(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数台の除害部は、排ガスの処理形式および/または排ガスの処理量および/または排ガスの処理性能が異なる除害部であることを特徴とする請求項3または4記載の除害機能付真空ポンプ。
前記真空ポンプは、一台のポンプから構成されるかあるいは並列および/または直列に接続された複数台のポンプから構成され、そのうち少なくとも一台のポンプの多段ポンプロータの段間と複数台の除害部とが前記接続ブロックにより接続されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の除害機能付真空ポンプ。
前記真空ポンプは、前記除害部をバイパスするガス流路を備え、ガスの無害化を必要としないときには除害部をバイパスしてポンプ機能だけを使用することが可能であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の除害機能付真空ポンプ。
前記真空ポンプの駆動に用いられるインバータの出力電力を監視し、前記出力電力の値に基づいて前記除害部の運転状態を変更することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の除害機能付真空ポンプ。
前記制御部よりドライ真空ポンプの運転信号が出力されると、同時に前記制御部から前記除害部に運転信号が出力され、除害部の運転が開始されるように構成されたことを特徴とする請求項11記載の排気系システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したプロセスチャンバ、排ガス処理装置、真空ポンプの順に設置する方式は、排ガス処理装置が故障等で運転を停止する、あるいは排ガス処理装置が正常に運転している状態であっても排ガス処理装置が運転を停止すると、排ガス処理の結果析出した生成物がプロセスチャンバに逆流してプロセスチャンバを汚染するという問題がある。
これに対して、プロセスチャンバ、真空ポンプ、排ガス処理装置の順に設置する方式は、プロセスチャンバと排ガス処理装置の間に真空ポンプが配置されているため、排ガス処理の結果析出した生成物がプロセスチャンバに逆流してプロセスチャンバを汚染するという問題はなく、安定した排気系システムとして多用されている。
【0006】
しかしながら、上記プロセスチャンバ、真空ポンプ、排ガス処理装置の順に設置する方式は、排ガス処理装置の上流側でパージ用ガスや希釈用ガスが導入されるため、排ガス処理装置ではこれらパージ用ガスや希釈用ガスを含んだ排ガスを処理する必要があり、処理ガス量が多く、排ガス処理のために投入されるエネルギー量が多いという問題がある。
【0007】
また、上記2つの方式を含めて、従来の排ガス処理装置には、以下に列挙するような問題がある。
(1)排ガス処理装置は大型で、工場に据付けしていた。一度据付けた装置は輸送が困難・高価になるため、現場でメンテナンスが可能な設計としていた。一方、現場でのメンテナンスを実現するため、モータや制御部等の構成部品を着脱可能な設計にしており、そのことで全体として高価で大掛かりになっていた。
(2)据付型で交換が困難であるため、装置が故障した際には、修理が完了するまでプロセスを停止せざるを得なかった。
(3)排ガス処理装置は流入ガスの種類や流量に応じて設計していたため、設計、製作、評価の労力が大であった。
(4)排ガス処理装置は流入したガスを処理する機能は有するものの、他の排ガス処理装置との接続状況を把握する仕組みではなかった。そのため、バックアップを構成する場合は、複数の排ガス処理装置を一括制御する制御装置が別途必要であった。
(5)真空ポンプと排ガス処理装置とはそれぞれ独立した装置として制御部を持っていたため、運転操作や日々のメンテナンス、またトラブル発生時の履歴の解析等はそれぞれの装置個別で行っていて、手間が掛かっていた。
(6)真空ポンプと排ガス処理装置を接続する配管は、該配管内で排気対象ガスが冷却されて生成物が析出することを回避するために、ヒータを使用して加熱していた。そのためヒータのイニシャル費とランニングコストが必要であった。また、真空ポンプ自体も、ポンプの中で生成物が析出することを防ぐためにヒータを付設したり、保温材を付設したりしていた。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、排ガス処理の結果析出した生成物がプロセスチャンバに逆流することがなくプロセスチャンバの汚染を防止することができ、パージ用ガスや希釈用ガスが排ガス中に含まれることがなく処理ガス量を減らすことができ、除害部におけるガス処理に必要なエネルギーを低減して省エネルギーを図ることができる除害機能付真空ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明の除害機能付真空ポンプは、排ガスを処理する除害部を付設した真空ポンプであって、
排ガスを処理する除害部を複数台備え、前記真空ポンプは、回転軸に複数のロータを配置した一対の多段ポンプロータを備えたドライ真空ポンプからなり、
