(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の方法は、さらに、処理ガスを前記下側サブチャンバに供給し、前記処理ガスを前記除去すべき材料と反応させ、酸化物、窒化物、水素化物、塩化物、フッ化物、有機金属錯体、またはそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む除去すべき反応層を形成することを備える、方法。
請求項11に記載の方法において、(c)において前記エッチャントガスは、反応して、Fe、Mn、Ni、Mg、Pt、Pd、Co、Ru、Cu、Ir、およびそれらの組合せからなる群から選択される金属をエッチングする、方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本出願において、用語「半導体ウェハ」、「ウェハ」、「基板」、「ウェハ基板」、および「部分製造された集積回路」は、交換可能に使用される。用語「部分製造された集積回路」は、ウェハ上での集積回路製造の多くの段階のうちの任意の段階中のシリコンウェハを表すことができることを当業者は理解されよう。半導体デバイス産業で使用されるウェハまたは基板は、典型的には、直径が200mm、300mm、または450mmである。以下の詳細な説明は、本発明がウェハ上で実施されると仮定する。しかし、本発明は、それに限定されない。ワークピースは、様々な形状、サイズ、および材料のものでよい。本発明を利用することができる他のワークピースは、半導体ウェハに加えて、印刷回路板など様々な物品を含む。
【0020】
以下の説明では、提示する実施形態を完全に理解できるように、いくつかの特定の詳細を記載する。開示される実施形態は、これらの特有の詳細のいくつかまたは全てを伴わずに実施することができる。なお、開示される実施形態を不要に曖昧にしないように、周知のプロセス操作は詳細には述べていない。開示される実施形態を特定の実施形態に関連して述べるが、開示される実施形態を限定することは意図されていないことを理解されたい。
【0021】
さらに、本明細書における説明では、しばしば「上側」および「下側」要素(または同様に、「上部」および「底部」や、「左側」および「右側」など)に言及するが、これらの記述語は、非限定的に、分かりやすくする目的でのみ使用する。他の構成を使用することもできることを当業者は理解されよう。特定の実施形態では、本明細書で「上側」および「下側」と表される要素が、例えば、「下側」および「上側」の要素、または「左側」および「右側」の要素になることもある。
【0022】
本明細書における実施形態は、一般に、半導体処理方法および装置を取り扱う。より特定的には、それらの実施形態は、半導体基板をエッチングするための方法および装置に関する。開示される技法を実施する際、基板は、処理チャンバ内に提供される。
図1は、適切な処理装置100の簡略断面図を示す。グリッドアセンブリ107が、処理チャンバを上側サブチャンバ101(その内部でプラズマが発生される)と下側サブチャンバ103(その内部に基板が位置され、また、多くの実施形態ではプラズマが存在しない)とに分割する。グリッドアセンブリ107は、少なくとも2つのグリッド105および106を含み、典型的には、各グリッドが、処理中に負のバイアスを有する。処理中、上側グリッド105は、電子を反発するように(接地に対して)負にバイアスされることがあり、下側グリッド106は、ウェハ支持体115によって支持される基板113に向けて正イオンを加速させるために、(上側グリッドに対して)さらに大きな負の値にバイアスされることがある。
【0023】
プラズマは、主に、または排他的に、上側サブチャンバ101内でプラズマ発生デバイスによって発生される。
図1の実施形態では、誘電体窓119によって上側サブチャンバ101から離隔されたコイル109の使用によって誘導結合プラズマが発生されるが、他のプラズマ発生技法を使用することもできる。プラズマを発生させるために使用されるガスは、プラズマ発生ガスと呼ばれる。正イオンは、図示されるように上側グリッド(すなわち最上部グリッド)105と下側グリッド(すなわち最下部グリッド)106にあるスロット/穴を通過し、下側グリッド106によって通過時に加速される。これらの正イオンは、基板113の表面に当たり、それにより、反応のために表面を活性化させる。プロセスガス入口111が、処理ガスを下側サブチャンバ103に直接送給する。プロセスガスを下側サブチャンバ103に直接提供することによって、プロセスガスは、上側サブチャンバ101内のプラズマから遮蔽される。同様に、プロセスガスが基板113と反応した後、エッチング副生成物が、上側サブチャンバ101内のプラズマから遮蔽される。この遮蔽は、エッチング副生成物の解離を防止する助けとなり、したがって基板113および装置100上での副生成物の再堆積を防止する助けとなる。副生成物は、チャンバに印加される真空117の使用により、反応チャンバから揮発除去される。このようにして、優れたエッチング結果が実現される。
図1は、2つの真空源117を示すが、特定の実施形態では、ただ1つの真空源しか必要ない。いくつかの場合には、ただ1つの真空源が、下側サブチャンバ103の複数の出口と接続する。
【0024】
本開示によるプラズマリアクタのより詳細な例は、
図5を参照して以下に述べる。上側グリッド105および下側グリッド106として使用するのに適したグリッド構造の例は、
図4Aおよび
図4Bに示される。
【0025】
方法
図2は、本明細書における様々な実施形態に従って材料をエッチングするためのフローチャートを提供する。プロセス200は、ブロック202から始まり、ブロック202では、除去すべき材料を上に有する基板が、反応チャンバ内に受領される(受け取られる)。上述したように、反応チャンバは、グリッドアセンブリによって上側サブチャンバと下側サブチャンバとに分割される。基板は、下側サブチャンバ内において受け取られ、典型的には、静電チャックなど基板ホルダ上に位置決めされる。ブロック204では、上側サブチャンバ内でプラズマが発生される。グリッドアセンブリの存在により、プラズマは、概して上側サブチャンバに閉じ込められ、下側サブチャンバ内には実質的にまたは全く広がらない。しかし、以下に説明するように、プラズマ中の正イオンやラジカルなど特定の種は、グリッドを通過し、下側サブチャンバに達して基板と相互作用することができる。
【0026】
ブロック206で、グリッドアセンブリ内の各グリッドに、(接地に対して)負のバイアスが印加される。プラズマを上側サブチャンバに閉じ込めるために、アセンブリの上側グリッドに負のバイアスが印加される。プラズマの閉じ込めは、負のバイアス印加により電子を反発させ、これにより下側サブチャンバ内への電子の漏出を防止することによって達成され得る。グリッドアセンブリを通して基板の表面に向けて正イオンを加速させるために、アセンブリの下側グリッドに、より大きな負のバイアスが印加される。グリッドアセンブリから出るイオンのエネルギーは、下側グリッドで設定されたバイアスによって決定される。したがって、所望のイオンエネルギーを提供するために、下側グリッドでのバイアスを特定の用途に最適化することができる。ブロック208では、加速された正イオンは、グリッドアセンブリから下側サブチャンバを通って進み、基板の表面に衝撃して、反応のために表面を活性化させる。ブロック210では、1つまたは複数のエッチャントガス/前駆体が下側サブチャンバに提供され、ブロック212では、基板がエッチングされる。いくつかの場合には、ブロック210で提供される物質は、基板を直接エッチングする。他の場合には、提供される物質は、別の物質(例えば別の反応物ガス)と反応して、基板をエッチングする化合物を生成する。
図2に関わる操作は、必ずしも列挙した順序では行われず、多くの場合、操作同士の重なり合いがある。例えば、典型的には、ブロック210においてエッチャントガスがチャンバに依然として供給されている状態で、ブロック212においてエッチングが行われる。さらに、特定の実施形態では、ブロック204、206、および208での操作が同時に行われる。3つの操作は同時に始まってもよく、または、ある操作が別の操作よりも先に始まってもよい。
