(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部で大気圧を維持するように構成された蒸発器制御ハウジングであって、支持体によって支持され、スイッチ、バルブ、コントローラ、冷却ユニット、冷却制御ユニット、加熱制御ユニット、電源、及び測定デバイスから成る群から選択された少なくとも1つの要素を収納するように構成されるハウジング
を更に備える、請求項1から15の何れか一項に記載の蒸発源アレイ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0012]これより本発明の種々の実施形態が詳細に参照されるが、その一又は複数の例が図示されている。図面に関する以下の説明の中で、同一の参照番号は、同一の構成要素を指す。概して、個々の実施形態に関する違いのみが説明される。各例は、本発明の説明として提供されているが、本発明を限定することを意図するものではない。更に、1つの実施形態の一部として図示又は説明される特徴を、他の実施形態で使用し、又は他の実施形態と併用して、更なる実施形態を得ることが可能である。本明細書には、こうした修正及び改変が含まれることが意図されている。
【0014】
[0013]
図1は、真空チャンバ110の中のある位置における蒸発源100を示す。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、蒸発源は、並進運動及び軸周囲での回転のために構成される。蒸発源100は、一又は複数の蒸発るつぼ104と、一又は複数の分配管106とを有している。2つの蒸発るつぼと2つの分配管が、
図1に示される。分配管106は、支持体102によって支持される。更に、いくつかの実施形態によれば、蒸発るつぼ104はまた、支持体102によっても支持することができる。2つの基板121が、真空チャンバ110の中に提供される。典型的には、基板上への層堆積のマスキング用マスク132は、基板と蒸発源100との間に提供することができる。有機材料は、分配管106から蒸発する。
【0015】
[0014]本明細書に記載の実施形態によれば、基板は、本質的に垂直位置において有機材料でコーティングされる。即ち、
図1に示された図は、蒸発源100を含む装置の上面図である。典型的には、分配管は、蒸気分配シャワーヘッド、特に線形蒸気分配シャワーヘッドである。これにより、分配管は、本質的に垂直に延びる線源を提供する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載の実施形態によれば、本質的に垂直とは、特に基板配向に言及する際に、20度以下、例えば、10度以下、の垂直方向からの偏差を許容すると理解されたい。この偏差は、例えば、垂直配向からのいくらかの偏差を有する基板支持体がより安定した基板位置をもたらし得るので、提供できる。しかし、有機材料の堆積中の基板配向は、本質的に垂直と考えられ、水平な基板配向とは異なると考えられる。これにより、基板の表面は、1つの基板寸法及び他の基板寸法に対応する他の方向に沿った並進運動に対応する1つの方向に延びる線源によってコーティングされる。
【0016】
[0015]
図1は、真空チャンバ110の中に有機材料を堆積させるための堆積装置200の実施形態を示す。蒸発源100は、例えば、ループ状軌道(
図9Aに示される)などの、軌道又は線形ガイド220上で真空チャンバ110の中に提供される。線形ガイド220の軌道は、蒸発源100の並進運動のために構成される。これにより、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる異なる実施形態によれば、並進運動のためのドライバを、蒸発源100の中に、軌道又は線形ガイド220に、真空チャンバ110内に、又はそれらの組み合わせにおいて、提供することができる。
図1Aは、例えば、ゲートバルブなどの、バルブ205を示す。バルブ205は、隣接する真空チャンバ(
図1に示されず)に対する真空密閉を可能にする。バルブは、基板121又はマスク132の真空チャンバ110内への又は真空チャンバ110からの搬送のために開放することができる。
【0017】
[0016]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、保守真空チャンバ210などの更なる真空チャンバが、真空チャンバ110に隣接して提供される。これにより、真空チャンバ110及び保守真空チャンバ210は、バルブ207で連結される。バルブ207は、真空チャンバ110と保守真空チャンバ210との間の真空密閉を開閉するために構成される。蒸発源100は、バルブ207が開放状態にある間、保守真空チャンバ210に移送することができる。その後、バルブは、真空チャンバ110と保守真空チャンバ210との間に真空密閉を提供するために閉鎖することができる。バルブが閉鎖される場合、保守真空チャンバ210は、真空チャンバ110の中の真空を破壊せずに、蒸発源100保守のために換気及び開放することができる。
【0018】
[0017]2つの基板121は、真空チャンバ110内のそれぞれの搬送軌道上で支持される。更に、マスクをその上に提供するための2つの軌道が提供される。これにより、基板121のコーティングは、それぞれのマスク132によってマスクすることができる。典型的な実施形態によれば、マスク132、即ち、第1の基板121に対応する第1のマスク132、及び第2の基板121に対応する第2のマスク132は、マスクフレーム131の中に提供され、所定の位置でマスク132を保持する。
【0019】
[0018]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、基板121は、位置合わせユニット112に連結された基板支持体126によって支持することができる。位置合わせユニット112は、マスク132に対する基板121の位置を調整することができる。
図1は、基板支持体126が位置合わせユニット112に連結されている実施形態を示す。したがって、基板は、有機材料の堆積中に、基板とマスクとの間で正確な位置合わせを行うために、マスク132に対して移動される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、代替的に又は追加的に、マスク132及び/又はマスク132を保持するマスクフレーム131を位置合わせユニット112に連結することができる。これにより、マスクを基板121に対して位置付けることができるか、マスク132及び基板121の双方を互いに対して位置付けることができるかのどちらかである。位置合わせユニット112は、基板121とマスク132との間で互いに対して位置を調整するように構成され、堆積処理中にマスキングの正しい位置合わせを可能にするが、これは、高品質のディスプレイ製造又はLEDディスプレイ製造に有益である。
【0020】
[0019]マスク及び基板の互いに対する位置合わせの例は、基板の平面及びマスクの平面に実質的に平行である平面を画定する少なくとも2つの方向における相対的な位置合わせを可能にする位置合わせユニットを含む。例えば、位置合わせは、少なくとも、x−方向及びy−方向で、即ち、上記平行な平面を画定する2つのデカルト方向に行うことができる。典型的には、マスク及び基板は、本質的に互いに平行とすることができる。特に、位置合わせは、更に、基板の平面及びマスクの平面に本質的に鉛直な方向に行うことができる。したがって、位置合わせユニットは、少なくともX−Yの位置合わせ、特にマスク及び基板の互いに対するX−Y−Zの位置合わせのために構成される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの特定の例は、基板をマスクに対してx−方向、y−方向及びz−方向に位置合わせすることであって、マスクは、真空チャンバ110の中で静止して保持することができる。
【0021】
[0020]
図1に示されるように、線形ガイド220は、蒸発源100の並進運動の方向を提供する。蒸発源100の両側に、マスク132が提供される。これにより、マスク132は、並進運動の方向に本質的に平行に延びることができる。更に、蒸発源100の対向する側面における基板121はまた、並進運動の方向に本質的に平行に延びることができる。典型的な実施形態によれば、基板121は、バルブ205を介して、真空チャンバ110内へ及び真空チャンバ110から移動させることができる。これにより、堆積装置200は、基板121各々の搬送用のそれぞれの搬送軌道を含むことができる。例えば、搬送軌道は、
図1に示される基板位置に平行に、真空チャンバ110内へかつ真空チャンバ110から延びることができる。
【0022】
[0021]典型的には、更なる軌道が、マスクフレーム131及びそれによりマスク132を支持するように提供される。したがって、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態は、真空チャンバ110内に4つの軌道を含むことができる。マスク132の洗浄のためなど、チャンバからマスクの1つを移動させるために、マスクフレーム131、及びこれによりマスクは、基板121の搬送軌道上に移動させることができる。次に、それぞれのマスクフレームは、基板の搬送軌道上で真空チャンバ110を出入りすることができる。真空チャンバ110内への及び真空チャンバ110からの別個の搬送軌道をマスクフレーム131に提供することが可能であっても、堆積装置200の所有コストは、ただ2つの軌道、即ち、基板の搬送軌道が、真空チャンバ110内に及び真空チャンバ110から延びる場合に、削減することができ、加えて、マスクフレーム131は、適切なアクチュエータ又はロボットによって基板の搬送軌道のそれぞれ1つの上に移動させることができる。
【0023】
[0022]
図1は、蒸発源100の例示的実施形態を示す。蒸発源100は、支持体102を含む。支持体102は、線形ガイド220に沿った並進運動のために構成される。支持体102は、2つの蒸発るつぼ104、及び蒸発るつぼ104の上に提供された2つの分配管106を支持する。これにより、蒸発るつぼで生成された蒸気は、上に向かって、分配管の一又は複数の排出口から移動することができる。本明細書に記載の実施形態によれば、分配管106はまた、例えば、線形蒸気分配シャワーヘッドなどの、蒸気分配シャワーヘッドと見なすこともできる。
【0024】
[0023]本明細書に記載の実施形態によれば、蒸発源は、一又は複数の蒸発るつぼと、一又は複数の分配管とを含み、一又は複数の分配管のそれぞれ1つが、一又は複数の蒸発るつぼのそれぞれ1つと流体連通することができる。OLEDデバイス製造への様々な適用は、処理ステップを含み、二以上の二又はそれを上回る有機材料が同時に蒸発する。したがって、
