特許第6478051号(P6478051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6478051置換された架橋性化合物を含むレジスト下層膜形成組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6478051
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】置換された架橋性化合物を含むレジスト下層膜形成組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20190225BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20190225BHJP
【FI】
   G03F7/11 503
   G03F7/26 511
【請求項の数】14
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2015-524057(P2015-524057)
(86)(22)【出願日】2014年6月24日
(86)【国際出願番号】JP2014066680
(87)【国際公開番号】WO2014208542
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2017年3月27日
(31)【優先権主張番号】特願2013-134277(P2013-134277)
(32)【優先日】2013年6月26日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-151934(P2013-151934)
(32)【優先日】2013年7月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 顕司
(72)【発明者】
【氏名】新城 徹也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 力丸
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 貴文
(72)【発明者】
【氏名】西巻 裕和
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/040340(WO,A1)
【文献】 特表2011−520148(JP,A)
【文献】 特表2012−515369(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/147155(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G03F 7/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂、及び下記式(1)又は式(2):
【化1】
(式中、Q1は単結合又はm1価の有機基を示し、R1及びR4はそれぞれ炭素原子数1乃至10のアルコキシ基を有する炭素原子数2乃至10のアルキル基を示し、R2及びR5はそれぞれ水素原子又はメチル基を示し、R3及びR6はそれぞれ炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数6乃至40のアリール基を示す。
n1は1≦n1≦3の整数、n2は2≦n2≦5の整数、n3は0≦n3≦3の整数、n4は0≦n4≦3の整数、3≦(n1+n2+n3+n4)≦6の整数を示す。
n5は1≦n5≦3の整数、n6は1≦n6≦4の整数、n7は0≦n7≦3の整数、n8は0≦n8≦3の整数、2≦(n5+n6+n7+n8)≦5の整数を示す。m1は2乃至10の整数を示す。)で示される架橋性化合物を含むレジスト下層膜形成組成物。
【請求項2】
1が単結合、又は炭素原子数1乃至10の鎖状炭化水素基、炭素原子数6乃至40の芳香族基、若しくはそれらの組み合わせから選ばれるm1価の有機基である請求項1に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項3】
上記式(1)又は式(2)で示される架橋性化合物が、下記式(3)又は式(4)で示される化合物と、ヒドロキシル基含有エーテル化合物との反応によって得られるものである請求項1又は請求項2に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【化2】
(式中、Q2は単結合又はm2価の有機基を示す。R8、R9、R11及びR12はそれぞれ水素原子又はメチル基を示し、R7及びR10はそれぞれ炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数6乃至40のアリール基を示す。
n9は1≦n9≦3の整数、n10は2≦n10≦5の整数、n11は0≦n11≦3の整数、n12は0≦n12≦3の整数、3≦(n9+n10+n11+n12)≦6の整数を示す。
n13は1≦n13≦3の整数、n14は1≦n14≦4の整数、n15は0≦n15≦3の整数、n16は0≦n16≦3の整数、2≦(n13+n14+n15+n16)≦5の整数を示す。m2は2乃至10の整数を示す。)
【請求項4】
上記式(3)又は式(4)で示される化合物と、ヒドロキシル基含有エーテル化合物との反応が酸触媒の存在下で行われる請求項3に記載のレジスト下層膜形成組成物の製造方法
【請求項5】
酸触媒が触媒用イオン交換樹脂である請求項4に記載のレジスト下層膜形成組成物の製造方法
【請求項6】
ヒドロキシル基含有エーテル化合物がプロピレングリコールモノメチルエーテル又はプロピレングリコールモノエチルエーテルである請求項4又は請求項5に記載のレジスト下層膜形成組成物の製造方法
【請求項7】
樹脂がノボラック樹脂である請求項乃至請求項6のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物の製造方法
【請求項8】
更に架橋剤を含む請求項乃至請求項7のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物の製造方法
【請求項9】
更に酸及び/又は酸発生剤を含む請求項乃至請求項8のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物の製造方法
【請求項10】
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成することによって得られるレジスト下層膜の製造方法
【請求項11】
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物を半導体基板上
に塗布し焼成してレジスト下層膜を形成する工程を含む半導体の製造に用いるレジストパターンの形成方法。
【請求項12】
半導体基板上に請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物によりレジスト下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンにより該レジスト下層膜をエッチングする工程、及びパターン化されたレジスト下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項13】
半導体基板上に請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物によりレジスト下層膜を形成する工程、その上にハードマスクを形成する工程、更にその上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンによりハードマスクをエッチングする工程、パターン化されたハードマスクにより該レジスト下層膜をエッチングする工程、及びパターン化されたレジスト下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項14】
ハードマスクが無機物の塗布又は無機物の蒸着により形成されたものである請求項13に記載の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板加工時に有効なリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物用架橋触媒、及びそれを含むレジスト下層膜形成組成物、並びに該レジスト下層膜形成組成物を用いたレジストパターン形成法、及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から半導体デバイスの製造において、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。前記微細加工はシリコンウェハー等の被加工基板上にフォトレジスト組成物の薄膜を形成し、その上に半導体デバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線などの活性光線を照射し、現像し、得られたフォトレジストパターンを保護膜としてシリコンウェハー等の被加工基板をエッチング処理する加工法である。ところが、近年、半導体デバイスの高集積度化が進み、使用される活性光線もKrFエキシマレーザー(248nm)からArFエキシマレーザー(193nm)へと短波長化されてきている。これに伴い、活性光線の基板からの乱反射や定在波の影響が大きな問題となり、フォトレジストと被加工基板の間に反射防止膜(BottomAnti−ReflectiveCoating、BARC)と呼ばれるレジスト下層膜を設ける方法が広く適用されるようになってきた。
【0003】
また、更なる微細加工を目的として、活性光線に極端紫外線(EUV、13.5nm)や電子線(EB)を用いたリソグラフィー技術の開発も行われている。EUVリソグラフィーやEBリソグラフィーでは一般的に基板からの乱反射や定在波が発生しないために特定の反射防止膜を必要としないが、レジストパターンの解像性や密着性の改善を目的とした補助膜として、レジスト下層膜は広く検討され始めている。
【0004】
このようなフォトレジストと被加工基板の間に形成されるレジスト下層膜は、上層に積層されるレジストとの混和(ミキシング)を抑制するために、一般的に被加工基板上に塗布された後、焼成工程を経ることでレジストとのミキシングを生じない熱硬化性架橋膜として形成される。