【0027】
図3A〜3Fは、特定の実施形態による半導体微細加工方法の一部を例示する断面図を示す。特に、
図3A〜3Fは、
図2に記載されるエッチングプロセスを行うことができる、より広範な製造の文脈に関する。このより広範な半導体製造方法は、発明の名称を「DRY ETCHING METHOD, MICROFABRICATION PROCESS AND DRY ETCHING MASK(ドライエッチング方法、微細加工処理およびドライエッチングマスク)」とする、米国特許第6,689,283号、および発明の名称を「DRY ETCHING METHOD FOR MAGNETIC MATERIAL(磁性材料のためのドライエッチング方法)」とする米国再発行特許第40,951号でさらに論じられて説明されており、それらの特許文献の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
まず、
図3Aに示されるように、基板11上に形成された下層11の上に、エッチング対象の層12が堆積される。特定の実施形態では、基板は、シリコンウェハであり、下層11は、チタンであり、エッチング対象の層は、コバルト−白金合金である。次いで、
図3Bに示されるように、エッチング対象の層12の上にレジスト層13が堆積される。レジスト層13は、リソグラフィ技法を使用して微小パターン形成される。特定の場合には、例えばスピンコーティング法を使用してポジ型レジストをコーティングし、UVまたは電子ビーム露光機器を使用して微小パターンを露光し、次いで、露光されたレジストパターンを現像することによって、パターン形成されたレジスト層13が層12上に形成される。
【0029】
次いで、
図3Cに示されるように、微小パターン形成されたレジスト層13の上にマスク層14が堆積される。いくつかの場合には、マスク層は、窒化チタン(TiN)から形成され、これは、反応性スパッタリング法によって堆積されることがある。次に、
図3Dに示されるように、リフトオフ法によってレジスト層13が除去されて、パターン形成されたマスク14’が形成される。より具体的には、リフトオフは、例えば、テトラヒドロフランなどの溶媒中にウェハを浸漬することによって、超音波洗浄機を使用して行うことができる。その後、
図3Eに示されるように、エッチングされた層12’を形成するために、本明細書の他の箇所で述べられる技法に従って基板がドライエッチングされる。最後に、
図3Fに示されるように、エッチング後にマスク層14を除去することができる。上記の説明は、性質上、例示にすぎず、開示される実施形態を実施することができる1つの特定の文脈を示す。
【0031】
半導体エッチングプロセスの難しさは、エッチング副生成物およびそれらの解離生成物の蒸気圧によって大きく影響を及ぼされる。実際、低蒸気圧の解離生成物の発生が、特定の材料(例えば、Fe、Mn、Ni、Mg、Pt、Pd、Co、Ru、Cu、Irなど)のエッチングが非常に難しくなる主な理由である。本明細書における技法は、エッチングが難しいこれらの材料に関連する特定の問題に対処する。本明細書における説明では、用語「直接副生成物」、「エッチング副生成物」、および「副生成物」が交換可能に使用される。直接副生成物の一例は、以下の反応1におけるPd(PF
3)
4である。用語「解離生成物」は、直接エッチング副生成物の解離により生じる生成物を意味するものと理解される。反応1の文脈での解離生成物の一例は、Pd(PF
3)
3である。
【0032】
エッチング処理で除去される様々な材料は、エッチングガスとの反応時に揮発性化合物を生成する。時として、これらの揮発性反応生成物は、いくつかの場合には有機配位子を有する金属含有化合物である。以下の反応1および2は、揮発性副生成物を生成するエッチング反応の例を示す。
【0033】
反応1:Pd+4PF
3→Pd(PF
3)
4↑
【0034】
反応2:Co+1/2H
2+4CO→CoH(CO)
4↑
【0035】
反応3:Fe+5CO→Fe(CO)
5↑
【0036】
反応1の場合には、Pdが、エッチング対象の材料であり、PF
3が、エッチング化学物質であり、Pd(PF
3)
4が、揮発性副生成物である。同様に、反応2の場合には、Coが、エッチング対象の材料であり、CoおよびH
2が、エッチング化学物質であり、CoH(CO)
4が、揮発性副生成物である。そのような副生成物からの1つまたは複数の配位子の除去は、蒸気圧に対する多大な悪影響を及ぼすことがある。例えば、CoH(CO)
3は、CoH(CO
4)よりもはるかに低い蒸気圧を有する。CoH(CO)
3および同様の解離生成物の低い蒸気圧により、これらの物質は、基板および/または装置上に再堆積しやすい。
【0037】
エッチング対象の材料は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリデバイスで使用されるものなど磁性材料を含むこともある。特定の場合には、エッチング対象の材料は、Fe、Mn、Ni、Mg、Pt、Pd、Co、Ru、Cu、および/またはIrを含む。これらまたは他の場合に、材料をエッチングするために使用される反応物は、三フッ化リン(PF
3)、フッ化カルボニル(COF
2)、一酸化炭素(CO)、酸化窒素(NO)、メタノール(CH
3OH)、エタノール(C
2H
5OH)、アセチルアセトン(C
5H
8O
2)、ヘキサフルオロアセチルアセトン(C
5H
2F
6O
2)、塩化チオニル(SOCl
2)、フッ化チオニル(SOF
2)、酢酸(CH
3COOH)、ピリジン(C
5H
5N)、および/またはギ酸(HCOOH)を含む。様々な実施形態において、これらのエッチング反応物の組合せが使用される。例えば、いくつかの場合には、金属のニトロシルカルボニルを生成するために、CO+NOの組合せが使用される。別の場合には、CO
2+NO
2の組合せが使用される。さらなる場合には、ピリジンが、塩化チオニルおよび/またはフッ化チオニルと組み合わされる。他の組合せも可能である。これらの物質および反応は、例示にすぎず、実施形態を限定することは何ら意図されていない。本明細書における技法を様々な物質および反応と共に使用することができることを当業者は理解されよう。
【0038】
揮発性副生成物の安定性は、副生成物がプラズマ環境に露出されるとき、特にプラズマ環境内に存在する高エネルギー電子に露出されるときに大きく損なわれる。多くのエッチング反応が良好に生じるように基板の表面を何らかの形で活性化させなければならないので、これは問題となる。活性化は、表面へのイオン衝撃により行われることが多い。
【0039】
任意の理論または作用メカニズムに束縛されることを望まずに、イオン衝撃は、エッチング対象の金属または他の材料にダングリングボンドおよび/または他の物理化学的に受容性の部分を形成することによって、活性部位を生成することができると考えられる。従来、イオン衝撃による活性化は、プラズマへの露出によって実現される。典型的には、プラズマは、基板のすぐ上の領域内で発生され、基板を支持するために使用される静電チャックは、基板の表面上に正イオンを引き付けるために負にバイアスすることができる。いくつかの従来の実装形態では、静電チャックは、チャック自体が基板のすぐ上でプラズマを発生する程まで通電することができる。
【0040】
多くの配位子が中心原子に付着された状態では、副生成物はしばしばかなり大きく/巨大であるので、プラズマ中のエネルギー粒子(特に電子)が配位子の1つまたは複数を解離により除去することが比較的よく起こる。1つでも配位子が除去されると、副生成物は、通常はもはや揮発性でなくなり、したがって基板または装置上に再堆積しやすい。
【0041】
