特許第6478053号(P6478053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産化学工業株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6478053
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】マイクロレンズ形成用樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/04 20060101AFI20190225BHJP
   C08L 101/02 20060101ALI20190225BHJP
   C08F 212/02 20060101ALI20190225BHJP
   C08F 220/28 20060101ALI20190225BHJP
   C08F 222/40 20060101ALI20190225BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20190225BHJP
【FI】
   G02B1/04
   C08L101/02
   C08F212/02
   C08F220/28
   C08F222/40
   G02B5/20
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-559848(P2015-559848)
(86)(22)【出願日】2015年1月9日
(86)【国際出願番号】JP2015050510
(87)【国際公開番号】WO2015115155
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2017年12月25日
(31)【優先権主張番号】特願2014-15564(P2014-15564)
(32)【優先日】2014年1月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂口 崇洋
(72)【発明者】
【氏名】安達 勲
【審査官】 清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−221496(JP,A)
【文献】 特開2012−108460(JP,A)
【文献】 特開2011−170305(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/007915(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/105288(WO,A1)
【文献】 特開昭61−167901(JP,A)
【文献】 特許第5737538(JP,B2)
【文献】 特許第5950125(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/04
C08F 212/02
C08F 220/28
C08F 222/40
C08L 101/02
G02B 5/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される構造単位
式(2)で表される構造単位
(3−1)又は式(3−2)で表される構造単位、及び
(4−1)、式(4−2)又は式(4−3)で表される構造単位
を有する共重合体、及び溶剤を含有するマイクロレンズ形成用樹脂組成物。
【化1】
(式中、Xはシクロヘキシル基又はフェニル基を表し、Yはビフェニリル基又はナフチル基を表し、R0はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素原子数1乃至1
0の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、bは1又は2を表す。
【請求項2】
前記共重合体は、前記式(3−1)で表される構造単位とXがフェニル基である前記式(1)で表される構造単位とを有する、請求項1に記載のマイクロレンズ形成用樹脂組成物。
【請求項3】
さらに界面活性剤を含む請求項1又は請求項に記載のマイクロレンズ形成用樹脂組成物。
【請求項4】
前記共重合体の重量平均分子量が1,000乃至100,000である、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のマイクロレンズ形成用樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のマイクロレンズ形成用樹脂組成物から得られる硬化膜。
【請求項6】
カラーフィルター層上に請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のマイクロレンズ形成用樹脂組成物を塗布しベークして樹脂層を形成する段階と、前記樹脂層上にレジスト組成物を用いてレジストパターンを形成する段階と、前記レジストパターンをリフローしてレンズパターンを形成する段階と、前記レンズパターンをエッチングマスクとして前記樹脂層をエッチバックする段階とを含む、マイクロレンズの作製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロレンズ形成用樹脂組成物に関する。より詳しくは、エッチバック法によりマイクロレンズを形成するために用いられる樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD/CMOSイメージセンサの高精細化が進み、センサ感度の向上が要求されるようになってきたことから、搭載されるマイクロレンズに対しては、高透明性や高耐熱性が要求される。
【0003】
CCD/CMOSイメージセンサ用マイクロレンズの製造方法の1つとして、エッチバック法が知られている(特許文献1及び特許文献2)。すなわち、カラーフィルター層上に形成したマイクロレンズ用樹脂層上にレジストパターンを形成し、熱処理によってこのレジストパターンをリフローしてレンズパターンを形成する。このレジストパターンをリフローして形成したレンズパターンを、エッチングマスクとして下層のマイクロレンズ用樹脂層をエッチバックし、レンズパターン形状をマイクロレンズ用樹脂層に転写することによってマイクロレンズを作製する。
【0004】
