(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蛍光体層は、85重量%以上94重量%以下の前記青色蛍光体と、2重量%以上3重量%以下の前記緑色蛍光体と、2重量%以上4重量%以下の前記黄色蛍光体と、2重量%以上8重量%以下の前記赤色蛍光体と、を合計100重量%になるように含む、請求項3に記載の白色光源システム。
前記発光ダイオードチップから放射され且つ360nm以上420nm以下のピーク波長を有する紫外ないし紫色の一次光の少なくとも一部は、前記蛍光体に吸収されて白色の二次光に変換され、
前記二次光は、前記白色光源の外部に放射され、
前記白色光源の外部に漏出する前記一次光の発光効率は、0.4mW/lm以下である、請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載の白色光源システム。
前記発光ダイオードは、前記蛍光体層の外側に設けられ且つ酸化亜鉛、酸化チタン、および酸化アルミニウムの少なくとも一つの材料を含む紫外線吸収膜をさらに備える、請求項3ないし請求項7のいずれか一項に記載の白色光源システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態の白色光源は、光の放射が可能な光源部を具備する。光源部は、印加される電流に応じて光を放射する。光源部から放射される光は、白色光である。
【0012】
近年、太陽光の再現が可能な白色光源が複数提案されている。また、上記白色光源と別の太陽光の再現が可能な商品も市場に多数知られている。これらの照明製品として、任意の瞬間の太陽光に近似する光を発する照明製品や、太陽光の変化を捉えた場合であっても太陽光の色温度変化に着目して太陽光の近似を図る照明製品が多い。これに対し、時間や場所の違いによる太陽光の色温度および光特性の変化データをコントロールする方法も考えられる。しかしながら、例えば上記人工太陽光システムでは、色温度以外の光特性の変化については、具体的に説明されていない、または改良されていない。
【0013】
太陽光の変化は色温度のみに限られない。太陽光は、例えば照射率や純度・濁度によっても変化する。色温度に加え、これらの要素を含む変化は、地域毎に異なる風土を生み出す大きな要因である。
【0014】
例えば、日本の地域を日本海側の地域および太平洋側の地域の複数の地域に分けた場合、日本海側の地域では、曇りや雨、雪の日が多い。また、日本海側の地域の大気は、水蒸気や埃等の浮遊物を多く含む。このため、太陽光が遮られ、物質の色が濁る。
【0015】
太平洋側の地域では、水蒸気が少ないため大気の純度が高い。よって、物質の色が澄んだ色である。従って、地域によって色の嗜好に違いが生じ、日本海側の地域に住む人達は濁色を好み、太平洋側の人々は清色を好む傾向がある。
【0016】
絵画等の美術品は、人間による創作である。従って、個人によるオリジナル作品である。しかしながら、環境の影響を回避して作品の色彩を表現することはできない。写実画は当然であるが、抽象画において、赤または青の強調、清色または濁色を好むこと等の選択は、既に風土等の影響を受けている可能性を有する。
【0017】
仮に、上記選択が純粋に個人の感性に基づく場合であっても、創作物の色表現を光源からの光の反射光で識別する以上、光の影響は避けられない。つまり、作者が個人的な意図で赤色を強調しても、強調の程度は、光源中に含まれる同じ波長の赤色発光成分の量に影響される。
【0018】
美術鑑賞等において、作品の本当の価値を理解するためには、単に太陽光を再現するだけではなく、作品の制作環境と同じ環境の光を再現することが非常に重要である。つまり作品の制作国や制作地域、季節や時間、さらには時代や天候等が作者の体験環境と同じ環境の光の下で作品を鑑賞することにより、作者と同じように作品を理解することができる。
【0019】
実施形態の白色光源では、各種色温度の太陽光を再現する。即ち、特定の色温度の太陽光を再現する場合に、太陽光と同じ色温度の黒体輻射のスペクトルを太陽光の発光スペクトルとみなし、白色光を黒体輻射のスペクトルの形状に近似する。太陽を黒体の一種であると考えることができる。黒体輻射のスペクトル曲線と太陽光の発光スペクトル曲線との一致度は良好である。実際の太陽光の発光スペクトル分布は、5800Kの色温度の黒体輻射のスペクトルに近いとされている。
【0020】
地球上に到達する実際の太陽光の発光スペクトルが黒体輻射のスペクトルと若干ずれる場合がある。太陽光の発光スペクトルが黒体輻射のスペクトルに近似していても、地球上に到達するまでの間に、地表上の空気、水蒸気、または塵埃等の層を通過し、特定波長の光が散乱するためである。青色光の散乱等によるマクロの変化を色温度の変化として再現することは可能である。しかしながら、発光スペクトルの特定波長域に生じる微小な凹凸波形まで人工的に再現することは困難である。
【0021】
