(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6472027
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】光触媒からなる電極を内蔵したレシーバによる水素発生システム
(51)【国際特許分類】
C01B 3/04 20060101AFI20190207BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20190207BHJP
B01J 23/30 20060101ALI20190207BHJP
B01J 23/22 20060101ALI20190207BHJP
B01J 23/31 20060101ALI20190207BHJP
B01J 23/58 20060101ALI20190207BHJP
C25B 1/10 20060101ALI20190207BHJP
C25B 9/00 20060101ALI20190207BHJP
C25B 11/06 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
C01B3/04 A
B01J35/02 J
B01J23/30 M
B01J23/22 M
B01J23/31 M
B01J23/58 M
C25B1/10
C25B9/00 A
C25B11/06 B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-147613(P2015-147613)
(22)【出願日】2015年7月27日
(65)【公開番号】特開2017-24956(P2017-24956A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】504005781
【氏名又は名称】株式会社日立プラントメカニクス
(73)【特許権者】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 純
(72)【発明者】
【氏名】中邑 健児
(72)【発明者】
【氏名】工藤 昭彦
【審査官】
西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−528935(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/021509(WO,A1)
【文献】
特開2012−101947(JP,A)
【文献】
特開平10−085736(JP,A)
【文献】
特開2003−146602(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/032733(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/128813(WO,A1)
【文献】
特開2012−076978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00− 6/34
B01J 21/00−38/74
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒に光を当てることにより光触媒内の荷電子を励起させ、周囲の水の電気分解を行い連続的に水素ガスを生産する光触媒の電気分解プロセスを用いた水素発生システムにおいて、断面が放物線形状をなすトラフ型の反射鏡からなる太陽光集光器を用いて集積させた光を、透明管内に陽極と陰極とを背面を接触させた光触媒からなる板状の電極を、該電極の両側にセパレータ及びイオン交換部材をそれぞれ配設し、設置部材を介して、電気分解を行う流体の流動方向に配置し、かつ、電極の陽極側と陰極側の空間を気密分離するようにしたレシーバに照射するようにしたことを特徴とする光触媒からなる電極を内蔵したレシーバによる水素発生システム。
【請求項2】
電極、セパレータ、イオン交換部材及び設置部材からなる気密分離手段を、電気分解を行う流体の流動方向に2組平行に配置することにより、透明管内を3分割するようにしたことを特徴とする請求項1記載の光触媒からなる電極を内蔵したレシーバによる水素発生システム。
【請求項3】
レシーバの末端部から水素ガスと酸素ガスを独立して取り出すようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の光触媒からなる電極を内蔵したレシーバによる水素発生システム。
【請求項4】
レシーバに照射された光によって得られた熱エネルギを回収する熱回収利用手段を備えたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の光触媒からなる電極を内蔵したレシーバによる水素発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒に光を当てることにより光触媒内の荷電子を励起させ、周囲の水の電気分解を行い連続的に水素ガスを生産する光触媒の電気分解プロセスを用いた水素発生システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、燃料電池の研究、開発の進展及び実用化に伴い、種々の水素ガスの生産方式が提案されている。
【0003】
その1つの方式として、水中に設けられた光触媒に光を照射して水の電気分解作用により水素ガスと酸素ガスを発生させ、水素ガスを取り出すようにする光触媒の電気分解プロセスを用いた水素発生システムがあるが、現状では、人工光や自然光を直接照射するようにした実験室レベルでの研究、開発が行われているにすぎない(例えば、特許文献1〜2参照。)。
