(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圧力調整容器内に調整器を含む圧力調整容器から分注されるガスの圧力振動を抑制する方法であって、前記方法は、繰り返し交互に圧力を印加して圧力調整容器の吐出ポートにおける圧力を低下させるステップを含み、前記吐出ポートは、ガス吐出ラインに接続され、吐出ポートが受けるガス吐出ラインにおける圧力は、調整器の設定点より高い圧力と、調整器の設定点より低い圧力状態との間でサイクルして、調整器のポペットが開閉し、前記方法はさらに、圧力調整容器からその後の分注動作において圧力を安定化して圧力振動を抑制するために所定時間にわたってポペットの開閉をサイクルするステップを含み、安定化された圧力は、一定であって振動のない特性の時間関数として圧力調整容器からの分注ガス圧力のグラフによって特徴付けられる、方法。
圧力調整容器が、前記容器の内部容積内に圧力調整器の直列配置を備え、前記圧力調整器の直列配置は、第一圧力調整器と、第一圧力調整器の下流および弁頭の吐出ポートの上流の第二圧力調整器とを備え、第一圧力調整器は、第二圧力調整器の圧力設定点より少なくとも2倍大きい第一圧力設定点を有する、請求項7に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、流体分注動作の開始時に圧力スパイク挙動の影響を受けやすい、圧力調整流体貯蔵および分注容器の耐スパイク圧力管理、ならびに反復エピソード特性の流体圧力エクスカーションなどの連続的周期的圧力スパイク(振動)挙動に対抗する圧力管理装置および方法に関する。
【0017】
本明細書において使用される際に、流体貯蔵および分注容器に関連する用語「圧力調整」は、このような容器が、容器の内部容積内および/または容器の弁頭内に設けられた少なくとも1つの圧力調整装置、設定圧力弁、または真空/圧力作動逆止弁を有し、このような圧力調整装置の各々は、圧力調整装置のすぐ下流の流体流路内の流体圧に反応し、圧力調整装置の上流の高流体圧に関連して特定の下流の低圧力状態での流体流を可能にするために開放し、このような開放に続いて特定の、すなわち「設定点」圧力レベルで圧力調整装置から吐出される流体の圧力を維持するために動作するようになっていることを意味する。
【0018】
本明細書の背景の章で先に記載されたように、圧力調整容器は、そこに流体を流すために(1つまたは複数の)圧力調整装置を開放するように意図された圧力状態に容器内の圧力調整装置を曝す流れ回路に結合されたときに、流体分注動作の開始時に急激な圧力変動を時折(すなわち散発的に)呈することが、見出されている。このような急激な圧力変動は、圧力調整容器に関連付けられた、流体送出およびプロセス監視動作に深刻な悪影響を及ぼす可能性のある、異常流動性を構成する。多くの場合、圧力調整流体貯蔵および分注容器は、定常状態の流れ状態を維持するために、容器に結合された流体送出ラインにおいて利用されるマスフローコントローラ装置の能力を超える圧力スパイクを呈していた。その結果、平衡流状態に到達できる前に、流体の送出の開始またはこのような流体送出動作の再開の際に流量変動を招く。以前は、もしあってもこの異常性は気付かれないかまたは重要ではなかったが、しかしイオン充填装置用の迅速なビーム調整における最近の傾向は、このような変動に対するプロセスシステムの感受性をもたらした。
【0019】
本開示は、分注動作がより平滑に、そして大きな圧力/流量変動結果を伴わずに開始されることが可能なように、このような「圧力スパイク」挙動のための「調節」として、様々なアプローチを検討している。このようなアプローチにおいて、圧力調整器は、このような装置からの出口圧および流量が、起動時のいかなる急激な圧力変動も弱めて少なくとも部分的に減衰するために調整されるように、動作される。
【0020】
対応する特定の実施形態におけるこれらの様々なアプローチは、以下の動作技術および配置を含む:
(1)流体貯蔵および分注容器と容器に結合された流れ回路内に設けられたマスフローコントローラとの間のバッファ容積を最小化すること;
(2)容器内の圧力調整器のポペット要素を開放するために必要な内部摩擦を最小化するために、圧力調整器の設計を最適化すること;
(3)流体流を開始する直前に、送出ラインを減圧状態で維持することによって、送出ライン圧をわずかに降下させ、ライン内の圧力を降下させるように弁にパルス印加して、流体流の開始の直前に送出ライン流体圧を相応に低下させるために、容器に結合された流れ回路内に設けられたマスフローコントローラにより多くの流体流量を瞬間的に流すこと;
(4)流体流を開始する直前に、直接真空引きするためにパルス印加することによって、または(分注された流体の正常流量に対して)増加した流量で送出ライン内のマスフローコントローラにガスを流すことによって、またはパルス印加せずに直接真空引きするために送出ラインを開放することによって、送出ライン圧を減少させること;
(5)圧力調整器閉鎖圧以上の圧力のマニホールドに容器が接続されていて、調整器が開放するまで送出ライン圧が徐々に低下するときの圧力プロファイルの品質保証判定によって圧力調整容器を事前承認し、そこで調整器開放のときに、圧力プロファイルの形状が、感圧要素が引っかかっているか否かの表示を提供すること;最初に開放したときのポペットの引っかかりを防止するためのポペットおよび圧力調整器封止面の改良であって、ポペットはまだ閉鎖位置における流体流の確実な閉鎖および閉止を提供するが、しかしその着座構造からポペットを変位させる際に克服される必要がある摩擦力は最小化されており、(i)使用中に低レベルの変形を有する構造物の代替材料の選択、(ii)従来の円錐状封止形状から球形の封止形状へのポペットの形状の変更、(iii)ポペット着座構造用の構造物の非金属材料の使用、および(iv)金属ポペット要素およびポペット着座構造用の構造物の流体適合性プラスチック材料の使用、のうちの1つ以上を含む、改良;
(6)ポペット要素の移動距離が短縮されるように、ベローズの隔壁要素の数、構造物の材料、厚さ、および弾性の変更などによる、ベローズ構造の変更;(ii)圧力調整装置のオリフィスサイズの減少;(iii)調整器の幾何形状の変更、のうちの1つ以上を含む、圧力調整装置のベローズおよび圧力検出アセンブリの変更;
