(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明にかかるプリプレグ積層体の好ましい実施形態について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
【0010】
本発明のプリプレグ積層体はプリプレグがその厚み方向に積層されてなるものである。
そして、前記プリプレグは、補強繊維と母材樹脂組成物とからなる。
【0011】
〔補強繊維〕
前記補強繊維としては、特に限定するわけではないが、例えば、炭素繊維(PAN系、ピッチ系など)、ガラス繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、PBO繊維(ポリルーブパラフェニレンベンズオキサゾール)などが挙げられる。また、植物繊維(竹繊維、麻系繊維など)や動物繊維(ウールなど)等の天然繊維(天然由来の繊維も含む)も挙げられる。
中でも、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維などが好ましく挙げられる。
【0012】
前記補強繊維としては、繊維方向が一方向に配向しているものを用いる。プリプレグとの関係では、繊維方向が、プリプレグの厚み方向に対して直交する1つの方向に配向することとなる。
繊維方向が一方向に配向した補強繊維としては、トウが開繊されてなるものを用いることが有効であり、特に限定するわけではないが、例えば、特開2000−8261号公報に記載の開繊シート、すなわち、「マルチフィラメントの構成フィラメントが、吸引気流の通過によって幅方向に解き分けられて平行的に整列していることを特徴とするマルチフィラメントの開繊シート」を用いることができる。
プリプレグにおける補強繊維の体積分率は、例えば、30〜65%であることが好ましい。
【0013】
〔母材樹脂組成物〕
前記母材樹脂組成物は、母材樹脂にナノファイバーを分散した状態で含むものである。なお、本発明の効果を害しない範囲であれば、母材樹脂及びナノファイバー以外の成分を含有していても構わない。
【0014】
<母材樹脂>
前記母材樹脂としては、特に限定するわけではないが、例えば、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。また、メチルメタアクリレートなどの熱可塑性樹脂も挙げられる。
中でも、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂などが好ましい。ビニルエステル樹脂は粘度が低く、強度、耐薬品性が高い。また硬化も速い為、高性能な繊維強化複合材料を効率良く製造することができる。また、エポキシ樹脂は他の樹脂に比べて接着性能および弾性率が高い。繊維強化複合材料において繊維と繊維を強固に保持し、応力を良好に伝達することができるエポキシ樹脂が特に好ましい。
【0015】
エポキシ樹脂としては、1液型と2液型の別を問わず種々のタイプを使用することができる。また、使用可能なエポキシ樹脂には、ビニルエステル系など各種変性エポキシも含まれ、例えば、ATBN(アミン末端ブタジエン−アクリロニトリルゴム)やCTBN(カルボン酸末端ブタジエン−アクリロニトリルゴム)などのゴム微粒子や、熱可塑性微粒子(ナイロン系など)により変性されたエポキシ樹脂も含まれる。この場合、母材樹脂としてのエポキシ樹脂中には後述のナノファイバーに加えてゴム微粒子が分散した形態となる。
【0016】
<ナノファイバー>
前記ナノファイバーとしては、特に限定するわけではないが、例えば、セルロースナノファイバー、ポリビニルアルコール樹脂ナノファイバー、ポリエチレンテレフタレート樹脂ナノファイバー、ポリアミド樹脂ナノファイバー、ガラスナノファイバーなどが挙げられる。好ましくは、セルロースナノファイバーである。
【0017】
ナノファイバーの平均繊維径としては、特に限定するわけではないが、1〜1000nmが好ましく、10〜500nmがより好ましく、100〜300nmが更に好ましい。ナノファイバーの平均繊維径が1nm未満では、母材樹脂組成物にナノファイバーを添加した場合、母材樹脂組成物の粘度が著しく増加し、ナノファイバーの均一分散が難しくなる。また平均繊維径が1000nmを超えると、母材樹脂組成物の物理的変性効果が十分に発揮されないおそれがある。