図1に示された例について、2つの分配管及び対応する蒸発るつぼを、互いに隣接して提供することができる。したがって、蒸発源100はまた、蒸発源アレイと呼ばれることがあり、例えば、2種類以上の有機材料が同時に蒸発させられる。本明細書に記載されるように、蒸発源アレイそれ自体を、二又はそれを上回る有機材料用の蒸発源と呼ぶこともできる。
【0025】
[0024]分配管の一又は複数の排出口は、例えば、シャワーヘッド又は別の蒸気分配システムの中に提供することができるなどの、一又は複数の開口若しくは一又は複数のノズルとすることができる。蒸発源は、例えば、複数のノズル又は開口を有する線形蒸気分配シャワーヘッドなどの、蒸気分配シャワーヘッドを含むことができる。シャワーヘッドは、シャワーヘッドの中の圧力がシャワーヘッドの外側の圧力よりも、例えば、少なくとも1桁ほど、高くなるような開口を有する筐体を含むと、本明細書では理解することができる。
【0026】
[0025]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載の実施形態によれば、分配管の回転は、少なくとも分配管が装着される蒸発器制御ハウジングの回転により提供することができる。追加的に又は代替的には、分配管の回転は、ループ状軌道(例えば、
図9Aを参照)の湾曲部分に沿って蒸発源を移動させることによって提供することができる。典型的には、また蒸発るつぼは、蒸発器制御ハウジングに装着される。したがって、蒸発源は、分配管と蒸発るつぼとを含み、その双方が、即ち一緒に、回転可能に装着されうる。
【0027】
[0026]本明細書に記載の実施形態によれば、有機材料用の蒸発源又は蒸発源アレイはそれぞれ、互いに独立して又は組み合わせて提供されうる、少なくとも2つの要求に関して改善することができる。第1に、一又は複数の有機材料を蒸発させる蒸発源は、基板に二又はそれを上回る有機材料を堆積させるときに、有機材料が十分に混合されないことを経験しうる。したがって、例えば、基板に1つの有機層を提供するために、2つの異なる有機材料が堆積される用途のために有機材料の混合を改善することが望ましい。対応する用途は、例えば、ドープされた層の堆積とすることができ、ホスト及び一又は複数のドーパントが提供される。第2に、
図1に関して例示的に記載されたように、多くの用途で、有機材料の堆積中に基板のマスキングが必要とされる。マスキングステップが典型的には高い精度を必要とする事実を考慮すると、マスクの熱膨張は、低減される必要がある。本明細書に記載の実施形態は、マスクの改善された温度安定性、及び/又は蒸発源によって生成されうるマスクの位置での熱負荷の低減を可能にする。
【0028】
[0027]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、蒸発源は、分配管(例えば、蒸発管)を含む。分配管は、実施されるノズルアレイなどの複数の開口を有しうる。更に、蒸発源は、蒸発材料を含有する、るつぼを含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、分配管又は蒸発管は、三角形に設計することができ、ゆえに開口又はノズルアレイを互いにできるだけ接近させることが可能である。これにより、例えば、2つ、3つ又は更に多い異なる有機材料の同時蒸発の場合など、異なる有機材料の改良された混合を実現することが可能になる。
【0029】
[0028]追加的に又は代替的に実施することができる更なる実施形態によれば、本明細書に記載の蒸発源は、マスクの位置での温度変化を可能にし、例えば、5ケルビン未満、又は1ケルビン未満にさえなり得る。蒸発源からマスクまでの熱伝達の低下は、改良された冷却によって提供することができる。追加的に又は代替的には、蒸発源の三角形状を考慮すると、マスクに向かって放射状に広がる面積は、低減される。加えて、例えば、10までの金属板など、大量の金属板が、蒸発源からマスクまでの熱伝達を低下させるために提供することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、熱シールド又は金属板には、排出口又はノズルに対してオリフィスを提供することができ、蒸発源の少なくとも前側、即ち、基板に面する側面に取り付けられ得る。
【0030】
[0029]
図2Aから
図2Cは、本明細書に記載の実施形態による蒸発源の部分を示す。蒸発源は、
図2Aに示すように、分配管106と蒸発るつぼ104とを含むことができる。これにより、例えば、分配管は、加熱ユニット715を有する細長い立方体とすることができる。蒸発るつぼは、加熱ユニット725で蒸発する有機材料用のリザーバとすることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、典型的な実施形態によれば、分配管106は、線源を提供する。例えば、ノズルなどの複数の開口及び/又は排出口が、少なくとも1つの線に沿って配置される。代替的実施形態によれば、少なくとも1つの線に沿って延びる1つの細長い開口を提供することができる。例えば、細長い開口は、スリットとすることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、線は基本的に垂直に延びる。例えば、分配管106の長さは、少なくとも堆積装置の中に堆積される基板の高さに対応する。多くの場合に、分配管106の長さは、堆積される基板の高さよりも、少なくとも10%ほど又は20%ほどさえも長いことがあろう。これにより、基板の上端及び/又は基板の下端における均一な堆積を提供することができる。
【0031】
[0030]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、分配管の長さは、1.3m又はそれを上回る、例えば、2.5m又はそれを上回るとすることができる。1つの構成によれば、
図2Aに示されるように、蒸発るつぼ104は、分配管106の下端に提供される。有機材料は、蒸発るつぼ104の中で蒸発する。有機材料の蒸気が、分配管の底で分配管106に入り、本質的に横に分配管の中の複数の開口を通って、例えば、本質的に垂直な基板の方へ案内される。
【0032】
[0031]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、排出口(例えば、ノズル)は、主要な蒸発方向が水平に±20度となるように配置される。いくつかの特定の実施形態によれば、蒸発方向は、僅かに上方に、例えば、3度から7度上方になど、水平から15度までの範囲で上方に配向することができる。同様に、基板は、蒸発方向に実質的に直角となるように僅かに傾斜させることができる。これによって、望ましくない粒子の発生を低減することができる。例示的目的で、蒸発るつぼ104及び分配管106が、熱シールドを含まない状態で
図2Aに示される。これによって、加熱ユニット715及び加熱ユニット725が、
図2Aに示される概略斜視図の中に見られる。
【0033】
[0032]
図2Bは、分配管106が蒸発るつぼ104に連結されている状態の蒸発源の一部の拡大概略図を示す。蒸発るつぼ104と分配管106との間を連結するように構成されているフランジユニット703が提供される。例えば、蒸発るつぼ及び分配管が、例えば、蒸発源の動作のために、フランジユニットで分離及び連結又は組み立てできる別個のユニットとして提供される。
【0034】
[0033]分配管106は、内部空洞710を有している。加熱ユニット715は、分配管を加熱するために提供される。したがって、分配管106は、蒸発るつぼ104によって提供される有機材料の蒸気が、分配管106の壁の内側部分で液化しない温度まで加熱することができる。二又はそれを上回る熱シールド717が、分配管106の管周囲に提供される。熱シールドは、加熱ユニット715により提供される熱エネルギーを空洞710の方に反射し返すように構成される。これにより、分配管を加熱するのに必要なエネルギー、即ち、加熱ユニット715に提供されるエネルギーは、熱シールド717が熱損失を低下させるので、低下させることができる。更に、他の分配管及び/又はマスク若しくは基板への熱伝達を低下させることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、熱シールド717は、例えば、10の熱シールド層など、5又はそれを上回る熱シールド層のような2又はそれを上回る熱シールド層を含むことができる。
【0035】
[0034]典型的には、
図2Bに示されるように、熱シールド717は、分配管106の中の開口又は排出口712の位置に開口を含む。
図2Bに示される蒸発源の拡大図は、4つの開口又は排出口712を示す。開口又は排出口712は、分配管106の軸に本質的に平行な一又は複数の線に沿って提供することができる。本明細書に記載されるように、分配管106は、例えば、内部に配置された複数の開口を有する、線形分配シャワーヘッドとして提供することができる。これにより、本明細書中で理解されるシャワーヘッドは、例えば、蒸発るつぼから、材料を提供又は案内することができる、筐体、空洞、又は管を有している。シャワーヘッドは、シャワーヘッド内の圧力がシャワーヘッドの外側の圧力より高くなるような複数の開口(又は細長いスリット)を有することができる。例えば、シャワーヘッド内の圧力は、シャワーヘッドの外側の圧力よりも少なくとも1桁高いとすることができる。
【0036】
[0035]動作中に、分配管106が、フランジユニット703で蒸発るつぼ104と連結される。蒸発るつぼ104は、蒸発させる対象となる有機材料を受容し、有機材料を蒸発させるように構成される。
図2Bは、蒸発るつぼ104のハウジングを通る断面図を示す。リフィル開口は、例えば、プラグ722、蓋、カバー又は蒸発るつぼ104の筐体を閉じるための同種のものを使用して閉鎖することができる、蒸発るつぼの上部に提供される。
【0037】
[0036]外側加熱ユニット725は、蒸発るつぼ104の筐体内に提供される。外側加熱要素は、少なくとも蒸発るつぼ104の壁の一部に沿って延びることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、一又は複数の中央加熱要素726を追加的に又は代替的に提供することができる。
図2Bは、2つの中央加熱要素726を示す。中央加熱要素726は、中央加熱要素に電力を供給するための導体729を含むことができる。いくつかの実施態様によれば、蒸発るつぼ104は、シールド727を更に含むことができる。シールド727は、外側加熱ユニット725、及び存在する場合には、中央加熱要素726によって提供される熱エネルギーを蒸発るつぼ104の筐体内に反射し返すように構成することができる。これにより、蒸発るつぼ104内部の有機材料の効率的加熱を提供することができる。
