(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シールキャップが前記炉口部に接続した時、前記シールキャップへ向う配管内の開閉弁が開けられ、前記他のガス供給管内の開閉弁が閉じられ、前記ガス供給管、前記ガス導入管、前記ガスポート迄連通される様構成されている請求項9に記載の基板処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0012】
先ず、
図1、
図2に於いて、本発明の実施例に係る基板処理装置1及び反応炉2について説明する。尚、本発明に於ける基板処理装置1は、半導体装置の製造に使用される半導体製造装置の一例として構成されるものである。
【0013】
図1に示す様に、筐体3内部の前面側には、図示しない外部搬送装置との間で基板収納容器としてのカセット4の授受を行う基板収納容器授受部材としてのカセットステージ5が設けられている。該カセットステージ5の後側には昇降手段としてのカセットエレベータ6が設けられ、該カセットエレベータ6には搬送手段としてのカセット移載機7が取付けられている。カセットエレベータ6の後側には、カセット4の載置手段としてのカセット棚8が設けられ、該カセット棚8はスライドステージ9上に横行可能に設けられている。
【0014】
又、カセット棚8の上方にはカセット4の載置手段としてのバッファカセット棚11が設けられている。更に、該バッファカセット棚11の後側にはクリーンユニット12が設けられ、該クリーンユニット12はクリーンエアを筐体3の内部に流通させる様に構成されている。
【0015】
該筐体3の後部上方には、反応炉2が設けられている。該反応炉2内には、基板としてのウェーハ13に所定の処理を行う処理室14が形成されている。反応炉2の下側には、気密室(搬送エリア)としてのロードロック室15が仕切弁としてのゲートバルブ16により連設されている。ロードロック室15の前面には、カセット棚8と対向する位置に仕切手段としてのロードロックドア17が設けられている。又、ロードロック室15には、該ロードロック室15内に窒素ガス等のパージガスを導入する為のパージノズル18が設けられている。
【0016】
ロードロック室15内には、複数のウェーハ13を水平姿勢で多段に保持する基板保持具としてのボート19を、処理室14とロードロック室15との間で昇降させる昇降機構としてのボートエレベータ21が内設されている。該ボートエレベータ21には、蓋体としてのシールキャップ22が取付けられ、該シールキャップ22は、ボート19を垂直に支持している。ロードロック室15とカセット棚8との間には、図示しない昇降手段としての移載エレベータが設けられ、該移載エレベータには搬送手段としてウェーハ移載機23が取付けられている。
【0017】
尚、カセット移載機7等の搬送動作は、搬送制御手段24により制御される。
【0018】
次に、
図2に於いて、反応炉2の詳細について説明する。
【0019】
反応炉2は、アウタチューブ25からなる反応管と、ガス排気管26及びガス供給管27が接続されたマニホールド28と、該マニホールド28の下端に設けられた炉口部29を閉塞し処理室14を密閉するシールキャップ22と、図示しないヒータ素線と断熱部材とを有し、ウェーハ13を加熱するヒータ32等から構成される。
【0020】
アウタチューブ25、マニホールド28及びシールキャップ22等により、処理室14が構成される。
【0021】
ガス供給管27は、マニホールド28を側方から貫通し、アウタチューブ25内で上部迄延在して設けられている。ガス供給管27には、処理室14内に供給される処理ガスの流量を調整するメインバルブ33が設けられ、ガス供給管27はメインバルブ33の上流側で3股に分岐している。
【0022】
ガス供給管27aには、上流側から第1処理ガスを供給する第1のガス供給源34、ガス流量制御手段として第1MFC(マスフローコントローラ)35、第1バルブ36が設けられている。ガス供給管27bには、上流側から第2処理ガスを供給する第2のガス供給源37、第2MFC38、第2バルブ39が設けられている。ガス供給管27cには、上流側から第3処理ガスを供給する第3のガス供給源41、第3MFC42、第3バルブ43が設けられている。
【0023】
第1のガス供給源34から供給される第1の処理ガスとしての原料ガスは、例えばヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 、略称:HCDS)ガスであり、第2のガス供給源37から供給される第2の処理ガスとしての反応ガスは、例えばNH3 (アンモニア)ガスであり、第3のガス供給源41から供給される第3の処理ガスとしてのパージガスは、例えばN2 (窒素)ガスである。
【0024】
反応炉2に於いては、各処理ガスは、第1のガス供給源34、第2のガス供給源37、第3のガス供給源41から供給され、第1MFC35、第2MFC38、第3MFC42で流量調整され、第1バルブ36、第2バルブ39、第3バルブ43を介してガス供給管27内で混合された後、メインバルブ33を介してガス供給管27より処理室14の上部から導入される様になっている。
【0025】
主に、ガス供給管27a、第1のガス供給源34、第1MFC35、第1バルブ36により第1処理ガス供給系が構成される。又、主に、ガス供給管27b、第2のガス供給源37、第2MFC38、第2バルブ39により第2処理ガス供給系が構成される。又、主に、ガス供給管27c、第3のガス供給源41、第3MFC42、第3バルブ43により第3処理ガス供給系が構成される。
【0026】
尚、本明細書に於いて、処理ガスという言葉を用いた場合は、第1の処理ガスのみを含む場合、第2の処理ガスのみを含む場合、第3の処理ガスのみを含む場合、若しくはそれら全てを含む場合がある。又、処理ガス供給系という言葉を用いた場合は、第1の処理ガス供給系のみを含む場合、第2の処理ガス供給系のみを含む場合、第3の処理ガス供給系のみを含む場合、若しくはそれら全てを含む場合がある。
