【実施例】
【0160】
(テトラカルボン酸二無水物)
BODA:ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
TCA:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸−1,4:2,3−二無水物
(ジアミン)
DBA:3,5−ジアミノ安息香酸
3AMPDA:3,5−ジアミノ−N−(ピリジン−3−イルメチル)ベンズアミド
下記式DA−1〜DA−5で表される光反応性ジアミン
【0161】
【化29】
下記式DA−6〜DA−9で表される垂直配向性ジアミン
【0162】
【化30】
【0163】
<溶媒>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BCS:ブチルセロソルブ
<添加剤>
3AMP:3−ピコリルアミン
<重合性化合物>
下記式RM1、RM2で表される重合性化合物
【0164】
【化31】
【0165】
実施例等で使用した有機溶媒等の略号は以下の通りである。
NMP: N−メチル−2−ピロリドン
BCS: ブチルセロソルブ
また、ポリイミドの分子量測定条件は、以下の通りである。
装置:センシュー科学社製 常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(SSC−7200)、
カラム:Shodex社製カラム(KD−803、KD−805)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H
2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量約9000,000、150,000、100,000、30,000)、および、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
【0166】
また、ポリイミドのイミド化率は次のようにして測定した。ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(草野科学社製 NMRサンプリングチューブスタンダード φ5)に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d
6、0.05%TMS混合品)1.0mlを添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液を日本電子データム社製NMR測定器(JNW−ECA500)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5〜10.0ppm付近に現れるアミック酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。なお下記式において、xはアミック酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミック酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミック酸のNH基のプロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
【0167】
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
<
1HNMRの測定>
装置:フーリエ変換型超伝導核磁気共鳴装置(FT−NMR)INOVA−400(Varian製)400MHz
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d
6)、重水素化クロロホルム(CDCl
3)
標準物質:テトラメチルシラン(TMS)
【0168】
(合成例1)DA−1の合成
(合成例1−1) DA−1の前駆体DA−1−1の合成
【0169】
【化32】
【0170】
2L四口フラスコに4−ブロモヒドロキシベンゼン(100g、578mmol)、アクリル酸tert−ブチル(156g、1.21mol)、酢酸パラジウム(II)(2.6g、11.6mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィン(7.0g、23.1mmol)、トリブチルアミン(321g、1.73mol)、N、N‘−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと表記)(500g)を加え、100℃で加熱撹拌を行なった。反応をHPLCにて追跡し、反応終了後、反応溶液を1M塩酸水溶液(2L)へ注ぎしばらく撹拌した。そこに酢酸エチル(1L)を加え分液操作にて水層を除去した後、有機層を飽和食塩水(500mL)で3回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過し、溶媒を留去し、DA−1−1(赤褐色粘体)を158g得た。なお、得られた化合物は、そのまま次の工程に使用した。
【0171】
(合成例1−2) DA−1の前駆体DA−1−2の合成
【0172】
【化33】
【0173】
500mL四口フラスコに、DA−1−1を22.0g、N,N−ジメチルホルムアミドを250mL、6−クロロ−1−ヘキサノールを19.1g、炭酸カリウムを41.5g、ヨウ化カリウムを1.7g加えて、100℃に加熱しながら攪拌した。反応終了後、1Lの水に反応系を注ぎ、1N−塩酸水溶液で中和を行い、沈殿物を濾過した。この濾過物をイソプロピルアルコールで洗浄し、乾燥させ、DA−1−2(白色固体)を13.2g得た(収率43%)。
【0174】
(合成例1−3) DA−1の前駆体DA−1−3の合成
【0175】
【化34】
【0176】
