特許第6472859号(P6472859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アルバックの特許一覧

<>
  • 特許6472859-位置検出装置、および、蒸着装置 図000002
  • 特許6472859-位置検出装置、および、蒸着装置 図000003
  • 特許6472859-位置検出装置、および、蒸着装置 図000004
  • 特許6472859-位置検出装置、および、蒸着装置 図000005
  • 特許6472859-位置検出装置、および、蒸着装置 図000006
  • 特許6472859-位置検出装置、および、蒸着装置 図000007
  • 特許6472859-位置検出装置、および、蒸着装置 図000008
  • 特許6472859-位置検出装置、および、蒸着装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6472859
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】位置検出装置、および、蒸着装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20190207BHJP
【FI】
   G01B11/00 H
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-194266(P2017-194266)
(22)【出願日】2017年10月4日
【審査請求日】2018年9月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】坂内 雄也
(72)【発明者】
【氏名】柳堀 文嗣
(72)【発明者】
【氏名】小川 慶
【審査官】 八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−134440(JP,A)
【文献】 特開2013−1947(JP,A)
【文献】 特開2009−52966(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/109738(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の平坦部で反射された光による第1像と、前記平坦部につながるベベル部で反射された光による第2像とを撮影する撮影部と、
前記第1像と前記第2像とのコントラストに基づく前記平坦部と前記ベベル部との境界を前記基板の外形の一部として抽出し、該抽出された外形の一部から前記基板の位置を特定する画像処理部と、を備え
前記撮影部は第1撮影部であり、
前記基板は、基板マークを含む表面と、裏面とを含み、
前記表面と対向して前記基板マークを撮影する第2撮影部をさらに備え、
前記第1撮影部は、前記裏面と対向して前記第1像および前記第2像を撮影し、前記外形の一部から特定された前記基板の位置が、裏面位置であり、
前記画像処理部は、前記第2撮影部の撮影した基板マークの位置から前記基板の位置である表面位置を特定し、前記表面位置と前記裏面位置とのずれ量を算出する
位置検出装置。
【請求項2】
基板の位置を検出する位置検出装置と、
前記基板の表面と対向する蒸着源と、
前記表面と前記蒸着源との間に位置する蒸着マスクと、を備え、
前記位置検出装置は、
前記基板の裏面での平坦部で反射された光による第1像と、前記平坦部につながるベベル部で反射された光による第2像とを撮影する撮影部と、
前記第1像と前記第2像とのコントラストに基づく前記平坦部と前記ベベル部との境界を前記基板の外形の一部として抽出し、該抽出された外形の一部から前記基板の位置を特定する画像処理部と、を備え
前記撮影部は第1撮影部であり、
前記基板は、基板マークを含む表面と、前記裏面とを含み、
前記表面と対向して前記基板マークを撮影する第2撮影部をさらに備え、
前記第1撮影部は、前記裏面と対向して前記第1像および前記第2像を撮影し、前記外形の一部から特定された前記基板の位置が、裏面位置であり、
前記画像処理部は、前記第2撮影部の撮影した基板マークの位置から前記基板の位置で
ある表面位置を特定し、前記表面位置と前記裏面位置とのずれ量を算出する
蒸着装置。
【請求項3】
前記位置検出装置である第1位置検出装置を備える搬送部と、
第2位置検出装置を搭載した蒸着チャンバーと、を備え、
前記裏面位置は、第1裏面位置であり、
前記第2位置検出装置は、
前記裏面の平坦部で反射された光による第3像と、前記裏面の平坦部につながるベベル部で反射された光による第4像とを撮影する第2撮影部と、
前記第3像と前記第4像とのコントラストに基づく前記平坦部と前記ベベル部との境界を前記基板の外形の一部として抽出し、該抽出された外形の一部から前記基板の位置である第2裏面位置を特定し、かつ、前記第2裏面位置と前記ずれ量とから、前記蒸着チャンバーでの前記表面位置を推定する第2画像処理部と、を備え、
前記蒸着マスクは、前記表面と対向する側面にマスクマークを備え、
前記第2撮影部は、前記裏面と対向する方向から前記マスクマークを撮影し、
前記第2画像処理部は、前記第2撮影部の撮影したマスクマークの位置から前記蒸着マスクの位置を特定し、該蒸着マスクの位置に対する、前記第2画像処理部で推定された前記表面位置の相対位置を算出する
