特許第6469493号(P6469493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6469493電圧変換装置、及び電圧変換装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469493
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】電圧変換装置、及び電圧変換装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20190204BHJP
【FI】
   H02M3/155 P
   H02M3/155 F
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-62739(P2015-62739)
(22)【出願日】2015年3月25日
(65)【公開番号】特開2016-184987(P2016-184987A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】奥寺 暁大
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−219240(JP,A)
【文献】 特開2010−098869(JP,A)
【文献】 特開2009−303347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子を駆動してインダクタに誘導電圧を発生させることにより、入力電圧を所定の出力電圧に変換する電圧変換回路と、
前記スイッチング素子の制御端子に駆動電圧を出力して、前記スイッチング素子を所定のタイミングで駆動させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
パルス状の電圧を出力するパルス電圧出力部と、
前記パルス電圧出力部から出力された電圧のパルス幅を短くし、前記駆動電圧として前記スイッチング素子に出力するパルス幅可変部と、
前記パルス電圧出力部が出力したパルス状の電圧を前記駆動電圧として前記スイッチング素子に出力する第1出力経路、または、前記パルス幅可変部によりパルス幅を短くしたパルス状の電圧を前記駆動電圧として前記スイッチング素子に出力する第2出力経路に切り替える出力経路切替部と、
前記入力電圧と前記所定の出力電圧との入出力電圧差を算出する電圧差算出部とを有し、
前記出力経路切替部は、前記入出力電圧差が閾値以下の場合に、前記第2出力経路に切り替えることを特徴とする電圧変換装置。
【請求項2】
スイッチング素子を駆動してインダクタに誘導電圧を発生させることにより、入力電圧を所定の出力電圧に変換する電圧変換回路と、
前記スイッチング素子の制御端子に駆動電圧を出力して、前記スイッチング素子を所定のタイミングで駆動させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
パルス状の電圧を出力するパルス電圧出力部と、
前記パルス電圧出力部から出力された電圧のパルス幅を短くし、前記駆動電圧として前記スイッチング素子に出力するパルス幅可変部と、
前記パルス電圧出力部が出力したパルス状の電圧を前記駆動電圧として前記スイッチング素子に出力する第1出力経路、または、前記パルス幅可変部によりパルス幅を短くしたパルス状の電圧を前記駆動電圧として前記スイッチング素子に出力する第2出力経路に切り替える出力経路切替部と、
前記パルス電圧出力部が出力したパルス状の電圧のパルス幅を算出するパルス幅算出部とを有し、
前記出力経路切替部は、前記算出したパルス幅が閾値以下の場合に、前記第2出力経路に切り替えることを特徴とする電圧変換装置。
【請求項3】
前記出力経路切替部は、前記第1出力経路または前記第2出力経路に切り替えるリレー回路を有することを特徴とする請求項1または2記載の電圧変換装置。
【請求項4】
スイッチング素子を駆動してインダクタに誘導電圧を発生させることにより、入力電圧を所定の出力電圧に変換する電圧変換回路と、
前記スイッチング素子の制御端子に駆動電圧を出力して、前記スイッチング素子を所定のタイミングで駆動させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
パルス状の電圧を出力するパルス電圧出力部と、
前記パルス電圧出力部から出力された電圧のパルス幅を短くし、前記駆動電圧として前記スイッチング素子に出力するパルス幅可変部とを有し、
前記電圧変換回路は、2以上のスイッチング素子を、各スイッチング素子に対応する位相ごとに駆動することで入力電圧を所定の出力電圧に変換し、
前記制御部は、前記2以上のスイッチング素子のうち、少なくとも1つの位相に対応するスイッチング素子に、前記パルス幅可変部によりパルス幅を短くした電圧を前記駆動電圧として出力することを特徴とする電圧変換装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記2以上のスイッチング素子のうち、前記パルス幅可変部から駆動電圧を出力するスイッチング素子以外の1以上のスイッチング素子に対して、駆動電圧の出力を停止することを特徴とする請求項記載の電圧変換装置。
