【実施例】
【0058】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
【0059】
本実施例における評価は、以下の方法によって行う。
(1)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
ブロック共重合体及びブロック共重合体水素化物の分子量は、THFを溶離液とするGPCによる標準ポリスチレン換算値として38℃において測定した。測定装置としては、HLC8020GPC(東ソー社製)を用いた。
(2)水素化率
ブロック共重合体水素化物[D]の主鎖、側鎖及び芳香環の水素化率は、
1H−NMRスペクトルを測定して算出した。
(3)透明粘着シートの透明性
透明粘着シート(厚さ150μm)2枚を重ねて、2枚の離形性PETフィルムの間に挟み、真空ラミネータを使用して、温度60℃で、5分間真空脱気した後、10分間真空加圧成形して厚さ300μmの光線透過率測定用透明粘着シートを作製した。このシートを、紫外可視分光光度計(製品名「V−570」、日本分光社製)を使用して、波長470nm、550nm及び650nmでの光線透過率を測定した。
【0060】
(4)貯蔵弾性率
透明粘着シート(厚さ150μm)を重ねてプレス成形し、厚さ1.0mmのシートを作成した。このシートから幅10mm、長さ50mmの試験片を作成し、粘弾性測定装置(製品名「ARES」、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を使用して25℃における貯蔵弾性率を測定した。
(5)透明粘着シートの粘着性
透明粘着シート(厚さ150μm)を、シート端部に非接着部位を設けて白板ガラス板(厚さ2mm、幅100mm、長さ70mm)と重ね合わせた後、オートクレーブ中に入れ、温度50〜70℃、圧力0.9MPaの条件で10分処理して粘着固定し、剥離強度測定用の試験片を作成した。作成した試験片をオートクレーブから取り出し、常温にて120分間静置した後、シート面を15mm幅に切り目を入れ、オートグラフ(製品名「AGS−10KNX」、島津製作所社製)を使用して、シートの非接着部位から、剥離速度100mm/分で、JIS K 6854−2を参考にして180°剥離試験を行い、剥離強度を測定した。
(6)リワーク性
透明粘着シート厚さ(150μm)を介して、縦100mm、横70mm、厚さ210μmの薄膜ガラス(Shott社製)の片面にITO膜を蒸着し、ITO膜蒸着面と、表面がTAC保護フィルムである縦100mm、横70mm、厚さ0.2mmの偏光フィルム(テックジャム社販売)を重ね合わせ、オートクレーブに投入して、温度50〜70℃、圧力0.9MPaの条件で10分処理して貼り合せ、リワーク性評価用の試験片を作成した。作成した試験片をオートクレーブから取り出し、常温にて120分間静置した。
偏光フィルムと透明粘着シートの粘着部位及びITO蒸着ガラス面と透明粘着シートの粘着部位から手で剥離し、薄膜ガラスの割れ、偏光フィルム表面及びITO蒸着ガラス面を目視で観察してリワーク性を評価した。薄膜ガラスが割れずに透明粘着シートが容易に剥離でき、偏光フィルム表面及びITO蒸着ガラス面に粘着剤が残っていない場合を「○」(良好)、容易に剥離できずガラスが割れる場合、及び/又は、剥離できた場合も粘着剤の剥離残りや剥離跡がある場合を「×」(不良)として評価した。
【0061】
(7)透明粘着シートの接着性
粘着性評価で作成したのと同様の白板ガラスに、透明粘着シートを粘着固定した試験片を再度オートクレーブに投入して、温度100℃、圧力0.9MPaの条件で20分処理して、貼り合せ、接着性評価用の試験片とした。作製した試験片をオートクレーブから取り出し、常温にて120分間静置した後、シート面を15mm幅に切り目を入れ、オートグラフを使用して、シートの非接着部位から、剥離速度100mm/分で、JIS K 6854−2を参考にして180°剥離試験を行い、剥離強度を測定した。
(8)耐熱性
透明粘着シート(厚さ150μm)2枚を重ねて、2枚の白板ガラス(厚さ2mm、長さ100mm、幅50mm)の間に挟み、真空ラミネータを使用して、温度100℃で、5分間真空脱気した後、10分間真空加圧成形して白板ガラスで挟まれた試験片を作製した。この試験片を、片側の白板ガラスのみを保持して垂直に立て、100℃のオーブン中に24時間保存した後、試験片の概観を目視観察した。ガラスの位置ズレや発泡等の異常が無い場合を「○」(良好)、異常が認められた場合を「×」(不良)として評価した。
【0062】
[参考例1]
変性ブロック共重合体水素化物[E1]