請求項に記載の蒸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の位置を検出する位置検出装置、および、位置検出装置を備える蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸着装置は、基板の成膜面と蒸着源との間に蒸着マスクを配置し、蒸着マスクの開口に追従した形状のパターンを基板の成膜面に形成する。蒸着装置は、基板のアライメントマークである基板マークから基板の位置を検出する。蒸着装置は、検出された基板の位置と蒸着マスクの位置とのずれを算出し、基板の位置や蒸着マスクの位置を調整する(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−1947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した基板マークは、通常、基板の成膜面に位置し、基板マークを検出する検出部は、成膜面に対して、蒸着源と同じ側に位置する。一方、成膜面に対する蒸着源側の空間は、蒸着源で昇華された蒸着物質の飛行する空間であり、この空間に位置する検出部の光学系には、少なからず蒸着物質が堆積する。光学系に蒸着物質が堆積した検出部では、基板マークを精度良く検出することが不可能であるため、上述した蒸着装置には、基板と蒸着マスクとの位置合わせの精度を高める技術が望まれている。なお、基板の位置を精度よく検出する要請は、基板と蒸着マスクとの位置合わせを行う蒸着装置に限らず、基板の位置を検出する装置において共通している。
本発明は、基板の位置について検出精度を向上可能とした位置検出装置、および、蒸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための位置検出装置は、基板の平坦部で反射された光による第1像と、前記平坦部につながるベベル部で反射された光による第2像とを撮影する撮影部と、前記第1像と前記第2像とのコントラストに基づく前記平坦部と前記ベベル部との境界を前記基板の外形の一部として抽出し、該抽出された外形の一部から前記基板の位置を特定する画像処理部とを備える。
【0006】
上記課題を解決するための蒸着装置は、基板の位置を検出する位置検出装置と、前記基板の表面と対向する蒸着源と、前記表面と前記蒸着源との間に位置する蒸着マスクと、を備える。前記位置検出装置は、前記基板の裏面での平坦部で反射された光による第1像と、前記平坦部につながるベベル部で反射された光による第2像とを撮影する撮影部と、前記第1像と前記第2像とのコントラストに基づく前記平坦部と前記ベベル部との境界を前記基板の外形の一部として抽出し、該抽出された外形の一部から前記基板の位置を特定する画像処理部と、を備える。
【0007】
基板の輪郭を定めるベベル部は、通常、基板の厚さ方向に所定の曲率を有した曲面である。ベベル部を撮影した画像では、例えば、基板の輪郭に向けて明度が徐々に低下し、また、ぼけ量も徐々に高くなる。そのため、ベベル部を撮影した画像から基板の輪郭を検出する技術では、検出された輪郭の位置に大きな誤差を生じてしまう。一方、ベベル部と平坦部との境界は、基板において面方向が大きく変わる境界であり、例えば、平坦部と対向する方向からの撮影では、それを明確に検出できる部分でもある。そして、上記構成であれば、画像処理部が、平坦部で反射された光による第1像と、ベベル部で反射された光による第2像とのコントラストに基づくこれらの境界から、基板の位置を検出するため、基板の位置を検出する精度を向上することが可能となる。
【0008】
上記位置検出装置において、前記撮影部は第1撮影部であり、前記基板は、基板マークを含む表面と、裏面とを含み、前記表面と対向して前記基板マークを撮影する第2撮影部をさらに備える。そして、前記第1撮影部は、前記裏面と対向して前記第1像および前記第2像を撮影し、前記外形の一部から特定された前記基板の位置が、裏面位置であり、前記画像処理部は、前記第2撮影部の撮影した基板マークの位置から、前記基板の位置である表面位置を特定し、前記表面位置と前記裏面位置とのずれ量を算出してもよい。
【0009】
上記蒸着装置において、前記撮影部は第1撮影部であり、前記基板は、基板マークを含む表面と、裏面とを含み、前記表面と対向して前記基板マークを撮影する第2撮影部をさらに備える。そして、前記第1撮影部は、前記裏面と対向して前記第1像および前記第2像を撮影し、前記外形の一部から特定された前記基板の位置が、裏面位置であり、前記画像処理部は、前記第2撮影部の撮影した基板マークの位置から、前記基板の位置である表面位置を特定し、前記表面位置と前記裏面位置とのずれ量を算出してもよい。
【0010】
上記各構成によれば、基板の表面からの撮影によって、基板マークの位置に基づく表面位置を特定することが可能であり、基板の裏面からの撮影によって、平坦部とベベル部との境界に基づく裏面位置を特定することが可能である。そのため、基板に対して行われる処理のうち、表面位置に基づいて行われる処理と、裏面位置に基づいて行われる処理との間において、処理位置の整合を図ることが可能ともなる。
【0011】
