(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475557
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】放射線検出装置及び放射線検出器
(51)【国際特許分類】
G01N 23/223 20060101AFI20190218BHJP
G01T 7/00 20060101ALI20190218BHJP
G01N 23/2255 20180101ALI20190218BHJP
【FI】
G01N23/223
G01T7/00 A
G01N23/2255
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-88549(P2015-88549)
(22)【出願日】2015年4月23日
(65)【公開番号】特開2016-206032(P2016-206032A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】安井 健吾
(72)【発明者】
【氏名】松永 大輔
【審査官】
田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−304372(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0288058(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/2276
G01T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料へ放射線を照射する照射部と、試料から発生する放射線を検出する柱状の放射線検出器とを備える放射線検出装置において、
前記照射部が試料へ照射する放射線の照射軸周りに、一端面を試料上の放射線の照射位置へ対向させるように前記放射線検出器が三個以上配置され、前記照射軸に直交する平面に各放射線検出器の中心軸が非直角に交差しており、
前記放射線検出器の夫々は、前記平面上の直線の内で前記中心軸に直交する直線に平行な方向の長さが、前記中心軸に沿って所定の位置から前記一端面にかけて連続的に減少しており、
前記放射線検出器の夫々は、前記方向の長さが減少している部分では、前記中心軸に直交する平面内での前記方向の長さが試料に近くなるほど長いこと
を特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
前記放射線検出器の夫々は、周面の内で他の放射線検出器に近接する部分が平面状になっていること
を特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項3】
試料から発生する放射線を検出する柱状の放射線検出器を備える放射線検出装置において、
所定の軸周りに、一端面を試料へ対向させるように前記放射線検出器が三個以上配置され、前記所定の軸に直交する平面に各放射線検出器の中心軸が非直角に交差しており、
前記放射線検出器の夫々は、前記平面上の直線の内で前記中心軸に直交する直線に平行な方向の長さが、前記中心軸に沿って所定の位置から前記一端面にかけて連続的に減少しており、
前記放射線検出器の夫々は、前記方向の長さが減少している部分では、前記中心軸に直交する平面内での前記方向の長さが試料に近くなるほど長いこと
を特徴とする放射線検出装置。
【請求項4】
放射線が通過する窓を一端に設けた柱状の放射線検出器において、
中心軸に直交する所定の直線に平行な方向の長さが、前記中心軸に沿って所定の位置から前記一端にかけて連続的に減少しており、
前記方向の長さが減少している部分では、前記中心軸に直交する平面内での前記方向の長さが、前記方向に直交する方向に沿って一端から他端へ向けて単調に増加又は減少していること
を特徴とする放射線検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の放射線検出器を用いた放射線検出装置及び放射線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
X線等の放射線を検出する放射線検出器には、半導体製の放射線検出素子を用いて放射線を検出するものがある。放射線検出素子は密閉された筒状のハウジング内に配置されており、放射線検出器1は全体として柱状になっている。このような構成の放射線検出器は、特許文献1に記載されている。
【0003】
放射線検出器を用いた放射線検出装置には、試料へ電子線又はX線等の放射線を照射し、放射線を照射された試料から発生した放射線を放射線検出器により検出するものがある。このような放射線検出装置は、例えば蛍光X線分析装置である。試料からの放射線を高効率で検出するために、複数の放射線検出器を用いて放射線を検出する放射線検出装置が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−147595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放射線検出装置で試料からの放射線の検出効率をより高めるためには、放射線検出器をより試料に近づければよい。しかしながら、複数の放射線検出器を用いた放射線検出装置では、放射線検出器を試料に近づけ過ぎた場合は、放射線検出器同士が干渉し合う。従って、放射線検出器を試料に近づけることによる放射線検出の高効率化には限界がある。