特許第6471873号(P6471873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6471873
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】レジスト下層膜形成組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20190207BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   G03F7/11 503
   H01L21/30 573
   H01L21/30 574
【請求項の数】6
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-529156(P2016-529156)
(86)(22)【出願日】2015年5月1日
(86)【国際出願番号】JP2015063097
(87)【国際公開番号】WO2015194273
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2018年2月23日
(31)【優先権主張番号】特願2014-123225(P2014-123225)
(32)【優先日】2014年6月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西巻 裕和
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 貴文
(72)【発明者】
【氏名】坂本 力丸
【審査官】 川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/047106(WO,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0039864(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/11
H01L 21/027
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】

(式中、Xはアリーレン基を表し、nは1又は2を表し、R1、2、及びRはそれぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、炭素原子数1乃至3のアルキル基又はフェニル基を表す。)
で表される構造単位を有するポリマー、及び溶剤を含むレジスト下層膜形成組成物。
【請求項2】
前記アリーレン基はフェニレン基又はナフチレン基である請求項1に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項3】
前記式(1)で表される構造単位は、下記式(1−1)乃至(1−20)

【化2】

【化3】


【化4】

で表される構造単位からなる群から選択される構造単位である、請求項1又は請求項2に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項4】
架橋剤をさらに含む請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項5】
架橋反応を促進させる酸性化合物をさらに含む請求項4に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項6】
界面活性剤をさらに含む請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィープロセス用レジスト下層膜形成組成物に関する。特に、凹凸表面の埋め込み性及び耐ドライエッチング性を備えたレジスト下層膜を形成するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造において、リソグラフィープロセスによる微細加工が行われる。そのリソグラフィープロセスでは、基板上のレジスト層をKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー等紫外線レーザーで露光する際、基板表面に該紫外線レーザーが反射することに起因し発生する定在波による影響で、所望の形状を有するレジストパターンが形成されない問題が知られている。その問題を解決するため、基板とレジスト層の間にレジスト下層膜(反射防止膜)を設けることが採用されている。そして、レジスト下層膜を形成するための組成物として、ノボラック樹脂を用いることが知られている。例えば、特許文献1乃至特許文献3には、ビスフェノール基又はビスナフトール基を有する化合物をノボラック化した繰り返し単位を有する樹脂を含有するフォトレジスト下層膜形成材料が開示されている。
【0003】
レジストパターンの微細化に伴い求められるレジスト層の薄膜化のため、レジスト下層膜を少なくとも2層形成し、該レジスト下層膜をマスク材として使用する、リソグラフィープロセスも知られている(特許文献1乃至特許文献5参照)。前記少なくとも2層を形成する材料として、有機樹脂(例えば、アクリル樹脂、ノボラック樹脂)、ケイ素樹脂(例えば、オルガノポリシロキサン)、無機ケイ素化合物(例えば、SiON及びSiO)が挙げられる。上記有機樹脂層から形成されるパターンをマスクとしてドライエッチングする際、該パターンがエッチングガス(例えばフルオロカーボン)に対し耐ドライエッチング性を有することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−259249号公報
【特許文献2】特開2007−316282号公報
【特許文献3】特開2007−199653号公報
【特許文献4】特開2009−229666号公報
【特許文献5】特開2010−015112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のレジスト下層膜形成組成物は、得られるレジスト下層膜が耐ドライエッチング性を有している場合でも、凹凸表面を埋め込む際、凹部の幅、径、又は深さによっては、凹部が該組成物によって充填されにくいため該凹部内にボイド(空洞)が生じ易く、凹凸表面の埋め込み性は必ずしも十分ではなかった。例えば前記特許文献5は、下層膜形成組成物を用いたビア(Via)への埋め込み性の評価を「○」で表しているが、ビアの径が不明であるだけでなく、「○」で表される状態が明確でないため、埋め込み性の評価結果は客観性を欠いている。
本発明の課題は耐エッチング性を有し且つ、凹部及び/又は凸部を有する表面の埋め込み性に優れるレジスト下層膜を形成できる下層膜形成組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものである。すなわち、下記式(1)又は式(2):
【化1】







