(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6465589
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】測定具用校正制御装置
(51)【国際特許分類】
G01B 3/22 20060101AFI20190128BHJP
G01B 21/00 20060101ALI20190128BHJP
G01B 5/00 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
G01B3/22 P
G01B21/00 Z
G01B5/00 P
【請求項の数】23
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-172341(P2014-172341)
(22)【出願日】2014年8月27日
(65)【公開番号】特開2015-49245(P2015-49245A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2017年7月5日
(31)【優先権主張番号】14/014,331
(32)【優先日】2013年8月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ ルフェーヴル
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ネイハム
(72)【発明者】
【氏名】キム ウェズレイ アサートン
【審査官】
櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−163555(JP,A)
【文献】
特表2003−501636(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0203504(US,A1)
【文献】
特開2000−076577(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02339913(GB,A)
【文献】
国際公開第00/073859(WO,A1)
【文献】
特開2003−065747(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0040207(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0083730(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0251836(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/00− 3/08
3/11− 3/56
G01B 5/00− 5/30
G01B 21/00−21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定具に連結される校正制御装置であって、
前記測定具に設けられた連結機構に連結するように構成された本体部と、
回路部と、
前記校正制御装置を動作させる制御信号を出力する制御部と、
を具備し、
前記回路部は、
前記校正制御装置及び前記測定具の少なくとも一方を電子的に識別する識別部と、
前記測定具に連結して前記測定具から測定データを受信する測定具側データ接続部と、
ホスト装置に連結して測定データを出力するホスト側データ接続部と、
前記測定具が校正されていると保証される保証期間に関連するパラメータ限界であって、時間又は前記測定具の使用度の少なくとも一つに関連するパラメータについてのパラメータ限界を決定する校正限界部と、
前記パラメータの現在の状態と前記パラメータ限界を比較する比較部と、
を備え、
前記制御部は、
前記パラメータが前記パラメータ限界を超えない場合、前記校正制御装置に前記測定データを前記ホスト装置へ第1のモードで前記ホスト側データ接続部を介して出力させ、
前記パラメータが前記パラメータ限界を超える場合、前記パラメータが前記パラメータ限界を超えることを示す校正限界機能を前記校正制御装置に実行させる、校正制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の校正制御装置であって、
前記測定具側データ接続部から信号を受信するように接続される通信スイッチ部を更に具備し、
前記通信スイッチ部は、
前記通信スイッチ部が前記パラメータ限界を超えない前記パラメータに対応する第1状態のときに、測定データを前記ホスト側データ接続部に出力し、
前記通信スイッチ部が前記パラメータ限界を超える前記パラメータに対応する第2状態のときに、前記校正限界機能の少なくとも一部を実行する
ように更に構成される、校正制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の校正制御装置であって、
前記第2状態は、遮断状態又は警告状態の一つを含む、校正制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の校正制御装置であって、
前記校正限界機能は、校正切れ信号を前記ホスト装置に出力することを備える、校正制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の校正制御装置であって、
前記校正切れ信号は、前記ホスト装置に出力される任意の測定データに含められる、校正制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の校正制御装置であって、
前記本体部は、専用のインターロック解除工具なしでは取り外しできないように前記校正制御装置を前記測定具に物理的にインターロックするインターロッキング部を備える、校正制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の校正制御装置であって、
前記本体部は、前記校正制御装置が前記測定具の表面から大きく突き出さないように前記測定具の凹部に収まるように形成されている、校正制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の校正制御装置であって、
