(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
反応管と、該反応管を支持するマニホールドと、で構成される処理室内の基板に対して、前記マニホールドに設けられ、前記マニホールドから前記反応管内まで立ち上がった第1のノズルを介してシリコンを含む原料ガスを供給する工程と、前記処理室内の前記基板に対して、前記マニホールドに設けられ、前記マニホールドから前記反応管内まで立ち上がった第2のノズルを介して酸化ガスを供給する工程と、を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上にシリコン酸化膜を形成する工程を行った後の前記処理室内をクリーニングする方法であって、
前記第2のノズルを介して前記反応管内へフッ化水素ガスを供給する第1のクリーニング工程と、
前記マニホールドに設けられた第3のノズルを介して前記マニホールドの内壁面に対してフッ化水素ガスを供給する第2のクリーニング工程と、を有し、
前記第1のクリーニング工程および前記第2のクリーニング工程では、前記第1のノズルを介した前記反応管内への前記フッ化水素ガスの供給を不実施とするクリーニング方法。
前記第1のクリーニング工程および前記第2のクリーニング工程では、前記第1のノズルを介して前記反応管内へ不活性ガスを供給する請求項1に記載のクリーニング方法。
前記酸化ガスを供給する工程では、大気圧未満の圧力下にある前記処理室内の前記基板に対して、前記第1のノズルを介して還元ガスを供給する請求項1に記載のクリーニング方法。
前記第2のクリーニング工程において前記第3のノズルを介して供給するフッ化水素ガスの供給濃度を、前記第1のクリーニング工程において前記第2のノズルを介して供給するフッ化水素ガスの供給濃度よりも高くする請求項1に記載のクリーニング方法。
前記第1のクリーニング工程および前記第2のクリーニング工程は、前記マニホールドの下端開口をシールキャップで閉塞した状態で行われ、前記ガイド部は、前記シールキャップ上に設置されている請求項7に記載のクリーニング方法。
反応管と、該反応管を支持するマニホールドと、で構成される処理室内の基板に対して、前記マニホールドに設けられ、前記マニホールドから前記反応管内まで立ち上がった第1のノズルを介してシリコンを含む原料ガスを供給する工程と、前記処理室内の前記基板に対して、前記マニホールドに設けられ、前記マニホールドから前記反応管内まで立ち上がった第2のノズルを介して酸化ガスを供給する工程と、を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上にシリコン酸化膜を形成する工程と、
前記酸化膜を形成する工程を行った後の前記処理室内をクリーニングする工程と、を有し、
前記処理室内をクリーニングする工程は、
前記第2のノズルを介して前記反応管内へフッ化水素ガスを供給する第1のクリーニング工程と、
前記マニホールドに設けられた第3のノズルを介して前記マニホールドの内壁面に対してフッ化水素ガスを供給する第2のクリーニング工程と、
を有し、
前記第1のクリーニング工程および前記第2のクリーニング工程では、前記第1のノズルを介した前記反応管内への前記フッ化水素ガスの供給を不実施とする半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施形態について説明する。
(1)基板処理装置の構成
処理炉12は、加熱手段(加熱機構)としてのヒータ14を有する。ヒータ14は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ14は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0012】
ヒータ14の内側には、このヒータ14と同心円状に反応管16が配設されている。反応管16は、上端が閉塞し下端が開口した円筒状に形成されている。反応管16は、例えば石英(SiO
2)や炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料で構成される。
【0013】
反応管16の下方には、この反応管16と同心円状にマニホールド(インレットフランジ)18が配設されている。マニホールド18は上端及び下端が開口した円筒状に形成され、例えばステンレス等の金属で構成される。マニホールド18の上端部は、反応管16の下端部に係合しており、この反応管16を支持するように構成されている。
【0014】
マニホールド18と反応管16との間には、シール部材としてのOリング20aが設けられている。マニホールド18がヒータベースに支持されることにより、反応管16は垂直に据え付けられた状態となる。
【0015】
主に、反応管16とマニホールド18とにより処理容器(反応容器)が構成され、この処理容器の筒中空部に処理室22が形成される。処理室22の下方に、基板としてのウエハ24を搬入および搬出する開口が形成される。処理室22は、ウエハ24を保持する基板保持具としてのボート28を用いて、ウエハ24を水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容する。
【0016】
ボート28は、複数枚のウエハ24を水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持する。ボート28は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料で構成される。ボート28の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる断熱部材30が設けられており、ヒータ14からの熱が下方に伝わりにくくなるように構成されている。断熱部材30は、石英やSiC等の耐熱性材料からなる複数枚の断熱板と、これら断熱板を水平姿勢で多段に支持する断熱板ホルダとにより構成するようにしてもよい。
【0017】
処理炉12には、ウエハ24を処理する第一のガス(例えば、原料ガス)を処理室22内に供給する第一のガス供給系32と、ウエハ24を処理する第二のガス(例えば、反応ガス)を処理室22内に供給する第二のガス供給系34と、この処理室22内をクリーニングする第三のガス(クリーニングガス)を供給する第三のガス供給系36とが設けられている。
【0018】
処理炉12は、処理室22内にガスを導入する三つのノズル40a,40b,40cを備え、これらノズル40a,40b,40cは、それぞれ、マニホールド18の側壁を貫通するようにして設けられている。ノズル40a,40b,40cは、それぞれ、例えば石英やSiC等の耐熱性材料で構成される。
ノズル40aには、ガス供給管42a及び不活性ガス供給管52aが接続されている。
ノズル40bには、クリーニングガス供給管62b及び不活性ガス供給管52bが接続されている。
ノズル40cには、ガス供給管42c、不活性ガス供給管52c、クリーニングガス供給管62a、ガス供給管42d及び不活性ガス供給管52dが接続されている。
【0019】
このように、処理炉12は、三つのノズル(ノズル40a,40b,40c)と、三つのガス供給管(ガス供給管42a,42c,42d)と、四つの不活性ガス供給管(不活性ガス供給管52a,52b,52c,52d)と、二つのクリーニングガス供給管(クリーニングガス供給管62a,62b)とを備え、処理室22内には複数種類のガスが供給されるようになっている。
【0020】
「原料ガス供給系」(第一のガス供給系)
ガス供給管42aには、処理室22側を下流として上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)44aと開閉弁であるバルブ46aとが設けられ、このバルブ46aよりも下流側には、不活性ガス供給管52aが接続されている。ガス供給管42aの先端部に、ノズル40aが接続されている。
不活性ガス供給管52aには上流方向から順に、MFC54aとバルブ56aとが設けられている。
【0021】
ノズル40aは、反応管16の内壁と処理室22内に収容されたウエハ24との間における円環状の空間に配設され、マニホールド18からこの反応管16内までウエハ24の積載方向に対して立ち上がるように設けられている。ノズル40aは、ウエハ24が配列されるウエハ配列領域の側方であって、このウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に沿うようにして設けられている。
ノズル40aはL字型のロングノズルとして構成されている。ノズル40aは、その水平部がマニホールド18の側壁を貫通するように設けられており、その垂直部が少なくともウエハ配列領域の一端側から他端側に向かって立ち上がるように設けられている。
【0022】
ノズル40aの側面には、ガスを供給するガス供給孔48aが設けられている。ガス供給孔48aは反応管16の中心側に向いており、処理室22内に収容されたウエハ24に向けてガスを供給するようになっている。
ガス供給孔48aは、反応管16の下部から上部にわたって同様のピッチで複数設けられ、それぞれが同一の開口面積となっている。
【0023】
主に、ガス供給管42a、MFC44a及びバルブ46aにより第一のガス供給系32が構成される。ノズル40aは、第一のガス供給系32の一部としても機能する。
また、主に、不活性ガス供給管52a、MFC54a及びバルブ56aにより不活性ガス供給系が構成される。不活性ガス供給系は、パージガス供給系としても機能する。
【0024】
ガス供給管42aからは、所定元素とハロゲン元素とを含む原料ガスが供給される。所定元素としてのシリコン(Si)とハロゲン元素としての塩素(Cl)とを含む原料ガス(Si及びCl含有ガス)として、例えば、クロロシラン系原料ガスの一種であるヘキサクロロジシラン(Si
2Cl
6、略称:HCDS)ガスが、MFC44a、バルブ46a及びノズル40aを介して、ガス供給管42aから処理室22内に供給される。
このとき、不活性ガス供給管52aから、MFC54a及びバルブ56aを介して、ガス供給管42a内に不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0025】
本実施形態において、第一のガス供給系32は、原料ガス供給系として機能する。
【0026】
クロロシラン系原料ガスとは、気体状態のクロロシラン系原料、例えば、常温常圧下で液体状態であるクロロシラン系原料を気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態であるクロロシラン系原料等のことである。
また、クロロシラン系原料とは、ハロゲン基としてのクロロ基を有するシラン系原料のことであり、少なくともSi及びClを含む原料のことである。ここでいうクロロシラン系原料は、ハロゲン化物の一種ともいえる。
【0027】
本明細書において「原料」という文言は、「液体状態である液体原料」を意味する場合、「気体状態である原料ガス」を意味する場合、又は、その両方を意味する場合がある。
本明細書において「クロロシラン系原料」という文言は、「液体状態であるクロロシラン系原料」を意味する場合、「気体状態であるクロロシラン系原料ガス」を意味する場合、又は、その両方を意味する場合がある。
HCDSのように常温常圧下で液体状態である液体原料を用いる場合は、液体原料を気化器やバブラ等の気化システムにより気化して、原料ガス(HCDSガス)として供給することとなる。
【0028】
「反応ガス供給系」(第二のガス供給系)
ガス供給管42cには、上流方向から順に、MFC44cとバルブ46cとが設けられ、このバルブ46cよりも下流側には、不活性ガス供給管52cが接続されている。不活性ガス供給管52cには、上流方向から順に、MFC54cとバルブ56cとが設けられている。
ガス供給管42cの先端部にノズル40cが接続されている。
【0029】
ノズル40cは、反応管16の内壁の下部から上部に沿ってウエハ24の積載方向に対して立ち上がるように設けられている。ノズル40cは、ウエハ24が配列されるウエハ配列領域の側方であって、このウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に沿うようにして設けられている。
ノズル40cはL字型のロングノズルとして構成されている。ノズル40cは、その水平部がマニホールド18の側壁を貫通するように設けられ、その垂直部が少なくともウエハ配列領域の一端側から他端側に向かって立ち上がるように設けられている。
【0030】
ノズル40cの側面には、ガスを供給するガス供給孔48cが設けられている。ガス供給孔48cは反応室16の中心側に向いており、処理室22内に収容されたウエハ24に向けてガスを供給するようになっている。
【0031】
ガス供給孔48cは、反応管16の下部から上部にわたって複数設けられている。
【0032】
ガス供給管42cのバルブ46c及び不活性ガス供給管52cのバルブ56cよりも下流側には、ガス供給管42dが接続されている。
ガス供給管42dには、上流方向から順に、MFC44dとバルブ46dとが設けられ、このバルブ46dよりも下流側には不活性ガス供給管52dが接続されている。不活性ガス供給管52dには、上流方向から順に、MFC54dとバルブ56dとが設けられている。
【0033】
主に、ノズル40c、ガス供給管42c,42d、MFC44c,44d、バルブ46c,46dにより第二のガス供給系34が構成される。
主に、不活性ガス供給管52c,52d、MFC54c,54d、バルブ56c,56dにより不活性ガス供給系が構成される。不活性ガス供給系はパージガス供給系としても機能する。
【0034】
ガス供給管42cからは、反応ガスとして酸化性ガス(酸化ガス)である酸素を含むガス(酸素含有ガス)が供給される。酸化含有ガスとして、例えば、酸素(O
2)ガスが、MFC44c、バルブ46c、ガス供給管42c及びノズル40cを介して処理室22内に供給される。
このとき、不活性ガス供給管52cから、MFC54c及びバルブ56cを介して、ガス供給管42c内に不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0035】
ガス供給管42dからは、反応ガスとして還元性ガス(還元ガス)である水素を含むガス(水素含有ガス)が供給される。水素含有ガスとして、例えば、水素(H
2)ガスが、MFC44d、バルブ46d、ガス供給管42d及びノズル40cを介して処理室22内に供給される。
