(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
位置検出装置、および、蒸着装置の一実施形態を説明する。
[位置検出装置]
図1が示すように、基板Wは、表面WFと裏面WRとを備える。表面WFの外周部Wpは、平坦部Wp1とベベル部Wp2とを備え、裏面WRの外周部Wpもまた、平坦部Wp1とベベル部Wp2とを備える。
【0015】
平坦部Wp1は、基板Wの側面に沿う平面に沿って広がる平坦状の部分である。各ベベル部Wp2は、基板Wの厚さ方向に沿う断面(
図1(a)参照)において、曲率中心がベベル部Wp2に対して基板Wの中心側に位置する曲率を有する。なお、
図1(b)では、外形用カメラ11が、基板Wの裏面WRを撮影する状態を示し、また、基板Wの形状が円板状である例を示す。
【0016】
位置検出装置10は、外形用カメラ11と画像処理部12とを備える。
外形用カメラ11は、例えば、CCDカメラであって、撮影部の一例である。外形用カメラ11の撮影範囲11Zは、平坦部Wp1の一部と、該一部につながるベベル部Wp2とを含む大きさである。なお、基板Wの搬送に際しては、搬送後の位置とその目標位置との差異である搬送精度が、所定の範囲内に設定されている。外形用カメラ11の撮影範囲11Zは、こうした範囲よりも十分に大きい。
【0017】
外形用カメラ11の光軸11Aは、例えば、平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界の近傍に位置する。基板Wの外周部Wpに照射される光は、基板Wに対する外形用カメラ11側から、外形用カメラ11の光軸11Aに沿って進行する平行光でもよいし、外形用カメラ11の光軸11Aとは異なる方向に進行する平行光であってもよい。基板Wの外周部Wpに照射される光の光軸と、外形用カメラ11の光軸11Aとが一致する場合、外形用カメラ11は、撮影光学系を用いて外周部Wpに光を照射する照射部を備える。基板Wの外周部Wpに照射される光の光軸と、外形用カメラ11の光軸11Aとが異なる場合、外周部Wpに光を照射する照射部は、外形用カメラ11とは別体であり、基板Wに対して、外形用カメラ11と同じ側に位置する。
【0018】
外形用カメラ11は、撮影範囲11Zから反射される光による画像を形成する。外形用カメラ11の撮影する画像PICは、平坦部Wp1で反射された光による第1像PIC1と、その平坦部Wp1につながるベベル部Wp2で反射された光による第2像PIC2とを含む。例えば、基板Wの裏面WRと直交する方向に沿って裏面WRに平行光が照射されるとき、平坦部Wp1に入射する光の入射角はほぼ0°であり、平坦部Wp1から射出される正反射光の反射角もほぼ0°である。そのため、裏面WRと直交する光軸を有した外形用カメラ11は、非常に高い明度を有した第1像PIC1を生成する。これに対して、ベベル部Wp2は曲面であるため、ベベル部Wp2に入射した光の入射角は、0°から基板Wの外側に向けて連続的に変わり、ベベル部Wp2から射出される正反射光の反射角は、0°よりもさらに大きく変わる。そのため、裏面WRと直交する光軸を有した外形用カメラ11は、第1像PIC1と比べて非常に低い明度を有した第2像PIC2を生成する。結果として、外形用カメラ11によって撮影された画像PICでは、平坦部Wp1で反射された光による第1像PIC1と、ベベル部Wp2で反射された光による第2像PIC2との間で、コントラストに大きな差異が生じる。
【0019】
画像処理部12は、外形用カメラ11の撮影した画像PICを用いたコントラストに基づくエッジ検出を行い、第1像PIC1と第2像PIC2との境界を抽出する。そして、画像処理部12は、抽出された第1像PIC1と第2像PIC2との境界、すなわち、平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界を、基板Wの外形の一部として特定する。なお、外形用カメラ11の光軸11Aの位置や、外形用カメラ11の撮影範囲11Zの位置は、外形用カメラ11に固有の座標系(例えば、XYθ座標系)で定められる。画像処理部12は、第1像PIC1と第2像PIC2との境界をこの座標系で算出し、それによって、基板Wの外形の一部を特定する。
【0020】