前記校正制御装置に電力を供給するバッテリを保持するバッテリ部を更に具備する、校正制御装置。
【請求項9】
請求項1に記載の校正制御装置であって、
前記ホスト側データ接続部は、前記ホスト装置から電力を受けて前記校正制御装置に電力を供給する電力接続を備える、校正制御装置。
【請求項10】
請求項1に記載の校正制御装置であって、
前記測定具側データ接続部は、前記測定具から電力を受けて前記校正制御装置に電力を供給する電力接続を備える、校正制御装置。
【請求項11】
請求項1に記載の校正制御装置であって、
前記パラメータは時間であり、
前記パラメータ限界は、前記校正の前記保証が失効する経過時間、時刻、又は期日の少なくとも一つを含む、校正制御装置。
【請求項12】
請求項1に記載の校正制御装置であって、
前記回路部は、前記パラメータの前記現在の状態を前記比較部に示すクロック計数部及びイベント計数部の少なくとも一つを備える、校正制御装置。
【請求項13】
請求項1に記載の校正制御装置であって、
前記回路部及び前記ホスト側データ接続部の少なくとも一つは、無線通信部を備え、
前記無線通信部は、前記校正制御装置をプログラミングするプログラミング信号を受信すること、前記識別部によって示された測定具ID及び前記パラメータが前記パラメータ限界に達したかどうかを示す信号を送信すること、及び測定データを送信すること、の少なくとも一つを実行するように構成される、校正制御装置。
【請求項14】
請求項1に記載の校正制御装置であって、
前記パラメータが前記パラメータ限界に達したことを示すインジケータを更に具備する、校正制御装置。
【請求項15】
請求項1に記載の校正制御装置であって、
前記パラメータが前記パラメータ限界に達する前に早期警告を示すインジケータを更に具備する、校正制御装置。
【請求項16】
請求項1に記載の校正制御装置であって、
前記校正制御装置が前記測定具から取り外された場合に当該校正制御装置の動作を変更するように構成された物理トリガー及びトリガー回路の少なくとも一つを備えた取り外し指示部を更に備える、校正制御装置。
【請求項17】
請求項16に記載の校正制御装置であって、
前記取り外し指示部は、前記測定具から識別信号を受信するように構成されたトリガー回路であり、
前記識別信号の示すIDが前記識別部の示すIDに一致しない場合、前記制御部は、測定データが前記ホスト装置に送られることを防止し、前記測定具のID不一致を示す信号を出力する、校正制御装置。
【請求項18】
請求項1に記載の校正制御装置であって、
前記測定具は、ノギス、マイクロメータ、又はゲージの少なくとも一つであり、
前記連結機構は、メス型接続ソケット、機械的インターロック部、及び、実装接続の少なくとも一つであり、
前記実装接続は、前記ノギス、マイクロメータ、又はゲージにユーザが設置した永久的又は半永久的ファスナーを含む、校正制御装置。
【請求項19】
測定具に連結される校正制御装置であって、
前記測定具に設けられた連結機構に連結するように構成された本体部と、
プログラム命令を格納するメモリと、
前記プログラム命令を実行して動作を実行するように構成されたプロセッサと
を具備し、
前記動作は、
前記校正制御装置の測定具側データ接続部に前記測定具から測定データを受信させること、
前記校正制御装置に、前記測定具が校正されていると保証される保証期間に関連するパラメータ限界であって、時間又は前記測定具の使用度の少なくとも一つに関連するパラメータについてのパラメータ限界を決定させること、
前記パラメータの現在の状態を前記パラメータ限界と比較すること、
前記パラメータが前記パラメータ限界を超えない場合、前記校正制御装置のホスト側データ接続部に前記測定データをホスト装置へ第1のモードで送信させること、
前記パラメータが前記パラメータ限界を超える場合、前記パラメータが前記パラメータ限界を超えていることを示す校正限界機能を前記校正制御装置に実行させること、
を含み、
前記校正限界機能は、
(a)前記ホスト側データ接続部に前記パラメータが前記パラメータ限界を超えたとのインジケータを出力させること、
(b)前記ホスト側データ接続部を介した前記測定データの前記ホスト装置への出力を停止すること、
(c)前記第1のモードとは異なる、前記パラメータが前記パラメータ限界を超えていることを示すような第2のモードで、前記ホスト側データ接続部に前記測定データを前記ホスト装置へ出力させること、
の少なくとも一つを含む、校正制御装置。
【請求項20】
測定具に設けられた連結機構に連結される校正制御装置のプロセッサが実行可能なプログラムであって、
前記プログラムは、前記校正制御装置に動作を実行させるように構成され、
前記動作は、
前記校正制御装置の測定具側データ接続部に前記測定具から測定データを受信させること、
前記校正制御装置に、前記測定具が校正されていると保証される保証期間に関連するパラメータ限界であって、時間又は前記測定具の使用度の少なくとも一つに関連するパラメータについてのパラメータ限界を決定させること、
前記パラメータの現在の状態を前記パラメータ限界と比較すること、
前記パラメータが前記パラメータ限界を超えない場合、前記校正制御装置のホスト側データ接続部に前記測定データをホスト装置へ第1のモードで送信させること、
前記パラメータが前記パラメータ限界を超える場合、前記パラメータが前記パラメータ限界を超えていることを示す校正限界機能を前記校正制御装置に実行させること、
を含み、
前記校正限界機能は、
(a)前記ホスト側データ接続部に前記パラメータが前記パラメータ限界を超えたとのインジケータを出力させること、
(b)前記ホスト側データ接続部を介した前記測定データの前記ホスト装置への出力を停止すること、
(c)前記第1のモードとは異なる、前記パラメータが前記パラメータ限界を超えていることを示すような第2のモードで、前記ホスト側データ接続部に前記測定データを前記ホスト装置へ出力させること、
の少なくとも一つを含む、プログラム。
【請求項21】
測定具に連結される校正制御装置であって、
