(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凸部の最頂部の推定膜厚の現在の値と過去の値に基づいて、前記膜厚センサが次に膜厚信号を取得する前に、前記凸部の最頂部の膜厚を予測し、前記予測された膜厚に基づいてウェーハの研磨終点を決定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように研磨テーブルに配置された測定部を備えた監視システムにおいては、研磨中におけるウェーハ面上の測定位置を精確に制御することが難しい。一般に、ウェーハは、研磨ヘッドに装着されたリテーナリングの内側でわずかに動く構造になっているため、研磨ヘッドの中心に対しウェーハが径方向にずれたり、研磨ヘッドに対して時間の経過とともに徐々に回転したりする。このため、ウェーハ面上の所定の位置を連続して測定することが難しく、ウェーハ面に形成された構造体のどの部位を測定したかによって測定データが大きく変わってしまう。
【0005】
図18(a)は、研磨の初期段階での測定膜厚の推移を示し、
図18(b)は研磨の中間段階での測定膜厚の推移を示したグラフである。これらグラフ中の測定膜厚は、300mmウェ−ハの中心から約120mm離れた測定領域での測定膜厚を示している。測定対象となるウェーハは、その表面に複数の凸部を有するウェーハである。このようなウェーハの例としては、複数のセル(メモリセル)がマトリックス状に配列されたセルアレイを有するウェーハである。
【0006】
キセノンフラッシュ光源を備えた分光式監視システムを用いてウェーハの膜厚を測定し、凸部の膜厚と思われる測定データを抽出した。
図18(a)においては、測定膜厚のばらつきは小さく、研磨テーブルの回転回数、すなわち、研磨時間の経過につれて測定膜厚は概ね直線状に減少する。これに対し、
図18(b)においては、測定膜厚が研磨時間と共に減少はするものの、測定膜厚のばらつきが大きく、1つ1つの測定膜厚に基づいた膜厚プロファイルの制御や、研磨終点の検出が難しい。
【0007】
図19(a)は、
図18(a)に対応する研磨の初期段階での凸部のプロファイル(断面形状)を表す図であり、
図19(b)は、
図18(b)に対応する研磨の中間段階での凸部のプロファイル(断面形状)を表す図である。
図19(a)に示すプロファイルは、ウェーハ研磨前の凸部106のプロファイルであり、凸部106は矩形状の断面を表している。
図19(b)に示すプロファイルは、ウェーハをある時間研磨した後にウェーハ研磨を一旦中断したときに取得された凸部106のプロファイルである。凸部106の両側には、トレンチ110が形成されている。凸部106は、例えば、上述したセル(メモリセル)である。
【0008】
図19(a)および
図19(b)から分かるように、研磨前には、凸部の断面は矩形状であるのに対し、研磨の進行と共に凸部の角が丸くなる。このため、分光式監視システムの測定部の測定位置によって、測定膜厚がばらつく。例えば、
図19(a)では、凸部106の中央部での膜厚と、エッジ部での膜厚は同じであるが、
図19(b)では、凸部106の中央に位置する最頂部106aでの膜厚と、エッジ部106bでの膜厚は異なる。すなわち、
図19(b)から分かるように、凸部106は、その最頂部106aにおいて最大の膜厚を有し、エッジ部106bにて最小の膜厚を持つ。このため、測定位置の違いによって測定膜厚がばらつき、正確な研磨状態を検出することができない。
【0009】
そこで、本発明は、測定位置の違いによらずに安定した膜厚を得ることができる研磨方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、表面に凸部が形成されたウェーハを研磨する方法であって、研磨パッドを支持する研磨テーブルを回転させ、ウェーハの表面を前記研磨パッドに押し付け、前記研磨テーブルが直近の所定の回数だけ回転している間に、前記研磨テーブルに設置された膜厚センサからの複数の膜厚信号を取得し、前記複数の膜厚信号から複数の測定膜厚を決定し、前記複数の測定膜厚に基づいて、前記凸部の最頂部の推定膜厚を決定し、前記凸部の最頂部の推定膜厚に基づいてウェーハの研磨を監視することを特徴とする。
【0011】
本発明の好ましい態様は、前記凸部の最頂部の推定膜厚を決定する工程は、前記直近の複数の測定膜厚と、対応する前記研磨テーブルの回転回数とにより特定される複数のデータ点に回帰分析を行って回帰線を決定し、前記回帰線を表す関数に前記研磨テーブルの現在の回転回数を代入することにより、推定膜厚を決定する工程であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記凸部の最頂部の推定膜厚を決定する工程は、前記回帰線を決定した後に、前記回帰線よりも下側にあるデータ点のうちの少なくとも1つを前記複数のデータ点から除外し、前記少なくとも1つのデータ点が除外された前記複数のデータ点に回帰分析を行って新たな回帰線を決定する工程をさらに含み、前記研磨テーブルの現在の回転回数を、前記新たな回帰線を表す関数に代入することによって推定膜厚を決定することを特徴とする。
