(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように撮像ユニットにより撮影された画像をもとに形状等を測定する画像測定装置において、測定精度を向上させるための技術が求められている。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、高い精度で被測定物を測定可能な画像測定装置、画像測定方法、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る画像測定装置は、撮像部と、移動機構と、算出部とを具備する。
前記撮像部は、対象物を撮影可能である。
前記移動機構は、前記対象物に対する前記撮像部の撮影位置を変更可能である。
前記算出部は、前記撮像部により所定の複数の撮影位置の各々にて撮影された画像群を撮影画像群として、前記撮像部を複数の撮影位置の各々にて静止させて得られる第1の撮影画像群と、前記撮像部を前記複数の撮影位置の各々を通るように相対的に移動させながら得られる第2の撮影画像群とをもとに、補正値を算出する。
【0008】
この画像測定装置では、所定の複数の撮影位置に撮像部を静止させて撮影された第1の撮影画像群と、撮像部を相対的に移動させながら撮影された第2の撮影画像群とをもとに補正値が算出される。この補正値を用いることで、高い精度で、撮像部を相対的に移動させながら被測定物を測定することが可能となる。
【0009】
前記対象物は、被測定物であってもよい。この場合、前記画像測定装置は、さらに、前記算出された補正値をもとに、前記第2の撮影画像群に基づいた測定結果を補正する補正部を具備してもよい。
これにより高い精度で被測定物を測定するとことができる。
【0010】
前記画像測定装置は、さらに、前記算出された補正値を記憶する記憶部を具備してもよい。この場合、前記補正部は、前記記憶された補正値をもとに前記測定結果を補正してもよい。
これにより例えば同じ種類の被測定物を効率的に測定することができる。
【0011】
本発明の一形態に係る画像測定方法は、対象物に対して撮像部を複数の撮影位置の各々に静止させて撮影することで第1の撮影画像群を取得することを含む。
前記対象物に対して前記撮像部を前記複数の撮影位置の各々を通るように相対的に移動させながら撮影することで第2の撮影画像群が取得される。
前記取得された前記第1及び第2の撮影画像群をもとに、補正値が算出される。
算出された補正値を用いることで、高い精度で、撮像部を相対的に移動させながら被測定物を測定することが可能となる。
【0012】
前記第1の撮影画像群の取得ステップは、被測定物に対して実行されてもよい。この場合、前記第2の撮影画像群の取得ステップは、前記被測定物と、これと同じ種類の複数の他の被測定物との各々に対して実行されてもよい。また前記画像測定方法は、さらに、前記被測定物に対して算出された前記補正値をもとに、前記複数の他の被測定物の各々の、前記第2の撮影画像群に基づいた測定結果を補正することを含んでもよい。
これにより同じ種類の他の被測定物を効率的に測定することができる。
【0013】
本発明の一形態に係る情報処理装置は、移動制御部と、前記算出部とを具備する。
前記移動制御部は、対象物を撮影可能な撮像部の撮影位置を制御可能である。
【0014】
本発明の一形態に係る情報処理方法は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、対象物に対して撮像部を複数の撮影位置の各々に静止させて撮影させることで第1の撮影画像群を取得することを含む。
前記対象物に対して前記撮像部を前記複数の撮影位置の各々を通るように相対的に移動させながら撮影させることで第2の撮影画像群が取得される。
前記取得された前記第1及び第2の撮影画像群をもとに、補正値が算出される。
【0015】
本発明の一形態に係るプログラムは、前記情報処理方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、高い精度で被測定物を測定することが可能となる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0019】