エッチバック法では、レンズパターン形状を忠実に下層のマイクロレンズ用樹脂層へ転写するにあたり、レジスト膜のドライエッチングレートXとマイクロレンズ用樹脂層のドライエッチングレートYが同等(例えば、X:Y=1:0.8〜1.2)であることが求められる(特許文献3及び特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−10666号公報
【特許文献2】特開平6−112459号公報
【特許文献3】国際公開第2013/005619号
【特許文献4】国際公開第2013/035569号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記の事情に基づいてなされたものであり、その目的は、優れた透明性、耐熱性、耐溶剤性、平坦性及びレジスト膜と同等のドライエッチングレートを有する硬化膜を形成できる、保存安定性に優れた熱硬化性の樹脂組成物を提供することである。また、本発明の他の目的は、優れた透明性、耐熱性及び耐溶剤性を有するマイクロレンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記の課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記式(1)、式(2)、式(3)及び式(4)で表される構造単位を有する共重合体、及び溶剤を含有するマイクロレンズ形成用樹脂組成物である。
【化1】



(式中、Xはシクロヘキシル基又はフェニル基を表し、Yはフェニル基、ビフェニリル基又はナフチル基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素原子数1乃至3のアルキル基を表し、Rは炭素原子数1乃至10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、RとRは互いに結合して4乃至7員環の含酸素環構造を形成してもよく、Rは単結合又は炭素原子数1乃至5のアルキレン基を表し、当該アルキレン基はその中にエーテル結合を有してもよく、Rはエポキシ基、又はエポキシ環を有する炭素原子数5乃至12の有機基を表す。)
【0008】
本発明はまた、前記マイクロレンズ形成用樹脂組成物から得られる硬化膜である。さらに本発明は、前記マイクロレンズ形成用樹脂組成物から作製されるマイクロレンズとその作製方法である。当該マイクロレンズは、例えば前述のエッチバック法によって作製される。すなわち、カラーフィルター層上に本発明のマイクロレンズ形成用樹脂組成物を塗布しベークして樹脂層を形成する段階と、前記樹脂層上にレジスト組成物を用いてレジストパターンを形成する段階と、前記レジストパターンをリフローしてレンズパターンを形成する段階と、前記レンズパターンをエッチングマスクとして前記樹脂層をエッチバックする段階を含む方法によって、該マイクロレンズは作製される。前記リフローは、前記レジストパターンのガラス転移温度(Tg)以上、通常200℃未満の温度で、当該レジストパターンを加熱することによって行われる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のマイクロレンズ形成用樹脂組成物は、当該組成物に含まれる共重合体が自己架橋タイプであるため必ずしも架橋剤が添加される必要はなく、熱硬化性を有すると共に、前記式(3)で表される構造単位においてカルボキシル基がブロック化されているため、保存安定性に優れる。さらに、本発明のマイクロレンズ形成用樹脂組成物から形成される膜は、優れた透明性、耐熱性、耐溶剤性、200℃以上のガラス転移温度(Tg)及びレジスト膜と同等のエッチングレートを有する。
以上より、本発明のマイクロレンズ形成用樹脂組成物から形成される膜は、その形成工程、又は配線等の周辺装置の形成工程において、高温での加熱処理が行われる場合にマイクロレンズが着色し、レンズ形状が変形する可能性を、著しく減少できる。また、本発明のマイクロレンズ形成用樹脂組成物から樹脂層を形成しその上にレジスト溶液を塗布する場合、及びマイクロレンズを形成後に電極/配線形成工程が行われる場合には、レジストとのミキシング、有機溶剤によるマイクロレンズの変形及び剥離といった問題も著しく減少できる。したがって、本発明のマイクロレンズ形成用樹脂組成物は、マイクロレンズを形成する材料として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、共重合体と溶剤を含有する樹脂組成物である。以下、各成分の詳細を説明する。本発明の樹脂組成物から溶剤を除いた固形分は通常、1質量%乃至50質量%である。
【0011】
<共重合体>
本発明の樹脂組成物に含まれる共重合体は、前述の式(1)、式(2)、式(3)及び式(4)で表される構造単位を有する共重合体である。
【0012】
前記式(1)で表される構造単位を形成する化合物(モノマー)の具体例としては、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドが挙げられる。これらの化合物は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0013】
前記式(2)で表される構造単位を形成する化合物(モノマー)の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−ビニルビフェニル、3−ビニルビフェニル、4−ビニルビフェニル、1−ビニルナフタレン及び2−ビニルナフタレンが挙げられる。これらの化合物は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0014】
前記式(3)で表される構造単位は、例えば下記式(3−1)又は式(3−2)で表される構造単位である。
【化2】



(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子数1乃至10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、bは1又は2を表す。)
【0015】
