特許第6464646号(P6464646)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日亜化学工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6464646
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】発光装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20190128BHJP
   H01L 33/52 20100101ALI20190128BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20190128BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20190128BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   H01L33/62
   H01L33/52
   H01L33/60
   H01L21/60 311S
   H01L23/12 Z
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-202567(P2014-202567)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-72527(P2016-72527A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大湯 孝寛
【審査官】 高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−305621(JP,A)
【文献】 特開昭59−063791(JP,A)
【文献】 特開2014−154637(JP,A)
【文献】 特開2012−178400(JP,A)
【文献】 特開2008−258296(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0328172(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0288406(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
H05K 3/10−3/26,3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上に接着層を介して配置された、互いに離間する少なくとも一対の配線部を有する基板と、
異方性導電部材を介して前記一対の配線部上に接合された発光素子と、を備え、
前記接着層は、少なくとも前記一対の配線部の間の間隙において、接着剤が前記基体上に互いに間隔を開けて複数の線状に配置され
前記配線部は、前記線状の接着剤が、前記間隙が形成する直線の方向に対して交差するように設けられた発光装置。
【請求項2】
前記異方性導電部材および前記発光素子を被覆する封止樹脂を備える請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
光を反射する反射材料層が、前記発光素子が前記配線部上に接合される接合領域以外の前記基板上に設けられ、
前記封止樹脂は、前記異方性導電部材および前記発光素子を被覆するように前記反射材料層上に設けられた請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
基体上に複数の線状に接着剤が配置される接着剤配置工程と、
前記基体上に前記接着剤を介して金属箔を接着させる金属箔接着工程と、
前記金属箔から互いに離間する少なくとも一対の配線部を、少なくとも前記一対の配線部の間の間隙において前記接着剤が互いに間隔を開けて複数の線状に配置するように前記基体上に形成する配線部形成工程と、で基板を形成する工程と、
前記一対の配線部上に異方性導電部材を配置する異方性導電部材配置工程と、
前記異方性導電部材を介して、前記配線部上に発光素子を接合する発光素子接合工程と、を含み、
前記配線部形成工程は、前記一対の配線部の間の間隙が形成する直線の方向と線状の前記接着剤の方向とが交差するように前記配線部を形成する発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記異方性導電部材および前記発光素子を封止樹脂で被覆する封止樹脂形成工程を、前記発光素子接合工程の後に行う請求項4に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記配線部形成工程と、異方性導電部材配置工程との間に、光を反射する反射材料層を、前記発光素子が接合される接合領域以外の前記基板上に設ける反射材料層形成工程を行う請求項4又は請求項5に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)、レーザーダイオード(LD:Laser Diode)等の発光素子を使用する発光装置が各種の光源として利用されている。
このような発光装置としては、例えば異方性導電部材(ACP:Anisotropic Conductive Paste)を介して、基板上の配線部に発光素子を実装し、これらを封止樹脂で被覆した構成が知られている。
【0003】