[画像測定装置の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る画像測定装置を示す概略図である。画像測定装置100は、非接触型の画像測定機10と、情報処理装置としてのPC(Personal Computer)20とを有する。本技術に係る情報処理装置として、他のコンピュータが用いられてもよい。
【0020】
画像測定機10は、ステージ11と、移動機構12と、撮像ユニット(撮像部)13とを有する。ステージ11上の所定の位置に、被測定物であるワークWが載置される。ワークWは、撮像ユニット13により撮影される対象物にも相当する。
【0021】
移動機構12は、xyzの3次元方向において、ワークWに対する撮像ユニット13の撮影位置を変更可能である。撮影位置とは、撮影が行われる際の、ワークWに対する撮像ユニット13の相対的な位置である。従って撮像ユニット13及びワークWを相対的に移動させることで、撮影位置の変更が可能となる。
【0022】
図1に示すように移動機構12は、x移動機構14と、y移動機構15と、z移動機構16とを有する。z移動機構16は、撮像ユニット13をz方向に沿って移動させる。x移動機構14は、撮像ユニット13とz移動機構16とを一体的に、x方向に沿って移動させる。y移動機構15は、ステージ11をy方向に沿って移動させる。各移動機構の具体的な構成は限定されず、任意に設計されてよい。
【0023】
xyzの各移動機構には、例えばリニアスケール等からなる軸変位センサ17が配置される。x軸変位センサ17x及びz軸変位センサ17zの各々の検出値をもとに、撮像ユニット13のx及びz座標が算出される。またy軸変位センサ17yの検出値をもとにステージ11のy座標が算出される。
【0024】
撮像ユニット13には、対物レンズ18(
図3参照)及び撮像素子(図示なし)を備えるデジタルカメラ(ビデオカメラを含む)が搭載される。ワークWで反射した光が対物レンズ18を介して撮像素子に入射することにより、ワークWのデジタル画像が生成される。撮像素子としては、例えばCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサやCCD(Charge Coupled Device)センサ等が用いられる。
【0025】
PC20は、任意の接続形態により画像測定機10に接続される。PC20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等のコンピュータの構成に必要なハードウェアを有する(いずれも図示なし)。
【0026】
ROMやHDDには、CPUにより実行されるプログラムや形状データ等の各種のデータが格納される。またRAMは、CPUによる一時的な作業領域、及びデータの一時保存のための領域として用いられる。
【0027】
PC20による情報処理は、ROM等に記憶されたソフトウェアと、PC20のハードウェア資源との協同により実現される。本実施形態では、
図1に示すように、CPUが所定のプログラムを実行することで、機能ブロックとしての測定制御部21が構成される。なお測定制御部21を実現するために専用のハードウェアが適宜用いられてもよい。
【0028】
プログラムは、例えば種々の記録媒体を介してPC20にインストールされる。あるいは、インターネット等を介してプログラムがPC20にインストールされてもよい。
【0029】
図2は、測定制御部21の構成例を示す機能的なブロック図である。測定制御部21は、画像取得座標記憶部22、画像取得座標照合部23、画像取得信号出力部24、カメラ画像取得部25、座標検出部26、及び軸移動制御部27を有する。また測定制御部21は、座標記憶部28、座標・画像記憶部29、画像座標検出部30、静止測定時画像座標記憶部31、移動測定時画像座標記憶部32、画像座標差分算出部33、及び画像座標差分記憶部34を有する。さらに測定制御部21は、画像座標補正部35、及び検出座標出力部36を有する。
【0030】
