(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子を覆い、前記基板に装着されるキャップをさらに備え、該キャップは、その側面を構成する金属枠を備えており、前記第2の発光素子と前記電子部品との間に前記金属枠が配置されてなる請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
前記第3の発光素子は、半導体層と透光性の素子基板とを備え、前記第4の発光素子は、前記透光性の素子基板より透光性の低い素子基板を備える請求項7に記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する発光装置は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、一の実施形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。
各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0010】
本発明の一実施形態の発光装置は、少なくとも、紫外光を発光する第1の発光素子と、第1の発光素子より長い波長の光を発光する第2の発光素子と、表面に樹脂部を備える電子部品と、第1発光素子と第2の発光素子と電子部品とが実装される基板とを備え、基板の第1の方向に、第1の発光素子、第2の発光素子、電子部品がこの順に配置されている。
また、本発明の別の実施形態の発光装置は、少なくとも、基板と、紫外光を発光する第3の発光素子と、第3の発光素子より配光が狭い第4の発光素子と、表面に樹脂部を備える電子部品と、第3の発光素子、第4の発光素子、電子部品とが実装された基板と、表面に樹脂部を備える電子部品とを備え、基板上の第1の方向に、第3の発光素子、前記第4の発光素子、前記電子部品がこの順に配置されている。
本発明の実施形態の発光装置は、さらに、キャップを備えることが好ましい。この発光装置では、少なくとも紫外光を発光する発光素子と電子部品とが基板上に実装され、キャップを通して、発光素子から出射される光が取り出される。
【0011】
〔発光素子〕
本発明の実施形態の発光装置は、種類が異なる2種類以上の発光素子を備える。ここで、発光素子の種類が異なるとは、発光素子の発光波長又は配光性が互いに異なることを指す。具体的には紫外光を発する発光素子と、この発光素子と種類が異なる発光素子を備える。本明細書において、紫外光とは、185〜400nmの波長の光を指す。
一実施形態の発光装置は、紫外光を発光する第1の発光素子と、第1の発光素子より長い波長の光を発光する第2の発光素子とを備える。
また、他の実施形態の発光装置は、紫外光を発光する第3の発光素子と、第3の発光素子より配光が狭い第4の発光素子とを備える。
第2の発光素子、第4の発光素子は、紫外光を発するものでもよいし、紫外光より波長の長い光を発するものでもよい。具体的には、405nm以上、425nm以下の波長の光を発するものが挙げられる。
【0012】
発光素子は、当該分野で一般的に用いられている発光ダイオード、レーザ等の発光素子のいずれをも用いることができる。例えば、窒化物系半導体(In
XAl
YGa
1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaP、GaAsなどのIII−V族化合物半導体、ZnSe、II−VI族化合物半導体等、種々の半導体を利用することができる。半導体層の発光層(活性層)の材料又は組成を変えることで、発光素子の発光波長を任意に変えることができる。
【0013】
発光素子は、サファイアのような透光性を有する素子基板を有していてもよい。このような発光素子は、半導体層より厚い透光性の素子基板の側面から光が出射されるために、比較的広い配光性を有することができる。
【0014】
発光素子の半導体層は、通常、成長用基板の上に形成されるが、このような成長用基板は、レーザリフトオフ法等を利用して、半導体層から除去されていてもよい。このような成長用基板が除去された半導体層のみからなる発光素子の場合には、発光に直接寄与しない層が存在しないため、これに起因する発光層から出射される光の吸収を阻止することができる。また、発光素子の成長用基板が透光性である場合には、上述の透光性の素子基板を有する発光素子に比較して狭い配光性を有する。
【0015】
さらに、発光素子は、発光素子の光を取り出す側に設けられた半導体層と、発光素子の実装面となる素子基板と、半導体層と素子基板との間に設けられた反射膜を備えるものであってもよい。このような発光素子では、半導体層にごく近い反射膜での反射によって、発光素子の上方に光が出射される傾向があるために、透光性の素子基板を有する発光素子に比較して狭い配光性を有する。また、発光素子の光を取り出す側に設けられた半導体層と、発光素子の実装面に透光性の低い素子基板を備えるものであってもよい。このような発光素子も、発光素子の上方に光が出射される傾向があるために、透光性の素子基板を有する発光素子に比較して狭い配光性を有する。
透光性の低い素子基板の材料の例としては、CuW、W等をはじめとする金属、Si、Ge、SiC等が挙げられる。
【0016】
発光素子は、通常正負一対の電極を有している。電極は、半導体層のそれぞれ異なる側に配置されているものであってもよいし、同じ側に電極が配置されていてもよい。
【0017】
発光素子は、基板にフリップチップ実装されていてもよく、底面を基板に接合し、ワイヤ等を用いて電気的に接続されるフェイスアップ実装のいずれで実装されていてもよい。発光素子と基板上の電極とをワイヤを用いて接続する場合、ワイヤを保護するために後述するキャップを用いることが好ましい。
【0018】
一実施形態では、発光装置は、紫外光を発光する第1の発光素子を備え、第1の発光素子より長い波長の光を発する第2の発光素子を備える。
これら発光素子の波長は、適宜選択することができ、例えば、255、280、310、365、375、385、395、400、405、415、420、425nm等が挙げられる。このように、一つの発光装置に備えられる発光素子の種類は少なくとも2種類以上であれば、3種類、4種類以上であってもよい。例えば、
(i)225nm、310nm、365nm、385nmの光を発する発光素子と、405nmの光を発する発光素子との組み合わせ、