前記真空ポンプの多段ポンプロータの段間と前記複数台の除害部とを接続ブロックによって接続して前記真空ポンプと前記複数台の除害部とを一体化し、前記接続ブロック内には、前記真空ポンプの多段ポンプロータの段間と前記複数台の除害部とをそれぞれ接続するための複数の流路が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の除害機能付き真空ポンプは、一対の多段ポンプロータを備えたドライ真空ポンプに、排ガスを処理して無害化する除害部を付設して構成されている。本発明において、「排ガスを処理して無害化する」とは、排ガス中の有害物質濃度を下げる処理をすることを意味する。本発明の除害機能付き真空ポンプによれば、製造装置のプロセスチャンバと除害部との間には少なくとも一つのロータがあるため、排ガス処理の結果析出した生成物がプロセスチャンバに逆流してプロセスチャンバを汚染することがない。また、パージ用ガスや希釈用ガスが排ガス中に含まれることがなく処理ガス量を減らすことができ、除害部におけるガス処理に必要なエネルギーを低減して省エネルギーを図ることができる。
【0011】
本発明は、排ガスの処理形式が異なる複数種類の除害部を用意しておき、また、処理形式の異なる各除害部毎に排ガスの処理量が異なる除害部を複数個用意しておき、さらに、処理形式の異なる各除害部毎に排ガスの処理性能が異なる除害部を複数個用意しておく。本発明においては、除害部は、チャンバから排出される排ガスのガス量およびガス種に応じて処理形式が異なる上記複数種類の除害部および/または排ガスの処理量が異なる複数の除害部および/または排ガスの処理性能が異なる複数の除害部から最適なものを少なくとも一つ選定し、多段ポンプロータの段間に接続される。
【0012】
本発明の好ましい態様によれば、前記除害部は、プラズマ式除害部、乾式除害部、触媒式除害部、ヒータ式除害部であることを特徴とする。
本発明においては、除害部はドライ真空ポンプの多段ポンプロータの段間に設置されているので、除害部は真空下で排ガスを除害処理する必要がある。そのため、除害部で採用する排ガスの処理形式は、プラズマ式、ヒータ式、乾式、触媒式である。
【0013】
本発明の好ましい態様によれば、前記多段ポンプロータの段間に接続された
複数台の除害部は、直列および/または並列に配列された複数台の除害部から構成されることを特徴とする。
本発明によれば、複数台の除害部を直列および/または並列に配列することにより一連の除害群を形成することができ、様々な種類のプロセス要求、複雑なプロセス要求に対応が可能となる。複数台の除害部は排ガスのガス量およびガス種に応じて、プラズマ式除害部、乾式除害部、触媒式除害部、ヒータ式除害部の複数種の除害部を組み合わせて接続してもよいし、単一種の除害部を接続してもよい。
【0014】
本発明の好ましい態様によれば、
前記複数台の除害部を並列に接続することにより、除害部のバックアップ機能を備えることを特徴とする。
本発明によれば、複数台の除害部を並列に並べることで、バックアップ運転の実現が容易となる。すなわち、一方の除害部の故障、メンテナンス時にはその他の除害部で対応が可能となり、プロセスダウンタイムをゼロにすることができる。除害部は小型で安価であるため、1つのプロセスチャンバに対応させて複数の除害部を設置し、単純な方法で安価にバックアップ機能をもたせることが可能である。バックアップ方法としては同じ除害方式の除害部を並列で接続してもいいし、他の除害方式の除害部を並列で接続してもよい。
【0015】
本発明の好ましい態様によれば、前記複数台の除害部は、排ガスの処理形式および/または排ガスの処理量および/または排ガスの処理性能が異なる除害部であることを特徴とする。
【0016】
本発明の好ましい態様によれば、
前記真空ポンプと
前記複数台の除害部とを一括して制御する制御部を前記真空ポンプに備えたことを特徴とする。
本発明によれば、制御部は、ドライ真空ポンプの制御および除害部の制御を一括して行うように構成されており、ポンプの信号入出力の一部を除害部に接続し、除害部の運転制御およびステータス監視を制御部で実施する。すなわち、制御部から除害部に運転・停止信号を出力し、除害部から制御部に除害部のステータス信号を出力するように構成されている。ドライ真空ポンプと除害部の状態を一括で表示可能な表示部や、一括で状態を監視および/または操作できる通信ポートや、接点入出力ポートを有するので、コネクションポイントが削減され、操作性が高まるとともに装置の立ち上げ時間を短縮できる。
【0017】
本発明の好ましい態様によれば、前記真空ポンプは、一台のポンプから構成されるかあるいは並列および/または直列に接続された複数台のポンプから構成され、そのうち少なくとも一台のポンプの多段ポンプロータの段間
と複数台の除害部
とが
前記接続ブロックにより接続されたことを特徴とする。
【0018】
本発明の好ましい態様によれば、前記真空ポンプは、前記除害部をバイパスするガス流路を備え、ガスの無害化を必要としないときには除害部をバイパスしてポンプ機能だけを使用することが可能であることを特徴とする。
本発明によれば、排ガスの無害化処理を必要としないときには、除害部をバイパスして除害部の運転を停止し、ポンプ機能だけを使用することが可能であり、省エネルギーを図ることができる。
【0019】