【0005】
通常、レジスト下層膜形成組成物にはこのような熱硬化膜を形成するために、主要成分となるポリマー樹脂に加え、架橋性化合物(架橋剤)や架橋反応を促進するための触媒(架橋触媒)が配合されている。特に、架橋触媒としてはスルホン酸化合物やカルボン酸化合物、スルホン酸エステル等の熱酸発生剤が主として用いられる。
【0006】
ところで近年、半導体装置製造のリソグラフィープロセスにおいて、前記レジスト下層膜形成組成物を用いてレジスト下層膜を形成する際、焼成時に前記ポリマー樹脂や架橋剤、架橋触媒等の低分子化合物に由来する昇華成分(昇華物)が発生することが新たな問題となってきている。このような昇華物は、半導体デバイス製造工程において、成膜装置内に付着、蓄積されることによって装置内を汚染し、それがウェハー上に異物として付着することで欠陥(ディフェクト)等の発生要因となることが懸念される。したがって、このようなレジスト下層膜から発生する昇華物を、可能な限り抑制するような新たな下層膜組成物の提案が求められており、このような低昇華物性を示すレジスト下層膜の検討も行われている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
【0007】
また、良好な埋め込み性と少ない昇華物量のためにブチルエーテル基を有するグリコールウリア系及びメラミン系等のN原子を有する架橋剤を用いる技術が開示されている(特許文献3を参照)。
【0008】
さらに、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシプロポキシメチル基等を側鎖に有する化合物が開示されている(特許文献4、特許文献5を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−175436
【特許文献2】特開2010−237491
【特許文献3】国際公開2008−143302パンフレット
【特許文献4】特開平11−160860号
【特許文献5】特開2003−122006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、半導体装置製造のリソグラフィープロセスに用いるためのレジスト下層膜形成組成物を提供することである。
本発明は昇華物の発生が少なく、ホールパターンを有する基板に塗布した時に埋め込み性の良好なレジスト下層膜形成組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は第1観点として、樹脂、及び下記式(1)又は式(2):
【化1】





(式中、Qは単結合又はm1価の有機基を示し、R及びRはそれぞれ炭素原子数2乃至10のアルキル基、又は炭素原子数1乃至10のアルコキシ基を有する炭素原子数2乃至10のアルキル基を示し、R及びRはそれぞれ水素原子又はメチル基を示し、R及びRはそれぞれ炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数6乃至40のアリール基を示す。
n1は1≦n1≦3の整数、n2は2≦n2≦5の整数、n3は0≦n3≦3の整数、n4は0≦n4≦3の整数、3≦(n1+n2+n3+n4)≦6の整数を示す。
n5は1≦n5≦3の整数、n6は1≦n6≦4の整数、n7は0≦n7≦3の整数、n8は0≦n8≦3の整数、2≦(n5+n6+n7+n8)≦5の整数を示す。m1は2乃至10の整数を示す。)で示される架橋性化合物を含むレジスト下層膜形成組成物、
第2観点として、Qが単結合、又は炭素原子数1乃至10の鎖状炭化水素基、炭素原子数6乃至40の芳香族基、若しくはそれらの組み合わせから選ばれるm1価の有機基である第1観点に記載のレジスト下層膜形成組成物、
第3観点として、上記式(1)又は式(2)で示される架橋性化合物が、下記式(3)又は式(4)で示される化合物と、ヒドロキシル基含有エーテル化合物又は炭素原子数2乃至10のアルコールとの反応によって得られるものである第1観点又は第2観点に記載のレジスト下層膜形成組成物、
【化2】





(式中、Qは単結合又はm2価の有機基を示す。R、R、R11及びR12はそれぞれ水素原子又はメチル基を示し、R及びR10はそれぞれ炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数6乃至40のアリール基を示す。
n9は1≦n9≦3の整数、n10は2≦n10≦5の整数、n11は0≦n11≦3の整数、n12は0≦n12≦3の整数、3≦(n9+n10+n11+n12)≦6の整数を示す。
n13は1≦n13≦3の整数、n14は1≦n14≦4の整数、n15は0≦n15≦3の整数、n16は0≦n16≦3の整数、2≦(n13+n14+n15+n16)≦5の整数を示す。m2は2乃至10の整数を示す。)、
第4観点として、上記式(3)又は式(4)で示される化合物と、ヒドロキシル基含有エーテル化合物又は炭素原子数2乃至10のアルコールとの反応が酸触媒の存在下で行われる第3観点に記載のレジスト下層膜形成組成物、
第5観点として、酸触媒が触媒用イオン交換樹脂である第4観点に記載のレジスト下層膜形成組成物、
第6観点として、ヒドロキシル基含有エーテル化合物がプロピレングリコールモノメチルエーテル又はプロピレングリコールモノエチルエーテルである第3観点乃至第5観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物、
第7観点として、炭素原子数2乃至10のアルコールが、エタノール、1−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール又は2−エトキシエタノールである第3観点乃至第5観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物、
第8観点として、樹脂がノボラック樹脂である第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物、
第9観点として、更に架橋剤を含む第1観点乃至第8観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物、
第10観点として、更に酸及び/又は酸発生剤を含む第1観点乃至第9観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物、
第11観点として、第1観点乃至第10観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成することによって得られるレジスト下層膜、
第12観点として、第1観点乃至第10観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成してレジスト下層膜を形成する工程を含む半導体の製造に用いるレジストパターンの形成方法、
第13観点として、半導体基板上に第1観点乃至第10観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物によりレジスト下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンにより該レジスト下層膜をエッチングする工程、及びパターン化されたレジスト下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法、
第14観点として、半導体基板上に第1観点乃至第10観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物によりレジスト下層膜を形成する工程、その上にハードマスクを形成する工程、更にその上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンによりハードマスクをエッチングする工程、パターン化されたハードマスクにより該レジスト下層膜をエッチングする工程、及びパターン化されたレジスト下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法、
第15観点として、ハードマスクが無機物の塗布又は無機物の蒸着により形成されたものである第14観点に記載の製造方法、及び
第16観点として、下記式(5):
【化3】





(式中、Qはイソプロピリデン基を示し、R14は炭素原子数2乃至10のアルキル基、又は炭素原子数1乃至10のアルコキシ基を有する炭素原子数2乃至10のアルキル基を示し、R15は水素原子又はメチル基を示し、R13は炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数6乃至40のアリール基を示す。
n17は1≦n17≦3の整数、n18は1≦n18≦4の整数、n19は0≦n19≦3の整数、n20は0≦n20≦3の整数、2≦(n17+n18+n19+n20)≦5の整数を示す。)で示される化合物である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に用いられる架橋性化合物はアルコキシメチル基のアルキル基部分(例えばメチル基等の低分子量のアルキル基)を、炭素原子数2乃至10の長鎖アルキル基や炭素原子数1乃至10のアルコキシ基を有する炭素原子数2乃至10のアルキル基に置換することによって得られる架橋性化合物である。
【0013】
この置換された架橋性化合物は樹脂に結合し架橋構造を形成する際に、架橋性化合物から脱離する脱離成分が上記アルキル基部分に相当する分子量の大きな化合物となる。このため、本発明の架橋性化合物を含むレジスト下層膜形成組成物を基板上に被覆し加熱した際、昇華する成分を少なくすることができると考えられる。上述のとおり昇華物はチャンバー内に付着し、それが基板上に落下しコーティング欠陥の原因になる。
従って、本発明の組成物は上記置換された架橋性化合物を用いることによってコーティング欠陥の発生を抑制することができる。
【0014】