【請求項6】
スイッチング素子を駆動してインダクタに誘導電圧を発生させることにより、入力電圧を所定の出力電圧に変換する電圧変換回路と、
前記スイッチング素子の制御端子に駆動電圧を出力して、前記スイッチング素子を所定のタイミングで駆動させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
パルス状の電圧を出力するパルス電圧出力部と、
前記パルス電圧出力部から出力された電圧のパルス幅を短くし、前記駆動電圧として前記スイッチング素子に出力するパルス幅可変部と、
前記パルス電圧出力部が出力した電圧の振幅を変化させる振幅可変部を有することを特徴とする電圧変換装置。
【請求項7】
スイッチング素子を駆動してインダクタに誘導電圧を発生させることにより、入力電圧を所定の出力電圧に変換する電圧変換回路と、
前記スイッチング素子の制御端子に駆動電圧を出力して、前記スイッチング素子を所定のタイミングで駆動させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
パルス状の電圧を出力するパルス電圧出力部と、
前記パルス電圧出力部から出力された電圧のパルス幅を短くし、前記駆動電圧として前記スイッチング素子に出力するパルス幅可変部とを有し、
前記電圧変換回路は、前記スイッチング素子の電源電圧を変化させる電源電圧可変部をさらに有することを特徴とする電圧変換装置。
【請求項8】
スイッチング素子を駆動してインダクタに誘導電圧を発生させることにより、入力電圧を所定の出力電圧に変換する電圧変換回路の制御方法において、
パルス状の電圧を出力する第1ステップと、
前記出力されたパルス状の電圧のパルス幅を短くし、駆動電圧としてスイッチング素子の制御端子に印加して、前記スイッチング素子を所定のタイミングで駆動させる第2ステップと、
前記第1ステップで出力したパルス状の電圧を前記駆動電圧として前記スイッチング素子に出力する第1出力経路、または、前記第2ステップでパルス幅を短くしたパルス状の電圧を前記駆動電圧として前記スイッチング素子に出力する第2出力経路に切り替える第3ステップと、
前記入力電圧と前記所定の出力電圧との入出力電圧差を算出する第4ステップとを有し、
前記第3ステップは、前記入出力電圧差が閾値以下の場合に、前記第2出力経路に切り替えるステップを含む
ことを特徴とする電圧変換装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばDCDCコンバータなど、入力電圧を所定の出力電圧に変換する電源変換装置、及び電源変換装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング素子を駆動してインダクタに誘導電圧を発生させることにより、バッテリの電圧を昇圧したり降圧したりして出力するスイッチング方式の電源変換装置が一般的に用いられている。例えば、自動車のアイドリングストップからのエンジン再始動時などにおいては、バッテリの電圧降下を補償するため、パルス幅変調(PWM)の駆動電圧によりスイッチング素子を駆動するDCDCコンバータが用いられている。このようなDCDCコンバータでは、エンジン再始動時はバッテリ電圧を早く昇圧させるためデューティ比を大きくするが、バッテリ電圧が回復して定常状態に近づいてくると、デューティ比を小さくして微小な電圧昇圧が必要となる。
【0003】
PWMで駆動電圧を制御する場合に設定できる最小デューティ比、つまり最小パルス幅に限界がある場合は、例えば、特許文献1には、DCDCコンバータの動作モードパルススキップモードに変更することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−57469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載のように、パルススキップモードによって微小昇圧動作を行った場合では、パルス幅を変えずにパルス周期を長くする、つまり、1パルスによる昇圧を大きくするため、出力電圧に発生するリップルが増大するという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、例えば微小に昇圧または降圧する低負荷動作時においても出力電圧波形に生じるリップルが抑制された電圧を出力可能な電圧変換装置、及び、その制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電圧変換装置は、スイッチング素子を駆動してインダクタに誘導電圧を発生させることにより、入力電圧を所定の出力電圧に変換する電圧変換回路と、前記スイッチング素子の制御端子に駆動電圧を出力して、前記スイッチング素子を所定のタイミングで駆動させる制御部と、を備え、前記制御部は、パルス状の電圧を出力するパルス電圧出力部と、前記パルス電圧出力部から出力された電圧のパルス幅を短くし、前記駆動電圧として前記スイッチング素子に出力するパルス幅可変部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、パルス電圧出力部から出力可能な最小パルス幅と比べて更に短いパルス幅の電圧により、スイッチング素子を駆動することができる。つまり、微小に昇圧または降圧する軽負荷動作時において、リップルを抑制しながら、入力電圧を所定の出力電圧に変圧して出力することができる。