(ブロック共重合体[C1]の製造)
充分に窒素置換された、攪拌装置を備えた反応器に、脱水シクロヘキサン550部、脱水スチレン25.0部、及びn−ジブチルエーテル0.475部を入れた。全容を60℃で攪拌しながら、n−ブチルリチウムの15%シクロヘキサン溶液0.60部を加えて、重合を開始させ、攪拌しながら60℃で60分反応させた。ガスクロマトグラフィーにより測定したこの時点で重合転化率は99.5%であった。
次に、脱水イソプレン50.0部を加え、そのまま30分攪拌を続けた。この時点で重合転化率は99.5%であった。
その後、更に、脱水スチレンを25.0部加え、60分攪拌を続けた。この時点での重合転化率はほぼ100%であった。ここでイソプロピルアルコール0.5部を加えて、反応を停止させた。得られたブロック共重合体[C1]の重量平均分子量(Mw)は69,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.05、wA:wB=50:50であった。
【0063】
(ブロック共重合体水素化物[D1]の製造)
次に、上記重合体溶液を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として珪藻土担持型ニッケル触媒(製品名「E22U」、ニッケル担持量60%、日揮触媒化成社製)8.0部及び脱水シクロヘキサン100部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度190℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行った。水素化反応後のブロック共重合体水素化物[D1]の重量平均分子量(Mw)は73,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.06であった。
水素化反応終了後、反応溶液をろ過して水素化触媒を除去した後、フェノール系酸化防止剤であるペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](製品名「Songnox1010」、コーヨ化学研究所社製)0.1部を溶解したキシレン溶液1.0部を添加して溶解させた。
次いで、上記溶液を、金属ファイバー製フィルター(孔径0.4μm、ニチダイ社製)にてろ過して微小な固形分を除去した後、円筒型濃縮乾燥器(製品名「コントロ」、日立製作所社製)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去した。連続して溶融ポリマーを、濃縮乾燥器に連結した孔径5μmのステンレス製焼結フィルターを備えたポリマーフィルター(富士フィルター社製)により、温度260℃でろ過した後、ダイから溶融ポリマーをストランド状に押出し、冷却後、ペレタイザーによりブロック共重合体水素化物[D1]のペレット96部を作成した。得られたペレット状のブロック共重合体水素化物[D1]の重量平均分子量(Mw)は72,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.11、水素化率はほぼ100%であった。
【0064】
(変性ブロック共重合体水素化物[E1]の製造)
得られたブロック共重合体水素化物[D1]のペレット100部に対して、ビニルトリメトキシシラン2.0部、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(製品名「パーヘキサ(登録商標)25B」、日油社製)0.2部を添加した。この混合物を、二軸押出機を用いて、樹脂温度200℃、滞留時間60〜70秒で混練し、ストランド状に押出し、空冷した後、ペレタイザーによりカッティングし、アルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物[E1]のペレット95部を得た。
得られた変性ブロック共重合体水素化物[E1]のペレット10部をシクロヘキサン100部に溶解した後、脱水したメタノール400部中に注いで変性ブロック共重合体水素化物[E1]を凝固させ、濾別した後、25℃で真空乾燥して変性ブロック共重合体水素化物[E1]のクラム9.0部を単離した。
このもののFT−IRスペクトルでは、1090cm
−1にSi−OCH
3基、825cm
−1と739cm
−1にSi−CH
2基に由来する新たな吸収帯が、ビニルトリメトキシシランのそれらの1075cm
−1、808cm
−1及び766cm
−1と異なる位置に観察された。
また、
