(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発光素子間において前記一対の導電部材及び前記遮光部材を切断した切断面が発光装置の実装面であり、前記実装面に対して垂直な主発光面側が発光装置の発光面である請求項1〜12のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
透光性を有し、前記発光素子からの光を波長変換可能な波長変換部材を含有する前記基体を用い、前記基体を、前記発光素子間の前記一対の導電部材及び前記遮光部材と一緒に切断する請求項1〜14のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する発光装置及びその製造方法は、実施形態の技術的思想を具現化するためのものであって、以下に限定するものではない。特に、構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、単なる説明例であり、説明を明確にするために誇張していることがある。以下に記載される実施形態は、各構成等を適宜組み合わせて適用できる。
【0009】
<実施形態1>
図1Aは、実施形態1の発光装置の製造方法に係る、発光素子を基体上に配置する工程を示す概略平面図である。
図1Bは、
図1AのX−X’線における概略断面図である。
図1Cは、実施形態1の発光装置の製造方法に係る、導電部材を形成する工程を示す概略平面図である。
図1Dは、
図1CのX−X’線における概略断面図である。
図1E及び
図1Fは、実施形態1の発光装置の製造方法に係る、遮光部材を形成する工程を示す概略断面図である。
図1G及び
図1Hは、実施形態1の発光装置の製造方法に係る、導電部材を切断する工程を示す概略断面図である。
図1Iは、実施形態1に係る発光装置を実装基板に実装した発光モジュールを発光面側から見た概略正面図である。
図1Jは、実施形態1に係る発光装置の概略断面図である。実施形態1では、少なくとも以下の工程を行うことで、各々の発光装置10を形成する。
まず、
図1A及び
図1Bに示されるように、2つの発光素子2は、主発光面Mと、主発光面Mと反対側の面であって一対の電極2a、2bを有する面と、を備えており、電極2a、2bを上向きにして隣接するように基体1上に配置する。
そして、
図1C及び
図1Dに示されるように、一方の発光素子2の電極2a、2bから他方の発光素子2の電極2a、2bにわたる一対の導電部材3(3a、3b)を形成する。言い換えると、一方の発光素子2と他方の発光素子2の電極上を架橋する一対の導電部材3(3a、3b)を形成する。
その後、
図1E及び
図1Fに示されるように、少なくとも発光素子2間を被覆する遮光部材4を形成する。
そして、
図1G及び
図1Hに示されるように、少なくとも、発光素子2間の一対の導電部3a、3b及び遮光部材4を、主発光面Mに対して垂直な方向に切断する。実施形態1では、この切断面を発光装置10の実装面Sとすることができる。
さらに、適宜遮光部材4を発光素子2の側面に沿って切断することで、
図1Jに示されるように、主発光面Mに対して実装面Sが垂直なサイドビュー型の発光装置10に個片化することができる。
以上のように、実施形態1では、導電部材3を形成してから遮光部材4を形成する。なお、後述するように、各工程の順序を入れ替えてもよく、それらの形態については、実施形態2〜4で詳述する。
以下、実施形態1の各工程について図面を用いて詳細に説明する。
【0010】
(発光素子の基体上への配置)
図1A及び
図1Bに示されるように、主発光面Mと、主発光面Mと反対側の面であって一対の電極2a、2bを有する面と、を備える2つの発光素子2を、電極2a、2bを上向きにして隣接するように基体1上に配置する。
まず、発光素子2を少なくとも2つ準備する。発光素子2は、少なくとも発光層を含む半導体層を含み、主発光面Mと、主発光面Mと反対側の面であって正負一対の電極2a、2bを有する面と、を有する。このように、ウエハ状態から個々に分離した発光素子2を、選別を行った後に、所望の配光を有するものだけを基体1上に配置することができるので、歩留まりよく発光装置を形成することができる。
【0011】
発光素子2の平面形状は、円形、楕円形、三角形、四角形及び六角形等の多角形等のいずれであってもよい。また、発光素子2の大きさ及び厚みは、適宜選択することができる。実施形態1では、例えば、平面形状が矩形の発光素子2を用いることができる。
【0012】
また、発光素子2を配置する基体1を準備する。基体1は、後に導電部材及び遮光部材を切断する前に除去してもよいし、導電部材及び遮光部材とともに切断することで、発光装置の一部として用いてもよい。
【0013】
次に、準備した発光素子2を、基体1上へ配置する。実施形態1では、2つの発光素子2を1組として、1組以上の発光素子2を基体1上に配置し、後の工程において、それぞれの組に対して少なくとも一対の導電部材を、2つの発光素子が向かい合う側の面と反対側の面から突出しないように形成することができる。これにより、個々の発光装置に個片化したときに、実装面と反対側の上面から導電部材が露出しない、光吸収の少ないサイドビュー型の発光装置を無駄なく効率的に形成することが可能である。しかし、これに限らず、3つ以上の発光素子を配置してもよい。この形態については、実施形態5で詳述する。
【0014】
実施形態1では、発光素子2の電極2a、2bを上向きに、つまり、主発光面Mが基体1と接する(対向する)ように、2つの発光素子2を隣接させて基体1上に配置する。これにより、後の工程において電極上に導電部材を形成しやすく、さらに、主発光面Mを露出させるように遮光部材を形成しやすい。