【0004】
現状の光触媒の電気分解プロセスを用いた水素発生システムは、具体的には、
(1)入射する外光(太陽光)や人工光の直接照射の場合、例えば、太陽光では地表上において理論最大でもDNI値として1200W/m
2程度、有効強度で最大約900W/m
2程度となり、比較的狭小な光触媒の受光面に当たる光の強度が限られるため、水素ガスの生産量の収率は小さいものに留まる。
(2)光触媒自体が水中に配置されることから、電気分解作用で陰極と陽極から出てくる水素ガスと酸素ガスが混合されて発生されてくるため、防爆安全上、発生する水素ガスと酸素ガスを連続的に分離し、安全な濃度を保つプロセスが必須となってくる。
(3)連続的にガス回収を行える製造設備としてのシステムは事例がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−199187号公報
【特許文献2】特開2013−144616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記光触媒の電気分解プロセスを用いた水素発生システムの現状に鑑み、水素ガスの生産量の収率を高めることができるとともに、発生する水素ガスと酸素ガスを連続的に分離しながら回収することで安全性及び生産性を高めることができるようにし、さらに、照射された光のうち光触媒の駆動に有効な波長以外から得られる熱エネルギを有効に処理することができるようにした光触媒からなる電極を内蔵したレシーバによる水素発生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の光触媒からなる電極を内蔵したレシーバによる水素発生システムは、光触媒に光を当てることにより光触媒内の荷電子を励起させ、周囲の水の電気分解を行い連続的に水素ガスを生産する光触媒の電気分解プロセスを用いた水素発生システムにおいて、
断面が放物線形状をなすトラフ型の反射鏡からなる太陽光集光器を用いて集積させた光を、
透明管内に陽極と陰極とを背面を接触させた光触媒からなる
板状の電極を
、該電極の両側にセパレータ及びイオン交換部材をそれぞれ配設し、設置部材を介して、電気分解を行う流体の流動方向に配置し、かつ、電極の陽極側と陰極側の空間を気密分離するようにしたレシーバに照射するようにしたことを特徴とする。
【0008】
この場合において、
電極、セパレータ、イオン交換部材及び設置部材からなる気密分離手段を、電気分解を行う流体の流動方向に2組平行に配置することにより、透明管内を3分割するようにすることができる。
【0009】
また、レシーバの末端部から水素ガスと酸素ガスを独立して取り出すようにすることができる。
【0010】
また、レシーバに照射された光によって得られた熱エネルギを回収する熱回収利用手段を備えるようにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光触媒からなる電極を内蔵したレシーバによる水素発生システムによれば、太陽光集光器を用いて集積させた光を、光触媒からなる電極を内蔵したレシーバに照射するようにすることにより、水素ガスの生産量の収率を高めることができる。
【0012】
また、レシーバ内に光触媒からなる板状の電極を電気分解を行う流体の流動方向に配置し、かつ、電極の陽極側と陰極側の空間を気密分離するようにしたり、レシーバの末端部から水素ガスと酸素ガスを独立して取り出すようにすることにより、発生する水素ガスと酸素ガスを連続的に分離しながら回収することで安全性及び生産性を高めることができる。
【0013】
また、レシーバに照射された光によって得られた熱エネルギを回収する熱回収利用手段を備えるようにすることにより、レシーバに照射された光のうち光触媒の駆動に有効な波長以外から得られる熱エネルギによる水素発生システムを構成する機器の過熱を防止しながら、当該熱エネルギの有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の光触媒からなる電極を内蔵したレシーバによる水素発生システムの一実施例を示す説明図である。
【
図2】同水素発生システムのトラフ式の太陽光集光器の一実施例を示す説明図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図3】同水素発生システムの光触媒からなる電極を内蔵したレシーバの一実施例を示す説明図で、(a)は中立状態を示し、(b)は揺動軸が回動した傾斜状態を示す。
【
図4】同水素発生システムの光触媒からなる電極を内蔵したレシーバの変形実施例を示す説明図で、(a)は中立状態を示し、(b)は揺動軸が回動した傾斜状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の光触媒からなる電極を内蔵したレシーバによる水素発生システムの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0016】
図1〜
図3に、本発明の光触媒からなる電極を内蔵したレシーバによる水素発生システムの一実施例を示す。
この水素発生システムは、光触媒に光を当てることにより光触媒内の荷電子を励起させ、周囲の水の電気分解を行い連続的に水素ガスを生産する光触媒の電気分解プロセスを用いた水素発生システムにおいて、太陽光集光器1を用いて集積させた光を、光触媒からなる電極21を内蔵したレシーバ2に照射するようにしたものである。
