特許第6465688号(P6465688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6465688
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】羽根車の姿勢揃え装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/248 20060101AFI20190128BHJP
   B65G 47/24 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   B65G47/248 J
   B65G47/24 D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-35307(P2015-35307)
(22)【出願日】2015年2月25日
(65)【公開番号】特開2016-155664(P2016-155664A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2018年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】305022598
【氏名又は名称】株式会社日立メタルプレシジョン
(72)【発明者】
【氏名】武田 恭子
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−001211(JP,A)
【文献】 特開平03−254657(JP,A)
【文献】 特公昭44−021771(JP,B1)
【文献】 特公昭51−028981(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/248
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の翼とそれら翼より突出した回転軸とをディスク状ハブの一方の面に形成した羽根車を、前記ディスク状ハブの一方の面が上向きとなるように姿勢を揃える、羽根車の姿勢揃え装置であって、
羽根車を載置して移動するコンベア面を有するコンベアと、
前記コンベア面の上方から下端部を自由にして吊下げられ、かつ前記コンベア面の移動方向に複数配されている反転部材とを有し、
前記反転部材は、前記コンベア面上の姿勢が揃えられていない羽根車に前記下端部が接触し、該接触により前記下端部を移動させつつ前記羽根車に安定モーメントを超える転倒モーメントを与えるものである
ことを特徴とする羽根車の姿勢揃え装置。
【請求項2】
前記反転部材が、可撓性を有する部材である
ことを特徴とする請求項1に記載の羽根車の姿勢揃え装置。
【請求項3】
前記反転部材が、前記コンベア面の上方で可動支点により支持されている
ことを特徴とする請求項1に記載の羽根車の姿勢揃え装置。
【請求項4】
前記反転部材が、板状の部材であり、板面を、前記コンベア面の移動方向に対して交差させている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の羽根車の姿勢揃え装置。
【請求項5】
前記コンベア面が、登り勾配の面である
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の羽根車の姿勢揃え装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽根車をバラバラな姿勢から一定の姿勢に揃えることが可能な、羽根車の姿勢揃え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
羽根車の製造工程では、成形後の分解作業等において、羽根車がバラバラな姿勢になることがある。このような姿勢になった羽根車は、姿勢を揃えて後工程に送ることが、後工程の作業性をよくする上で好ましいものである。
【0003】
ワークのバラバラな姿勢を、一定の姿勢に揃える方法について、多くの方法が知られている。その中の、突起付ワークの姿勢を揃える方法として、ワークをコンベアにより移送しながら、張架した線に接触させる方法が知られている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−001211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方法では、ワークを張架した線の下に潜らせて、ワークの姿勢を揃えている。しかし、この方法を羽根車に適用すると、羽根車がコンベア面と線との間に挟まり、羽根車が線手前に滞留して、線を断線してしまうことがある。すなわち、羽根車の円滑な移送が困難になることがある。
