特許第6464779号(P6464779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6464779トリアジン化合物、その製造方法、及びそれを用いた有機電界発光素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6464779
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】トリアジン化合物、その製造方法、及びそれを用いた有機電界発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/10 20060101AFI20190128BHJP
   C07D 251/24 20060101ALI20190128BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20190128BHJP
【FI】
   C07D401/10CSP
   C07D251/24
   !C07B61/00 300
【請求項の数】10
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2015-17508(P2015-17508)
(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公開番号】特開2016-141633(P2016-141633A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】清水 真郷
(72)【発明者】
【氏名】新井 信道
(72)【発明者】
【氏名】野村 桂甫
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛
【審査官】 吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−177418(JP,A)
【文献】 特開2014−148663(JP,A)
【文献】 特表2013−538883(JP,A)
【文献】 特開2013−256490(JP,A)
【文献】 特表2012−528088(JP,A)
【文献】 特開2011−121934(JP,A)
【文献】 特開2011−093864(JP,A)
【文献】 特開2011−063584(JP,A)
【文献】 特開2010−095452(JP,A)
【文献】 特開2010−045034(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/000548(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/015931(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/086170(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/126270(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/104708(WO,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0131754(KR,A)
【文献】 Glass forming donor-substituted s-triazines: Photophysical and electrochemical properties,Dyes and Pigments,2013年,97(3),412-422
【文献】 Diverse dimerization of molecular tweezers with a 2,4,6-triphenyl-1,3,5-triazine spacer in the solid state,Chemical Communications (Cambridge, United Kingdom),2010年,46(27),4902-4904
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
(一般式(1)中、
2つのArは同一の置換基を表す。
Arは、部分又は全体骨格としてフェナントレン又はフルオレンを有する炭素数14〜18の縮環芳香族炭化水素基(該基は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい)を表す。
Arは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜10で構成される芳香族炭化水素基、又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数3〜9の含窒素ヘテロ芳香族基を表す。
Xは、各々独立して、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜10の2価芳香族炭化水素基、又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数4〜5の2価含窒素ヘテロ芳香族基を表す。
pは0、1又は2の整数を示す。pが2の時、Xは同一または相異なっていてもよい。)
で示されるトリアジン化合物。
【請求項2】
Arが、フェナントリル基、又はフルオランテニル基(これらの置換基は、炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していてもよい)である請求項1に記載のトリアジン化合物。
【請求項3】
Arが、水素原子、メチル基で置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、又はメチル基で置換されていてもよい炭素数3〜9の含窒素ヘテロ芳香族基である請求項1、又は2に記載のトリアジン化合物。
【請求項4】
Xが、各々独立して、メチル基で置換されていてもよい炭素数6〜10の2価芳香族炭化水素基、又はメチル基で置換されていてもよい炭素数4〜5の2価含窒素ヘテロ芳香族基であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトリアジン化合物。
【請求項5】
一般式(2)で示される化合物と、一般式(3)及び一般式(4)で示される化合物を、パラジウム触媒の存在下で、順次又は同時にカップリング反応させることを特徴とする請求項1に記載のトリアジン化合物の製造方法。
【化2】
(式中、
2つのArは同一の置換基を表す。
Ar、Ar、X、及びpは、請求項1の定義と同じ。
ただし、pが0の場合、Arは、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜10で構成される芳香族炭化水素基、又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数3〜9の含窒素ヘテロ芳香族基を表す。
は塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子表す。Yは水素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子表す。
2つのYは同一の置換基を表し、YとYは相異なる置換基を表す。
は、ZnR、MgR、Sn(R又はB(ORを表す。但し、R及びRは、各々独立に塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(ORの2つのRは同一又は異なっていてもよい。また、2つのRは一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。
