(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属窒化層を形成する工程を行う回数と、前記金属炭窒化層を形成する工程を行う回数と、の比を制御して前記金属炭窒化膜に含まれる炭素濃度を5%以上40%以下とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
前記金属窒化層を形成する工程を行う回数と、前記金属炭窒化層を形成する工程を行う回数と、の比を制御して前記金属炭窒化膜に含まれる炭素濃度を5%以上30%以下とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
前記金属窒化層を形成する工程を行う回数と、前記金属炭窒化層を形成する工程を行う回数とを制御して、前記金属炭窒化膜の膜厚が5〜30nmとする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
前記金属元素は、チタン、タンタル、タングステン、コバルト、イットリウム、ルテニウム、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、モリブデンのいずれである請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
高いドライエッチング耐性を備えた膜を形成して薄膜化を促進しつつ、要求される厚さを有する膜を形成する際の成膜レートを向上させるために、発明者らは鋭意研究を行った。その結果、ハードマスクとして用いられる膜(例えばチタン窒化膜(TiN膜)等)に、ドライエッチング時に用いられるエッチングガスに含まれるハロゲン化物と結合し難い性質を有する元素(例えば炭素(C)等)を添加することにより、膜のドライエッチング耐性が向上することを見出した。さらに、膜中のC濃度を調整することにより、膜のドライエッチング耐性をチューニングすることができることを見出した。例えば、膜中のC濃度を高くすればするほど膜のドライエッチング耐性は高くなり、膜中のC濃度を低くすればするほど膜のドライエッチング耐性は低くなる。Cを添加したTiN膜をTiCN膜、Ti(C)N膜、CドープドTiN膜等と称する。
【0010】
Cを添加する手法としては、膜を形成する際のチタン含有原料として、Cを含む有機系チタン含有原料と非有機系(例えば無機系)チタン含有原料を用いて膜を形成する。有機系チタン含有原料と非有機系チタン含有原料の供給回数の比、供給方法等を変えることにより、膜中のC濃度を調整することが可能となる。また、発明者らは、窒化ガスと、有機系チタン含有原料と非有機系チタン含有原料とのいずれか片方のみを用いてTiN膜もしくはTiCN膜を形成した場合と比較して、両方を用いてTiCN膜を形成した場合の方が成膜レートを速くすることができることを見出した。
【0011】
このように、ドライエッチング時に用いられるエッチングガスに含まれるハロゲン化物と結合し難い性質を有する元素を膜に添加することにより、膜のドライエッチング耐性を向上させることが可能となり、ハロゲン化物と結合し難い性質を有する元素を膜に添加する手法として、ハロゲン化物と結合し難い性質を有する元素を含む原料と含まない原料とを組み合わせて添加することにより、膜の成膜レートを向上させることが可能となる。詳細は以下に説明する。
【0012】
<本発明の第1の実施形態>
以下、本発明の好適な第1の実施形態について
図1〜3を用いて説明する。基板処理装置10は、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程である基板処理工程において使用される装置の一例として構成されている。
【0013】
(1)処理炉の構成
図1に示すように、処理炉202は加熱手段(加熱機構)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0014】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応容器(処理容器)を構成する反応管203が配設されている。反応管203は耐熱性材料(例えば石英(SiO
2)または炭化シリコン(SiC)等)からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。処理室201は、基板としてのウエハ200を後述するボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
【0015】
処理室201内には、ノズル410,420,430がマニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル410,420,430には、ガス供給ラインとしてのガス供給管310,320,330が、それぞれ接続されている。このように、反応管203には3本のノズル410,420,430と、3本のガス供給管310,320,330とが設けられており、処理室201内へ複数種類のガス(処理ガス、原料)を供給することができるように構成されている。
【0016】
ただし、本実施形態の処理炉202は上述の形態に限定されない。例えば、反応管203の下方に、反応管203を支持する金属製のマニホールドを設け、各ノズルを、マニホー ルドの側壁を貫通するように設けてもよい。この場合、マニホールドに、後述する排気管231をさらに設けてもよい。この場合であっても、排気管231を、マニホールドではなく、反応管203の下部に設けてもよい。このように、処理炉202の炉口部を金属製とし、この金属製の炉口部にノズル等を取り付けてもよい。
【0017】
ガス供給管310,320,330には上流側から順に流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)312,322,332および開閉弁であるバルブ314,324,334が設けられている。ガス供給管310,320,330のバルブ314,324,334より下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管510,520,530がそれぞれ接続されている。ガス供給管510,520,530には、上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるMFC512,522,523および開閉弁であるバルブ514,524,534が設けられている。
【0018】
ガス供給管310,320,330の先端部にはノズル410,420,430が連結接続されている。ノズル410,420,430は、L字型のロングノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル410,420,430の垂直部は、反応管203の内壁とウエハ200との間に形成される円環状の空間に、反応管203の内壁に沿って上方(ウエハ200の積載方向上方)に向かって立ち上がるように(つまりウエハ配列領域の一端側から他端側に向かって立ち上がるように)設けられている。すなわち、ノズル410,420,430は、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。
【0019】
ノズル410,420,430の側面にはガスを供給する(噴出させる)ガス供給孔410a,420a,430aが設けられている。ガス供給孔410a,420a,430aは反応管203の中心を向くように開口している。このガス供給孔410a,420a,430aは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれ同一の開口面積を有し、さらに同じ開口ピッチで設けられている。ただし、ガス供給孔410a,420a,430aは上述の形態に限定されない。例えば、反応管203の下部から上部に向かって開口面積を徐々に大きくしてもよい。これにより、ガス供給孔410a,420a,430aから供給されるガスの流量を均一化することが可能となる。
【0020】
このように、本実施形態では、反応管203の内壁と複数枚のウエハ200の端部とで形成される円環状の縦長の空間内、すなわち、円筒状の空間内に配置したノズル410,420,430を経由してガスを搬送している。そして、ノズル410,420,430にそれぞれ開口されたガス供給孔410a,420a,430aから、ウエハ200の近傍で初めて反応管203内にガスを噴出させている。そして、反応管203内におけるガスの主たる流れを、ウエハ200の表面と平行な方向、すなわち、水平方向としている。このような構成とすることで、各ウエハ200に均一にガスを供給でき、各ウエハ200に形成される薄膜の膜厚均一性を向上させることが可能となる。ウエハ200の表面上を 流れたガス、すなわち、反応後の残ガスは、排気口、すなわち、後述する排気管231の方向に向かって流れる。但し、この残ガスの流れの方向は、排気口の位置によって適宜特定され、垂直方向に限ったものではない。
【0021】
ガス供給管310からは、処理ガスとして、金属元素を含み、かつ炭素(C)を含まない第1の原料ガス(第1の金属含有ガス)が、MFC312,バルブ314,ノズル410を介して処理室201内に供給される。第1の原料としては、例えば、金属元素としてのチタン(Ti)を含み、かつ炭素(C)非含有の金属原料、すなわち、無機金属系原料(無機金属化合物)であって、ハロゲン系原料(ハロゲン化物、ハロゲン系チタン原料とも称する)としての四塩化チタン(TiCl
4)が用いられる。Tiは遷移金属元素に分類される。また、ハロゲン系原料とはハロゲン基を含む原料である。ハロゲン基には、クロロ基、フルオロ基、ブロモ基、ヨード基等が含まれる。すなわち、ハロゲン基には、塩素(Cl)、フッ素(F)、臭素(Br)、ヨウ素(I)等のハロゲン元素が含まれる。本明細書において「原料」という言葉を用いた場合は、「液体状態である液体原料」を意味する場合、「気体状態である原料ガス」を意味する場合、または、その両方を意味する場合がある。