【0006】
そこで、本発明では、羽根車を円滑に移送しつつ、その姿勢を揃えることが可能な、羽根車の姿勢揃え装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の羽根車の姿勢揃え装置は、複数の翼とそれら翼より突出した回転軸とをディス
ク状ハブの一方の面に形成した羽根車を、前記ディスク状ハブの一方の面が上向きとなる
ように姿勢を揃える、羽根車の姿勢揃え装置であって、羽根車を載置して移動するコンベ
ア面を有するコンベアと、前記コンベア面の上方から下端部を自由にして吊下げられ、かつ前記コンベア面の移動方向に複数配されている反転部材とを有し、前記反転部材は、前記コンベア面上の姿勢が揃えられていない羽根車に前記下端部が接触し、該接触により前記下端部を移動させつつ前記羽根車に安定モーメントを超える転倒モーメントを与えるものである。
【0008】
また、本発明の羽根車の姿勢揃え装置は、前記反転部材が、可撓性を有する部材であるか、あるいは、前記コンベア面の上方で可動支点により支持されていることが好ましい。
【0009】
また、本発明の羽根車の姿勢揃え装置は、前記反転部材が、板状の部材であり、板面を、前記コンベア面の移動方向に対して交差させていることが好ましい。
【0010】
また、本発明の羽根車の姿勢揃え装置は、前記コンベア面が、登り勾配の面であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の羽根車の姿勢揃え装置は、羽根車を円滑に移送しつつ、羽根車の姿勢を揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の装置が姿勢を揃えることが可能な羽根車の一例を示す図である。
図2図1の羽根車がとりうる姿勢を示す図である。
図3】本発明の実施形態を示す図である。
図4】本実施形態に用いることが可能な、他の反転部材の構成を示す図である。
図5】翼が下向き、且つ、軸が移送方向向きになった羽根車を、反転部材に接触させつつ移送する様子を示す図である。
図6】翼が下向き、且つ、軸が移送方向以外の向きになった羽根車を、反転部材に接触させつつ移送する様子を示す図である。
図7】翼が下向き、且つ、軸がコンベア面に対して直立した羽根車を、反転部材に接触させつつ移送する様子を示す図である。
図8】翼が上向きになった羽根車を、反転部材に接触させつつ移送する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明の装置について説明する前に、本発明の装置が姿勢を揃えることが可能な羽根車について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
本発明の装置は、例として、図1に示すような羽根車9の姿勢を揃えることができる。すなわち、ディスク状ハブ9aの一面に、突出した軸9bと複数の翼9cとを形成した、羽根車9の姿勢を揃えることができる。
羽根車9は、ハブ9aの翼9cを有する面を上向きの姿勢(以下単に、翼9cが上向き、と略す)にすると、図2(a)に示すように、ハブ9aの翼9cと反対側の面が、平面Sに当接した姿勢となる。そして、羽根車9は、ハブ9aの翼9cを有する面を下向きの姿勢(以下単に、翼9cが下向き、と略す)にすると、図2(b)に示すように、ハブ9aが面Sに対して傾いた姿勢となるか、あるいは、図2(c)に示すように、軸9bが面Sに対して立った姿勢となる。
本発明の装置は、図1に示すような羽根車について、翼が下向きになった羽根車を反転して、上向きに揃える装置である。すなわち、図2(b)と図2(c)に示す姿勢の羽根車9を反転して、図2(a)に示す姿勢に揃える装置である。
【0016】
次に、本発明の羽根車の姿勢揃え装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図3に示すように、本実施形態の装置は、コンベア1と反転部材2、3とを具備している。以下、構成要素について詳細に説明する。
【0018】
(コンベア)
図3に示すように、コンベア1は、コンベア面1aと、コンベア面1aを駆動して太矢印方向に移動させるモータ1bとを有している。そして、コンベア面1aは、羽根車9を載置して移動し、羽根車9を、図の右側の上流側から図の左側の下流側に移送できる。
【0019】