【0027】
マニホールド28には、ガス排気管26が連通して設けられている。該ガス排気管26には、処理室14内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ44、及び圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ45を介して真空排気装置としての真空ポンプ46が接続されており、処理室14内の圧力が所定の圧力(真空度)となる様真空排気し得る様に構成されている。
【0028】
真空ポンプ46の下流側のガス排気管26は、廃ガス処理装置(図示せず)等に接続されている。尚、APCバルブ45は、弁を開閉して処理室14内の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調節してコンダクタンスを調整して処理室14内の圧力調整をできる様になっている開閉弁である。主に、ガス排気管26、圧力センサ44、APCバルブ45により排気系が構成される。尚、真空ポンプ46も排気系に含めてもよい。
【0029】
又、ボート19の回転軸47及びボート回転機構31の下端には、後述するボート内流路と連通するガスポート48(
図4、
図5参照)が形成され、該ガスポート48にガス導入管49の先端(下流端)が接続されている。該ガス導入管49の基端(上流端は、シールキャップ22に下方から接続され、ガス導入管49の基端はシールキャップ22の上面に開口している。又、ガス導入管49には、開閉弁である第1ガスバルブ51が設けられている。
【0030】
マニホールド28の下面及び炉口部29には、第1ガス供給管52が上方から貫通して設けられている。該第1ガス供給管52の基端側(上流側)には、NH3 ガス等の反応ガスを供給する反応ガス供給源(図示せず)が接続され、該反応ガス供給源より反応ガスが供給される様になっている。又、第1ガス供給管52の先端(下流端)は炉口部29の下面に開口し、Oリング等の気密部材53を介してシールキャップ22により炉口部29が閉塞された際には、ガス導入管49と第1ガス供給管52とガスポート48とが気密に連通する様になっている。
【0031】
又、ガス導入管49の第1ガスバルブ51よりも下流側には、他のガス供給管である第2ガス供給管54が接続されている。該第2ガス供給管54には、開閉弁である第2ガスバルブ55が設けられ、該第2ガスバルブ55よりも基端側(上流側)でパージガス供給源(図示せず)と接続されている。該パージガス供給源からは、例えばN2 ガス等の不活性ガスが冷却用のパージガスとして供給される様になっている。
【0032】
即ち、ガス導入管49は2股に分岐し、分岐箇所よりも上流側にそれぞれ第1ガスバルブ51と第2ガスバルブ55が設けられている。第1ガスバルブ51と第2ガスバルブ55を介して、第1ガス供給管52からの反応ガスと第2ガス供給管54からのパージガスのいずれか一方がガスポート48に供給される様になっている。
【0033】
又、アウタチューブ25内には、後述する温度検出器としての温度センサ57(
図3参照)が設置されており、該温度センサ57により検出された温度情報に基づきヒータ32への供給電力を調整することで、処理室14内の温度が所望の温度分布となる様に構成されている。
【0034】
尚、
図2中、58は制御部としてのコントローラであり、ヒータ32、ボート回転機構31、第1MFC35、第2MFC38、第3MFC42、メインバルブ33、第1バルブ36、第2バルブ39、第3バルブ43、第1ガスバルブ51、第2ガスバルブ55、APCバルブ45、真空ポンプ46、ボートエレベータ21等の駆動を制御する様になっている。
【0035】
次に、
図3に於いて、コントローラ58の詳細について説明する。
【0036】
図3に示される様に、制御部(制御手段)であるコントローラ58は、CPU(Central Processing Unit)59、RAM(Random Access Memory)61、記憶装置62、I/Oポート63を備えたコンピュータとして構成されている。RAM61、記憶装置62、I/Oポート63は、内部バス64を介して、CPU59とデータ交換可能な様に構成されている。コントローラ58には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置65が接続されている。
【0037】
記憶装置62は、例えばEEPROM、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置62内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程に於ける各手順をコントローラ58に実行させ、所定の結果を得ることが出来る様に組合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書に於いてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、又は、その両方を含む場合がある。RAM61は、CPU59によって読出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0038】
I/Oポート63は、上述の第1MFC〜第3MFC35,38,42、メインバルブ33及び第1バルブ〜第3バルブ36,39,43、圧力センサ44、APCバルブ45、真空ポンプ46、ヒータ32、温度センサ57、ボート回転機構31、ボートエレベータ21、第1、第2ガスバルブ51,55等に接続されている。
【0039】
