特許第6473908号(P6473908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473908
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】ウエハ接合装置及びウエハ接合方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20190218BHJP
   B23K 20/00 20060101ALI20190218BHJP
   B65G 49/00 20060101ALI20190218BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   H01L21/02 B
   B23K20/00 310P
   B65G49/00 A
   H01L21/68 A
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-28521(P2015-28521)
(22)【出願日】2015年2月17日
(65)【公開番号】特開2016-152297(P2016-152297A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2017年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】304019355
【氏名又は名称】ボンドテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】山内 朗
【審査官】 堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/074274(WO,A1)
【文献】 特開2008−028208(JP,A)
【文献】 特開2010−199477(JP,A)
【文献】 特開平10−107124(JP,A)
【文献】 特開2003−249535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/677
B23K 20/00
B65G 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空中又は置換ガス雰囲気中でウエハの接合を行うためのウエハ接合装置であって、
ロードロックチャンバーとウエハ格納容器との間でウエハを搬送する搬送部と、
上ウエハ、下ウエハ、接合済ウエハを1枚ずつ収容することが可能であるロードロックチャンバーと、
ゲート弁を介してロードロックチャンバーに接続された接合チャンバーと、
ロードロックチャンバーと接合チャンバーとの間でウエハを移送するトランスファー部と、
を含むウエハ接合装置。
【請求項2】
ロードロックチャンバー内において、上段より、下ウエハ、上ウエハ、接合済ウエハの順に収容する請求項1に記載のウエハ接合装置。
【請求項3】
トランスファー部により、接合チャンバーからロードロックチャンバーへ接合済ウエハを移送し、次いで、ロードロックチャンバーから接合チャンバーへ、上ウエハ、下ウエハの順にウエハを移送する請求項1又は2に記載のウエハ接合装置。
【請求項4】
搬送部がウエハを保持するための2段式アームを備える請求項1から3のいずれか一項に記載のウエハ接合装置。
【請求項5】
ロードロックチャンバー内の接合済ウエハの下段に、さらにステージクリーニング用ウエハを収容する請求項1から4のいずれか一項に記載のウエハ接合装置。
【請求項6】
2つのロードロックチャンバー及び2つの接合チャンバーを含む請求項1から5のいずれか一項に記載のウエハ接合装置。
【請求項7】
接合チャンバーに表面活性化処理機能を有する請求項1から6のいずれか一項に記載のウエハ接合装置。
【請求項8】
ロードロックチャンバーとウエハ格納容器との間でウエハを搬送する搬送部と、上ウエハ、下ウエハ、接合済ウエハを1枚ずつ収容することが可能であるロードロックチャンバーと、ゲート弁を介してロードロックチャンバーに接続された接合チャンバーと、ロードロックチャンバーと接合チャンバーとの間でウエハを移送するトランスファー部とを含む接合装置を用いたウエハの接合方法であって、
搬送部により、ロードロックチャンバーへ上ウエハ及び下ウエハを搬入する工程(A)と、
ロードロックチャンバー内を真空状態にする工程(B)と、
ゲート弁を開けることにより、ロードロックチャンバーの内部と接合チャンバーの内部とを空間的に接続する工程(C)と、