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、従来よりも放射線検出器を試料に近づけることを可能にして、放射線検出の効率を向上させた放射線検出装置及び放射線検出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る放射線検出装置は、試料へ放射線を照射する照射部と、試料から発生する放射線を検出する柱状の放射線検出器とを備える放射線検出装置において、前記照射部が試料へ照射する放射線の照射軸周りに、一端面を試料上の放射線の照射位置へ対向させるように前記放射線検出器が三個以上配置され、前記照射軸に直交する平面に各放射線検出器の中心軸が非直角に交差しており、前記放射線検出器の夫々は、前記平面上の直線の内で前記中心軸に直交する直線に平行な方向の長さが、前記中心軸に沿って所定の位置から前記一端面にかけて連続的に減少しており、前記放射線検出器の夫々は、前記方向の長さが減少している部分では、前記中心軸に直交する平面内での前記方向の長さが試料に近くなるほど長いことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る放射線検出装置は、前記放射線検出器の夫々は、周面の内で他の放射線検出器に近接する部分が平面状になっていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る放射線検出装置は、試料から発生する放射線を検出する柱状の放射線検出器を備える放射線検出装置において、所定の軸周りに、一端面を試料へ対向させるように前記放射線検出器が三個以上配置され、前記所定の軸に直交する平面に各放射線検出器の中心軸が非直角に交差しており、前記放射線検出器の夫々は、前記平面上の直線の内で前記中心軸に直交する直線に平行な方向の長さが、前記中心軸に沿って所定の位置から前記一端面にかけて連続的に減少しており、前記放射線検出器の夫々は、前記方向の長さが減少している部分では、前記中心軸に直交する平面内での前記方向の長さが試料に近くなるほど長いことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る放射線検出器は、放射線が通過する窓を一端に設けた柱状の放射線検出器において、中心軸に直交する所定の直線に平行な方向の長さが、前記中心軸に沿って所定の位置から前記一端にかけて連続的に減少しており、前記方向の長さが減少している部分では、前記中心軸に直交する平面内での前記方向の長さが、前記方向に直交する方向に沿って
一端から他端へ向けて単調に
増加又は減少していることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、放射線検出装置は、試料へ照射する放射線の照射軸周りに、三個以上の柱状の放射線検出器を、一端面を放射線の照射位置へ対向させるようにして配置してある。照射軸に直交する平面と放射線検出器の中心軸とは非直角に交差している。放射線検出器では、照射軸に直交する平面上の直線の内で放射線検出器の中心軸に直交する直線に平行な方向の長さが、中心軸に沿った途中の位置から端面にかけて連続的に減少している。照射軸周りの各放射線検出器の長さが端面に近づくほど減少し、放射線検出器同士が干渉し難く、従来よりも放射線検出器を試料に近づけることができる。また、放射線検出器は、前記方向の長さが中心軸に沿って連続的に減少している部分での中心軸に直交する平面内では、前記方向の長さが試料に近くなるほど長くなっている。照射軸周りに複数の放射線検出器を配置した状態で互いに干渉しやすい部分を短くし、互いに干渉し難い部分を長くしている。これにより、放射線検出器を試料へ近づけながら、中心軸に直交する放射線検出器の面積を可及的に大きくすることができる。
【0012】
また、本発明においては、放射線検出器の周面の内で他の放射線検出器に近接する部分が平面状になっている。他の放射線検出器に近接する部分が曲面状になっている場合と比べて、放射線検出器間の距離を変えずに、中心軸に直交する放射線検出器の面積を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明にあっては複数の放射線検出器は、従来よりも試料に近づくように配置され、高効率で試料からの放射線を検出することが可能である。従って、放射線検出装置は、高感度で放射線を検出することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】放射線検出装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】複数の放射線検出器の配置例を示す模式的平面図である。
【
図6】端面を正面にした放射線検出器の模式的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、放射線検出装置の構成を示すブロック図である。放射線検出装置は、例えば蛍光X線分析装置である。放射線検出装置は、電子線又はX線等の放射線を試料6へ照射する照射部4と、平板状の試料6が保持される試料台5と、複数の放射線検出器1とを備えている。