また、アルコキシメチル基のアルキル基部分(例えばメチル基等の低分子量のアルキル基)を、炭素原子数2乃至10の長鎖アルキル基や炭素原子数1乃至10のアルコキシ基を有する炭素原子数2乃至10のアルキル基に置換することによって得られる架橋性化合物は樹脂との架橋反応が緩やかに進行する。このため、本発明の架橋性化合物を含むレジスト下層膜形成組成物を微細なホールパターンに被覆した時に架橋による3次元化に伴う流動性の低下が被覆後しばらく生じない。従って、本発明の組成物を使用することでホールパターンに隙間なくレジスト下層膜形成組成物を充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】合成例3で得られたTBOM−BP−BUの4置換体のNMRスペクトル。
図2】合成例4で得られたTBOM−BIP−Aの4置換体のNMRスペクトル。
図3】合成例5で得られたTPOM−BIP−Aの4置換体のNMRスペクトル。
図4】合成例6で得られたTEOM−BIP−Aの4置換体のNMRスペクトル。
図5】合成例7で得られたTIBOM−BIP−Aの4置換体のNMRスペクトル。
図6】合成例8で得られたEGME−BIP−Aの4置換体のNMRスペクトル。
図7】合成例9で得られたEGEE−BIP−Aの4置換体のNMRスペクトル。
図8】合成例10で得られたPGME−BIP−Aの4置換体のNMRスペクトル。
図9】合成例11で得られたEGIPE−BIP−Aの4置換体のNMRスペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は樹脂、及び式(1)又は式(2)で示される架橋性化合物を含むレジスト下層膜形成組成物に関する。
【0017】
本発明における上記レジスト下層膜形成組成物は一般に樹脂、式(1)又は式(2)で示される架橋性化合物、及び溶剤を含む。更に必要に応じて酸発生剤、界面活性剤等の添加剤を含むことができる。この組成物の固形分は0.1乃至70質量%、または0.1乃至60質量%である。固形分はレジスト下層膜形成組成物から溶剤を除いた全成分の含有割合である。固形分中に樹脂(ポリマー)を1乃至99.9質量%、または50乃至99.9質量%、または50乃至95質量%、または50乃至90質量%の割合で含有することができる。
また、固形分中に式(1)又は式(2)で示される架橋性化合物を0.01乃至50質量%、又は0.01乃至40質量%、又は0.1乃至30質量%の割合で含有することができる。
本発明に用いられるポリマーは、重量平均分子量が600乃至1000000、又は600乃至200000である。
【0018】
本発明に用いられる式(1)及び式(2)で示される架橋性化合物において、Qは単結合又はm1価の有機基を示し、R及びRはそれぞれ炭素原子数2乃至10のアルキル基、又は炭素原子数1乃至10のアルコキシ基を有する炭素原子数2乃至10のアルキル基を示し、R及びRはそれぞれ水素原子又はメチル基を示し、R及びRはそれぞれ炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数6乃至40のアリール基を示す。
n1は1≦n1≦3の整数、n2は2≦n2≦5の整数、n3は0≦n3≦3の整数、n4は0≦n4≦3の整数、3≦(n1+n2+n3+n4)≦6の整数を示す。
n5は1≦n5≦3の整数、n6は1≦n6≦4の整数、n7は0≦n7≦3の整数、n8は0≦n8≦3の整数、2≦(n5+n6+n7+n8)≦5の整数を示す。m1は2乃至10の整数を示す。
上記Qは単結合であるか、又は炭素原子数1乃至10の鎖状炭化水素基、炭素原子数6乃至40の芳香族基、又はそれらの組み合わせから選ばれるm1価の有機基とすることができる。ここで、鎖状炭化水素基は下記アルキル基を挙げることができる。芳香族基は下記アリール基を挙げることができる。
【0019】
炭素原子数2乃至10のアルキル基としては、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、1−メチル−シクロプロピル基、2−メチル−シクロプロピル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−n−プロピル基、シクロペンチル基、1−メチル−シクロブチル基、2−メチル−シクロブチル基、3−メチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロプロピル基、2,3−ジメチル−シクロプロピル基、1−エチル−シクロプロピル基、2−エチル−シクロプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、3−メチル−n−ペンチル基、4−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1,2−ジメチル−n−ブチル基、1,3−ジメチル−n−ブチル基、2,2−ジメチル−n−ブチル基、2,3−ジメチル−n−ブチル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、2−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピル基、シクロヘキシル基、1−メチル−シクロペンチル基、2−メチル−シクロペンチル基、3−メチル−シクロペンチル基、1−エチル−シクロブチル基、2−エチル−シクロブチル基、3−エチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロブチル基、1,3−ジメチル−シクロブチル基、2,2−ジメチル−シクロブチル基、2,3−ジメチル−シクロブチル基、2,4−ジメチル−シクロブチル基、3,3−ジメチル−シクロブチル基、1−n−プロピル−シクロプロピル基、2−n−プロピル−シクロプロピル基、1−i−プロピル−シクロプロピル基、2−i−プロピル−シクロプロピル基、1,2,2−トリメチル−シクロプロピル基、1,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、2,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、1−エチル−2−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−1−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−2−メチル−シクロプロピル基及び2−エチル−3−メチル−シクロプロピル基等が挙げられる。
また、炭素原子数1乃至10のアルキル基は上記炭素原子数2乃至10のアルキル基に更にメチル基が例示される。
【0020】
炭素原子数1乃至10のアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、1−メチル−n−ブトキシ基、2−メチル−n−ブトキシ基、3−メチル−n−ブトキシ基、1,1−ジメチル−n−プロポキシ基、1,2−ジメチル−n−プロポキシ基、2,2−ジメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−n−プロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルオキシ基、3−メチル−n−ペンチルオキシ基、4−メチル−n−ペンチルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブトキシ基、1,2−ジメチル−n−ブトキシ基、1,3−ジメチル−n−ブトキシ基、2,2−ジメチル−n−ブトキシ基、2,3−ジメチル−n−ブトキシ基、3,3−ジメチル−n−ブトキシ基、1−エチル−n−ブトキシ基、2−エチル−n−ブトキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1,2,2,−トリメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロポキシ基、及び1−エチル−2−メチル−n−プロポキシ基等が挙げられる。
炭素原子数6乃至40のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
【0021】
上記式(1)又は式(2)で示される架橋性化合物は、式(3)又は式(4)で示される化合物と、ヒドロキシル基含有エーテル化合物又は炭素原子数2乃至10のアルコールとの反応によって得ることができる。
式(3)又は式(4)で示される化合物1モルに、ヒドロキシル基含有エーテル化合物又は炭素原子数2乃至10のアルコールが1モルの割合で置換した式(1)又は式(2)で示される化合物を1置換体、同様に2モル置換した式(1)又は式(2)で示される化合物を2置換体、同様に3モル置換した式(1)又は式(2)で示される化合物を3置換体、同様に4モル置換した式(1)又は式(2)で示される化合物を4置換体とする。
【0022】
式(3)及び式(4)において、Qは単結合又はm2価の有機基を示す。すなわち、上記Qは単結合であるか、又は炭素原子数1乃至10の鎖状炭化水素基、炭素原子数6乃至40の芳香族基、又はそれらの組み合わせから選ばれるm2価の有機基とすることができる。ここで、鎖状炭化水素基は上記アルキル基を挙げることができる。芳香族基は上記アリール基を挙げることができる。
、R、R11及びR12はそれぞれ水素原子又はメチル基を示し、R及びR10はそれぞれ炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数6乃至40のアリール基を示す。
n9は1≦n9≦3の整数、n10は2≦n10≦5の整数、n11は0≦n11≦3の整数、n12は0≦n12≦3の整数、3≦(n9+n10+n11+n12)≦6の整数を示す。
n13は1≦n13≦3の整数、n14は1≦n14≦4の整数、n15は0≦n15≦3の整数、n16は0≦n16≦3の整数、2≦(n13+n14+n15+n16)≦5の整数を示す。m2は2乃至10の整数を示す。
【0023】
式(3)又は式(4)で示される化合物と、ヒドロキシル基含有エーテル化合物又は炭素原子数2乃至10のアルコールとの反応が酸触媒の存在下で行われる。
【0024】
ここで用いられる酸触媒は例えば、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、5−スルホサリチル酸、4−フェノールスルホン酸、カンファースルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸等の酸性化合物を用いることができる。