本明細書における実施形態は、エッチング化学物質/副生成物/解離生成物をプラズマ環境への露出から遮蔽するグリッドアセンブリによって上側サブチャンバ(プラズマ発生用)と下側サブチャンバ(基板処理用)に分離された反応チャンバを提供することによって、副生成物および関連の解離生成物の再堆積を防止する。
【0042】
いくつかの場合には、エッチングプロセス中に下側サブチャンバに供給されるプロセスガスは、エッチャントガスだけではなく、1つまたは複数の他のガス(第2のプロセスガス、第3のプロセスガス、追加のプロセスガスなどと呼ぶこともある)も含む。追加のガスは、例えば、酸素、水素、または窒素でよい。他の場合には、追加のガスは、塩素、フッ素、または別の物質を含むことがある。このガスは、基板の表面と反応して、例えば、金属酸化物、金属水素化物、金属窒化物、金属塩化物、金属フッ化物、または他の有機金属錯体を生成することができる。いくつかの場合には、この酸化物/水素化物/窒化物/塩化物/フッ化物などの物質は、金属そのままよりもエッチングが容易であることがある。追加のガスは、連続的にまたはパルス式に供給されることがある。パルスされるとき、第2のプロセスガスは、パルスされたエッチングガスとパルスされた第2のプロセスガスとの交互の反復サイクルで供給されることがある。
【0043】
別の実施形態では、酸化物/水素化物/窒化物/フッ化物などの生成を誘発する物質が、イオン化された状態で上側サブチャンバから下側サブチャンバに送給される。いくつかの実装形態では、基板の表面は、化学的に不活性のイオンと化学的に反応性のイオンの交互のストリームに露出される。
【0044】
上側サブチャンバおよび下側サブチャンバへのプロセスガスの送給は、任意の様々な手段によって達成することができる。一実施形態では、上側サブチャンバおよび下側サブチャンバ内に入口ノズルが位置決めされる。各サブチャンバに複数の入口があってもよい。一実装形態では、プロセスガスの均一な流れを提供するために、サブチャンバの周縁に巡らせて多数の入口が配置される。別の実施形態では、グリッドの1つまたは複数が、上側サブチャンバと下側サブチャンバのいずれかまたは両方にガスを提供するためのシャワーヘッドとして働く。別の場合には、プロセスガスは、各サブチャンバ内に延びる中心ノズルを通して供給されることがある。開示される実施形態の範囲内で様々な形態のガス送給を使用することができることを当業者は理解されよう。
【0046】
プラズマは、主に、いくつかの場合には排他的に、上側サブチャンバ内で発生される。特定の場合には、プラズマは、Ar、He、Ne、Kr、およびXeを含む1つまたは複数の不活性ガスから発生される。他の場合には、プラズマは、H
2、N
2、O
2などの反応性ガスから発生される。いくつかの場合には、プラズマを発生するために、不活性ガスと反応性ガスの組合せが使用される。プラズマを発生させるために使用されるガスは、使用されるエッチング化学物質およびエッチング対象の材料に一部基づいて、反応チャンバ内での望ましくない反応を減少させる、またはなくすように選択することができる。典型的には、プラズマの役割は、下側サブチャンバに注入するためのイオン源となることである。別の箇所で説明するように、これらのイオンは、化学的に不活性でも反応性でもよい。
【0047】
上側サブチャンバ内でプラズマを発生させるために様々なタイプのプラズマ発生技法を使用することができる。一実施形態では、プラズマは、例えば、上側サブチャンバの上方に位置決めされたコイルの使用によって発生される誘導結合プラズマである。別の実施形態では、プラズマは、容量結合プラズマである。代替として、プラズマ源は、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ源またはヘリコン波プラズマ源でよい。誘導結合プラズマの場合、広範囲の励起周波数が使用されることがある。特定の場合には、励起周波数は、無線周波数またはマイクロ波周波数である。いくつかの実施形態では、上側サブチャンバに結合されるプラズマ源は、磁場の印加によって増強されることがある。本明細書における教示に従うように変更することができるプラズマ発生リアクタの一例は、Lam Research Corporation(米国カリフォルニア州フリーモント)から市販されているKiyoリアクタである。
【0048】
様々な実施形態において、グリッドアセンブリは、プラズマ発生には大きな役割を果たさない。しかし、グリッドアセンブリは、上側サブチャンバにプラズマを閉じ込め、下側サブチャンバへの送給に関して種をフィルタ除去する役割を果たす。
【0049】
リアクタ内でのグリッドアセンブリの位置
【0050】
グリッドアセンブリは、反応チャンバ内に位置決めされ、それにより、反応チャンバを上側サブチャンバと下側サブチャンバに分割する。本明細書で述べるようなグリッドアセンブリを含むように変更するのに適したチャンバの一例は、Lam Research Corporation社(米国カリフォルニア州フリーモント市所在)から市販されているKiyoリアクタである。この文脈で、以下の説明は、より詳細に上述した
図1を参照して考察することができる。特定の実装形態では、グリッドアセンブリ107は、反応チャンバの内部底部の約1〜6インチ(25.4〜152.4mm)上に、またはペデスタルなどの基板支持体115の約1〜6インチ(例えば、約1.5〜3インチ(38.10〜76.20mm))上に位置決めされる。これらまたは他の実装形態では、グリッドは、反応チャンバの内部天井の約1〜6インチ(例えば、約1.5〜3インチ)下に位置決めされることがある。天井は、しばしば、誘電体窓に備え付けられる。
【0051】
特定の実施形態では、上側サブチャンバと下側サブチャンバの高さは、実質的に同じ(例えば約5%以内)であり、他の実施形態では、これらの高さは、より大きく異なることがある。サブチャンバ高さ比とも呼ぶ、上側チャンバの高さと下側チャンバの高さとの比(h
u/h
l)は、約0.1〜10の間、または約0.2〜5の間でよい。いくつかの実施形態では、サブチャンバ高さ比は、約1/6よりも大きい。
【0052】
グリッドは、ウェハに近すぎないように位置決めすべきである。なぜなら、近すぎると、ウェハの面上へのグリッドの印刷が生じることがあるからである。すなわち、グリッドのスロット/穴のパターンが、処理後のウェハの面上に望ましくなく現れることがあり、基板表面上で大きなエッチング不均一性を生じる。多くの用途に関して、基板の上部から下側グリッドの底部までの離隔距離は、少なくとも約1インチで十分である。
【0054】
グリッドアセンブリを実装するために様々な設計を使用することができる。一般に、グリッドアセンブリは、少なくとも2つのグリッドを含む。多くの実装形態では、グリッドアセンブリは、2つまたは3つのグリッドを含む。最上部グリッド(時として上側グリッドと呼ぶ)は、上側サブチャンバに最も近いグリッドである。最下部グリッド(時として下側グリッドと呼ぶ)は、基板に最も近いグリッドである。各グリッドは、イオンが上側サブチャンバから下側サブチャンバにグリッドを通過できるようにする複数のスロット、穴、および/または他の穿孔を有する。グリッド構造の非限定的な例が、
図4A〜Bに示される。単純な実施形態では、グリッドは、ワイヤメッシュで構成される。ワイヤ402は、
図4Aに示されるように、十字交差パターンを形成することがあり、ワイヤ402間に開いた空間404がある。代替として、ワイヤ402は、
図4Bに示されるようにクモの巣状を成してもよい。多くの他のグリッド設計が可能である。1つの場合には、例えば、穿孔がT字形であり、交互の設計で互いに噛み合わされる。別の場合には、設計は、円形の穴を有する。いくつかの場合には、穿孔は、プラズマ発生中にグリッド内で電流がほとんどまたは全く誘発されないように設計されることがある。この結果を保証する1つの設計は、半径方向に向いたスロットを有するグリッドである。この種の問題をなくすように装置が設計されていない場合、電流が誘発されて、グリッドの周りを実質的に円形に流れる、またはグリッド上で小さな渦電流として流れることがあり、寄生電力消費を増加させる。