また、2つの発光素子2は、一方の発光素子2の一対の電極2a、2bと、他方の発光素子2の一対の電極2a、2bとが対向するように(すなわち、実施形態1では2つの発光素子2の長手方向の側面が対向するように)配置することが好ましい。これにより、一方の発光素子2の1つの電極と、他方の発光素子2の1つの電極とが対向する(すなわち、2つの発光素子2の短手方向の側面が対向する)ように配置する場合に比べ、後の工程において導電部材を少ない量で容易に形成しやすい。
【0015】
さらに、2つの発光素子2は、それぞれの発光素子2の異極同士が隣接するように配置することが好ましい。具体的には、
図1Aに示されるように、一方の発光素子2の正電極2aと他方の発光素子2の負電極2bとが対向し、且つ、一方の発光素子2の負電極2bと他方の発光素子2の正電極2aとが対向するように、2つの発光素子2を配置することが好ましい。これにより、発光装置の実装面において、正負の端子(正負の電極に接続するそれぞれの導電部材)の左右の位置を同じにすることができる。
なお、2つの発光素子2において、それぞれの発光素子2の同極同士が隣接するように配置してもよい。これにより、発光素子2の向きを変更せずに同じ向きで配置することができるので、基体1上への配置が容易である。さらに、実装面において正負の端子の左右の位置が異なる発光装置を形成することができる。
【0016】
2つの発光素子2の配置間隔は、任意に設定することができる。この間隔は、後述する遮光部材の厚みに影響を与える。よって、所望の遮光部材の厚みとできるように、間隔の広狭を調整することが好ましい。例えば、発光素子の配置精度、後の個片化工程における切断位置精度、遮光部材の構成にもよるが、30μm〜300μm程度の間隔を空けて配置することができる。これにより、後の工程において導電部材を形成しやすく、且つ、主発光面以外から漏れる光を十分に遮光可能な遮光部材を形成することができる。さらに、取り数を確保することができ、効率よく発光装置を製造することができる。
【0017】
基体1上に発光素子2を配置する際、例えば、予め基体1及び/又は発光素子2に接着剤を配置しておき、該接着剤により発光素子2を基体1上に固定することができる。接着剤としては、樹脂等の当該分野で公知のものを用いることができ、特に、基体1を発光装置の一部として用いる場合は、透光性を有する樹脂を用いることが好ましい。なお、粘着性を有する基体1を用いる場合は、基体1の粘着性によって、発光素子2を基体上に固定してもよい。これにより、少ない工程数で効率よく発光素子2を配置することができる。
【0018】
(導電部材の形成)
実施形態1では、次に、
図1C及び
図1Dに示されるように、一方の発光素子2の電極から他方の発光素子2の電極にわたる一対の導電部材3を形成する。すなわち、2つの発光素子2上に架橋するように、一対の導電部材3を形成する。実施形態1では、2つの発光素子2の隣接する異極にわたる導電部材3を形成することができる。具体的には、一方の発光素子2の正電極2aと他方の発光素子2の負電極2bとにわたる導電部材3aと、一方の発光素子2の負電極2bと他方の発光素子2の正電極2aとにわたる導電部材3bを形成することができる。
【0019】
導電部材3は、発光素子2間において発光素子2の電極2a、2bの上面よりも下側まで形成することが好ましい。これにより、後の工程において、発光素子間の一対の導電部材3及び遮光部材を切断した切断面(発光装置の実装面)から導電部材を露出させやすい。また、発光装置の短絡を防ぐために、導電部材3を半導体層に直接接触しないように設けることが好ましい。したがって、実施形態1では、例えば、発光素子2間において、電極2a、2bの側面を被覆し、且つ、電極2a、2bの下面よりも上側までの領域に導電部材3を形成することができる。この場合、電極2a、2bの厚みを厚く設けておくことで、導電部材3を半導体層に直接接触しないように形成しやすい。例えば、実施形態1では、電極2a、2bの厚みを10μm以上、より好ましくは50μm以上とすることができる。これにより、導電部材3が半導体層と接触することを防ぐことができる。また、発光装置の実装面から露出する導電部材の面積を確保することができる。なお、発光素子2の電極2a、2bの厚みは異なっていてもよい。
【0020】
発光素子2の表面が絶縁部材によって被覆されて絶縁性が確保される場合には、導電部材3を電極2a、2bの下面よりも下側、例えば半導体層の側面まで形成してもよい。これにより、発光装置の実装面に露出する導電部材3の面積を広くすることができ、放熱性、実装性が高い発光装置を形成することができる。ただし、導電部材3は、発光素子2の主発光面Mよりも上側までの領域に形成することが好ましい。すなわち、導電部材3は、発光素子2間の基体1と接触しないように形成することが好ましい。これにより、発光装置において、導電部材3が主発光面Mと同一面上に露出されることによる光吸収を抑制することができる。
【0021】
導電部材は、例えば、導電性ペースト又は半田を用いて、ポッティング、描画、印刷、溶射等の塗布法で配置し、加熱によって硬化することで形成できる。これにより、鍍金等で導電部材を形成する場合と比べて、コストと時間を削減することができる。特に、実施形態1のように遮光部材よりも先に導電部材3を形成する場合は、導電部材3として半田を塗布することが好ましい。これにより、所望の量の導電部材を所望の位置に形成しやすく、一対の電極2a、2bの上面にわたる一対の導電部材3a、3bを形成しやすい。なお、半田としては、比較的高融点であるAuSnを用いると、発光装置を実装基板へ実装する際の導電部材3の再溶融を防止することができ好ましい。
