(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、容器に充填して冷却する手段では、容器のリサイクルや洗浄処理などの煩雑な工程が必要となり、また、容器の数を減らすと、必要能力を維持するために大きな容器が必要となり、固化に時間を要するなどの課題があった。
【0007】
また、冷却した金属ドラムやベルト上に溶融油脂含有物を流し、更に冷風を当てるなどして連続的に冷却固化する手段では、必要な冷却時間を確保するために装置が巨大になったり、熱交換効率が悪かったり、結露の発生・混入を防止するための空調された閉鎖空間の準備に大掛かりな設備が必要になるなどの課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は、特許請求の範囲の請求項1又は5に記載のように、油脂成分の上昇融点以上の温度に加熱溶融してなる油脂成分が10質量%以上含有する油脂含有物の流動体を中空状の冷却枠体の一端部側の導入口部に供給する流動体供給手段と、前記流動体を導入口部から冷却枠体内に収容し冷却固化する冷却固化手段と、固化後の油脂含有物を冷却枠体の他端部側の排出口部から取り出し可能にした冷却固化手段とからなる油脂含有物の冷却固化方法又は装置を提供しようとするものである。
【0009】
また、本発明は、請求項2又は6に記載のように、流動体供給手段において流動体を導入口部から冷却枠体内に導入することによって冷却固化後の油脂含有物を冷却枠体の排出口部から押し出して取り出し可能にした油脂含有物の冷却固化方法又は装置を提供しようとするものである。
【0010】
また、本発明は、請求項3に記載のように、油脂含有物の冷却固化手段において、固化後の油脂含有物を取り出す前に冷却枠体の冷却温度を上昇させることからなる請求項1又は2に記載の油脂含有物の冷却固化方法又は装置を提供しようとするものである。
【0011】
また、本発明は、請求項4に記載のように、固化後の油脂含有物を取り出す前に冷却枠体の冷却温度を上昇させ、固化後の油脂含有物の取り出しが完了する以前又は以後に、冷却枠体の冷却温度を下降させ、冷却枠体内に引き続き導入された油脂含有物を冷却固化し、固化後の油脂含有物を取り出す前に冷却枠体の冷却温度を上昇させ、取り出しが完了する以前又は以後に、冷却枠体の冷却温度を下降させ、これらのサイクルを繰り返し、流動体を固化して取り出すことからなる請求項3に記載の油脂含有物の冷却固化方法又は装置を提供しようとするものである。
【0012】
また、本発明は、請求項7に記載のように、油脂含有物の取り出し手段が固化した油脂含有物が導入口部から間欠的に供給された油脂含有物の流動体により排出口部から押し出されて順次に取り出されることからなる請求項5又は6に記載の油脂含有物の冷却固化方法又は装置を提供しようとするものである。
また、本発明は、請求項8に記載のように、流動体が排出口部で固化しない速度で導入口部から流動体を充填した後に、一定時間流動体の流れを止め冷却し、固化した後に固形物を排出口部から取り出すことからなる請求項7に記載の油脂含有物の冷却固化方法又は装置を提供しようとするものである。
流動体が排出口部で固化しない状況とは、冷却枠体内の排出口部の手前の流動体充填設定位置まで、流動体が固化していない状況である。具体的には、冷却枠体の排出口部に流動体をせき止めるシャッターや蓋がある場合は、せき止められる部分が前記排出口部であり、間欠的に固化した油脂含有物を油脂含有物の流動体で押し出す時は、押し出される固化すべき油脂含有物の排出口部側の端部が対応する排出口部になる。
【0013】
また、本発明は、請求項9に記載のように、冷却枠体が内部に収容した流動体を油脂成分の上昇融点より低い温度の冷媒により外側から冷却可能な中空枠体からなる請求項5乃至8のいずれかに記載の油脂含有物の冷却固化方法又は装置を提供しようとするものである。
【0014】
また、本発明は、請求項10に記載のように、油脂含有物の冷却固化手段が複数体の中空枠体を並列に有する請求項9に記載の油脂含有物の冷却固化方法又は装置を提供しようとするものである。
【0015】
また、本発明は、請求項11に記載のように、流動体供給手段が加熱溶融する油脂含有物を常時供給する供給路を具備すると共に、流動体を収容する冷却固化手段の冷却枠体の導入口部が前記供給路に連通可能に開口するように設置した請求項5乃至10のいずれかに記載の油脂含有物の冷却固化方法又は装置を提供しようとするものである。
【0016】
また、本発明は、請求項12に記載のように、中空枠体の長手方向中心軸を水平よりも10度以上の角度で立てて設置したことからなる請求項5乃至11のいずれかに記載の油脂含有物流動体の冷却固化方法又は装置を提供しようとするものである。