【0022】
ガス供給管320からは、処理ガスとして、金属元素およびCを含む第2の原料ガス(第2の金属含有ガス)が、MFC322,バルブ324,ノズル420を介して処理室201内に供給される。第2の原料としては、例えば、金属元素としてのTiを含み、かつCを含む(C含有)金属原料、すなわち、有機系原料(有機金属化合物、有機系チタン原料)としてのテトラキスジメチルアミノチタン(TDMAT、Ti[N(CH
3)
2]
4)が用いられる。
【0023】
ガス供給管330からは、処理ガスとして、窒素(N)を含む反応ガス(リアクタント)としてのN含有ガスが、MFC332,バルブ334,ノズル430を介して処理室201内に供給される。N含有ガスとしては、金属元素非含有のN含有ガス、例えば、アンモニア(NH
3)ガスを用いることができる。
【0024】
ガス供給管510,520,530からは、不活性ガスとして、例えば窒素(N
2)ガスが、それぞれMFC512,522,532,バルブ514,524,534,ノズル410,420,430を介して処理室201内に供給される。ガス供給管510,520,530から供給する不活性ガスは、後述する基板処理工程において、パージガス、希釈ガス、或いは、キャリアガスとして作用する。
【0025】
処理ガスとしてTiCl
4やTDMATのように常温常圧下で液体状態である化合物を用いる場合は、液体状態のTiCl
4やTDMATを気化器やバブラ等の気化システムにより気化して、TiCl
4ガスやTDMATガスとして処理室201内に供給することとなる。
【0026】
主に、ガス供給管310,320,330,MFC312,322,332,バルブ314,324,334により処理ガス供給系が構成される。ノズル410,420,430を処理ガス供給系に含めて考えてもよい。処理ガス供給系を、単にガス供給系と称することもできる。
【0027】
ガス供給管310,320から上述のような原料ガスとしての金属含有ガスを流す場合、主に、ガス供給管310,320,MFC312,322,バルブ314,324により原料ガス供給系としての金属含有ガス供給系が構成される。ノズル410,420を原料ガス供給系に含めて考えてもよい。原料ガス供給系を原料供給系と称することもできる。
【0028】
ガス供給管310から原料ガスとして無機金属系原料ガスを流す場合、主に、ガス供給管310,MFC312,バルブ314により無機金属系原料ガス供給系が構成される。ノズル410を無機金属原料ガス供給系に含めて考えてもよい。無機金属系原料ガス供給系を無機金属系原料供給系と称することもできる。無機金属系原料ガスとしてハロゲン系原料ガスを流す場合、無機金属系原料ガス供給系をハロゲン系原料ガス供給系と称することもできる。ハロゲン系原料ガス供給系をハロゲン系原料供給系と称することもできる。ガス供給管310からTiCl
4ガスを流す場合、ハロゲン系原料ガス供給系をTiCl
4ガス供給系と称することもできる。TiCl
4ガス供給系をTiCl
4供給系と称することもできる。
【0029】
ガス供給管320から原料ガスとして有機系原料ガスを流す場合、主に、ガス供給管320,MFC322,バルブ324により有機系原料ガス供給系が構成される。ノズル420を有機系原料ガス供給系に含めて考えてもよい。有機系原料ガス供給系を有機系原料供給系と称することもできる。ガス供給管320からTDMATガスを流す場合、有機系原料ガス供給系をTDMATガス供給系と称することもできる。TDMATガス供給系をTDMAT供給系と称することもできる。
【0030】
ガス供給管330から反応ガスとしてのN含有ガスを流す場合、主に、ガス供給管330,MFC332,バルブ334により反応ガス供給系としてのN含有ガス供給系が構成される。ノズル430を反応ガス供給系に含めて考えてもよい。ガス供給管330からNH
3ガスを流す場合、反応ガス供給系をNH
3ガス供給系と称することもできる。反応ガス供給系をNH
3供給系と称することもできる。
【0031】
また、主に、ガス供給管510,520,530,MFC512,522,523,バルブ514,524,534により不活性ガスキャリアガス供給系が構成される。不活性ガス供給系をキャリアガス供給系と称することもできる。この不活性ガスは、パージガスとしても作用することから不活性ガス供給系をパージガス供給系と称することもできる。
【0032】
反応管203には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されているバルブである。主に、排気管231、APCバルブ244、圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0033】
反応管203の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、反応管203の下端に垂直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、反応管203の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。シールキャップ219の処理室201と反対側には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201内外に搬入および搬出することが可能なように構成されている。すなわち、ボートエレベータ115は、ボート217すなわちウエハ200を、処理室201内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
【0034】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25〜200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる断熱板218が水平姿勢で多段に支持されている。この構成により、ヒータ207からの熱がシールキャップ219側に伝わりにくくなっている。ただし、本実施形態は上述の形態に限定されない。例えば、ボート217の下部に断熱板218を設けずに、石英やSiC等の耐熱性材料からなる筒状の部材として構成された断熱筒を設けてもよい。
【0035】
反応管203内には温度検出器としての温度センサ263が設置されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電量を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、ノズル410,420,430と同様にL字型に構成されており、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0036】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a,RAM(Random Access Memory)121b,記憶装置121c,I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b,記憶装置121c,I/Oポート121dは、内部バスを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0037】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0038】
I/Oポート121dは、上述のMFC312,322,332,512,522,532、バルブ314,324,334,514,524,534、APCバルブ243、圧力センサ245、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
【0039】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したプロセスレシピに従って、MFC312,322,332,512,522,532による各種ガスの流量調整動作、バルブ314,324,334,514,524,534の開閉動作、APCバルブ243の開閉動作およびAPCバルブ243による圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
【0040】
コントローラ121は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123を用意し、この外部記憶装置123を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態のコントローラ121を構成することができる。但し、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置123を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置123を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0041】
(2)基板処理工程(成膜工程)
半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に、ハードマスクとして金属膜を形成する工程の一例について説明する。金属膜を形成する工程は、上述した基板処理装置10の処理炉202を用いて実行される。以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0042】
本実施形態について、
図4を用いて説明する。本実施形態の好適な成膜シーケンス(単にシーケンスとも称する)は、ウエハ200に対して、第1の元素である金属元素(例えばTi)を含むハロゲン系原料ガス(例えばTiCl
4ガス)を供給する工程と、上記ウエハ200に対して、第2の元素(例えば窒素(N))を含み、上記第1の元素と反応する反応ガス(例えばNH