【0018】
また、ナノファイバーの繊維長としては、特に限定するわけではないが、例えば、アスペクト比が10〜200となる長さであることが好ましい。10未満では母材樹脂組成物中でき裂が発生する欠陥源となるおそれがあり、200を超えると母材樹脂組成物中でのナノファイバーの均一分散が難しいだけでなく、ナノファイバー同士が絡み合い、ダマとなるおそれがある。
【0019】
また、プリプレグにおけるナノファイバーの体積分率は0.01〜2%であることが好ましい。0.01%未満では母材樹脂組成物の物理的変性効果が十分発揮されないおそれがあり、2%を超えると成形品の耐久性が低下するおそれがある。
【0020】
〔プリプレグ積層体〕
本発明のプリプレグ積層体は、複数枚のプリプレグがその繊維の配向方向を一致させた状態で積み重ねられたプライ群が、複数積層されているとともに、厚み方向に隣接するプライ群同士は、その繊維の配向方向が交差するように設けられているものである。
【0021】
ひとつのプライ群の繊維の配向方向が、そのプライ群と隣接するプライ群の繊維の配向と異なるように設ければ、プライ群同士が交差してプリプレグ積層体を作製することができる。その交差の角度は0°より大きければよく、最大90°である。
【0022】
交差の角度が0°の場合は、ひとつのプライ群の繊維の配向方向と、そのプライ群と隣接するプライ群の繊維の配向方向が同一方向となるプリプレグ積層体が得られる。この場合、繊維の配向方向、すなわち0°方向の物性、例えば引張強度等は高くなるが、その繊維の配向方向以外の物性、例えば90°方向の引張強度等は著しく低くなる。繊維の配向方向、すなわち0°方向から90°方向のいずれかの角度で物性を高めようとするならば、プライ群同士を交差させ、必要とする特性および方向に応じてプライ群同士の交差する角度を適宜調整すればよい。プライ群同士の交差する角度を適宜調整し、目的の性能に合うプリプレグ積層体を作製すればよい。
【0023】
これについて、
図1を参照しながら、具体的に説明する。
図1(a)に示すプリプレグ積層体は本発明の一実施形態である。一方、
図1(b)に示すプリプレグ積層体は、本発明に含まれないものである。
【0024】
図1(a)のプリプレグ積層体は、プリプレグ11の繊維の配向方向を0°とするとき、繊維の配向方向を0°で一致させた状態でプリプレグ12,13,14が積み重ねられたプライ群10を備えている。
また、繊維の配向方向を90°で一致させた状態でプリプレグ21,22,23,24が積み重ねられたプライ群20を備えている。
そして、プライ群10とプライ群20が、複数積層され、厚み方向に隣接するプライ群同士は、その繊維の配向方向が交差するように設けられた積層構造となっている。
【0025】
これに対し、
図1(b)に示すプリプレグ積層体は、プリプレグ11の繊維の配向方向を0°とするとき、繊維の配向方向が0°のプリプレグと、繊維の配向方向を90°のプリプレグとが交互に積み重ねられている。すなわち、プリプレグ11,プリプレグ21,プリプレグ12,プリプレグ22,プリプレグ13,プリプレグ23,プリプレグ14,プリプレグ24の順に積層されている。この積層構造は、
図1(a)のプリプレグ積層体と異なり、複数枚のプリプレグがその繊維の配向方向を一致させた状態で積み重ねられたプライ群を備えないので、本発明には含まれない。
【0026】
なお、
図1(a),(b)では、一部図示を省略しているが、いずれも、全部でプリプレグ48枚からなるものであり、具体的には、
図1(a)に示すプリプレグ積層体は[0
4/90
4]
3Sで表され、
図1(b)に示すプリプレグ積層体は[0/90]
12Sで表されるものである。
【0027】
本発明のプリプレグ積層体において、各プリプレグの厚みは、特に限定するわけではないが、できるだけ薄い方が本発明の効果が高くなる傾向があり、かかる観点から、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。100μmを超えると、ナノファイバーがプリプレグの中央部まで含浸、分散せず、その効果が限定され、プリプレグ積層体成形物の耐久性を顕著に高める効果が減じるおそれがある。もっとも、薄すぎると、積層体を得るために必要な積層総数が増し、実用的でない。そこで、例えば、15〜200μmとすることができる。