【0012】
本発明の好ましい態様は、前記凸部の最頂部の推定膜厚を決定する工程は、前記直近の複数の測定膜厚と、対応する前記研磨テーブルの回転回数とにより特定される複数のデータ点に回帰分析を行って回帰線を決定し、前記回帰線を表す関数に前記研磨テーブルの現在の回転回数を代入して得られた値に所定のオフセット値を加算することにより、推定膜厚を決定する工程であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記凸部の最頂部の推定膜厚を決定する工程は、前記直近の複数の測定膜厚の確率分布を生成し、より小さい測定膜厚の確率が所定の値になる推定膜厚を決定する工程であることを特徴とする。
【0013】
本発明の好ましい態様は、前記膜厚センサは、パルス点灯光源を有する光学式センサであることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記膜厚センサは、渦電流センサであることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記凸部の最頂部の推定膜厚に基づいてウェーハの研磨終点を決定することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記凸部の最頂部の推定膜厚に基づいてウェーハの研磨条件を変更することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記凸部の最頂部の推定膜厚の現在の値と過去の値に基づいて、前記膜厚センサが次に膜厚信号を取得する前に、前記凸部の最頂部の膜厚を予測し、前記予測された膜厚に基づいてウェーハの研磨終点を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、直近の複数の測定膜厚にばらつきがあったとしても、これら測定膜厚に回帰分析または統計的分析などを行うことにより、凸部の最頂部の推定膜厚、すなわち局所的に最大となる膜厚の推定値を決定することができる。したがって、研磨時間とともに減少する膜厚を取得することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、研磨方法の一実施形態を実行することができる研磨装置を示す模式図である。
図1に示すように、研磨装置は、研磨パッド2を支持する研磨テーブル3と、ウェーハWを研磨パッド2に押し付ける研磨ヘッド1と、研磨テーブル3を回転させるテーブルモータ6と、研磨パッド2上に研磨液(例えばスラリ)を供給するための研磨液供給ノズル5とを備えている。研磨パッド2の表面は、ウェーハWを研磨する研磨面2aを構成する。研磨テーブル3はテーブルモータ6に連結されており、テーブルモータ6は研磨テーブル3および研磨パッド2を回転させるように構成されている。
【0017】
研磨テーブル3内には、膜厚センサ7が配置されている。膜厚センサ7は研磨テーブル3および研磨パッド2とともに一体に回転する。膜厚センサ7の位置は、研磨テーブル3および研磨パッド2が一回転するたびに研磨パッド2上のウェーハWの表面を横切る位置である。膜厚センサ7は、処理部9に接続されており、膜厚センサ7の出力信号である膜厚信号は処理部9に送られるようになっている。処理部9は、膜厚信号に基づいて、ウェーハWの膜厚を推定するように構成されている。
【0018】
膜厚センサ7は、ウェーハWの膜厚に従って変化する膜厚信号を生成するセンサであり、例えば、光学式センサまたは渦電流センサから構成される。光学式センサは、ウェーハWの表面に光を照射し、ウェーハWからの反射光の強度を波長ごとに測定し、波長に関連付けられた反射光の強度を出力するように構成される。波長に関連付けられた反射光の強度は、ウェーハWの膜厚に従って変化する膜厚信号である。渦電流センサは、ウェーハに形成されている導電膜に渦電流を誘起させ、導電膜と渦電流センサのコイルとを含む電気回路のインピーダンスに従って変化する膜厚信号を出力する。
【0019】
図2は、
図1に示す研磨ヘッド1の断面図である。研磨ヘッド1は、ウェーハWの複数の領域にそれぞれ異なる押付力を加えることができるように構成されている。研磨ヘッド1は、ヘッドシャフト10に連結されたヘッド本体21と、ヘッド本体21の下方に配置されたリテーナリング22とを備えている。