3ガス)を供給する工程と、を時分割(非同期、間欠的、パルス的に)して,所定回数(N
1回)行うことにより、上記ウエハ200上に、上記第1の元素および上記第2の元素を含む第1の層(例えばTiN層)を形成する工程と、上記ウエハ200に対して、上記第1の元素および第3の元素(例えば炭素(C))を含む有機系原料ガス(例えばTDMATガス)を供給する工程と、上記ウエハ200に対して、上記反応ガスを供給する工程と、を時分割して所定回数(N
2回)行うことで、上記ウエハ200上に、上記第1の元素および上記第2の元素を含む第2の層を形成する工程と、を時分割して所定回数(N
3回)行うことにより、上記基板上に上記第1〜3の元素を含む薄膜(例えばチタン窒化膜(TiCN膜))を形成する工程を有する。
【0043】
本明細書では、上述のシーケンスを、以下のように示すこともある。
【0044】
((TiCl
4→NH
3)×n
1→(TDMAT→NH
3)×n
2)×n
3⇒TiCN
【0045】
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合、すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。
【0046】
従って、本明細書において「ウエハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等に対して、すなわち、積層体としてのウエハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合がある。また、本明細書において「ウエハ上に所定の層(または膜)を形成する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)上に所定の層(または膜)を直接形成する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としてのウエハの最表面の上に所定の層(または膜)を形成する」ことを意味する場合がある。
【0047】
また、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同様であり、その場合、上記説明において、「ウエハ」を「基板」に置き換えて考えればよい。
【0048】
また、本明細書において金属膜という用語は、金属原子を含む導電性の物質で構成される膜を意味し、これには、導電性の金属窒化膜(メタルナイトライド膜)、導電性の金属酸化膜(メタルオキサイド膜)、導電性の金属酸窒化膜(メタルオキシナイトライド膜)、導電性の金属複合膜、導電性の金属合金膜、導電性の金属シリサイド膜(メタルシリサイド膜)、導電性の金属炭化膜(メタルカーバイド膜)、導電性の金属炭窒化膜(メタルカーボナイトライド膜)等が含まれる。なお、TiCN膜(チタン窒化膜)は導電性の金属窒化膜である。
【0049】
(ウエハチャージおよびボートロード)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、
図1に示されているように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介して反応管203の下端開口を閉塞した状態となる。
【0050】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ243がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。続いて、回転機構267によりボート217およびウエハ200の回転を開始する。回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転は、少なくとも、ウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0051】
(TiN層形成ステップ)
続いて、第1の層としてのTiN層を形成するステップを実行する。TiN層形成ステップは、以下に説明するハロゲン系原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、N含有ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップを含む。
【0052】
(ハロゲン系原料ガス供給ステップ)
バルブ314を開き、ガス供給管310内にハロゲン系原料であるTiCl
4ガスを流す。ガス供給管310内を流れたTiCl
4ガスは、MFC312により流量調整される。流量調整されたTiCl
4ガスは、ノズル410のガス供給孔410aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してTiCl
4ガスが供給されることとなる。すなわちウエハ200の表面はTiCl
4ガスに暴露されることとなる。このとき同時にバルブ514を開き、ガス供給管510内にN
2ガス等の不活性ガスを流す。ガス供給管510内を流れたN
2ガスは、MFC512により流量調整される。流量調整されたN
2ガスはTiCl
4ガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。なお、このとき、ノズル420、ノズル430内へのTiCl
4ガスの侵入を防止するために、バルブ524、534を開き、ガス供給管520、ガス供給管530内にN
2ガスを流す。N
2ガスは、ガス供給管320、ガス供給管330、ノズル420、ノズル430を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0053】
このときAPCバルブ243を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1〜70000Paの範囲内の(所定の)圧力であって、好ましくは1〜1333Paの範囲内の(所定の)圧力であり、より好ましくは20〜50Paの範囲内の(所定の)圧力とする。圧力が1Paより低いと成膜レートが低くなりすぎる可能性があり、圧力が70000Paより高いと後述する残留ガス除去ステップで十分に残留ガスを除去することができずTiN層中に不純物が取り込まれてTiCN膜の抵抗が高くなってしまう可能性がある。なお、本明細書では、数値の範囲として、例えば1〜70000Paと記載した場合は、1Pa以上70000Pa以下を意味する。すなわち、数値の範囲内には1Paおよび70000Paが含まれる。圧力のみならず、流量、時間、温度等、本明細書に記載される全ての数値について同様である。
【0054】
MFC312で制御するTiCl
4ガスの供給流量は、例えば0.001〜10slmの範囲内の(の)所定流量であって、好ましくは0.15〜2slmの範囲内の(の)所定流量であり、より好ましくは0.3〜0.6slmの範囲内の(の)所定流量とする。流量が0.001slmより少ないと成膜レートが低くなりすぎる可能性があり、流量が10slmより多いとTiN層中に不純物としてClが取り込まれる量が多くなりTiCN膜の抵抗が高くなってしまう可能性がある。
【0055】
MFC512,522,532で制御するN
2ガスの供給流量は、それぞれ例えば0.001〜20slmの範囲内の(の)所定流量であって、好ましくは5〜15slmの範囲内の(の)所定流量であり、より好ましくは6〜8slmの範囲内の(の)所定流量とする。流量が0.001slmより少ないとTiN層中に不純物としてClが取り込まれる量が多くなりTiCN膜の抵抗が高くなってしまう可能性があり、流量が20slmより多いと成膜レートが低くなりすぎる可能性がある。
【0056】
TiCl
4ガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば0.01〜120秒の範囲内の(所定の)時間であって、好ましくは1〜30秒の範囲内の(所定の)時間であり、より好ましくは2〜4秒の範囲内の(所定の)時間とする。供給時間が0.01秒より短いと成膜レートが低くなりすぎる可能性があり、供給時間が120秒より長いとTiN層中に不純物としてClが取り込まれる量が多くなりTiCN膜の抵抗が高くなってしまう可能性がある。
【0057】
ヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば200〜600℃の範囲内の(所定の)温度、好ましくは300〜550℃の範囲内の(所定の)温度、より好ましくは360〜400℃の範囲内の(所定の)温度となるよう設定する。温度が200℃より低いと成膜レートが低くなりすぎる可能性があり、温度が600℃より高いとサーマルバジェットの影響が大きくなってしまう可能性がある。
【0058】
上述の条件下でウエハ200に対してTiCl
4ガスを供給することにより、ウエハ200(表面の下地膜)上に、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚さの第1のTi含有層が形成される。第1のTi含有層は、Ti単体からなるTi単体層であってもよいし、Clを含むTi層であってもよいし、TiCl
4の吸着層であってもよいし、それらの複合層であってもよい。
【0059】
Clを含むTi層とは、Tiにより構成されClを含む連続的な層の他、不連続な層や、これらが重なってできるClを含むTi薄膜をも含む総称である。Tiにより構成されClを含む連続的な層を、Clを含むTi薄膜という場合もある。Clを含むTi層を構成するTiは、Clとの結合が完全に切れていないものの他、Clとの結合が完全に切れているものも含む。
【0060】
TiCl
4の吸着層は、TiCl
4分子で構成される連続的な吸着層の他、不連続な吸着層をも含む。すなわち、TiCl
4の吸着層は、TiCl
4分子で構成される1分子層もしくは1分子層未満の厚さの吸着層を含む。TiCl
4の吸着層を構成するTiCl
4分子は、TiとClとの結合が一部切れたものも含む。すなわち、TiCl