【0038】
[0037]本明細書に記載された、いくつかの実施形態によれば、シールド717及びシールド727などの熱シールドを蒸発源に提供することができる。熱シールドは、蒸発源からのエネルギー損失を低減することができる。これにより、エネルギー消費を低減することができる。しかしながら、更なる態様として、特に有機材料の堆積について、蒸発源に基づく熱放射、特に堆積中にマスク及び基板に向かった熱放射を低減することができる。特にマスクされた基板上での有機材料の堆積について、更にはディスプレイ製造について、基板及びマスクの温度は、正確に制御される必要がある。ゆえに、蒸発源に基づく熱放射を低減又は回避することができる。したがって、本明細書に記載された、いくつかの実施形態は、シールド717及びシールド727などの熱シールドを含む。
【0039】
[0038]これらのシールドは、蒸発源の外側への熱放射を低減するためのいくつかのシールド層を含むことができる。更なる選択肢として、熱シールドは、空気、窒素、水又は他の適切な冷却流体などの流体によって能動冷却されるシールド層を含みうる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、蒸発源に提供される一又は複数の熱シールドは、分配管106及び/又は蒸発るつぼ104などの蒸発源のそれぞれの部分を囲む金属板を含むことができる。例えば、金属板は、0.1mmから3mmの厚さを有することができ、鉄合金(SS)及び非鉄合金(Cu、Ti、Al)から成る群から選択された少なくとも1つの材料から選択することができ、及び/又は、例えば0.1mm又はそれを上回る間隙によって、互いに間隔を空けることができる。
【0040】
[0039]いくつかの実施形態によれば、
図2A及び
図2Bに例示的に示されるように、蒸発るつぼ104は、分配管106の下端に提供される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、蒸気導管732は、分配管106の中央部分又は分配管の下端と分配管の上端との間の別の位置で分配管に提供することができる。
図2Cは、分配管106及び分配管の中央部分に提供される蒸発導管732を有する蒸発源の例を示す。有機材料の蒸気は、蒸発るつぼ104の中で生成され、蒸気導管732を通って分配管106の中央部分に案内される。蒸気は、複数の開口又は排出口712を通って分配管106を出る。分配管106は、本明細書に記載された他の実施形態に関して説明されたように、支持体102によって支持される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、2つ又はそれを上回る蒸気導管732が、分配管106の長さに沿って異なる位置に提供できる。これにより、蒸気導管732は、1つの蒸発るつぼ104かいくつかの蒸発るつぼ104かのどちらかに連結することができる。例えば、各蒸気導管732は、対応する蒸発るつぼ104を有することができる。代替的には、蒸発るつぼ104は、分配管106に連結されている二又はそれを上回る蒸気導管732と流体連通させることができる。
【0041】
[0040]本明細書に記載されるように、分配管は、中空円筒とすることができる。これにより、円筒という用語は、円形の底部形状と、円形の上部形状と、上部の円及び小さな下部の円とを連結する湾曲した表面積又は外郭とを有するものとして一般に認められると理解することができる。これにより、本明細書に記載の実施形態は、熱シールド及び冷却シールド装置によってマスクに低減された熱伝達を提供する。例えば、蒸発源からマスクまでの熱伝達は、熱シールド及び冷却シールド装置を貫通するノズルを有することによって、低減することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる追加的又は代替的実施形態によれば、円筒という用語は、数学的意味において、任意の底部形状と、一致する上部形状と、上部形状と下部形状とを連結する湾曲した表面積又は外郭とを有すると更に理解することができる。したがって、円筒は、必ずしも円形断面を有している必要はない。その代わりに、ベース面及び上部面は、円と異なる形状を有することができる。特に、断面は、
図3Aから
図4及び図
6から
図8Bを参照してより詳しく記載される形状を有することができる。
【0042】
[0041]
図3Aは、分配管106の断面を示す。分配管106は、内部空洞710を取り囲む壁322、326、及び324を有している。壁322は、排出口712が提供される蒸発るつぼの外側に提供される。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、排出口712は、ノズル312によって提供することができる。分配管の断面は、本質的に三角形ということができる、即ち、分配管の主要部分が三角形の部分に対応し、分配管の断面は、丸みを帯びた角及び/又は切断された角を有する三角形でありうる。
図3Aに示されるように、例えば、排出口側の三角形の角は、切断される。
【0043】
[0042]分配管の排出口側の幅、例えば、
図3Aに示された断面の壁322の寸法は、矢印352によって示される。更に、分配管106の断面の他の寸法は、矢印354及び矢印355によって示される。本明細書に記載の実施形態によれば、分配管の排出口側の幅は、断面の最大寸法の30%又はそれを下回り、例えば、矢印354及び355によって示された寸法のより大きな寸法の30%である。これを考慮すると、隣接する分配管106の排出口712は、距離をより小さくして提供することができる。距離が小さければ、互いに隣り合って蒸発する有機材料の混合が改善される。このことは、
図3C、図
7A、図
7B、
図8A及び図
8Bを参照すると、より良く理解することができる。更に、追加的に又は代替的には、有機材料の混合が改善されることとは別に、本質的に平行に、堆積エリア又は基板にそれぞれ面した壁の幅を低減することができる。したがって、例えば、壁322などの、本質的に平行に、堆積エリア又は基板にそれぞれ面した壁の表面積は、低減できる。これにより、堆積エリアの中で又は堆積エリア以前にわずかに支持されるマスク又は基板に提供される熱負荷が低減される。
【0044】
[0043]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、分配管の長さと分配管の水力直径によって除算された分配管のすべての排出口の面積との積、即ち、公式N*A*L/Dによって計算された値は、7000mm
2又はそれを下回る、例えば、1000mm
2から5000mm
2でありうる。ここで、Nは、分配管の排出口の数であり、Aは、1つの排出口の断面積であり、Lは、分配管の長さであり、Dは、分配管の水力直径である。
【0045】
[0044]
図3Bは、本明細書に記載のいくつかの実施形態による分配管106の更なる詳細を示す。一又は複数の加熱要素380は、内部空洞710を取り囲む壁に提供される。加熱デバイスは、分配管の壁に装着される電気ヒータでありうる。例えば、加熱デバイスは、分配管106に留められた又は別な方法で固定された、例えば、コーティングされた加熱ワイヤなどの、加熱ワイヤによって提供することができる。
【0046】
[0045]二又はそれを上回る熱シールド372が、一又は複数の加熱要素380周囲に提供される。例えば、熱シールド372は、互いに間隔を空けることができる。熱シールドの1つにスポットとして提供することができる突出部373は、熱シールドを互いに対して分離する。したがって、熱シールド372のスタックが提供される。例えば、二又はそれを上回る熱シールド、例えば、5又はそれを上回る熱シールド、又は実に10もの熱シールドを提供することができる。いくつかの実施形態によれば、このスタックは、プロセス中に源の熱膨張を補償するように設計され、したがって、ノズルは決して遮断されない。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、最も外側のシールドは、水冷式とすることができる。
【0047】
[0046]
図3Bに例示的に示されるように、
図3Bに示された断面に示されている排出口712には、ノズル312が提供される。ノズル312は、熱シールド372を通って延びる。これにより、ノズルが、この熱シールドのスタックを通って有機材料を案内するので、熱シールドでの有機材料の凝結を低減することができる。ノズルは、分配管106内部の温度と同じくらいの温度まで加熱することができる。ノズル312の加熱を改善するために、例えば、
図4に示された例に関して、分配管の加熱された壁と接触しているノズル支持体部分412を提供することができる。
【0048】
[0047]
図3Cは、2つの分配管が互いに隣り合って提供される場合の実施形態を示す。したがって、
図3Cに示されるような分配管配列を有する蒸発源は、互いに隣り合って2つの有機材料を蒸発させることができる。したがって、そのような蒸発源はまた、蒸発源アレイとも呼ぶことができる。
図3Cに示されるように、分配管106の断面形状により、隣接する分配管の排出口又はノズルを互いに接近して置くことが可能になる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、第1の分配管の第1の排出口又はノズルと、第2の分配管の第2の排出口又はノズルとは、25mm又はそれ未満の距離、例えば、5mmから25mmまでの距離などを有することができる。更に具体的には、第1の排出口又はノズルの第2の排出口又はノズルまでの距離は、10mm又はそれ未満とすることができる。
【0049】
[0048]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、ノズル312の管を延長することができる。分配管の間の距離が小さいことを考慮すると、そのように管を延長することは、内部での詰まり又は凝結を回避するのに些細なことでありうる。管の延長は、2つの源又は3つの源でさえも互いの上に一直線に、即ち、垂直な延長でありうる分配管の延長に沿って一直線に提供できるように、設計することができる。この特別な設計により、2つ又は3つの源のノズルを小さな管の延長上に一直線に配列することすら可能になり、したがって完璧な混合が実現される。
【0050】
[0049]
図3Cは、本明細書に記載の実施形態による低減された熱負荷を更に示す。堆積エリア31
1が、
図3Cに示される。典型的には、基板は、基板上での有機材料の堆積用の堆積エリアの中に提供することができる。側壁326と堆積エリア31