(7)(i)ポペット要素が引っかかってその後急に開放したときの減衰要素としての、ポペットの運動の制御を支援するためのポペット要素の上流のバネの追加;(ii)調整器出口圧が相応に上昇し、それによって流体流の開始から圧力調整器内のポペット要素の開放までの時間を短縮するように、圧力調整装置の圧力検出アセンブリの内部の圧力を上昇させること;(iii)流体によってポペット要素に印加される力が減少し、それによってポペット要素の開放時に克服される必要がある力を減少させるように、圧力調整器への入口圧を低下させること;(iv)流体流を流体利用装置にぴったり適合させるようになっている、流れ調節機構;(v)上限流量を制限する細孔径を備える、(1つまたは複数の)調整器の下流に位置するフィルタ;および(vi)圧力調整器が開放したときに、圧力スパイクを減衰させるため、または別途圧力振動問題を解消するために、ポペットを超えて流れるガスの流量が制限されるように、たとえば直列接続された圧力調整器のうちの連続するものの間の(1つまたは複数の)流量制限オリフィス(RFO)装置および/またはフィルタの提供を含む、(1つまたは複数の)調整器の出口の流量制限オリフィス要素、のうちの1つ以上による、圧力調整装置の設計の変更;
(8)圧力スパイク事象に起因する最大流量を制限するために、流体貯蔵および分注容器の送出ポートにおける、より小径の流量制限オリフィス(RFO)要素の配置;
(9)高圧に跳ね上がる流体容積が最小化されてスパイクに起因する流れ摂動持続時間が相応に減少するように、流体貯蔵および分注容器の送出ポートと結合する送出ライン内のマスフローコントローラとの間の「ピグテール」容積の最小化;
(10)たとえば、第一の上流調整器が、容器内の流体の高貯蔵圧力からたとえば100psi(689.5kPa)程度の中間圧力までの流体圧低下をもたらし、第二の下流調整器が、第二の下流調整器内のポペット要素に曝される中間圧力ガスの量を最小化するようになっている金属スリーブなどの流路減少器の実装によって、100psi(689.5kPa)程度の中間圧力レベルから、たとえば650トール(86.7kPa)程度の低圧力までの流体圧低下をもたらす、二連調整器配置の連続する調整器の間の容積の最小化;
(11)第二の下流調整器ポペット要素にかかる力が減少するように、2つの圧力調整装置の間のガスの容積が減少するように、たとえば100psi(689.5kPa)から10psi(69kPa)までの、複数調整器(2つ以上の直列調整器の)配置における第一の上流調整器の出口圧の低下;
(12)たとえばポペット要素が扁平円筒形(ドーナツ型またはワッシャ型)着座構造上で静止する、丸みを帯びた鈍い封止面を有する、潜在的な引っかかり挙動を最小化するために、このような要素の間で鈍角となるような最小限の接触がなされるように、対係合可能な圧力調整器のポペット要素および座部構造の幾何形状の変更;
(13)たとえば着座構造のための硬質で剛性の流体適合性ポリマー材料、およびポペット要素の面のための金属の使用など、圧力調整器の開閉時の引っかかり挙動を最小化するための、構造物のポペット要素および着座構造材料の変更;
(14)変位を最小化するために、ポペットステムアセンブリ上の保持クリップとショルダとの間の間隙を縮小することなどによって、さもなければポペット要素を誤配置させる可能性のあるポペット要素の位置決めにおける「遊び」を減少させるための、圧力調整器のベローズにポペット要素を取り付けるポペットステムおよび保持バネアセンブリの再設計;および
(15)流体供給パッケージのその後の分注動作において圧力を安定化して圧力振動を抑制するために十分なサイクル数にわたって開放および閉鎖状態の間で圧力調整器アセンブリの流れ制御要素をサイクル圧力動作させること。
【0021】
このような技術および配置に基づいて、流体供給パッケージは様々な実施形態において、
(1)流体分注開始時に容器から分注される流体の圧力スパイク挙動を少なくとも部分的に減衰するように、流体貯蔵および分注容器と容器に結合された流れ回路内に設けられたマスフローコントローラとの間のバッファ容積を調整するようになっているアセンブリと、
(2)容器内の圧力調整器のポペット要素を開放するために必要な内部摩擦は、流体分注開始時に容器から分注される流体の圧力スパイク挙動を少なくとも部分的に減衰するのに有効である、圧力調整器アセンブリと、
(3)流体流を開始する直前に、送出ラインを減圧状態で維持することによって、送出ライン圧をわずかに降下させ、ライン内の圧力を降下させるように弁にパルス印加して、流体流の開始の直前に送出ライン流体圧を相応に低下させるために、容器に結合された流れ回路内に設けられたマスフローコントローラにより多くの流体流量を瞬間的に流すアセンブリと、
(4)流体流を開始する直前に、直接真空引きするためにパルス印加することによって、または(分注された流体の正常流量に対して)増加した流量で送出ライン内のマスフローコントローラにガスを流すことによって、またはパルス印加せずに直接真空引きするために送出ラインを開放することによって、送出ライン圧を減少させるアセンブリと;圧力調整器閉鎖圧以上の圧力のマニホールドに容器が接続されていて、調整器が開放するまで送出ライン圧が徐々に低下するときの圧力プロファイルの品質保証判定によって圧力調整容器を事前承認し、そこで調整器開放のときに、圧力プロファイルの形状が、感圧要素が引っかかっているか否かの表示を提供する、アセンブリと、
(5)ポペットと、ポペットが最初に開放されたときにポペットが引っかかるのを防止するようになっている圧力調整器封止面とを含む調整器アセンブリであって、その着座構造からポペットを変位させる際に克服される必要がある摩擦力は、流体分注開始時に容器から分注される流体の圧力スパイク挙動を少なくとも部分的に減衰するのに有効であり、前記調整器アセンブリは:(i)使用中に低レベルの変形を有する構造物の材料、(ii)球形の封止形状を有するポペット、(iii)構造物の非金属材料を含むポペット着座構造、および(iv)構造物の金属材料を含むポペットおよび構造物の流体適合性プラスチック材料を含むポペット着座構造、のうちの1つ以上を含む、調整器アセンブリと、
(6)(i)ポペット要素の移動距離が流体分注開始時に容器から分注される流体の圧力スパイク挙動を少なくとも部分的に減衰するように、多数の隔壁要素、構造物の材料、厚さ、および弾性を有するベローズ構造;(ii)流体分注開始時に容器から分注される流体の圧力スパイク挙動を少なくとも部分的に減衰する圧力調整装置のオリフィスサイズ;(iii)流体分注開始時に容器から分注される流体の圧力スパイク挙動を少なくとも部分的に減衰する調整器幾何形状、のうちの1つ以上を含む圧力検出アセンブリを含む圧力調整器と、
(7)(i)ポペット要素が引っかかってその後急に開放したときの減衰要素としての、ポペットの上流にあってポペットの運動の制御を支援するために配置された、複数のバネ;(ii)調整器出口圧が相応に上昇し、それによって流体流の開始と圧力調整器内のポペット要素の開放との間の時間を短縮するように、圧力調整装置の圧力検出アセンブリの中の圧力を上昇させるための圧力調節機構;(iii)流体によってポペット要素に印加される力が低減し、それによってポペットの開放時に克服される必要がある力を低減するように、圧力調整器への入口圧を低下させるための圧力調節機構;(iv)流体流を流体利用装置にぴったり適合させるようになっている、流れ調節機構;(v)上限流量を制限する細孔径を備える、(1つまたは複数の)調整器の下流に位置するフィルタ;および(vi)圧力調整器が開放したときに、圧力スパイクを減衰するためまたは圧力振動問題を別途解消するために、ポペットを超えて流れるガスの流量が制限されるように、たとえば直列接続された圧力調整器のうちの連続するものの間への(1つまたは複数の)流量制限オリフィス(RFO)装置および/またはフィルタの提供を含む、調整器の出口における流量制限オリフィス要素、のうちの1つ以上を含む調整器アセンブリと、