【0022】
なお、実施形態1のように、遮光部材4よりも先に導電部材3を形成する場合は、前述のような所望の領域に導電部材3を保持させるために、配置する際の導電部材3の粘度を調整することが好ましい。例えば、導電部材3として粘度50Pa・s〜500Pa・s、より好ましくは粘度200Pa・s〜300Pa・s程度のAuSuペーストを準備し、適宜量を調整しながら所望の領域に形成することができる。このように、粘度を調整した導電部材3を用いることで、導電部材3を所望の位置に保持させておくことができるので、少ない工程数で効率よく発光装置を形成することができる。
【0023】
(遮光部材の形成)
実施形態1では、次に、
図1E及び
図1Fに示すように、少なくとも発光素子2間を被覆する遮光部材4を形成する。具体的には、主発光面Mを露出させるように、2つの発光素子2及び一対の導電部材3を被覆する遮光部材4を基体1上に形成する。これにより、発光素子2の一対の導電部材3a、3bを絶縁させることができ、さらに、主発光面M以外からの光漏れを防止することができる。
【0024】
ここで、
図1Fに示すように、遮光部材4の上面から導電部材3が露出するように形成してもよい。例えば、
図1Eに示すように、遮光部材4を導電部材3の上面まで被覆する高さで形成しておき、切削や研磨等によって遮光部材4の上部を除去することで、導電部材3を露出させることができる。または、遮光部材4及び導電部材3の上部を除去することで、導電部材3を露出させてもよい。製造工程における上面側は、発光装置の背面側となるので、このように導電部材3の上面を露出させておくことで、発光装置の背面からも端子として導電部材3を露出させることができる。これにより、放熱性、実装性が高い発光装置を形成しやすい。
【0025】
遮光部材4としては、樹脂等の母材に光反射性又は光吸収性物質を含有させたものを用いることができ、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、スクリーン印刷、ポッティング等で成形、硬化させることで形成できる。特に、導電部材3の下方の発光素子2間まで確実に遮光部材4を形成できることから、コンプレッションモールド、トランスファーモールドが好ましい。
なお、遮光部材は、前述のように一度に形成(形成した遮光部材の一部を除去する形態も一度に形成すると表す)してもよいし、さらに遮光部材を設けてもよい。すなわち、遮光部材を複数回に分けて形成してもよい。この形態については、実施形態4で詳述する。
【0026】
(導電部材の切断)
次に、実施形態1では、
図1G及び
図1Hに示すように、発光素子2間の一対の導電部材3及び遮光部材4を、発光素子2の主発光面Mに対して垂直に交差する方向に切断する。これにより、発光装置の発光面(主発光面M)に対して垂直で、且つ一対の導電部材3が露出される発光装置10の実装面Sを形成することができる。実施形態1では、さらに発光素子2の側面に沿って平行に遮光部材4を切断することで、
図1Hに示すように、個々の発光装置10に個片化することができる。
【0027】
基体1上に配置する発光素子の平面形状は、前述のように特に限定されないが、同じ形状のものを用いると、導電部材3及び/又は遮光部材4を発光素子に沿って切断しやすい。実施形態1では、2つの矩形の発光素子2の側面が対向するように配置しているので、発光素子2の側面に沿って導電部材3及び/又は遮光部材4を切断しやすく、効率的に個々の発光装置を個片化することができる。
【0028】
切断は、当該分野で公知の切断方法、例えば、ブレード5を用いたブレードダイシングや、レーザダイシング、カッタースクライブ等を利用することができる。
【0029】
前述のように個片化することで、
図1Iに示すように、実装基板6に実装する場合に、実装面Sが主発光面Mに対して垂直なサイドビュー型の発光装置10を形成することができる。実施形態1のように、一対の導電部材3を、2つの発光素子にわたるように導電性ペーストや共晶合金を配置して形成することで、鍍金等で導電部材を形成する場合に比べて時間及びコストを低減して発光装置を形成することができる。さらに、遮光部材形成工程において、導電部材3の上面を露出させておくことで、発光装置10の背面Uからも一対の導電部材3を露出させることができる。これにより、放熱性及び実装基板6への実装性の高い発光装置10を形成することができる。また、実装後に、前方から発光装置に応力が負荷される場合でも、背面側に倒れ難い発光装置10を形成することができる。
なお、実装面から露出する各導電部材の面積は、発光装置を実装基板へ実装する際に接合強度が十分に確保できる程度であると好ましく、例えば、実装面から露出する各導電部材の面積は、それぞれ0.03mm
2以上とすることができる。また、実装面から露出する各導電部材の面積は、発光装置を実装基板へ実装したときにショートしない程度であれば、大きいほど好ましい。
【0030】
(その他の工程)
以上の工程の他に、例えば、波長変換層を形成する工程、透光層を形成する工程、端子被覆膜を形成する工程等を適宜行ってもよい。
【0031】
波長変換層を形成する工程では、主発光面Mから出射される光を所望の波長に変換する波長変換層7を、主発光面Mを被覆するように形成することができる。波長変換層7としては、例えば樹脂やガラス等の母材に蛍光体等の波長変換材料を含有したものを用いることができる。波長変換7は、スプレー、印刷、塗布、貼り付け等の所望の方法で形成することができる。前述のように、波長変換材料を含有した透光性の樹脂等からなる基体1を用い、基体1を波長変換層7として用いてもよい。また、周縁を遮光部材の枠で囲まれた波長変換層を予め形成しておき、主発光面に貼り付けることで、見切りの良い発光装置を形成することが可能である。