300mL四口フラスコに、DA−1−2を6.4g、テトラヒドロフランを60mL、2,4−ジニトロフルオロベンゼンを3.7g、トリエチルアミンを2.4g加え、80℃に加熱しながら攪拌した。反応終了後、500mLの酢酸エチルに反応系を注ぎ、飽和食塩水を用いて抽出を行った。抽出した有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥し、無水硫酸マグネシウムを濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去し、ギ酸を50mL加え、50℃に加熱しながら攪拌した。反応終了後、500mLの水に反応系を注ぎ、沈殿物を濾過した。この濾過物をイソプロピルアルコールで洗浄し、乾燥させ、DA−1−3(黄色固体)を7.4g得た(収率81%)。
【0177】
(合成例1−4) DA−1の前駆体DA−1−4の合成
【0178】
【化35】
【0179】
300mL四口フラスコに、DA−1−3を6.9g、テトラヒドロフランを70mL、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルを2.5g、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩を5.3g、4−ジメチルアミノピリジンを0.2g加えて、室温で攪拌した。反応終了後、200mLの水に反応系を注ぎ、沈殿物を濾過した。この濾過物をイソプロピルアルコールで洗浄し、乾燥させ、DA−1−4(黄白色固体)を8.6g得た(収率96%)。
【0180】
(合成例1−5) DA−1の合成
【0181】
【化36】
【0182】
300mL四口フラスコに、DA−1−4を7.6g、酢酸エチルを70mL、純水を70ml、還元鉄を7.8g、塩化アンモニウムを6.0g加え、60℃に加熱しながら攪拌した。反応終了後、還元鉄を濾過し、有機層を酢酸エチルで抽出した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥し、無水硫酸マグネシウムを濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去した。残渣をイソプロパノールにて洗浄し、乾燥させ、DA−1(黄白色固体)を5.3g得た(収率78%)。得られた固体を
1H−NMRで測定した結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的のDA−1であることを確認した。
1H NMR (400 MHz,[D
6]-DMSO): δ7.62-7.64 (d,2H), 7.56-7.68 (d,1H), 6.91-6.93 (d,2H), 6.44-6.48 (d,1H), 6.42 (s,1H), 6.00 (s,1H), 5.91 (s,1H), 5.69-5.72 (d,2H), 5.66 (s,1H), 4.36 (s,2H), 4.32 (s,2H), 3.96-4.00 (t,2H), 3.71-3.74 (t,2H), 1.84 (s,3H), 1.62-1.72 (m,4H), 1.40-1.44 (m,4H)
【0183】
(合成例2−1)DA−2の前駆体DA−2−1の合成
【0184】
【化37】
【0185】
1L三口フラスコに、trans−p−クマル酸を102.0g、エタノールを500mL、硫酸を5.8g、加えて、還流加熱しながら攪拌した。反応終了後、3Lの水に反応系を注ぎ、沈殿物を濾過した後に、この濾過物を乾燥させ、90.0gの目的物DA−2−1(白色固体)を得た(収率75%)。
【0186】
(合成例2−2) DA−2の前駆体DA−2−2の合成
【0187】
【化38】
【0188】
500mL三口フラスコに、DA−2−1を19.2g、ジメチルホルムアミドを250mL、6−クロロ−1−ヘキサノールを20.5g、炭酸カリウムを41.5g、ヨウ化カリウムを1.7g加えて、60℃で攪拌した。反応終了後、1.2Lの水に反応系を注ぎ、1N−HCl水溶液で中和を行い、沈殿物を濾過した。この濾過物を300mLの酢酸エチルに溶解し、飽和食塩水を用いて抽出をおこない、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥、濾過した後に、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行い、26.99gの目的物DA−2−2(透明粘体)を得た(収率92%)。
【0189】
(合成例2−3) DA−2の前駆体DA−2−3の合成
【0190】
【化39】
【0191】
500mL三口フラスコに、DA−4−2を14.7g、エタノールを200mL、10wt%KOH水溶液を30.0g加えて、還流加熱しながら攪拌した。反応終了後、600mLの水に反応系を注ぎ、1N−HCl水溶液で中和を行い、沈殿物を濾過した。この濾過物を酢酸エチルで洗浄し、乾燥させ、11.8gの目的物DA−4−3(白色固体)を得た(収率89%)。
【0192】
(合成例2−4) DA−2の前駆体DA−2−4の合成
【0193】
【化40】
【0194】
300mL三口フラスコに、DA−2−3を11.7g、トリエチルアミン(Et
3N)を4.9gおよびテトラヒドロフランを200mL加えた。系内を冷却して0℃にし、3,5−ジニトロベンゾイルクロリドを15.2g加え、室温で攪拌した。反応終了後、純水を50mL加えて攪拌したのち、酢酸エチルを加えて有機層を抽出し、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥、濾過した後に、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチルにて再結晶を行い、7.2gの目的物DA−2−4(黄白色固体)を得た(収率35%)。
【0195】
(合成例2−5) DA−2の前駆体DA−2−5の合成
【0196】
【化41】
【0197】
200mL三口フラスコに、DA−2−4を6.9g、テトラヒドロフランを60mL、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)を3.0g、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)を4.4g、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を0.2g加えて、室温で攪拌した。反応終了後、有機層をクロロホルムで抽出し、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥、濾過した後に、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行い、残渣をイソプロピルアルコール/ヘキサン=1/5で再結晶を行い、5.9gの目的物DA−2−5(黄白色固体)を得た(収率69%)。
