特許第6470157号(P6470157)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6470157
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】発光素子封止用樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/04 20060101AFI20190204BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20190204BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20190204BHJP
   C08K 7/00 20060101ALI20190204BHJP
   C08K 3/40 20060101ALI20190204BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20190204BHJP
   H01L 33/56 20100101ALI20190204BHJP
【FI】
   C08L83/04
   C08L83/07
   C08L83/05
   C08K7/00
   C08K3/40
   C08K3/36
   H01L33/56
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-195179(P2015-195179)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-66308(P2017-66308A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】去川 雄太
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 準治
(72)【発明者】
【氏名】井村 俊文
(72)【発明者】
【氏名】谷定 知季
【審査官】 武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−022508(JP,A)
【文献】 特表2013−516747(JP,A)
【文献】 特開2011−256251(JP,A)
【文献】 特開2009−138038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00− 101/14
C08K 3/00− 13/08
H01L 33/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オルガノポリシロキサン組成物(I)及び平均粒子径が10〜35μmで且つアスペクト比が55〜350であるガラスフィラー(II)を含有する樹脂組成物であって、前記樹脂組成物の固形分全量に対する前記フィラー(II)の濃度が7.0〜10.0vol%であることを特徴とする発光素子封止用樹脂組成物。
【請求項2】
前記オルガノポリシロキサン組成物(I)が、(A)一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するジメチルオルガノポリシロキサン、(B)一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジエンポリシロキサン及び(C)触媒を含有する、請求項1に記載の発光素子封止用樹脂組成物。
【請求項3】
前記樹脂組成物の固形分全量に対する前記フィラー(II)の濃度が8.0〜9.0vol%である、請求項1又は2に記載の発光素子封止用樹脂組成物。
【請求項4】
前記フィラー(II)の形状が、扁平状である、請求項1〜3のいずれかに記載の発光素子封止用樹脂組成物。
【請求項5】
平均粒子径200nm以下のシリカ微粒子を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の発光素子封止用樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子封止用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)などの発光素子を大気中の水分、ゴミ等から保護するために用いられる封止剤には、従来、エポキシ樹脂組成物が用いられている。しかしながら、エポキシ樹脂組成物の硬化物は耐光性が低く、長期間の使用により発光素子の光劣化が起こって着色する場合がある。よって、オルガノポリシロキサン組成物の硬化物を用いたLED封止剤が種々提案されている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0003】
例えば特許文献1には、組成物中のケイ素原子に結合したアルケニル基に対するケイ素原子に結合した水素原子のモル比が1.0以上で、硬化後のJISK6253に規定のタイプA硬度が20以下である硬化性シリコーンゴム組成物の硬化物からなるLED封止剤が開示されている。また、特許文献2には、オルガノポリシロキサン組成物を硬化させて得られるLED封止剤であって、当該封止剤の透湿度が、50g/m/24h以下であることを特徴とするLED封止剤が開示されている。
【0004】
上記の封止剤は耐光性及び耐熱性に優れるものの、ガス透過性が大きく、保管環境及び使用環境に存在する含硫黄ガスが透過してしまうという欠点を有している。そのため、オルガノポリシロキサン組成物の硬化物を透過してきた含硫黄ガスによって、LEDパッケージの基板であるリードフレームの銀メッキ表面が硫化されて硫化銀に変化し、その結果、銀メッキ表面が黒化してしまうという問題が生じている。
【0005】
