(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463925
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】二次電池ケースを製造するための後方衝撃押出装置およびこれを用いた二次電池ケースの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 2/02 20060101AFI20190128BHJP
B21J 5/06 20060101ALI20190128BHJP
B21K 21/04 20060101ALI20190128BHJP
B21D 51/26 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
H01M2/02 A
B21J5/06 C
B21K21/04
B21D51/26 Y
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-171281(P2014-171281)
(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公開番号】特開2015-138778(P2015-138778A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2017年8月25日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0007983
(32)【優先日】2014年1月22日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】鄭 ▲徳▼鎭
(72)【発明者】
【氏名】張 榮振
【審査官】
小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−222283(JP,A)
【文献】
特開2002−178096(JP,A)
【文献】
特開2000−197913(JP,A)
【文献】
特開2013−225406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02
B21D 51/26
B21J 5/06
B21K 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の開口部を有する二次電池ケースを製造するための後方衝撃押出装置において、
一つの面の縁部からその面に平行な方向に突出したランド部を有するパンチと、
パレットが挿入される溝が形成されたダイスと、
を含み、前記パレットと対向する前記溝の壁面上に突出した摩擦突起が形成されることによって、前記壁面の長辺の中央部が側端部よりも高く形成され、
前記溝は、前記壁面に平行な面内で、長辺および短辺を有する長方形の横断面を有し、前記摩擦突起は、長辺を有する前記壁面上に位置することを特徴とする、後方衝撃押出装置。
【請求項2】
前記摩擦突起は、前記長辺を有する前記壁面の中央部に位置することを特徴とする、請求項1に記載の後方衝撃押出装置。
【請求項3】
前記摩擦突起は、前記壁面に垂直な面内で、四角形、弧形、または三角形の縦断面を有することを特徴とする、請求項1に記載の後方衝撃押出装置。
【請求項4】
前記ダイスの長辺を有する前記壁面には、複数の摩擦突起が、長辺方向に沿って離隔配置されたことを特徴とする、請求項1に記載の後方衝撃押出装置。
【請求項5】
前記パンチは、ランド部と、前記ランド部に連結されて前記パレットと対向する方向に対し反対の方向へ形成された柱部と、を含み、前記柱部には、前記ランド部から延在する前記柱部の長さ方向に連結された案内突起が形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の後方衝撃押出装置。
【請求項6】
前記案内突起は、前記ランド部から前記柱部の上端まで連結されるように形成されたことを特徴とする、請求項5に記載の後方衝撃押出装置。
【請求項7】
前記柱部の横断面は、長辺および短辺を有する四角形からなり、前記案内突起は、長辺を有する側面に位置することを特徴とする、請求項5に記載の後方衝撃押出装置。
【請求項8】
前記案内突起の上端には、上方に向けて突出した突出部が形成され、前記突出部は、前記壁面に垂直な面内で、弧形、または三角形の縦断面を有することを特徴とする、請求項5に記載の後方衝撃押出装置。
【請求項9】