1H−NMRスペクトル(重クロロホルム中)では3.6ppmにメトキシ基のプロトンに基づく吸収帯が観察され、ピーク面積比からブロック共重合体水素化物[D1]の100部に対してビニルトリメトキシシラン1.8部が結合したことが確認された。
【0065】
[参考例2]
変性ブロック共重合体水素化物[E2]の製造
(ブロック共重合体[C2]の製造)
スチレンとイソプレンを5回に分け、スチレン14.0部、イソプレン30.0部、スチレン12.0部、イソプレン30.0部及びスチレン14.0部をこの順に加え、n−ブチルリチウムの15%シクロヘキサン溶液を0.58部とする以外は参考例1と同様に重合反応を行い、反応を停止させた。得られたブロック共重合体[C2]の重量平均分子量(Mw)は71,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.07、wA:wB=40:60であった。
【0066】
(ブロック共重合体水素化物[D2]の製造)
次に、上記重合体溶液を、参考例1と同様にして水素化反応を行った。水素化反応後のブロック共重合体水素化物[D2]の重量平均分子量(Mw)は75,400、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。
水素化反応終了後、参考例1と同様に酸化防止剤を添加し、濃縮乾燥してブロック共重合体水素化物[D2]のペレット94部を製造した。得られたペレット状のブロック共重合体水素化物[D2]の重量平均分子量(Mw)は74,700、分子量分布(Mw/Mn)は1.13、水素化率はほぼ100%であった。
【0067】
(変性ブロック共重合体水素化物[E2]の製造)
得られたブロック共重合体水素化物[D2]のペレット100部を使用する以外は、参考例1と同様にして、変性ブロック共重合体水素化物[E2]のペレット93部を得た。
得られた変性ブロック共重合体水素化物[E2]を参考例1と同様に分析した結果、ブロック共重合体水素化物[D2]の100部に対してビニルトリメトキシシラン1.7部が結合したことが確認された。
【0068】
[参考例3]
変性ブロック共重合体水素化物[E3]の製造
(ブロック共重合体[C3]の製造)
スチレンとイソプレンを3回に分け、スチレン12.0部、イソプレン76.0部、スチレン12.0部をこの順に加え、n−ブチルリチウムの15%シクロヘキサン溶液を0.50部に変えて重合を開始する以外は参考例1と同様に重合及び反応停止を行った。得られたブロック共重合体[C3]の重量平均分子量(Mw)は81,600、分子量分布(Mw/Mn)は1.04、wA:wB=24:76であった。
【0069】
(ブロック共重合体水素化物[D3]の製造)
次に、上記重合体溶液を用いて、参考例1と同様にして水素化反応を行った。水素化反応後のブロック共重合体水素化物[D3]の重量平均分子量(Mw)は86,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.05であった。
水素化反応終了後、参考例1と同様に酸化防止剤を添加した後、濃縮乾燥してブロック共重合体水素化物[D3]のペレット95部を作製した。得られたペレット状のブロック共重合体水素化物[D3]の重量平均分子量(Mw)は85,400、分子量分布(Mw/Mn)は1.12、水素化率はほぼ100%であった。ブロック共重合体水素化物[D3]のペレットは、ペレット100部に対してブロッキング防止剤としてエチレンビスステアリン酸アマイドの微粉0.05部を付着させた。
【0070】
(変性ブロック共重合体水素化物[E3]の製造)
得られたブロック共重合体水素化物[D3]のペレット100部を使用する以外は、参考例1と同様にして変性ブロック共重合体水素化物[E3]のペレット82部を得た。
得られた変性ブロック共重合体水素化物[E3]を参考例1と同様に分析した結果、ブロック共重合体水素化物[D3]の100部に対してビニルトリメトキシシラン1.9部が結合したことが確認された。
【0071】
[参考例4]
(イソプレン重合体水素化物[G3]の製造)
充分に窒素置換された、攪拌装置を備えた反応器に、脱水シクロヘキサン400部、脱水イソプレン25.0部、n−ジブチルエーテル7.5部を入れ、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウムの15%シクロヘキサン溶液20.0部を加えて重合を開始させ、攪拌しながら60℃で30分反応させた。
次に、脱水イソプレン75.0部を3回に分けて30分おきに加え、その後60分攪拌を続けた。この時点で重合転化率はほぼ100%であった。