【0198】
(合成例2−6) DA−2の合成
【0199】
【化42】
【0200】
300mL三口フラスコに、DA−2−5を5.9g、テトラヒドロフランを60mLおよび純水を60mL加えて、系内を攪拌し、塩化すずを13.3g加え、系内を70℃まで加熱して攪拌した。反応終了後、300mLの酢酸エチルに反応系を注ぎ、炭酸水素ナトリウムを用いて、pHを7〜8にした。白色沈殿物を濾過により取り除き、有機層を酢酸エチルで抽出し、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥、濾過した後に、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチル/ヘキサン=1/5を用いて再結晶を行い、5.7gの目的物DA−2(橙色固体)を得た(収率99%)。得られた固体を
1H−NMRで測定した結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的のDA−4であることを確認した。
1H NMR(400MHz,[D
6]-DMSO):δ7.54-7.67(d,2H),7.60(s,1H),6.94-6.97(d,2H),6.48-6.52(d,1H),6.42-6.43(s,2H),6.01-6.05(m,2H),5.70(s,1H),4.99(s,4H),4.36-4.40(m,4H),4.15-4.19(m,2H),4.00-4.03(m,2H),1.88(s,3H),1.66-1.75(m,4H),1.36-1.46(m,4H)
【0201】
(合成例3)DA−3の合成
【0202】
【化43】
【0203】
(上記反応式中の●が表記してあるシクロヘキサン環は、立体構造が1,4-trans-シクロヘキサン環であることを表す。)
反応容器に化合物DA−3−1(74.43g、261mmol)、トリエチルアミン(29.81g、295mmol)、THF(1,000g)を仕込み、窒素置換後、内温が10℃を越えないように注意しながらメタクリロイルクロリド(27.01g、258mmol)のTHF(100g)溶液を滴下した。反応終了をHPLCで確認後、反応溶液を蒸留水(3L)へ注ぎ、酢酸エチル(1.5L)で抽出した。有機層を飽和食塩水(500g)で3回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、溶媒留去し、化合物DA−3−2の粗物を得た。得られた粗物をメタノール(100g)で分散洗浄し、ろ過、固体を乾燥させ、化合物[12]を得た(収量72.9g、収率80%)。得られた化合物を
1H−NMRで測定した結果を以下に示す。
【0204】
1H-NMR(400MHz, DMSO-d
6, δppm):7.56(2H, d), 7.47(1H, d), 7.26(2H, d), 6.42(1H, d), 4.75-4.69(1H, m), 2.59-4.47(1H, m), 2.01-1.98(2H, m), 1.85-1.78(5H, m), 1.59-1.44(4H, m).
【0205】
反応容器に化合物DA−3−2(20.29g、54.8mmol)、DCM(100g)を仕込み、窒素置換後、トリフルオロ酢酸(31.2g、274mol)を滴下した。HPLCで反応終了確認後、反応溶液を蒸留水(200mL)へ注ぎ、酢酸エチル(1L)で抽出を行なった。その後、有機層を飽和食塩水(200g)で3回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、エバポレーターで溶媒留去し化合物DA−3−3の粗物を得た。得られた粗物をメタノール(30g)で分散洗浄し、ろ過、乾燥し、化合物DA−3−3を得た(収量10.9g、収率64%)。得られた化合物を
1H−NMRで測定した結果を以下に示す。
【0206】
1H-NMR(400MHz, DMSO-d
6, δppm):12.32(1H, brs), 7.58-7.50(3H, m),7.27(2H, d), 6.43(1H, d), 5.99-5.98(1H, m), 5.64-5.63(1H, m), 4.78-4.70(1H, m), 2.59-2.51(1H, m), 2.02-1.95(2H, m), 1.82-1.79(5H, m), 1.63-1.42(4H).
【0207】
反応容器に2−(2,4−ジニトロフェニル)エタノール(11.94g、56.3mmol)、化合物DA−3−3(10.89g、35.3mmol)、EDC(11.62g、61.0mmol)、DMAP(0.57g、4.7mmol)、THF(130g)を加え、室温で撹拌を行なった。HPLCで反応終了確認後、反応溶液を蒸留水(600mL)に注ぎ、析出した固体をろ過し、蒸留水で洗浄し化合物DA−3−4の粗物を得た。得られた粗物をメタノール(100mL)で分散洗浄し、ろ過、減圧乾燥後、化合物DA−3−4を得た(収量17.1g、収率96%)。得られた化合物を
1H−NMRで測定した結果を以下に示す。
【0208】
1H-NMR(400MHz, DMSO-d
6, δppm):8.70-8.69(1H, m), 8.48-8.45(1H, m), 7.87(1H, d), 7.58-7.52(3H, m), 7.27(2H, d), 6.44(1H, d),5.99-5.98(1H, m), 5.63-5.62(1H, m), 4.76-4.71(1H, m), 4.41(2H, t), 3.34(2H, t), 2.57-2.54(1H, m), 2.01-1.97(2H, m), 1.84-1.78(5H, m), 1.60-1.45(4H, m).