【0055】
グリッドアセンブリのグリッドにある穿孔は、上側サブチャンバと下側サブチャンバとの間に真っ直ぐな貫通線(視線)を可能にすべきであり、また、上側サブチャンバ内にプラズマを閉じ込めるように構成すべきである。そのような貫通線がない場合、イオンは、グリッドに衝突し、基板の表面を活性化させるために下側サブチャンバ内に通過することができなくなる。いくつかの場合には、穿孔は、約0.5〜10mmの間、例えば約1〜5mmの間の主要寸法を有する。主要寸法は、ワークピースに平行な方向であり、穿孔の最長の直線経路にまたがる。本開示の範囲内で様々な穿孔設計を使用することができることを当業者は理解されよう。
【0056】
グリッド開放面積は、特定のグリッドの上から下に明瞭な貫通線が存在する、上から見たウェハまたは他の処理基板の活性面にわたる総面積を表す。アセンブリ開放面積は、アセンブリのすべてのグリッドを通る明瞭な貫通線が存在する、上から見た総面積を表す。グリッド開放面積とアセンブリ開放面積はどちらも、絶対面積として表すことができ、またはグリッド上の総面積のパーセンテージとして表すこともできる。例えば、直径300mmのグリッドは、約700cm
2の面積を有する。グリッドが約350cm
2の開放面積を有する場合、約50%の開放面積を有すると考えることもできる。いくつかの場合には、グリッド開放面積とアセンブリ開放面積は等しい。他の場合には、アセンブリ開放面積は、1つまたは複数のグリッドに関するグリッド開放面積よりも小さい。いくつかの実装形態では、少なくとも1つのグリッドが、約30〜75%の間のグリッド開放面積を有する。これらまたは他の実装形態では、グリッドアセンブリ開放面積は、約0〜75%の間である。
【0057】
いくつかの場合には、グリッド/アセンブリの開放面積は、基板の異なる部分に異なるレベルのイオンフラックスを提供するように設計される。例えば、開放面積がグリッドの中心に向かって集まっている場合、イオンは、ウェハの中心領域を、ウェハの縁部よりも大きく活性化することがある。同様に、アセンブリ開放面積が、グリッドアセンブリの縁部付近に集まっている場合、イオンは、ウェハの縁部領域を、ウェハの中心よりも大きく活性化することができる。これらの技法は、中央−縁部不均一性を抑制するのに特に有用であることがあり、いくつかの場合には、以下にさらに論じるように可動グリッドによって実施されることがある。
【0058】
グリッドは、様々な材料から形成することができ、コーティングを施されても、施されなくてもよい。エッチング中にグリッドにバイアスが印加されるので、グリッドを構成するためまたはグリッドにコーティングするために使用される材料は、導電性であるべきである。様々な実施形態で、グリッドは、金属もしくは金属合金から構成され、または金属もしくは金属合金でコーティングされる。いくつかの場合には、グリッドは、硬質炭素材料でコーティングされることがある。いくつかの特定の場合には、グリッドは、Y
2O
3、YF
3、YAG、窒化チタン、またはCeO
2の層でコーティングされることがある。グリッド材料は、例えば耐食性のために陽極酸化処理または他の方法で不活性化されてもよく、されなくてもよい。
【0059】
グリッドは、反応チャンバ内に配置されるときに湾曲または他の形で屈曲しないように十分に剛性であるべきである。これは、均一なエッチング結果を保証する助けとなる。
【0060】
隣接するグリッド間に、いくらかの離隔距離が存在する。この離隔距離は、下側サブチャンバへの電子の漏出を防止する助けとなるように、一般にかなり小さい(例えば、約5mm未満、約3mm未満、または約2mm未満)。離隔距離は、グリッドの直径にわたって均一にすべきであり、この均一性は、十分に剛性の材料を用いてグリッドを構成することによって実現することができる。
【0061】
グリッドアセンブリは、一般に、チャンバの水平区域全体に及ぶ。チャンバが(上から見て、またはワークピースに面して)円形である場合、グリッドも円形である。これにより、グリッドが、反応チャンバを2つのサブチャンバに効果的に分割できるようになる。特定の設計では、グリッドの形状は、基板の幾何形状(必ずしもそうではないが、典型的には円形のウェハ)によって画定される。よく知られているように、ウェハは、しばしば、例えば200mm、300mm、450mmなど様々なサイズで提供される。正方形状もしくは他の多角形状の基板、またはより小さい/より大きい基板に関しては、他の形状が可能である。したがって、(上から見た)グリッドの断面は、様々な形状およびサイズを有することがある。さらに、いくつかの実施形態には、(横から見て)平坦な平面状グリッド断面が適しているが、他の実施形態では、他の平坦でない断面が適していることがある。例えば、グリッドアセンブリの1つまたは複数のグリッドは、皿形、ドーム形、波形(例えば、正弦波、正方波、山形)、傾斜形などでよい。平面状でない断面のグリッドアセンブリが使用される場合には、グリッドを通る見通し線に特に注意が払われるべきである。アセンブリを通る明瞭な見通し線がない場合、イオンは、アセンブリを通って下側サブチャンバ内に進むことができない。
【0062】
グリッドアセンブリの各グリッドは、平均で約1〜50mmの厚さ、または約5〜20mmの厚さでよい。いくつかの場合には、アセンブリにおけるグリッドの厚さの和は、約2〜75mmの間、または約2〜50mmの間である。厚さは、グリッドを構成するために選択される材料、およびその材料の機械的強度に主に依存する。グリッドが厚すぎる場合、またはグリッドの穿孔が小さすぎる場合、グリッドは、非常に多くのイオンの通過を妨げることがある(すなわち、イオンがグリッドと衝突し、時としてグリッドの穿孔の側壁に衝突し、グリッドを通過しない)。これにより、基板の表面の活性化が不十分になり、エッチングはあまり成功しない。グリッドが薄すぎる場合、適度な剛性を有さなくなることがあり、プラズマ処理に耐えることができないことがあり、また、かなり頻繁に交換する必要が生じ得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、グリッドアセンブリは、ガス送給穴を含む。そのような実施形態では、グリッドアセンブリは、上側および/または下側サブチャンバ用のシャワーヘッドとしてのさらなる目的を果たすことがある。これらの実施形態では、上側および/または下側グリッドに1つまたは複数のチャネルが含まれることがある。これらのチャネルは、1つの入口(または複数の入口)からガスを供給され、グリッドの複数の出口穴にガスを送給することができる。出口穴は、上側サブチャンバと下側サブチャンバのいずれかまたは両方にプロセスガスを送給するガス分散シャワーヘッドを形成することができる。
【0064】
いくつかの実装形態では、グリッドは、グリッドを通してプロービング装置を配設できるようにするための機構を含む中心領域などの領域を有する。プロービング装置は、操作中にプラズマ処理システムに関連付けられるプロセスパラメータをプロービングするために提供することができる。プロービングプロセスは、光放出終点検出、干渉計終点検出、プラズマ密度測定、イオン密度測定、および他の計量プロービング操作を含むことができる。特定の実施形態では、グリッドの中心領域は開いている。他の実施形態では、グリッドの中心領域は、グリッドを通して光を透過させることを可能にするために、光学的に透明な材料(例えば、水晶やサファイアなど)を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、グリッドアセンブリは、グリッド内に埋め込まれた冷却チャネルを含むことがあり、これらの冷却チャネルは、流動または非流動クーラント材で満たされることがある。特定の実施形態では、冷却材は、流体、例えばヘリウムや他の不活性ガス、または脱イオン(DI)水、プロセス冷却水、3Mからのfluoroinert(商標)などの液体であり、あるいはパーフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、アンモニア、およびCO
