(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明の難燃性合成樹脂組成物について詳述する。
先ず本発明の(A)成分である難燃剤成分について説明する。
【0015】
本発明の(A)成分の難燃剤成分は、下記一般式(1)で表されるリン酸エステルの混合物であり、かつ、該混合物の総量に対して、n=1で表されるリン酸エステルの含有量が70〜75質量%である。但し、n=1、2、3、4及び5の合計の含有量は100質量%である。また、n=2、3、4、5のリン酸エステルは必ずしもすべて含まなくてもよい。
ちなみに、n=1で表される化合物の含有割合が75質量%を超えると、合成樹脂組成物の熱変形温度が下がり、合成樹脂組成物の耐熱性が劣る。70質量%未満だとリン酸エステル混合物の溶融粘度が増大し、加工性や取扱い性に劣ることになる。
【0016】
【化2】
(式中、R
1及びR
2は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、nは1、2、3、4、又は5の数を表す。)
【0017】
前記一般式(1)中、合成樹脂組成物の難燃性、熱変形温度及び溶融粘度の点から、R
1及びR
2が水素原子であることが好ましい。
【0018】
前記一般式(1)で表されるリン酸エステルとしては、より詳細には、以下のリン酸エステルNo.1及びリン酸エステルNo.2が挙げられ、合成樹脂組成物の難燃性、熱変形温度及び溶融粘度の点から、特にリン酸エステルNo.1が好ましい。尚、前記と同様にnは1、2、3、4、又は5の数である。
【0021】
前記一般式(1)で表されるリン酸エステルの混合物の合成方法は特に制限されないが、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニルとフェノールとオキシ塩化リンを塩化マグネシウム等の触媒の存在下に反応させ脱塩酸することで合成可能であり、オキシ塩化リンの4,4’−ジヒドロキシビフェニルに対する使用量を調節することで、n=1のリン酸エステル化合物の含有割合を70〜75質量%に調節できる。オキシ塩化リンの好ましい使用量は4,4’−ジヒドロキシビフェニル1molに対して、2.70mol〜3.00molが好ましく、2.90molがより好ましい。
【0022】
本発明の難燃性合成樹脂組成物において、前記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物の混合物は、合成樹脂100質量部に対して、0.5〜20質量部配合するが、難燃性、熱変形温度及び溶融粘度の点から、1〜15質量部配合するのが好ましく、2〜5質量部配合するのがより好ましい。0.5質量部未満では難燃性が充分ではなく、20質量部を超えるとブリードが生じてしまう。
【0023】
本発明の(A)成分は70〜80℃で液状であり、好ましくは室温(25℃)でも液状であり、流動性を有する。
【0024】
(A)成分の合成樹脂への添加方法は、特に限定されない。(A)成分が室温(25℃)で液状である場合は取扱いが容易である。また室温(25℃)で液状ではない場合や、液状であっても流動性を上げて取扱いを容易にするために、添加する際に加温してもよい。
次に本発明で使用される合成樹脂について説明する。
【0025】
本発明で使用される合成樹脂の具体例としては、熱可塑性樹脂が挙げられ、例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、架橋ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリ−3−メチルペンテン、ポリ−4−メチルペンテン等のα−オレフィン重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂及びこれらの共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、スチレン及び/又はα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、SBS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂等);ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂及びポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル樹脂;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサン、ポリ(2−オキセタノン)等の分解性脂肪族ポリエステル;ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタム及びポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド樹脂;セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル系樹脂;ポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS樹脂、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂及びこれらのブレンド物を挙げることができる。
【0026】
更に、本発明で使用できる合成樹脂の例を挙げると、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。
【0027】
また、本発明の合成樹脂は、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ナイロン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等のエラストマーであってもよい。
【0028】
これら本発明で使用される合成樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を併せて使用してもよい。また、アロイ化されていてもよい。
またこれらの合成樹脂は、分子量、重合度、密度、軟化点、溶媒への不溶分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるモノマーの種類や配合比率、重合触媒の種類(例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等)等に関わらず使用することができる。
【0029】
これらの合成樹脂の中でも、難燃性、熱変形温度等の耐熱性、溶融粘度等の加工性と取扱い性の点から、ポリカーボネート、ABS樹脂、耐衝撃性ポリスチレン、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル、セルロースエステル系樹脂及びそれらの共重合体からなる群から選ばれる一種以上が好ましく、特にポリカーボネートが好ましい。
【0030】
本発明の難燃性合成樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、燃焼時のドリップを防止するために、ドリップ防止剤を含有することも好ましい。
【0031】
ドリップ防止剤としては、フッ素系ドリップ防止剤やシリコンゴム類、層状ケイ酸塩等が挙げられる。中でも、フッ素系ドリップ防止剤が好ましい。
【0032】