CPU59はコントローラ58の中枢を構成し、記憶装置62から制御プログラムを読出して実行すると共に、入出力装置65からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置62からプロセスレシピを読出す様に構成されている。CPU59は、読出したプロセスレシピの内容に沿う様に、第1MFC〜第3MFC35,38,42による各種ガスの流量調整動作、メインバルブ33、第1バルブ〜第3バルブ36,39,43、第1、第2ガスバルブ51,55の開閉動作、APCバルブ45の開閉動作及び圧力センサ44に基づくAPCバルブ45による圧力調整動作、真空ポンプ46の起動及び停止、温度センサ57に基づくヒータ32の温度調整動作、ボート回転機構31によるボート19の回転及び回転速度調節動作、ボートエレベータ21によるボート19の昇降動作等を制御する様に構成されている。
【0040】
コントローラ58は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)66に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより、構成することができる。記憶装置62や外部記憶装置66は、コンピュータ読取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書に於いて記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置62単体のみを含む場合、外部記憶装置66単体のみを含む場合、又は、その両方を含む場合がある。
【0041】
尚、コンピュータにプログラムを供給する為の手段は、外部記憶装置66を介して供給する場合に限らない。例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システム等により、外部記憶装置66を介さずにプログラムを供給する様にしてもよい。
【0042】
次に、
図4、
図5に於いて、ボート19の下部及びその周辺部の詳細について説明する。
【0043】
ボート回転機構31は、ボートエレベータ21に固定された支持部67と、2重管構造の回転軸47を有している。該回転軸47は、回転しない様固定構造となった中心軸69と、軸受71,72を介して支持部67と中心軸69の間で回転可能な構造となった外輪軸73とを有している。該外輪軸73の上端はボート19の底板74に固着され、図示しないモータにより駆動されるウォームギア75を介して外輪軸73とボート19とが一体に回転する様になっている。
【0044】
中心軸69には、該中心軸69を軸心方向に貫通する軸内流路76が形成され、該軸内流路76の下端はガスポート48と連通している。又、中心軸69の上端は、底板74の中心部下面に形成された孔(図示せず)に挿通されており、軸内流路76は、底板74内で該底板74に形成された底板内流路77と連通している。又、ボート19に設けられた複数の支柱78内にそれぞれ支柱内流路79が軸心方向に形成され、該支柱内流路79は底板内流路77と連通している。
【0045】
更に、支柱78には、高さ方向に所定ピッチでガス孔81が設けられ、該ガス孔81を介して支柱内流路79と外部とが連通する様になっている。尚、ガス孔81は、ボート19に保持されるウェーハ13の処理領域に対向する位置に設けられている。又、
図4又は
図5に示す様に、支柱内流路79は、支柱78毎に流路長が異なり、ガス孔81は、支柱78毎に設けられる高さが異なっている。但し、これらガス孔81、支柱内流路79の構成は、それぞれ
図4又は
図5に示す実施形態に限定されない。例えば、支柱内流路79は、支柱78毎に同じ構成でもよく、ガス孔81は、同様に、支柱78毎に同じ高さに設けられてもよい。要するに、ガス孔81の配置、支柱内流路79の構成は、それぞれ任意に決定される。又、ガス孔81の孔径も任意に決定されるのは言う迄もなく、例えば、同じ支柱78内のガス孔81についても同じ孔径である必要はなく、縦方向で異ならせてもよい。
【0046】
第1ガス供給管52、或は第2ガス供給管54よりガス導入管49に導入されたガスは、軸内流路76、底板内流路77、支柱内流路79内を流通し、ガス孔81を介してウェーハ13の表面に供給される様になっている。従って、軸内流路76、底板内流路77、支柱内流路79、ガス孔81を含むボート19からウェーハ13表面に直接ガスを供給できるので、例えば、不活性ガスを供給する様にすれば、酸化膜形成を抑制することができる。又、ガスを直接供給することができるので、パーティクルの巻き上げを抑制することができる。更に、処理後の基板の冷却の際に効率よく不活性ガスをウェーハ13に吹き付けることで、冷却効率を向上する。
【0047】
尚、外輪軸73と支持部67との間、中心軸69と外輪軸73との間には、それぞれ磁性流体シール82,83が設けられ、該磁性流体シール82,83により、外輪軸73と支持部67との間、中心軸69と外輪軸73との間が気密にシールされる。又、中心軸69と底板74についても流体シール(図示せず)が形成され、中心軸69と底板74との間が気密にシールされる。これにより、軸内流路76、底板内流路77、支柱内流路79、ガス孔81を含むボート19から該ボート19を回転させながらウェーハ13にガスを供給する様構成されている。よって、ウェーハ13表面全体に万遍なくガスを供給することができる。
【0048】
尚、ガスポート48、ガス導入管49、第1ガス供給管52、第2ガス供給管54、第1ガスバルブ51、第2ガスバルブ55等によりガス供給機構が構成される。尚、ガス供給機構は、ボート19を含む構成としてもよい。
【0049】
次に、