【0020】
ヘッド本体21の下方には、ウェーハWの上面(研磨すべき表面と反対側の面)に当接する柔軟なメンブレン24と、メンブレン24を保持するメンブレンホルダー25とが配置されている。メンブレン24とメンブレンホルダー25との間には、4つの圧力室C1,C2,C3,C4が設けられている。圧力室C1,C2,C3,C4はメンブレン24とメンブレンホルダー25とによって形成されている。中央の圧力室C1は円形であり、他の圧力室C2,C3,C4は環状である。これらの圧力室C1,C2,C3,C4は、同心円状に配列されている。本実施形態では、研磨ヘッド1は4つの圧力室C1〜C4を備えているが、研磨ヘッド1は4つよりも少ない圧力室、または4つよりも多い圧力室を備えてもよい。
【0021】
圧力室C1,C2,C3,C4にはそれぞれ気体移送ラインF1,F2,F3,F4を介して気体供給源30により加圧空気等の加圧気体が供給されるようになっている。また、気体移送ラインF1,F2,F3,F4には真空ラインV1,V2,V3,V4が接続されており、真空ラインV1,V2,V3,V4によって圧力室C1,C2,C3,C4に負圧が形成されるようになっている。圧力室C1,C2,C3,C4の内部圧力は互いに独立して変化させることが可能であり、これにより、ウェーハWの対応する4つの領域、すなわち、中央部、内側中間部、外側中間部、および周縁部に対する押付力を独立に調整することができる。
【0022】
メンブレンホルダー25とヘッド本体21との間には圧力室C5が形成され、この圧力室C5には気体移送ラインF5を介して上記気体供給源30により加圧気体が供給されるようになっている。また、気体移送ラインF5には真空ラインV5が接続されており、真空ラインV5によって圧力室C5に負圧が形成されるようになっている。これにより、メンブレンホルダー25およびメンブレン24全体が上下方向に動くことができる。
【0023】
ウェーハWの周端部はリテーナリング22に囲まれており、研磨中にウェーハWが研磨ヘッド1から飛び出さないようになっている。圧力室C3を構成する、メンブレン24の部位には開口が形成されており、圧力室C3に真空を形成することによりウェーハWが研磨ヘッド1に吸着保持されるようになっている。また、この圧力室C3に窒素ガスやクリーンエアなどを供給することにより、ウェーハWが研磨ヘッド1からリリースされるようになっている。
【0024】
ヘッド本体21とリテーナリング22との間には、環状のローリングダイヤフラム26が配置されおり、このローリングダイヤフラム26の内部には圧力室C6が形成されている。圧力室C6は、気体移送ラインF6を介して上記気体供給源30に連結されている。気体供給源30は加圧気体を圧力室C6内に供給し、これによりリテーナリング22を研磨パッド2に対して押圧する。また、気体移送ラインF6には真空ラインV6が接続されており、真空ラインV6によって圧力室C6に負圧が形成されるようになっている。圧力室C6内に真空が形成されると、リテーナリング22の全体が上昇する。
【0025】
圧力室C1,C2,C3,C4,C5,C6に連通する気体移送ラインF1,F2,F3,F4,F5,F6には、それぞれ圧力レギュレータR1,R2,R3,R4,R5,R6が設けられている。気体供給源30からの加圧気体は、圧力レギュレータR1〜R6を通って圧力室C1〜C6内に供給される。圧力レギュレータR1〜R6は、気体移送ラインF1〜F6によって圧力室C1〜C6に接続されている。気体移送ラインF1〜F6は、圧力室C1〜C6からロータリージョイント28を経由して気体供給源30まで延びている。
【0026】
圧力レギュレータR1〜R6は、気体供給源30から供給される加圧気体の圧力を調整することによって、圧力室C1〜C6内の圧力を制御する。圧力レギュレータR1〜R6は処理部9に接続されている。圧力室C1〜C6は大気開放弁(図示せず)にも接続されており、圧力室C1〜C6を大気開放することも可能である。
【0027】
処理部9は、圧力室C1〜C6それぞれの目標圧力値を設定し、圧力室C1〜C6内の圧力が対応する目標圧力値に維持されるように圧力レギュレータR1〜R6を操作する。特に、処理部9は、膜厚センサ7からの膜厚信号からウェーハWの膜厚を推定し、推定膜厚に基づいて圧力室C1〜C4それぞれの目標圧力値を決定し、圧力室C1〜C4内の圧力が対応する目標圧力値に維持されるように圧力レギュレータR1〜R4を操作する。例えば、処理部9は、推定膜厚が小さいウェーハ領域に対応する圧力室の圧力を低くし、推定膜厚が大きいウェーハ領域に対応する圧力室の圧力を高くする。
【0028】
ウェーハWは次のようにして研磨される。研磨テーブル3および研磨ヘッド1を