本発明の好ましい態様によれば、前記真空ポンプの駆動に用いられるインバータの出力電力を監視し、前記出力電力の値に基づいて前記除害部の運転状態を変更することを特徴とする。
ドライ真空ポンプはインバータによりモータを制御して駆動される。インバータはモータを定格回転速度で制御する。その出力電力はモータの負荷によって自動的に制御される。すなわち、モータ負荷が大になれば、自動的にインバータの出力電力が増し、運転回転数が維持される。一方、ドライ真空ポンプの特性として、吸引するガス流量が多くなるとモータ負荷が増す。ポンプの構造によってガス量とモータ負荷の関係は様々であるが、いずれにせよ吸引ガス量に応じてモータ負荷が変化する。予め吸入ガス量とモータ負荷とインバータ出力電力の関係を明らかにしておくことで、インバータの出力電力から吸入ガス量を推定することができる。ガスを吸入していないときには除害機能を必要としないので、ガスが流れているか否かを推定し、流れていないときは自動的に除害部の運転を停止することで省エネルギーを図ることができる。また、インバータの出力電力から推定される吸入ガス量に応じて除害部の運転強度を多段階(例えば、高,中,低)に設定しておき、吸入ガス量が少ないときには除害部を低強度で運転することにより省エネルギーを図ることができる。
【0020】
本発明の
実施形態によれば、前記真空ポンプは、ポンプと、前記除害部とが接しているあるいは一体化してい
る。
上記実施形態によれば、ポンプと除害部とは互いに接して配置されている。ここで、互いに接しているとは、ポンプと除害部のケーシングが互いに接していることを意味する。この場合、接触面にはシリコングリース等の熱伝導性が良い媒体を塗布しても良い。また、ポンプと除害部の境界部を共通の1枚の壁で構成し、ポンプと除害部とを一体化してもよい。
【0021】
本発明の好ましい態様によれば、前記真空ポンプは、前記除害部を格納するエンクロージャと、該エンクロージャを排気ダクトに接続するための排気部を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、除害部がエンクロージャに覆われており、該エンクロージャを、設置した設備の排気ダクトへ接続することでエンクロージャ自体が負圧に保たれるので、万が一、除害部でリークがあった場合にも、有害なガスが外部へ流出することを防ぐことができる。
本発明の排気系システムは、プロセスチャンバから排出された排ガスを大気に放出するために用いる排気系システムであって、回転軸にロータを配置した一対のポンプロータを備えたドライ真空ポンプと、複数台の排ガスを処理する除害部と、前記ドライ真空ポンプと前記複数台の排ガスを処理する除害部とを制御するための制御部と、を有し、
前記ドライ真空ポンプの多段ポンプロータの段間と前記複数台の除害部とを接続ブロックによって接続して前記ドライ真空ポンプと前記複数台の除害部とを一体化し、前記接続ブロック内には、前記ドライ真空ポンプの多段ポンプロータの段間と前記複数台の除害部とをそれぞれ接続するための複数の流路が形成されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記
複数台の除害部は、プラズマ式除害部、触媒式除害部、乾式除害部、又はヒータ式除害部のいずれか1つのユニットを少なくとも備えており、これらのユニットを組み合わせることで排ガスを処理することが可能となるように構成されたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記ドライ真空ポンプ及び前記除害部の状態を表示するための状態監視モニターを備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記制御部よりドライ真空ポンプの運転信号が出力されると、同時に前記制御部から前記除害部に運転信号が出力され、除害部の運転が開始されるように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)プロセスチャンバと除害部との間に少なくとも一つのロータがあるため、排ガス処理の結果析出した生成物がプロセスチャンバに逆流してプロセスチャンバを汚染することがない。
(2)パージ用ガスや希釈用ガスが排ガス中に含まれることがなく処理ガス量を減らすことができ、除害部におけるガス処理に必要なエネルギーを低減して省エネルギーを図ることができる。
(3)ドライ真空ポンプと小型の排ガス処理装置を組み合わせることにより、メンテナンス時には装置ごと簡単に移動できるようになる。
(4)故障が発生した場合には予備のポンプ(排ガス処理機能つき)と交換し、故障したポンプ(排ガス処理機能つき)の修理完了後に元に戻すことで、プロセスの停止時間を最小にすることができる。
(5)モジュール化された除害部をガスの種類や流量に応じて組み合わせるので種々のガス条件に対し速やかに最適な除害部を設計し、提供することができる。
(6)並列に接続された除害部の一部が故障しても、他の除害部で排ガス処理を行うことが可能になるので、プロセスの停止を防ぐことができる。
(7)ドライ真空ポンプと除害部の状態を一括で表示可能な表示部や、一括で状態を監視および/または操作できる通信ポートや、接点入出力ポートを有するので、コネクションポイントが削減され、操作性が高まるとともに装置の立ち上げ時間を短縮できる。