(式中、Xはアリーレン基を表し、nは1又は2を表し、R1、2、及びRはそれぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、炭素原子数1乃至3のアルキル基又はフェニル基を表す。)
で表される構造単位を有するポリマー、及び溶剤を含むレジスト下層膜形成組成物である。
【0007】
上記アリーレン基として、例えば、フェニレン基及びナフチレン基が挙げられる。
【0008】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、更に任意成分として、架橋剤を含有してもよく、前記架橋剤に加えて架橋反応を促進させる酸性化合物を含有してもよい。
【0009】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、更に界面活性剤を含有することが、基材への塗布性の観点から好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、それから形成されるレジスト下層膜に、フルオロカーボンのようなエッチングガスに対する耐エッチング性を与えるとともに、凹部及び/又は凸部を有する表面に対しても優れた埋め込み性を与える。従って、本発明は、耐エッチング性を有し且つ、凹凸表面の凹部内にボイドのない、優れたレジスト下層膜を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施例1で調製したレジスト下層膜形成組成物を用いて埋め込み性試験を行った結果を示す断面SEM写真である。
図2図2は、実施例2で調製したレジスト下層膜形成組成物を用いて埋め込み性試験を行った結果を示す断面SEM写真である。
図3図3は、実施例3で調製したレジスト下層膜形成組成物を用いて埋め込み性試験を行った結果を示す断面SEM写真である。
図4図4は、実施例4で調製したレジスト下層膜形成組成物を用いて埋め込み性試験を行った結果を示す断面SEM写真である。
図5図5は、実施例5で調製したレジスト下層膜形成組成物を用いて埋め込み性試験を行った結果を示す断面SEM写真である。
図6図6は、比較例1で調製したレジスト下層膜形成組成物を用いて埋め込み性試験を行った結果を示す断面SEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のレジスト下層膜形成組成物に含まれる上記式(1)で表される構造単位として、例えば下記式(1−1)乃至式(1−20)で表される構造単位が挙げられる。
【化2】