このとき、不活性ガス供給管52dから、不活性ガスが、MFC54d、バルブ56dを介してガス供給管42d内に供給されるようにしてもよい。
【0036】
本実施形態において、第二のガス供給系34は、反応ガス供給系として機能する。
【0037】
「クリーニングガス供給系」(第三のガス供給系)
クリーニングガス供給管62aは、ガス供給管42cに接続されている。クリーニングガス供給管62aには、上流方向から順に、MFC64aとバルブ66aとが設けられている。クリーニングガス供給管62aの先端部に、ガス供給管42cを介してノズル40cが接続されている。
クリーニングガス供給管62bには、上流方向から順に、MFC64bとバルブ66bとが設けられ、このバルブ66bよりも下流側には、不活性ガス供給管52bが接続されている。不活性ガス供給管52bには、上流方向から順に、MFC54bとバルブ56bとが設けられている。クリーニングガス供給管62bの先端部にノズル40bが接続されている。
ノズル40bは、平面視において、処理室20内に収容されたボート28すなわちウエハ24を挟むようにして排気管90(後述する)と対向するように配置されている(
図3参照)。なお、
図1においては、ノズル40a,40b,40c、排気管90等の位置は図示の関係上、便宜的なものとなっている。
【0038】
ノズル40bは、L字型のショートノズルとして構成されている。ノズル40bは、その水平部がマニホールド18の側壁を貫通するように設けられ、その垂直部がマニホールド18の内壁に沿って立ち上がるようにして設けられている。
【0039】
ノズル40bの先端にはガスを供給するガス供給孔48bが設けられており、このガス供給孔48bは上方に向かって開口する(マニホールド18側から反応管16側に向かう方向に開口する)ように構成されている。ノズル40bは、ノズル40aがガスを供給する位置よりもマニホールド18側にガスを供給するようになっている。また、ノズル40bは、マニホールド18の内壁面に向けてガスを供給することが可能となっている。
【0040】
主に、ノズル40c、クリーニングガス供給管62a、MFC64a、バルブ66aにより第1クリーニングガス供給系が構成される。
また、主に、ノズル40b、クリーニングガス供給管62b、MFC64b及びバルブ66bにより第2クリーニングガス供給系が構成される。
また、不活性ガス供給管52b、MFC54b及びバルブ56bにより不活性ガス供給系が構成される。不活性ガス供給系はパージガス供給系としても機能する。
この第1クリーニングガス供給系及び第2クリーニングガス供給系によりクリーニングガス供給系としての第三のガス供給系36が構成される。
【0041】
本実施形態においては、クリーニングガス供給管62aからはクリーニングガスが供給される。クリーニングガスとして、例えばフッ素を含むガス(フッ素含有ガス)であるフッ化水素(HF)ガスが、MFC64a、バルブ66a、ガス供給管42c及びノズル40cを介して、クリーニングガス供給管62aから処理室22内に(主に、反応管16内壁に対して)供給される。このとき、不活性ガス供給管52c,52dから不活性ガスが、MFC54c,54d、バルブ56c,56d、ガス供給管42c及びノズル40cを介して処理室22内に供給されるようにしてもよい。
【0042】
同様に、クリーニングガス供給管62bからは、クリーニングガスが供給される。クリーニングガスとして、例えばフッ素を含むガス(フッ素含有ガス)であるフッ化水素(HF)ガスが、MFC64b、バルブ66b及びノズル40bを介して、クリーニングガス供給管62bから処理室22内に(主に、マニホールド18内壁に対して)供給される。このとき、不活性ガス供給管52bから、不活性ガスが、MFC54b、バルブ56bを介してクリーニングガス供給管62b内に供給されるようにしてもよい。
【0043】
本実施形態において、第三のガス供給系36は、クリーニングガス供給系として機能する。
【0044】
本実施形態においては、反応管16の内壁と積載された複数枚のウエハ24の端部とで構成される円環状の縦長の空間内、すなわち、円筒状の空間内に配置したノズル40a及びノズル40cを経由してガスを搬送し、これらのガス供給孔48a及びガス供給孔48cを介することで、ウエハ24の近傍で反応管16内にガスを供給するようになっている。反応管16内におけるガスの流れは、主にウエハ24の表面と平行な方向(水平方向)となる。
このため、処理室22内に収容されたウエハ24のそれぞれに対して、ガスが均一に供給され、ウエハ24に均一な膜厚の薄膜が形成される。ウエハ24の表面上を流れたガス(反応後の残ガス)は、排気管90の方向に向かって流れる。残ガスの流れる方向は、垂直方向に限らず、排気口の位置によって適宜設定することができる。
【0045】
「排気系」
反応管16には、処理室22内の雰囲気を排気する排気管90が設けられている。
排気管90には、処理室22内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ92及び圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ94を介して、真空排気装置としての真空ポンプ96が接続されている。
APCバルブ94は、真空ポンプ96を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室22内の真空排気及び真空排気停止を行う。また、APCバルブは、真空ポンプ96を作動させた状態で弁の開度を調節することで、処理室22内の圧力を調整する。
【0046】
主に、排気管90、圧力センサ92及びAPCバルブ94により排気系が構成される。真空ポンプ96を排気系に含めて考えてもよい。排気系は、真空ポンプ96を作動させつつ、圧力センサ92により検出された圧力情報に基づいてAPCバルブ94の弁の開度を調節することにより、処理室22内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気する。
排気管90は、反応管16に設けるようにすることに限らず、ノズル40aやノズル40b等と同様にマニホールド18に設けるようにしてもよい。
【0047】
「開閉機構及び昇降機構」
マニホールド18の下方には、このマニホールド18の下端開口を気密に閉塞する第1の炉口蓋体としてのシールキャップ100が設けられている。
シールキャップ100は、マニホールド18の下端に垂直方向下側から当接するように構成されている。シールキャップ100は、例えばステンレス等の金属で構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ100の上面には、マニホールド18の下端と当接するシール部材としてのOリング20bが設けられている。
【0048】
シールキャップ100の処理室22と反対側(
図1において下側)には、ボート28を回転させる回転機構102が設置されている。
回転機構102の回転軸104は、例えばステンレス等の金属で構成され、シールキャップ100を貫通してボート28に接続されている。回転機構102は、ボート28を回転させることでこのボート28に保持されたウエハ24を回転させる。
【0049】
反応管16の外部には、昇降機構としてのボートエレベータ106が垂直に設置されており、このボートエレベータ106はシールキャップ100を垂直方向に昇降させるように構成されている。ボートエレベータ106はシールキャップ100を昇降させることで、このシールキャップ100に載置されたボート28を処理室22内外に搬入及び搬出する。
ボートエレベータ106は、ボート28(及びこれに保持されたウエハ24)を、処理室22内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として機能する。
【0050】
マニホールド18の下方には、このマニホールド18の下端開口を気密に閉塞する第2の炉口蓋体としてのシャッタ110が設けられている。シャッタ110は円盤状に形成され、ステンレス等の金属で構成される。シャッタ110の上面には、マニホールド18の下端と当接するシール部材としてのOリング20cが設けられている。
シャッタ110は、シールキャップ100が降下してマニホールド18の下端開口を開いた状態とする場合にこの下端開口を閉じ、このシールキャップ100が上昇してマニホールド18の下端開口を閉じた状態とする場合にこの下端開口から退避するようになっている。シャッタ110は、反応管16の外部に設置されたシャッタ開閉機構112によって、開閉動作(昇降動作や回動動作等)をするよう制御される。
【0051】
反応管16内には、温度検出器としての温度センサ114が設置されている(
図3参照)。温度センサ114により検出された温度情報に基いてヒータ14への通電具合を調整することで、処理室22内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ114は、ノズル40a及びノズル40cと同様にL字型に構成されており、反応管16の内壁に沿って設けられている。
【0052】
制御部(制御手段)であるコントローラ200は、CPU(Central Processing Unit)202と、RAM(Random Access Memory)204と、記憶装置206と、I/Oポート208とを備えたコンピュータとして構成されている。
RAM204、記憶装置206及びI/Oポート208は、内部バス210を介して、CPU202とデータ交換するように構成されている。
コントローラ200には、例えばタッチパネル等の入出力装置212が接続されている。
【0053】
記憶装置206は、例えばフラッシュメモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。記憶装置206内には、基板処理装置10の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理(成膜処理)の手順や条件等が記載されたプロセスレシピや、後述するクリーニング処理の手順や条件等が記載されたクリーニングレシピ等が、読み出し自在に格納されている。
【0054】
プロセスレシピは、基板処理工程における各手順をコントローラ200に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。また、クリーニングレシピは、後述するクリーニング工程における各手順を、コントローラ200に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピやクリーニングレシピや制御プログラム等を総称して、単に「プログラム」ともいう。
本明細書において、「プログラム」という文言は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、クリーニングレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、又は、プロセスレシピ、クリーニングレシピおよび制御プログラムのうち任意の組み合わせを含む場合がある。
【0055】
RAM204は、CPU202によって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0056】
I/Oポート208は、MFC44a,44c,44d,54a,54b,54c,54d,64a,64b、バルブ46a,46c,46d,56a,56b,56c,56d,66a,66b、圧力センサ92、APCバルブ94、真空ポンプ96、ヒータ14、温度センサ114、回転機構102、ボートエレベータ106、シャッタ開閉機構112等に接続されている。
【0057】
CPU202は、記憶装置206から制御プログラムを読み出して実行するとともに、入出力装置212からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置206からプロセスレシピやクリーニングレシピを読み出す。
CPU202は、読み出したプロセスレシピやクリーニングレシピの内容に沿うように、MFC44a,44c,44d,54a,54b,54c,54d,64a,64bによる各種ガスの流量調整動作や、バルブ46a,46c,46d,56a,56b,56c,56d,66a,66bの開閉動作、APCバルブ94の開閉動作及び圧力センサ92に基づくAPCバルブ94による圧力調整動作、温度センサ114に基づくヒータ14の温度調整動作、真空ポンプ96の起動及び停止、回転機構102によるボート28の回転及び回転速度調節動作、ボートエレベータ106によるボート28の昇降動作、シャッタ開閉機構112によるシャッタ110の開閉動作等を制御するように構成されている。
【0058】
コントローラ200は、専用のコンピュータとして構成することに限らず、汎用のコンピュータとして構成してもよい。例えば、プログラムを格納した外部記憶装置220を用意し、この外部記憶装置220を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ200を構成するようにしてもよい。
外部記憶装置220としては、例えば、磁気テープや、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ等を用いることができる。
【0059】
コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置220を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置220を介さずにコンピュータにプログラムを供給するようにしてもよい。
【0060】
記憶装置206や外部記憶装置220は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に、「記録媒体」ともいう。
本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置206単体のみを含む場合、外部記憶装置220単体のみを含む場合、又は、その両方を含む場合がある。
【0061】
(2)基板処理工程
次に、基板処理装置10の処理炉12を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板としてのウエハ24上に薄膜を形成する処理を実施した後、処理室22内をクリーニングする方法について説明する。
基板処理装置10を構成する各部の動作は、コントローラ200により制御される。
【0062】