図1の矢印で示す方向に回転させながら、研磨液供給ノズル5から研磨液が研磨テーブル3上の研磨パッド2の研磨面2aに供給される。ウェーハWは研磨ヘッド1によって回転されながら、研磨パッド2上に研磨液が存在した状態で研磨パッド2の研磨面2aに押し付けられる。ウェーハWの表面は、研磨液に含まれる砥粒による機械的作用と、研磨液の化学的作用により研磨される。
【0029】
膜厚センサ7は、研磨テーブル3が一回転するたびに、研磨パッド2上のウェーハWの表面を横切りながら、ウェーハW上の複数の測定点での膜厚信号を出力する。処理部9は、膜厚信号からウェーハWの膜厚を推定し、推定膜厚に基づいてウェーハWの研磨動作を制御する。例えば、処理部9は、推定膜厚が目標膜厚に達したときに、ウェーハWの研磨動作を終了させる。
【0030】
研磨対象となるウェーハWは、
図19(a)に示すような、矩形状の断面を有する凸部がその表面に形成されたウェーハである。本実施形態では、凸部における測定位置の違いによらず、膜厚測定の信頼性を向上させるために、凸部内で局所的に最大になる膜厚、すなわち凸部の最頂部の膜厚を以下のようにして決定する。
【0031】
図3は、研磨方法の一実施形態を示すフローチャートである。このフローチャートに記載されている各ステップは、研磨テーブル3が一回転する間に実行される。以下に説明する実施形態では、膜厚センサ7として、光学式センサが使用されている。ステップ1では、ウェーハWの研磨開始後、研磨テーブル3が一回転する間に、膜厚センサ7はウェーハWの表面からの反射光の強度を波長ごとに測定する。処理部9は、膜厚センサ7によって測定された、各波長での反射光の強度からスペクトルを生成する。このスペクトルは、反射光の強度と波長との関係を示し、スペクトルの形状はウェーハWの膜厚に従って変化する。
【0032】
研磨テーブル3の回転速度は、通常30〜120min
-1程度であり、膜厚センサ7の測定周期は数ms程度であるから、直径300mmのウェーハの場合、研磨テーブル3が一回転するごとに数十個から百個を超えるスペクトルが取得される。
図4は、ウェーハWの表面上の測定点の一例を示す図である。
図4に示すように、膜厚センサ7は、ウェーハWの表面を横切りながら、それぞれの測定点からの反射光の強度を測定し、処理部9は、測定された反射光の強度からスペクトルを生成する。測定点には、ウェーハWの中心点が含まれる。
【0033】
ステップ2では、得られた全てのスペクトルから、凸部から反射した光のスペクトルを選別する。スペクトルの選別法は、凸部の構造とその他の領域の構造に依存する。一例では、
図5に示すように、スペクトル上の強度の最大値と最小値との差が、予め設定された値以上であるスペクトルを選別することができる。
図5に示す縦軸は、反射光の強度を表しているが、反射光の強度は、相対反射率などの指標値を用いて表してもよい。相対反射率とは、光の強度を表す指標値であり、具体的には、反射光の強度と各波長に対する所定の基準強度との比である。
【0034】
更に、このようにして選別されたスペクトルから凸部の測定膜厚を決定する。測定膜厚の決定は、公知の技術を用いて行われる。一例として、測定膜厚の決定は、参照スペクトルと、対応する膜厚との関係を示す参照データを用意し、取得されたスペクトルに最も近い参照スペクトルを決定し、その決定された参照スペクトルに予め関連付けられた膜厚を決定することにより行われる。参照スペクトルは、光反射のシミュレーションによって取得された理論スペクトルでもよいし、ウェーハWと同一仕様の参照ウェーハを研磨しているときに得られた実測スペクトルでもよい。他の例として、スペクトルの波長を波数に変換して高速フーリエ変換をスペクトルに適用することにより膜厚を算出してもよい。
【0035】
ステップ3では、処理部9は、研磨開始後の研磨テーブル3の回転回数が所定の回数M以上であるかを判断する。研磨テーブル3の直近の回転回数が所定の回数M未満であれば、ステップ1に戻り、膜厚センサ7は、研磨テーブル3が次の回転を行っている間に、ウェーハWからの反射光の強度をさらに測定し、処理部9は反射光の強度の測定値からスペクトルをさらに生成する。
【0036】
研磨テーブル3の直近の回転回数が所定の回数M以上であった場合、ステップ4において、処理部9は、ウェーハ面内の所定の測定領域において、研磨テーブル3が直近の回数Mだけ回転している間に取得された膜厚信号から求められた凸部の測定膜厚の数が、所定の数N以上であるか否かを判別する。測定領域は、1つでもよいし、複数でもよい。複数の測定領域が設けられる場合、ステップ4から後述するステップ9までの処理は、測定領域ごとに実行される。複数の測定領域は、好ましくは、ウェーハ中心からの距離(半径位置)に従って予め定められた同心円状の領域である。ウェーハ中心上の測定領域は円形の領域であり、他の測定領域はある幅を持った環状の領域である。ただし、必ずしも各測定領域が互いに独立している必要はなく、隣接する2つの測定領域の一部が重複してもよい。