前記案内突起は、前記長辺の中央部に位置することを特徴とする、請求項8に記載の後方衝撃押出装置。
【請求項10】
前記案内突起は、前記摩擦突起の幅よりも大きい幅を有することを特徴とする、請求項5に記載の後方衝撃押出装置。
【請求項11】
前記パンチが前記溝に挿入される場合、前記案内突起と前記摩擦突起とは、互いに対向することを特徴とする、請求項10に記載の後方衝撃押出装置。
【請求項12】
前記案内突起の上端には、複数の突出部が、上方に向けて突出するように形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の後方衝撃押出装置。
【請求項13】
ダイスに形成された溝にパレットを挿入する段階と、
パンチを用いて前記パレットに衝撃を与えて押出する段階と、
を含み、前記押出する段階は、前記ダイスの壁面から突出するように形成された摩擦突起と、前記パンチの高さ方向に連結された案内突起との間で金属を移動させるように押出し、
前記溝は、長辺および短辺を有する長方形の横断面を有し、前記摩擦突起は、前記溝の長辺を有する側面上に位置し、前記パンチは、長辺および短辺を有する長方形の横断面を有し、前記案内突起は、前記パンチの長辺側の側面に位置することを特徴とする、二次電池ケースの製造方法。
【請求項14】
前記案内突起は、前記摩擦突起の幅よりも大きい幅を有することを特徴とする、請求項13に記載の二次電池ケースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池ケースを製造するための後方衝撃押出装置およびこれを用いた二次電池ケースの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二次電池(rechargeable battery)は、充電が不可能な一次電池とは異なり、充電および放電が可能な電池である。低容量の二次電池は、携帯電話やノートパソコンおよびビデオカメラのように携帯が可能な小型電子機器に用いられ、大容量の電池は、ハイブリッド自動車などのモータ駆動用電源として幅広く用いられている。
【0003】
また、1つの大容量電池モジュールは、通常、直列に連結される複数の二次電池からなり、二次電池の形状は、円筒形や角形などとなる。
【0004】
このような二次電池は、通常、金属材の円筒形または角形のケースを有する。従来は、ディープドローイング(Deep Drawing)工程によって金属材のケースを形成したが、ディープドローイング工程においては多数のドローイング過程が必要であるので、生産コストが高く、生産工程に掛かる時間が長くなる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、二次電池ケースの生産性を向上させ、不良率を減少させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る後方衝撃押出装置は、二次電池ケースの製造のための後方衝撃押出装置において、一つの面の縁部からその面に平行な方向に突出したランド部を有するパンチと、パレットが挿入される溝が形成されたダイスとを含み、前記パレットに対向する前記溝の壁面は、中央部が側端部よりも高く形成される。
【0007】
前記ダイスには、突出した摩擦突起が形成され、前記摩擦突起は、対向する壁面上に形成されるとよく、前記溝は、前記壁面に平行な面内で、長辺および短辺を有する長方形の横断面を有し、前記摩擦突起は、長辺を有する前記壁面上に位置することができる。
【0008】
また、前記摩擦突起は、前記長辺を有する前記壁面の中央部に位置することができ、前記摩擦突起は、前記壁面に垂直な面内で、四角形、弧形、または三角形の縦断面を有するように形成されるとよい。
【0009】
前記ダイスの長辺を有する前記壁面には、複数の摩擦突起が長辺の長さ方向に沿って離隔配置されるとよく、前記パンチは、ランド部と、前記ランド部から前記パレットに対向する方向に対し反対の方向へ形成された柱部と、を含み、前記柱部には、前記ランド部から延在する前記柱部の長さ方向に連結された案内突起が形成されるとよい。
【0010】
前記案内突起は、前記ランド部から前記柱部の上端まで連結されて形成されるとよく、前記柱部の横断面は、長辺および短辺を有する四角形からなり、前記案内突起は、長辺を有する側面に位置することができる。
【0011】
前記案内突起は、前記長辺の中央部に位置することができ、前記案内突起は、前記摩擦突起の幅よりも大きい幅を有するように形成されるとよい。また、前記パンチが前記溝に挿入される場合、前記案内突起と前記摩擦突起とは、互いに対向するように配置されるとよい。