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。
【0063】
従って、本明細書において「ウエハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等に対して、すなわち、積層体としてのウエハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合がある。また、本明細書において「ウエハ上に所定の層(又は膜)を形成する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)上に所定の層(又は膜)を直接形成する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としてのウエハの最表面の上に所定の層(又は膜)を形成する」ことを意味する場合がある。
【0064】
本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同様であり、その場合、上記説明において、「ウエハ」を「基板」に置き換えて考えればよい。
【0065】
以下、原料ガスとしてHCDSガスを用い、反応ガスとしてO
2ガス及びH
2ガスを用い、ウエハ24上にシリコン酸化膜(SiO
2膜、以下「SiO膜」ともいう)を形成した後、クリーニングガスとしてHFガスを用いて処理室22内をクリーニングする例について、
図5、
図6、
図7を参照しつつ説明する。
【0066】
<ウエハチャージ及びボートロード>
まず、複数枚のウエハ24をボート28に装填(ウエハチャージ)する。ウエハ24がボート28に装填されると、シャッタ開閉機構112によりシャッタ110が移動させられて、マニホールド18の下端開口が開放される(シャッタオープン)。複数枚のウエハ24を保持したボート28はボートエレベータ106によって持ち上げられて、処理室22内に搬入(ボートロード)される。シールキャップ100は、Oリング20bを介してマニホールド18の下端をシールした状態となる。
【0067】
<圧力調整及び温度調整>
次いで、処理室22内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ96によって真空排気される。この際、処理室22内の圧力が圧力センサ92で測定され、この測定された圧力情報に基づいてAPCバルブ94がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ96は、少なくともウエハ24に対する処理が完了するまでの間は常時作動した状態を維持する。
【0068】
処理室22内が所望の温度となるようにヒータ14によって加熱される。この際、処理室22内が所望の温度分布となるように温度センサ114が検出した温度情報に基づいてヒータ14への通電具合がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ14による処理室22内の加熱は、少なくともウエハ24に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0069】
続いて、回転機構102によりボート28及びウエハ24を回転させる。回転機構102によるボート28及びウエハ24の回転は、少なくともウエハ24に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0070】
<シリコン酸化膜の形成工程>
その後、
図5、
図6に示すように、以下の「ステップ1」〜「ステップ4」を1サイクルとしてこのサイクルを所定回数行うことにより、ウエハ24上に、所定膜厚のSiO膜を成膜する。
【0071】
(ステップ1)
「ステップ1」において、処理室20内に収容されたウエハ24に対して原料ガス(HCDSガス)を供給し、このウエハ24上に層(シリコン含有層)を形成する。
【0072】
まず、ガス供給管42aのバルブ46aを開き、ガス供給管42a内にHCDSガスを流す。HCDSガスは、ガス供給管42aから流れ、MFC44aにより流量調整される。流量調整されたHCDSガスは、ノズル40aのガス供給孔48aから、加熱された減圧状態の処理室22内のウエハ24に向けて供給され、排気管90から排気される。このようにして、ウエハ24に対してHCDSガスが供給される(HCDSガス供給)。
【0073】
このとき、不活性ガス供給管52aのバルブ56aを開き、不活性ガス供給管52aから不活性ガスとしてN
2ガスを供給するようにしてもよい。N
2ガスは、MFC54aにより流量調整されて、ガス供給管42a内に供給される。流量調整されたN
2ガスは、流量調整されたHCDSガスとガス供給管42a内で混合され、ノズル40aのガス供給孔48aから、加熱された減圧状態の処理室22内に供給され、排気管90から排気される。
【0074】
ノズル40b,40c内へのHCDSガスの侵入を防止するため、バルブ56b,56c,56dを開き、不活性ガス供給管52b,52c,52d内にN
2ガスを流すようにする。N
2ガスは、クリーニングガス供給管62b、ガス供給管42c、ガス供給管42d、ノズル40b及びノズル40cを介して処理室22内に供給され、排気管90から排気される。
【0075】
この際、APCバルブ94を調整して、処理室22内の圧力を、例えば1〜13300Pa、好ましくは10〜1330Paの範囲内の圧力とする。
MFC44aで制御するHCDSガスの供給流量は、例えば1〜1000sccmの範囲内の流量とする。
MFC54a,54b,54c,54dで制御するN
2ガスの供給流量はそれぞれ、例えば100〜2000sccmの範囲内の流量とする。
HCDSガスをウエハ24に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜120秒の範囲内の時間とする。
【0076】
ヒータ14の温度は、ウエハ24の温度が、例えば350〜800℃、好ましくは450〜800℃、より好ましくは550〜750℃の範囲内の温度となるように設定する。
【0077】
ウエハ24の温度が350℃未満となると、ウエハ24上においてHCDSが分解・吸着しにくくなり、実用的な成膜速度が得られなくなることがある。ウエハ24の温度を350℃以上とすることで、これが解消され、十分な成膜速度が得られるようになる。
ウエハ24の温度を450℃以上とすることで、「ステップ3」(後述)における酸化力向上の効果が顕著となる。
ウエハ24の温度を550℃以上とすることで、HCDSが十分に分解される。
【0078】
ウエハ24の温度が750℃、特に800℃を超えるとCVD反応が強くなる(気相反応が支配的になる)ことで、膜厚均一性が悪化しやすくなり、その制御が困難となる場合がある。ウエハ24の温度を800℃以下とすることで、膜厚均一性の悪化が抑制され、その制御がより容易となる。
特に、ウエハ24の温度を750℃以下とすることで、膜厚均一性を確保しやすくなり、その制御が容易となる。
【0079】
上述の条件下でウエハ24に対してHCDSガスを供給することにより、ウエハ24(表面の下地膜)上に、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚さのシリコン含有層(Si含有層)が形成される。Si含有層はHCDSガスの吸着層であってもよいし、シリコン層(Si層)であってもよいし、その両方を含んでいてもよい。
Si含有層は、シリコン(Si)及び塩素(Cl)を含む層であることが好ましい。
【0080】
Si層とは、Siにより構成される連続的な層の他、不連続な層や、これらが重なって形成されるSi薄膜をも含む総称である。Siにより構成される連続的な層をSi薄膜という場合もある。Si層を構成するSiは、Clとの結合が完全に切れていないものも含む。
【0081】
HCDSガスの吸着層は、HCDSガスのガス分子の連続的な化学吸着層の他、不連続な化学吸着層をも含む。すなわち、HCDSガスの吸着層は、HCDS分子で構成される1分子層又は1分子層未満の厚さの化学吸着層を含む。
HCDSガスの吸着層を構成するHCDS(Si
2Cl
6)分子は、SiとClとの結合が一部切れたものも含む。
【0082】
「1原子層未満の厚さの層」とは不連続に形成される原子層のことを意味しており、「1原子層の厚さの層」とは連続的に形成される原子層のことを意味している。「1分子層未満の厚さの層」とは不連続に形成される分子層のことを意味しており、「1分子層の厚さの層」とは連続的に形成される分子層のことを意味している。
【0083】
HCDSガスが自己分解(熱分解)する条件下、すなわち、HCDSの熱分解反応が生じる条件下では、ウエハ24上にSiが堆積することでSi層が形成される。
HCDSガスが自己分解(熱分解)しない条件下、すなわち、HCDSの熱分解反応が生じない条件下では、ウエハ24上にHCDSガスが吸着することでHCDSガスの吸着層が形成される。
ウエハ24上にHCDSガスの吸着層を形成するよりも、ウエハ24上にSi層を形成する方が、成膜レートが高くなるため好ましい。
【0084】
ウエハ24上に形成されるSi含有層の厚さが数原子層を超えると、「ステップ3」での酸化(改質)の作用がSi含有層の全体に届かなくなる。また、ウエハ24上に形成可能なSi含有層の厚さの最小値は1原子層未満である。このため、Si含有層の厚さは1原子層未満から数原子層程度とするのが好ましい。
【0085】
Si含有層の厚さを1原子層以下、すなわち、1原子層又は1原子層未満とすることで、「ステップ3」での酸化反応(改質反応)の作用が相対的に高まり、「ステップ3」での酸化反応に要する時間が短縮される。さらには、「ステップ1」におけるSi含有層形成に要する時間が短縮される。これにより、1サイクル当たりの処理時間が短縮され、トータルでの処理時間が短縮される。すなわち、成膜レートが高くなる。
また、Si含有層の厚さを1原子層以下とすることで、膜厚均一性の制御性が高まる。
【0086】
処理室22内に供給されたHCDSガスは、ウエハ24に対して供給されるだけでなく、処理室22内の部材の表面(反応管16の内壁や、マニホールド18の内壁、処理室22内に設けられたボート28等の部材の表面)に対しても供給される。このため、Si含有層は、ウエハ24上だけでなく、処理室22内の部材の表面にも形成されることとなる。
処理室22内の部材の表面に形成されるSi含有層も、ウエハ24上に形成されるSi含有層と同様に、HCDSガスの吸着層を含む場合や、Si層を含む場合や、その両方を含む場合がある。
【0087】
原料ガス(シリコン及び塩素含有ガス)としては、HCDSガスの他、テトラクロロシラン(シリコンテトラクロライド、SiCl
4、略称:STC)ガス、トリクロロシラン(SiHCl
3、略称:TCS)ガス、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2、略称:DCS)ガス、モノクロロシラン(SiH
3Cl、略称:MCS)ガスを用いてもよい。
不活性ガスとしては、N
2ガスの他、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)等の希ガスを用いてもよい。
【0088】
(ステップ2)
ウエハ24上にSi含有層が形成された後、ガス供給管42aのバルブ46aを閉じ、HCDSガスの供給を停止する。排気管90のAPCバルブ94は開いたままとして、真空ポンプ96により処理室22内を真空排気し、処理室22内に残留するガス(未反応のHCDSガス及び/又はSi含有層形成に寄与した後のHCDSガス)を処理室22内から排除する(残留ガス除去)。
【0089】
バルブ56a,56b,56c,56dは開いたままにして、N
2ガスの処理室22内への供給を維持する。N
2ガスはパージガスとして作用し、処理室22内の残留ガスを処理室22内から排除する効果が高まる。
「ステップ1」において処理室22内の部材に吸着したHCDSガスは、処理室22内を真空排気することでは完全に除去されず、少なくとも一部が、処理室22内の部材の表面に吸着したまま残留する。
【0090】
このとき、処理室22内に残留するガスは完全に排除しなくてもよく、処理室22内を完全にパージしなくてもよい。処理室22内に残留するガスが微量であれば、その後に行われる「ステップ3」において実質的な影響は生じない。
処理室22内に供給するN
2ガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、処理容器(処理室22)の容積と同程度の量を供給することで、「ステップ3」において実質的に影響が生じない程度のパージを行うことができる。
このように、処理室22内を完全にパージしない(ある程度パージした段階で次の工程に進むようにする)ことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。また、N
2ガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0091】
ヒータ14の温度は、ウエハ24の温度が、HCDSガスの供給時と同じく、例えば350〜800℃、好ましくは450〜800℃、より好ましくは550〜750℃の範囲内の温度となるように設定する。
各不活性ガス供給系から供給するパージガスとしてのN
2ガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜2000sccmの範囲内の流量とする。
パージガスとしては、N
2ガスの他、Ar,He,Ne,Xe等の希ガスを用いてもよい。
【0092】
(ステップ3)
「ステップ3」において、大気圧未満の圧力下にある処理室20内の加熱されたウエハ24に対して反応ガスとしてO
2ガスとH
2ガスとを供給し、「ステップ1」において形成された層(Si含有層)を酸化して酸化層に改質する。
【0093】
処理室22内の残留ガスを除去した後、ガス供給管42cのバルブ46cを開き、ガス供給管42c内にO
2ガスを流す。O
2ガスはガス供給管42cから流れ、MFC44cにより流量調整される。流量調整されたO
2ガスは、ノズル40cのガス供給孔48cから加熱された減圧状態の処理室22内に供給される。
【0094】
ガス供給管42dのバルブ46dを開き、ガス供給管42d内にH
2ガスを流す。H
2ガスはガス供給管42dから流れ、MFC44dにより流量調整される。流量調整されたH
2ガスは、ガス供給管42cを経由して、ノズル40cのガス供給孔48cから加熱された減圧状態の処理室22内に供給される。
【0095】
H