は、ZnR、MgR、Sn(R又はB(ORを表す。但し、R及びRは、各々独立に塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、Rは、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、Rは水素原子、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(ORの2つのRは同一又は異なっていてもよい。また、2つのRは一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。)
【請求項6】
一般式(5)で示される化合物と、一般式(4)で示される化合物を、パラジウム触媒の存在下で、カップリング反応させることを特徴とする請求項1に記載のトリアジン化合物の製造方法。
【化3】
(式中、
2つのArは同一の置換基を表す。
Ar、Ar、X、及びpは、請求項1の定義と同じ。
ただし、pが0の場合、Arは、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜10で構成される芳香族炭化水素基、又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数3〜9の含窒素ヘテロ芳香族基を表す。
は水素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。
は、同一のZnR、MgR、Sn(R又はB(ORを表す。但し、R及びRは、各々独立に塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、Rは、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、Rは水素原子、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(ORの2つのRは同一又は異なっていてもよい。また、2つのRは一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。)
【請求項7】
一般式(7)で示される化合物と、一般式(3)で示される化合物を、パラジウム触媒の存在下で、カップリング反応させることを特徴とする請求項1に記載のトリアジン化合物の製造方法。
【化4】
(式中、
2つのArは同一の置換基を表す。
Ar、Ar、X、及びpは、請求項1の定義と同じ。
は塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。
2つのYは同一の置換基を表す。
は、ZnR、MgR、Sn(R又はB(ORを表す。但し、R及びRは、各々独立に塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、Rは、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、Rは水素原子、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(ORの2つのRは同一又は異なっていてもよい。また、2つのRは一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。)
【請求項8】
パラジウム触媒が、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム触媒である請求項5、6、又は7に記載の製造方法。
【請求項9】
パラジウム触媒が、トリフェニルホスフィン又は2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルを配位子として有するパラジウム触媒であることを特徴とする請求項5、6、7、又は8に記載の製造方法。
【請求項10】
一般式(5)で表される請求項6に記載のトリアジン化合物。
【化5】
(式中、
2つのArは同一の置換基を表す。
Arは請求項6と同じ定義を表わす。
2は水素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリフェニルトリアジンの3つのフェニル基のうち、2つのフェニル基の3位に同一の芳香族炭化水素基を有することを特徴とするトリアジン化合物とその製造方法、及びそれを用いた高効率、低電圧及び高耐久性の有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子は、発光材料を含有する発光層を、正孔輸送層と電子輸送層で挟み、さらにその外側に陽極と陰極を取付け、発光層に注入された正孔及び電子の再結合により生ずる励起子が失活する際の光の放出(蛍光又はりん光)を利用する素子であり、小型のディスプレーだけでなく大型テレビや照明等へ応用されている。なお、正孔輸送層は正孔輸送層と正孔注入層に、発光層は、電子ブロック層と発光層と正孔ブロック層に、電子輸送層は電子輸送層と電子注入層に分割して構成される場合もある。また、有機電界発光素子のキャリア輸送層(電子輸送層又は正孔輸送層)として、金属、有機金属化合物又はその他有機化合物をドープした共蒸着膜を用いる場合もある。
【0003】
従来の有機電界発光素子は、無機発光ダイオードに比べて駆動電圧が高く、発光輝度や発光効率も低く、素子寿命も著しく低く、幅広い分野での実用化には至っていなかった。また、最近の有機電界発光素子は前記欠点が徐々に改良されているものの、発光効率特性、駆動電圧特性、長寿命特性の更なる改善を目的として、優れた材料が求められている。その中でも、素子寿命の改善が幅広い分野での普及に急務となっており、そのための材料開発が求められている。
【0004】
有機電界発光素子用の長寿命性に優れる電子輸送材料として、特許文献1で開示されたトリアジン化合物が挙げられる。しかしながら、電圧、寿命及び発光効率の改善の点で更なる改良が求められていた。また、特許文献2で開示されたアントラセン型トリアジン化合物のようなアントラセン誘導体には光二量化反応や光酸化といった光反応性があることが一般に知られており、他縮合環化合物よりもアントラセン誘導体の構造変化が起きやすく、ひいては素子性能に大きな影響を及ぼす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−063584号公報
【特許文献2】特開2011−093864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、従来公知のトリアジン化合物に比べて、有機電界発光素子寿命を顕著に向上させる特定のトリアジン化合物を提供することをその目的とする。
【0007】
また、本発明は、トリアジン化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、トリアジン化合物を製造するのに必要な製造中間体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、アントラセンよりも光反応性が高くない3環以上の少なくともフェナントレン又はフルオレンを部分又は全体骨格として有する縮環芳香族炭化水素基を有することを特徴とする下記一般式(1)で表されるトリアジン化合物(以下、「トリアジン化合物(1)」とも称する)を電子輸送材料として用いた有機電界発光素子が、従来公知の材料を用いたときに比べて、顕著に長寿命特性を示すことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、一般式(1)
【0011】
【化1】
(一般式(1)中、
2つのArは同一の置換基を表す。
Arは、部分又は全体骨格としてフェナントレン又はフルオレンを有する炭素数14〜18の縮環芳香族炭化水素基(該基は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい)を表す。