【0017】
また、本発明は、請求項13に記載のように、請求項1乃至4のいずれか又は請求項5乃至12のいずれかに記載の油脂含有物流動体の冷却固化方法又は装置により製造された油脂含有固形物を提供しようとするものである。
また、本発明は、請求項14に記載のように、請求項1乃至13のいずれかに記載の油脂含有物がルウからなる油脂含有物流動体の冷却固化方法、装置又は油脂含有物固形物を提供しようとするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る油脂含有物の冷却固化方法又は装置によれば、請求項1又は5に記載のように、油脂成分の上昇融点以上の温度に加熱溶融してなる油脂成分が10質量%以上含有する流動体を中空状の冷却枠体の一端部側の導入口部に供給する流動体供給手段と、前記流動体を導入口部から冷却枠体内に収容し冷却固化する冷却固化手段と、固化後の油脂含有物を冷却枠体の他端部側の排出口部から取り出し可能にした冷却固化手段とからなる構成を有することにより、油脂含有物の流動体を中空状の冷却枠体の一端部の導入口部から供給することによって冷却枠体内において油脂成分を冷却固化することができると共に、冷却固化した油脂含有物を冷却枠体の排出口部からそのまま取り出すことができるから、冷却枠体の導入口部から排出口部に流動体を流動して、油脂含有物を流動方向に沿って効率的に冷却固化することができる効果がある。
【0019】
また、本発明にかかる油脂含有物の冷却固化方法又は装置によれば、請求項2又は6に記載のように、流動体供給手段において流動体を導入口部から冷却枠体内に導入することによって冷却固化後の油脂含有物を冷却枠体の排出口部から押し出して取り出すことができる構成を有することにより、流動体の冷却枠体内への導入と冷却固化と取り出しが一連に流動的に連続的に効率よくできる効果がある。
【0020】
また、請求項3に記載のように、油脂含有物の冷却固化手段において、固化後の油脂含有物を取り出す前に冷却枠体の冷却温度を上昇させることによって、油脂含有物の表面温度を上昇させて潤滑させて容易に取り出すことができる効果がある。
【0021】
また、請求項4に記載のように、固化後の油脂含有物を取り出す前に冷却枠体の冷却温度を上昇させ、固化後の油脂含有物の取り出しが完了する以前又は以後に、冷却枠体の冷却温度を下降させ、冷却枠体内に引き続き導入された油脂含有物を冷却固化し、固化後の油脂含有物を取り出す前に冷却枠体の冷却温度を上昇させ、取り出しが完了する以前又は以後に、冷却枠体の冷却温度を下降させ、これらのサイクルを繰り返し、流動体を固化して取り出すことからなる構成を有することにより、固化後の油脂含有物を取り出す前に冷却枠体の冷却温度を上昇させて固化後の油脂含有物を容易に取り出し、次いで、冷却温度を下降させて導入された流動体を固化する工程サイクルを繰り返すことによって、円滑に効率的に冷却固化することができる効果がある。
【0022】
また、請求項7に記載の冷却固化手段によれば、冷却枠体に間欠的に供給される流動体のよって冷却固化後の油脂含有物を押し出すことができるから、効率的に連続的に油脂含有物を冷却固化することができる効果がある。
【0023】
また、請求項8に記載の冷却固化手段によれば、流動体が排出口部で固化しない速度で導入口部から流動体を充填した後に、一定時間流動体の流れを止め冷却し、固化した後に固形物を排出口部から取り出すことができるから、導入口部から流動体を迅速に確実に充填することができると共に、確実に冷却固化してから取り出すことができる効果がある。
【0024】
また、請求項9に記載のように、油脂含有物の冷却固化手段において、冷却枠体が内部に収容した流動体を油脂成分の上昇融点より低い温度の冷媒により外側から冷却可能な中空枠体からなる構成を有することにより、冷却枠体をその外側から冷媒の冷却温度を調整することによって温度調整することができる効果がある。
【0025】
また、請求項10に記載のように、油脂含有物の冷却固化手段が複数体の中空枠体を並列に有する構成にすることにより、複数の中空枠体で油脂含有物を効率的に冷却固化することができる効果がある。
【0026】
また、請求項11に記載のように、流動体供給手段が加熱溶融する油脂含有物を常時供給する供給路を具備すると共に、流動体を収容する冷却固化手段の冷却枠体の導入口部が前記供給路に連通可能に開口するように設置した構成を有することにより、供給路から流動体を冷却枠体の導入口部に安定した状態で供給することができる効果がある。
【0027】
また、請求項12に記載のように、中空枠体の長手方向中心軸を水平よりも3