2ガスは、ガス供給管42cを経由する際に、このガス供給管42c内でO
2ガスと混合される。ノズル40cのガス供給孔48cからは、O
2ガスとH
2ガスとの混合ガスが加熱された減圧状態の処理室22内のウエハ24に向けて供給され、その後、排気管90から排気される。
このようにして、ウエハ24に対してO
2ガスとH
2ガスとが供給される(O
2ガス+H
2ガス供給)。
【0096】
このとき、不活性ガス供給管52cのバルブ56cを開き、不活性ガス供給管52cからN
2ガスを供給するようにしてもよい。N
2ガスはMFC54cにより流量調整されて、ガス供給管42c内に供給される。
また、不活性ガス供給管52dのバルブ56dを開き、不活性ガス供給管52dから不活性ガスとしてN
2ガスを供給するようにしてもよい。N
2ガスはMFC54dにより流量調整されて、ガス供給管42c内に供給される。
この場合、ノズル40cからは、O
2ガス、H
2ガス及びN
2ガスの混合ガスが供給されることとなる。
不活性ガスとしては、N
2ガスの他、Ar,He,Ne,Xe等の希ガスを用いてもよい。
【0097】
ノズル40a,40b内へのO
2ガスとH
2ガスとの侵入を防止するため、バルブ56a,56bを開き、不活性ガス供給管52a,52b内にN
2ガスを流すようにする。N
2ガスは、ガス供給管42a及びノズル40a、クリーニングガス供給管62b及びノズル40bを介して処理室22内に供給され、排気管90から排気される。
【0098】
APCバルブ94を調整して、処理室22内の圧力を、大気圧未満、例えば1〜1000Paの範囲内の圧力に維持する。
MFC44cで制御するO
2ガスの供給流量は、例えば1000〜10000sccmの範囲内の流量とする。MFC44dで制御するH
2ガスの供給流量は、例えば1000〜10000sccmの範囲内の流量とする。MFC54a,54b,54c,54dで制御するN
2ガスの供給流量はそれぞれ、例えば100〜2000sccmの範囲内の流量とする。
O
2ガス及びH
2ガスをウエハ24に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜120秒の範囲内の時間とする。
【0099】
ヒータ14の温度は、ウエハ24の温度が、「ステップ1」のHCDSガスの供給時と同様な温度帯であって、後述する酸化力向上の効果が顕著となる温度帯、例えば450〜800℃、好ましくは550〜750℃の範囲内の温度となるように設定する。
この範囲内の温度であれば減圧雰囲気下でのO
2ガスへのH
2ガス添加による酸化力向上の効果が顕著となる。また、ウエハ24の温度が低すぎると酸化力向上効果が得られにくい。
【0100】
スループットを考慮すると、「ステップ1」〜「ステップ3」で処理室22内の温度を同様な温度帯に保持するようにヒータ14の温度を設定するのが好ましい。
「ステップ1」〜「ステップ4」にかけて処理室22内の温度を同様な温度帯に保持するようにヒータ14の温度を設定するのがより好ましい。この場合、「ステップ1」〜「ステップ4」にかけて処理室22内の温度が例えば450〜800℃、好ましくは550〜750℃の範囲内で一定となるようにヒータ14の温度を設定する。
【0101】
上述の条件下でO
2ガス及びH
2ガスを処理室22内に供給することで、O
2ガス及びH
2ガスは、加熱された減圧雰囲気下においてノンプラズマで熱的に活性化(励起)されて反応し、これにより原子状酸素(O)等の酸素を含む水分(H
2O)非含有の酸化種が生成
される。そして、主にこの酸化種により、「ステップ1」でウエハ24上に形成されたSi含有層に対して酸化処理が行われる。
この酸化種の持つエネルギーは、Si含有層中に含まれるSi−N、Si−Cl、Si−H、Si−Cの結合エネルギーよりも高いため、この酸化種のエネルギーをSi含有層に与えることで、Si含有層中に含まれるSi−N、Si−Cl、Si−H、Si−C結合は切り離される。Siとの結合を切り離されたN、H、Cl、Cは膜中から除去され、N
2、H
2、Cl
2、HCl、CO
2等として排出される。また、N、H、Cl、Cとの結合が切られることで余ったSiの結合手は、酸化種に含まれるOと結びつきSi−O結合が形成される。
このようにして、Si含有層は、Cl等の不純物の含有量が少ないシリコン酸化層(SiO
2層、以下、単にSiO層ともいう。)へと変化させられる(改質される)。
【0102】
この酸化処理によれば、O
2ガスを単独で供給する場合や水蒸気(H
2O)を供給する場合に比べ、酸化力を大幅に向上させることができる。減圧雰囲気下においてO
2ガスにH
2ガスを添加することで、O
2ガス単独供給の場合やH
2Oガスを供給する場合に比べ大幅な酸化力向上効果が得られる。
【0103】
処理室22内で生成される酸化種は、ウエハ24に対して供給されるだけでなく、処理室22内の部材の表面にも供給されることとなる。その結果、処理室22内の部材の表面に形成されたSi含有層の一部は、ウエハ24上に形成されたSi含有層と同様に、SiO層へと変化させられる(改質される)。
【0104】
「ステップ3」では、O
2ガスとH
2ガスのうち少なくともいずれか一方又は両方をプラズマで活性化させて流すこともできる。O
2ガス及び/又はH
2ガスをプラズマで活性化させて流すことで、よりエネルギーの高い活性種を含む酸化種を生成することができ、この酸化種により酸化処理を行うことで、デバイス特性が向上する等の効果も考えられる。
【0105】
上述の温度帯では、O
2ガスとH
2ガスとは熱で活性化されて十分に反応し、十分な量の原子状酸素(O)等のH
2O非含有の酸化種が生成される。このため、O
2ガスとH
2ガスとをノンプラズマで熱的に活性化させても十分な酸化力が得られる。
O
2ガスとH
2ガスは熱で活性化させて供給した方が、プラズマダメージを与えることなく比較的ソフトな反応を生じさせることができ、上述の酸化処理を比較的ソフトに行うことができる。
【0106】
酸素含有ガス、すなわち、酸化性ガスとしては、O
2ガスの他、オゾン(O
3)ガス等を用いてもよい。
上述の温度帯において、一酸化窒素(NO)ガスや亜酸化窒素(N
2O)ガスへの水素含有ガス添加効果を試したところ、NOガス単独供給やN
2Oガス単独供給に比べて酸化力向上の効果が得られないことが確認された。酸素含有ガスとしてはN非含有の酸素含有ガス(Nを含まずOを含むガス)を用いるのが好ましい。
【0107】
水素含有ガス、すなわち、還元性ガスとしては、H
2ガスの他、重水素(D
2)ガス等を用いてもよい。
アンモニア(NH
3)ガスやメタン(CH
4)ガス等を用いると、窒素(N)不純物や炭素(C)不純物の膜中への混入が考えられる。水素含有ガスとしては、他元素非含有の水素含有ガス(他元素を含まず水素または重水素を含むガス)を用いるのが好ましい。
【0108】
酸素含有ガスとしては、O
2ガス及びO
3ガスよりなる群から選択される少なくとも一つのガスを用いることができ、水素含有ガスとしては、H
2ガス及びD
2ガスよりなる群から選択される少なくとも一つのガスを用いることができる。
【0109】
(ステップ4)
Si含有層をSiO酸化層へと変化させた後、ガス供給管42cのバルブ46cを閉じ、O
2ガスの供給を停止する。また、ガス供給管42dのバルブ46dを閉じ、H
2ガスの供給を停止する。
排気管90のAPCバルブ94は開いたままとし、真空ポンプ96により処理室22内を真空排気し、残留したO
2ガス、H
2ガス、反応副生成物等を処理室22内から排除する(残留ガス除去)。バルブ56a,56b,56c,56dは開いたままとして、不活性ガスとしてのN
2ガスの処理室22内への供給を維持する。
N
2ガスはパージガスとして作用し、処理室22内に残留する未反応又はSiO層形成に寄与した後のO
2ガス、H
2ガス、反応副生成物等を処理室22内から排除する効果をさらに高める。
【0110】
このとき、処理室22内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室22内を完全にパージしなくてもよい。処理室22内に残留するガスが微量であれば、その後に行われる「ステップ1」において実質的な影響は生じない。
処理室22内に供給するN
2ガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管16(処理室22)の容積と同程度の量を供給することで、「ステップ1」において実質的に影響が生じない程度のパージを行うことができる。
このように、処理室22内を完全にパージしない(ある程度パージした段階で次の工程に進むようにする)ことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。また、N
2ガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0111】
ヒータ14の温度は、ウエハ24の温度が、O
2ガス及びH
2ガスの供給時と同じく、例えば450〜800℃、好ましくは550〜750℃の範囲内の温度となるように設定する。
各不活性ガス供給系から供給するパージガスとしてのN
2ガスの供給流量はそれぞれ、例えば100〜2000sccmの範囲内の流量とする。
パージガスとしては、N
2ガスの他、Ar,He,Ne,Xe等の希ガスを用いてもよい。
【0112】
<所定回数実施>
「ステップ1」〜「ステップ4」を1サイクルとして、このサイクルを所定回数(n回)行うことにより、ウエハ24上に所定膜厚のSiO膜が成膜される。
【0113】
<パージ及び大気圧復帰>
所定膜厚のSiO膜を成膜した後、バルブ56a,56b,56c,56dを開き、不活性ガス供給管52a,52b,52c,52dのそれぞれから不活性ガスとしてのN
2ガスを処理室22内へ供給し、排気管90から排気する。N
2ガスはパージガスとして作用し、処理室22内が不活性ガスでパージされ、処理室22内に残留するガスが処理室22内から除去される(パージ)。
その後、処理室22内の雰囲気が不活性ガスに置換され、処理室22内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0114】
<ボートアンロード及びウエハディスチャージ>
ボートエレベータ106によりシールキャップ100が下降されて、マニホールド18の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ24がボート28に保持された状態でマニホールド18の下端から反応管16の外部に搬出(ボートアンロード)される。
ボートアンロードの後、シャッタ開閉機構112によりシャッタ110が移動させられて、マニホールド18の下端開口がOリング20cを介してシャッタ110によりシールされる(シャッタクローズ)。
そして、処理済みのウエハ24、すなわちバッチ処理後のウエハ24をボート28から取り出す(ウエハディスチャージ)。
【0115】
<クリーニング工程>
続いて、処理室22内のクリーニングを行う。SiO膜の形成工程に際して、反応管16及びマニホールド18の内壁やボート28の表面等にも膜が堆積する。この堆積した膜(堆積膜)は、上述のバッチ処理を繰り返し行うことで累積し、徐々に厚くなる。この累積した堆積膜は、その後の処理において剥離してウエハ24に付着する等により、異物の要因となる。このため、以降の処理に備え、堆積膜の厚さが所定の厚さに達した時点で処理室22内から堆積膜を除去する。
【0116】
(ボートロード)
ウエハ24が装填されていない状態のボート28(空のボート28)を、上述のボートロードと同様の手順により処理室22内に搬入する。
【0117】
(圧力調整及び温度調整)
処理室22内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ96によって真空排気される。この際、処理室22内の圧力が圧力センサ92で測定され、この測定された圧力情報に基づいてAPCバルブ94がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ96は、少なくとも処理室22内のクリーニングが完了するまでの間は常時作動した状態を維持する。
【0118】
処理室22内が所望の温度となるようにヒータ14によって加熱される。この際、処理室22内が所望の温度分布となるように温度センサ114が検出した温度情報に基づいてヒータ14への通電具合がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ14による処理室22内の加熱は、少なくとも処理室22内のクリーニングが完了するまでの間は継続して行われる。
【0119】
続いて、回転機構102によりボート28を回転させる。回転機構102によるボート28の回転は、少なくとも処理室22内のクリーニングが完了するまでの間は継続して行われる。なお、ボート28は、回転させなくてもよい。
【0120】
(クリーニングガス供給)「実施例1」
次いで、クリーニングガスを処理室22内に供給する。クリーニングガス供給パターンの実施例1においては、
図7に示すように、まずノズル40cからクリーニングガスを供給した後、ノズル40bからクリーニングガスを供給する。
【0121】
ノズル40cは、ウエハ24上に形成されたSi含有層を改質する反応ガスを供給することに用いられることから、処理室22内に収容されたウエハ24の近傍に向けてガスを供給するようになっている。このため、ノズル40cは、マニホールド18側と比較して、処理室22内のウエハ24を収容する部分(
図1において上方)である反応管16側にガスを供給し易い。したがって、ノズル40cからのガス供給によれば、マニホールド18側と比較して、反応管16側がクリーニングされ易い。
これに対して、ノズル40bは、ノズル40cと比較してマニホールド18側にガスを供給するようになっている。このため、ノズル40bは、反応管16側と比較して、マニホールド18側に、例えばマニホールド18の内壁面に対してガスを供給し易い。したがって、ノズル40bからのガス供給によれば、反応管16側と比較して、マニホールド18側がクリーニングされ易い。
【0122】
ところで、「ステップ1」において処理室22内に供給されるHCDSガスは、ウエハ24に対して供給されるだけでなく、処理室22内の部材の表面にも供給されることとなる。また、「ステップ3」において処理室22内で生成される酸化種は、ウエハ24に対して供給されるだけでなく、処理室22内の部材の表面にも供給されることとなる。その結果、「ステップ1」において処理室22内の部材の表面に形成されたSi含有層の一部は、「ステップ3」において、ウエハ24上に形成されたSi含有層と同様に、SiO層へと変化させられる(改質される)。