(ii)255nmの光を発する発光素子と、365nmの光を発する発光素子との組み合わせ、
(iii)365nmの光を発する発光素子と、385nmの光を発する発光素子と、405nmの光を発する発光素子との組み合わせ、
(iv)365nmの光を発する発光素子と、395nmの光を発する発光素子と、405nmの光を発する発光素子との組み合わせ、
(v)255nmの光を発する発光素子と、310nmの光を発する発光素子と、365nmの光を発する発光素子との組み合わせ、
(vi)365nmの光を発する発光素子と、385nmの光を発する発光素子と、395nmの光を発する発光素子との組み合わせなどが挙げられる。
【0019】
310nmの光を発する発光素子と、365nmの光を発する発光素子と、405nmの光を発する発光素子との組み合わせとすれば、Hバルブ型の高圧水銀ランプに近似した波長の発光装置とすることができる。
255nm、310nm、365nm、400nm及び420nmの光を発する発光素子の組み合わせとすれば、Hバルブ型の高圧水銀ランプにさらに近似した波長の発光装置とすることができる。
310nmの光を発する発光素子と、385nmの光を発する発光素子と、405nmの光を発する発光素子との組み合わせとすれば、Dバルブ型の高圧水銀ランプに近似した波長の発光装置とすることができる。
365nm、375nm、385nm、395nm及び405nmの光を発する発光素子の組み合わせとすれば、Dバルブ型の高圧水銀ランプにさらに近似した波長の発光装置とすることができる。
365nm、405nm、415nm、420nm及び425nmの光を発する発光素子の組み合わせとすれば、Vバルブ型の高圧水銀ランプに近似した波長の発光装置とすることができる。
280nm、310nm、365nm、385nm、405nm及び420nmの光を発する発光素子の組み合わせとすれば、オゾンレスタイプのメタルハライドランプに近似した波長の発光装置とすることができる。
255nm、280nm、310nm、365nm、385nm、405nm及び420nmの光を発する発光素子の組み合わせとすれば、オゾンタイプのメタルハライドランプに近似した波長の発光装置とすることができる。
【0020】
発光素子の発光波長をこのような組み合わせとすることにより、既存の高圧水銀ランプ及び/又はメタルハライドランプ等と近似する波長の光を発する発光装置とすることができる。また、短い波長を採用する組み合わせでは、硬化樹脂等の硬化及び消毒用の用途に有効に利用することができる。
【0021】
本発明の他の実施形態では、発光装置は、互いに異なる種類の第3の発光素子と、第4の発光素子を備える。第3の発光素子は、紫外光を発光し、第4の発光素子は、上述したように、第3の発光素子よりも狭い配光性を有する。
【0022】
第3の発光素子と第4の発光素子の発光波長は異なっていてもよいし、同じでもよい。発光波長は適宜選択でき、上述の異なる波長の組み合わせを用いることができる。
第3の発光素子は、第4の発光素子より長い又は短い波長の光のいずれを発するものでもよいが、第4の発光素子より長い波長の光を発するものが好ましく、可視光領域の光を発する発光素子が好ましい。
波長の組み合わせは、例えば、第3の発光素子を第4の発光素子より長い波長の光を発し、かつ紫外光を発する発光素子とし、任意の第mの発光素子(m≧6)を第3の発光素子より長い波長の光を発し、かつ紫外光よりも長い波長の光を発する発光素子とし、任意にこれら以外の波長の光を発する発光素子を第m+1の発光素子等とすると、第4の発光素子と、第3の発光素子と、任意の第mの発光素子と、第m+1の発光素子の発光波長の組み合わせは、上述した発光素子の波長の組み合わせから選択することができる。
【0023】
発光素子は、通常、例えば、錫−ビスマス系、錫−銅系、錫−銀系、金−錫系などの半田、AuとSn、AuとSi、AuとGe、AuとCu、AgとCuとをそれぞれ主成分とする合金等の共晶合金、あるいは、銀、金、パラジウムなどの導電性ペースト、バンプ、異方性導電材、低融点金属のろう材、エポキシ、シリコーン樹脂等の樹脂の接合部材を介して、基板に実装される。特に、紫外光を発光する発光素子の場合には、発光によって劣化しにくい無機物の材料、例えば、半田、合金、共晶合金を用いることが好ましい。
【0024】
〔電子部品〕
電子部品は、基板上に配置され、後述する発光素子が実装された領域(以下、発光領域ということがある)とは別の領域に実装されている。電子部品は、後述するキャップ外(キャップの外側)に配置されていることが好ましい。
ここで、電子部品とは、発光素子の通電に関与するもの、発光素子の駆動に関連するもの等が包含される。具体的には、コンデンサ、バリスタ、ツェナーダイオード、ブリッジダイオード、チップ抵抗、メルフ抵抗等の保護素子、サーミスタ等の温度センサ、温度補償用素子、各種トランジスタ、外部電源を供給するためのコネクタ等の表面実装型の電子部品、ケーブル等が挙げられる。これらの電子部品を備えることにより、通電及び駆動における信頼性を向上させた高性能の発光装置を提供することができる。
【0025】
(樹脂部)
これらの電子部品は、その表面に樹脂部を備える。樹脂部は、例えば、いわゆる封止樹脂として、素子、回路、配線、端子又はケーブル等の表面を被覆するものが挙げられる。
樹脂部の主成分となる樹脂は、特に限定されず、当該分野で用いられている樹脂を用いることができる。例えば、被覆部材を構成する樹脂として挙げられている、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂から適宜選択することができる。なかでも、エポキシ樹脂は機械的強度及び電気絶縁性に優れるため、電子部品に好適に用いられるが、一般的に耐光性が低い。そのため、本発明では特に好ましく適用することができる。
また、樹脂部は、樹脂部が黒色又は黒色に近い濃い色である場合に、本発明の実施形態は特に有効である。そのために、本発明は、カーボンブラック等の色素等を含有しているものに好適に適用される。
【0026】
〔基板〕
基板は、発光素子及び電子部品が載置される部材である。基板は、発光素子が載置される第1主面と、この第1主面の反対側の第2主面とを有することが好ましい。
【0027】