4の吸着層は、TiCl
4の物理吸着層であってもよいし、TiCl
4の化学吸着層であってもよいし、その両方を含んでいてもよい。ただし、上述の処理条件下では、ウエハ200上へのTiCl
4の物理吸着よりも化学吸着の方が優勢となる。
【0061】
ここで、1原子層未満の厚さの層とは不連続に形成される原子層のことを意味しており、1原子層の厚さの層とは連続的に形成される原子層のことを意味している。1分子層未満の厚さの層とは不連続に形成される分子層のことを意味しており、1分子層の厚さの層とは連続的に形成される分子層のことを意味している。第1のTi含有層は、Ti単体層、Clを含むTi層、TiCl
4の吸着層のそれぞれを含み得る。ただし、上述の通り、Clを含むTi含有層については「1原子層」、「数原子層」等の表現を用いて表すこととする。この点は後述の例についても同様である。
【0062】
(残留ガス除去ステップ)
第1のTi含有層が形成された後、バルブ314を閉じ、TiCl
4ガスの供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは第1のTi含有層形成に寄与した後のTiCl
4ガスを処理室201内から排除する。すなわち、第1のTi含有層が形成されたウエハ200が存在する空間に残留する未反応もしくは第1のTi含有層の形成に寄与した後のTiCl
4ガスを除去する。このときバルブ514,524,534は開いたままとして、N
2ガスの処理室201内への供給を維持する。N
2ガスはパージガスとして作用し、処理室201内に残留する未反応もしくは第1のTi含有層形成に寄与した後のTiCl
4ガスを処理室201内から排除する効果を高めることができる。
【0063】
このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その後に行われるステップにおいて悪影響が生じることはない。処理室201内に供給するN
2ガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管203(処理室201)の容積と同程度の量を供給することで、その後のステップにおいて悪影響が生じない程度のパージを行なうことができる。このように、処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。また、N
2ガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0064】
(N含有ガス供給ステップ)
処理室201内の残留ガスを除去した後、バルブ334を開き、ガス供給管330内にN含有ガスであるNH
3ガスを流す。ガス供給管330内を流れたNH
3ガスは、MFC332により流量調整される。流量調整されたNH
3ガスは、ノズル430のガス供給孔430aから処理室201内に供給される。処理室201内に供給されたNH
3ガスは、排気管231から排気される。このときウエハ200に対して、熱で活性化されたNH
3ガスが供給されることとなる。すなわちウエハ200の表面はNH
3ガスに暴露されることとなる。このとき同時にバルブ534を開き、ガス供給管530内にN
2ガスを流す。ガス供給管530内を流れたN
2ガスは、MFC532により流量調整される。N
2ガスはNH
3ガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ノズル410,420内へのNH
3ガスの侵入を防止するために、バルブ514,524を開き、ガス供給管510,520内にN
2ガスを流す。N
2ガスは、ガス供給管310,320,ノズル410,ノズル420を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0065】
NH
3ガスを流すときは、APCバルブ243を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例え0.01〜70000Paの範囲内の(所定の)圧力であって、好ましくは1〜1330Paの範囲内の(所定の)圧力であり、より好ましくは50〜100Paの範囲内の(所定の)圧力とする。圧力が0.01Paより低いと成膜レートが低くなりすぎる可能性があり、圧力が70000Paより高いと後述する残留ガス除去ステップで十分に残留ガスを除去することができない可能性が有る。
【0066】
MFC332で制御するNH
3ガスの供給流量は、例えば0.1〜20slmの範囲内の(所定の)流量であって、好ましくは0.3〜10slmの範囲内の(所定の)流量であり、より好ましくは1〜8slmの範囲内の(所定の)流量とする。流量が0.1slmより少ないとウエハ200上に形成された第1のTi含有層と十分に反応できず、TiN層中に許容量以上のClが残留しTiCN膜の抵抗が高くなってしまう可能性があり、流量が20slmより多いと後述する残留ガス除去ステップで十分に残留ガスを除去することができない可能性が有る。
【0067】
MFC512,522,532で制御するN
2ガスの供給流量は、それぞれ例えば0.2〜20slmの範囲内の(所定の)流量であって、好ましくは0.4〜15slmの範囲内の(所定の)流量であり、より好ましくは0.4〜7.5slmの範囲内の(所定の)流量とする。流量が0.2slmよりNH
3ガスが十分にウエハ200へ供給されない可能性があり、流量が20slmより多いと成膜レートが低くなりすぎる可能性がある。
【0068】
NH
3ガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば0.001〜300秒の範囲内の(所定の)時間、好ましくは0.005〜60秒の範囲内の(所定の)時間、より好ましくは10〜25秒の範囲内の(所定の)時間とする。供給時間が0.001秒より短いとウエハ200上に形成された第1のTi含有層と十分に反応できず、TiN層中に許容量以上のClが残留しTiCN膜の抵抗が高くなってしまう可能性があり、供給時間が300秒より長いとスループットが悪化する可能性がある。
【0069】
ヒータ207の温度は、ハロゲン系原料ガス供給ステップと同様の温度に設定する。
【0070】
上述の条件下でウエハ200に対してNH
3ガスを供給することにより、ハロゲン系原料ガス供給ステップでウエハ200上に形成された第1のTi含有層の少なくとも一部が窒化(改質、置換反応)する。第1のTi含有層が窒化されることで、ウエハ200上に、Ti,Nを含む第1の層であるTiN層が形成されることとなる。
【0071】
(残留ガス除去ステップ)
TiN層を形成した後、バルブ334を閉じて、NH
3ガスの供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくはTiN層の形成に寄与した後のNH
3ガスや反応副生成物を処理室201内から排除する。このときバルブ514,524,534は開いたままとして、N
2ガスの処理室201内への供給を維持する。N
2ガスはパージガスとして作用し、処理室201内に残留する未反応もしくはTiN層の形成に寄与した後のNH
3ガスや反応副生成物を処理室201内から排除する効果を高めることができる。
【0072】
このとき、ハロゲン系原料ガス供給ステップ後の残留ガス除去ステップと同様に、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。
【0073】
(所定回数実施)
上記したハロゲン系原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、N含有ガス供給ステップ、残留ガス供給ステップを順に時分割して行うサイクルを1回以上(所定回数)行うことにより、すなわち、ハロゲン系原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、N含有ガス供給ステップ、残留ガス供給ステップの処理を1サイクルとして、これらの処理をn
1サイクル(n
1は1以上の整数)だけ実行することにより、ウエハ200上に、所定の厚さのTiN層(第1の層)を形成する。
【0074】
上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。サイクルを複数回行う場合、少なくとも2サイクル目以降の各ステップにおいて、「ウエハ200に対してガスを供給する」と記載した部分は、「ウエハ200上に形成されている層に対して、すなわち、積層体としてのウエハ200の最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味し、「ウエハ200上に所定の層を形成する」と記載した部分は、「ウエハ200上に形成されている層の上、すなわち、積層体としてのウエハ200の最表面の上に所定の層を形成する」ことを意味している。この点は、後述する例においても同様である。
【0075】
(TiCN層形成ステップ)
続いて、第2の層としてのTiCN層を形成するステップを実行する。TiCN層形成ステップは、以下に説明する有機系原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、N含有ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップを含む。
【0076】
(有機系原料ガス供給ステップ)
バルブ324を開き、ガス供給管320内に有機系原料ガスであるTDMATガスを流す。ガス供給管320内を流れたTDMATガスは、MFC322により流量調整される。流量調整されたTDMATガスは、ノズル420のガス供給孔420aから処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このときウエハ200に対してTDMATガスが供給されることとなる。すなわちウエハ200の表面はTDMATガスに暴露されることとなる。このとき同時にバルブ524を開き、ガス供給管520内にN