ただし、「ステップ3」においては、処理室22内における低温領域(ヒータ14により取り囲まれていない領域であって、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域以外の領域)では、高温領域(ヒータ14により取り囲まれる領域であって、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域)に比べて、原子状酸素(O)等の酸素を含むH
2O非含有の酸化種の供給量が少なくなる。また、「ステップ1」においては、処理室22内における低温領域では、高温領域に比べてHCDSガスの吸着層が厚く形成されやすくなる。その結果、低温領域に形成されたSi含有層は、未反応、又は一部が反応するだけで、酸化不十分のまま残留し易くなる。
具体的には、処理室22内の部材のうち、反応管16内壁の下方部分、マニホールド18の内壁、ノズル40a,40cの下部、シールキャップ100の上面、回転軸104の側面、断熱部材30の側面や底面、排気管90の内壁等に形成されたHCDSガスの吸着層は、未反応、又は一部が反応するだけで、酸化不十分のまま残留し易くなる。
【0123】
また、ボートアンロードを実施すると、処理室22内には、H
2Oを含む外気(大気)がマニホールド18の下方開口部から侵入する。これにより、マニホールド18の内壁、シールキャップ100の上面、回転軸104の側面、断熱部材30の側面や底面等は、H
2Oを含む大気に晒される。
上述したように、処理室22内の部材のうち、反応管16内壁の下方部分、マニホールド18の内壁、ノズル40a,40cの下部、シールキャップ100の上面、回転軸104の側面、断熱部材30の側面や底面、排気管90の内壁等には、HCDSガスの吸着層が厚く形成され、酸化不十分のまま残留していることがある。
この状態でボートアンロードを実施すると、HCDSガスの吸着層が、大気中のH
2Oによって酸化され、Clを含む反応副生成物に変化することがある。そしてこの反応副生成物が堆積してなる膜(堆積膜)は、比較的脆く、剥離し易いため、異物(パーティクル)を発生させ易い。
【0124】
このため、マニホールド18により近い側から低温領域に向けてクリーニングガスを供給するようにすることで、比較的脆く、剥離し易い堆積膜が低温領域に形成されていてもこのような堆積膜がクリーニングされ易くなり、処理室20内から堆積膜が効果的に除去される。
【0125】
このように、ノズル40cとノズル40bとからクリーニングガスを供給することによって、ノズル40cのみを用いてクリーニングガスを供給する場合と比較して(
図7中、比較例1)、処理室22内のクリーニングに要する時間が短縮される。
【0126】
クリーニングガスを供給する工程においては、具体的には、クリーニングガス供給管62aのバルブ66aを開き、クリーニングガス供給管62a内にHFガスを流す。HFガスはクリーニングガス供給管62aから流れ、MFC64aにより流量調整される。流量調整されたHFガスは、ノズル40cのガス供給孔48cから処理室22内に供給され、反応管16及びマニホールド18の内壁やボート28の表面等に接触し、排気管90から排気される。
このとき、不活性ガス供給管52bのバルブ56bを開き、ノズル40bから不活性ガスとしてのN
2ガスを供給する。
ノズル40cから供給されるHFガス及びノズル40bから供給されるN
2ガスにより、
図8(a)に示されているように、主に反応管16の内壁やボート28の表面等の比較的温度の高い領域に対してクリーニングが行われる(高温部クリーニング)。
【0127】
なおこのとき、ノズル40a内へのHFガスの侵入を防止するため、バルブ56aを開き、不活性ガス供給管52a内にN
2ガスを流すようにするのが好ましい。この場合、N
2ガスは、ガス供給管42a、ノズル40aを介して処理室22内に供給され、排気管90から排気されることとなる。
【0128】
予め定められた時間、ノズル40cからHFガスを供給した後、クリーニングガス供給管62aのバルブ66a及び不活性ガス供給管52bのバルブ56bを閉じて、クリーニングガス供給管62aからのHFガスの供給及び不活性ガス供給管52bからのN
2ガスの供給を停止する。次いで、クリーニングガス供給管62bのバルブ66bを開き、クリーニングガス供給管62b内にHFガスを流す。HFガスはクリーニングガス供給管62bから流れ、MFC64bにより流量調整される。流量調整されたHFガスは、ノズル40bのガス供給孔48bから処理室22内に供給され、マニホールド18の内壁やシールキャップ100の上面や回転軸104の側面等に接触し、排気管90から排気される。
このとき、不活性ガス供給管52c,52dのバルブ56c,56dを開き、ノズル40cから不活性ガスとしてのN
2ガスを供給する。
ノズル40bから供給されるHFガス及びノズル40cから供給されるN
2ガスにより、
図8(b)に示されているように、主にマニホールド18の内壁やシールキャップ100の上面や回転軸104の側面等の比較的温度の低い領域に対してクリーニングが行われる(低温部クリーニング)。
予め定められた時間、ノズル40bからHFガスを供給した後、クリーニングガス供給管62bのバルブ66b及び不活性ガス供給管52c,52dのバルブ56c,56dを閉じて、クリーニングガス供給管62bからのHFガスの供給及び不活性ガス供給管52c,52dからのN
2ガスの供給を停止する。
【0129】
なおこのとき、ノズル40a内へのHFガスの侵入を防止するため、バルブ56aを開き、不活性ガス供給管52a内にN
2ガスを流すようにするのが好ましい。この場合、N
2ガスは、ガス供給管42a、ノズル40aを介して処理室22内に供給され、排気管90から排気されることとなる。
【0130】
クリーニングの際、APCバルブ94を調整して、処理室22内の圧力を、例えば133〜50000P
aの範囲内の圧力とする。
MFC64a,64bで制御するHFガスの供給流量はそれぞれ、例えば1〜1000sccmの範囲内の流量とする。
ヒータ14の温度は、処理室22内の温度が、例えば75℃以上100℃未満の範囲内の温度となるように設定するのが好ましい。クリーニングガスとしてHFガスを用いた場合、75℃未満であると、反応管16及びマニホールド18等の表面にこのHFガスが多層吸着することがある。この多層吸着は、腐食反応を引き起こし得る。また、100℃以上であると、金属部材が腐食することがある。
【0131】
クリーニングガスとしては、HFガスを単独で用いる他、HFガスを、N
2ガス、Arガス、Heガス等の不活性ガスで希釈したガスや、HFガスとフッ素(F
2)ガスとの混合ガスや、HFガスとフッ化塩素(ClF
3)ガスとの混合ガスや、あるいは、ClF
3ガス等を用いるようにしもよい。
【0132】
<パージ及び大気圧復帰>
予め定められた時間、HFガスを供給して堆積膜を除去した後、バルブ56a,56b,56c,56dを開き、不活性ガス供給管52a,52b,52c,52dのそれぞれから不活性ガスとしてのN
2ガスを処理室22内へ供給し、排気管90から排気する。N
2ガスはパージガスとして作用し、処理室22内が不活性ガスでパージされ、処理室22内に残留するガスが処理室22内から除去される(パージ)。
その後、処理室22内の雰囲気が不活性ガスに置換され、処理室22内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0133】
<ボートアンロード>
上述したボートアンロードと同様の手順により、ボート28を反応管16の外部に搬出する。そして、シャッタ110によりマニホールド18の下端開口をシールする。
【0134】
上述した実施例1のように、高温部クリーニングと、低温部クリーニングとを、非同時に、すなわち、同期させることなく行う場合において、低温部クリーニングの際に、ノズル40aを介して反応管16内へN
2ガス等の不活性ガスを供給しつつ、ノズル40bを介してマニホールド18の内壁面に向けてHFガスを供給するのが好ましい。このとき、さらに、ノズル40cを介して反応管16内へN
2ガス等の不活性ガスを供給するのが好ましい。
【0135】
このようにすることで、反応管16内へ供給されたN
2ガスにより、ノズル40bを介してマニホールド18の内壁面に向けて供給されたHFガスを上から押さえつけることができる。すなわち、反応管16内へ供給されたN
2ガスにより、ノズル40bを介してマニホールド18の内壁面に向けて供給されたHFガスの反応管16内上方への流れ込みおよび拡散を抑制(ブロック)することができる。これにより、ノズル40bを介して供給されたHFガスをマニホールド18の内壁面等の低温部に積極的に(集中的に)接触させることができ、マニホールド18の内壁面等の低温部に付着した比較的除去しにくい堆積物を効率的に除去することが可能となる。マニホールド18の内壁面等の低温部に付着した堆積物は、反応管16の内壁面等の高温部に付着した堆積物よりも除去しづらいことが確認されており、このN
2ガスによるHFガスの流れおよび拡散の規制により、低温部に付着した比較的除去しにくい堆積物を効率的に除去することが可能となる。
【0136】
なお、高温部クリーニングの際は、低温部クリーニングと逆に、ノズル40bを介してマニホールド18の内へN
2ガス等の不活性ガスを供給しつつ、ノズル40cを介して反応管16内へHFガスを供給するのが好ましい。これにより、反応管16内へ供給されたHFガスを下から押し上げ、HFガスのマニホールド18内への流れ込みおよび拡散を抑制(ブロック)することができ、反応管16の内壁に付着した堆積物を効率的に除去することが可能となる。
【0137】
また、低温部クリーニングの際に、ノズル40bを介して供給するHFガスの供給濃度(ノズル40b内におけるHFガスの濃度)を、高温部クリーニングの際に、ノズル40cを介して供給するHFガスの供給濃度(ノズル40c内におけるHFガスの濃度)よりも高くするのが好ましい。例えば、ノズル40bを介して供給するHFガスの供給濃度を80〜100%、例えば100%とし、ノズル40cを介して供給するHFガスの供給濃度を10〜30%、例えば10〜20%とする。これにより、ノズル40bを介して供給された高濃度のHFガスにより、マニホールド18の内壁面等の低温部に付着した比較的除去しにくい堆積物を効率的に除去することが可能となる。上述のように、マニホールド18の内壁面等の低温部に付着した堆積物は、反応管16の内壁面等の高温部に付着した堆積物よりも除去しづらいことが確認されており、このHFガスの濃度調整により、低温部に付着した比較的除去しにくい堆積物を効率的に除去することが可能となる。なお、HFガスの供給濃度は、例えば「HFガスの供給流量/(HFガスの供給流量+N
2ガスの供給流量)」という式で表すことができ、それぞれのHFガスの供給濃度は、例えば、それぞれのノズル内へ供給するHFガスの供給流量とN
2ガスの供給流量とを調整することで制御することができる。例えば、ノズル40bを介して供給するHFガスの供給濃度は、クリーニングガス供給管62b内へ供給するHFガスの供給流量と、不活性ガス供給管52b内へ供給するN
2ガスの供給流量とを、MFC64b,54bにより、それぞれ調整することで制御することができる。また例えば、ノズル40cを介して供給するHFガスの供給濃度は、クリーニングガス供給管62a内へ供給するHFガスの供給流量と、不活性ガス供給管52c,52d内へ供給するN
2ガスの供給流量とをMFC64a,54c,54dにより、それぞれ調整することで制御することができる。
【0138】
クリーニングガス供給におけるガス供給のパターンについて、上述した実施例1に替えて、以下の実施例2〜5のようにしてもよい。
【0139】
(クリーニングガス供給)「実施例2」
クリーニングガス供給パターンの実施例2においては、ノズル40cからクリーニングガスを供給するとともに、ノズル40bからクリーニングガスを供給する。
【0140】
具体的には、クリーニングガス供給管62aのバルブ66aを開き、クリーニングガス供給管62a内にHFガスを流す。HFガスはクリーニングガス供給管62aから流れ、MFC64aにより流量調整される。流量調整されたHFガスは、ノズル40cのガス供給孔48cから処理室22内に供給され、反応管16及びマニホールド18の内壁やボート28の表面等に接触し、排気管90から排気される。
ノズル40cから供給されるHFガスにより、主に反応管16の内壁やボート28の表面等の比較的温度の高い領域に対してクリーニングが行われる。
【0141】
このとき同時に、クリーニングガス供給管62bのバルブ66bを開き、クリーニングガス供給管62b内にHFガスを流す。HFガスはクリーニングガス供給管62bから流れ、MFC64bにより流量調整される。流量調整されたHFガスは、ノズル40bのガス供給孔48bから処理室22内に供給され、マニホールド18の内壁やシールキャップ100の上面や回転軸104の側面等に接触し、排気管90から排気される。
ノズル40bから供給されるHFガスにより、主にマニホールド18の内壁やシールキャップ100の上面や回転軸104の側面等の比較的温度の低い領域に対してクリーニングが行われる。
予め定められた時間、ノズル40c及びノズル40bからHFガスを供給した後、クリーニングガス供給管62aのバルブ66a及びクリーニングガス供給管62bのバルブ66bを閉じて、クリーニングガス供給管62a及びクリーニングガス供給管62bからのHFガスの供給を停止する。
【0142】
なおこのとき、ノズル40a内へのHFガスの侵入を防止するため、バルブ56aを開き、不活性ガス供給管52a内にN
2ガスを流すようにするのが好ましい。この場合、N
2ガスは、ガス供給管42a、ノズル40aを介して処理室22内に供給され、排気管90から排気されることとなる。
【0143】
実施例2によれば、クリーニングに要する時間が比較例1よりも短縮され、実施例1よりもさらに短縮される。
【0144】
(クリーニングガス供給)「実施例3」
クリーニングガス供給パターンの実施例3においては、ノズル40cからのクリーニングガスの供給と、ノズル40bからのクリーニングガスの供給とを交互に複数回行う。
【0145】