ここで、反応液に、イソプロピルアルコール3.0部を加えて反応を停止させた。得られたイソプレン重合体の数平均分子量(Mn)は1,900、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。
次に、上記重合体溶液を攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として珪藻土担持型ニッケル触媒(日揮触媒化成社製、製品名「E22U」、ニッケル担持量60%)1.5部、及び脱水シクロヘキサン50部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、更に溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度160℃、圧力4.5MPaにて4時間水素化反応を行った。水素化反応後のイソプレン重合体水素化物[G3]の数平均分子量(Mn)は1,900、分子量分布(Mw/Mn)は1.04、であった。
水素化反応終了後、反応溶液をろ過して水素化触媒を除去した後、フェノ−ル系酸化防止剤であるペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.1部を溶解したキシレン溶液2.0部を添加して溶解させた。
次いで、上記溶液を、ゼータプラス(登録商標)フィルター30H(キュノ社製、孔径0.5〜1μm)にてろ過して微小な固形分を除去した。このろ液を、減圧下で50℃に加温してシクロヘキサン200部を留去させ、濃縮した。この濃縮した溶液にイソプロピルアルコール500部を加え、水素化ポリイソプレンを粘稠な液状体として分離させた。
上澄み液を除去した後、120℃、減圧下で24時間保持して揮発成分を除去し、イソプレン重合体水素化物[G3]76部を得た。
得られたイソプレン重合体水素化物[G3]の数平均分子量(Mn)は2,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.03、水素化率はほぼ100%であった。
【0072】
[実施例1]
(樹脂組成物[F1])
参考例1で得られたアルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物[E1]のペレット100部に、粘着付与剤[H]であるテルペン系樹脂水素化物[H1](製品名「クリアロン(登録商標)P105」、ヤスハラケミカル社製)25部、及び紫外線吸収剤である2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(製品名「Tinuvin(登録商標)329」、BASFジャパン社製)0.2部を混合し、液状物を添加できるサイドフィーダーを備えた二軸押出機を用いて、樹脂温度190℃で押し出した。一方、サイドフィーダーから炭化水素系重合体[G]としてイソブテン重合体水素化物[G1](製品名「パールリーム(登録商標)24」、日油社製)、GPCによる標準ポリスチレン換算の数平均分子量:2,200)を、変性ブロック共重合体水素化物[E1]100部に対して30部の割合となるように連続的に添加して、全容を混練した。十分混練した樹脂組成物は、ストランド状に押出し、空冷した後、ペレタイザーによりカッティングして樹脂組成物[F1]のペレット142部を得た。
【0073】
(押出しシート化)
得られた樹脂組成物[F1]のペレットを、25mmφのスクリューを備えた押出し機を有するTダイ式フィルム溶融押出し成形機(Tダイ幅300mm)、キャストロール及び離形フィルム供給装置を備えたシート引取機を使用し、溶融樹脂温度150℃、Tダイ温度150℃、キャストロール温度40℃の成形条件にて、キャストロール面に離形用のPETフィルム(厚さ50μm)を供給しながら、PETフィルム上に樹脂組成物[F1]からなる透明粘着シート(厚さ150μm)を押出し成形した。得られた透明粘着シートは、PETフィルムと共にロールに巻き取り回収した。
【0074】
(透明粘着シートの評価)
得られた透明粘着シートを使用して、光線透過率、貯蔵弾性率、粘着性(粘着固定温度70℃)、リワーク性(粘着固定温度70℃)、接着性、及び耐熱性の評価を行った。光線透過率は470nm、550nm、650nmの各波長で90%以上を示し、透明性に優れていた。貯蔵弾性率は1.0×10
7Paで柔軟であった。粘着性は、剥離強度が0.2N/cmであり、粘着固定でき且つ容易に剥がすことができた。
リワーク性は、薄膜ガラスが割れずにITO蒸着ガラス表面及び偏光フィルム表面から剥がすことができ、表面に粘着性樹脂組成物も残らず、良好であった。接着性は、剥離強度が7N/cmであり、容易に剥がすことはできず強固な接着性を示した。耐熱性評価では異常は認められなかった。結果を表1に示す。