【0037】
ステップ5では、研磨テーブル3の直近のM回転の間の測定膜厚の数が所定の数N以上である場合、処理部9は、これら測定膜厚と、対応する研磨テーブル3の回転回数とから特定される複数のデータ点に対して、最小二乗法等を用い回帰分析を行って回帰線を決定する。各データ点の位置は、膜厚を縦軸、研磨テーブル3の回転回数を横軸に持つ座標系上に指定される。回帰線は直線でよいが、膜厚の時間変化の非線形性が強い場合には、2〜3次の多項式回帰でもよい。回帰線が直線である場合、回帰線は一次関数で表される。
【0038】
ステップ6では、処理部9は、ステップ5での回帰線の決定に使用された測定膜厚の数が所定の数Nよりも大きいか否かを決定する。図示していないが、ステップ6に先立って、処理部9は、残差が正で、他のデータ点から大きく離れたデータ点を、例外点として除外してもよい。ここで、残差とは、回帰線からデータ点までの距離である。データ点が回帰線の上側にあれば残差は正であり、下側にあれば残差は負である。
【0039】
ステップ7では、ステップ6での測定膜厚の数が所定の数Nよりも大きい場合、データ点の絞り込みを行う。より具体的には、回帰線の決定に使用された全データ点の残差の内、最大の残差(正値)に所定の比率Fを乗じて得られた数値を、データ除外のための閾値とする。比率Fは、−1よりも大きく、かつ1よりも小さい(−1<F<1)。好ましくは、比率Fは0以上であって1よりも小さい値(0≦F<1、例えば0.9)である。比率Fとして−1に近い値を設定すると、最大残差が最小残差の絶対値より大きい場合に1点のデータも除外されないことになるので、注意が必要である。処理部9は、最も小さい残差から始まって残差が大きくなる順に残差を閾値と比較し、データ点の数が所定の数Nを下回らない限りにおいて、閾値を下回る残差を持つデータ点を除外する。
【0040】
さらに、データ点の数が所定の数Nになるまで、ステップ5からステップ7までの処理を繰り返す。ここで、ステップ5からステップ7までの処理を繰り返す動作の一例について図面を参照して説明する。
図6(a)に示すように、処理部9は、全データ点に対して回帰分析を行って回帰線を決定し(ステップ5)、さらに回帰線の決定に使用された測定膜厚の数が所定の数Nよりも大きいかを判断する(ステップ6)。測定膜厚の数が所定の数Nよりも大きい場合は、処理部9は、
図6(b)に示すように、最大の値(正値)を持つ残差Rmaxに所定の比率Fを乗じて、データ点除外のための閾値を決定する。この例では、比率Fは0である。したがって、閾値は0である。処理部9は、
図6(c)に示すように、閾値よりも小さな残差を持つデータ点を削除する。この例の閾値は0であるので、回帰線よりも下に存在するデータ点が削除される(ステップ7)。
【0041】
処理部9は、再度ステップ5を実行する。すなわち、
図7(a)に示すように、処理部9は、ステップ7でいくつかのデータ点が削除された後の残りの全データ点に対して回帰分析を再び行って、新たな回帰線を決定する。その後、処理部9は、ステップ6およびステップ7を同じように繰り返す。
【0042】
このようにすれば、回帰線よりも下側にあるデータ点が繰り返し除外され、さらに回帰線を引き直す操作が繰り返される。したがって、
図7(b)に示すように、研磨テーブル3の直近のM回転中に取得されたデータ点の分布の上端に回帰線が近づくことが期待される。比率Fを小さく設定すれば、一度に除外されるデータ点の数が小さく回帰線を引き直す回数が多くなってより確実にデータ点の分布の上端に一致する回帰線が得られる。逆に比率Fを大きくすれば最終的な回帰線により早く到達することができる。
【0043】
ステップ8では、処理部9は、ステップ5でN個のデータ点から求められた回帰線を表す関数に現在の研磨テーブル3の回転回数を代入して、上述した所定の測定領域における現時点での推定膜厚を決定する。この決定された推定膜厚は、ウェーハの凸部の最頂部の膜厚、すなわち局所的に最大となる膜厚に相当する。
【0044】
ステップ4において測定膜厚の数が所定の数N未満であった場合には、回帰線を決定するのに十分なデータ点数がないと考えられるため、過去の推定膜厚に基づいて現時点における推定膜厚を決定してもよい(ステップ9)。例えば、処理部9は、研磨テーブル3が前回回転しているときに得られた推定膜厚を現時点での推定膜厚として採用してもよい。あるいは、処理部9は、直近の複数の回転回数分の推定膜厚から研磨レート(単位時間当たりの膜厚減少量)を算出して、現時点における推定膜厚を算出してもよい。ステップ8およびステップ9で求められた推定膜厚に対しては、微小な変動を抑えて安定した時間変化を得るために、更に移動平均等の平滑化処理を行ってもよい。