ここで、上記の発光装置は、基板上および配線部上にペースト状の異方性導電部材を配置した後、加熱しながら発光素子を圧着し、異方性導電部材を硬化して接合する。そのため、加熱圧着の際に、異方性導電部材に含まれる溶媒等が気化し、配線部間に充填された異方性導電部材とその他の部材との界面等に気泡による空洞(ボイド)が発生する場合がある。また、発光素子の圧着中は、当該発光素子の中央部(間隙の上方)が圧力に応じて下方向に変形した状態となる。そのため、圧着が終了して発光素子の変形が元に戻った反動で異方性導電部材内が減圧状態となり、気泡による空洞が発生する場合もある。
【0004】
従来、前記したような半導体素子の空洞の発生を防止するために、基板の厚さ方向に通気可能な孔を穿設する方法(特許文献1参照)や、基板を被覆する保護膜に空洞内の気泡を排出するための溝を形成する方法(特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−343844号公報
【特許文献2】特開2005−101125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば特許文献1または特許文献2に係る方法を上記の発光装置に適用した場合、異方性導電部材あるいは封止樹脂が前記した孔や溝に入り込み、通気が困難となる。
【0007】
また、本願発明者らは、このような気泡による空洞を含む発光装置を駆動させると、発光素子の温度上昇に伴って気泡が膨張して、その気泡が外部に抜けようとするため、発光素子と封止樹脂との界面に空気層が形成され、光出力が低下する等の不具合が生じることを見出した。
【0008】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、仮に異方性導電部材と他の部材との界面等に空洞が存在して駆動時に熱により空洞中の気泡が移動しても、その気泡を効果的に排出することができ、光出力が低減しにくい発光装置およびその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る発光装置は、基体上に接着層を介して配置された、互いに離間する少なくとも一対の配線部を有する基板と、異方性導電部材を介して前記一対の配線部上に接合された発光素子と、を備え、前記接着層は、接着剤が前記基体上に所定の間隔で複数の線状に配置された構成とした。
【0010】
また、前記課題を解決するため、本発明に係る発光装置の製造方法は、以下の手順とした。すなわち、発光装置の製造方法は、基体上に所定の間隔の複数の線状に接着剤が配置される接着剤配置工程と、前記基体上に前記接着剤を介して金属箔を接着させる金属箔接着工程と、前記金属箔から互いに離間する少なくとも一対の配線部を、前記基体上に形成する配線部形成工程と、で基板を形成する工程と、前記一対の配線部上に異方性導電部材を配置する異方性導電部材配置工程と、前記異方性導電部材を介して、前記配線部上に発光素子を接合する発光素子接合工程と、を含む、こととした。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る発光装置によれば、異方性導電部材と他の部材との界面等に形成された空洞から駆動時の熱で膨張・移動する気泡を、配線部に沿って基体上に設けた接着剤の間の空間を排出経路として、外部に排気することができる。
【0012】
本発明に係る発光装置の製造方法によれば、線状の接着剤を互いに離間して設けた接着材層を介して配線部となる金属箔を基板に接続することで、異方性導電部材と他の部材との界面に空洞が存在した場合に熱により移動する気泡を、線状の接着剤と異方性導電部材との界面や接着剤の間の空間を排出経路として外部に排出できる。そのため、本発明に係る発光装置の製造方法では、既存の基板等の構成に孔開け等機械加工の必要がなく、かつ、大きな製造工程の変更なく、発光素子と封止樹脂との界面に空気層が形成されず、光出力の低下等の不具合を防止した発光装置の製造を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る発光装置の全体を模式的に示す平面図である。
図2A】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図であり、図1のB−B線における断面図である。
図2B】第1実施形態に係る発光装置の図2AのA部分を模式的に示す拡大断面図である
図3A】第1実施形態に係る発光装置の製造方法について示す図であって、基体に接着剤を配置した状態を模式的に示す平面図である。
図3B】第1実施形態に係る発光装置の製造方法について示す図であって、基体に接着剤を介して金属箔を接合した状態を模式的に示す平面図である。
図3C】第1実施形態に係る発光装置の製造方法について示す図であって、基体に接合した金属箔を一対の配線部となるように形成した状態を模式的に示す平面図である。
図3D】第1実施形態に係る発光装置の製造方法について示す図であって、一対の配線部の間隙に異方性導電部材を配置した状態を模式的に示す平面図である。
図3E】第1実施形態に係る発光装置の製造方法について示す図であって、配置した異方性導電部材を介して配線部上に発光素子を接合した状態を模式的に示す平面図である。
図3F】第1実施形態に係る発光装置の製造方法について示す図であって、発光素子及び異方性導電部材を被覆するように封止樹脂を設けた状態を模式的に示す平面図である。
図4A】第1実施形態に係る発光装置の製造方法における接着剤の状態を示す図であって、配線板となる金属箔により接着剤が基体に押圧される前の状態を模式的に示す断面図である。