トランスファー部により、接合チャンバーからロードロックチャンバーへ第1接合済ウエハを移送する工程(D)と、
トランスファー部により、ロードロックチャンバーから接合チャンバーへ上ウエハ及び下ウエハを移送する工程(E)と、
ゲート弁を閉じることにより、ロードロックチャンバーの内部と接合チャンバーの内部とを空間的に分断する工程(F)と、
ロードロックチャンバー内を大気解放する工程(G)と、
搬送部により、ロードロックチャンバーから前記第1接合済ウエハを搬出する工程(H)と、
接合チャンバーにおいて上ウエハと下ウエハとを接合して第2接合済ウエハとする工程(I)を含むウエハ接合方法。
【請求項9】
ロードロックチャンバー内において、上段より、下ウエハ、上ウエハ、接合済ウエハの順に収容する請求項8に記載のウエハ接合方法。
【請求項10】
ロードロックチャンバーへウエハを搬送する工程において、下ウエハ、上ウエハの順に搬送する請求項8又は9に記載のウエハ接合方法。
【請求項11】
2つのロードロックチャンバー及び2つの接合チャンバーを含み、搬送部により、一方のロードロックチャンバーへ上ウエハ及び下ウエハを搬入する工程に次いで、他方のロードロックチャンバーへ上ウエハ及び下ウエハを搬入する工程を経る請求項8から10のいずれか一項に記載のウエハ接合方法。
【請求項12】
接合チャンバーにおいて、ウエハを接合する前に、各ウエハの接合面を活性化処理する表面活性化処理工程をさらに含む請求項8から11のいずれか一項に記載のウエハ接合方法。
【請求項13】
前記工程を順次行うことを1サイクルとして、該サイクルを繰り返す請求項8から12のいずれか一項に記載のウエハ接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ接合装置及びウエハ接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の方式によりウエハ同士の接合がなされている。その一例として、図6に示すような構成の装置を用いる方式がある。この方式では、大気環境用のロボットアーム61がウエハのセット毎に接合チャンバー62内に挿入される。
ウエハの接合を行う接合チャンバーの内部は、ウエハの接合時にウエハの接合面にゴミが混入しないように、清浄な状態に管理されることが好ましいが、このような従来の方式では、接合チャンバー内にウエハを設置するたびに接合チャンバー内を真空状態/大気解放状態としなければならず、接合チャンバー内を高真空とすることが非常に困難であった。
【0003】
また、図7に例示するような、接合するウエハの接合面をプラズマ処理する方式では、プラズマチャンバー71から接合チャンバー72へ搬送する際に、大気環境用のロボットアーム73でウエハを搬送するため、表面処理をした後のウエハの接合面に、大気中の搬送などで接合面にゴミが乗ってしまうという問題がある。また、このような工程をウエハをセットする毎に行うため、非常に時間を要するという問題があった。
【0004】
図8のように、接合チャンバー81、ロボットアームなどの搬送部82及びロードロックチャンバー83を、真空状態に保つ容器内で稼働させるという方式もある。しかし、この方式では、駆動部を多く備えるロボットアームなどの搬送部82を高真空に保つことが困難であり、搬送部の構成も非常に限定的である。
また、ロードロックチャンバー83内には、例えば1サイクル分で25枚といった、多くのウエハを一度にセットする必要があるため、大型のロードロックチャンバーが必要となる。このような大型のロードロックチャンバーでは、その内部を真空・大気解放状態とするのに要する時間が長く、ロードロックチャンバー内のウエハを交換するための操作が必要となり、スループットが低下するという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来のウエハ接合技術においては、ウエハの接合面へのゴミの付着を防ぐことが難しく、装置の構成によっては、接合チャンバー内を高真空に保つことが難しいという問題があった。また、これらの問題を解消しようと試みる方式であっても、作業のスループットが悪く非常に時間を要したり、装置が非常に高価なものとなるなどの問題があった。
【0006】