図6のシーケンス図を参照し、基板処理装置1を用い、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成する処理(以下、成膜処理ともいう)のシーケンス例について説明する。ここでは、基板としてのウェーハ13に対して、第1の処理ガス(原料ガス)と第2の処理ガス(反応ガス)とを交互に供給することで、ウェーハ13上に膜を形成する例について説明する。
【0050】
以下、原料ガスとしてヘキサクロロジシラン(Si2 Cl6 、略称:HCDS)ガスを用い、反応ガスとしてアンモニア(NH3 )ガスを用い、ウェーハ13上にシリコン窒化膜(Si3 N4 膜、以下SiN膜ともいう)を形成する例について説明する。尚、以下の説明に於いて、基板処理装置1を構成する各部の動作は、コントローラ58により制御される。
【0051】
本実施例に於ける成膜処理では、処理室14内のウェーハ13に対してHCDSガスを供給する工程と、処理室14内からHCDSガス(残留ガス)を除去する工程と、該処理室14内のウェーハ13に対してNH3 ガスを供給する工程と、処理室14内からNH3 ガス(残留ガス)を除去する工程と、をそれぞれ個別に行うサイクルを所定回数(1回以上)行うことで、ウェーハ13上にSiN膜を形成する。
【0052】
尚、本明細書では、上記した成膜シーケンスを、便宜上以下の様に示すこともある。又、以下の変形例や他の実施例の説明に於いても、同様の表記を用いることとする。
【0054】
本明細書に於いて、「ウェーハ」という言葉を用いた場合は、「ウェーハそのもの」を意味する場合や、「ウェーハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合、即ち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウェーハと称する場合がある。又、本明細書に於いて、「ウェーハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウェーハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウェーハ上に形成された所定の層や膜等の表面、即ち積層体としてのウェーハの最表面」を意味する場合がある。
【0055】
従って、本明細書に於いて、「ウェーハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウェーハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合や、「ウェーハ上に形成されている層や膜等に対して、即ち積層体としてのウェーハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合がある。又、本明細書に於いて、「ウェーハ上に所定の層(又は膜)を形成する」と記載した場合は、「ウェーハそのものの表面(露出面)上に所定の層(又は膜)を形成する」ことを意味する場合や、「ウェーハ上に形成されている層や膜等の上、即ち積層体としてウェーハの最表面の上に所定の層(又は膜)を形成する」ことを意味する場合がある。
【0056】
又、本明細書に於いて、「基板」という言葉を用いた場合も、「ウェーハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0057】
(ウェーハチャージ及びボートロード)
ウェーハチャージ工程では、複数枚のウェーハ13がボート19に装填(ウェーハチャージ)される。この時、第2ガスバルブ55が開放され、第2ガス供給管54よりN2 ガス(パージガス)が、ガス孔81より直接ウェーハ13の保持される領域に供給される様にしてもよい。
【0058】
又、ボートロード工程では、ボート19がボートエレベータ21により上昇され、ロードロック室15から処理室14内に搬入(ボートロード)される。シールキャップ22は、気密部材53を介して炉口部29を気密に閉塞(シール)した状態となり、ガス導入管49と第1ガス供給管52とが連通される。この時ボート19が上昇されてから、炉口部29がシールキャップ22に閉塞される迄の間第2ガスバルブ55が開放され、第2ガス供給管54よりN2 ガス(パージガス)が、軸内流路76、底板内流路77、支柱内流路79を通ってガス孔81よりウェーハ13に直接供給されている。
【0059】
又、ボートロード工程では、ボート回転機構31によるボート19及びウェーハ13の回転を開始する。即ち、ボート19及びウェーハ13が回転されながら上昇され、処理室14内に搬入される。この時、外輪軸73のみがボート19と一体に回転し、中心軸69が回転することはない。ボート回転機構31によるボート19及びウェーハ13の回転は、少なくとも該ウェーハ13に対する処理が終了する迄の間は継続して行われる。
【0060】
(圧力調整及び温度調整)
ボート19の処理室14内への搬入が完了すると、第2ガスバルブ55を閉塞し、処理室14内、即ちウェーハ13が存在する空間が所定の圧力(真空度)となる様に、真空ポンプ46によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室14内の圧力は、圧力センサ44で測定され、測定された圧力情報に基づきAPCバルブ45がフィードバック制御される。真空ポンプ46は、少なくともウェーハ13に対する処理が完了する迄の間は常時作動された状態を維持する。
【0061】
又、処理室14内のウェーハ13が所定の温度となる様に、ヒータ32によって加熱される。この際、処理室14内が所定の温度分布となる様に、温度センサ57が検出した温度情報に基づきヒータ32への通電具合がフィードバック制御される。該ヒータ32による処理室14内の加熱は、少なくともウェーハ13に対する処理が終了する迄の間は継続して行われる。
【0062】
(成膜処理)
処理室14内の温度が予め設定された処理温度に安定すると、次の2つのステップ、即ちステップ1〜ステップ2を順次実行する。