1との間の角度395が、
図3Cに示される。理解できるように、側壁326は、熱シールド及び冷却要素に関わらず発生しうる熱放射が、堆積エリアに向かって直接放射されないように、比較的大きな角度で傾斜している。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、角度395は、15度又はそれを上回るとすることができる。したがって、矢印392によって示される寸法又は面積は、矢印394によって示される寸法又は面積と比較するとかなり小さい。これによって、矢印392により示される寸法は、分配管106に対して、堆積エリアに面した表面が、本質的に平行であり、又は30度若しくはそれを下回る、又は15度若しくはそれを下回る角度を有するような、分配管106の断面の寸法に対応する。対応するエリア、即ち、直接的な熱負荷を基板に提供するエリアは、分配管の長さと乗算された、
図3Cに示される寸法である。矢印394によって示された寸法は、それぞれの断面で蒸発源全体の堆積エリア31
1上の投射影(projection)である。対応するエリア、即ち、堆積エリアの表面上への投射影のエリアは、分配管の長さと乗算された、
図3Cに示される寸法(矢印394)である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載の実施形態によれば、矢印392によって示されたエリアは、矢印394によって示されたエリアと比較すると30%又はそれを下回る可能性がある。上記を考慮すると、分配管106の形状は、堆積エリアに向かって放出される直接的な熱負荷を低減する。したがって、基板及び基板前方に提供されたマスクの温度安定性を改善することができる。
【0051】
[0050]
図4は、本明細書に記載の実施形態による蒸発源の更なる任意選択的変形例を示す。
図4は、分配管106の断面を示す。分配管106の壁は、内部空洞710を取り囲む。蒸気は、ノズル312を通って空洞を出ることができる。ノズル312の加熱を改善するために、分配管106の加熱された壁と接触しているノズル支持体部分412が提供される。分配管106を取り囲む外側シールド402は、熱負荷を更に低減するための冷却シールドである。更に、冷却シールド404は、更に基板の堆積エリアに向かう熱負荷をそれぞれ低減するように提供される。
【0052】
[0051]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、冷却シールドは、シールドに取り付けられた又はシールド内部に提供された、水などの冷却流体用の導管を有する金属板として提供することができる。加えて、又は代替的には、熱電性冷却手段又は他の冷却手段を冷却シールドを冷却するために提供できる。典型的には、外側シールド、即ち、分配管の内部空洞を取り囲む最も外側のシールドを冷却することができる。
【0053】
[0052]
図4は、いくつかの実施形態により提供することができる更なる態様を示す。シェーパシールド405が、
図4に示される。シェーパシールドは、典型的には、蒸発源の一部から基板又は堆積エリアに向かって延びる。したがって、排出口を通り、分配管(単数又は複数)を出る蒸気の方向を制御することができる、即ち、蒸気放出の角度を低減することができる。いくつかの実施形態によれば、排出口又はノズルを通って蒸発する有機材料の少なくとも一部は、シェーパシールドによって遮断される。これによって、放出角度の幅を制御することができる。いくつかの実施形態によれば、シェーパシールド405は、堆積エリアに向かって放出される熱放射を更に低下させるために、冷却シールド402及び40
4と同じくらいまで冷却することができる。
【0054】
[0053]
図5Aは、蒸発源の一部を示す。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、蒸発源又は蒸発源アレイは、垂直線形源(vertical linear source)である。したがって、3つの排出口712は、垂直排出口アレイの一部である。
図5Aは、例えば
、スクリュー又は同類のものなどの、固定要素573によって分配管に取り付けることができる熱シールド572のスタックを示す。更に、外側シールド404は、その内部に提供された更なる開口を有する冷却シールドである。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、外側シールドの設計は、蒸発源の構成要素の熱膨張を可能にするように構成することができ、この場合、動作温度に達すると、開口が分配管のノズルとの位置合わせを維持し、又は分配管のノズルとの位置合わせに至る。
図5Bは、冷却外側シールド404の側面図を示す。冷却外側シールドは、本質的に、分配管の長さに沿って延びることができる。代替的には、2つ又は3つの冷却外側シールドが、分配管の長さに沿って延びるように、互いに隣り合わせに提供することができる。冷却外側シールドは、例えば、スクリューなどの固定要素502によって、蒸発源に取り付けられ、この場合、固定要素は、本質的に、長さの延長に沿って分配管の中心(+10%又は+20%)に提供される。分配管が熱膨張すると、熱膨張にさらされる外側シールド404の部分の長さが短縮される。外側シールド404の開口531は、固定要素5
02に近接する円形とすることができ、また固定要素まで大きく距離がある楕円形状を有することができる。いくつかの実施形態によれば、蒸発管の縦軸に平行な方向の開口531の長さは、固定要素からの距離が大きくなればなるほど、増加する可能性がある。典型的には、蒸発管の縦軸に直角な方法の開口531の幅は、一定にすることができる。上記を考慮すると、外側シールド404は、特に蒸発管の縦軸に沿って熱膨張すると延びる可能性があり、蒸発管の縦軸に平行に寸法が増加すると、熱膨張を補償する又は少なくとも部分的に補償する可能性がある。したがって、蒸発源は、ノズルを遮断する外側シールド404に開口がなくても、広い温度範囲で操作することができる。
【0055】
[0054]
図5Cは、本明細書に記載の他の実施形態にも同様に提供することができる、本明細書に記載の実施形態の更なる任意選択的特徴を示す。
図5Cは、シールド572が壁322に提供されている場合の、壁322(
図3Aを参照)の側面からの側面図を示す。更に、側壁326が
図5Cに示される。
図5Cから分かるように、シールド572又はシールドのスタックの中のシールドは、蒸発パイプの長さに沿ってセグメント化される。これによって、シールド部分の長さは、200mm又はそれ未満、例えば120mm又はそれ未満、60mmから100mmまでなどとすることができる。したがって、シールド部分、例えば、シールドのスタック、の長さは、その熱膨張を低減するために短縮される。したがって、それを通してノズルを延長することができ、排出口712に対応する、シールドの中の開口の位置合わせは、ほとんど重要ではない。
【0056】
[0055]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、二又はそれを上回る熱シールド372が、分配管106の内側空洞710と加熱部分周囲に提供される。したがって、分配管106の加熱部分から基板、マスク又は堆積装置の別の部分に向かった熱放射を低減することができる。1つの例として、
図5に示されるように、熱シールド572のより多くの層を、開口又は排出口が提供される側面に提供することができる。熱シールドのスタックが提供される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的実施形態によれば、熱シールド372及び/又は572は、約0.1mmから3mmほど互いに間隔が空いている。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、熱シールドのスタックは、
図5Aから
図5Cに関して記載されたように、処理中に源の熱膨張を補償するように設計され、これによりノズルが遮断されることは決してない。加えて、最も外側のシールドは、例えば、水冷式など、冷却することができる。したがって、いくつかの実施形態によれば、特に開口がその側面に提供されている外側シールド404は、例えば、円錐形状の開口がその内部に提供されている、冷却シールドとすることができる。したがって、そのような装置は、たとえノズルが約400度の温度を有していようとも、1℃のΔTの偏差を有する温度安定性を可能にする。
【0057】
[0056]
図6は、蒸発源100の更なる図を示す。蒸発るつぼ104は、有機材料を蒸発させるために提供される。加熱要素(
図6には示されず)は、蒸発るつぼ104を加熱するために提供される。分配管106は、蒸発るつぼと流体連通しており、これにより蒸発るつぼの中で蒸発した有機材料を、分配管106の中に分配することができる。蒸発した有機材料は、開口(
図6に示されず)を通って分配管106を出る。
分配管106は、側壁326、排出口側の壁に対向する壁324、及び上壁325を有している。壁は、壁に装着される又は取り付けられる加熱要素380によって加熱される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、蒸発源及び/又は壁の一又は複数はそれぞれ、石英又はチタンで作ることができる。特に、蒸発源及び/又は壁の一又は複数は、チタンで作ることができる。両セクション、蒸発るつぼ104及び分配管106は、互いから独立して加熱することができる。
【0058】
[0057]堆積エリアに向かう熱放出を更に低減するシールド404は、冷却要素680によって冷却される。例えば、冷却流体をその内部に提供するための導管をシールド404に装着することができる。
図6に示されるように、追加のシェーパシールド405を冷却シールド404に提供することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、シェーパシールドはまた、例えば、水冷式など、冷却することができる。例えば、シェーパシールドは、冷却シールド又は冷却シールド装置に取り付けることができる。有機材料の堆積フィルムの厚さ均一性は、一又は複数の排出口又はノズルのわきに置くことができるノズルアレイ及び追加のシェーパシールド上で調整することができる。源の設計をコンパクトにすることにより、堆積装置の真空チャンバの中で駆動機構により源を移動させることができる。この場合、すべてのコントローラ、電源及び追加的支持体機能が、源に取り付けられる大気ボックスの中で実施される。
【0059】
[0058]
図7A/
図7Bは、分配管106の断面を含む更なる上面図を示す。
図7Aは、蒸発器制御ハウジング702上に提供される3つの分配管