10°
度以上の角度で立てて設置した構成を有することにより、中空枠体内に底部の導入口部から安定した状態で流動体を供給することができる効果がある。
【0028】
また、請求項13に記載のように、請求項1乃至4のいずれか又は請求項5乃至13のいずれかに記載の油脂含有物流動体の冷却固化方法又は装置により製造された油脂含有固形物を提供することができる効果がある。
また、請求項14に記載のように、請求項1乃至13のいずれかに記載の油脂含有物がルウからなる構成を有することにより、ルウが粘性の高い小麦粉等の澱粉を含むことによって均一な油脂含有固形物を得られる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下図示する実施形態に基づいて本発明を説明する。
【0031】
<流動体供給手段の形態>
図1において、1は油脂成分の上昇融点以上の温度に加熱溶融してなる油脂含有物を流動体として収容した貯蔵タンクで、流動体を冷却固化装置10に供給するための供給管路部2を備えている。供給管路部2には供給ポンプ5が設けてあり、貯蔵タンク1の流動体を加圧して冷却固化装置10の中空直管状の冷却枠体11内に充填することができるように構成してある。図示の実施形態では、複数の冷却枠体11に個々に流動体を供給するための充填管6を有する充填配管路部3が、供給管路部2には連結してある。基本的には貯蔵タンク1と供給管路部2、供給ポンプ5及び充填管6が本発明に係る流動体供給手段を構成している。
なお、本発明における流動体とは、自重で、同じ温度で維持された状態で、1分以上形状を維持できない状態であって、液状であっても、ペースト状であっても良いが、冷却枠体11の設置傾斜角度が下向きの場合などにはペースト状の方が好ましい。
【0032】
また、充填配管路部3には開閉弁7を介してリターン管路部4が設けてあり、開閉弁7を解放することによって流動体を貯蔵タンク1に循環させ、冷却固化装置10の冷却枠体11への流動体の供給を停止することができるように構成してある。
また、貯蔵タンク1の内部には、流動体を流動性と冷却固化と循環に適した温度に管理する加熱混合手段と排出手段が設けてある。
【0033】
<冷却固化手段の形態>
本発明の冷却固化手段を構成する流動体の冷却固化装置10は、一端部に流動体の導入口部12、他端部に固化した油脂含有物の排出口部13を有する細長い曲がりのない中空直管状の冷却枠体11を具備している。実施例の場合、冷却枠体11は複数本からなり、個々の冷却枠体11の導入口部12には、前記充填配管路部3の充填管6が接続しており、個々に流動体が導入できるように構成してある。
充填管6と導入口部12との間にはシャッターがないことが好ましい。シャッターがあるとシャッターの動く部分の僅かにできる隙間やパッキング部分に滞留物が発生し、変色等の発生する可能性があり、後に油脂含有物の流動体に滞留物が含まれると、その後冷却固化した油脂混合物30に滞留物が混入する恐れを生じる。また、シャッターがなくても充填管6から導入口部12に供給する流動体の流量を開閉弁7により調節することで、冷却枠体11への流動体の供給を停止することができる。
【0034】
図示の実施形態の場合、冷却枠体11は起立状態で設けてあり、流動体は底部の導入口部12から頂部の排出口部13に向かって充填されることとなる。導入口部12は充填完了時にシャッターによって閉鎖されるか、又は、開閉弁7を解放することによって流動体を貯蔵タンク1に循環させることによって、冷却固化装置10の冷却枠体11への流動体の供給を停止する。排出口部13は何時でも排出できるように図示の実施例では開放されている。冷却枠体11の設置姿勢は横向きでも、下向きでも冷却媒体を充填できれば適宜な角度に設定できるが、実施形態のように排出口部13に開閉蓋が無く開放している場合で、流動体の流動性が大きい場合などに安定した充填性を得るには、水平を基準に10度以上の起立状態に設置することが好ましく、20度以上の起立状態に設置すれば
より好ましいこととなる。
また、流動体が冷却されて固化された状態で、次の工程の位置に、固化された油脂混合物30を排出するために、水平を基準に90度より、次の工程にやや傾いていることが好ましく、具体的には、水平から85度以下であることが好ましく、75度以下であることが更に好ましく、65度以下が最も好ましい。
【0035】
また、冷却枠体11には充填した後に冷却固化した油脂含有物質を排出口部13から排出できるように全体的に僅かな抜きテーパを設けることが好ましい。なお、油脂含有物質は流動体の状態から冷却固化すると体積が減少する傾向があり、且つ、油脂成分の潤滑性によって抜き易いため、全体的に抜きテーパのない略同一の内径の中空体でも使用が可能である。