【0009】
本発明の好ましい態様に係る電圧変換装置は、前記制御部が、前記パルス電圧出力部が出力したパルス状の電圧を前記駆動電圧として前記スイッチング素子に出力する第1出力経路、または、前記パルス幅可変部によりパルス幅を短くしたパルス状の電圧を前記駆動電圧として前記スイッチング素子に出力する第2出力経路に切り替える出力経路切替部をさらに有することを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、第1出力経路または第2出力経路に切り替えることにより、幅広いパルス幅の電圧をスイッチング素子の駆動電圧として出力することができる。これにより、軽負荷動作時でのリップルの発生を抑制しつつ、電圧変換回路で昇圧または降圧可能なダイナミックレンジをできるだけ広くすることができる。
【0011】
本発明の好ましい態様に係る電圧変換装置は、前記出力経路切替部が、前記第1出力経路または前記第2出力経路に切り替えるリレー回路を有することを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、電圧変換回路の負荷状態に応じて第1及び第2出力経路を自律的に切り替えることで、出力経路切替専用のマイクロプロセッサを別途設ける必要がないため、装置規模の増大を抑えることができる。
【0013】
本発明の好ましい態様に係る電圧変換装置は、前記制御部が、前記入力電圧と前記所定の出力電圧との入出力電圧差を算出する電圧差算出部をさらに有し、前記出力経路切替部は、前記入出力電圧差が閾値以下の場合に、前記第2出力経路に切り替えることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、入出力電圧差が閾値以下の場合には、電圧変換回路が重負荷動作から軽負荷動作時に遷移したものとして、パルス幅の短い電圧をスイッチング素子の駆動電圧として出力することができる。
【0015】
本発明の好ましい態様に係る電圧変換装置は、前記制御部が、前記パルス電圧出力部が出力したパルス状の電圧のパルス幅を算出するパルス幅算出部をさらに有し、前記出力経路切替部は、前記算出したパルス幅が閾値以下の場合に、前記第2出力経路に切り替えることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、パルス電圧出力部が出力した電圧のパルス幅が閾値以下の場合には、電圧変換回路が重負荷動作から軽負荷動作時に遷移したものとして、パルス幅の短い電圧をスイッチング素子の駆動電圧として出力することができる。
【0017】
本発明の好ましい態様に係る電圧変換装置は、前記電圧変換回路が、2以上のスイッチング素子を、各スイッチング素子に対応する位相ごとに駆動することで入力電圧を所定の出力電圧に変換し、前記制御部は、前記2以上のスイッチング素子のうち、少なくとも1つの位相に対応するスイッチング素子に、前記パルス幅可変部によりパルス幅を短くした電圧を前記駆動電圧として出力することを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、例えば2相以上のマルチフェーズタイプの電圧変換処理において、任意のフェーズ(相)に対応するスイッチング素子を、他のフェーズに比べてより短いパルス幅の電圧により駆動させることができる。
【0019】
本発明の好ましい態様に係る電圧変換装置は、前記制御部が、前記2以上のスイッチング素子のうち、前記パルス幅可変部から駆動電圧を出力するスイッチング素子以外の1以上のスイッチング素子に対して、駆動電圧の出力を停止することを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、例えば2相以上のマルチフェーズタイプの電圧変換処理において、任意のフェーズ(相)に対応するスイッチング素子を、他のフェーズに比べて短いパルス幅の電圧により駆動させ、当該他のフェーズについてはスイッチング素子の動作を停止することができる。このようにして1以上のスイッチング素子の動作を停止することにより、リップルの発生を抑制しながら、より微小な電圧変換を行うことができる。
【0021】
本発明の好ましい態様に係る電圧変換装置は、前記制御部が、前記パルス電圧出力部が出力した電圧の振幅を変化させる振幅可変部をさらに有することを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、パルス振幅を変化させることで、スイッチング素子の駆動電流を制御して、スイッチング素子を緩やかにONにすることができ、リップルの発生を抑制することができる。