図4B】第1実施形態に係る発光装置の製造方法における接着剤の状態を示す図であって、図4Aの状態から配線板となる金属箔により接着剤が基体に押圧された状態を模式的に示す断面図である。
図4C】第1実施形態に係る発光装置の製造方法における接着剤の状態を示す図であって、図4Aの状態から配線板となる金属箔により接着剤が基体に押圧された他の状態を模式的に示す断面図である。
図5】第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図である。
図6】第2実施形態に係る発光装置であって、図5のB−B線における断面を模式的に示す断面図である。
図7A】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を示す図であり、発光装置の基板に接着剤を塗布した状態を模式的に示す平面図である。
図7B】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を示す図であり、基板に接着剤を介して金属箔を接合した状態を模式的に示す平面図である。
図7C】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を示す図であり、基板に接合した金属箔を一対の配線部となるように形成した状態を模式的に示す平面図である。
図7D】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を示す図であり、発光素子を接合する接合領域以外の配線部上および基板上に反射材料層を設けた状態を模式的に示す平面図である。
図7E】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を示す図であり、接合領域に異方性導電部材を塗布した状態を模式的に示す平面図である。
図7F】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を示す図であり、発光素子を配線部上に接合した状態を模式的に示す平面図である。
図8A】その他の実施形態に係る発光装置を示す図であって、発光装置の一部を切欠いて全体を模式的に示す平面図である。
図8B】その他の実施形態に係る発光装置を示す図であって、図8Aに示すA1部分を拡大して模式的に示す拡大平面図である。
図8C】その他の実施形態に係る発光装置を示す図であって、図8AのC−C線における断面を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態の一例となる発光装置およびその製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、本発明を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係等が誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、以下の説明では、同一の名称および符号については原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略することとする。
【0015】
<第1実施形態>
[発光装置の構成]
第1実施形態に係る発光装置1の構成について、図1図2Aおよび図2Bを参照しながら説明する。発光装置1は、例えば表示装置や照明装置の光源として利用できるものである。発光装置1は、図2Aに示すように、基体11と、配線部20と、異方性導電部材30と、排気通路40と、発光素子50と、封止樹脂60と、を備えている。
【0016】
基板10は、発光装置1を構成する各部材を配置するためのものである。基板10は、図1および図2Aに示すように、樹脂層からなる基体11と、接着層12を介して、基体11の一方の面に形成される配線部20とを備えている。なお、前記した「基体11の一方の面」とは、基体11における発光素子50側の面のことを意味している。基体11の素材としては、特に限定されず、絶縁性のセラミックスや樹脂等を用いることができる。
【0017】
また、基体11として、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、不飽和ポリエステル、ガラスエポキシ等の絶縁性の樹脂フィルム等の可撓性または柔軟性を有する樹脂材料を用いる場合には、発光素子の実装には、半田等に比べて低温で接合可能な、異方性導電部材を用いることが好ましい。しかし、異方性導電部材30の圧着時に、基体11が上下方向にたわみ、圧着終了後に元に戻ることで、異方性導電部材30と基体11または配線部20との間に空洞が発生しやすくなる。そのため、異方性導電部材30を用いた場合に発生する空洞の悪影響を低減することができる本発明は、可撓性または柔軟性を有する樹脂材料を基体に用いる発光装置に特に好ましく適用することができる。
なお、基板10の厚さは特に限定されず、目的および用途に応じて任意の厚さで形成することができる。
【0018】