【0012】
本発明の他の態様にかかる二次電池ケースの製造方法は、ダイスに形成された溝にパレットを挿入する段階と、パンチを用いて前記パレットに衝撃を与えて押出する段階と、を含み、前記押出する段階は、前記ダイスの壁面から突出するように形成された摩擦突起と前記パンチの高さ方向に連結された案内突起との間に金属を移動させて押出する。
【0013】
前記溝は、前記ダイスの壁面に平行な面内で、長辺および短辺を有する四角形の横断面を有し、前記摩擦突起は、前記溝の長辺を有する側面に位置し、前記パンチは、長辺および短辺を有する四角形の横断面を有し、前記案内突起は、前記パンチの長辺を有する壁面に位置することができる。また、前記案内突起は、前記摩擦突起の幅よりも大きい幅を有するように形成されるとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、溝の壁面は、中央部が側端部よりも高く形成されるため、長辺側において摩擦力を増加させて、後方押出時に均一な引張力を付与することができる。
【0015】
また、摩擦突起および案内突起を形成することで長辺側において摩擦力を増加させて、不良を減少させ、より安定的に二次電池ケースを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る後方衝撃押出装置を示した分解斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る後方衝撃押出装置を示した正面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る製造された二次電池のケースを示した斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る後方押出装置を用いて製造されるケースに発生した有効ひずみをシミュレーションして示した図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る後方衝撃押出装置のダイスを示した斜視図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係る後方衝撃押出装置のダイスを示した斜視図である。
【
図7】本発明の第4実施形態に係る後方衝撃押出装置のダイスを示した斜視図である。
【
図8】本発明の第5実施形態に係る後方衝撃押出装置のダイスを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付した図面を参考にして、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で実現可能であり、以下に説明する実施形態に限定されない。そして、本明細書および図面において、同一の符号は同一の構成要素を表す。
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態に係る後方衝撃押出装置を示した分解斜視図であり、
図2は、本発明の第1実施形態に係る後方衝撃押出装置を示した正面図である。
【0019】
図1および
図2を参照して説明すれば、本第1実施形態にかかる後方衝撃押出装置は、一つの面(先端)の縁部からその面に平行な方向(側方向)に突出したランド部21を有するパンチ20と、パレット110が挿入される溝12が形成されたダイス10とを含む。
【0020】
パンチ20は、棒形状からなり、角柱形状からなるとよい。パンチ20は、ランド部21と、ランド部21から連結されて形成された柱部22と、を含む。なお、以下の説明では、パンチにおいて、ランド部を有する側の面を柱部の「下面」とし、対向する面を柱部の「上面」とする。また下面から上面への方向/またはその逆の方向を、パンチの高さ方向(押出方向)とする。柱部22の下面と上面の間にある側面のうち、対向する2つの側面上には、パンチ20の高さ方向に延在する案内突起23が形成される。
【0021】
柱部22の横断面は、長辺および短辺を有する長方形からなるとよい。ランド部21は、パンチ20の外周囲に沿って連結されて突出し、柱部22の横断面積よりも大きい横断面積を有する。
【0022】
案内突起23は、柱部22の側面から外側に向けて突出するように形成されるとともに、ランド部21から柱部22の上端まで連結されるように形成される。また、案内突起23は、柱部の長辺を有する側面から突出し、2つの案内突起23が、柱部22の長辺を有する2つの側面にそれぞれ位置する。また、案内突起23は、長辺中央部に位置することができる。案内突起23の突出した厚さと、ランド部21の突出した厚さとは同一になるとよい。