2ガスを流す。ガス供給管520内を流れたN
2ガスは、MFC522により流量調整される。流量調整されたN
2ガスはTDMATガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。なお、このとき、ノズル410,ノズル430内へのTDMATガスの侵入を防止するために、バルブ514,534を開き、ガス供給管510,ガス供給管530内にN
2ガスを流す。N
2ガスは、ガス供給管310,ガス供給管330,ノズル410,ノズル430を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0077】
このときAPCバルブ243を適正に調整して、処理室201内の圧力を、ステップ11と同様、例えば1〜10000Paの範囲内の(所定の)圧力であって、好ましくは1〜500Paの範囲内の(所定の)圧力であり、より好ましくは40〜60Paの範囲内の(所定の)圧力とする。圧力が1Paより低いと成膜レートが低くなりすぎる可能性があり、圧力が1000Paより高いと後述する残留ガス除去ステップで十分に残留ガスを除去できず、許容量以上の反応副生成物が第2の層中に取り込まれてしまう可能性がある。
【0078】
MFC322で制御するTDMATガスの供給流量は、例えば0.001〜3slmの範囲内の(所定の)流量であって、好ましくは0.001〜1slmの範囲内の(所定の)流量であり、より好ましくは0.001〜0.002slmの範囲内の(所定の)流量とする。流量が0.001slmより少ないと成膜レートが低くなりすぎる可能性があり、流量が3slmより多いと第2の層中に許容量以上の反応副生成物が取り込まれてしまう可能性がある。上述の範囲内であれば、流量を多くすればするほどTiCN層に取り込まれるCの濃度が高くなるため、ドライエッチング耐性が向上する。所望のドライエッチング耐性の度合いに応じてTDMATガスの供給流量を変えるとよい。
【0079】
MFC512,522,532で制御するN
2ガスの供給流量は、それぞれ例えば0.2〜20slmの範囲内の(所定の)流量であって、好ましくは0.4〜15slmの範囲内の(所定の)流量であり、より好ましくは0.3〜0.6slmの範囲内の(所定の)流量とする。流量が0.2slmより少ないと第2の層中に許容量以上の反応副生成物が取り込まれてしまう可能性があり、流量が20slmより多いと成膜レートが低くなりすぎる可能性がある。
【0080】
TDMATガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば0.1〜120秒の範囲内の(所定の)時間、好ましくは0.5〜30秒の範囲内の(所定の)時間、より好ましくは8〜12秒の範囲内の(所定の)時間とする。供給時間が0.1秒より短いと成膜レートが低くなりすぎる可能性があり、供給時間が120秒より長いと第2の層中に許容量以上の反応副生成物が取り込まれてしまう可能性がある。
【0081】
このときのヒータ207の温度は、ハロゲン系原料ガス供給ステップと同様の温度に設定する。上述の条件下でウエハ200に対してTDMATガスを供給することにより、ウエハ200(表面の下地膜、ここではTiN層)上に、第2のTi含有層が形成される。
【0082】
第2のTi含有層は、Ti単一原子のみを含むTi層となること場合もあるが、各原料由来のその他の原子を含む場合も多く、TDEATガスを用いる有機系原料ガス供給ステップでは、C,N,Hが含まれることが多い。したがって、第2のTi含有層はTDEATの堆積層であるTDEAT層を含む。TDEAT層は、TDEAT分子で構成される堆積層を含む。TDEAT層を構成するTDEAT分子は、C,N,Hの結合が一部切れたものも含む。
【0083】
上述の処理室201内の圧力およびヒータ207の温度では、TDEAT分子はウエハ200上に飽和吸着しない場合が多いため、TDEATガス供給時の処理室内の圧力およびヒータの温度を同じにした場合であっても、TDEATガスの供給流量および供給時間を変える(調整、制御、コントロール)することによって、ウエハ200上に堆積する第2のTi含有層の膜厚を制御(調整、変調、チューニング、コントロール)することが可能となる。すなわち、TDEATガスの供給流量および供給時間を変える(調整、制御、コントロール)することによって、ウエハ200上に堆積する第2のTi含有層に含まれるC,N,Hの原子濃度を制御(調整、変調、チューニング、コントロール)することができ、TiCN層の成膜レートを制御(調整、変調、チューニング、コントロール)することが可能となる。
【0084】
TDEATガスの供給流量を少なくした場合もしくはTDEATガスの供給時間を短くした場合には、ウエハ200上に1分子層未満の厚さの第2のTi含有層が形成される。第2のTi含有層を構成する主たる構成要素がTi単一原子のみの場合は、第2のTi含有層は1原子層未満の厚さを有すると言える。TDEATガスの供給流量を多くするにつれて、あるいはTDEATガスの供給時間を長くするにつれて、ウエハ200上に形成される第2のTi含有層の厚さは、1分子層から数分子層の厚さとなる。第2のTi含有層を構成する主たる構成要素がTi単一原子のみの場合は、第2のTi含有層は1原子層から数原子層の厚さとなると言える。
【0085】
(残留ガス除去ステップ)
その後、バルブ324を閉じてTDMATガスの供給を停止する。ハロゲン系原料ガス供給ステップ後の残留ガス除去ステップと同様の処理手順により、処理室201内、すなわち第2のTi含有層が形成されたウエハ200が存在する空間に残留する未反応もしくは上記した第2のTi含有層の形成に寄与した後のTDMATガスを処理室201内から排除する。このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよい点は、ハロゲン系原料ガス供給ステップ後の残留ガス除去ステップと同様である。
【0086】
(N含有ガス供給ステップ)
次に、前述のN含有ガス供給ステップと同様の処理手順、処理条件により、N含有ガスとしてNH
3ガスを処理室201内に供給する。上述の条件下でウエハ200に対してNH
3ガスを供給することにより、ウエハ200上に形成されたTi含有層の少なくとも一部とNH
3ガスとが置換反応する。置換反応の際には、Ti含有層に含まれるTiとNH
3ガスに含まれるNとが結合して、ウエハ200上にTi,C,Nを含むTiCN層が形成される。TiCN層は、Ti(C)N層、TiN層とも称する。
【0087】
(残留ガス除去ステップ)
続いて、前述のハロゲン系原料ガス供給ステップ後の残留ガス供給ステップと同様の処理により、処理室201内に残留する未反応もしくは上記したTiCN層の形成に寄与した後のNH
3ガスおよび副生成物を処理室201内から排除する。
【0088】
上記した有機系原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、N含有ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップを順に時分割して行うサイクルを1回以上(所定回数)行うことにより、すなわち、有機系原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、N含有ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップの処理を1サイクルとして、これらの処理をn
2サイクル(n
2は1以上の整数)だけ実行することにより、ウエハ200上に、所定の厚さ(例えば0.1〜10nm)のTiCN層(第2の層)を形成する。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0089】
(所定回数実施)
上述したTiN層(第1の層)を形成するステップと、上述したTiCN層(第2の層)を形成するステップとを、時分割してn
3回(n
3は1以上の整数)だけ実行することにより、ウエハ200上に、TiN層とTiCN層とが交互に積層されてなる積層膜として構成される所定の厚さのTiCN膜を形成する。TiCN膜の厚さは、5〜30nmの範囲内の(所定の)厚さであって、好ましくは5〜20nmの範囲内の(所定の)厚さであり、より好ましくは5〜10nmの範囲内の(所定の)厚さとする。TiCN膜の厚さが5nm未満となると、エッチング耐性が低くなりすぎエッチング中にTiCN膜が無くなってしまいハードマスクとしての機能を果たさなくなる可能性があり、TiCN膜の厚さが30nmを超えると、加工性の問題によりパターンを基板に対して垂直に加工することが困難となる可能性がある。TiCN膜の厚さは要求されるTiCN膜の性質に影響がない範囲の誤差を含む。上述のステップは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0090】
ここで、TiN層を形成するステップを行う回数(上述のn
1回)と、TiCN層を形成するステップを行う回数(上述のn
2回)により、最終的に形成されるTiN膜に含まれる元素Cの割合を調整することができる。すなわち、金属元素としてチタンを含む金属含有ガスとして、ハロゲン系原料ガスであるTiCl
4ガスを用いる回数(上述のn
1回)と、有機系原料ガスであるTDMATガスを用いる回数(上述のn
2回)を調整することにより、最終的に形成されるTiN膜に含まれる各原料由来の元素であるCの割合を調整することができる。すなわち、各処理の回数を調整することにより、第1、第2のTiN膜から構成されるゲート電極の仕事関数をチューニング(調整、変調)することができる。換言すれば、n
1,n
2の各値は、TiN膜に含めるCの割合に応じて決定される。
【0091】
したがって、上述のn
1,n