(8)流体分注開始時に容器から分注される流体の圧力スパイク挙動を少なくとも部分的に減衰するために、流体貯蔵および分注容器の弁頭の送出ポートに少なくとも1つの流量制限オリフィス(RFO)要素を含むアセンブリと、
(9)高圧に跳ね上がる流体容積および流体圧力スパイク挙動に付帯する流れ摂動事象の持続時間が相応に減少するように、流体貯蔵および分注容器の送出ポートと前記送出ポートと流体流連通している結合された送出ラインのマスフローコントローラとの間のピグテール容積を調節するようになっている、アセンブリと、
(10)前記流体貯蔵および分注容器の内部容積内の複数の圧力調整器のうちの連続するものの間の流体流を制限するようになっており、前記複数の圧力調整器のうちの前記連続するものを接続する導管内に流路減少器を含むアセンブリと、
(11)第二の下流調整器のポペットにかかる力、ならびに第一および第二圧力調整器の間の流体容積が、流体分注開始時に容器から分注される流体の圧力スパイク挙動を少なくとも部分的に減衰するのに有効な程度まで調節されるように、前記流体貯蔵および分注容器の内部容積内の複数の圧力調整器のうちの連続するものの間の流体流を制限するようになっており、前記複数の圧力調整器のうちの第一の上流のものの出口圧を調整するために配置された設定点調節機構を含む、アセンブリと、
(12)互いに係合したときにその間が鈍角となるようにポペットと座部構造との接触がなされるように構築および配置された、対係合可能なポペットおよび座部構造を含む圧力調整器アセンブリであって、ポペットは扁平円筒形座部構造上で静止可能な、丸みを帯びた鈍い封止面を有する、圧力調整器アセンブリと、
(13)対係合可能なポペットおよび座部構造を含む圧力調整器アセンブリであって、座部構造は硬質で剛性の流体適合性ポリマー材料を含み、ポペットは金属材料を含む、圧力調整器アセンブリと、
(14)圧力調整器のベローズにポペットを取り付けるポペットステムおよび保持バネアセンブリを含む圧力調整器アセンブリであって、保持バネとポペットステムとの間の間隙は、流体分注開始時に容器から分注される流体の圧力スパイク挙動を少なくとも部分的に減衰するのに有効な間隙寸法を有する、圧力調整器アセンブリと、
(15)流体供給パッケージのその後の分注動作において圧力を安定化して圧力振動を抑制するために所定時間にわたって圧力調整器アセンブリの流れ制御要素が周期的に開放および閉鎖されるように、流体供給パッケージの吐出ポートにおける圧力に反応して開放可能および閉鎖可能な流れ制御要素と、繰り返し交互に圧力を印加して吐出ポートにおける圧力を低下させるために配置された加圧/減圧アセンブリとを含む圧力調整器アセンブリと、
からなる群より選択される少なくとも1つのアセンブリを含む、対応する耐圧力スパイクアセンブリまたは圧力管理アセンブリの流体供給パッケージを組み込むことによって、圧力スパイク、振動、およびその他の異常流動性に対抗するように構成および適応されている。
【0022】
流体流を開始する直前に、直接真空引きするためにパルス印加することによって、または(分注された流体の正常流量に対して)増加した流量で送出ライン内のマスフローコントローラにガスを流すことによって、またはパルス印加せずに直接真空引きするために送出ラインを開放することによって送出ライン圧を減少させる上述のアセンブリの利用には、流れ回路および弁シーケンスに関連して、これらの動作の各々が実行されることが可能な、様々な方法がある。
【0023】
たとえば、送出ラインの減圧は、送出ライン内に位置する遮断弁までしか実行されなくてもよい。あるいは、送出ラインの減圧は、流体貯蔵槽および送出容器流量制御弁まで実行されることが可能であってもよい。さらなる代替案として、送出ライン流れ回路は、圧力調整容器内の調整器アセンブリまでずっと減圧されてもよい。具体的に必要とされる真空レベルに到達すると、または規定の時間にわたって送出ラインに真空が引かれてしまうと、分注された流体の正常な流れが開始可能である。流体供給容器内の圧力調整器まですべて真空引きするアプローチを除く、このような手順は、流体流の分注を開始した後に実行可能である。このようにして、送出ラインのいくつかの部分において真空が維持されることになり、流体流が再開されると、真空は他の方法よりも早くポペット(または圧力調整器内の対応する変位可能な流れ調整要素)を開放させる傾向を有するようになる。さらに、この真空技術は、流路内の弁が一旦開放して流体を流すと、結果的な送出ライン圧は圧力調整器内のポペットまたはその他の流れ調整要素をただちに開放させるのに十分なほど低くなるので、圧力スパイクをすべて解消することができる。
【0024】
流体分注開始時に容器から分注される流体の圧力スパイク挙動を少なくとも部分的に減衰するのに有効なアセンブリに関する先の説明において、指定されている効果は検討されている特定のアセンブリを欠いた対応する流体供給パッケージに対するものであることが、理解されるべきである。
【0025】
本開示はさらに、上記で記載された1つ以上の圧力スパイク減衰アセンブリの使用を含む、流体供給パッケージの圧力調整流体貯蔵および分注容器から分注される流体の圧力スパイク挙動を少なくとも部分的に減衰する方法論を検討する。
【0026】
一態様における本開示は、容器の吐出ポートの上流に圧力調整器を含む圧力調整容器を含む流体供給パッケージに関し、このような圧力調整器は、流体供給パッケージのその後の分注動作において圧力を安定化して圧力振動を抑制するために所定時間にわたって圧力調整器アセンブリの流れ制御要素が周期的に開放および閉鎖されるように、吐出ポートにおける圧力に反応して開放可能および閉鎖可能な流れ制御要素と、繰り返し交互に圧力を印加して吐出ポートにおける圧力を低下させるために配置された加圧/減圧アセンブリとを含む、流体供給パッケージに関する。
【0027】
圧力調整器の流れ制御要素は、圧力調整器のポペットまたはその他の弁要素または部品を含んでもよい。
【0028】
上述の流体供給パッケージにおいて、圧力調整容器は、容器の内部容積内に圧力調整器の直列配置、たとえば2つ以上の直列の調整器を含んでもよい。圧力調整器の設定点はいずれの適切な値を有してもよく、様々な実施形態において吐出ポートのすぐ上流の圧力調整器は亜大気圧設定点を有してもよい。
【0029】
