【文献】
矢敷達朗, 定岡紀行, 須能恵,フィーチャ抽出に基づく計測データからのCADデータ生成手法,第16回設計工学・システム部門講演会講演論文集,2006年11月,pp. 277-279
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被測定対象物を測定して得られた測定点群データ、面要素の種類及び面要素のジオメトリ値を含む測定データに基づいて三次元モデルを生成する演算装置を用いた三次元モデル生成方法であって、
前記演算装置は、
前記測定データに基づいて前記三次元モデルの少なくとも一部の形状を所定の方法で表現し、前記面要素及び所定の条件によって規定される三次元モデル要素を生成する三次元モデル要素生成部と、
一又は複数の前記三次元モデル要素を用いて前記三次元モデルを生成する三次元モデル生成部と
を備え、
前記三次元モデル要素として、所定の平面形状を所定の方向に移動させた場合の軌跡によって三次元形状を表現し、前記平面形状が存在する平面を規定するスイープ基準平面、前記平面形状の前記スイープ基準平面上における形状を規定する閉輪郭線群、並びに、前記平面形状を移動させる方向及び距離によって規定されるスイープ要素を使用可能であり、
前記三次元モデルの生成に際して、
前記測定データから前記三次元モデル要素を規定する所定の前記面要素を前記スイープ基準平面として選択し、
前記スイープ基準平面と交差する他の面要素を適宜選択し、前記スイープ基準平面と前記他の面要素との交線により輪郭線を、複数の前記輪郭線及び前記複数の輪郭線同士の交点によって閉輪郭線群を生成し、
前記平面形状を移動させる方向及び距離を、前記三次元モデル要素の生成に要する前記条件として取得し、
選択された前記スイープ基準平面、生成された前記閉輪郭線群、取得された前記平面形状を移動させる方向及び距離を用いて前記スイープ要素を生成し、
一又は複数の前記スイープ要素を用いて前記被測定対象物の三次元モデルを生成する
ことを特徴とする三次元モデル生成方法。
被測定対象物を測定して得られた測定点群データ、面要素の種類及び面要素のジオメトリ値を含む測定データに基づいて三次元モデルを生成する演算装置を含む三次元モデル生成システムであって、
前記演算装置は、
前記測定データに基づいて前記三次元モデルの少なくとも一部の形状を所定の方法で表現し、前記面要素及び所定の条件によって規定される三次元モデル要素を生成する三次元モデル要素生成部と、
一又は複数の前記三次元モデル要素を用いて前記三次元モデルを生成する三次元モデル生成部と
を備え、
前記三次元モデル要素として、所定の平面形状を所定の方向に移動させた場合の軌跡によって三次元形状を表現し、前記平面形状が存在する平面を規定するスイープ基準平面、前記平面形状の前記スイープ基準平面上における形状を規定する閉輪郭線群、並びに、前記平面形状を移動させる方向及び距離によって規定されるスイープ要素を使用可能であり、
前記三次元モデルの生成に際して、
前記測定データから前記三次元モデル要素を規定する所定の前記面要素を前記スイープ基準平面として選択し、
前記スイープ基準平面と交差する他の面要素を適宜選択し、前記スイープ基準平面と前記他の面要素との交線により輪郭線を、複数の前記輪郭線及び前記複数の輪郭線同士の交点によって閉輪郭線群を生成し、
前記平面形状を移動させる方向及び距離を、前記三次元モデル要素の生成に要する前記条件として取得し、
選択された前記スイープ基準平面、生成された前記閉輪郭線群、取得された前記平面形状を移動させる方向及び距離を用いて前記スイープ要素を生成し、
一又は複数の前記スイープ要素を用いて前記被測定対象物の三次元モデルを生成する
ことを特徴とする三次元モデル生成システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の三次元モデルの生成方法では、三次元測定装置によって被測定対象物を測定する際の測定誤差や測定データから面要素データへの変換誤差によって、面要素データ同士を接続する位置がずれて接続ができなかったりして、所望の形状を有し、正確な寸法を有する三次元モデルを生成することが困難になることがある。
【0005】
従来は、このような問題に対し、面要素データ間の境界線を手動又は自動で選択してマージ処理して閉じた空間にする処理(クローズ処理)を行ったり、生成された全ての面要素データが閉じるものと仮定して、全ての面要素データから直接閉じたソリッドモデルを自動で作成する処理を行っている。このため、生成された三次元モデルと実際の被測定対象物との形状が大きく異なり、その後の修正作業に膨大な時間が必要となる場合がある。
【0006】
本発明はこの様な問題に鑑みなされたものであり、所望の形状を有し、測定データに基づいた正確な寸法を有する三次元モデルを容易に生成可能な三次元モデル生成方法、三次元モデル生成システム及び三次元モデル生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様に係る三次元モデル生成方法は、被測定対象物を測定して得られた測定点群データ、面要素の種類及び面要素のジオメトリ値を含む測定データに基づいて三次元モデルを生成する演算装置を用いて行う。この演算装置は、測定データに基づいて三次元モデルの少なくとも一部の形状を所定の方法で表現し、面要素及び所定の条件によって規定される三次元モデル要素を生成する三次元モデル要素生成部と、一又は複数の三次元モデル要素を用いて三次元モデルを生成する三次元モデル生成部とを備える。また、演算装置は、三次元モデルの生成に際して、測定データから三次元モデル要素を規定する所定の面要素を選択し、三次元モデル要素の生成に要する条件を取得し、選択された面要素及び取得された条件から三次元モデル要素を生成し、一又は複数の三次元モデル要素から被測定対象物の三次元モデルを生成する。