【0032】
透光層を形成する工程は、発光装置の発光面(具体的には、波長変換層7や主発光面M)上に、透光性を有する透光層8を形成する工程である。透光層8を形成することで、発光装置の発光面を保護することができる。透光層8としては、例えば透光性を有する樹脂やガラス等を用いることができる。また、フィラー等を含有させることで、光の取り出し向上や、タック性を低減させることが可能である。透光層8は、例えばスプレー、印刷、塗布、貼り付け等の所望の方法で形成することができる。
なお、波長変換層7を形成する工程、透光層8を形成する工程は、一対の導電部材3a、3bの切断(個片化)前に行うことが好ましい。
【0033】
端子被覆膜を形成する工程は、発光素子2間の一対の導電部材3a、3b及び遮光部材4を切断して露出させた実装面の一対の導電部材3a、3b、すなわち発光装置の端子を保護する端子被覆膜9を形成する工程である。端子被覆膜9としては、金、銀、ニッケル、アルミニウム、ロジウム、銅、又はこれらの合金などを用いることができる。端子被覆膜9は、例えば、厚み0.03μm〜0.5μmで設けることができる。これにより、導電部材の劣化を防止することができる。端子被覆膜9は、例えば鍍金やスパッタ等によって形成することができる。特に、実装面Sの遮光部材4及び一対の導電部材3a、3b上に、例えばスパッタ等で一体に被覆膜を形成後、実装面Sの全体にレーザを照射することで、遮光部材4上に形成された被覆膜のみを除去することができ、端子被覆膜9を効率的に形成することができる。また、レーザを照射することで実装面Sが粗面化され、発光装置のタック性を低減させることができる。なお、端子被覆膜9は、実装面Sに露出する導電部材3a、3bの他、発光装置の背面U、側面、上面から導電部材が露出されている場合は、適宜その導電部材を被覆するように設けてもよい。
【0034】
以下、各構成部材について詳細に説明する。
【0035】
(発光素子)
発光素子2は、当該分野で一般的に用いられる発光ダイオード、レーザダイオード等を用いることができる。例えば、窒化物系半導体(In
XAl
YGa
1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaP、GaAsなどのIII−V族化合物半導体、ZnSe、II−VI族化合物半導体等、種々の半導体を利用することができる。なお、発光素子2は、半導体層を成長させるための基板を有していてもよい。基板としては、サファイア等の絶縁性基板、SiC、ZnO、Si、GaAs、ダイヤモンド、窒化物半導体と格子接合するニオブ酸リチウム、ガリウム酸ネオジム等の酸化物からなる基板が挙げられる。なお、基板はレーザリフトオフ法等を利用して除去されていてもよい。
【0036】
(基体)
基体1は、前述のようにシート状の樹脂、セラミックス、ガラス等を用いることができる。特に、耐熱性の観点から、シート状のポリイミド樹脂を用いることが好ましい。
基体1の平面形状、大きさ、厚み等は、配置する発光素子2の大きさや数によって適宜調整することができる。特に、均一な厚みを有し、その表面が平坦なシート状の基体1であると、発光素子2を安定的に配置しやすく好ましい。
【0037】
基体1を発光装置の一部として用いる場合は、透光性を有していると好ましく、発光素子2からの光の透過率が60%以上、70%以上、80%以上、90%以上であるものが好ましい。
特に、基体1を発光装置の一部として用いる場合は、基体1として樹脂を用いることが好ましく、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ変性樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、TPX樹脂、ポリノルボルネン樹脂、又はこれらの樹脂を1種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂等によって形成されたものが挙げられる。なかでも、シリコーン樹脂又はエポキシ樹脂が好ましく、特に耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂が好ましい。
【0038】
さらに、基体1を発光装置の一部として用いる場合、基体1に発光素子からの光を波長変換する波長変換部材、例えば、蛍光体及び/又は発光物質を含有させると、発光装置の波長変換層として用いることができる。
蛍光体及び/又は発光物質は、当該分野で公知のものを使用することができる。例えば、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LAG)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO−Al
2O
3−SiO
2)系蛍光体、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)
2SiO
4)系蛍光体、βサイアロン蛍光体、CASN系又はSCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(K
2SiF
6:Mn)、硫化物系蛍光体等、ナノクリスタル、量子ドットと称される発光物質等が挙げられる。発光物質の材料としては、半導体材料、例えば、II−VI族、III−V族、IV−VI族半導体、具体的には、CdSe、コアシェル型のCdS