106を有する実施形態を示す。蒸発器制御ハウジングは、内部で大気圧を維持するように構成され、かつスイッチ、バルブ、コントローラ、冷却ユニット、冷却制御ユニット、加熱制御ユニット、電源、及び測定デバイスから成る群から選択された少なくとも1つの要素を収納するように構成される。したがって、蒸発源アレイの蒸発源を操作するための構成要素を、大気圧下で蒸発るつぼ及び分配管に接近して提供することができ、蒸発源と共に堆積装置を通って移動することができる。
【0060】
[0059]
図7Aに示される分配管106は、加熱要素380によって加熱される。冷却シールド402は、分配管106を取り囲むように提供される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、1つの冷却シールドは、二又はそれを上回る分配管106を取り囲むことができる。蒸発るつぼの中で蒸発する有機材料は、分配管106のそれぞれに分配され、排出口712を通って分配管を出ることができる。典型的には、複数の排出口は、分配管106の長さに沿って分散される。
図7Bは、2つの分配管が提供される場合の、
図7Aに類似の実施形態を示す。排出口は、ノズル312によって提供される。各分配管は、蒸発るつぼ(
図7A及び
図7Bに示されず)と流体連通し、この場合、分配管は、非円形であって、一又は複数の排出口が提供される排出口側を含む、分配管の長さに直角な断面を有しており、断面の排出口の幅が、断面の最大寸法の30%又はそれを下回る。
【0061】
[0060]
図8Aは、本明細書に記載の更なる実施形態を示す。3つの分配管106が提供される。蒸発器制御ハウジング702は、分配管に隣接し、かつ熱絶縁体879を介して分配管に連結され提供される。先ほど記載されたように、内部で大気圧を維持するように構成された蒸発器制御ハウジングは、スイッチ、バルブ、コントローラ、冷却ユニット、冷却制御ユニット、加熱制御ユニット、電源、及び測定デバイスから成る群から選択された少なくとも1つの要素を収納するように構成される。冷却シールド402に加え、側壁804を有している冷却シールド404が提供される。冷却シールド404及び側壁804は、堆積エリア、即ち、基板及び/又はマスクに向かう、熱放射を低減するために、U字型の冷却された熱シールドを提供する。矢印811、812、及び813はそれぞれ、分配管106を出る蒸発した有機材料を示す。分配管が本質的に三角形であるため、3つの分配管に基づく蒸発円錐は、互いに接近しており、そのため異なる分配管からの有機材料の混合を改善することができる。
【0062】
[0061]
図8Aに更に示されるように、シェーパシールド405が、例えば、冷却シールド404に取り付けられ、又は冷却シールド404の一部として、提供される。いくつかの実施形態によれば、シェーパシールド405はまた、堆積エリアに向かって放出される熱負荷を更に低減するために冷却することができる。シェーパシールドは、基板に向かって分散された有機材料の分配円錐の範囲を定める、即ち、シェーパシールドは、有機材料の少なくとも一部を遮断するように構成される。
【0063】
[0062]
図8Bは、本明細書に記載の実施形態による、更に別の蒸発源の断面図を示す。3つの分配管が示されており、各分配管は、加熱要素(
図8Bに示されず)によって加熱される。蒸発るつぼ(図示されず)で生成される蒸気は、ノズル312及び512それぞれを通って、分配管を出る。ノズルの排出口712を一緒に近くに位置させるために、外側ノズル512は、中心分配管のノズルチューブに向かって延びる短い管を含む、管延長を含む。これによって、いくつかの実施形態によれば、管延長512は、60度から120度、例えば、90度などの屈曲を有することができる。複数のシールド572は、蒸発源の排出口側壁に提供される。例えば、少なくとも5つ、又は更に少なくとも7つのシールド572が、蒸発管の外側に提供される。シールド402には、一又は複数の管が提供され、冷却要素822が提供される。分配管とシールド402との間に、複数のシールド372が提供される。例えば、少なくとも2つ、又は更に少なくとも5つのシールド372が、蒸発管とシールド402との間に提供される。複数のシールド572及び複数のシールド372は、シールドのスタックとして提供され、例えば、シールドは、0.1mmから3mmほど互いから距離がある。
【0064】
[0063]本明細書に記載されている他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、更なるシールド812を分配管の間に提供することができる。例えば、更なるシールド812は、冷却シールド又は冷却ラグとすることができる。これによって、分配管の温度は、互いに独立して制御することができる。例えば、異なる材料が隣接する分配管を通って蒸発する(ホスト及びドーパントなど)場合に、これらの材料は、異なる温度で蒸発させる必要がありうる。したがって、更なるシールド812、例えば、冷却シールドは、蒸発源又は蒸発源アレイの中の分配管の間のクロストークを低減することができる。
【0065】
[0064]本明細書に記載の実施形態は、有機材料を基板上に堆積させるための蒸発源及び蒸発装置に最も関係しており、その一方で、基板は、本質的に垂直に配向される。本質的に垂直な基板配向により、堆積装置の小さな設置面積、及び特に基板上で有機材料のいくつかの層をコーティングするためのいくつかの堆積装置を含む堆積システムの小さな設置面積が可能になる。これにより、本明細書に記載の装置は、大面積基板処理又は大面積キャリアの中での複数の基板の処理のために構成される。垂直配向は、現在及び未来の基板サイズ生成、即ち、現在及び未来のガラスサイズにとって良好なスケーラビリティを更に可能にする。しかし、改善された断面形状及び熱シールド及び冷却要素の概念を有する蒸発源はまた、水平基板上での材料堆積のために提供することができる。
【0066】
[0065]
図9A及び
図9Bは、堆積装置500の更なる実施形態を示す。
図9Aは、堆積装置500の概略上面図を示す。
図9Bは、堆積装置500の概略側面断面図を示す。堆積装置500は、真空チャンバ110を含む。例えば、ゲートバルブなどのバルブ205は、隣接する真空チャンバへの真空密閉を可能にする。バルブは、基板121又はマスク132の真空チャンバ110内への又は真空チャンバ110からの搬送のために開放することができる。二又はそれを上回る蒸発源100が、真空チャンバ110の中に提供される。
図9Aに示される例は、7つの蒸発源を示す。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、2つの蒸発源、3つの蒸発源、又は4つの蒸発源を、有利には提供することができる。またいくつかの実施形態により提供されうる多数の蒸発源と比較して、限定数の蒸発源(例えば、2つから4つ)の保守のロジスティックスがより容易でありうる。したがって、所有コストは、そのようなシステムに対してより良好でありうる。
【0067】
[0066]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、
図9Aに示されている例に関して、ループ状軌道530を提供することができる。ループ状軌道530は、真っすぐな部分534及び湾曲した部分533を含むことができる。ループ状軌道530は、蒸発源の並進運動及び蒸発源の回転を提供する。上述のように、蒸発源は、典型的には、線源、例えば、線形蒸気分配シャワーヘッドなどとすることができる。
【0068】
[0067]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、ループ状軌道は、ループ状軌道に沿って一又は複数の蒸発源を移動させるために、レール若しくはレール装置、ローラ装置又は磁気ガイドを含む。
【0069】
[0068]ループ状軌道530に基づき、源の列は、典型的にはマスク132によってマスクされる基板121に沿って並進運動で移動することができる。ループ状軌道530の湾曲部分533は、蒸発源100の回転を提供する。更に、湾曲部分533は、第2の基板121の前に蒸発源を位置付けるために提供することができる。ループ状軌道530の更なる真っすぐな部分534は、更なる基板121に沿って更なる並進運動を提供する。これにより、前述のように、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、基板121及びマスク132は、堆積中に本質的に静止したままである。線源、例えば、複数の線源を線の本質的に垂直配向に提供する蒸発源は、静止した基板に沿って移動される。
【0070】
[0069]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、真空チャンバ110の中に示された基板121は、ローラ403及び424を有する基板支持体によって、更に静止した堆積位置では、位置合わせユニット112に連結されている基板支持体126によって、支持することができる。位置合わせユニット112は、マスク132に対する基板121の位置を調整することができる。したがって、基板は、有機材料の堆積中に、基板とマスクとの間で正確な位置合わせを行うために、マスク132に対して移動することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、代替的に又は追加的に、マスク132及び/又はマスク132を保持するマスクフレーム131を位置合わせユニット112に連結することができる。これにより、マスクを基板121に対して位置付けることができるか、マスク132及び基板121の双方を互いに対して位置付けることができるかのどちらかである。
【0071】
[0070]
図9A及び
図9Bに示される実施形態は、真空チャンバ110の中に提供された2つの基板121を示す。しかし、特に真空チャンバの中の蒸発源100の列を含む実施形態については、少なくとも3つの基板又は少なくとも4つの基板を提供することができる。これにより、基板の交換、即ち、真空チャンバへの新たな基板の搬送、及び真空チャンバからの処理基板の搬送、のための十分な時間を、多数の蒸発源と、ゆえにより高いスループットとを有する堆積装置500にさえ提供することができる。
【0072】
[0071]
図9A及び
図9Bは、第1の基板121に対する第1の搬送軌道、及び第2の基板121に対する第2の搬送軌道を示す。第1のローラアセンブリが、真空チャンバ110の1つの側面に示される。第1のローラアセンブリは、ローラ424を含む。更に、搬送システムは、磁気案内要素524を含む。同様に、ローラ及び磁気案内エレメントを有する第2の搬送システムが、真空チャンバの反対側に提供される。キャリア421の上部は、磁気案内要素524によって案内される。同様に、いくつかの実施形態によれば、マスクフレーム131は、ローラ403及び磁気案内要素503によって支持することができる。