【0017】
この場合において、太陽光集光器1には、公知の各種の太陽光集光器を用いることができるが、本実施例においては、トラフ式の太陽光集光器1を用いるようにしている。
【0018】
このトラフ式の太陽光集光器1は、
図2に示すように、断面が放物線形状をなすトラフ型の反射鏡11に入射した太陽光Sb1、Sb2の反射光を、反射鏡11の焦点の位置に架設されたレシーバ2に集光するようにしたものである。
【0019】
そして、この太陽光集光器1は、反射鏡11及びレシーバ2の中心軸L1が南北軸に沿うように太陽光集光器を設置するとともに、太陽が位置する方向と反対側(太陽が南に位置する場合には北側、北に位置する場合には南側)の反射鏡11の端部に、中心軸L1に直交するように平面反射鏡12を配設するようにしている。
【0020】
反射鏡11及びレシーバ2は、基台14に共通の揺動軸15を介して揺動可能に設置するようにする。
そして、反射鏡11及びレシーバ2の二等分線L2を含む面の延長方向が常に太陽の方向を指向するように、太陽の動きに従って揺動軸15を回動させる太陽追尾機構16を設けるようにする。
【0021】
これにより、太陽光Sb1、Sb2が、常に反射鏡11の二等分線L2を含む面と平行に反射鏡11に入射し、反射光が、反射鏡11の焦点の位置に架設されたレシーバ2の中心軸L1に集光されるようにする。
【0022】
反射鏡11及び平面反射鏡12は、支持材となるアルミニウム製の板材と鏡となる高反射率のアルミニウム製の板材とを重ね合わせたものを、アルミニウム製の押出成形材からなる枠部材に嵌め込んで構成するようにしたが、湾曲可能な薄板からなるガラス製の鏡を用いることもできる。
【0023】
そして、本実施例の太陽光集光器1においては、太陽が位置する方向と反対側の反射鏡11の端部に、反射鏡11及びレシーバ2の中心軸L1に直交するように平面反射鏡12を配設するようにしているが、これにより、太陽光Sb1、Sb2の反射鏡11への入射角度αが小さい場合に、太陽が位置する方向と反対側の反射鏡11の端部の近傍域に入射する太陽光Sb2の反射光を、平面反射鏡12によって再反射させてレシーバ2に集光させることができ、反射鏡11に入射する太陽光を有効に利用することによって、集熱効率を高めることができる。
【0024】
ところで、平面反射鏡12は、上記目的のためには、反射鏡11からレシーバ2までの高さH0の範囲に配設すれば十分であるが、さらに、それより上方の高さH1の範囲に配設することにより、従来利用されていなかった太陽光Sb3を平面反射鏡12で反射し、反射鏡11によって再反射させてレシーバ2に集光させることができ、集熱効率を一層高めることができる。
【0025】
また、平面反射鏡12の高さを調節可能に設けることができる。
これにより、季節によって変化する太陽光Sb1、Sb2、Sb3の反射鏡11への入射角度αに合わせて、平面反射鏡12の高さを調節することができ、例えば、南北軸に沿うように複数の太陽光集光器1を隣接設置した場合に、平面反射鏡12が隣接設置した太陽光集光器1に入射する太陽光を遮ることを抑制することができる。
【0026】
また、平面反射鏡12を着脱可能に設けることができる。
これにより、季節によって変化する太陽光Sb1、Sb2、Sb3の反射鏡11への入射角度αに合わせて、平面反射鏡12を着脱することができ、例えば、南北軸に沿うように複数の太陽光集光器1を隣接設置した場合に、平面反射鏡12が隣接設置した太陽光集光器1に入射する太陽光を遮ることを防止することができるとともに、季節によって変化する太陽の位置(北回帰線と南回帰線の間の地域)に合わせて平面反射鏡12を設けることができる。
【0027】
このトラフ式の太陽光集光器1は、
図1に示すように、複数の太陽光集光器1を直列に連結するようにして、レシーバ2の中を電気分解を行う流体(水)が流動するようにされている。
通常、反射鏡11及びレシーバ2の中心軸L1は、設置される土地の夏至南中を起点とした南北方向に設置される。
【0028】
レシーバ2は、
図3に示すように、光触媒からなる電極21を耐熱ガラス製の透明管22に内蔵したものからなる。
電極21は、酸素生成電極(陽極)21aと水素生成電極(陰極)21bとを、背面を接触させて板状のもので構成するようにし、レシーバ2を構成する透明管22内に、電極21の両側にセパレータ23及びイオン交換部材24をそれぞれ配設し、設置部材25を介して、電気分解を行う流体の流動方向に固定して配置することにより、電極21の陽極側と陰極側の空間26a、26bをそれぞれ気密分離するようにする。
【0029】
ここで、電極21の構成材料として、酸素生成電極(陽極)21aには、WO
3系、BiVO
4系、Bi
2MoO
6系及びそれらの組み合わせからなる群より選択される光触媒を、水素生成電極(陰極)21bには、Pt/SrTiO
3:Rh系、Ru/SrTiO
3:Rh系及びそれらの組み合わせからなる群より選択される光触媒を、それぞれ好適に用いることができる。
【0030】
また、セパレータ23の構成材料としては、陽極側と陰極側の空間26a、26bを遮断して気密分離できる合成樹脂材料や金属材料からなる部材を、また、イオン交換部材24の構成材料としては、陽極側の空間26aを流動する液体(水)から陰極側の空間26bを流動する液体(水)に水素イオン(H
+)が移行できるようにする部材、例えば、フッ素樹脂製のフィルムを、それぞれ用いることができる。
【0031】
また、レシーバ2を構成する透明管22の直径Dは、数十mm〜数百mm程度の任意の大きさに設定することができる。