このような微小な差異が、地域による風土の違いを生み出す要因である。本実施形態の白色光源は、上記微小な差異を再現可能にするために工夫された白色光源である。具体的には、地上に到達した太陽光のスペクトルと太陽光と同じ色温度の黒体輻射スペクトルとの間のズレの程度を、CIE色度図において黒体軌跡からの偏差に換算し、所定の偏差を有する色度点に対応する相関色温度の白色光を再現する白色光源である。
【0022】
実施形態の白色光源は、黒体輻射のスペクトル形状を再現した上で、時間差や地域差を含めて、地上に到達した太陽光と同じ形状を有する発光スペクトルに近似させることが可能である。そのため、例えば美術品等の展示物の照明に用いられる館内照明に上記白色光源を利用すると、展示物に照射する光を当該展示物の制作時期や制作場所と同じ環境の光に近づけることができ、作者の意図をより忠実に再現することが可能な照明を得ることができる。
【0023】
前述のとおり、実施形態の白色光源の目的は、太陽光をより忠実に再現することである。太陽光を忠実に再現するためには、時間や場所により変化する太陽光の発光スペクトルを正確に捉える必要がある。
【0024】
地球の緯度や経度の違いによる変化は、太陽光の入射角度の違いにより、地球表面の大気圏を通過する距離が異なることによって生じる。つまり、太陽光が大気中を通過する際、空気中に浮遊するガス分子等により、太陽光が散乱され、通過距離によって青色光等の散乱程度に違いが生じるためである。このような太陽光の変化は、色温度の違いとしてマクロに捉えることができる。この場合、色温度の異なる太陽光の発光スペクトルは、対応する色温度の黒体輻射スペクトルで近似することができる。
【0025】
図1に示す式により、色温度の異なる様々な発光スペクトルを比較的容易に再現することが可能である。
図1において、hはプランク定数を表し、cは光速度を表し、λは波長を表し、eは自然対数の底を表し、kはボルツマン定数を表し、Tは色温度を表す。黒体輻射スペクトルでは、h、c、e、kが定数である。よって、色温度が決まれば波長に応じた発光スペクトルを求めることができる。
【0026】
太陽光の発光スペクトルは、緯度や経度の違いだけでなく、地域差によっても変化する。この場合、変化する要因として様々な要因が挙げられる。例えば、光散乱は、空気やガスの分子だけでなく、水蒸気や塵埃等の微粒子も影響する。水蒸気や塵埃等の濃度は、地域によって様々である。例えば海に近い地域と、砂漠に近い地域では、大きな相違がある。散乱だけでなく、反射による影響も無視できない。つまり、人間が太陽光として知覚する光は、太陽から降り注ぐ直接光に加え、地上に到達後に反射する光を含む。海に近い地域や、森に近い地域、そして建物が密集する都会では、反射光に含まれる光成分が当然違う。このように、地域差による太陽光の変化は、複数の要因が複雑に絡まることにより起こる。上記変化では、一般的な規則性は無い。よって、上記変化を地域固有の要因に基づく変化であると捉える必要がある。
【0027】
このような太陽光の変化を再現するために、本実施形態では、地域や時間毎に変化する太陽光の発光スペクトルを実測し、できるだけ多くのデータを収集し、保存活用する。これにより太陽光を再現する。具体的には、世界中の主要地域において太陽光の発光スペクトルを測定し、一日のうちの時間毎の変化、一年のうちの季節毎の変化をデータとして集積する。なお、本実施形態において集積するデータは、原則として晴れの日に関するデータである。よって、曇り、雨、雪等の影響は考慮されていない。
【0028】
図2は日本の横浜市における5月14日10時の太陽光の発光スペクトルの一例である。
図3は東京都における5月27日17時の太陽光の発光スペクトルの一例である。これらの発光スペクトルは、例えば以下の方法により測定することができる。
【0029】
回折格子を備え、光強度の波長成分の分解機能を有する測色装置(分光分布測定器)の光検出部分を太陽に向ける。これにより、太陽光を分光分布測定器に直接取り込み、発光スペクトルを測定する。測定の波長範囲は、360nmから760nmまでの範囲であり、可視光域を網羅している。分光分布測定器に取り込む光の強度は、測定器に組み込まれている露光時間調節機能により調整される。このとき、光の強度が大きい波長領域においても飽和現象がないことが好ましい。測定結果の電子データから波長毎の光の強度を算出し、その結果に基づいて太陽光のCIE色度座標値、太陽光の相関色温度、太陽光の偏差を算出する。偏差は、例えば相関色温度と同じ色温度の黒体輻射軌跡に対する当該相関色温度を特定する色度点の偏差である。
【0030】
いずれの発光スペクトルもギザギザな曲線である。この発光スペクトルに対してスムージングを施すことにより、当該発光スペクトルを特定の色温度の黒体輻射スペクトルの形状に近似させることができる。
図2と
図3とを比較すると、スペクトル曲線中の凹凸の位置が重なっている。このことから、それぞれの凹凸がノイズ等ではなく、特定浮遊物等の固有な要因に基づくことがわかる。
図2および
図3に示す発光スペクトルは、650nmから750nmの波長にかけて特徴的な3箇所の凹凸を有する。上記3箇所の凹凸の程度が最も大きいことから、これらの波長域の発光スペクトルの形状が、地域差等によって異なる要因の一つであると推定される。