(8)除害部を使用しないプロセスで使用する場合や、排ガスの処理を必要としないときには、除害部をバイパスし除害部の運転を停止することができるので、省エネ性に優れる。また、ドライ真空ポンプへの吸入ガス量に応じ、除害部の運転状態の変更(除害部の運転停止や運転強度の変更)をすることができ、省エネ性に優れる。
(9)ドライ真空ポンプと除害部との間は、伝熱性に優れていて、ポンプの運転で生じた圧縮熱が除害処理に利用される。また、除害部で生じた熱でポンプが加温される。
(10)ドライ真空ポンプと除害部が一体化しているため、配管や、配管を加熱する為のヒータが不要になり、システム全体を低価格化できる。
(11)除害部がエンクロージャに覆われており、該エンクロージャを、設置した設備の排気ダクトへ接続することでエンクロージャ自体が負圧に保たれるので、万が一除害部でリークがあった場合にも、有害なガスが流出することを防げる。
(12)除害部は、ドライ真空ポンプが運転している間、負圧になるので、万が一除害部でリークがあっても有害なガスが流出することを防げる。
(13)除害部はポンプの圧縮熱でガス温度が高い状態にあるため、高温で除害を行うので除害効率が良い。
(14)除害部は真空状態なので、プラズマを発生させるのに好適な環境にあり、少ない投入エネルギー量で除害を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る除害機能付真空ポンプの実施形態について
図1乃至
図11を参照して説明する。なお、
図1乃至
図11において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1(a),(b)は、本発明の除害機能付真空ポンプの基本構成を示す模式図である。
図1(a),(b)に示すように、本発明の除害機能付真空ポンプは、回転軸Sに複数のロータR1,R2,R3,R4,R5,R6を配置した一対の多段ポンプロータを備えた多段ルーツ型のドライ真空ポンプ1と、該ドライ真空ポンプ1の多段ポンプロータの段間に接続された少なくとも1つの除害部3A,3B,3Cとから構成されている(
図1(a),(b)においては3つの除害部3A,3B,3Cが図示されている)。ドライ真空ポンプ1の吸気口1aが半導体デバイス、液晶、LED等を製造する製造装置等のプロセスチャンバに接続されるようになっている。ドライ真空ポンプ1の排気口1dから、除害部3A,3B,3Cにより無害化処理された処理後のガスが排気されるようになっている。なお、ドライ真空ポンプは、一対の多段ポンプロータを備えていれば、ルーツ型だけでは無く、スクリュー型、クロー型等の他の形式の真空ポンプであってもよい。
【0025】
図1(a)に示す例においては、ドライ真空ポンプ1の多段ポンプロータの段間と除害部3A,3B,3Cとは、接続ブロック2によって接続されている。接続ブロック2内には、ドライ真空ポンプ1の多段ポンプロータの段間と除害部3A,3B,3Cとをそれぞれ接続するための流路2a〜2fが形成されている。すなわち、3段目のロータR3から排出されたガスは接続ブロック2に形成された流路2aを介して除害部3Aに導入され、除害部3Aで除害処理されたガスは接続ブロック2に形成された流路2bを介して4段目のロータR4に導入される。除害部3B,3Cにおいても、同様である。すなわち、ロータR4から排出されるガスは除害部3Bで除害処理された後、ロータR5に導入され、ロータR5から排出されるガスは、除害部3Cで除害処理された後、ロータR6に導入される。
【0026】
図1(b)に示す例においては、ドライ真空ポンプ1の多段ポンプロータの段間と除害部3A,3B,3Cとは、それぞれ接続配管4a〜4fによって接続されている。すなわち、3段目のロータR3から排出されたガスは接続配管4aを介して除害部3Aに導入され、除害部3Aで除害処理されたガスは接続配管4bを介して4段目のロータR4に導入される。除害部3B,3Cにおいても、同様である。
【0027】
なお、
図1(a),(b)に示す多段ルーツ型のドライ真空ポンプ1の上流側にブースターポンプを配置し、ブースターポンプの吸気口をプロセスチャンバに接続してもよい。この場合、多段ルーツ型のドライ真空ポンプ1は、真空から大気まで数段に分けてガスを圧縮して排気するポンプとして機能し、ブースターポンプは、ドライ真空ポンプ1の排気速度をアップ(上昇)させるポンプとして機能する。
【0028】
図1(a),(b)に示すように、本発明の除害機能付き真空ポンプは、多段ルーツ型のドライ真空ポンプ1に、排ガスを処理して無害化する除害部3A,3B,3Cを付設して構成されている。本発明の除害機能付き真空ポンプによれば、製造装置のプロセスチャンバと除害部3A,3B,3Cとの間には少なくとも一つのロータがあるため、排ガス処理の結果析出した生成物がプロセスチャンバに逆流してプロセスチャンバを汚染することがない。また、パージ用ガスや希釈用ガスが排ガス中に含まれることがなく処理ガス量を減らすことができ、除害部3A,3B,3Cにおけるガス処理に必要なエネルギーを低減して省エネルギーを図ることができる。
【0029】