前記測定具に設けられた連結機構に連結するように構成された本体部と、
回路部と、
前記校正制御装置を動作させる制御信号を出力する制御部と、
を具備し、
前記回路部は、
前記測定具に連結して前記測定具から測定データを受信する測定具側データ接続部と、
前記測定具が校正されていると保証される保証期間に関連するパラメータ限界であって、時間又は前記測定具の使用度の少なくとも一つに関連するパラメータについてのパラメータ限界を決定する校正限界部と、
前記パラメータの現在の状態と前記パラメータ限界を比較する比較部と、
を備え、
前記制御部は、
前記パラメータが前記パラメータ限界を超えない場合、前記校正制御装置に前記測定具に設けられた測定具ディスプレイが前記測定データを第1のモードで表示することを許容させ、
前記パラメータが前記パラメータ限界を超える場合、前記校正制御装置に前記測定具ディスプレイを変更させ、
前記測定具ディスプレイの変更は、前記パラメータが前記パラメータ限界を超えることを示す、校正制御装置。
【請求項22】
請求項21に記載の校正制御装置であって、
前記測定具ディスプレイを変更することは、
(a)表示される前記測定データの外見を変更すること、
(b)前記測定データの表示を停止すること、
(c)前記パラメータが前記パラメータ限界を超えていることを示すインジケータ要素を駆動すること、
の少なくとも一つを含む、校正制御装置。
【請求項23】
請求項21に記載の校正制御装置であって、
前記本体部は、専用のインターロック解除工具なしでは取り外しできないように前記校正制御装置を前記測定具に物理的にインターロックするインターロッキング部を備える、校正制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は精密測定機器に関し、特にノギス、マイクロメータ、又はゲージのような電子測定具が校正されていると保証する保証期間を監視するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノギス、マイクロメータ、又はゲージのような、電子位置エンコーダを用いた種々の電子測定具が知られている。これらのエンコーダは、一般的に低電力の電磁誘導方式、静電容量方式、又は磁気方式の位置検出技術に基づくものである。一般的に、エンコーダは、読取ヘッド及びスケールを含む。読取ヘッドは、一般的に読取ヘッドセンサ及び読取ヘッド電子装置を含む。読取ヘッドは信号を出力し、当該信号は測定軸に沿ったスケールに対する読取ヘッドセンサの位置の関数として変化する。電子ノギスのような測定具において、スケールは、一般的に、第1の測定ジョウを含む長いスケール部材に設けられている。読取ヘッドは、スケール部材に沿って移動可能であって、第2の測定ジョウを含むスライダに設けられている。即ち、2つの測定ジョウの間の距離の測定値は、読取ヘッドからの信号に基づいて決定される。例えば、電子ノギスは、共通の譲受人による米国再発行特許発明第37490号明細書、米国特許第5574381号明細書、米国特許第5973494号明細書、米国特許第6671976号明細書、及び米国特許第8131896号明細書に開示されている。
【0003】
そのような電子測定具は精密測定を実行し、測定精度を確保するために当該測定具について校正及び/又は保証が行われる。一度測定具が校正されると、校正が所定期間又は所定の使用期間において有効であると保証される。例えば、測定具の任意の校正について、校正が失効し再校正が必要となる期日が決定される。校正基準に従い、一度校正が失効した測定具の使用は、再校正が行われるまで制限することが望ましい。
【0004】
一例として、校正は、指定された試験条件において(例えば、指定された温度範囲内において)測定具により基準物体又は参照物体に対して出力された測定値を検査することを含む。基準物体又は参照物体は、国立研究所等に保管された長さ又は寸法の基準(国家標準)や、工場などに設置された比較又は移動の基準のような基準にまで遡及可能な認定された特徴を備える。基準の既知の特徴と比べて測定値が測定具の規定精度内の場合、測定具は「校正されている」とみなされ、校正済みであると保証される。なお、校正は、測定具を機械的又は電子的に調整したり内部倍率やルックアップテーブルを変えたりすることを必ずしも含む必要はない。とはいえ、測定具を規定精度内で機能させるために必要であれば、そのような作業を含んでもよい。
【0005】
校正失効日を監視するための既知の技術の一つは、関連する校正情報を装置に取り付けられたラベルに記入することである。米国特許第6337836号明細書は、装置に取り付け可能であって、校正期日を監視して校正が必要なときに警告メッセージを出力することができるプログラム可能な電子ラベルを開示している。しかし、ユーザは、ラベルを見ないか、或いはラベルを無視することを選択して、校正が失効した後に装置のホスト装置への測定データ出力機能などを使い続けるかもしれない。複雑な装置には校正情報により内部的にプログラム可能なものもあるが、既存の電子ノギス、マイクロメータ、又はゲージのような簡素な測定具は、そのようにプログラムする機能を備えていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国再発行特許発明第37490号明細書
【特許文献2】米国特許第5574381号明細書
【特許文献3】米国特許第5973494号明細書
【特許文献4】米国特許第6671976号明細書
【特許文献5】米国特許第8131896号明細書
【特許文献6】米国特許第6337836号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子ノギス、マイクロメータ、又はゲージのような既存の測定具の所定の校正保証期間を監視し、校正保証期間が過ぎたら当該測定具の出力を阻止又は変更する処置をとるシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この要約は、簡易化した形で概念の選択を紹介することで提供され、以下の詳細な説明においても開示されている。この要約は、クレームされた対象における重要な特徴を特定することを意図するものでなく、また、クレームされた対象の範囲を決定するのに役立つものとして用いることを意図するものでもない。
