(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1光センサおよび前記第2光センサは、前記研磨テーブルの中心から異なる距離に位置しており、かつ前記研磨テーブルの周方向において互いに離れて配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の研磨装置。
前記処理部は、前記分光波形にフーリエ変換処理を行なって、膜厚と周波数成分の強度との関係を示す周波数スペクトルを生成し、しきい値よりも大きい周波数成分の強度のピークを決定し、該ピークに対応する膜厚を決定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の研磨装置。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスには、SiO
2などの絶縁膜を研磨する工程や、銅、タングステンなどの金属膜を研磨する工程などの様々な工程が含まれる。裏面照射型CMOSセンサおよびシリコン貫通電極(TSV)の製造工程では、絶縁膜や金属膜の研磨工程の他にも、シリコン層(シリコンウェハ)を研磨する工程が含まれる。ウェハの研磨は、その表面を構成する膜(絶縁膜、金属膜、シリコン層など)の厚さが所定の目標値に達したときに終了される。
【0003】
ウェハの研磨は研磨装置を使用して行われる。
図13は、研磨装置の一例を示す模式図である。研磨装置は、一般的に、研磨パッド201を支持する回転可能な研磨テーブル202と、研磨テーブル202上の研磨パッド201にウェハWを押し付ける研磨ヘッド205と、研磨パッド201上に研磨液(スラリー)を供給する研磨液供給ノズル206と、ウェハWの膜厚を測定する膜厚測定装置210を備える。
【0004】
図13に示す膜厚測定装置210は、光学式膜厚測定装置である。この膜厚測定装置210は、光を発する光源212と、光源212に接続された投光光ファイバー215と、研磨テーブル202内の異なる位置に先端が配置された第1光ファイバー216および第2光ファイバー217と、第1光ファイバー216および第2光ファイバー217のうちのいずれか一方を選択的に投光光ファイバー215に接続する第1光路切り替え器220と、ウェハWからの反射光の強度を測定する分光器222と、分光器222に接続された受光光ファイバー224と、研磨テーブル202内の異なる位置に先端が配置された第3光ファイバー227および第4光ファイバー228と、第3光ファイバー227および第4光ファイバー228のうちのいずれか一方を選択的に受光光ファイバー224に接続する第2光路切り替え器230とを備える。
【0005】
第1光ファイバー216の先端および第3光ファイバー227の先端は第1光センサ234を構成し、第2光ファイバー217の先端および第4光ファイバー228の先端は第2光センサ235を構成する。これら第1光センサ234および第2光センサ235は、研磨テーブル202内の異なる位置に配置されており、研磨テーブル202が回転するとともに、第1光センサ234および第2光センサ235は、交互にウェハWを横切る。第1光センサ234および第2光センサ235は、ウェハWに光を導き、ウェハWからの反射光を受ける。反射光は、第3光ファイバー227または第4光ファイバー228を通じて受光光ファイバー224に伝達され、さらに受光光ファイバー224を通じて分光器222に伝達される。分光器222は、反射光を波長に従って分解し、反射光の各波長での強度を測定する。処理部240は、分光器222に接続されており、反射光の強度の測定値から分光波形(スペクトル)を生成し、分光波形からウェハWの膜厚を決定する。
【0006】
図14は、第1光路切り替え器220を示す模式図である。第1光路切り替え器220は、第1光ファイバー216および第2光ファイバー217の端部を移動させる圧電アクチュエータ244を備えている。この圧電アクチュエータ244が第1光ファイバー216および第2光ファイバー217の端部を移動させることにより、第1光ファイバー216および第2光ファイバー217のうちの一方が、投光光ファイバー215に接続される。図示しないが、第2光路切り替え器230も同じ構成を有している。
【0007】