図2、
図3の発光スペクトルの形状を基に白色光の相関色温度を計算すると、
図2が5495K+0.001duvであり、
図3が4483K−0.001duvである。
【0031】
上記は2箇所のみの比較であるが、各地域、各時間の太陽光の発光スペクトルのデータを比較評価し、全体の傾向を確認する。これにより、発光色の色度点が(x、y)色度図上の黒体軌跡に近い点を示すことがわかる。また、発光色の色度点が黒体軌跡上の点と完全に一致するとは限らないこと、そしてほぼ全てのデータにおいて、色温度が2600Kから6500Kの間であり、黒体輻射軌跡を挟み偏差が±0.005duvの色度点を含む領域の範囲内に対応する色温度であることがわかる。
【0032】
図4は、本実施形態の白色光源の発光色度域を示す図(CIE色度図)である。色温度および偏差が異なる複数の白色光源を用いることにより、発光色度域において四角形状もしくは多角形状の範囲内の全ての発光色を再現することができる。具体的には例えば
図4に示すとおり、図中のX1、X2、X3、X4、X5、X6を結ぶ直線に囲まれた領域内の発光色を再現することができる。X1、X2、X3、X4、X5、X6は、色度点である。実施形態の白色光源システムは、例えばX1、X2、X3、X4、X5、X6に相当する4または6種類の白色光源を備えている。
【0033】
X3に対応する相関色温度は、X1に対応する色温度よりも高くX5に対応する相関色温度よりも低い。X4に対応する相関色温度は、X2に対応する色温度よりも高くX6に対応する相関色温度よりも低い。すなわち、X3、X4に対応する相関色温度は、X1、X2に対応する相関色温度よりも高く、X5、X6に対応する相関色温度は、X3、X4に対応する相関色温度よりも高い。
【0034】
X1、X2に対応する相関色温度は、例えば2600K以上4000K以下、または2600K以上4000K未満である。X5、X6に対応する相関色温度は、例えば4000K以上6500以下、または5000K以上6500K以下である。
【0035】
X1、X3、X5の黒体輻射軌跡に対する偏差のそれぞれは、0以上+0.005以下、例えば0超+0.005以下である。X2、X4、X6の黒体輻射軌跡に対する偏差のそれぞれは、−0.005以上0以下、例えばー0.005以上0未満である。
【0036】
互いに異なる色温度および偏差を有する複数の白色光源を任意の強度割合で混合することにより、多角形状の範囲内の全ての発光色を再現することができる。より具体的には、X1、X2、X3、X4を結ぶ直線に囲まれた四角形、X3、X4、X5、X6を結ぶ直線に囲まれた四角形、さらにはX1、X2、X3、X4、X5、X6を結ぶ直線で囲まれた多角形の範囲の発光色を再現することができる。
【0037】
図4からこの形状の範囲は、色温度が2600Kから6500Kまでの黒体軌跡上の発光色と、黒体軌跡からの偏差が±0.005duvの範囲内の白色光領域を網羅していることがわかる。よって、本実施形態の白色光源では、単純に黒体軌跡上の白色光のみでなく、地球上の様々な環境要因によって変化する、微妙な色温度のズレも考慮して太陽光を再現することが可能となる。
【0038】
特定の四角形等の範囲内の色再現について説明したが、四角形の各頂点に相当する発光色を様々な相関色温度の白色に設定することで、種々の白色光を当然再現することができる。また、4種類または6種類の白色光源を任意に混合し、本実施形態の白色光源を得ることができるが、基になる白色光源の種類は、8種類さらには10種類等の多くの白色光源を利用する方が、よりきめ細かに種々の色温度の太陽光を再現することができる。
【0039】
複数の白色光源を備える白色光源システムにより、幅広い範囲の色温度の白色光を再現することができる。しかし、基になる白色光源の種類が多いとシステムの設計が複雑である。最低4種類の白色光源を使用すれば、白色光源システムの機能を不足なく発揮することが可能である。再現する白色光の色温度の範囲は、例えば2600Kから6500Kであり、2600Kを下限とし、6500Kを上限として、任意の2点間の色温度を再現範囲として選択することが可能である。このように、実施形態の白色光源システムの発光部から放射される光は、CIE色度図上の色度点であって黒体輻射軌跡に対して−0.005以上+0.005以下の偏差を含む色度点に対応する2600K以上6500K以下の相対色温度を有する。
【0040】
本実施形態の白色光源または白色光源システムでは、発光色のみでなく、発光スペクトルを含めて、太陽光の再現が可能である。
図4のX1〜X6に示した6種類の発光色の光は、それぞれが黒体輻射のスペクトルに近似する、発光スペクトル分布を有している。具体的には、各白色光の発光スペクトルをP(λ)、白色光の相対色温度と同じ色温度を示す黒体輻射の発光スペクトルをB(λ)、分光視感効率のスペクトルをV(λ)、P(λ)×V(λ)が最大となる波長をλmax1、B(λ)×V(λ)が最大となる波長をλmax2としたとき、白色光源の発光スペクトルは下記式(1)を満たす。