各プライ群の厚みも、特に限定されず、例えば、30〜500μmとすることができる。
【0028】
図1(a)に示す積層構造では、各プライ群におけるプリプレグの積層枚数は4枚であり、プリプレグ積層体におけるプリプレグの積層総枚数は48枚であり、隣接するプライ群同士の交差の角度は90°となっているが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、各プライ群におけるプリプレグの積層枚数は、2〜12枚とすることができる。
【0029】
〔プリプレグ積層体の製造方法〕
本発明の積層体は、特に限定するわけではないが、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0030】
まず、母材樹脂組成物を作製する。
母材樹脂組成物は、未硬化の母材樹脂中にナノファイバーを分散させることにより作製することができる。
未硬化の母材樹脂中にナノファイバーを分散させる方法としては、特に限定するわけではないが、例えば、以下のような方法がある。
【0031】
すなわち、例えば、ナノファイバーの原料となるケミカルパルプを、高圧ホモジナイザ―、精密摩砕機、高精細ディスクリファイナーなどにより差し渡し径がナノレベルのナノファイバーになるまで解繊し、これを母材樹脂(主剤以外に硬化剤を含んでいてもよい)に分散する方法が挙げられる。
この方法において、特にセルロースナノファイバーなどにおいては、ナノレベルにまで解繊された微細なセルロースナノファイバーが互いに水素結合しやすく、そのまま乾燥したのでは塊になり母材樹脂に混合、分散させることが困難である。そのため、通常、セルロースナノファイバーは水を90%以上含んだ状態で保管される。水を含んだままのセルロースナノファイバーを母材樹脂に混合、分散させたのでは、セルロースナノファイバーに含まれる水分による樹脂の硬化阻害が起こり、複合材料の母材樹脂組成物として用いることが困難となるおそれがある。
そこで、セルロースナノファイバーの水分を除去することが好ましい。そのためには、例えば、セルロースナノファイバーを母材樹脂に混合・分散させる方法として、エタノールやMEKなどの溶剤でセルロースナノファイバーの水を置換し、溶剤中に分散しているセルロースナノファイバーを溶剤とともに母材樹脂に投入、混合・分散させ、その後、真空乾燥によりエポキシ樹脂中の溶剤を蒸発させる方法や、セルロースナノファイバーが互いにくっ付かないように、真空凍結乾燥により水分を取り去り、その後これをエポキシ樹脂中に分散させる方法などが考えられる。
【0032】
また、上記とは異なり、母材樹脂中に、ナノファイバーの原料となるケミカルパルプを乾燥状態で投入し、加圧型ニーダ、2軸混練押出機(ラボブラストミルでも可)で混練することにより、パルプの解繊と母材樹脂中への分散を同時に達成する方法もある。
さらに、母材樹脂以外の樹脂(中でも、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、変性エポキシ樹脂などが好ましい)を用いて、パルプの解繊を行い、得られたナノファイバーを母材樹脂に分散させることとしても良い。この場合において、本発明の効果を害しないのであれば、ナノファイバーを前記母材樹脂以外の樹脂に分散させた状態のままで、母材樹脂に添加することとしても良い(この場合、得られる母材樹脂組成物には、母材樹脂以外の樹脂も含まれることとなる)。
これらの方法においては、混練時の温度やパルプの投入量などの制御により、樹脂の粘度を変えることができる。また、混練時間の長短によりパルプの解繊状態を制御できる。
2軸混練押出機の場合は、エレメントを調整(例えば、ミキシングエレメントやフルフライトなどを組み合わせる)することによって、解繊状態を制御できる。
また、これらの方法においては、水や有機溶剤を使用しなくてもよいので、水や有機溶剤の残存による物性への影響の懸念がないという利点がある。
【0033】
次に、上記のようにして得られた母材樹脂組成物と補強繊維とを組み合わせることによって、プリプレグを作製することができる。