前記フッ素系のドリップ防止剤の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系樹脂やパーフルオロメタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−n−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロ−t−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−2−エチルヘキサンスルホン酸カルシウム塩等のパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩化合物又はパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。
フッ素系ドリップ防止剤の中でも、ドリップ防止性の点から、ポリテトラフルオロエチレンが最も好ましい。
【0033】
前記層状ケイ酸塩としては、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ、タルク等が挙げられ、その層間に、有機カチオン、第4級アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンがインターカレートされているものでもよい。
【0034】
前記ドリップ防止剤の含有量は、合成樹脂100質量部に対して、0.005〜3質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜2質量部、さらに好ましくは0.05〜1.0質量部、最も好ましくは0.1〜0.5質量部である。0.005質量部未満だとドリップ防止効果が十分でない場合があり、3質量部を超えると樹脂の特性を低下させる場合がある。
【0035】
本発明の難燃性合成樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて更に、ハロゲンを含有しない、有機若しくは無機系の難燃剤又は難燃助剤の一種以上を使用することができる。それら難燃剤・難燃助剤としては、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、ホスフェート系難燃剤、無機リン系難燃剤、(ポリ)リン酸塩系難燃剤、ジアルキルホスフィン酸塩、シリコーン系難燃剤、金属酸化物、ホウ酸化合物、膨張性黒鉛、その他の無機系難燃助剤、その他の有機系難燃助剤等が挙げられる。
【0036】
前記トリアジン環含有化合物としては、例えば、メラミン、アンメリン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3−ヘキシレンジメラミン等が挙げられる。
【0037】
前記金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、キスマー5A(協和化学工業(株)製水酸化マグネシウムの商標)等が挙げられる。
【0038】
前記リン酸エステル系難燃剤の例としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリスイソプロピルフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t-ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(t-ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス-(t-ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス-(イソプロピルフェニル)ホスフェート等が挙げられる。
【0039】
前記縮合リン酸エステル系難燃剤の例としては、1,3−フェニレン ビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレン ビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールA ビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。
【0040】
前記無機リン系難燃剤としては、赤リンが挙げられる。
【0041】
前記(ポリ)リン酸塩系難燃剤としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ピペラジン等の(ポリ)リン酸のアンモニウム塩やアミン塩が挙げられる。
【0042】
前記ジアルキルホスフィン酸塩としては、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛等が挙げられる。
【0043】
前記その他の無機系難燃助剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト等の無機化合物及びその表面処理品、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
その具体例としては、例えば、TIPAQUE R−680(石原産業(株)製酸化チタンの商標)、キョーワマグ150(協和化学工業(株)製酸化マグネシウムの商標)、DHT−4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー4(亜鉛変性ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)等の種々の市販品を用いることができる。
【0044】
前記その他の有機系難燃助剤としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトールが挙げられる。
【0045】
本発明の難燃性合成樹脂組成物には、さらに必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、老化防止剤等を配合してもよい。これらを配合することにより合成樹脂を安定化することが好ましい。
【0046】
前記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6―ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
これらのフェノール系酸化防止剤の使用量は、合成樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
【0047】
前記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。
これらのリン系酸化防止剤の使用量は、合成樹脂100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
【0048】
前記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及びペンタエリスリトールテトラキス(β−ドデシルチオプロピオネート)等のペンタエリスリトールテトラキス(β−アルキルチオプロピオネート)類が挙げられる。
これらのチオエーテル系酸化防止剤の使用量は、合成樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
【0049】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤の使用量は、合成樹脂100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
【0050】
前記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
これらのヒンダードアミン系光安定剤の使用量は、合成樹脂100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