2の各値を、TiCN膜に含めるCの割合に応じて決定することで、所望のC濃度を有する金属膜を形成することができる。なお、TiCN膜に含めるC濃度は、例えば5〜50%の範囲内の(所定の)濃度であって、5〜40%の範囲内の(所定の)濃度であり、5〜30%の範囲内の(所定の)濃度とする。C濃度が5%未満の場合、エッチング耐性が低くなってしまう可能性があり、C濃度が50%を超える場合、ハードマスクとしてのTiCN膜を除去することが困難となる可能性がある。
【0092】
(パージおよび大気圧復帰)
バルブ514,524,534を開き、ガス供給管510,520,530のそれぞれからN
2ガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。N
2ガスはパージガスとして作用し、これにより処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するガスや副生成物が処理室201内から除去される(パージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0093】
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、反応管203の下端が開口される。そして、処理済ウエハ200がボート217に支持された状態で反応管203の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済のウエハ200は、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0094】
図5は、ダブルパターニング法により基板上にパターンを形成する技術を説明する図である。最初に、ウエハ200上にハードマスク601を形成し、ハードマスク601上に第1レジスト溶剤602aを塗布し(
図5(a))、選択的露光もしくは現像等により第1レジストパターン603aを形成する(
図5(b))。次に、第1レジストパターン603a上および第1レジストパターンが形成されていないハードマスク601上に、バリア膜(保護膜)604を形成する(
図5(c))。さらに、バリア膜604上に第2レジスト溶液602bを塗布し(
図5(d))、選択的露光もしくは現像等により、第1レジストパターン603aが形成されている位置とは異なる位置に第2レジストパターン603bを形成する(
図5(e))。最後に、ウェットエッチング法もしくはドライエッチング法によりバリア膜604を除去する。これら一連の処理を行うことにより、リソグラフィの限界解像度を超えたパターンをウエハ200上に形成することが可能となる。本実施形態において形成されたTiCN膜はハードマスク601として用いることが可能である。また、本実施形態において形成されたTiCN膜はバリア膜604として用いることも可能である。
【0095】
(3)本実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0096】
(A)Ti含有ガスとしてハロゲン系原料ガスと有機系原料ガスとを用いてTiCN膜(ラミネート膜)を形成することにより、有機系原料ガスに由来する構成要素であるC,N,HがTiCN膜に取り込まれる。C等はドライエッチング時に用いられるエッチングガスに含まれるハロゲン化物と結合し難い性質を有するため、TiCN膜のドライエッチングレートを下げることが可能となる。すなわち、ドライエッチング耐性を向上させることが可能となる。
(B)ハロゲン系原料ガスを用いてTiN層を形成する回数(n
1回)と、有機系原料ガスを用いてTiCN層を形成する回数(n
2回)を調整してTiCN膜に含まれるC濃度を、例えば5〜50%の範囲内の(所定の)濃度であって、5〜40%の範囲内の(所定の)濃度であり、5〜30%の範囲内の(所定の)濃度とすることにより、ハードマスクとして要求される高いドライエッチング耐性を得ることが可能となる。
(C)TiCN層形成ステップにおいてTDMASガスの供給流量および/または供給時間を調整してTiCN膜に含まれるC濃度を、例えば5〜50%の範囲内の(所定の)濃度であって、5〜40%の範囲内の(所定の)濃度であり、5〜30%の範囲内の(所定の)濃度とすることにより、ハードマスクとして要求される高いドライエッチング耐性を得ることが可能となる。
(D)ハードマスクとしてTiCN膜のようにCが含まれている膜を用いることにより、仮にTiCN膜にドライエッチング時に用いられるエッチングガスに含まれるハロゲン化物が結合したとしても、結合により生成される物質の蒸気圧が低くなるため、ハードマスクから離れず(除去されず)に残り、ドライエッチングにより除去されないような高いドライエッチング耐性を有するハードマスクを得ることが可能となる。
(E)ハロゲン系原料ガスを用いてTiN層を形成する回数(n
1回)と、有機系原料ガスを用いてTiCN層を形成する回数(n
2回)を調整してTiN層とTiCN層とからなるTiCN膜(ラミネート膜)の各々の膜の膜厚比でC元素の組成比を調整することができ、仕事関数を制御することができる。すなわち、本実施形態によれば、最終的に得られるTiN膜に含まれる元素Cの原子濃度の制御性を高めることが可能となり、それにより、TiCN膜の仕事関数の制御性を高めることが可能となる。
(F)TiCN膜を形成する際、Ti含有ガスとして、例えばハロゲン系原料ガスおよび有機系原料ガスのように異なる分子構造(化学構造)を有するものを選択することにより、基板上に形成する膜に含まれる各Ti含有ガスに由来する各元素の組成比を調整することができる。
【0097】
以下、他の実施形態について、第1の実施形態と同様の部分については詳細な説明は省略し、第1の実施形態と異なる部分について説明する。
【0098】
<本発明の第2の実施形態>
本実施形態では、
図6に示すように、有機系原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、N含有ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップのサイクルを1サイクルとして順に時分割してn
1サイクル(n
1は1以上の整数)行った後、ハロゲン系原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、N含有ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップのサイクルを1サイクルとして順に時分割してn
2サイクル(n
2は1以上の整数)行い、これらをn
3回(n
3は1以上の整数)繰り返すことにより、ウエハ200上にTiCN膜を形成する。
【0099】
本実施形態のように、最初にハロゲン系原料ガスではなく有機系原料ガスを流すことにより、基板の濡れ性が向上し、または、結晶核の表面エネルギーが低くなり、核密度が密になることが期待できる。これにより、膜の表面ラフネスが改善するという効果をも得ることができる。
【0100】
<本発明の第3の実施形態>
本実施形態では、
図7に示すように、有機系原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、ハロゲン系原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップのサイクルを1サイクルとして順に時分割してn
1サイクル(n
1は1以上の整数)行った後、N含有ガス供給ステップを1サイクル行い、これらをm回(mは1以上の整数)繰り返すことにより、ウエハ200上にTiCN膜を形成する。
【0101】
本実施形態のように、N含有ガス供給ステップを独立させて行うことにより、TiCN膜に含まれるN濃度を独立して調整することが可能となり、N濃度の制御性を高くすることが可能となる。
【0102】
<本発明の第4の実施形態>
本実施形態では、
図8に示すように、ハロゲン系原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、有機系原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップのサイクルを1サイクルとして順に時分割してn
1サイクル(n
1は1以上の整数)行った後、N含有ガス供給ステップを1サイクル行い、これらをm回(mは1以上の整数)繰り返すことにより、ウエハ200上にTiCN膜を形成する。
【0103】
本実施形態のように、N含有ガス供給ステップを独立させて行うことにより、TiCN膜に含まれるN濃度を独立して調整することが可能となり、N濃度の制御性を高くすることが可能となる。
【0104】
<本発明の第5の実施形態>
本実施形態では、
図9に示すように、有機系原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、ハロゲン系原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップのサイクルを1サイクルとして順に時分割してn
1サイクル(n
1は1以上の整数)行うことにより、ウエハ200上にTiCN膜を形成する。
【0105】
本実施形態のように、N含有ガスを用いずに有機系原料ガスおよびハロゲン系原料ガスによりTiCN膜を形成することにより、より高いC濃度を得ることが可能となる。
【0106】
<本発明の他の実施形態>
上述の各実施形態は、適宜組み合わせて用いることができる。さらに、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0107】
上述の実施形態では、金属元素としてTiを用いる例について説明した。本発明は上述の態様に限定されず、Ti以外の元素として、タンタル(Ta)、タングステン(W)、コバルト(Co)、イットリウム(Y)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、シリコン(Si)等の元素を含む窒化膜、酸化膜、炭化膜、ホウ化膜のいずれかの膜、もしくはこれらの複合膜を形成する場合にも好適に適用可能である。
【0108】
