特許第6470188号(P6470188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6470188拡大結像光学ユニット及びそのような結像光学ユニットを有するEUVマスク検査系
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6470188
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】拡大結像光学ユニット及びそのような結像光学ユニットを有するEUVマスク検査系
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/84 20120101AFI20190204BHJP
   G02B 17/08 20060101ALI20190204BHJP
   G03F 1/24 20120101ALI20190204BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   G03F1/84
   G02B17/08 A
   G03F1/24
   G03F7/20 521
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-562032(P2015-562032)
(86)(22)【出願日】2014年3月7日
(65)【公表番号】特表2016-512615(P2016-512615A)
(43)【公表日】2016年4月28日
(86)【国際出願番号】EP2014054414
(87)【国際公開番号】WO2014139867
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年3月7日
(31)【優先権主張番号】102013204445.3
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】61/782,167
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100164530
【弁理士】
【氏名又は名称】岸 慶憲
(72)【発明者】
【氏名】マン ハンス−ユルゲン
【審査官】 道祖土 新吾
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05410434(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0140454(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/101269(WO,A1)
【文献】 米国特許第05144476(US,A)
【文献】 特表2010−541021(JP,A)
【文献】 特表2005−525565(JP,A)
【文献】 特開平01−108515(JP,A)
【文献】 米国特許第06333811(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0036219(US,A1)
【文献】 特開平03−252600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00 − 1/86
G03F 7/20
H01L 21/027
G02B 9/00 −17/08
G02B 21/02 −21/04
G02B 25/00 −25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
EUV投影露光に使用されるリソグラフィマスク(2)を検査するための拡大結像光学ユニット(7;19)であって、
倍率値を変更するために互いに対して変位させることができる少なくとも2つのミラー(M1からM4)を含み、
拡大結像光学ユニット(7;19)の像視野(9)が、該像視野(9)のサイズ及び位置に関して前記倍率値に依存せず、
物体視野(6)と前記ミラー(M1からM4)の間の距離が有限である、
ことを特徴とする拡大結像光学ユニット(7;19)。
【請求項2】
前記倍率値を変更するための厳密に1つの変位可能ミラー(M4)を特徴とする請求項1に記載の拡大結像光学ユニット。
【請求項3】
拡大結像光学ユニット(7;19)の全てのミラー(M1からM4)が、前記倍率値を変更するための変位可能実施形態を有することを特徴とする請求項1に記載の拡大結像光学ユニット。
【請求項4】
物体視野(6)と第1のミラー(M1)の間の結像ビーム経路(8)内の開口絞り(17)を特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の拡大結像光学ユニット。
【請求項5】
物体視野(6)と像視野(9)の間の結像ビーム経路(8)に中間像(17a)を含み、
前記中間像(17a)は、拡大結像光学ユニット(7)の第1のミラー(M1)と第2のミラー(M2)の間の前記結像ビーム経路に配置される、