上記蒸着装置において、前記位置検出装置である第1位置検出装置を備える搬送部と、第2位置検出装置を搭載した蒸着チャンバーと、を備え、前記裏面位置は、第1裏面位置であり、前記第2位置検出装置は、前記裏面の平坦部で反射された光による第3像と、前記裏面の平坦部につながるベベル部で反射された光による第4像とを撮影する第2撮影部と、前記第3像と前記第4像とのコントラストに基づく前記平坦部と前記ベベル部との境界を前記基板の外形の一部として抽出し、該抽出された外形の一部から前記基板の位置である第2裏面位置を特定し、かつ、前記第2裏面位置と前記ずれ量とから、前記蒸着チャンバーでの前記表面位置を推定する第2画像処理部と、を備え、前記蒸着マスクは、前記表面と対向する側面にマスクマークを備え、前記第2撮影部は、前記裏面と対向する方向から前記マスクマークを撮影し、前記第2画像処理部は、前記第2撮影部の撮影したマスクマークの位置から前記蒸着マスクの位置を特定し、該蒸着マスクの位置に対する、前記第2画像処理部で推定された前記表面位置の相対位置を算出してもよい。
【0012】
上記蒸着装置によれば、基板と蒸着マスクとの相対位置の検出精度を向上可能であるから、基板と蒸着マスクとの相対位置に関わる処理において、その精度を高めることが可能ともなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】位置検出装置の構成を基板と共に示す構成図であり、(a)は基板の断面図と共に構成を示し、(b)は基板の平面図と外形用カメラの撮影範囲との相対位置を示す。
図2】外形用カメラが撮影した画像の一例を示す図。
図3】蒸着装置の構成を示す構成図。
図4】EFEMの構成を示す構成図。
図5】基板の平面構造を各カメラの撮影範囲とともに示す平面図。
図6】蒸着チャンバーの構成を示すブロック図。
図7】基板の平面構造を外形用カメラの撮影範囲とともに示す平面図。
図8】蒸着処理が行う各種の処理を説明するためのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
位置検出装置、および、蒸着装置の一実施形態を説明する。
[位置検出装置]
図1が示すように、基板Wは、表面WFと裏面WRとを備える。表面WFの外周部Wpは、平坦部Wp1とベベル部Wp2とを備え、裏面WRの外周部Wpもまた、平坦部Wp1とベベル部Wp2とを備える。
【0015】
平坦部Wp1は、基板Wの側面に沿う平面に沿って広がる平坦状の部分である。各ベベル部Wp2は、基板Wの厚さ方向に沿う断面(図1(a)参照)において、曲率中心がベベル部Wp2に対して基板Wの中心側に位置する曲率を有する。なお、図1(b)では、外形用カメラ11が、基板Wの裏面WRを撮影する状態を示し、また、基板Wの形状が円板状である例を示す。
【0016】
位置検出装置10は、外形用カメラ11と画像処理部12とを備える。
外形用カメラ11は、例えば、CCDカメラであって、撮影部の一例である。外形用カメラ11の撮影範囲11Zは、平坦部Wp1の一部と、該一部につながるベベル部Wp2とを含む大きさである。なお、基板Wの搬送に際しては、搬送後の位置とその目標位置との差異である搬送精度が、所定の範囲内に設定されている。外形用カメラ11の撮影範囲11Zは、こうした範囲よりも十分に大きい。
【0017】
外形用カメラ11の光軸11Aは、例えば、平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界の近傍に位置する。基板Wの外周部Wpに照射される光は、基板Wに対する外形用カメラ11側から、外形用カメラ11の光軸11Aに沿って進行する平行光でもよいし、外形用カメラ11の光軸11Aとは異なる方向に進行する平行光であってもよい。基板Wの外周部Wpに照射される光の光軸と、外形用カメラ11の光軸11Aとが一致する場合、外形用カメラ11は、撮影光学系を用いて外周部Wpに光を照射する照射部を備える。基板Wの外周部Wpに照射される光の光軸と、外形用カメラ11の光軸11Aとが異なる場合、外周部Wpに光を照射する照射部は、外形用カメラ11とは別体であり、基板Wに対して、外形用カメラ11と同じ側に位置する。
【0018】
外形用カメラ11は、撮影範囲11Zから反射される光による画像を形成する。外形用カメラ11の撮影する画像PICは、平坦部Wp1で反射された光による第1像PIC1と、その平坦部Wp1につながるベベル部Wp2で反射された光による第2像PIC2とを含む。例えば、基板Wの裏面WRと直交する方向に沿って裏面WRに平行光が照射されるとき、平坦部Wp1に入射する光の入射角はほぼ0°であり、平坦部Wp1から射出される正反射光の反射角もほぼ0°である。そのため、裏面WRと直交する光軸を有した外形用カメラ11は、非常に高い明度を有した第1像PIC1を生成する。これに対して、ベベル部Wp2は曲面であるため、ベベル部Wp2に入射した光の入射角は、0°から基板Wの外側に向けて連続的に変わり、ベベル部Wp2から射出される正反射光の反射角は、0°よりもさらに大きく変わる。そのため、裏面WRと直交する光軸を有した外形用カメラ11は、第1像PIC1と比べて非常に低い明度を有した第2像PIC2を生成する。結果として、外形用カメラ11によって撮影された画像PICでは、平坦部Wp1で反射された光による第1像PIC1と、ベベル部Wp2で反射された光による第2像PIC2との間で、コントラストに大きな差異が生じる。
【0019】