【0209】
反応容器に化合物DA−3−4(17.00g、33.4mmol)、鉄分(11.2g、201mmol)、酢酸エチル(150g)、塩化アンモニウム(5.35g、100mmol)、蒸留水(50g)を加え、70℃で加熱撹拌を行なった。HPLCで反応終了を確認後、固体をセライトろ過、酢酸エチル(200mL)で洗浄し除去した。ろ液を飽和食塩水(200g)で3回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をエバポレーターで留去し、化合物DA−10の粗物を得た。得られた粗物をメタノール(100g)で分散洗浄し、ろ過、減圧乾燥し、化合物DA−3を得た(収量10.3g、収率69%)。得られた化合物を
1H−NMRで測定した結果を以下に示す。
【0210】
1H-NMR(400MHz, DMSO-d
6, δppm):7.61-7.57(3H, m), 7.27(2H, d), 6.58-6.51(2H, m), 5.99(1H, s), 5.85(1H, d), 5.75(1H, dd), 5.65-5.63(1H, m), 4.80-4.71(1H, m), 4.63(2H, brs), 4.57(2H, brs), 4.12(2H, t), 2.64(2H, t), 2.59-2.53(1H, m), 2.00-1.98(2H, m), 1.85-1.79(5H, m), 1.64-1.44(4H, m).
【0211】
(合成例4−1) DA−4の前駆体DA−4−1の合成
【0212】
【化44】
【0213】
500mL四つ口フラスコに、2−メチルアクリル酸 6−[4−(2−ヒドロキシカルボニルビニル)フェニル]−ヘキシルエステルを21.2g、テトラヒドロフランを300mL、2−(2,4−ジニトロフェニル)エタノールを13.6g、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)を18.4g、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を0.8g加えて、室温で攪拌した。反応終了後、有機層を酢酸エチルで抽出し、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥、濾過した後に、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行い、残渣をイソプロピルアルコールで洗浄し、乾燥することで15.9gの目的物DA−4−1(黄白色固体)を得た(収率47%)。
【0214】
(合成例4−2)DA−4の合成
【0215】
【化45】
【0216】
500mL四口フラスコに、DA−4−1を7.6g、酢酸エチルを150mL、純水を150ml、還元鉄を8.4g、塩化アンモニウムを6.5g加え、60℃に加熱しながら攪拌した。反応終了後、還元鉄を濾過し、有機層を酢酸エチルで抽出した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥し、無水硫酸マグネシウムを濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去した。残渣をイソプロパノールにて洗浄し、乾燥させ、13.4gの目的物DA−4(黄白色固体)を得た(収率95%)。得られた固体を
1H−NMRで測定した結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的のDA−4であることを確認した。
1H NMR (400 MHz,[D
6]-DMSO):δ7.64-7.66 (d,2H), 7.58-7.62 (d,1H), 6.95-6.97 (d,2H), 6.60-6.62 (d,1H), 6.44-6.48 (d,1H), 6.02 (s,1H), 5.89 (s,1H), 5.78-5.81 (d,1H), 5.66 (s,1H), 4.65 (s,2H), 4.59 (s,2H), 4.08-4.17 (m,4H), 4.00-4.03 (t,2H), 2.65-2.69 (t,2H), 1.87 (s,3H), 1.62-1.74 (m,4H), 1.39-1.45 (m,4H)
【0217】
ここで、更に下記式で表される光反応性ジアミンを合成した。
【0218】
【化46】
【0219】
(合成例5)DA−10の合成
(合成例5−1) DA−10の前駆体DA−10−1の合成
【0220】
【化47】
【0221】
室温にて2−メチルアクリル酸 6−[4、4’−(2−ヒドロキシカルボニルビニル)ビフェニル]−オクチルエステル(100g、229mmol)、3,5−ジニトロベンジルクロリド(55g、252mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(750g)を加え、炭酸カリウム(47g、344mmol)を投入した後、80℃に加熱撹拌し3時間反応した。室温(<30℃)まで放冷後、水(1500g)を加え晶析し30分間熟成した。
【0222】
ろ過した後、ろ物を水(100g)で3回洗浄した。ろ物を30℃フルバキュームで乾燥した。テトラヒドロフラン(2500g)で溶解させ、シリカゲル(50g)でショートカラムを行った後、溶媒留去、乾燥することでDA−10−1(茶色固体)を142g得た(収率100%)。
【0223】
(合成例5−2) DA−10の合成
【0224】
【化48】
【0225】
室温にて10%塩化アンモニウム水溶液(37g、698mmol)を加え、窒素置換した後、還元鉄(78g、1392mmol)を加え、さらに窒素置換を行った。DA−10−1(72g、116mmol)のテトラヒドロフラン(1435g)溶液を滴下した後、60℃に加熱し17.5時間撹拌した。
【0226】
反応液を室温(<30度)まで放冷後、ろ過助剤(KCフロック)でろ過した。ろ液に酢酸エチル、水を加え分液した後、有機層を水で3回洗浄した。有機層に活性炭を加え撹拌し、KCフロックでろ過した。ろ液を水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。残渣に酢酸エチル(36g)、ヘキサン(288g)を加え、室温で撹拌し晶析した。ろ物をろ取し、40℃で乾燥しDA−10(黄色結晶)を107g得た(収率83%)。得られた化合物を
1H−NMRで測定した結果を以下に示す。
【0227】
1H NMR (400 MHz,[D6]-DMSO): δ7.79-7.77 (d,2H), 7.72-7.65 (m,4H), 7.03-7.00 (d,2