しかし、反応系に未反応の酸を残存させないために触媒用イオン交換樹脂を用いることができる。触媒用イオン交換樹脂は例えば、スルホン酸型の強酸型イオン交換樹脂を用いることができる。
上記ヒドロキシル基含有エーテル化合物はプロピレングリコールモノメチルエーテル、又はプロピレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。
また、炭素原子数2乃至10のアルコールはエタノール、1−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール又は2−エトキシエタノールが挙げられる。
【0025】
本発明に用いられる式(1)及び式(2)で示される架橋性化合物は例えば以下に例示することができる。
【化4】




【0026】
【化5】




【0027】
【化6】




【0028】
【化7】




【0029】
【化8】




【0030】
また、本発明に用いられる式(3)及び式(4)で示される化合物は例えば以下に例示することができる。
【化9】




【0031】
【化10】




【0032】
本発明に用いられる樹脂は上記架橋性化合物と架橋反応を形成することができる樹脂であれば使用することができる。樹脂に存在する架橋形成基としては水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシ基が挙げられる。
これら架橋形成基を有する樹脂はアクリル樹脂、ノボラック樹脂が挙げられるが、ノボラック樹脂が好ましく用いることができる。
【0033】
上記ノボラック樹脂は芳香環含有化合物とアルデヒド又はケトン化合物とを酸触媒の存在下で反応して得られる。芳香環含有化合物としては例えばベンゼン、フェノール、ナフタレン、フロログリシノール、ヒドロキシナフタレン、フルオレン、カルバゾール、ビスフェノール、ビスフェノールS、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、アントラセン、ヒドロキシアントラセン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェニルインドール、ポリフェノール等が挙げられる。
また、アルデヒドとしてはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロンアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ウンデカンアルデヒド、7−メトキシ−3、7−ジメチルオクチルアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド、3−メチル−2−ブチルアルデヒド、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド、等の飽和脂肪族アルデヒド類、アクロレイン、メタクロレイン等の不飽和脂肪族アルデヒド類、フルフラール、ピリジンアルデヒド等のヘテロ環式アルデヒド類、ベンズアルデヒド、ナフチルアルデヒド、アントリルアルデヒド、フェナントリルアルデヒド、サリチルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒド、トリルアルデヒド、(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、アセトキシベンズアルデヒド、1−ピレンカルボキシアルデヒド等の芳香族アルデヒド類等が挙げられる。
また、ケトンとしては、ジアリールケトン類であり、例えばジフェニルケトン、フェニルナフチルケトン、ジナフチルケトン、フェニルトリルケトン、ジトリルケトン、9−フルオレノン等が挙げられる。
【0034】
本発明に用いられるノボラック樹脂は芳香環含有化合物とアルデヒド類又はケトン類とを縮合して得られる樹脂である。この縮合反応では複素環基含有芳香族化合物に含まれ反応に関与するフェニル基1当量に対して、アルデヒド類又はケトン類を0.1乃至10当量の割合で用いることができる。
【0035】
上記縮合反応で用いられる酸触媒としては、例えば硫酸、リン酸、過塩素酸等の鉱酸類、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸一水和物等の有機スルホン酸類、蟻酸、シュウ酸等のカルボン酸類が使用される。酸触媒の使用量は、使用する酸類の種類によって種々選択される。通常、芳香環含有化合物の100質量部に対して、0.001乃至10000質量部、好ましくは、0.01乃至1000質量部、より好ましくは0.1乃至100質量部である。
【0036】
上記の縮合反応は無溶剤でも行われるが、通常溶剤を用いて行われる。溶剤としては反応を阻害しないものであれば全て使用することができる。例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類が挙げられる。また、使用する酸触媒が例えば蟻酸のような液状のものであるならば溶剤としての役割を兼ねさせることもできる。
縮合時の反応温度は通常40℃乃至200℃である。反応時間は反応温度によって種々選択されるが、通常30分乃至50時間程度である。
【0037】
本発明では樹脂と式(1)又は式(2)で示される架橋性化合物との架橋反応を促進するための触媒として、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、5−スルホサリチル酸、4−フェノールスルホン酸、カンファースルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸等の酸性化合物及び/又は2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、その他有機スルホン酸アルキルエステル等の熱酸発生剤、又はビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩系光酸発生剤類、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン含有化合物系光酸発生剤類、ベンゾイントシレート、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート等のスルホン酸系光酸発生剤類等を組み合わせて配合する事ができる。架橋触媒量は全固形分に対して、0.0001乃至20質量%、好ましくは0.0005乃至10質量%、さらに好ましくは0.01乃至3質量%である。
【0038】
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物には、上記以外に必要に応じて更なる吸光剤、レオロジー調整剤、接着補助剤、界面活性剤などを添加することができる。
また、更に式(1)、式(2)で示される架橋剤化合物以外の架橋剤を含有することができる。それらの架橋剤としては、メラミン系、置換尿素系、またはそれらのポリマー系等が挙げられる。好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグワナミン、ブトキシメチル化ベンゾグワナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはメトキシメチル化チオ尿素等の化合物である。また、これらの化合物の縮合体も使用することができる。
【0039】
更なる吸光剤としては例えば、「工業用色素の技術と市場」(CMC出版)や「染料便覧」(有機合成化学協会編)に記載の市販の吸光剤、例えば、C.I.DisperseYellow1,3,4,5,7,8,13,23,31,49,50,51,54,60,64,66,68,79,82,88,90,93,102,114及び124;C.I.DisperseOrange1,5,13,25,29,30,31,44,57,72及び73;C.I.DisperseRed1,5,7,13,17,19,43,50,54,58,65,72,73,88,117,137,143,199及び210;C.I.DisperseViolet43;C.I.DisperseBlue96;C.I.FluorescentBrightening Agent 112,135及び163;C.I.SolventOrange2及び45;C.I.SolventRed1,3,8,23,24,25,27及び49;C.I.PigmentGreen10;C.I.PigmentBrown 2等を好適に用いることができる。上記吸光剤は通常、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物の全固形分に対して10質量%以下、好ましくは5質量%以下の割合で配合される。
【0040】
レオロジー調整剤は、主にレジスト下層膜形成組成物の流動性を向上させ、特にベーキング工程において、レジスト下層膜の膜厚均一性の向上やホール内部へのレジスト下層膜形成組成物の充填性を高める目的で添加される。具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体、メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体、またはノルマルブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体を挙げることができる。これらのレオロジー調整剤は、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物の全固形分に対して通常30質量%未満の割合で配合される。
【0041】
