特許第6467916号(P6467916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6467916光源装置及び光源装置を備えたプロジェクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6467916
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】光源装置及び光源装置を備えたプロジェクタ
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20190204BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20190204BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20190204BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20190204BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20190204BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20190204BHJP
【FI】
   F21S2/00 330
   G03B21/14 A
   G03B21/00 F
   H04N9/31
   F21S2/00 310
   F21V5/00 610
   F21V7/28
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-266536(P2014-266536)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-126904(P2016-126904A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145104
【弁理士】
【氏名又は名称】膝舘 祥治
(72)【発明者】
【氏名】永原 靖治
(72)【発明者】
【氏名】宮田 忠明
(72)【発明者】
【氏名】松尾 英典
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−063334(JP,A)
【文献】 特開2014−146056(JP,A)
【文献】 特開2010−217906(JP,A)
【文献】 特開2014−082144(JP,A)
【文献】 特開平09−318912(JP,A)
【文献】 特開2010−060728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G03B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、
前記複数の光源から発せられた光を一つの点に集光する光学部材と、
前記光学部材によって集光された光の少なくとも一部の波長を変換する蛍光体ホイールと、を含む光源装置であって、
前記光学部材の入射面と出射面は、導電膜が形成された第1領域を有し、前記第1領域と異なる第2領域に前記複数の光源から発せられた光が当たり、
前記第2の領域は、前記複数の光源のビーム形状に対応した形状を備えて、複数あることを特徴とする、光源装置。
【請求項2】
前記光学部材は、レンズである、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記光学部材は、ミラーである、請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
前記導電膜は、金属膜である、請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記導電膜は、前記光学部材を保持する金属製のホルダに電気的に接続されている、請求項1から4のうちいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記複数の光源のビーム形状は、楕円形状であり、
前記第2の領域の形状は、楕円形状である、請求項1から5のうちいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項7】
請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載の光源装置と、
画像データに基づいて、前記光源装置から出射された複数の波長帯域の光を順次変調して画像を形成する光変調手段と、
前記画像を拡大して投射する投射手段と、
を備えたプロジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及びその光源装置を備えたプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、時分割で複数の波長の光を取り出し、取り出された複数の波長の光を順次変調することで画像を形成して投影する時分割式のプロジェクタが普及している。このような時分割式のプロジェクタに用いる光源装置として、例えば、白色光を出力する光源と、複数のカラーフィルタが貼られた回転ホイールとを備えて、光源から出射された白色光を、一定速度で回転する回転ホイールに入射させて、時分割で複数の波長の光(例えば、青、緑、赤色光)を取り出すものが知られている。また、カラーフィルタの代わりに蛍光体層を有する回転ホイール(蛍光体ホイール)を用いて、これに半導体レーザ等の光源から出射された単波長の光を入射させることで、時分割で複数の波長の光を取り出す光源装置も提案されている。