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の拡大結像光学ユニット。
【請求項6】
反射実施形態を特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の拡大結像光学ユニット。
【請求項7】
前記ミラー(M1からM4)のいずれも、結像光(4)の通過のための中心通過開口部を持たないことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の拡大結像光学ユニット。
【請求項8】
互いに対して拡大結像光学ユニット(7;19)の2つのミラー(M1からM4)を変位させることにより、0.1と0.15の間の範囲の最小物体側開口数と、0.15と0.25の間の範囲の最大物体側開口数との間で変更することができる物体側開口数を特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の拡大結像光学ユニット。
【請求項9】
EUV投影露光に使用されるリソグラフィマスク(2)を検査するための拡大結像光学ユニット(7;19)であって、
少なくとも1つのミラー(M1からM4)を含み、
互いに対する拡大結像光学ユニット(7;19)の少なくとも2つのミラー(M1からM4)の変位により、100よりも大きい最小倍率値と200よりも大きい最大倍率値の間で変更することができる倍率値を含み
物体視野(6)と像視野(9)の間の結像ビーム経路(8)に中間像(17a)を含み、
前記中間像(17a)は、拡大結像光学ユニット(7)の第1のミラー(M1)と第2のミラー(M2)の間の前記結像ビーム経路に配置される、
ことを特徴とする拡大結像光学ユニット(7;19)。
【請求項10】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の結像光学ユニット(7;19)を含み、
像視野(9)を検出する空間分解検出器(10)を含む、
ことを特徴とするEUVマスク検査系(1)。
【請求項11】
EUV光源(3)を特徴とする請求項に記載のマスク検査系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ドイツ特許出願DE 10 2013 204 445.3の内容は、引用によって組み込まれている。
【0002】
本発明は、EUV投影露光に使用されるリソグラフィマスクを検査するための拡大結像光学ユニット、及びそのような結像光学ユニットを有するEUVマスク検査系に関する。
【背景技術】
【0003】
冒頭に示したタイプの拡大結像光学ユニットは、WO 2012/101 269 A1及びUS 2012/0140454 A1から公知である。更に、結像光学ユニットは、US 2011/0242528 A1、US 4 863 253、US 4 964 706、US 5 144 476、及びUS 6 333 811 B1から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE 10 2013 204 445.3
【特許文献2】WO 2012/101 269 A1
【特許文献3】US 2012/0140454 A1
【特許文献4】US 2011/0242528 A1
【特許文献5】US 4 863 253
【特許文献6】US 4 964 706
【特許文献7】US 5 144 476
【特許文献8】US 6 333 811 B1
【特許文献9】DE 102 20 815 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、光学ユニットを特に異なるサイズを有するマスク構造に適応させることができるような冒頭に示したタイプの結像光学ユニットを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により、上述の目的は、第1の態様による請求項1に指定する特徴を有する結像光学ユニット、及び更に別の態様による請求項2に指定する特徴を有する結像光学ユニットによって達成される。
【0007】
倍率値を変更することにより、必要な構造分解能及び/又は望ましい機能への拡大結像光学ユニットの適応を確実にすることができる。
【0008】
第1の態様による結像光学ユニットは、異なるサイズを有するマスク構造の結像を可能にし、この場合に、第1にパラメータ分解能、第2に物体視野サイズに関して妥協をする必要がない。拡大結像光学ユニットは、互いに相対的に変位可能な少なくとも2つのミラーを有し、すなわち、例えば、少なくとも1つの静止ミラーに対して変位させることができる少なくとも1つの変位可能ミラーを有する。この結像光学ユニットは、像視野検出の位置又は実施形態を結像光学ユニットのそれぞれの加え合わせ位置に適応させる必要性を省く。物体視野と拡大結像光学ユニットのミラーとの間の距離は有限であり、特に、10mよりも短く、8mよりも短く、6mよりも短く、4mよりも短く、2mよりも短く、更にこの距離は、1mよりも短いとすることができる。物体視野とミラーの間の距離は、750mmよりも短くすることができ、600mmよりも短く、500mmよりも短く、400mmよりも短く、更に300mmよりも短いとすることができる。この場合に、距離値は、物体視野とその最も近くに位置するミラーとの間の距離を指定する。この距離は、200mmよりも短いとすることができる。