Arは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数3〜9の含窒素ヘテロ芳香族基を表す。
Xは、各々独立して、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜10の2価芳香族炭化水素基、又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数4〜5の2価含窒素ヘテロ芳香族基を表す。
pは0、1又は2の整数を示す。pが2の時、Xは同一または相異なっていてもよい。)
で示されるトリアジン化合物、その製造方法、及びそれを用いた有機電界発光素子に関するものである。
【発明の効果】
【0012】
本願発明のトリアジン化合物は、従来公知の化合物に比べて有機電界発光素子を顕著に長寿命化させることできるものであり、最終製品の製品寿命及び耐久性を顕著に向上させる効果を奏するものです。また、本願発明のトリアジン化合物は、有機電界発光素子の駆動電圧、電力効率に優れる電子輸送材料としても利用することができる。すなわち、本願発明によれば、消費電力が低く、素子寿命に優れる有機電界発光素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明は、上記のトリアジン化合物(1)、その製造方法、及びそれを含有する有機電界発光素子に関するものである。
【0015】
トリアジン化合物(1)における置換基はそれぞれ以下のように定義される。
【0016】
式(1)中、2つのArは同一の置換基を表す。
【0017】
Arにおける、部分又は全体骨格としてフェナントレン又はフルオレンを有する炭素数14〜18の縮環芳香族炭化水素基(該基は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい)としては、特に限定するものではないが、例えば、フェナントリル基、フルオランテニル基、クリセニル基、トリフェニレニル基、又はピレニル基(これらの基は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい)が挙げられる。
【0018】
Arにおける炭素数1〜4のアルキル基としては、特に限定するものではないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はt−ブチル基等が好ましい例として挙げられる。このうち、電子輸送性材料特性に優れる点で、メチル基がより好ましい。
【0019】
Arにおける、部分又は全体骨格としてフェナントレン又はフルオレンを有する炭素数14〜18の縮環芳香族炭化水素基(該基は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい)としては、特に限定するものではないが、メチルフェナントリル基、メチルピレニル基、メチルトリフェニレニル基、メチルクリセニル基、メチルフルオランテニル基、メチルピレニル基、ジメチルフェナントリル基、ジメチルピレニル基、ジメチルトリフェニレニル基、ジメチルクリセニル基、ジメチルフルオランテニル基、又はジメチルピレニル基等が好ましい例として挙げられる。
【0020】
Arは、電子輸送性材料特性に優れる点で、フェナントリル基、フルオランテニル基、クリセニル基、トリフェニレニル基、又はピレニル基(これらの基は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい)であることが好ましく、フェナントリル基又はフルオランテニル基(これらの置換基は、炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していてもよい)が好ましく、フェナントリル基(メチル基を置換基として有してもよい)がより好ましい。
【0021】
Arの具体例としては、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−メチルフェナントレン−2−イル基、1−メチルフェナントレン−3−イル基、1−メチルフェナントレン−4−イル基、1−メチルフェナントレン−5−イル基、1−メチルフェナントレン−6−イル基、1−メチルフェナントレン−7−イル基、1−メチルフェナントレン−8−イル基、1−メチルフェナントレン−9−イル基、1−メチルフェナントレン−10−イル基、2−メチルフェナントレン−1−イル基、2−メチルフェナントレン−3−イル基、2−メチルフェナントレン−4−イル基、2−メチルフェナントレン−5−イル基、2−メチルフェナントレン−6−イル基、2−メチルフェナントレン−7−イル基、2−メチルフェナントレン−8−イル基、2−メチルフェナントレン−9−イル基、2−メチルフェナントレン−10−イル基、3−メチルフェナントレン−1−イル基、3−メチルフェナントレン−2−イル基、3−メチルフェナントレン−4−イル基、3−メチルフェナントレン−5−イル基、3−メチルフェナントレン−6−イル基、3−メチルフェナントレン−7−イル基、3−メチルフェナントレン−8−イル基、3−メチルフェナントレン−9−イル基、3−メチルフェナントレン−10−イル基、4−メチルフェナントレン−1−イル基、4−メチルフェナントレン−2−イル基、4−メチルフェナントレン−3−イル基、4−メチルフェナントレン−5−イル基、4−メチルフェナントレン−6−イル基、4−メチルフェナントレン−7−イル基、4−メチルフェナントレン−8−イル基、4−メチルフェナントレン−9−イル基、4−メチルフェナントレン−10−イル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、1−メチルピレン−2−イル基、1−メチルピレン−3−イル基、1−メチルピレン−4−イル基、1−メチルピレン−5−イル基、1−メチルピレン−6−イル基、1−メチルピレン−7−イル基、1−メチルピレン−8−イル基、1−メチルピレン−9−イル基、1−メチルピレン−10−イル基、2−メチルピレン−1−イル基、2−メチルピレン−3−イル基、2−メチルピレン−4−イル基、2−メチルピレン−5−イル基、2−メチルピレン−6−イル基、2−メチルピレン−7−イル基、2−メチルピレン−8−イル基、2−メチルピレン−9−イル基、2−メチルピレン−10−イル基、9−メチルピレン−1−イル基、9−メチルピレン−2−イル基、9−メチルピレン−3−イル基、9−メチルピレン−4−イル基、9−メチルピレン−5−イル基、9−メチルピレン−6−イル基、9−メチルピレン−7−イル基、9−メチルピレン−8−イル基、9−メチルピレン−10−イル基、フルオランテン−1−イル基、フルオランテン−1−イル基、フルオランテン−2−イル基、フルオランテン−3−イル基、フルオランテン−4−イル基、フルオランテン−5−イル基、フルオランテン−6−イル基、フルオランテン−7−イル基、フルオランテン−8−イル基、フルオランテン−9−イル基、フルオランテン−10−イル基、トリフェニレン−1−イル基、トリフェニレン−2−イル基、クリセン−1−イル基、クリセン−2−イル基、クリセン−5−イル基、又はクリセン−6−イル基等が好ましい例として挙げられる。これらの置換基のうち、電子輸送性材料特性に優れる点で、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−メチルフェナントレン−2−イル基、1−メチルフェナントレン−3−イル基、1−メチルフェナントレン−4−イル基、1−メチルフェナントレン−5−イル基、1−メチルフェナントレン−6−イル基、1−メチルフェナントレン−7−イル基、1−メチルフェナントレン−8−イル基、1−メチルフェナントレン−9−イル基、1−メチルフェナントレン−10−イル基、2−メチルフェナントレン−1−イル基、2−メチルフェナントレン−3−イル基、2−メチルフェナントレン−4−イル基、2−メチルフェナントレン−5−イル基、2−メチルフェナントレン−6−イル基、2−メチルフェナントレン−7−イル基、2−メチルフェナントレン−8−イル基、2−メチルフェナントレン−9−イル基、2−メチルフェナントレン−10−イル基、3−メチルフェナントレン−1−イル基、3−メチルフェナントレン−2−イル基、3−メチルフェナントレン−4−イル基、3−メチルフェナントレン−5−イル基、3−メチルフェナントレン−6−イル基、3−メチルフェナントレン−7−イル基、3−メチルフェナントレン−8−イル基、3−メチルフェナントレン−9−イル基、3−メチルフェナントレン−10−イル基、4−メチルフェナントレン−1−イル基、4−メチルフェナントレン−2−イル基、4−メチルフェナントレン−3−イル基、4−メチルフェナントレン−5−イル基、4−メチルフェナントレン−6−イル基、4−メチルフェナントレン−7−イル基、4−メチルフェナントレン−8−イル基、4−メチルフェナントレン−9−イル基、又は4−メチルフェナントレン−10−イル基が更に好ましい。