【0045】
ステップ10においては、処理部9は、ステップ8またはステップ9で求められた推定膜厚が、研磨終了条件を満たすか否かを判断する。処理部9は、研磨終了条件を満たせばウェーハWの研磨を終了させる。研磨終了条件としては、例えば、推定膜厚が目標膜厚を下回ることが挙げられる。
【0046】
ウェーハWの表面に複数の測定領域が設定されている場合、一実施形態では、処理部9は、複数の測定領域においてそれぞれ取得された推定膜厚の平均を算出し、その平均が目標膜厚を下回った時点を研磨終点としてもよい。あるいは、ある測定領域での局所的な過研磨を避けるために、処理部9は、複数の測定領域においてそれぞれ取得された推定膜厚の最小値を算出し、その最小値が目標膜厚を下回った時点を研磨終点としてもよい。また、複数の測定領域の推定膜厚のうち、所定の数の領域での推定膜厚が目標膜厚を下回った時点を研磨終点とすることもできる。多くの場合、複数の測定領域に対する目標膜厚は同一であるが、それぞれの領域に対し個々に目標膜厚を設定することも可能である。
【0047】
推定膜厚は研磨テーブル3が一回転するごとにしか得られないため、現在の推定膜厚が得られてから次の推定膜厚が得られるまでの間に、実際の膜厚が目標膜厚に達することもある。そこで、研磨終点の検出精度を向上させるために、研磨テーブル3の直近の所定の回転回数分の推定膜厚を基に、現時点より後の予測膜厚を外挿により決定し、この予測膜厚に基づいて研磨終点を決定してもよい。このようにして決定された現時点より後の予測膜厚は、次に膜厚信号が取得された時点で更新される。
【0048】
ステップ10において研磨終了条件が満たされていないと判断された場合は、複数の測定領域の膜厚が均一となるように研磨条件を更新してもよい。更新される研磨条件としては、複数の測定領域に対応する研磨ヘッド1の圧力室(
図2の符号C1〜C4参照)内の圧力が好ましい。基本的には、研磨条件更新の各タイミングにおいて、推定膜厚が平均より厚い測定領域に対応する圧力室の圧力を増し、平均より薄い測定領域に対応する圧力室の圧力を減ずることになる。また、研磨条件の更新は、研磨テーブル3が一回転するたびに行われる必要はなく、研磨条件変更に対する研磨レートの応答性を考慮して適宜決定される。ウェーハWの複数の測定領域に複数の目標膜厚が設定されている場合においては、研磨後の各領域の膜厚が所定の分布をなすよう、制御することも可能である。
【0049】
図8は、
図3に示す方法に従って、凸部の最頂部の推定膜厚、すなわち局所的に最大となる膜厚の推定値を求めた結果を示すグラフである。
図8において、個々の測定膜厚を+、局所的に最大となる膜厚の推定値を●で示している。
図8に示す実験の条件は以下の通りである。
研磨テーブル3の回転回数の所定の値M=30
測定膜厚の所定の数N=8
所定の比率 F=0
回帰次数 1(直線回帰)
図8から分かるように、局所的に最大となる膜厚の推定値は、データ点の分布の概ね上端に位置する。
【0050】
図19(b)に示した凸部106のプロファイルは、研磨の進行に伴い、
図9に示すように更に丸みを帯びることがある。このような場合、測定膜厚のばらつきは更に大きくなり、データ分布の上端に位置するデータ点も疎になってしまう。このため、
図10に示すように、推定膜厚が不正確になったり不安定になったりすることがある。
【0051】
このような場合、研磨テーブル3の回転回数について設定された上記所定の回数Mを大きくしてもよい。あるいは、一実施形態では、処理部9は、研磨テーブル3が直近の所定の回数Mだけ回転している間に得られた全データ点(全測定膜厚)に回帰分析を行って回帰線を決定し、この回帰線を表す関数に現在の研磨テーブル3の回転回数を代入して平均的な膜厚を算出し、必要に応じ移動平均等の平滑化処理を行った上で、
図11に示すように、算出された平均的な膜厚に所定のオフセット値を加えることで、凸部の最頂部の推定膜厚、すなわち局所的に最大となる膜厚の推定値を決定してもよい。この実施形態では、処理部9は、残差に比率Fを乗じて閾値を求める工程、および閾値よりも小さい残差を持つデータ点を除外する工程は行わない。
【0052】
オフセット値は、事前に同一仕様のウェーハを研磨し、その研磨中に取得した測定膜厚、および、研磨を中断し静止状態で測定した凸部のプロファイルを参照して決定される。オフセット値は、研磨時間に伴い変化する値として定義することもできる。
【0053】