接着層12は、配線部20を基体11の一方の面に接着するためのものであり、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂等で構成されている。そして、接着層12は、図1に示すように、接着剤13を線状に塗布して、当該線状の接着剤13が互いに完全に重ならないように設けられている。接着剤13は、配線部20,20の間隙G内においても、互いに間隔を開けて設けられ、間隙Gの直線に対して所定角度θとなるように設けられている。つまり、線状の接着剤13は、間隙Gの直線の方向に対して交差するように設けられている。接着剤13は、図4Aおよび図4Bに示すように、基体11と配線部20(金属箔200)との間に介在した状態では、空間14として所定の間隔D1を隔てた状態となるように設けられている。したがって、線状の接着剤13は、配線部20の下面では、隣の接着剤13と空間14を隔てた状態で設けられている。なお、接着剤13は、図2Bに示すように、後記する異方性導電部材30および封止樹脂60の下面に対面する位置では、空間14の部分に異方性導電部材30あるいは封止樹脂60が入り込んだ状態となっている。そのため、配線部20,20の間隙Gに沿った位置において、接着剤13の空間14内を、気泡の排出経路(排気通路)40として構成している。この排気通路40については後記する。
【0019】
配線部20は、外部の電源と発光素子50とを電気的に接続するものである。
本実施形態の配線部20は、図1および図2Aに示すように、発光素子50の正負一対の電極51に対応して一対で構成され、基板10の接着層12上に所定の間隙Gだけ離間して配置されている。この間隙Gは、後記する封止樹脂60の直径に対応する位置に設けられている。配線部20は、図2Aに示すように断面視すると、所定厚さの膜状に形成されている。また、配線部20は、図1に示すように平面視すると、円形状の領域と、当該円形状の領域から基板10の左右の端部にそれぞれ伸びる線状の領域とから構成され、間隙Gが前記円形状の領域を2つに分割している。そして、配線部20の円形状の領域は、後記する封止樹脂60が被覆される円形状の領域と同等あるいはそれよりも広い面積を有しており、周縁が封止樹脂60の外に露出している。
【0020】
配線部20の間隙G内では、図1に示すように、基板10の最上面である接着層12が露出し、当該接着層12上に直接異方性導電部材30が設けられ、ここでは、気泡の排気通路40を形成している。なお、排気通路40については後記する。配線部20の素材としては、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、スズおよびそれらの合金、またはそれらの積層等を用いることができる。配線部の20の最表面は、金またはスズであると好ましい。これにより、後述する異方性導電部材30中の導電粒子32との接合を良好に行うことができる。また、配線部20の厚さは特に限定されず、目的および用途に応じて任意の厚さで形成することができる。配線部20が厚く、基体11と配線部20の上面の高さの差が大きいほど、異方性導電部材30と他の部材との界面等に空洞が発生しやすい。そのため、配線部20の厚みは、10〜100μm、20〜80μm、30〜50μm程度であることが好ましい。
【0021】
また、前記した間隙Gの幅は、例えば150μm〜300μmの範囲内とすることができる。配線部20および間隙Gの平面視における形状は、特に限定されないが、図1に示すように、間隙Gが異方性導電部材30と対向する部分において屈曲部や幅広部を有さない、つまり直線状または曲線状の形状であることが好ましい。間隙Gが屈曲部や幅広部を有する場合、その周辺の異方性導電部材30と他の部材との界面に空洞が発生しやすくなる。しかし、間隙Gを直線状または曲線状の屈曲部を有さない形状にすることにより、異方性導電部材30と他の部材との界面等における空洞の発生を抑えることができる。なお、間隙Gが屈曲部や幅広部を有する場合には、その部分に接するように、後述する排出経路を設けることが好ましい。
【0022】
異方性導電部材30は、発光素子50を基板10に接着して固定するとともに、発光素子50と配線部20とを導通させるためのものである。異方性導電部材30は、通常、図1および図2Aに示すように断面視すると、一対の配線部20上および間隙G内に亘って配置されている。また、異方性導電部材30は、図1に示すように平面視すると、一対の配線部20上および間隙Gを包含するように円形状の領域に形成されている。そして、異方性導電部材30は、接合対象である発光素子50よりも広い面積に配置されている。
【0023】
異方性導電部材30は、発光素子50の接着固定と導通の2つの機能を兼ね備えるため、接着剤としての透光性樹脂31と、その中に混入された導通部材としての導電粒子32と、の複合物を少なくとも含有する。
透光性樹脂31の素材としては、耐光性および耐熱性に優れるものが好ましく、具体的にはエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂やその変性樹脂、ハイブリッド樹脂等を用いることができる。また、導電粒子32としては、少なくとも一部が磁性体であるものが好ましく、具体的には表面にニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ステンレス等の導電体を有する材料を用いることができる。導電粒子32の形状や大きさは特に限定されず、例えば図2Aに示すように、球状や、針状または不定形のもの、1μm〜20μmの大きさのものを用いることができる。
【0024】
なお、導電粒子32は、樹脂から成るコアと、このコアを被覆する金属から成る導電層とにより構成されていてもよい。コアに柔軟性を有する樹脂を用いることにより、圧着による接合を容易に行うことができる。コアの材料は、例えばメタクリル樹脂を用いることができ、導電層は前記した金属を用いることができる。導電層は、無電解メッキ、電解メッキ、メカノフュージョン(メカノケミカル的反応)などにより、形成可能である。