前記式(3)で表される構造単位を形成する化合物(モノマー)の具体例としては、1−メトキシエチル(メタ)アクリレート、1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、1−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、1−イソプロポキシエチル(メタ)アクリレート、1−n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、1−tert−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、1−n−ヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、1−シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル(メタ)アクリレート等のモノマーが挙げられる。なお、これらのモノマーは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
前記式(3)で表される構造単位を形成する化合物(モノマー)は、アクリル酸もしくはメタクリル酸とアルケニルエーテル化合物を反応させて得られる保護されたカルボキシル基を有するアクリレートもしくはメタクリレートを重合する方法、又はアクリル酸もしくはメタクリル酸の重合体とアルケニルエーテル化合物とを反応させる方法によって得られる。
【0017】
ここで用いられる上記アルケニルエーテル化合物は下記式(5)で表される化合物である。
【化3】



(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1乃至3のアルキル基を表し、Rは炭素原子数1乃至10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、RとRは互いに結合して4乃至7員環の含酸素環構造を形成してもよい。)
【0018】
カルボキシル基を有する化合物とアルケニルエーテル化合物の反応は、例えば、リン酸エステル類の1つであるリン酸モノオクチルを触媒とし、70℃で攪拌することにより行なうことができる。
【0019】
前記式(5)で表されるアルケニルエーテル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ノルボルニルビニルエーテル、1−アダマンチルビニルエーテル、2−アダマンチルビニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル化合物、2,3−ジヒドロフラン、4−メチル−2,3−ジヒドロフラン、2,3−ジヒドロ−4H−ピラン等の環状ビニルエーテル化合物が挙げられる。
【0020】
前記式(4)で表される構造単位は、例えば下記式(4−1)、式(4−2)又は式(4−3)で表される構造単位である。
【化4】



(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。)
【0021】
前記式(4)で表される構造単位を形成する化合物(モノマー)の具体的な例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのモノマーは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0022】
前記式(1)、式(2)、式(3)及び式(4)で表される構造単位を有する共重合体において、前記式(1)で表される構造単位、前記式(2)で表される構造単位、前記式(3)で表される構造単位及び前記式(4)で表される構造単位の和100mol%に対し、前記式(1)で表される構造単位の含有率は5mol%乃至80mol%であり、好ましくは10mol%乃至70mol%、前記式(2)で表される構造単位の含有率は5mol%乃至80mol%であり、好ましくは10mol%乃至70mol%、前記式(3)で表される構造単位の含有率は5mol%乃至40mol%であり、好ましくは10mol%乃至30mol%、前記式(4)で表される構造単位の含有率は5mol%乃至40mol%であり、好ましくは10mol%乃至30mol%である。
【0023】
前記共重合体の重量平均分子量は通常、1,000乃至100,000であり、好ましくは3,000乃至50,000である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準試料としてポリスチレンを用いて得られる値である。
【0024】
また、本発明の樹脂組成物における前記共重合体の含有量は、当該樹脂組成物の固形分中の含有量に基づいて通常、1質量%乃至99質量%であり、好ましくは5質量%乃至95質量%である。
【0025】
本発明において、前記共重合体を得る方法は特に限定されないが、一般的には、前記式(1)、式(2)、式(3)及び式(4)で表される構造単位を形成する化合物(モノマー)を、重合開始剤存在下の溶剤中において、通常50℃乃至120℃の温度下で重合反応させることにより得られる。このようにして得られる共重合体は、通常、溶剤に溶解した溶液状態であり、この状態で単離することなく、本発明の樹脂組成物に用いることもできる。
【0026】
また、上記のようにして得られた共重合体の溶液を、攪拌させたヘキサン、ジエチルエーテル、メタノール、水等の貧溶媒に投入して当該共重合体を再沈殿させ、生成した沈殿物をろ過・洗浄後、常圧又は減圧下で常温乾燥又は加熱乾燥することで、当該共重合体を粉体とすることができる。このような操作により、前記共重合体と共存する重合開始剤や未反応化合物を除去することができる。本発明においては、前記共重合体の粉体をそのまま用いても良く、あるいはその粉体を、例えば後述する溶剤に再溶解して溶液の状態として用いても良い。
【0027】
本発明の樹脂組成物の調製方法は、特に限定されないが、例えば、前記式(1)、式(2)、式(3)及び式(4)で表される構造単位を有する共重合体を溶剤に溶解し、均一な溶液とする方法が挙げられる。さらに、この調製方法の適当な段階において、必要に応じて、その他の添加剤を更に添加して混合する方法が挙げられる。
【0028】
前記溶剤としては、共重合体を溶解するものであれば特に限定されない。そのような溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトンを挙げることができる。これらの溶剤は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