【0023】
本発明の好ましい態様に係る電圧変換装置は、前記電圧変換回路が、前記スイッチング素子の電源電圧を変化させる電源電圧可変部をさらに有することを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、スイッチング素子の電源電圧を変化させることで、より微小な動作範囲でスイッチング素子を動作させることができ、リップルの発生を抑制することができる。
【0025】
本発明は、上述した電圧変換装置に限定されず、当該電圧変換装置の制御方法として捉えることも可能である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、例えば微小に昇圧または降圧する軽負荷動作時においても出力電圧波形に生じるリップルが抑制された電圧を出力可能な電圧変換装置、及び、その制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態に係るDCDCコンバータの回路構成を示す図である。
図2】パルス幅可変部の動作を説明するための波形図である。
図3】アイドリングストップ車に搭載されるバッテリの電圧変動について説明するための図である。
図4】第2実施形態に係るDCDCコンバータの機能構成を示すブロック図である。
図5】第1出力経路で出力可能なパルス幅の範囲と、第2出力経路で出力可能なパルス幅の範囲を示した図である。
図6】第2実施形態に係るDCDCコンバータの機能を実現する具体的な回路構成を示す図である。
図7】第2実施形態に係るDCDCコンバータを用いて、アイドリングストップ車に搭載されるバッテリの電圧を補償する処理について説明するためのフローチャートである。
図8】第2実施形態の第1変形例に係るDCDCコンバータの機能を実現する具体的な回路構成を示す図である。
図9】第2実施形態の第2変形例に係るDCDCコンバータの機能を実現する具体的な回路構成を示す図である。
図10】第3実施形態に係るDCDCコンバータの機能を実現する具体的な回路構成を示す図である。
図11】第3実施形態に係るDCDCコンバータで行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を実施するための形態(以下、本実施形態という。)について具体例を示して説明する。本発明は、スイッチング素子を駆動してインダクタに誘導電圧を発生させることにより、入力電圧を所定の出力電圧に変換する電源変換装置に関する。
【0029】
(1)第1実施形態
第1実施形態では、本発明が適用された電源変換装置の具体例として、図1に示すような、入力端子111と出力端子112とが絶縁されていない非絶縁型のDCDCコンバータ1aの構成について説明する。
【0030】
DCDCコンバータ1は、図1に示すように、入力端子111に印加された直流入力電圧を所定の直流出力電圧に昇圧して出力端子112から出力するため、電圧変換回路120と、制御部130とを備える。
【0031】
具体的に、電圧変換回路120は、チョークコイル121と、スイッチング素子であるFET122と、逆流防止用ダイオード123と、平滑化コンデンサ124と、から構成される。チョークコイル121は、一端が入力端子111に接続され、他端がFET122のドレイン端子および逆流防止用ダイオード123のアノード側に接続されている。FET122は、ソース端子が接地されたNチャネルのMOSFETであって、ドレイン端子がチョークコイル121に接続され、ゲート端子が制御部130のバッファアンプ134に接続されている。逆流防止用ダイオード123は、アノード側がチョークコイル121およびFET122のドレイン端子に接続され、カソード側が平滑化コンデンサ124および出力端子112に接続されている。
【0032】
上記の接続関係からなる電圧変換回路120は、FET122によるオンオフ動作に応じてチョークコイル121に流れる電流を変化させて誘導電圧を発生させる。そして、電圧変換回路120は、誘導電圧によって入力電圧を変圧した出力電圧を、逆流防止用ダイオード123を介して平滑化コンデンサ124で平滑化して出力端子112から出力する。
【0033】
制御部130は、FET122のオンオフ動作を制御するため、パルス電圧出力部131と、ローパスフィルタ132と、ダイオード133と、バッファアンプ134とから構成される。
【0034】
パルス電圧出力部131は、出力端子112と直列に接続された2つの抵抗素子131a、131bからなる分圧回路を有し、出力端子112の出力電圧を分圧で変換して検出する。また、パルス電圧出力部131は、入力端子111と接続されており、例えば入力電圧と出力電圧との差に応じてパルス幅変調した電圧をローパスフィルタ132側に出力する。
【0035】
ローパスフィルタ132は、抵抗素子132Rとコンデンサ132Cとから構成される。抵抗素子132Rは、一端が接続点Aを介してパルス電圧出力部131に接続され、他端が接続点Bを介してコンデンサ132Cおよびバッファアンプ134に接続されている。