画像処理部12は、外形用カメラ11の撮影した画像PICを用いたコントラストに基づくエッジ検出を行い、第1像PIC1と第2像PIC2との境界を抽出する。そして、画像処理部12は、抽出された第1像PIC1と第2像PIC2との境界、すなわち、平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界を、基板Wの外形の一部として特定する。なお、外形用カメラ11の光軸11Aの位置や、外形用カメラ11の撮影範囲11Zの位置は、外形用カメラ11に固有の座標系(例えば、XYθ座標系)で定められる。画像処理部12は、第1像PIC1と第2像PIC2との境界をこの座標系で算出し、それによって、基板Wの外形の一部を特定する。
【0020】
図2は、外形用カメラ11が撮影した画像の一例である。
図2が示すように、画像PICは、基板Wの像PICWと、基板Wの背景像PICBとを含む。基板Wの像PICWのなかで、相対的に明度の高い部分が、平坦部Wp1の像、すなわち、第1像PIC1である。これに対して、基板Wの像PICWのなかで、相対的に明度の低い部分が、ベベル部Wp2の像、すなわち、第2像PIC2である。基板Wの背景像PICBにおける明度は、第1像PIC1の明度よりも低く、かつ、第2像PIC2の明度よりも高い。
【0021】
ここで、基板Wの輪郭Eとは、基板Wにおいて最も外側に位置する点を結んだ外形線であり、ベベル部Wp2の外形線でもある。上述したように、このベベル部Wp2は、通常、所定の曲率を有した曲面で構成される。ベベル部Wp2の曲面は、基板Wの輪郭Eに向けて、基板Wの像PICWの明度を徐々に低くし、ベベル部Wp2の像である第2像PIC2と、基板Wの背景像PICBとの境界を、不明りょうとする。そして、第2像PIC2と背景像PICBとの境界から基板Wの輪郭Eを検出する際には、その位置の精度に大きな誤差を生じさせてしまう。特に、基板Wの位置に数μmの精度が求められる検出では、上述した境界での不明りょうさが非常に大きな誤差となる。
【0022】
これに対して、ベベル部Wp2と平坦部Wp1との境界は、基板Wにおいて面方向が変わる境界であり、例えば、平坦部Wp1と対向する方向からの撮影では、それが明確に検出される境界でもある。それゆえに、第1像PIC1と第2像PIC2との境界が、基板Wの外形の一部として特定される上記構成であれば、その外形を用いた基板Wの位置の検出において、検出の精度を向上することが可能となる。
【0023】
[蒸着装置]
図3を参照して、上記位置検出装置を搭載した蒸着装置20を説明する。なお、蒸着装置20は一例であり、搬送部の一例であるEFEM23と蒸着チャンバー24とを備えていればよい。また、以下の例では、EFEM23は、表面位置特定処理、および、裏面位置特定処理に用いられる。蒸着チャンバー24は、別の裏面位置特定処理に用いられる。
【0024】
なお、表面位置特定処理は、基板Wの表面WFに位置する基板マークを撮影し、その撮影の結果から、基板の中心(表面位置)の一例であるパターン中心を算出する。裏面位置特定処理は、基板Wの裏面WRにおける外周部Wpを撮影し、その撮影の結果から、基板の中心(第1裏面位置)の一例である第1基板中心を算出する。また、別の裏面特定処理は、基板Wの裏面WRにおける外周部Wpを撮影し、その撮影の結果から、基板の中心(第2裏面位置)の一例である第2基板中心を算出する。蒸着装置20は、EFEM23を用いて特定されるパターン中心と第1基板中心とのずれ量を算出する。また、蒸着装置20は、第2基板中心にずれ量を反映させ、蒸着マスクの中心であるマスク中心と、パターン中心とを合わせるように、基板Wを配置する。
【0025】
図3が示すように、蒸着装置20は、搬送チャンバー21を備え、搬送チャンバー21には、ゲートバルブを介して搬出入チャンバー22が接続されている。搬送チャンバー21は、基板Wを搬送する搬送ロボットを備える。搬出入チャンバー22は、搬送チャンバー21の外部から搬送チャンバー21に基板を搬入し、かつ、搬送チャンバー21から搬送チャンバー21の外部に基板を搬出する。搬出入チャンバー22には、ゲートバルブを介してEFEM23(Equipment Front End Module)が接続されている。EFEM23は、搬出入チャンバー22に成膜前の基板を搬送し、かつ、搬出入チャンバー22から成膜後の基板を搬入する。EFEM23は、基板Wを支持する検出機構30を備える。
【0026】
搬送チャンバー21には、2つの蒸着チャンバー24、反転チャンバー25、および、スパッタチャンバー26が接続されている。各チャンバーは、ゲートバルブを介して搬送チャンバー21に接続されている。蒸着チャンバー24は、真空蒸着法によって基板Wに所定の薄膜を形成する。反転チャンバー25は、反転チャンバー25に搬入された基板Wを反転させる。反転チャンバー25での反転は、鉛直方向における基板Wの表面WFと裏面WRとの位置を、基板Wが反転チャンバー25に搬入されたときと、反転チャンバー25から搬出されるときとの間において、反対にすることである。スパッタチャンバー26は、スパッタ法によって基板Wに所定の薄膜を形成する。
【0027】
蒸着装置20は、制御装置20Cを備え、制御装置20Cは、上述した画像処理部12を含み、蒸着装置20が備える各チャンバー21,22,23,24,25,26の駆動を制御する。制御装置20Cは、例えば、搬送ロボットの駆動を制御して、搬送チャンバー21に接続された1つのチャンバーから他のチャンバーに、搬送チャンバー21を介して搬送ロボットに基板Wを搬送させる。制御装置20Cは、例えば、各蒸着チャンバー24における成膜処理、および、スパッタチャンバー26における成膜処理に関わる機構の駆動を制御することによって、各蒸着チャンバー24、および、スパッタチャンバー26に所定の薄膜を形成させる。