画像取得座標記憶部22は、撮影位置の座標値(以下、撮影位置座標と記載する)を記憶する。本実施形態では、撮影位置座標として、撮影を実行したい撮像ユニット13のx及びz座標と、ステージ11のy座標とが予め格納される。
【0031】
座標検出部26は、xyzの各軸変位センサ17からの検出値をもとに、現在の測定位置の座標(以下、測定位置座標と記載する)を検出する。測定位置座標は、現在の撮像ユニット13のx及びz座標と、現在のステージ11のy座標とからなる。
【0032】
画像取得座標照合部23は、座標検出部26により検出された測定位置座標と、画像取得座標記憶部22に記憶された撮影位置座標とを照合する。そして両座標が一致した場合に、画像取得信号出力部24に画像取得信号の出力を指示する。
【0033】
画像取得信号出力部24は、撮像ユニット13のデジタルカメラに画像取得信号を出力する。当該信号が出力されることで、撮像ユニット13による撮影が実行される。カメラ画像取得部25は、撮像ユニット13により撮影された撮影画像を取得する。
【0034】
軸移動制御部27は、移動機構12を制御して、撮像ユニット13及びステージ11を移動させる。座標記憶部28は、座標検出部26により検出された測定位置座標と、撮影位置座標とが一致した場合に、測定位置座標を記憶する。
【0035】
座標・画像記憶部29は、撮像ユニット13により撮影された撮影画像と、撮影が行われた際の測定位置座標(すなわち撮影位置座標)とを記憶する。
【0036】
画像座標検出部30は、座標・画像記憶部29に記憶された撮影画像及び測定位置座標をもとに、xyzの3次元上におけるワークWの外形や特徴点等の座標(以下、測定座標と記載する)を検出する。例えばエッジ検出等の周知の画像解析技術を用いて、撮影画像上の位置及び測定位置座標をもとに、ワークWの各点における測定座標を検出可能である。
【0037】
画像座標補正部35は、画像座標検出部30により検出された測定座標を補正する。後に詳しく説明するが、本実施形態では、撮像ユニット13を複数の撮影位置の各々を通るように相対的に移動させながら撮影が行われる。そして撮影された撮影画像群をもとにワークWの測定座標が検出される。画像座標補正部35は、当該検出された測定座標を補正する。
【0038】
検出座標出力部36は、画像座標補正部35により補正された測定座標を出力する。
【0039】
静止測定時画像座標記憶部31、移動測定時画像座標記憶部32、画像座標差分算出部33、及び画像座標差分記憶部34は、画像座標補正部35による補正に用いられる補正値を算出するためのブロックである。これら各ブロックについては、後に詳しく説明する。
【0040】
[画像測定装置の動作]
上記したように本実施形態に係る画像測定装置100では、撮像ユニット13を停止させることなく、複数の撮影位置の各々を通るように相対的に連続して移動させながら、測定を実行することが可能である。例えばROM等に記憶されたパートプログラム等に基づいて、所定のルートに沿って、自動的に撮影位置の変更(撮像ユニット13の相対的な移動)が実行される。その際に、測定位置座標が撮影位置座標に一致した場合に自動的に撮影が実行される。以下、この測定を移動測定と記載する。
【0041】
図3−
図5は、移動測定時において生じ得る問題点について説明するための図である。
図3−
図5において
図Aは画像測定機10をy方向から見た正面図であり、
図Bは撮像ユニット13により撮影された撮影画像である。
【0042】
図3は、撮像ユニット13が撮影位置Pで静止した状態で撮影が実行される場合を示す図である。この場合、撮影位置座標上に撮像ユニット13及びステージ11が移動されて、真下にあるワークWが撮影される。ここではワークWとして白色の領域41と黒色の領域42とが設けられた板状部材が用いられる。そして
図3Bに示すように、白色領域41と黒色領域42との境界43が撮影画像50の中心点55と重なるように、撮影位置Pが設定されている。
【0043】
図4は、撮像ユニット13が加速中に撮影位置Pで撮影が実行される場合を示す図である。この場合、撮像ユニット13やz移動機構16に加速度が作用するので、