図1には二個の放射線検出器1を示しているが、放射線検出装置は三個以上の放射線検出器1を備えている。照射部4から試料6へ放射線が照射され、試料6では蛍光X線等の放射線が発生し、放射線検出器1は試料6から発生した放射線を検出する。図中には、放射線を矢印で示している。試料6上で放射線を照射される照射位置を61で示している。放射線検出器1は、検出した放射線のエネルギーに比例した信号を出力する。放射線検出器1には、出力した信号を処理する信号処理部2が接続されている。信号処理部2は、放射線検出器1が出力した各値の信号をカウントし、放射線のエネルギーとカウント数との関係、即ち放射線のスペクトルを生成する処理を行う。信号処理部2は、複数の放射線検出器1での検出結果を加算したスペクトルを生成してもよく、複数の放射線検出器1での検出結果を平均したスペクトルを生成してもよい。信号処理部2及び照射部4は、放射線検出装置全体を制御する制御部3に接続されている。制御部3は、信号処理部2及び照射部4の動作を制御する。
【0016】
図2は、放射線検出器1の模式的断面図である。放射線検出器1は、板状のベース16を備えている。ベース16の一面側には、キャップ状のカバー7が被さっている。カバー7は、円筒の一端に切頭錐体が連結した形状になっており、円筒の他端はベース16に接合している。ベース16にカバー7が連結していることで、放射線検出器1は全体的に柱状になっている。ベース16及びカバー7は、鉄等の金属製であり、溶接されている。カバー7の先端の端面71には、ベリリウム等の放射線を通過させる材料で形成された平板状の窓18が設けられている。カバー7の内側は、密閉されており、減圧されているか、又は不活性ガスが充填されている。
【0017】
カバー7の内側には、筒状のコリメータ11と、半導体製の放射線検出素子12と、配線基板13と、ペルチェ素子14とが配置されている。放射線検出素子12は、例えばSDD(Silicon Drift Detector)である。放射線検出素子12は、板状であり、配線基板13の表面に実装されており、窓18に対向する位置に配置されている。コリメータ11は、放射線を遮蔽する材料で両端が開口した筒状に形成されており、放射線検出素子12と窓18との間に配置されている。コリメータ11の一端は窓18に対向しており、他端は放射線検出素子12の表面に接している。コリメータ11は、窓18を通過した放射線の一部を遮蔽し、放射線検出素子12は、コリメータ11で遮蔽されなかった放射線を検出する。放射線検出素子12の窓18に対向した表面の内、コリメータ11の内側の部分は、検出すべき放射線の入射面である。
【0018】
配線基板13の裏面には、ペルチェ素子14の吸熱部分が熱的接触している。ペルチェ素子14の放熱部分は、ベース16の内面に対向している。また、放射線検出器1は、ペルチェ素子14の放熱部分に熱的接触したコールドフィンガー15を備えている。コールドフィンガー15は、熱伝導率が高い材料で形成されている。コールドフィンガー15は、ペルチェ素子14の放熱部分に熱的接触した板状部分と、板状部分からベース16へ向けて突出したボルト状部分とを含んで構成されている。コールドフィンガー15のボルト状部分は、ベース16を貫通しており、ベース16の外面から突出している。配線基板13及びペルチェ素子14、並びにペルチェ素子14及びコールドフィンガー15は、互いに直接接触していてもよく、間に熱伝導材を介在させていてもよい。ベース16の外面から突出したコールドフィンガー15のボルト状部分は、放射線検出器11外の放熱部に連結される。放熱部は例えば放熱板である。放射線検出素子12は、配線基板13を通してペルチェ素子14によって冷却され、放射線検出素子12の熱は、ペルチェ素子14からコールドフィンガー15へ伝導し、放熱部から放熱される。更に、ベース16を貫通して、電力の供給及び信号の入出力のための複数のリードピン19が設けられている。
【0019】
図3は、複数の放射線検出器1の配置例を示す模式的平面図である。
図3には、放射線検出装置が四個の放射線検出器1を備えた例を示している。照射部4が試料6へ照射する放射線の照射軸は、
図3に直交している。各放射線検出器1は、全体として柱状であり、一端に窓18が設けられている。
図3では、放射線検出器1が備えるコールドフィンガー15及びリードピン19を省略している。照射部4が照射する放射線の照射軸周りに、複数の放射線検出器1が配置されている。各放射線検出器1は、放射線の照射軸に直交する平面に各放射線検出器1の中心軸が非直角に交差するようになっており、試料6上の放射線の照射位置61に窓18が対向するように配置されている。放射線照射によって試料6から発生する放射線は、複数の方向に放射されるので、照射軸の周囲に複数の放射線検出器1を配置しておくことによって、発生した放射線がいずれかの放射線検出器1へ入射する割合が高く、放射線検出装置で放射線を検出する効率が高い。後述するように、放射線検出器1は先細りの形状になっているが、中心軸は、放射線検出器1の先細りになっていない部分の断面の中心又は重心を通る軸である。放射線検出器1の中心軸は、放射線検出素子12の入射面に直交していることが望ましく、また、放射線検出素子12の入射面の中心又は重心を通っていてもよい。なお、放射線検出装置が備える放射線検出器1の数は三個であってもよく、五個以上であってもよい。
【0020】
図4は、一つの放射線検出器1の模式的側面図であり、
図5は、一つの放射線検出器1の模式的平面図である。
図6は、端面71を正面にした放射線検出器1の模式的正面図である。
図4及び
図5では、コールドフィンガー15及びリードピン19を省略している。
図4中には、照射部4が試料6へ照射する放射線の照射軸41を実線矢印で示し、放射線検出器1の中心軸10を一点鎖線で示している。中心軸10は
図6に直交している。また、
図5及び