【0073】
[0072]
図9Bは、ループ状軌道530のそれぞれ真っすぐな部分534上に提供された2つの支持体102を例示的に示す。蒸発るつぼ104及び分配管106は、それぞれの支持体102によって支持される。これにより、
図5Bは、支持体102によって支持された2つの分配管106を示す。支持体102は、ループ状軌道の真っすぐな部分534上に案内されるものとして示されている。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、アクチュエータ、ドライバ、モータ、ドライバベルト、及び/又はドライバチェーンは、ループ状軌道に沿って、即ち、ループ状軌道の真っすぐな部分534に沿って、かつループ状軌道の湾曲部分533(
図9Aを参照)に沿って、支持体102を移動させるように提供することができる。
【0074】
[0073]本明細書に記載の堆積装置の実施形態によれば、例えば、線形蒸気分配シャワーヘッドなどの線源の並進運動と、例えば、線形蒸気分配シャワーヘッドなどの線源の回転との組み合わせにより、OLEDディスプレイ製造に対する高い蒸発源効率と高い材料利用率が可能になり、この場合、高精度の基板のマスキングが所望される。源の並進運動は、基板及びマスクが静止状態を維持することができるので、高いマスキング精度を可能にする。回転運動は、1つの基板の基板交換を可能にし、その一方で、別の基板が、有機材料でコーティングされる。これにより、アイドル時間、即ち、蒸発源が基板をコーティングせずに有機材料を蒸発させる時間が、著しく短縮されるので、材料利用率が改善される。
【0075】
[0074]本明細書に記載の実施形態は、特に、例えば、OLEDディスプレイ製造用の、大面積基板上での、有機材料の堆積に関する。いくつかの実施形態によれば、大面積基板、又は一又は複数の基板を支持するキャリア、即ち、大面積キャリアが、少なくとも0.174m
2のサイズを有しうる。典型的には、キャリアのサイズを、約1.4m
2から約8m
2、より典型的には、約2m
2から約9m
2、又は更に12m
2までとすることができる。典型的には、基板が支持され、本明細書に記載された実施形態による保持配列、装置及び方法が提供される、長方形のエリアは、本明細書に記載されたような大面積基板用のサイズを有するキャリアである。例えば、単一の大面積基板の面積に対応するであろう大面積キャリアを、約1.4m
2の基板(1.1m×1.3m)に対応するGEN5、約4.29m
2の基板(1.95m×2.2m)に対応するGEN7.5、約5.7m
2の基板(2.2m×2.5m)に対応するGEN8.5、又は約8.7m
2の基板(2.85m×3.05m)に対応するGEN10とすることができる。GEN11およびGEN12などのさらに大型の世代ならびに対応する基板面積も、同様に実装可能である。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、基板の厚さを0.1から1.8mmとすることができ、保持装置、特に保持デバイスは、そのような基板の厚さに適合することができる。しかしながら、特に基板の厚さは、約0.9mm又はそれを下回る、0.5mm又は0,3mmなどとすることができ、保持装置、及び特に保持デバイスは、そのような基板の厚さに適合される。典型的には、基板は、材料を堆積するのに適した任意の材料から作られることができる。例えば、基板は、ガラス(例えばソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスなど)、金属、ポリマー、セラミック、複合材料、炭素繊維材料、ならびに堆積プロセスによってコーティングできる任意の他の材料および材料の組合せからなる群から選択された材料から作られたものとすることができる。
【0076】
[0075]良好な信頼性及び歩留まり率を実現するために、本明細書に記載の実施形態は、有機材料の堆積中にマスク及び基板を静止状態に維持する。大面積基板の均一なコーティングのための可動線形源が提供される。各堆積後に、基板が交換される必要があり、マスク及び基板の互いに対する新たな位置合わせのステップを含む操作と比較して、アイドル時間が短縮される。アイドル時間中に、源は、材料を浪費している。従って、堆積位置でマスクに対して容易に位置合わせされる第2の基板を有することにより、アイドル時間が短縮され、材料利用率が増加する。
【0077】
[0076]本明細書に記載の実施形態は、マスクが、5℃若しくはそれを下回る温度範囲内にある、又は1℃若しくはそれを下回る温度範囲内にすらある、本質的に一定の温度で保持することができるように、堆積エリア、即ち、基板及び/又はマスクに向って低減された熱放射を有する蒸発源(又は蒸発源アレイ)を更に提供する。また更に、隣接した分配管の排出口は、例えば、25mm又はそれを下回る距離などで、接近して提供することができるので、排出口側においては幅が小さい分配管(単数又は複数)の形状が、マスクにおける熱負荷を低減し、異なる有機材料の混合を更に改善する。
【0078】
[0077]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、蒸発源は、少なくとも1つの蒸発るつぼと、少なくとも1つの分配管、例えば、少なくとも1つの線形蒸気分配シャワーヘッドとを含む。しかしながら、蒸発源は、2つ又は3つ、最終的には、4つ又は5つの蒸発るつぼ、及び対応する分配管を含むことができる。これにより、異なる有機材料は、いくつかのるつぼのうちの少なくとも2つの中で蒸発させることができ、したがって、異なる有機材料が、有機層を基板上に形成する。追加的に又は代替的には、類似の有機材料を、いくつかのるつぼのうちの少なくとも2つの中で蒸発させることができ、したがって、堆積速度を増加させることができる。このことは、有機材料をしばしば比較的小さな温度範囲(例えば、20℃又は更にそれを下回る)で蒸発させることができるだけで、したがって、蒸発速度を、るつぼの中の温度を上昇させることによって大きく増加させることができないときに、特にあてはまる。
【0079】
[0078]本明細書に記載の実施形態によれば、蒸発源、堆積装置、蒸発源及び/又は堆積装置を操作する方法、並びに蒸発源及び/又は堆積装置を製造する方法が、垂直堆積のために構成される、即ち、基板は、層堆積中に、本質的に垂直配向(例えば、垂直±10度)で支持される。更に、線源、並進運動及び蒸発方向の回転、特に本質的に垂直である軸、例えば、基板配向及び/又は線源の線延長方向に平行である軸周囲の回転の組み合わせにより、約80%又はそれを上回る高い材料利用率が可能になる。これは、他のシステムと比較して、少なくとも30%の改善である。
【0080】
[0079]処理チャンバ内、即ち、内部での層堆積用の真空チャンバ内での移動可能かつ回転可能な蒸発源により、高い材料利用率での連続的又はほぼ連続的なコーティングが可能になる。一般的に、本明細書に記載の実施形態は、2つの基板を交互にコーティングするために、180度旋回機構での走査源アプローチを使用することによって、高い堆積源効率(85%を上回る)及び高い材料利用率(50%を上回る)を可能にする。これにより、源効率は、コーティングされることになる基板の全面積の均一なコーティングを可能にするために、蒸気ビームが大面積基板のサイズに広がることから発生する材料損失を考慮する。材料利用率は、蒸発源のアイドル時間中に、即ち、蒸発源が蒸発した材料を基板上に堆積させることができない時間中に、発生する損失をさらに考慮する。
【0081】
[0080]更にまた、本明細書に記載され、垂直基板配向に関する実施形態により、堆積装置の小さな設置面積、及び特に基板上で有機材料のいくつかの層をコーティングするためのいくつかの堆積装置を含む堆積システムの小さな設置面積が可能になる。これにより、本明細書に記載の装置は、大面積基板処理又は大面積キャリアの中での複数の基板の処理のために構成される。垂直配向は、現在及び未来の基板サイズ生成、即ち、現在及び未来のガラスサイズにとって良好なスケーラビリティを更に可能にする。
【0082】
[0081]
図10は、デバイス、特に有機材料をその内部に含むデバイスを製造するためのシステム1000を示す。例えば、デバイスは、光電子デバイス及び特にディスプレイなどの、電子デバイス又は半導体デバイスとすることができる。本明細書に記載の蒸発源は、有利には、
図10を参照して記載されたシステムの中で利用することができる。大量生産システムの改良されたキャリアハンドリング及び/又はマスクハンドリングは、システム1000によって提供することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、これらの改良点は、OLEDデバイス製造に有利に利用することができ、ゆえに
図1Aから
図9Bを参照して記載されたように、堆積源、堆積装置、その構成要素、及び堆積装置を含むことができる。本明細書に記載される実施形態は、特に、例えば、ディスプレイ製造用の、大面積基板上での、材料の堆積に関する。いくつかの実施形態によれば、大面積基板、又は一又は複数の基板を支持するキャリア、即ち、大面積キャリアが、少なくとも0.174m
2のサイズを有しうる。典型的には、キャリアのサイズを、約1.4m
2から約8m
2、より典型的には、約2m
2から約9m
2、又は更に12m
2までとすることができる。典型的には、基板が支持され、本明細書に記載された実施形態による保持配列、装置及び方法が提供される、長方形のエリアは、本明細書に記載されたような大面積基板用のサイズを有するキャリアである。例えば、単一の大面積基板の面積に対応するであろう大面積キャリアを、約1.4m
2の基板(1.1m×1.3m)に対応するGEN5、約4.29m
2の基板(1.95m×2.2m)に対応するGEN7.5、約5.7m
2の基板(2.2m×2.5m)に対応するGEN8.5、又は約8.7m
2の基板(2.85m×3.05m)に対応するGEN10とすることができる。GEN11およびGEN12などのさらに大型の世代ならびに対応する基板面積も、同様に実装可能である。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、基板の厚さを0.1から1.8mmとすることができ、保持装置、特に保持デバイスは、そのような基板の厚さに適合することができる。しかしながら、特に基板の厚さは、約0.9mm又はそれを下回る、0.5mm又は0,3mmなどとすることができ、保持装置、及び特に保持デバイスは、そのような基板の厚さに適合される。典型的には、基板は、材料を堆積するのに適した任意の材料から作られることができる。例えば、基板は、ガラス(例えばソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスなど)、金属、ポリマー、セラミック、複合材料、炭素繊維材料、ならびに堆積プロセスによってコーティングできる任意の他の材料および材料の組合せからなる群から選択された材料から作られたものとすることができる。