【0008】
このような三次元モデル生成方法においては、測定データに含まれる面要素を適宜選択して一又は複数の三次元モデル要素を生成し、この三次元モデル要素から、被測定対象物の三次元モデルを生成する。従ってユーザは、被測定対象物の形状に基づいて適宜選択操作を行うことにより、所望の形状を有し、測定データに基づいた正確な寸法を有する三次元モデルを、容易に生成することが出来る。
【0009】
本発明の一態様において、演算装置は、三次元モデル要素として、所定の平面形状を所定の方向に移動させた場合の軌跡によって三次元形状を表現し、平面形状が存在する平面を規定するスイープ基準平面、平面形状のスイープ基準平面上における形状を規定する閉輪郭線群、並びに、平面形状を移動させる方向及び距離によって規定されるスイープ要素を使用可能であっても良い。また、演算装置は、三次元モデルの生成に際して、測定データから所定の面要素をスイープ基準平面として選択し、スイープ基準平面と交差する他の面要素を適宜選択し、スイープ基準平面と他の面要素との交線により輪郭線を、複数の輪郭線及び複数の輪郭線同士の交点によって閉輪郭線群を生成し、スイープを行う方向及び距離を上記条件として取得し、選択されたスイープ基準平面、生成された閉輪郭線群、取得されたスイープを行う方向及び距離を用いてスイープ要素を生成し、一又は複数のスイープ要素を用いて三次元モデルを生成する。
【0010】
上記態様において、三次元モデル要素は、演算装置は、閉輪郭線群の生成に際して、測定データの中から、スイープ基準平面と交差する面要素を抽出し、輪郭線を一通りに決定することが出来る場合には、閉輪郭線群を自動生成し、輪郭線を一通りに決定することが出来ない場合には、スイープ基準平面と交差する面要素のリストを作成しても良い。また、上記態様において、演算装置は、閉輪郭線群の生成に際して、複数の輪郭線同士の交点を一通りに決定することが出来る場合には、閉輪郭線群を自動生成し、複数の輪郭線同士の交点を一通りに決定することが出来ない場合には、交点のリストを作成しても良い。
【0011】
本発明の他の態様において、演算装置は、三次元モデル要素として、ある三次元形状を所定の平面又は曲面によって切断することによって三次元形状を表現し、切断される三次元形状である親モデル要素、切断面を規定するカット基準面及び切断された後に消去される方向を示すカット方向を用いて規定されるカット要素を使用可能であっても良い。また、演算装置は、三次元モデルの生成に際して、測定データから所定の面要素をカット基準面として選択し、カット方向を上記条件として取得し、親モデル要素、選択されたカット基準面及びカット方向を用いてカット要素を生成し、一又は複数の親モデル要素及びカット要素を用いて三次元モデルを生成しても良い。
【0012】
また、カット要素を操作する場合、演算装置は、カット基準面の選択に際して、測定データの中から、親モデル要素と交差する面要素を抽出し、親モデル要素と交差する面要素が複数存在する場合には、親モデル要素と交差する面要素のリストを作成し、親モデル要素と交差する面要素が一つのみ存在する場合には、カット基準面を自動で選択しても良い。た、このような場合、演算装置は、カット方向の取得に際して、親モデル要素、カット基準面及びカット方向を表現する矢印等の画像を重ねた三次元画像を生成し、入力装置からの入力に基づいてカット方向を取得しても良い。
【0013】
また、演算装置は、面要素から面要素間の交差情報及び各面要素の輪郭情報を求めて、第1の三次元モデルを自動的に生成する第1の三次元モデル生成部を更に備えていても良い。更に、演算装置は、三次元モデルの生成に際して、第1の三次元モデルを自動的に生成し、三次元モデル要素を生成し、一又は複数の三次元モデル要素によって第1の三次元モデルを修正しても良い。
【0014】
このような三次元モデル生成方法においては、演算装置の第1の三次元モデル生成部によって、自動で第1の三次元モデルを生成する。このようにして自動で生成された第1の三次元モデルは、例えば一部のみ被測定対象物と異なる形状になってしまう場合がある。ここで、このような形状の違いは、視認によって比較的容易に発見できる場合がある。従ってユーザは、自動で生成された第1の三次元モデルと被測定対象物との形状を比較し、三次元モデル要素によって適宜第1の三次元モデルを修正することにより、所望の形状を有し、測定データに基づいた正確な寸法を有する第2の三次元モデルを、容易に生成することが出来る。
【0015】