図2は、外形用カメラ11が撮影した画像の一例である。
図2が示すように、画像PICは、基板Wの像PICWと、基板Wの背景像PICBとを含む。基板Wの像PICWのなかで、相対的に明度の高い部分が、平坦部Wp1の像、すなわち、第1像PIC1である。これに対して、基板Wの像PICWのなかで、相対的に明度の低い部分が、ベベル部Wp2の像、すなわち、第2像PIC2である。基板Wの背景像PICBにおける明度は、第1像PIC1の明度よりも低く、かつ、第2像PIC2の明度よりも高い。
【0021】
ここで、基板Wの輪郭Eとは、基板Wにおいて最も外側に位置する点を結んだ外形線であり、ベベル部Wp2の外形線でもある。上述したように、このベベル部Wp2は、通常、所定の曲率を有した曲面で構成される。ベベル部Wp2の曲面は、基板Wの輪郭Eに向けて、基板Wの像PICWの明度を徐々に低くし、ベベル部Wp2の像である第2像PIC2と、基板Wの背景像PICBとの境界を、不明りょうとする。そして、第2像PIC2と背景像PICBとの境界から基板Wの輪郭Eを検出する際には、その位置の精度に大きな誤差を生じさせてしまう。特に、基板Wの位置に数μmの精度が求められる検出では、上述した境界での不明りょうさが非常に大きな誤差となる。
【0022】
これに対して、ベベル部Wp2と平坦部Wp1との境界は、基板Wにおいて面方向が変わる境界であり、例えば、平坦部Wp1と対向する方向からの撮影では、それが明確に検出される境界でもある。それゆえに、第1像PIC1と第2像PIC2との境界が、基板Wの外形の一部として特定される上記構成であれば、その外形を用いた基板Wの位置の検出において、検出の精度を向上することが可能となる。
【0023】
[蒸着装置]
図3を参照して、上記位置検出装置を搭載した蒸着装置20を説明する。なお、蒸着装置20は一例であり、搬送部の一例であるEFEM23と蒸着チャンバー24とを備えていればよい。また、以下の例では、EFEM23は、表面位置特定処理、および、裏面位置特定処理に用いられる。蒸着チャンバー24は、別の裏面位置特定処理に用いられる。
【0024】
なお、表面位置特定処理は、基板Wの表面WFに位置する基板マークを撮影し、その撮影の結果から、基板の中心(表面位置)の一例であるパターン中心を算出する。裏面位置特定処理は、基板Wの裏面WRにおける外周部Wpを撮影し、その撮影の結果から、基板の中心(第1裏面位置)の一例である第1基板中心を算出する。また、別の裏面特定処理は、基板Wの裏面WRにおける外周部Wpを撮影し、その撮影の結果から、基板の中心(第2裏面位置)の一例である第2基板中心を算出する。蒸着装置20は、EFEM23を用いて特定されるパターン中心と第1基板中心とのずれ量を算出する。また、蒸着装置20は、第2基板中心にずれ量を反映させ、蒸着マスクの中心であるマスク中心と、パターン中心とを合わせるように、基板Wを配置する。
【0025】
図3が示すように、蒸着装置20は、搬送チャンバー21を備え、搬送チャンバー21には、ゲートバルブを介して搬出入チャンバー22が接続されている。搬送チャンバー21は、基板Wを搬送する搬送ロボットを備える。搬出入チャンバー22は、搬送チャンバー21の外部から搬送チャンバー21に基板を搬入し、かつ、搬送チャンバー21から搬送チャンバー21の外部に基板を搬出する。搬出入チャンバー22には、ゲートバルブを介してEFEM23(Equipment Front End Module)が接続されている。EFEM23は、搬出入チャンバー22に成膜前の基板を搬送し、かつ、搬出入チャンバー22から成膜後の基板を搬入する。EFEM23は、基板Wを支持する検出機構30を備える。
【0026】
搬送チャンバー21には、2つの蒸着チャンバー24、反転チャンバー25、および、スパッタチャンバー26が接続されている。各チャンバーは、ゲートバルブを介して搬送チャンバー21に接続されている。蒸着チャンバー24は、真空蒸着法によって基板Wに所定の薄膜を形成する。反転チャンバー25は、反転チャンバー25に搬入された基板Wを反転させる。反転チャンバー25での反転は、鉛直方向における基板Wの表面WFと裏面WRとの位置を、基板Wが反転チャンバー25に搬入されたときと、反転チャンバー25から搬出されるときとの間において、反対にすることである。スパッタチャンバー26は、スパッタ法によって基板Wに所定の薄膜を形成する。