H), 6.71-6.67 (d,1H), 6.02 (s,1H), 5.84-5.83 (d,2H), 5.79-5.78 (d,2H), 5.67-5.66 (d,1H), 4.94 (s,1H), 4.80 (s,4H), 4.10-4.07 (t,2H), 4.01-3.98 (t,2H), 1.87 (s,3H), 1.74-1.70 (quint,2H), 1.63-1.60 (quint,2H), 1.41-1.33 (m,8H)
【0228】
(合成例6)DA−11の合成
(合成例6−1) DA−11の前駆体DA−11−1の合成
【0229】
【化49】
【0230】
室温にて2−メチルアクリル酸6−[4−(2−ヒドロキシカルボニルビニル)フェニル]−ヘキシルエステル(100g、301mmol)、3,5−ジニトロベンジルクロリド(58g、331mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(750g)を加え、炭酸カリウム(51g、452mmol)を投入した後、60℃に加熱撹拌し1時間反応した。
【0231】
室温(<30℃)まで放冷後、水(1500g)を加え晶析し30分間熟成した。ろ過した後、ろ物を水(100g)で3回洗浄した。ろ物をアセトニトリル(200g)でスラリー洗浄し、乾燥することでDA−11−1(薄茶色結晶)を142g得た(収率92%)。
【0232】
(合成例6−2) DA−11の合成
【0233】
【化50】
【0234】
室温にて10%塩化アンモニウム水溶液(77g、1659mmol)を加え、窒素置換した後、還元鉄(161g、3324mmol)を加え、さらに窒素置換を行った。DA−11−1(142g、277mmol)のテトラヒドロフラン(2126g)溶液を滴下した後、60℃に加熱し18時間撹拌した。
【0235】
反応液を室温(<30℃)まで放冷後、KCフロックでろ過した。ろ液を濃縮しテトラヒドロフランを留去し、残渣に酢酸エチル、活性炭を加え撹拌しろ過した。ろ液を分液し、有機層を水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過したろ液を濃縮した後、シリカゲルカラム精製を行うことでDA−11(赤色オイル)を90g得た(収率72%)。得られた化合物を
1H−NMRで測定した結果を以下に示す。
【0236】
1H NMR (400 MHz,[D6]-DMSO): δ7.68-7.65 (d,2H), 7.64-7.60 (d,1H), 6.70-6.94 (d,2H), 6.52-6.48 (d,1H), 6.02-6.01 (d,1H), 5.81 (s,2H), 5.77-5.76 (d,2H), 5.67-5.65 (t,1H), 4.90 (s,2H), 4.77 (s,4H), 4.11-4.08 (t,2H), 4.02-3.99 (t,2H), 1.87 (s,3H), 1.74-1.70 (quint,2H), 1.66-1.62 (quint,2H), 1.46-1.38 (m,4H)
【0237】
(合成例7)DA−13の合成
(合成例7−1) DA−13の前駆体DA−13−1の合成
【0238】
【化51】
【0239】
3−クロロ−1−プロパノール(56g、591mmol)を脱水N,N−ジメチルホルムアミド(1000ml)に溶解した。2,4−ジニトロフルオロベンゼン(100g、537mmol)、トリエチルアミン(109g、1074mmol)を滴下した。70℃まで昇温後、19.5時間撹拌し反応した。
放冷後、N,N−ジメチルホルムアミド、トリエチルアミンを減圧留去した。酢酸エチル(500g)と水(200g)を加え分液し、有機層を水で3回洗浄した。有機層を溶媒留去し、DA−13−1(黄色オイル)を137g得た(収率98%)。
【0240】
(合成例7−2) DA−13の前駆体DA−13−2の合成
【0241】
【化52】
【0242】
DA−13−1(73.9g、360mmol)、2−メチルアクリル酸6−[4−(2−ヒドロキシカルボニルビニル)フェニル]−ヘキシルエステル(85.9g、328mmol)、炭酸カリウム(107g、984mmol)、ヨウ化カリウム(3.2g、36mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(514g)に溶解した。100℃まで加熱し3.5時間反応した。
【0243】
水(2600g)に反応液を滴下し、撹拌した。析出物をろ過し、黄色のろ物192gを得た。得られたろ物にアセトニトリル(170g)を加え、30分間撹拌後、ろ過し、淡黄色のろ物162gを得た。得られたろ物を60℃で酢酸エチル(200g)に溶解させ、ヘキサン(180g)を加え0℃まで冷却した。析出物をろ過、ヘキサンで洗浄後乾燥し、DA−13−2(淡黄色固体)を117g得た(収率81%)。
【0244】
(合成例7−3) DA−13の合成
【0245】
【化53】
【0246】
室温にて10%塩化アンモニウム水溶液(666g、1242mmol)を加え、窒素置換した後、還元鉄(139g、2484mmol)を加え、さらに窒素置換を行った。DA−13−2(115g、207mmol)のテトラヒドロフラン(1155g)溶液を滴下した後、60℃に加熱し23時間撹拌した。
【0247】
反応液を室温(<30℃)まで放冷後、KCフロックでろ過した。ろ液を濃縮しテトラヒドロフランを留去し、残渣に酢酸エチル、活性炭を加え撹拌しろ過した。ろ液を分液し、有機層を水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過したろ液を濃縮した後、シリカゲルカラム精製を行うことでDA−13(黄土色固体)を41g得た(収率40%)。得られた化合物を
1H−NMRで測定した結果を以下に示す。
【0248】
1H NMR (400 MHz,[D6]-DMSO): δ7.67-7.64 (d,2H), 7.63-7.59 (d,1H), 6.96-6.94 (d,2H), 6.51-6.47 (m,2H), 6.01 (s,1H), 5.94 (d,1H), 5.76-5.73 (t,1H), 5.66 (s,1H), 4.47 (s,2H), 4.35-4.29 (m,4H), 4.11-4.08 (t,2H), 4.03-3.99 (t,2H), 3.89-3.86 (t,2H), 2.07-2.00 (quint,2H), 1.87 (s,2H), 1.76-1.61 (m,4H), 1.48-1.35 (m,4H)
【0249】
≪実施例1〜4及び比較例1≫
(実施例1)