xSe
1-x/ZnS、GaP等のナノサイズの高分散粒子が挙げられる。
【0039】
基体1は、フィラー(例えば、拡散剤、着色剤等)を含んでいてもよい。例えば、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、ガラス、蛍光体の結晶又は焼結体、蛍光体と無機物の結合材との焼結体等が挙げられる。
【0040】
(導電部材)
導電部材3としては、導電性ペースト又は共晶合金を用いることができ、例えば、錫−ビスマス系、錫−銅系、錫−銀系、金−錫系などの半田、AuとSnとを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金等の共晶合金、あるいは、銀、金、パラジウムなどの導電性ペースト、又はこれらを組み合わせた材料によって形成することができる。実施形態1のように、遮光部材4よりも先に導電部材を形成する場合、言い換えると、発光素子2間に導電部材を保持させるように形成する場合は、前述のように、AuSn系の半田を用いることが好ましい。また、実施形態2以降で詳述するように、遮光部材4を形成した後に導電部材を形成する場合、言い換えると、遮光部材の凹部に導電部材を形成する場合や、2つの発光素子の電極上に架橋するように、遮光部材上にわたって一対の導電部材を設ける場合は、比較的低温で硬化可能な導電性ペーストを用いることが好ましい。これにより、遮光部材の変色や劣化を抑制し、発光装置の光取り出し効率を維持することができる。
【0041】
(遮光部材)
遮光部材4は、例えば、母材である樹脂に光反射性又は光吸収性物質を含有させた材料により形成することができる。これにより、遮光部材4を所望の形状に成形しやすい。樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変成エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、変成ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリレート樹脂、ユリア樹脂、アクリル樹脂、ポリフタルアミド(PPA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。特に、耐熱性、耐候性の観点から、シリコーン系の樹脂を含むことが好ましい。
なお、遮光部材4の厚みは、例えば10μm〜100μmとすることで、主発光面M以外からの発光素子の光を十分に遮光しつつ、小型の発光装置を形成することができる。
【0042】
光反射性又は光吸収性物質としては、例えば、セラミックス、二酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、酸化亜鉛、硫酸バリウム、各種希土類酸化物(例えば、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム)等が挙げられる。光反射性又は光吸収性物質は、遮光部材の全重量において、約20重量%〜80重量%程度含有されていることが好ましく、約30重量%〜70重量%程度がより好ましい。これにより、遮光部材の遮光性及び強度を確保することができる。
【0043】
<実施形態2>
図2Aは、実施形態2の発光装置の製造方法に係る、発光素子を基体上に配置する工程を示す概略断面図である。
図2Bは、実施形態2の発光装置の製造方法に係る、遮光部材を形成する工程を示す概略平面図である。
図2Cは、
図2BのX−X’線における概略断面図である。
図2Dは、実施形態2の発光装置の製造方法に係る、導電部材を形成する工程を示す概略断面図である。
図2E及び
図2Fは、実施形態2の発光装置の製造方法に係る、導電部材を切断する工程を示す概略断面図である。なお、
図2A〜
図2Fでは、一対の導電部材のうち、1つの導電部材23aのみを図示する。実施形態2の発光装置の製造方法では、実施形態1と異なり、導電部材を形成する前に、導電部材を設ける位置に一対の凹部を有する遮光部材を形成する。これにより、導電部材を、所望の領域に容易に形成することができる。
具体的には、まず、
図2Aに示されるように、主発光面Mと、その反対側の面であって一対の電極2a、2bを有する面と、を備える2つの発光素子2を、電極2a、2bを上向きにして隣接するように基体1上に配置する。
次に、
図2B及び
図2Cに示されるように、一方の発光素子2の電極2a、2bから他方の発光素子2の電極2a、2bにわたる一対の凹部24a、24bを有する遮光部材24を形成する。言い換えると、それぞれの発光素子2の電極2a、2bの少なくとも一部が、凹部を形成する面の一部となるように(凹部内に露出されるように)、遮光部材24の一対の凹部24a、24bを形成する。
そして、
図2Dに示されるように、一対の凹部24a内にそれぞれ導電部材23aを形成する。
次に、
図2Eに示されるように、発光素子2間の一対の導電部材23a及び遮光部材24を主発光面Mに対して垂直に交差する方向に切断する。
【0044】
実施形態2では、凹部24a、24bを有する遮光部材24は、例えば、所望の凹部を形成可能な凸形状を有する金型を用いて形成することができる。金型を用いることで、凹部を所望の領域まで形成しやすく、発光素子2間において導電部材が形成される凹部24a、24bと発光素子2の側面との間に遮光部材24を存在させることができる。したがって、発光素子2の半導体層まで達する深さの凹部24a、24bを形成し、発光装置の実装面から露出する導電部材3a、3bの面積を広くして放熱性や実装性を確保しつつ、短絡や光吸収が起こりにくい信頼性の高い発光装置を形成することが可能である。