【0022】
Arは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数3〜9の含窒素ヘテロ芳香族基を表す。
【0023】
Arにおける炭素数1〜4のアルキル基としては、特に限定するものではないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はt−ブチル基等が好ましい例として挙げられる。このうち、電子輸送性材料特性に優れる点で、メチル基がより好ましい。
【0024】
Arにおける炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基又はナフチル基が挙げられる。
【0025】
Arにおける炭素数3〜9の含窒素ヘテロ芳香族基としては、特に限定するものではないが、例えば、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、トリアジル基、キノリル基、イソキノリル基、ナフチリジル基、キナゾリル基、又はキノキサリル基等が好ましい例として挙げられる。
【0026】
Arの具体例としては、特に限定するものではないが、水素原子、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−メチルピリジン−3−イル基、2−メチルピリジン−4−イル基、2−メチルピリジン−5−イル基、2−メチルピリジン−6−イル基、3−メチルピリジン−2−イル基、3−メチルピリジン−4−イル基、3−メチルピリジン−5−イル基、3−メチルピリジン−6−イル基、4−メチルピリジン−2−イル基、4−メチルピリジン−3−イル基、2,6−ジメチルピリジン−3−イル基、2,6−ジメチルピリジン−4−イル基、3,6−ジメチルピリジン−2−イル基、3,6−ジメチルピリジン−4−イル基、3,6−ジメチルピリジン−5−イル基、ピリジン−6−イル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、4,6−ジメチルピリミジン−2−イル基、キノリン−2−イル基、キノリン−3−イル基、キノリン−4−イル基、キノリン−5−イル基、キノリン−6−イル基、キノリン−7−イル基、キノリン−8−イル基、キノリン−9−イル基、2−メチルキノリン−3−イル基、2−メチルキノリン−4−イル基、2−メチルキノリン−5−イル基、2−メチルキノリン−6−イル基、2−メチルキノリン−7−イル基、2−メチルキノリン−8−イル基、イソキノリン−1−イル基、イソキノリン−3−イル基、イソキノリン−4−イル基、イソキノリン−5−イル基、イソキノリン−6−イル基、イソキノリン−7−イル基、イソキノリン−8−イル基、ピラジル基、2−メチルピラジン−5−イル基、2−メチルピラジン−6−イル基、ピリダジン−3−イル基、ピリダジン−4−イル基、3−メチルピリダジン−5−イル基、3−メチルピリダジン−6−イル基、4−メチルピリダジン−3−イル基、4−メチルピリダジン−5−イル基、4−メチルピリダジン−6−イル基、5−メチルピリダジン−3−イル基、5−メチルピリダジン−3−イル基、5−メチルピリダジン−4−イル基、5−メチルピリダジン−6−イル基、6−メチルピリダジン−3−イル基、6−メチルピリダジン−4−イル基、6−メチルピリダジン−5−イル基、トリアジル基、2,4−ジメチルトリアジン−6−イル基、ナフチリジン−2−イル基、ナフチリジン−3−イル基、ナフチリジン−4−イル基、キノキサリン−2−イル基、キノキサリン−5−イル基、キノキサリン−6−イル基、2,3−ジメチルキノキサリン−5−イル基、2,3−ジメチルキノキサリン−6−イル基、キナゾリン−2−イル基、キナゾリン−4−イル基、キナゾリン−5−イル基、キナゾリン−6−イル基、キナゾリン−7−イル基、キナゾリン−8−イル基、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、メシチル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、2,4−ジプロピルフェニル基、3,5−ジプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2,4−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、2,4−ジブチルフェニル基、3,5−ジブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、3−tert−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−メチルナフタレン−4−イル基、1−メチルナフタレン−5−イル基、1−メチルナフタレン−6−イル基、1−メチルナフタレン−7−イル基、1−メチルナフタレン−8−イル基、2−メチルナフタレン−1−イル基、2−メチルナフタレン−3−イル基、2−メチルナフタレン−4−イル基、2−メチルナフタレン−5−イル基、2−メチルナフタレン−6−イル基、2−メチルナフタレン−7−イル基、又は2−メチルナフタレン−8−イル基等が挙げられる。
【0027】
Arについては、電子輸送性材料特性に優れる点で、水素原子、メチル基で置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、又はメチル基で置換されていてもよい炭素数3〜9の含窒素ヘテロ芳香族基であることが好ましく、特に限定するものではないが、例えば、水素原子、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−メチルピリジン−6−イル基、3−メチルピリジン−6−イル基、4−メチルピリジン−6−イル基、2−メチルピリジン−5−イル基2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基。4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−ピリミジル基、4,6−ジメチルピリミジル基、ピラジル基、フェニル基、p−トリル基、1−ナフチル基、又は2−ナフチル基等が挙げられる。
【0028】
Arについては、電子輸送性材料特性に優れる点で、水素原子、無置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、又は無置換の炭素数3〜9の含窒素ヘテロ芳香族基であることがより好ましく、特に限定するものではないが、例えば、水素原子、2−ピリジル基、3−ピリジル基、2−キノリル基、3−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、フェニル基、1−ナフチル基、又は2−ナフチル基等が挙げられる。