図4Aに示すように、これらの重量による慣性により、傾きや歪みが発生する可能性がある。ステージ11が加速中である場合には、ワークWに歪み等が発生する場合もある。
【0044】
そうすると
図4Bに示すように、撮像ユニット13により撮影された撮影画像50では、ワークWの境界43が撮影画像50の中心点55からずれて写ってしまう。当該撮影画像50をもとに測定座標を算出した場合、
図3Bに示す静止時の撮影画像50から算出された測定座標と比べて、画像のずれ分だけ誤差が発生してしまう。このような撮影画像50のずれは、減速中や、2軸以上の同時移動での円弧状移動による遠心力等によっても発生し得る。
【0045】
図5は、移動中の画像取得のタイミングについて説明するための図である。
図2に示す画像取得座標照合部23により測定位置座標と撮影位置座標とが照合され、両座標の一致に応じて、画像取得信号出力部24から撮像ユニット13に画像取得信号が出力されるまでには、多少の時間を要する。すなわち実際に撮像ユニット13が撮影位置Pに移動するタイミングから遅れて、撮像ユニット13による撮影が実行される(
図5Aの遅延撮影位置P1)。
【0046】
画像取得のタイミングが遅れると、
図5Bに示すように、撮影された撮影画像50では、ワークWの境界43が撮影画像50の中心点55からずれて写ってしまう。当該撮影画像50をもとに測定座標を算出した場合、画像のずれ分だけ誤差が発生してしまう。
【0047】
そこで本発明者は、例えば同じパートプログラム等により、決められたルートに従って移動測定が実行される場合、各々の撮影位置Pでの、加速度、減速度、遠心力等による移動機構12やワークWの歪み、及び画像取得のタイミングのずれは、毎回ほぼ同じ状態で発生する。すなわち各撮影位置で撮影された撮影画像50内のずれ量は、毎回ほぼ同じであることに着目した。
【0048】
そして撮像ユニット13を複数の撮影位置Pの各々に静止させて測定し(以下、静止測定と記載する)、その測定結果(すなわち各撮影画像50から検出された測定座標)を取得する。そしてこの静止測定による測定結果と、移動測定による測定結果との差分を、補正値として算出することを考案した。以下、具体的な動作例を説明する。
【0049】
図6は、静止測定の動作例を示すフローチャートである。画像取得座標記憶部22に記憶された撮影位置座標が読み出される(ステップ101)。軸移動制御部27により、読みだされた撮影位置座標へ撮像ユニット13及びステージ11が移動される(ステップ102)。画像取得座標照合部23により、測定位置座標と撮影位置座標とが一致したか否かが判定される(ステップ103)。両座標が一致した場合には(ステップ103のYes)、軸移動制御部27に、移動の停止が指示される(ステップ104)。
【0050】
軸移動制御部27は、静止状態であるか否か判定し(ステップ105)、静止状態が確認された場合には(Yes)、その旨の信号を画像取得座標照合部23に出力する。画像取得座標照合部23は、この信号を受けて、画像取得信号出力部24に、画像取得信号の出力を指示する。これにより撮像ユニット13によりワークWが撮影され、撮影画像が取得される(ステップ106)。
【0051】
撮影画像が取得されると、座標・画像記憶部29により、撮影画像と測定位置座標(撮影位置座標)とが互いに関連付けられて記憶される(ステップ107)。画像座標検出部30により、記憶された撮影画像及び測定位置座標をもとに、ワークWの各点における測定座標(X、Y、Z)が検出される(ステップ108)。
【0052】
検出された測定座標(X、Y、Z)は、静止時の測定座標として、
図2に示す静止測定時画像座標記憶部31に記憶される(ステップ109)。以上の処理が、予め定められた複数の撮影位置の全てに対して実行される(ステップ110)。
【0053】
静止測定時画像座標記憶部31には、全ての撮影位置における測定座標(X
S1,Y
S1,Z
S1)−(X
Sn,Y
Sn,Z
Sn)が記憶される。なお添え字のnは、撮影位置座標毎の連番である。
【0054】