別の態様における本開示は、圧力調整容器から分注されるガスの圧力振動を抑制する方法に関し、このような方法は、流体供給パッケージのその後の分注動作において圧力を安定化して圧力振動を抑制するために所定時間にわたって圧力調整器アセンブリの流れ制御要素が周期的に開放および閉鎖されるように、繰り返し交互に圧力を印加して容器の吐出ポートにおける圧力を低下させるステップを含む。このような方法において、圧力調整容器は容器の内部容積内に圧力調整器の直列配置を含んでもよく、吐出ポートのすぐ上流の圧力調整器は亜大気圧設定点を有してもよい。
【0030】
ここで図面を参照すると、
図1は、本開示の耐スパイク圧力管理装置および方法が適用されてもよい圧力調整流体貯蔵および分注容器を含む、例示的な流体供給パッケージ200の概略断面立面図である。
【0031】
流体供給パッケージ200は、容器の内部容積218を協働的に包囲する円筒側壁214および床216を含む、流体貯蔵および分注容器212を含む。側壁および床は、容器に収容されるガス、装置の最終使用環境、ならびに貯蔵および分注使用において容器内で維持される圧力レベルに適切なように、たとえば金属、ガス不透過プラスチック、繊維−樹脂複合材料など、いずれの適切な構造物の材料で形成されてもよい。
【0032】
その上部末端220において、容器はネック221の内壁223によって縁どられるポート開口222を画定する、ネック221を特徴とする。内壁223は、相補的にねじ切られるかまたはこのような嵌合向けに別途構成された弁体226を含む弁頭225と、その中で対係合するようにねじ切られるかまたは別途相補的に構成されていてもよい。
【0033】
このようにして、弁頭225は、所望の貯蔵状態で内部容積218の中にガスを保持するために、漏出防止された状態で容器212と係合する。
【0034】
弁頭体226は、容器212内の流体に由来するガスの分注のため、中央垂直通路228が内部に形成されている。中央垂直通路228は、図示されるように、流体吐出ポート229の流体吐出通路230と連通している。
【0035】
弁頭体は、選択による弁の手動または自動開閉のため、弁アクチュエータ238(ハンドホィールまたは空気圧式アクチュエータ)に結合された弁要素227を包含する。このようにして、弁アクチュエータは、中央垂直通路228から流体吐出ポート229までガスを流すために開放されてもよく、あるいは弁アクチュエータは分注動作中に中央垂直通路228から流体吐出ポート229までの流体の流れを終了させるために、物理的に閉鎖されてもよい。
【0036】
弁アクチュエータはこのように、たとえば手動式アクチュエータ、空気圧式アクチュエータ、電気機械式アクチュエータなどの様々な適切なタイプのうちのいずれであってもよく、あるいは弁頭内の弁を開閉させるためのその他いずれの適切な装置であってもよい。
【0037】
したがって弁要素227は、容器から分注された流体が弁要素227を含む流量制御弁を通じて流れる前に調整器内を流れるように、調整器の下流に配置される。
【0038】
弁頭体226はまた、その上部末端において充填ポート234と連絡するために、充填通路232が内部に形成されている。充填ポート234は、容器が充填されて、流体の貯蔵および収容された流体からの分注のために使用状態にされるときに、充填ポートを汚染または破損から保護するために、充填ポートキャップ236で覆われた状態で、
図1に示されている。
【0039】
その下部末端における充填通路は、図示されるようにその底部面において弁頭体226から出てくる。充填ポート234が容器内に収容されるガスの源に結合されているとき、流体は充填通路を通って容器212の内部容積218の中に流入することができる。
【0040】
弁頭体226の下部末端に接合されているのは、その中に上部粒子フィルタ239を包含する延長管240である。上部調整器242は、延長管240の末端に実装されている。上部調整器242は、たとえば延長管の下部末端部分に、それによって調整器242が螺合可能となる内部ねじ山を提供することによってなど、いずれか適切な方法で延長管下部末端に固定される。
【0041】
あるいは、上部調整器は、圧縮継手またはその他の漏出防止真空および圧力継手によって、あるいはたとえば溶接、ろう付け、半田付け、溶融接合などによってそこに接合されることによって、あるいは適切な機械的接合手段および/または方法などによって、延長管の下部末端に接合されてもよい。
【0042】
上部調整器242は、図示されるように、下部調整器260と直列関係で配置されている。このような目的のため、上部および下部調整器は、上部調整器242の下部伸長部分のねじ山、および下部調整器260の上部伸長部分と対係合可能なねじ溝を含む、相補的ねじ切りによって、互いに螺合可能であってもよい。
【0043】
あるいは、上部および下部調整器は、たとえば接着接合、溶接、ろう付け、半田付けなどによる、結合または継手手段によって、いずれか適切な方法で互いに接合されてもよく、あるいは上部および下部調整器は、二連調整器アセンブリの構成要素として、一体に構築されてもよい。
【0044】
その下部末端において、下部調整器260は、高効率粒子フィルタ246に接合されている。
【0045】
高効率粒子フィルタ246は、さもなければ装置の動作中に調整器および弁に流される流体中に存在する可能性のある微粒子またはその他の汚染種による調製器用粗および弁要素227の汚染を防止するのに、役立つ。
【0046】
図1に示される実施形態はまた、さらなる微粒子除去能力を提供するため、および分注された流体の高いガス純度を保証するために、延長管240内に設けられた高効率粒子フィルタ239も有する。
【0047】
好ましくは、調整器は、これと直列流関係にある少なくとも1つの粒子フィルタを有する。好ましくは、
図1の実施形態に示されるように、システムは、容器内部容積218から流体吐出ポート229までの流体流路内に、(1つまたは複数の)調整器の上流の粒子フィルタ、ならびに(1つまたは複数の)調整器の下流の粒子フィルタを含む。
【0048】
このため
図1の実施形態の弁頭225は、一方のポートがガス充填ポート234であって他方のポートがガス吐出ポート229である、2ポート弁頭アセンブリを提供する。
【0049】
図1の実施形態の圧力調整器は各々、ポペット保持ウェハに結合された隔壁要素を含むタイプである。ウェハは同様に、出口流体圧を正確に制御する圧力検出アセンブリの一部として、ポペット要素のステムに接続されている。設定点を超える出口圧のわずかな上昇は圧力検出アセンブリを収縮させ、出口圧のわずかな減少は圧力検出アセンブリを膨張させる。収縮または膨張は、正確な圧力制御を提供するためにポペット要素を並進させるのに役立つ。圧力検出アセンブリは、流体貯蔵および分注システムの任意の適用のために事前確立または設定された、設定点を有する。
【0050】