第1光路切り替え器220および第2光路切り替え器230は、第1光センサ234がウェハWを横切っている間、第1光ファイバー216および第3光ファイバー227を投光光ファイバー215および受光光ファイバー224にそれぞれ接続し、第2光センサ235がウェハWを横切っている間、第2光ファイバー217および第4光ファイバー228を投光光ファイバー215および受光光ファイバー224にそれぞれ接続する。このように、研磨テーブル202が一回転する間に第1光路切り替え器220および第2光路切り替え器230が作動するので、分光器222は第1光センサ234および第2光センサ235が受光した反射光を別々に処理することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、第1光路切り替え器220および第2光路切り替え器230は、機械的な切り替え装置であるので、長期間使用し続けると不具合が起こる場合がある。第1光路切り替え器220または第2光路切り替え器230に不具合が起こると、第1光センサ234および第2光センサ235から分光器222に導かれる反射光の強度が変わり、処理部240で決定される膜厚が変動してしまう。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、光ファイバーの光路切り替え器を用いることなく、複数の光センサを用いてウェハの膜厚を測定することができる研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、基板の膜厚を測定しながら基板を研磨する研磨装置であって、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、ウェハを前記研磨パッドに押し付ける研磨ヘッドと、光を発する
単一の光源と、前記研磨テーブル内の異なる位置に配置された複数の先端を有する投光ファイバーと、ウェハからの反射光を波長に従って分解して各波長での反射光の強度を測定する第1分光器および第2分光器と、前記研磨テーブル内の前記異なる位置に配置された複数の先端を有する受光ファイバーと、前記反射光の強度と波長との関係を示す分光波形を生成する処理部とを備え、前記投光ファイバーは前記
単一の光源に接続され、前記
単一の光源から発せられた光をウェハの表面に導き、前記受光ファイバーは前記第1分光器および前記第2分光器に接続され、ウェハからの反射光を前記第1分光器および前記第2分光器まで導き、前記投光ファイバーの前記複数の先端および前記受光ファイバーの前記複数の先端は、ウェハに光を導き、ウェハからの反射光を受ける第1光センサおよび第2光センサを構成し、前記第1光センサおよび前記第2光センサのそれぞれは、前記第1分光器および前記第2分光器の両方に接続されており、前記第1分光器および前記第2分光器は、異なる波長範囲で反射光の強度を測定するように構成されており、前記処理部は、前記分光波形に基づいて膜厚を決定することを特徴とする研磨装置である。
【0012】
本発明の好ましい態様は、前記
単一の光源、前記第1分光器、および前記第2分光器は、前記研磨テーブルに設置されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第1光センサおよび前記第2光センサは、前記研磨テーブルの中心から異なる距離に位置しており、かつ前記研磨テーブルの周方向において互いに離れて配置されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記投光ファイバーは、前記
単一の光源に接続された投光主幹ファイバーと、前記投光主幹ファイバーから分岐した第1投光分岐ファイバーおよび第2投光分岐ファイバーとを有し、前記受光ファイバーは、前記第1分光器および前記第2分光器に接続された受光主幹ファイバーと、前記受光主幹ファイバーから分岐した第1受光分岐ファイバーおよび第2受光分岐ファイバーとを有することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第2光センサは、前記研磨テーブルの中心に関して前記第1光センサの反対側に配置されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の好ましい態様は、特定波長を持つ光を発する較正用光源をさらに備え、前記較正用光源は、前記第1分光器または前記第2分光器に較正用光ファイバーで接続されていることを特徴とする
。
本発明の好ましい態様は、前記処理部は、前記分光波形にフーリエ変換処理を行なって、膜厚と周波数成分の強度との関係を示す周波数スペクトルを生成し、しきい値よりも大きい周波数成分の強度のピークを決定し、該ピークに対応する膜厚を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
ウェハからの反射光は、投光ファイバーおよび受光ファイバーの先端がウェハの下に存在するときにのみ分光器に導かれる。言い換えれば、投光ファイバーおよび受光ファイバーの先端がウェハの下にないときは、分光器に導かれる光の強度は極めて低い。つまり、ウェハからの反射光以外の光は、膜厚決定に使用されない。したがって、光路切り替え器を設けることなく、膜厚を決定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る研磨装置を示す図である。