上述の元素を含む膜を形成する場合、原料ガスとしてチタン(Ti)含有ガスの他にも、タンタル(Ta)含有ガス、タングステン(W)含有ガス、コバルト(Co)含有ガス、イットリウム(Y)含有ガス、ルテニウム(Ru)含有ガス、アルミニウム(Al)含有ガス、ハフニウム(Hf)含有ガス、ジルコニウム(Zr)含有ガス、モリブデン(Mo)含有ガス、シリコン(Si)含有ガス等を用いることが可能である。
【0109】
上述の元素を含む膜を形成する場合、無機系原料ガスとしてのハロゲン系原料ガスとしては、例えば、TiCl4の他に、四フッ化チタニウム(TiF4)、五塩化タンタル(TaCl5)、五フッ化タンタル(TaF5)、六塩化タングステン(WCl6)、六フッ化タングステン(WF6)、二塩化コバルト(CoCl2)、二塩化コバルト(CoF2)、三塩化イットリウム(YCl3)、三フッ化イットリウム(YF3)、三塩化ルテニウム(RuCl3)、三フッ化ルテニウム(RuF3)、三塩化アルミニウム(AlCl3)、三フッ化アルミニウム(AlF3)、四塩化ハフニウム(HfCl4)、四フッ化ハフニウム(HfF4)、四塩化ジルコニウム(ZrCl4)、四フッ化ジルコニウム(ZrF4)、テトラクロロシランすなわちシリコンテトラクロライドもしくは四塩化ケイ素(SiCl4、略称:STC)、ジクロロシラン(SiH2Cl2、略称:DCS)、モノクロロシラン(SiH3Cl、略称:MCS)、ヘキサクロロジシランすなわち六塩化二ケイ素(Si2Cl6、略称:HCDS)等を用いることも可能である。
【0110】
上述の元素を含む膜を形成する場合、有機系原料ガスとしては、例えば、TDEATの他に、例えばテトラキスジメチルアミノチタン(Ti[N(CH
3)
2]
4、略称:TDMAT)、ペンタエトキシタンタル(Ta(OC
2H
5)
5、略称:PET)、トリメチルアルミニウム((CH
3)
3Al、略称:TMA)、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(Hf[N(CH
3)CH
2CH
3]
4、略称:TEMAH)、テトラキスジメチルアミノハフニウム(Hf[N(CH
3)
2]
4、TDMAH)、テトラキスジエチルアミノハフニウム(Hf[N(C
2H
5)
2]
4、略称:TDEAH)、テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム(Zr[N(CH
3)CH
2CH
3]
4、略称:TEMAZ)、テトラキスジメチルアミノジルコニウム(Zr[N(CH
3)
2]
4、TDMAZ)、テトラキスジエチルアミノジルコニウム(Zr[N(C
2H
5)
2]
4、略称:TDEAZ)、トリスジメチルアミノシクロペンタジエニルジルコニウム((C
5H
5)Zr[N(CH
3)
2]
3)、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン(Si[N(CH
3)
2]
4、略称:4DMAS)、トリス(ジメチルアミノ)シラン(Si[N(CH
3)
2]
3H、略称:3DMAS)、ビス(ジエチルアミノ)シラン(Si[N(C
2H
5)
2]
2H
2、略称:BDEAS)、ビス(ターシャリブチルアミノ)シラン(SiH
2[NH(C
4H
9)]
2、略称:BTBAS)、ビス(ターシャリブチルイミノ)ビス(ターシャリブチルアミノ)タングステン((C
4H
9NH)
2W(C
4H
9N)
2、)、タングステンヘキサカルボニル(W(CO)
6)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)コバルト(C
14H
18Co)、コバルトヘキサカルボニル(CoCO)
6)、トリス(ブチルシクロペンタジエニル)イットリウム(Y(C
5H
4CH
2(CH
2)
2CH
3)
3)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(C
14H
18Ru)等を用いることが可能である。
【0111】
上述の元素を含む膜を形成する場合、反応ガスとしては、例えば、NH
3の他に、窒素(N
2)、亜酸化窒素(N
2O)や、ジアゼン(N
2H
2)ガス、ヒドラジン(N
2H
4)ガス、N
3H
8ガス等のN−H結合を含むガスを用いることができる。また、N−H結合を含むガスとしては、上述のガスの他にも、有機ヒドラジン系ガス、例えば、モノメチルヒドラジン((CH
3)HN
2H
2、略称:MMH)ガス、ジメチルヒドラジン((CH
3)
2N
2H
2、略称:DMH)ガス、トリメチルヒドラジン((CH
3)
2N
2(CH
3)H、略称:TMH)ガス等のメチルヒドラジン系ガスや、エチルヒドラジン((C
2H
5)HN
2H
2、略称:EH)ガス等のエチルヒドラジン系ガスを用いることができる。また、トリエチルアミン((C
2H
5)
3N、略称:TEA)ガス、ジエチルアミン((C
2H
5)
2NH、略称:DEA)ガス、モノエチルアミン(C
2H
5NH
2、略称:MEA)ガス等のエチルアミン系ガス、トリメチルアミン((CH
3)
3N、略称:TMA)ガス、ジメチルアミン((CH
3)
2NH、略称:DMA)ガス、モノメチルアミン(CH
3NH
2、略称:MMA)ガス等のメチルアミン系ガス、トリプロピルアミン((C
3H
7)
3N、略称:TPA)ガス、ジプロピルアミン((C
3H
7)
2NH、略称:DPA)ガス、モノプロピルアミン(C
3H
7NH
2、略称:MPA)ガス等のプロピルアミン系ガス、トリイソプロピルアミン([(CH
3)
2CH]
3N、略称:TIPA)ガス、ジイソプロピルアミン([(CH
3)
2CH]
2NH、略称:DIPA)ガス、モノイソプロピルアミン((CH
3)
2CHNH
2、略称:MIPA)ガス等のイソプロピルアミン系ガス、トリブチルアミン((C
4H
9)
3N、略称:TBA)ガス、ジブチルアミン((C
4H
9)
2NH、略称:DBA)ガス、モノブチルアミン(C
4H
9NH
2、略称:MBA)ガス等のブチルアミン系ガス、または、トリイソブチルアミン([(CH
3)
2CHCH
2]
3N、略称:TIBA)ガス、ジイソブチルアミン([(CH
3)
2CHCH
2]
2NH、略称:DIBA)ガス、モノイソブチルアミン((CH
3)
2CHCH
2NH
2、略称:MIBA)ガス等のイソブチルアミン系ガスを用いることができる。すなわち、アミン系ガスとしては、例えば、(C
2H
5)
xNH
3−x、(CH
3)
xNH
3−x、(C
3H
7)
xNH
3−x、[(CH
3)
2CH]
xNH
3−x、(C
4H
9)
xNH
3−x、[(CH
3)
2CHCH
2]
xNH
3−x(式中、xは1〜3の整数)の組成式で表されるガスのうち、少なくとも1種類のガスを用いることが可能である。有機ヒドラジン系ガスやアミン系ガスを用いると、反応性を高めることができるとともに、Cを膜中に取り込むことができるためC濃度の制御により膜の仕事関数を調整することができる。
【0112】
上述の元素を含む膜としては、TiN膜、TiC膜、TiCN膜の他にも、例えば、タンタル窒化膜(TaN膜)、タンタル炭化膜(TaC膜)、タンタル炭窒化膜(TaCN膜)、タングステン窒化膜(WN膜)、タングステン炭化膜(WC膜)、タングステン炭窒化膜(WCN膜)、コバルト窒化膜(CoN膜)、コバルト炭化膜(CoC膜)、コバルト炭窒化膜(CoCN膜)、イットリウム窒化膜(YN膜)、イットリウム炭化膜(YC膜)、イットリウム炭窒化膜(YCN膜)、ルテニウム窒化膜(RuN膜)、ルテニウム炭化膜(RuC膜)、ルテニウム炭窒化膜(RuCN膜)、アルミニウム窒化膜(AlN膜)、アルミニウム炭化膜(AlC膜)、アルミニウム炭窒化膜(AlCN膜)、ハフニウム窒化膜(HfN膜)、ハフニウム炭化膜(HfC膜)、ハフニウム炭窒化膜(HfCN膜)、ジルコニウム窒化膜(ZrN膜)、ジルコニウム炭化膜(ZrC膜)、ジルコニウム炭窒化膜(ZrCN膜)、モリブデン窒化膜(MoN膜)、モリブデン炭化膜(MoC膜)、モリブデン炭窒化膜(MoCN膜)、シリコン窒化膜(SiN膜)、シリコン炭化膜(SiC膜)、シリコン炭窒化膜(SiCN膜)等の膜が挙げられる。
【0113】
また、上述の実施形態では、不活性ガスとして、N
2ガスを用いる例について説明しているが、これに限らず、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。
【0114】
上述の実施の形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の縦型装置である基板処理装置であって、1つの反応管内に処理ガスを供給するノズルが立設され、反応管の下部に排気口が設けられた構造を有する処理炉を用いて成膜する例について説明したが、他の構造を有する処理炉を用いて成膜する場合にも本発明を適用可能である。例えば、同心円状の断面を有する2つの反応管(外側の反応管をアウタチューブ、内側の反応管をインナチューブと称する)を有し、インナチューブ内に立設されたノズルから、アウタチューブの側壁であって基板を挟んでノズルと対向する位置(線対称の位置)に開口する排気口へ処理ガスが流れる構造を有する処理炉を用いて成膜する場合にも本発明を適用可能である。また、処理ガスはインナチューブ内に立設されたノズルから供給されるのではなく、インナチューブの側壁に開口するガス供給口から供給されるようにしてもよい。このとき、アウタチューブに開口する排気口は、処理室内に積層して収容された複数枚の基板が存在する高さに応じて開口していてもよい。また、排気口の形状は穴形状であってもよいし、スリット形状であってもよい。
【0115】