2などの冷媒である。これらまたは他の実施形態では、グリッドアセンブリは、埋込型加熱要素および/または温度測定デバイスを含むことがある。冷却チャネルおよび埋込型加熱器は、正確な温度制御を可能にし、これは、粒子および壁の条件を厳密に制御できるようにする。特定の場合には、この制御を使用して、下側サブチャンバ内の条件を調整することができる。例えば、下側グリッドまたはグリッドアセンブリがより低温で維持される場合、ウェハからのエッチング副生成物が、下側グリッド上に選択的に堆積し、それにより、下側サブチャンバ内のエッチング副生成物の気相密度を減少させる。代替として、グリッド上への堆積を減少させ、チャンバを比較的清浄に保つことができることを保証し、および/またはウェハレス自動洗浄(WAC)中にチャンバを洗浄するのに必要な時間を短縮するために、下側グリッドまたはグリッドアセンブリを高温(例えば、80℃超)で維持することもできる。
【0066】
特定の実施形態では、グリッドの1つまたは複数は、他のグリッドに対して、および/または基板に対して可動でよい。移動は、グリッドの表面に垂直な軸の周りでの回転によって、および/またはグリッドをこの同じ軸に沿って上または下に移動させることによって行うことができる。移動は、様々な基板を処理する合間に行われることがあり、または単一の基板の処理中に行われることがある。これは、広範囲の処理条件を提供する助けとなり、それによって装置をより汎用性のあるものにする。グリッドアセンブリの1つまたは複数のグリッドを移動させることによって、下側サブチャンバ内のプロセス条件を、特定の用途に適するように調整することができる。例えば、グリッドの1つを回転させることによって、アセンブリ開放面積が変化することがあり、それにより、アセンブリを通過して基板と相互作用することができるイオンの量に影響を及ぼす。デバイス製造は、それぞれ異なるエッチング条件下で行われる一連のエッチング処理を必要とすることがよくある。そのような条件は、1つまたは複数の追加の自由度を提供するグリッド位置決めによって対処され得る。
【0067】
特定の実施形態では、1つのグリッドが、エッチング中に回転して、(a)エッチングプロセスの開始に向かってより大きくなる基板へのイオンのフラックス、(b)エッチングプロセスの終了に向かってより大きくなる基板へのイオンのフラックス、(c)イオンフラックスの反復パルス(すなわち、イオンフラックスのオン/オフ)、(d)高いイオンフラックスと低いイオンフラックスの反復パルス(すなわち、イオンフラックスのロー/ハイ)、または(e)時間および半径方向依存性イオンフラックスを提供する。別の実施形態では、イオンのフラックスは、上の(a)〜(d)に関係付けられるように変えられるが、フラックスは、グリッドの位置ではなく(またはグリッドの位置に加えて)、プラズマまたはグリッドアセンブリに送給されるパワーによって決定される。
【0068】
(a)エッチングプロセスの開始に向かってより大きくなる基板へのイオンのフラックスを実現するために、グリッドは、エッチングプロセスの開始に向かってより大きな量のアセンブリ開放面積を提供するように回転することができる。同様に、(b)エッチングプロセスの終了に向かってより大きくなる基板へのイオンのフラックスを実現するために、グリッドは、エッチングプロセスの終了に向かってより大きなアセンブリ開放面積を提供するように回転することができる。(c)イオンフラックスの反復パルス、または(d)高いイオンフラックスと低いイオンフラックスの反復パルスを実現するために、グリッドは、アセンブリ開放面積の交互パターン間で回転することができる。例えば、グリッドは、第1の位置と第2の位置との間で回転することができ、第1の位置は、アセンブリ開放面積の第1の量を実現し、第2の位置は、アセンブリ開放面積の第2の量を実現する。当然、特定の用途に適合するように3つ以上のグリッド位置が使用されてもよい。(c)を実施するために、少なくとも1つのグリッド位置が、ゼロのアセンブリ開放面積を有することに対応する(すなわち、この位置で、イオンは、下側サブチャンバに通過することが可能でない)。いくつかの実施形態では、イオンフラックスが低いまたはゼロである時間間隔中に、下側サブチャンバにエッチャントが送給される。すなわち、基板は、交互ステップでエッチャントとイオンに露出されることがある。(e)時間および半径方向依存性イオンフラックスを実現するために、グリッドアセンブリのグリッドは、グリッドの回転が、グリッドアセンブリの1つの部分(例えば縁部)からグリッドアセンブリの別の部分(例えば中心)へのアセンブリ開放面積のいくらかの量の変位をもたらすように、協働するように設計されなければならない。このようにすると、グリッドは、処理中に回転して、プロセスの様々な部分中に、基板の異なる部分に異なるレベルのイオンフラックスを提供することができる。上述のように、フラックスは、プラズマ発生パワー、および1つまたは複数のグリッドに印加されるバイアスによってさらに制御されることがある。
【0069】
可動グリッドの使用は、単一の処理ステーションでのウェハに対する反応条件の広いプロセス窓を提供するので、特に有益である。この利益は、複数の層および/または複数のタイプの露出される材料を有する複雑な構造を処理するときに特に有用である。上述したように、しばしば、処理される各層に関して処理条件を変えることが必要である。
【0071】
上述したように、グリッドアセンブリは、少なくとも2つのグリッドを含み、各グリッドが、電源との電気接続ラインを有し、個々のグリッドに印加されるバイアスに対する個別制御を可能にする。いくつかの場合には、各グリッドが個別の電源(例えばDC電源)に接続される。他の場合には、ただ1つの電源が複数のグリッドにパワーを提供することがある。エッチング中、アセンブリ内の各グリッドに負のバイアスが印加される。最上部グリッドが負にバイアスされ、したがって、このグリッドが電子を反発し、それにより、上側サブチャンバ内のプラズマに電子を閉じ込めたままにする。この閉じ込めは、下側サブチャンバ内への電子の漏出を防止する助けとなる。それにより、下側サブチャンバ内の種は、上側サブチャンバプラズマ内の高エネルギー電子から遮蔽され、したがって解離することがなく、基板または装置上に再堆積しやすい不揮発性物質にはならない。そうではなく、それらの種(特に、巨大なエッチング副生成物)は、遮蔽されるので、揮発性のままであり、印加される真空または他のスイープメカニズム(例えば、ガススイープ)によって下側サブチャンバから効果的に一掃される。特定の実施形態では、上側グリッドは、約−0.5〜−50Vの間、または約−5〜−50Vの間にバイアスされることがある。特定の実装形態では、上側グリッドは、約−6Vにバイアスされる。上側グリッドに印加するのに適したバイアスは、プラズマ中の電子エネルギーに依存し、これは、プラズマを発生させるために供給される圧力およびパワーレベルに依存する。上側サブチャンバ内で発生されるプラズマがより高い電子エネルギーを有する場合、この領域にプラズマを閉じ込めるために、さらに大きいバイアスが必要とされる。したがって、上記のバイアス電圧は、多くの用途に適していることがあるが、特定の実装形態では、上側グリッドに印加されるバイアスは、より大きいことがある(すなわち、−50Vよりも大きい負の値である)。
【0072】
アセンブリの最上部グリッドに対して、最下部グリッドは、さらに負/より大きな負の値にバイアスされる(例えば、上側グリッドが−5Vにバイアスされる場合、下側グリッドに印加されるさらなる負のバイアスは、−10Vでもよい)。このバイアスは、上側サブチャンバから下側サブチャンバ内および基板の表面に向けて正イオンを加速させるように作用する。これらの加速されたイオンは、垂直速度成分を有し、したがって、効果的に基板表面に衝撃して、基板表面を活性化させ、反応性エッチング化学物質によってエッチングすることができる。このようにして、露出時に特定の化学種を解離する可能性が高いプラズマ中のエネルギー電子にエッチング化学物質を露出させずに、表面を活性化させることができる。