本発明においては、除害部3A,3B,3Cはドライ真空ポンプ1の多段ポンプロータの段間に設置されているので、除害部3A,3B,3Cは真空下で排ガスを除害処理する必要がある。そのため、除害部3A,3B,3Cで採用する排ガスの処理形式は、プラズマ式、ヒータ式、乾式、触媒式である。
本発明は、排ガスの処理形式が異なるこれら複数種類の除害部を用意しておく。また、処理形式の異なる各除害部毎に排ガスの処理量が異なる除害部を複数個用意しておく。さらに、処理形式の異なる各除害部毎に排ガスの処理性能が異なる除害部を複数個用意しておく。本発明においては、除害部は、チャンバから排出される排ガスのガス量およびガス種に応じて処理形式が異なる上記複数種類の除害部および/または排ガスの処理量が異なる複数の除害部および/または排ガスの処理性能が異なる複数の除害部から最適なものを少なくとも一つ選定し、多段ポンプロータの段間に接続される。
【0030】
図1(a),(b)に示すように、多段ポンプロータの複数の段間にそれぞれ除害部3A,3B,3Cを接続することにより一連の除害群を形成することができ、様々な種類のプロセス要求、複雑なプロセス要求に対応が可能となる。複数台の除害部は排ガスのガス量およびガス種に応じて、プラズマ式除害部、乾式除害部、触媒式除害部、ヒータ式除害部の複数種の除害部を組み合わせて接続してもよいし、単一種の除害部を接続してもよい。
【0031】
次に、処理形式の異なる各除害部の構成を説明する。
図1(a),(b)においては、ドライ真空ポンプ1の多段ポンプロータの段間に接続された複数の除害部を符号3A,3B,3Cとして峻別したが、以下の説明においては、複数の除害部を峻別する必要がない場合には、除害部3として説明する。
【0032】
図2は、除害機能付真空ポンプの除害部として、プラズマ式除害部3の構成を示す模式的断面図である。
図2に示すように、プラズマ式除害部3は、容器状の処理室本体30を備えており、処理室本体30内には処理室31が形成されている。処理室31には、2本の電極(正極および負極)32,33が間隔をおいて対向配置されている。処理室本体30の上部には、処理対象の排ガスを処理室内に導入するガス導入口3
INが形成され、処理室本体30の下部には、処理後のガスを排出するガス出口3
OUTが形成されている。
図2に示すように、ドライ真空ポンプ1のロータから排出された排ガスはガス導入口3
INから処理室31に導入される。電源34によって2本の電極(正極および負極)32,33間に高周波・高電圧をかけることによりプラズマを発生させ、電子やイオン等を排ガスの分子に高速で衝突させ、排ガスを分解処理する。処理後のガスはガス出口3
OUTから排出されて次段のロータに吸い込まれる。
図2に示すプラズマ式除害部3は、多段ポンプロータの段間に設置されているため、除害部3は真空状態なので、プラズマを発生させるのに好適な環境にあり、少ない投入エネルギー量で除害を行うことができる。
【0033】
図3は、除害機能付真空ポンプの除害部として、ヒータ式除害部3の構成を示す模式的断面図である。
図3に示すように、ヒータ式除害部3は、容器状の処理室本体40を備えており、処理室本体40内には処理室41が形成されている。処理室本体40の周囲及び外側底部にヒータ42が設けられている。処理室本体40の下部には、処理対象の排ガスを処理室内に導入するガス導入口3
INが形成され、処理室本体40の上部には、処理後のガスを排出するガス出口3
OUTが形成されている。
図3に示すように、ドライ真空ポンプ1のロータから排出された排ガスはガス導入口3
INから処理室41に導入される。処理室41に導入された排ガスは、ヒータ42によって加熱されて約500〜900°Cの高温で分解処理され、処理後のガスはガス出口3
OUTから排出されて次段のロータに吸い込まれる。
【0034】
図4は、除害機能付真空ポンプの除害部として、乾式除害部3の構成を示す模式的断面図である。
図4に示すように、乾式除害部3は、容器状の処理室本体50を備えており、処理室本体50内には処理室51が形成されている。処理室本体50の下部には、処理対象の排ガスを処理室内に導入するガス導入口3
INが形成され、処理室本体50の上部には、処理後のガスを排出するガス出口3
OUTが形成されている。処理室51の内部には処理剤(薬剤)52が充填されており、この処理剤52に排ガスを吸着させる。処理剤として金属酸化物、アルカリ剤、貴金属触媒等が用いられる。なお、処理室51の外壁にヒータを付け、処理剤(薬剤)を加温しても良い。
図4に示すように、ドライ真空ポンプ1のロータから排出された排ガスはガス導入口3
INから処理室51に導入される。処理室51に導入された排ガス中の有害な成分は、処理剤52に吸着されて処理され、処理後のガスはガス出口3
OUTから排出されて次段のロータに吸い込まれる。
【0035】
図5は、除害機能付真空ポンプの除害部として、触媒式除害部の一種であるフッ素固定式除害部3の構成を示す模式的断面図である。
図5に示すように、フッ素固定式の除害部3は、容器状の処理室本体60を備えており、処理室本体60内には処理室61が形成されている。処理室61の周囲及び外側底部にヒータ62が設けられている。処理室本体60の下部には、処理対象の排ガスを処理室内に導入するガス導入口3
INが形成され、処理室本体60の上部には、処理後のガスを排出するガス出口3