【0029】
Arについては、電子輸送性材料特性に優れる点で、3−ピリジル基、2−ピリジル基、3−キノリル基、4−イソキノリル基、フェニル基、1−ナフチル基、又は2−ナフチル基であることがさらに好ましい。
【0030】
Xは、各々独立して、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜10の2価芳香族炭化水素基、又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数4〜5の2価含窒素ヘテロ芳香族基を表す。
【0031】
Xにおける炭素数1〜4のアルキル基としては、特に限定するものではないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はt−ブチル基等が好ましい例として挙げられる。このうち、電子輸送性材料特性に優れる点で、メチル基がより好ましい。
【0032】
Xにおける炭素数6〜10の2価芳香族炭化水素基、又は炭素数4〜5の2価含窒素ヘテロ芳香族基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニレン基、又はナフチレン基、等が挙げられる。
【0033】
Xにおける炭素数4〜5の2価含窒素ヘテロ芳香族基としては、特に限定するものではないが、例えば、ピリジレン基、ピラジレン基、ピリミジレン基、又はピリダジレン基等が挙げられる。
【0034】
Xについては、電子輸送性材料特性に優れる点で、各々独立して、メチル基で置換されていてもよい炭素数6〜10の2価芳香族炭化水素基、又はメチル基で置換されていてもよい炭素数4〜5の2価含窒素ヘテロ芳香族基であることが好ましく、特に限定するものではないが、例えば、フェニレン基、メチルフェニレン基、ナフチレン基、メチルナフチレン基、ピリジレン基、メチルピリジレン基、ピラジレン基、メチルピラジレン基、ピリミジレン基、メチルピリミジレン基、ピリダジレン基、又はメチルピリダジレン基等が挙げられる。
【0035】
Xについては、電子輸送性材料特性に優れる点で、各々独立して、フェニレン基(例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等)、ナフチレン基、ピリジレン基(例えば、2,5−ピリジレン基、3,6−ピリジレン基等)、メチルピリジレン基(例えば、6−メチル−2,5−ピリジレン基、2−メチル−3,6−ピリジレン基等)、ジメチルピリジレン基、ピラジレン基、メチルピラジレン基、ジメチルピラジレン基、ピリミジレン基、メチルピリミジレン基、又はジメチルピリミジレン基(例えば、4,6−ジメチル−2,4−ピリミジレン基等)であることがより好ましい。
【0036】
Xについては、電子輸送性材料特性に優れる点で、各々独立して、フェニレン基(1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等)又はピリジレン基(例えば、2,5−ピリジレン基等)であることがさらに好ましい。
【0037】
pは、0、1又は2を表す。昇華精製の操作性に優れる点で、pは、0又は1が好ましい。
【0038】
なお、−(X)−は、−X−で表される基がp個連結していることを表わす。すなわち、p=2の場合、−(X)−は、「−X−X−」を意味する。この場合、二つのXは同一であっても相異なっていてもよい。
【0039】
一般式(1)で示されるトリアジン化合物の特に好ましい具体例としては、次の(A−1)から(A−205)を例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
【化2】
【0041】
【化3】
【0042】
【化4】
【0043】
【化5】
【0044】
【化6】
【0045】
【化7】
【0046】
【化8】
【0047】
【化9】
【0048】
【化10】
【0049】
【化11】
【0050】
【化12】
次に、本発明の製造方法について説明する。
【0051】
本発明のトリアジン化合物(1)は、場合によっては塩基の存在下に、パラジウム触媒の存在下で、次の反応式(1)
【0052】
【化13】
(反応式(1)中、Ar、Ar、X、及びpは、前記と同じ置換基を表す。Y、Yは、各々独立して、後述する置換基を表す。M及びMは、各々独立して、後述する置換基を表す。)
、又は反応式(2)
【0053】
【化14】
(反応式(2)中、Ar、Ar、X、及びpは、前記と同じ置換基を表す。Y、Yは、各々独立して、後述する置換基を表す。M及びMは、各々独立して、後述する置換基を表す。)
で示される方法により製造することができる。
【0054】
また、以降、一般式(2)で表される化合物については化合物(2)と称する。なお、化合物(3)〜化合物(7)についても同義とする。
【0055】
反応式(1)又は反応式(2)で用いられる、化合物(3)は、例えば、特開2008−280330号公報又は特開2001−335516号公報に開示されている方法を用いて製造することができる。化合物(3)としては、次の(B−1)から(B−5)を例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
【化15】
は、ZnR、MgR、Sn(R、又はB(ORで表される置換基である。
【0057】
ZnR、及びMgRで表される置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、ZnCl、ZnBr、ZnI、MgCl、MgBr、MgI等が例示できる。Sn(Rで表される置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、Sn(Me)、Sn(Bu)等が例示できる。
【0058】
B(ORで表される置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、B(OH)、B(OMe)、B(OPr)、B(OBu)、次の(C−1)から(C−6)で示される基等が例示できる。これらのうち、反応収率がよい点で(C−2)で示される基が好ましい。
【0059】
【化16】
反応式(1)又は反応式(2)で用いられる、化合物(4)は、例えば、特開2008−280330号公報に開示されている方法又は特開2001−335516号公報に開示されている方法を用いて製造することができる。化合物(4)中のMは前記Mと同様の置換基を例示することができる。化合物(4)としては、特に限定するものではないが、次の(D−1)から(D−37)等を例示できる。
【0060】
【化17】
化合物(2)、化合物(5)又は化合物(7)におけるYは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子表す。Yは、水素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子表す。2つのYは同一の置換基を表し、YとYはまた、反応の選択性を向上させる為にY及びYは異なる置換基を有す。
【0061】
続いて、反応式(1)について説明する。「工程1」は化合物(2)を、場合によっては塩基の存在下に、パラジウム触媒の存在下に化合物(3)と反応させ、合成中間体である化合物(5)を得る方法であり、鈴木−宮浦反応、根岸反応、玉尾−熊田反応、スティレ反応等の、一般的なカップリング反応の反応条件を適用することにより、収率よく目的物を得ることができる。
【0062】