【0003】
従来の光源装置において、半導体レーザ等の光源と、光源から出射された光が入射する蛍光体ホイールとの間には、光源から出射された光を集光して蛍光体ホイールに入射させるための集光レンズが配置されるのが一般的である。
【0004】
集光レンズの表面に例えば塵埃等の異物が付着した場合、プロジェクタによって投影される画像の精度が低下するとともに、画像の明るさが不均一になってしまう問題がある。そのため、プロジェクタに用いられる光源装置の集光レンズの表面には、塵埃の異物が付着していないことが望ましい。
【0005】
集光レンズの表面に塵埃が付着する原因の一つとして、静電気が考えられている。すなわち、集光レンズの表面に静電気が蓄積し、その静電気によって正または負の電荷を持った塵埃がレンズの表面に引き寄せられるため、集光レンズの表面に塵埃が付着する。
【0006】
従来、レンズに蓄積した静電気を除去するための技術として、特許文献1、2に記載された技術が知られている。
特許文献1には、帯電防止コーティングを有する眼鏡用レンズ等の光学レンズが開示されている。帯電防止コーティングは、TiOから形成された第1層、及び、Alから形成された第2層を備えており、第1層及び第2層が互いに隣接して設けられることが開示されている。
特許文献2には、静電気防止コーティングを有する眼鏡用レンズ等の光学レンズが開示されている。静電気防止コーティングは、ITO薄膜等の導電性透明膜によって形成されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−78829号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0179343号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、光学部材の表面に塵埃が付着することを防止することのできる光源装置、及び、その光源装置を備えたプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の1つの実施態様に係る光源装置では、複数の光源と、前記複数の光源から発せられた光を集光する光学部材と、前記光学部材によって集光された光の少なくとも一部の波長を変換する蛍光体ホイールと、を含む光源装置であって、前記光学部材の表面は、導電膜が形成された第1領域を有し、前記第1領域と異なる第2領域に前記複数の光源から発せられた光が当たることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、光学部材の表面に塵埃が付着することを防止することのできる光源装置、及び、その光源装置を備えたプロジェクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る光源装置の実施形態を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態の光源装置が備える光源の構成を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態の光源装置が備える蛍光体ホイールの構成を示す模式図である。
図4】集光レンズの側面図である。
図5】集光レンズの正面図であり、複数の光源が配置された側から集光レンズを見た図である。
図6】本発明に係るプロジェクタの1つの実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の光源装置及びその光源装置を備えたプロジェクタについて、図1図6を参照しつつ詳細に説明する。
図1図2に示すように、本実施形態の光源装置1は、複数の光源10と、複数の光源10から発せられた光をそれぞれ平行光に変換するコリメートレンズ20と、複数の光源10から発せられた光を集光する集光レンズ21と、集光レンズ21によって集光された光の少なくとも一部の波長を変換する蛍光体ホイール30と、蛍光体ホイール30を回転させるための駆動源であるモータ40と、蛍光体ホイール30によってその少なくとも一部の波長が変換された光を受けてその光を平行光に変換する受光レンズ50と、を含んでいる。なお、集光レンズ21が、本発明の実施形態の「光学部材」に対応している。
【0013】
図1図2に示すように、複数の光源10は、複数の半導体レーザ11が、平板形状のプレート12において出射光の進行方向がプレートの出射面に対して垂直となり、かつ互いの出射光が平行となるように保持されている。詳細には、8つの半導体レーザ11が1つのプレート12に保持されており、この8つの半導体レーザ11と1つのプレートとが、2つ重ねて配置されている。つまり、複数の光源10は、合計16個の半導体レーザ11によって構成されている。半導体レーザ11は、青色半導体レーザとすることができる。青色半導体レーザ11の出射光は、例えば370〜500ナノメートルの波長帯域のうち、特定の波長をピークとする光、好ましくは420〜500ナノメートルの波長帯域のうち、特定の波長をピークとする光である。