本発明の一の態様に係る三次元モデル生成システムは、被測定対象物を測定して得られた測定点群データ、面要素の種類及び面要素のジオメトリ値を含む測定データに基づいて三次元モデルを生成する演算装置を含む。この演算装置は、測定データに基づいて三次元モデルの少なくとも一部の形状を所定の方法で表現し、面要素及び所定の条件によって規定される三次元モデル要素を生成する三次元モデル要素生成部と、一又は複数の三次元モデル要素を用いて三次元モデルを生成する三次元モデル生成部とを備える。また、演算装置は、三次元モデルの生成に際して、測定データから三次元モデル要素を規定する所定の面要素を選択し、三次元モデル要素の生成に要する条件を取得し、選択された面要素及び取得された条件から三次元モデル要素を生成し、一又は複数の三次元モデル要素から被測定対象物の三次元モデルを生成する。
【0016】
本発明の一の態様に係る三次元モデル生成プログラムは、演算装置を用い、被測定対象物を測定して得られた測定点群データ、面要素の種類及び面要素のジオメトリ値を含む測定データに基づいて三次元モデルを生成する。この三次元モデル生成プログラムは、測定データに基づいて三次元モデルの少なくとも一部の形状を所定の方法で表現し、面要素及び所定の条件によって規定される三次元モデル要素を生成する三次元モデル要素生成部と、一又は複数の三次元モデル要素を用いて三次元モデルを生成する三次元モデル生成部とを備える。また、三次元モデル生成プログラムは、三次元モデルの生成に際して、測定データから三次元モデル要素を規定する所定の面要素を選択するステップと、三次元モデル要素の生成に要する条件を取得するステップと、選択された面要素及び取得された条件から三次元モデル要素を生成するステップと、一又は複数の三次元モデル要素から被測定対象物の三次元モデルを生成するするステップとを演算装置に実行させる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、所望の形状を有し、測定データに基づいた正確な寸法を有する三次元モデルを、容易に生成することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
[第1の実施の形態]
図1は、本実施の形態に係る三次元モデル生成システム10を示すブロック図である。本実施の形態に係る三次元モデル生成システム10は、例えば、被測定対象物1を測定する三次元測定機2から測定データを取得し、CADデータに基づく三次元モデルを生成するもので、例えばCADシステムの一部として構成されている。尚、本実施の形態においては三次元モデルとしてソリッドモデルを生成しているが、三次元モデルは、ソリッドモデルのみならず、サーフェースモデルやワイヤーモデルとして生成されても良い。
【0021】
図1に示す通り、この三次元モデル生成システム10は、コンピュータ装置と、このコンピュータ装置によって実行される三次元モデル生成プログラムにより、各種機能が実現される。コンピュータ装置は、は、被測定対象物1を測定して得られた測定データに基づいて三次元モデルを生成する演算装置3と、演算装置3と接続され、三次元モデル生成プログラムを記憶する記憶装置4と、演算装置3に接続され、本実施の形態に係る三次元モデル生成プログラムの操作や各種パラメータの入力等を行う入力装置5と、演算装置3において生成された三次元モデルを出力する出力装置6とを備えて構成されている。演算装置3は、例えばCPUやマイコン等、各種の演算を行う装置である。入力装置5としてはキーボードやマウス、タッチパネル等を採用することが可能であり、出力装置6としては、ディスプレイやプロジェクタ、プリンタ等を採用することが可能である。
【0022】
図1に示す通り、演算装置3は、所定の三次元モデル生成プログラムと共に、測定データを三次元測定機2から取得するインポート部31と、インポート部31によって取得された測定データに基づいて、三次元モデルの少なくとも一部の形状を所定の方法で表現する三次元モデル要素を生成する三次元モデル要素生成部33と、一又は複数の三次元モデル要素を用いて三次元モデルを生成する三次元モデル生成部34との各機能を実現する。
【0023】
被測定対象物1としては自由曲面などの任意の形状のものを選択可能であるが、CADシステムで解析的二次曲面として定義可能な表面形状を有するものを対象とする。即ち、被測定対象物1の表面形状は、点要素、直線要素、円、楕円等の曲線要素、並びに、平面、円筒面、円錐面、球面及びトーラス面等の面要素等の組み合わせからなる。ここでは1例として、
図1に示す様に、上下面を貫通する円筒状の貫通孔を有し、上面の四辺が面取りされた箱状(長方体状)の概形を有する形状を想定する。
【0024】
三次元測定機2から出力される測定データは、測定点群データ、幾何要素の種類及び幾何要素のジオメトリ値を含む。測定点群データは、上記被測定対象物1の表面の1又は複数の測定点の測定座標のデータ群である。幾何要素の種類は、点、直線、平面、円、楕円、円筒面、円錐面、球面及びトーラス面等の点要素、直線要素及び面要素の種類を示すデータである。この幾何要素の種類は、三次元測定時に測定点群データ取得に際してオペレータが1つ1つ指示することにより得られるデータでも良いし、測定点群データの分布状況に応じて三次元測定機が自動的に判定することにより得られるデータでも良い(例えば特開2001−241941号参照)。また、幾何要素のジオメトリ値は、測定点群データから推定されたその幾何要素の基準位置座標、向き、長さ、半径等のデータで、例えば直線要素であれば、基準点の座標値、方向、長さ等、平面要素であれば、その基準点の座標値、法線方向等、円要素であれば、基準点の座標値、法線方向、半径等、楕円要素であれば、基準点の座標値、法線方向、長径方向、長径、短径等を含む。幾何要素のジオメトリ値は、幾何要素の種類及び測定点群データから求められる。なお、以下は説明の便宜のために幾何要素が、面要素であるものとする。更に、測定データは、例えばプローブのタッチ方向や画像の取得方向等、面要素が取得された方向(面要素に対して、被測定対象物1が存在する方向)に関するデータを有していても良い。