【0009】
測定具に連結される校正制御装置が提供される。種々の形態において、校正制御装置は、測定具に設けられた連結機構に連結するように構成された本体部と、回路部と、制御部とを備える。回路部は、識別部と、測定具側及びホスト側データ接続部と、校正限界部と、比較部とを備える。識別部は、校正制御装置及び取り付けられた測定具の少なくとも一つを電子的に識別するように構成される。
【0010】
測定具側データ接続部は、測定具に連結して測定具から測定データを受信する。ホスト側データ接続部は、ホスト装置に連結して測定データをホスト装置に出力する。校正限界部は、測定具が校正されていると保証される保証期間に関連するパラメータ限界であって、時間又は測定具の使用度の少なくとも一つに関連するパラメータについてのパラメータ限界を決定するために用いられる。
【0011】
制御部は、校正制御装置を動作させる制御信号を出力する。制御部は、パラメータがパラメータ限界を超えない場合、校正制御装置に測定データをホスト装置へ第1のモードでホスト側データ接続部を介して出力させ、パラメータがパラメータ限界を超える場合、パラメータがパラメータ限界を超えることを示す校正限界機能を校正制御装置に実行させる。
【0012】
いくつかの実施の形態において、校正限界機能は、(a)ホスト側データ接続部にパラメータがパラメータ限界を超えたとのインジケータを出力させること、(b)ホスト側データ接続部を介したホスト装置への測定データの出力を停止すること、及び(c)第1のモードとは異なる、パラメータがパラメータ限界を超えていることを示すような第2のモードで、ホスト側データ接続部に測定データをホスト装置へ出力させること、の少なくとも一つを含んでもよい(例えば、測定データとともに又は測定データを伴わずに校正保証失効を警告する警告モード)。種々の形態において、回路部は、パラメータの現在の状態を比較部に示すクロック/イベント計数部を含んでもよい。
【0013】
回路部は、データ制御スイッチ部を含んでもよい。データ制御スイッチ部は、測定具側データ接続部から信号を受信するように接続され、更に、データ制御スイッチ部がパラメータ限界を超えないパラメータに対応する第1状態(例えば、送信モード)であるときに測定データをホスト側データ接続部に出力し、データ制御スイッチ部がパラメータ限界を超えるパラメータに対応する第2状態であるときに校正限界機能の少なくとも一部を実行するように構成される。データ制御スイッチ部は、通信スイッチ部と称される場合がある。一の形態において、(測定具についての校正が失効したことを示す)パラメータ限界をパラメータが超えたときに実行される校正限界機能は、(例えば、校正限界制御信号により制御されて)データ制御スイッチ部の状態を変更してデータ制御スイッチ部を遮断状態又は警告状態の一つにすることを含む。警告状態は、送信される任意の測定データとともに校正切れ警告信号を出力することを含んでもよい。そのような校正切れ警告信号は、データ制御スイッチ部とは独立に制御部又は回路部の他の構成要素により出力されてもよい。
【0014】
種々の形態において、識別部は、校正制御装置及び/又はホストシステムに取り付けられた測定具を識別するために用いられてもよく、及び/又は、校正制御装置が測定具から取り外されていないこと又は他の測定具に取り付けられていないことを確保するために用いられてもよい。一の形態において、校正制御装置が測定具から取り外された場合に識別部と共に機能して校正制御装置の動作を変更する又は警告を発するトリガー回路又は機能が回路部に含まれてもよい。例えば、トリガー回路又は機能は、測定具から識別信号を受信し、識別部によって示されたID(Identification)と測定具からの識別信号によって示されたIDとを一致させるように構成されてもよい。測定具からの識別信号によって示されたIDが識別部によって示されたIDに一致しなければ、制御部は、測定データがホスト装置に送られることを防止してもよく、測定具のID不一致を示す信号を出力してもよい。
【0015】
種々の形態において、回路部及びホスト側データ接続部の少なくとも一方は、無線通信部を含んでもよい。無線通信部は、校正制御装置をプログラミングするプログラミング信号を受信するように構成されてもよい。無線通信部は、識別部によって示された測定具ID及びパラメータが校正限界部によって示されたパラメータ限界に達したかどうかを示す信号を無線送信するように構成されてもよい。無線通信部は、測定データを無線送信するように構成されてもよい。
【0016】
種々の形態において、インジケータ部が校正制御装置に含まれてもよく、インジケータ部が制御部に制御されて校正限界機能の少なくとも一部を実現するために用いられてもよい。一の形態において、インジケータ部は、パラメータがパラメータ限界に達したことを示すインジケータを出力する。インジケータ部は、追加的又は代替的に、パラメータがパラメータ限界に達する前に早期警告を示すインジケータを出力してもよい。種々の形態において、インジケータ部は、校正制御装置の表面に配置され、使用電力が比較的小さい物理インジケータで構成されてもよい(例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Light Emitting)ディスプレイなど)。
【0017】
一の形態において、ホスト側データ接続部は、ホスト装置から電力を受け取って校正制御装置に電力を供給する電力接続を含んでもよい。別の形態において、測定具側データ接続部は、測定具から電力を受け取って校正制御装置に電力を供給する電力接続を含んでもよい。更に別の形態において、校正制御装置は、校正制御装置に電力を供給するバッテリを含んでもよい。電力供給のためのホスト装置との物理的接続なしで校正制御装置がデータを無線送信する場合、バッテリ又は測定具との電力接続を備えた形態が望ましい。
【0018】