BODA(1.25g、 5.0mmol)、DA−1(3.38g、7.0mmol)、DA−6(1.14g、3.0mmol)をNMP(20.1g)中で溶解し、60℃で5時間反応させたのち、CBDA(0.92g、4.7mmol)とNMP(6.7g)を加え、40℃で10時間反応させポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液(30g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.2g)、およびピリジン(6.9g)を加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(440ml)に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(A1)を得た。このポリイミドのイミド化率は50%であり、数平均分子量は15,000、重量平均分子量は46,000であった。
【0250】
得られたポリイミド粉末(A)(3.0g)にNMP(22.0g)を加え、50℃にて3時間攪拌して溶解させた。この溶液に3AMP(1wt%NMP溶液)3.0g、NMP(7.0g)、BCS(15.0g)を加え、室温で5時間攪拌することにより液晶配向剤(A1)を得た。
【0251】
また、上記の液晶配向剤(A1)10.0gに対して重合性化合物RM1を0.06g(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(A2)を調製した。
【0252】
(実施例2)
BODA(1.25g、 5.0mmol)、DA−2(2.55g、5.0mmol)、DA−7(0.87g、2.0mmol)、DBA(0.46g、3.0mmol)をNMP(18.2g)中で溶解し、60℃で5時間反応させたのち、CBDA(0.92g、4.7mmol)とNMP(6.1g)を加え、40℃で10時間反応させポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液(29g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.4g)、およびピリジン(7.6g)を加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(430ml)に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(B1)を得た。このポリイミドのイミド化率は51%であり、数平均分子量は14,000、重量平均分子量は39,000であった。
【0253】
得られたポリイミド粉末(B)(3.0g)にNMP(22.0g)を加え、50℃にて3時間攪拌して溶解させた。この溶液に3AMP(1wt%NMP溶液)3.0g、NMP(7.0g)、BCS(15.0g)を加え、室温で5時間攪拌することにより液晶配向剤(B1)を得た。
【0254】
また、上記の液晶配向剤(B1)10.0gに対して重合性化合物RM2を0.06g(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(B2)を調製した。
【0255】
(実施例3)
TCA(1.12g、 5.0mmol)、DA−3(2.24g、5.0mmol)、DA−8(1.05g、2.0mmol)、3AMPDA(0.73g、3.0mmol)をNMP(12.2g)中で溶解し、80℃で5時間反応させたのち、CBDA(0.94g、4.8mmol)とNMP(6.1g)を加え、40℃で10時間反応させポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液(29g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.4g)、およびピリジン(7.6g)を加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(430ml)に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(C1)を得た。このポリイミドのイミド化率は51%であり、数平均分子量は11,000、重量平均分子量は31,000であった。
【0256】
得られたポリイミド粉末(C)(3.0g)にNMP(22.0g)を加え、50℃にて3時間攪拌して溶解させた。この溶液に3AMP(1wt%NMP溶液)3.0g、NMP(7.0g)、BCS(15.0g)を加え、室温で5時間攪拌することにより液晶配向剤(C1)を得た。
【0257】
また、上記の液晶配向剤(C1)10.0gに対して重合性化合物RM2を0.06g(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(C2)を調製した。
【0258】
(実施例4)
CBDA(1.92g、10.0mmol)、DA−4(3.73g、8.0mmol)、DA−9(0.80g、2.0mmol)を室温、NMP(36.58g)中で10時間反応させたのち、NMP(32.3g)、BCS(32.3g)を加え、室温で5時間攪拌することにより液晶配向剤(D1)を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は9,000、重量平均分子量は32,000であった
また、上記の液晶配向剤(D1)10.0gに対して重合性化合物RM1を0.06g(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(D2)を調製した。
【0259】
(比較例1)
BODA(1.25g、 5.0mmol)、DA−5(1.06g、4.0mmol)、DA−9(1.20g、3.0mmol)、DBA(0.46g、3.0mmol)をNMP(14.7g)中で溶解し、60℃で5時間反応させたのち、CBDA(0.94g、4.8mmol)とNMP(4.9g)を加え、40℃で10時間反応させポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液(23g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.4g)、およびピリジン(7.4g)を加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(350ml)に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(E)を得た。このポリイミドのイミド化率は50%であり、数平均分子量は17000、重量平均分子量は48000であった。
【0260】