図示されるように、内部に流量制御装置268を包含するガス吐出ライン266が、吐出ポート229に結合されている。この配置により、ガス吐出ライン内の流量制御装置は、貯蔵および分注容器からの流体が、上流(下部)調整器260を通ってから下流(下部)調整器242を通り、弁頭および吐出ポート229まで流されるときに、流体貯蔵槽および分注パッケージ200の分注モードにおいて、容器212から結合するプロセス設備270(たとえば、半導体製造設備またはその他の用途の設備)までガスを流すために開放される。流量制御装置268はいずれの適切なタイプであってもよく、様々な実施形態においてマスフローコントローラを含んでもよい。
【0051】
このようにして分注された流体は、調整器242の設定点によって決定された圧力となる。
【0052】
図1の実施形態における調整器260および調整器242のそれぞれの設定点は、特定の望ましい最終使用用途に適応するために、いずれか適切な値で選択または事前設定されてもよい。
【0053】
たとえば、下部(上流)調整器260は、約20psigから約2500psigの範囲内の設定点を有する。上部(下流)調整器242は、たとえば約1トールから2500psigの範囲内の、下部(上流)調整器260の圧力設定点より高い設定点を有してもよい。
【0054】
例示的な一実施形態において、下部(上流)調整器260は約100psigから約1500psigの範囲内の設定点圧力値を有し、その一方で上部(下流)調整器242は約100トールから約50psigの範囲内の設定点圧力値を有し、下部(上流)圧力設定点は上部(下流)調整器の設定点よりも高い。
【0055】
直列調整器アセンブリの調整器の設定点は互いに対していずれの適切な比率で確立されてもよいものの、
図1に示されるような二連調整器アセンブリでは、好適な実践における上流調整器は有利なことに、下流調整器の(同じ圧力測定単位で測定された)設定点の少なくとも2倍の圧力設定点を有する。
【0056】
図1の実施形態において、下部および上部調整器は、いずれかの末端に微粒子フィルタを有する調整器アセンブリを形成するために、互いに同軸に位置合わせされている。このような配置の結果として、容器212から分注された流体は、極端に高純度である。
【0057】
さらなる変更として、微粒子フィルタは、分注される流体合いに存在する不純物種向けに選択可能な化学吸着剤(たとえば、容器内のガスの反応または分解に由来する分解生成物)で被覆または含浸されてもよい。このようにして、微粒子フィルタを流れる流体は、分注される際に流路に沿ってその場で精製される。
【0058】
図1に示されるタイプの流体貯蔵および分注システムの例示的な一実施形態において、容器212は3AA 2015 DOTの2.2リットルシリンダである。高効率粒子フィルタ246は、0.003ミクロン径までの粒子の99.9999999%以上の除去が可能な316L VAR/電解研磨ステンレス鋼またはニッケルの筐体内に燒結金属ろ過媒体を有する、Mott Corporation(コネチカット州ファーミントン)より市販されている、GasShield(TM)PENTA(TM)ユースポイントフィルタである。高効率粒子フィルタ239は、Mott Corporation(コネチカット州ファーミントン)より市販されている、Mott標準6610−1/4インラインフィルタである。調整器は、上部(下流)調整器242が100トールから100psigの範囲内の設定点圧力を有し、下部(上流)調整器260が100psigから1500psigの範囲内の設定点圧力を有し、下部(上流)調整器260の設定点圧力が上部(下流)調整器242の設定点圧力の少なくとも2倍である、HFシリーズSwagelock(R)圧力調整器である。特定の実施形態において、上部(下流)調整器242は100psigの入口圧および500トールの出口圧を有してもよく、下部(上流)調整器260は1500psigの入口圧および100psigの出口圧を有してもよい。
【0059】
図2は、本開示の耐スパイク圧力管理装置および方法が適用されてもよいさらなる実施形態による、加圧流体の貯蔵およびそこからの制御された分注のためのシステムの概略断面図である。
【0060】
図2に示されるように、加圧毒性流体の貯蔵および送出のためのシステム10が描画されている。システム10は、たとえば気体相または部分気体相の三フッ化ホウ素などの流体を包含する、高圧シリンダまたはタンク12を含む。圧縮ガスシリンダは、米国運輸省によって承認された3AAシリンダなど、従来の500ccシリンダであってもよいが、これに限定されるものではない。シリンダ弁頭14は、シリンダ12の最上端で螺合されている。シリンダ弁頭14は、Ceodeux,Incによって製造されたものなど、デュアルポート316ステンレス鋼弁であってもよい。デュアルポート弁シリンダヘッド14は不正操作防止充填ポート16を有し、これを通じてシリンダ12がプロダクトで満たされる。充填されると、ユーザはユーザポート18を通じてシリンダからプロダクトを引き出すことが可能であり、これは約0.25から約0.5インチの範囲の出口開口を有する面シールVCR(TM)ポートである。シリンダの内部は、入口22を有する内部流量制限器20を包含する。流量制限器20は、たとえば複数の毛細管流路を含む、毛細管流量制限器を含むことができる。排出されるまで、流体は入口22に流入し、内部流量制限器および真空作動逆止弁26を通って以下に詳細に記載される流体流路に沿って、ユーザポート18まで流れる。
【0061】
真空作動逆止弁26は、シリンダからの流体の吐出を自動的に制御する、ベローズチャンバを包含する。逆止弁26は、流体流路に沿って、シリンダ内または部分的にデュアルポート弁内、および部分的にシリンダ内で、デュアルポート弁の上流の、デュアルポート弁のポート本体内に設けられることが可能である。
図2の例示的実施形態に示されるように、真空作動逆止弁は、流体吐出路に沿って配置された筐体に逆止弁の一部を装着することによって、完全にシリンダ12の内部に設けられる。デュアルポート弁の最上部にあるハンドル28は、ユーザポート18まで続く流体吐出路に沿った流体の手動制御を可能にする。このタイプの流体貯蔵および分注システムは、米国特許第5,937,895号明細書、米国特許第6,007,609号明細書、米国特許第6,045,115号明細書、および米国特許第7,905,247号明細書に記載されており、これらの特許の最初の3件は単ポート弁シリンダヘッドについて言及しているものの、これらすべての特許の開示はそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
図2の流体供給パッケージは、イオン充填用の亜大気圧ドーパントガス送出のために採用されることが可能である。シリンダ温度、仰角、または充填量にかかわらず、システムは、500から100トールの間の真空レベルが使用ポートに印加されたときにのみ、プロダクトを送出する。プロダクトは、このような真空がなければ流体供給パッケージから流出することはできない。