【0023】
一方、ダイス10には、パレット110が挿入される溝12が、形成される。溝12をなす壁面14には、摩擦突起13が形成される。摩擦突起13は、壁面14から上方に向けて突出するように形成され、壁面14の厚さと同一の厚さを有するように形成されるとよい。摩擦突起13の形成によって、溝12の壁面14は、中央部分が側端部よりも高く形成される。溝12は、壁面14に対し平行な面内において、長辺および短辺を有する長方形の横断面を有し、摩擦突起13は、長辺を有する壁面14上に位置する。
【0024】
摩擦突起13は、長辺を有する壁面14の中央に位置するが、2つの摩擦突起13が、ダイス10において、対向する壁面14上に位置する。摩擦突起13は、長方形の縦断面を有するように形成され、パンチ20が溝12に挿入される場合、摩擦突起13は、前記案内突起23に対向する。
【0025】
一方、案内突起23は、壁面14の長辺方向において、摩擦突起13の幅よりも大きい幅を有するように形成されるとよく、案内突起23の幅W2は、摩擦突起13の幅W1の1.01倍〜1.2倍の大きさに形成されるとよい。
【0026】
溝12には、ケース40を製造するための金属材パレット110が挿入され、金属材パレット110を挿入した状態でパンチ20で衝撃を加えると、
図3に示された角形のケース40を得ることができる。
【0027】
本実施形態にかかる後方衝撃押出装置を用いた二次電池ケースの製造方法は、ダイス10に形成された溝12にパレット110を挿入する段階と、パンチ20を用いてパレット110に衝撃を与えて押出する段階と、を含む。そして、押出する段階は、ダイス10の壁面14から突出形成された摩擦突起13とパンチ20の高さ方向に連結された案内突起23との間で金属を移動させて押出する。
【0028】
また、押出する段階は、パンチ20の下部の長辺側部では摩擦突起13と案内突起23との間で、パレット110を材料とする金属を移動させるが、パンチの上部では金属を案内突起23と接触させながら移動させる。
【0029】
本実施形態のように摩擦突起13が形成されると、パンチ20の長辺側部においてパレット110に作用する摩擦力および引張応力を増加させることができる。長辺側部では、短辺側部よりも相対的に角部との間隔が大きいため、短辺側部に比べて作用する引張応力が小さい。これによって、長辺側部において流動する金属の移動速度は相対的に大きくなるので、金属にシワが発生し、さらに上部が突出する変形が発生する。
【0030】
しかし、本実施形態のように、ダイス10に摩擦突起13を形成し、パンチ20に案内突起23を形成すると、パンチ20の長辺側部では、金属が案内突起23と摩擦突起13との間で流動するため、流動する金属に作用する摩擦力と引張応力を増加させることができる。また、摩擦突起13の上部では、案内突起23が、流動する金属に摩擦力を付与するため、上部に進行する流動する金属に対しても摩擦力を作用させることができる。
【0031】
つまり、本実施形態によれば、流動する金属に対し、パンチ20の下部では摩擦力を上部より大きく付与しながら、長辺の上部まで摩擦力を付与することができるため、長辺と短辺との長さの差が大きい場合であっても、所望の形状を有するケースを製作することができる。
【0032】
図4は、本発明の第1実施形態にかかる後方押出装置を用いて製造されたケースに発生した有効ひずみをシミュレーションして示した図である。
【0033】
図4に示されているように、ケースの長辺側部および短辺側部でのひずみが均一であることを確認することができ、押出方向に対し平行なケースの高さ方向にもひずみが均一であることを確認することができる。
【0034】
図5は、本発明の第2実施形態にかかる後方衝撃押出装置のダイスを示した斜視図である。
【0035】
図5を参照して説明すると、本実施形態にかかる後方衝撃押出装置は、一つの面(先端)の縁部からその面に平行な方向(側方向)に突出したランド部121を有するパンチ120と、パレット110が挿入される溝52が形成されたダイス50と、を含む。
【0036】
パンチ120は、棒形状からなり、角柱形状からなるとよい。パンチ120は、ランド部121と、ランド部121から連結されて形成された柱部122と、を含む。柱部122には、パンチ120の高さ方向に延在するように連結された案内突起123が形成される。
【0037】
