmol)をNMP(100mL)に溶解し、触媒としてPd/C(1.12g)を加え、水素雰囲気中110℃で5時間還元反応を行った。反応の進行は薄層クロマトグラフィーによって追跡した。 反応終了後、熱濾過によりPd/Cを分離した後、濾液を室温まで冷却し大量に水にゆっくりと滴下して生成物を析出させた。沈殿物を濾別し、水で繰り返し洗浄した後、100℃で12時間真空乾燥して収率93%で融点311℃の灰色粉末を得た。更にDMSOで再結晶した。
【0069】
この生成物の赤外線吸収スペクトルは、3428/3341/3231cm
−1にアミノ基N−H伸縮振動バンド、3054cm
−1に芳香族C−H伸縮振動バンド、1632cm
−1にBO基C=N伸縮振動バンドを示し、ニトロ基伸縮振動バンドやアミドC=O伸縮振動バンドは見られなかった。また、
1H−NMR測定の結果は、以下の通りとなった。これらの結果から、この生成物は目的とする式(19)で表されるBO基含有ジアミンであることが確認された。
【0070】
1H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO−d
6,δ,ppm):8.18(s,2H,BO基)、7.88−7.81(m,4H,BO基)、7.47(s,2H,末端フェニル基)、7.37(d,2H,J=7.7Hz,末端フェニル基)、7.28−7.24(t,2H,末端フェニル基)、6.82(d,2H,J=8.0Hz,末端フェニル基)、5.51(s,4H,NH
2)
【0071】
【化23】
【0072】
<ポリイミド前駆体の重合、イミド化およびポリイミドフィルムの特性評価>
[実施例1]
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中に式(19)で表されるBO基含有ジアミン5mmolを入れ、モレキュラーシーブス4Aで十分に脱水したNMPを加えて撹拌した。この溶液に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、(東京化成工業社製、以下BPDAと称する)粉末5mmolを加え、溶質濃度25重量%で重合を開始し、最終的には20重量%まで希釈し、室温で72時間攪拌して均一で粘稠な、ポリイミド前駆体を含む溶液を得た。NMP中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリイミド前駆体の還元粘度は0.85dL/gであった。このポリイミド前駆体を含む溶液をガラス基板に塗布し、熱風乾燥器中80℃で3時間乾燥してポリイミド前駆体フィルムを作製した。これをガラス基板ごと250℃で1時間、更に350℃で1時間真空中で熱イミド化を行った後、残留応力を除去するために基板から剥がして更に真空中320℃で1時間熱処理を行い、膜厚20μmの柔軟なポリイミドフィルムを得た。ポリイミドフィルム(膜厚20μm)について動的粘弾性測定(周波数0.1Hz)を行った結果、332℃に明瞭なガラス転移点が観測された。また線熱膨張係数は38.8ppm/Kと比較的低い値であった。更にこのポリイミドフィルムは、−d logE´/ dT=0.86と極めて高い値を示し、優れた熱可塑性を有していた。
【0073】
[実施例2]
ジアミン成分として式(19)で表されるBO基含有ジアミン(2.5mmol)とp−フェニレンジアミン(以後PDAと称する)(2.5mmol)を併用し、テトラカルボン酸二無水物成分としてBPDA(5mmol)を用い、実施例1に記載した方法に従って重合を行い、均一で粘稠な、ポリイミド前駆体を含む溶液を得た。
NMP中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリイミド前駆体の還元粘度は0.82dL/gであった。また、得られたポリイミド前駆体ワニスを実施例1に記載した方法に従って製膜、熱イミド化、膜物性評価を行った。動的粘弾性測定(周波数0.1Hz)を行った結果、303℃に明瞭なガラス転移点が観測された。また線熱膨張係数は34.3ppm/Kと比較的低い値であった。更にこのポリイミドフィルムは、−d logE´/ dT=0.48と極めて高い値を示し、優れた熱可塑性を有していた。
【0074】
[実施例3]
ジアミン成分として式(19)で表されるBO基含有ジアミン(1.5mmol)とp−フェニレンジアミン(東京化成工業社製、以後PDAと称する)(3.5mmol)を併用し、テトラカルボン酸二無水物成分としてBPDA(5mmol)を用い、実施例1に記載した方法に従って共重合を行い、均一で粘稠な、ポリイミド前駆体を含む溶液を得た。NMP中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリイミド前駆体の還元粘度は1.15dL/gであった。
図1に得られたポリイミド前駆体の薄膜の赤外線吸収スペクトルを示す。2600cm
−1付近にブロードな吸収帯(水素結合性COOH基O−H伸縮振動バンド)、1712cm
−1に水素結合性COOH基C=O伸縮振動バンド、1656cm
−1および1560cm
−1にアミド基C=O伸縮振動バンド、1516cm
−1に1,4−フェニレン基伸縮振動バンドが観測され、モノマー由来のアミノ基N−H伸縮振動バンドやテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基C=O伸縮振動バンドが見られないことから、目的とするポリイミド前駆体の生成が確認された。
また、得られたポリイミド前駆体を含むワニスを実施例1に記載した方法に従って製膜、熱イミド化した。
図2に同一条件で別途作製されたポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを示す。3070cm
−1に芳香族C−H伸縮振動バンド、1774m
−1および1719cm