【0036】
ダイオード133は、アノード側が接続点Bに接続され、カソード側が接続点Aに接続されている。
【0037】
バッファアンプ134は、接続点Bの電圧をバッファしてFET122の駆動電圧として出力する。
【0038】
上記の接続関係からなる制御部130では、ローパスフィルタ132、ダイオード133およびバッファアンプ134が、パルス電圧出力部131から出力された電圧のパルス幅を短くするパルス幅可変部13aとして機能する。接続点A〜Cの電圧波形を図2に示す。まず、図2(A)は、パルス電圧出力部131から最小パルス幅dminよりも大きいパルス幅(通常パルス幅)の電圧を出力したときの、接続点A〜Cの電圧波形である。また、図2(B)は、パルス電圧出力部131から最小パルス幅dminの電圧を出力したときの、接続点A〜Cの電圧波形である。図2(A)及び図2(B)から明らかなように、接続点Aの電圧波形に対して、周波数の高い成分がローパスフィルタ132で除去されることにより接続点Bの電圧波形はパルスの立ち上がり部分が緩やかになることから、接続点Aの電圧波形と比較して接続点Cの電圧はパルス幅が短くなる。
【0039】
したがって、図2(B)に着目すれば、最小パルス幅dminよりも小さいパルス幅の電圧を、接続点CからFET122の駆動電圧として出力することができる。このようにしてパルス幅が短くなるように調整できるため、電圧変換回路120が微小に入力電圧を昇圧する軽負荷動作時において、リップルを抑制しながら入力電圧を出力電圧に変圧して出力することができる。
【0040】
上述したリップルの抑制を実現する具体例として、アイドリングストップ車の搭載バッテリの電圧を補償する用途として、DCDCコンバータ1を適用した適用例を挙げて説明する。まず、アイドリングストップ車に搭載されるバッテリの電圧は、エンジン再始動期間T0に降下するため、図3(A)の破線Vin301で示す当該電圧降下の期間に、バッテリの電圧を昇圧して実線Vout301の波形で出力することを要する。実際には図3(A)のように一様に電圧が降下せず、図3(B)の波形Vin302に示すように、エンジン始動が始まった瞬間にバッテリ電圧が一気に降下し、その後バッテリー電圧が徐々に回復する。このようにバッテリ電圧の立ち上がる時間(回復時間)は立ち下がり時間に比べ長いため、入力電圧が閾値電圧Vth以上であるが要求出力(12V)以下である期間(軽負荷期間TL)が発生する。この特性は車両ならではのもので、バッテリーの劣化具合によっては立ち上がり時間(回復時間)がさらに長くなる。バッテリーの劣化具合によってはバッテリー電圧が要求出力以上まで回復できず、エンジン再始動前から昇圧しなければならない場合もある。
【0041】
ここで、上記の軽負荷動作期間TLでは、入力電圧に対して微小に昇圧することが要求され、例えばパルス電圧出力部131の最小パルス幅dminの電圧でFET122を駆動した場合には、リップルが発生し得る。一方、本実施形態に係るDCDCコンバータ1は、微小な昇圧が要求される軽負荷動作期間TLにおいて、最小パルス幅dminよりも小さいパルス幅の駆動電圧でFET122を駆動することができるため、軽負荷動作期間TLで発生し得るリップルを抑制しながら、入力電圧を出力電圧に変圧して出力することができる。
【0042】
(2)第2実施形態
(2−1)全体構成
第2実施形態に係るDCDCコンバータ1bについて図4を用いて説明する。図4は、DCDCコンバータ1bの構成を模式的に示したブロック図である。つまり、DCDCコンバータ1bでは、制御部130が、パルス電圧出力部131と、パルス幅可変部13aと、パルス振幅可変部135と、入出力電圧差検出部136と、出力経路切替部137とを有する。第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、以下では、パルス振幅可変部135、入出力電圧差検出部136および出力経路切替部137について説明する。
【0043】
パルス振幅可変部135は、パルス幅可変部13aから出力される電圧の振幅値を変化させて、FET122の駆動電圧として出力する。
【0044】
入出力電圧差算出部136は、入力端子111に入力される入力電圧と、出力端子112から出力される出力電圧との入出力電圧差を算出して、当該算出結果を出力経路切替部137に出力する。
【0045】