【0063】
本開示の流体供給パッケージ内に貯蔵されてそこから分注される流体は、いずれの適切なタイプであってもよく、たとえば半導体製造、フラットパネルディスプレイの製造、または太陽電池パネルの製造で利用される流体を含んでもよい。
【0064】
流体貯蔵および分注容器内に貯蔵される流体は、たとえば半導体製造工程用の水素化物流体を含んでもよい。このようなタイプの水素化物流体の例は、アルシン、ホスフィン、スチビン、シラン、クロロシラン、ジボラン、ゲルマン、ジシラン、トリシラン、メタン、セレン化水素、硫化水素、および水素を含む。ハロゲン化物エッチャント、洗浄剤、原材料などとして半導体製造工程における実用性を有する、フッ化水素、三塩化ホウ素、三フッ化ホウ素、四塩化二ホウ素、塩化水素、ハロゲン化シラン(たとえばSiF
4)およびジシラン(たとえばSi
2F
6)、GeF
4、PF
3、PF
5、AsF
3、AsF
5、He、N
2、O
2、F
2、Xe、Ar、Kr、CO、CO
2、CF
4、CHF
3、CH
2F
2、CH
3F、NF
3、COF
2、ならびに上記のもののうちの2つ以上の混合物などの酸性流体を含む、半導体製造工程において有用なその他の流体が、採用されてもよい。こうして貯蔵および送出されてもよいその他の反応剤は、有機金属化学蒸着法(MOCVD)および原子層蒸着法(ALD)のための前駆体として使用される気体有機金属反応剤を含む。
【0065】
図3は、
図1に概略的に示される一般的なタイプの流体供給パッケージの、参照しやすくするために対応する部品が相応に付番されている、部分断面概略立面図である。
図3の流体供給パッケージは、
図3のパッケージにおいて容器212のネックに結合されたカラーフランジ部材280が提供されている点において、
図1に示されるものとは異なる。
図3のパッケージの弁頭体226は、カラーフランジ部材280に固定されている。
【0066】
図4は、
図1から
図3に関連して図示および記載された容器で利用される一般的なタイプの圧力調整器の断面図である。このような圧力調整器は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,303,734号明細書に記載されている。図示されるように、圧力調整器は、入口および出口通路と連通している主要な中央筐体を含む。ポペットは入口通路内で静止しており、流体流のこのような通路を閉鎖するために、入口通路の座部と係合した閉鎖位置で示されている。ポペットは、同様に圧力調整器の内部容積内の圧力検出アセンブリに接続された、ステムに結合されている。圧力検出アセンブリは、出口通路の吐出開口からの流体の流れのため、入口通路および調整器の中央チャンバを通じて出口通路まで流体を流すために、ポペットがその座部から外れるように、所定の設定点圧力より低い出口通路の圧力が、複数の隔壁の運動および圧力検出アセンブリとこれに結合されたポペットステムとの対応する並進を引き起こすように、圧力検出アセンブリが調整器の出口通路内の圧力レベルに反応する、ベローズ構造を画定する複数の隔壁を含む。
【0067】
出口通路内の流体圧が調整器の設定点圧力よりも高いとき、圧力検出アセンブリは、その中を流体流が通る通路を閉鎖するために、ポペットが入口通路の座部と嵌合するように、ポペットステムおよび結合するポペットを応答性良く並進させることになる。
【0068】
図5は、
図1から
図3の流体供給パッケージを参照して図示および記載されたタイプの、直列配置二連調整器アセンブリの概略図である。
【0069】
この直列配置調整器アセンブリにおいて、第一圧力調整器SPR−1は、第二圧力調整器SPR−2と直列になっている。それぞれの調整器は、中間圧力接続通路によって互いに結合されている。調整器SPR−1は、調整器SPR−2の圧力設定点と比較してより高い圧力設定点を有する。調整器SPR−1には、
図1および
図3に示されるように調整器アセンブリが流体貯蔵および分注容器内に実装されているときに高圧流体に曝される、その高圧入口(高P入口)が設けられている。調整器SPR−2は、調整器SPR−1と直列に設けられており、その出口(亜大気圧出口)がこのような調整器SPR−2の亜大気設定点圧力より低くなければ下流調整器(SPR−2)が流体を分注しないように、たとえば亜大気圧である設定点圧力を有してもよい。
【0070】
したがって、調整器SPR−2が設定点亜大気圧未満の出口圧に反応して開放するとき、には、2つの調整器の間の中間圧力接続通路内の圧力にも相応の低下があり、このような中間圧力が調整器SPR−1の設定点圧力未満まで減少したときには、調整器SPR−1は開放して、調整器SPR−1の高圧入口からこのような調整器を通り、中間圧力接続通路を通り、そして調整器SPR−2を通って亜大気圧出口まで流体が流れることになる。
【0071】
このような配置により、高圧流体は流体貯蔵および分注容器内に安全かつ効率的に収容され、分注におけるこのような流体の圧力は、上流圧力調整器によって中間圧力まで、そして下流圧力調整器によってこのような中間圧力から下流圧力調整器の設定点によって決定される低吐出圧力まで、低下させられる。
【0072】
図6は、このような通路を閉止して流体流を止めるように、圧力調整器の入口通路内に着座したポペットの円錐状末端部分を示す、
図4および
図5に示される一般的なタイプの圧力調整器の拡大部分図である。このような閉止位置は、調整器の設定点圧力よりも高い圧力調整器の出口通路における下流圧力に反応する。ポペットの着座位置は、流体供給パッケージの流体貯蔵および分注容器からの流体流の開始時に上述の圧力スパイク挙動を生じる可能性のある、ポペットの引っかかりの可能性のある箇所である。
【0073】
図7は、
図4から
図6に示されるタイプの圧力調整器で利用される、ポペットステムアセンブリ300の分解図である。ポペットステムアセンブリは、矢印Aで示される方向にねじ込まれたときに、ポペットステムの上部末端に設けられたらせんねじ山310によって、ポペットステム306が固定されるベースプレート308を含むポペット基部構造と係合する、ポペット304を含む。
【0074】
図8は、
図7のポペットステムアセンブリと協働的に対合可能なポペット保持バネ部材312の上面図である。
【0075】
図9は、
図7のポペットステムアセンブリ300および
図8のポペットバネ保持部材312を組み込んだ、組み立て済みポペットステムおよび保持バネアセンブリの上面図である。バネアセンブリは圧力調整容器のベローズの面にクリップされて、ポペットステム306を物理的に保持する。バネ312は、アライメント目的のためにポペットの運動を許容するため、たとえば運動の直角方向に1mm程度であってもよい離間間隙を有する。このような離間間隙が存在する結果として、ポペットステムは位置が変動してもよく、アライメントは結果的に乏しいかまたは一致性がなくなる可能性があり、分注動作中の調整器内の流れの開始時の潜在的な圧力スパイク挙動の一因となる。