これらの溶剤の中でも、本発明の樹脂組成物を基板上に塗布して形成される塗膜のレベリング性の向上の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−ヘプタノン、乳酸エチル、乳酸ブチル、シクロペンタノン及びシクロヘキサノンが好ましい。
【0030】
また、本発明の樹脂組成物は、塗布性を向上させる目的で、界面活性剤を含有することもできる。
当該界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ〔登録商標〕EF301、同EF303、同EF352(以上、三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック〔登録商標〕F−171、同F−173、同R−30、同R−40、同R−40−LM(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム(株)製)、アサヒガード〔登録商標〕AG710、サーフロン〔登録商標〕S−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)、FTX−206D、FTX−212D、FTX−218、FTX−220D、FTX−230D、FTX−240D、FTX−212P、FTX−220P、FTX−228P、FTX−240G等のフタージェントシリーズ((株)ネオス製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)を挙げることができる。これらの界面活性剤は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
また、前記界面活性剤が使用される場合、本発明の樹脂組成物における含有量は、当該樹脂組成物の固形分中の含有量に基づいて、3質量%以下であり、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下である。
【0032】
また、本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、架橋剤、硬化助剤、紫外線吸収剤、増感剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、密着助剤等の添加剤を含むことができる。
【0033】
以下、本発明の樹脂組成物から得られる硬化膜の代表的な使用例となる本発明のマイクロレンズ作製方法について説明する。該方法は以下の4段階を含む。
まずは、基板{例えば、酸化珪素膜で被覆されたシリコン等の半導体基板、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜で被覆されたシリコン等の半導体基板、カラーフィルターが形成されたシリコン等の半導体基板、窒化珪素基板、石英基板、ガラス基板(無アルカリガラス、低アルカリガラス、結晶化ガラスを含む)、ITO膜が形成されたガラス基板}上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明の樹脂組成物を塗布後、ホットプレート等の加熱手段を用いてベークして硬化させてマイクロレンズ用樹脂層を形成する段階である。
【0034】
ベーク条件は、ベーク温度80℃乃至300℃、ベーク時間0.3分乃至60分間の中から適宜選択される。ベークは2ステップ以上処理してもよい。
【0035】
また、本発明の樹脂組成物から形成される膜の膜厚としては、例えば0.001μm乃至100μmであり、好ましくは0.01μm乃至10μmである。
【0036】
その後、本発明の樹脂組成物から形成されたマイクロレンズ用樹脂層の上にレジスト溶液を塗布し、所定のマスクを通して露光し、必要に応じて露光後加熱(PEB)を行い、アルカリ現像、リンス、乾燥することにより、所定のレジストパターンを形成する段階である。露光には、例えば、g線、i線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザーを使用することができる。
【0037】
次いで、加熱処理することにより、上記レジストパターンをリフローしてレンズパターンを形成する段階である。さらにこのレンズパターンをエッチングマスクとして下層のマイクロレンズ用樹脂層をエッチバックして、レンズパターン形状をマイクロレンズ用樹脂層に転写することによってマイクロレンズを作製する段階である。
【実施例】
【0038】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。
【0039】
〔得られた共重合体の重量平均分子量の測定〕
装置:日本分光(株)製GPCシステム
カラム:Shodex〔登録商標〕KF−804L及びKF−803L
カラムオーブン:40℃
流量:1mL/分
溶離液:テトラヒドロフラン
【0040】
[共重合体の合成]
<合成例1>
N−フェニルマレイミド5.0g、2−ビニルナフタレン4.5g、1−n−ブトキシエチルメタクリレート3.6g、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(サイクロマー〔登録商標〕M100((株)ダイセル製))3.8g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.84gをシクロヘキサノン41.2gに溶解させた後、この溶液を、シクロヘキサノン11.8gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは30,000(ポリスチレン換算)であった。
【0041】
<合成例2>
N−フェニルマレイミド5.0g、2−ビニルナフタレン5.9g、1−n−ブトキシエチルメタクリレート2.7g、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(4HBAGE(日本化成(株)製))2.9g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.83gをシクロヘキサノン40.5gに溶解させた後、この溶液を、シクロヘキサノン11.6gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは20,000(ポリスチレン換算)であった。