なお、導電粒子32は、異方性導電部材30中に略均一な濃度で存在しているが、図においては一部、例えば間隙G内等において図示を省略している。
異方性導電部材30中には、光反射率を高めるため、酸化チタン、酸化亜鉛等の光反射材を含有させてもよい。
異方性導電部材30の配置領域は、図1に示すような平面視において円形のものに限定されない。また、発光素子より広い面積に配置されることに限られず、接着、導通が十分に行うことができれば、略同等やそれ以下の面積であってもよい。
【0025】
排気通路40は、間隙Gに沿った位置に設けられている。また排気通路40は間隙Gに隣接する配線部20,20の外周に亘って形成されている。この排気通路40は、接着剤13が空間14を介して設けられることで、当該空間14を、気泡を排気する通路として形成している。排気通路40は、間隙Gに連続するように形成されていることで、特に、発光素子50の下側で、異方性導電部材30と他の部材との界面等を移動する気泡を、異方性導電部材30の外、あるいは、封止樹脂60の外に排出する。つまり、異方性導電部材30の界面で熱により膨張・移動する気泡が発生した場合には、その気泡は通り易い部分に沿って移動することになる。そして、間隙Gに沿って連続する空間14が多数存在することから、異方性導電部材30と他の部材との界面等を移動する気泡を、当該空間14を排気通路40として外部に排気する。
【0026】
本実施形態において、発光素子50は、図1に示すように、発光面と反対側の面に正負一対の電極51を備え、当該電極51が異方性導電部材30を介してそれぞれ対応する配線部20にフリップチップ接合されている。発光素子50は、より具体的には図2Aに示すように、異方性導電部材30を介して、一対の配線部20間の間隙Gをまたぐように当該一対の配線部20上に接合されている。また、発光素子50は、後記する封止樹脂60の中心部に設けられている。なお、前記した「発光面」とは、基板10の配線部20に発光素子50を接合した際に、基板10と対向する側の面と反対側の面であり、発光装置1の光取り出し方向側の面である。
【0027】
発光素子50としては、例えば、n型半導体層とp型半導体層と発光層とからなる半導体層を有する発光ダイオードを用いることができ、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色(波長430nm〜490nmの光)、緑色(波長490nm〜570nmの光)の発光素子50としては、ZnSe、窒化物系半導体(InXAlYGa1-X-YN,0≦X,0≦Y、X+Y≦1)、GaP等を用いることができる。また、赤色(波長620nm〜750nmの光)の発光素子50としては、GaAlAs,AlInGaP等を用いることができる。なお、蛍光物質を用いた発光装置1とする場合には、その蛍光物質を効率良く励起できる短波長の発光が可能な窒化物半導体(InXAlYGa1-X-YN,0≦X,0≦Y,X+Y≦1)を用いることが好ましい。なお、発光素子50の成分組成や発光色、大きさ等は、目的および用途に応じて適宜選択することができる。
【0028】
発光素子50の電極は、図1に示すような発光面と反対側の面に正負一対の電極を備えるものに限られず、発光面と基板10側の面に正負一対の電極を有するものであってもよい。
なお、発光素子がフリップチップで接合される場合には、発光面から十分に光を取り出すことができるように、半導体層の上方側に基板を設けないか、サファイア等の透光性基板を設けることが好ましい。
【0029】
封止樹脂60は、基板10に接合された発光素子50を、塵芥、水分、外力等から保護するとともに、任意に、発光素子50の光取り出し効率向上や波長変換等の光学特性を調整させるものである。本実施形態の封止樹脂60は、図2Aに示すように断面視すると、基板10上の上面、異方性導電部材30および発光素子50を被覆しており、ドーム状(半球状)に形成されている。また、封止樹脂60は、図1に示すように平面視すると、一対の配線部20の円形状の領域をほぼ含むように円形状に形成されている。また、前記した排気通路40は、図1および図2Aに示すように、この封止樹脂60の下方に対向する位置においても、配線部20,20に対面する位置においても、形成されている。
【0030】
封止樹脂60の材料としては、発光素子50からの光を透過可能な透光性を有するものが好ましく、具体的にはエポキシ樹脂、シリコーン樹脂やそれらの変性タイプ、あるいはユリア樹脂等を用いることができる。また、封止樹脂60として、上記した有機材料の他に、酸化物等の無機材料を用いてもよい。またこれらに加え、所望に応じて配光や波長を変換するための蛍光体、着色剤、光拡散剤、フィラー等を含有させてもよい。
【0031】
以上の構成を備える、本実施形態の発光装置1によれば、間隙Gの周縁となる異方性導電部材30の下方から外側または封止樹脂60の外側まで排気通路40を通じて、駆動時に熱により異方性導電部材と他の部材との界面を移動する気泡を排出することができる。そのため発光装置1は、気泡の移動にともなう不具合、例えば発光素子50と封止樹脂60との界面に空気層が形成される恐れを低減することができ、光出力の低下等の発生を低減することができる。
【0032】
[発光装置の製造方法]
以下、本発明の第1実施形態に係る発光装置1の製造方法について、図3A図3Fを参照しながら説明する。発光装置1の製造方法は、接着剤配置工程(図3A)と、金属箔接着工程(図3B)と、配線部形成工程と(図3C)と、異方性導電部材配置工程(図3D)と、発光素子接合工程(図3E)と、封止樹脂形成工程(図3F)と、を順番に行う。なお、接着剤配置工程3Aから配線部形成工程3Cまでを基板準備工程とする。