図6には、照射軸41に直交する平面上の直線の内で中心軸10に直交する直線に平行な方向を破線矢印で示している。照射軸41に沿った方向を縦方向とすると、破線矢印で示した方向は横方向である。中心軸10に直交する横方向は、
図4に直交する方向である。
図5に示すように、カバー7の横方向の長さは、中心軸10に沿って所定の位置から端面71にかけて連続的に減少している。照射軸41周りのカバー7の大きさが端面71に近づくほど縮小するので、
図3に示す如く照射軸41周りに複数の放射線検出器1を配置した場合に、複数の放射線検出器1のカバー7同士が干渉し難い。従って、従来よりも端面71が試料6に近づくように複数の放射線検出器1を配置することが可能となっている。
【0021】
カバー7の周面の内、カバー7の横方向の長さが中心軸10に沿って連続的に減少している部分の周面は、他の放射線検出器1に近接する近接部分72となっている。近接部分72は、平面状になっている。
図5及び
図6に示すように、放射線検出器1は、他の放射線検出器1が両隣に近接できるように、近接部分72が二か所に形成されている。二つの近接部分72は平行ではなく、中心軸10に直交する平面内で互いに5°以上傾いており、望ましくは10°以上傾いている。近接部分72が平面状になっていることで、近接部分72が曲面状になっている場合と比べて、放射線検出器1間の距離を変えずに、中心軸10に直交する放射線検出器1の面積を大きくすることができる。
【0022】
図6では、放射線検出器1の各部分の内、下側の部分が、試料6に近くなる部分である。カバー7の端面71では、横方向の長さが試料6に近くなるほど長くなっている。同様に、カバー7の横方向の長さが中心軸10に沿って連続的に減少している部分では、中心軸10に直交する平面内での横方向の長さがその平面内で試料6に近くなるほど長くなっている。二つの近接部分72は、照射軸41に直交する平面上の直線の内で中心軸10に直交する直線に対して、互いの距離が試料6に近くなるほど長くなるように傾いている。このため、二つの近接部分72の間の距離は、試料6に近くなるほど長くなっている。窓18の表面と中心軸10との交点を通り照射軸41に直交する平面で窓18の表面を分割した場合は、試料6に近い部分の表面積が試料6から遠い部分の表面積よりも大きい。窓18の表面形状は台形であることが望ましい。
図3に示す如く、端面71を照射位置61に対向させ、照射軸61に直交する平面に中心軸10が非直角に交差するように複数の放射線検出器1を照射軸41周りに配置した状態では、放射線検出器1は比較的に試料6から遠い部分で互いに干渉しやすい。放射線検出器1は、横方向の長さを、互いに干渉しやすい試料6から遠い部分で短くし、互いに干渉し難い試料6に近い部分で長くしている。このため、端面71を試料6に近づけた状態で、端面71の面積及び中心軸10に直交する放射線検出器1の面積を可及的に大きくすることができる。端面71の面積を大きくすることで、窓18の面積を大きくすることができ、放射線が放射線検出器1へ入射する割合が高くなる。中心軸10に直交する放射線検出器1の面積を大きくすることで、カバー7内に配置された放射線検出素子12の面積を大きくすることができ、放射線検出の効率が高くなる。放射線検出の効率を高くするためには、コリメータ11及び放射線検出素子12の窓18に対向した部分の形状は、カバー17の内面に沿った形状であることが望ましい。
【0023】
以上詳述した如く、放射線検出装置は、試料6へ照射する放射線の照射軸41周りに複数の放射線検出器1を配置しており、照射軸41周りの各放射線検出器1の大きさが端面71に近づくほど縮小している。複数の放射線検出器1のカバー7同士が干渉し難く、従来よりも放射線検出器1を試料6に近づけることができる。試料6からの放射線がいずれかの放射線検出器1へ入射する割合が高くなり、放射線検出装置で放射線を検出する効率が高くなる。従って、放射線検出装置は、高感度で放射線を検出することができ、より高精度に試料6の分析を行うことが可能となる。
【0024】
また、本実施の形態においては、放射線検出器1の周面の内で他の放射線検出器1に近接する近接部分72は、平面状になっている。また、放射線検出器1の端面71付近の中心軸10に直交する平面内では、照射軸41に平行な方向を縦方向とした横方向の長さがその平面内で試料6に近くなるほど長くなっている。これによって、放射線検出器1を試料6に近づけながらも、放射線が入射する窓18の面積を可及的に大きく確保し、中心軸10に直交する放射線検出器1の面積を可及的に大きく確保することができる。従って、放射線検出器1で放射線を検出する効率がより高くなり、放射線検出装置は、より高感度で放射線を検出することができる。
【0025】
なお、本実施の形態においては、照射軸41の周りに複数の放射線検出器1が配置された形態を示したが、放射線検出装置は、複数の放射線検出器1が照射軸41以外の所定の軸の周りに配置されている形態であってもよい。例えば、放射線検出装置は、所定の軸の周りに複数の放射線検出器1が配置されており、所定の軸に対して傾斜した方向から、又は放射線検出器1と試料6との間を通って試料6へ放射線を照射する形態であってもよい。また、放射線検出装置は、試料6の裏側へ放射線を照射する形態であってもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 放射線検出器
10 中心軸
11 コリメータ
12 放射線検出素子
16 ベース
18 窓
2 信号処理部
3 制御部
4 照射部
41 照射軸
5 試料台
6 試料
7 カバー
71 端面
72 近接部分