【0042】
<合成例3>
N−フェニルマレイミド8.5g、4−ビニルビフェニル5.3g、1−n−ブトキシエチルメタクリレート1.8g、グリシジルメタクリレート1.4g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.85gをシクロヘキサノン41.7gに溶解させた後、この溶液を、シクロヘキサノン11.9gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは22,000(ポリスチレン換算)であった。
【0043】
<合成例4>
N−フェニルマレイミド3.5g、4−ビニルビフェニル10.9g、1−n−ブトキシエチルメタクリレート1.9g、グリシジルメタクリレート1.5g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.90gをシクロヘキサノン43.5gに溶解させた後、この溶液を、シクロヘキサノン12.5gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは18,000(ポリスチレン換算)であった。
【0044】
<合成例5>
N−シクロヘキシルマレイミド3.5g、4−ビニルビフェニル10.5g、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート1.7g、グリシジルメタクリレート1.4g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.86gをシクロヘキサノン42.0gに溶解させた後、この溶液を、シクロヘキサノン12.0gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは16,000(ポリスチレン換算)であった。
【0045】
<合成例6>
N−シクロヘキシルマレイミド3.5g、4−ビニルビフェニル10.5g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.3g、2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルメタクリレート(カレンズ〔登録商標〕MOI−BM(昭和電工(株)製))2.4g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.88gをシクロヘキサノン43.4gに溶解させた後、この溶液を、シクロヘキサノン12.4gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは19,000(ポリスチレン換算)であった。
【0046】
<合成例7>
N−フェニルマレイミド3.5g、2−ビニルナフタレン7.8g、4−ヒドロキシブチルアクリレート2.2g、2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルメタクリレート(カレンズ〔登録商標〕MOI−BM(昭和電工(株)製))3.7g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.86gをシクロヘキサノン42.0gに溶解させた後、この溶液を、シクロヘキサノン12.0gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは21,000(ポリスチレン換算)であった。
【0047】
<合成例8>
N−フェニルマレイミド4.0g、スチレン2.4g、2−ビニルナフタレン7.1g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.5g、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(カレンズ〔登録商標〕MOI−BP(昭和電工(株)製))2.9g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.90gをシクロヘキサノン43.9gに溶解させた後、この溶液を、シクロヘキサノン12.6gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは15,000(ポリスチレン換算)であった。
【0048】
<合成例9>
スチレン12.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.9g、2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルメタクリレート(カレンズ〔登録商標〕MOI−BM(昭和電工(株)製))3.5g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.87gをシクロヘキサノン42.5gに溶解させた後、この溶液を、シクロヘキサノン12.2gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは16,000(ポリスチレン換算)であった。
【0049】
<合成例10>
2−ビニルナフタレン14.0g、1−n−ブトキシエチルメタクリレート2.1g、グリシジルメタクリレート1.6g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.3gをシクロヘキサノン44.3gに溶解させた後、この溶液を、シクロヘキサノン12.6gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは7,000(ポリスチレン換算)であった。
【0050】
<合成例11>
2−ビニルナフタレン8.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.4g、2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルメタクリレート(カレンズ〔登録商標〕MOI−BM(昭和電工(株)製))6.3g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.88gをシクロヘキサノン43.3gに溶解させた後、この溶液を、シクロヘキサノン12.4gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは20,000(ポリスチレン換算)であった。