得られたポリイミド粉末(E)(3.0g)にNMP(22.0g)を加え、50℃にて3時間攪拌して溶解させた。この溶液に3AMP(1wt%NMP溶液)3.0g、NMP(7.0g)、BCS(15.0g)を加え、室温で5時間攪拌することにより液晶配向剤(E1)を得た。
【0261】
また、上記の液晶配向剤(E1)10.0gに対して重合性化合物RM1を0.06g(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(E2)を調製した。
【0262】
≪実施例5〜8及び比較例2〜6≫
<液晶セルの作製>
(実施例5)
実施例1で得られた液晶配向剤(A2)を用いて下記に示すような手順で液晶セルの作製を行った。実施例1で得られた液晶配向剤(A2)を、画素サイズが100μm×300μmでライン/スペースがそれぞれ5μmのITO電極パターンが形成されているITO電極基板のITO面にスピンコートし、80℃のホットプレートで90秒間乾燥した後、200℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。
【0263】
また、液晶配向剤(A2)を電極パターンが形成されていないITO面にスピンコートし、80℃のホットプレートで90秒乾燥させた後、200℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。
【0264】
上記の2枚の基板について一方の基板の液晶配向膜上に4μmのビーズスペーサーを散布した後、その上からシール剤(溶剤型熱硬化タイプのエポキシ樹脂)を印刷した。次いで、もう一方の基板の液晶配向膜が形成された側の面を内側にして、先の基板と貼り合せた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに液晶MLC-6608(メルク社製商品名)を減圧注入法によって注入し、液晶セルを作製した。
【0265】
得られた液晶セルの応答速度を、下記方法により測定した。その後、この液晶セルに40Vp−pの電圧を印加した状態で、この液晶セルの外側から365nmのバンドパスフィルターを通したUVを10J/cm
2照射した。その後、再び応答速度を測定し、UV照射前後での応答速度を比較した。また、UV照射後のセルについて画素部分のプレチルト角を測定した。結果を表1に示す。
【0266】
「応答速度の測定方法」
まず、バックライト、クロスニコルの状態にした一組の偏光版、光量検出器の順で構成される測定装置において、一組の偏光版の間に液晶セルを配置した。このときライン/スペースが形成されているITO電極のパターンがクロスニコルに対して45°の角度になるようにした。そして、上記の液晶セルに電圧±6V、周波数1kHzの矩形波を印加し、光量検出器によって観測される輝度が飽和するまでの変化をオシロスコープにて取り込み、電圧を印加していない時の輝度を0%、±4Vの電圧を印加し、飽和した輝度の値を100%として、輝度が10%から90%まで変化するのにかかる時間を応答速度とした。
【0267】
「プレチルト角の測定」
名菱テクニカ製LCDアナライザーLCA-LUV42Aを使用した。
【0268】
(実施例6)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(B2)を用いた以外は実施例5と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。またプレチルト角の測定を行なった。
【0269】
(実施例7)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(C2)を用いた以外は実施例5と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。またプレチルト角の測定を行なった。
【0270】
(実施例8)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(D2)を用いた以外は実施例5と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。またプレチルト角の測定を行なった。
【0271】
(比較例2)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(A1)を用いた以外は実施例5と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。またプレチルト角の測定を行なった。
【0272】
(比較例3)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(B1)を用いた以外は実施例5と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。またプレチルト角の測定を行なった。
【0273】
(比較例4)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(C1)を用いた以外は実施例5と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。またプレチルト角の測定を行なった。
【0274】
(比較例5)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(D1)を用いた以外は実施例5と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。またプレチルト角の測定を行なった。
【0275】
(比較例6)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(E2)を用いた以外は実施例5と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。またプレチルト角の測定を行なった。
【0276】
≪実施例9〜11≫
(実施例9)
BODA(3.50g、14.0mmol)、DA−10(5.85g、10.5mmol)、DA−6(5.33g、14.0mmol)、3AMPDA(2.54g、10.5mmol)をNMP(63.8g)中で溶解し、60℃で3時間反応させたのち、CBDA(4.05g、20.7mmol)とNMP(21.3g)を加え、40℃で10時間反応させポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液(95g)にNMPを加え6。5質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(8.0g)、およびピリジン(24.7g)を加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(1,300ml)に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(F)を得た。このポリイミドのイミド化率は60%であり、数平均分子量は13,000、重量平均分子量は45,000であった。