【0041】
−0.2≦[(P(λ)×V(λ))/(P(λmax1)×V(λmax1))−(B(λ)×V(λ))/(B(λmax2)×V(λmax2))]≦+0.2
(1)
【0042】
本実施形態の白色光源では、下記式(2)を満足することにより黒体輻射の発光スペクトルをより厳密に再現することができる。
【0043】
−0.1≦[(P(λ)×V(λ))/(P(λmax1)×V(λmax1))−(B(λ)×V(λ))/(B(λmax2)×V(λmax2))]≦+0.1
(2)
【0044】
(P(λ)×V(λ))は、分光視感効率領域における白色光の発光スペクトルの強さを示している。(B(λ)×V(λ))は、分光視感効率領域における黒体輻射のスペクトルの強さを示している。
【0045】
本実施形態の白色光源では、基礎となる少なくとも4種類の白色光が黒体輻射に近似する発光スペクトルを有する。これにより、太陽光の各発光色成分を、過不足なく有することができる。よって、4種類の光を任意の割合で含む各白色光も太陽光が有する発光成分を備えているとみなすことができる。つまり、本実施形態の白色光源で得られる白色光は、各色温度の黒体輻射スペクトルの特徴を有する。その上で、本実施形態の白色光源では、特定波長域の微妙な変動を含めて太陽光を再現することができる。
【0046】
本実施形態の白色光源は、発光特性に特徴を有する。よって、太陽光が再現できれば、どの様な構成部材を用いても構わない。このため、様々な光源の応用が可能だが、様々な相関色温度の白色光を得るには、蛍光体を用いて発光色を調整する方法が最も簡便であり、蛍光体応用製品を用いることが好ましい。光源部は、例えば発光ダイオードを有していてもよい。特に、LEDと蛍光体との組み合わせによる光源は、特性面のみならず、製造面や応用面でも優位な特徴を有しており最適である。
【0047】
LEDとしては、紫外〜紫色領域に発光ピーク波長を有するLEDを使用することが好ましい。紫外〜紫色領域は、具体的には360〜420nmの範囲である。発光ピーク波長が420nmを超えるLEDを使用した場合、LEDの光は、特定波長でシャープな発光を示すため、一般的にブロードなスペクトル形状を有する蛍光体の発光とのバランスが悪くなり、上記式(1)、(2)の関係を満足することが困難となる。
【0048】
紫外ないし紫色であれば、視感度が低いため、白色光に与える影響は少ない。さらに、LEDからの一次光を白色光源の外部に出ないようにカットすることで、問題を無くすことも可能である。なお、LEDの種類について、発光ピーク波長以外では特に制限される条件はなく、レーザー発光のLEDであっても、またLEDの材料は特に限定されない。
【0049】
白色光源の発光スペクトルが、式(1)、(2)の関係を満足するためには、LEDに組み合わせる蛍光体として、青色蛍光体、青緑色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、および赤色蛍光体のうちの3種以上、さらには5種以上の蛍光体を用いることが好ましい。これらの蛍光体を、対応する黒体輻射のスペクトルに合わせて任意に混合することにより、任意の色温度もしくは、任意の偏差を有する白色光を得ることができる。蛍光体の具体的な種類としては、発光ピークが420〜700nmにあれば特に限定されない。350〜420nmで励起される蛍光体としては、例えば以下の蛍光体が好ましい。
【0050】
青色蛍光体としては、ユーロピウム付活アルカリ土類リン酸塩蛍光体(ピーク波長440〜455nm)やユーロピウム付活バリウムマグネシウムアルミン酸塩蛍光体(ピーク波長450〜460nm)等が挙げられる。
【0051】
青緑色蛍光体としては、ユーロピウム付活ストロンチウムアルミン酸塩蛍光体(ピーク波長480〜500nm)や、ユーロピウム、マンガン付活バリウムマグネシウムアルミン酸塩蛍光体(ピーク波長510〜520nm)等が挙げられる。
【0052】
緑色蛍光体としては、ユーロピウム付活オルソ珪酸塩蛍光体(ピーク波長520〜550nm)、ユーロピウム付活ベータサイアロン蛍光体(ピーク波長535〜545nm)、ユーロピウム付活ストロンチウムサイアロン蛍光体(ピーク波長520〜540nm)等が挙げられる。
【0053】
黄色蛍光体としては、ユーロピウム付活オルソ珪酸塩蛍光体(ピーク波長550〜580nm)やセリウム付活希土類アルミニウムガーネット蛍光体(ピーク波長550〜580nm)等が挙げられる。
【0054】
赤色蛍光体としては、ユーロピウム付活ストロンチウムサイアロン蛍光体(ピーク波長600〜630nm)、ユーロピウム付活カルシウムニトリドアルミノシリケート蛍光体(ピーク波長620〜660nm)、ユーロピウム付活酸硫化ランタン蛍光体(ピーク波長620〜630nm)やマンガン付活マグネシウムフロロジャーマネート蛍光体(ピーク波長640〜660nm)等が挙げられる。
【0055】