出力経路切替部137は、入出力電圧差算出部136による算出結果に応じて、第1出力経路又は第2出力経路に切り替える。ここで、第1出力経路は、パルス電圧出力部131が出力したパルス状の電圧を、パルス幅可変部13aおよびパルス振幅可変部135を介さずに、FET122の駆動電圧として直接出力する経路である。また、第2出力経路は、パルス幅可変部13aによりパルス幅を短くしたパルス状の電圧をFET122の駆動電圧として出力する経路である。上述した図3の例に当てはめれば、出力経路切替部137は、入出力電圧差が所定の閾値以上である場合には、軽負荷期間ではなく、比較的大きなパルス幅の駆動電圧でFET122を駆動させる必要があるものとして、第1出力経路に切り替える。一方、出力経路切替部137は、入出力電圧差が所定の閾値以下である場合には、軽負荷期間であり、比較的小さなパルス幅の駆動電圧でFET122を駆動させる必要があるものとして、第2出力経路に切り替える。図5は、横軸にパルス幅Wを示し、縦軸に第1出力経路および第2出力経路それぞれについて出力可能なパルス幅の出力可能範囲W1、W2を示した図である。まず、第1出力経路の出力可能範囲W1は、パルス電圧出力部131の最小パルス幅dminから最大パルス幅dmaxまでの範囲となる。一方、第2出力経路では、出力可能範囲W2に示すとおり、パルス電圧出力部131の最小パルス幅dminよりも短いパルス幅で出力できるが、パルス電圧出力部131の最大パルス幅dmaxに近い領域のパルス幅で出力することができない。このような図5に示す出力可能範囲W1、W2から明らかなように、第1出力経路と第2出力経路とのうち一の出力経路に切り替えることにより、幅広いパルス幅の電圧をスイッチング素子の駆動電圧として出力することができる。つまり、軽負荷動作時でのリップルの発生を抑制しつつ、重負荷動作時にはより大きく昇圧することができる。つまり、変圧可能なダイナミックレンジをできるだけ広く確保することができる。
【0046】
上述したDCDCコンバータ1bの機能を実現する具体的な回路構成について、図6を参照して説明する。なお、図1で説明した構成については同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0047】
パルス振幅可変部135は、図6に示すような、可変抵抗素子135aと、ローパスフィルタ132の抵抗素子132Rとからなる分圧回路によって実現される。つまり、可変抵抗素子135aに応じて分圧比を調整することで、接続点CからFET122に出力される電圧の振幅値を変化させる。このようにして電圧の振幅値を変化させることにより、スイッチング素子(FET122)の駆動電流を制御して、スイッチング素子(FET122)を緩やかにONにすることができ、リップルの発生を抑制することができる。
【0048】
入出力電圧差検出部136は、図6に示すように、出力端子112から出力される出力電圧を、入力端子111から接続点Dを介して入力した入力電圧で減算して出力する減算器136aによって実現される。減算器136aの出力(入出力電圧差)は、後述する比較器137bに入力される。
【0049】
出力経路切替部137は、閾値電圧源137aと、閾値電圧源137aの閾値電圧と入出力電圧差とを比較する比較器137bと、比較器137bによる出力値に応じて第1又は第2出力経路に切り替えるリレー回路137cと、によって実現される。例えば比較器137bは、入出力電圧差が閾値電圧を超えた場合、「0」の論理出力をしてリレー回路137cを第1出力経路側に切り替える。一方、入出力電圧差が閾値電圧以下の場合、「1」の論理出力をしてリレー回路137cを第2出力経路側に切り替える。このような構成からなる出力経路切替部137は、電圧変換回路120の動作状態である入出力差に応じて、リレー回路137cが第1及び第2出力経路を自律的に切り替えることで、出力経路の切替専用のマイクロプロセッサを別途設ける必要がないため、装置規模の増大を抑えることができる。
【0050】
次に、DCDCコンバータ1bを用いて、アイドリングストップ車の搭載バッテリの電圧を補償する処理について、図7に示すフローチャートに従って説明する。
【0051】
ステップS701において、アイドリングストップからエンジンの始動を開始した場合(S701:Yes)にはステップS702に進み、エンジンの始動が開始しない場合(S701:No)には図7に示す処理を終了する。
【0052】
ステップS702において、出力経路切替部137は、第2出力経路に切り替えて、FET122を制御する。つまり、パルス幅可変部13aがパルス幅を短くした電圧をFET122の駆動電圧として出力する。
【0053】
ステップS703において、エンジン始動が終了した場合(S703:Yes)には図7に示す処理を終了する。エンジン始動が終了していない場合(S703:No)にはステップS704に進む。
【0054】
ステップS704において、出力切替部137は、電圧変換回路120が軽負荷状態であるか否かを判断する。具体的には、入出力電圧差検出部136が検出した入出力電圧差が閾値電圧以下であるか否かを比較器137bで判断する。そして、入出力電圧差が閾値電圧以下である場合(S704:Yes)にはステップS702に戻る。一方、入出力電圧差が閾値電圧以下ではない場合(S704:No)、つまり、入出力電圧差が閾値電圧を超えている場合にはステップS705に進む。
【0055】
ステップS705において、出力切替部137は、第1出力経路に切り替えて、FET122を制御する。つまり、パルス幅可変部13aおよびパルス振幅可変部135を介さずに、パルス電圧出力部131から出力された電圧を直接FET122の駆動電圧として出力する。
【0056】
