(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474075
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】発電設備
(51)【国際特許分類】
F01K 23/06 20060101AFI20190218BHJP
F02M 21/02 20060101ALI20190218BHJP
F01D 25/10 20060101ALI20190218BHJP
F02G 5/02 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
F01K23/06 P
F02M21/02 Z
F01D25/10 Z
F02G5/02 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-19682(P2015-19682)
(22)【出願日】2015年2月3日
(65)【公開番号】特開2016-142213(P2016-142213A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(72)【発明者】
【氏名】吉葉 史彦
【審査官】
西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−339709(JP,A)
【文献】
特開2006−070703(JP,A)
【文献】
特開2010−216477(JP,A)
【文献】
特開平05−149501(JP,A)
【文献】
特開2013−167380(JP,A)
【文献】
特開平08−232608(JP,A)
【文献】
特開2013−233043(JP,A)
【文献】
特開2002−135979(JP,A)
【文献】
特開2005−151746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/10
F02G 5/02
F02M 21/02
F01K 23/00−23/10
F01K 27/02
H02J 3/00− 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に接続される並列、前記電力系統から遮断される解列が選択されて運転され、蒸気タービンの駆動により電力を得る第1発電手段と、
前記電力系統に接続される前記第1発電手段とは独立して所望の需要負荷に電力を供給し、発電機器による発電の排熱により蒸気を発生させる蒸気発生手段を備え、前記第1発電手段が前記電力系統に対して解列された時に、前記蒸気発生手段で発生した蒸気を前記蒸気タービンに供給して前記蒸気タービンの暖機を行う外部発電手段とを備えた
ことを特徴とする発電設備。
【請求項2】
請求項1に記載の発電設備において、
前記第1発電手段は、
燃料を投入して蒸気を発生させるボイラと、
前記ボイラで発生した蒸気が導入されて駆動力を得る前記蒸気タービンと、
前記蒸気タービンの排気蒸気が冷却されて凝縮水を得る復水手段と、
前記復水手段で得られた凝縮水を前記ボイラに循環させる循環路とを有し、
前記蒸気タービンは、
前記外部発電手段の前記蒸気発生手段からの蒸気が導入される低圧蒸気タービンを有している
ことを特徴とする発電設備。
【請求項3】
請求項2に記載の発電設備において、
前記ボイラの燃料は石炭であり、
前記外部発電手段による発電の排熱の一部により前記石炭を乾燥させる
ことを特徴とする発電設備。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発電設備において、
前記外部発電手段の発電機器は、ガスエンジンであり、
前記外部発電手段の蒸気発生手段は、前記ガスエンジンの排熱により蒸気を発生させる排熱回収ボイラである
ことを特徴とする発電設備。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発電設備において、
前記電力系統には、
再生可能エネルギー発電設備が接続され、
前記第1発電手段は、
前記再生可能エネルギー発電設備の出力で前記電力系統の要求電力の発電が行われている時に、前記電力系統から解列される
ことを特徴とする発電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統に対して並列、解列が選択される発電設備であって、解列の状態の時に、効率を低下させることなく短時間で出力を高めて並列の状態にすることができる発電設備に関する。
【0002】
また、本発明は、出力が低下する発電設備に対して、効率の低下を抑制して出力を高めるための運転を補助することができる外部発電設備に関する。
【背景技術】
【0003】