図1に示すように、研磨装置は、研磨パッド1を支持する研磨テーブル3と、ウェハWを保持しウェハWを研磨テーブル3上の研磨パッド1に押し付ける研磨ヘッド5と、研磨パッド1に研磨液(例えばスラリー)を供給するための研磨液供給ノズル10と、ウェハWの研磨を制御する研磨制御部12とを備えている。
【0017】
研磨テーブル3は、テーブル軸3aを介してその下方に配置されるテーブルモータ19に連結されており、このテーブルモータ19により研磨テーブル3が矢印で示す方向に回転されるようになっている。この研磨テーブル3の上面には研磨パッド1が貼付されており、研磨パッド1の上面がウェハWを研磨する研磨面1aを構成している。研磨ヘッド5は研磨ヘッドシャフト16の下端に連結されている。研磨ヘッド5は、真空吸引によりその下面にウェハWを保持できるように構成されている。研磨ヘッドシャフト16は、図示しない上下動機構により上下動できるようになっている。
【0018】
ウェハWの研磨は次のようにして行われる。研磨ヘッド5および研磨テーブル3をそれぞれ矢印で示す方向に回転させ、研磨液供給ノズル10から研磨パッド1上に研磨液(スラリー)を供給する。この状態で、研磨ヘッド5は、ウェハWを研磨パッド1の研磨面1aに押し付ける。ウェハWの表面は、研磨液に含まれる砥粒の機械的作用と研磨液の化学的作用により研磨される。
【0019】
研磨装置は、ウェハWの膜厚を測定する光学式膜厚測定器(膜厚測定装置)25を備えている。この光学式膜厚測定器25は、光を発する光源30と、研磨テーブル3内の異なる位置に配置された複数の先端34a,34bを有する投光ファイバー34と、ウェハWからの反射光を波長に従って分解して各波長での反射光の強度を測定する分光器26と、研磨テーブル3内の前記異なる位置に配置された複数の先端50a,50bを有する受光ファイバー50と、反射光の強度と波長との関係を示す分光波形を生成する処理部27とを備えている。処理部27は研磨制御部12に接続されている。
【0020】
投光ファイバー34は光源30に接続されており、光源30から発せられた光をウェハWの表面に導くように配置されている。受光ファイバー50は分光器26に接続されており、ウェハWからの反射光を分光器26まで導くように配置されている。投光ファイバー34の一方の先端34aと、受光ファイバー50の一方の先端50aは、互いに隣接しており、これらの先端34a,50aは第1光センサ61を構成する。投光ファイバー34の他方の先端34bと、受光ファイバー50の他方の先端50bは、互いに隣接しており、これらの先端34b,50bは第2光センサ62を構成する。研磨パッド1は、第1光センサ61および第2光センサ62の上方に位置する通孔1b,1cを有しており、第1光センサ61および第2光センサ62は、これらの通孔1b,1cを通じて研磨パッド1上のウェハWに光を導き、ウェハWからの反射光を受けることができるようになっている。
【0021】
図2は、研磨パッド1および研磨テーブル3を示す上面図である。第1光センサ61および第2光センサ62は、研磨テーブル3の中心から異なる距離に位置しており、かつ研磨テーブル3の周方向において互いに離れて配置されている。
図2に示す実施形態では、第2光センサ62は、研磨テーブル3の中心に関して第1光センサ61の反対側に配置されている。第1光センサ61および第2光センサ62は、研磨テーブル3が一回転するたびに異なる軌跡を描いてウェハWを交互に横切る。具体的には、第1光センサ61はウェハWの中心を横切り、第2光センサ62はウェハWのエッジ部のみを横切る。第1光センサ61および第2光センサ62は、交互にウェハWに光を導き、ウェハWからの反射光を受ける。
【0022】
図3は、光源30に接続された投光ファイバー34を示す拡大図である。投光ファイバー34は、結束具31で結束された多数の素線光ファイバー32から構成される。投光ファイバー34は、光源30に接続された投光主幹ファイバー35と、投光主幹ファイバー35から分岐した第1投光分岐ファイバー36および第2投光分岐ファイバー37とを有している。
【0023】
図4は、分光器26に接続された受光ファイバー50を示す拡大図である。受光ファイバー50も、同様に、結束具51で結束された多数の素線光ファイバー52から構成される。受光ファイバー50は、分光器26に接続された受光主幹ファイバー55と、受光主幹ファイバー55から分岐した第1受光分岐ファイバー56および第2受光分岐ファイバー57とを有している。
【0024】
投光ファイバー34の先端34a,34bは、第1投光分岐ファイバー36および第2投光分岐ファイバー37の先端から構成されており、これら先端34a,34bは、上述したように、研磨テーブル3内に位置している。受光ファイバー50の先端50a,50bは、第1受光分岐ファイバー56および第2受光分岐ファイバー57の先端から構成されており、これら先端50a,50bも、研磨テーブル3内に位置している。