基板の平面視(基板の第1主面側から見た場合)における概形は、特に限定されるものではなく、多角形、多角形の少なくとも1つの辺又は角が丸みをおびたもの等の種々の形状とすることができる。なかでも、平面視における概形が四角形であることが好ましく、特に長方形であることがより好ましい。ただし、これらの形状に、凹部、凸部、切欠き及び/又は孔等が規則的又は不規則的に配置されていてもよい。なかでも、発光装置が印刷用又は樹脂硬化用の光源として、複数の発光装置を並べて利用される点を考慮すると、矩形が好ましい。
【0028】
基板は、複数の発光素子を保持し得る程度の厚みがあれば、剛性を有するものであってもよいし、柔軟性を有するもののいずれでもよい。材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂、木材、パルプ等の絶縁材料、半導体、金属(例えば、銅、銀、金、アルミニウム等)等の導電材料の単一材料及びこれらの複合材料によって形成することができる。なかでも、金属、セラミックス、樹脂等が好ましい。セラミックスとしては、放熱性の高い窒化アルミが好ましい。
【0029】
基板は、通常、発光素子と電気的に接続される配線を備える。このような配線は、基板上に直接形成されたものでもよいし、別の基体上に配線が形成されたものを基板に載置して形成されたものでもよい。基板上には、発光素子以外に電子部品が実装されるため、これら電子部品に接続される配線が配置されていてもよい。これらの配線によって、後述する種々の回路を構成することができる。
【0030】
配線の材料は、通常、発光素子と電気的な接続に用いられるものであれば、特に限定されるものではなく、当該分野で公知のものを用いることができる。例えば、銅、アルミニウム、金、銀等の金属を用いることができる。厚みは、数μm〜数百μmとすることができる。めっき、スパッタ、公知の方法で形成したものを利用することができる。
【0031】
基板は、第1主面において、複数の発光素子が実装されてなる発光領域を有する。この発光領域に、種類の異なる発光素子が実装される。発光領域には、1種類につき1つずつの発光素子が実装されていてもよいが、例えば、1種類について複数の発光素子が実装されていてもよい。つまり、第1の発光素子、第2の発光素子、第3の発光素子、第4の発光素子は、1つの発光装置にそれぞれ1つのみ搭載されてもよいし、複数搭載されてもよい。複数の発光素子は、それぞれ列状、行状又はマトリクス状に配列されて実装されていることが好ましい。これにより、高出力の発光装置とすることができる。
【0032】
基板は、その第1方向に、異なる種類の発光素子と電子部品が並んで実装される。基板の第1方向は任意に決定することができ、例えば、基板の第1主面が矩形である場合には、矩形の長手方向に沿って延長する方向を第1方向とすることができる。
【0033】
一実施形態では、上述の第1の発光素子と、第2の発光素子と、任意の第nの発光素子とが基板上に配置される場合、第1の発光素子、第2の発光素子、任意の第nの発光素子、電子部品がこの順に第1方向に並ぶように配置されていることが好ましい。言い換えると、紫外光を発光し、3種類の発光素子の中で最も発光波長の短い第1の発光素子を、電子部品から遠ざけて配置するか、第1の発光素子と電子部品との間に、紫外光を遮ることができる発光素子が配置されていることが好ましい。これによって、紫外光が照射されることに起因する電子部品の劣化等を効果的に防止することができる。
【0034】
そのために、第2の発光素子は、第1の発光素子よりも波長が長く、かつ紫外光よりも長い波長の光を発する発光素子とすることが好ましい。あるいは、第2の発光素子が第1の発光素子より長いが、紫外光を発光する発光素子である場合には、紫外光よりも長い波長の光を発する第nの発光素子を、上述した順序で配置することが好ましい。
なお、第2の発光素子が紫外光を発光するか否かにかかわらず、第1の発光素子、第nの発光素子、第2の発光素子、電子部品がこの順に第1方向に並ぶように配置されていてもよい。
【0035】
他の実施形態では、上述したように、第4の発光素子と、第3の発光素子とが基板上に配置される場合、第3の発光素子、第4の発光素子、電子部品がこの順に第1方向に並ぶように配置されていることが好ましい。つまり、電子部品に近い位置に配置される第4の発光素子は、配光性が狭いために、大部分の発光は基板の上方向に出射される。また、配光性の広く紫外光を発光する第3の発光素子からの発光を第4の発光素子によって遮ることができる。その結果、電子部品に向かって第3の発光素子による紫外光が照射されることが防止される。これにより、紫外光が照射されることによる電子部品の劣化等を効果的に防止することができる。
この場合、第3の発光素子は、紫外光を発するものであれば、第4の発光素子よりも波長が長い又は短い光を発するものでも、本実施形態の効果が得られる。
また、第4の発光素子は透光性の低い素子基板を備えることが好ましい。これにより、第3の発光素子からの発光をより遮ることができる。
【0036】
第mの発光素子が配置される場合、その位置は、第3の発光素子と第4の発光素子とは反対側、第3の発光素子と第4の発光素子との間、第4の発光素子と電子部品との間のいずれでもよい。また、その波長は、第3の発光素子及び/又は第4の発光素子よりも短くても、長くてもよく、紫外光を発するものでも、紫外光よりも長い波長の光を発するものでもいずれもよい。さらに、第3の発光素子より配光が狭くても、広くてもよい。ただし、第mの発光素子が第4の発光素子と電子部品との間に配置される場合には、第mの発光素子は、第3の発光素子より配光が狭い発光素子、あるいは、配光性の狭広にかかわらず、紫外光よりも長い波長の光を発する発光素子であることが好ましい。
【0037】
本実施形態の発光装置は、基板上の所定の領域に同じ種類の発光素子が実装されてなる分画領域を有することが好ましい。
分画領域は、発光装置に用いられる発光素子の種類毎に構成されることが好ましい。例えば、紫外光を発する複数の第1の発光素子を第1の分画領域に配置し、第1の発光素子より長い波長を発し、第1の発光素子と異なる種類の複数の第2の発光素子を第2の分画領域に配置することができる。
分画領域から取り出される発光は、該分画領域に配置された発光素子の波長と略一致する。そのため、本実施形態の発光装置は、この波長ごとに分画された複数の分画領域のうち、紫外光を発光する発光素子が配置された分画領域を、電子部品が配置された分画領域から遠ざけるように配置している。
【0038】