【0027】
蒸着装置20は、制御装置20Cを備え、制御装置20Cは、上述した画像処理部12を含み、蒸着装置20が備える各チャンバー21,22,23,24,25,26の駆動を制御する。制御装置20Cは、例えば、搬送ロボットの駆動を制御して、搬送チャンバー21に接続された1つのチャンバーから他のチャンバーに、搬送チャンバー21を介して搬送ロボットに基板Wを搬送させる。制御装置20Cは、例えば、各蒸着チャンバー24における成膜処理、および、スパッタチャンバー26における成膜処理に関わる機構の駆動を制御することによって、各蒸着チャンバー24、および、スパッタチャンバー26に所定の薄膜を形成させる。
【0028】
[EFEMの構成]
図4、および、
図5を参照して、EFEM23の構成を説明する。以下では、EFEM23の構成のなかで、検出機構30の構成を主に説明する。
図4が示すように、検出機構30は、ステージ31、複数のマークカメラ11M、および、複数のロードカメラ11Lを備える。以下では、3台のマークカメラ11M、および、3台のロードカメラ11Lを備える例を説明する。
【0029】
ステージ31は、処理対象である基板Wを支持する。基板Wは、表面WFと裏面WRとを含み、基板Wの表面WFには、3つの基板マークが位置している。EFEM23では、3つの基板マークが位置する表面WFを上方に向けて、基板Wがステージ31に配置される。各基板マークは、基板Wの表面WFにおける特定の位置と、蒸着マスクが有する開口の位置とを合わせるために用いられる。
【0030】
各マークカメラ11Mは、例えばCCDカメラであって、第2撮影部の一例である。各マークカメラ11Mは、ステージ31に支持された基板Wよりも上方に固定されている。1つのマークカメラ11Mの光軸11MAの位置は、他のマークカメラ11Mの光軸11MAの位置に対して固定されている。各マークカメラ11Mは、表面WFの平坦部Wp1のなかで、基板マークを含む範囲を撮影する。各マークカメラ11Mの撮影した表面WFの画像PICMは、表面位置特定処理に用いられる。
【0031】
各ロードカメラ11Lは、上述した外形用カメラ11であり、ステージ31よりも下方に固定されている。1つのロードカメラ11Lの光軸11ALの位置は、他のロードカメラ11Lの光軸11ALの位置に対して固定されている。各ロードカメラ11Lは、基板Wの裏面WRに対向し、基板Wの外周部Wpで反射された光による像を撮影する。各ロードカメラ11Lは、基板Wの外周部Wpのなかで、他のロードカメラ11Lが撮影する部分とは異なる部分を撮影する。各ロードカメラ11Lの撮影した裏面WRの画像PICLは、裏面位置特定処理に用いられる。また、各ロードカメラ11Lの撮影した裏面WRの画像PICLは、表面位置特定処理によるパターン中心と、裏面位置特定処理による基板中心との整合に用いられる。
【0032】
図5は、基板Wの表面WFと対向する平面視での基板Wの平面構造を示す。
図5では、説明の便宜上、基板Wの形状を円板状として、各マークカメラ11Mが撮影する領域と、各ロードカメラ11Lが撮影する領域とを、基板Wに重ねて示す。
【0033】
図5が示すように、ステージ31は、基板Wを配置する目標の領域として、仮想的な配置領域WA(
図5の二点鎖線)を定める。基板Wは、仮想的な配置領域WAと、基板Wの輪郭E(
図5の実線)とがほぼ一致するように、ステージ31に配置される。基板Wの表面WFは、3つの基板マークWmを備える。各基板マークWmは、基板Wの外周部Wpよりも基板中心寄りに位置している。
【0034】
各マークカメラ11Mは、画像を撮影する領域を撮影範囲11MZ(
図5の二点鎖線)として定める。各撮影範囲11MZは、配置領域WAの周方向にほぼ等配されている。各撮影範囲11MZの中心には、マークカメラ11Mの光軸11MAが位置する。各撮影範囲11MZの位置およびサイズは、基板Wの搬送精度に基づき、別々の基板マークWmを含むように設定される。
【0035】