これに対して、特許文献3にはオルガノポリシロキサン組成物にアスペクト比が1.1〜50である異方性形状を有するガラスフィラーを添加した光半導体素子封止用樹脂組成物が提案され、ガスバリア性に優れることが記載されている。しかしながら、この樹脂組成物を用いる場合は、オルガノポリシロキサンの種類によっては、フィラーの沈降、配管詰まり、封止剤塗工肌の不具合等が生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−103494号公報
【特許文献2】特開2010−265410号公報
【特許文献3】特開2011−256251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ガスバリア性に優れた、新たな発光素子封止用樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、下記の発光素子封止用樹脂組成物に関する。
1.オルガノポリシロキサン組成物(I)及び平均粒子径が10〜35μmで且つアスペクト比が55〜350であるフィラー(II)を含有する樹脂組成物であって、前記樹脂組成物の固形分全量に対する前記フィラー(II)の濃度が7.0〜10.0vol%であることを特徴とする発光素子封止用樹脂組成物。
2.前記オルガノポリシロキサン組成物(I)が、(A)一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するジメチルオルガノポリシロキサン、(B)一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジエンポリシロキサン及び(C)触媒を含有する、上記項1に記載の発光素子封止用樹脂組成物。
3.前記樹脂組成物の固形分全量に対する前記フィラー(II)の濃度が8.0〜9.0vol%である、上記項1又は2に記載の発光素子封止用樹脂組成物。
4.前記フィラー(II)の形状が、扁平状である、上記項1〜3のいずれかに記載の発光素子封止用樹脂組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の発光素子封止用樹脂組成物によれば、ガスバリア性に優れた発光素子封止用樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る発光素子封止用樹脂組成物について詳細に説明する。
【0011】
発光素子封止用樹脂組成物は、オルガノポリシロキサン組成物(I)及び平均粒子径が10〜35μmで且つアスペクト比が55〜350であるフィラー(II)を含有する樹脂組成物であって、前記樹脂組成物の固形分全量に対する前記フィラー(II)の濃度が7.0〜10.0vol%である。
【0012】
上記発光素子封止用樹脂組成物は、所定の形状及び大きさのフィラーを用いることにより、フィラーの沈降、配管詰まり、封止剤塗工肌の不具合等が抑制されており、発光素子封止に用いた場合にガスバリア性に優れる。また、発光素子封止用樹脂組成物は、耐熱性、耐光性、透光性にも優れる。
【0013】
ここで、ガスバリア性とは、酸素や水蒸気等の気体の透過を遮断する特性であり、ガスバリア性が良いということは、各種気体を通し難いことを意味する。また、透光性とは、発光素子から出射された光線が封止剤を透過する特性であり、透光性が良いということは、光線を通し易いことを意味する。
【0014】
上記オルガノポリシロキサン組成物(I)は、一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン(A)、一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジエンポリシロキサン(B)及び触媒(C)を含有するものが耐光性の観点から好ましい。
【0015】
オルガノポリシロキサン(A)は、一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサンであり、その分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、分岐状、環状、樹脂状又は一部分岐を有する直鎖状であり、これらを組み合せて使用することもできる。またアルケニル基は、一分子中に少なくとも2つあればその結合位置は限定されず、例えば、分子鎖末端、分子鎖側鎖等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基などが挙げられ、特に容易に合成できることから、ビニル基が好適である。
【0016】
オルガノポリシロキサン(A)中のアルケニル基以外の基としては、アルケニル基以外の一価炭化水素基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等;クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等の置換アルキル基などが挙げられる。
【0017】
オルガノポリシロキサン(A)としては、特に耐熱性、耐光性の点から、アルケニル基以外の一価炭化水素基が主にメチル基であるジメチルオルガノポリシロキサンが好適である。
【0018】
オルガノハイドロジエンポリシロキサン(B)は、一分子中に少なくとも2つのヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンであり、その分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、分岐状、環状、樹脂状又は一部分岐を有する直鎖状であり、これらを組み合せて使用することもできる。
【0019】
ヒドロシリル基は、一分子中に少なくとも2つあればその結合位置は限定されず、例えば、分子鎖末端、分子鎖側鎖等が挙げられる。具体的には、両末端にヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサン、両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたオルガノポリシロキサン、メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体等が挙げられる。
【0020】