【0051】
前記の老化防止剤としては、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p−フェニルジアミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダートフェノール系、亜リン酸エステル系等が挙げられる。
これらの老化防止剤の使用量は、合成樹脂100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
【0052】
本発明の難燃性合成樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として強化材を配合してもよい。強化材としては、通常合成樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維及び硼素繊維等の無機繊維状強化材、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、亜麻、リネン、絹、マニラ麻、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙及びウール等の有機繊維状強化材、ガラスフレーク、非膨潤性雲母、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト及び白土等の板状や粒状の強化材が挙げられる。
これらの強化材は、エチレン/酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で被覆又は集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシラン等のカップリング剤等で処理されていても良い。
【0053】
本発明の難燃性合成樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、更に結晶核剤を配合してもよい。該結晶核剤としては一般にポリマーの結晶核剤として用いられるものを適宜用いることができ、本発明においては無機系結晶核剤及び有機系結晶核剤のいずれをも使用することができる。
【0054】
前記無機系結晶核剤の具体例としては、カオリナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウム及びフェニルホスホネート等の金属塩を挙げることができる。これらの無機系結晶核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていてもよい。
有機系結晶核剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレート等の有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウム等の有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)等のカルボン酸アミド、ベンジリデンソルビトール及びその誘導体、ナトリウム−2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等のリン化合物金属塩、及び2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム等を挙げることができる。
【0055】
本発明の難燃性合成樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、可塑剤を配合してもよい。該可塑剤としては、一般にポリマーの可塑剤として用いられるものを適宜用いることができ、例えばポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤及びエポキシ系可塑剤等を挙げることができる。
【0056】
ポリエステル系可塑剤の具体例としては、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ロジン等の酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のジオール成分とからなるポリエステルや、ポリカプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル等を挙げることができる。これらのポリエステルは、単官能カルボン酸若しくは単官能アルコールで末端が封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物等で末端が封鎖されていてもよい。
【0057】
グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレート及びグリセリンモノアセトモノモンタネート等を挙げることができる。
【0058】
多価カルボン酸エステル系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシル等のトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチル−n−デシル、アジピン酸メチルジグリコールブチルジグリコール、アジピン酸ベンジルメチルジグリコール、アジピン酸ベンジルブチルジグリコール等のアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル等のアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、及びセバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等のセバシン酸エステル等を挙げることができる。
【0059】
ポリアルキレングリコール系可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体等のポリアルキレングリコール、或いはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、及び末端エーテル変性化合物等の、末端封鎖化合物等を挙げることができる。
【0060】
エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリド等を指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。
【0061】
その他の可塑剤の具体例としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート等の脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル等のオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール、ポリアクリル酸エステル及びパラフィン類等を挙げることができる。
【0062】
本発明において可塑剤を使用する場合は、1種のみを使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0063】
本発明の難燃性合成樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、滑剤を配合してもよい。滑剤としては、通常合成樹脂に使用されるものであればよく、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪族アルコール系、脂肪族エステル系、エチレンビスステアリルアミド等の脂肪族アミド化合物、ステアリン酸カルシウム等の脂肪族カルボン酸金属塩、又は其の他の金属石けん系等の滑剤、シリコーンオイル等が挙げられる。