各ロードカメラ11Lが撮影する領域は、撮影範囲11ZLであり、配置領域WAの周方向に等配されている。各撮影範囲11ZLの中心には、ロードカメラ11Lの光軸11ALが位置する。各撮影範囲11ZLの位置およびサイズは、基板Wの搬送精度に基づき、平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界を含むように設定される。
【0036】
[蒸着チャンバーの構成]
図6、および、
図7を参照して、蒸着チャンバー24の構成を説明する。以下では、蒸着チャンバー24の構成のなかで、基板Wに蒸着を行うための機構である蒸着機構の構成を主に説明する。
【0037】
図6が示すように、蒸着チャンバー24は、昇華させた蒸着材料を放出する蒸着源41と、複数の蒸着カメラ11Vと、基板Wを支持する基板ホルダー42と、蒸着マスクMを支持するマスクホルダー43と、駆動源44と、駆動機構45とを備える。蒸着チャンバー24において、蒸着源41、基板ホルダー42、および、マスクホルダー43を収容する真空槽24Aは、排気系に接続されて所定の圧力まで減圧される。なお、以下では、3台の蒸着カメラ11Vを備える例を説明する。
【0038】
蒸着源41は、蒸着材料を加熱することによって、蒸着材料42Mによる薄膜を基板Wの表面WFに形成する。蒸着源41には、例えば、抵抗加熱式の蒸着源、誘導加熱式の蒸着源、および、電子ビームを備える蒸着源などを用いることができる。蒸着材料42Mは、蒸着源41によって加熱されることによって蒸発する材料であり、基板Wの表面WFに形成される薄膜の材料である。蒸着材料42Mは、例えば有機物であるが、無機物であってもよい。
【0039】
3台の蒸着カメラ11Vは、上記外形用カメラ11であり、蒸着チャンバー24に固定されている。1つの蒸着カメラ11Vの光軸11AVの位置は、他の蒸着カメラ11Vの光軸11AVの位置に対して固定されている。各蒸着カメラ11Vは、基板Wの裏面WRに対向し、基板Wの外周部Wpで反射された光による像を撮影する。各蒸着カメラ11Vは、基板Wの外周部Wpのなかで別々の部位を撮影する。各蒸着カメラ11Vの撮影した画像PICVは、裏面位置特定処理に用いられる。
【0040】
基板ホルダー42は、3台の蒸着カメラ11Vと蒸着源41との間に位置する。基板ホルダー42は、基板Wの配置される領域である仮想的な配置領域WAを定める。基板ホルダー42は、反転チャンバー25から蒸着チャンバー24に搬入される基板Wを支持する。基板ホルダー42は、蒸着チャンバー24から反転チャンバー25に基板Wを搬出可能とする。基板ホルダー42は、基板Wの表面WFを蒸着源41側(
図6の下側)に向けて表面WFの外周部Wpを支持し、基板Wの裏面WRと3台の蒸着カメラ11Vとを対向させる。
【0041】
この際、例えば、基板ホルダー42などの障害物が存在するため、表面WFに位置する基板マークWmは、表面WFと対向する側からは撮影され難い。また、表面WFに位置する基板マークWmは、例えば、基板Wが十分な透明性を有しない、あるいは、不透明であるため、裏面WRと対向する側からも撮影され難い。すなわち、基板ホルダー42が基板Wを支持する状態では、基板マークWmの位置を検出することが困難となっている。
【0042】
マスクホルダー43は、3台の蒸着カメラ11Vと蒸着源41との間に位置する。マスクホルダー43は、蒸着マスクMの配置される領域である仮想的な配置領域MAを定める。マスクホルダー43は、蒸着マスクMの外周部を支持し、基板Wの表面WFと蒸着マスクMとを対向させる。蒸着マスクMは、基板Wの表面WFに所定のパターンを形成するための開口を有する。マスクホルダー43は、基板Wに対する蒸着源41側に蒸着マスクMを配置する。蒸着マスクMは、基板Wでの周方向の全体で、基板Wからはみ出す大きさを有する。蒸着マスクMは、基板Wからはみ出した部分に、3つのマスクマークMmを有する。なお、蒸着マスクMが有するマスクマークMmは、蒸着カメラ11Vによる撮影によって、蒸着マスクMの中心位置を特定することに用いられる。
【0043】