接着補助剤は、主に基板あるいはレジストとレジスト下層膜形成組成物の密着性を向上させ、特に現像においてレジストが剥離しないようにするための目的で添加される。具体例としては、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフエニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’ービス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類、ビニルトリクロロシラン、γークロロプロピルトリメトキシシラン、γーアミノプロピルトリエトキシシラン、γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン類、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2ーメルカプトベンズイミダゾール、2ーメルカプトベンゾチアゾール、2ーメルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環式化合物や、1,1ージメチルウレア、1,3ージメチルウレア等の尿素、またはチオ尿素化合物を挙げることができる。これらの接着補助剤は、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物の全固形分に対して通常5質量%未満、好ましくは2質量%未満の割合で配合される。
【0042】
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物には、ピンホールやストレーション等の発生がなく、表面むらに対する塗布性をさらに向上させるために、界面活性剤を配合することができる。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロツクコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトツプEF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製、商品名)、メガファックF171、F173、R−30(大日本インキ(株)製、商品名)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製、商品名)、アサヒガードAG710、サーフロンSー382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製、商品名)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤の配合量は、本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物の全固形分に対して通常2.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下である。これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また2種以上の組合せで添加することもできる。
【0043】
本発明のレジスト下層膜形成組成物において、上記の樹脂及び架橋剤成分、架橋触媒等を溶解させる溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトシキ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等を用いることができる。これらの有機溶剤は単独で、または2種以上の組合せで使用される。
さらに、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を混合して使用することができる。これらの溶剤の中でプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、及びシクロヘキサノン等がレベリング性の向上に対して好ましい。
本発明に用いられるレジストとはフォトレジストや電子線レジストである。
【0044】
本発明におけるリソグラフィー用レジスト下層膜の上部に塗布されるフォトレジストとしてはネガ型、ポジ型いずれも使用でき、ノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、アルカリ可溶性バインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、骨格にSi原子を有するフォトレジスト等があり、例えば、ロームアンドハーツ社製、商品名APEX−Eが挙げられる。
【0045】
また本発明におけるリソグラフィー用レジスト下層膜の上部に塗布される電子線レジストとしては、例えば主鎖にSi−Si結合を含み末端に芳香族環を含んだ樹脂と電子線の照射により酸を発生する酸発生剤から成る組成物、又は水酸基がN−カルボキシアミンを含む有機基で置換されたポリ(p−ヒドロキシスチレン)と電子線の照射により酸を発生する酸発生剤から成る組成物等が挙げられる。後者の電子線レジスト組成物では、電子線照射によって酸発生剤から生じた酸がポリマー側鎖のN−カルボキシアミノキシ基と反応し、ポリマー側鎖が水酸基に分解しアルカリ可溶性を示しアルカリ現像液に溶解し、レジストパターンを形成するものである。この電子線の照射により酸を発生する酸発生剤は1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2,2−トリクロロエタン、1,1−ビス[p−メトキシフェニル]−2,2,2−トリクロロエタン、1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2−ジクロロエタン、2−クロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン等のハロゲン化有機化合物、トリフェニルスルフォニウム塩、ジフェニルヨウドニウム塩等のオニウム塩、ニトロベンジルトシレート、ジニトロベンジルトシレート等のスルホン酸エステルが挙げられる。
【0046】
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を使用して形成したレジスト下層膜を有するレジストの現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。さらに、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらの中で好ましい現像液は第四級アンモニウム塩、さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びコリンである。
【0047】
次に本発明のレジストパターン形成法について説明すると、精密集積回路素子の製造に使用される基板(例えばシリコン/二酸化シリコン被覆、ガラス基板、ITO基板などの透明基板)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法によりレジスト下層膜形成組成物を塗布後、ベークして硬化させ塗布型下層膜を作成する。ここで、レジスト下層膜の膜厚としては0.01乃至3.0μmが好ましい。また塗布後ベーキングする条件としては80乃至350℃で0.5乃至120分間である。その後レジスト下層膜上に直接、または必要に応じて1層乃至数層の塗膜材料を塗布型下層膜上に成膜した後、レジストを塗布し、所定のマスクを通して光又は電子線の照射を行い、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを得ることができる。必要に応じて光又は電子線の照射後加熱(PEB:PostExposureBake)を行うこともできる。そして、レジストが前記工程により現像除去された部分のレジスト下層膜をドライエッチングにより除去し、所望のパターンを基板上に形成することができる。
【0048】
上記フォトレジストでの露光光は、近紫外線、遠紫外線、又は極端紫外線(例えば、EUV、波長13.5nm)等の化学線であり、例えば248nm(KrFレーザー光)、193nm(ArFレーザー光)、157nm(Fレーザー光)等の波長の光が用いられる。光照射には、光酸発生剤から酸を発生させることができる方法であれば、特に制限なく使用することができ、露光量1乃至2000mJ/cm、または10乃至1500mJ/cm、または50乃至1000mJ/cmによる。
また電子線レジストの電子線照射は、例えば電子線照射装置を用い照射することができる。
【0049】
本発明では、半導体基板上に本発明のレジスト下層膜形成組成物によりレジスト下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンにより該レジスト下層膜をエッチングする工程、及びパターン化されたレジスト下層膜により半導体基板を加工する工程を経て半導体装置を製造することができる。
【0050】
今後、レジストパターンの微細化が進行すると、解像度の問題やレジストパターンが現像後に倒れるという問題が生じ、レジストの薄膜化が望まれてくる。そのため、基板加工に充分なレジストパターン膜厚を得ることが難しく、レジストパターンだけではなく、レジストと加工する半導体基板との間に作成されるレジスト下層膜にも基板加工時のマスクとしての機能を持たせるプロセスが必要になってきた。このようなプロセス用のレジスト下層膜として従来の高エッチレート性レジスト下層膜とは異なり、レジストに近いドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用レジスト下層膜、レジストに比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用レジスト下層膜や半導体基板に比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用レジスト下層膜が要求されるようになってきている。また、このようなレジスト下層膜には反射防止能を付与することも可能であり、従来の反射防止膜の機能を併せ持つことができる。
【0051】
一方、微細なレジストパターンを得るために、レジスト下層膜ドライエッチング時にレジストパターンとレジスト下層膜をレジスト現像時のパターン幅より細くするプロセスも使用され始めている。このようなプロセス用のレジスト下層膜として従来の高エッチレート性反射防止膜とは異なり、レジストに近いドライエッチング速度の選択比を持つレジスト下層膜が要求されるようになってきている。また、このようなレジスト下層膜には反射防止能を付与することも可能であり、従来の反射防止膜の機能を併せ持つことができる。
【0052】
本発明では基板上に本発明のレジスト下層膜を成膜した後、レジスト下層膜上に直接、または必要に応じて1層乃至数層の塗膜材料をレジスト下層膜上に成膜した後、レジストを塗布することができる。これによりレジストのパターン幅が狭くなり、パターン倒れを防ぐ為にレジストを薄く被覆した場合でも、適切なエッチングガスを選択することにより基板の加工が可能になる。