【0045】
一対の凹部24a、24bの底面は、少なくとも電極2a、2bの上面が露出する深さまで設けることが好ましい。特に、発光素子間2の遮光部材24の凹部の底面は、電極2a、2bの上面よりも下側まで設けることが好ましい。これにより、発光装置の実装面から露出する導電部材3a、3bの面積を大きくできる。なお、発光素子2間の凹部24a、24bの底面は、発光素子2の主発光面Mよりも上側までの深さで設けられることが好ましい。これにより、導電部材を主発光面Mと同一面上に露出しないように形成でき、光吸収の少ない発光装置を形成しやすい。
【0046】
実施形態2では、
図2Cに示されるように、1つの凹部内で深さが異なる凹部24aを形成することができる。実施形態2の凹部24a、24bは、その底面が一対の電極2a、2b上において電極の上面が露出する深さで設けられ(以降、浅い凹部24qと記載することがある)、発光素子2間において電極の上面よりも下側まで、且つ、主発光面Mよりも上側までの深さ(以降、深い凹部24sと記載することがある)で設けられる。すなわち、段差を有する凹部を形成することができる。このような凹部24a、24bを形成すると、発光素子間に一対の導電部材を架橋させつつ、深い凹部24sによって発光装置の実装面Sから露出する導電部材の面積を大きく確保することができる。
なお、浅い凹部24qの深さは、例えば30μm〜100μmとすることができる。そうすることで、凹部に導電部材を形成したときに、導電部材が凹部の外へ溢れにくい。また、深い凹部24s(浅い凹部からさらに凹んでいる部分の深さ)は、例えば30μm〜100μmとすることができる。そうすることで、発光装置の実装面から十分な面積の導電部材を露出させやすい。
【0047】
なお、凹部24a、24bの形成領域は、以下のように設定することが好ましい。凹部24a、24bは、発光素子2の配列方向において、少なくとも凹部を架橋させる電極と電極の対向する側面よりも外側まで、より好ましくは、凹部を架橋させる電極の上面から上面まで設けることが好ましい。これにより、導電部材と電極2a、2bとの接触面積を十分に確保することができ、放熱性のよい発光装置を形成しやすい。なお、発光素子2間の深い凹部24sは、発光素子2の配列方向において、隣接する発光素子2の側面が露出しないように形成することが好ましい。これにより、導電部材23と発光素子2の間に遮光部材24を存在させることができ、短絡が発生しにくく、導電部材による光吸収の少ない発光装置を形成しやすい。なお、凹部24a、24bは、
図2Bに示されるように、他方の凹部と離間して形成することが好ましい。例えば、一方の凹部と他方の凹部を100μm〜150μm離間させて形成することが好ましい。これにより、一対の凹部24a、24bに形成される一対の導電部材を絶縁させることができる。また、凹部24a、24bは、後の個片化工程において切断される発光素子2の側面に平行な切断面のうち、発光装置の側面となる面よりも外側まで形成してもよい。これにより、発光装置の側面からも導電部材を露出させることができ、発光装置と実装基板との接合強度を高めることができる。なお、凹部24a、24bは、後の個片化工程において切断される発光素子2の側面に平行な切断面のうち、発光装置の上面となる面よりも内側に形成することが好ましい。これにより、実装基板に実装する際の接着剤による光吸収が少ない発光装置を形成しやすい。
【0048】
なお、凹部24a、24bは前述のように1つの凹部内で深さが異なっていなくてもよく、均一な深さで形成されていてもよい。例えば、電極の上面までの深さの一対の凹部を形成することができる。これにより、複雑な形状の金型を用いなくてもよいので、コストを削減することができる。また、凹部24a、24bを、後に切断される発光素子2の側面に平行な切断面のうち、発光装置の上面となる面よりも外側まで形成し、発光装置の上面からも導電部材23が露出するように形成してもよい。この形態については、実施形態5で詳述する。
【0049】
図2Bに示されるように、導電部材が形成される凹部24a、24bは、平面視で矩形状に形成することができる。また、導電部材が形成される凹部24a、24bを、平面視で発光素子間において幅広になる形状に形成してもよい。例えば、凹部24a、24bの平面形状は、円形、楕円形、六角形等に形成してもよい。この場合、後の工程で、発光素子間の一対の導電部材の幅広部分及び遮光部材を主発光面に対して垂直に切断することで、実装面に向かって幅広の導電部材を有する発光装置を形成することができる。これにより、発光装置の放熱性を向上させやすい。なお、このように平面視で比較的複雑な形状の凹部であっても、実施形態2のように金型を用いれば、容易に形成することができる。
【0050】
実施形態2では、導電部材23を凹部24a、24bに形成するので、導電部材23の材料、粘度、形成方法は自由に選択することができる。特に、Agペースト等の導電性ペーストを用いてポッティングによって形成することが好ましい。Agペースト等の導電性ペーストは、半田等に比べて比較的溶融温度が低いため、実施形態2のように、導電部材よりも先に遮光部材を形成する場合でも、遮光部材の変色や劣化を抑制して導電部材23を形成することができる。また、導電部材23をポッティングで形成することで、深い凹部24s、浅い凹部24qへ段階的に供給しやすく、凹部へ隙間なく導電部材23を充填することができる。なお、印刷法によれば、密に形成された凹部へ効率よく導電部材23を形成することができる。