【0025】
図2は、出力装置6に出力される映像の一例を示す図であり、左部分には上記測定データに含まれる面要素のリスト(フィーチャツリー)が、右部分にはこれら面要素によって表現される形状が示されている。
図2に示す例において、測定データ中の面要素は、平面要素Plane_0〜Plane_8及び円筒面要素Cylinder_0である。平面要素Plane_0〜Plane_8は、被測定物1の各平面を測定した際に取得された面要素であり、円筒面要素Cylinder_0は、被測定物1の上下面を貫通する貫通孔を測定した際に取得された面要素である。なお、
図2に示すように、測定データ中では、各面要素の広さ(長さ、幅、高さ等)は未定である。ここでは、測定点群の分布範囲に基づいて広さが表現されている。
【0026】
図3は、出力装置6に出力される映像の一例を示す図であり、右部分には生成された三次元モデル及びこの三次元モデルを生成する複数の三次元モデル要素のうちの一つ(Solid_1)が示されている。更に、左部分には、この三次元モデルを構成する三次元モデル要素、この三次元モデル要素を規定する面要素及びパラメータのリスト(フィーチャツリー)が示されている。
【0027】
図3に示す通り、本実施の形態において、三次元モデルは、複数の三次元モデル要素を組み合わせることによって生成される。三次元モデル要素は、上述の通り、三次元モデルの少なくとも一部の形状を表現するものであり、測定要素に含まれる面要素及び所定のパラメータによって規定される。また、三次元モデル要素は、三次元モデルの表現方法によって複数種類の要素が存在するが、
図3には、スイープ要素Solid_1を示している。スイープ要素は、所定の平面形状を所定の方向に移動させた場合の軌跡によって三次元形状を表現するものである。また、
図3の左図中に示す通り、スイープ要素は、上記平面形状が存在する平面を規定するスイープ基準平面(Bass Plane)、上記平面形状のスイープ基準平面上における形状を規定する閉輪郭線群(Boundary)、上記平面形状を移動させる方向(sweep geomatry)、スイープを行う距離(sweep length)等によって表現される。
【0028】
図3に示す通り、本実施の形態において、上記スイープ基準平面(Bass Plane)は、測定データに含まれる面要素から選択される。また、上記閉輪郭線群(Boundary)は、複数の輪郭線(IntCurve_0〜IntCurve_3)及び交点によって表現されており、この輪郭線は、測定データに含まれる面要素同士の交線によって表現されている。
【0029】
また、
図3に示す通り、スイープ要素を規定するパラメータとして、その他のパラメータが存在しても良い。本実施の形態においては、このようなパラメータとして、ブール演算の要素(boolean)が存在する。例えば、
図3に示す通り、ブール演算の要素が和集合(unite)である場合、スイープ基準平面、閉輪郭線群、スイープを行う方向及びスイープを行う距離によって規定される空間には、三次元モデルが存在することになる。一方、ブール演算の要素が差集合(substract)である場合、他の三次元モデル要素の上記空間と重複する部分に、三次元モデルが存在しないことになる。
【0030】
次に、
図4を参照して、本実施の形態に係る三次元モデル要素生成部33の内のスイープ要素生成部71について説明する。
図4は、本実施の形態に係る三次元モデル要素生成部33の構成の一部を示すブロック図である。
図4に示す通り、本実施の形態に係る三次元モデル要素生成部33は、スイープ要素を生成するスイープ要素生成部71を備えている。
【0031】
スイープ要素生成部71中、スイープ基準平面選択部711は、測定データ中の面要素をスイープ基準平面として選択する。また、スイープ基準平面選択部711は、測定データ中から、スイープ基準平面の候補となる平面要素のリスト(第1のリスト)L1を作成して出力装置6に出力し、入力装置5からの入力に応じてスイープ基準平面を選択する。
【0032】
スイープ要素生成部71中、輪郭線生成部713は、測定データ中の面要素から、選択されたスイープ基準平面と共に上記輪郭線を規定する他の面要素を選択し、スイープ基準平面と他の面要素との交線から輪郭線を生成する。また、輪郭線生成部713は、スイープ基準平面及び他の面要素の交線のリスト(第2のリスト)L2を作成して出力装置6に出力し、入力装置5からの入力に応じて順次輪郭線を選択する。
【0033】
スイープ要素生成部71中、交点生成部714は、輪郭線同士の交点から、閉輪郭線群の輪郭を規定する交点を生成する。また、交点生成部714は、閉輪郭線群の輪郭を規定する交点のリスト(第3のリスト)L3を作成して出力装置6に出力し、入力装置5からの入力に応じて順次交点を選択する。
【0034】
スイープ要素生成部71中、スイープ条件表示部715は、スイープ要素の生成に要する条件を出力装置6に表示する。また、スイープ条件表示部715は、スイープ要素の生成に要する条件を入力するための入力フォームF1を出力装置6に出力し、入力装置5からの入力に応じて順次スイープ要素生成パラメータを取得する。