【0028】
[EFEMの構成]
図4、および、図5を参照して、EFEM23の構成を説明する。以下では、EFEM23の構成のなかで、検出機構30の構成を主に説明する。
図4が示すように、検出機構30は、ステージ31、複数のマークカメラ11M、および、複数のロードカメラ11Lを備える。以下では、3台のマークカメラ11M、および、3台のロードカメラ11Lを備える例を説明する。
【0029】
ステージ31は、処理対象である基板Wを支持する。基板Wは、表面WFと裏面WRとを含み、基板Wの表面WFには、3つの基板マークが位置している。EFEM23では、3つの基板マークが位置する表面WFを上方に向けて、基板Wがステージ31に配置される。各基板マークは、基板Wの表面WFにおける特定の位置と、蒸着マスクが有する開口の位置とを合わせるために用いられる。
【0030】
各マークカメラ11Mは、例えばCCDカメラであって、第2撮影部の一例である。各マークカメラ11Mは、ステージ31に支持された基板Wよりも上方に固定されている。1つのマークカメラ11Mの光軸11MAの位置は、他のマークカメラ11Mの光軸11MAの位置に対して固定されている。各マークカメラ11Mは、表面WFの平坦部Wp1のなかで、基板マークを含む範囲を撮影する。各マークカメラ11Mの撮影した表面WFの画像PICMは、表面位置特定処理に用いられる。
【0031】
各ロードカメラ11Lは、上述した外形用カメラ11であり、ステージ31よりも下方に固定されている。1つのロードカメラ11Lの光軸11ALの位置は、他のロードカメラ11Lの光軸11ALの位置に対して固定されている。各ロードカメラ11Lは、基板Wの裏面WRに対向し、基板Wの外周部Wpで反射された光による像を撮影する。各ロードカメラ11Lは、基板Wの外周部Wpのなかで、他のロードカメラ11Lが撮影する部分とは異なる部分を撮影する。各ロードカメラ11Lの撮影した裏面WRの画像PICLは、裏面位置特定処理に用いられる。また、各ロードカメラ11Lの撮影した裏面WRの画像PICLは、表面位置特定処理によるパターン中心と、裏面位置特定処理による基板中心との整合に用いられる。
【0032】
図5は、基板Wの表面WFと対向する平面視での基板Wの平面構造を示す。図5では、説明の便宜上、基板Wの形状を円板状として、各マークカメラ11Mが撮影する領域と、各ロードカメラ11Lが撮影する領域とを、基板Wに重ねて示す。
【0033】
図5が示すように、ステージ31は、基板Wを配置する目標の領域として、仮想的な配置領域WA(図5の二点鎖線)を定める。基板Wは、仮想的な配置領域WAと、基板Wの輪郭E(図5の実線)とがほぼ一致するように、ステージ31に配置される。基板Wの表面WFは、3つの基板マークWmを備える。各基板マークWmは、基板Wの外周部Wpよりも基板中心寄りに位置している。
【0034】
各マークカメラ11Mは、画像を撮影する領域を撮影範囲11MZ(図5の二点鎖線)として定める。各撮影範囲11MZは、配置領域WAの周方向にほぼ等配されている。各撮影範囲11MZの中心には、マークカメラ11Mの光軸11MAが位置する。各撮影範囲11MZの位置およびサイズは、基板Wの搬送精度に基づき、別々の基板マークWmを含むように設定される。
【0035】
各ロードカメラ11Lが撮影する領域は、撮影範囲11ZLであり、配置領域WAの周方向に等配されている。各撮影範囲11ZLの中心には、ロードカメラ11Lの光軸11ALが位置する。各撮影範囲11ZLの位置およびサイズは、基板Wの搬送精度に基づき、平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界を含むように設定される。
【0036】
[蒸着チャンバーの構成]
図6、および、図7を参照して、蒸着チャンバー24の構成を説明する。以下では、蒸着チャンバー24の構成のなかで、基板Wに蒸着を行うための機構である蒸着機構の構成を主に説明する。
【0037】
図6が示すように、蒸着チャンバー24は、昇華させた蒸着材料を放出する蒸着源41と、複数の蒸着カメラ11Vと、基板Wを支持する基板ホルダー42と、蒸着マスクMを支持するマスクホルダー43と、駆動源44と、駆動機構45とを備える。蒸着チャンバー24において、蒸着源41、基板ホルダー42、および、マスクホルダー43を収容する真空槽24Aは、排気系に接続されて所定の圧力まで減圧される。なお、以下では、3台の蒸着カメラ11Vを備える例を説明する。
【0038】
蒸着源41は、蒸着材料を加熱することによって、蒸着材料42Mによる薄膜を基板Wの表面WFに形成する。蒸着源41には、例えば、抵抗加熱式の蒸着源、誘導加熱式の蒸着源、および、電子ビームを備える蒸着源などを用いることができる。蒸着材料42Mは、蒸着源41によって加熱されることによって蒸発する材料であり、基板Wの表面WFに形成される薄膜の材料である。蒸着材料42Mは、例えば有機物であるが、無機物であってもよい。
【0039】
3台の蒸着カメラ11Vは、上記外形用カメラ11であり、蒸着チャンバー24に固定されている。1つの蒸着カメラ11Vの光軸11AVの位置は、他の蒸着カメラ11Vの光軸11AVの位置に対して固定されている。各蒸着カメラ11Vは、基板Wの裏面WRに対向し、基板Wの外周部Wpで反射された光による像を撮影する。各蒸着カメラ11Vは、基板Wの外周部Wpのなかで別々の部位を撮影する。各蒸着カメラ11Vの撮影した画像PICVは、裏面位置特定処理に用いられる。