本発明は、接合前のウエハの接合面を良好な状態に保つことができ、かつウエハの接合を効率的に行うことが可能なウエハ接合装置及びウエハ接合方法に関する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、真空中又は置換ガス雰囲気中でウエハの接合を行うためのウエハ接合装置であって、ロードロックチャンバーとウエハ格納容器との間でウエハを搬送する搬送部と、上ウエハ、下ウエハ、接合済ウエハを1枚ずつ収容することが可能であるロードロックチャンバーと、ゲート弁を介してロードロックチャンバーに接続された接合チャンバーと、ロードロックチャンバーと接合チャンバーとの間でウエハを移送するトランスファー部と、を含むウエハ接合装置が提供される。
【0008】
本発明の一態様によれば、上記のウエハ接合装置において、ロードロックチャンバー内において、上段より、下ウエハ、上ウエハ、接合済ウエハの順に収容する。
【0009】
本発明の一態様によれば、上記のウエハ接合装置において、トランスファー部により、接合チャンバーからロードロックチャンバーへ接合済ウエハを移送し、次いで、ロードロックチャンバーから接合チャンバーへ、上ウエハ、下ウエハの順にウエハを移送する。
【0010】
本発明の一態様によれば、上記のウエハ接合装置において、搬送部がウエハを保持するための2段式アームを備える。
【0011】
本発明の一態様によれば、上記のウエハ接合装置において、ロードロックチャンバー内の接合済ウエハの下段に、さらにステージクリーニング用ウエハを収容する。
【0012】
本発明の一態様によれば、上記のウエハ接合装置において、2つのロードロックチャンバー及び2つの接合チャンバーを含む。
【0013】
本発明の一態様によれば、上記のウエハ接合装置において、接合チャンバーに表面活性化処理機能を有する。
【0014】
本発明によれば、ロードロックチャンバーとウエハ格納容器との間でウエハを搬送する搬送部と、上ウエハ、下ウエハ、接合済ウエハを1枚ずつ収容することが可能であるロードロックチャンバーと、ゲート弁を介してロードロックチャンバーに接続された接合チャンバーと、ロードロックチャンバーと接合チャンバーとの間でウエハを移送するトランスファー部とを含む接合装置を用いたウエハの接合方法であって、
搬送部により、ロードロックチャンバーへ上ウエハ及び下ウエハを搬入する工程(A)と、
ロードロックチャンバー内を真空状態にする工程(B)と、
ゲート弁を開けることにより、ロードロックチャンバーの内部と接合チャンバーの内部とを空間的に接続する工程(C)と、
トランスファー部により、接合チャンバーからロードロックチャンバーへ接合済ウエハを移送する工程(D)と、
トランスファー部により、ロードロックチャンバーから接合チャンバーへ上ウエハ及び下ウエハを移送する工程(E)と、
ゲート弁を閉じることにより、ロードロックチャンバーの内部と接合チャンバーの内部とを空間的に分断する工程(F)と、
ロードロックチャンバー内を大気解放する工程(G)と、
搬送部により、ロードロックチャンバーから接合済ウエハを搬出する工程(H)と、
接合チャンバーにおいて上ウエハと下ウエハとを接合して接合済ウエハとする工程(I)と、
を含むウエハ接合方法が提供される。
【0015】
本発明の一態様によれば、上記のウエハ接合方法において、ロードロックチャンバー内において、上段より、下ウエハ、上ウエハ、接合済ウエハの順に収容する。
【0016】
本発明の一態様によれば、上記のウエハ接合方法において、ロードロックチャンバーへウエハを搬送する工程において、下ウエハ、上ウエハの順に搬送する。
【0017】
本発明の一態様によれば、上記のウエハ接合方法において、2つのロードロックチャンバー及び2つの接合チャンバーを含み、搬送部により、一方のロードロックチャンバーへ上ウエハ及び下ウエハを搬入する工程に次いで、他方のロードロックチャンバーへ上ウエハ及び下ウエハを搬入する工程を経る。
【0018】
本発明の一態様によれば、上記のウエハ接合方法において、接合チャンバーにおいて、ウエハを接合する前に、各ウエハの接合面を活性化処理する表面活性化処理工程をさらに含む。
【0019】
本発明の一態様によれば、上記のウエハ接合方法において、前記工程を順次行うことを1サイクルとして、該サイクルを繰り返す。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るウエハ接合装置及びウエハ接合方法により、接合前のウエハの接合面を良好な状態に保つことができ、かつウエハの接合を効率的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係るウエハ接合装置の構成を説明するための概略的な図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るウエハ接合方法を説明するためのタイムチャートである。