【0009】
第2の態様により、マイクロズーム系、すなわち、倍率値を各々非常に大きい倍率値の間の広い範囲にわたって変更することができる結像光学ユニットがもたらされる。この場合に、最小倍率値は、150よりも大きく、200よりも大きく、250よりも大きく、300よりも大きく、350よりも大きく、400よりも大きく、450よりも大きいとすることができ、更に487.5に等しいとすることができる。最大倍率値は、250よりも大きく、300よりも大きく、350よりも大きく、400よりも大きく、450よりも大きく、500よりも大きく、550よりも大きく、600よりも大きく、650よりも大きく、700よりも大きく、750よりも大きいとすることができ、更に780に等しいとすることができる。ズーム比、すなわち、最大倍率値と最小倍率値の間の比は、1.1よりも大きいとすることができ、1.1と2との間、1.2と1.9との間、又は1.4と1.8の間の範囲にあるとすることができ、特に1.6とすることができる。
【0010】
請求項3に記載の実施形態において、特に簡単な方式で制御可能なズーム挙動がもたらされる。ズーム光学ユニットに対する製造コストは低い。結像光学ユニットの別の実施形態において、結像光学ユニットは、倍率値を変更するための厳密に2つの変位可能ミラーを有する。
【0011】
請求項4に記載の実施形態において、結像光学ユニットは、それぞれの倍率値に非常に精密に適応させることができる。
【0012】
請求項5に記載の結像光学ユニットでは、像視野検出の位置又は実施形態を結像光学ユニットのそれぞれのズーム設定に適応させる必要性が省かれる。
【0013】
上述の2つの態様の個々の特徴は、他の組合せで本発明の主題とすることができる。
【0014】
請求項6に記載の開口絞りの位置は、拡大結像光学ユニットのズーム設定に依存しない。それぞれ選択されるズーム設定及び/又は結像光学ユニットのそれぞれ選択される機能に基づいて、開口絞りの直径及び/又は横位置は異なるとすることができる。一例として、開口絞りの直径及び/又は横位置は、結像光学ユニットが空間像測定系又は化学線パターンマスク検査のいずれに使用されるかに基づくことができる。
【0015】
請求項7に記載の中間像は、小型ビーム案内に特に適することが見出されている。
【0016】
請求項8に記載の反射実施形態は、EUV波長との併用に特に適している。結像光学ユニットは、厳密に4つのミラーを有することができる。結像光学ユニットは、同軸系とすることができる。結像光学ユニットは、変形物体視野及び/又は変形像視野を有することができる。
【0017】
請求項9に記載の結像光学ユニットの実施形態は、製造することが複雑ではないとすることができる。
【0018】
請求項10に記載の変更可能な物体側開口数は、倍率値の変更に関して上述した利点を有する。最小物体側開口数は、0.l25とすることができ、最大物体側開口数は、0.2とすることができる。像側開口数は、結像光学ユニットの光学構成要素の変位に依存しないとすることができる。
【0019】
請求項11に記載の検査又は測定系の利点は、結像光学ユニットを参照して上述したものに対応する。検出デバイスとしてCCDセンサを与えることができる。例えば、系の走査作動に基づいて、TDI(時間遅延積分)センサを検出デバイスとして使用することができる。請求項12に記載のEUV光源は、プラズマ光源、シンクロトロン光源、又は他に例えば自由電子レーザ(FEL)とすることができる。EUV光源は、5nmと30nmの間の範囲の波長を有する結像光を生成することができる。本発明の例示的実施形態を図面に基づいて以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】EUV投影リソグラフィのための反射レチクルが調査される物体として機能する場合の物体を調査するための検査又は測定系を示す概略図である。
図2】EUV投影リソグラフィのための透過性レチクル、例えば、位相シフトマスクが調査される物体として機能する場合の検査又は測定系の更に別の実施形態を示す図1と類似の図である。
図3】EUV投影リソグラフィ又は他にマスク欠陥の広域検出に関して投影露光装置の投影光学ユニット内での光学結像に対するリソグラフィマスク、すなわち、レチクルの効果及び特性をシミュレーション及び解析するためなどに機能する図1又は図2に記載の検査又は測定系内での使用のための拡大結像ズーム光学ユニットの実施形態を通る子午断面図である。
図4】正確に1つの変位可能ミラーの異なるズーム設定にある図3に記載の結像光学ユニットを示す図である。
図5図3及び図4に記載の光学ユニットの代わりに使用することができる拡大結像ズーム光学ユニットの更に別の実施形態を示す図である。