【化3】








【化4】






【0013】
更に、上記式(2)で表される構造単位として、例えば下記式(2−1)乃至式(2−16)で表される構造単位が挙げられる。
【化5】








【化6】








【化7】







【0014】
本発明のレジスト下層膜形成組成物に含まれるポリマーの重量平均分子量は、標準ポリスチレン換算値で例えば1,000乃至10,000である。
【0015】
前記ポリマーは、フェノール、ナフトール又はそれらの誘導体と、ベンゾフェノン、フルオレノン又はそれらの誘導体とを、スルホン酸化合物などの酸触媒の存在下、溶媒中で重合反応させて合成することができる。前記ポリマーの合成に用いられる、フェノールの誘導体として例えば、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、3−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、カテコール、4−t−ブチルカテコール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、チモール、イソチモールが挙げられ、ナフトールの誘導体として例えば、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンが挙げられる。前記ポリマーの合成に用いられるベンゾフェノンの誘導体として例えば、3−メチルベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、3,4−ジメチルベンゾフェノン、2,4−ジメチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラメチルベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンが挙げられ、フルオレノンの誘導体として例えば、2−ヒドロキシ−9−フルオレノンが挙げられる。前記ポリマーの合成に使用されるフェノール、ナフトール又はそれらの誘導体は1種の化合物に限定されず2種以上用いてもよく、ベンゾフェノン、フルオレノン又はそれらの誘導体も1種の化合物に限定されず2種以上用いてもよい。
【0016】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、さらに架橋剤を含有することができる。前記架橋剤としては、少なくとも二つの架橋形成置換基を有する架橋性化合物が好ましく用いられる。例えば、メチロール基、メトキシメチル基等の架橋形成置換基を有する、メラミン系化合物、置換尿素系化合物及びフェノール系化合物が挙げられる。具体的には、メトキシメチル化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミンなどの化合物であり、例えば、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラブトキシメチルグリコールウリル、ヘキサメトキシメチルメラミンを挙げることができる。さらに、置換尿素系化合物として、例えば、テトラメトキシメチル尿素、テトラブトキシメチル尿素を挙げることができる。フェノール系化合物として、例えば、テトラヒドロキシメチルビフェノール、テトラメトキシメチルビフェノール、テトラメトキシメチルビスフェノールを挙げることができる。
【0017】
前記架橋剤としては、また、少なくとも二つのエポキシ基を有する化合物を用いることもできる。このような化合物として、例えば、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−4−(エポキシエチル)シクロヘキサン、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、2,6−ジグリシジルフェニルグリシジルエーテル、1,1,3−トリス[p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、(株)ダイセル製のエポリード〔登録商標〕GT−401、同GT−403、同GT−301、同GT−302、セロキサイド〔登録商標〕2021、同3000、三菱化学(株)製の1001、1002、1003、1004、1007、1009、1010、828、807、152、154、180S75、871、872、日本化薬(株)製のEPPN201、同202、EOCN−102、同103S、同104S、同1020、同1025、同1027、ナガセケムテックス(株)製のデナコール〔登録商標〕EX−252、同EX−611、同EX−612、同EX−614、同EX−622、同EX−411、同EX−512、同EX−522、同EX−421、同EX−313、同EX−314、同EX−321、BASFジャパン(株)製のCY175、CY177、CY179、CY182、CY184、CY192、DIC(株)製のエピクロン200、同400、同7015、同835LV、同850CRPを挙げることができる。前記少なくとも二つのエポキシ基を有する化合物としては、また、アミノ基を有するエポキシ樹脂を使用することもできる。このようなエポキシ樹脂として、例えば、YH−434、YH−434L(新日化エポキシ製造(株)製)が挙げられる。
前記架橋剤としては、また、少なくとも2つのブロックイソシアネート基を有する化合物を使用することもできる。このような化合物として、例えば、三井化学(株)製のタケネート〔登録商標〕B−830、同B−870N、エボニックデグサ社製のVESTANAT〔登録商標〕B1358/100が挙げられる。
【0018】
前記架橋剤としては、また、少なくとも2つのビニルエーテル基を有する化合物を使用することもできる。このような化合物として、例えば、ビス(4−(ビニルオキシメチル)シクロヘキシルメチル)グルタレート、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、アジピン酸ジビニルエステル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、1,2,4−トリス(4−ビニルオキシブチル)トリメリテート、1,3,5−トリス(4−ビニルオキシブチル)トリメリテート、ビス(4−(ビニルオキシ)ブチル)テレフタレート、ビス(4−(ビニルオキシ)ブチル)イソフタレート、エチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル及びシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルを挙げることができる。
【0019】
本発明のレジスト下層膜形成組成物に、これらの各種架橋剤から選択された1種類を添加してもよいし、2種以上を組合せて添加することもできる。前記架橋剤の含有割合は、本発明のレジスト下層膜形成組成物から後述する溶剤を除いた固形分に対して、例えば2質量%乃至60質量%である。
【0020】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、さらに酸性化合物を含有することができる。前記酸性化合物は架橋反応を促進する触媒としてはたらき、例えば、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウム−p−トルエンスルホネート、サリチル酸、カンファースルホン酸、5−スルホサリチル酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸等のスルホン酸化合物及びカルボン酸化合物、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸を挙げることができる。上記酸性化合物に代えて、又は上記酸性化合物と共に、熱酸発生剤を含有することができる。前記熱酸発生剤も架橋反応を促進する触媒としてはたらき、例えばトリフルオロメタンスルホン酸の第4級アンモニウム塩を挙げることができる。本発明のレジスト下層膜形成組成物に、これらの酸性化合物及び熱酸発生剤から選択された1種類を添加してもよいし、2種以上を組合せて添加することもできる。前記酸性化合物又は熱酸発生剤の含有割合は、本発明のレジスト下層膜形成組成物から後述する溶剤を除いた固形分に対して、例えば0.1質量%乃至20質量%である。