OUTが形成されている。
処理室61の内部には、F(フッ素)成分を固定する固定薬剤63が充填されている。固定薬剤として、排ガスの分解能力が高い金属成分と分解したF成分を固定する金属成分からなる混合材料が用いられる。プロセス装置から発生したPFCガス及び副生成ガスのSiF
4等に含まれるF成分を固定薬剤に固定する。
図5に示すように、ドライ真空ポンプ1のロータから排出された排ガスはガス導入口3
INから処理室61に導入される。処理室61に導入された排ガス中のF成分は固定薬剤63に固定され、処理後のガスはガス出口3
OUTから排出されて次段のロータに吸い込まれる。
【0036】
図6(a),(b),(c)は、ドライ真空ポンプ1の多段ポンプロータの段間に接続された除害部3が直列および/または並列に配列された複数台の除害部から構成される例を示す模式図である。
図6(a)に示す例においては、複数台(図示例では2台)の除害部3が直列に接続されている。複数台の除害部3は接続配管を介して接続してもよいし、接続配管を無くして隣接する2つの除害部3のガス出口とガス入口を直接接続してもよい。
図6(b)に示す例においては、複数台(図示例では2台)の除害部3が並列に接続されている。複数台の除害部3は接続配管を介して並列に接続されている。
図6(c)に示す例においては、複数台の除害部3は接続配管を介して直列および並列に接続されている。すなわち、複数台(図示例では2台)の除害部3は接続配管を介して並列に接続され、さらに一方の接続配管には除害部3が直列に2段に配列にされている。
【0037】
図6(a),(b),(c)に示すように、複数台の除害部3を直列および/または並列に配列することにより一連の除害群を形成することができ、様々な種類のプロセス要求、複雑なプロセス要求に対応が可能となる。複数台の除害部3は排ガスのガス量およびガス種に応じて、プラズマ式除害部、乾式除害部、触媒式除害部、ヒータ式除害部の複数種の除害部3を組み合わせて接続してもよいし、単一種の除害部3を接続してもよい。
【0038】
図6(b),(c)に示すように、除害部3を並列に並べることで、バックアップ運転の実現が容易となる。すなわち、一方の除害部3の故障、メンテナンス時にはその他の除害部3で対応が可能となり、プロセスダウンタイムをゼロにすることができる。
除害部は小型で安価であるため、1つのプロセスチャンバに対応させて複数の除害部を設置し、単純な方法で安価にバックアップ機能をもたせることが可能である。バックアップ方法としては同じ除害方式の除害部を並列で接続してもいいし、他の除害方式の除害部を並列で接続してもよい。
除害部は据え付けではないので容易に正常品と交換できる。除害部の交換が必要な場合は、ラインをバックアップ側の除害部へバイパスさせて、交換する除害部をクランプ継ぎ手などで取り外すことによりプロセス運転を停止せずに除害部の交換を実施できる。したって、除害部のメンテナンスのためにプロセス運転が中断してしまうことはない。
【0039】
除害部3の単体の設計は不要、あるいは最小となり、レイアウト検討のみで済む。また、要求性能ごとに除害部3を標準化しているため、改造部品の製造が容易である。さらに、部品納期の短縮、改造要領の簡素化を図ることができる。
除害部毎に規格対応を行うため、新たな要求仕様に対して、規格の認証の検討、取得が不要となる。必要に応じて、接続配管にバルブを設置してもよい。複数台の除害部3を直列および/または並列で接続する場合、除害部3の設置位置方向は自由に設定可能である。
【0040】
従来、乾式除害装置の場合には、プロセス毎に乾式カラムの薬剤の充填構成を変えていたため、排ガス処理の最適化を図ろうとすると多種類の乾式カラムを揃えなければならなかった。また、充填構成を変えるには、その都度乾式カラムを工場へ持ち帰り、中身の薬剤を入れ替える必要があった。
これに対し、
図6(a),(b),(c)に示すように、複数台の除害部3を直列および/または並列に配列することにより、複数の除害部のうち前後の除害部を、他の種類の薬剤が充填された除害部と簡易に交換できるので、異なるプロセスで発生する排ガスに対しても排ガス処理の最適化を容易に行えるようになる。
また、現場で除害部を入れ替えることで、迅速に薬剤の構成を変更することができる。薬剤の種類を変えることで、希ガスを精製し再生利用することも可能となる。さらに、H
2処理にPd触媒を使用することで発熱させ、その熱を真空ポンプ用のN
2ガスの加熱等に再利用することができる。
【0041】
従来、ヒータ式除害装置の場合、流入するガスの流量毎にヒータ容量の異なる除害装置を揃える必要があった。
これに対し、
図6(a),(b),(c)に示すように、複数台の除害部3を直列および/または並列に配列することにより、それぞれヒータ容量の異なる除害部を数種類準備すれば、流入するガス流量に合わせて、ヒータ式の除害部を直列にまたは並列に、または直列と並列の組合せで配列することで、ヒータ容量に過剰な性能を持たせて設計することなく、流入するガスの流量に対応した最適な除害部を安価に提供できる。
また、ヒータ式除害部の後段に触媒式除害部を設置することにより、PFCガスの処理やフッ素固定も可能となる。さらに、ヒータ式除害部で発生した熱を、真空ポンプ用のN
2ガスの加熱等に再利用することができる。