【0051】
<合成例12>
4−ビニルビフェニル9.0g、1−n−ブトキシエチルメタクリレート4.7g、グリシジルメタクリレート3.6g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.86gをシクロヘキサノン42.1gに溶解させた後、この溶液を、シクロヘキサノン12.0gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは14,000(ポリスチレン換算)であった。
【0052】
<合成例13>
N−フェニルマレイミド8.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.0g、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート(カレンズ〔登録商標〕MOI−BP(昭和電工(株)製))5.8g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.84gをシクロヘキサノン41.2gに溶解させた後、この溶液を、シクロヘキサノン11.8gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに18時間反応させて、共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは19,000(ポリスチレン換算)であった。
【0053】
[マイクロレンズ形成用樹脂組成物の調製]
<実施例1>
合成例1で得られた共重合体の溶液40.0g(固形分10.0g含む)に界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.01gを溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してマイクロレンズ形成用脂組成物を調製した。
【0054】
<実施例2>
合成例2で得られた共重合体の溶液40.0g(固形分10.0g含む)に界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.01gを溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してマイクロレンズ形成用脂組成物を調製した。
【0055】
<実施例3>
合成例3で得られた共重合体の溶液40.0g(固形分10.0g含む)に界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.01gを溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してマイクロレンズ形成用脂組成物を調製した。
【0056】
<実施例4>
合成例4で得られた共重合体の溶液40.0g(固形分10.0g含む)に界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.01gを溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してマイクロレンズ形成用脂組成物を調製した。
【0057】
<実施例5>
合成例5で得られた共重合体の溶液40.0g(固形分10.0g含む)に界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.01gを溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してマイクロレンズ形成用脂組成物を調製した。
【0058】
<参考例1>
合成例6で得られた共重合体の溶液40.0g(固形分10.0g含む)に界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.01gを溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してマイクロレンズ形成用脂組成物を調製した。
【0059】
<参考例2>
合成例7で得られた共重合体の溶液40.0g(固形分10.0g含む)に界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.01gを溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してマイクロレンズ形成用脂組成物を調製した。
【0060】
<参考例3>
合成例8で得られた共重合体の溶液40.0g(固形分10.0g含む)に界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.01gを溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してマイクロレンズ形成用脂組成物を調製した。
【0061】
<比較例1>
合成例9で得られた共重合体の溶液40.0g(固形分10.0g含む)に界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.01gを溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してマイクロレンズ形成用脂組成物を調製した。
【0062】
<比較例2>
合成例10で得られた共重合体の溶液40.0g(固形分10.0g含む)に界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.01gを溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してマイクロレンズ形成用脂組成物を調製した。
【0063】
<比較例3>
合成例11で得られた共重合体の溶液40.0g(固形分10.0g含む)に界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.01gを溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してマイクロレンズ形成用脂組成物を調製した。