【0035】
スイープ要素生成部71中、生成部716は、生成された輪郭線、交点及び入力装置5によって入力されたスイープ要素生成パラメータによってスイープ要素を生成する。
【0036】
次に、
図5〜
図8を参照して、本実施の形態に係る三次元モデル生成方法を説明する。
図5は、本実施の形態に係る三次元モデル生成方法を示すフローチャートである。
図6〜
図8は、三次元モデルの生成中において出力装置6に出力される映像の一例を示す図である。
【0037】
図5に示す通り、ステップS101においては、測定データ中の所定の面要素をスイープ基準平面として選択する。この際、
図6に示す通り、スイープ基準平面の候補となる平面要素のリスト(第1のリスト)L1を作成して出力装置6に出力し、入力装置5からの入力に応じてスイープ基準平面を選択しても良い。また、
図6に示す通り、リスト中の平面要素の三次元画像を表示しても良い。
【0038】
図5に示す通り、ステップS102においては、測定データ中から、上述した他の面要素を選択し、輪郭線を生成する。この際、
図7に示す通り、スイープ基準面及び他の面要素の交線のリスト(第2のリスト)L2を作成して出力装置6に出力し、入力装置5からの入力に応じて順次輪郭線を選択しても良い。また、
図7に示す通り、輪郭線を生成する基礎とされた平面要素の三次元画像を表示しても良い。
【0039】
図5に示す通り、ステップS103においては、生成された輪郭線同士の交点から、閉輪郭線群の輪郭を規定する交点を生成する。この際、閉輪郭線群の輪郭を規定する交点のリスト(第3のリスト)L3を作成して出力装置6に出力し、入力装置5からの入力に応じて順次交点を選択しても良い。
【0040】
図5に示す通り、ステップS104においては、スイープを行う方向及びスイープを行う距離を取得する。この際、
図8に示す通り、スイープ要素の生成に要する条件を入力するための入力フォームF1を出力装置6に出力し、入力装置5からの入力に応じてスイープを行う方向及びスイープを行う距離(スウィープの高さ)を取得しても良い。また、
図8に示す通り、生成された閉輪郭線とスイープを行う方向及び距離を示す三次元画像を表示しても良い。更に、スイープを行う距離は、範囲とする指定面の選択によって行うことも可能である。
【0041】
図5に示す通り、ステップS105においては、選択されたスイープ基準平面、生成された閉輪郭線群、取得されたスイープを行う方向及び距離を用いてスイープ要素を生成する。これにより、例えば
図3に示した様なスイープ要素Solid_1が生成される。
【0042】
図5に示す通り、ステップS106においては、生成されたスイープ要素を用いて三次元モデルを生成する。
図3に示す例においては、Solid_1〜Solid_6を組み合わせて、三次元モデルを生成する。ここで、Solid_2〜Solid_6は、被測定対象物1の面取り部に対応する平面要素Plane_5〜Plane_8を上方向(図中のz方向)に移動させることによってスイープ要素を生成し、上述したbooleanをsubstractに設定することによって生成しても良い。尚、三次元モデルは、一又は複数のスイープ要素のみから生成しても良いし、他の三次元モデル要素と組み合わせて生成しても良い。
【0043】
本実施の形態に係る三次元モデル生成方法においては、測定データに含まれる面要素を適宜選択して一又は複数の三次元モデル要素を生成し、この三次元モデル要素から、被測定対象物の三次元モデルを生成する。従ってユーザは、被測定対象物の形状に基づいて適宜選択操作を行うことにより、所望の形状を有し、測定データに基づいた正確な寸法を有する三次元モデルを、容易に生成することが出来る。
【0044】
また、スイープ要素は、スイープ基準平面、閉輪郭線群、スイープを行う方向及び距離を用いて表現される。従って、面要素データ等により表現された三次元モデルと比較して、修正や編集が容易である。
【0045】
[第2の実施の形態]
次に、
図9を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る三次元モデル生成方法について説明する。
図9は、本実施の形態に係る三次元モデル生成方法を説明するためのフローチャートである。
【0046】
本実施の形態に係る三次元モデル生成方法は、基本的には第1の実施の形態に係る方法と同様に行われるが、本実施の形態においては、
図5中のステップS102に示した、輪郭線を生成するステップが、第1の実施の形態と異なる。即ち、本実施の形態においては、
図9に示す通り、閉輪郭線群の生成に際して、測定データの中からスイープ基準平面と交差する面要素を抽出し(ステップS121)、輪郭線を一通りに決定することが出来るか否かを判定する(ステップS122)。輪郭線を一通りに決定することが出来る場合には、閉輪郭線群を自動生成する(ステップS123)。一方、輪郭線を一通りに決定することが出来ない場合には、上述した第2のリストL2を作成し(ステップS124)、入力装置5からの入力操作に応じて、輪郭線を生成する(ステップS125)。
【0047】