【0073】
さらに、加速されたイオンは、最下部グリッドに印加されるバイアスに直接依存するエネルギーを有する。したがって、イオンエネルギーは、適切なバイアスを最下部グリッドに印加することによって、所望のレベルに調整することができる。いくつかの実施形態では、イオンエネルギーは、静電チャックなど基板支持体にバイアスを印加することなく(またはバイアスを変えることなく)調整される。イオンエネルギー(およびしたがって最下部グリッドでのバイアス)の適切な量は、処理される特定の基板、および使用される特定のエッチング条件に依存する。いくつかの実施形態では、最下部グリッドは、約0.5〜−2000Vの間にバイアスされることがある。1つの特定の実施形態では、最下部グリッドは、約−12Vにバイアスされる。
【0074】
グリッドに印加されるバイアスは、エッチングプロセスを通じて一定でも不定でもよい。いくつかの場合には、最下部グリッドに印加されるバイアスのみが、エッチングプロセス中に変えられる。最下部グリッドに印加されるバイアスによってイオンエネルギーが決定されるので、このグリッドでのバイアスを制御して、エッチングプロセス中の異なる時点に、異なるエネルギーを有するイオンを提供することができる。一例では、最下部グリッドでのバイアスは、まず、基板表面を活性化させるために比較的低い「活性化バイアス」(例えば、−8V)に設定され、その後、エッチングされた材料を基板から除去する助けとなるように、エッチングプロセスの終了に向かってより高い「除去バイアス」(例えば、約−20〜−1000Vの間)に設定される。多くの場合、エッチング生成物の揮発性により、またグリッドアセンブリがエッチング生成物を解離から保護することにより、エッチングされる材料は効率的および効果的に除去されるので、より高い除去バイアスを使用する必要はない。
【0075】
グリッドに印加されるバイアスが可変でよい別の実装形態は、以下の「タイミング」の項でさらに論じるように、イオンフラックス/エネルギーがパルス式に送給されるものである。この場合、グリッドアセンブリ(または少なくともグリッドアセンブリの最下部グリッド)でのバイアスは、2つ以上の値の間で変化することがあり、異なるレベルのイオンフラックスおよび/またはイオンエネルギーを下側サブチャンバに提供する。特定の実施形態では、上側サブチャンバから下側サブチャンバへのイオンフラックスは連続的であり、一方、エッチャントガスはパルス式に供給される。この実施形態では、イオンエネルギーは、(グリッドアセンブリの最下部グリッドでのバイアスを変えることによって)エッチャントガスがオンである時とオフである時とで異なることがある。
【0076】
いくつかの実施形態では、グリッドアセンブリ内で3つ以上のグリッドが使用される。この場合、各グリッドは、異なる度合いの負のバイアスを有することがある。基板により近いグリッドは、より大きい度合いの負のバイアスを有し、プラズマ発生サブチャンバにより近いグリッドは、より小さい度合いの負のバイアスを有する。このようにして、上側サブチャンバ内のプラズマから抽出される正イオンを、グリッドアセンブリを通して漸進的に加速することができる。1つの特定の実施形態では、グリッドアセンブリは、4つの個別のグリッドを含み、グリッドAが上側サブチャンバに最も近く、次いでグリッドB、グリッドC、さらに、基板に最も近いグリッドDが続く。グリッドAは、約−6Vにバイアスされることがあり、グリッドBは、約−8Vにバイアスされることがあり、グリッドCは、約−10Vにバイアスされることがあり、グリッドDは、約−12Vにバイアスされることがある。いくつかの場合には、隣接するグリッドに印加されるバイアスの差は、前の例よりもかなり大きい。
【0078】
基板は、しばしば、下側サブチャンバ内に位置決めされた静電チャックなど基板ホルダによって支持される。従来の操作では、この静電チャックは、正イオンを基板の表面に引き付けるために負にバイアスされることがある。時として、チャックは、チャック自体が基板のすぐ上でプラズマを発生する程までバイアスされる。
【0079】
この実施形態では、基板ホルダ(および基板)は、負にバイアスされてもされなくてもよい。特定の実装形態では、グリッドアセンブリ自体が活性化のために基板に向けてイオンを効果的に加速するので、基板ホルダがバイアスされる必要はない。しかし、いくつかの他の場合には、正イオンを基板表面に引き付ける助けとなるように、負のバイアスが基板ホルダに印加されることがある。バイアスが基板ホルダに印加されるいくつかの場合に、バイアスの度合いは、プラズマが下側サブチャンバ内で生じないように(周波数および/またはパワーに関して)十分に低いことがある。様々な実施形態において、下側サブチャンバは、エッチング副生成物の解離を防止するために、プラズマを含まないことが望ましい。下側サブチャンバ内でのプラズマの発生を防止するために、基板支持体に印加されるバイアスは、比較的低い周波数(例えば、約400kHzもしくは約2MHz、またはこれらの値の間の周波数)を有することがある。(十分なパワーが印加されるときに)典型的に基板の上でプラズマを発生させる周波数の一例は、13.56MHzである。基板支持体に印加されるバイアスがこの値またはその近くである場合、基板支持体に印加されるパワーは、下側サブチャンバ内でプラズマが多く発生しないように、比較的低く(例えば、単一の300mm基板に関して約200W未満に)維持されることがある。
【0080】
いくつかの実施形態では、下側サブチャンバ内にプラズマを含むことが有益であることがある。これらの実施形態では、基板支持体に印加されるRFバイアス周波数/パワーは、下側サブチャンバ内でプラズマを発生するのに十分に大きいことがある。この実施形態では、上側サブチャンバと下側サブチャンバに異なる組成および/または流量のガスを送給することが好ましいことがある。一般に、プラズマが基板の上に存在する場合、基板支持体に印加されるバイアスは、基板上で自己バイアスを発生する。プラズマが基板の上に存在しない場合、基板支持体に印加されるRFパワーは、基板上で自己バイアスを生じない。
【0081】
いくつかの実施形態では、基板ホルダでのバイアスがパルスされることがある。これは、例えば上側サブチャンバからのイオンのフラックスなど、他のパラメータがパルスされる場合に特に有用であることがある。
【0083】
多くの実施形態で、処理中、下側サブチャンバ内にプラズマは存在しない。本明細書の他の箇所で説明したように、これは、揮発性エッチング副生成物の解離を防止する助けとなる。
【0084】
下側サブチャンバ内の圧力は、典型的には、約0.5〜100mTorrの間、または約0.5〜5mTorrの間である。低圧での動作は、様々な利益の中でもとりわけ、望ましくない気相反応が生じるのを防止する助けとなる。さらに、下側サブチャンバ内に存在する種が上側サブチャンバ内に拡散しないように、下側サブチャンバ内の圧力は、上側サブチャンバ内の圧力よりも低いことがある。交互のイオン活性化とエッチャント露出とが周期的に行われる一実施形態では、下側サブチャンバ内の圧力は、(非周期的な場合に比べて)いくぶん高いことがある。このシナリオでは、下側サブチャンバ内のガスが上側サブチャンバ内のプラズマを汚染しないことを保証するように留意すべきである。この問題を取り扱うための1つの技法は、プラズマに当たる前に上側サブチャンバ内のガスを一掃することである。基板および/または下側サブチャンバの温度は、基板支持体によって制御することができ、基板支持体は、多くの場合には静電チャックである。様々な場合に、基板および/または下側サブチャンバの温度は、約0〜250℃の間で維持すべきである。
【0086】
上でより詳細に述べた
図2は、本明細書における実施形態によるエッチングプロセスの一例を提供する。しかし、いくつかの場合には、操作は異なる順序で行われることがあり、いくつかの操作は重なり合うことがあり、および/またはいくつかの操作は繰り返されることがある。