【0042】
図7は、本発明の除害機能付真空ポンプの全体の配置構成を示す模式図である。
図7に示すように、ドライ真空ポンプ1と除害部3A,3B,3Cとは互いに接して配置されている。ここで、互いに接しているとは、ドライ真空ポンプ1と除害部3A,3B,3Cのケーシングが互いに接していることを意味する。この場合、接触面にはシリコングリース等の熱伝導性が良い媒体が塗布されている。また、ドライ真空ポンプ1と除害部3A,3B,3Cの境界部を共通の1枚の壁で構成し、ドライ真空ポンプ1と除害部3A,3B,3Cとを一体化してもよい。なお、以下の説明では、除害部3A,3B,3Cを峻別する必要がないため、除害部3として説明する。
【0043】
図7に示すように、本発明においては、ドライ真空ポンプ1と除害部3とが接しているあるいは一体化している。したがって、以下に列挙する効果を奏する。
1)ドライ真空ポンプ1と除害部3との間は、伝熱性に優れていて、ポンプの運転で生じた圧縮熱が除害処理に利用される。また、除害部3で生じた熱でポンプが加温される。
2)ドライ真空ポンプ1と除害部3が一体化しているため、配管や、配管を加熱する為のヒータが不要になり、システム全体を低価格化できる。
【0044】
また、
図7に示すように、ドライ真空ポンプ1に制御部10が付設されている。制御部10は、ドライ真空ポンプ1の制御および除害部3の制御を一括して行うように構成されており、ポンプの信号入出力の一部を除害部3に接続し、除害部3の運転制御およびステータス監視を制御部10で実施する。すなわち、制御部10から除害部3に運転・停止信号を出力し、除害部3から制御部10に除害部3のステータス信号を出力するように構成されている。制御部10は、製造装置等にある客先制御部11と通信線等を介して送受信が可能になっている。また、制御部10は、集中監視システム12にドライ真空ポンプ1および除害部3のステータス信号を出力するようになっている。
【0045】
制御部10よりドライ真空ポンプ1の運転信号が出力されると、同時に制御部10から除害部3に運転信号が出力され、除害部3の運転が開始される。アイドル時は、除害部3の運転を停止する。制御部10において除害部3の運転タイミングの設定変更が可能になっている。ポンプの運転はリモート運転、ローカル運転、COM運転のいずれでも対応可能になっている。制御部10にメインブレーカを設置しているため、除害部3では必要最低限の電源部品で対応が可能となる。
【0046】
制御部10がドライ真空ポンプ1の制御および除害部3の制御を一括して行うように構成されているため、装置からのインターフェースを従来のように真空ポンプ用および排ガス処理装置用と区別して用意することが不要となる。また、除害部3は、最小限の電装系で構成される。また、メインの信号の窓口が真空ポンプとなることによって、装置側あるいは工場側の制御が簡略化される。
ドライ真空ポンプ1の運転状態にあわせて、制御部10が除害部3の制御を行うため、使用条件、使用環境にあわせた、除害部・真空ポンプのシンクロ運転、安全運転の実現が可能となる。また、ドライ真空ポンプ1の使用状況にあわせて除害部3の運転モードの最適化が図れる。
【0047】
ドライ真空ポンプ1の状態監視モニターに、除害部3のステータス表示がされるため、運用が容易となる。マスターの真空ポンプに表示されるステータスだけで一括管理が可能になり、除害部・ポンプの異常をユーザーが一括でモニター可能になる。
また、ドライ真空ポンプ1と除害部3の統合された情報の収集が可能であるため、トラブル発生時の真空ポンプと除害部3の状態が把握でき、トラブル分析が容易となり、改善対応の時間短縮を図ることができる。
【0048】
図7においては、ドライ真空ポンプ1の多段ポンプロータの段間に接続された除害部は各1台ずつ図示されているが、多段ポンプロータの段間に接続された除害部は、
図6(a),(b),(c)に示すように、直列および/または並列に配列された複数台の除害部3から構成されていてもよい。この場合、複数台の除害部3と制御部10が接続され、制御部10が除害部3の種類や数を自動認識することが可能である。個別に制御部10で除害部3の種類と数を選択することも可能である。
【0049】
図8(a),(b),(c)は、真空ポンプが直列および/または並列に接続された複数台のポンプから構成される例を示す模式図である。
図8(a)に示す例においては、複数台(図示例では2台)のポンプ1が直列に接続されている。複数台のポンプ1は接続配管を介して接続してもよいし、接続配管を無くして隣接する2つのポンプ1の排気口と吸気口を直接接続してもよい。
図8(b)に示す例においては、複数台(図示例では2台)のポンプ1が並列に接続されている。複数台のポンプ1は接続配管を介して並列に接続されている。
図8(c)に示す例においては、複数台のポンプ1は接続配管を介して直列および並列に接続されている。すなわち、複数台(図示例では2台)のポンプ1は接続配管を介して並列に接続され、さらに一方の接続配管にはポンプ1が直列に2段に配列にされている。
図8(a),(b),(c)においては、複数台のポンプ1を直列および/または並列に接続し、各ポンプ1に除害部3を接続する構成を例示したが、複数台のポンプ1のうち、少なくとも一台のポンプにおける多段ポンプロータの段間に、除害部3を接続すればよい。