オルガノハイドロジエンポリシロキサン(B)としては、特に耐熱性、耐光性の点から、メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体が好適である。
【0021】
上記(A)及び(B)成分は、(A)成分中のアルケニル基1個当たり(B)成分中のヒドロシリル基が0.75〜2.0個となるような量で使用されることが望ましい。
【0022】
触媒(C)としては、オルガノポリシロキサンのヒドロシリル化触媒として知られている触媒であれば特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの金属系触媒が挙げられ、特に硬化性の観点から白金系触媒が好ましい。白金系触媒としては、例えば塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、キレート構造を有する白金錯体等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上の組み合わせでも使用することができる。
【0023】
触媒(C)の含有量は、例えば、白金触媒を用いる場合、白金量換算で、上記(A)及び(B)成分の合計固形分100質量部に対して、0.0001〜1質量部、好ましくは0.001〜0.1質量部が適当である。
【0024】
オルガノポリシロキサン組成物(I)としては、(A)一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するジメチルオルガノポリシロキサン、(B)一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジエンポリシロキサン及び(C)触媒を含有するものが好適である。
【0025】
上記オルガノポリシロキサン組成物(I)は、市販品を用いてもよく、例えば一般的な市販品として、OE−6630A/B、OE−6336A/B、OE−6351A/B、OE−6250A/B、EG−6301A/B、JCR−6140A/B、JCR−6125A/B、JCR−6101UP、OE−6450A/B、OE−6520−A/B、OE−6550A/B、OE−6631A/B、OE−6636A/B、OE−6635A/B(以上、東レ・ダウコーニング社製)などが例示できる。
【0026】
これらはA液/B液がアルケニル基とヒドルシリル基のいずれかを有するものであり、ヒドロシリル化触媒である白金触媒がヒドロシリル化重合硬化するのに十分な量が添加されているものである。
【0027】
上記オルガノポリシロキサン組成物(I)の屈折率としては、耐久性及び/又は透光性の観点から、1.40〜1.54の範囲内であることが好ましく、1.40〜1.45の範囲内であることがより好ましい。
【0028】
フィラー(II)は、平均粒子径が10〜35μm(好ましくは10〜30μm)で且つアスペクト比が55〜350(好ましくは55〜200)の範囲内であれば、特に制限なく用いることができる。フィラーの形状としては、扁球状、扁平状、円盤状、板状、針状、繊維状、又は棒状のものを好適に使用することができ、これらは単独でも、2種以上の組み合わせでも使用することができる。なかでも、透光性及び/又はガスバリア性の観点から、扁平状のフィラーを使用することが好ましく、該扁平状フィラーは、透光性の観点から、厚さが0.6μm以下であることがより好ましく、0.4μm以下であることが特に好ましい。
【0029】
ここで、アスペクト比は、三次元体の最短寸法に対する最長寸法の比のことであり、例えば、扁平状フィラーであれば厚さに対する最長直径の比であり、繊維状フィラーであれば繊維の直径に対する長さの比である。アスペクト比の測定方法としては、形状に応じて適宜選択することができ、例えば、電子顕微鏡等により測定する方法などが好ましい。
【0030】
また、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積粒度分布の累積体積50%における粒子径(D50)である。
【0031】
上記フィラー(II)の材質としては特に制限はなく、無機物、有機物、またその混合物が挙げられ、なかでも、透光性、耐光性、強度、線膨張率などの観点から、無色透明の無機物であることが好ましい。具体的には、例えば、マイカ、ガラスフレーク、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらは単独又は2種以上を併用して使用することができる。これらのうちガラス、マイカ及びタルクが好ましく、更にガラス、マイカから選ばれる少なくとも1種を使用することが透光性やガスバリア性などの点から好適であり、特に屈折率1.3〜2.0の範囲内であるガラスが透光性の点で好ましい。
【0032】
また、オルガノポリシロキサン組成物(I)とフィラー(II)の屈折率の差は、透光性(光散乱の抑制)の観点から、0.5以下であることが好ましく、0.35以下であることがより好ましく、0.2以下であることが特に好ましい。
【0033】
上記フィラー(II)は、前記(I)成分との濡れ性を向上させるため、表面処理が施されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン、シラノール又はアルコキシ含有オルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物が挙げられる。
【0034】
上記フィラー(II)の濃度は、ガスバリア性、平滑性、及び透光性の観点から、樹脂組成物の固形分全量に対して、7.0〜10.0vol%、好ましくは8.0〜9.0vol%の範囲内が適当である。
【0035】
発光素子封止用樹脂組成物は、さらに必要に応じて、例えば上記(II)以外の無機微粒子、可塑剤、粘度調節剤、可撓性付与剤、酸化防止剤、耐光性安定化剤、反応抑制剤、接着促進剤等を含有することができる。
【0036】