−1にイミド基C=O伸縮振動バンド、1620cm
−1にBO基C=N伸縮振動バンド、1516cm
−1に1,4−フェニレン基伸縮振動バンド、1361cm
−1にイミド基N−C(芳香族)伸縮振動バンドが観測され、COOH基やアミド基に由来する吸収帯が見られないことから、イミド化反応は完結しており、目的とするポリイミドの生成が確認された。
膜物性評価を行ったところ、動的粘弾性測定(周波数0.1Hz)を行った結果、311℃に明瞭なガラス転移点が観測された。また線熱膨張係数は23.5ppm/Kと比較的低い値であった。更にこのポリイミドフィルムは、−d logE´/ dT=0.05と比較的高い値を示し、剛直なPDAの含有量がかなり高いにもかかわらずなお熱可塑性を有していた。
【0075】
[実施例4]
ジアミン成分として式(19)で表されるBO基含有ジアミン(5mmol)と、テトラカルボン酸二無水物成分としてBPDAの代わりに2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(5mmol、JFEケミカル社製、以下NTDAと称する)を用い、実施例1に記載した方法に従って重合を行い、均一で粘稠な、ポリイミド前駆体を含む溶液を得た。NMP中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリイミド前駆体の還元粘度は0.93dL/gであった。
また、得られたポリイミド前駆体ワニスを実施例1に記載した方法に従って製膜、熱イミド化、膜物性評価を行った。
動的粘弾性測定(周波数0.1Hz)を行った結果、414℃に明瞭なガラス転移点が観測された。また線熱膨張係数は31.6ppm/Kと比較的低い値であった。更にこのポリイミドフィルムは、−d logE´/ dT=0.29と極めて高い値を示し、優れた熱可塑性を有していた。
【0076】
[実施例5]
ジアミン成分として式(19)で表されるBO基含有ジアミン(3.5mmol)と式(16−1)で表されるジアミン(1.5mmol)を併用し、テトラカルボン酸二無水物成分としてNTDA(5mmol)を用い、実施例1に記載した方法に従って共重合を行い、均一で粘稠なBO基含有ポリイミド前駆体溶液を得た。
NMP中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリイミド前駆体の還元粘度は0.68dL/gであった。
また、得られたポリイミド前駆体ワニスを実施例1に記載した方法に従って製膜、熱イミド化、膜物性評価を行った。
動的粘弾性測定(周波数0.1Hz)を行った結果、384℃に明瞭なガラス転移点が観測された。また線熱膨張係数は12.7ppm/Kと比較的低い値であった。更にこのポリイミドフィルムは、−d logE´/ dT=0.23と極めて高い値を示し、優れた熱可塑性を有していた。
【0077】
【化24】
【0078】
[実施例6]
ジアミン成分として式(19)で表されるBO基含有ジアミン(5mmol)と、テトラカルボン酸二無水物成分としてBPDAの代わりにピロメリット酸二無水物(5mmol、東京化成工業社製)を用い、実施例1に記載した方法に従って重合を行い、均一で粘稠なBO基含有ポリイミド前駆体溶液を得た。
NMP中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリイミド前駆体の還元粘度は0.90dL/gであった。
また、得られたポリイミド前駆体ワニスを実施例1に記載した方法に従って製膜、熱イミド化、膜物性評価を行った。動的粘弾性測定(周波数0.1Hz)を行った結果、378℃に明瞭なガラス転移点が観測された。また線熱膨張係数は32.2ppm/Kと比較的低い値であった。更にこのポリイミドフィルムは、−d logE´/ dT=0.076と比較的高い値を示し、熱可塑性を有していた。
【0079】
[実施例7]
ジアミン成分として式(19)で表されるBO基含有ジアミン(3.5mmol)と式(16−1)で表されるジアミン(1.5mmol)を併用し、テトラカルボン酸二無水物成分としてPMDA(5mmol)を用い、実施例1に記載した方法に従って共重合を行い、均一で粘稠なBO基含有ポリイミド前駆体溶液を得た。
NMP中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリイミド前駆体の還元粘度は1.12dL/gであった。
また、得られたポリイミド前駆体ワニスを実施例1に記載した方法に従って製膜、熱イミド化、膜物性評価を行った。
動的粘弾性測定(周波数0.1Hz)を行った結果、372℃に明瞭なガラス転移点が観測された。また線熱膨張係数は21.0ppm/Kと低い値であった。更にこのポリイミドフィルムは、−d logE´/ dT=0.30と極めて高い値を示し、優れた熱可塑性を有していた。また、5%重量減少温度は窒素雰囲気中で570℃、空気雰囲気中で554℃であり、このポリイミドフィルムは優れた熱安定性も有していた。
【0080】
[比較例1]
テトラカルボン酸二無水物成分としてBPDA、ジアミン成分としてPDAを用い、実施例1に記載した方法に従って重合、製膜、熱イミド化してポリイミドフィルムを作製した。このポリイミドフィルムは非常に高いT
g(370℃)および非常に低いCTE(10.7ppm/K)を有していたが、−d logE´/ dT=0.016と低い値を示し、殆ど熱可塑性を示さなかった。
【0081】
[比較例2]
テトラカルボン酸二無水物成分としてNTDA、ジアミン成分として式(16−1)で表されるジアミン用い、実施例1に記載した方法に準じて重合、製膜、熱イミド化、膜物性評価を行った。このポリイミドフィルムは非常に高いT
g(437℃)および非常に低いCTE(8.4ppm/K)を有していたが、−d logE´/ dT=0.008と低い値を示し、殆ど熱可塑性を示さなかった。