具体的には、クリーニングガス供給管62aのバルブ66aを開き、クリーニングガス供給管62a内にHFガスを流す。HFガスはクリーニングガス供給管62aから流れ、MFC64aにより流量調整される。流量調整されたHFガスは、ノズル40cのガス供給孔48cから処理室22内に供給され、反応管16及びマニホールド18の内壁やボート28の表面等に接触し、排気管90から排気される。
このとき、不活性ガス供給管52bのバルブ56bを開き、ノズル40bから不活性ガスとしてのN
2ガスを供給する。
ノズル40cから供給されるHFガス及びノズル40bから供給されるN
2ガスにより、
図8(a)に示されているように、主に反応管16の内壁やボート28の表面等の比較的温度の高い領域に対してクリーニングが行われる(高温部クリーニング)。
【0146】
なおこのとき、ノズル40a内へのHFガスの侵入を防止するため、バルブ56aを開き、不活性ガス供給管52a内にN
2ガスを流すようにするのが好ましい。この場合、N
2ガスは、ガス供給管42a、ノズル40aを介して処理室22内に供給され、排気管90から排気されることとなる。
【0147】
予め定められた時間(実施例1と比較して短い時間)、ノズル40cからHFガスを供給した後、クリーニングガス供給管62aのバルブ66a及び不活性ガス供給管52bのバルブ56bを閉じて、クリーニングガス供給管62aからのHFガスの供給及び不活性ガス供給管52bからのN
2ガスの供給を停止する。次いで、クリーニングガス供給管62bのバルブ66bを開き、クリーニングガス供給管62b内にHFガスを流す。HFガスはクリーニングガス供給管62bから流れ、MFC64bにより流量調整される。流量調整されたHFガスは、ノズル40bのガス供給孔48bから処理室22内に供給され、マニホールド18の内壁やシールキャップ100の上面や回転軸104の側面等に接触し、排気管90から排気される。
このとき、不活性ガス供給管52c,52dのバルブ56c,56dを開き、ノズル40cから不活性ガスとしてのN
2ガスを供給する。
ノズル40bから供給されるHFガス及びノズル40cから供給されるN
2ガスにより、
図8(b)に示されているように、主にマニホールド18の内壁やシールキャップ100の上面や回転軸104の側面等の比較的温度の低い領域に対してクリーニングが行われる(低温部クリーニング)。
予め定められた時間(実施例1と比較して短い時間)、ノズル40bからHFガスを供給した後、クリーニングガス供給管62bのバルブ66b及び不活性ガス供給管52c,52dのバルブ56c,56dを閉じて、クリーニングガス供給管62bからのHFガスの供給及び不活性ガス供給管52c,52dからのN
2ガスの供給を停止する。
【0148】
なおこのとき、ノズル40a内へのHFガスの侵入を防止するため、バルブ56aを開き、不活性ガス供給管52a内にN
2ガスを流すようにするのが好ましい。この場合、N
2ガスは、ガス供給管42a、ノズル40aを介して処理室22内に供給され、排気管90から排気されることとなる。
【0149】
ノズル40cからのHFガスの供給及びノズル40bからのN
2ガスの供給と、ノズル40bからのHFガスの供給及びノズル40cからのN
2ガスの供給とを交互に複数回繰り返す。すなわち、高温部クリーニングと低温部クリーニングとを交互に繰り返す。
【0150】
実施例3によれば、クリーニングに要する時間が比較例1よりも短縮され、実施例1と同等に短縮される。また、高温部クリーニングと低温部クリーニングとを1サイクルとした場合、このサイクルの実施回数により、高温部および低温部のそれぞれに付着した堆積物の除去量(エッチング量)を制御することが可能となる。
【0151】
(クリーニングガス供給)「実施例4」
クリーニングガス供給パターンの実施例4においては、ノズル40bからクリーニングガスを連続的に供給しつつ、ノズル40cからクリーニングガスを間欠的に供給する。
【0152】
具体的には、クリーニングガス供給管62bのバルブ66bを開き、クリーニングガス供給管62b内にHFガスを流す。HFガスはクリーニングガス供給管62bから流れ、MFC64bにより流量調整される。流量調整されたHFガスは、ノズル40bのガス供給孔48bから処理室22内に供給され、マニホールド18の内壁やシールキャップ100の上面や回転軸104の側面等に接触し、排気管90から排気される。
ノズル40bから供給されるHFガスにより、主にマニホールド18の内壁やシールキャップ100の上面や回転軸104の側面等の比較的温度の低い領域に対してクリーニングが行われる。
【0153】
これに合わせて、クリーニングガス供給管62aのバルブ66aを開き、クリーニングガス供給管62a内にHFガスを流す。HFガスはクリーニングガス供給管62aから流れ、MFC64aにより流量調整される。流量調整されたHFガスは、ノズル40cのガス供給孔48cから処理室22内に供給され、反応管16及びマニホールド18の内壁やボート28の表面等に接触し、排気管90から排気される。
ノズル40cから供給されるHFガスにより、主に反応管16の内壁やボート28の表面等の比較的温度の高い領域に対してクリーニングが行われる。
予め定められた時間(実施例1と比較して短い時間)、ノズル40cからHFガスを供給した後、クリーニングガス供給管62aのバルブ66aを閉じて、クリーニングガス供給管62aからのHFガスの供給を停止する。
続いて、予め定められた時間(例えば、バルブ66aを開いていた時間と同等の時間)が経過した後、再び、クリーニングガス供給管62aのバルブ66aを開き、このクリーニングガス供給管62a内にHFガスを流す。
この操作を繰り返して、ノズル40cから間欠的にHFガスを供給する。
【0154】
実施例4によれば、クリーニングに要する時間が比較例1よりも短縮され、実施例1よりもさらに短縮される。また、比較的温度の低い領域へのHFガスの接触時間を比較的温度の高い領域へのHFガスの接触時間よりも長くすることができ、比較的温度の低い領域に対するクリーニングを集中的に行うことが可能となる。
【0155】
(クリーニングガス供給)「実施例5」
クリーニングガス供給パターンの実施例5においては、ノズル40cからクリーニングガスを連続的に供給しつつ、ノズル40bからクリーニングガスを間欠的に供給する。
【0156】
具体的には、クリーニングガス供給管62aのバルブ66aを開き、クリーニングガス供給管62a内にHFガスを流す。HFガスはクリーニングガス供給管62aから流れ、MFC64aにより流量調整される。流量調整されたHFガスは、ノズル40cのガス供給孔48cから処理室22内に供給され、反応管16及びマニホールド18の内壁やボート28の表面等に接触し、排気管90から排気される。
ノズル40cから供給されるHFガスにより、主に反応管16の内壁やボート28の表面等の比較的温度の高い領域に対してクリーニングが行われる。
【0157】
これに合わせて、クリーニングガス供給管62bのバルブ66bを開き、クリーニングガス供給管62b内にHFガスを流す。HFガスはクリーニングガス供給管62bから流れ、MFC64bにより流量調整される。流量調整されたHFガスは、ノズル40bのガス供給孔48bから処理室22内に供給され、マニホールド18の内壁やシールキャップ100の上面や回転軸104の側面等に接触し、排気管90から排気される。
ノズル40bから供給されるHFガスにより、主にマニホールド18の内壁やシールキャップ100の上面や回転軸104の側面等の比較的温度の低い領域に対してクリーニングが行われる。
予め定められた時間(実施例1と比較して短い時間)、ノズル40bからHFガスを供給した後、クリーニングガス供給管62bのバルブ66bを閉じて、クリーニングガス供給管62bからのHFガスの供給を停止する。
続いて、予め定められた時間(例えば、バルブ66bを開いていた時間と同等の時間)が経過した後、再び、クリーニングガス供給管62bのバルブ66bを開き、このクリーニングガス供給管62b内にHFガスを流す。
この操作を繰り返して、ノズル40bから間欠的にHFガスを供給する。
【0158】
実施例5によれば、クリーニングに要する時間が比較例1よりも短縮され、実施例1よりもさらに短縮され、実施例4と同等に短縮される。
【0159】
[第二の実施形態]
次に、第二の実施形態について説明する。第一の実施形態では、上方に向かって開口したガス供給孔48bを備えるL字型のノズル40bがクリーニングガス供給管62bに接続されていたのに対し、第二の実施形態では、ノズル320bがクリーニングガス供給管62bに接続されており、この点で両者は異なる。本実施形態において、第一の実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
【0160】
図9に示すように、ノズル320bは、I字型(短管型)であり、先端がマニホールド18の内壁と略面一となるように、本体部がマニホールド18の側壁を貫通して設けられている。なお、ノズル320bの先端を、マニホールド18の内壁から突出させるようにしてもよい。
【0161】
ノズル320bの先端にはガスを供給するガス供給孔322bが設けられており、このガス供給孔322bは側方(水平方向)に向かって開口する(マニホールド18内壁側から内側に向かう方向に開口する)ように構成されている。ノズル320bは、ノズル40aがガスを供給する位置よりもマニホールド18側において、処理室20内の内側に向けてガスを供給するようになっている。また、ノズル320bは、マニホールド18の内壁面に向けてガスを供給することが可能となっている。
【0162】
[第三の実施形態]
次に、第三の実施形態について説明する。第一の実施形態では、上方に向かって開口したガス供給孔48bを備えるノズル40bがクリーニングガス供給管62bに接続されていたのに対し、第三の実施形態では、ノズル330bがクリーニングガス供給管62bに接続されており、この点で両者は異なる。本実施形態において、第一の実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
【0163】
図10に示すように、ノズル330bは、L字型のショートノズルであり、その水平部がマニホールド18の側壁を貫通するように設けられ、その垂直部がマニホールド18の内壁に沿って立ち上がるようにして設けられている。
【0164】
ノズル330bの垂直部のマニホールド18側の側壁にはガス供給孔332bが設けられており、このガス供給孔332bはマニホールド18の内壁面に向かって開口するように構成されている。すなわち、ガス供給孔332bは、マニホールド18の内壁面と対向(対面)するように設けられている。
ノズル330bは、ノズル40aがガスを供給する位置よりもマニホールド18側において、ガスを直接マニホールド18の内壁側に向けて供給するようになっている。
【0165】
[第四の実施形態]
次に、第四の実施形態について説明する。第一の実施形態では、上方に向かって開口したガス供給孔48bを備えるノズル40bがクリーニングガス供給管62bに接続されていたのに対し、第四の実施形態では、ノズル340bがクリーニングガス供給管62bに接続されており、この点で両者は異なる。本実施形態において、第一の実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
【0166】
図11に示すように、ノズル340bは、L字型のショートノズルであり、その水平部がマニホールド18の側壁を貫通するように設けられ、その垂直部がマニホールド18の内壁に沿って立ち上がるようにして設けられている。
【0167】
ノズル340bの先端にはガスを供給するガス供給孔342bが設けられており、このガス供給孔342bは上方に向かって開口する(マニホールド18側から反応管16側に向かう方向に開口する)ように構成されている。
また、ノズル340bの垂直部のマニホールド18側の側壁にはガス供給孔344bが設けられており、このガス供給孔344bはマニホールド18の内壁面に向かって開口するように構成されている。
ノズル340bは、ノズル40aがガスを供給する位置よりもマニホールド側18において、処理室20内の上方及びマニホールド18の内壁側に向けてガスを供給するようになっている。ノズル340bは、ガスを直接マニホールド18の内壁面に向けて供給することが可能となっている。
【0168】
[第五の実施形態]
次に、第五の実施形態について説明する。第一の実施形態では、上方に向かって開口したガス供給孔48bを備えるノズル40bがクリーニングガス供給管62bに接続されていたのに対し、第五の実施形態では、ノズル350bがクリーニングガス供給管62bに接続されており、この点で両者は異なる。本実施形態において、第一の実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
【0169】
図12に示すように、ノズル350bは、L字型のショートノズルであり、その水平部がマニホールド18の側壁を貫通するように設けられ、その垂直部がマニホールド18の内壁に沿って下向きに設けられている。
【0170】
ノズル350bの先端にはガスを供給するガス供給孔352bが設けられており、このガス供給孔352bは下方に向かって開口する(マニホールド18側からシールキャップ100側に向かう方向に開口する)ように構成されている。すなわち、ガス供給孔352bは、シールキャップ100と対向(対面)するように設けられている。
ノズル350bは、ノズル40aがガスを供給する位置よりもマニホールド側18において、処理室20内の下方に向けてガスを供給するようになっている。ノズル350bは、ガスを直接シールキャップ100の上面に向けて供給することが可能となっている。
【0171】
[第六の実施形態]
次に、第六の実施形態について説明する。第一の実施形態では、上方に向かって開口したガス供給孔48bを備えるノズル40bがクリーニングガス供給管62bに接続されていたのに対し、第六の実施形態では、ノズル360bがクリーニングガス供給管62bに接続されており、この点で両者は異なる。本実施形態において、第一の実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
【0172】
図13に示すように、ノズル360bは、L字型のショートノズルであり、その水平部がマニホールド18の側壁を貫通するように設けられ、その垂直部がマニホールド18の内壁に沿って下向きに設けられている。
【0173】
ノズル360bの先端にはガスを供給するガス供給孔362bが設けられており、このガス供給孔362bは下方に向かって開口する(マニホールド18側からシールキャップ100側に向かう方向に開口する)ように構成されている。すなわち、ガス供給孔362bは、シールキャップ100と対向(対面)するように設けられている。