上記(II)以外の無機微粒子としては、例えばシリカ微粒子が挙げられ、平均粒子径200nm以下、好ましくは5〜100nmのシリカ微粒子であることが、ガスバリア性を低下させることなくフィラー(II)の沈降を防止する点から好ましい。シリカ微粒子は、前記(I)成分との濡れ性を向上させるため、表面処理が施されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン、シラノール又はアルコキシ含有オルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物が挙げられる。
【0037】
上記(II)以外の無機微粒子の添加量は、ガスバリア性、フィラー(II)の沈降防止の点から、オルガノポリシロキサン組成物(I)の固形分100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部の範囲内が適当である。
【0038】
発光素子封止用樹脂組成物の製造方法は、特に制限されず、上記成分及びその他の任意成分を攪拌、練り合わせることにより製造することができる。その際、必要に応じて、プラネタリーミキサー、ロスミキサー、ホバートミキサー等の混合装置、ニーダー、三本ロール等の混練装置を使用することができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例及び参考例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0040】
実施例1〜8及び参考例1〜5
<発光素子封止用樹脂組成物の調製>
OE−6351(注1)B液 100質量部に各フィラーなどを表1に示す配合組成(質量部)で加えて均一分散し、その後にA液 100質量部を加え混合して実施例及び参考例の発光素子封止用樹脂組成物を得た。
【0041】
尚、表1中の(注1)〜(注7)の詳細を下記に示す。
【0042】
尚、下記ガラスフレーク及びマイカはフィラー(II)であり、シリカ微粒子はフィラー(II)以外の無機微粒子である。
(注1)「OE−6351」:ジメチルオルガノポリシロキサン樹脂、商品名、東レ・ダウコーニング社製、屈折率1.41、比重0.98、A液/B液を1/1で混合、触媒入り
(注2)ガラスフレークA:平均粒子径25μm、アスペクト比63、屈折率1.57、比重2.5
(注3)マイカ:平均粒子径18μm、アスペクト比150、屈折率1.59、比重2.9
(注4)ガラスフレークB:平均粒子径160μm、アスペクト比30、屈折率1.52、比重2.5
(注5)ガラスフレークC:平均粒子径15μm、アスペクト比3、屈折率1.52、比重2.5
(注6)「R200」:シリカ微粒子、日本アエロジル社製、商品名「アエロジルR200」、粒子径12nm、比重2.2
(注7)「R972」:シリカ微粒子、日本アエロジル社製、商品名「アエロジルR972」、粒子径16nm、比重2.2
【0043】
【表1】
〔尚、上記配合組成の値は、全て「質量部」である。〕
<評価試験>
実施例及び参考例の発光素子封止用樹脂組成物について下記の各評価を行った。結果を表1に併せて示す。
【0044】
透光性(※1)
下記の透光性試験で評価した。
【0045】
実施例及び参考例で得た各組成物を乾燥膜で300μm厚となるようにブリキ板上に塗布し、150℃×4時間の条件で加熱硬化した。次いで、水銀アマルガム法によりブリキ板から膜を剥離し、評価用フリーフィルムA(300μm厚)を作製した。
【0046】
また、ジメチルオルガノポリシロキサン樹脂(注1)のみを用い、上記と同じ方法で評価用フリーフィルムB(300μm厚)を作製した。
【0047】
次に評価用フリーフィルムの全光線透過率を「COH−300A」(商品名、日本電色工業(株)社製の色差・濁度測定機)で測定し、下記の計算式により相対光線透過率(%)を算出した。
【0048】
相対光線透過率(%)=評価用フリーフィルムAの全光線透過率/評価用フリーフィルムBの全光線透過率×100
透光性の評価基準は下記の通りとした。
○:相対光線透過率が70%以上であり、透光性が非常に優れている。
△:相対光線透過率が50%以上、且つ70%未満であり、透光性が優れている。
×:相対光線透過率が50%未満であり、透光性が劣っている。
【0049】
沈降性(*2)
実施例及び参考例で得た各組成物を密閉ガラス容器に入れ、30℃で1日間静置した後の状態を目視で確認した。尚、前記沈降性試験で著しい沈降が認められる場合は、均一な樹脂組成物としての使用が困難であり、製品として使用できない可能性がある。
【0050】
評価基準は下記の通りとした。
○:全く異常なし
△:若干沈降が認められる
×:著しく沈降が認められる。
【0051】
ガスバリア性(*3)
下記の透湿度試験で評価した。
【0052】
上記同様に評価用フリーフィルムA(300μm厚)及び評価用フリーフィルムB(300μm厚)を作製した。
【0053】
次に10ccのガラス容器(上部開放部面積が1.56cm)に塩化カルシウム5g(和光純薬製水分量測定用)を入れ、各評価用フリーフィルムを接着剤(セメダイン社製シリコーンシーラント)でガラス容器の上部に固定し、温度40℃、湿度80%RH雰囲気下で24時間放置し、下記の計算式で透湿度を算出し、評価用フリーフィルムBの透湿度を100とした評価用フリーフィルムAの透湿度の相対率(%)で評価した。
【0054】
透湿度(g/m・日)=X/Y
X:試験前後のフリーフィルムの重量差(g)
Y:ガラス容器上部の面積(m
評価基準は下記の通りとした。
○:50%未満
×:50%以上
平滑性(*4)
透光性試験で作成した評価用フリーフィルムAを用いて、下記の評価基準で平滑性を評価した。尚、前記平滑性試験で多数の凹凸が認められる場合は、発光素子の封止剤表面においても同様に凹凸が発生するため、製品として使用できない可能性がある。
○:評価用フリーフィルムAの表面が完全に平滑であり、平滑性が非常に優れている。
△:評価用フリーフィルムAの表面に僅かな凹凸があるが、実用上は許容される。
×:評価用フリーフィルムAの表面に多数の凹凸があり、平滑性が劣っている。