ここで、コンベア面1aは、羽根車9が滑り難い面にすることが好ましい。例えば、コンベア1をベルトコンベアにする等、コンベア面1aを高摩擦ベルトにすることが好ましい。これにより、後で説明するように、反転部材2、3に接触した羽根車9を反転しやすくなり、姿勢を揃えやすくなる。
【0020】
また、本実施形態の装置では、コンベア面1aを水平にしているが、コンベア面1aを、登り勾配の面にすることもできる。言い換えれば、コンベア面1aを、羽根車9が登坂するような面にすることもできる。これにより、後で説明するように、翼9cが下向きになった羽根車9を、軸9bの方向を揃えた姿勢から反転して、姿勢を揃えやすくなる。
【0021】
(反転部材)
図3に示すように、反転部材2、3は、板状の部材であって、コンベア面1aの上方に配された固定部材4、5に支持されていて、下端部2a、3aを自由にして吊下げられている。そして、下端部2a、3aとコンベア面1aとの間隔を、下端部2a、3aが羽根車9に接触するような間隔にしている。
【0022】
ここで、反転部材2、3は、可撓性を有し、羽根車9が滑り難い面を有する部材、例えば、ゴムシート等にすることが好ましい。これにより、羽根車9が下端部2a、3aに接触すると、下端部2a、3aが下流側に押されて、反転部材は弓なりに変形する。つまり、下端部2a、3aとしてみれば接触によって下流側に移動することとなる。これにより、羽根車9を下端部2a、3aに接触させつつ移送することができ、羽根車9を下流側に容易に排出して、滞留させること無しに円滑に移送できる。
【0023】
また、変形した反転部材2、3は、その自重により変形状態から回復しようとする復元力を発生する。この復元力により、反転部材2,3は、羽根車9に転倒モーメントを与えることができ、翼9cが下向きになった羽根車9を反転して、上向きに揃えることができる。
【0024】
また、上記の説明では、可撓性を有する反転部材2、3について説明したが、反転部材2、3は、下端部2a、3aの可動支点により移動可能な部材にしてもよい。
例えば、図4(a)に示すように、反転部材2、3を、蝶番8により固定部材4、5に締結し、蝶番8を可動支点として振れ移動可能にすることで、反転部材2、3を硬質な部材にしてもよい。また、図4(b)に示すように、硬質な部材を、蝶番8のような可動支点により連接して、振れ移動可能な反転部材2、3にしてもよい。
いずれの反転部材2、3にしても、羽根車9が下端部2a、3aに接触したとき、その接触を維持しつつ、羽根車9を移送できる。これにより、羽根車9を下流側に容易に排出して、滞留させること無しに円滑に移送できる。
【0025】
また、下端部2a、3aを可動支点により移動可能にする反転部材2、3は、下端部2a、3aが移動すると、その自重により元の位置に戻ろうとする復元力を発生する。この力により、反転部材2、3は、羽根車9に転倒モーメントを与えることができ、翼9cが下向きになった羽根車9を反転して、上向きに揃えることができる。
【0026】
可撓性を有する反転部材2、3は、羽根車9との接触箇所である下端部2a、3aを局所的に変形し、羽根車9が接触する際の衝撃を小さくできる。また、下端部2a、3aを可動支点により移動可能にする反転部材2、3は、移動方向やそれに伴う復元力の方向を限定し、反転に必要な転倒モーメントを効率よく羽根車9に与えることができる。
このように、反転部材2、3は、材質により異なる効果にして、羽根車9に、反転に必要な転倒モーメントを与えることができる。よって、反転部材2、3は、羽根車9の材質や形状に合わせて、適宜材質を選択できる。
【0027】
また、本実施形態の装置では、反転部材2、3を、羽根車9に対して幅広の板状の部材にし、反転部材面2b、3bを、コンベヤ面1aの移動方向に対して交差させることが好ましい。そして、本実施形態の装置のように、交差させる角度を略垂直にすることがより好ましい。これにより、羽根車9を下端部2a、3aに接触させつつ移送したとき、羽根車9と下端部2a、3aとの接触が維持しやすくなり、羽根車9に転倒モーメントを与えやすくなって、翼9cが下向きになった羽根車9を反転しやすくなる。
【0028】
また、反転部材2、3は、図3に示すように、コンベア面1aの移動方向に複数配することが好ましい。これにより、後で説明するように、翼9cが下向きになった羽根車9に、転倒モーメントを与える機会が増え、羽根車9を反転しやすくなる。なお、本実施形態では、反転部材2、3の2式の反転部材を配しているが、装置のスペースにより、3式以上配してもよい。これにより、翼9cが下向きになった羽根車9を、より反転しやすくなる。
また、反転部材2、3の間隔は、羽根車9が反転部材2から離れた後に、反転部材3に接触するような間隔にすることが好ましい。これにより、翼9cが下向きになった羽根車9を、より反転しやすくなる。