【0021】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、さらに界面活性剤を含有することができる。前記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ〔登録商標〕EF301、同EF303、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック〔登録商標〕F171、同F173、同R−30、同R−40、同R−40−LM(DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード〔登録商標〕AG710、サーフロン〔登録商標〕S−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)を挙げることができる。本発明のレジスト下層膜形成組成物に、これらの界面活性剤から選択された1種類を添加してもよいし、2種以上を組合せて添加することもできる。前記界面活性剤の含有割合は、本発明のレジスト下層膜形成組成物から後述する溶剤を除いた固形分に対して、例えば0.01質量%乃至5質量%である。
【0022】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、上記の各成分を適当な溶剤に溶解させることによって調製でき、均一な溶液状態で用いられる。そのような溶剤として、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンを挙げることができる。これらの有機溶剤は1種、又は2種以上を組合せて使用することができる。本発明のレジスト下層膜形成組成物から有機溶剤を除いた固形分の割合は、例えば0.5質量%乃至30質量%、好ましくは0.8質量%乃至15質量%である。
【0023】
本発明のレジスト下層膜形成組成物を、段差、凹部及び/又は凸部を有する表面に塗布しベークすることにより第1のレジスト下層膜を形成し、前記第1のレジスト下層膜上にオルガノポリシロキサン膜を第2のレジスト下層膜として形成し、前記第2のレジスト下層膜上にレジストパターンを形成することができる。
【0024】
本発明のレジスト下層膜形成組成物を塗布しベークする工程は、基材(例えば、シリコンウェハー、該シリコンウェハーは酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、又はアルミニウム、タングステンなどの金属膜で被覆されていてもよい。)の上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により該組成物を塗布し、その後、ホットプレート等の加熱手段を用いてベークすることにより行われる。ベーク条件としては、ベーク温度100℃乃至400℃、ベーク時間0.3分乃至10分間の中から適宜選択される。
【0025】
前記工程により形成された第1のレジスト下層膜上にオルガノポリシロキサン膜を第2のレジスト下層膜として形成する工程において、この第2のレジスト下層膜は、CVD、PVDなどの蒸着法で形成されるSiON膜又はSiN膜であってもよい。さらにこの第2のレジスト下層膜上に第3のレジスト下層膜として反射防止膜(BARC)を形成してもよく、該第3のレジスト下層膜は反射防止能を有しない膜であってもよい。
【0026】
前記第2のレジスト下層膜上にレジストパターンを形成する工程は、この第2のレジスト下層膜、又は前記第3のレジスト下層膜上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法によりレジスト溶液を塗布し、所定の条件でプリベーク後、得られたレジスト膜を露光することによって行われる。レジスト溶液は、ポジ型、ネガ型いずれでもよい。露光は所定のパターンを形成するためのマスク(レチクル)を通して又は直接描画により行われる。露光源には、例えば、g線、i線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV、電子線を使用することができる。露光後、必要に応じて露光後加熱(Post ExposureBake)が行われる。その後、現像液(例えば2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)により現像し、さらにリンス液又は純水ですすぎ、使用した現像液を除去する。その後、レジストパターンの乾燥及び下地との密着性を高めるためポストベークを行う。
【0027】
前記レジストパターン形成後、さらにエッチング工程を、ドライエッチングにより行う場合、ドライエッチングに使用するエッチングガスとして、第2のレジスト下層膜(オルガノポリシロキサン膜)に対しては例えばCHF、CF、Cが挙げられ、本発明のレジスト下層膜形成組成物から形成された第1のレジスト下層膜に対しては例えばO、NO、NOが挙げられ、段差又は凹部及び/又は凸部を有する表面に対しては例えばCHF、CF、Cが挙げられる。さらに、これらのガスにアルゴン、窒素又は二酸化炭素を混合して使用することができる。
【0028】
以下、本発明について合成例及び実施例を挙げて説明するが、本発明は下記記載によって限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
下記合成例1乃至合成例5及び比較合成例1に示す重量平均分子量及び多分散度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、本明細書ではGPCと略称する。)による測定結果に基づく。測定には、東ソー(株)製GPCシステムを用い、測定条件は下記のとおりである。
GPCカラム:TSKgel SuperMultipore〔登録商標〕Hz−N(東ソー(株))
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.35ml/分
標準試料:ポリスチレン(東ソー(株))
【0030】
(合成例1)
窒素下、100mL三口フラスコに2,7−ジヒドロキシナフタレン(8.00g、0.0499mol、東京化成工業(株)製)、9−フルオレノン(9.00g、0.0499mol、東京化成工業(株)製)、パラトルエンスルホン酸一水和物(2.5803g、0.0150mol、東京化成工業(株)製)及び助触媒として3−メルカプトプロピオン酸(0.4776g、0.0045mol、東京化成工業(株)製)を加え、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(19.58g、関東化学(株)製)を仕込み、撹拌し、120℃まで昇温して各成分を溶解し、重合を開始した。96時間後得られたポリマー液を室温まで放冷し、メタノール(500g、関東化学(株)製)中に加え、再沈殿させた。得られた沈殿物を濾過して集め、減圧乾燥機で50℃、10時間乾燥し、目的とする下記式(2−16)で表される構造単位を有するポリマー(以下、本明細書では2,7−DHN−Flと略称する。)16.32gを得た。2,7−DHN−Flの、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1400、多分散度Mw/Mnは1.95であった。
【化8】