「工程1」で用いることのできるパラジウム触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、硝酸パラジウム等の塩を例示することができる。さらに、π−アリルパラジウムクロリドダイマー、パラジウムアセチルアセトナト、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム及びジクロロ(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム等の錯化合物をも例示することができる。中でも、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は反応収率がよい点でさらに好ましく、入手容易であり、反応収率がよい点で、トリフェニルホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体が特に好ましい。
【0063】
第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は、パラジウム塩又は錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調製することもできる。この際用いることのできる第三級ホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、tert−ブチルジフェニルホスフィン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリス(2,5−キシリル)ホスフィン、(プラスマイナス)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル等が例示できる。入手容易であり、反応収率がよい点で、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル又はトリフェニルホスフィンが好ましい。第三級ホスフィンとパラジウム塩又は錯化合物とのモル比は、1:10〜10:1が好ましく、反応収率がよい点で1:2〜5:1がさらに好ましい。
【0064】
「工程1」で用いることのできる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等を例示することができ、収率がよい点で炭酸カリウムが好ましい。塩基と化合物(3)とのモル比は、1:2から10:1が望ましく、収率がよい点で1:1から3:1がさらに好ましい。
【0065】
「工程1」で用いる化合物(2)と化合物(3)とのモル比は、1:4から5:1が好ましく、収率がよい点で1:3から2:1がさらに好ましい。
【0066】
「工程1」で用いることのできる溶媒として、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、エタノール、メタノール又はキシレン等が例示でき、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。収率がよい点でジオキサン又はTHFと水の混合溶媒を用いることが好ましい。
【0067】
「工程1」は、0℃から150℃から適宜選ばれた温度で実施することができ、収率がよい点で50℃から100℃で行うことがさらに好ましい。
【0068】
化合物(5)は、「工程1」の終了後に通常の処理をすることで得られる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。「工程2」は化合物(5)を、パラジウム触媒の存在下に化合物(4)と反応させ、本発明のトリアジン化合物(1)を得る方法であり、鈴木−宮浦反応、根岸反応、玉尾−熊田反応、スティレ反応等の、一般的なカップリング反応の反応条件を適用することにより、収率よく目的物を得ることができる。「工程2」は「工程1」で挙げた条件と同様な反応条件を選択する事ができる。但し、「工程1」と同じ反応条件である必要はない。また合成中間体である化合物(5)を単離せずに「工程1」の反応系中に化合物(4)を追加し、トリアジン化合物(1)を合成することもできる。「工程2」の終了後、必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。
【0069】
なお、化合物(5)は、化合物(1)のような、有機電界発光素子の低駆動電圧性、高発光効率性、長寿命性に顕著に優れる化合物を工業的に供給するために優れた材料であり、工業的に非常に価値が高いものである。
【0070】
続いて、反応式(2)について説明する。「工程3」は化合物(2)を、パラジウム触媒の存在下に化合物(4)と反応させ、合成中間体である化合物(7)を得る方法であり、鈴木−宮浦反応、根岸反応、玉尾−熊田反応、スティレ反応等の、一般的なカップリング反応の反応条件を適用することにより、収率よく目的物を得ることができる。「工程3」は「工程1」で挙げた条件と同様な反応条件を選択することができる。但し、「工程1」と同じ反応条件である必要はない。「工程3」の終了後、必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。「工程4」は化合物(7)を、場合によっては塩基の存在下に、パラジウム触媒の存在下に化合物(3)と反応させ、本発明のトリアジン化合物(1)を得る方法であり、鈴木−宮浦反応、根岸反応、玉尾−熊田反応、スティレ反応等の、一般的なカップリング反応の反応条件を適用することにより、収率よく目的物を得ることができる。「工程4」は「工程1」で挙げた条件と同様な反応条件を選択する事ができる。但し、「工程1」と同じ反応条件である必要はない。また合成中間体である化合物(7)を単離せずに「工程3」の反応系中に化合物(3)を追加し、トリアジン化合物(1)を合成することもできる。「工程4」の終了後、必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。
【0071】
なお、化合物(7)は、化合物(1)のような、有機電界発光素子の低駆動電圧性、高発光効率性、長寿命性に顕著に優れる化合物を工業的に供給するために優れた材料であり、工業的に非常に価値が高いものである。
【0072】
次に、化合物(2)の合成法について説明する。
【0073】
化合物(2)は次の反応式(3)
【0074】
【化18】
(反応式(3)中、Y、及びYは、各々独立して、前述した置換基を表す。Zは陰イオンを示す。)
で示される方法により製造することができる。
【0075】
Zは、特に限定するものではないが、例えば、テトラフルオロホウ酸イオン、クロロトリフルオロホウ酸イオン、テトラクロロアルミニウム酸イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、ペンタクロロスズ(IV)酸イオンまたはヘキサクロロアンチモン(V)酸イオンを例示することができる。
【0076】
また、以降、一般式(8)で表される化合物については化合物(8)と称す。なお、化合物(8)〜化合物(10)についても同義とする。
【0077】
反応式(1)、反応式(2)、又は反応式(3)で用いられる、化合物(2)は、例えば、特開2008−280330号公報に開示されている方法を用いて製造することができる。
【0078】
化合物(2)、化合物(8)、化合物(9)、又は化合物(10)のYは塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子表す。Yは水素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子表す。2つのYは同一の置換基を表し、YとYはまた、反応式(1)、反応式(2)の反応の選択性を向上させる為にY及びYは異なる置換基を有す。化合物(2)としては次の(E−1)から(E−6)を例示できる。
【0079】
【化19】
これらのうち、化合物(2)としては反応式(1)、反応式(2)での反応収率がよい点で(E−1)、又は(E−3)が好ましい。
【0080】