【0053】
即ち、半導体基板上にレジスト下層膜形成組成物によりレジスト下層膜を形成する工程、その上にケイ素成分等を含有する塗膜材料によるハードマスク又は蒸着によるハードマスク(例えば、窒化酸化ケイ素)を形成する工程、更にその上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンによりハードマスクをハロゲン系ガスでエッチングする工程、パターン化されたハードマスクにより該レジスト下層膜を酸素系ガス又は水素系ガスでエッチングする工程、及びパターン化されたレジスト下層膜によりハロゲン系ガスで半導体基板を加工する工程を経て半導体装置を製造することができる。
【0054】
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物は、反射防止膜としての効果を考慮した場合、光吸収部位が骨格に取りこまれているため、加熱乾燥時にフォトレジスト中への拡散物がなく、また、光吸収部位は十分に大きな吸光性能を有しているため反射光防止効果が高い。
【0055】
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物では、熱安定性が高く、焼成時の分解物による上層膜への汚染が防げ、また、焼成工程の温度マージンに余裕を持たせることができるものである。
【0056】
さらに、本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物は、プロセス条件によっては、光の反射を防止する機能と、更には基板とフォトレジストとの相互作用の防止或いはフォトレジストに用いられる材料又はフォトレジストへの露光時に生成する物質の基板への悪作用を防ぐ機能とを有する膜としての使用が可能である。
さらにまた、本発明は下記式(5):
【化11】





(式中、Qはイソプロピリデン基(−C(CH−)を示し、R14は炭素原子数2乃至10のアルキル基、又は炭素原子数1乃至10のアルコキシ基を有する炭素原子数2乃至10のアルキル基を示し、R15は水素原子又はメチル基を示し、R13は炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数6乃至40のアリール基を示す。
n17は1≦n17≦3の整数、n18は1≦n18≦4の整数、n19は0≦n19≦3の整数、n20は0≦n20≦3の整数、2≦(n17+n18+n19+n20)≦5の整数を示す。)で示される新規な化合物にも関する。
上記アルキル基、アルコキシ基、アリール基は上述の例示を示すことができる。
【実施例】
【0057】
合成例1
100mLナスフラスコにTMOM−BP(20.00g、0.055mol、本州化学工業(株)製、式(4−23))とPGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、80.00g)を仕込み撹拌し、リフラックスが確認されるまで昇温し溶解させ重合を開始した。24時間後30℃まで放冷後、PGME溶液中のTMOM−BP−PGME(式(3−4)に相当する化合物を中心に式(3−1)、式(3−2)、式(3−3)で示される化合物が混合されていた。)を得た。TMOM−BP−PGMEの4置換体の存在比率の同定をGPCで行った結果、TMOM−BP−PGME全体中に34モル%で存在していた。
【0058】
合成例2
200mLナスフラスコにTMOM−BP(5.00g、0.014mol、本州化学工業(株)製、式(4−23))、触媒用イオン交換樹脂として洗浄済みの15JWET(20.00g、商品名Amberlist、ダウケミカル社製)、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル、75.00g)を仕込み撹拌し、リフラックスが確認されるまで昇温し溶解させ重合を開始した。48時間後60℃まで放冷後、濾過を行って15JWETを除去し、得られた沈殿物をろ過し、得られた目的の材料(式(3−4)に相当する化合物を中心に式(3−1)、式(3−2)、式(3−3)で示される化合物が混合されていた。以下TMOM−BP−PGME2と略す)を得た。
TMOM−BP−PGME2の4置換体の存在比率の同定をGPCで行った結果、TMOM−BP−PGME2全体中に68モル%で存在していた。
【0059】
合成例3
200mL四口フラスコにTMOM−BP(3.00g、0.008mol、本州化学工業(株)製、式(4−23))、触媒用イオン交換樹脂として洗浄済みの15JWET(12.00g、商品名Amberlist、ダウ・ケミカル社製)を加え、ブタノール(60.00g、関東化学(株)製)を仕込み撹拌し、100℃で重合を開始した。48時間後30℃まで放冷後、15JWETをろ過し30℃減圧下で2時間濃縮、乾燥させ、目的とする材料(以下TBOM−BP−BUと略す、式(3−8)に相当する化合物を中心に式(3−5)、式(3−6)、式(3−7)で示される化合物が混合されていた。)2.9gを得た。
H−NMRにより構造解析を行い、目的の化合物が得られていることを確認した。また、HPLCによりTBOM−BP−BUの4置換体の存在比率が、TBOM−BP−BU全体中に85モル%であることを確認した。
TBOM−BP−BUの4置換体のNMRスペクトルは以下の特性吸収を示した(図1)。
H−NMR(500MHz、DMSO−d6):0.89ppm(t、12H)、1.36ppm(m、8H)、1.54ppm(m、8H)、3.49(t、8H)、4.54(s、8H)、7.34(s、4H)、8.50(s、2H)。
【0060】
合成例4
200mL四口フラスコにTM−BIP−A(3.00g、0.009mol、本州化学工業(株)製、式(4−24))、触媒用イオン交換樹脂として洗浄済みの15JWET(12.00g、商品名Amberlist、ダウ・ケミカル社製)を加え、ブタノール(60.00g、関東化学(株)製)を仕込み撹拌し、100℃で重合を開始した。3.5時間後30℃まで放冷後、15JWETをろ過し30℃減圧下で2時間濃縮、乾燥させ、目的とする材料(式(3−12)に相当する化合物を中心に式(3−9)、式(3−10)、式(3−11)で示される化合物が混合されていた。以下TBOM−BIP−Aと略す)3.0gを得た。
H−NMRにより構造解析を行い、目的の化合物が得られていることを確認した。また、HPLCによりTBOM−BIP―Aの4置換体の存在比率が、TBOM−BIP―A全体中に95モル%であることを確認した。
TBOM−BIP―Aの4置換体のNMRスペクトルは以下の特性吸収を示した(図2)。
H−NMR(500MHz、DMSO−d6):0.85ppm(t、12H)、1.30ppm(m、8H)、1.47ppm(m、8H)、1.54ppm(s、6H)、3.38(t、8H)、4.42(s、8H)、6.99(s、4H)、8.19(s、2H)。
【0061】
合成例5
200mL四口フラスコにTM−BIP−A(4.00g、0.011mol、本州化学工業(株)製、式(4−24))、触媒用イオン交換樹脂として洗浄済みの15JWET(16.00g、商品名Amberlist、ダウ・ケミカル社製)を加え、1−プロパノール(80.00g、関東化学(株)製)を仕込み撹拌し、リフラックス温度で重合を開始した。4時間後30℃まで放冷後、15JWETをろ過し30℃減圧下で2時間濃縮、乾燥させ、目的とする材料(式(3−16)に相当する化合物を中心に式(3−13)、式(3−14)、式(3−15)で示される化合物が混合されていた。以下TPOM−BIP−Aと略す)5.0gを得た。
H−NMRにより構造解析を行い、目的の化合物が得られていることを確認した。また、HPLCによりTPOM−BIP―Aの4置換体の存在比率が、TPOM−BIP―A全体中に94モル%であることを確認した。
TPOM−BIP―Aの4置換体のNMRスペクトルは以下の特性吸収を示した(図3)。
H−NMR(500MHz、DMSO−d6):0.84ppm(t、12H)、1.49ppm(m、8H)、1.55ppm(s、6H)、3.34(t、8H)、4.43(s、8H)、7.00(s、4H)、8.19(s、2H)。
【0062】
合成例6
200mL四口フラスコにTM−BIP−A(4.00g、0.011mol、本州化学工業(株)製、式(4−24))、触媒用イオン交換樹脂として洗浄済みの15JWET(16.00g、商品名Amberlist、ダウ・ケミカル社製)を加え、エタノール(80.00g、関東化学(株)製)を仕込み撹拌し、リフラックス温度で重合を開始した。19.5時間後30℃まで放冷後、15JWETをろ過し30℃減圧下で2時間濃縮、乾燥させ、目的とする材料(式(3−20)に相当する化合物を中心に式(3−17)、式(3−18)、式(3−19)で示される化合物が混合されていた。以下TEOM−BIP−Aと略す)4.2gを得た。
H−NMRにより構造解析を行い、目的の化合物が得られていることを確認した。また、HPLCによりTEOM−BIP−Aの4置換体の存在比率が、TEOM−BIP−A全体中に95モル%であることを確認した。
TEOM−BIP−Aの4置換体のNMRスペクトルは以下の特性吸収を示した(図4)。
H−NMR(500MHz、DMSO−d6):1.10ppm(t、12H)、1.55ppm(s、6H)、3.44(q、8H)、4.42(s、8H)、6.99(s、4H)、8.22(s、2H)。
【0063】
合成例7
200mL四口フラスコにTM−BIP−A(4.00g、0.011mol、本州化学工業(株)製、式(4−24))、触媒用イオン交換樹脂として洗浄済みの15JWET(16.00g、商品名Amberlist、ダウ・ケミカル社製)を加え、2−メチル−1−プロパノール(80.00g、関東化学(株)製)を仕込み撹拌し、100℃で重合を開始した。4時間後30℃まで放冷後、15JWETをろ過し30℃減圧下で2時間濃縮、乾燥させ、目的とする材料(式(3−24)に相当する化合物を中心に式(3−21)、式(3−22)、式(3−23)で示される化合物が混合されていた。以下TIBOM−BIP−Aと略す)5.8gを得た。
H−NMRにより構造解析を行い、目的の化合物が得られていることを確認した。また、HPLCによりTIBOM−BIP―Aの4置換体の存在比率が、TIBOM−BIP―A全体中に95モル%であることを確認した。