図3】本発明の第2実施形態に係るウエハ接合方法を説明するためのタイムチャートである。
図4】本発明の第3実施形態に係るウエハ接合装置の構成を説明するための概略的な図である。
図5】本発明の第4実施形態に係るウエハ接合装置の構成を説明するための概略的な図である。
図6】従来のウエハの接合方式を説明するための概略的な図である。
図7】従来のウエハの接合方式を説明するための概略的な図である。
図8】従来のウエハの接合方式を説明するための概略的な図である。
図9】従来のウエハの接合方式を説明するための概略的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明がこれらの実施形態に限定されないことは自明である。
【0023】
下記実施形態において、「ウエハ(以下、基板とも称する)」とは、板状の半導体を含むが、これに限定されず、半導体以外にも、ガラス、セラミックス、金属、プラスチック等の材料、またはこれらの複合材料により形成されていてもよく、円形、長方形等の種々の形状に形成される。
【0024】
<実施形態1>
実施形態1として、本発明に係るウエハ接合方法について説明する。
本実施形態に係る接合方法は、ロードロックチャンバーとウエハ格納容器との間でウエハを搬送する搬送部と、上ウエハ、下ウエハ、接合済ウエハを1枚ずつ収容することが可能であるロードロックチャンバーと、ゲート弁を介してロードロックチャンバーに接続された接合チャンバーと、ロードロックチャンバーと接合チャンバーとの間でウエハを移送するトランスファー部とを含む接合装置を用いたウエハの接合方法であって、
搬送部により、ロードロックチャンバーへ上ウエハ及び下ウエハを搬入する工程(A)と、
ロードロックチャンバー内を真空状態にする工程(B)と、
ゲート弁を開けることにより、ロードロックチャンバーの内部と接合チャンバーの内部とを空間的に接続する工程(C)と、
トランスファー部により、接合チャンバーからロードロックチャンバーへ接合済ウエハを移送する工程(D)と、
トランスファー部により、ロードロックチャンバーから接合チャンバーへ上ウエハ及び下ウエハを移送する工程(E)と、
ゲート弁を閉じることにより、ロードロックチャンバーの内部と接合チャンバーの内部とを空間的に分断する工程(F)と、
ロードロックチャンバー内を大気解放する工程(G)と、
搬送部により、ロードロックチャンバーから接合済ウエハを搬出する工程(H)と、
接合チャンバーにおいて上ウエハと下ウエハとを接合して接合済ウエハとする工程(I)と、
を含むウエハ接合方法である。
【0025】
本実施形態に係るウエハ接合方法によれば、接合前のウエハの接合面を良好な状態に保つことができ、かつウエハの接合を効率的に行うことが可能となる。
【0026】
本実施形態のウエハ接合方法で用いられるウエハ接合装置は、図1に示すように、ロードロックチャンバー1とウエハ格納容器2との間でウエハを搬送する搬送部3と、上ウエハ7、下ウエハ8、接合済ウエハ9を1枚ずつ収容することが可能であるロードロックチャンバー1と、ゲート弁4を介してロードロックチャンバー1に接続された接合チャンバー5と、ロードロックチャンバー1と接合チャンバー5との間でウエハを移送するトランスファー部6とを含む。
【0027】
ロードロックチャンバー1は、ウエハwを保持するためのカセット部10を備え、搬送部3によりウエハを搬入・搬送するためのゲート弁11が設けられている。搬送部3は、例えばダブルアーム式のウエハ搬送用ロボットであり、大気環境で稼働する。搬送部3の周囲には、ウエハ格納容器2が設置される。ウエハ格納容器2は、例えば、格納するウエハの種類毎に、上ウエハ格納容器2a、下ウエハ格納容器2b、接合済ウエハ格納容器2cと分類してもよい。送部3の周囲には、アライナー12、クリーニング用ウエハ格納容器13等を設置してもよい。
【0028】
接合チャンバー5の内部は、真空雰囲気、あるいは不活性ガスなどの置換ガス雰囲気とすることができる。接合チャンバー5は、その内部にボンディング装置14、ウエハステージ15等を備える。
トランスファー部6は、ロードロックチャンバー1と接合チャンバー5との間で移動することができ、ウエハを把持・移送するためのトランスファーアーム16を備える。
【0029】
次に、本実施形態に係るウエハ接合方法の各工程について、図2のタイムチャートを用いて説明する。図2は、本実施形態に係るウエハ接合方法の各工程の推移を示す例示的なものである。図2中の数値は、それぞれの操作に要する時間(秒)を示しているが、これらは装置の構成や接合処理に係る時間等により適宜変更される。