蛍光体は、樹脂材料と混ぜ合わされ、蛍光膜等の蛍光体層として使用される。LEDチップの周囲を直接または間接的に蛍光膜で被覆することにより、LEDから出射された一次光の少なくとも一部が、蛍光膜で吸収されて二次光(白色光)に変換され、白色光源の外部に放射される。樹脂材料は、透明な材料であれば特に制限されない。LEDとして紫外ないし紫色LEDを用いる場合、紫外線に対する耐劣化特性の良好な、シリコーン樹脂等を用いることが好ましい。
【0056】
蛍光体層は、例えば85
重量%以上94重量%以下の青色蛍光体と、2重量%以上3重量%以下の緑色蛍光体と、2重量%以上4重量%以下の黄色蛍光体と、2重量%以上8重量%以下の赤色蛍光体と、を合計100重量%になるように含んでいてもよい。
【0057】
本実施形態の白色光源では蛍光体発光の組み合わせにより白色発光を得る。LEDからの一次光において、なるべく多くのエネルギーが蛍光体に吸収されることが好ましい。さらに、LEDの光が光源外部に漏出することを避けなければならない。特に、LED光に紫外線が含まれる場合には、美術品等を損ねる可能性がある。よって、漏出防止が求められる。
【0058】
本実施形態のLEDモジュールでは、紫外線の漏出を防止するために、蛍光膜の厚さが十分な厚さであることが好ましい。個々の蛍光体粒子表面で反射されたLEDの一次光が、蛍光膜を透過して光源の外部に漏出しないように、蛍光膜を厚くする。
【0059】
蛍光膜の厚さが極端に厚すぎると、蛍光体の発光自身も蛍光膜の外に放射されず、蛍光膜の発光強度が低下する。一般的に、蛍光体の粒子径および最適膜厚は互いに比例関係にあることが知られており、本実施形態では、蛍光膜に実用上できるだけ大きい粒子を含む蛍光体を用い、蛍光膜をできるだけ厚くする。このような目的のため、本実施形態のLEDモジュールに用いられる蛍光体では、蛍光体粒子の平均粒子径が10μm以上40μm以下であることが好ましい。
【0060】
粒子径に対応する蛍光膜の厚さは、100μm以上1000μm以下であることが好ましい。これにより、蛍光膜の発光を極力低下させず、かつ紫外線の漏出を極力抑制するLEDモジュールを得ることができる。
【0061】
紫外線漏出防止をさらに徹底するために、蛍光膜の外側に紫外線吸収膜を形成してもよい。この場合、紫外線の吸収・反射材料として酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム等の微粒子白色顔料を使用することができる。これらの微粒子顔料を蛍光膜同様に、樹脂中に分散させ、蛍光膜の外側に直接的もしくは間接的に、紫外線吸収膜を形成することにより、目的のLEDモジュールを得ることができる。本実施形態のLEDモジュールでは、LEDモジュールの外部に漏出する一次光の発光効率を0.4mW/lm以下に低減することができる。
【0062】
一次光の量は、例えば以下の方法により求められる。下記式(3)に示すように、光源部から放射される白色光の発光スペクトルをP(λ)、分光視感効率のスペクトルをV(λ)として、両者を掛け合わせて積分してφを求める。
【0064】
LEDより出射される一次光エネルギーは、例えば以下の方法により求められる。下記式(4)に示すように、スペクトルF(λ)を360〜420nmの範囲で積分してUVを求める。
【0066】
光源部から出射される発光の光束あたりの一次光のエネルギーは、例えばUV/φにより求められる。
【0067】
本実施形態の白色光源システムの概要を
図5に示す。
図5に示す白色光源システムは、複数種のLEDモジュール(LEDモジュール8〜11)を備える発光部12と、LEDモジュールの発光を制御する制御部13と、を具備する。
【0068】
LEDモジュール8〜11は、基板5上に設けられている。LEDモジュール8〜11のそれぞれは、LEDチップ7と、LEDチップ7を被覆する蛍光体層6と、を備える。発光部12は、必要に応じて、リフレクタやレンズ、さらには出力光を拡散するためのグローブ等を備えていてもよい。また、LEDモジュール8〜11を囲む外囲器4は、用途に合わせて、立方体、直方体、円柱状、円盤状等様々な形状を備えていてもよい。
【0069】
LEDモジュール8〜11は、例えば上記白色光源を備える。よって、発光部12から放射される白色光は、LEDモジュール8〜11のそれぞれから放射される白色光の混合光である。混合光は、例えばX1ないしX6を結ぶ直線で囲まれた領域内の色度点に対応する相関色温度を有していてもよい。
【0070】
LEDモジュール8から放射される光は、例えば
図4におけるX1で表される相関色温度を有し、LEDモジュール9から放射される光は、例えば
図4におけるX2で表される相関色温度を有し、LEDモジュール10から放射される光は、例えば
図4におけるX5で表される相関色温度を有し、LEDモジュール11から放射される光は、例えば
図4におけるX6で表される相関色温度を有していてもよい。
【0071】
制御部13は、LEDモジュール8〜11のそれぞれの発光強度を制御することができる。
図5に示す制御部13は、マイクロプロセッサ1と、メモリ2と、データ入出力部3と、電子回路(図示せず)と、を備える。