例えば、スイープ基準平面と交差する面要素が、互いに平行な平面要素の組2組(計4つの面要素)だけである場合、異なる角度の輪郭線を生成する3つの平面要素だけである場合、円筒面、円錐面や球面だけである場合等には、輪郭線を一通りに決定することが出来る。また、例えば三次元測定機2による測定の際に面要素が取得された方向等(例えば、プローブのタッチ方向等)を考慮して、候補となる面要素を絞り込む事も可能である。また、このような場合、輪郭線を一通りに決定することが出来なかった場合に、第2のリストL2に絞り込みの結果を反映しても良い。更に、第2のリストからある輪郭線を選択することによって、残りの輪郭線を一通りに決定することが出来るようになった場合に、閉輪郭線群を自動生成する様にしても良い。
【0048】
本実施の形態に係る三次元モデル生成方法においては、輪郭線を一通りに決定することが出来る場合には、閉輪郭線群を自動生成する。従って、三次元モデルを、より容易に生成することが出来る。また、誤って不適切な面要素を選択してしまうことを、回避することが出来る。
【0049】
また、本実施の形態に係る三次元モデル生成方法においては、輪郭線を一通りに決定することが出来なかった場合には、上述した第2のリストL2を作成する。従って、例えば被測定対象物1が、極めて複雑な形状を有していても、より容易に適切な面要素を選択することが出来る。
【0050】
[第3の実施の形態]
次に、
図10を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る三次元モデル生成方法について説明する。
図10は、本実施の形態に係る三次元モデル生成方法を説明するためのフローチャートである。
【0051】
本実施の形態に係る三次元モデル生成方法は、基本的には第1又は第2の実施の形態に係る方法と同様に行われるが、本実施の形態においては、
図5中のステップS103に示した、交点を生成するステップが、第1又は第2の実施の形態と異なる。即ち、本実施の形態においては、
図10に示す通り、閉輪郭線群の生成に際して、輪郭線の交点を抽出し(ステップS131)、交点を一通りに決定することが出来るか否かを判定する(ステップS132)。交点を一通りに決定することが出来る場合には、交点を自動生成する(ステップS133)。一方、交点を一通りに決定することが出来ない場合には、上述した第3のリストL3を作成し(ステップS134)、入力装置5からの入力操作に応じて、交点を生成する(ステップS135)。
【0052】
本実施の形態に係る三次元モデル生成方法においては、交点を一通りに決定することが出来る場合には、閉輪郭線群を自動生成する。従って、三次元モデルを、より容易に生成することが出来る。
【0053】
また、本実施の形態に係る三次元モデル生成方法においては、交点を一通りに決定することが出来なかった場合には、上述した第3のリストL3を作成する。従って、例えば被測定対象物1が、極めて複雑な形状を有していても、より容易に適切な面要素を選択することが出来る。
【0054】
[第4の実施の形態]
次に、
図11〜
図17を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る三次元モデル生成方法について説明する。
図11は、本発明の第4の実施の形態に係る三次元モデル生成方法において、出力装置6に出力される映像の一例を示す図であり、右部分には生成された三次元モデル及びこの三次元モデルを生成する三次元モデル要素のうちの一つSolid_2が示されている。更に、左部分には、この三次元モデルを構成する三次元モデル要素、この三次元モデル要素を規定する面要素及びパラメータのリスト(フィーチャツリー)が示されている。尚、以下の説明において、上記第1〜第3の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0055】
図3を参照して説明した通り、上記第1〜第3の実施の形態においては、三次元モデル要素としてスイープ要素を使用する場合について例示した。
図11に示す通り、本実施の形態においては、三次元モデル要素として、スイープ要素に加え、カット要素を使用する。カット要素は、ある三次元形状を所定の平面又は曲面によって切断することによって三次元形状を表現するものである。また、カット要素は、切断される三次元形状である親モデル要素、この親モデル要素の切断面を規定するカット基準面(geometry)及び切断された後に消去される方向を示すカット方向等によって表現される。
【0056】
図11に示す通り、本実施の形態において、上記カット基準面は、測定データに含まれる面要素から選択される。また、上記親モデル要素は、例えばスイープ要素生成部71によって生成されたスイープ要素であっても良い。
図11に示した例においては、
図3に示したSolid_1を親モデルとして選択し、面要素Plane_5をカット基準面として選択することにより、カット要素Solid_2を生成している。
【0057】
次に、
図12を参照して、本実施の形態に係る三次元モデル要素生成部33について説明する。
図12は、本実施の形態に係る三次元モデル要素生成部33の構成を示すブロック図である。
図12に示す通り、本実施の形態においては、三次元モデル要素生成部33が、スイープ要素生成部71に加え、カット要素を生成するカット要素生成部72を含んでいる。
【0058】