また、上述の実施の形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の縦型装置である基板処理装置を用いて成膜する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて成膜する場合にも、好適に適用できる。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて薄膜を成膜する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて薄膜を成膜する場合にも、好適に適用できる。これらの場合においても、処理条件は、例えば上述の実施形態と同様な処
理条件とすることができる。
【0116】
例えば、
図9に示す処理炉302を備えた基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、本発明は好適に適用できる。処理炉302は、処理室301を形成する処理容器303と、処理室301内にガスをシャワー状に供給するシャワーヘッド303sと、1枚または数枚のウエハ200を水平姿勢で支持する支持台317と、支持台317を下方から支持する回転軸355と、支持台317に設けられたヒータ307と、を備えている。シャワーヘッド303sのインレット(ガス導入口)には、上述の原料ガスを供給するガス供給ポート332aと、上述の反応ガスを供給するガス供給ポート332bと、が接続されている。ガス供給ポート332aには、上述の実施形態の原料ガス供給系と同様の原料ガス供給系が接続されている。ガス供給ポート332bには、上述の実施形態の反応ガス供給系と同様の反応ガス供給系が接続されている。シャワーヘッド303sのアウトレット(ガス排出口)には、処理室301内にガスをシャワー状に供給するガス分散板が設けられている。処理容器303には、処理室301内を排気する排気ポート331が設けられている。排気ポート331には、上述の実施形態の排気系と同様の排気系が接続されている。
【0117】
また例えば、
図10に示す処理炉402を備えた基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、本発明は好適に適用できる。処理炉402は、処理室401を形成する処理容器403と、1枚または数枚のウエハ200を水平姿勢で支持する支持台417と、支持台417を下方から支持する回転軸455と、処理容器403のウエハ200に向けて光照射を行うランプヒータ407と、ランプヒータ407の光を透過させる石英窓403wと、を備えている。処理容器403には、上述の原料ガスを供給するガス供給ポート432aと、上述の反応ガスを供給するガス供給ポート432bと、が接続されている。ガス供給ポート432aには、上述の実施形態の原料ガス供給系と同様の原料ガス供給系が接続されている。ガス供給ポート432bには、上述の実施形態の反応ガス供給系と同様の反応ガス供給系が接続されている。処理容器403には、処理室401内を排気する排気ポート431が設けられている。排気ポート431には、上述の実施形態の排気系と同様の排気系が接続されている。
【0118】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の実施形態や変形例と同様なシーケンス、処理条件にて成膜を行うことができる。
【0119】
これらの各種薄膜の形成に用いられるプロセスレシピ(処理手順や処理条件等が記載されたプログラム)は、基板処理の内容(形成する薄膜の膜種、組成比、膜質、膜厚、処理手順、処理条件等)に応じて、それぞれ個別に用意する(複数用意する)ことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理の内容に応じて、複数のプロセスレシピの中から、適正なプロセスレシピを適宜選択することが好ましい。具体的には、基板処理の内容に応じて個別に用意された複数のプロセスレシピを、電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体(外部記憶装置123)を介して、基板処理装置が備える記憶装置121c内に予め格納(インストール)しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理装置が備えるCPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のプロセスレシピの中から、基板処理の内容に応じて、適正なプロセスレシピを適宜選択することが好ましい。このように構成することで、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の薄膜を汎用的に、かつ、再現性よく形成できるようになる。また、オペレータの操作負担(処理手順や処理条件等の入力負担等)を低減でき、操作ミスを回避しつつ、基板処理を迅速に開始できるようになる。
【0120】
また、本発明は、例えば、既存の基板処理装置のプロセスレシピを変更することでも実現できる。プロセスレシピを変更する場合は、本発明に係るプロセスレシピを電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体を介して既存の基板処理装置にインストールしたり、また、既存の基板処理装置の入出力装置を操作し、そのプロセスレシピ自体を本発明に係るプロセスレシピに変更したりすることも可能である。
【0121】
以下、本発明の望ましい形態について付記する。
【0122】
〔付記1〕
本発明の一態様によれば、
基板に対して、金属元素を含むハロゲン系原料ガスを供給する工程と、
前記基板に対して、窒素元素を含み、前記金属元素と反応する反応ガスを供給する工程と、
を時分割して(非同期、間欠的、パルス的に)所定回数行うことにより、前記金属元素および前記窒素を含む金属窒化層を形成する工程と、
前記基板に対して、前記金属元素および炭素元素を含む有機系原料ガスを供給する工程と、
前記基板に対して、前記反応ガスを供給する工程と、
を時分割して(非同期、間欠的、パルス的に)所定回数行うことにより、前記金属元素、前記炭素元素および前記窒素元素を含む金属炭窒化層を形成する工程と、
を時分割して(非同期、間欠的、パルス的に)所定回数行うことにより、前記基板上に前記金属元素、前記炭素元素および前記窒素元素を含む金属炭窒化膜を形成する工程を有し、
前記金属窒化層を形成する工程を行う回数と、前記金属炭窒化層を形成する工程を行う回数と、の比を制御して前記金属炭窒化膜に含まれる炭素濃度を5〜50%、好ましくは5〜40%、より好ましくは5〜30%とする半導体装置の製造方法、または、基板処理方法が提供される。
【0123】
〔付記2〕
付記1に記載の方法であって、前記金属窒化層を形成する工程を行う回数と、前記金属炭窒化層を形成する工程を行う回数とを制御して、前記金属炭窒化膜の膜厚が5〜30nmとする。
【0124】
〔付記3〕
付記1もしくは2に記載の方法であって、前記金属元素はチタンである。
【0125】
〔付記4〕
付記1〜3に記載のいずれかの方法であって、前記金属炭窒化膜に含まれる炭素濃度を制御することにより、エッチングレートを制御する。
【0126】
〔付記5〕
付記4に記載の方法であって、前記金属炭窒化膜に含まれる炭素濃度を高くすることにより、ウェットエッチングレートを低くする。
【0127】
〔付記6〕
付記4に記載の方法であって、前記金属炭窒化膜に含まれる炭素濃度を低くすることにより、エッチングレートを高くする。
【0128】
〔付記7〕
本発明の別の態様によれば、
基板を収容する処理室と、
前記基板に対して、金属元素を含むハロゲン系原料ガス、前記金属元素および炭素元素を含む有機系原料ガス、窒素元素を含み前記金属元素と反応する反応ガスを供給するガス供給系と、
前記ガス供給系を制御して、前記処理室に収容された基板に対して、前記ハロゲン系原料ガスを供給する処理と、前記基板に対して、前記反応ガスを供給する処理と、を時分割して(非同期、間欠的、パルス的に)所定回数行うことにより、前記金属元素および前記窒素元素を含む金属窒化層を形成する処理と、前記基板に対して、前記有機系原料ガスを供給する処理と、前記基板に対して、前記反応ガスを供給する処理と、を時分割して(非同期、間欠的、パルス的に)所定回数行うことにより、前記金属元素、前記炭素元素および前記窒素元素を含む金属炭窒化層を形成する処理と、を時分割して(非同期、間欠的、パルス的に)所定回数行うことにより、前記基板上に前記金属元素、前記炭素元素および前記窒素元素を含む金属炭窒化膜を形成する処理を有し、前記金属窒化層を形成する工程を行う回数と、前記金属炭窒化層を形成する工程を行う回数と、の比を制御して前記金属炭窒化膜に含まれる炭素濃度を5〜50%、好ましくは5〜40%、より好ましくは5〜30%とするよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0129】
〔付記8〕
本発明の更に別の態様によれば、
基板に対して、金属元素を含むハロゲン系原料ガスを供給する手順と、
前記基板に対して、窒素元素を含み、前記金属元素と反応する反応ガスを供給する手順と、
を時分割して(非同期、間欠的、パルス的に)所定回数行うことにより、前記金属元素および前記窒素元素を含む金属窒化層を形成する手順と、
前記基板に対して、前記金属元素および炭素元素を含む有機系原料ガスを供給する手順と、
前記基板に対して、前記反応ガスを供給する手順と、
を時分割して(非同期、間欠的、パルス的に)所定回数行うことにより、前記金属元素、前記炭素元素および前記窒素元素を含む金属炭窒化層を形成する手順と、
を時分割して(非同期、間欠的、パルス的に)所定回数行うことにより、前記基板上に前記金属元素、前記炭素元素および前記窒素元素を含む金属炭窒化膜を形成する手順を有し、
前記金属窒化層を形成する工程を行う回数と、前記金属炭窒化層を形成する工程を行う回数と、の比を制御して前記金属炭窒化膜に含まれる炭素濃度を5〜50%、好ましくは5〜40%、より好ましくは5〜30%とする手順をコンピュータに実行させるプログラム、または該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。