種々の形態において、本体部は、専用のインターロック解除工具なしでは取り外しできないように校正制御装置を測定具に物理的にインターロックするインターロッキング部を備えることが好ましい。校正制御装置が測定具から取り外された場合にインターロッキング部と共に機能して校正制御装置の動作を変更する又は警告を発する機械的トリガー部が含まれてもよい。一の形態において、本体部は、校正制御装置を測定具の凹部に挿入して取り付けた際に校正制御装置が測定具の表面から大きく突き出さないように、測定具の凹部に収まるように形成されてもよい。
【0019】
いくつかの形態において、ホスト接続は有用でないか必要でないかもしれず、校正制御装置は、通信及び/又は制御可能性を利用して、取り付けられた測定具を測定具側データ接続部を介して制御又は停止するように構成されてもよい。そのような実施の形態において、校正制御装置は、測定具に設けられた連結機構に連結するように構成された本体部と、回路部と、校正制御装置を動作させる制御信号を出力する制御部とを備える。回路部は、測定具に連結して測定具から測定データを受信する測定具側データ接続部と、測定具が校正されていると保証される保証期間に関連するパラメータ限界であって、時間又は測定具の使用度の少なくとも一つに関連するパラメータについてのパラメータ限界を決定する校正限界部と、パラメータの現在の状態とパラメータ限界を比較する比較部と、を備える。制御部は、パラメータがパラメータ限界を超えない場合、校正制御装置に測定具の測定具ディスプレイが測定データを第1のモードで表示することを許容させ、パラメータがパラメータ限界を超える場合、校正制御装置に測定具ディスプレイを変更させる。そのディスプレイ変更は、パラメータがパラメータ限界を超えていることを示す。
【0020】
いくつかの実施の形態において、測定具ディスプレイの変更は、(a)表示される測定データの外見を変更すること、(b)測定データの表示を停止すること、及び(c)パラメータがパラメータ限界を超えていることを示すインジケータ要素を駆動すること、の少なくとも一つを含む。一の実施の形態において、測定データの表示を停止することは、測定具の動作を停止又は「ロックアップ」することを含んでもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、ノギス、マイクロメータ、又はゲージのような測定具の校正保証期間を監視し、校正保証期間が過ぎたら当該測定具の出力を阻止又は変更する処置をとるシステム及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
上述の態様及び本発明の付随する多くの効果は、添付した図面と共に以下の詳細な説明を参照することによって、よく理解される。
【
図1】測定具に連結され、ホスト装置から有線接続を受ける校正制御装置を含む例示的な測定システムのブロック図である。
【
図2】
図1と同様に測定具に連結され有線接続を受ける校正制御装置の正面図である。
【
図3】
図2の校正制御装置及び測定具の斜視図である。
【
図4】校正制御装置及び校正制御装置を受ける凹部を備えた測定具の斜視図である。
【
図5】校正制御装置の回路部の実施例を説明するブロック図である。
【
図6】校正制御装置の動作ルーチンの実施例を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、測定具100に連結され、ホスト装置190から有線接続130を受ける校正制御装置150を含む例示的な測定システム10のブロック図である。以下に詳細に説明するように、校正制御装置150は、測定具100に取り付けられ、測定具100が校正されていると保証する保証期間を監視する。校正制御装置150は、測定具100の主出力ポートに連結され、測定具100からの測定信号を有線接続130を介してホスト装置190に送信する。
【0024】
通常の測定動作の間、ホスト装置190は、測定具100からの出力としての測定信号を校正制御装置150及び有線接続130を介して受信する。測定信号は、測定具100によって得られたワークピースの測定値に関連する。ホスト装置190はコンピュータシステム192を含み、コンピュータシステム192はキーボード194及びモニタ196及び/又は他の入出力装置に操作可能に接続される。測定具100からの測定データは、モニタ196に表示される。一の形態において、測定具100についての校正が失効すると、校正制御装置150は測定データがホスト装置190に送信されることを防止する。或いは、校正制御装置150は測定データの送信を許容するが、測定データに校正切れ警告信号又はその他の機能を含める。
【0025】
図2は、
図1と同様に測定具200に連結されホスト装置から有線接続230を受ける校正制御装置250の正面図である。
図2の実施の形態において、測定具200は、ワークピースの測定から得られた測定データを出力することができるノギスである。測定具200は、共通の譲受人による米国特許第6671976号明細書(以下、’976特許という)においてより詳細に説明されている。
【0026】
図3を参照してより詳細に後述するが、校正制御装置250は、底部に測定具側オス型コネクタ252を備え、上部にホスト側メス型コネクタ254を備える。ホスト側メス型コネクタ254は、有線接続ケーブル230からオス型コネクタ233を受け入れる。校正制御装置250の測定具側オス型コネクタ252は、測定具200のメス型コネクタ219に受け入れられる。メス型コネクタ219は、測定具200の主出力ポートであり、外部装置(例えば、
図1のホスト装置190)に測定データを出力する。一の形態において、メス型コネクタ219は、’976特許に開示されるように、導電部221と非導電部222が交互に積層した密閉型エラストマーインターコネクタ220を備え、オス型コネクタ252は、相補的な型のコネクタである。しかしながら、より一般的には、いかなる適切な接続方法を用いてもよく、メス型コネクタ219は、RS232ポート、シリアルポート、コネクタ(例えば、平型コネクタ、円形6ピンコネクタ、平形10ピンコネクタなど)と互換性があるデジマチックインタフェースのようなインタフェース、又は測定データを外部装置に出力するための任意の他の出力ポートの一部であってもよい。ある種の出力ポート及びコネクタは、共通の譲受人による米国特許第8131896号明細書により詳細に記載されている。