【0033】
図3Aに示すように、接着剤配置工程は、基体11上に線状の接着剤13を互いに離間するように塗布する。なお、接着剤13を配置する方法は、印刷法やスプレー法等、空間14を隔てて所定間隔に設けることができる方法であれば限定されるものではない。
例えば、本実施形態においては、図3Bに示すように、金属箔接着工程において、接着剤13が塗布されて接着層12が形成されるとその上に配線部20となる金属箔200を接着する。なお、金属箔200は、図4Aの状態から図4Bの状態に示すように、一定の圧力をかけて基材11に接着される。そして、接着剤13は、図4Bに示すように、金属箔200の圧力も計算して空間14が確保されるように間隔が設定されている。
【0034】
図3Cに示すように、金属箔200が接合されると次に、配線部形成工程が行われる。この配線部形成工程は、以下のような手順で行われる。
すなわち、基体11上に接着剤13を介して金属箔を形成した後、当該金属箔200のほぼ全面を覆うようにレジスト層を印刷等によって形成し、乾燥させる。次に、レジスト層の上に配線部20に対応する開口部を備えたマスクを配置する。次に、露光装置を用いてマスクおよびマスクの開口部内のレジストに光(紫外光)を照射して露光した後、マスクを除去して現像する。これにより、光を照射した領域(またはマスクで覆われた領域)のレジスト層が除去され、開口部が形成されたレジスト層となる。なお、開口部内には金属箔が露出した状態となっている。次に、当該開口部が形成されたレジスト層をマスクとし、レジスト層の開口部内に露出された金属箔をエッチングすることで、レジスト開口部に対応する部分の金属箔が除去される。これにより基体11の上面(接着層12)が露出し、この露出部分が間隙Gおよび配線部20以外の部分となり、間隙Gを有する一対の配線部20(図1A参照)を有する基板10となる。
【0035】
つぎに、異方性導電部材配置工程では、図3Dに示すように一対の配線部20上の中央部分にペースト状の異方性導電部材30を塗布する。異方性導電部材配置工程では、より具体的には、平面視で一対の配線部20の一部および間隙Gの一部を含む円形の領域上に、ペースト状の異方性導電部材30を塗布する。ここで、異方性導電部材配置工程では、例えばポッティング(滴下)法、圧縮成型法、印刷法、トランスファモールド法、ジェットディスペンス法等によりペースト状の異方性導電部材30を配置することができる。
異方性導電部材配置工程は、必要量の異方性導電部材30を一度に一カ所に設けてもよいが、複数回で一カ所もしくは複数の位置に分けて設けてもよい。
【0036】
発光素子接合工程では、図3Eに示すように、異方性導電部材30を介して、一対の配線部20間の間隙Gをまたぐように発光素子50を一対の配線部20上に接合する。発光素子接合工程では、より具体的には、硬化前の異方性導電部材30上に電極51を下に向けて発光素子50を配置し、発光素子50の上から加熱圧着を行う。これより、一対の配線部20に発光素子50が接合される。なお、この発光素子接合工程において、透光性樹脂31内の導電粒子32がつぶされた状態(図2A参照)で異方性導電部材30が固まるため、圧着終了後に減圧状態となっても、当該導電粒子32を介して発光素子50が配線部20に接続された状態となっている。
なお、この加圧の際に、ペースト状の異方性導電部材30がつぶされることで、異方性導電部材30は、発光素子50より広い面積で設けられる。
【0037】
封止樹脂形成工程では、例えば、図3Fに示すように、基板10、異方性導電部材30および発光素子50を封止樹脂60で被覆する。本実施形態の封止樹脂形成工程では、より具体的には、平面視で一対の配線部20の円形状の領域をほぼ含むようにドーム状に封止樹脂60を形成する。
ここで、封止樹脂形成工程では、例えばポッティング(滴下)法、圧縮成型法、印刷法、トランスファモールド法、ジェットディスペンス法、スプレー法等により封止樹脂60を形成することができる。封止樹脂60の形状は、異方性導電部材30および発光素子50を封止しており、排気通路40が封止樹脂60の外側にまで配置されている限り、特に限定されない。
なお、排気通路40は、間隙Gの周囲に沿った位置において設けられることになる。つまり、排気通路40は、間隙Gに連続して接着剤13の空間14が多数形成されることで、気泡を排気する領域として形成される。そして、排気通路40は、異方性導電部材30および封止樹脂60の外側に連続して形成されることから、異方性導電部材30と他の部材との界面等において熱により気泡が移動した場合、封止樹脂60の外部に排出することができる。
【0038】
以上のような各工程を行う発光装置1の製造方法によれば、異方性導電部材30から封止樹脂60の外まで配線部20の間隙Gに沿って排気通路40を設けることで、異方性導電部材30を用いる場合に他の部材との界面等に形成されることがある空洞から、駆動時に熱により当該界面を移動する気泡を排気通路40から外部に排出することができる。そのため、従来の装置と比較して発光装置1の各構成に孔や溝等の機械加工する必要がない。そして、発光装置1の製造方法では、製造した発光装置1の発光素子50と封止樹脂60との界面に空気層が形成されず、発光装置1の光出力の低下等の不具合を防止することができる。なお、前記した製造方法において、封止樹脂形成工程は、発光装置の構成により省略される場合がある。封止樹脂成形工程が省略される場合には、排気通路40は、異方性導電部材30の一端部から多端部まで、間隙Gに沿って設けられることになる。