駆動源44は、駆動機構45を駆動するための動力を出力する。駆動機構45は、駆動源44の動力を受けて、基板ホルダー42を水平方向に移動させる。また、駆動機構45は、駆動源44の動力を受けて、マスクホルダー43と基板ホルダー42とを基板Wの周方向に回転させる。駆動機構45は、基板ホルダー42の独立した回転と、マスクホルダー43の独立した回転と、基板ホルダー42とマスクホルダー43とを一体とした回転とを切り換える。また、駆動機構45は、駆動源44の動力を受けて、マスクホルダー43と基板ホルダー42とを昇降させる。駆動機構45は、基板ホルダー42の独立した昇降と、マスクホルダー43の独立した昇降と、基板ホルダー42とマスクホルダー43とを一体とした昇降とを切り換える。
【0044】
例えば、基板ホルダー42の独立した水平方向での移動や、基板ホルダー42の独立した回転は、基板Wのパターン中心とマスク中心との整合に用いられる。マスクホルダー43の独立した回転は、蒸着マスクMを所定の位置に配置するために用いられる。基板ホルダー42とマスクホルダー43とを一体とした回転は、基板Wの表面に蒸着材料を蒸着させるときに用いられる。
【0045】
例えば、基板ホルダー42の独立した昇降は、基板Wの搬入および搬出や、蒸着用の所定位置への基板Wの配置に用いられる。マスクホルダー43の独立した昇降は、蒸着マスクMの搬入および搬出や、蒸着用の所定位置への蒸着マスクMの配置に用いられる。基板ホルダー42とマスクホルダー43とを一体とした昇降は、基板Wおよび蒸着マスクMを一体として回転させる際の移動に用いられる。
【0046】
図7は、基板Wの裏面WRと対向する平面視における基板Wの平面構造を示す。
図7では、説明の便宜上、基板Wの形状を円板状として、各蒸着カメラ11Vが撮影する領域を基板Wに重ねて示す。
【0047】
図7が示すように、基板Wは、配置領域WAに配置され、蒸着マスクMは、配置領域MAに配置される。マスクマークMmの位置は、基板Wの輪郭Eよりも外側に位置するように設定されている。マスクマークMmは、基板Wの裏面WRと対向する平面視において矩形状を有するが、矩形状とは異なる形状、例えば十字状などを有してもよい。
【0048】
各蒸着カメラ11Vが撮影する領域は、撮影範囲11ZVであり、配置領域WAの周方向にほぼ等配されている。各撮影範囲11ZVの中心には、各蒸着カメラ11Vの光軸11AVが位置する。平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界が撮影範囲11ZVに含まれ、かつ、各撮影範囲11ZVに別々のマスクマークMmが含まれるように、基板Wの搬送精度に基づき、3つの撮影範囲11ZVの位置およびサイズは設定される。
【0049】
[作用]
図8を参照して、制御装置20Cが行う表面位置特定処理、裏面位置特定処理、および、位置合わせ処理を説明する。
[表面位置特定処理]
まず、制御装置20Cは、表面位置特定処理において、ステージ31の定める配置領域WAに基板Wを配置させる。次いで、
図8が示すように、制御装置20Cは、基板マークWmを含む表面WFの画像PICMを各マークカメラ11Mに撮影させる。そして、制御装置20Cは、各マークカメラ11Mが撮影した画像PICMをEFEM23から取得する。制御装置20Cは、各マークカメラ11Mが撮影した画像PICMを用い、例えば、パターン中心を中心とする仮想円が各基板マークWmを通るように、パターン中心の位置を算出する。
【0050】
[裏面位置特定処理:EFEM23]
まず、制御装置20Cは、EFEM23での裏面位置特定処理において、ステージ31に載置された基板Wの裏面WRに光を照射し、平坦部Wp1で反射した光による第1像PIC1と、ベベル部Wp2で反射した光による第2像PIC2とを含む画像PICLをロードカメラ11Lに撮影させる。次いで、制御装置20Cは、ロードカメラ11Lが撮影した画像PICLをEFEM23から取得する。
【0051】
制御装置20Cは、ロードカメラ11Lが撮影した画像PICLを用い、画像PICLのコントラストに基づいて、第1像PIC1と第2像PIC2との境界、すなわち、裏面WRでの平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界を抽出する。そして、制御装置20Cは、第1基板中心を中心とする仮想円が各境界を通るように、第1基板中心の位置を算出する。
【0052】