また、ノズル360bの垂直部のマニホールド18側の側壁にはガス供給孔364bが設けられており、このガス供給孔364bはマニホールド18の内壁面に向かって開口するように構成されている。すなわち、ガス供給孔364bは、マニホールド18と対向(対面)するように設けられている。
ノズル360bは、ノズル40aがガスを供給する位置よりもマニホールド側18において、処理室20内の下方及びマニホールド18の内壁側に向けてガスを供給するようになっている。ノズル360bは、ガスを直接シールキャップ100の上面に向けて、また、ガスを直接マニホールドの内壁面に向けて供給することが可能となっている。
【0174】
[第七の実施形態]
次に、第七の実施形態について説明する。第七の実施形態では、第一の実施形態のマニホールド18の内壁面側に該内壁面を覆うカバー400を設ける。
図14に示すように、カバー400は、シールキャップ100の上面に設けられ、例えば石英やSiC等の耐熱性材料(非金属材料)で構成される。このカバー400とマニホールド18との間の隙間にノズル40bのガス供給孔48bを配置し、このカバー400とマニホールド18との間にHFガスを流す。
【0175】
カバー400は、マニホールド18の内側に、マニホールド18と同心円状に設けるのが好ましい。すなわち、カバー400は、マニホールド18の内壁面に対面(対向)するように、マニホールド18の内壁面を全体的に覆うように設置するのが好ましい。この構成により、HFガスをマニホールド18の内壁面に、さらに積極的に(集中的に)接触させることができ、マニホールド18の内壁面に付着した比較的除去しにくい堆積物を効率的に除去することが可能となる。カバー400は、マニホールド18の内壁面にHFガスを積極的に流すガイド部、すなわち、ガス流規制部(ガス流規制手段)として作用することとなる。
【0176】
[第八の実施形態]
次に、第八の実施形態について説明する。第八の実施形態では、第七の実施形態と同様、第一の実施形態のマニホールド18の内壁側に該内壁面を覆うカバー410を設ける。
図15に示すように、カバー410は、上面部410aと側面部410bとで構成されている。上面部410aは、側面部410bの上端部から外側(マニホールド18側)に水平に延出するように構成されている。上面部410aを延出部と呼ぶこともできる。側面部410bは、上面部410aの端部から垂直に下方へ向かって延びている(垂下している)ことから、垂下部と呼ぶこともできる。マニホールド18の内壁の上端部には、マニホールド18の内側に向かって水平に突出する突起部18aが設けられている。この突起部18aにより、カバー410の上面部410aが支持される。突起部18aは、カバー410を支持する支持部として機能する。カバー410は、下方が開放するように設けられ、例えば石英やSiC等の耐熱性材料(非金属材料)で構成される。このカバー410とマニホールド18との間の隙間にノズル40bのガス供給孔48bを配置し、このカバー410とマニホールド18との間にHFガスを流す。
【0177】
カバー410は、マニホールド18の内側に、マニホールド18と同心円状に設けるのが好ましい。すなわちカバー410は、マニホールド18の内壁面に対面(対向)するように、マニホールド18の内壁面を略全体的に覆うように設置するのが好ましい。この構成により、HFガスをマニホールド18の内壁面に、さらに積極的に(集中的に)接触させることができ、マニホールド18の内壁面に付着した比較的除去しにくい堆積物を効率的に除去することが可能となる。カバー410は、マニホールド18の内壁面にHFガスを積極的に流すガイド部、すなわち、ガス流規制部(ガス流規制手段)として作用することとなる。
【0178】
この構成によっても、HFガスをマニホールド18の内壁面に、さらに積極的に(集中的に)接触させることができ、マニホールド18の内壁面に付着した比較的除去しにくい堆積物を効率的に除去することが可能となる。
【0179】
なお、カバー410の上面部410aを反応管16とマニホールド18との間に挟むようにしてもよい。その場合、マニホールド18に突起部18aを設ける必要がなく、マニホールド18の形状を簡素化でき、マニホールド18の加工費用、つまり、基板処理装置の製造コストを低減することができる。また、カバー410の上面部410aにスリット、孔等の開口部を設け、カバー410の上面を開放させてもよい。また、カバー410を上下逆として上方を開放させた構成としてもよい。
【0180】
また、カバー400,410と、第一〜第六の実施形態の各ノズルとを、適宜組み合わせるようにしてもよい。
【0181】
上述した第一〜第八の実施形態では、プラズマ源を備えていない基板処理装置10を用いる場合について説明したが、これに限らず、プラズマ源を備えた構成としてもよい。ただし、プラズマ源を備えていない場合の方が、備えている場合と比較して、基板処理装置の構造を簡素化でき、基板処理装置の製造コストを低減することができる。
【0182】
上記実施形態では、ノズル40aからHFガスを供給しないこととしている。SiO膜の形成工程では、処理室20内の部材にSiOを主成分とする堆積物が付着するのに対し、ノズル40a内にはHCDSガスだけが流れるので、ノズル40a内、すなわち、ノズル40aの内壁にはSiを主成分とする堆積物が付着する。しかしながら、HFガスではSiを主成分とする堆積物は除去しづらい。よって、クリーニング工程において、ノズル40a内にHFガスを流しても、ノズル40aの内壁に付着したSiを主成分とする堆積物を除去するのは難しい。
【0183】
また、ノズル40a内にHFガスを流すと、ノズル40aの内壁に付着したSiを主成分とする堆積物とノズル40aの内壁との間にHFガスが入り込むことがあり、ノズル40aの内壁とSiを主成分とする堆積物との界面が不安定になってしまうことがある。この状態で、SiO膜の形成工程を行うと、成膜中に、ノズル40aの内壁に付着したSiを主成分とする堆積物が部分的に剥がれるなどして、異物が発生し、ウエハ24に付着してしまうことがある。
【0184】
これらのことから、本実施形態では、クリーニング工程において、ノズル40aを介して反応管16内へHFガスを供給することなく、ノズル40cを介して反応管16内へHFガスを供給するようにしている。すなわち、ノズル40aを介した反応管16内へのHFガスの供給を不実施としている。
【0185】
ノズル40cを介して反応管16内へHFガスを供給する際は、ノズル40a内へのHFガスの侵入を防止するために、ノズル40a内へN
2ガス等の不活性ガスを供給するのが好ましい。すなわち、不活性ガス供給管52aのバルブ56aを開き、不活性ガス供給管52aから不活性ガスとしてN
2ガスを供給するのが好ましい。これにより、ノズル40aの内壁とSiを主成分とする堆積物との界面が不安定になり、異物が発生してしまうのを防止することができる。
【0186】
なお、ノズル40a内のクリーニング、すなわち、ノズル40aの内壁に付着したSiを主成分とする堆積物の除去を行う必要はなく、累積膜厚が、堆積物に剥離が生じ異物が発生し始める前の所定の厚さ、例えば、4〜5μmに達した時点で、ノズル40aを交換すればよい。
【0187】
また、本実施形態では、ノズル40bを介してマニホールド18の内壁面に向けてHFガスを供給する場合も、ノズル40aを介した反応管16内へのHFガスの供給を不実施としている。
【0188】
ノズル40bを介してマニホールド18の内壁面に向けてHFガスを供給する際も、ノズル40a内へのHFガスの侵入を防止するために、ノズル40a内へN
2ガス等の不活性ガスを供給するのが好ましい。これにより、ノズル40aの内壁とSiを主成分とする堆積物との界面が不安定になり、異物が発生してしまうのを防止することができる。またこのとき、ノズル40c内へもN
2ガス等の不活性ガスを供給し、ノズル40c内へのHFガスの侵入を防止するのが好ましい。
【0189】
なお、SiO膜の形成工程では、ノズル40c内にはO
2ガスやH
2ガスが流れるだけなので、ノズル40c内、すなわち、ノズル40cの内壁には堆積物が付着しないか、付着したとしてもノズル40c内に僅かに侵入したHCDSガスによるもので、僅かに付着するのみとなる。よってノズル40c内のクリーニングも行う必要はない。
【0190】
また、上記実施形態では、O
2ガスとH
2ガスとを同じノズル(ノズル40c)から処理室22内に供給する構成について説明したが、これに限らず、それぞれを別々のノズルから処理室22内に供給するようにしてもよい。ただし、複数種類のガスでノズルを共用とした場合の方が、これらを別々に配設した場合と比較して、ノズルの本数が減り、装置コストが低減し、また、メンテナンスも容易になる等のメリットがある。
HCDSガスを供給するノズルと、H
2ガスを供給するノズルとを共用にして、これらを同じノズルから供給するようにしてもよい。上述の処理条件下では、ノズル内に付着したHCDSガスとH
2ガスとが接触しても成膜反応が生じないからである。
なお、HCDSガスを供給するノズルと、O
2ガスを供給するノズルとは別々に設けるのが好ましい。温度条件によっては、ノズル内に付着したHCDSガスとO
2ガスとが接触することで成膜反応が生じ、堆積物が厚く形成される場合があるからである。
【0191】
上記実施形態では、「ステップ1」においてSi含有層を形成する際に、原料ガスとして、クロロシラン系原料ガスを用いる例について説明したが、クロロシラン系原料ガスの代わりに、クロロ基以外のハロゲン系のリガンドを持つシラン系原料ガスやフルオロシラン系原料ガス等を用いてもよい。
【0192】
フルオロシラン系原料ガスとは、気体状態のフルオロシラン系原料、例えば、常温常圧下で液体状態であるフルオロシラン系原料を気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態であるフルオロシラン系原料等のことである。
また、フルオロシラン系原料とは、ハロゲン基としてのフルオロ基を有するシラン系原料のことであり、少なくともシリコン(Si)及びフッ素(F)を含む原料のことである。
すなわち、フルオロシラン系原料は、ハロゲン化物の一種ともいえる。
【0193】
フルオロシラン系原料ガスとしては、例えば、テトラフルオロシラン(シリコンテトラフルオライド(SiF
4))ガスや、ヘキサフルオロジシラン(Si
2F
6)ガス等のフッ化シリコンガスを用いることができる。
この場合、Si含有層を形成する際に、処理室22内のウエハ24に対して、フルオロシラン系原料ガスを供給することとなる。このようにして形成されるSi含有層は、フルオロシラン系原料ガスの吸着層を含んだり、Si層を含んだり、その両方を含んだりする。
【0194】
上記実施形態では、SiO膜形成工程における「ステップ3」において、加熱された大気圧未満の圧力下にある処理室22内にO
2ガスとH
2ガスとを供給し、Si含有層をSiO層に変化させる例について説明したが、本発明は係る形態に限定されない。「ステップ3」において、H
2ガスを供給することなく、O
2ガスやO
3ガス、H
2Oガス等の酸素含有ガスを単独で供給するようにしてもよい。
また、これらの酸素含有ガスをプラズマで活性化して供給するようにしてもよい。
【0195】
上記実施形態では、処理室22内に、HCDSガスと、O
2ガス及びH
2ガスと、を交互に供給し、ウエハ24上にSiO膜を形成する例について説明したが、本発明は係る形態に限定されない。処理室22内に、HCDSガスと、O
2ガスやO
3ガス、H
2Oガス等の酸素含有ガスと、を同時に供給し、ウエハ24上にSiO膜を形成するようにしてもよい。
【0196】
上記実施形態では、薄膜として、半導体元素であるシリコンを含むシリコン系薄膜を形成する例について説明したが、本発明は係る場合に限定されない。本発明は、薄膜として、例えばチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)等の金属元素を含む金属系薄膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。
【0197】
Tiを含む金属系薄膜としてチタン酸化膜(TiO膜)を形成する場合は、原料ガスとして、例えば、チタニウムテトラクロライド(TiCl
4)等のTi及びクロロ基を含むガスや、チタニウムテトラフルオライド(TiF
4)等のTi及びフルオロ基を含むガス等を用いることができる。
酸素含有ガス及び水素含有ガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。
処理条件は、例えば上述の実施形態と同様とすることができる。
【0198】
Zrを含む金属系薄膜としてジルコニウム酸化膜(ZrO膜)を形成する場合は、原料ガスとして、例えば、ジルコニウムテトラクロライド(ZrCl
4)等のZr及びクロロ基を含むガスや、ジルコニウムテトラフルオライド(ZrF
4)等のZr及びフルオロ基を含むガス等を用いることができる。
酸素含有ガス及び水素含有ガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。
処理条件は、例えば上述の実施形態と同様とすることができる。
【0199】
Hfを含む金属系薄膜としてハフニウム酸化膜(HfO膜)を形成する場合は、原料ガスとして、例えば、ハフニウムテトラクロライド(HfCl
4)等のHf及びクロロ基を含むガスや、ハフニウムテトラフルオライド(HfF
4)等のHf及びフルオロ基を含むガス等を用いることができる。
酸素含有ガス及び水素含有ガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。
処理条件は、例えば上述の実施形態と同様とすることができる。
【0200】
Taを含む金属系薄膜としてタンタル酸化膜(TaO膜)を形成する場合は、原料ガスとして、例えば、タンタルペンタクロライド(TaCl
5)等のTa及びクロロ基を含むガスや、タンタルペンタフルオライド(TaF
5)等のTa及びフルオロ基を含むガスを用いることができる。
酸素含有ガス及び水素含有ガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。
処理条件は、例えば上述の実施形態と同様とすることができる。
【0201】
Alを含む金属系薄膜としてアルミニウム酸化膜(AlO膜)を形成する場合は、原料ガスとして、例えば、アルミニウムトリクロライド(AlCl