【0083】
[0082]コータ又は堆積システムの概念、例えば、いくつかの実施形態によるOLED大量生産の概念は、垂直クラスタアプローチを提供し、ゆえに例えば、すべてのチャンバへの「ランダムな」アクセスが提供されうる。したがって、そのような概念は、必要とされる所望数のモジュールを加える際にフレキシビリティを提供することによって、RGB及びWhite on CF(カラーフィルタ)双方の堆積に有効である。このフレキシビリティはまた、冗長性を形成するために使用することもできるだろう。一般的に、OLEDディスプレイ製造には、2つの概念を提供することができる。一方では、赤色光、緑色光、及び青色光を放出するRGB(赤緑青)ディスプレイが製造される。他方で、White on CFディスプレイが製造され、白色光が発光され、色フィルタによって色が生成される。White on CFディスプレイがそのようなデバイスを製造するためのチャンバの減数を必要としても、両概念が実施され、賛否両論がある。
【0084】
[0083]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載のいくつかの実施形態によれば、OLEDデバイス製造は、典型的には、堆積用基板のマスキングを含む。更に、大面積基板は、典型的には、その処理中にキャリアによって支持される。マスク操作及びキャリア操作の双方が、特にマスク及びキャリアなどの温度安定性及び洗浄性に関するOLEDデバイスにとって、重要でありうる。したがって、本明細書に記載の実施形態は、真空条件下で、又は保護ガスなどの画定されたガス雰囲気下で、キャリア戻り通路、及びキャリア及びマスクの改善した洗浄オプションを提供する。
【0085】
[0084]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、マスク洗浄は、例えば、任意選択的なプラズマ洗浄によって、インシトゥで提供することができるか、製造システムの処理チャンバ又は移送チャンバを換気せずに外側のマスク洗浄を可能にするために、マスク交換インターフェースを提供することによって提供することができるかのどちらかである。
【0086】
[0085]
図10に示される製造システム1000は、水平基板ハンドリングチャンバ1100に連結されているロードロックチャンバ1120を含む。基板は、
基板ハンドリングチャンバ(ガラス操作チャンバ
)110
0から真空スイングモジュール1160まで移送させることができ、基板が、キャリア上の水平位置に装着される。水平位置でのキャリア上への基板の装着後、真空スイングモジュール1160は、垂直又は本質的に垂直な配向でその上に提供された基板を有するキャリアを回転させる。その上に提供された基板を有するキャリアは、次いで、垂直配向を有する、第1の移送チャンバ610及び少なくとも1つの更なる移送チャンバ(611−615)を通って移送される。一又は複数の堆積装置200は、移送チャンバに連結させることができる。更に、他の基板処理チャンバ又は他の真空チャンバは、移送チャンバの一又は複数に連結することができる。基板の処理後に、その上に基板を有するキャリアは、移送チャンバ615から更なる真空スイングモジュール1161内に垂直配向で移送される。更なる真空スイングモジュール1161は、その上に基板を有するキャリアを垂直配向から水平配向に回転させる。その後、基板は、更なる水平ガラス操作チャンバ1101内に取り出すことができる。処理された基板は、例えば、製造されたデバイスが、薄膜カプセル化チャンバ1140又は1141の1つの中にカプセル化された後に、処理システム1000からロードロックチャンバ1121を通って、取り出されうる。
【0087】
[0086]
図10には、第1の移送チャンバ610、第2の移送チャンバ611、第3の移送チャンバ612、第4の移送チャンバ613、第5の移送チャンバ614、及び第6の移送チャンバ615が提供される。本明細書に記載の実施形態によれば、少なくとも2つの移送チャンバが、製造システムの中に含まれ、典型的には、2つから8つの移送チャンバを製造システムの中に含むことができる。いくつかの堆積装置、例えば、各々が真空チャンバ110を有しており、各々が移送チャンバの1つに例示的に連結されている、
図10の9つの堆積装置200が提供される。いくつかの実施形態によれば、堆積装置の真空チャンバの一又は複数は、ゲートバルブ205を介して移送チャンバに連結される。
【0088】
[0087]位置合わせユニット112は、真空チャンバ110に提供することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、
保守真空チャンバ210は、例えば、ゲートバルブ207を介して、真空チャンバ110に連結させることができる。
保守真空チャンバ210は、製造システム1000の堆積源の保守を可能にする。
【0089】
[0088]いくつかの実施形態によれば、
図10に示されるように、一又は複数の移送チャンバ610−615が、一列に並んだ搬送システム部分を提供するための線に沿って提供される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載のいくつかの実施形態によれば、デュアル軌道搬送装置が提供され、移送チャンバは、第1の軌道1111及び第2の軌道1112の少なくとも1つに沿って、キャリア、即ち、基板を支持するキャリア、を移送するために、第1の軌道1111及び第2の軌道1112を含む。移送チャンバの中の第1の軌道1111及び第2の軌道1112は、製造システム1000の中にデュアル軌道搬送装置を提供する。
【0090】
[0089]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、移送チャンバ610−615のうちの一又は複数が、真空回転チャンバとして提供される。第1の軌道1111及び第2の軌道1112は、少なくとも90度、例えば、90度、180度、又は360度、回転させることができる。軌道上のキャリアは、堆積装置200の真空チャンバの1つ、又は以下に記載の他の真空チャンバの1つの中の移送される位置で回転させられる。移送チャンバは、垂直配向のキャリア及び/又は基板を回転指せるように構成され、例えば、移送チャンバの中のその軌道は、垂直回転軸周囲を回転させられる。これは、
図10の矢印によって示される。
【0091】
[0090]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、移送チャンバは、10ミリバール未満の圧力下で基板を回転させるための真空回転モジュールである。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、更なる軌道が、二又はそれを上回る移動チャンバ(610−615)内部に提供され、キャリア戻り軌道が提供される。典型的な実施形態によれば、キャリア戻り軌道1125を、第1の軌道1111と第2の軌道1112との間に提供することができる。キャリア戻り軌道1125は、真空条件下で、更なる真空スイングモジュール1161から真空スイングモジュール1160まで空のキャリアを戻すことを可能にする。真空条件下で、及び任意選択的には、制御された不活性雰囲気(例えば、Ar、N
2、又はそれらの組み合わせ)下で、キャリアを戻すことは、キャリアの周囲空気への露出を減らす。湿気とのコンタクトを低減又は回避することができる。したがって、製造システム1000でのデバイス製造中のキャリアのガス放出を低減することができる。これにより、製造されたデバイスの品質が改善され得、及び/又はキャリアは、延長時間に洗浄することなく、作動することができる。
【0092】
[0091]
図10は、第1の事前処理チャンバ1130及び第2の事前処理チャンバ1131を更に示す。ロボット(図示されず)又は別の操作システムを基板操作チャンバ1100の中に提供することができる。ロボット又は別の操作システムは、ロードロックチャンバ1120から基板操作チャンバ1100に基板を載置し、基板を事前処理チャンバ(1130、1131)の一又は複数に移送することができる。例えば、事前処理チャンバは、基板のプラズマ事前処理、基板の洗浄、基板のUV及び/又はオゾン処理、基板のイオン源処理、基板のRF又はマイクロ波プラズマ処理、及びそれらの組み合わせから成る群から選択された事前処理ツールを含むことができる。基板の事前処理後に、ロボット又は別のハンドリングシステムは、事前処理チャンバから基板ハンドリングチャンバを介して真空スイングモジュール1160内に基板を移送する。基板の載置及び/又は大気条件下で基板操作チャンバ1100の基板の操作のために、ロードロックチャンバ1120を排気することができるようにするため、ゲートバルブ205は、基板操作チャンバ1100と真空スイングモジュール1160との間に提供される。したがって、基板操作チャンバ1100、及び必要であれば、ロードロックチャンバ1120、第1の事前処理チャンバ1130及び第2の事前処理チャンバ1131のうちの一又は複数は、ゲートバルブ205が開放され、基板が真空スイングモジュール1160内に移送される前に、排気することができる。従って、基板の処置及び処理(treatment and processing)は、基板が真空スイングモジュール160内に載置される前に、大気条件下で行われうる。
【0093】
[0092]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる本明細書に記載に実施形態によれば、基板が真空スイングモジュール160内に載置される前に行われうる基板の載置及び処理は、基板が水平に配向される又は本質的に水平に配向される間に行われる。
図10に示され、本明細書に記載の更なる実施形態による製造システム1000は、水平配向の基板操作、垂直配向の基板の回転、垂直配向の基板上への材料堆積、材料堆積後の水平配向の基板の回転、及び水平配向の基板の取出しを組み合わせる。
【0094】
[0093]
図10に示された製造システム1000だけではなく、本明細書に記載の他の製造システムもまた、少なくとも1つの薄膜カプセル化チャンバを含む。