このような発光装置は、発光装置を被照射物に対して移動させて用いるインク又は樹脂の硬化用の装置に組み込まれる場合、発光波長が短い発光素子を配置した領域を基板の一方の端側に配置することにより、最先又は最後に短い波長の光を照射することが可能となる。これにより、硬化反応の開始や促進等、各種の効果を得ることができる。
【0039】
発光素子又は分画領域の配置は、第1発光素子または第3の発光素子と、電子部品との間に、第2の発光素子又は第4の発光素子が設けられている限り、どのようなものであってもよい。このような配置は、被照射物の性質や条件によって照射する発光の種類の順序を調整することができる。
【0040】
発光装置に実装される発光素子の総数は、例えば、1〜数百個程度が挙げられる。これら複数の発光素子は1〜数十列程度に並べて配置することができる。これらの発光素子の接続形態は、特に限定されず、直列、並列、直並列、並直列の1以上の回路を含むものが挙げられる。なかでも、直並列又は並直列、例えば、2並列×10直列が、複数回路含まれるものが好ましい。また、このような接続形態とすることにより、それぞれの回路ごとに光量を独立して制御することが可能となる。また、1つの発光素子が断線等により不通となっても又は複数の発光素子が不通となっても、この発光素子を含まない回路においては不通を回避することができる。さらに、それぞれの回路に、異なる発光波長帯を有する発光素子を電気的に接続することで、それぞれの発光波長の光量を独立して制御することも可能になる。さらに、一つの分画領域が一つの直列回路または並列回路となるよう構成し、そのような複数の分画領域を並列または直列に接続してもよい。これにより、それぞれの分画領域の発光波長の光量を独立して制御することが可能になり、さまざまな種類の被照射物に対応可能な発光装置とすることができる。
分画領域の平面視形状は、特に限定されないが、矩形とすることが好ましい。
【0041】
発光素子の波長ごとの分画領域の配置は、基板の平面視における概形に応じて適宜設定することができ、例えば、基板表面が矩形である場合には、複数の分画領域は、第1方向である長手方向に沿って並ぶように配置することができる。これにより、同じ設計の発光装置を複数、それぞれの発光装置の長手方向の辺が対向するよう並べて配置した場合、それぞれの発光装置での同じ波長を発する分画領域をつなげて並べることができる。
【0042】
基板の表面は、光反射性の高い材料で覆われてもよい。また、発光素子の周囲も光反射性の高い材料で覆われていてもよい。これにより、発光装置の光を効率よく取り出すことができる。この光反射性の高い材料は、後述する被覆部材のなかから適宜選択することができ、被覆部材と同じ材料であってもよい。
【0043】
基板は、側面に窪み部を備えるものが好ましい。この窪み部は、後述するキャップの金属枠の爪部が収容され、係止されるために利用することができる。
窪み部は、キャップを確実に固定できる位置、数、大きさで配置されていることが好ましい。窪み部は、側面に配置された穴でもよいし、側面から第2主面にわたって開口する切欠でもよい。窪み部は、一対の側面に一対又は二対、二対の側面に一対又は二対形成されていることが好ましい。窪み部は、爪部を係止できるものであれば、平面視において、円形、楕円形、多角形、これらを組み合わせた形状等、種々の形状であってもよい。
【0044】
本発明の実施形態の発光装置は、その他の部材を備えていてもよい。
(被覆部材)
電子部品は、それを構成する樹脂部が被覆部材で覆われていることが好ましい。被覆部材は、通常、樹脂部の外表面を被覆する。被覆部材は、紫外光に対して樹脂部よりも耐光性が高いものによって形成されていることが好ましい。これにより、光吸収による樹脂部の劣化を効果的に低減することができる。
【0045】
ここで、耐光性とは、光、特に紫外光により、元の樹脂の状態から、表面状態の変化(色、光沢、寸法の変化又は亀裂、白化、そりの発生など)、化学変化、物理的変化(引張強さ、切断伸び、衝撃強さ、弾性率の変化など)のいずれかが起こる現象に対する耐性を意味する。よって、耐光性が高いとは、これら1以上の変化の程度が小さいことを意味する。具体的には、紫外線カーボンアーク(WV)、サンシャインカーボンアーク(WS)、キセノンアーク(WX)、メタリングアーク、リモートプラズマ等による紫外光を含む光を照射可能な光源を備えた市販の耐光性又は耐候性試験機、これらの加速/促進試験機等を利用して、耐候性又は耐光性試験の前後における、これら1以上の変化の程度を評価して判断することができる。
【0046】
例えば、波長365nmの発光素子を光源として用い、発光素子と樹脂との距離(WD)を約3mmに設定した際のピーク照度が約10W/cm
2の状態で、200分間照射した場合、目視にて、樹脂に変色又は変質が認められない場合等に、耐光性が高い、樹脂に変色又は変質が認められた場合に、耐光性が低いと判断することができる。
【0047】
被覆部材は、例えば樹脂を基材として用いることができる。
このような樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、これらの変性樹脂又はこれらの樹脂を1種以上含むハイブリッド樹脂等が挙げられる。具体的には、エポキシ樹脂組成物、変性エポキシ樹脂組成物(シリコーン変性エポキシ樹脂等)、シリコーン樹脂組成物、変性シリコーン樹脂組成物(エポキシ変性シリコーン樹脂等)、ハイブリッドシリコーン樹脂(例えば、シリカとシリコーンとのゾルゲル合成樹脂等)、ポリイミド樹脂組成物、変性ポリイミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンテレフタレート樹脂、ポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、PBT樹脂、ユリア樹脂、BTレジン、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の樹脂が挙げられる。なかでも、シリコーン樹脂を含むものが好ましく、特に、樹脂部がエポキシ樹脂を含む場合、被覆部材がシリコーン樹脂を含むものが極めて有利である。
【0048】