【0025】
図3および
図4に示す実施形態では、1本の主幹ファイバーが2本の分岐ファイバーに分岐しているが、素線光ファイバーを追加することにより、3本以上の分岐ファイバーに分岐することも可能である。さらに、素線光ファイバーを追加することにより、ファイバーの径を簡単に大きくすることができる。このような多数の素線光ファイバーから構成されるファイバーは、曲げやすく、かつ折れにくいという利点を備えている。
【0026】
ウェハWの研磨中は、投光ファイバー34から光がウェハWに照射され、受光ファイバー50によってウェハWからの反射光が受光される。分光器26は、反射光を波長に従って分解して各波長での反射光の強度を所定の波長範囲に亘って測定し、得られた光強度データを処理部27に送る。この光強度データは、ウェハWの膜厚を反映した光学信号であり、反射光の強度及び対応する波長から構成される。処理部27は、光強度データから波長ごとの光の強度を表わす分光波形を生成する。
【0027】
図5は、光学式膜厚測定器25の原理を説明するための模式図である。
図5に示す例では、ウェハWは、下層膜と、その上に形成された上層膜とを有している。上層膜は、例えばシリコン層または絶縁膜などの、光の透過を許容する膜である。ウェハWに照射された光は、媒質(
図5の例では水)と上層膜との界面、および上層膜と下層膜との界面で反射し、これらの界面で反射した光の波が互いに干渉する。この光の波の干渉の仕方は、上層膜の厚さ(すなわち光路長)に応じて変化する。このため、ウェハWからの反射光から生成される分光波形は、上層膜の厚さに従って変化する。
【0028】
分光器26は、反射光を波長に従って分解し、反射光の強度を波長ごとに測定する。処理部27は、分光器26から得られた反射光の強度データ(光学信号)から分光波形を生成する。この分光波形は、光の波長と強度との関係を示す線グラフとして表される。光の強度は、後述する相対反射率などの相対値として表わすこともできる。
【0029】
図6は、分光波形の一例を示すグラフである。
図6において、縦軸はウェハWからの反射光の強度を示す相対反射率を表し、横軸は反射光の波長を表す。相対反射率とは、反射光の強度を示す指標値であり、光の強度と所定の基準強度との比である。各波長において光の強度(実測強度)を所定の基準強度で割ることにより、装置の光学系や光源固有の強度のばらつきなどの不要なノイズが実測強度から除去される。
【0030】
基準強度は、各波長について予め取得された強度であり、相対反射率は各波長において算出される。具体的には、各波長での光の強度(実測強度)を、対応する基準強度で割り算することにより相対反射率が求められる。基準強度は、例えば、膜厚センサから発せられた光の強度を直接測定するか、または膜厚センサから鏡に光を照射し、鏡からの反射光の強度を測定することによって得られる。あるいは、基準強度は、膜が形成されていないシリコンウェハ(ベアウェハ)を水の存在下で水研磨しているときに得られた光の強度としてもよい。実際の研磨では、実測強度からダークレベル(光を遮断した条件下で得られた背景強度)を引き算して補正実測強度を求め、さらに基準強度から上記ダークレベルを引き算して補正基準強度を求め、そして、補正実測強度を補正基準強度で割り算することにより、相対反射率が求められる。具体的には、相対反射率R(λ)は、次の式を用いて求めることができる。
【数1】
ここで、λは波長であり、E(λ)はウェハから反射した波長λでの光の強度であり、B(λ)は波長λでの基準強度であり、D(λ)は光を遮断した条件下で取得された波長λでの背景強度(ダークレベル)である。
【0031】
処理部27は、分光波形にフーリエ変換処理(例えば、高速フーリエ変換処理)を行って周波数スペクトルを生成し、周波数スペクトルからウェハWの膜厚を決定する。
図7は、
図6に示す分光波形にフーリエ変換処理を行って得られた周波数スペクトルを示すグラフである。
図7において、縦軸は分光波形に含まれる周波数成分の強度を表し、横軸は膜厚を表す。周波数成分の強度は、正弦波として表される周波数成分の振幅に相当する。分光波形に含まれる周波数成分は、所定の関係式を用いて膜厚に変換され、
図7に示すような膜厚と周波数成分の強度との関係を示す周波数スペクトルが生成される。上述した所定の関係式は、周波数成分を変数とした、膜厚を表す一次関数であり、膜厚の実測結果または光学的膜厚測定シミュレーションなどから求めることができる。
【0032】
図7に示すグラフにおいて、周波数成分の強度のピークは膜厚t1で現れる。言い換えれば、膜厚t1において、周波数成分の強度が最も大きくなる。つまり、この周波数スペクトルは、膜厚がt1であることを示している。このようにして、処理部27は、周波数成分の強度のピークに対応する膜厚を決定する。