【0087】
様々なプロセス条件(例えば、エッチャントガスの流量、第2の処理ガスの流量、1つまたは複数のグリッドに印加されるバイアス、基板ホルダに印加されるバイアス、上側サブチャンバから下側サブチャンバへのイオンのフラックスなど)がパルス式に提供されることがある。本開示を通して使用するとき、「パルス」は、別段の指示がない限り、「オン」状態と「オフ」状態の間の変化、「ロー」状態と「ハイ」状態の間の変化、または3つ以上のそのような状態の間の変化を意味することがある。
【0088】
一例では、エッチャントガスがパルス式に提供されることがある。他の場合には、エッチャントガスが連続的に提供される。同様に、上側サブチャンバから下側サブチャンバへのイオンフラックスも、パルス式に、または連続的に供給されることがある。特定の場合には、イオンフラックスとエッチャントガスが交互パルスで提供される。すなわち、イオンフラックスがほとんどまたは全く存在しない状態でエッチャントガスが供給され、次いで、エッチャントガスがほとんどまたは全く送給されない状態でイオンフラックスが提供される。この方法は、所望のエッチング深さが実現されるまで繰り返すことができる。
【0089】
いくつかの場合には、基板の表面が、イオンフラックスによって衝撃され、その後、エッチャントガスに露出される。
【0090】
エッチングリアクタ装置
本明細書で述べる方法は、適切な負のバイアスをサポートする少なくとも2つのグリッドを有する任意の適切なプラズマエッチング装置によって行うことができる。適切な装置は、本明細書で述べるようなエッチング条件を提供して維持するためのチャンバおよび電子的ハードウェアを含む。また、適切な装置は、時として、上述したようなハードウェアに指令するための命令、およびエッチング用途に適した一連のプロセス操作を行うため(例えば、MRAM構造またはFETのゲート電極をエッチングするため)の命令を有する制御装置を含む。いくつかの実施形態では、装置は、プロセスツールに含まれる1つまたは複数のプロセスステーションを含むことがある。
【0091】
図5は、特定の実施形態による誘導結合プラズマエッチング装置500の断面図を提供する。前述したように、本明細書における実施形態は、誘導結合プラズマ以外のプラズマでも実施することができる。誘導結合プラズマエッチング装置500は、チャンバ壁501および窓511によって構造的に画定される全体のエッチングチャンバを含む。チャンバ壁501は、典型的には、ステンレス鋼またはアルミニウムから製造される。窓511は、典型的には、水晶または他の誘電体材料から製造される。
【0092】
上側グリッド(すなわち最上部グリッド)551と下側グリッド(すなわち最下部グリッド)552とを含む内部プラズマグリッドアセンブリ550は、エッチングチャンバ全体を上側サブチャンバ502と下側サブチャンバ503に分割する。各グリッド551および552は、グリッド(図示せず)の厚さを(厚さ方向に)貫通して延びる穿孔を含む。さらに、各グリッド551および552は、それら独自の電源557および567と接続される。例えば、上側グリッド551は、接続ライン554を介してマッチング回路555に接続され、マッチング回路555は、接続ライン556を介して電源557に接続される。同様に、下側グリッド552は、接続ライン564を介してマッチング回路565に接続され、マッチング回路565は、接続ライン566を介して電源567に接続される。これらの電源557および567は、適切なバイアスを各グリッド551および552に供給する。特定の他の実装形態では、より複雑なプラズマグリッドアセンブリが使用される。処理中、プラズマは、一般に、上側サブチャンバ502内に存在し、下側サブチャンバ503内には存在しない。
【0093】
チャック517は、下側サブチャンバ503内部に、底部内面付近で位置決めされる。チャック517は、エッチングプロセスが行われる半導体ウェハ519を受け取って保持するように構成される。チャック517は、ウェハが存在するときにウェハを支持するための静電チャックでよい。いくつかの実施形態では、エッジリング(図示せず)がチャック517を取り囲み、エッジリングは、チャック517の上にウェハが存在するときにウェハの上面とほぼ面一の上面を有する。また、チャック517は、ウェハのチャックおよびデチャックを可能にするために静電電極を含む。この目的で、フィルタおよびDCクランプ電源が提供されることがある。チャック517からウェハを持ち上げるための他の制御システムも提供することができる。チャック517は、RF電源523を使用して帯電させることができる。RF電源523は、接続ライン527を介してマッチング回路521に接続される。マッチング回路521は、接続ライン525を介してチャック517に接続される。このようにして、RF電源523は、チャック517に接続される。
【0094】
コイル533が、窓511の上方に位置決めされる。コイル533は、導電性材料から製造され、少なくとも完全な1回巻きである。
図5に示される例示的なコイル533は、3回巻きである。コイル533の断面のシンボル「X」は、コイル533が紙面奥に向かう方向に回転して延びることを示す。逆に、コイル533のシンボル「・」は、コイル533が紙面から出る方向に回転して延びることを示す。RF電源541は、コイル133にRFパワーを供給するように構成される。一般に、RF電源541は、接続ライン545を介してマッチング回路539に接続される。マッチング回路539は、接続ライン543を介してコイル533に接続される。このようにして、RF電源541は、コイル533に接続される。任意選択のファラデー遮蔽549が、コイル533と窓511の間に位置決めされる。ファラデー遮蔽549は、コイル533に対して離隔された関係で維持される。ファラデー遮蔽549は、窓511のすぐ上に配設される。コイル533と、ファラデー遮蔽549と、窓511とはそれぞれ、互いに実質的に平行になるように構成される。ファラデー遮蔽は、プラズマチャンバの誘電体窓の上に金属または他の種が堆積するのを防止することができる。
【0095】
プロセスガスは、上側チャンバ内に位置決めされた主注入ポート560を通して、および側部注入ポート570(時としてSTGと呼ぶ)を通して供給されることがある。様々な実施形態において、エッチャントガスは、側部注入ポート570を通して供給され、プラズマを発生させるために使用されるガスは、主注入ポート560を通して注入される。ガス排気ポートは図示されていない。また、動作時のプラズマ処理中に真空制御およびチャンバからのガス副生成物の除去を可能にするためにチャンバ501に接続されるポンプも図示されていない。
【0096】
無線周波数パワーが、RF電源541からコイル533に印加されて、コイル533を通してRF電流を流す。コイル533を通って流れるRF電流は、コイル533の周りに電磁場を発生させる。電磁場は、上側サブチャンバ502内部で誘導電流を発生させる。誘導電流は、上側サブチャンバ502内に存在するガスに作用して、上側サブチャンバ502内でプラズマを発生させる。グリッドアセンブリ550は、下側サブチャンバ503内に移行することができるプラズマ種の量を制限する。
【0097】
様々なイオンおよび他の種とウェハ519との物理的および化学的な相互作用により、ウェハのフィーチャが選択的にエッチングされる。揮発性エッチング副生成物は、排気ポート(図示せず)を通して下側サブチャンバ503から除去される。重要なことに、これらの揮発性副生成物は、プラズマ中の高エネルギー電子に実質的に露出されず、したがって解離して不揮発性副生成物になる可能性はない。
【0098】
典型的には、本明細書で開示されるチャックは、約30℃〜約250℃の間、好ましくは約30〜150℃の間の範囲内の高温で動作する。温度は、エッチングプロセス操作および特有のレシピに依存する。
【0099】