ステップS706において、エンジン始動が終了した場合(S706:Yes)には図7に示す処理を終了する。エンジン始動が終了していない場合(S706:No)にはステップS704に戻る。
【0057】
上記図7に示す処理によれば、入出力電圧差が閾値を超えていれば重負荷動作とみなし、第1出力経路に切り替えてパルス電圧出力部131から出力された比較的長いパルス幅の駆動電圧でFET122を駆動することができる。一方、入出力電圧差が閾値以下の場合には軽負荷動作とみなし、パルス幅可変部13aがパルス幅を短くした駆動電圧によりスイッチング素子を駆動することができる。
【0058】
(2−2)変形例
なお、DCDCコンバータ1bは、上述した図6に示した構成に限らず、たとえば図8に示すように、電圧変換回路120が、チョークコイル121とFET122のドレイン端子との間に接続される可変インダクタ125を備えてもよい。可変インダクタ125は、FET122のドレイン電圧、すなわちFET122の電源電圧を変化させる電源電圧可変部として機能する。このようにしてFET122の電源電圧を変化させることで、より微小な動作範囲でFET122を動作させることができ、リップルの発生を抑制することができる。
【0059】
また、DCDCコンバータ1bは、上述した図6及び図8に示した構成に限らず、たとえば図9(A)に示すような構成を採用してもよい。つまり、DCDCコンバータ1bは、入出力電圧差検出部136の代わりに、図9(A)に示すように、パルス電圧出力部131から出力された電圧のパルス幅を算出するパルス幅検出部138を備えてもよい。パルス幅算出部138は、たとえばパルス電圧出力部131の出力電圧のパルス幅を実効平均電圧に変換して算出するため、ダイオード138aとコンデンサ138bとから構成される。ダイオード138aは、アノード側がパルス電圧出力部131に接続され、カソード側がコンデンサ138bに接続される。コンデンサ138bは、ダイオード138aを介してパルス電圧出力部131から出力された電圧を平均化し、実効平均電圧を出力経路切換部137の比較器137bに印加する。ここで、パルス電圧出力部131の出力電圧のパルス幅の変化に応じた実効平均電圧の変化を図9(B)に示す。図9(B)から明らかなように、パルス幅Widthが大きくなるほど実効平均電圧Vaが大きくなるため、パルス幅Widthを実効平均電圧Vaに変換して算出することができる。
【0060】
出力経路切替部137では、比較器137bが、パルス幅算出部138により算出した実効平均電圧Vaと閾値電圧とを比較して、リレー回路137cが、比較器137bによる出力値に応じて第1又は第2出力経路に切り替える。例えば比較器137bは、実効平均電圧Vaが閾値電圧を超えた場合、すなわち、パルス電圧出力部131の出力電圧のパルス幅が所定値よりも大きい場合、「0」を論理出力してリレー回路137cを第1出力経路側に切り替える。一方、実効平均電圧が閾値電圧以下の場合、すなわち、パルス電圧出力部131の出力電圧のパルス幅が所定値以下の場合、「1」を論理出力してリレー回路137cを第2出力経路側に切り替える。
【0061】
上記図9(A)に示した構成によれば、パルス電圧出力部131が出力した電圧のパルス幅が閾値以下の場合には、電圧変換回路120が軽負荷動作時であるものとして、パルス幅の短い電圧をスイッチング素子の駆動電圧として出力することができる。一方、パルス電圧出力部131が出力した電圧のパルス幅が閾値を超えている場合には、電圧変換回路120が重負荷動作時であるものとして、パルス電圧出力部131から出力される比較的パルス幅が長い電圧を直接FET122の駆動電圧として出力することができる。
【0062】
(3)第3実施形態
第3実施形態に係るDCDCコンバータ1cについて、図10を参照して説明する。DCDCコンバータ1cは、2以上のスイッチング素子を、対応する位相(フェーズ)ごとに駆動することで入力電圧を所定の出力電圧に変換するため、電圧変換回路220と制御部230とを備える。
【0063】
具体的に、電圧変換回路220は、上述した第1実施形態の電圧変換回路120と同様の構成に加えて、チョークコイル221と、スイッチング素子であるFET222と、逆流防止用ダイオード223と、をさらに有する。チョークコイル221は、一端が入力端子111に接続され、他端がFET222のドレイン端子および逆流防止用ダイオード223のアノード側に接続されている。FET222は、ソース端子が接地されたNチャネルのMOSFETであって、ドレイン端子がチョークコイル221に接続され、ゲート端子が後述するパルス電圧出力部231に接続されている。逆流防止用ダイオード223は、アノード側がチョークコイル221に接続され、カソード側が平滑化コンデンサ124および出力端子112に接続されている。
【0064】
上記の接続関係からなる制御部230では、FET122、222がそれぞれ異なるフェーズ、具体的には位相が180度異なるタイミングでオンオフ動作をすることにより、チョークコイル121、221がそれぞれ独立して入力電圧を変圧した出力電圧を出力端子112に出力する。