図6】結像光学ユニットのミラーの異なるズーム設定にある図5に記載の光学ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、EUV投影リソグラフィのためのレチクル又はリソグラフィマスクの形態にある物体2を調べるための検査又は測定系1を非常に概略的に示している。化学線パターン付きマスク検査系1とも呼ぶ測定系1を使用することで、特に、レチクル2上の欠陥及びEUV投影リソグラフィ中の結像に対するこれらの欠陥の影響を調査することができる。特に、レチクル2を構造誤差に対して調べることができる。この構造誤差は、その後に、いわゆる空間像の解析を用いて調査することができる(空間像測定系)。そのような系は、DE 102 20 815 A1から公知である。検査系1は、反射レチクル2を調査するのに使用される。
【0022】
空間像は、特に、反射レチクル2を調査するのに使用する同じ光学ユニットを有する同じ測定系1を用いて記録することができる。部分的に更に下記でより詳細に説明する視野サイズ、絞り位置、及びズーム設定のような光学パラメータは、測定系1の目的に則して調整される。一方で空間像の解析のためのかつ他方で反射レチクル2を調査するための1つの同じ測定系1の使用は、清浄性要件に関して複雑な搬送方法により調査されるレチクルを1つの測定系から更に別の測定系に搬送する必要性を回避する。
【0023】
位置関係の例示を簡易化するために、以下に続く本文では直交xyz座標系を使用する。x軸は、図1では作図面と垂直に、そこから現れるように延びている。y軸は、図1では右に延びている。z軸は、図1では上方に延びている。
【0024】
検査系1は、照明及び結像光4を生成するためのEUV光源3を有する。EUV光源は、プラズマ光源、すなわち、例えばLPP(レーザ生成プラズマ)光源又は及びGDP(ガス放電生成プラズマ)光源とすることができる。EUV光源3は、EUVレーザとすることができる。一例として、EUVレーザは、長波長レーザ放射線の周波数逓倍によって達成することができる。EUV光源3は、13.5nmの波長を有する有利な照明及び結像光3を放出する。EUV光源3の適切な構成の場合に、5nmと100nmの間の範囲、特に5nmと30nmの間の範囲の他の波長を照明及び結像光4として使用することができる。
【0025】
照明光学ユニットは、照明及び結像光4をEUV光源3から、内部に反射レチクル2の一区画が配置された物体視野6に伝達するように機能する。
【0026】
例えば、500という大きい倍率値を有する結像光学ユニット7は、物体視野6を結像ビーム経路8を通して像視野9に結像する。CCDセンサの形態にある空間分解検出デバイスは、像視野9を通して照明及び結像光4の強度分布を検出する。CCDセンサ10のCCDチップは、時間遅延及び積分CCD(電荷結合デバイス)チップとして具現化することができる。特に、そのようなCCDチップは、物体視野6を通して移動されるレチクル2を調査するために使用することができる。レチクル2の変位方向は、y方向に沿って延びることができる。
【0027】
物体視野6から発する照明及び結像光4の照明及び検出は、異なる方式で行うことができる。図1に記載の検査系1の場合に、例えば、0.2という開口数NAを有する照明が存在する。実施形態に基づいて、結像光学ユニット7は、この開口数を全体的又は部分的に検出することができる。従って、完全反射レチクル2を前提とすると、レチクル2によって反射された照明及び結像光4の全て又はその一部を結像光学ユニット7によって検出することができる。そのような照明は、明視野照明としても公知である。暗視野照明も可能であり、この場合に、レチクル2によって散乱又は回折され、CCDセンサ10によって検出されるのは、照明及び結像光4の一部分だけである。
【0028】
図2は、照明及び結像光4を少なくとも部分的に透過させることができるレチクル2、例えば、位相シフトマスクを調査するのに使用される検査系1の変形を示している。図1を参照して上述したものに対応する構成要素は、同じ参照符号で表しており、これらに対しては、再度詳細に解説することはしない。
【0029】
図1に記載の実施形態とは対照的に、図2に記載の検査系1内の結像光学ユニット7は、照明及び結像光4の反射ビーム経路の方向には配置されず、その代わりにレチクル2を通過することが許されるビーム経路方向に配置される。この場合にも、照明光学ユニット5及び/又は結像光学ユニット7の実施形態に依存して明視野照明又は暗視野照明が可能である。
【0030】
図3は、図1又は図2に記載の検査系1内に使用することができる結像光学ユニット7の実施形態を示している。検査系1の説明に関して上述した構成要素は、同じ参照符号で表記しており、これらに対しては、再度詳細に解説することはしない。図3に記載の結像光学ユニット7の説明及び更に別の実施形態の説明に関しても直交xyz座標系を使用する。x軸は、図3では作図面と垂直にかつそれに入り込むように延びている。y軸は、図3では上方に延びている。z軸は、図3では右に延びている。
【0031】
図3に記載の結像光学ユニット7は、物体平面11に位置する物体視野6を像平面12に位置する像視野9内に780とう倍率値で結像する。