【0277】
得られたポリイミド粉末(F)(6.0g)にNMP(44.0g)を加え、50℃にて3時間攪拌して溶解させた。この溶液に3AMP(1wt%NMP溶液)6.0g、NMP(4.0g)、BCS(40.0g)を加え、室温で5時間攪拌することにより液晶配向剤(F1)を得た。
【0278】
また、上記の液晶配向剤(F1)10.0gに対して重合性化合物RM1を0.06g(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(F2)を調製した。
【0279】
(実施例10)
BODA(3.50g、14.0mmol)、DA−11(4.75g、10.5mmol)、DA−6(5.33g、14.0mmol)、3AMPDA(2.54g、10.5mmol)をNMP(60.5g)中で溶解し、60℃で3時間反応させたのち、CBDA(4.05g、20.7mmol)とNMP(20.2g)を加え、40℃で10時間反応させポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液(95g)にNMPを加え6。5質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(8.0g)、およびピリジン(24.7g)を加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(1,300ml)に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(G)を得た。このポリイミドのイミド化率は60%であり、数平均分子量は12,000、重量平均分子量は39,000であった。
【0280】
得られたポリイミド粉末(G)(6.0g)にNMP(44.0g)を加え、50℃にて3時間攪拌して溶解させた。この溶液に3AMP(1wt%NMP溶液)6.0g、NMP(4.0g)、BCS(40.0g)を加え、室温で5時間攪拌することにより液晶配向剤(G1)を得た。
【0281】
また、上記の液晶配向剤(G1)10.0gに対して重合性化合物RM1を0.06g(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(G2)を調製した。
【0282】
(実施例11)
BODA(3.50g、14.0mmol)、DA−13(5.21g、10.5mmol)、DA−6(5.33g、14.0mmol)、3AMPDA(2.54g、10.5mmol)をNMP(61.9g)中で溶解し、60℃で3時間反応させたのち、CBDA(4.05g、20.7mmol)とNMP(20.6g)を加え、40℃で10時間反応させポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液(95g)にNMPを加え6。5質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(8.0g)、およびピリジン(24.7g)を加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(1,300ml)に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(H)を得た。このポリイミドのイミド化率は60%であり、数平均分子量は10,000、重量平均分子量は27,000であった。
【0283】
得られたポリイミド粉末(H)(6.0g)にNMP(44.0g)を加え、50℃にて3時間攪拌して溶解させた。この溶液に3AMP(1wt%NMP溶液)6.0g、NMP(4.0g)、BCS(40.0g)を加え、室温で5時間攪拌することにより液晶配向剤(H1)を得た。
【0284】
また、上記の液晶配向剤(H1)10.0gに対して重合性化合物RM1を0.06g(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(H2)を調製した。
【0285】
≪実施例12〜14≫
<液晶セルの作製>
(実施例12)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(F2)を用いた以外は実施例5と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。またプレチルト角の測定を行なった。
【0286】
(実施例13)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(G2)を用いた以外は実施例5と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。またプレチルト角の測定を行なった。
【0287】
(実施例14)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(H2)を用いた以外は実施例5と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。またプレチルト角の測定を行なった。
【0288】
【表1】
【0289】
表1に示すように、感光性の側鎖部位にメタクリル基、シンナモイル基の両方を有するポリマーと重合性化合物を併用することで365nmのような長波長の紫外光でも充分な応答速度、チルト角を発現することが確認された。これは側鎖部位が感光性基を2つ有することで、高分子中に固定化されている感光性側鎖部位の光反応性が向上し、系内にフリーに存在している重合性化合物との反応性が劇的に向上したためであると思われる。
【0290】
一方、比較例2〜5の重合性化合物が導入されていない場合は、応答速度の向上効果はあるものの365nmなどの弱いエネルギーの紫外線照射では重合反応や架橋反応の光反応が充分に進まないためか充分な応答速度、チルト角を得ることができていない。
【0291】
また、比較例6に示すように感光性の側鎖部位にメタクリル基のみを有する高分子と重合性化合物とを併用した場合でも、365nmの紫外線照射では充分な応答速度の向上、チルト発現能は得られなかった。
【0292】
このことから、本実施例のように感光性の側鎖部位にメタクリル基などの光重合性基とシンナモイル基などの光架橋性基の両方を有するポリマーと、重合性化合物を併用することで365nmなどの長波長の紫外線照射でも充分な応答速度、チルト角を得ることが可能となる。