【0051】
実施形態2では、
図2Fに示されるように、発光装置20の実装面S及び背面U(製造工程における上面側)から、一対の導電部材23aを露出させることができる。これにより、発光装置20の放熱性、実装性を向上させることができる。なお、背面U上にさらに遮光部材を形成し、遮光部材に挟まれた一対の導電部材を切断することで、発光装置を形成してもよい。これにより、一対の導電部材を保護しつつ、個々の発光装置20に個片化することができる。
上述した工程以外は、実質的に実施形態1と同様の工程を行うことができるため、詳細な説明は省略する。
【0052】
なお、一対の凹部は、実施形態2のように金型の凸形状によって形成する他、例えば、発光素子2を被覆するように遮光部材を設けた後、遮光部材の一部を除去することで形成してもよい。この形態については、実施形態3で詳述する。
【0053】
<実施形態3>
図3A〜
図3Dは、実施形態3の発光装置の製造方法に係る、遮光部材の凹部を形成する工程を示す概略断面図である。
図3Eは、実施形態3の発光装置の製造方法に係る、導電部材を形成する工程を示す概略断面図である。
図3Fは、実施形態3の発光装置の製造方法に係る、導電部材を切断する工程を示す概略断面図である。実施形態3の発光装置30の製造方法では、遮光部材34の一対の凹部の形成方法が、実施形態2と異なる。なお、
図3A〜
図3Fでは、一対の凹部のうち、1つの凹部34aのみを図示する。また、一対の導電部材のうち、1つの導電部材33aのみを図示する。
実施形態3では、まず、実施形態1,2と同様に、基体1上に2つの発光素子2を隣接するように配置する。
そして、
図3Aに示されるように、少なくとも発光素子2間を被覆する遮光部材34を一体に設ける。
その後、
図3Bに示されるように、適宜ハーフダイシング、マスクを用いたエッチング等の公知の方法で遮光部材34の一部を除去することで、凹部34aを形成する。特に、汎用性や加工精度の観点から、ハーフダイシングで凹部34aを形成することが好ましい。
【0054】
具体的には、遮光部材を、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、スクリーン印刷、ポッティング等で、基体1上に配置された2つの発光素子2を埋設するように、一対の電極2a、2bの上面よりも高い位置まで設ける。そして、所望の凹部が形成可能な形状、太さのブレードで、導電部材を架橋させる電極の上面を被覆する遮光部材と、その間の遮光部材とが連続的に除去されるようにハーフダイシングする。または、導電部材を架橋させる電極の上面を被覆する遮光部材及び導電部材の一部と、その間の遮光部材とが連続的に除去されるようにハーフダイシングする。ハーフダイシングは、例えば発光素子2の電極2a、2bの下面よりも上側まで行われることが好ましい。これにより、発光素子2を損傷させることなく遮光部材及び電極の一部を除去し、凹部34aを形成することができる。
【0055】
なお、太さの異なるブレードを用い、実施形態3と同様に浅い凹部34qと深い凹部34sからなる凹部34aを設けてもよい。例えば、
図3A及び
図3Bに示されるように、太いブレード5aによって、2つの発光素子の電極2a、2bの上面から上面までの幅であって、且つ、電極2a、2bの上面から下面のいずれかまでの深さで設けられる浅い凹部34qを形成することができる。また、
図3C及び
図3Dに示されるように、細いブレード5bによって、発光素子2間において、発光素子2の側面まで至らない幅で、浅い凹部34qの底面から主発光面Mよりも上側までの深さで設けられる深い凹部34sを形成することができる。なお、浅い凹部34qと深い凹部34sを形成する順番は特に限定されず、深い凹部34sを形成してから浅い凹部34qを形成してもよい。
【0056】
上述した工程以外は、実質的に実施形態2と同様の工程を行うことができる。具体的には、
図3Eに示されるように、導電部材34aを形成し、
図3Fに示されるように、個々の発光装置30に個片化する。なお、前述のように、導電部材及び遮光部材の上面(発光装置の背面U)上にさらに遮光部材を形成し、遮光部材に挟まれた一対の導電部材を切断することで、発光装置を形成してもよい。これにより、一対の導電部材を保護しつつ、個々の発光装置に個片化することができる。
【0057】
以上のように、実施形態3の発光装置の製造方法によれば、ブレードの太さや形状、ハーフダイシングの深さ等を制御することで、複雑な形状の金型を用いることなく、容易に所望の凹部を有する遮光部材34を形成することができる。したがって、コストを削減しつつ、所望の領域に精度よく導電部材を形成することができる。
【0058】
<実施形態4>
図4A及び
図4Bは、実施形態4の発光装置の製造方法に係る、第1の遮光部材を形成する工程を示す概略断面図である。
図4Cは、実施形態4の発光装置の製造方法に係る導電部材を形成する工程を示す概略断面図である。なお、
図4Cは、
図5のX−X’線における概略断面図である。
図4D及び
図4Eは、実施形態4の発光装置の製造方法に係る、第2の遮光部材を形成する工程を示す概略断面図である。
図4F及び
図4Gは、実施形態4の発光装置の製造方法に係る、導電部材を切断する工程を示す概略断面図である。なお、
図4A〜
図4Gでは、一対の導電部材のうち、1つの導電部材43aのみを図示する。実施形態4の発光装置の製造方法では、遮光部材を複数回に分けて形成する点で、実施形態1〜3と異なる。
実施形態4では、まず、
図4Bに示されるように、主発光面Mと、主発光面Mと反対側であって一対の電極2a、2bを有する面と、を有する2つの発光素子2を、電極2a、2bを上向きにして隣接するように基体1上に配置する。