【0032】
ところで、
図3に示す実施例では、透明管22内を、空間26a、26bに2分割するようにしたが、
図4に示す変形実施例のように、電極21、セパレータ23、イオン交換部材24及び設置部材25からなる気密分離手段を、電気分解を行う流体の流動方向に2組平行に固定して配置することにより、透明管22内を、空間26a1、26b、26a2(以下、空間26a1、26a2は、空間26aと表記する。)に3分割するようにすることもできる。
【0033】
そして、このレシーバ2に、太陽光集光器1を用いて集積させた光が照射されると、光は、透明管22を透過し、酸素生成電極(陽極)21a及び水素生成電極(陰極)21bに集積、照射される。
酸素生成電極(陽極)21a及び水素生成電極(陰極)21bは、空間26a、26bを流動する液体(水)に浸されており、液体(水)間の電子交換により、空間26a、26b内に酸素ガス及び水素ガスがそれぞれ発生する。
【0034】
より具体的には、酸素生成電極(陽極)21aが光照射を受けることにより、その触媒作用によって、空間26aの液体(水)(H
2O)が分解及び酸化されて、水素イオン(H
+)及び酸素(O
2)が生成され、水素イオン(H
+)が陽極側の空間26aを流動する液体(水)から、イオン交換部材24を介して、陰極側の空間26bを流動する液体(水)に、電子(e
−)が酸素生成電極(陽極)21aから、直接、水素生成電極(陰極)21bに、それぞれ移行する。
そして、水素生成電極(陰極)21bが光照射を受けることにより、その触媒作用によって、陰極側の空間26bを流動する液体(水)に移行してきた水素イオン(H
+)が還元されて、水素(H
2)が生成される。
よって、全反応としては、酸素生成電極(陽極)21aが位置する陽極側の空間26aから酸素(O
2)が、水素生成電極(陰極)21bが位置する陰極側の空間26bから水素(H
2)が、それぞれ生成される。
【0035】
このようにして、レシーバ2を構成する透明管22内で生成された水素ガスと酸素ガスは、空間26a、26b内を液体の流動方向に(通常、南側から北側に向けて)移送され、レシーバ2の末端部からそれぞれ独立して取り出される。
【0036】
ここで、
図1に示す実施例では、システムを1パスで構成しているが、設備規模等により、ヘッダーにて分岐/合流し複数パスにて流路を構成することもできる。
【0037】
レシーバ2の末端部(北側)において、レシーバ2から回収された液体(水)は、レシーバ2に照射された光によって得られた熱エネルギを回収する熱回収利用手段としての熱回収用熱交換器3を介することによって熱エネルギの回収を行い、冷却された後、バッファ水槽4に戻され、バッファ水槽4からポンプ5によって、レシーバ2の始端部(南側)に供給される。
ここで、回収した熱エネルギは、吸収式冷凍機の駆動熱源、ヒートポンプ熱源、スターリングサイクル等の熱源、温水供給等に利用することができる。
【0038】
また、レシーバ2を構成する透明管22内で生成された水素ガスと酸素ガスは、空間26a、26b内を液体の流動方向に(通常、南側から北側に向けて)移送され、レシーバ2の末端部からそれぞれ独立して取り出され、水素ガスセパレータ6及び酸素ガスセパレータ7を介することによって気液分離され、個別の精製装置(例えば、PSA式分離機。)によって不純成分を分離された後、水素ガス及び酸素ガスとして需要側へ送られる。
【0039】
水素ガスセパレータ6及び酸素ガスセパレータ7で生じた液体(水)は、バッファ水槽4に戻される。
なお、系内から分離したガス量に応じて、バッファ水槽4に液体(水)を補給するようにする。
【0040】
この光触媒からなる電極を内蔵したレシーバによる水素発生システムによれば、課題(1)に関しては、太陽光を集積して光触媒に照射することにより、光強度が数十倍に上昇し、それに応じて電極での電子移送量が増大する。これにより、水素ガス及び酸素ガスの製造量を飛躍的に上げることができる。
課題(2)に関しては、陰極側と陽極側をレシーバ2の内部で気密構造を分けることにより、陰極側で発生する水素ガス、陽極側で発生する酸素ガスの混合を防ぐことができる。また、レシーバ2の末端部(北側)でそれぞれの流路から個別に水素ガスと酸素ガスを抽気して精製回路に送ることができるので、防爆上問題となる水素と酸素の混合濃度になることを回避できる。
課題(3)に関しては、循環システムを構成することにより、水素ガス及び酸素ガスの連続製造・分離を実現することができる。
【0041】
以上、本発明の光触媒からなる電極を内蔵したレシーバによる水素発生システムについて、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の光触媒からなる電極を内蔵したレシーバによる水素発生システムは、水素ガスの生産量の収率を高めることができるとともに、発生する水素ガスと酸素ガスを連続的に分離しながら回収することで安全性及び生産性を高めることができるようにし、さらに、照射された光のうち光触媒の駆動に有効な波長以外から得られる熱エネルギを有効に処理することができることから、水素ガスの生産の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 太陽光集光器
11 反射鏡
12 平面反射鏡
2 レシーバ
21 電極
21a 酸素生成電極(陽極)
21b 水素生成電極(陰極)
3 熱回収用熱交換器(熱回収利用手段)
4 バッファ水槽
5 ポンプ
6 水素ガスセパレータ
7 酸素ガスセパレータ