【0050】
図8(b),(c)に示すように、複数台(図示例では2台)のポンプ1が並列に接続されている場合、複数台のポンプ1は並列運転される。ポンプ1は1台で製造装置のチャンバを排気できる排気性能があるが、2台並列運転することにより排気時間を短くすることができる。また、1台のポンプ1が故障等で停止した場合でも、他の1台のポンプ1が運転を継続できるため、製造プロセスに支障が生ずることはない。また、
図8(a)に示すように、ポンプ1を直列に接続することにより、排気可能なガス流量を増大することができる。また、2段階で排ガスの分解エネルギーを投入できるため、難分解性ガスの処理効率を向上できる。
【0051】
図9は、ドライ真空ポンプ1の多段ポンプロータの段間に接続された除害部3をバイパスするバイパス流路を設けた構成を示す模式図である。
図9に示すように、ポンプ1の多段ポンプロータの段間と除害部3とを接続する接続配管4c,4dにバイパス流路15を設け、バイパス流路15にはバイパスバルブBVを設けている。また、多段ポンプロータの段間と除害部3とを接続する接続配管4c,4dには、バルブV1,V2を設けている。
図9に示す構成により、排ガスの無害化処理を必要としないときには、バルブV1,V2を閉じバイパスバルブBVを開けることにより、除害部3をバイパスして除害部3の運転を停止し、ポンプ機能だけを使用することが可能である。したがって、省エネルギーを図ることができる。
【0052】
次に、ドライ真空ポンプ1の運転中に除害部3の運転状態を変更する場合の制御方法について説明する。
ドライ真空ポンプはインバータによりモータを制御して駆動される。インバータはモータを定格回転速度で制御する。その出力電力はモータの負荷によって自動的に制御される。すなわち、モータ負荷が大になれば、自動的にインバータの出力電力が増し、運転回転数が維持される。一方、ドライ真空ポンプの特性として、吸引するガス流量が多くなるとモータ負荷が増す。ポンプの構造によってガス量とモータ負荷の関係は様々であるが、いずれにせよ吸引ガス量に応じてモータ負荷が変化する。
予め吸入ガス量とモータ負荷とインバータ出力電力の関係を明らかにしておくことで、インバータの出力電力から吸入ガス量を推定することができる。ガスを吸入していないときには除害機能を必要としないので、ガスが流れているか否かを推定し、流れていないときは自動的に除害部の運転を停止することで省エネルギーを図ることができる。
【0053】
次に、具体的な制御方法を説明する。ドライ真空ポンプ1の駆動に用いられるインバータの出力電力を監視し、本電力がしきい値Aを上回った、あるいは下回った場合には除害部3の運転を停止する。しきい値Bを下回った、あるいは上回った場合、除害部3の運転を再開する。除害部3の運転を停止する際には、
図9においてバルブV1,V2を閉じバイパスバルブBVを開け、ガスがバイパス流路15を流れるようにする。
上記制御方法では、除害部3のON/OFF制御を行ったが、除害部3の運転強度を変更する制御を行うこともできる。すなわち、インバータの出力電力から推定される吸入ガス量に応じて除害部の運転強度を多段階(例えば、高,中,低)に設定しておき、インバータの出力電力を監視して吸入ガス量が少ないときには除害部3を低強度で運転することにより省エネルギーを図ることができる。
【0054】
図10は、除害部3を格納するエンクロージャを設けた構成を示す模式図である。
図10に示すように、ドライ真空ポンプ1と除害部3とは連結部を介して連結されている。除害部3はエンクロージャ6によって格納されている。エンクロージャ6は、気密構造になっており、排気ダクトに接続するための排気部6aを備えている。
図10に示すように、除害部3がエンクロージャ6に覆われており、該エンクロージャ6を、設置した設備の排気ダクトへ接続することでエンクロージャ自体が負圧に保たれるので、万が一、除害部3でリークがあった場合にも、有害なガスが外部へ流出することを防ぐことができる。
【0055】
図11は、多段スクリュー型のドライ真空ポンプに除害部を付設して構成された除害機能付き真空ポンプの実施形態を示す模式図である。
図11に示す例においては、2段スクリュー型のドライ真空ポンプ1が用いられており、2段のスクリューロータR1,R2の段間、すなわち、1段目スクリューロータR1の最終巻と2段目スクリューロータR2の最初の巻との間に、除害部3Aが設置されている。その他の構成は、
図1(a),(b)に示す除害機能付き真空ポンプと同様であり、
図11に示すようなスクリュー型のドライ真空ポンプであっても、
図1(a),(b)に示す除害機能付き真空ポンプと同様の効果を奏することができる。スクリューの圧縮段数を増加させれば、
図1(a),(b)に示すように除害部3B,3C等の他の除害部を設置することができる。
図11に示す多段スクリュー型のドライ真空ポンプ1に
図2乃至
図10に示す構成を、同様に適用することができる。
【0056】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことはいうまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。