【0064】
<比較例4>
合成例12で得られた共重合体の溶液40.0g(固形分10.0g含む)に界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.01gを溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してマイクロレンズ形成用脂組成物を調製した。
【0065】
<比較例5>
合成例13で得られた共重合体の溶液40.0g(固形分10.0g含む)に界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.01gを溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してマイクロレンズ形成用脂組成物を調製した。
【0066】
[耐溶剤性試験]
実施例1乃至実施例5、参考例1乃至参考例3及び比較例1乃至比較例5で調製したマイクロレンズ形成用樹脂組成物をそれぞれ、シリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において100℃で1分間、さらに230℃で10分間ベークを行い、膜厚2μmの膜を形成した。これらの膜に対して、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、2−プロパノール、及び2.38質量%濃度の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液に、それぞれ23℃の温度条件下、5分間浸漬する試験を行った。浸漬前後において膜厚変化を測定し、上記浸漬溶剤のうち1つでも、浸漬前の膜厚に対して5%以上の膜厚増減があった場合は“×”、全ての溶剤について膜厚増減が5%未満であった場合は“○”として耐溶剤性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0067】
[透過率測定]
実施例1乃至実施例5、参考例1乃至参考例3及び比較例1乃至比較例5で調製したマイクロレンズ形成用樹脂組成物をそれぞれ、石英基板上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において100℃で1分間、さらに230℃で10分間ベークを行い、膜厚2μmの膜を形成した。これらの膜に対して、紫外線可視分光光度計UV−2550((株)島津製作所製)を用いて、波長400nm〜800nmの範囲で波長を2nmずつ変化させて透過率を測定した。さらにこの膜を260℃で5分間加熱した後、再び波長400nm〜800nmの範囲で波長を2nmずつ変化させて透過率を測定した。260℃で5分間加熱する前及び後での、波長400nm〜800nmの範囲で測定された最低透過率の値を表1に示す。
【0068】
[ドライエッチングレートの測定]
ドライエッチングレートの測定に用いたエッチャー及びエッチングガスは、以下の通りである。
エッチャー:RIE−10NR(サムコ(株)製)
エッチングガス:CF
【0069】
実施例1乃至実施例5、参考例1乃至参考例3及び比較例1乃至比較例5で調製したマイクロレンズ形成用樹脂組成物をそれぞれ、シリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において100℃で1分間、さらに230℃で10分間ベークを行い、膜厚2μmの膜を形成した。上記エッチャー及びエッチングガスを用い、これらの膜のドライエッチングレートを測定した。同様に、レジスト溶液(THMR−iP1800(東京応化工業(株)製)を、シリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において90℃で1.5分間、110℃で1.5分間、さらに180℃で1分間ベークを行い、膜厚1μmのレジスト膜を形成し、ドライエッチングレートを測定した。そして、前記レジスト膜に対する、実施例1乃至実施例5、参考例1乃至参考例3及び比較例1乃至比較例5で調製したマイクロレンズ形成用樹脂組成物から得られた膜のドライエッチングレートを求めた。評価結果を表1に示す。
【0070】
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
実施例1乃至実施例5、参考例1乃至参考例3及び比較例1乃至比較例5で調製したマイクロレンズ形成用樹脂組成物をそれぞれ、シリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において100℃で1分間、さらに230℃で10分間ベークを行い、膜厚2μmの膜を形成した。これらの膜をシリコンウエハーから剥離し、示差走査熱量計DSC3100SR((株)マックサイエンス製)を用いて測定した。評価結果を表1に示す。
【0071】
【表1】


【0072】
表1の結果から、本発明のマイクロレンズ形成用樹脂組成物から形成された膜は、高耐溶剤性、高透明性であると共に、260℃で加熱した後でも着色しない高耐熱性を有するものであった。さらに、エッチバック法では、レンズパターン形状を忠実に下層のマイクロレンズ用樹脂層へ転写するにあたり、レジスト膜のドライエッチングレートXとマイクロレンズ用樹脂層のドライエッチングレートYが同等(X:Y=1:0.8〜1.2、好ましくはX:Y=1:0.9〜1.1)であることが求められるが、本発明のマイクロレンズ形成用樹脂組成物はこれを満足する結果となった。また、マイクロレンズ形成プロセスの観点及び永久部材としての信頼性の観点において、マイクロレンズ形成用樹脂組成物から形成された膜のTgは、200℃以上であることが好ましく、200℃を超える温度であることがより好ましい。200℃とは、当該膜からマイクロレンズを作製するプロセスにおいて、当該膜上にレジストパターンを形成する際に必要な加熱温度以上の温度であり、レジストパターンのリフロー温度以上の温度でもある。本発明のマイクロレンズ形成用樹脂組成物から形成された膜は、Tgが200℃以上であることを満足する結果となった。一方、比較例1乃至比較例5で調製したマイクロレンズ形成用樹脂組成物から形成された膜については、全ての特性を満足するものではないことが分かった。参考例1乃至参考例3で調製したマイクロレンズ形成用樹脂組成物から形成された膜はいずれも、Tgは200℃であった。