【0040】
基板ホルダー42は、3台の蒸着カメラ11Vと蒸着源41との間に位置する。基板ホルダー42は、基板Wの配置される領域である仮想的な配置領域WAを定める。基板ホルダー42は、反転チャンバー25から蒸着チャンバー24に搬入される基板Wを支持する。基板ホルダー42は、蒸着チャンバー24から反転チャンバー25に基板Wを搬出可能とする。基板ホルダー42は、基板Wの表面WFを蒸着源41側(図6の下側)に向けて表面WFの外周部Wpを支持し、基板Wの裏面WRと3台の蒸着カメラ11Vとを対向させる。
【0041】
この際、例えば、基板ホルダー42などの障害物が存在するため、表面WFに位置する基板マークWmは、表面WFと対向する側からは撮影され難い。また、表面WFに位置する基板マークWmは、例えば、基板Wが十分な透明性を有しない、あるいは、不透明であるため、裏面WRと対向する側からも撮影され難い。すなわち、基板ホルダー42が基板Wを支持する状態では、基板マークWmの位置を検出することが困難となっている。
【0042】
マスクホルダー43は、3台の蒸着カメラ11Vと蒸着源41との間に位置する。マスクホルダー43は、蒸着マスクMの配置される領域である仮想的な配置領域MAを定める。マスクホルダー43は、蒸着マスクMの外周部を支持し、基板Wの表面WFと蒸着マスクMとを対向させる。蒸着マスクMは、基板Wの表面WFに所定のパターンを形成するための開口を有する。マスクホルダー43は、基板Wに対する蒸着源41側に蒸着マスクMを配置する。蒸着マスクMは、基板Wでの周方向の全体で、基板Wからはみ出す大きさを有する。蒸着マスクMは、基板Wからはみ出した部分に、3つのマスクマークMmを有する。なお、蒸着マスクMが有するマスクマークMmは、蒸着カメラ11Vによる撮影によって、蒸着マスクMの中心位置を特定することに用いられる。
【0043】
駆動源44は、駆動機構45を駆動するための動力を出力する。駆動機構45は、駆動源44の動力を受けて、基板ホルダー42を水平方向に移動させる。また、駆動機構45は、駆動源44の動力を受けて、マスクホルダー43と基板ホルダー42とを基板Wの周方向に回転させる。駆動機構45は、基板ホルダー42の独立した回転と、マスクホルダー43の独立した回転と、基板ホルダー42とマスクホルダー43とを一体とした回転とを切り換える。また、駆動機構45は、駆動源44の動力を受けて、マスクホルダー43と基板ホルダー42とを昇降させる。駆動機構45は、基板ホルダー42の独立した昇降と、マスクホルダー43の独立した昇降と、基板ホルダー42とマスクホルダー43とを一体とした昇降とを切り換える。
【0044】
例えば、基板ホルダー42の独立した水平方向での移動や、基板ホルダー42の独立した回転は、基板Wのパターン中心とマスク中心との整合に用いられる。マスクホルダー43の独立した回転は、蒸着マスクMを所定の位置に配置するために用いられる。基板ホルダー42とマスクホルダー43とを一体とした回転は、基板Wの表面に蒸着材料を蒸着させるときに用いられる。
【0045】
例えば、基板ホルダー42の独立した昇降は、基板Wの搬入および搬出や、蒸着用の所定位置への基板Wの配置に用いられる。マスクホルダー43の独立した昇降は、蒸着マスクMの搬入および搬出や、蒸着用の所定位置への蒸着マスクMの配置に用いられる。基板ホルダー42とマスクホルダー43とを一体とした昇降は、基板Wおよび蒸着マスクMを一体として回転させる際の移動に用いられる。
【0046】
図7は、基板Wの裏面WRと対向する平面視における基板Wの平面構造を示す。図7では、説明の便宜上、基板Wの形状を円板状として、各蒸着カメラ11Vが撮影する領域を基板Wに重ねて示す。
【0047】
図7が示すように、基板Wは、配置領域WAに配置され、蒸着マスクMは、配置領域MAに配置される。マスクマークMmの位置は、基板Wの輪郭Eよりも外側に位置するように設定されている。マスクマークMmは、基板Wの裏面WRと対向する平面視において矩形状を有するが、矩形状とは異なる形状、例えば十字状などを有してもよい。
【0048】
各蒸着カメラ11Vが撮影する領域は、撮影範囲11ZVであり、配置領域WAの周方向にほぼ等配されている。各撮影範囲11ZVの中心には、各蒸着カメラ11Vの光軸11AVが位置する。平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界が撮影範囲11ZVに含まれ、かつ、各撮影範囲11ZVに別々のマスクマークMmが含まれるように、基板Wの搬送精度に基づき、3つの撮影範囲11ZVの位置およびサイズは設定される。
【0049】
[作用]
図8を参照して、制御装置20Cが行う表面位置特定処理、裏面位置特定処理、および、位置合わせ処理を説明する。
[表面位置特定処理]
まず、制御装置20Cは、表面位置特定処理において、ステージ31の定める配置領域WAに基板Wを配置させる。次いで、図8が示すように、制御装置20Cは、基板マークWmを含む表面WFの画像PICMを各マークカメラ11Mに撮影させる。そして、制御装置20Cは、各マークカメラ11Mが撮影した画像PICMをEFEM23から取得する。制御装置20Cは、各マークカメラ11Mが撮影した画像PICMを用い、例えば、パターン中心を中心とする仮想円が各基板マークWmを通るように、パターン中心の位置を算出する。