案内突起123は、柱部122の側面から外側に向けて突出するように形成されるとともに、柱部122の高さ方向に連結されて形成される。案内突起123の上端には、上方に向けて突出した突出部123aが形成されるとともに、突出部123aは、弧形の縦断面を有する。これにより、案内突起123は、幅方向の中央部が側端部よりも高く形成される。
【0038】
また、案内突起123は、柱部の長辺を有する側面から突出し、2つの案内突起123が柱部122の長辺を有する2つの側面にそれぞれ位置する。また、案内突起123は、長辺の中央部に位置することができる。
【0039】
ダイス50には、パレットが挿入される溝52が形成される。溝52をなす壁面のうち、挿入されるパレット110に対し対向する壁面54には、摩擦突起53が形成される。摩擦突起53は、壁面54から高さ方向に突出するように形成され、壁面54の厚さと同一の厚さを有するように形成されるとよい。溝52は、長辺および短辺を有する長方形の横断面を有し、摩擦突起53は、長辺を有する壁面14上に位置する。
【0040】
摩擦突起53は、長辺を有する壁面54の中央に位置するとともに、2つの摩擦突起53がダイス50において平行する壁面54上に位置する。摩擦突起53は、長辺の中央部が側端部より高く形成され、壁面54に垂直な面内において、弧形の縦断面を有するように形成される。
【0041】
パレット110を材料とする、流動する金属に作用する摩擦力および引張応力は長辺部の中央部分が最も小さいが、前記のように、突出部123aと摩擦突起53とを弧形の縦断面を有するように形成することによって、長辺部の中央部分に相対的に大きい摩擦力および引張応力を付与して、流動する金属全体に均一な摩擦力および引張応力を付与することができる。
【0042】
図6は、本発明の第3実施形態にかかる後方衝撃押出装置のダイスを示した斜視図である。
【0043】
図6を参照して説明すると、本実施形態にかかる後方衝撃押出装置は、一つの面(先端)の縁部からその面に平行な方向(側方向)に突出したランド部131を有するパンチ130と、パレット110が挿入される溝62が形成されたダイス60とを含む。
【0044】
パンチ130は、棒形状からなり、角柱形状からなるとよい。パンチ130は、ランド部131と、ランド部131から連結されて形成された柱部132と、を含む。柱部132の側面のうち、対向する2つの側面上には、パンチ130の高さ方向に連結されるように延在する案内突起133が形成される。
【0045】
案内突起133は、柱部132の側面から外側に向けて突出するように形成されるとともに、柱部132の上面の方向に連結されて形成される。案内突起133の上端には、柱部132の上面に向けて突出した突出部133aが形成されるとともに、突出部133aは、三角形の縦断面を有する。これにより、案内突起133は、幅方向の中央部分が、側端部よりも高く形成される。
【0046】
また、案内突起133は、柱部の長辺を有する側面から突出し、2つの案内突起133が柱部132の長辺を有する2つの側面にそれぞれ位置する。また、案内突起133は、長辺の中央部に位置することができる。
【0047】
ダイス60には、パレットが挿入される溝62が形成される。溝62をなす壁面64のうち、挿入されるパレット110と対向する壁面64には、摩擦突起63が形成される。摩擦突起63は、壁面64から上方に突出するように形成され、壁面64の厚さと同一の厚さを有するように形成されるとよい。溝62は、長辺および短辺を有する長方形の横断面を有し、摩擦突起63は、長辺を有する壁面64上に位置する。
【0048】
摩擦突起63は、長辺を有する壁面64の中央に位置するが、2つの摩擦突起63がダイス60の対向する壁面64上に位置する。摩擦突起63は、長辺の中央部が側端部より高く形成され、三角形の縦断面を有するように形成される。
【0049】
パレット110を材料とする、流動する金属に作用する摩擦力および引張応力は長辺部の中央部分が最も小さいが、前記のように、突出部133aおよび摩擦突起63とを三角形の縦断面を有するように形成することによって、長辺の中央部に相対的に大きい摩擦力および引張応力を付与して、流動する金属全体に均一な摩擦力および引張応力を付与することができる。
【0050】
図7は、本発明の第4実施形態にかかる後方衝撃押出装置のダイスを示した斜視図である。
【0051】
図7を参照して説明すれば、本実施形態にかかる後方衝撃押出装置は、一つの面(先端)の縁部からその面に平行な方向(側方)に突出したランド部141を有するパンチ140と、パレット110が挿入される溝72が形成されたダイス70と、を含む。