【0063】
[ステップ1]
このステップでは、処理室14内のウェーハ13に対し、HCDSガスを供給する。
【0064】
先ず、第1バルブ36及びメインバルブ33を開放し、ガス供給管27内にHCDSガスを供給する。HCDSガスは、第1MFC35により流量調整され、ガス供給管27より処理室14内に供給され、ガス排気管26から排気される。
【0065】
この時、第1バルブ36と同時に第3バルブ43を開き、ガス供給管27内へN2 ガスを流す。N2 ガスは、第3MFC42により流量調整され、HCDSガスと共に処理室14内へと供給され、ガス排気管26から排気される。ウェーハ13に対してHCDSガスを供給することにより、ウェーハ13の最表面に、第1の層として、例えば1原子層未満から数原子層の厚さのシリコン(Si)含有層が形成される。
【0066】
又、第1ガスバルブ51及び第2ガスバルブ55は閉塞されており、ガス孔81からのガスの供給は停止されている。尚、HCDSガスがガス孔81を介して支柱78に侵入するのを防止する為に、第2ガスバルブ55を開き、N2 ガスを供給することは可能である。
【0067】
第1の層が形成された後、第1バルブ36を閉じ、HCDSガスの供給を停止する。この時、APCバルブ45は開いたままとし、真空ポンプ46により処理室14内を真空排気し、該処理室14内に残留する未反応若しくは第1の層の形成に寄与した後のHCDSガスを処理室14内から排気する。又この時、第2ガスバルブ55を開放すると共に第3バルブ43を開いたままとし、N2 ガスの処理室14内への供給を維持する。不活性ガスであるN2 ガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室14内に残留するガスを該処理室14内から排出する効果を高めることができる。特に、ウェーハ13表面のHCDSガス(残留ガス)を除去する効果が期待できる。
【0068】
この時、処理室14内に残留するガスを完全に排出しなくてもよく、該処理室14内を完全にパージしなくてもよい。該処理室14内に残留するガスが微量であれば、その後に行われるステップ2に於いて悪影響が生じることはない。更に、処理室14内へ供給するN2 ガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、アウタチューブ25(処理室14)の容積と同程度のN2 ガスを供給することで、ステップ2に於いて悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。この様に、処理室14内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができ、N2 ガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0069】
[ステップ2]
ステップ1が終了した後、処理室14内のウェーハ13、即ち該ウェーハ13上に形成された第1の層に対してNH3 ガスを供給する。NH3 ガスは、熱で活性化されてウェーハ13に対して供給されることとなる。
【0070】
このステップでは、第2バルブ39を開放し、第2MFC38により流量調整しつつガス供給管27内にNH3 ガスを供給すると共に、第2ガスバルブ55を閉塞し、第1ガスバルブ51を開放してガス導入管49内にNH3 ガスを供給する。NH3 ガスが、ガス供給管27、及びガス孔81を介して処理室14内へと供給され、ガス排気管26から排気される過程で、ウェーハ13に対してNH3 ガスが供給されることとなる。尚、本実施の形態に於いて、各支柱78に設けられたガス孔81の位置をそれぞれ異ならせることで、各ウェーハ13間のNH3 ガスを均等に供給することを可能としている。
【0071】
該ウェーハ13に対して供給されたNH3 ガスは、ステップ1でウェーハ13上に形成された第1の層、即ちSi含有層の少なくとも一部と反応する。これにより、第1の層はノンプラズマで熱的に窒化され、Si及びNを含む第2の層、即ちシリコン窒化層(SiN)層へと変化させられる(改質される)。尚、この時、プラズマ励起させたNH3 ガスをウェーハ13に対して供給し、第1の層をプラズマ窒化することで、第1の層を第2の層(SiN層)へと変化させる様にしてもよい。
【0072】
第2の層が形成された後、第2バルブ39及び第1ガスバルブ51を閉じ、NH3 ガスの供給を停止する。その後、第3バルブ43及び第2ガスバルブ55を開放し、ステップ1と同様の処理手順により、処理室14内に残留する未反応若しくは第2の層の形成に寄与した後のNH3 ガスや反応副生成物を処理室14内から排出する。この時、該処理室14内に残留するガス等を完全に排出しなくてもよい点は、ステップ1と同様である。
【0073】
(所定回数実施)
上述した2つのステップを非同時に、即ち同期させることなく行うサイクルを所定回数(n回)行うことにより、ウェーハ13上に所定組成及び所定膜厚のSiN膜を形成することができる。尚、上述したサイクルは複数回繰返すのが好ましい。即ち、上述のサイクルを1回行なう際に形成される第2の層(SiN層)の厚さを所定の膜厚よりも小さくし、第2の層(SiN層)を積層することで形成されるSiN膜の膜厚が所定の膜厚になる迄上述のサイクルを複数回繰返すのが好ましい。
【0074】
成膜処理を行なう際の処理条件としては、例えば、
処理温度(ウェーハ温度):250℃〜700℃、
処理圧力(処理室内圧力):1Pa〜4000Pa、
HCDSガス供給流量:1sccm〜2000sccm、
NH3 ガス供給流量:100sccm〜10000sccm、
N2 ガス供給流量:100sccm〜10000sccm、