例えば、離型紙上に未硬化の母材樹脂組成物を塗工し、母材樹脂組成物フィルムを形成する。そして、この母材樹脂組成物フィルムに、開繊シート(例えば、特開2000−8261号公報に記載の開繊シート)を重ね合わせることにより、補強繊維に母材樹脂組成物が含浸されたプリプレグシートを得ることができる。
【0034】
次に、上記のようにして得られたプリプレグを、例えば、
図1(a)に示す積層構造で厚み方向に積層することによって、本発明のプリプレグ積層体を作製することができる。
得られたプリプレグ積層体に対し、オートクレーブにより加圧・硬化するなどの適宜の処理を施すことで、炭素繊維強化プラスチックを製造することができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例を用いて、本発明にかかるプリプレグ積層体について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下において、単に「部」、「%」と示すときは、特に断りのない限り、「重量部」、「重量%」を意味する。
【0036】
〔実施例1〕
<セルロースナノファイバーの製造>
(ポリエステル系樹脂の合成)
窒素ガス導入管、還流コンデンサ、攪拌機を備えた2Lのガラス製フラスコにジエチレングリコール758.2部(7.14mol、仕込みモル比0.53)、アジピン酸652.6部(4.47mol、仕込みモル比0.33)、無水マレイン酸183.9部(1.88mol、仕込みモル比0.14)を仕込み、窒素気流下に、加熱を開始した。内温200℃にて、常法にて脱水縮合反応を行った。酸価が13KOHmg/gになったところで、直ちに150℃まで冷却し、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを仕込み原料重量に対し100ppm添加した。さらに室温まで冷却し、酸価13KOHmg/g、水酸基価89KOHmg/g、エステル基濃度が9.1mmol/gである、ポリエステル系樹脂を得た。
【0037】
ここで、酸価、水酸基価、エステル基濃度は以下の方法で規定した。
(ポリエステル系樹脂の酸価の測定方法)
500mlビーカーに試薬特級水酸化カリウム33gを計量し、イオン交換水150mlを徐々に加え冷却した(KOH溶解液)。5リットル容器に半分の量の工業用メタノールを入れ、KOH溶解液を混合しながら徐々に移した。更に工業用メタノールを徐々に加えて全量を5リットルとした(0.1mol水酸化カリウムアルコール溶液)。
100ml三角マイヤーに試薬特級シュウ酸0.1gを精秤し、イオン交換水30ccを加えて溶かした。1%フェノールフタレイン指示薬数滴を加え、0.1mol水酸化カリウムアルコール溶液で滴定し、下記計算式(1)により力価を求めた。
力価=シュウ酸重量(g)×1000/[滴定(ml)×6.3]・・・(1)
100ml三角マイヤーに試料1gを採取し、トルエン、メタノール混合中性溶剤(トルエンとメタノールを7対3の割合で混合しフェノールフタレインを指示薬として0.1mol水酸化カリウムアルコール溶液で中和)30gを加え、スターラーで撹拌した。更にエタノールで希釈した1%フェノールフタレイン指示薬を数滴加え、撹拌した。次に0.1mol水酸化カリウムアルコール溶液で滴定し、下記計算式(2)により酸価を求めた。
酸価=滴定量(ml)×力価×5.611/試料の重量(g)・・・(2)
【0038】
(ポリエステル系樹脂の水酸基価の測定)
末端水酸基価、
13C−NMRスペクトルにおける、末端構造およびエステル結合に由来する各ピークの面積比から求めた。測定装置は、日本電子製JNM−LA300を用い、試料の10%重クロロホルム溶液に緩和試薬としてCr(acac)3 10mgを加え、ゲートデカップリング法による
13C−NMRの定量測定を行なった。積算は4000回行なった。
【0039】
(エステル基濃度の計算方法)
エステル基濃度は下記計算式(3)により求めた。
エステル基濃度(mol/g)=生成エステル基量(mmol)/[仕込みモノマー量(g)−生成水量(g)]・・・(3)
【0040】
(セルロースの解繊)