3)等のAl及びクロロ基を含むガスや、アルミニウムトリフルオライド(AlF
3)等のAl及びフルオロ基を含むガス等を用いることができる。
酸素含有ガス及び水素含有ガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。
処理条件は、例えば上述の実施形態と同様とすることができる。
【0202】
Moを含む金属系薄膜としてモリブデン酸化膜(MoO膜)を形成する場合は、原料ガスとして、例えば、モリブデンペンタクロライド(MoCl
5)等のMo及びクロロ基を含むガスや、モリブデンペンタフルオライド(MoF
5)等のMo及びフルオロ基を含むガス等を用いることができる。
酸素含有ガス及び水素含有ガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。
処理条件は、例えば上述の実施形態と同様とすることができる。
【0203】
このように、本発明は、シリコン系薄膜を形成する場合だけでなく、金属系薄膜を形成する場合にも適用することができ、この場合であっても、上述の実施形態と同様な作用効果が得られる。
すなわち、本発明は、半導体元素や金属元素等の所定元素を含む薄膜を形成する場合に、好適に適用することができる。
【0204】
上記実施形態では、クリーニング工程において、ボートロードした後に処理室20内へクリーニングガスを供給する場合(処理室20内にボート28が収容されている状態で処理室20内をクリーニングする場合)について説明したが、これに限らず、ボート28のクリーニングが不要な場合は、ボートロードを省略して(処理室20内にボート28が収容されていない状態で)処理室20内へクリーニングガスを供給するようにしてもよい。
【0205】
上記実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて薄膜を形成する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて薄膜を形成する場合にも、好適に適用できる。
【0206】
上記実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて薄膜を形成する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて薄膜を形成する場合にも、好適に適用できる。
【0207】
第一〜第八の各実施形態や各実施例等は、適宜組み合わせて用いることができる。
【0208】
第一〜第八の実施形態のいずれかにおいて、クリーニングガス供給パターンの実施例2を適用した場合は、いずれの実施形態においても、反応管16内にクリーニングガスを供給する工程とマニホールド18の内壁面に向けてクリーニングガスを供給する工程とが同時に行われることとなる。
特に、第三、第四、第六〜八の実施形態において、クリーニングガス供給パターンの実施例2を適用した場合は、反応管16内にクリーニングガスを供給する工程とマニホールド18の内壁面やシールキャップ100の上面に向けて直接クリーニングガスを供給する工程とが同時に行われることとなる。
【0209】
第三、第四、第六〜八の実施形態いずれかにおいて、クリーニングガス供給パターンの実施例3を適用した場合は、反応管16内にクリーニングガスを供給する工程とマニホールド18の内壁面やシールキャップ100の上面に向けて直接クリーニングガスを供給する工程とが交互に繰り返し行われることとなる。
【0210】
第三、第四、第六〜八の実施形態いずれかにおいて、クリーニングガス供給パターンの実施例3〜5いずれかを適用した場合は、反応管16内にクリーニングガスを供給する工程とマニホールド18の内壁面やシールキャップ100の上面に向けて直接クリーニングガスを供給する工程とのうち少なくとも何れかの工程が間欠的に行われる。
【0211】
第三、第四、第六〜八の実施形態いずれかにおいて、クリーニングガス供給パターンの実施例4又は実施例5を適用した場合は、反応管16内にクリーニングガスを供給する工程とマニホールド18の内壁面やシールキャップ100の上面に向けて直接クリーニングガスを供給する工程とのうち一方の工程が間欠的に行われ、この一方の工程とは異なる他方の工程が連続的に行われることとなる。
【0212】
本発明は、例えば、所定の基板処理装置のプロセスレシピやクリーニングレシピを変更することでも実現できる。プロセスレシピやクリーニングレシピを変更する場合は、本発明に係るプロセスレシピやクリーニングレシピを電気通信回線や当該プロセスレシピやクリーニングレシピを記録した記録媒体を介して所定の基板処理装置にインストールしたり、所定の基板処理装置の入出力装置を操作してそのプロセスレシピやクリーニングレシピ自体を本発明に係るプロセスレシピやクリーニングレシピに変更したりする。
【0213】
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0214】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
反応管と、該反応管を支持するマニホールドと、で構成される処理室内の基板に対して、前記マニホールドに設けられ、前記マニホールドから前記反応管内まで立ち上がった第1のノズルを介して原料ガスを供給する工程と、前記処理室内の前記基板に対して、前記マニホールドに設けられ、前記マニホールドから前記反応管内まで立ち上がった第2のノズルを介して酸化ガスを供給する工程と、を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に酸化膜を形成する工程を行った後の前記処理室内をクリーニングする方法であって、
前記第2のノズルを介して前記反応管内へフッ化水素ガスを供給する第1のクリーニング工程と、
前記マニホールドに設けられた第3のノズルを介して前記マニホールドの内壁面に向けてフッ化水素ガスを供給する第2のクリーニング工程と、
を有するクリーニング方法が提供される。
【0215】
(付記2)
付記1に記載のクリーニング方法であって、好ましくは、
前記第1のクリーニング工程および前記第2のクリーニング工程では、前記第1のノズルを介した前記反応管内へのフッ化水素ガスの供給を不実施とする。すなわち、前記第1のクリーニング工程では、前記第1のノズルを介して前記反応管内へフッ化水素ガスを供給することなく、前記第2のノズルを介して前記反応管内へフッ化水素ガスを供給し、前記第2のクリーニング工程では、前記第1のノズルを介して前記反応管内へフッ化水素ガスを供給することなく、前記第3のノズルを介して前記マニホールドの内壁面に向けてフッ化水素ガスを供給する。
【0216】
(付記3)
付記1または2に記載のクリーニング方法であって、好ましくは、
前記第1のクリーニング工程および前記第2のクリーニング工程では、前記第1のノズルを介して前記反応管内へ不活性ガスを供給する。
【0217】
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載のクリーニング方法であって、好ましくは、
前記第2のクリーニング工程において前記第3のノズルを介して供給するフッ化水素ガスの供給濃度(前記第3のノズル内におけるフッ化水素ガスの濃度)を、前記第1のクリーニング工程において前記第2のノズルを介して供給するフッ化水素ガスの供給濃度(前記第2のノズル内におけるフッ化水素ガスの濃度)よりも高くする。
【0218】
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載のクリーニング方法であって、好ましくは、
前記第1のクリーニング工程と、前記第2のクリーニング工程とを、非同時に行う(同期させることなく行う)。
【0219】
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載のクリーニング方法であって、好ましくは、
前記第1のクリーニング工程と、前記第2のクリーニング工程とを、を交互に行う。
【0220】
(付記7)
付記1乃至8のいずれかに記載のクリーニング方法であって、好ましくは、
前記第1のクリーニング工程と、前記第2のクリーニング工程とを、を交互に繰り返し行う。
【0221】
(付記8)
付記5乃至7のいずれかに記載のクリーニング方法であって、好ましくは、
前記第2のクリーニング工程では、前記第2のノズルを介して前記反応管内へ不活性ガスを供給しつつ、前記第3のノズルを介して前記マニホールドの内壁面に向けてフッ化水素ガスを供給する。
【0222】
(付記9)
付記5乃至8のいずれかに記載のクリーニング方法であって、好ましくは、
前記第2のクリーニング工程では、前記第1のノズルおよび前記第2のノズルを介して前記反応管内へ不活性ガスを供給しつつ、前記第3のノズルを介して前記マニホールドの内壁面に向けてフッ化水素ガスを供給する。
【0223】
(付記10)
付記8または9に記載のクリーニング方法であって、好ましくは、
前記第2のクリーニング工程では、前記反応管内へ供給された不活性ガスにより、前記第3のノズルを介して前記マニホールドの内壁面に向けて供給されたフッ化水素ガスを上から押さえつける。
【0224】
(付記11)
付記8乃至9のいずれかに記載のクリーニング方法であって、好ましくは、
前記第2のクリーニング工程では、前記反応管内へ供給された不活性ガスにより、前記第3のノズルを介して前記マニホールドの内壁面に向けて供給されたフッ化水素ガスの上方(前記反応管内上方)への流れ込みおよび拡散を抑制(ブロック)する。
【0225】
(付記12)
付記1乃至4のいずれかに記載のクリーニング方法であって、好ましくは、
前記第1のクリーニング工程と、前記第2のクリーニング工程とを、同時に行う。
【0226】
(付記13)
付記1乃至12のいずれかに記載のクリーニング方法であって、好ましくは、
前記第1のクリーニング工程と、前記第2のクリーニング工程とのうち少なくとも何れかの工程を間欠的に行う。
【0227】
(付記14)
付記1乃至13のいずれかに記載のクリーニング方法であって、好ましくは、
前記酸化ガスを供給する工程では、さらに、大気圧未満の圧力下にある前記処理室内の前記基板に対して、前記第1ノズルを介して還元ガスを供給する。
【0228】
(付記15)
付記1乃至14のいずれかに記載のクリーニング方法であって、好ましくは、
前記原料ガスを供給する工程では、前記処理室内の前記基板に対して前記第1のノズルを介して前記原料ガスを供給することで、前記基板上に層を形成し、
前記酸化ガスを供給する工程では、大気圧未満の圧力下にある前記処理室内の前記基板に対して、前記第2のノズルを介して前記酸化ガスを供給し、前記第1のノズルを介して還元ガスを供給することで、前記層を酸化して酸化層に改質する。
【0229】
(付記16)
本発明の他の態様によれば、
反応管と、該反応管を支持するマニホールドと、で構成される処理室内の基板に対して、前記マニホールドに設けられ、前記マニホールドから前記反応管内まで立ち上がった第1のノズルを介して原料ガスを供給する工程と、前記処理室内の前記基板に対して、前記マニホールドに設けられ、前記マニホールドから前記反応管内まで立ち上がった第2のノズルを介して酸化ガスを供給する工程と、を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に酸化膜を形成する工程と、
前記酸化膜を形成する工程を行った後の前記処理室内をクリーニングする工程と、を有し、
前記処理室内をクリーニングする工程は、
前記第2のノズルを介して前記反応管内へフッ化水素ガスを供給する第1のクリーニング工程と、
前記マニホールドに設けられた第3のノズルを介して前記マニホールドの内壁面に向けてフッ化水素ガスを供給する第2のクリーニング工程と、
を有する半導体装置の製造方法、および、基板処理方法が提供される。
【0230】
(付記17)
本発明のさらに他の態様によれば、
反応管と、該反応管を支持するマニホールドと、で構成される処理室と、
前記処理室内へ原料ガスを供給する原料ガス供給系と、
前記処理室内へ酸化ガスを供給する酸化ガス供給系と、
前記処理室内へフッ化水素ガスを供給するフッ化水素ガス供給系と、
前記マニホールドに設けられ、前記マニホールドから前記反応管内まで立ち上がった第1のノズルと、
前記マニホールドに設けられ、前記マニホールドから前記反応管内まで立ち上がった第2のノズルと、
前記マニホールドに設けられた第3のノズルと、
前記処理室内の基板に対して前記第1のノズルを介して前記原料ガスを供給する処理と、前記処理室内の前記基板に対して前記第2のノズルを介して前記酸化ガスを供給する処理と、を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に酸化膜を形成する処理と、前記酸化膜を形成する処理を行った後の前記処理室内をクリーニングする処理と、を行い、前記処理室内をクリーニングする処理では、前記第2のノズルを介して前記反応管内へフッ化水素ガスを供給する第1のクリーニング処理と、前記第3のノズルを介して前記マニホールドの内壁面に向けてフッ化水素ガスを供給する第2のクリーニング処理と、を行うように、前記原料ガス供給系、前記酸化ガス供給系および前記フッ化水素ガス供給系を制御するよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0231】
(付記18)
本発明のさらに他の態様によれば、
反応管と、該反応管を支持するマニホールドと、で構成される処理室内の基板に対して、前記マニホールドに設けられ、前記マニホールドから前記反応管内まで立ち上がった第1のノズルを介して原料ガスを供給する手順と、前記処理室内の前記基板に対して、前記マニホールドに設けられ、前記マニホールドから前記反応管内まで立ち上がった第2のノズルを介して酸化ガスを供給する手順と、を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に酸化膜を形成する手順と、
前記酸化膜を形成する工程を行った後の前記処理室内をクリーニングする手順と、
をコンピュータに実行させ、
前記処理室内をクリーニングする手順は、
前記第2のノズルを介して前記反応管内へフッ化水素ガスを供給する第1のクリーニング手順と、
前記マニホールドに設けられた第3のノズルを介して前記マニホールドの内壁面に向けてフッ化水素ガスを供給する第2のクリーニング手順と、
を有するプログラム、および、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。