【0064】
本発明の難燃性合成樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、加水分解抑制剤(耐加水分解剤)を配合してもよい。加水分解抑制剤としては、通常合成樹脂に使用されるものであればよく、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。
【0065】
前記カルボジイミド化合物は、分子中に一個以上のカルボジイミド基を有する化合物であり、2官能以上のポリカルボジイミド化合物をも含む。モノカルボジイミド化合物の例としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ナフチルカルボジイミド等を例示することができる。
【0066】
前記ポリカルボジイミド化合物の例としては、ポリ(ジシクロヘキシルカルボジイミド)、ポリ(イソプロピルカルボジイミド)、ポリ(ジメチルカルボジイミド)、ポリ(ジイソブチルカルボジイミド)、ポリ(ジオクチルカルボジイミド)、ポリ(4,4'−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(1,3−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1−メチル−3,5−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ナフチルカルボジイミド)等が挙げられる。これらは、二種以上を併用することも出来る。
【0067】
また、前記イソシアネート化合物としては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2'−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、3,3'−ジクロロ−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート又は3,3'−ジメチル−4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0068】
また、前記オキサゾリン化合物としては、例えば、2,2'−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2'−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2'−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2'−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2'−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2'−p−フェニレンビス(4,4'−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2'−m−フェニレンビス(4,4'−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2'−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2'−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2'−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2'−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2'−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、又は2,2'−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)等が挙げられる。これら加水分解抑制剤(耐加水分解剤)は、一種単独で、又は二種以上を併用して用いてもよい。
【0069】
その他、本発明の難燃性合成樹脂組成物には、必要に応じて通常合成樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、帯電防止剤、金属石鹸、充填剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、発泡剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤、流動性改善剤、増粘剤、チキソトロピー付与剤、フュームドシリカ等を、本発明の効果を損なわない範囲で、配合することができる。
【0070】
本発明の難燃性合成樹脂組成物は、成形することにより、難燃性、熱変形温度等の耐熱性に優れた成形品を得ることができる。成形方法は、特に限定されるものではなく、押し出し加工、カレンダー加工、射出成形、ロール、圧縮成形、ブロー成形等が挙げられ、樹脂板、シート、フィルム、異形品等の種々の形状の成形品が製造できる。
【0071】
本発明の難燃性合成樹脂組成物は、電気自動車、機械、電気・電子機器、OA機器等のハウジング(枠、筐体、カバー、外装)や部品、自動車内外装材等に使用できる。
【0072】
本発明の難燃性合成樹脂組成物及びその成形体は、電気・電子・通信、農林水産、鉱業、建設、食品、繊維、衣類、医療、石炭、石油、ゴム、皮革、自動車、精密機器、木材、建材、土木、家具、印刷、楽器等の幅広い産業分野に使用することができる。より具体的には、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、複写機、ファクシミリ、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電子手帳、カード、ホルダー、文具等の事務、OA機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、コタツ等の家電機器、TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレーヤー、スピーカー、液晶ディスプレー等のAV機器、コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、LED封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計等の電気・電子部品及び通信機器、OA機器等のハウジング(枠、筐体、カバー、外装)や部品、自動車内外装材の用途に用いられる。
【0073】
更に、本発明の難燃性合成樹脂組成物及びその成形体は、座席(詰物、表地等)、ベルト、天井張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアトリム、リアパッケージトレイ、カーペット、マット、サンバイザー、ホイルカバー、マットレスカバー、エアバック、絶縁材、吊り手、吊り手帯、電線被覆材、電気絶縁材、塗料、コーティング材、上張り材、床材、隅壁、カーペット、壁紙、壁装材、外装材、内装材、屋根材、デッキ材、壁材、柱材、敷板、塀の材料、骨組及び繰形、窓及びドア形材、こけら板、羽目、テラス、バルコニー、防音板、断熱板、窓材等の、自動車、ハイブリッドカー、電気自動車、車両、船舶、航空機、建物、住宅及び建築用材料や、土木材料、衣料、カーテン、シーツ、合板、合繊板、絨毯、玄関マット、シート、バケツ、ホース、容器、眼鏡、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラケット、テント、楽器等の生活用品、スポーツ用品、等の各種用途に使用される。