【0076】
このようなアライメントおよび位置問題を解決するために、本開示は、このような圧力調整器において従来使用されていた寸法と比較して、保持バネとポペットステムアセンブリとの間の離間間隙寸法の著しい縮小を検討する。たとえば、上述の1mm離間間隙で従来通り製造された調整器において、0.25mm程度の寸法までの離間間隙の縮小は、誤配置の可能性を相応に著しく減少させ、これによってこのような誤配置に関連する圧力スパイク事象を改善すると考えられる。
【0077】
図10は、参照しやすくするためにすべての対応する要素および特徴が相応に付番されており、分注動作の開始時に力スパイク挙動を抑制するために流体吐出ポート229の流体吐出通路内に流量制限オリフィス(RFO)要素288を組み込むことによって弁頭体226が変更されている、
図1に示されるタイプの流体供給パッケージの概略断面立面図である。このような配置により、流量制限オリフィスは、流体供給パッケージからの流体の潜在的なスパイク/サージ流量を制限し、これによってスパイク/サージ挙動を弱めて少なくとも部分的に減衰するのに役立つ。このようなRFO要素288は、流体供給パッケージ200からの最大流体吐出流量を制御するように、吐出ポート229内にねじ込まれるか、あるいは別途機械的に挿入、装着、または取り付けされてもよい。
【0078】
図11は、本開示の別の実施形態による、圧力スパイク挙動を抑制するように変更された、
図5を参照して図示および先に記載されたタイプの、直列配置二連調整器アセンブリの概略断面立面図である。
【0079】
図11の直列配置調整器アセンブリにおいて、第一圧力調整器SPR−1と第二圧力調整器SPR−2との間の中間圧力接続通路は、その中の限られた流体の流れのため、中間圧力接続通路内に開放している中央細孔を提供するために、円環形のインサートを内部に備えて作成される。
【0080】
環状インサートは、設定点調整器SPR−1とSPR−2との間の流体量を減少させるために、直列配置二連調整器アセンブリの溶接組み立ての間に実装されてもよい。中間圧力接続通路を通る容積流体負荷を制限することによって、分注動作中に設定点調整器SPR−2が最初に開放するときのサージ/スパイク挙動の影響を受けやすい流体が相応に少なくなる。その結果、いかなる圧力摂動の規模および時間範囲も、中間圧力接続通路内のこのような環状インサートを欠いた対応する直列配置二連調整器アセンブリに対して、弱められて少なくとも部分的に減衰される。
【0081】
加えて、または代替的に、
図5を参照して図示および先に記載されたタイプの直列配置二連調整器アセンブリは、調整器間の中間圧力接続通路内の流体量を減少させるために、上流(高圧)調整器上の圧力設定点の減少によって、変更されることが可能である。たとえば、
図1に示されるタイプの流体分注パッケージ内の上流調整器は、一般的に100psi(689.5kPa)程度の設定点圧力を有してもよく、上流調整器のこのような設定点圧力は、分注動作の開始時の圧力スパイク挙動を減衰するために、たとえば10psi(68.9kPa)程度の圧力まで減少させられることが可能である。
【0082】
図12は、
図6に示される構造と比較して、調整器の入口通路402の座部構造412が扁平な環状ディスク型特徴のドーナツ型構造に変更されている、
図4および
図5に示される一般的なタイプの圧力調整器400の拡大部分図である。加えて、ポペットステム410上に実装されたポペット404は、座部構造と封止対合するために、その近位末端406により大きく丸みを帯びた鈍いプロファイルを提供するように変更されている。この実施形態において、座部構造はいずれの適切な材料で形成されてもよく、たとえばポリアセタール材料などの硬質で剛性の流体適合性ポリマーを含んでもよい。同様に、ポペットは座部構造と適合性のあるいずれの適切な材料で形成されてもよく、たとえばステンレス鋼、チタン、ニッケルなどの金属、あるいはポペットアセンブリおよび調整器のその他の構成要素ならびに使用中にこのような調整器を流れる流体とも適合性のある、その他の金属または構造物材料で形成されてもよい。
【0083】
図13は、本開示の一実施形態による、耐スパイク圧力管理装置および方法が適用される圧力調整流体貯蔵および分注容器を含む流体供給パッケージの概略断面立面図である。
図13において、対応する特徴は、
図1に示される流体供給パッケージに対して相応に付番されている。
【0084】
図13に示されるように、流体供給パッケージ200は、容器の内部容積218を協働的に包囲する円筒側壁214および床216を含む、流体貯蔵および分注容器212を含む。その上部末端220において、容器は、ネック221の内壁223によって縁どられるポート開口222を画定する、ネック221を特徴とする。内壁223は、先に記載されたように、弁体226を含む弁頭225と、その中で対係合するように構成されている。
【0085】
弁頭225は、所望の貯蔵状態で内部容積218の中にガスを保持するために、密封方式で容器212と係合する。弁頭体226は、容器212内の流体に由来するガスの分注のため、中央垂直通路228が形成されている。中央垂直通路228は、流体吐出ポート229の流体吐出通路230と連通している。
【0086】
弁頭体は、弁の選択的な開閉のため、弁アクチュエータ238に結合された弁要素227を包含する。弁アクチュエータは、中央垂直通路228から流体吐出ポート229までガスを流すために開放されてもよく、あるいは弁アクチュエータは、分注の間に中央垂直通路228から流体吐出ポート229までの流体の流れを終了させるために閉鎖されてもよい。
【0087】
弁要素227は、容器から分注された流体が弁要素227を含む流量制御弁を通じて流れる前に調整器内を流れるように、調整器の下流にある。
【0088】
弁頭体226は、その上部末端において充填ポート234と連絡する充填通路232が内部に形成されている。充填ポート234は、充填後の容器がガスを貯蔵および分注するために使用されるときに充填ポートを汚染または破損から保護するために、充填ポートキャップ236で覆われている。
【0089】
その下部末端における充填通路は、その底部面において弁頭体226から出てくる。充填ポート234がガス源に結合されているとき、流体は充填通路を通って容器212の内部容積218の中に流入することができる。
【0090】
弁頭体226の下部末端に接合されているのは、その中に上部粒子フィルタ239を包含する延長管240である。調整器242は、延長管240の末端に実装されている。上部調整器242は、延長管下部末端に固定されている。
【0091】