【0072】
メモリ2は、地球上の日本国内および日本国外の複数の主要地域で観測した太陽光の発光スペクトルを示すデータ、相関色温度を示すデータ、偏差を示すデータ等を保存する。上記データは、「日付」や「時刻」の単位毎に、「緯度」、「経度」を基準に分類されている。
【0073】
システム使用者は、緯度・経度や都市名等の地域を示す場所情報、日付、時刻等を示す時間情報をデータ入出力部3に入力することにより、メモリ2の保存データの中から最適なデータを選択することができる。
【0074】
場所や時間が特定されると、場所情報および時間情報に対応する太陽光の発光スペクトル、相関色温度、偏差等のデータが特定され、マイクロプロセッサ1が4つの白色光源(LEDモジュール8〜11)の混合強度比を計算する。
【0075】
電子回路は、マイクロプロセッサ1、メモリと、LEDモジュール8〜11の発光強度とを制御することができる。マイクロプロセッサ1の計算結果を元に電子回路は、各LEDモジュールに印加する電流量を制御する。例えばマイクロプロセッサ1により生成される制御信号により電子回路は制御される。よって、目的の発光スペクトル、相対色温度、および偏差を有する光を得ることができる。
【実施例】
【0076】
任意の場所および時間の太陽光を再現可能な白色光源システムの例について説明する。本実施例では日本国内および日本国外の主要都市における白色光を再現する場合について説明する。
【0077】
(実施例1)
青色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、および赤色蛍光体を混合した。各蛍光体の材料および混合量(重量%)を表1に示す。各蛍光体としては25〜35μmの平均粒径を有する粉末を用いた。混合した蛍光体をシリコーン樹脂に分散させたスラリーをLEDチップの周囲に塗布することで、相関色温度および偏差が異なる4種の白色光源(白色光源1ないし白色光源4)を備える4つのLEDモジュールを具備する白色光源システムを作製した。蛍光膜の膜厚は、500〜700μmであった。LEDとしては、410nmに発光ピーク波長を有する紫外発光LEDを用いた。
【0078】
【表1】
【0079】
4種類の白色光源を用い、所定場所における、所定時刻の白色光を合成した。再現対象となる太陽光として、
図6に示すとおり、5月14日10時の横浜市における白色光を選択した。図中の発光スペクトルデータを用いて、白色光の色温度を計算した結果、5704K+0.001duvであることが判明した。
【0080】
この色温度の白色光を再現するために、4種類の白色光源の混合強度比を計算した。その結果、白色光源1の相対強度が100、白色光源2の相対強度が90、白色光源3の相対強度が70、そして白色光源4の相対強度が50の割合で混合することにより、
図6に示す白色光と全く同じ色温度の白色光を合成することができる。
【0081】
計算結果を元に、具体的に白色光を合成して
図7に示す発光スペクトルで表される白色光を得た。
図6と
図7の発光スペクトルの形状を比較すると、発光スペクトル曲線にミクロの凹凸が存在するかどうかは別にして、両者の全体形状は良好な一致度を示すことがわかる。
【0082】
上記2種類の白色光の一致度を定量的に確認するため、太陽光と同じ色温度を有する黒体輻射のスペクトルと、本実施形態の白色光源から放射される白色光の発光スペクトルとの、波長毎の差分スペクトル強度を測定し、比較した。具体的には白色光源の発光スペクトルをP(λ)、白色光源と同じ色温度を示す黒体輻射の発光スペクトルをB(λ)、分光視感効率のスペクトルをV(λ)、P(λ)×V(λ)が最大となる波長をλmax1、B(λ)×V(λ)が最大となる波長をλmax2としたとき、A=(P(λ)×V(λ))/(P(λmax1)×V(λmax1)、B=(B(λ)×V(λ))/(B(λmax2)×V(λmax2)と定義して、(A−B)の値を求めた。(A−B)の値を波長毎にグラフとして表すと
図8のようになった。
【0083】
図からもわかるように、可視光波長領域において、両者の差分は+側で0.05以下、−側で−0.1以上であり、下記式−0.1≦[(P(λ)×V(λ))/(P(λmax1)×V(λmax1))−(B(λ)×V(λ))/(B(λmax2)×V(λmax2))]≦+0.05の関係を満たすことがわかる。また、この白色光源システムから漏出されるLED一次光の強度を測定すると0.1mW/lmであり、太陽光に含まれる紫外線より遥かに微弱であることが判明した。
【0084】
以上のように作製した本実施形態の白色光源システムでは、利用者が特定場所、特定時間の太陽光を指定することにより、良好な再現特性を有する白色光を得ることができる。つまり、本実施形態の白色光源の発光スペクトルは、太陽光と同じ色温度の黒体輻射のスペクトルと、可視光領域において良好な一致度を示すことができる。
【0085】