【0014】
プレート12の出射面と反対側の面は、ヒートパイプ(パイプ状のヒートシンク)13に接続され、さらにヒートパイプ13は、ヒートパイプ13を冷却するための複数のフィン14に接続されている。さらに複数のフィン14に吸い込み型のファン15が備えられており、冷却媒体(例えば空気)が複数のフィン14の間の空間に吸い込まれ、ヒートパイプ13を強制対流冷却で冷却することができる。つまり、ヒートパイプ13、複数のフィン14、及び吸い込み型のファン15を有する冷却装置により、半導体レーザ11が駆動する際の発熱を効率よく冷却することができる。
【0015】
図1に示すように、集光レンズ21は、複数の光源10から発せられた光を集光する。集光レンズ21によって集光された光は、蛍光体ホイール30に所定のスポット径となるように照射される。蛍光体ホイール30は、光を透過させる透明な円板状の部材で構成されており、回転軸を中心に回転する。また、蛍光体ホイール30の中心は、モータ40の駆動軸40aに固定されている。ここで、蛍光体ホイール30の材料は、光の透過率が高い材料であればよく、例えば、ガラス、透明セラミックス、樹脂、サファイアや窒化ガリウムなどの結晶基板などを使用することができる。
【0016】
図3は、蛍光体ホイール30の外観を示す正面図である。図3(a)は、複数の光源10からの光が蛍光体ホイール30へ入射する面(図1内の矢印Aで示す方向から見た面。以下、「入射面」または「表面」ともいう。)を示している。図3(b)は、蛍光体ホイール30から蛍光が出射する面(入射面の反対側の面。以下、「出射面」または「裏面」ともいう。)を示している。また、図3(a)における破線の円で示すスポットSPは、集光レンズ21によって集光された光が照射される領域を示している。図3(b)における破線の円で示す蛍光領域FLは、集光レンズ21からの光によって後述する蛍光体層が発光する領域を示している。
【0017】
図3に示すように、蛍光体ホイール30の入射面には、外周縁から幅W1を有する輪状の透過領域(図3(a)参照)が設けられている。この透過領域は、円周方向に三等分されており、同一円周上に3つの透過領域TR1,TR2,TR3が設けられている。なお、図3(a)では、透過領域TR1〜TR3の各々の角度範囲が約120°である例を示しているが、透過領域の各々の角度範囲はこれに限定されない。例えば、透過領域が円周方向に四等分されることによって、4つの透過領域の各々の角度範囲が約90°に設定されてもよい。
【0018】
図3(a)に示すように、透過領域TR1およびTR2の入射面側には、それぞれ幅W1を有する円弧状の誘電体膜31が形成されている。この誘電体膜31によって、複数の光源10から出射された光のうち、青色半導体レーザ11から出射される光を透過させ、それ以外の波長帯域の光を反射させることができる。この誘電体膜31としては、例えば、ダイクロイックフィルタを用いることができる。これに対して、透過領域TR3の入射面側には、誘電体膜31が形成されていない。このため、透過領域TR3は、特定の波長帯域の光を減衰させることはなく、全波長帯域の光を透過させる。また、透過領域TR3は、青色半導体レーザ11から出射される光を透過させるのみであれば、透過領域TR3に誘電体膜31を形成してもよい。これにより、蛍光体ホイール30の入射面全面に誘電体膜31を形成することになり、誘電体膜形成工程を簡素化できる。
【0019】
次に、図3(b)に示すように、透過領域TR1の出射面側には、透過領域の幅W1よりも狭い幅W2を有する円弧状の蛍光体層32Rが形成されている。蛍光体層32Rは、光源10の青色半導体レーザ11から出射された光によって励起され、青色半導体レーザ11から出射された光の波長帯域とは異なる波長帯域の蛍光を発生する。言い換えると、蛍光体層32Rは、青色半導体レーザ11から出射された光の波長を変換することができる。蛍光体層32Rは、例えば550〜780ナノメートルの波長帯域の蛍光(赤色光)を発生する。蛍光体層32Rの具体的な材料の一例としては、YAG、(Sr,Ca)AlSiN:Eu、CaAlSiN:Eu、SrAlSiN:Eu、KSiF:Mnを挙げることができる。
【0020】
また、透過領域TR2の出射面側には、幅W2を有する円弧状の蛍光体層32Gが形成されている。蛍光体層32Gは、蛍光体層32Rと同様、青色半導体レーザ11から出射された光の波長帯域とは異なる波長帯域の蛍光を発生する。言い換えると、蛍光体層32Gは、青色半導体レーザ11から出射された光の波長を変換することができる。蛍光体層32Gは、青色半導体レーザ11から出射された光によって、例えば500〜650ナノメートルの波長帯域の蛍光(緑色光)を発生する。蛍光体層32Gの具体的な材料の一例としては、β−SiAlON:Eu、LuAl12等の酸化物系蛍光体を挙げることができる。
【0021】
透過領域TR3の出射面側には蛍光体層が形成されていない。このため、透過領域TR3は、全波長帯域の光を透過させることができる。ただし、透過領域TR3に散乱面を形成し、蛍光体ホイール30の回転によって光源10から出射された青色光を動的に拡散させることでスペックルノイズを低減させてもよい。