静止測定において各撮影位置にて撮影された撮影画像群は、本実施形態において、第1の撮影画像群に相当する。従って、全ての撮影位置における測定座標(X
S1,Y
S1,Z
S1)−(X
Sn,Y
Sn,Z
Sn)は、第1の撮影画像群に基づいた測定結果に相当する。
【0055】
図7は、移動測定の動作例を示すフローチャートである。移動測定は、静止測定が実行された後、そのままステージ11に同じワークWが載置されている状態で実行される。
【0056】
ステップ201−203において、読みだされた撮影位置座標と、測定位置座標とが照合される。なお読み出される撮影位置座標は、静止測定時の撮影位置座標と同じである。
【0057】
撮影位置座標と測定位置座標とが一致した場合には(ステップ203のYES)、画像取得信号出力部24から撮像ユニット13に画像取得信号が出力され、撮影画像が取得される(ステップ204)。取得された撮影画像と測定位置座標とが記憶され(ステップ205)、これらをもとにワークWの各点における測定座標(X、Y、Z)が検出される(ステップ206)。
【0058】
検出された測定座標(X、Y、Z)は、移動時の測定座標として、
図2に示す移動測定時画像座標記憶部32に記憶される(ステップ207)。以上の処理が、複数の撮影位置の全てに対して実行される(ステップ208)。
【0059】
移動測定時画像座標記憶部32には、全ての撮影位置における測定座標(X
M1,Y
M1,Z
M1)−(X
Mn,Y
Mn,Z
Mn)が記憶される。なお添え字のnは、静止測定時の測定結果の番号と一致する。すなわち同じ番号からなる各々の測定結果(X
Sn,Y
Sn,Z
Sn)及び(X
Mn,Y
Mn,Z
Mn)は、同じ撮影位置における測定結果となる。
【0060】
移動測定において各撮影位置にて撮影された撮影画像群は、本実施形態において、第2の撮影画像群に相当する。従って、全ての撮影位置における測定座標(X
M1,Y
M1,Z
M1)−(X
Mn,Y
Mn,Z
Mn)は、第2の撮影画像群に基づいた測定結果に相当する。
【0061】
図8は、
図2に示す画像座標差分算出部33により実行される、補正値の算出例を示すフローチャートである。静止測定時画像座標記憶部31から、静止測定時測定座標(X
Sn,Y
Sn,Z
Sn)が読み出される(ステップ301)。移動測定時画像座標記憶部32から、移動測定時測定座標(X
Mn,Y
Mn,Z
Mn)が読み出される(ステップ302)。
【0062】
以下の式にて、差分(ΔX
n,ΔY
n,ΔZ
n)が算出される(ステップ303)。
ΔX
n=X
Mn−X
Sn
ΔY
n=Y
Mn−Y
Sn
ΔZ
n=Z
Mn−Z
Sn
【0063】
算出された差分(ΔX
n,ΔY
n,ΔZ
n)は、
図2に示す画像座標差分記憶部34に記憶される(ステップ304)。この処理が、最後の撮影位置座標になるまで繰り返される(ステップ305)。差分(ΔX
n,ΔY
n,ΔZ
n)は、本実施形態において、第1の撮影画像群及び第2の撮影画像群をもとに算出される補正値に相当する。
【0064】
図9は、補正値を用いた移動測定の動作例を示すフローチャートである。ステージ11上に、補正値を算出するために載置されていたワークWと同じ形状を有する同じ種類のワークWが載置される。そしてステップ401−406まで、
図7に示す移動測定と同じ処理が実行される。なおステップ406で算出された撮影位置座標毎の測定座標(X
n,Y
n,Z
n)は、
図2に示す画像座標補正部35に出力される。
【0065】
画像座標補正部35は、受け付けた測定座標(X
n,Y
n,Z
n)に対応する、同じ番号nの差分(ΔX
n,ΔY
n,ΔZ
n)を、画像座標差分記憶部34から読み出す(ステップ407)。そして以下の式にて、補正座標(X
Cn,Y
Cn,Z
Cn)が算出される(ステップ408)。
X
Cn=X
n−ΔX
n
Y
Cn=Y
n−ΔY
n
Z
Cn=Z
n−ΔZ
n
なお添え字のnは、静止測定時及び移動測定時の測定結果の番号と一致する。
【0066】
算出された補正座標(X
Cn,Y
Cn,Z