【0027】
インターロックファスナー257を用いて校正制御装置250を測定具200に固定的に取り付けてもよい。種々の実施の形態において、校正及び/又は保証に関連する種々のセキュリティー要件に応じるために、インターロックファスナー257は、専用工具を用いないと校正制御装置250を測定具200から取り外すことができないように形成される。一の形態においては、インターロック部258が含まれ、当該インターロック部258は、離れたファスナーを用いないで、校正制御装置250を測定具200から取り外すために用いられる専用のインターロック解除工具259を必要とする。
図5を参照してより詳細に後述するが、校正制御装置250は、校正制御装置250の種々の機能の実行を可能にする校正制御回路253を含んでもよい。
【0028】
測定具200は、長手部分を備える本尺202と、本尺202の長手方向に沿ってスライド移動可能なように本尺202に設けられたスライダ206とを備える。本尺202は、長手部分の基端における上側及び下側外縁にそれぞれ設けられた内側測定ジョウ203及び外側測定ジョウ204と、長手部分の内側部分に長手方向に沿って設けられたスケール205とを備える。内側測定ジョウ203及び外側測定ジョウ204は、それぞれ本尺202に一体化されている。
【0029】
スライダ206の外側面には内側測定ジョウ207及び外側測定ジョウ208が基端における上側及び下側外縁にそれぞれ設けられ、デジタルディスプレイ209がスライダ206の前面に形成されている。更に、スライダ206の位置を固定するための止めねじ210がスライダ206にねじ込まれている。本尺202の長手部分に接触し、自身の回転によりスライダ206を移動させる送りローラー211がスライダ206の外側面に設けられている。内側測定ジョウ203及び外側測定ジョウ204がスライダ206に一体化されている。
【0030】
測定動作の間、スライダ206は送りローラーによって移動され、測定ジョウ207又は208が測定ジョウ203又は204と一緒にワークピースの対象部分に接触する。このとき、本尺202の長手部分に設けられたスケール205及びスライダ206の検出ヘッドがスライダ206の変位を検出する。検出測定信号は、測定データとして回路基板(不図示)により処理され、スライダ206の前側のデジタルディスプレイ209に表示され及び/又はホスト装置に出力される。
【0031】
図3は、
図2の校正制御装置250の斜視図であり、校正制御装置250は測定具200に連結される。
図3に示すように、校正制御装置250は、測定具側オス型コネクタ252、ホスト側メス型コネクタ254、及びインターロックファスナー257を備える。コネクタケーブル230のオス型コネクタ233は、ホスト側メス型コネクタ254に受け入れられる。コネクタケーブル230は、ねじ237で校正制御装置250に固定される。ねじ237は、インターロックファスナー257の受け穴に受け入れられてもよい。測定具側オス型コネクタ252は、測定具200のメス型コネクタ219に受け入れられる。測定具200は、校正制御装置250のインターロックファスナー257を受け入れる穴217を備える。種々の形態において、インターロックファスナー257は、永久的又は半永久的ファスナーから構成されてもよい。
図2に関して上述したように、取り外しに専用のインターロック解除工具259を必要とするインターロック部258を含んでもよい。
【0032】
コネクタケーブル230が校正制御装置250に差し込まれ、コネクタケーブル230の他端がホスト装置(例えば、
図1のホスト装置190)に接続されると、測定具200から出力される測定データがホスト装置に送信可能となる。一の形態において、コネクタケーブル230を介したデータ送信を可能にする手動データ送信スイッチ236がコネクタケーブル230の接続部に設けられてもよい。以下においてより詳細に説明するように、データ送信スイッチ236が押下された場合であっても、測定具200についての校正が失効していれば、校正制御装置250内のデータ制御スイッチ部は、測定データのホスト装置への送信を阻止又は修正する。
【0033】
図4は、校正制御装置250の斜視図であり、校正制御装置250は、校正制御装置250を受ける凹部410を備えた測定具200’に連結される。
図4に示すように、凹部410は、一般的に校正制御装置250の外形寸法に対応するように形成される。凹部410の底は、校正制御装置250の測定具側オス型コネクタ252を受け入れるメス型コネクタ219を含む。凹部410は、インターロックファスナー257を受け入れる穴217も含む
【0034】
一の形態において、凹部410の寸法は、校正制御装置250がインターロックファスナー257により凹部410内に固定されたときに校正制御装置250の本体が測定具200の表面と概ね面一(つらいち)になって測定具200の表面から大きく突き出さないようになっている。このような凹部410を含む新しい測定具200’の場合、測定具200’の最良の人間工学を阻害することなく、校正制御装置250が凹部410にぴったりと一体化し、使い勝手がよい。或いは、コストを削減するために校正制御装置250を省略し、必要であれば後で購入して追加してもよい。更に、凹部410を欠いた古いモデルの測定具(例えば、測定具200)にも同一の校正制御装置250を利用することができるので、校正制御装置250、及び/又は測定具200及び/又は200’について少数のモデル及び少ない在庫要件に関連した経済的利益がもたらされる。
【0035】
図5は、校正制御装置250の回路部253の実施例を説明するブロック図である。
図5に示すように、回路部253は、制御部510、測定具側データ接続部520、データ制御スイッチ部530、ホスト側データ接続部540、校正限界部550、比較部560、識別部570、クロック/イベント計数部580、及び無線通信部590を含む。測定具側データ接続部520は、測定具200に連結して測定データを受信する。ホスト側データ接続部540は、ホスト装置(例えば、