が例示される。それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内にある値に設定することで、成膜処理を適正に進行させることが可能となる。
【0075】
(パージ及び大気圧復帰)
成膜処理が完了した後、第3バルブ43を開放し、ガス供給管27からN2 ガスを処理室14内へ供給すると共に、第2ガスバルブ55を開放し、ガス孔81よりN2 ガスを処理室14内へ供給し、ガス排気管26から排気する。N2 ガスはパージガスとして作用する。これにより、処理室14内がパージされ、該処理室14内に残留するガスや反応副生成物が該処理室14内から除去される(パージ)。その後、該処理室14内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、該処理室14内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0076】
(ボートアンロード及びクーリング、ウェーハディスチャージ)
ボートアンロード工程では、該処理室14の大気圧復帰後、ボートエレベータ21によりシールキャップ22が降下され、炉口部29が開口される。この時、第2ガスバルブ55が開放され、ガス孔81よりN2 ガスが供給されている。そして、処理済みのウェーハ13がボート19に支持された状態で、炉口部29よりアウタチューブ25の外部(ロードロック室15)へと搬出される。
【0077】
又この時、ボート19及びウェーハ13は、ボート回転機構31により継続して回転されている。即ち、ウェーハ13の表面全体に直接N2 ガスが供給された状態で、ボート19が回転されながら降下される。従って、ウェーハ13の表面に大気が極力触れることがなく、該ウェーハ13の表面に対する酸化膜の生成が抑制される。
【0078】
該ウェーハ13を搬送可能な温度迄冷却させるクーリング工程では、ボート回転機構31によるボート19の回転、及びガス孔81からウェーハ13の表面へのN2 ガスの供給が継続して行われており、冷却時間が短縮されると共にウェーハ13表面に酸化膜が生成されるのを抑制することができる。クーリング工程が終了すると、即ちウェーハ13の温度が搬送可能な温度迄冷却されると、ボート19の回転が停止される。
【0079】
最後に、ウェーハディスチャージ工程に於いて、処理済みのウェーハ13がボート19より取出された後、第2ガスバルブ55が閉塞されてガス孔81からのN2 ガスの供給が停止され、ウェーハ13の成膜処理が終了する。尚、ウェーハディスチャージ工程前に、第2ガスバルブ55を閉塞し、ガス孔81からのN2 ガスの供給を停止する様にしても構わない。
【0080】
上述の様に、本実施例では、回転軸47、底板74、支柱78にそれぞれ軸内流路76、底板内流路77、支柱内流路79を形成し、軸内流路76、底板内流路77、支柱内流路79を流通したガス(例えば、N2 ガス)を、支柱78に形成されたガス孔81を介してウェーハ13に直接噴射させる構成としている。
【0081】
従って、ボートロード工程、ボートアンロード工程、即ちボート19の搬入及び搬出時に於いて、ウェーハ13の表面に大気が触れることがなく、該ウェーハ13の表面に酸化膜が形成されるのを抑制することができる。
【0082】
(本実施形態による効果)
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0083】
(a)ボート19の周囲が大気雰囲気であったとしても、ロードロック室15内の雰囲気を不活性ガスで置換し、低酸素濃度雰囲気とする際に、不活性ガスの使用量を低減できると共に、置換時間を短縮させることができ、ウェーハ13に不純物が付着するのを防止できる。更に、ウェーハ13の表面に酸化膜が形成されるのを抑制することができる。
【0084】
(b)不活性ガスがウェーハ13に直接噴射される様構成することで、不活性ガスの噴出口とウェーハ13との距離が近くなる。従って、クーリング工程に於いて、冷却効率を向上させ、ウェーハ13の冷却時間を短縮させることができる。又、不活性ガスをウェーハ13に直接噴射させる様にすることで、不活性ガスの流量を低減させることができ、パーティクルの巻上げを防止することができる。更に、ウェーハ13に微量の付着物が付着していても吹き飛ばすことができ、又、ウェーハ13の付着物防止にもなる。
【0085】
(c)回転軸47を中心軸69と外輪軸73の2重管構造とし、固定的に設けられた中心軸69に対して、外輪軸73を回転可能としているので、支柱78のガス孔81からガスを供給しつつ、ボート19を回転させることが可能となり、ウェーハ13表面に供給されるガスを均等に調整することができるのでウェーハ13に生成される膜の品質向上を図ることができる。
【0086】
(d)ガス孔81が形成される高さ位置を、支柱78毎に異ならせているので、各ウェーハ13に対して均一なガスの供給が可能となり、各ウェーハ13に生成される膜の品質を均等にすることができる。
【0087】
(e)上述の効果は、原料ガスとしてHCDSガス以外のガスを用いる場合や、反応ガスとしてNH3 ガス以外のガスを用いる場合や、パージガスとしてN2 ガス以外の不活性ガスを用いる場合にも、同様に得ることができる。
【0088】
(他の実施形態)
尚、本実施形態では、ガス孔81を介してウェーハ13に各種ガスを供給する構成としているが、ガス孔81を介して処理室14内の雰囲気を排気する様にしてもよい。この場合、第1ガスバルブ51、第2ガスバルブ55の下流側で、ガス導入管49に排気管を接続し、第1ガスバルブ51、第2ガスバルブ55を閉塞した状態で、排気管に設けられた排気機構を作動させればよい。よって、ウェーハ13の残留ガス影響が効率よく除かれることが期待されるので、ウェーハ13の膜の品質向上が期待でき、更に、スループット向上が期待される。
【0089】