【0029】
また、反転部材2、3は、吊下げ長さを羽根車9に対して十分に長くすることが好ましい。これにより、羽根車9を下端部2a、3aに接触させつつ移送したとき、下端部2a、3aの変形や振れ角が小さくなり、下端部2a、3aの復元力の方向を、羽根車9の移送方向と対向する向きにできる。そして、羽根車9に転倒モーメントを与えやすくなり、翼9cが下向きになった羽根車9を、反転しやすくなる。
また、反転部材2、3は、吊下げ長さを羽根車9に対して十分に長くすることにより、羽根車9から離れた後、下端部2a、3aの振動をより早く減衰させることができる。これにより、羽根車9を、短い間隔にして連続して姿勢を揃えることができる。
【0030】
なお、反転部材2、3の吊下げ長さ(L)は、コンベア面1a上における羽根車9の高さと反転部材2、3の吊下げ高さの差、すなわち、反転部材2、3が羽根車9に接触する接触しろ長さ(x)を基に設定することが好ましく、Lをxの10倍以上にすることが好ましい。これにより、上記作用をより効果的に得ることができる。
【0031】
次に、本実施形態の装置が、羽根車9の姿勢を揃える動作について説明する。
図3に示すように、本実施形態の装置において、羽根車9をコンベア面1aの上流側に載置してモータ1bを駆動すると、羽根車9は、コンベア面1aにより移送されて反転部材2に到達する。その際、羽根車9は、
1)翼9cが下向き、且つ、軸9bが移送方向向き。
2)翼9cが下向き、且つ、軸9bが移送方向以外の向き。
3)翼9cが下向き、且つ、軸9bがコンベア面1aに対して直立。
4)翼9cが上向き。
の4種の姿勢にて、反転部材2に到達する可能性がある。
以下の説明では、本実施形態の装置が羽根車9の姿勢を揃える動作について、上記の場合に分けて説明する。
【0032】
(翼9cが下向き、且つ、軸9bが移送方向向きになって到達した場合)
図5(a)に示すように、翼9cが下向き、且つ、軸9bを移送方向向きになって、羽根車9が、反転部材2に到達すると、図5(b)に示すように、反転部材2は、弓なりに変形し、羽根車9を下端部2aに接触させつつ移送する。そして、反転部材2は、その自重により変形状態から回復しようとする復元力Fを発生する。
【0033】
ここで、コンベヤ面1aとハブ9aとの接点Oを中心とするモーメントの釣り合いを考えると、羽根車9には、復元力Fにより、羽根車9を時計回りに回転させようとするモーメント、すなわち、転倒モーメントが与えられる。そして、羽根車9には、羽根車9の重心Gにはたらく自重mgにより、羽根車9を反時計回りに回転させようとするモーメント、すなわち、安定モーメントが与えられる。
【0034】
ここで、図1に示した形状により、羽根車9は、翼9cが下向きになった状態が、不安定な姿勢となる。そのため、下端部2aから羽根車9に安定モーメントを超える転倒モーメントが与えられると、羽根車9は、点Oを中心に時計回りに回転し、さらに重心Gが点Oの真上を超えると、細い矢印の方向に反転する。そして、図5(c)に示すように、羽根車9は、弓なりに変形した反転部材2の下から、翼9cが上向きになって排出され、滞留すること無しにコンベア面1aにより移送される。
【0035】
そして、羽根車9は、翼9cが上向きになって、コンベア面1aにより反転部材3に到達し、後述する翼9cが上向きになって到達した場合で説明するように、反転部材3において、翼9cが上向きになったまま滞留すること無く移送され、コンベア面1aの下流端に到達する。
【0036】
(翼9cが下向き、且つ、軸9bが移送方向以外の向きになって到達した場合)
図6(a)に示すように、翼9cが下向き、且つ、軸9bを移送方向以外の向きにして、羽根車9が、反転部材2に到達すると、図6(b)に示すように、反転部材2は、弓なりに変形し、羽根車9を下端部2aに接触させつつ移送する。そして、反転部材2は、その自重により変形状態から回復しようとする復元力Fを発生する。
【0037】
この場合にも、羽根車9には、復元力Fによる転倒モーメントと、自重mgによる安定モーメントとが、相対する回転方向にして与えられる。ここで、図1に示した形状により、羽根車9は、翼9cが下向きになった状態が、不安定な姿勢となる。そのため、下端部2aから羽根車9に安定モーメントを超える転倒モーメントが与えられると、羽根車9は、コンベヤ面1aと軸9bとの接点Oを中心に回転する。その際、羽根車9は、翼9cが上向きになるまで回転する場合もあるが、反転部材2とディスク状ハブ9aとの位置関係から、多くの場合そこまでは回転せず、図6(c)に示すように、弓なりに変形した反転部材2の下から、翼9cが下向き、且つ、軸9bが移送方向向きになって排出され、滞留すること無しにコンベア面1aにより移送される。