化石燃料を使用しない再生可能エネルギーを用いた再生エネルギー発電設備が導入されつつある。再生可能エネルギー発電設備は、自然環境により出力が大きく変化するため、電力需要に対応するためには、天然ガス等を燃料とした火力発電設備(単に火力発電設備と称する)を同時に用い、火力発電設備での出力を追従させる必要がある。自然環境の変化により再生可能エネルギー発電設備の出力が変化(低下)した場合、需用電力を賄うために、火力発電設備の出力を短時間で増加させる必要がある。
【0004】
このため、再生可能エネルギー発電設備と火力発電設備を併用している電力供給システムでは、再生可能エネルギー発電設備で出力を得ている場合には、火力発電設備を解列状態にしている。そして、再生可能エネルギー発電設備の出力の変化(低下)による電力需要に対応させる際には、解列状態にある火力発電設備の出力を上昇させてから並列状態にしているのが現状である。
【0005】
このような状況から、系統の急激な負荷変化に対して、迅速に対応できる蒸気発電プラントが提案されている(特許文献1)。特許文献1に開示された技術は、ボイラで発生した蒸気をアキュムレータに貯蔵し、通常時にはアキュムレータからの蒸気により非常用蒸気タービンを無負荷もしくは低負荷で運転を行い、緊急に発電が必要になった時にはアキュムレータからの蒸気により全負荷の運転に移行するようにした技術である。
【0006】
特許文献1の技術を適用することにより、系統の出力を短時間で上昇させることができ、再生可能エネルギー発電設備の出力が変化(低下)した場合でも、電力需要に追従させることができる。
【0007】
しかし、系統(火力発電設備)を低い出力で運転するためには、天然ガス等の燃料を用いてボイラで蒸気を発生させ、低圧蒸気タービンを駆動する必要がある。このため、蒸気発生のための燃料が必要になり、火力発電設備の効率(燃費)が低下する問題があると共に、環境条件を守ることができない虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−232608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、電力系統に対して並列、解列が選択される発電設備であって、解列の状態の時に、効率を低下させることなく短時間で出力を高めて並列の状態にすることができる発電設備を提供することを目的とする。
【0010】
また
、出力が低下される発電設備に対して、効率の低下を抑制して出力を高めるための運転を補助す
る外部発電設備を提供する
ことができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の発電設備は、電力系統に接続される並列、前記電力系統から遮断される解列が選択されて運転され、蒸気タービンの駆動により電力を得る第1発電手段と、
前記電力系統に接続される前記第1発電手段とは独立して所望の需要負荷に電力を供給し、発電機器による発電の排熱により蒸気を発生させる蒸気発生手段を備え、前記第1発電手段が前記電力系統に対して解列された時に、前記蒸気発生手段で発生した蒸気を前記蒸気タービンに供給して前記蒸気タービンの暖機を行う外部発電手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項1に係る本発明では、発電を行う外部発電手段により蒸気を発生させ、発生させた蒸気を第1発電手段の蒸気タービンに供給して蒸気タービンの暖機を実施することができる。このため、第1発電手段では、暖機のための燃料を必要とせず、別途発電を行っている外部発電手段の排熱を利用して、電力系統に対して解列の状態にある第1発電手段を短時間で出力を高めて、電力系統に並列させる状態にすることができる。
【0013】
このため、電力系統に対して並列、解列が選択される発電設備であって、解列の状態の時に、効率を低下させることなく短時間で出力を高めて並列の状態にすることが可能になる。
【0014】
そして、請求項2に係る本発明の発電設備は、請求項1に記載の発電設備において、前記第1発電手段は、燃料を投入して蒸気を発生させるボイラと、前記ボイラで発生した蒸気が導入されて駆動力を得る前記蒸気タービンと、前記蒸気タービンの排気蒸気が冷却されて凝縮水を得る復水手段と、前記復水手段で得られた凝縮水を前記ボイラに循環させる循環路とを有し、前記蒸気タービンは、前記外部発電手段の前記蒸気発生手段からの蒸気が導入される低圧蒸気タービンを有していることを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る本発明では、ボイラで発生した蒸気が導入されて駆動力を得る低圧蒸気タービンを備えた火力発電設備において、外部発電手段により蒸気を発生させた蒸気により低圧蒸気タービンの暖機運転を行うことができる。
【0016】