【0030】
[工程(A)]
本実施形態に係るウエハ接合方法は、搬送部3により、ロードロックチャンバー1へ上ウエハ7及び下ウエハ8を搬入する工程を含む。
この工程では、搬送部3が備えるロボットアームにより、格納容器2(上ウエハ格納容器2a、下ウエハ格納容器2b)からウエハ(上ウエハ7、下ウエハ8)を取出し、ロードロックチャンバー1まで搬送する。
【0031】
ウエハをロードロックチャンバー1へ搬入する前に、格納容器2から搬出したウエハを、図1に示すようなアライナー12にセットして、ウエハの位置調整を行ってもよい。図2の例では、位置調整を行っている。
【0032】
ロードロックチャンバー1は、複数のウエハを収容することができる。本実施形態の例では、例えば図4に示すように、上ウエハ7、下ウエハ8、接合済ウエハ9、あるいは、クリーニング用ウエハ17の計4枚のウエハを収容することができる。
本実施形態に係るウエハ接合方法では、ロードロックチャンバー1内に1サイクル分のウエハを収容できるため、効率的である。
【0033】
本実施形態に係るウエハ接合方法では、ロードロックチャンバー1内において、上段より、下ウエハ8、上ウエハ7、接合済ウエハ9の順に収容することが好ましい。
下ウエハ8、すなわち接合時に下側に位置するウエハは、その上面に接合面を有する。ロードロックチャンバー1内において、最上段に下ウエハ8を収容することで、上面の接合面にゴミが付着することを防ぐことができる。上ウエハ7、すなわち接合時に上側に位置するウエハは、その下面に接合面を有する。ロードロックチャンバー1内において、下ウエハ8の下段に上ウエハ7を収容することで、ウエハの搬送中などに、下ウエハ8の接合面にゴミが落下することを防ぐことができる。
【0034】
また、接合済ウエハ9を上ウエハ7の下段に位置することで、未接合ウエハ(上ウエハ7、下ウエハ8)にゴミが落下することを防ぐことができる。
【0035】
本実施形態に係るウエハ接合方法では、ロードロックチャンバー1へウエハを搬送する工程において、下ウエハ8、上ウエハ7の順に搬送することが好ましい。
ロードロックチャンバー1の上段より、下ウエハ8、上ウエハ7の順で搬入することにより、上段の下ウエハ8からのゴミの落下による上ウエハ7の汚染を防ぐことができる。
【0036】
[工程(B)]
接合済ウエハ9(前のサイクル分の接合済ウエハ9)の搬出と上ウエハ7及び下ウエハ8の搬入、あるいは、上ウエハ7及び下ウエハ8の搬入に次いで、ロードロックチャンバー1内を真空状態にする工程を含む。
ウエハの搬入・搬出後に、ゲート弁11を閉める。ロードロックチャンバー1は、最大でも、上ウエハ7、下ウエハ8、接合済ウエハ9、あるいは、クリーニング用ウエハ17の計4枚のウエハを収容するため、ロードロックチャンバー1内を真空状態にするための時間が短いという利点がある。
【0037】
[工程(C)]
ロードロックチャンバー1内が真空状態になった後、ロードロックチャンバー1と接合チャンバー5とを接続するゲート弁4を開けることにより、ロードロックチャンバー1の内部と接合チャンバー5の内部とを空間的に接続する工程を含む。
このとき、ロードロックチャンバー1内はすでに真空状態に保たれているため、接合チャンバー5の内部を真空状態にするための時間を短くすることができる。また、真空状態のロードロックチャンバー1に接続するため、接合チャンバー5内を高真空状態に保つことができる。
【0038】
[工程(D)]
次いで、トランスファー部6により、接合チャンバー5からロードロックチャンバー1へ接合済ウエハ9を移送する工程を含む。
このとき、接合済ウエハ9は、ロードロックチャンバー1内において、未接合ウエハの下方に収容されるため、この工程の間に、未接合ウエハの接合面にゴミが付着するといったことを防ぐことができる。
【0039】
次いで、次のサイクルがある場合、工程(E)へ移行する。
【0040】
[工程(E)]
次いで、トランスファー部6により、ロードロックチャンバー1から接合チャンバー5へ上ウエハ7及び下ウエハ8を移送する工程を含む。
ウエハの移送は、上ウエハ7、下ウエハ8の順で行うことが好ましい。このような順序でウエハの移送を行うことにより、下ウエハ8の接合面の上方でウエハが移送されることがなく、上向きの下ウエハ8の接合面上にゴミが落下することを防ぐことができる。
【0041】
トランスファー部6は、ウエハを把持して接合チャンバー5のボンディング装置14の位置まで移送する。ウエハステージ15では、移送されてきたウエハを静電チャックで吸着して保持する。
【0042】