【0032】
図3は、結像光学ユニット7の結像ビーム経路8の視覚表現のために、y方向に互いに上下に位置する5つの物体視野点から出射する主光線13及びコマ光線14、15の進路を示している。これらの物体視野点の間のy方向の距離は物体視野6内で非常に小さいので、この距離を図面内で分解することはできない。これら5つの物体視野点は、図3で像視野9内に互いに上下に位置し、高い倍率に起因して図面内で別個に分解された5つの像視野点に結像される。一方で主光線13かつ他方でコマ光線14、15は、以下に続く本文内では結像光線とも表している。
【0033】
一方で物体視野6かつ他方で像視野9は、互いから分離したxy平面に位置する。物体視野6は、y方向に153μmの広がりを有し、x方向に204μmの広がりを有し、すなわち、153×204μm2の視野サイズを有する。物体視野6及び像視野9は、各々矩形である。
【0034】
主光線13は、物体視野6から物体視野6と像視野9の間の結像ビーム経路8内に物体平面11の中心物体視野点のz方向に延びる法線16に対して約10°の主光線角度αで出射する。この大きい主光線角度αの結果として、図3に記載の結像光学ユニット7は、反射レチクルを結像するために使用することができる。他の主光線角度α、特に小さい主光線角度αが可能である。
【0035】
結像光学ユニット7の物体視野側開口数は、NAO=0.2である。
【0036】
像平面12内では、結像光線13から15は、それぞれ、像視野9の5つの像視野点のうちの1つと交わる。像視野点の各々に属する主光線13は、互い対して事実上平行に延びている。従って、図3に記載の結像光学ユニット7は、像側で事実上テレセントリックである。
【0037】
結像光学ユニット7は、物体視野6と像視野9の間の結像ビーム経路にこの経路内での配置の順番にM1、M2、M3、及びM4で表記した正確に4つのミラーを有する。4つのミラーM1からM4は、互いに別個の光学構成要素を構成する。
【0038】
物体視野6とミラーM1の間のビーム経路には開口絞り17が配置される。開口絞り17は、物体視野6とミラーM1の間の図3に記載の結像光学ユニット7の第1の瞳平面の領域に配置される。図3に記載の結像光学ユニット7の第2の瞳平面は、ミラーM2とミラーM3の間の結像ビーム経路8に位置する。
【0039】
物体視野6と像視野9の間のビーム経路内の第1のミラーM1は、凹の第1のミラーとして非球表面実施形態を有し、第2のミラーM2も同じく凹の第2のミラーとして非球表面実施形態を有し、第3のミラーM3は、凸の第3のミラーとして非球表面実施形態を有し、第4のミラーM4は、凹の4番目のミラーとして非球表面実施形態を有する。
【0040】
図3は、ミラーM1からM4の反射面の数学モデル化に使用される元の面の交差部の曲線を描示している。ミラーM1からM4の反射面のうちでコマ光線14、15が印加され、これらのコマ光線14、15の間で結像光線が実際に印加される領域は、描示する断面平面に実際に物理的に存在する。
【0041】
ミラーM1からM4のいずれも、結像光4が通過するための中心通過開口部を持たない。作動モードに基づいて、ミラーの個々のものの縁部領域により、例えば、ミラーM1の縁部領域により、結像光4の部分掩蔽が存在する場合がある。
【0042】
ミラーM1とM2の間の結像ビーム経路には、中間像17aが置かれる。
【0043】
結像光学ユニット7は、13.5nmの動作波長に向けて設計される。
【0044】
ミラーM1からM4は、多層コーティングとして具現化することができる照明結像光4に対して高い反射性を有するコーティングを担持する。
【0045】
ミラーM4は、図3に略示する直線ドライブ18に接続される。倍率値を変更するために、直線ドライブ18を用いて、ミラーM4は、z方向と平行に他の3つの静止ミラーM1からM3と相対的に変位させることができる。一方でミラーM4と、他方で3つの他の変位不能ミラーM1からM3のうちの1つとは、倍率値を変更するために互いに対して変位させることができる結像光学ユニット7の2つのミラーを構成する。ミラーM4は、ズームミラーである。図3に記載のミラーM4の設定は、以下に続く本文ではズーム設定Z1とも呼ぶ。
【0046】
図3に記載の結像光学ユニット7の光学データは、2つの表を用いて以下に再現する。第1の表は、各々「半径」という列にミラーM1からM4の曲率半径を示している。第3の列(厚み)は、各々、次の面までのz方向距離を記載している。この場合に、「厚みZ1」という厚み値が、図3に記載のズーム設定Z1のためなどに機能する。
【0047】
第2の表は、ミラーM1からM4の反射面の正確な非球面形状を記載しており、定数K及びAからJは、サグに関する次式の中に代入されるものである。
【0048】
ここで、hは、光学軸、すなわち、結像光学ユニット7の法線16までの距離である。従って、h2=x2+y2が適用される。「半径」の逆数が、方程式内のcに対して代入される。
【0049】
(第1の表)
【0050】
(第2の表)
【0051】