カット要素生成部72中、親モデル要素選択部721は、スイープ要素生成部71によって生成されたスイープ要素を親モデル要素として選択する。また、親モデル要素選択部721は、親モデル要素の候補となるスイープ要素のリスト(第4のリスト)L4を作成して出力装置6に出力し、入力装置5からの入力に応じて親モデル要素を選択する。
【0059】
カット要素生成部72中、カット基準面選択部722は、測定データ中の面要素のうち、選択された親モデル要素と交差するものをカット基準面として選択する。また、カット基準面選択部722は、カット基準面の候補となる面要素のリスト(第5のリスト)L5を作成して出力装置6に出力し、入力装置5からの入力に応じてカット基準面を選択する。
【0060】
カット要素生成部72中、カット条件表示部723は、カット要素の生成に要する条件を出力装置6に表示する。例えば、カット条件表示部723は、カット方向を指定するための入力フォームF2を作成して出力装置6に出力し、入力装置5からの入力に基づいてカット方向を取得する。
【0061】
カット要素生成部72中、生成部724は、選択された親モデル要素、カット基準面及び入力装置5によって入力されたカット要素生成パラメータによってカット要素を生成する。
【0062】
次に、
図13〜
図17を参照して、本実施の形態に係る三次元モデル生成方法を説明する。
図13は、本実施の形態に係る三次元モデル生成方法を示すフローチャートである。
図14〜
図17は、三次元モデルの生成中において出力装置6に出力される映像の一例を示す図である。
【0063】
図13に示す通り、ステップS201においては、スイープ要素生成部71によって生成されたスイープ要素を親モデル要素として選択する。この際、親モデル要素の候補となるスイープ要素のリスト(第4のリスト)L4を作成して出力装置6に出力し、入力装置5からの入力に応じて親モデル要素を選択しても良い。尚、親モデル要素の候補となり得るスイープ要素が1つしかない場合には、このステップを省略しても良い。
【0064】
図13に示す通り、ステップS202においては、測定データ中の面要素のうち、選択された親モデル要素と交差するものをカット基準面として選択する。この際、
図14に示す通り、カット基準面の候補となる面要素のリスト(第5のリスト)L5を作成して出力装置6に出力し、入力装置5からの入力に応じてカット基準面を選択しても良い。また、親モデル要素及びリスト中の面要素の三次元画像を表示しても良い。
【0065】
図13に示す通り、ステップS203においては、カット方向を取得する。この際、
図15に示す通り、親モデル要素、カット基準面及びカット方向を表現する矢印等の画像I1を重ねた三次元画像を生成し、カット方向を指定するための入力フォームF2と共に出力装置6に出力し、入力装置5からの入力に基づいてカット方向を取得しても良い。
図15において、画像I1は、カット基準面に対して垂直な方向を示す矢印である。また、本実施の形態においては、入力フォームF2中に設けた逆方向ボタンを選択することによって矢印の向きを反転させ、切断された後に消去される方向を示すカット方向を視覚的に把握することが出来るようにしている。
【0066】
また、
図16に示す通り、例えばカット基準面が円筒面、円錐面、球面等であった場合には、カット方向を取得するステップS203において、切断された後に消去される方向がカット基準面の内側又は外側となる。この場合には、
図16に示す通り、カット方向を表現する画像I2は、カット基準面の内側又は外側を表現する複数の矢印としても良い。
【0067】
図13に示す通り、ステップS204においては、選択された親モデル要素、カット基準面及び入力装置5によって入力されたカット要素生成パラメータによってカット要素を生成する。
【0068】
図13に示す通り、ステップS205においては、親モデル要素や生成されたカット要素等を用いて三次元モデルを生成する。
図17に示す例においては、以上の様な方法によって複数のカット要素Solid_2〜Solid_6を生成し、1つのスイープ要素Solid_1と組み合わせることによって、被測定対象物1を表現する三次元モデルを生成している。尚、親モデル要素は、スイープ要素であっても良いし、他の三次元モデル要素であっても良い。このような三次元モデル生成方法においても、上記第1〜第3の実施の形態と同様の効果を奏することが可能である。
【0069】
[第5の実施の形態]
次に、
図18及び
図19を参照して、本発明の第5の実施の形態に係る三次元モデル生成方法について説明する。
図18は、本実施の形態に係る三次元モデル生成システム11を示すブロック図である。
図19は、本実施の形態に係る三次元モデル生成方法を示すフローチャートである。尚、以下の説明において、上記第1〜第4の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0070】
図18及び
図19に示す通り、本実施の形態に係る三次元モデル生成方法においては、測定データに基づいて、自動で第1の三次元モデルを生成し、出力装置6に表示する。このようにして自動で生成された第1の三次元モデルは、例えば一部のみ被測定対象物1と異なる形状になってしまう場合がある。ここで、このような形状の違いは、視認によって比較的容易に発見できる場合がある。従ってユーザは、自動で生成された第1の三次元モデルと被測定対象物1との形状を比較し、三次元モデル要素によって適宜第1の三次元モデルを修正することにより、所望の形状を有し、測定データに基づいた正確な寸法を有する第2の三次元モデルを、容易に生成することが出来る。