図1のホスト装置190)に連結して測定データをホスト装置に出力する。校正限界部550は、測定具が校正されていると保証される保証期間に関連するパラメータ限界を示す。パラメータ限界は、時間又は測定具の使用度の少なくとも一つに関連するパラメータについて決定される。比較部560は、パラメータの現在の状態とパラメータ限界を比較する。制御部510は制御信号を出力し、制御信号の少なくとも一つは、パラメータがパラメータ限界を超えたことを比較部が示したときに実行される校正限界機能を制御する校正限界制御信号である。
【0036】
データ制御スイッチ部530は、データ制御スイッチ部530が送信状態のときに、測定具側データ接続部520から測定データを受信し、ホスト側データ接続部540に測定データを送信するように、接続される。一の形態において、(測定具200についての校正が失効したことを示す)パラメータ限界をパラメータが超えたときに実行される校正限界機能は、データ制御スイッチ部530の状態を変更することを含む。例えば、校正限界機能は、校正限界制御信号により制御されてデータ制御スイッチ部530を遮断状態又は警告状態の一つにすることを含んでもよい。警告状態は、送信される任意の測定データとともに校正切れ警告信号を出力することを含んでもよい。そのような校正切れ警告信号は、データ制御スイッチ部530とは独立に制御部510又は回路部253の他の構成要素により出力されてもよい。
【0037】
回路部253は、パラメータの現在の状態を比較部560に示すクロック/イベント計数部580を含んでもよい。例えば、パラメータ限界が校正の保証が失効する時刻を示す場合、クロック/イベント計数部580は、校正が失効したかどうかの判定が可能なように、比較部560に現在時刻を示す。或いは、一の形態において、クロック/イベント計数部580は、パラメータに関連するイベントがいくつ発生したかを監視してもよい。例えば、測定具は、測定活動を所定の周期(例えば、1秒に1回)で点検する低電力状態で動作するように設計されてもよく、その場合、クロック/イベント計数部580は測定具からイベント信号を受信して時間がどれだけ経過したか測定するためにカウントを保持する。
【0038】
識別部570は、校正制御装置250及び取り付けられた測定具200の少なくとも一つを電子的に識別する。識別部570は、その識別をホストシステム及び/又はユーザにディスプレイ又は無線データ接続を介して伝達するため、及び/又は校正制御装置250が測定具200から取り外されていないこと又は他の測定具に取り付けられていないことを保証するために用いられる。一の形態において、校正制御装置が測定具200から取り外された場合に識別部570と共に機能して校正制御装置250の動作を変更するトリガー回路又は機能が含まれてもよい。例えば、トリガー回路又は機能は、測定具200から識別信号を受信し、識別部570によって示されたIDと測定具200からの識別信号によって示されたIDとを照合するように構成されてもよい。測定具200からの識別信号によって示されたIDが識別部570によって示されたIDに一致しなければ、制御部510は、測定データがホスト装置に送られることを防止してもよく、測定具のID不一致を示す信号を出力してもよい。
【0039】
回路部253は、無線通信部590を含んでもよい。無線通信部590は、校正制御装置250をプログラミングするプログラミング信号を受信するように構成されてもよい。例えば、測定具が校正されていると初めに保証されたときにプログラミング信号がホスト装置又は他の装置から受信される。
【0040】
無線通信部590は、識別部570によって示された測定具ID及びパラメータが校正限界部550によって示されたパラメータ限界に達したかどうかの信号を無線送信するように構成されてもよい。例えば、複数の測定具を管理するシステムは、複数の測定具の状況把握及び測定具のいずれかについての校正保証が失効したかどうかの確認をそのような通信に依存してもよい。無線通信部590は、測定データを無線送信するように構成されてもよい。例えば、測定具200からの測定データが無線通信部590によりホスト装置に無線送信される。
【0041】
種々の形態において、警告インジケータ部が校正制御装置250に含まれてもよく、警告インジケータ部が制御部510に制御されて校正限界機能の少なくとも一部を実現するために用いられてもよい。一の形態において、インジケータ部は、パラメータがパラメータ限界に達したことを示す。インジケータ部は、追加的又は代替的に、パラメータがパラメータ限界に達する前に早期警告を示すようにしてもよい。種々の形態において、インジケータ部は、校正制御装置の表面に配置される物理インジケータで構成されてもよい(例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Light Emitting)ディスプレイなど)。
【0042】
一の形態において、ホスト側データ接続部540は、ホスト装置から電力を受け取って校正制御装置250に電力を供給する電力接続を含んでもよい。別の形態において、測定具側データ接続部520は、測定具から電力を受け取って校正制御装置250に電力を供給する電力接続を含んでもよい。更に別の形態において、校正制御装置250は、校正制御装置250に電力を供給するバッテリを含んでもよい。そのバッテリは、電源に接続されると再充電可能である。電力供給のためのホスト装置との物理的接続なしで校正制御装置250がデータを無線送信する場合、バッテリ又は測定具200との電力接続を備えた形態が望ましい。
【0043】
既に概要を説明したように、いくつかの形態においては、ホスト接続は有用でないか必要でないかもしれず(例えば、ホストとの有線又は無線接続は省略されてもよい)、校正制御装置は、通信及び/又は制御可能性を利用して、取り付けられた測定具を測定具側データ接続部を介して制御又は停止するように構成されてもよい。そのような形態において、構成要素530、540、570、及び/又は590は、省略されても使われなくてもよい。
【0044】