【0033】
処理部27は、膜厚測定値として膜厚t1を研磨制御部12に出力する。研磨制御部12は、処理部27から送られた膜厚t1に基づいて研磨動作(例えば、研磨終了動作)を制御する。例えば、研磨制御部12は、膜厚t1が予め設定された目標値に達した場合には、ウェハWの研磨を終了する。
【0034】
本実施形態に係る膜厚測定装置25は、
図13に示す膜厚測定装置210とは異なり、複数の分岐ファイバーを主幹ファイバーに選択的に接続するための光路切り替え器を備えていない。すなわち、投光主幹ファイバー35は、第1投光分岐ファイバー36および第2投光分岐ファイバー37に常に接続されている。同様に、受光主幹ファイバー55は、第1受光分岐ファイバー56および第2受光分岐ファイバー57に常に接続されている。
【0035】
第2光センサ62は、研磨テーブル3の中心に関して第1光センサ61の反対側に配置されている。したがって、ウェハWの研磨中は、研磨テーブル3が一回転するたびに、第1光センサ61および第2光センサ62はウェハWを交互に横切る。分光器26は、受光ファイバー50の第1受光分岐ファイバー56および第2受光分岐ファイバー57を通じて光を常に受け取る。しかしながら、投光ファイバー34および受光ファイバー50の先端34a,34b,50a,50bがウェハWの下にないときは、分光器26が受ける光の強度は極めて低い。そこで、処理部27は、ウェハWからの反射光と、それ以外の光とを区別するために、
図7に示すように、処理部27には、周波数成分の強度についてのしきい値が予め記憶されている。
【0036】
投光ファイバー34および受光ファイバー50の先端34a,34b,50a,50bがウェハWの下にないときは、分光器26に入射される光の強度は低い。この場合、周波数スペクトルに含まれる周波数成分の強度は全体的に低くなる。
図8は、投光ファイバー34の先端および受光ファイバー50の先端がウェハWの下にないときに生成された周波数スペクトルを示すグラフである。
図8に示すように、周波数成分の強度は全体的にしきい値よりも低い。したがって、この周波数スペクトルは、膜厚決定に使用されない。
【0037】
これに対し、
図7に示すように、ウェハWからの反射光から生成された周波数スペクトルは、しきい値よりも大きい周波数成分の強度を含み、周波数成分の強度のピークはしきい値よりも大きい。したがって、この周波数スペクトルは、膜厚決定に使用される。
【0038】
このように、処理部27は、周波数スペクトルに含まれる周波数成分の強度をしきい値と比較することによって、ウェハWからの反射光と、それ以外の光とを区別することができる。さらに、第1光センサ61および第2光センサ62はウェハWを交互に横切るので、第1光センサ61および第2光センサ62が受ける反射光は重畳しない。したがって、光路切り替え器を設ける必要がない。上述した実施形態の膜厚測定は、ウェハWの研磨中のみならず、ウェハWの研磨前および/または研磨後にも行うことが可能である。
【0039】
図9は、第1光源30Aと第2光源30Bを備えた実施形態を示す模式図である。
図9に示すように、本実施形態の光源30は、第1光源30Aと第2光源30Bとから構成される。投光ファイバー34は、第1光源30Aと第2光源30Bの両方に接続されている。すなわち、投光主幹ファイバー35は2つの入力端子ライン35a,35bを有しており、これらの入力端子ライン35a,35bは第1光源30Aと第2光源30Bにそれぞれ接続されている。
【0040】
第1光源30Aと第2光源30Bは、異なる構成を持つ光源でもよい。例えば、第1光源30Aはハロゲンランプからなり、第2光源30Bは発光ダイオードからなる。ハロゲンランプは、発する光の波長範囲が広く(例えば、300nm〜1300nm)、かつ寿命が短い(約2000時間)のに対し、発光ダイオードは、発する光の波長範囲が狭く(例えば、900nm〜1000nm)、寿命が長い(約10000時間)。本実施形態によれば、ウェハWの膜の種類に基づいて、第1光源30Aまたは第2光源30Bのいずれかを適宜選択することができる。キセノンランプ、重水素ランプ、レーザーなどの他のタイプの光源を使用してもよい。
【0041】
第1光源30Aと第2光源30Bは、同じ波長範囲の光を発する同じ構成を持つ光源でもよい。例えば、第1光源30Aおよび第2光源30Bの両方にハロゲンランプを使用してもよい。ハロゲンランプの寿命は比較的短く、約2000時間である。本実施形態によれば、第1光源30Aの光量が低下した場合に第2光源30Bに切り換えることにより、膜厚測定装置25が長寿命化できる。さらに、第2光源30Bの光量も低下した場合には、第1光源30Aおよび第2光源30Bの両方を新たなものに交換する。本実施形態によれば、一回の交換作業で2倍の寿命が実現できるので、研磨装置の運転を停止させる時間を短くできる。