【0022】
図1に示すように、モータ40は、ブラシレス直流モータであり、蛍光体ホイール30の表面に対して駆動軸40aが直交するように固定されている。モータ40は、再生する動画のフレームレート(1秒当たりのフレーム数。単位は[fps])に基づく回転速度で、図3の矢印Bに示す方向に蛍光体ホイール30を回転させる。例えば、60[fps]の動画を再生する場合、蛍光体ホイール30の回転速度を毎秒60回転の整数倍に設定することが好ましい。
【0023】
受光レンズ50は、蛍光体層32Rおよび32Gから出射された光を集光する光学部材である。すなわち、受光レンズ50は、複数の光源10から出射された光によって蛍光体層32Rおよび32Gで発生した蛍光を集光して、光源装置1の出射光として出射する。
【0024】
上述した構成の光源装置1において、複数の青色半導体レーザ11から発せられた光は、集光レンズ21によって集光される。集光レンズ21によって集光された光は、蛍光体ホイール30に照射される。蛍光体ホイール30は、モータ40によって図3の矢印Bの方向に回転している。集光レンズ21によって集光された光は、蛍光体ホイール30の入射面のスポットSPに当たる。スポットSPが透過領域TR1上に位置しているときは、集光レンズ21によって集光された光は蛍光体層32Rに入射し、赤色光が受光レンズ50へ出射される。また、スポットSPが透過領域TR2上に位置しているときは、集光レンズ21によって集光された光は蛍光体層32Gに入射し、緑色光が受光レンズ50へ出射される。さらに、スポットSPが透過領域TR3上に位置しているときは、蛍光体層が形成されていないため、入射した青色光が受光レンズ50へ出射される。
【0025】
このようにして、光源装置1は、蛍光体ホイール30の回転に応じて、赤色、緑色、青色の光を順番に繰り返し出射する。
【0026】
図4は、集光レンズ21の側面図である。図5は、集光レンズ21の正面図であり、複数の光源10が配置された側から集光レンズ21を見た図である。
図4図5に示すように、集光レンズ21は、所定の厚みを有する略円形のガラス製またはプラスチック製のレンズであり、その周縁部を金属製のホルダ60によって保持されている。ホルダ60は、光源装置1の筐体70の上面に固定されている。
【0027】
図4に示すように、複数の光源10から出射された光は、コリメートレンズ20によって平行光に変換された後、集光レンズ21の表面(入射面21a)に入射する。集光レンズ21の入射面21aに入射した光は、集光レンズ21の入射面21a及びその反対側の面である出射面21bにおいて屈折した後、集光レンズ21の焦点FPに向かう。そして、集光レンズ21の焦点FPが、上述の蛍光体ホイール30の入射面にあるスポットSPと一致するように集光レンズ21の位置が調整されている。これにより、集光レンズ21は、複数の光源10から発せられる光を集光して、蛍光体ホイール30のスポットSPに入射させることができる。
【0028】
図4図5に示すように、集光レンズ21の入射面21a及び出射面21bには、電気を通すことのできる膜である導電膜62が形成されている。導電膜62の周縁部は、集光レンズ21を保持する金属製のホルダ60と接触している。これにより、導電膜62は、金属製のホルダ60に電気的に接続されている。
【0029】
導電膜62は、例えば金属膜で形成することができる。導電膜62が金属膜によって形成される場合、金属膜の材料としては、例えば、銅やアルミニウムを用いることができる。金属膜は、例えば、スパッタリング法あるいは蒸着法を用いて集光レンズ21の表面に形成することができる。なお、導電膜62は、電気を通すことができる膜であればよく、金属膜以外にも、例えばITO膜等の透明導電膜や、導電性樹脂からなる膜によって形成することもできる。
【0030】
以下では、集光レンズ21の入射面21a及び出射面21bのうち、導電膜62が形成されている領域のことを「第1の領域62a」と呼び、第1の領域62a以外の領域のことを「第2の領域62b」と呼ぶ。
【0031】
図5に示すように、導電膜62が形成されていない第2の領域62bは、それぞれが円形である合計16個の領域によって形成されている。導電膜62が形成されている第1の領域62aは、合計16個の円形領域である第2の領域62bの間及びその周囲に形成されている。
なお、導電膜62が形成されていない第2の領域62bの形状は、円形に制限されず、例えば、半導体レーザのビーム形状と同等な楕円であってもよい。
【0032】
上述したように、複数の光源10は、16個の青色半導体レーザ11によって構成されている。16個の青色半導体レーザ11から発せられた光は、集光レンズ21の入射面21a及び出射面21bのうち、合計16個の円形領域である第2の領域62bのみに当たるようになっている。言い換えると、第2の領域62bは、集光レンズ21の入射面21a及び出射面21bのうち、複数の光源10(合計16個のレーザ光源11)から発せられる光が当たる領域のみに形成されている。
【0033】