単に黒体輻射のスペクトル形状を再現するだけでなく、黒体輻射(太陽)による発光が地球上の各地点に届く間に受ける影響度合いを、黒体輻射の色温度からの偏差として定量化し、その偏差を含めた色温度の白色光を完全に再現することができた。これにより、地域および場所を特定した太陽光を再現できる上、太陽光より遥かに微弱な紫外線のみを含有するため、例えば美術館等の展示物の照明として用いた場合、従来の光源に比べて、遥かに高い精度で展示物本来の体色を再現することができる実用的な光源を得ることができる。
【0086】
(実施例2)
5月27日17時の東京都における白色光を再現した。この白色光の特性は
図9に示すとおり、色温度が4483K−0.001duvであった。この白色光を再現するために、実施例1に用いた蛍光体と同じ種類の蛍光体を使用し、組合せを種々変更して、4種類の白色光源を備える4つのLEDモジュールを具備する白色光源システムを作製した。なお実施例2の蛍光膜では、紫外線吸収を目的として、酸化チタン微粒子と樹脂との混合スラリーを用いて、蛍光膜の外側に薄膜を形成した。得られた4種類の白色光源の色温度および、それぞれの光源の混合割合は表2に示すとおりである。
【0087】
得られた白色光源の発光スペクトルを
図10に示す。図からもわかるとおり、太陽光の発光スペクトルと、本実施形態の白色光源の発光色は良く一致しており、黒体輻射スペクトルとの差分を測定すると、
図11のとおりであった。図中の差分スペクトルよりこの光源が下記式を満たすことがわかる。また、この光源から漏出されるLED一次光は、0.04mW/lmであり、非常に微弱であった。よって、実施例2の白色光源は、実施例1と同様に美術館照明等として好適である。
−0.05≦[(P(λ)×V(λ))/(P(λmax1)×V(λmax1))−(B(λ)×V(λ))/(B(λmax2)×V(λmax2))]≦+0.05
【0088】
(実施例3)
6月10日17時の横浜市における白色光を再現した。この白色光の特性は
図12に示すとおり、色温度が3795K+0.000duvであった。この白色光を再現するために、実施例1に用いた蛍光体と同じ種類の蛍光体を使用し、組合せを種々変更して、4種類の白色光源を備える4つのLEDモジュールを作製した。この4種類の白色光源の色温度および、それぞれの光源の混合割合は表2に示すとおりである。
【0089】
得られた白色光源の発光スペクトルを
図13に示す。図からもわかるとおり、太陽光の発光スペクトルと、本実施形態の白色光源の発光色は良く一致しており、黒体輻射スペクトルとの差分を測定すると、
図14のとおりであった。図中の差分スペクトルよりこの光源が下記式を満たすことがわかる。また、この光源から漏出されるLED一次光は、0.05mW/lmであり、非常に微弱であった。よって、実施例3の白色光源は、実施例1と同様に美術館照明等として好適である。
−0.05≦[(P(λ)×V(λ))/(P(λmax1)×V(λmax1))−(B(λ)×V(λ))/(B(λmax2)×V(λmax2))]≦+0.10
【0090】
(実施例4)
9月28日18時の横浜市における白色光を再現した。この白色光の特性は
図15に示すとおり、色温度が3313K+0.002duvであった。この白色光を再現するために、実施例1に用いた蛍光体と同じ種類の蛍光体を使用し、組合せを種々変更して、4種類の白色光源を備える4つのLEDモジュールを作製した。なお実施例4の蛍光膜では、紫外線吸収を目的として、酸化亜鉛微粒子と樹脂との混合スラリーを用いて、蛍光膜の外側に薄膜を形成した。こうして得られた4種類の白色光源の色温度および、それぞれの光源の混合割合は表2に示すとおりである。
【0091】
得られた白色光源の発光スペクトルを
図16に示す。図からもわかるとおり、太陽光の発光スペクトルと、本実施形態の白色光源の発光色は良く一致しており、黒体輻射スペクトルとの差分を測定すると、
図17のとおりであった。図中の差分スペクトルよりこの光源が下記式を満たすことがわかる。また、この光源から漏出されるLED一次光は、0.2mW/lmであり、非常に微弱であった。よって、実施例4の白色光源は、実施例1と同様に美術館照明等として好適である。
−0.05≦[(P(λ)×V(λ))/(P(λmax1)×V(λmax1))−(B(λ)×V(λ))/(B(λmax2)×V(λmax2))]≦+0.10
【0092】
(実施例5)
5月20日13時の大阪市における白色光を再現した。この白色光の特性は
図18に示すとおり、色温度が6035K+0.003duvであった。この白色光を再現するために、実施例1に用いた蛍光体と同じ種類の蛍光体を使用し、組合せを種々変更して、4種類の白色光源を備える4つのLEDモジュールを作製した。この4種類の白色光源の色温度および、それぞれの光源の混合割合は表2に示すとおりである。
【0093】
得られた白色光源の発光スペクトルを
図19に示す。図からもわかるとおり、太陽光の発光スペクトルと、本実施形態の白色光源の発光色は良く一致しており、黒体輻射スペクトルとの差分を測定すると、