また、請求項3に係る本発明の発電設備は、請求項2に記載の発電設備において、前記ボイラの燃料は石炭であり、前記外部発電手段による発電の排熱の一部により前記石炭を乾燥させることを特徴とする。
【0017】
請求項3に係る本発明では、外部発電手段による発電の排熱の一部で、ボイラの燃料である石炭を乾燥させることができる。例えば、外部発電手段としてガスエンジンを適用した場合、ガスエンジンの排気ガス中には酸素がほとんど存在しないため、排熱により石炭を乾燥させても発火することがない。
【0018】
また、請求項4に係る本発明の発電設備は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発電設備において、前記外部発電手段の発電機器は、ガスエンジンであり、前記外部発電手段の蒸気発生手段は、前記ガスエンジンの排熱により蒸気を発生させる排熱回収ボイラであることを特徴とする。
【0019】
請求項4に係る本発明では、ガスエンジンの排熱により蒸気を発生させ、第1発電手段の蒸気タービンに供給することができる。
【0020】
また、請求項5に係る本発明の発電設備は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発電設備において、前記電力系統には、再生可能エネルギー発電設備が接続され、前記第1発電手段は、前記再生可能エネルギー発電設備の出力で前記電力系統の要求電力の発電が行われている時に、前記電力系統から解列されることを特徴とする。
【0021】
請求項5に係る本発明では、再生可能エネルギー発電設備の出力で電力系統の要求電力の発電が行われている時に、第1発電手段が電力系統から解列され、再生可能エネルギー発電設備の出力が低下した際に(脱落した際に)、第1発電手段の出力を高めて電力系統に並列して要求電力を発電する。つまり、再生可能エネルギー発電設備の出力が低下(脱落)して第1発電手段の出力を高めて電力系統に並列にする際に、専用の燃料を用いずに暖機運転されている、即ち、発電電力を得ている外部発電手段による熱エネルギーが用いられて暖機運転されている第1発電手段の出力を、短時間で高めることができる。
【0022】
従って、自然環境により出力が変動する再生可能エネルギー発電設備が併用されている電力系統に電力を供給する第1発電手段であっても、暖機のための燃料を用いることなく待機運転を実施することができ、再生可能エネルギー発電設備の出力の低下(脱落)に対し、燃料使用効率を低下させることなく、第1発電手段の出力を高めて電力系統に並列させることができる。
【0023】
また、外部発電設備は、発電出力を得る発電手段と、前記発電手段による発電の排熱により蒸気を発生させる蒸気発生手段と、他の発電設備が所定出力以下で運転されている時に、前記蒸気発生手段で発生した蒸気を前記他の発電設備に供給して前記他の発電設備の機器の暖機を行わせる供給系とを備え
ることができる。
【0024】
これにより、他の発電設備が所定出力以下で運転されている時に、発生した蒸気を他の発電設備に供給して機器の暖機を行わせることができ、発電電力のエネルギーを生み出すと同時に、発電された電力以上のエネルギー価値(熱エネルギーによる暖機)を生み出すことができる。
【0025】
このため、出力が低下される発電設備に対して、効率の低下を抑制するための運転を補助することが可能になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の発電設備は、電力系統に対して並列、解列が選択される発電設備であって、解列の状態の時に、効率を低下させることなく短時間で出力を高めて並列の状態にすることが可能になる。
【0027】
また
、外部発電設備は、出力が低下される発電設備に対して、効率の低下を抑制して出力を高めるための運転を補助することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施例に係る発電設備の概略系統図である。
【
図3】電力の需要出力の経時変化を表すグラフである。
【
図4】電力の需要出力の経時変化を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1には本発明の一実施例に係る発電設備の全体の構成を説明する概略系統、
図2には第1発電手段である火力発電設備の概略系統、
図3には再生可能エネルギー発電設備による発電が充分な場合の電力の需要出力における電力供給分布を説明するグラフ、
図4には再生可能エネルギー発電設備による発電が不充分な場合の電力の需要出力における電力供給分布を説明するグラフを示してある。
【0030】
図1に示すように、発電設備1は、石炭を燃料とするボイラ2が備えられ、ボイラ2により生成された蒸気を駆動源とする蒸気タービン3が備えられている。蒸気タービン3により発電機4が駆動され、電力が得られるようになっている(第1発電手段)。