【0050】
[裏面位置特定処理:EFEM23]
まず、制御装置20Cは、EFEM23での裏面位置特定処理において、ステージ31に載置された基板Wの裏面WRに光を照射し、平坦部Wp1で反射した光による第1像PIC1と、ベベル部Wp2で反射した光による第2像PIC2とを含む画像PICLをロードカメラ11Lに撮影させる。次いで、制御装置20Cは、ロードカメラ11Lが撮影した画像PICLをEFEM23から取得する。
【0051】
制御装置20Cは、ロードカメラ11Lが撮影した画像PICLを用い、画像PICLのコントラストに基づいて、第1像PIC1と第2像PIC2との境界、すなわち、裏面WRでの平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界を抽出する。そして、制御装置20Cは、第1基板中心を中心とする仮想円が各境界を通るように、第1基板中心の位置を算出する。
【0052】
なお、EFEM23における各マークカメラ11Mによる基板マークWmの撮影と、各ロードカメラ11Lによる平坦部Wp1およびベベル部Wp2の撮影とは、同時に行ってもよいし、各別のタイミングで行ってもよい。2つの撮影を各別のタイミングで行うときには、各マークカメラ11Mによる撮影を各ロードカメラ11Lによる撮影よりも先に行ってもよいし、各ロードカメラ11Lによる撮影を各マークカメラ11Mによる撮影よりも先に行ってもよい。2つの撮影を各別のタイミングで行うときには、2つの撮影の間に基板Wを回転させてもよい。
【0053】
また、各マークカメラ11Mによる基板マークWmの撮影は、同時に行ってもよいし、各別のタイミングで行ってもよいし、各ロードカメラ11Lによる平坦部Wp1およびベベル部Wp2の撮影も、同時に行ってもよいし、各別のタイミングで行ってもよい。加えて、1つのカメラによって撮影を行うごとに基板Wを回転させてもよい。特に、基板マークWmの位置は、基板Wごとに異なることがあり、また、基板Wの位置を1つの位置に固定した状態では、全ての基板マークWmを撮影することができないことがある。この場合には、1つの基板マークWmを撮影するごとに、基板Wを回転させればよい。基板Wを回転させつつ複数の基板マークを撮影する場合には、複数の基板マーク間における相対位置を基板Wの回転角度によって把握することができる。なお、基板Wの回転角度は、回転角度を検出する検出部によって検出することが可能であり、検出部には、例えばエンコーダーを用いることができる。
【0054】
[裏面位置特定処理:蒸着チャンバー24]
まず、制御装置20Cは、蒸着チャンバー24での裏面位置特定処理において、基板ホルダー42の定める配置領域WAに基板Wを配置させる。次いで、制御装置20Cは、基板Wの裏面WRに光を照射し、平坦部Wp1で反射した光による第1像PIC1と、ベベル部Wp2で反射した光による第2像PIC2とを含む画像PICVを蒸着カメラ11Vに撮影させる。
【0055】
制御装置20Cは、蒸着カメラ11Vが撮影した画像PICVを蒸着チャンバー24から取得する。制御装置20Cは、蒸着カメラ11Vが撮影した画像PICVを用い、画像PICVのコントラストに基づいて、第1像PIC1と第2像PIC2との境界、すなわち、裏面WRでの平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界を抽出する。そして、制御装置20Cは、第2基板中心を中心とする仮想円が各境界を通るように、第2基板中心の位置を算出する。
【0056】
[位置合わせ方法]
まず、制御装置20Cは、例えば、1枚目の基板Wについて、EFEM23での撮影によるパターン中心と第1基板中心とを用い、パターン中心と第1基板中心とのずれ量(Δx,Δy,Δθ)を算出する。
【0057】
次いで、制御装置20Cは、1枚目の基板Wが蒸着チャンバー24に搬入されたとき、蒸着カメラ11Vが撮影した画像PICVを用い、マスク中心を中心とする仮想円が各マスクマークMmを通るように、マスク中心の位置を算出する。そして、制御装置20Cは、第2基板中心にずれ量を反映させて、第2基板中心をマスク中心に合わせるための補正量を算出する。制御装置20Cは、補正量に相当する駆動量で駆動機構45を駆動させるべく、駆動源44を駆動するための駆動信号SIGを出力する。
【0058】
以上説明したように、上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)平坦部Wp1で反射された光による第1像PIC1と、ベベル部Wp2で反射された光による第2像PIC2とのコントラストに基づくこれらの境界から、基板Wの位置を検出するため、基板Wの位置を検出する精度を向上することが可能となる。
【0059】
(2)特に、平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界を用いて基板Wの位置を検出するため、基板マークWmを有していない基板Wも、検出の対象とすることが可能である。また、基板Wが十分な透明性を有しない、あるいは、不透明であり、かつ、基板マークWmを有していない面からの撮影によって基板Wの位置の検出が求められる場合であっても、高い精度の下で基板Wの位置を検出することが可能ともなる。
【0060】