上ウエハ7及び下ウエハ8の移送の前に、前のサイクルの接合済ウエハ9が接合チャンバー5内にあるときには、接合済ウエハ9をロードロックチャンバー1へ移送した後に、上ウエハ7及び下ウエハ8を移送する。
【0043】
[工程(F)]
次いで、ゲート弁4を閉じることにより、ロードロックチャンバー1の内部と接合チャンバー5の内部とを空間的に分断する工程を含む。
この工程により、ロードロックチャンバー1の内部と接合チャンバー5の内部とは、空間的に分断され、と接合チャンバー5の内部は次のサイクルの接合のために真空引きを行い、ロードロックチャンバー1の内部は大気解放することができる。本実施形態のウエハ接合方法では、ゲート弁の開閉を1サイクルごとに行うため、効率的である。
【0044】
[工程(G)]
次いで、ロードロックチャンバー1内を大気解放する工程を含む。
【0045】
[工程(H)]
次いで、搬送部3により、ロードロックチャンバー1から接合済ウエハ9を搬出する工程を含む。
接合済ウエハ9は、ロードロックチャンバー1から接合済ウエハ格納容器2cへ搬送される。
【0046】
[工程(I)]
上ウエハ7及び下ウエハ8が接合チャンバー5内にセットされた後、接合チャンバー5において上ウエハ7と下ウエハ8とを接合して接合済ウエハ9とする工程を含む。
工程(I)は、工程(F)の後から次のサイクルの工程(C)までの間、すなわちゲート弁4が閉じられてから開けられるまでの間に行われればよい。
【0047】
この工程の前に、接合チャンバー5内を高真空にする工程をさらに含んでもよい。この工程の前に、接合されるウエハの接合面を活性化処理する工程をさらに含んでもよい。この工程の前に、接合されるウエハ同士の位置を調整する工程をさらに含んでもよい。
【0048】
上記のウエハ接合方法においては、接合チャンバー5において、ウエハを接合する前に、各ウエハの接合面を活性化処理する表面活性化処理工程をさらに含むことが好ましい。
接合チャンバー5内でウエハの接合面を活性化処理することに次いで、同一のチャンバー内で接合を行うことにより、表面処理が行われた後のウエハを大気中に晒すことなく、接合を行うことができる。ウエハ接合面の活性化処理は、接合チャンバー5内の表面処理手段18によって行われる。
【0049】
本実施形態に係るウエハ接合方法は、ウエハの移送時に大気パージをする従来のプラズマ処理方式と比較すると、未接合ウエハの接合面にゴミが付着しないという利点を有する。
【0050】
なお、本実施形態に係るウエハ接合方法では、前記工程を順次行うことを1サイクルとして、該サイクルを繰り返すことが好ましい。
本実施形態のウエハ接合方法においては、ロードロックチャンバー1は、上ウエハ7、下ウエハ8、接合済ウエハ9、あるいは、クリーニング用ウエハ17の計4枚のウエハを収容するため、1サイクルに要する時間が短いという利点がある。図2に示すタイムチャートは、1サイクル分を示しているが、このサイクルが処理を行うウエハの数に応じて繰り返される。
また、接合チャンバー5内でウエハの接合を行っている間にも、搬送部3が稼働してウエハの搬送を行うことができるため、効率的である。
【0051】
この様なサイクルを実行する一例として、図2のタイムチャートが挙げられる。図2のタイムチャートは、本実施形態のウエハ接合方法の途中のサイクルを示すものである。複数サイクルを実行する場合には、例えば、最初のサイクルでは工程(A)から開始され、最後のサイクルでは工程(H)で終了するようにしてもよい。
【0052】
なお、図9のように、接合チャンバー91にゲート弁92を介してロードロックチャンバー93を接続する方式も考えられるが、搬送部94が直接接合チャンバー91内に挿入されないため、接合チャンバー91内を高真空にすることができる。しかし、ウエハのセット毎に、ロードロックチャンバー93にウエハ95を一枚ずつセットするため、非常に時間を要するという問題がある。
【0053】
<実施形態2>
【0054】
本実施形態に係るウエハ接合方法では、図5に例示するように、2つのロードロックチャンバー1及び2つの接合チャンバー5を含み、搬送部3により、一方のロードロックチャンバー1へ上ウエハ7及び下ウエハ8を搬入する工程に次いで、他方のロードロックチャンバー1へ上ウエハ7及び下ウエハ8を搬入する工程を経る。
【0055】
本実施形態に係るウエハ接合方法によれば、接合前のウエハの接合面を良好な状態に保つことができ、かつウエハの接合を効率的に行うことが可能となる。また、2つの接合チャンバーを含む構成とすることにより、並列的な処理が可能となり、より良好なスループットが得られる。