次に一対の電極2a、2bの上面が露出するように、少なくとも発光素子間を被覆する第1の遮光部材44aを形成する。第1の遮光部材44aは、例えば
図4Aに示されるように、基体1上に配置した2つの発光素子2を一体に被覆する遮光部材を形成し、一対の電極2a、2bが露出するように切削・研磨等で遮光部材(及び導電部材)の一部を除去することで形成することができる。
次に、
図4Cに示されるように、一方の発光素子2の電極2a、2bから他方の発光素子2の電極2a、2bにわたる一対の導電部材43aを形成する。このとき、それぞれの導電部材43aは、一方の発光素子2の電極上から、発光素子2間の第1の遮光部材44a上、他方の発光素子2の電極上へ連続的に形成する。
次に、
図4Eに示されるように、一対の導電部材43a及び第1の遮光部材44aを被覆する第2の遮光部材44bを形成する。より詳細には、第1の遮光部材44a及び電極2a、2bの上面に、少なくとも導電部材43aの側面を被覆する第2の遮光部材44bを形成する。第2の遮光部材44bは、例えば
図4Dに示されるように、導電部材43aの上面よりも高い位置まで遮光部材を設け、導電部材43aの上面が露出するように、その一部を切削・研磨等で除去することで形成することができる。これにより、発光装置40の背面Uからも一対の導電部材43aを露出させることができる。
そして、少なくとも発光素子2間の第1の遮光部材44a及び一対の導電部材43を、主発光面Mに対して垂直に切断し、個片化することで、発光装置40を形成することができる。なお、導電部材43の上面が第2の遮光部材44bに被覆された状態で、発光素子2間の第1の遮光部材44a及び第2の遮光部材44bで挟まれた一対の導電部材43aを主発光面Mに対して垂直に切断してもよい。これにより、一対の導電部材を保護しつつ、個々の発光装置40に個片化することができる。
上述した工程以外は、実質的に実施形態1と同様の工程を行うことができる。
【0059】
このような発光装置の製造方法によって、複雑な形状の金型や、ハーフダイシングによる高い加工精度を要さずに、容易に所望の領域に一対の導電部材を形成しやすい。
【0060】
図5は、
図4Cの概略平面図である。実施形態4では、半田等の導電部材43(43a、43b)を、金属からなる発光素子2の電極2a、2b上を架橋するように、電極2a、2b及び発光素子2間の第1の遮光部材44a上に連続するように配置する。樹脂を母材とする第1の遮光部材44a上は、金属に比べて半田等の導電部材43a、43bが濡れにくいので、導電性ペーストを用いてマスク印刷で形成すると、第1の遮光部材44a上にも連続的に導電部材43を形成しやすく好ましい。実施形態4では、
図5に示されるように、第1の遮光部材44a上の導電部材43a、43bの幅が、電極2a、2b上の導電部材43a、43bの幅に比べて細く形成されることがある。これにより、発光装置40の実装面Sにおいてそれぞれの導電部材43a、43bの間隔を十分に確保することができ、実装基板へ実装した際の発光装置40の短絡を防止することができる。
【0061】
<実施形態5>
図6A及び
図6Bは、本発明の実施形態5の発光装置の製造方法を説明する概略平面図である。実施形態5は、3つ以上の発光素子2を一組として、それらの発光素子2の電極上にわたる一対の導電部材53(53a、53b)を形成する点で、実施形態1〜4と異なる。
【0062】
例えば、
図6Aに示されるように、3つ以上の発光素子2(図中では4つ)を一組として、電極2a、2bが上向きになるように基体1上に列方向に配置し、隣接する各発光素子の電極上に連続するように一対の導電部材53(53a、53b)を形成する。
そして、発光素子2及び導電部材53を被覆する遮光部材を形成し、少なくとも各発光素子2間の一対の導電部材53及び遮光部材を主発光面Mに垂直な方向に切断することで、実装面Sから一対の導電部材53が露出するサイドビュー型の発光装置に個片化することができる。
実施形態5では、例えば
図6Aの一点破線で示される位置で切断することで、実装面Sと反対側の発光装置の上面からも一対の導電部材を露出させることができ、上面、下面のいずれかを実装面として自由に選択可能な発光装置を形成することができる。この場合、発光装置の上面と下面のうち、主発光面に対して正負の端子(正負の電極に接続するそれぞれの導電部材53a、53b)の左右の位置が同じとなる面を実装面として選択できるので、2つの発光素子2を基体1上に配置する際に、それぞれの発光素子2の同極同士が隣接(対向)するように配置してもよい。
【0063】
また、
図6Bに示されるように、例えば、隣り合う行(又は列)の一方の行(又は列)の発光素子2の一対の電極と、他方の行(又は列)の発光素子2の一対の電極とが対向するように、発光素子2を基体1上に配置し、隣り合う4つの発光素子の対向する4つの電極上にわたる導電部材53cを形成する。
そして、発光素子2間の導電部材53c及び遮光部材を主発光面に垂直に(図中の一点破線で示される位置で)切断することで、発光装置の実装面及び側面から導電部材が露出する発光装置を形成することができる。これにより、放熱性、実装性が高い発光装置を形成しやすい。
【0064】
なお、実施形態5では、遮光部材よりも先に導電部材53a、53b、53cを形成する形態を示したが、これに限らず、3つ以上の発光素子2の電極上にわたる一対の凹部を有する遮光部材を形成し、凹部に導電部材を形成してもよい。これにより、発光素子の電極上の所望の領域に、精度よく導電部材を形成しやすい。