【0052】
パンチ140は、棒形状からなり、角柱形状からなるとよい。パンチ140は、ランド部141と、ランド部141から連結されて高さ方向に形成された柱部142と、を含む。柱部142の側面のうち、対向する2つの側面上には、パンチ140の長さ方向に連結された案内突起143が形成される。
【0053】
案内突起143は、柱部142の側面から外側方向に突出するように形成されるとともに、柱部142の高さ方向に連結されて形成される。案内突起143の上端には、柱部122の上面の方向に向かって突出した突出部143aが形成され、複数の突出部143aが、案内突起143の幅方向に離隔配置される。突出部143aは、四角形の縦断面を有する。
【0054】
また、案内突起143は、柱部142の側面から外側方向に突出し、2つの案内突起143が、柱部142の長辺を有する2つの側面にそれぞれ位置する。また、案内突起143は、長辺の中央部に位置することができる。
【0055】
ダイス70には、パレットが挿入される溝72が形成される。溝72をなす壁面74のうち、挿入されるパレット110と対向する壁面74には、複数の摩擦突起73が形成される。摩擦突起73は、壁面74から高さ方向に突出するように形成され、壁面74の厚さと同一の厚さを有するように形成されるとよい。溝72は、長辺および短辺を有する長方形の横断面を有し、摩擦突起73は、長辺を有する壁面74上に位置する。
【0056】
複数の摩擦突起73が長辺を有する壁面74の長さ方向に離隔配置され、摩擦突起73がダイス70において、対向する壁面74上にも離隔配置される。摩擦突起73は、四角形の縦断面を有するように形成される。
【0057】
図8は、本発明の第5実施形態にかかる後方衝撃押出装置のダイスを示した斜視図である。
【0058】
図8を参照して説明すれば、本実施形態にかかる後方衝撃押出装置は、一つの面(先端)の縁部からその面に平行な方向(側方向)に突出したランド部151を有するパンチ150と、パレット110が挿入される溝82が形成されたダイス80と、を含む。
【0059】
パンチ150は、棒形状からなり、角柱形状からなるとよい。パンチ150は、ランド部151と、ランド部151から連結されて高さ方向に形成された柱部152と、を含む。柱部152の側面のうち、対向する2つの側面上には、パンチ150の高さ方向に延在する案内突起153が形成される。
【0060】
案内突起153は、柱部152の側面から外側方向に向けて突出するように形成されるとともに、柱部152の上面の方向に連結されて形成される。案内突起153の上端には、柱部152の上面に向けて突出した突出部153aが形成されるが、複数の突出部153aが、案内突起153の幅方向に沿って配置される。突出部153aは、三角形の縦断面を有する。
【0061】
また、案内突起153は、柱部の長辺を有する側面から突出し、2つの案内突起153が柱部152の長辺を有する2つの側面にそれぞれ位置する。また、案内突起153は、長辺の中央部に位置することができる。
【0062】
ダイス80には、パレットが挿入される溝82が形成される。溝82をなす壁面84のうち、挿入されるパレット110と対向する壁面84には、複数の摩擦突起83が形成される。摩擦突起83は、壁面84から上方に向けて突出するように形成され、壁面84の厚さと同一の厚さを有するように形成されるとよい。溝82は、長辺および短辺を有する長方形の横断面を有し、摩擦突起83は、長辺を有する壁面64上に位置する。
【0063】
複数の摩擦突起83が、壁面84の長辺方向に離隔配置され、摩擦突起83が、ダイス80の2つの壁面84上に位置する。摩擦突起83は、三角形の縦断面を有するように形成される。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明がこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0065】
110 パレット
10、50、60、70、80 ダイス
12、52、62、72、82 溝
13、53、63、73、83 摩擦突起
14、54、64、74、84 壁面
20、120、130、140、150 パンチ
21、121、131、141、151 ランド部
22、122、132、142、152 柱部
23、123、133、143、153 案内突起
123a、133a、143a、153a 突出部
40 ケース