【0056】
ロードロックチャンバー1及び接合チャンバー5は、それぞれゲート弁4で接続されている。すなわち、本実施形態に係るウエハ接合方法では、ロードロックチャンバー1と接合チャンバー5のペアを2つ備える。
【0057】
次に、本実施形態に係るウエハ接合方法の各工程について、図3のタイムチャートを用いて説明する。この接合方法では、図5のように、一つの搬送部3が2つのロードロックチャンバー1へウエハを搬送する。そのため、工程(A)及び(H)(工程(A‘)及び(H’))を2つのチャンバー間で適宜繰り返すこととなる。そして、ロードロックチャンバー1、接合チャンバー5、トランスファー部6での各工程は、並列的に行われ、スループットを倍増させることができる。
【0058】
<実施形態3>
次に、本発明の一実施形態として、ウエハ接合装置の構成について実施形態3として説明する。
本実施形態に係るウエハ接合装置では、図1又は図4に示すように、真空中または置換ガス雰囲気中でウエハの接合を行うためのウエハ接合装置であって、ロードロックチャンバー1とウエハ格納容器2との間でウエハを搬送する搬送部3と、上ウエハ7、下ウエハ8、接合済ウエハ9を1枚ずつ収容することが可能であるロードロックチャンバー1と、ゲート弁4を介してロードロックチャンバー1に接続された接合チャンバー5と、ロードロックチャンバー1と接合チャンバー5との間でウエハを移送するトランスファー部6と、を含む。
【0059】
本実施形態に係るウエハ接合装置によれば、接合前のウエハの接合面を良好な状態に保つことができ、かつウエハの接合を効率的に行うことが可能となる。
【0060】
本実施形態に係るウエハ接合装置は、主な構成として以下に説明するものを含むが、ウエハ接合装置全体の構成としては、これらのものを操作・制御するための制御装置、通信装置、装置同士を接続・結合するための部品などを含んでもよい。
【0061】
[搬送部]
本実施形態に係るウエハ接合装置は、ロードロックチャンバー1とウエハ格納容器2との間でウエハを搬送する搬送部を含む。
本実施形態に係るウエハ接合装置では、大気環境用のロボットアームを採用することができ、搬送部を真空チャンバー内に設置する必要がなく、装置全体のコストを抑制することができる。また、ロボットアームの大きさが制限されることがないため、複数のロードロックチャンバー、複数のウエハ収納容器、あるいはアライナーなどにアクセス可能な構成とすることができる。
【0062】
本実施形態に係るウエハ接合装置では、ロボットアームの大きさが制限されることがないため、搬送部がウエハを保持するための2段式アームを備えるようにしてもよい。これにより、作業が効率よく行える。
【0063】
[ウエハ格納容器]
ウエハ格納容器は、種々のウエハを格納・保持する。ウエハ格納容器は、それぞれ、上ウエハ、下ウエハ、接合済ウエハ、クリーニング用ウエハを種類ごとに格納するようにしてもよい。
【0064】
[ロードロックチャンバー]
本実施形態に係るウエハ接合装置は、上ウエハ7、下ウエハ8、接合済ウエハ9を1枚ずつ収容することが可能であるロードロックチャンバー1を含む。ロードロックチャンバー1は、複数のウエハを収容することができる。本実施形態の例では、上ウエハ7、下ウエハ8、接合済ウエハ9、あるいは、クリーニング用ウエハ17の計4枚のウエハを収容することができる。
本実施形態に係るウエハ接合方法では、ロードロックチャンバー1内に1サイクル分のウエハを収容できるため、効率的である。また、ロードロックチャンバー1内に収容されるウエハの数が、上ウエハ7、下ウエハ8、接合済ウエハ9の計3枚、あるいは4枚であるため、ロードロックチャンバー1の内部を真空・大気解放状態にするための時間が短いという利点がある。
【0065】
本実施形態に係るウエハ接合装置では、ロードロックチャンバー1内において、上段より、下ウエハ8、上ウエハ7、接合済ウエハ9の順に収容するようにしてもよい。
下ウエハ8、すなわち接合時に下側に位置するウエハは、その上面に接合面を有する。ロードロックチャンバー1内において、最上段に下ウエハ8を収容することで、上面の接合面にゴミが付着することを防ぐことができる。上ウエハ7、すなわち接合時に上側に位置するウエハは、その下面に接合面を有する。ロードロックチャンバー1内において、下ウエハ8の下段に上ウエハ7を収容することで、ウエハの搬送中などに、下ウエハ8の接合面にゴミが落下することを防ぐことができる。また、接合済ウエハ9を上ウエハ7の下段に位置することで、未接合ウエハ(上ウエハ7、下ウエハ8)にゴミが落下することを防ぐことができる。