【実施例】
【0074】
以下本発明を実施例及び比較例により、具体的に説明する。尚、以下の実施例等においては特に記載が無い限り質量基準である。
【0075】
〔リン酸エステル混合物−1(難燃剤−1)の合成〕
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1mol)に、触媒として塩化マグネシウム0.95g(0.01mol)を加え、オキシ塩化リンを600.3g(2.7mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール376.4g(4.0mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することでリン酸エステル混合物−1を得た。得られたリン酸エステル混合物−1は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
また、下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、このリン酸エステル混合物−1中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、70.5質量%であった。残りのリン酸エステル化合物の含有量は、式(1)においてn=2に該当する化合物の含有量が22.2質量%、n=3に該当する化合物の含有量が5.6質量%、n=4に該当する化合物の含有量が1.6質量%、n=5に該当する化合物の含有量が0.1質量%であった。
得られたリン酸エステル混合物−1は25℃で液状であった。
また、得られたリン酸エステル混合物−1の溶融粘度を下記測定方法で測定した。
【0076】
〔リン酸エステル混合物−2(難燃剤−2)の合成〕
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1mol)に、触媒として塩化マグネシウム0.95g(0.01mol)を加え、オキシ塩化リンを644.8g(2.9mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール376.4g(4.0mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することでリン酸エステル混合物−2を得た。得られたリン酸エステル混合物−2は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
また、下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、このリン酸エステル混合物−2中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、72.4質量%であった。残りのリン酸エステル化合物の含有量は、式(1)においてn=2に該当する化合物が20.9質量%、n=3に該当する化合物が5.4質量%、n=4に該当する化合物が1.3質量%、n=5に該当する化合物が0質量%であった。
得られたリン酸エステル混合物−2は25℃で液状であった。
また、得られたリン酸エステル混合物−2の溶融粘度を下記測定方法で測定した。
【0077】
〔リン酸エステル混合物−3(難燃剤−3)の合成〕
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1mol)に、触媒として塩化マグネシウム0.95g(0.01mol)を加え、オキシ塩化リンを667.0g(3.0mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール376.4g(4.0mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することでリン酸エステル混合物−3を得た。得られたリン酸エステル混合物−3は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
また、下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、このリン酸エステル混合物−3中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、74.5質量%であった。残りのリン酸エステル化合物の含有量は、式(1)においてn=2に該当する化合物が20.1質量%、n=3に該当する化合物が4.5質量%、n=4に該当する化合物が0.9質量%、n=5に該当する化合物が0質量%であった。
得られたリン酸エステル混合物−3は25℃で液状であった。
また、得られたリン酸エステル混合物−3の溶融粘度を下記測定方法で測定した。
【0078】
〔比較リン酸エステル混合物−4(難燃剤−4)の合成〕
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1mol)に、触媒として塩化マグネシウム0.95g(0.01mol)を加え、オキシ塩化リンを778.2g(3.5mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール376.4g(4.0mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することで比較リン酸エステル混合物−4を得た。得られた比較リン酸エステル混合物−4は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
また、下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、この比較リン酸エステル混合物−4中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、76.0質量%であった。残りのリン酸エステル化合物の含有量は、式(1)においてn=2に該当する化合物が19.2質量%、n=3に該当する化合物が4.1質量%、n=4に該当する化合物が0.7質量%、n=5に該当する化合物が0質量%であった。
得られた比較リン酸エステル混合物−4は25℃で液状であった。
また、得られた比較リン酸エステル混合物−4の溶融粘度を下記測定方法で測定した。
【0079】
〔比較リン酸エステル混合物−5(難燃剤−5)の合成〕
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1mol)に、触媒として塩化マグネシウム0.95g(0.01mol)を加え、オキシ塩化リンを844.9g(3.8mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール376.4g(4.0mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することで比較リン酸エステル混合物−5を得た。得られた比較リン酸エステル混合物−5は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
また、下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、この比較リン酸エステル混合物−5中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、80.1質量%であった。残りのリン酸エステル化合物の含有量は、式(1)においてn=2に該当する化合物が16.8質量%、n=3に該当する化合物が2.8質量%、n=4に該当する化合物が0.3質量%、n=5に該当する化合物が0質量%であった。
得られた比較リン酸エステル混合物−5は25℃で固体であった。