【0071】
図18に示す通り、本実施の形態に係る三次元モデル生成システム11は、第1の実施の形態に係る三次元モデル生成システム10とほぼ同様に構成されているが、測定データに含まれる面要素から面要素間の交差情報及び各面要素の輪郭情報を求めて、第1の三次元モデルを自動的に生成する第1の三次元モデル生成部73を更に有している。また、本実施の形態に係る三次元モデル生成システム11は、三次元モデル要素生成部33が、上述したスイープ要素生成部71及びカット要素生成部72を備えている。更に、本実施の形態に係る三次元モデル生成システム11は、スイープ要素やカット要素等によって第1の三次元モデルを修正し、第2の三次元モデルを生成する第2の三次元モデル生成部74を備えている。
【0072】
次に、
図19を参照して、本実施の形態に係る第1の三次元モデルの生成方法について説明する。本実施の形態においては、被測定対象物1の下面を測定していない。従って、まずは被測定対象物1の下面を表現する面要素を追加する(ステップS301)。この面要素としては基準面と同一の平面データを追加することが考えられる。次に、測定データ中の面要素を順次選択し(ステップS302)、選択された面要素に隣接する面要素又は面要素を隣接面要素として順次選択する(ステップS303)。次に、選択された面要素と隣接面要素との交線を例えばスイープ処理により求め、輪郭データ(例えばB−Reps)として定義する(ステップS304)。この際、定義した交線と交わる交線があった場合には、交線同士の交点も定義する。選択された面要素と隣接する全ての隣接面要素について上記ステップS302〜S303を繰り返し行い(ステップS305)、更に同様の操作を全ての面要素について行う(ステップS306)。
【0073】
[第6の実施の形態]
次に、
図20及び
図21を参照して、本発明の第6の実施の形態に係る三次元モデル生成方法について説明する。
図20は、本実施の形態に係る三次元モデル生成システム12を示すブロック図である。尚、以下の説明において、上記第1〜第5の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0074】
図20に示す通り、本実施の形態に係る三次元モデル生成システム12は、基本的には第1の実施の形態に係る三次元モデル生成システム10と同様に構成されているが、面要素の傾きを修整する誤差修正部32を備えている。尚、以下において、被測定対象物1を設置した面を基準面、基準面と垂直な直線を基準軸とする。
【0075】
図21は、誤差修正部32を示すブロック図である。
図21に示す通り、誤差修正部32は、インポート部31を介して入力された測定データ中の面要素から、順次一つの面要素を選択する面要素選択部321と、選択された面要素の傾いている角度を判定する角度判定部322と、同面要素の存在幅を判定する幅判定部323と、これら判定の結果に応じて同面要素の傾きを修正する修正部324とを備えている。
【0076】
角度判定部322は、選択された面要素が平面要素である場合、そのジオメトリ値から特定される平面と上記基準面とのなす角度誤差が角度判定データΔθth(指定値)以下であるか否かを判定する角度判定を行い、この面要素が円筒面要素、円錐面要素、トーラス面要素等の場合、そのジオメトリ値から特定される中心軸と上記基準軸とのなす角度誤差が角度判定データΔθth以下であるか否かを判定する角度判定を行う。角度判定の結果、角度誤差が所定の角度判定データΔθth以下である場合には、修正値として角度誤差データΔθkを出力する。
【0077】
幅判定部323は、選択された面要素のジオメトリ値によって特定される平面又は曲面を基準にして測定点群データの存在幅を判定する。測定点群データの存在幅による判定は、面要素が平面要素である場合には、測定点群データを面要素のジオメトリ値によって特定された面要素に投影した領域について行い、面要素が円筒要素又は円錐要素である場合には、測定点群データを面要素のジオメトリ値によって特定された面要素の軸に投影した領域について行う。測定点群データの存在幅は、ジオメトリ値によって特定された面要素から各測定点までの法線方向の距離によって表される。幅判定部323は、測定点群データの存在幅が幅判定データΔWth(指定値)以下であるか否かを判定し、その幅判定結果として修正可否データを出力する。尚、上記角度判定データΔθth及び幅判定データΔWthは入力装置5から予め指定することができる。
【0078】
修正部324は、上記角度判定及び幅判定において、共に誤差が指定値以下であると判定された場合、角度誤差Δθkを取得し、この角度誤差Δθkの分だけ面要素を修正し、修正面要素を出力する。その結果、面要素が表す面が、基準面と同一、平行又は垂直に揃えられるか、又は面要素の中心軸が基準軸と同一、平行又は垂直に揃えられる。角度判定において角度誤差が角度判定データΔθthよりも大きいと判定され、又は幅判定において存在幅が幅判定データΔWthよりも大きいと判定された場合には、面要素についての修正を行わない。
【0079】
この様な方法によれば、誤差が修正されて正確な三次元モデルの生成が可能になると共に、設計により意図的な傾きを与えた面を誤差と誤って認識して修正してしまう様な事態を防止することが可能である。