図20のとおりであった。図中の差分スペクトルよりこの光源が下記式を満たすことがわかる。また、この光源から漏出されるLED一次光は、0.3mW/lmであり、非常に微弱であった。よって、実施例5の白色光源は、実施例1と同様に美術館照明等として好適である。
−0.10≦[(P(λ)×V(λ))/(P(λmax1)×V(λmax1))−(B(λ)×V(λ))/(B(λmax2)×V(λmax2))]≦+0.05
【0094】
(実施例6)
5月20日15時の大阪市における白色光を再現した。この白色光の特性は
図21に示すとおり、色温度が5094K−0.003duvであった。この白色光を再現するために、実施例1に用いた蛍光体と同じ種類の蛍光体を使用し、組合せを種々変更して、4種類の白色光源を備える4つのLEDモジュールを作製した。この4種類の白色光源の色温度および、それぞれの光源の混合割合は表2に示すとおりである。
【0095】
得られた白色光源の発光スペクトルを
図22に示す。図からもわかるとおり、太陽光の発光スペクトルと、本実施形態の白色光源の発光色は良く一致しており、黒体輻射スペクトルとの差分を測定すると、
図23のとおりであった。図中の差分スペクトルよりこの光源が下記式を満たすことがわかる。また、この光源から漏出されるLED一次光は、0.1mW/lmであり、非常に微弱であった。よって、実施例6の白色光源は、実施例1と同様に美術館照明等として好適である。
−0.05≦[(P(λ)×V(λ))/(P(λmax1)×V(λmax1))−(B(λ)×V(λ))/(B(λmax2)×V(λmax2))]≦+0.10
【0096】
(実施例7)
8月8日17時の熱海市における白色光を再現した。この白色光の特性は
図24に示すとおり、色温度が4146K+0.001duvであった。この白色光を再現するために、実施例1に用いた蛍光体と同じ種類の蛍光体を使用し、組合せを種々変更して、4種類の白色光源を備える4つのLEDモジュールを作製した。この4種類の白色光源の色温度および、それぞれの光源の混合割合は表2に示すとおりである。
【0097】
得られた白色光源の発光スペクトルを
図25に示す。図からもわかるとおり、太陽光の発光スペクトルと、本実施形態の白色光源の発光色は良く一致しており、黒体輻射スペクトルとの差分を測定すると、
図26のとおりであった。図中の差分スペクトルよりこの光源が下記式を満たすことがわかる。また、この光源から漏出されるLED一次光は、0.08mW/lmであり、非常に微弱であった。よって、実施例7の白色光源は、実施例1と同様に美術館照明等として好適である。
−0.05≦[(P(λ)×V(λ))/(P(λmax1)×V(λmax1))−(B(λ)×V(λ))/(B(λmax2)×V(λmax2))]≦+0.10
【0098】
(実施例8)
12月16日12時のミラノにおける白色光を再現した。この白色光の特性は
図27に示すとおり、色温度が5991K+0.001duvであった。この白色光を再現するために、実施例1に用いた蛍光体と同じ種類の蛍光体を使用し、組合せを種々変更して、4種類の白色光源を備える4つのLEDモジュールを作製した。この4種類の白色光源の色温度および、それぞれの光源の混合割合は表2に示すとおりである。
【0099】
得られた白色光源の発光スペクトルを
図28に示す。図からもわかるとおり、太陽光の発光スペクトルと、本実施形態の白色光源の発光色は良く一致しており、黒体輻射スペクトルとの差分を測定すると、
図29のとおりであった。図中の差分スペクトルよりこの光源が下記式を満たすことがわかる。また、この光源から漏出されるLED一次光は、0.08mW/lmであり、非常に微弱であった。よって、実施例8の白色光源は、実施例1と同様に美術館照明等として好適である。
−0.07≦[(P(λ)×V(λ))/(P(λmax1)×V(λmax1))−(B(λ)×V(λ))/(B(λmax2)×V(λmax2))]≦+0.03
【0100】
(実施例9)
12月14日12時のフィレンツェにおける白色光を再現した。この白色光の特性は
図30に示すとおり、色温度が6160K+0.000duvであった。この白色光を再現するために、実施例1に用いた蛍光体と同じ種類の蛍光体を使用し、組合せを種々変更して、4種類の白色光源を備える4つのLEDモジュールを作製した。この4種類の白色光源の色温度および、それぞれの光源の混合割合は表2に示すとおりである。
【0101】
得られた白色光源の発光スペクトルを
図31に示す。図からもわかるとおり、太陽光の発光スペクトルと、本実施形態の白色光源の発光色は良く一致しており、黒体輻射スペクトルとの差分を測定すると、
図32のとおりであった。図中の差分スペクトルよりこの光源が下記式を満たすことがわかる。また、この光源から漏出されるLED一次光は、0.09mW/lmであり、非常に微弱であった。よって、実施例9の白色光源は、実施例1と同様に美術館照明等として好適である。
−0.08≦[(P(λ)×V(λ))/(P(λmax1)×V(λmax1))−(B(λ)×V(λ))/(B(λmax2)×V(λmax2))]≦+0.03
【0102】
【表2】