被覆部材は、上述した樹脂に加えて、光反射性物質、紫外線吸収剤及び/又は光吸収剤を含有することが好ましい。これにより、耐光性を高めることができる。光反射性物質としては、二酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、硫酸バリウム、カーボンブラック、各種希土類酸化物(例えば、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム)等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系等、プラスチックにおいて通常使用されるものが挙げられる。光吸収剤としては、例えば、紫外線吸収剤又は紫外線遮蔽剤等が挙げられる。具体的には、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、二酸化チタン、繊維状フィラー(ガラス、ガラスファイバー、ワラストナイトなど)、無機フィラー(窒化アルミニウム、カーボン等)等が挙げられる。
【0049】
これら光反射性物質、紫外線吸収剤及び/又は光吸収剤は、例えば、被覆部材の全重量に対して、10〜95重量%程度、20〜80重量%程度含有させることが好ましい。
【0050】
被覆部材は、電子部品の樹脂部の全表面を覆うことが好ましいが、発光素子及び電子部品の位置関係並びにキャップの形態等によって、電子部品の樹脂部の一部(上面、上面と側面の一部等)のみを覆っていてもよい。特に、電子部品が発光素子に直接又は間接的に対面する場合には、対面する側の側面の全部を被覆することが好ましい。
被覆部材は、電子部品の端子、基体に形成又は接続された配線又はケーブル等を被覆してもよい。被覆部材が被覆する面積を大きくすることで、被覆部材と他の部材との密着性を高め、樹脂部の保護を確実に行うことができる。
【0051】
被覆部材は、後述するキャップの上面よりも低い位置に、その上面が配置されるように、電子部品を覆うことが好ましい。発光素子の光は、キャップ上面から取り出されるために、その光の照射を効果的に回避するためである。
【0052】
被覆部材は、効果的に発光素子から出射される光を遮蔽するという観点から、その厚みが厚いことが好ましいが、発光装置の小型化を考慮して、300μm程度以下の厚みであることが好ましく、200μm以下の厚みであることがより好ましい。また、50μm以上の厚みであることが好ましい。
【0053】
被覆部材は、例えば、被覆部材が樹脂を基材とする場合には、ディスペンス法、印刷法、スプレー法、射出成型法等で形成することができる。
【0054】
被覆部材が紫外線吸収性の高い材料である場合、発光素子の発光を制御する遮光部材として用いることもできる。例えば、発光装置が、吐出部において吐出されたインクを硬化させるような、印刷用インク硬化用の光源として用いられる場合には、発光装置で反射した光が吐出部又は吐出直後のインクに当たって不要な反応が起こることを抑えるために、被覆部材は、発光装置のインクの吐出部に近い側に設けることが好ましい。
【0055】
〔キャップ〕
本実施形態の発光装置においては、発光素子が実装された基板に、発光素子を覆うようにキャップが装着されることが好ましい。特に、発光素子が実装された発光領域の全てを覆っていることが好ましい。
キャップの平面視の外形は、特に限定されるものではなく、基板の形状、発光素子の配置等によって適宜設定することができる。なかでも、平面視が四角形であることが好ましい。
キャップは、発光素子からの発光を取り出すことができればよいが、例えば、主として透光性部材と金属枠とを有することが好ましい。
【0056】
(透光性部材)
透光性部材は、キャップの少なくとも上面を構成する。透光性部材は、金属枠に保持され、発光領域を覆うように設けられる。そのため、発光素子から出射された光を効率的に取り出すことができる部材で形成される。例えば、発光素子から出射される光の波長の90%以上を透過するものが好ましい。
このような部材は、例えば、熱可塑性樹脂又は熱硬化性の樹脂、ガラス等により形成されたものとすることができ、なかでも、発光素子が紫外光を発するものであるため、劣化しにくい無機物のガラスが好ましい。発光装置に実装される発光素子のいずれかの発光波長が300nm以下である場合には、石英ガラスを用いることが好ましい。
【0057】
透光性部材の形状は特に限定されず、発光素子が搭載された領域、金属枠の形状によって適宜設定することができる。例えば、透光性部材は、平面視が四角形、円形であることが好ましい。
透光性部材の厚みは、要求される発光装置の厚み及び光学特性等によって適宜選択でき、例えば、0.1〜10mm程度とすることができる。
透光性部材は、発光素子を覆うのみならず、配光を制御するために、凸レンズ形状、凹レンズ形状、ドーム形状、凹凸形状が配列された形状等を有していてもよい。これらの形状は、1つの透光性部材に複数個配列したもの、例えば、フライアイレンズ等であってもよい。
このように、透光性部材によって発光素子からの配光を制御する、具体的には発光素子から発光装置の上方向への光の取出しを高めることで、発光素子の発光を電子部品に当たりにくくすることができ、電子部品の劣化の低減に寄与することができる。
【0058】
透光性部材の表面には、発光素子からの光の透過率を高める誘電体多層膜(例えば、ARコートとも呼ばれる)を設けてもよく、光を拡散させる微細な凹凸を設けてもよい。
透光性部材の上面、つまり、キャップの上面は、電子部品を被覆する被覆部材の上面よりも上方に位置することが好ましい。上述したように、透光性部材から、上面に発光素子から出射された光が取り出される。よって、透光性部材の上面と、電子部品を被覆する被覆部材の上面を同じか、それよりも下方に配置することにより、発光素子からの光が電子部品に照射されることを防止することができる。
【0059】
(金属枠)
金属枠は、前述の透光性部材を保持する部材で、例えば、キャップの側面を構成する。
金属枠は、発光領域の外周を取り囲むように配置されることが好ましい。よって、金属枠は、上述した電子部品と対面して配置される部位を有する。これにより、発光素子からの配光を制御する、具体的には発光素子の側方に向かう光を遮ることができ、発光素子からの光が電子部品に当たりにくくなり、電子部品の劣化の低減に寄与することが好ましい。
【0060】
金属枠は、透光性部材を直接挟持、把持等することにより保持することが好ましい。