【0031】
(合成例2)
窒素下、100mL三口フラスコに2,7−ジヒドロキシナフタレン(8.00g、0.0499mol、東京化成工業(株)製)、ベンゾフェノン(9.10g、0.0499mol、東京化成工業(株)製)、パラトルエンスルホン酸一水和物(2.5803g、0.0150mol、東京化成工業(株)製)及び助触媒として3−メルカプトプロピオン酸(0.4776g、0.0045mol、東京化成工業(株)製)を加え、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(19.68g、関東化学(株)製)を仕込み、撹拌し、120℃まで昇温して各成分を溶解し、重合を開始した。96時間後得られたポリマー液を室温まで放冷し、メタノール(500g、関東化学(株)製)中に加え再沈殿させた。得られた沈殿物を濾過して集め、減圧乾燥機で50℃、10時間乾燥し、目的とする下記式(1−16)で表される構造単位を有するポリマー(以下、本明細書では2,7−DHN−BzPnと略称する。)11.97gを得た。2,7−DHN−BzPnの、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1800、多分散度Mw/Mnは1.89であった。
【化9】







【0032】
(合成例3)
窒素下、100mL三口フラスコに2,7−ジヒドロキシナフタレン(6.50g、0.0406mol、東京化成工業(株)製)、4−ヒドロキシベンゾフェノン(8.04g、0.0406mol、東京化成工業(株)製)、メタンスルホン酸(1.1701g、0.0122mol、東京化成工業(株)製)及び助触媒として3−メルカプトプロピオン酸(0.3927g、0.0037mol、東京化成工業(株)製)を加え、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(15.71g、関東化学(株)製)を仕込み、撹拌し、120℃まで昇温して各成分を溶解し、重合を開始した。96時間後得られたポリマー液を室温まで放冷し、メタノール(500g、関東化学(株)製)中に加え再沈殿させた。得られた沈殿物を濾過して集め、減圧乾燥機で50℃、10時間乾燥し、目的とする下記式(1−19)で表される構造単位を有するポリマー(以下、本明細書では2,7−DHN−4−HBzPnと略称する。)5.82gを得た。2,7−DHN−4−HBzPnの、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2900、多分散度Mw/Mnは1.87であった。
【化10】