図10は、第1の薄膜カプセル化チャンバ1140、及び第2の薄膜カプセル化チャンバ1141を示す。一又は複数の薄膜カプセル化チャンバは、カプセル化装置を含み、堆積した層及び/又は処理された層、特にOLED材料は、堆積した材料及び/又は処理された材料を周囲空気及び/又は大気条件への露出から保護するために、処理された基板と更なる基板との間でカプセル化される、即ち、それらの間に挟まれる。典型的には、薄膜カプセル化は、2つの基板、例えば、ガラス基板の間に材料を挟むことによって、提供することができる。しかしながら、ガラス板、ポリマー板又は金属板での積層、又はカバーガラスのレーザー溶融など、他のカプセル化方法が、代替的には、薄膜カプセル化チャンバの1つに提供されたカプセル化装置によって適用されうる。特に、OLED材料層は、周囲空気並びに/又は酸素及び湿気への露出を被ることがある。したがって、製造システム1000は、例えば、
図10に示されるように、ロードロックチャンバ1121を介して処理された基板を取り出す前に、薄膜をカプセル化することができる。
【0095】
[0094]
図10に示された製造システム1000だけではなく、本明細書に記載の他の製造システムもまた、層検査チャンバ1150を更に含むことができる。電子層検査ツール及び/又はイオン層検査ツールなどの層検査ツールを、層検査チャンバ1150の中に提供することができる。層検査は、製造システム1000に提供された一又は複数の堆積ステップ又は処理ステップ後に行うことができる。それゆえに、内部に基板を有するキャリアは、堆積チャンバ又は処理チャンバから、層検査チャンバ1150がゲートバルブ205を介して連結される移送チャンバ611まで、移動させることができる。検査される基板を、層検査チャンバに移送し、製造システム内部で、即ち、製造システムから基板を除去せずに、検査することができる。オンライン層検査は、製造ステップ1000内で行われうる、堆積ステップ又は処理ステップの一又は複数の後に提供することができる。
【0096】
[0095]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、製造システムは、キャリアバッファ1421を含むことができる。例えば、キャリアバッファは、真空スイングモジュール1160及び/又は最後の移送チャンバ、即ち、第6の移送チャンバ615に連結される、第1の移送チャンバ610に連結させることができる。例えば、キャリアバッファは、真空スイングモジュールの1つに連結される、移送チャンバの1つに連結させることができる。基板が真空スイングモジュールの中に載置され取り出されるので、キャリアバッファ1421が、真空スイングモジュールに接近して提供されれば有利である。キャリアバッファは、一又は複数の、例えば、5から30のキャリアにストレージを提供するように構成される。バッファの中のキャリアは、別のキャリアが、例えば、洗浄などの保守のために交換する必要がある場合に、製造システムの動作中に使用することができる。
【0097】
[0096]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、製造システムは、マスク棚1132、即ち、マスクバッファを更に含むことができる。マスク棚1132は、特定の堆積ステップのために記憶する必要がある、交換マスク及び/又はマスクにストレージを提供するように構成される。製造システム1000を操作する方法によれば、マスクは、マスク棚1132から堆積装置200まで、第1の軌道1111及び第2の軌道1112を有するデュアル軌道搬送装置を介して、移送することができる。したがって、堆積装置の中のマスクは、洗浄などの保守か、又は堆積装置を排気しない、移送チャンバを排気しない、及び/又はマスクを大気圧にさらさない、多様な堆積パターンかのどちらかのために、交換することができる。
【0098】
[0097]
図10は、マスク洗浄チャンバ1133を更に示す。マスク洗浄チャンバ1133は、ゲートバルブ1205を介して、マスク棚1132に連結される。したがって、真空気密密閉を、マスク棚1132とマスク洗浄用のマスク洗浄チャンバ1133との間に提供することができる。異なる実施形態によれば、マスクは、プラズマ洗浄ツールなどの洗浄ツールによって、製造システム1000内部で洗浄することができる。プラズマ洗浄ツールは、マスク洗浄チャンバ1133の中に提供することができる。追加的に又は代替的には、
図10に示されるように、更なるゲートバルブ1206をマスク洗浄チャンバ1133に提供することができる。したがって、マスクを製造システム1000から取り出すことができ、その一方で、マスク洗浄チャンバ1133だけが換気を必要とする。製造システムからマスクを取り出すことによって、製造システムが完全に動作し続ける間に、外面マスク洗浄を提供することができる。
図10は、マスク棚1132に隣接するマスク洗浄チャンバ1133を示す。対応する又は類似する洗浄チャンバ(図示されず)がまた、キャリアバッファ1421に隣接して提供されてもよい。洗浄チャンバをキャリアバッファ1421に隣接して提供することによって、キャリアは、製造システム1000内部で洗浄されてもよく、又は洗浄チャンバに連結されたゲートバルブを介して、製造システムから取り出すこともできる。
【0099】
[0098]OLEDディスプレイなどのデバイスを
図10に示される製造システム1000の中で以下のように製造することができる。これは、単なる例示的製造方法であり、多くの他のデバイスが他の方法によって製造されうる。基板は、ロードロックチャンバ1120を介して、基板操作チャンバ1100内に載置することができる。基板が真空スイングモジュール1160に載置される前に、基板事前処理を事前処理チャンバ1130及び/又は1131内部に提供することができる。基板が、真空スイングモジュール1160の中のキャリア上に載置され、水平配向から垂直配向に回転する。その後、基板が、移送チャンバ610から615を通って移送される。移送チャンバ615に提供された真空回転モジュールは、基板を含むキャリアが、
図10の移送チャンバ615の下面に提供された堆積装置に移動できるように、回転する。移送チャンバの1つにおける真空回転モジュールの1つの更なる回転ステップ、及び移送チャンバの一又は複数を通る移送ステップは、本段落によるディスプレイ製造の説明を参照しやすくするために、以下では省略される。堆積装置において、装置のアノードを基板上に堆積させるために、電極堆積が行われる。キャリアが、電極堆積チャンバから除去され、移送チャンバ610に連結され、第1の孔注入層を堆積させるように構成されている、堆積装置200の1つまで移動する。移送チャンバ610に連結された2つの堆積装置は、例えば、代替的には、異なる基板上での孔注入層の堆積に利用することができる。キャリアは次いで、移送チャンバ612(
図10)に連結された下位チャンバに移送され、これにより第1の孔搬送層を
図10の移送チャンバ612下に提供された堆積装置200によって堆積させることができる。その後、キャリアは、
図10の移送チャンバ613の下面に提供された堆積装置200に搬送され、したがって、青色発光層を第1の孔搬送層上に堆積させることができる。次いでキャリアは、第1の電子搬送層を堆積させるために、移送チャンバ614の下端で連結した堆積装置に搬送される。後続のステップでは、赤色発光層を移送チャンバ612の上面の堆積装置の中に提供することができ、緑色発光層を
図10の移送チャンバ614の上面に提供された堆積装置の中に堆積させることができるよりも前に、更なる孔注入層を、例えば、
図10の移送チャンバ611の下面に提供された堆積装置の中に提供することができる。更に、電子搬送層が、発光層の間及び/又は発行層上方に提供されうる。製造の終わりに、カソードを
図10の移送チャンバ615下に提供された堆積装置の中に堆積させることができる。更なる実施形態によれば、更に一又は複数の励起子遮断層(又は孔遮断層)又は一又は複数の電子注入層が、アノードとカソードとの間に堆積しうる。カソードの堆積後に、キャリアが更なる真空スイングモジュール1161に移送され、基板を含むキャリアが、垂直配向から水平配向に回転される。その後、基板が、更なる基板操作チャンバ1101のキャリアから取り出され、堆積した層スタックをカプセル化するための薄膜カプセル化チャンバ1140/1141の1つに移送される。その後、製造されたデバイスは、ロードロックチャンバ1121を通して、取り出すことができる。
【0100】
[0099]上記を考慮して、本明細書に記載された実施形態は、複数の改良点、特に以下に記載される改良点の少なくとも一又は複数を提供することができる。全てのチャンバへの「ランダムな」アクセスは、垂直クラスタアプローチを用いてそのようなシステムに、即ち、クラスタ堆積システム部分を有するシステムに提供することができる。システム概念は、多くのモジュール、即ち、堆積装置、を加える際にフレキシビリティを提供することによって、RGB及びWhite on CF双方の堆積のために実施することができる。このフレキシビリティはまた、冗長性を形成するために使用することもできるだろう。ルーチン保守中に又はマスク交換中に、基板操作チャンバ又は堆積チャンバを換気する必要性が低下する又はなくなることにより、高いシステム稼働時間を提供することができる。マスク洗浄を、任意選択のプラズマ洗浄によってインシトゥで、又はマスク交換インターフェースを提供することにより外部でのどちらかで提供することができる。高い堆積源効率(85%を上回る)及び高い材料利用率(50%を上回る)は、1つの真空チャンバにおいて二又はそれを上回る基板を交互に又は同時にコーティングする(源−列構成)ために180度旋回機構での走査源アプローチを使用して提供することができる。キャリアは、統合されたキャリア戻り軌道のため真空の中に又は制御されたガス環境下にとどまる。堆積源の保守及び事前調整を、別個の保守真空チャンバ又は源ストレージチャンバの中に提供することができる。水平なガラス操作、例えば、水平な雰囲気ガラス操作は、真空スイングモジュールを実装することによって、製造システムの所有者の既存のガラス操作機器を使用して、より簡単に適用させることができる。真空カプセル化システムへのインターフェースを提供することができる。基板検査(オンライン層分析)用のモジュール、マスク又はキャリアストレージを追加するためのフレキシビリティは高い。システムの設置面積は小さい。更に、現在及び将来のガラスサイズにとっての良好なスケーラビリティを提供することができる。
【0101】
[00100]上記の記述は本発明の実施形態を対象としているが、本発明のその他の及び更なる実施形態が、本発明の基本的な範囲を逸脱することなく、考案され、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定められる。