当業者は、校正制御装置250の制御部510、及び/又は、ホスト装置又は測定具の処理システムに、任意の処理システム又は装置による一般的な構成を用いることができる。そのような処理システム又は装置は、ここに記載した機能を実行するためのソフトウェアを実行する一つ以上のプロセッサを含んでもよい。プロセッサは、プログラム可能な汎用又は専用マイクロプロセッサ、プログラマブルコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能論理回路(PLD)など、又はこれらの組合せを含んでもよい。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリなどのメモリ、又はこれらの組合せに格納されてもよい。ソフトウェアは、磁気又は光学ディスク、フラッシュメモリ装置、又は他の任意のタイプのデータ格納用不揮発性記憶媒体のような一つ以上の記憶装置に格納されてもよい。ソフトウェアは、特定のタスクを実行又は特定の抽象データ型を実現するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む一つ以上のプログラムモジュールを含んでもよい。分散コンピューティング環境において、複数のプログラムモジュールの機能性は、複数の処理システム又は装置にわたり結合又は分配され、有線又は無線コンフィギュレーションのいずれにおいてもサービスコールによりアクセスされてよい。
【0045】
図6は、測定具(例えば、上で概要を述べた測定具)に連結される校正制御装置を動作させるルーチン600の実施例を説明するフロー図である。一の実施の形態において、校正制御装置は、測定具に設けられた連結機構に連結する本体部と、本ルーチンに対応するプログラム命令を格納するメモリと、プログラム命令を実行して本ルーチンを実行するように構成されたプロセッサを備える。ブロック610において、校正制御装置は、測定具が校正されていると保証される保証期間に関連したパラメータ限界を決定する。パラメータ限界は、時間又は測定具の使用度の少なくとも一つに関連するパラメータについて決定される。ブロック620において、校正制御装置の測定具側データ接続部は、測定具から測定データを受信する。ブロック630において、パラメータの現在の状態をパラメータ限界と比較する(例えば、
図5に関連して説明した比較部560を用いる)。
【0046】
判定ブロック640において、パラメータ(すなわち、校正限界パラメータ)がパラメータ限界を超えたかどうか判定する。種々の校正限界パラメータについては既に説明した。判定ブロック640においてパラメータがパラメータ限界を超えていなければ、ブロック650に進み、そこで校正制御装置のホスト側データ接続部が測定データをホスト装置に第1のモード(例えば、通常モード又は「校正保証有効」モード)で出力し、ブロック620に戻って通常動作を継続する。判定ブロック640において、パラメータがパラメータ限界を超えていれば、ブロック660に進み、そこで校正制御装置が校正限界機能を実行する。校正限界機能は、パラメータ(すなわち、校正限界パラメータ)がパラメータ限界を超えることを(例えば、ホストシステム及び/又はユーザに)示す。種々の実施の形態において、校正限界機能は、(a)ホスト側データ接続部にパラメータがパラメータ限界を超えているとのインジケータ(指標信号)を出力させる、(b)ホスト側データ接続部を介したホスト装置への測定データの出力を停止する、及び(c)ホスト側データ接続部に測定データをホスト装置へ第2のモードで出力させる、の少なくとも一つを含んでもよい。第2のモードは、パラメータがパラメータ限界を超えていることを示すことが第1のモードと異なる。校正限界機能に含まれるこれらの特徴の種々の形態は、既に概要を説明した。校正限界機能は、校正限界パラメータがパラメータ限界を超えていることを示す視覚インジケータ(例えば、校正制御装置が備える光学素子又は表示素子、及び/又は測定具ディスプレイの色又は要素など)を駆動することを含んでもよい。ブロック660の動作の後、判定ブロック670において動作を継続すると決定すると(例えば、警告モードなどにおいて)、ブロック620に戻り動作を継続する。そうでない場合、ルーチンを終了する。
【0047】
本発明の種々の形態を図示及び説明し、図示及び説明した特徴の変更及び動作の順番における種々の変更は、本開示に基づいて当業者によって明確である。第1の例において、ハンドヘルド測定具の実施の形態について本発明を説明したが、本発明のクレームされた特徴に従って他のタイプの測定具において実現してもよい。第2の例において、当業者は、描かれたフローチャートを種々の態様で変更できる。より具体的には、ステップの順序を再配列したり、ステップを並行して実行したり、ステップを省略したり、他のステップを含めることができる。即ち、種々の変更は、本発明の精神及びスコープから逸脱しない範囲において可能である。
【0048】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0049】
10…測定システム、100…測定具、130…有線接続、150…校正制御装置、190…ホスト装置、192…コンピュータシステム、194…キーボード、196…モニタ、200、200’…測定具、202…本尺、203…内側測定ジョウ、204…外側測定ジョウ、205…スケール、206…スライダ、207…内側測定ジョウ、208…外側測定ジョウ、209…デジタルディスプレイ、210…止めねじ、211…送りローラー、217…穴、219…メス型コネクタ、220…密閉型エラストマーインターコネクタ、221…導電部、222…非導電部、230…コネクタケーブル、233…オス型コネクタ、236…手動データ送信スイッチ、237…ねじ、250…校正制御装置、252…測定具側オス型コネクタ、253…回路部、254…ホスト側メス型コネクタ、257…インターロックファスナー、258…インターロック部、259…インターロック解除工具、410…凹部、510…制御部、520…測定具側データ接続部、530…データ制御スイッチ部、540…ホスト側データ接続部、550…校正限界部、560…比較部、570…識別部、580…クロック/イベント計数部、590…無線通信部。