例えば、有機物が変質すると、その成分が気化又は飛散し、透光性材料の表面を汚染することがある。この汚染は、透光性部材の光透過率の低下、すなわち光吸収率の上昇を招くおそれがあり、透光性部材の部品の発熱量が増大させる。その結果、発光装置の信頼性を低下することがある。また、半田等の金属系の接着剤は、有機物のように変質するおそれは低いが、接着の際の熱によって透光性部材の破損、変形等を起こすおそれがある。
【0061】
一方、透光性部材を金属枠のみで保持し、接着剤、特に、一般的に用いられる有機物等を含む部材を用いない、言い換えると金属枠は、透光性部材と接着されていないことにより、透光性部材の脱落、表面の汚染が発生せず、長期間にわたって、透光性部材を確実に固定することができ、発光装置の信頼性をより高めることができる。特に、有機物の変質は発光素子の発光波長が短波長であるほど発生しやすい。また、透光性部材と金属枠との熱膨張率差に起因する歪みによる透光性部材の割れ、破損等も防止することができる。
【0062】
金属枠の材料は、金属である限り特に限定されるものではなく、例えば、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、銀、金、チタン又はこれらの合金を含むものが挙げられる。表面にめっき及び塗布等により形成された光反射材料又は光吸収材料を有していてもよい。これにより、光の吸収を低減し、発光装置の光取り出し効率を向上させ、部品の発熱を抑制することできる。金属枠は、発光素子との間に意図しない導通が発生することを防ぐために、Si0
2等の絶縁物で被覆するか、絶縁化処理を行う等により、その表面を絶縁することが好ましい。これにより、金属枠と発光素子との間の距離を小さくすることができ、発光素子の配置の自由度を高めることができる。
金属枠の形状は、特に限定されるものではなく、透光性部材や基板の形状等によって、適宜設定することができる。なかでも、金属枠は、平面視が四角形であることが好ましい。透光性部材を挟持等するために、例えば、側片と上片とを備えることが好ましい。
金属枠は、例えば、後述する側片等に鉤状構造などの構造を配置し、これを利用して、基板に固定することができる。
【0063】
(側片)
側片は、金属枠において基板の第1主面の上方から基板に向かう方向に延長する部位である。つまり、発光素子を覆うように、基板の第1主面の上方から、基板表面に向かう方向に延長する。例えば、上述した基板の側面に対応する、一対の第1の側片と一対の第2の側片を有する。
【0064】
第1の側片は、基板の第1主面の上方から基板の側面に至り、基板の側面に沿って、基板の側面を被覆するように延長することが好ましい。第2の側片は、基板の第1主面の上方から基板表面に向かって延長し、その端部が基板上に接触して配置されることが好ましい。このような形態により、金属枠の基板の上下方向のずれ等を防止して、透光性部材を基板に対して所定の位置に固定することができる。
【0065】
第1の側片の高さは、第2の側片の高さよりも高いことが好ましい。これによって、第1の側片では、基板の側面を挟持することができ、同時に、第2の側片を基板上面に配置することができる。その結果、透光性部材の確実な固定を実現でき、発光装置の小型化を実現することができる。さらに、第2の側片を基板の上に配置することにより、発光素子の発光面から透光性材料の底面(光の入射面)までの距離を一定に保つことができ、光路の制御が可能となる。
【0066】
第1の側片の高さは、基板の厚みと透光性部材の厚みと発光領域に必要とされる空間の高さの合計よりも若干小さくてもよいし、一致していてもよいし、若干大きくてもよい。なお、ここでの一致とは、発光装置の特性及び製造等に影響を与えない範囲、例えば、数十〜数百μm程度の変動は許容されることを包含する。
このような金属枠は、板金状の金属枠をワイヤーカット、サーボブレーキプレス等の公知の方法で曲げ加工等して枠状に成形することで、容易に製造することができる。
【0067】
(上片)
上片は、金属枠の一部であり、透光性部材の上方に配置される。透光性部材の一部(例えば、金属枠の側片に近い位置)を覆うように配置される部位である。
上片は、透光性部材の外周の一部のみを覆うように配置されていることが好ましい。特に、上片は、第1の側片に上片の幅でのみ連結されていることが好ましい。これによって、第1の側片に沿った部位において透光性部材の被覆マージンを設けることなく、透光性部材を保持することができる。その結果、より小型かつ開口面積が広い発光装置を得ることができる。
【0068】
金属枠は、金属の平板を、当該分野で公知の方法によって切断、変形、曲げ加工することにより形成することができる。金属の平板の厚みは、0.0数mm〜1mm程度が挙げられる。
【0069】
以下、本発明に係る発光装置の実施形態を、図面に基づいて具体的に説明する。
実施形態1
この実施形態の発光装置10は、
図1A及び1Bに示すように、基板11と、基板11上に搭載された、第1の種類の発光素子12C、第2の種類の発光素子12E、第3の種類の発光素子12Fと、発光素子12C、12E、12Fを覆うキャップ13と、電子部品16a、16bとを備える。電子部品16aはコネクタであり、電子部品16bはツェナーダイオードである。
【0070】
〔基板11〕
基板11は、第1主面の平面の概形が長方形である窒化アルミニウムを基材とする板状の部材(厚み:2mm)であり、第1主面11aを有する。基板11の第1主面の上発光素子からの光を反射する白色の絶縁性のレジストが設けられている。
【0071】
基板11は、第1主面11aに発光素子12C、12E、12Fを接続するための配線を備える。この回路パターンの上に、発光素子12C、12E、12Fが実装された、3つの分画領域11C、11E、11Fを有する。
基板11の分画領域11C、11E、11Fは、基板11表面の長手方向において、この順に並んでいる。電子部品16a、16bは、分画領域11Fの分画領域11Eとは反対側に配置される領域を有する。
【0072】
〔発光素子12C、12E、12F〕
発光素子は、例えば、窒化物系半導体の半導体層を有し、発光ピーク波長が365nmの発光素子12C、発光ピーク波長が385nmの発光素子12E、発光ピーク波長が405nmの発光素子12Fを含み、それぞれの発光素子が、平面視においてほぼ四角形の外形を有する。発光素子12Cは、24個が基板11上の分画領域11Cにおいて6列4行に配列されている。発光素子12Eは、18個が基板11上の分画領域11Eにおいて6列3行に配列されている。発光素子12Fは、18個が基板11上の分画領域11Fにおいて6列3行に配列されている。