【0033】
(合成例4)
窒素下、100mL三口フラスコに2,7−ジヒドロキシナフタレン(6.50g、0.0406mol、東京化成工業(株)製)、3−メチルベンゾフェノン(7.96g、0.0406mol、東京化成工業(株)製)、メタンスルホン酸(1.1701g、0.0122mol、東京化成工業(株)製)及び助触媒として3−メルカプトプロピオン酸(0.3927g、0.0037mol、東京化成工業(株)製)を加え、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(15.71g、関東化学(株)製)を仕込み、撹拌し、120℃まで昇温して各成分を溶解し、重合を開始した。96時間後得られたポリマー液を室温まで放冷し、メタノール(500g、関東化学(株)製)中に加え再沈殿させた。得られた沈殿物を濾過して集め、減圧乾燥機で50℃、10時間乾燥し、目的とする下記式(1−17)で表される構造単位を有するポリマー(以下、本明細書では2,7−DHN−4−MBzPnと略称する。)7.23gを得た。2,7−DHN−4−MBzPnの、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは4600、多分散度Mw/Mnは2.40であった。
【化11】







【0034】
(合成例5)
窒素下、100mL三口フラスコに2,7−ジヒドロキシナフタレン(6.50g、0.0406mol、東京化成工業(株)製)、2−メチルベンゾフェノン(7.96g、0.0406mol、東京化成工業(株)製)、メタンスルホン酸(1.1701g、0.0122mol、東京化成工業(株)製)及び助触媒として3−メルカプトプロピオン酸(0.3927g、0.0037mol、東京化成工業(株)製)を加え、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(15.71g、関東化学(株)製)を仕込み、撹拌し、120℃まで昇温して各成分を溶解し、重合を開始した。96時間後得られたポリマー液を室温まで放冷し、メタノール(500g、関東化学(株)製)中に加え再沈殿させた。得られた沈殿物を濾過して集め、減圧乾燥機で50℃、10時間乾燥し、目的とする下記式(1−18)で表される構造単位を有するポリマー(以下、本明細書では2,7−DHN−2−MBzPnと略称する。)4.34gを得た。2,7−DHN−2−MBzPnの、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2200、多分散度Mw/Mnは1.68であった。
【化12】







【0035】
(比較合成例1)
100mlナスフラスコにフロログルシノール(東京化成工業(株)製)5.51g、ベンズアルデヒド(東京化成工業(株)製)4.27g、1,4−ジオキサン(関東化学(株)製)10.09g、p−トルエンスルホン酸一水和物(東京化成工業(株)製)0.76gを入れた。その後これらを110℃まで加熱し、約2時間還流撹拌した。反応終了後、反応物をテトラヒドロフラン(関東化学製)7.54gで希釈し、沈殿物を濾過により除去した。回収した濾液をメタノール/水混合溶液中に滴下し、再沈殿させた。得られた沈殿物を吸引濾過し、ろ物を85℃で一晩減圧乾燥し、下記式で表される構造単位を有する、茶褐色粉末のフロログルシノール樹脂を7.25g得た。GPCによりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3,600、多分散度Mw/Mnは1.34であった。
【化13】