なお、EFEM23における各マークカメラ11Mによる基板マークWmの撮影と、各ロードカメラ11Lによる平坦部Wp1およびベベル部Wp2の撮影とは、同時に行ってもよいし、各別のタイミングで行ってもよい。2つの撮影を各別のタイミングで行うときには、各マークカメラ11Mによる撮影を各ロードカメラ11Lによる撮影よりも先に行ってもよいし、各ロードカメラ11Lによる撮影を各マークカメラ11Mによる撮影よりも先に行ってもよい。2つの撮影を各別のタイミングで行うときには、2つの撮影の間に基板Wを回転させてもよい。
【0053】
また、各マークカメラ11Mによる基板マークWmの撮影は、同時に行ってもよいし、各別のタイミングで行ってもよいし、各ロードカメラ11Lによる平坦部Wp1およびベベル部Wp2の撮影も、同時に行ってもよいし、各別のタイミングで行ってもよい。加えて、1つのカメラによって撮影を行うごとに基板Wを回転させてもよい。特に、基板マークWmの位置は、基板Wごとに異なることがあり、また、基板Wの位置を1つの位置に固定した状態では、全ての基板マークWmを撮影することができないことがある。この場合には、1つの基板マークWmを撮影するごとに、基板Wを回転させればよい。基板Wを回転させつつ複数の基板マークを撮影する場合には、複数の基板マーク間における相対位置を基板Wの回転角度によって把握することができる。なお、基板Wの回転角度は、回転角度を検出する検出部によって検出することが可能であり、検出部には、例えばエンコーダーを用いることができる。
【0054】
[裏面位置特定処理:蒸着チャンバー24]
まず、制御装置20Cは、蒸着チャンバー24での裏面位置特定処理において、基板ホルダー42の定める配置領域WAに基板Wを配置させる。次いで、制御装置20Cは、基板Wの裏面WRに光を照射し、平坦部Wp1で反射した光による第1像PIC1と、ベベル部Wp2で反射した光による第2像PIC2とを含む画像PICVを蒸着カメラ11Vに撮影させる。
【0055】
制御装置20Cは、蒸着カメラ11Vが撮影した画像PICVを蒸着チャンバー24から取得する。制御装置20Cは、蒸着カメラ11Vが撮影した画像PICVを用い、画像PICVのコントラストに基づいて、第1像PIC1と第2像PIC2との境界、すなわち、裏面WRでの平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界を抽出する。そして、制御装置20Cは、第2基板中心を中心とする仮想円が各境界を通るように、第2基板中心の位置を算出する。
【0056】
[位置合わせ方法]
まず、制御装置20Cは、例えば、1枚目の基板Wについて、EFEM23での撮影によるパターン中心と第1基板中心とを用い、パターン中心と第1基板中心とのずれ量(Δx,Δy,Δθ)を算出する。
【0057】
次いで、制御装置20Cは、1枚目の基板Wが蒸着チャンバー24に搬入されたとき、蒸着カメラ11Vが撮影した画像PICVを用い、マスク中心を中心とする仮想円が各マスクマークMmを通るように、マスク中心の位置を算出する。そして、制御装置20Cは、第2基板中心にずれ量を反映させて、第2基板中心をマスク中心に合わせるための補正量を算出する。制御装置20Cは、補正量に相当する駆動量で駆動機構45を駆動させるべく、駆動源44を駆動するための駆動信号SIGを出力する。
【0058】
以上説明したように、上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)平坦部Wp1で反射された光による第1像PIC1と、ベベル部Wp2で反射された光による第2像PIC2とのコントラストに基づくこれらの境界から、基板Wの位置を検出するため、基板Wの位置を検出する精度を向上することが可能となる。
【0059】
(2)特に、平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界を用いて基板Wの位置を検出するため、基板マークWmを有していない基板Wも、検出の対象とすることが可能である。また、基板Wが十分な透明性を有しない、あるいは、不透明であり、かつ、基板マークWmを有していない面からの撮影によって基板Wの位置の検出が求められる場合であっても、高い精度の下で基板Wの位置を検出することが可能ともなる。
【0060】