【0075】
[実施例2]
(樹脂組成物[F2])
イソブテン重合体水素化物[G1]に代えて、イソブテン重合体[G2](製品名「日石ポリブテン HV−300」、数平均分子量1,400、JX日鉱日石エネルギー社製)を使用し、変性ブロック共重合体水素化物[E1]100部に対して20部の割合となるように連続的に添加する以外は実施例1と同様にして混練して、変性ブロック共重合体水素化物[E1]に、粘着付与剤[H1]、イソブテン重合体[G2]及び紫外線吸収剤が配合された樹脂組成物[F2]のペレット129部を得た。
(押出しシート化)
得られた樹脂組成物[F2]のペレットを使用し、実施例1と同様にして透明粘着シート(厚さ150μm)を作製した。
(透明粘着シートの評価)
得られた透明粘着シートを使用して、光線透過率、貯蔵弾性率、粘着性(粘着固定温度70℃)、リワーク性(粘着固定温度70℃)、接着性及び耐熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0076】
[実施例3]
(樹脂組成物[F3])
イソブテン重合体水素化物[G1]に代えて、参考例4で作成したイソプレン重合体水素化物[G3](数平均分子量2,000)を使用し、変性ブロック共重合体水素化物[E1]100部に対して20部の割合となるように連続的に添加する以外は実施例1と同様にして混練して、変性ブロック共重合体水素化物[E1]に、粘着付与剤[H1]、イソプレン重合体水素化物[G3]及び紫外線吸収剤が配合された樹脂組成物[F3]のペレット130部を得た。
(押出しシート化)
得られた樹脂組成物[F3]のペレットを使用し、実施例1と同様にして透明粘着シート(厚さ150μm)を作製した。
(透明粘着シートの評価)
得られた透明粘着シートを使用して、光線透過率、貯蔵弾性率、粘着性(粘着固定温度70℃)、リワーク性(粘着固定温度70℃)、接着性及び耐熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0077】
[実施例4]
(樹脂組成物[F4])
変性ブロック共重合体水素化物[E1]に代えて参考例2で作成した変性ブロック共重合体水素化物[E2]を使用し、変性ブロック共重合体水素化物[E2]100部に対して粘着付与剤[H1]を30部にし、炭化水素系重合体[G]を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして混練して、変性ブロック共重合体水素化物[E2]に、粘着付与剤[H1]及び紫外線吸収剤が配合された樹脂組成物[F4]のペレット122部を得た。
(押出しシート化)
得られた樹脂組成物[F4]のペレットを使用し、実施例1と同様にして透明粘着シート(厚さ150μm)を作製した。
(透明粘着シートの評価)
得られた透明粘着シートを使用して、光線透過率、貯蔵弾性率、粘着性(粘着固定温度70℃)、リワーク性(粘着固定温度70℃)、接着性及び耐熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0078】
[実施例5]
(樹脂組成物[F5])
変性ブロック共重合体水素化物[E1]に代えて参考例2で作成した変性ブロック共重合体水素化物[E2]100部を使用する以外は、実施例1と同様にして混練して、変性ブロック共重合体水素化物[E2]に、粘着付与剤[H1]、イソブテン重合体水素化物[G1]及び紫外線吸収剤が配合された樹脂組成物[F5]のペレット138部を得た。
(押出しシート化)
得られた樹脂組成物[F5]のペレットを使用し、実施例1と同様にして透明粘着シート(厚さ150μm)を作製した。
(透明粘着シートの評価)
得られた透明粘着シートを使用して、光線透過率、貯蔵弾性率、粘着性(粘着固定温度70℃)、リワーク性(粘着固定温度70℃)、接着性及び耐熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0079】
[実施例6]
(樹脂組成物[F6])
変性ブロック共重合体水素化物[E1]に代えて参考例3で作成した変性ブロック共重合体水素化物[E3]を使用し、変性ブロック共重合体水素化物[E3]100部に対して粘着付与剤[H1]を15部にし、炭化水素系重合体[G]を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして混練して、変性ブロック共重合体水素化物[E3]に、粘着付与剤[H1]及び紫外線吸収剤が配合された樹脂組成物[F6]のペレット106部を得た。
(押出しシート化)