【0073】
〔キャップ13〕
キャップ13は、第1主面に発光素子12C、12E、12Fが実装された基板の分画領域11C、11E、11Fにおいて、発光素子12C、12E、12Fの全てを覆うように基板に装着されている。キャップ13の平面の概形は四角形である。
キャップ13は、透光性部材14と、金属枠15とを有する。キャップ13は、基板11に固定するために、金属枠15において鉤状構造を有している。
【0074】
(透光性部材14)
透光性部材14は、ガラスにより形成されており、平面視、四角形である。その大きさは、24.6mm×27.1mmであり、厚みは、0.7mmである。
【0075】
(金属枠15)
金属枠15は、透光性部材14を保持している。金属枠15は、透光性部材14と直接接触して、透光性部材14を挟持、把持しており、透光性部材14との間に接着剤を用いていない。
金属枠15は、アルミニウムの板からなり、平面視が四角形である。
金属枠15は、基板の第1主面の上方から、基板に向かう方向に延長する側片を有する。側片は、基板11の長手方向に沿って延びる第1の側片15Bと、基板11の短手方向に沿って延びる第2の側片15Dとを有する。
金属枠15は、さらに、上片15Aを備える。
【0076】
〔電子部品16〕
基板11の第1主面11aの端部であって、キャップ13外に、コネクタ、ツェナーダイオード等の電子部品16a、16bが搭載されている。これらの電子部品16a、16bは、キャップ13を構成する金属枠15の第2の側片15Dに対向して配置されている。
電子部品16a、16bは、その表面に樹脂部を有する。樹脂部は、カーボンブラック含有のエポキシ樹脂からなる。さらに、
図1Bに示すように、電子部品16a、16bの樹脂部は、その表面がそれぞれ被覆部材17で覆われている。被覆部材17は、光反射性物質である酸化チタンを30重量%含有するシリコーン樹脂によって、厚み300μm程度で被覆されている。
【0077】
電子部品16a、16bの表面は、凹凸及び段差があるために、被覆部材17を構成する材料をディスペンサによって、電子部品16a、16bの表面に形成する。
電子部品16a、16bの上面は、キャップ13の上面よりも低い位置、つまり、基板11の第1主面11aに近い側に配置されている。
【0078】
この実施形態の発光装置10では、紫外光を発光する第1の種類の発光素子12C、第2の種類の12Eが、電子部品16a、16bに対して遠い側からこの順に配置されている。紫外光を発光する第2の種類の発光素子12Eと電子部品16a、16bとの間に、第1の種類の発光素子12Cおよび第2の種類の12Eよりも長い波長の光を発光する第3の種類の発光素子12Fが配置されているため、第1の種類の発光素子12C、第2の種類の12Eから出射され、電子部品16a、16bに到達する紫外光を、第3の種類の発光素子12Fによって効果的に遮ることができるため、電子部品の劣化を抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態の発光装置においては、もっと発光波長が短い発光素子が、基板11の端に配置されている。これにより、発光装置を樹脂等の硬化の光源として利用する場合に、樹脂の硬化を効率的に行うことができる。
【0080】
また、電子部品16a、16bの表面、特に、樹脂部で形成されている表面が、光反射性の被覆部材17によって被覆されているために、発光素子から出射される紫外光の一部が電子部品16a、16bに照射されても、劣化及び分解することなく、確実に電子部品16a、16bを保護することができる。そのために、分解物等による剥離、汚染を防止することができ、長期にわたって信頼性の高い発光装置が得られる。
【0081】
実施形態2
この実施形態の発光装置20Aは、
図2Aに示すように、基板11は、第1主面11aに第4の種類の発光素子12C、第5の種類の発光素子12E、第6の種類の発光素子12Fが実装された3つの分画領域11C、11E、11Fを有している。分画領域11C、11E、11Fは、基板11表面の長手方向において、この順に並んでおり、基板11は、さらに、分画領域11Fの分画領域11Eとは反対側において、電子部品16a、16bが配置される領域を有する。
【0082】
発光素子は、例えば、それぞれ窒化物系半導体の半導体層を有する、発光ピーク波長が385nmの第4の種類の発光素子12C、発光ピーク波長が395nmの第5の種類の発光素子12E、発光ピーク波長が405nmの第6の種類の発光素子12Fを含む。第4の種類の発光素子12Cは、20個が基板11上の分画領域11Cにおいて10列2行に配列されている。第5の種類の発光素子12Eは、20個が基板11上の分画領域11Eにおいて10列2行に配列されている。第6の種類の発光素子12Fは、20個が基板11上の分画領域11Fにおいて10列2行に配列されている。
【0083】
なお、
図2Aにおいては、説明の便宜のためにキャップを除去した状態の発光装置の平面図を示している(
図2A〜
図5において同様である)。
上述した構成以外は、本実施形態の発光装置20Aは、実質的に実施形態1の発光装置10と同様の構成を有し、発光装置10と同様の効果を有する。
【0084】
実施形態2の変形例
この実施形態の発光装置20Bは、
図2Bに示すように、基板11は、第1主面11aに第7の種類の発光素子12C、第8の種類の12Eが実装された2つに分画された分画領域11C、11Eを有している。分画領域11C、11Eは、基板11表面の長手方向において、この順に並んでおり、基板11は、さらに、分画領域11Eの分画領域11Cとは反対側において、電子部品16a、16bが配置される領域を有する。
【0085】
発光素子は、例えば、窒化物系半導体の半導体層を備える発光ピーク波長が385nmの第7の種類の発光素子12C、発光ピーク波長が405nmの第8の種類の発光素子12Eを含む。第7の種類の発光素子12Cは、30個が基板11上の分画領域11Cにおいて10列3行に配列されている。第8の種類の発光素子12Eは、30個が基板11上の分画領域11Eにおいて10列3行に配列されている。
【0086】
上述した構成以外は、本実施形態の発光装置20Bは、実質的に実施形態1の発光装置10と同様の構成を有し、発光装置10と同様の効果を有する。
【0087】
実施形態3