続いて、反応式(2)について説明する。「工程5」は化合物(8)と化合物(9)を、ルイス酸の存在下で反応させ、合成中間体である化合物(10)で表される塩を得、これをアンモニア水で処理することにより製造することができる。
「工程5」で用いる化合物(8)および(9)とのモル比は1:10〜10:1の広い範囲で高い収率が得られるが、量論量でも充分に反応は進行する。
【0081】
「工程5」で用いることのできる溶媒として、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、又は1,2−ジクロロベンゼン等が例示できる。収率がよい点で、ジクロロメタン、又はクロロホルムが好ましい。
【0082】
「工程5」で用いることのできるルイス酸としては、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、三塩化鉄、四塩化スズおよび五塩化アンチモン等が例示できる。収率がよい点で五塩化アンチモンが好ましい。塩(10)は単離することもできるが、溶液のまま次の反応操作に供してもよい。単離する場合、塩(10)のZは、陰イオンであれば特に限定はないが、上に挙げたルイス酸にフッ化物イオンまたは塩化物イオンが結合したテトラフルオロホウ酸イオン、クロロトリフルオロホウ酸イオン、テトラクロロアルミニウム酸イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、ペンタクロロスズ(IV)酸イオンまたはヘキサクロロアンチモン(V)酸イオンを対陰イオンとして得ると収率がよい。
【0083】
「工程5」で用いることのできるアンモニア水の濃度に特に制限はないが、5〜50%が好ましく、市販の28%でも反応は充分に進行する。
【0084】
「工程5」は反応温度には特に制限はないが、−50℃〜溶媒還流温度から適宜選ばれた温度で反応を行うことが好ましい。また反応時間は、反応温度との兼合いによるが、30分〜24時間であることが好ましい。
【0085】
化合物(2)は、「工程5」の終了後に溶媒を留去することにより得られる。必要に応じて、再結晶、カラムまたは昇華等で精製してもよい。
【0086】
なお、化合物(2)は、化合物(1)のような、有機電界発光素子の低駆動電圧性、高発光効率性、長寿命性に顕著に優れる化合物を工業的に供給するために優れた材料であり、工業的に非常に価値が高いものである。
【0087】
本発明のトリアジン化合物(1)は有機電界発光素子の構成成分の一部として用いた時に有効である。特に、電子輸送層として用いた時に、従来の素子よりも長寿命化、高効率化及び低電圧化等の効果が得られる。また、本発明のトリアジン化合物(1)を有機電界発光素子用材料として用いる際、任意の有機金属種、有機化合物又は無機化合物との共蒸着膜として用いることも可能である。
【0088】
本発明のトリアジン化合物(1)は、良好な電子輸送特性を示すため、有機電界発光素子における、発光層、電子輸送層、電子注入層等の電子輸送性を有する有機薄膜層の材料として好ましく用いることができる。
【0089】
本発明のトリアジン化合物(1)を含んで成る有機電界発光素子用薄膜の製造方法に特に制限はないが、真空蒸着法による成膜が可能である。真空蒸着法による成膜は、汎用の真空蒸着装置を用いることにより行うことができる。真空蒸着法で膜を形成する際の真空槽の真空度は、有機電界発光素子作製の製造タクトタイムや製造コストを考慮すると、一般的に用いられる拡散ポンプ、タ−ボ分子ポンプ、クライオポンプ等により到達し得る1×10−2〜1×10−5Pa程度が望ましい。蒸着速度は、形成する膜の厚さによるが0.005〜1.0nm/秒が望ましい。また、本発明のトリアジン化合物(1)は、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、酢酸エチル又は、テトラヒドロフラン等に対する溶解度が高いため、汎用の装置を用いたスピンコ−ト法、インクジェット法、キャスト法又は、ディップ法等による成膜も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
図1】実施の形態(素子評価)で作製した有機電界発光素子の断面模式図である。
【実施例】
【0091】
以下、合成例、合成実施例、素子実施例及び参考例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
【0092】
合成例−1
【0093】
【化20】
アルゴン気流下、3−ブロモベンゾニトリル(29.1g,160.0mmol)と3−クロロ安息香酸クロリド(14.0g,80.0mmol)を130mLのクロロホルムで溶解した。得られた溶液に、5塩化アンチモン(26.3g,88.0mmol)を0℃で滴下した。混合物を室温で1時間攪拌後、70℃に加熱して2時間撹拌させて反応させた。室温まで冷却後、減圧下で低沸点成分を除去し、黄色固体を得た。得られた黄色固体をアルゴン気流中で粉砕し、これを0℃で28%アンモニア水溶液にゆっくりと加えた。得られた懸濁液を室温でさらに1時間攪拌した。析出した固体をろ取し、水,メタノ−ルで順次洗浄した。固体を乾燥後、固体中のアンチモン塩を除去すべく、300mLのクロロホルム中で70℃まで加熱し、目的物を含んだ液を抽出した。抽出液を放冷後、300mLのメタノールを加え、析出した固体をろ取した。得られた析出物をトルエンによる再結晶によって精製し、目的物である2,4−ビス(3−ブロモフェニル)−6−(3−クロロフェニル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量18.5g、収率46.0%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ(ppm),7.47(t,J=7.8Hz,2H),7.54(t,J=7.7Hz,1H),7.61(dq,J=7.9Hz,J=1.2Hz,1H),7.76(dq,J=8.0Hz,J=1.0Hz,2H),8.65(dt,J=7.8Hz,J=1.2Hz,1H),8.68(t,J=1.2Hz,1H),8.70−8.71(m,2H),8.86(t,J=1.7Hz,2H)
合成例−2
【0094】
【化21】
アルゴン気流下、2,4−ビス(3−ブロモフェニル)−6−(3−クロロフェニル)−1,3,5−トリアジン(3.00g,5.98mmol)、9−フェンナントレンボロン酸(3.19g,14.35mmol)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(206.9mg,0.179mmol)をテトラヒドロフラン(140mL)に懸濁し、70℃に加熱した。これに1M−KCO水溶液(17.94mL,17.94mmol)をゆっくりと滴下した後、6時間撹拌した。室温まで放冷後、反応混合物に水(140mL)を加え、析出物をろ取した。得られた析出物をトルエンによる再結晶により精製し、目的物である2−(3−クロロフェニル)−4,6−ビス[3−(フェナントレン−9−イル)フェニル]−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量2.6g,収率62.4%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):7.45(t,J=7.7Hz,1H),7.50−7.55(m,3H),7.62−7.73(m,8H),7.76−7.79(m,4H),7.91(dd,J=4.3Hz,1.2Hz,2H),7.93(dd,J=3.8Hz,1.0Hz,2H),8.62(dt,J=7.8Hz,1.5Hz,1H),8.70(t,J=1.8Hz.1H),8.75(brd,J=8.3Hz,2H),8.80(brd,J=4.3Hz,2H),8.84(brd,J=7.6Hz,2H),8.91(t,J=1.5Hz,2H).