図示しないが、チャンバ501は、典型的には、クリーンルームまたは製造施設内に設置されるときに設備に結合される。設備は、処理ガス、真空、温度制御、および環境粒子制御を提供する配管を含む。これらの設備は、チャンバ501がターゲット製造施設に設置されるときにチャンバ501に結合される。さらに、チャンバ501は、移送チャンバに結合されることがあり、移送チャンバは、典型的な自動制御を使用して、ロボット機構が半導体ウェハをチャンバ501の内外に移送できるようにする。
【0101】
いくつかの実施形態では、(1つまたは複数の物理的または論理的制御装置を含むことがある)システム制御装置が、プロセスツールの動作のいくつかまたはすべてを制御する。システム制御装置は、典型的には、1つまたは複数のメモリデバイスおよび1つまたは複数の処理装置を含む。処理装置は、中央処理装置(CPU)またはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入出力接続機構、ステッパモータ制御装置ボード、ならびに他の同様の構成要素を含むことがある。適切な制御操作を実施するための命令が、処理装置で実行される。これらの命令は、制御装置に関連付けられるメモリデバイスに記憶されることがあり、またはネットワークを介して提供されることがある。特定の実施形態では、システム制御装置は、システム制御ソフトウェアを実行する。
【0102】
システム制御ソフトウェアは、タイミング、プロセスガス成分の混合(例えば、エッチャントガスの組成、およびプラズマを発生させるために使用されるガスの組成)、チャンバ圧力、チャンバ温度、ウェハ温度、チャック/ウェハおよび任意の他の電極に印加される電流および電位、グリッドアセンブリの各グリッドに印加されるバイアス、ウェハ位置、ならびにプロセスツールによって行われる特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令を含むことがある。システム制御ソフトウェアは、任意の適切な様式で構成することができる。例えば、様々なプロセスツールプロセスを実施するのに必要なプロセスツール構成要素の動作を制御するために、様々なプロセスツール構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトが書かれることがある。システム制御ソフトウェアは、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語で符号化されることがある。
【0103】
いくつかの実施形態では、システム制御ソフトウェアは、上述した様々なパラメータを制御するための入出力制御(IOC)シーケンス命令を含む。例えば、エッチングプロセスの各段階は、システム制御装置によって実行される1つまたは複数の命令を含むことがある。プラズマ発生プロセス段階に関するプロセス条件を設定するための命令が、対応するプラズマ発生レシピ段階に含まれることがある。いくつかの実施形態では、エッチングレシピ段階が順次に配置されることがあり、それにより、エッチングプロセス段階に関するすべての命令が、そのプロセス段階と同時に実行される。
【0104】
いくつかの実施形態では、他のコンピュータソフトウェアおよび/またはプログラムが採用されることがある。この目的でのプログラムまたはプログラムの一部の例としては、基板位置決めプログラム、プロセスガス組成制御プログラム、エッチングガス組成制御プログラム、ガス入口タイミング制御プログラム、グリッドアセンブリバイアス制御プログラム、グリッドアセンブリ位置制御プログラム、静電チャックバイアス制御プログラム、圧力制御プログラム、加熱器制御プログラム、および電位/電流電源制御プログラムが挙げられる。本明細書で述べる任意のソフトウェア/プログラムが、エッチング中に重要なパラメータを変更するための命令を含むことがある。一例では、グリッドアセンブリバイアス制御プログラムは、エッチング中にグリッドアセンブリの1つまたは複数のグリッドへのバイアスを変更するための命令を含むことがある。その結果、下側サブチャンバ内に進むイオンのイオンエネルギーを、エッチングプロセス中に変更することができる。
【0105】
いくつかの場合には、制御装置は、以下の機能の1つまたは複数を制御する:下側サブチャンバへのエッチャントガスの送給、上側サブチャンバへのプラズマ発生ガスの送給、上側サブチャンバ内のプラズマ発生条件、グリッドアセンブリの各グリッドに印加されるバイアスなど。例えば、サブチャンバへのガスの送給は、特定の時点で開閉するように特定の弁に指令することによって実現されることがある。これにより、制御装置は、ガス送給のタイミングと、送給されるガスの組成との両方を制御できるようになる。制御装置は、例えば、特定の周波数/パワーレベルでプラズマ発生器(例えば、ICPリアクタのコイル)にパワーを提供するように電源に指令することによって、プラズマ発生条件を制御することができる。さらに、制御装置は、例えば、上側サブチャンバに入るように不活性ガス(および/またはいくつかの実施形態では、反応性ガス)の流れを向けることによって、またはサブチャンバ内の圧力を制御することによって、またはサブチャンバ内の温度を制御することによって、プラズマ発生条件を制御することができる。制御装置は、センサ出力(例えば、電流、電流密度、電位、圧力などが特定のしきい値に達した時)に基づいて、動作のタイミング(例えば、プロセス中の特定の時点での弁の開放)に基づいて、またはユーザからの受信された命令に基づいて、これらの側面を制御することができる。
【0106】
上述した様々なハードウェアおよび方法実施形態は、リソグラフィパターン形成ツールまたはプロセスと共に、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、太陽光パネルなどの作製または製造に使用されることがある。必ずしもそうではないが、典型的には、そのようなツール/プロセスは、共通の製造施設で一緒に使用または実施される。
【0107】
被膜のリソグラフィパターン形成は、典型的には、以下のステップのいくつかまたはすべてを含み、各ステップが、いくつかの使用可能なツールを用いて可能にされる。(1)スピンオンまたはスプレーオンツールを使用して、ワークピース、例えば窒化ケイ素被膜を上に有する基板にフォトレジストを塗布するステップ;(2)ホットプレートまたは炉または他の適切な硬化ツールを使用してフォトレジストを硬化するステップ;(3)ウェハステッパなどのツールを用いて可視光またはUV光またはX線光に対してフォトレジストを露光するステップ;(4)ウェットベンチまたはスプレーディベロッパなどのツールを使用して、レジストを現像し、レジストを選択的に除去し、それによりレジストをパターン形成するステップ;(5)ドライエッチングまたはプラズマエッチングツールを使用することによって、下にある被膜またはワークピースにレジストパターンを転写するステップ;および(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパなどのツールを使用してレジストを除去するステップ。いくつかの実施形態では、アッシャブルハードマスク層(例えば非晶質炭素層など)と、別の適切なハードマスク(例えば反射防止層など)とが、フォトレジストを塗布する前に堆積されることがある。
【0108】
本明細書で述べる構成および/または手法は性質上例示にすぎず、多くの変形が可能であるので、これらの特定の実施形態または例は、限定的な意味とみなすべきではないことを理解されたい。本明細書で述べる特定のルーチンまたは方法は、多くの処理ストラテジのうちの1つまたは複数を表すことがある。したがって、例示される様々な作用は、例示される順序で、または他の順序で、または並行して行うことができ、あるいはいくつかの場合には省略されることもある。同様に、上述したプロセスの順序を変えることもできる。
【0109】
本開示の主題は、様々なプロセス、システム、および構成のすべての新規のおよび自明でない組合せおよび部分的組合せ、ならびに本明細書で開示される他の特徴、機能、作用、および/または特性、ならびにそれらのあらゆる均等形態を含む。