【0042】
図10は、光源30に加えて、特定の波長を持つ光を発する較正用光源60をさらに備えた実施形態を示す模式図である。較正用光源60は、分光器26に較正用光ファイバー63で接続されている。較正用光ファイバー63は、受光ファイバー50の一部から構成されてもよい。すなわち、較正用光ファイバー63は、受光主幹ファイバー55から分岐した第3受光分岐ファイバーから構成されてもよい。
【0043】
較正用光源60としては、特定波長の光を強く発する放電系の光源、例えばキセノンランプを使用することができる。較正用光源60から発せられた光は、分光器26によって分解され、処理部27によって分光波形が生成される。較正用光源60の光は特定の波長を有しているので、分光波形は輝線スペクトルとして生成される。較正用光源60の光の波長は既知である。したがって、輝線スペクトルに含まれる輝線の波長が、較正用光源60の光の波長に一致するように、分光器26が較正される。
【0044】
膜厚測定装置が正確な膜厚を測定するためには、分光器を定期的または不定期に調整することが必要である。従来の較正方法は、研磨パッドの上に較正用光源を置いて、第1光センサまたは第2光センサ2に光を照らし、分光器で光の強度を測定するというものである。しかしながら、このような従来の較正方法は、研磨装置の運転を停止させる必要があるのみならず、研磨パッドの研磨面が汚染されるおそれがある。本実施形態では、較正用光源60は研磨テーブル3に設置され、分光器26に接続されているので、分光器26の較正は、研磨装置の運転を停止させることなく実施することができる。例えば、ウェハWの研磨工程の間に分光器26の較正を行ってもよい。
【0045】
図11は、第1分光器26Aと第2分光器26Bを備えた実施形態を示す模式図である。
図11に示すように、本実施形態の分光器26は、第1分光器26Aと第2分光器26Bとから構成される。受光ファイバー50は、第1分光器26Aと第2分光器26Bの両方に接続されている。すなわち、受光主幹ファイバー55は2つの出力端子ライン55a,55bを有しており、これらの出力端子ライン55a,55bは第1分光器26Aと第2分光器26Bにそれぞれ接続されている。第1分光器26Aおよび第2分光器26Bの両方は、処理部27に接続されている。
【0046】
第1分光器26Aおよび第2分光器26Bは、異なる波長範囲で反射光の強度を測定するように構成されている。例えば、第1分光器26Aの測定可能な波長範囲は400nm〜800nmであり、第2分光器26Bの測定可能な波長範囲は800nm〜1100nmである。光源30としては、ハロゲンランプ(発光波長範囲300nm〜1300nm)が使用される。処理部27は、第1分光器26Aおよび第2分光器26Bから送られてくる光強度データ(反射光の強度と、対応する波長を含む光学信号)から分光波形を生成し、さらに分光波形に対してフーリエ変換を行って周波数スペクトルを生成する。2つの分光器26A,26Bを備えた光学式膜厚測定器25は、400nm〜1100nmの波長範囲で測定可能な1つ分光器よりも、分解能を向上させることができる。
【0047】
第1分光器26Aおよび第2分光器26Bは、異なる構成を有してもよい。例えば、第2分光器26Bはフォトダイオードから構成されてもよい。この場合、処理部27は、第1分光器26Aから送られてくる光強度データ(反射光の強度と、対応する波長を含む光学信号)から分光波形を生成し、さらに分光波形に対して、例えば、フーリエ変換を行って周波数スペクトルを生成する。
【0048】
フォトダイオードから構成される第2分光器26Bは、水の存在を検出するために使用される。光源30としては、ハロゲンランプ(発光波長範囲300nm〜1300nm)が使用される。フォトダイオードは、一般に、900nm〜1600nmの波長範囲での光の強度を測定することが可能である。ウェハWとファイバー34,50の先端との間に水が存在すると、1000nm周辺の波長での反射光の強度が低下する。処理部27は、1000nm周辺の波長での反射光の強度の低下に基づいて、水の存在を検出することができる。
【0049】
上述した実施形態は適宜組み合わせることができる。例えば、
図12に示すように、第1光源30Aおよび第2光源30Bと、第1分光器26Aおよび第2分光器26Bを設けてもよい。より具体的には、第1光源30Aとしてハロゲンランプを、第2光源30Bとして発光ダイオードを、第2分光器26Bとしてフォトダイオードを用いてもよい。
【0050】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。