【0036】
(実施例1)
合成例1で得たポリマー1gに、界面活性剤としてメガファックR−30(DIC(株)製)0.003gを混合し、これをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4gに溶解して溶液とした。その後、該溶液を孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、リソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0037】
(実施例2)
合成例2で得たポリマー1gに、界面活性剤としてメガファックR−30(DIC(株)製)0.003gを混合し、これをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4gに溶解して溶液とした。その後、該溶液を孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、リソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0038】
(実施例3)
合成例3で得たポリマー1gに、界面活性剤としてメガファックR−30(DIC(株)製)0.003gを混合し、これをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4gに溶解して溶液とした。その後、該溶液を孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、リソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0039】
(実施例4)
合成例4で得たポリマー1gに、界面活性剤としてメガファックR−30(DIC(株)製)0.003gを混合し、これをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4gに溶解して溶液とした。その後、該溶液を孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、リソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0040】
(実施例5)
合成例5で得たポリマー1gに、界面活性剤としてメガファックR−30(DIC(株)製)0.003gを混合し、これをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4gに溶解して溶液とした。その後、該溶液を孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、リソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0041】
(比較例1)
比較合成例1で得たポリマー1gに、界面活性剤としてメガファックR−30(DIC(株)製)0.003gを混合し、これをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4gに溶解して溶液とした。その後、該溶液を孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、リソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0042】
(比較例2)
市販のクレゾールノボラック樹脂(クレゾールとホルムアルデヒドを用いて得られたノボラック樹脂)1gに、界面活性剤としてメガファックR−30(DIC(株)製)0.003gを混合し、これをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4gに溶解して溶液とした。その後、該溶液を孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、リソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物を調製した。本比較例で使用したクレゾールノボラック樹脂の、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは4000、多分散度Mw/Mnは2.1であった。
【0043】
(フォトレジスト溶剤への溶出試験)
実施例1乃至実施例5、比較例1及び比較例2で調製したレジスト下層膜形成組成物を、それぞれスピンコーターを用いてシリコンウェハー上に塗布した。それらをホットプレート上で350℃の温度で1分間ベークし、レジスト下層膜(膜厚0.25μm)を形成した。このレジスト下層膜をレジストに使用する溶剤(乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びシクロヘキサノン)に浸漬し、これらの溶剤に不溶であることを確認した。
【0044】
(ドライエッチング速度の測定)
ドライエッチング速度の測定に用いたエッチャー及びエッチングガスは以下のものである。
エッチャー:RIE−10NR(サムコ(株)製)
エッチングガス:CF
実施例1乃至実施例5、比較例1及び比較例2で調製したレジスト下層膜形成組成物を、それぞれスピンコーターを用いてシリコンウェハー上に塗布した。それらをホットプレート上で350℃の温度で1分間ベークし、レジスト下層膜(膜厚0.25μm)を形成した。エッチングガスとしてCFガスを使用して、これらのレジスト下層膜のドライエッチング速度を測定した。また、フェノールノボラック樹脂(市販品、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2000、多分散度Mw/Mnは2.5)の溶液を、スピンコーターを用いてシリコンウェハー上に塗布し、ホットプレート上で205℃1分間ベークしてフェノールノボラック樹脂膜(膜厚0.25μm)を形成した。エッチングガスとしてCFガスを使用して、そのフェノールノボラック樹脂膜のドライエッチング速度を測定した。このフェノールノボラック樹脂膜のドライエッチング速度を1.00とした時の、実施例1乃至実施例5、比較例1及び比較例2で調製したレジスト下層膜形成組成物から形成したレジスト下層膜のドライエッチング速度を、ドライエッチング速度比として算出した結果を表1に示す。ドライエッチング速度比が小さいほど、CFガスに対する耐エッチング性が高いことを示す。
ドライエッチング速度比=(レジスト下層膜のドライエッチング速度)/(フェノールノボラック樹脂膜のドライエッチング速度)
【0045】
【表1】






【0046】
(ホールウェハーへの埋め込み性試験)
実施例1乃至実施例5及び比較例1で調製したレジスト下層膜形成組成物を、それぞれスピンコーターを用いてホールウェハー上に塗布した。それらをホットプレート上で350℃の温度で1分間ベークし、レジスト下層膜(ホールパターン未形成部の膜厚0.25μm)を形成した。前記ホールウェハーとして、直径100nm、高さ400nmのホールパターンが形成されたウェハーを用いた。実施例1乃至実施例5で調製したレジスト下層膜形成組成物を、スピンコーターを用いてホールウェハー上に塗布し、350℃の温度で1分間ベークした後のホールウェハーの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。その結果、図1乃至図5に示す断面SEM写真が示すように、ホール内部まで十分にレジスト下層膜で充填されていた。一方、比較例1で調製したレジスト下層膜形成組成物を、スピンコーターを用いてホールウェハー上に塗布し、350℃の温度で1分間ベークした後のホールウェハーの断面を、走査型電子顕微鏡で観察した。その結果、図6に示す断面SEM写真が示すように、ホール内部にボイド(空洞)が存在していた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6