(3)基板Wの表面WFからの撮影によってパターン位置を特定することが可能であり、基板Wの裏面WRからの撮影によって第1基板中心を特定することが可能である。そのため、スパッタ成膜などのようにパターン位置に基づいて行われる処理と、蒸着成膜のように第1基板位置に基づいて行われる処理との間において、処理位置の整合を図ることが可能ともなる。
【0061】
(4)特に、基板Wが十分な透明性を有しない、あるいは、不透明である場合には、裏面WRと対向する側から基板マークWmを光学的に検出できないため、上述した点において有用性が高い。
【0062】
(5)蒸着マスクMに対する基板Wの位置精度を向上可能であるから、基板Wと蒸着マスクMとの相対位置に関わる処理において、その処理精度を高めることが可能ともなる。
【0063】
なお、上述した実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・位置検出装置は、抽出された平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界の位置のみから基板Wの位置を特定する。これを変更して、位置検出装置は、抽出された平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界の位置と、基板Wの位置を特定するための他の情報とを用い、基板Wの位置を特定することも可能である。基板Wの位置を特定するための他の情報は、基板Wが備えるノッチなどの特徴点の位置や、基板Wの回転角度などである。
【0064】
・位置検出装置が基板Wの位置の特定に用いる境界は、基板Wの外周部Wpのなかの1箇所であってもよいし、1箇所以上であってもよい。
例えば、平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界の形状は、微視的には、ベベル部Wp2の加工ごと、すなわち、基板Wごとに異なり、各基板Wにおいて固有の形状である場合がある。外周部Wpのなかの1箇所の境界から基板Wの位置を特定する構成では、まず、平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界の形状を、基板Wの全体にわたり、全周形状として予め収集する。そして、抽出された平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界の形状が、全周形状のなかのどの部位であるかを特定することによって、基板Wの位置を特定する。
【0065】
なお、第1基板中心を算出するときと、第2基板中心を算出するときとでは、外周部Wpのなかで略同一のベベル部Wp2を含む部分を撮影することが好ましい。これにより、基板Wの位置を検出する精度をより高めることができる。なお、制御装置20Cは、基板Wが備えるノッチなどの特徴点の位置と、基板Wの回転角度とに基づき、ロードカメラ11Lの撮影範囲11ZLと蒸着カメラ11Vの撮影範囲11ZVとに、外周部Wpにおける略同一のベベル部Wp2を含む部分を位置させることができる。
【0066】
・位置検出装置が特定する基板Wの位置は、基板Wの中心、基板Wの輪郭、および、基板Wの中心や輪郭から算出される中心以外の特徴点、これらの少なくとも1つとすることが可能である。
【0067】
・蒸着装置が備えるロードカメラ11Lの数量は、1台または2台であってもよいし、4台以上であってもよい。ロードカメラ11Lの数量が、1台または2台である場合には、上述したように、ロードカメラ11Lの撮影結果と他の情報とを用いて、基板Wの位置を特定する。
【0068】
・蒸着装置が備える蒸着カメラ11Vの数量は、1台または2台であってもよいし、4台以上であってもよい。蒸着カメラ11Vの数量が、1台または2台である場合には、上述したように、蒸着カメラ11Vの撮影結果と他の情報とを用いて、基板Wの位置を特定する。
【解決手段】基板Wの平坦部Wp1で反射された光による第1像と、平坦部Wp1につながるベベル部Wp2で反射された光による第2像とを撮影する撮影部11と、第1像と第2像とのコントラストに基づく平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界を基板Wの外形の一部として抽出し、該抽出された外形の一部から基板Wの位置を特定する画像処理部12と、を備える。