合成実施例−1
【0095】
【化22】
アルゴン気流下、合成例−2で得られた2−(3−クロロフェニル)−4,6−ビス[3−(フェナントレン−9−イル)フェニル]−1,3,5−トリアジン(1.5g,2.15mmol)、3−ピリジルボロン酸(0.32g,2.59mmol)、酢酸パラジウム(9.67mg,0.043mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(41.1mg,0.086mmol)及びKCO水溶液(0.89g,6.46mmol)をTHF(30mL)及び水(6mL)の混合溶媒に懸濁し、70℃に加熱して19時間撹拌させて反応させた。室温まで放冷後、反応混合物に水(30mL)を加え、析出物をろ取した。得られた析出物をトルエンによる再結晶により精製し、目的物である4,6−ビス[3−(フェナントレン−9−イル)フェニル]−2−[3−(3−ピリジル)フェニル]−1,3,5−トリアジン(化合物A−1)の白色固体(収量0.79g,収率49.75%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):7.47(t,J=7.2Hz,2H),7.54−7.73(m,12H),7.73−7.80(m,3H),7.86(dd,J=1.3Hz,J=7.7Hz,2H),7.89(d,J=8.3Hz,2H),8.22(d,J=8.1Hz,1H),8.63(dd,J=1.4Hz,J=5.1Hz,1H),8.69(d,J=8.0Hz,2H),8.76(t,J=8.6Hz,5H),8.91(d,J=6.8Hz,3H),8.96(s,1H).
素子評価に用いた化合物の構造式及びその略称を以下に示す。
【0096】
【化23】
素子実施例−1
基板には、2mm幅の酸化インジウム−スズ(ITO)膜がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用いた。この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。洗浄後の基板に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、断面図を図1に示すような発光面積4mm有機電界発光素子を作製した。なお、各有機材料は抵抗加熱方式により成膜した。
【0097】
まず、真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し、1.0×10−4Paまで減圧した。
【0098】
その後、図1の1で示すITO透明電極付きガラス基板上に有機化合物層として、正孔注入層2、電荷発生層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7、及び陰極層8を、この順番に積層させながら、いずれも真空蒸着で成膜した。
【0099】
正孔注入層2としては、昇華精製したHILを0.15nm/秒の速度で65nm成膜した。
【0100】
電荷発生層3としては、昇華精製したHATを0.05nm/秒の速度で5nm成膜した。
【0101】
正孔輸送層4としては、HTLを0.15nm/秒の速度で10nm成膜した。
【0102】
発光層5としては、EML−1とEML−2を95:5(重量比)の割合で25nm成膜した(成膜速度0.18nm/秒)。
【0103】
電子輸送層6としては、本発明の合成実施例−1で合成した4,6−ビス[3−(フェナントレン−9−イル)フェニル]−2−[3−(3−ピリジル)フェニル]−1,3,5−トリアジン(化合物A−1)及びLiqを50:50(重量比)の割合で30nm成膜した(共蒸着、成膜速度0.15nm/秒)。
【0104】
最後に、ITOストライプと直行するようにメタルマスクを配し、陰極層7を成膜した。陰極層7は、銀/マグネシウム(重量比1/10)と銀を、この順番に、それぞれ80nm(成膜速度0.5nm/秒)と20nm(成膜速度0.2nm/秒)で製膜し、2層構造とした。
【0105】
それぞれの膜厚は、触針式膜厚測定計(DEKTAK)で測定した。
【0106】
さらに、この素子を酸素及び水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと前記成膜基板エポキシ型紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いた。
【0107】
素子参考例−1
素子実施例−1において、電子輸送層6に特開2010−183145に記載されている2−[5−(9−フェナントリル)−4’−(2−ピリミジル)ビフェニル−3−イル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(上記式、ETL−1で表される)を用いた以外は、素子実施例−1と同じ方法で有機電界発光素子を作成した。
【0108】
作製した有機電界発光素子に直流電流を印加し、TOPCON社製のLUMINANCE METER(BM−9)の輝度計を用いて発光特性を評価した。発光特性として、電流密度10mA/cmを流した時の電圧(V)、電流効率(cd/A)を測定し、連続点灯時の輝度半減時間を測定した。また、初期輝度を800cd/mで駆動したときの連続点灯時の輝度減衰時間を測定した。輝度(cd/m)が25%減じた時の時間を素子寿命(h)として、以下に示す。
【0109】
【表1】
表1より、素子参考例に比べて、本発明のトリアジン化合物を用いた有機電界発光素子は、駆動電圧、電流効率及び素子寿命において上回る特性を示す事が分かる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明のトリアジン化合物は耐久性、駆動電圧、電力効率に優れる電子輸送材料として利用される。さらに、本発明によれば、消費電力が低く、素子寿命に優れる有機EL素子を提供することができる。
【0111】
また、本発明のトリアジン化合物(1)から成る薄膜、又は本発明のトリアジン化合物(1)を含んでなる薄膜は、高い表面平滑性、アモルファス性、耐熱性、電子輸送能、正孔ブロック能、酸化還元耐性、耐水性、耐酸素性、電子注入特性等をもつため、有機電界発光素子の材料として有用であり、とりわけ電子輸送材、正孔ブロック材、発光ホスト材等として用いることができる。またワイドバンドギャップ化合物なため、従来の蛍光素子用途のみならず、燐光素子への応用も十分可能である。従って、本発明のトリアジン化合物(1)から成る薄膜、又は本発明のトリアジン化合物(1)を含んでなる薄膜は、有機電界発光素子の構成成分としての利用が期待される。
【符号の説明】
【0112】
1.ITO透明電極付きガラス基板
2.正孔注入層
3.電荷発生層
4.正孔輸送層
5.発光層
6.電子輸送層
7.陰極層
図1