Cn)は、検出座標出力部36により出力される(409)。以上の処理が、最後の撮像位置になるまで繰り返される(ステップ410)。
【0067】
以上、本実施形態に係る画像測定装置100では、所定の複数の撮影位置に撮像ユニット13を静止させて撮影された第1の撮影画像群と、撮像ユニット13を相対的に移動させながら撮影された第2の撮影画像群とをもとに、差分(ΔX
n,ΔY
n,ΔZ
n)が算出される。この差分(ΔX
n,ΔY
n,ΔZ
n)を用いることで、各々の撮影位置での、加速度、減速度、遠心力等による移動機構12やワークWの歪み、及び画像取得のタイミングのずれの影響を排除した、静止時とほぼ同等の測定結果が得られる。すなわち高い精度で、撮像ユニット13を相対的に移動させながらワークWを測定することが可能となる。
【0068】
また移動測定時における画像のずれを防止するために、移動機構12等を構成する部材の剛性を極限まで高める必要がないため、コストを削減することが可能である。
【0069】
また測定対象となる複数のワークWのうちの任意の1つが代表して選択され、静止測定及び移動測定をもとに補正値が算出される。当該補正値は記憶され、同じ種類の他のワークWが移動測定される場合には、記憶された補正値をもとに補正が実行される。これにより同じ種類の複数のワークWを高い精度で効率的に測定することができる。例えば最初の1つの目のワークWを用いることで簡単に補正値を算出可能であるので、複雑な処理をすることなく高精度に移動測定を実行可能である。
【0070】
<その他の実施形態>
本発明は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0071】
上記では、測定対象となるワークを用いて補正値が算出された。これに代えて、校正用の対象物を用いて、補正値が算出されてもよい。校正用の対象物は限定されないが、例えば
図3等においてワークWとして説明した板状部材が挙げられる。
【0072】
例えば測定対象となるワークが定まっている場合、移動測定における撮像ユニットやステージを移動させる方法が定まっている場合、その移動態様がシンプルな場合(1軸ずつ等速で移動等)、又はそれほど高い精度が求められていない場合等においては、本実施形態に係る対象物として、校正用対象物が用いられてもよい。
【0073】
例えば工場出荷時等において、校正用対象物を用いて補正値が算出され記憶される。実際のワークの測定時には、当該補正値を用いて移動測定が実行される。これにより簡単に高精度の移動測定が実現可能である。もちろん校正用対象物を用いて算出された補正値を使用するか、ワークを用いて現場で補正値を算出するかが選択可能であってもよい。
【0074】
上記では、撮像ユニットの撮影位置を変更するために、x及びz方向に撮像ユニットが移動され、y方向にステージが移動された。これに限定されず、撮影側の撮像ユニットがxyzの3方向に移動可能であってもよいし、被測定側のステージがxyzの3方向に移動可能であってもよい。また撮影側及び被測定側がともに同じ方向に移動可能であってもよい。いずれにせよ、撮像ユニットの撮影位置を変更するための移動は、撮像ユニットを相対的に移動させることに相当する。
【0075】
上記では、画像測定機とPCとが別体で構成された。しかしながら画像測定機とPCとが一体的に構成されて、本発明に係る画像測定装置が実現されてもよい。すなわち画像測定機内に、CPU等を含む情報処理部が設けられ、当該情報処理部により、測定制御部が実現されてもよい。
【0076】
本発明に係る画像測定方法を適用することが可能な画像測定装置の種類は限定されない。ワークを撮影することで得られる被写体画像を用いて測定や観察等を実行する装置であれば、どのような装置にも本発明は適用可能である。例えばCNC画像測定機、CNC三次元測定機、硬さ試験機等が挙げられる。また光学顕微鏡で得られた拡大像をデジタルカメラにより撮影するデジタル顕微鏡においても本発明は適用可能である。
【0077】
以上説明した各形態の特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。