【0031】
また、発電設備1に対し、外部発電手段としてガスエンジン5が備えられ、ガスエンジン5により発電機6が駆動され、電力が得られるようになっている。ガスエンジン5の排気ガスの熱を回収する排熱回収ボイラ7が備えられ、排熱回収ボイラ7で発生した蒸気が蒸気タービン3に送られるようになっている(他の発電設備の機器の暖機を行わせる供給系)。
【0032】
発電設備1は複数系統に備えられ、発電設備1の発電機4で発電された電力は、開閉手段8を介して電力系統9に接続されている。ガスエンジン5の発電機6で発電された電力は、所望の需要負荷に供給される(電力系統9に供給される場合もある)。電力系統9からは外部の負荷10に電力が供給される。
【0033】
開閉手段8が閉状態の時に、第1発電手段は電力系統9に接続されて並列の状態になり、開閉手段8が開状態の時に、第1発電手段は電力系統9から遮断されて解列の状態になる。開閉手段8の操作により、第1発電手段は電力系統9に対して並列の状態と解列の状態が選択されて運転される。
【0034】
一方、電力系統9には、電力量検出手段15を介して再生可能エネルギー発電設備11からの電力が供給される。再生可能エネルギー発電設備11は、例えば、複数の太陽光発電手段12、複数の風力発電手段13が適用される。尚、再生可能エネルギー発電設備11の発電手段としては、水力、地熱、潮流、バイオマス燃料等、化石燃料を使用しない発電設備が適用される。
【0035】
発電設備1と再生可能エネルギー発電設備11は、多数の設備が並列して運用される。例えば、電力の需用状況により、夏季の日中は、再生可能エネルギー発電設備11による電力が主に電力系統9に供給されて負荷10の電力(要求電力)が賄われる。この場合、開閉手段8は開状態にされ、発電設備1の発電機4は電力系統9から解列された状態にされている。
【0036】
電力量検出手段15により電力の低下が検出されて、再生可能エネルギー発電設備11の出力が脱落したと判断された際には、開閉手段8が閉状態にされて発電設備1の発電機4の電力が電力系統9に供給され(発電設備1が並列の状態にされ)、負荷10の電力(要求電力)が発電設備1からの電力で賄われる。
【0037】
このため、発電設備1は、再生可能エネルギー発電設備11の発電出力に応じて、電力系統9に対し、並列の状態と解列の状態が選択して運転される。発電設備1を解列の状態から並列の状態にする場合、短時間で出力を高める必要があるため、発電設備1は、短時間で出力を高めることが可能な状態になっている。
【0038】
図2に基づいて、発電設備1を具体的に説明する。
【0039】
図2に示すように、ボイラ2には燃料として石炭(微粉炭)が投入され、石炭の燃焼により蒸気が生成される。蒸気タービン3は、高圧タービン21、中圧タービン22、低圧タービン23を備え、ボイラで発生した蒸気が蒸気タービン3に導入されて駆動力が得られる。蒸気タービン3の排気蒸気は復水器24で凝縮されて復水され、復水器24からの復水はボイラ2に給水される。
【0040】
一方、ガスエンジン5により発電機6が駆動され、ガスエンジン5の排気ガスの熱が排熱回収ボイラ7で回収される。復水器24からの復水の一部が排熱回収ボイラ7に送られ、排熱回収ボイラ7で発生した蒸気は低圧タービン23に供給可能とされている。また、ガスエンジン5の排気ガスの熱により、ボイラ2の燃料である石炭(微粉炭)が乾燥される。
【0041】
再生可能エネルギー発電設備11(
図1参照)の出力で負荷10の要求電力の発電が行われている時に、即ち、発電設備1が解列の状態の時に、ボイラ2の運転が停止され(停止とみなす運転状態とされ)、排熱回収ボイラ7で発生した蒸気が低圧タービン23に供給されて低圧タービン23が暖機運転される。
【0042】
図3、
図4に基づいて電力の需要(出力)の例を説明し、発電設備1、及び、再生可能エネルギー発電設備11の運転状況を具体的に説明する。
【0043】
図3に示すように、例えば、夏季の好天時では、再生可能エネルギー発電設備11による発電が充分になるので、朝から昼間、夕方にかけて、電力の需要(出力)に対する再生可能エネルギー発電設備11による発電の出力の割合が多くなる(図中網目で示してある)。この場合、発電設備1が電力系統9に対して解列の状態になり、朝から昼間にかけて、発電設備1による発電の割合が僅かとなる(図中斜線で示してある)。
【0044】
発電設備1による発電の出力の割合が僅かとなる(図中斜線で示してある)時間帯では、再生可能エネルギー発電設備11の出力で負荷10の要求電力の発電が行われる。この時、ボイラ2の運転が停止されて排熱回収ボイラ7で発生した蒸気が低圧タービン23に供給され、低圧タービン23が暖機運転されている。
【0045】
