【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意検討を行った。その結果、特定のトリアシルグリセロールを構成成分とする油脂組成物が、極めて有効な油性食品のブルームおよびグレイン抑制効果を有することを見いだした。これにより本発明は完成された。すなわち、本発明は、以下の態様を含み得る。
【0012】
[1]以下の条件(a)〜(c)を満たす、油脂組成物。
(a)C24〜30の含有量が0.5〜12質量%である。
(b)HMM、HLMおよびHLLの含有量の合計が17〜50質量%である。
(c)HHMおよびHHLの含有量の合計が17〜40質量%である。
ただし、C24〜30、M、L、H、HMM、HLM、HLL、HHMおよびHHLは、以下を意味する。
C24〜30:グリセロールに結合する3分子の脂肪酸の炭素数の合計が24〜30であるトリアシルグリセロール
M:炭素数が8〜10の飽和脂肪酸
L:ラウリン酸
H:炭素数が14以上の飽和脂肪酸
HMM:グリセロールに、1分子のHと2分子のMがエステル結合したトリアシルグリセロール
HLM:グリセロールに、それぞれ1分子の、H、LおよびMが、エステル結合したトリアシルグリセロール
HLL:グリセロールに、1分子のHと2分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロール
HHM:グリセロールに、2分子のHと1分子のMがエステル結合したトリアシルグリセロール
HHL:グリセロールに、2分子のHと1分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロール
[2]以下の条件(a1)〜(c1)を満たす、油脂組成物。
(a1)C24〜30の含有量が2〜12質量%である。
(b1)HMM、HLMおよびHLLの含有量の合計が30〜50質量%である。
(c1)HHMおよびHHLの含有量の合計が20〜40質量%である。
ただし、C24〜30、M、L、H、HMM、HLM、HLL、HHMおよびHHLは、以下を意味する。
C24〜30:グリセロールに結合する3分子の脂肪酸の炭素数の合計が24〜30であるトリアシルグリセロール
M:炭素数が8〜10の飽和脂肪酸
L:ラウリン酸
H:炭素数が14以上の飽和脂肪酸
HMM:グリセロールに、1分子のHと2分子のMがエステル結合したトリアシルグリセロール
HLM:グリセロールに、それぞれ1分子の、H、LおよびMが、エステル結合したトリアシルグリセロール
HLL:グリセロールに、1分子のHと2分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロール
HHM:グリセロールに、2分子のHと1分子のMがエステル結合したトリアシルグリセロール
HHL:グリセロールに、2分子のHと1分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロール
[3]以下の条件(a2)〜(c2)を満たす、油脂組成物。
(a2)C24〜30の含有量が0.5〜10質量%である。
(b2)HMM、HLMおよびHLLの含有量の合計が17〜40質量%である。
(c2)HHMおよびHHLの含有量の合計が17〜40質量%である。
ただし、C24〜30、M、L、H、HMM、HLM、HLL、HHMおよびHHLは、以下を意味する。
C24〜30:グリセロールに結合する3分子の脂肪酸の炭素数の合計が24〜30であるトリアシルグリセロール
M:炭素数が8〜10の飽和脂肪酸
L:ラウリン酸
H:炭素数が14以上の飽和脂肪酸
HMM:グリセロールに、1分子のHと2分子のMがエステル結合したトリアシルグリセロール
HLM:グリセロールに、それぞれ1分子の、H、LおよびMが、エステル結合したトリアシルグリセロール
HLL:グリセロールに、1分子のHと2分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロール
HHM:グリセロールに、2分子のHと1分子のMがエステル結合したトリアシルグリセロール
HHL:グリセロールに、2分子のHと1分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロール
[4]さらに、以下の条件(d2)を満たす、[3]の油脂組成物。
(d2)HUMおよびHULの含有量の合計が2〜16質量%である。
ただし、U、HUMおよびHULは、以下を意味する。
U:炭素数が16以上の不飽和脂肪酸
HUM:グリセロールに、それぞれ1分子の、H、UおよびMが、エステル結合したトリアシルグリセロール
HUL:グリセロールに、それぞれ1分子の、H、UおよびLが、エステル結合したトリアシルグリセロール
[5]さらに、以下の条件(e2)を満たす、[3]または[4]の油脂組成物。
(e2)UMM、ULMおよびULLの含有量の合計が1〜8質量%である。
ただし、UMM、ULMおよびULLは、以下を意味する。
UMM:グリセロールに、1分子のUと2分子のMがエステル結合したトリアシルグリセロール
ULM:グリセロールに、それぞれ1分子の、U、LおよびMが、エステル結合したトリアシルグリセロール
ULL:グリセロールに、1分子のUと2分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロール
[6]前記HLMの含有量が、前記HMMの含有量よりも大きい(HLM>HMM)、[1]〜[5]の何れか1つの油脂組成物。
[7]前記HLMの含有量が、前記HLLの含有量よりも大きい(HLM>HLL)、[2]の油脂組成物。
[8]2〜30質量%の中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール、30〜95質量%のラウリン系油脂および0〜60質量%の非ラウリン系油脂、を原料油脂とするエステル交換油脂を含む、[1]または[6]の油脂組成物。
[9]5〜30質量%の中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール、30〜95質量%のラウリン系油脂および0〜45質量%の非ラウリン系油脂、を原料油脂とするエステル交換油脂を含む、[1]、[2]、[6]、[7]の何れか1つの油脂組成物。
[10]2〜26質量%の中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール、30〜85質量%のラウリン系油脂および10〜60質量%の非ラウリン系油脂、を原料油脂とするエステル交換油脂を含む、[3]〜[6]の何れか1つの油脂組成物。
[11][1]〜[10]何れか1つの油脂組成物を有効成分とする、油性食品のブルームおよびグレイン抑制剤。
[12][1]〜[10]の何れか1つの油脂組成物、および/または、[11]のブルームおよびグレイン抑制剤を含む、油性食品。
[13]油脂が連続相である油性食品であって、前記油脂に占める、C24〜30の含有量が0.02〜5質量%であり、HMM、HLMおよびHLLの合計含有量が0.3〜18質量%であり、HHMおよびHHLの合計含有量が0.2〜14質量%である、油性食品。
[14]油脂が連続相である油性食品の製造方法であって、[1]〜[10]の何れか1つの油脂組成物、および/または、[11]のブルームおよびグレイン抑制剤を配合することにより、前記油脂に占める、C24〜30の含有量を0.02〜5質量%、HMM、HLMおよびHLLの合計含有量を0.3〜18質量%、HHMおよびHHLの合計含有量を0.2〜14質量%、に調整する、前記油性食品の製造方法。
[15][1]〜[10]の何れか1つの油脂組成物、および/または、[11]のブルームおよびグレイン抑制剤を、油性食品に使用する、油性食品のブルームおよびグレインの抑制方法。