図12は、凸部の最頂部の推定膜厚、すなわち局所的に最大となる膜厚の推定値を決定する他の実施形態を示すグラフである。この実施形態では、データ点の回帰分析は行われない。代わりに、処理部9は、所定の時間内に取得されたデータ点(点線で囲まれたデータ点)から、膜厚の確率分布(一点鎖線で示す)を推定し、より小さい測定膜厚の確率が所定の値(例えば97%)になる推定膜厚を決定する。
【0054】
図13は、
図12に示す確率分布を示すグラフである。
図13に示す例では、決定すべき推定膜厚、すなわち局所的に最大となる膜厚の推定値は、より小さい測定膜厚の確率が97%になる膜厚である。膜厚の確率分布は、ベイズ推定などの公知の方法を用いて推定することができる。
【0055】
図3に示した実施形態は、研磨テーブル3に設置された1つの膜厚センサ7を用いて行われる。この実施形態によれば、研磨中において、ウェーハ面上の各測定領域に関し、研磨テーブル3が一回転するごとに、局所的に最大となる膜厚の推定値が得られる。しかしながら、最近、研磨後の膜厚精度に対する要求は強くなりつつある。研磨テーブル3一回転ごとに得られる推定膜厚に基づいて研磨を終了させると、研磨テーブル3一回転の間に研磨が進み過ぎて要求精度を満たせない場合がある。膜厚センサ7の個数を増して膜厚をより頻繁に推定するのも一法ではあるが、それでは研磨装置の構成が複雑になりコスト増にもつながる。
【0056】
そこで、一実施形態では、処理部9は、研磨テーブル3が一回転するごとに推定膜厚が目標膜厚に達するであろう時間を予測し、予測された時間が、研磨テーブル3の次の回転での推定膜厚の取得時間よりも前であれば、その予測された時間でウェーハの研磨を終了させる。例えば、
図14に示すように、現時点での局所的に最大となる膜厚の推定値をDc、所定の研磨テーブル3回転回数をK、研磨テーブル3の回転周期をTo、現時点よりもK回転前の時点における局所的に最大となる膜厚の推定値をDp、目標膜厚をDtとするとき、現時点から目標膜厚に達するまでに要する時間Tは以下のようにして求められる。
T=(Dc-Dt)/(Dp−Dc)×K・To
【0057】
あるいは、同様の考え方に従い、研磨テーブル3の周期よりも細かな時間間隔、例えば1/10周期の時間間隔で予測膜厚Dを求め、予測膜厚Dに基づいて研磨終点を定めてもよい。Δtを現時点以降の経過時間とすると、予測膜厚Dは以下のようにして求められる。
D=Dc-(Dp−Dc)/(K・To)×Δt
【0058】
本実施形態によれば、膜厚測定の実質的な分解能が向上するので、より正確な研磨終点検出が達成される。本実施形態における膜厚の予測に基づく終点検知法は、局所的に最大となる膜厚の推定値に限らず、一般的な測定膜厚に関して成り立つ。また、同様の考え方は、下層の影響などで研磨途中に膜厚の推定が難しくなった場合にも、代替手段として適用することができる。
【0059】
次に、膜厚センサ7として光学式センサを用いた研磨装置の詳細な構成の一例について
図15を参照して説明する。
図15は、研磨装置の一例を示す模式断面図である。ヘッドシャフト10は、ベルト等の連結手段17を介して研磨ヘッドモータ18に連結されて回転されるようになっている。このヘッドシャフト10の回転により、研磨ヘッド1が矢印で示す方向に回転する。
【0060】
膜厚センサ7は、ウェーハWの表面に光を当て、ウェーハWからの反射光を受光し、その反射光を波長に従って分解するように構成されている。膜厚センサ7は、光をウェーハWの被研磨面に照射する投光部42と、ウェーハWから戻ってくる反射光を受光する受光部としての光ファイバー43と、ウェーハWからの反射光を波長に従って分解し、所定の波長範囲に亘って反射光の強度を測定する分光器44とを備えている。
【0061】
研磨テーブル3には、その上面で開口する第1の孔50Aおよび第2の孔50Bが形成されている。また、研磨パッド2には、これら孔50A,50Bに対応する位置に通孔51が形成されている。孔50A,50Bと通孔51とは連通し、通孔51は研磨面2aで開口している。第1の孔50Aは液体供給路53およびロータリージョイント(図示せず)を介して液体供給源55に連結されており、第2の孔50Bは、液体排出路54に連結されている。
【0062】
投光部42は、多波長の光を発する光源47と、光源47に接続された光ファイバー48とを備えている。光源47には、キセノンフラッシュランプなどのパルス点灯光源が使用される。光ファイバー48は、光源47によって発せられた光をウェーハWの表面まで導く光伝送部である。光ファイバー48および光ファイバー43の先端は、第1の孔50A内に位置しており、ウェーハWの被研磨面の近傍に位置している。光ファイバー48および光ファイバー43の各先端は、研磨ヘッド1に保持されたウェーハWを向いて配置される。研磨テーブル3が回転するたびにウェーハWの複数の測定点に光が照射される。好ましくは、光ファイバー48および光ファイバー43の各先端は、研磨ヘッド1に保持されたウェーハWの中心を通るように配置される。