【0039】
<第2実施形態>
(発光装置の構成)
本発明の第2実施形態に係る発光装置1Aの構成について、図5および図6を参照しながら説明する。発光装置1Aは、図5および図6に示すように、前記した発光装置1の構成(図1参照)に加え、反射材料層(反射部材)70を備えている。
【0040】
反射材料層70は、発光素子50からの光を反射するためのものである。この反射材料層70は、図6に示すように、接合領域J以外の基板10上に設けられている。なお、反射材料層70の詳細については後記する製造方法の説明において行う。
【0041】
反射材料層70の反射材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、フッ素樹脂、アクリル、ポリカーボネイト、ポリイミド、ポリフタルアミド等にTiO2,ZrO2,Al23,SiO2等の反射材を含有させたものを用いることができる。また、反射材料層70の厚さは特に限定されず、目的および用途に応じて任意の厚さで形成することができる。発光装置1Aは、このような反射材料層70を備えることで、発光素子50から出射された光を反射することができ、光出力を向上させることができる。
【0042】
[発光装置の製造方法]
以下、第2実施形態に係る発光装置1Aの製造方法について、図7A図7Fおよび図5を参照しながら説明する。発光装置1Aの製造方法は、接着剤配置工程(図7A)と、金属箔接着工程(図7B)と、配線部形成工程と(図7C)と、反射材料層形成工程(図7D)異方性導電部材配置工程(図7E)と、発光素子接合工程(図7F)と、封止樹脂形成工程(図5)と、を順番に行う。なお、接着剤配置工程から配線部形成工程までを基板準備工程とする。また、発光装置1Aの製造方法は、反射材料層形成工程以外は前記した発光装置1の製造方法(図3A図3F参照)と同様であるため、以下では反射材料層形成工程を主に説明する。
【0043】
反射材料層形成工程は、図7Dに示すように、配線部形成工程の次に行われる。この反射材料層形成工程では、光を反射する反射材料層70を、発光素子50を接合する接合領域を含む配線部20,20の円形となる部分の外側の、接合領域J以外の基板10上に設ける。すなわち、基板10上に配線部20を形成(図7C)した後、反射材料層形成工程では予め定めた配線部20,20の円形となる部分より大きな範囲である領域をマスクしながら反射材料を塗布し、図7Dに示すような反射材料層70を設ける。ここで、反射材料層形成工程では、接合領域Jにマスクをして、例えば、印刷法、塗布、スプレー法等により反射材料を設けることができる。
【0044】
そして、このように反射材料層形成工程で反射材料層70を設けてマスクを除去した後、図7Eに示すように、異方性導電部材配置工程(図7E)と、発光素子接合工程(図7F)と、封止樹脂形成工程(図5)を経て、発光装置1Aを製造する。このような工程を行う発光装置1Aの製造方法によれば、異方性導電部材30と他の部材の界面に空洞があり、駆動時に熱により当該空洞から移動する気泡を空間14である排気通路40から排出して除去することができ、接合領域J以外に反射樹脂層70を形成することで、光出力が向上した発光装置1Aを提供することができる。
【0045】
以上、本発明に係る発光装置およびその製造方法について、具体的な構成を例示して説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0046】
例えば前記した発光装置1,1Aは、図2Aおよび図6に示すように、樹脂の基体11の一方の面に接着層12を介して配線部20が接着され、基板10および配線部20の構成が合計3層で構成されていたが、これに加えて、基体11の他方の面に別の接着層等を介して金属層を設け、合計5層で構成しても構わない。なお、前記した「基体11の他方の面」とは、基体11における発光素子50側が搭載される側の面と反対の面のことを意味している。
【0047】
この場合、最下層に設けられる金属層は基体の一部として基板10の機械的強度および放熱性を向上させるためのものであり、例えばアルミニウムおよびその合金等を用いることができる。また、基体11と金属層とを接着する接着層は、前記した接着層12と同様に、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0048】
さらに、発光装置1,1Aは、線状の接着剤13および空間14を間隙Gの中央(発光素子50の直下)から一端部まで形成することで、発光素子50の直下から封止樹脂60の端部までの半径の長さの位置までに亘る間隙Gに沿って排気通路40が設けられるように構成しても構わない。また、発光装置1,1Aは、間隙G内のみが接着剤13と空間14とになるように構成しても構わない。つまり、後記する図8Aのように間隙Gが基板全体に連続するような構成の場合では、間隙G内に接着剤13と空間14とを繰り返すような領域を設けるようにしても構わない。
【0049】
なお、発光装置1,1Aでは、封止樹脂60の端部を越えて接着剤13および空間14を繰り返す領域を設けることで、排気通路40により封止樹脂60の外部に、熱により移動する気泡を確実に排出することができる。
さらに、発光装置1,1Aは、図1に示すように、一枚の基板10に対して一つの発光素子50が配置されるとともに、配線部20が円形状の領域と、当該円形状の領域から基板10の左右の端部にそれぞれ伸びる線状の領域とから構成されていたが、基板10および配線部20の構成はこれに限定されない。