TIBOM−BIP―Aの4置換体のNMRスペクトルは以下の特性吸収を示した(図5)。
H−NMR(500MHz、DMSO−d6):0.83ppm(d、24H)、1.55ppm(s、6H)、1.77(m、4H)、3.15(t、8H)、4.44(s、8H)、7.01(s、4H)、8.16(s、2H)。
【0064】
合成例8
200mL四口フラスコにTM−BIP−A(4.00g、0.011mol、本州化学工業(株)製、式(4−24))、触媒用イオン交換樹脂として洗浄済みの15JWET(16.00g、商品名Amberlist、ダウ・ケミカル社製)を加え、2−メトキシエタノール(80.00g、関東化学(株)製)を仕込み撹拌し、100℃で重合を開始した。1時間後30℃まで放冷後、15JWETをろ過し30℃減圧下で2時間濃縮、乾燥させ、目的とする材料(式(3−28)に相当する化合物を中心に式(3−25)、式(3−26)、式(3−27)で示される化合物が混合されていた。以下EGME−BIP−Aと略す)5.3gを得た。
H−NMRにより構造解析を行い、目的の化合物が得られていることを確認した。また、HPLCによりEGME−BIP―Aの4置換体の存在比率が、EGME−BIP―A全体中に94モル%であることを確認した。
EGME−BIP―Aの4置換体のNMRスペクトルは以下の特性吸収を示した(図6)。
H−NMR(500MHz、DMSO−d6):1.55ppm(s、6H)、3.23ppm(s、12H)、3.44ppm(m、8H)、3.53ppm(m、8H)、4.46(s、8H)、7.01(s、4H)、8.20(s、2H)。
【0065】
合成例9
200mL四口フラスコにTM−BIP−A(4.00g、0.011mol、本州化学工業(株)製、式(4−24))、触媒用イオン交換樹脂として洗浄済みの15JWET(16.00g、商品名Amberlist、ダウ・ケミカル社製)を加え、2−エトキシエタノール(80.00g、関東化学(株)製)を仕込み撹拌し、100℃で重合を開始した。1時間後30℃まで放冷後、15JWETをろ過し30℃減圧下で2時間濃縮、乾燥させ、目的とする材料(式(3−32)に相当する化合物を中心に式(3−29)、式(3−30)、式(3−31)で示される化合物が混合されていた。以下EGEE−BIP−Aと略す)3.0gを得た。
H−NMRにより構造解析を行い、目的の化合物が得られていることを確認した。また、HPLCによりEGEE−BIP−Aの4置換体の存在比率が、EGEE−BIP−A全体中に92モル%であることを確認した。
EGEE−BIP−Aの4置換体のNMRスペクトルは以下の特性吸収を示した(図7)。
H−NMR(500MHz、DMSO−d6):1.09ppm(t、12H)、1.55ppm(s、6H)、3.42ppm(m、8H)、3.5ppm(m、16H)、4.46(s、8H)、7.01(s、4H)、8.17(s、2H)。
【0066】
合成例10
200mL四口フラスコにTM−BIP−A(4.00g、0.011mol、本州化学工業(株)製、式(4−24))、触媒用イオン交換樹脂として洗浄済みの15JWET(16.00g、商品名Amberlist、ダウ・ケミカル社製)を加え、PGME(80.00g、関東化学(株)製)を仕込み撹拌し、100℃で重合を開始した。1時間後30℃まで放冷後、15JWETをろ過し30℃減圧下で2時間濃縮、乾燥させ、目的とする材料(式(3−36)に相当する化合物を中心に式(3−33)、式(3−34)、式(3−35)で示される化合物が混合されていた。以下PGME−BIP−Aと略す)3.0gを得た。
H−NMRにより構造解析を行い、目的の化合物が得られていることを確認した。また、HPLCによりPGME−BIP−Aの4置換体の存在比率が、PGME−BIP−A全体中に74モル%であることを確認した。
PGME−BIP−Aの4置換体のNMRスペクトルは以下の特性吸収を示した(図8)。
H−NMR(500MHz、DMSO−d6):1.06ppm(d、12H)、1.55ppm(s、6H)、3.25ppm(s、12H)、3.30ppm(m、8H)、3.63ppm(m、4H)、4.51(q、8H)、7.02(s、4H)、8.07(s、2H)。
【0067】
合成例11
200mL四口フラスコにTM−BIP−A(4.00g、0.011mol、本州化学工業(株)製、式(4−24))、触媒用イオン交換樹脂として洗浄済みの15JWET(8.00g、商品名Amberlist、ダウ・ケミカル社製)を加え、エチレングリコールイソプロピルエーテル(80.00g、関東化学(株)製)を仕込み撹拌し、40℃で重合を開始した。22時間後70℃まで昇温して12時間反応させて、放冷後、15JWETをろ過し30℃減圧下で2時間濃縮、乾燥させ、目的とする材料(式(3−40)に相当する化合物を中心に式(3−37)、式(3−38)、式(3−39)で示される化合物が混合されていた。以下EGIPE−BIP−Aと略す)3.0gを得た。
H−NMRにより構造解析を行い、目的の化合物が得られていることを確認した。また、HPLCによりEGIPE−BIP−Aの4置換体の存在比率が、EGIPE−BIP−A全体中に84モル%であることを確認した。
EGIPE−BIP−Aの4置換体のNMRスペクトルは以下の特性吸収を示した(図9)。
H−NMR(500MHz、DMSO−d6):1.07ppm(t、24H)、1.55ppm(s、6H)、3.45−3.57ppm(m、20H)、4.47(s、8H)、7.00(s、4H)、8.14(s、2H)。
【0068】
合成例12
100mL四口フラスコにN−フェニル−1−ナフチルアミン(10.00g、0.046mol、東京化成工業(株)製)、1−ナフトアルデヒド(7.12g、0.046mol、東京化成工業(株)製)、パラトルエンスルホン酸一水和物(0.908g、0.0046mol、関東化学(株)製)を加え、1,4−ジオキサン(21.03g、関東化学(株)製)を仕込み撹拌し、110℃まで昇温し溶解させ重合を開始した。12時間後室温まで放冷後、メタノール(400g、関東化学(株)製)へ再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で50℃、10時間さらに120℃、24時間乾燥し、目的とするポリマー(式(5−1)に相当)、以下pNPNA−NAと略す)11.6gを得た。pNPNA−NAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1400、多分散度Mw/Mnは1.62であった。
【化12】




【0069】
実施例1
合成例12で得たpNPNA−NA樹脂0.51gに、架橋剤として合成例1のTMOM−BP−PGMEを0.10g、触媒にpPTS(ピリジニウムパラトルエンスルホネート)0.02g、界面活性剤としてメガファックR−30N(大日本インキ化学(株)製、商品名)0.001gを混合し、7.16gのPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、1.52gのPGME及び2.39gのシクロヘキサノンに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0070】
実施例2
合成例12で得たpNPNA−NA樹脂0.51gに、架橋剤として合成例2のTMOM−BP−PGME2を0.10g、触媒にpPTS0.02g、界面活性剤としてメガファックR−30N(大日本インキ化学(株)製、商品名)0.001gを混合し、7.16gのPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、1.52gのPGME及び2.39gのシクロヘキサノンに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0071】
実施例3
合成例12で得たpNPNA−NA樹脂0.51gに、架橋剤として合成例3のTBOM−BP−BUを0.10g、触媒にpPTS0.02g、界面活性剤としてメガファックR−30N(大日本インキ化学(株)製、商品名)0.001gを混合し、7.16gのPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、1.52gのPGME及び2.39gのシクロヘキサノンに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0072】
実施例4
合成例12で得たpNPNA−NA樹脂0.51gに、架橋剤として合成例4のTBOM−BIP―Aを0.10g、触媒にpPTS0.02g、界面活性剤としてメガファックR−30N(大日本インキ化学(株)製、商品名)0.001gを混合し、7.16gのPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、1.52gのPGME及び2.39gのシクロヘキサノンに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0073】
実施例5
合成例12で得たpNPNA−NA樹脂0.51gに、架橋剤として合成例5のTPOM−BIP―Aを0.10g、触媒にpPTS0.02g、界面活性剤としてメガファックR−30N(大日本インキ化学(株)製、商品名)0.001gを混合し、7.16gのPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、1.52gのPGME及び2.39gのシクロヘキサノンに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0074】
実施例6
合成例12で得たpNPNA−NA樹脂0.51gに、架橋剤として合成例6のTEOM−BIP−Aを0.10g、触媒にpPTS0.02g、界面活性剤としてメガファックR−30N(大日本インキ化学(株)製、商品名)0.001gを混合し、7.16gのPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、1.52gのPGME及び2.39gのシクロヘキサノンに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0075】
実施例7