【0063】
ウェーハWの研磨中は、液体供給源55からは、透明な液体として水(好ましくは純水)が液体供給路53を介して第1の孔50Aに供給され、ウェーハWの下面と光ファイバー48,43の先端との間の空間を満たす。水は、さらに第2の孔50Bに流れ込み、液体排出路54を通じて排出される。研磨液は水と共に排出され、これにより光路が確保される。液体供給路53には、研磨テーブル3の回転に同期して作動するバルブ(図示せず)が設けられている。このバルブは、通孔51の上にウェーハWが位置しないときは水の流れを止める、または水の流量を少なくするように動作する。
【0064】
光ファイバー48と光ファイバー43は互いに並列に配置されている。光ファイバー48および光ファイバー43の各先端は、ウェーハWの表面に対して垂直に配置されており、光ファイバー48はウェーハWの表面に垂直に光を照射するようになっている。
【0065】
ウェーハWの研磨中は、投光部42から光がウェーハWに照射され、光ファイバー(受光部)43によってウェーハWからの反射光が受光される。分光器44は、各波長での反射光の強度を所定の波長範囲に亘って測定し、得られた測定データを処理部9に送る。この測定データは、ウェーハWの膜厚に従って変化する膜厚信号である。処理部9は、測定データから波長ごとの光の強度を表わすスペクトルを生成し、さらにスペクトルからウェーハWの膜厚を推定する。
【0066】
次に、膜厚センサ7として光学式センサを用いた場合の膜厚測定の原理の一例について
図16(a)および
図16(b)を参照して説明する。
図16(a)は、光学式センサを用いた膜厚測定の原理を説明するための模式図であり、
図16(b)はウェーハWと研磨テーブル3との位置関係を示す平面図である。
図16(a)に示す例では、ウェーハWは、下層膜と、その上に形成された上層膜とを有している。上層膜は、例えば光を透過可能な絶縁膜である。投光部42および受光部43は、ウェーハWの表面に対向して配置されている。投光部42は、研磨テーブル3が1回転するたびにウェーハWの中心を含む複数の測定点に光を照射する。
【0067】
ウェーハWに照射された光は、媒質(
図16(a)の例では水)と上層膜との界面、および上層膜と下層膜との界面で反射し、これらの界面で反射した光の波が互いに干渉する。この光の波の干渉の仕方は、上層膜の厚さ(すなわち光路長)に応じて変化する。このため、ウェーハWからの反射光から生成されるスペクトルは、上層膜の厚さに従って変化する。分光器44は、反射光を波長に従って分解し、反射光の強度を波長ごとに測定する。処理部9は、分光器44から得られた反射光の強度の測定データからスペクトルを生成する。反射光の強度は、反射率または相対反射率などの相対値として表わすこともできる。
【0068】
図17は、処理部9によって生成されたスペクトルの一例を示す図である。
図17において、横軸はウェーハから反射した光の波長を表わし、縦軸は反射した光の強度から導かれる相対反射率を表わす。この相対反射率とは、光の強度を表わす1つの指標であり、具体的には、光の強度と所定の基準強度との比である。各波長において光の強度(実測強度)を所定の基準強度で割ることにより、装置の光学系や光源固有の強度のばらつきなどの不要なノイズが実測強度から除去され、これにより膜の厚さ情報のみを反映したスペクトルを得ることができる。
【0069】
基準強度は、各波長について予め取得された強度であり、相対反射率は各波長において算出される。具体的には、各波長での光の強度(実測強度)を、対応する基準強度で割り算することにより相対反射率が求められる。基準強度は、例えば、膜が形成されていないシリコンウェーハ(ベアウェーハ)を水の存在下で水研磨しているときに得られた光の強度とすることができる。実際の研磨では、実測強度からダークレベル(光を遮断した条件下で得られた背景強度)を引き算して補正実測強度を求め、さらに基準強度から上記ダークレベルを引き算して補正基準強度を求め、そして、補正実測強度を補正基準強度で割り算することにより、相対反射率が求められる。具体的には、相対反射率R(λ)は、次の式を用いて求めることができる。
【数1】
ここで、λは波長であり、E(λ)はウェーハから反射した波長λでの光の強度であり、B(λ)は波長λでの基準強度であり、D(λ)は光を遮断した状態で取得された波長λでの背景強度(ダークレベル)である。
【0070】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。