上部調整器242は、図示されるように、下部調整器260に対して直列関係に配置されている。このような目的のため、上部および下部調整器は、上部調整器242の下部伸長部分上のねじ山、および下部調整器260の上部伸長部分上にあってこれと対係合可能なねじ山を含む、相補的ねじ山によって、互いに螺合可能であってもよい。
【0092】
あるいは、上部および下部調整器は、接着接合、溶接、ろう付け、半田付けなどによる、結合または継手手段によって接合されてもよく、あるいは上部および下部調整器は、二連調整器アセンブリの構成要素として、一体に構築されてもよい。
【0093】
その下部末端において、下部調整器260は、装置の動作中に微粒子またはその他の汚染種による調整器要素および弁要素227の汚染を防止するのに役立つ、粒子フィルタ246に接合されている。粒子フィルタ239はさらなる微粒子除去能力を提供するため、および分注された流体の高いガス純度を保証するために、延長管240内に設けられている。
【0094】
調整器は、これと直列流関係にある少なくとも1つの粒子フィルタを有してもよい。好ましくは、システムは、容器内部容積218から流体吐出ポート229までの流体流路内に、(1つまたは複数の)調整器の上流の粒子フィルタ、ならびに(1つまたは複数の)調整器の下流の粒子フィルタを含む。
【0095】
このため弁頭225は、ガス充填ポート234およびガス吐出ポート229の、2ポート弁頭アセンブリを提供する。
【0096】
圧力調整器は各々、ポペット保持ウェハに結合された隔壁要素を含むタイプである。ウェハは同様に、出口流体圧を正確に制御する圧力検出アセンブリの一部として、ポペット要素のステムに接続されている。設定点を超える出口圧のわずかな上昇は圧力検出アセンブリを収縮させ、出口圧のわずかな減少は圧力検出アセンブリを膨張させる。収縮または膨張は、正確な圧力制御を提供するためにポペット要素を並進させるのに役立つ。圧力検出アセンブリは、流体貯蔵および分注システムの任意の適用のために事前確立または設定された、設定点を有する。
【0097】
図示されるように、内部にマスフローコントローラ268を包含するガス吐出ライン266が、吐出ポート229に結合されている。この配置により、ガス吐出ライン内のマスフローコントローラは、貯蔵および分注容器からの流体が、上流(下部)調整器260を通ってから下流(下部)調整器242を通り、弁頭および吐出ポート229まで流されるときに、流体貯蔵槽および分注パッケージ200の分注モードにおいて、容器212から結合するプロセス設備270(たとえば、半導体製造設備またはその他の用途の設備)までガスを流すために開放される。
【0098】
このようにして分注された流体は、調整器242の設定点によって決定された圧力となる。調整器260および調整器242のそれぞれの設定点は、いずれか適切な値で選択または事前設定されることが可能である。下部および上部調整器は、容器212から分注された流体が極端に高純度となるように、いずれかの末端に微粒子フィルタを有する調整器アセンブリを形成するために、互いに同軸に位置合わせされている。
【0099】
下流のプロセス設備270に悪影響を及ぼして流れの途絶を引き起こす送出圧力の振動を呈することなく容器が一定の圧力でガスを送出できるようにするために、
図13のガス供給装置は、ガス吐出ライン266と分岐ライン274および282のうちの1つとの間に流体流連通を確立するために選択的にサイクル可能なサイクル弁272を、ガス吐出ライン266内に含む。分岐ライン274は、その中に流れ隔離弁276を有し、ガス吐出ライン266に吸引をかけて排出ライン280にガスを吐出するために配置された、ポンプ278と結合している。分岐ライン282は、その中に加圧ポンプ284を有して加圧ガス源288に接合しており、このようなラインの隔離弁286は、加圧ポンプ284までの加圧ガスの流れを制御するのに役立つ。
【0100】
流体供給パッケージ200からのガス分注の開始時の送出圧力振動を防止するために、容器214内の調整器242のポペット要素は、第一の動作時間の間に加圧ポンプ284が作動されて、加圧流体が加圧ガス源288からライン282、弁272を通じてガス吐出ライン266内に戻って吐出ポート229まで流れるように、サイクル弁272を作動することによってサイクル動作させられる。このようにして、吐出ポート229は所定時間にわたって所定圧力まで背圧をかけられ、これに続いてサイクル弁272は、第二の所定時間にわたって吐出ポート229に吸引をかけるために、分岐ライン282と流体連通するガス吐出ラインを閉鎖するため、および吸引ポンプ278を作動させてこれを分岐ライン274に対して開放するために、サイクル動作させられる。このようにして、吐出ポート229によって経験されるガス吐出ライン266内の圧力は、調整器242のポペットが開閉するように、調整器242の設定点より高い圧力と調整器242の設定点より低い吸引圧力状態との間でサイクル動作させられる。
【0101】
調整器ポペットを連続的に開閉させるためのこのような圧力状態の交番は、圧力振動を伴わずにその後の容器214からのガスの分注を行わせるために、十分なサイクル数にわたって続けられる。
【0102】
特定の例において、サイクル動作手順は、調整器内のポペットを強制的に開閉させるために12秒にわたって約700トールまで吐出ポートに背圧をかけてから12秒にわたって吐出ポートをポンピングすることを伴い、このような交番は500〜1000サイクルにわたって継続し、これに続いて分注されたガスの送出圧力は安定して振動のない特性を呈するようになる。
【0103】
図14は、
図13に示されるタイプのシステム内の調整器ポペットのサイクル動作の前後の、時間関数としての分注ガス圧のグラフである。サイクル動作の前には、分注開始後の送出圧力(上方ライン200から1175秒)は、著しい振動を見せる。サイクル動作後、送出圧力(1175秒後の上方ライン)は、一定であって振動のない特性である。
【0104】
したがって、対応する流体供給パッケージの圧力調整流体貯蔵および分注容器における流体分注の開始に起因する圧力スパイク挙動を少なくとも部分的に減衰するために、本開示の広範な実践の範囲内で有利に採用されてもよい、様々なアセンブリ、アプローチ、および機構が存在することは、理解される。
【0105】
本開示は本明細書において特定の態様、特徴、および例示的な実施形態を参照して明記されているが、本開示の実用性はこれらに限定されるものではなく、むしろ本明細書に基づいて、それ自体が本開示の分野の当業者に連想させるような、その他多数の変形例、変更例、および代替実施形態にまでおよび、これらを網羅することが、理解される。したがって、以下に特許請求される発明は、その精神および範囲内で、そのようなすべての変形例、変更例、および代替実施形態を含むように、幅広く理解および解釈されるように意図される。