【0050】
例えば、図8A図8Cに示すように、一枚の長尺状の基板10Aの表面に、一対の配線部20Aが複数形成され、それぞれの配線部20Aに発光素子50が接合された構成でも構わない。この場合、発光装置1Bの基板10Aは、可撓性を有し、屈曲および変形が可能なフレキシブル基板であり、当該基板は例えばポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリイミド(PI)で構成されている。図8Aに示すように、この基板10A上には配線部20Aが設けられている。
【0051】
発光装置1Bの配線部20Aは、反射率を高めるために、例えばアルミニウムで構成されており、発光素子50が接合される一対の配線部20Aのうちの一方または他方が、隣接する発光素子50が接合される一対の配線部20Aの他方または一方を兼ねるように構成されている。すなわち発光装置1Bは、図8Aに示すように、中央の発光素子50bが接合される一方の配線部20Abが、左側に隣接する発光素子50aが接合される他方の配線部20Abとなるように構成されている。また同様に、発光装置1Bは、中央の発光素子50bが接合される他方の配線部20Acが、右側に隣接する発光素子50cが接合される一方の配線部20Acとなるように構成されている。なお、図8Aにおける符号20Ab,20Acおよび符号50a,50b,50cは、配線部20Aおよび発光素子50の位置を区別するために便宜的に使用したものであり、構成はそれぞれ同一である。
【0052】
このような構成を備える発光装置1Bであっても、前記した発光装置1,1Aと同様に、異方性導電部材30から封止樹脂60の外まで間隙Gに沿って排気通路40を形成することで、異方性導電部材30と他の部材との界面において熱により移動する気泡を外部に排出することができる。なお、発光装置1Bは、図8Aに示すように、基板10A上に配線部20のみが設けられているが、前記した発光装置1A(図5参照)のように、さらに反射材料層70を設けた構成であっても構わない。反射材料層70を設ける場合、発光装置1Bの配線部20Aは、例えば銅で構成されてもよい。
【0053】
さらに、発光装置1,1A,1Bは、配線部20の間隙Gが形成する直線に対して所定角度θとなり交差するように線状の接着剤13および空間14が設けられているが、配線部20の間隙Gが形成する直線に対して平行となる向きに接着剤13および空間14が向くように形成しても構わない。つまり間隙G内に平行に線状の接着剤13および空間14が形成される構成としてもよい。
【0054】
また、図4Bに示すように、接着剤13と空間14との関係は接着剤13の幅が広い線状として図示しているが、接着剤13と空間14とが同じ間隔となることや、あるいは、空間14のほうが接着剤13よりも広くなってもよく、配線部20を確実に接着できる範囲で適宜変更することが可能である。
さらに、図4Cに示すように、接着剤13aと空間14aとの関係となるように構成しても構わない。つまり、接着剤13aは隣り合う接着剤13aと一部が接触するような間隔D2となるように設けられ、配線部20側に空間14aが形成される状態であっても構わない。
【0055】
そして、図8A図8Cで示す発光装置1Bは、フレキシブル基板を使用してロールツウロール方式で製造する製造方法としても、あるいは、樹脂フィルムを予め所定の大きさに切断したシートに接着剤13を設け、その後、金属箔を貼り付け、さらに、露光するようにした枚葉方式で製造しても構わない。
【0056】
また、前記した異方性導電部材30は、前記したように、透光性を有する熱硬化性樹脂または光反射材を主成分とすることにより、より好ましくは熱硬化性樹脂を主成分とすることにより、当該異方性導電部材による光の吸収を最大限に防止することができる。また、このような透光性の熱硬化性樹脂中に、光反射材が半田よりも多く、かつ均一に分散しているために、半田による光の吸収を最小限に止めるのみならず、配線間の基体11への光照射を最小限に止めることができ、基板10の劣化を回避することができる。さらに、発光素子50から出射した光が直接異方性導電部材30に当たり反射される以外の光、つまり、周辺部材からの反射・散乱光が当該異方性導電部材30に再度入射した場合でも、効率よく光を反射させることができる。
【0057】
異方性導電部材30は、例えば、熱硬化性樹脂が25〜85重量部、半田が5〜30重量部及び光反射材が10〜70重量部含有されていることが好ましく、熱硬化性樹脂が35〜85重量部、半田が5〜30重量部及び光反射材が10〜40重量部含有されることがより好ましい。
前記した複数の線状の接着剤13は、互いに完全に離間していることに限られず、厚みが線状の接着剤よりも薄い接着剤部等を介して、連続していてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1,1A,1B 発光装置
10,10A 基板
11 基体(樹脂層)
12 接着層
13 接着剤
14 空間
20,20A,20Ab,20Ac 配線部
30,130 異方性導電部材
31 透光性樹脂
32 導電粒子
40 排気通路
50,50a,50b,50c 発光素子
51 電極
60 封止樹脂
70 反射材料層
G 間隙
J 接合領域
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A
図8B
図8C