図4に示すように、例えば、12時頃に天気が急変して、再生可能エネルギー発電設備11による発電が不十分になった場合、即ち、電力量検出手段15により電力の低下が検出されて、再生可能エネルギー発電設備11の出力が脱落したと判断された際には、発電設備1による発電の出力の割合を急激に増加させて(発電設備1を電力系統9に並列の状態にして)図中網目で示してある割合を低くする必要がある。
【0046】
発電設備1における蒸気タービン3の低圧タービン23は、電力系統9に対して解列の状態にある時に暖機運転されているため、ボイラ2の運転を再開して蒸気を投入することにより、短時間で蒸気タービン3の出力を上昇させることができる。そして、電力系統9に対して並列の状態にすることができる。
【0047】
つまり、再生可能エネルギー発電設備11の出力で要求電力の発電が行われている時に、発電設備1は電力系統9から解列された状態で暖機運転されている。再生可能エネルギー発電設備11の出力が低下して脱落した際に、発電設備1の出力を短時間で高め、電力系統9に対して並列状態にして要求電力が電力系統9に供給される。
【0048】
発電設備1は、発電電力を得ているガスエンジン5による熱エネルギーが用いられて暖機運転されているので、専用の燃料を用いずに暖機運転させることができ、再生可能エネルギー発電設備11の出力が脱落し、発電設備1を電力系統9に対して並列にする際に、効率を低下させることなく短時間で出力を高めることができる。
【0049】
発電設備1は、短時間で出力を高めることが可能な状態で、電力系統9に対して解列の状態とされているため、再生可能エネルギー発電設備11による発電が脱落した場合、必要な需要(出力)に対する電力を短時間で得て電力系統9に対して並列の状態にすることができる。
【0050】
従って、自然環境により出力が低下(脱落)する再生可能エネルギー発電設備11が接続される電力系統9に用いられ、再生可能エネルギー発電設備11で要求電力を賄っている場合には解列の状態にされる発電設備1であっても、暖機のための燃料を用いることなく待機運転を実施することができ、再生可能エネルギー発電設備11の脱落に対し、燃料使用効率を低下させることなく、短時間で出力を高めて電力系統9に対して並列の状態にすることが可能になる。
【0051】
上述した構成の発電設備1では、別途発電を行うガスエンジン5により蒸気を発生させ、発生させた蒸気を蒸気タービン3の低圧タービン23に供給して蒸気タービン3の暖機を実施することができる。このため、発電設備1では、暖機のための燃料を必要とせず、別途発電を行っているガスエンジン5の排熱を利用して、発電設備1の出力を高めることができる。
【0052】
従って、電力系統9に対して並列、解列が選択される発電設備であって、効率を低下させることなく短時間で出力を高めて電力系統9に対して並列の状態にすることが可能になる。
【0053】
そして、ガスエンジン5の排熱の一部で、ボイラ2の燃料である石炭を乾燥させることができるので、酸素がほとんど存在しない排熱により、発火の虞がない状態で石炭を乾燥させることができる。
【0054】
外部発電設備である、ガスエンジン5、発電機6、排熱回収ボイラ7は、他の発電設備であるボイラ2、蒸気タービン3、発電機4が、電力系統9に対して解列の状態にされている時に(所定出力以下で運転されている時に)、発生した蒸気を蒸気タービン3に供給し機器の暖機を行わせることができる。このため、自身で発電電力のエネルギーを生み出すと同時に、発電された電力以上のエネルギー価値(熱エネルギーによる暖機)を生み出すことができる。
【0055】
このため、出力が低下される発電設備に対して、効率の低下を抑制して出力を高めるための運転を補助することが可能になる。
【0056】
尚、外部発電設備としては、ガスエンジン5に限らず、マイクロガスタービン、燃料電池発電機等、他の発電設備を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、電力系統に対して並列、解列が選択される発電設備であって、解列の状態の時に、効率を低下させることなく短時間で出力を高めて並列の状態にすることができる発電設備の産業分野で利用することができる。
【0058】
また、本発明は、出力が低下される発電設備に対して、効率の低下を抑制して出力を高めるための運転を補助することができる外部発電設備の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 発電設備
2 ボイラ
3 蒸気タービン
4、6 発電機
5 ガスエンジン
7 排熱回収ボイラ
8 開閉手段
9 電力系統
10 負荷
11 再生可能エネルギー発電設備
12 太陽光発電手段
13 風力発電手段
15 電力量計測手段
21 高圧タービン
22 中圧タービン
23 低圧タービン
24 復水器