【0065】
制御部230は、パルス電圧出力部231と、パルス振幅部13aとを有する。パルス電圧出力部231は、位相が180度異なる電圧Gate1、Gate2を、パルス幅可変部13aおよびFET222のゲート端子に出力する。
【0066】
次に、DCDCコンバータ1cを用いて、アイドリングストップ車に搭載されるバッテリの電圧を補償する処理について、図11に示すフローチャートに従って説明する。
【0067】
ステップS1101において、アイドリングストップからエンジンの始動を開始した場合(S1101:Yes)にはステップS1102に進み、エンジンの始動が開始しない場合(S1101:No)には図11に示す処理を終了する。
【0068】
ステップS1102において、パルス電圧出力部231は、マルチフェーズでFET122、222を制御して、ステップS1103に進む。つまり、本ステップにおいて、パルス電圧出力部231は、異なるフェーズで電圧Gate1、2をそれぞれ出力する。そして、電圧Gate1は、パルス幅可変部13aでパルス幅を短くしてFET122に出力する。一方、電圧Gate2は、パルス幅を短くすることなく直接FET222に出力する。
【0069】
ステップS1103において、エンジン始動が終了した場合(S1103:Yes)には図11に示す処理を終了する。エンジン始動が終了していない場合(S1103:No)にはステップS1104に進む。
【0070】
ステップS1104において、パルス電圧出力部231は、入力電圧の電圧値に応じて電圧変換回路220が軽負荷であるか否かを判断する。そして、電圧変換回路220が軽負荷である場合(S1104:Yes)、例えば入力電圧が閾値を超えており微小な昇圧動作が必要な場合にはステップS1102に戻る。一方、電圧変換回路220が軽負荷ではない場合(S1104:No)、例えば入力電圧が閾値以下で比較的大きな昇圧動作が必要な場合にはステップS1105に進む。
【0071】
ステップS1105において、制御部230は、FET222への駆動電圧の出力を停止して、FET122のみに駆動電圧を出力する。具体的には、制御部230は、FET122のみに対して、パルス幅可変部13aによりパルス幅を短くした電圧を駆動電圧として駆動させる。
【0072】
ステップS1106において、エンジン始動が終了した場合(S1106:Yes)には図11に示す処理を終了する。エンジン始動が終了していない場合(S1106:No)にはステップS1104に戻る。
【0073】
上記図11に示す処理によれば、上述したように2相のマルチフェーズタイプの電圧変換処理において、一のフェーズ(位相)に対応するFET122を、他のフェーズ(位相)に対応するFET222に比べてより短いパルス幅の電圧により駆動させることができる。
【0074】
さらに、上記図11に示す処理によれば、2つのスイッチング素子のうち、パルス幅可変部から駆動電圧を出力するスイッチング素子(FET122)以外のスイッチング素子(FET222)に対して、駆動電圧の出力を停止する。例えば2相のマルチフェーズタイプの電圧変換処理において、一のフェーズ(位相)に対応するスイッチング素子(FET122)を短いパルス幅の電圧により駆動させ、他のフェーズに対応するスイッチング素子(FET222)に対して動作を停止する。このような処理により、リップルの発生を抑制しながら、より微小な電圧変換を行うことができる。
【0075】
なお、第3実施形態では、2相のマルチフェーズとしたが、これに限らず、3つ、4つのスイッチング素子を設けて、それぞれ異なる相に分けて動作させてもよい。つまり、2以上のスイッチング素子のうち、少なくとも1つの位相に対応付けられたスイッチング素子に、パルス幅可変部によりパルス幅を短くした電圧を駆動電圧として出力し、その他のスイッチング素子に対して、駆動電圧の出力を停止してもよい。
【0076】
(4)その他
本発明が適用される電圧変換装置は、上述した昇圧型DCDCコンバータに限らず、降圧型DCDCコンバータに適用することができる。また、本発明が適用される電圧変換装置は、スイッチング素子を駆動してインダクタに誘導電圧を発生させ入力電圧を所定の出力電圧に変換するものであれば、上記の実施形態で説明した非絶縁型のDCDCコンバータに限らず、例えば、入力端子と出力端子とがトランスを介して絶縁された絶縁型DCDCコンバータにも適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
120 電圧変換回路
121、221 チョークコイル
122、222 FET
130、230 制御部
131、231 パルス電圧出力部
13a パルス幅可変部
図1
図2
図3
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図5
図6
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図8
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図11