また、得られた比較リン酸エステル混合物−5の溶融粘度を下記測定方法で測定した。
【0080】
〔比較リン酸エステル混合物−6(難燃剤−6)の合成〕
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1mol)に、触媒として塩化マグネシウム0.95g(0.01mol)を加え、オキシ塩化リンを1334.0g(6.0mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール376.4g(4.0mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することで比較リン酸エステル混合物−6を得た。得られた比較リン酸エステル混合物−6は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
また、下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、この比較リン酸エステル混合物−6中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、87.4質量%であった。残りのリン酸エステル化合物の含有量は、式(1)においてn=2に該当する化合物が11.2質量%、n=3に該当する化合物が1.4質量%、n=4に該当する化合物が0質量%、n=5に該当する化合物が0質量%であった。
得られた比較リン酸エステル混合物−6は25℃で固体であった。
また、得られた比較リン酸エステル混合物−6の溶融粘度を下記測定方法で測定した。
【0081】
〔比較リン酸エステル混合物−7(難燃剤−7)の合成〕
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1mol)に、触媒として塩化マグネシウム0.95g(0.01mol)を加え、オキシ塩化リンを555.8g(2.5mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール376.4g(4.0mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することでリン酸エステル混合物−7を得た。得られた比較リン酸エステル混合物−7は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
また、下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、この比較リン酸エステル棍棒物−7中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、66.5質量%であった。残りのリン酸エステル化合物の含有量は、式(1)においてn=2に該当する化合物が24.1質量%、n=3に該当する化合物が7.0質量%、n=4に該当する化合物が2.1質量%、n=5に該当する化合物が0.3質量%であった。
得られた比較リン酸エステル混合物−7は25℃で液状であった。
また、得られた比較リン酸エステル混合物−7の溶融粘度を下記測定方法で測定した。
【0082】
〔比較リン酸エステル混合物−8(難燃剤−8)の合成〕
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1mol)に、触媒として塩化マグネシウム0.95g(0.01mol)を加え、オキシ塩化リンを555.8g(2.2mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール376.4g(4.0mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することで比較リン酸エステル混合物−8を得た。得られた比較リン酸エステル混合物−8は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
また、下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、この比較リン酸エステル混合物−8中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、64.0質量%であった。残りのリン酸エステル化合物の含有量は、式(1)においてn=2に該当する化合物が24.9質量%、n=3に該当する化合物が8.1質量%、n=4に該当する化合物が2.5質量%、n=5に該当する化合物が0.5質量%であった。
得られた比較リン酸エステル混合物−8は25℃で液状であった。
また、得られた比較リン酸エステル混合物−7の溶融粘度を下記測定方法で測定した。
【0083】
<液体クロマトグラフ測定条件>
装置:日本分光(株)製,Pump(PU−2089 PLUS),
Detector( MD-2018 PLUS)
カラム:(株)センシュー科学製(PEGASIL ODS φ4.6mm×L250mm)
カラム温度:40℃
検出波長:261nm
展開溶媒:MeOH/0.3%リン酸水溶液
【0084】
〔実施例1〜3及び比較例1〜6〕
下記表1に示す配合で、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を調製し、下記の加工条件で押出加工を行い、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを調製した。
この押出加工で調製したペレットを用い、下記の条件での射出成形により難燃性試験片及びHDT測定用の試験片を作製した。
この試験片を用いて、下記試験方法にて、HDT試験(フラットワイズ法)及び難燃性試験(UL−94V試験)を行った。結果を表1に示す。
【0085】
<加工条件>
押し出し機:PCM30−38−3V−ISE((株)池貝製)
温度:280℃
スクリュー:2軸
回転数:100rpm
【0086】
<射出成形条件>
横型射出成形機:NEX−80−9E(日精樹脂工業(株)製)
温度:280℃、金型温度:80℃
【0087】
<HDT試験方法>
試験装置:自動HDT試験装置(東洋精機(株)製)
試験方法:長さ80mm、幅10mm及び厚さ4mmの試験片をフラットワイズ法で測定した。昇温速度 120℃/h及び曲げ応力 1.8MPaで試験を行い、荷重による試験
片の変位量が0.34mmに達した温度を荷重たわみ温度(HDT)とした。
【0088】
<溶融粘度の測定方法>
試験装置:B型粘度計((株)東京計器社製)
測定方法:サンプルを1時間、80℃の恒温槽で保持後、前記の粘度計を用い、溶融粘度を測定した。No.3ローターを使用し、回転速度(60rpm)で、測定を行った。
【0089】
<難燃性UL−94V試験方法>
長さ127mm、幅12.7mm及び厚さ1.6mmの試験片を垂直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後で炎を取り除き、試験片に着火した火が消える時間を測定した。次に、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行ない、1回目と同様にして着火した火が消える時間を測定した。また、落下する火種により試験片の下の綿が着火するか否かについても同時に評価した。
1回目と2回目の燃焼時間、綿着火の有無等からUL−94V規格にしたがって燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはV−0が最高のものであり、V−1、V−2となるにしたがって難燃性は低下する。但し、V−0〜V−2のランクの何れにも該当しないものはNRとする。
【0090】
【表1】