【0066】
[接合チャンバー]
本実施形態に係るウエハ接合装置は、ゲート弁4を介してロードロックチャンバー1に接続された接合チャンバー5を含む。
真空中または置換ガス雰囲気中でウエハの接合を行う。
【0067】
本実施形態に係るウエハ接合装置では、接合チャンバー5に表面活性化処理機能を有するようにしてもよい。
接合チャンバー5内でウエハの接合面を活性化処理することに次いで、同一のチャンバー内で接合を行うことにより、表面処理が行われた後のウエハを大気中に晒すことなく、接合を行うことができる。ウエハ接合面の活性化処理は、接合チャンバー5内の表面処理手段18によって行われる。
【0068】
本実施形態に係るウエハ接合装置は、ウエハの移送時に大気パージをする従来のプラズマ処理方式と比較すると、未接合ウエハの接合面にゴミが付着しないという利点を有する。
【0069】
表面活性化処理としては、高速原子ビーム(FAB)やイオンガン(IG)によるAr粒子衝撃により接合界面を活性化する手法や、プラズマ処理などが挙げられる。
【0070】
[トランスファー部]
本実施形態に係るウエハ接合装置は、ロードロックチャンバー1と接合チャンバー5との間でウエハを移送するトランスファー部6を含む。
トランスファー部6は、ロードロックチャンバー1と接合チャンバー5との間で移動することができ、ウエハを把持・移送するためのトランスファーアーム16を備える。トランスファー部6の駆動部は大気中に存在し、トランスファーアーム16を磁性体などを介して移動させる。そのため、トランスファーアーム16は接合チャンバー5内の真空雰囲気中で移動する。トランスファー部は、ロードロックチャンバーと接合チャンバーとの間でウエハを移送するために、待避ポイントP1、ボンディングポイントP2、ロードロックポイントP3間を移動することができる。
【0071】
本実施形態に係るウエハ接合装置では、トランスファー部6により、接合チャンバー5からロードロックチャンバー1へ接合済ウエハ9を移送し、次いで、ロードロックチャンバー1から接合チャンバー5へ、上ウエハ7、下ウエハ8の順にウエハを移送するようにしてもよい。
【0072】
本実施形態に係るウエハ接合装置では、ロードロックチャンバー1内の接合済ウエハ9の下段に、さらにステージクリーニング用ウエハ17を収容するようにしてもよい。クリーニング用ウエハ17により、接合チャンバー5内のウエハステージ15上のゴミなどを除去することで、ウエハの接合により好適な環境とすることができる。クリーニング用ウエハ17は、例えば、両主面に樹脂層などを備え、この樹脂層にゴミなどが付着することでウエハステージ15のクリーニングを行うことができる。
ロードロックチャンバー1内にクリーニング用ウエハ17を収容する場合、クリーニング用ウエハ17を最下段に収容することで、他のウエハへゴミを落下させるなどといった影響を防ぐことができる。
【0073】
アライナー12は、上ウエハ7または下ウエハ8をロードロックチャンバー1へ搬入する前の段階で、ウエハの位置調整を行う機能を有する。アライナー12は、ウエハの位置調整を行う機能に加え、ウエハを洗浄する機能を有してもよい。
【0074】
<実施形態4>
【0075】
本実施形態に係るウエハ接合装置では、2つのロードロックチャンバー及び2つの接合チャンバーを含むようにしてもよい。図5に、本実施形態のウエハ接合装置の一例を示す。
【0076】
これにより、接合前のウエハの接合面を良好な状態に保つことができ、かつウエハの接合を効率的に行うことが可能となる。
また、2つの接合チャンバーを含む構成とすることにより、並列的な処理が可能となり、より良好なスループットが得られる。ロードロックチャンバー1及び接合チャンバー5は、それぞれゲート弁4で接続されている。すなわち、本実施形態に係るウエハ接合方法では、ロードロックチャンバー1と接合チャンバー5のペアを2つ備える。2つの接合チャンバー5は、同じ機能を備えるものを並列的に用いてもよい。すなわち、接合チャンバー5が、接合、あるいは接合と表面活性化処理とを行えるようにしてもよい。本実施形態の場合、アライナーを2基設置してもよい。
【0077】
他の形態として、一方の接合チャンバー5を、異なる機能を備えるチャンバーに置き換えてもよい。例えば、一方の接合チャンバー5が、接合、あるいは接合と表面活性化処理とを行えるようにして、他方のチャンバーを、ウエハの接合面の活性化処理を行うための機能を有する活性化チャンバーとしてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9