本実施形態では、ガス供給管27からの各種ガスの供給と、ガス孔81からの各種ガスの供給とを並行して行っているが、更に、第1ガス供給管52から原料ガスを供給する様に構成してもよい。この場合、ガス供給管27と第1ガス供給管52の両方からHCDSガス、NH3 ガス、N2 ガスを選択的に供給できるので、ウェーハ13に形成される膜の品質向上が期待できる。一方、ガス孔81からのみ各種ガスを供給する様にしてもよい。この場合、第1ガス供給管52を上流側で分岐させ、該第1ガス供給管52からHCDSガス、NH3 ガス、N2 ガスを選択的に供給できる様にすればよい。この場合には、ガス供給管27等を省略することができ、装置構成の簡略化を図ることができる。
【0090】
更に、ガス孔81からのみ各種ガスを供給可能とすると共に、該ガス孔81から処理室14内の雰囲気を排気可能な構成とすることで、ガス排気管26等も省略可能となり、装置構成をより簡略化させることができる。
【0091】
以上、本発明の実施例を具体的に説明した。然し乍ら、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、基板としてのウェーハ13に対して、原料ガスと反応ガスとを同時に供給して、ウェーハ13上に膜を形成してもよいのは言う迄もない。
【0092】
例えば、上述の実施例では、原料ガスとしてHCDSガスを用いる例について説明したが、本発明はこの様な態様に限定されるものではない。例えば、原料ガスとしては、HCDSガスの他、モノクロロシラン(SiH3 HCl、略称:MCS)ガス、ジクロロシラン(SiH2 Cl2 、略称:DCS)ガス、トリクロロシラン(SiHCl3 、略称:TCS)ガス、テトラクロロシラン即ちシリコンテトラクロライド(SiCl4 、略称:STC)ガス、オクタクロロトリシラン(Si3 Cl8 、略称:OCTS)ガス等の無機系ハロシラン原料ガスや、トリスジメチルアミノシラン(Si[N(CH3 )2 ]3 H、略称:3DMAS)ガス、テトラキスジメチルアミノシラン(Si[N(CH3 )2 ]4 、略称:4DMAS)ガス、ビスジエチルアミノシラン(Si[N(C2 H5 )2 ]2 H2 、略称:BDEAS)ガス、ビスターシャリブチルアミノシラン(SiH2 [NH(C4 H9 )]2 、略称:BTBAS)ガス等のハロゲン基非含有のアミノ系(アミン系)シラン原料ガスを用いることができる。又、原料ガスとしては、モノシラン(SiH4 、略称:MS)ガス、ジシラン(Si2 H6 、略称:DS)ガス、トリシラン(Si3 H8 、略称:TS)ガス等のハロゲン基非含有の無機系シラン原料ガスを用いることができる。
【0093】
又、例えば、上述の実施例では、反応ガスとしてNH3 ガスを用いる例について説明したが、本発明に於ける反応ガスはNH3 ガスに限られるものではない。例えば、反応ガスとしては、NH3 ガスの他、ジアゼン(N2 H2 )ガス、ヒドラジン(N2 H4 )ガス、N3 H8 ガス等の窒化水素系ガスや、これらの化合物を含むガス等を用いることができる。又、反応ガスとしては、トリエチルアミン((C2 H5 )3 N、略称:TEA)ガス、ジエチルアミン((C2 H5 )2 NH、略称:DEA)ガス、モノエチルアミン(C2 H5 NH2 、略称:MEA)ガス等のエチルアミン系ガスや、トリメチルアミン((CH3 )3 N、略称:TMA)ガス、ジメチルアミン((CH3 )2 NH、略称:DMA)ガス、モノメチルアミン(CH3 NH2 、略称:MMA)ガス等のメチルアミン系ガスを用いることができる。又、反応ガスとしては、トリメチルヒドラジン((CH3 )2 N2 (CH3 )H、略称:TMH)ガス等の有機ヒドラジン系ガス等を用いることができる。
【0094】
又、例えば、上述の実施例では、原料ガスとしてHCDSガスを用い、反応ガスとしてNH3 ガスの様な窒素(N)含有ガス(窒化ガス)を用い、SiN膜を形成する例について説明したが、本発明はこの様な態様に限定されるものではない。例えば、これらの他、若しくはこれらに加え、酸素(O2 )ガス等の酸素(O)含有ガス(酸化ガス)、プロピレン(C3 H6 )ガス等の炭素(C)含有ガス、三塩化硼素(BCl3 )ガス等の硼素(B)含有ガス等を用い、SiO膜、SiON膜、SiOCN膜、SiOC膜、SiCN膜、SiBN膜、SiBCN膜等を形成することができる。尚、各ガスを流す順番は適宜変更することができる。
【0095】
尚、本実施例に於ける基板処理装置1は、半導体製造装置だけではなく、LCD装置の様なガラス基板を処理する装置でも適用可能である。
【0096】
又、上述の実施例では、ウェーハ13上に膜を堆積させる例について説明したが、本発明はこの様な態様に限定されるものではない。例えば、ウェーハ13や該ウェーハ13上に形成された膜等に対し、酸化処理、拡散処理、アニール処理、エッチング処理等の処理を行う場合にも、本実施例の基板処理装置1を好適に適用可能であるのは言う迄もない。
【0097】
(本発明の好ましい態様)
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0098】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
複数の基板が保持される基板保持具と、該基板保持具が搬入及び搬出される処理室と、前記基板保持具に設けられたガス孔から不活性ガスを前記基板に供給する様構成されるガス供給機構と、前記基板保持具を回転させる回転機構と、前記ガス供給機構、前記回転機構をそれぞれ制御し、前記基板保持具の搬入及び搬出のうち少なくともどちらか一方に於いて、前記基板保持具を回転させながら前記基板保持具に設けられた前記ガス孔から不活性ガスを前記基板に供給する様制御する制御部とを備えた基板処理装置が提供される。
【0099】
(付記2)
付記1に記載の基板処理装置に於いて、好ましくは、