【0038】
そして、羽根車9は、翼9cが下向き、且つ、軸9bが移送方向向きになって、コンベア面1aにより反転部材3に到達し、反転部材3において、図5に示したように、翼9cが上向きになるよう反転され、コンベア面1aの下流端に到達する。
【0039】
(翼9cが下向き、且つ、軸9bがコンベア面1aに対して直立して到達した場合)
図7(a)に示すように、翼9cが下向き、且つ、軸9bがコンベア面1aに対して直立して、羽根車9が、反転部材2に到達すると、図7(b)に示すように、反転部材2は、弓なりに変形し、羽根車9を下端部2aに接触させつつ移送する。そして、反転部材2は、その自重により変形状態から回復しようとする復元力Fを発生する。
【0040】
この場合にも、羽根車9には、復元力Fによる転倒モーメントと、自重mgによる安定モーメントとが、相対する回転方向にして与えられる。ここで、図1に示した形状により、羽根車9は、翼9cが下向きになった状態が、不安定な姿勢となる。そのため、下端部2aから羽根車9に安定モーメントを超える転倒モーメントが与えられると、羽根車9は、点Oを中心に時計回りに回転する。その際、羽根車9は、翼9cが上向きになるまで回転する場合もあるが、多くの場合そこまでは回転せず、図7(c)に示すように、弓なりに変形した反転部材2の下から、翼9cが下向き、且つ、軸9bが移送方向向きになって排出され、滞留すること無しにコンベア面1aにより移送される。
【0041】
そして、羽根車9は、翼が下向き、且つ、軸9bが移送方向向きになって、コンベア面1aにより反転部材3に到達し、反転部材3において、図5に示したように、翼9cが上向きになるよう反転され、コンベア面1aの下流端に到達する。
【0042】
(翼9cが上向きになって到達した場合)
図8(a)に示すように、羽根車9が、翼9cが上向きになって反転部材2に到達すると、図8(b)に示すように、反転部材2は、弓なりに変形し、下端部2aを下端部2に接触させつつ移送する。そして、反転部材2は、その自重により変形状態から回復しようとする復元力Fを発生する。
【0043】
この場合にも、羽根車9には、復元力Fによる転倒モーメントと、自重mgによる安定モーメントとが、相対する回転方向にして与えられる。ここで、図1に示した形状により、羽根車9は、翼9cが上向きになった状態が、安定な姿勢となる。そのため、先に説明した反転部材2にしても、安定モーメントを転倒モーメントより大きくすることができ、この場合、図8(c)に示すように、羽根車9は、弓なりに変形した反転部材2の下から、翼9cが上向きのまま排出され、滞留すること無しにコンベア面1aにより移送される。
【0044】
そして、羽根車9は、翼9cが上向きになって、コンベア面1aにより、反転部材3に到達し、反転部材2に到達した際と同様にして、翼9cが向きになったまま滞留すること無く移送され、コンベア面1aにより下流端に到達する。
【0045】
以上のように、本実施形態の装置は、羽根車9に転倒モーメントを与える反転部材2、3を具備することにより、コンベア面1aに載置した羽根車9を、翼9cが上向きに揃えて、コンベア面1aの下流端まで移送できる。そして、反転部材2、3の下端部2a、3aを、羽根車9に接触させつつ移送することにより、羽根車9は滞留すること無しに円滑に移送される。
【0046】
以上、本発明の装置を、実施形態を基に説明してきたが、本発明の装置は、実施形態の装置に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載された技術範囲において、その構成を自由に変更できる。
【0047】
例えば、本実施形態の装置について、コンベア面1aを、登り勾配の面にして、羽根車9を登坂させることもできる。このようにすることで、翼9cが下向きになった羽根車9について、軸9bを移送方向に向けて揃えることができ、反転部材2により、翼9cが下向きの羽根車9を効率よく反転して、羽根車9の姿勢を揃えることができる。
【符号の説明】
【0048】
1:コンベア
1a:コンベア面
1b:モータ
2、3:反転部材
2a、3a:下端部
2b、3b:反転部材面
4、5:固定部材
8:蝶番(可動支点)
9:羽根車
9a:ハブ
9b:軸
9c:翼

S:平面
O:回転中心
G:重心
mg:重力

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8