この実施形態の発光装置30は、
図3に示すように、基板11は、第1主面11aに第9の種類の発光素子12B、第10の種類の発光素子12C、第11の種類の発光素子12Fが実装された3つに分画された分画領域11B、11C、11Fを有している。分画領域11B、11C、11Fは、基板11表面の長手方向において、この順に並んでおり、基板11は、さらに、分画領域11Cの分画領域11Bとは反対側において、電子部品が配置される領域を有する。
【0088】
発光素子は、例えば、それぞれ窒化物系半導体を半導体層として有する、発光ピーク波長が310nmの第9の種類の発光素子12B、発光ピーク波長が365nmの第10の種類の発光素子12C、発光ピーク波長が405nmの第11の種類の発光素子12Fを含む。第9の種類の発光素子12Bは、基板11上の分画領域11Bにおいて10列2行に配列されている。第10の種類の発光素子12Cは、基板11上の分画領域11Cにおいて10列2行に配列されている。第11の種類の発光素子12Fは、基板11上の分画領域11Fにおいて10列2行に配列されている。
【0089】
上述した構成以外は、本実施形態の発光装置30は、実質的に実施形態1の発光装置10と同様の構成を有し、発光装置10と同様の効果を有する。
【0090】
実施形態4
この実施形態の発光装置40は、
図4に示すように、基板11は、第1主面11aに、第12の種類の発光素子12B、第13の種類の発光素子12D、第14の種類の発光素子12Eが実装された3つに分画された分画領域11B、11D、11Eを有している。分画領域11B、11D、11Eは、基板11表面の長手方向において、この順に並んでおり、基板11は、さらに、分画領域11Eの分画領域11Dとは反対側において、電子部品16a、16bが配置される領域を有する。
【0091】
発光素子は、例えば、それぞれ窒化物系半導体の半導体層を有する、発光ピーク波長が310nmの第12の種類の発光素子12B、発光ピーク波長が385nmの第13の種類の発光素子12D、発光ピーク波長が405nmの第14の種類の発光素子12Eを含む。第12の種類の発光素子12Bは、フェイスダウン実装によって、基板11上の分画領域11Bにおいて10列2行に配列されている。第13の種類の発光素子12Dは、基板11上の分画領域11Dにおいて10列2行に配列されている。第14の種類の発光素子12Eは、基板11上の分画領域11Eにおいて10列2行に配列されている。
【0092】
第12の種類の発光素子12Bは、発光装置の光取り出し側に透光性の素子基板を有し、基板11と対向する側に半導体層および正負一対の電極を有する。
第13の種類の発光素子12D及び第14の種類の発光素子12Eは、いずれも、裏面側をp側電極とする導電性の素子基板、反射膜(p側全面電極の機能も有する)、p型半導体層、活性層、n型半導体層及びn側電極をこの順に備える積層構造を有する。このような構成の発光素子12D、12Eは、活性層からの光がn型半導体層の方向又はp型半導体層の方向に放射され、n型半導体層の方向へ出た光はそのまま略真上方向に取り出される。一方、p型半導体層の方向へ出た光はp型半導体層と導電性の素子基板との間のほぼ全面に設けられた反射膜で反射され、半導体層側に反射され、取り出される。このような光取り出しにより、発光素子直上方向への光が強くなり、発光素子は狭い配光性を有する。
【0093】
上述した構成以外は、本実施形態の発光装置40は、実質的に実施形態1の発光装置10と同様の構成を有し、発光装置10と同様の効果を有する。
【0094】
実施形態5
この実施形態の発光装置50は、
図5に示すように、基板11は、第1主面11aに発光素子第15の種類の発光素子12G、第16の種類の発光素子12C、第17の種類の発光素子12Eが実装された3つに分画された分画領域11G、11C、11Eを有している。分画領域11G、11C、11Eは、基板11表面の長手方向において、この順に並んでおり、基板11は、さらに、分画領域11Eの分画領域11Cとは反対側において、電子部品16a、16bが配置される領域を有する。
【0095】
発光素子は、例えば、それぞれ窒化物系半導体の半導体層を有する、発光ピーク波長が255nmの第15の種類の発光素子12G、発光ピーク波長が365nmの第16の種類の発光素子12C、発光ピーク波長が395nmの第17の種類の発光素子12Eを含む。第15の種類の発光素子12Gは、フリップチップ実装によって、基板11上の分画領域11Gにおいて10列2行に配列されている。発光素子12Cは、基板11上の分画領域11Cにおいて10列2行に配列されている。発光素子12Eは、基板11上の分画領域11Eにおいて10列2行に配列されている。
【0096】
第15の種類の発光素子12Gは、発光装置の光取り出し側に透光性の素子基板を有し、基板11と対向する側に半導体層および正負一対の電極を有する。
第16の種類の発光素子12Cは、裏面側をp側電極とする導電性の素子基板、反射膜(p側全面電極の機能も有する)、p型半導体層、活性層、n型半導体層及びn側電極をこの順に備える積層構造を有する。このような構成の発光素子12Cは、活性層からの光がn型半導体層の方向又はp型半導体層の方向に放射され、n型半導体層の方向へ出た光はそのまま略真上方向に取り出される。一方、p型半導体層の方向へ出た光はp型半導体層と素子基板との間のほぼ全面に設けられた反射膜で反射され、半導体層側に反射される。これにより、発光素子直上方向へ出力される光が強くなり、狭い配光性を有する。
第17の種類の発光素子12Eは、発光装置の光取り出し側に半導体層と正負一対の電極を有し、基板11と対向する側に透光性基板を有する。
【0097】
上述した構成以外は、実質的に実施形態1の発光装置10と同様の構成を有し、発光装置10と同様の効果を有する。
【0098】
実施形態6
この実施形態の発光装置60は、
図6に示すように、発光素子12C、12E、12Hを被覆するキャップ13の第2の側片15Dと、その端部が配置された基板11の第1主面11aとの間の極僅かな隙間を確実に塞ぐために、被覆部材18が配置されている。
上述した構成以外、実質的に実施形態1の発光装置10と同様の構成を有する。よって、発光装置10と同様の効果を有する。
このように、被覆部材18を配置することにより、発光素子12から出射される紫外光の電子部品16a、16bへの漏光をより確実に防止することができる。