第2の領域62bがこのように構成されることによって、集光レンズ21の入射面21a及び出射面21bに導電膜62が形成される場合であっても、その導電膜62によって複数の光源10から発せられる光が遮られることがないため、光源装置1から出射される光の量が低下することを防止することができる。
【0034】
また、集光レンズ21の入射面21a及び出射面21bのうち、複数の光源10から発せられた光が当たらない領域である第1の領域には、導電膜62が形成されている。この導電膜62によって、集光レンズ21の内部または表面に蓄積した静電気を効率的に逃がすことができるようになっている。すなわち、集光レンズ21の内部または表面に蓄積した静電気を、電気を通すことのできる導電膜62及び金属製のホルダ60を介して外部に逃がすことができるようになっている。
【0035】
なお、光源装置1の筐体70が鉄やアルミニウム等の金属で形成される場合には、金属製のホルダ60が筐体70の上面に固定されているため、集光レンズ21の内部または表面に蓄積した静電気を、筐体70を介して光源装置1の外部に逃がすことができる。この場合、筐体70は、アースに接続されていることが好ましい。
【0036】
本実施形態に係る光源装置1によれば、集光レンズ21内部または表面に蓄積した静電気を外部に効率的に逃がすことができる。したがって、塵埃が静電気によって引き寄せられることを防止できるため、集光レンズ21の表面に塵埃が付着することを効果的に防止することができる。
【0037】
上記実施形態では、複数の光源10から発せられる光が集光レンズ21によって集光される例について説明したが、本発明はこのような態様に限定されない。例えば、複数の光源10から発せられる光を集光するための光学部材は、ミラー(例えば凹面ミラー)であってもよい。
【0038】
複数の光源10から発せられる光をミラーで集光する場合には、ミラーの表面に導電膜62を形成する。この場合、上述の集光レンズ21と同様に、ミラーの表面の第1領域に導電膜62が形成され、第1の領域と異なる第2領域には、導電膜62が形成されない。図5のように、導電膜が形成される第1領域に囲まれて16個の導電膜が形成されない第2領域を備える点で、ミラーの表面も集光レンズ21の表面と同様の図を用いて説明できる。そして、複数の光源10から発せられた光は、第2領域のみに当たるように導電膜62が形成される。これにより、ミラーの内部または表面に蓄積した静電気を逃がすことができるため、ミラーの表面に塵埃が付着することを防止することができる。
【0039】
(光源装置1の応用例)
次に図6を参照して、図1に示した光源装置1を、いわゆる1チップ方式のDLP(Digital Light Processing)プロジェクタにおける光源装置として用いた場合の概略構成について説明する。なお、図6において、図1に示した各部と同じものについては同一の符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0040】
図6に示すプロジェクタ100において、光源装置1から出射された光は、光変調手段であるDMD(Digital Micromirror Device)素子110で反射され、投射手段であるレンズ120によって集光されて、スクリーンSに投影される。DMD素子110は、スクリーンSに投影される画像の各画素に相当する微細なミラーをマトリックス状に配列したものであり、各ミラーの角度を変化させてスクリーンSへ出射する光を、マイクロ秒単位でオン/オフすることができる。ここで、ミラーの角度を、光源装置1から出射された光がレンズ120へ反射するようにした場合がオンの状態であり、レンズ120へ反射しないようにした場合がオフの状態である。
【0041】
また、DMD素子110の各ミラーをオンにしている時間とオフにしている時間の比率によって、レンズ120へ入射する光の階調を変化させることにより、投影する画像の画像データに基づいた階調表示が可能になる。これにより、光源装置1から順次出射される赤色光、緑色光、及び青色光の各々に対して、個々のミラーで階調制御を行うことにより、スクリーンSにカラー画像(動画も含む)を投影することができる。レンズ120は、主に投射レンズから構成され、DMD素子110によって形成された画像を、所定の大きさに拡大してスクリーンSに投射する。
【0042】
なお、本実施形態では、光変調手段としてDMD素子を用いているが、これに限られるものではなく、用途に応じて、その他任意の光変調素子を用いることができる。また、本発明の実施形態に係る光源装置およびこの光源装置を用いたプロジェクタは、上述した実施形態に限られるものではなく、その他の様々な実施形態が本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1 光源装置
10,10’,10” 光源
11 青色半導体レーザ
12 プレート
13 ヒートパイプ
14 フィン
15 ファン
20 コリメートレンズ
21 集光レンズ(光学部材)
30 蛍光体ホイール
31 誘電体膜
32R,32G 蛍光体層
40 モータ
40a 駆動軸
50 受光レンズ
60 ホルダ
62 導電膜
62a 第1の領域
62b 第2の領域
70 筐体
100 プロジェクタ
110 DMD素子(光変調手段)
120 レンズ(投射手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6