設置長さT、すなわち、物体平面11と像平面12の間、又は結像光学ユニット7のz方向に最も離間した構成要素の間の距離は、1500mmであり、結像光学系の実施形態に依存する。物体視野6とミラーM1からM4の間の距離、すなわち、物体視野6と最も近いミラーM2の間の距離は、210.036mmである。設置長さTと倍率値βの比は、図3に記載のズーム設定Z1では1500mm/780=1.92mmである。
【0052】
結像光学ユニット7は、反射光学ユニットである。結像光学ユニット7は、正確に4つのミラーM1からM4を有する。結像光学ユニット7は同軸系である。4つ全てのミラーM1からM4をその反射面形状の実施形態に関して回転対称とする回転対称軸は、物体視野6と像視野9の間でz方向に沿ってy座標と同じ高さで延びている。物体視野6は、回転対称軸から正のy値の方向に離される。中間像17aに起因して、像視野9も同じく回転対称軸から正のy値の方向に離される。従って、投影光学ユニット7では、視野6、9は軸を外れる。
【0053】
図4は、ミラーM3及びM4の第2のズーム設定Z2にある投影光学ユニット7を示している。他のミラーM1及びM2の位置は、第1のズーム設定Z1と比較して変更されないままに留まる。上述の設計表では、「厚みZ2」という距離列が、ズーム設定Z2に関して適用される。
【0054】
設定Z1と比較してズーム設定Z2では、ミラーM4は、600mmよりも若干大きく正のz方向に変位される。設定Z1と比較してズーム設定Z2では、ミラーM3は、数分の1ミリメートルだけz方向に変位される。
【0055】
他の点では図3及び図4に記載の投影光学ユニット7に対応する投影光学ユニットの代替実施形態(この図には描示していない)では、ズーム設定Z1とZ2の間で変位するのはミラーM4だけである。この代替実施形態において、他のミラーM1からM3の位置は、第1のズーム設定Z1と比較して変更されないままに留まる。
【0056】
図3及び図4に記載の投影光学ユニット7は、ズーム設定Z2では487.500という倍率値を有する。物体側開口数NAOは、ズーム設定Z2では0.125である。物体視野サイズは、y方向に244.8μmであり、x方向に326.4μmである。従って、物体視野16は、244.8×3206.4μm2の視野サイズを有する。物体視野16は、矩形のままである。
【0057】
像視野9の位置とサイズの両方は、投影光学ユニット7のズーム設定に依存しない。
【0058】
以下に続く本文では、図3及び図4に記載の結像光学ユニット7の代わりに使用することができる図結像光学ユニット19の更に別の実施形態を図5及び図6に基づいて説明する。従来の図で上述したものに対応する構成要素及び機能は、同じ参照符号で表記しており、これらに対しては再度詳細に解説することはしない。以下に続く本文は、従来の例示的実施形態との相違点を説明する。
【0059】
図5及び図6に記載の結像光学ユニット又は投影光学ユニット19は、正確に4つのミラーM1からM4を有する。
【0060】
図5及び図6に記載の投影光学ユニット19では、図5に記載のズーム設定Z1における780という倍率値と、図6に記載のズーム設定Z2における487.5という倍率値との間で倍率値を変更するために、全てのミラーが変位される。ミラーM1は、この場合に、負のz方向に約0.2mmだけ変位される。ミラーM2は、この場合に、負のz方向に約0.2mmだけ変位される。ミラーM3は、負のz方向に約350mmだけ変位される。ミラーM4は、正のz方向に約30mmだけ変位される。正確な変位値は、以下の設計表における「厚みZ2」という距離値から明らかになる。
【0061】
4つ全てのミラーM1からM4は、各々、それぞれ1つの直線ドライブ18に接続される。4つの直線ドライブ18は、図5及び図6に記載の実施形態の4つの直線ドライブ18に接続された(これらの図には描示していない)共通の適応制御器20によって制御される。
【0062】
像視野9の位置及びサイズは、図5及び図6に記載の実施形態においても倍率値には依存しない。
【0063】
結像光学ユニット19は、物体平面11と像平面12の間に1344mmの設置長さTを有する。
【0064】
結像光学ユニット19の場合に、設置長さTと倍率値βの比T/β(β=780)は、T/β=1.72である。
【0065】
図5及び図6に記載の結像光学ユニット19の光学データを図3に記載の結像光学ユニット7の表に対応するひな型を有する2つの表に基づいて以下に再現する。
【0066】
(設計表)
【0067】
(設計表)
【0068】
倍率値は、図3から図6に記載の実施形態における487.5と780である最大倍率値との間で変更することができる。物体視野6とミラーM1からM4との間の距離、すなわち、物体視野6と最も近いミラーM2との間の距離は、160.400mmである。
【符号の説明】
【0069】
7 結像光学ユニット
8 結像ビーム経路
17a 中間像
18 直線ドライブ
M1 ミラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6