得られた樹脂組成物[F6]のペレットを使用し、実施例1と同様にして透明粘着シート(厚さ150μm)を作製した。
(透明粘着シートの評価)
得られた透明粘着シートを使用して、光線透過率、貯蔵弾性率、粘着性(粘着固定温度70℃)、リワーク性(粘着固定温度70℃)、接着性及び耐熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0080】
[比較例1]
(樹脂組成物[F’7])
変性ブロック共重合体水素化物[E1]100部に対し、炭化水素系重合体[G]を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして混練して、変性ブロック共重合体水素化物[E1]に、粘着付与剤[H1]及び紫外線吸収剤が配合された樹脂組成物[F’7]のペレット108部を得た。
(押出しシート化)
得られた樹脂組成物[F’7]のペレットを使用し、実施例1と同様にして透明粘着シート(厚さ150μm)を作製した。
(透明粘着シートの評価)
得られた透明粘着シートを使用して、光線透過率、貯蔵弾性率、粘着性(粘着固定温度70℃)、リワーク性(粘着固定温度70℃)、接着性及び耐熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0081】
[比較例2]
(樹脂組成物[F’8])
変性ブロック共重合体水素化物[E1]に代えて参考例3で作成した変性ブロック共重合体水素化物[E3]100部を使用する以外は、実施例1と同様にして混練して、変性ブロック共重合体水素化物[E3]に、粘着付与剤[H1]、イソブテン重合体水素化物[G1]及び紫外線吸収剤が配合された樹脂組成物[F’8]のペレット132部を得た。
(押出しシート化)
得られた樹脂組成物[F’8]のペレットを使用し、実施例1と同様にして透明粘着シート(厚さ150μm)を作製した。
(透明粘着シートの評価)
得られた透明粘着シートを使用して、光線透過率、貯蔵弾性率、粘着性(粘着固定温度50℃)、リワーク性(粘着固定温度50℃)、接着性及び耐熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0082】
[比較例3]
(樹脂組成物[F’9])
変性ブロック共重合体水素化物[E1]100部に対して粘着付与剤[H1]を30部にし、イソブテン重合体水素化物[G1]を65部にする以外は、実施例1と同様にして混練して、変性ブロック共重合体水素化物[E1]に、粘着付与剤[H1]、イソブテン重合体水素化物[G1]及び紫外線吸収剤が配合された樹脂組成物[F’9]のペレット172部を得た。
(押出しシート化)
得られた樹脂組成物[F’9]のペレットを使用し、実施例1と同様にして透明粘着シート(厚さ150μm)を作製した。
(透明粘着シートの評価)
得られた透明粘着シートを使用して、光線透過率、貯蔵弾性率、粘着性(粘着固定温度50℃)、リワーク性(粘着固定温度50℃)、接着性及び耐熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
表1に示す結果から以下のことがわかる。
本発明の透明粘着シートは、可視光領域での光線透過率が高く、温度25℃における貯蔵弾性率が1×10
6〜1×10
8Paの範囲にあり、且つ、70℃の比較的低い温度で被着体と貼り合せた場合は、剥離強度が2N/cm以下の容易に剥離できる粘着性及び良好なリワーク性を示し、より高い温度(100℃)に再加熱することにより3N/cm以上の強固な接着性を発現する。温度80℃での保存でも外観変化は無く、耐熱性も良好である(実施例1〜6)。
一方、透明粘着シートの温度25℃における貯蔵弾性率が1×10
8Paを超える場合は、70℃の温度で被着体と貼り合せた場合に、ほとんど粘着性を示さず、剥離強度は0.1N/cmに満たず、仮固定に不適当である。また、より高い温度(100℃)に再加熱した場合も接着力は弱く、剥離強度は3N/cmに満たない(比較例1)。
透明粘着シートの温度25℃における貯蔵弾性率が1×10
6Paを下回る場合は、より低温(50℃)で被着体と貼り合せることにより、粘着性を制御することができ、剥離強度を2N/cm以下にすることができるが、剥離時に透明粘着シートが著しく伸び、リワークの作業性が劣る。また、耐熱性試験ではガラスの位置ズレが生じ、耐熱性が不良となる(比較例2)。
数平均分子量が5,000以下の炭化水素系重合体[G]でも配合量が多過ぎる場合、貯蔵弾性率が1×10
6Paに満たず、剥離時に透明粘着シートが著しく伸び、リワークの作業性が劣り、また、耐熱性も低く、透明性も低下し光学用には不適になる(比較例3)。