(3)基板Wの表面WFからの撮影によってパターン位置を特定することが可能であり、基板Wの裏面WRからの撮影によって第1基板中心を特定することが可能である。そのため、スパッタ成膜などのようにパターン位置に基づいて行われる処理と、蒸着成膜のように第1基板位置に基づいて行われる処理との間において、処理位置の整合を図ることが可能ともなる。
【0061】
(4)特に、基板Wが十分な透明性を有しない、あるいは、不透明である場合には、裏面WRと対向する側から基板マークWmを光学的に検出できないため、上述した点において有用性が高い。
【0062】
(5)蒸着マスクMに対する基板Wの位置精度を向上可能であるから、基板Wと蒸着マスクMとの相対位置に関わる処理において、その処理精度を高めることが可能ともなる。
【0063】
なお、上述した実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・位置検出装置は、抽出された平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界の位置のみから基板Wの位置を特定する。これを変更して、位置検出装置は、抽出された平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界の位置と、基板Wの位置を特定するための他の情報とを用い、基板Wの位置を特定することも可能である。基板Wの位置を特定するための他の情報は、基板Wが備えるノッチなどの特徴点の位置や、基板Wの回転角度などである。
【0064】
・位置検出装置が基板Wの位置の特定に用いる境界は、基板Wの外周部Wpのなかの1箇所であってもよいし、1箇所以上であってもよい。
例えば、平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界の形状は、微視的には、ベベル部Wp2の加工ごと、すなわち、基板Wごとに異なり、各基板Wにおいて固有の形状である場合がある。外周部Wpのなかの1箇所の境界から基板Wの位置を特定する構成では、まず、平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界の形状を、基板Wの全体にわたり、全周形状として予め収集する。そして、抽出された平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界の形状が、全周形状のなかのどの部位であるかを特定することによって、基板Wの位置を特定する。
【0065】
なお、第1基板中心を算出するときと、第2基板中心を算出するときとでは、外周部Wpのなかで略同一のベベル部Wp2を含む部分を撮影することが好ましい。これにより、基板Wの位置を検出する精度をより高めることができる。なお、制御装置20Cは、基板Wが備えるノッチなどの特徴点の位置と、基板Wの回転角度とに基づき、ロードカメラ11Lの撮影範囲11ZLと蒸着カメラ11Vの撮影範囲11ZVとに、外周部Wpにおける略同一のベベル部Wp2を含む部分を位置させることができる。
【0066】
・位置検出装置が特定する基板Wの位置は、基板Wの中心、基板Wの輪郭、および、基板Wの中心や輪郭から算出される中心以外の特徴点、これらの少なくとも1つとすることが可能である。
【0067】
・蒸着装置が備えるロードカメラ11Lの数量は、1台または2台であってもよいし、4台以上であってもよい。ロードカメラ11Lの数量が、1台または2台である場合には、上述したように、ロードカメラ11Lの撮影結果と他の情報とを用いて、基板Wの位置を特定する。
【0068】
・蒸着装置が備える蒸着カメラ11Vの数量は、1台または2台であってもよいし、4台以上であってもよい。蒸着カメラ11Vの数量が、1台または2台である場合には、上述したように、蒸着カメラ11Vの撮影結果と他の情報とを用いて、基板Wの位置を特定する。
【符号の説明】
【0069】
E…輪郭、M…蒸着マスク、W…基板、MA,WA…配置領域、Mm…マスクマーク、WF…表面、Wm…基板マーク、Wp…外周部、WR…裏面、PIC…画像、SIG…駆動信号、Wp1…平坦部、Wp2…ベベル部、PIC1…第1像、PIC2…第2像、PICB…背景像、PICL,PICM,PICV…画像、10…位置検出装置、11…外形用カメラ、11A,11AL,11AV,11MA…光軸、11AL…光軸、11AV…光軸、11L…ロードカメラ、11M…マークカメラ、11Z,11MZ,11ZV…撮影範囲、11V…蒸着カメラ、12…画像処理部、20…蒸着装置、20C…制御装置、21…搬送チャンバー、22…搬出入チャンバー、23…EFEM、24…蒸着チャンバー、24A…真空槽、25…反転チャンバー、26…スパッタチャンバー、30…検出機構、31…ステージ、41…蒸着源、42…基板ホルダー、42M…蒸着材料、43…マスクホルダー、44…駆動源、45…駆動機構。
【要約】
【課題】基板の位置について検出精度を向上可能とした位置検出装置、および、蒸着装置を提供する。
【解決手段】基板Wの平坦部Wp1で反射された光による第1像と、平坦部Wp1につながるベベル部Wp2で反射された光による第2像とを撮影する撮影部11と、第1像と第2像とのコントラストに基づく平坦部Wp1とベベル部Wp2との境界を基板Wの外形の一部として抽出し、該抽出された外形の一部から基板Wの位置を特定する画像処理部12と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8