合成例12で得たpNPNA−NA樹脂0.51gに、架橋剤として合成例7のTIBOM−BIP―Aを0.10g、触媒にpPTS0.02g、界面活性剤としてメガファックR−30N(大日本インキ化学(株)製、商品名)0.001gを混合し、7.16gのPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、1.52gのPGME及び2.39gのシクロヘキサノンに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0076】
実施例8
合成例12で得たpNPNA−NA樹脂0.51gに、架橋剤として合成例8のEGME−BIP―Aを0.10g、触媒にpPTS0.02g、界面活性剤としてメガファックR−30N(大日本インキ化学(株)製、商品名)0.001gを混合し、7.16gのPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、1.52gのPGME及び2.39gのシクロヘキサノンに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0077】
実施例9
合成例12で得たpNPNA−NA樹脂0.51gに、架橋剤として合成例9のEGEE−BIP−Aを0.10g、触媒にpPTS0.02g、界面活性剤としてメガファックR−30N(大日本インキ化学(株)製、商品名)0.001gを混合し、7.16gのPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、1.52gのPGME及び2.39gのシクロヘキサノンに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0078】
実施例10
合成例12で得たpNPNA−NA樹脂0.51gに、架橋剤として合成例10のPGME−BIP−Aを0.10g、触媒にpPTS0.02g、界面活性剤としてメガファックR−30N(大日本インキ化学(株)製、商品名)0.001gを混合し、7.16gのPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、1.52gのPGME及び2.39gのシクロヘキサノンに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0079】
実施例11
合成例12で得たpNPNA−NA樹脂0.51gに、架橋剤として合成例11のEGIPE−BIP−Aを0.10g、触媒にpPTS0.02g、界面活性剤としてメガファックR−30N(大日本インキ化学(株)製、商品名)0.001gを混合し、7.16gのPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、1.52gのPGME及び2.39gのシクロヘキサノンに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0080】
比較例1
合成例12で得たpNPNA−NA樹脂0.51gに、架橋剤としてTMOM−BP(本州化学工業(株)製、式(4−23))を0.10g、触媒にpPTS0.02g、界面活性剤としてメガファックR−30N(大日本インキ化学(株)製、商品名)0.001gを混合し、7.16gのPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、1.52gのPGME及び2.39gのシクロヘキサノンに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0081】
比較例2
合成例12で得たpNPNA−NA樹脂0.51gに、架橋剤としてTM−BIP−A(本州化学工業(株)製、式(4−24))を0.10g、触媒にpPTS0.02g、界面活性剤としてメガファックR−30N(大日本インキ化学(株)製、商品名)0.001gを混合し、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)7.16g、PGME1.52g及びシクロヘキサノン2.39gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0082】
比較例3
合成例12で得たpNPNA−NA樹脂0.51gに、架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコリールウリルを0.10g、触媒に0.02gのpPTS、界面活性剤としてメガファックR−30N(大日本インキ化学(株)製、商品名)0.001gを混合し、7.16gのPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、1.52gのPGME及び2.39gのシクロヘキサノンに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0083】
比較例4
合成例12で得たpNPNA−NA樹脂0.51gに、架橋剤としてテトラブトキシメチルグリコリールウリルを0.10g、触媒に0.02gのpPTS、界面活性剤としてメガファックR−30N(大日本インキ化学(株)製、商品名)0.001gを混合し、7.16gのPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、1.52gのPGME及び2.39gのシクロヘキサノンに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0084】
(昇華物量の測定)
昇華物量の測定は国際公開第2007/111147号パンフレットに記載されている昇華物量測定装置を用いて実施した。まず、直径4インチのシリコンウェハー基板に、実施例1乃至実施例11、比較例1乃至比較例4で調製したレジスト下層膜形成組成物をスピンコーターにて、膜厚100nmとなるように塗布した。レジスト下層膜が塗布されたウェハーをホットプレートが一体化した前記昇華物量測定装置にセットし、120秒間ベークし、昇華物をQCM(Quartz Crystal Microbalance)センサー、すなわち電極が形成された水晶振動子に捕集した。QCMセンサーは、水晶振動子の表面(電極)に昇華物が付着するとその質量に応じて水晶振動子の周波数が変化する(下がる)性質を利用して、微量の質量変化を測定することができる。
【0085】
詳細な測定手順は、以下の通りである。昇華物量測定装置のホットプレートを表1に記載の測定温度に昇温し、ポンプ流量を1m3/sに設定し、最初の60秒間は装置安定化のために放置した。その後直ちに、レジスト下層膜が被覆されたウェハーをスライド口から速やかにホットプレートに乗せ、60秒の時点から180秒の時点(120秒間)の昇華物の捕集を行った。尚、前記昇華物量測定装置のQCMセンサーと捕集ロート部分の接続となるフローアタッチメント(検出部分)にはノズルをつけずに使用し、そのため、センサー(水晶振動子)との距離が30mmのチャンバーユニットの流路(口径:32mm)から、気流が絞られることなく流入する。また、QCMセンサーには、電極として珪素とアルミニウムを主成分とする材料(AlSi)を用い、水晶振動子の直径(センサー直径)が14mm、水晶振動子表面の電極直径が5mm、共振周波数が9MHzのものを用いた。
得られた周波数変化を、測定に使用した水晶振動子の固有値からグラムに換算し、レジスト下層膜が塗布されたウェハー1枚の昇華物量と時間経過との関係を明らかにした。尚、最初の60秒間は装置安定化のために放置した(ウェハーをセットしていない)時間帯であり、ウェハーをホットプレートに載せた60秒の時点から180秒の時点までの測定値がウェハーの昇華物量に関する測定値である。当該装置から定量したレジスト下層膜の昇華物量を昇華物量比として表1に示す。尚、昇華物量は2000ngを上限として、それ以下であれば良好であるとし、それ以上であれば不良であると定義した。2000ng以下のものを○、以上のものを×で表す。
【0086】
【表1】

【0087】
(フォトレジスト溶剤への溶出試験)
実施例1〜11及び比較例1〜4で調製したレジスト下層膜形成組成物の溶液を、それぞれスピンコーターを用いてシリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で400℃2分間焼成し、レジスト下層膜(膜厚0.25μm)を形成した。このレジスト下層膜をレジストに使用する溶剤、例えば乳酸エチル、ならびにプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノンに浸漬し、その溶剤に不溶であることを確認した。
【0088】
(ホールパターンへの埋め込み性試験)
上記で得られたレジスト下層膜形成組成物が、ホール内を良好に埋め込み出来るかについて評価を行った。スピンコーターにより、ホール(ホール直径:0.120nm、ピッチ:ホール直径/ホール間スペースの比=1/0.8、ホールの深さ:400nm)が形成されたテトラエチルオルソシリケート(TEOS)基板上にレジスト下層膜形成物を塗布した。その後、ホットプレート上で240℃1分間加熱し、レジスト下層膜(リソグラフィー用ギャップフィル材の用途とする場合)を膜厚約120nmで形成した。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、実施例1〜11、及び比較例1〜4で得たレジスト下層膜形成物を塗布したホールを有するTEOS基板の断面形状を観察することにより、埋め込み性を評価した。レジスト下層膜がホール内に隙間無く形成されている場合を埋め込み性が良好(「○」)とみなし、ホールに埋め込まれていない又はホール中に穴や隙間が存在している場合には不良(「×」)とした。
【0089】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の架橋剤を用いたリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物は、従来の昇華物の発生を低く抑えることとホールパターン内の埋め込み性を両立が困難であった材料と異なり、両方の特性を併せ持つことが出来るレジスト下層膜を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9