前記ガス孔は、前記基板が処理される基板処理領域に対向する位置に複数設けられている。
【0100】
(付記3)
付記2に記載の基板処理装置に於いて、好ましくは、
前記ガス孔は、前記支柱毎に高さが異なる位置に設けられている。
【0101】
(付記4)
付記1に記載の基板処理装置に於いて、好ましくは、
前記基板保持具を昇降させる昇降機構を有し、該昇降機構により前記基板保持具と共に昇降し、前記反応炉の下側を開閉するシールキャップを更に設け、該シールキャップの下側に設けられる前記回転機構は、前記不活性ガスを前記基板保持具に供給する為に固定されている固定軸と、前記基板保持具を回転させる回転軸とを有する様に構成される。
【0102】
(付記5)
付記4に記載の基板処理装置に於いて、好ましくは、
前記回転機構の下側にガスポートを更に備え、該ガスポートから供給されるガスは、前記固定軸内の空間を介して前記基板保持具の支柱に設けられたガス孔に供給される様に構成されている。
【0103】
(付記6)
付記5に記載の基板処理装置に於いて、好ましくは、
前記処理室と前記シールキャップとの間を連結する炉口部を更に有し、前記ガスポートにガス導入管の先端を接続し、該ガス導入管の基端を前記シールキャップの上面に開口する様上向きに設け、前記炉口部側にガス供給管を設け、該ガス供給管の先端開口を、前記シールキャップが前記炉口部に接続された際に前記ガス導入管の基端開口と気密に連通する位置に下向きに設ける様構成されている。
【0104】
(付記7)
付記6に記載の基板処理装置に於いて、好ましくは、
前記ガス導入管は、前記シールキャップへ向う配管と他のガス供給管に分岐されており、それぞれの管に開閉弁が設けられている。
【0105】
(付記8)
付記7に記載の基板処理装置に於いて、好ましくは、
前記シールキャップが前記炉口部に接続した時、前記シールキャップへ向う配管内の開閉弁が開けられ、前記他のガス供給管内の開閉弁が閉じられ、前記ガス供給管、前記ガス導入管、前記ガスポート迄連通される様構成されている。
【0106】
(付記9)
付記7に記載の基板処理装置に於いて、好ましくは、
前記基板保持具が昇降機構により前記処理室から搬出及び該処理室へ搬入している間、前記シールキャップへ向う配管内の開閉弁が閉じられ、前記他のガス供給管内の開閉弁が開けられ、該他のガス供給管、前記ガス導入管、前記ガスポート迄連通される様構成されている。
【0107】
(付記10)
付記8又は付記9に記載の基板処理装置に於いて、好ましくは、
前記他のガス供給管から供給されるガスは不活性ガスであり、前記ガス供給管から供給されるガスは反応ガスである。
【0108】
(付記11)
付記1に記載の基板処理装置に於いて、好ましくは、
前記制御部は、複数の基板を保持した状態で基板保持具が処理室内に搬入された状態で、前記基板保持具を回転させながら前記基板保持具に設けられたガス孔から反応ガスを前記基板に供給する様構成されている。
【0109】
(付記12)
本発明の他の態様によれば、
支柱に刻設された溝に複数の基板が保持された状態で、処理室に搬入及び該処理室から搬出される基板保持具であって、前記処理室への搬入及び前記処理室からの搬出のうち少なくともどちらか一方に於いて、前記支柱に設けられたガス孔から所定のガスを前記基板に供給する様構成された基板保持具が提供される。
【0110】
(付記13)
本発明の更に他の態様によれば、
複数の基板を保持した状態で基板保持具を処理室内に搬入する工程と、該処理室内の前記基板を処理する工程と、前記基板を処理した後前記基板保持具を前記処理室内から搬出する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、前記搬入する工程と前記搬出する工程の少なくともどちらか一方に於いて、前記基板保持具を回転させながら前記基板保持具に設けられたガス孔から不活性ガスを前記基板に供給する半導体装置の製造方法が提供される。
【0111】
(付記14)
付記13に記載の半導体装置の製造方法に於いて、好ましくは、
基板を処理する工程では、前記基板保持具を回転させながら前記基板保持具に設けられたガス孔から反応ガスを前記基板に供給する。
【0112】
(付記15)
本発明の更に他の態様によれば、コンピュータに、
複数の基板を保持した状態で基板保持具を処理室内に搬入する手順と、該処理室内の前記基板を処理する手順と、前記基板を処理した後前記基板保持具を前記処理室内から搬出する手順とを実行させるプログラムであって、前記搬入する手順と前記搬出する手順の少なくともどちらか一方に於いて、前記基板保持具を回転させながら前記基板保持具に設けられたガス孔から不活性ガスを前記基板に供給させるプログラムが提供される。
【0113】
(付記16)
本発明の更に他の態様によれば、コンピュータに、
複数の基板を保持した状態で基板保持具を処理室内に搬入する手順と、該処理室内の前記基板を処理する手順と、前記基板を処理した後前記基板保持具を前記処理室内から搬出する手順とを実行させるプログラムが記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体であって、前記搬入する手順と前記搬出する手順の少なくともどちらか一方に於いて、前記基板保持具を回転させながら前記基板保持具に設けられたガス孔から不活性ガスを前記基板に供給させるプログラムを格納するコンピュータ読取可能な記憶媒体が提供される。
【0114】
(付記17)
本発明の更に他の態様によれば、
複数の基板を保持した状態で基板保持具を処理室内に搬入する工程と、前記基板を処理した後前記基板保持具を前記処理室内から搬出する工程の少なくともどちらか一方に於いて、前記基板保持具を回転させながら前記基板保持具に設けられたガス孔から不活性ガスを前記基板に供給するガス供給方法が提供される。