上記ポリエステル系樹脂を600部、日本製紙ケミカル社製のセルロースパウダー製品「KCフロック W−50GK」400部を、森山製作所製加圧ニーダー(DS1−5GHH−H)を用いて60rpmで600分加圧混練を行ってセルロースの微細化処理を行い、マスタバッチを得た。得られたマスタバッチを、走査型電子顕微鏡で確認したところ、パルプのセルロース繊維が直径数十ナノメートルまで細分化されていることが確認できた。
【0041】
<母材樹脂組成物の製造>
プラネタリーミキサー「PLM−15H」(井上製作所製)を用いて、母材樹脂としての熱硬化性エポキシ樹脂「EPICLON(登録商標)850S」(DIC社製)40部、「EPICLON(登録商標)1055」(DIC社製)60部に、上で得られたセルロースナノファイバーを含むマスタバッチ2.8部、硬化剤「jERキュア(登録商標)DICY15」(三菱化学社製)を5部、DCMU99(保土ヶ谷化学工業社製)2部を分散させ、母材樹脂組成物とした。母材樹脂組成物中のセルロースナノファイバーの含有量は1.0重量%となる。
【0042】
<補強繊維の製造>
炭素繊維トウ「パイロフィル」(登録商標)のタイプ「TR 50S15L」(引張強度4.9MPa、ヤング率240GPa、三菱レイヨン社製)を、配向方向と垂直の方向に気流を生じさせた開繊装置に通すことにより開繊して、繊維方向が一方向に配向した補強繊維(開繊シート)を作製した。
【0043】
<プリプレグ積層体の製造>
上で得られた母材樹脂組成物を、樹脂塗工装置「DVコーター」(ヒラノテクシード社製)を用いて、離型紙上に膜厚17μmとなるように均一に塗工した。
次に、離型紙上に形成した上記母材樹脂組成物に、上記補強繊維(開繊シート)を重ね合わせ、補強繊維に母材樹脂組成物を含浸させて、繊維方向が一方向に配向したプリプレグを作製した。プリプレグの厚みは40μmであり、補強繊維の体積分率は57%であった。
得られたプリプレグを330mm×330mmに切断し、50%RH、23℃の条件下で、
図1(a)に示す積層構造で積層した。
【0044】
〔比較例1〕
セルロースナノファイバーを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてプリプレグを作製し、当該プリプレグを用いたこと以外は実施例1と同様にしてプリプレグ積層体を作製した。
【0045】
〔比較例2〕
実施例1と同様にしてプリプレグを作製し、当該プリプレグを用いて、プリプレグの積層構造を
図1(b)に示す積層構造に変更したこと以外は実施例1と同様にしてプリプレグ積層体を作製した。
【0046】
〔比較例3〕
セルロースナノファイバーを添加しなかったこと以外は比較例2と同様にしてプリプレグを作製し、当該プリプレグを用いたこと以外は比較例2と同様にしてプリプレグ積層体を作製した。
【0047】
〔引張試験〕
上記実施例1及び比較例1〜3で作製した各積層体を、真空バックに入れ、オートクレーブを用いて成形した。成形条件としては、0.5MPa、2時間、130℃の条件とした。
硬化した各積層体から、縦200mm×幅25mm×厚さ1.92mmの短冊試験片を得た。
これらの各試験片について、万能材料試験機(オートグラフ、定格荷重100kN、島津製作所製)を用いて、クロスヘッドスピード1mm/minで引張試験を行った。
【0048】
試験結果を
図2に示す。
図2において、「thick−layered」とあるのは、繊維の配向方向が同方向の層が見かけ上厚い実施例1及び比較例1の試験片である。そのうち、「CNF1.0wt%」が実施例1の試験片、「CNF0wt%」が比較例1の試験片である。
「thin−layered」とあるのは、繊維の配向方向が同方向の層が見かけ上薄い比較例2及び比較例3の試験片である。そのうち、「CNF1.0wt%」が比較例2の試験片、「CNF0wt%」が比較例3の試験片である。
【0049】
図2に示す結果から、以下のことが分かる。
すなわち、実施例1と比較例1の結果を対比すると、セルロースナノファイバーの添加により、引張強度が向上していることが確認できる。
これに対して、比較例2と比較例3の結果を対比すると、セルロースナノファイバーを添加しても、引張強度の向上が認められないことが確認できる。
これらの結果から、積層構造によって、セルロースナノファイバーの添加効果に違いが生じることが分かった。