また、冷却固化後に排出口部13側から油脂含有物を引き抜く構成の場合には、排出口部13側の冷却枠体11に大径部の引き抜き用段部を設けて、導入口部12から引き抜き段部がつかめるように押し出し棒などで押し出すように構成することも可能である。
【0036】
また、冷却枠体11の導入口部12側に押出長さ分の同一径の押し出し棒を設けて、冷却固化した油脂含有物質を排出口部13から押し出し棒で排出することができる構成にすることも可能である。
また、細長い冷却枠体11の中空断面形状は押出抵抗が均等になる点で円形が好ましいが、中空断面形状が導入口部から排出口部まで断面径が同じ形状であれば、楕円形、扁平円形、三角形、正方形、長方形、多角形、星形など、冷却固形物の成形条件に合わせて適宜に選択することも可能である。
また、冷却枠体11の長さは流動体を冷却固化させて、排出できる限りにおいて制限はないが、冷却効率の関係から、冷却枠体の中空断面の最長部分の10倍以上の長さであって、1000倍より短いことが好ましい。
また、 冷却枠体の材質として、冷却枠体は、弾力性が小さく、枠体自体の温度の変化があったとしても、膨張・収縮がほぼない材質であれば良く、更に熱伝導が適度にある物が良い。具体的には、ステンレス、鉄、チタン、カーボン等を例としてあげられる。
【0037】
冷却枠体11の周囲は冷却槽14で覆われており、その内部に流動体冷却固化用の低温冷媒と、固化した油脂含有物質の排出補助用の高温冷媒が循環するように構成してある。図示の実施形態の場合、低温冷媒は、低温冷媒タンク15から供給管16によって冷媒槽14の底部に供給され、その上部から復帰管17によりタンク15に循環するように構成してある。低温冷媒タンク15の温度は冷却装置18によって維持、管理されている。また、高温冷媒は、高温冷媒タンク19から供給管20によって冷媒槽14の上部に供給され、その底部から復帰管21によりタンク19に循環するように構成してある。高温冷媒タンク19の温度は高温冷却装置22によって維持、管理されている。
なお、冷却枠体11の冷却方法又は加熱方法は、冷却効果又は加熱効果を得られれば良いから、加熱においては、電熱ヒーターや、蒸気での熱風等での加熱を用いても良い。
さらに、流路は冷却や加熱を同じ配管を切り替えて利用してもよく、個別に設置しても良い。
【0038】
上記の冷却固化装置において、貯蔵タンク1からポンプ5により加圧されて供給管路部2から充填配管路部3に送られてくる油脂含有物の流動体は、充填配管路部3の後端部に設けた開閉弁7を閉鎖することによって、充填管6からそれぞれの冷却枠体11内に導入口部12を通って充填されることとなる。冷却枠体11は、低温冷媒タンク15から供給管16によって冷媒槽14の底部に供給された低温冷媒によって冷却されており、冷却枠体11内を先頭部から冷却されながら前進し、先端の排出口部13に達したところで,充填配管部3の開閉弁7が開放し、又は同時に導入口部12のシャッターが閉鎖され、冷却枠体11内で充填された流動体は冷却固化されることとなる。
この一連の充填工程において、充填開始時に冷却枠体11内に既に冷却固化された油脂混合物が存在する場合には、導入口部12からの流動体の充填に伴って冷却固化した油脂混合物30は排出口部13から押し出されることとなる。
【0039】
また、前記のように冷却枠体11内で冷却固化が完了すると、低温冷媒による冷却は停止し、冷却枠体11には、高温冷媒タンク19から供給管20によって冷媒槽14の上部から下部に向かって供給された高温冷媒によって加温され、冷却枠体11の温度が上昇するため冷却枠体11に内接する油脂混合物の表面が僅かに加温されて潤滑性が増大し、それだけ円滑に冷却固化した油脂混合物30は押出し易くなる。
押出しが始まる時には、既に、高温冷媒による加温は停止し、冷却枠体11には、低温冷媒タンク15から低温冷媒が供給されて冷却が始まる。
【0040】
なお、例えば、油脂含有物の油脂成分の上昇融点が43度の場合、流動体は47度C程度で冷却媒体11の導入口部12に供給され、低温冷媒の温度はタンク15内で5度C程度であり、高温冷媒の温度はタンク19内で30度C程度の温度で維持・管理されている。また、油脂含有物の油脂成分の含有率は、混入する粉体又は粒体の性質にもよるが、10質量%以上含有しない場合には、流動及び固化が難しくなる。また、65質量%以上含有する場合には、粉砕処理に適した固化が難しくなる。
低温冷媒に関して、低温とは、上昇融点未満であり、油脂含有物の内部まで結晶化し、固形化できる温度にする必要がある。
ルウでは、上昇融点は40℃以上あるので、時間は掛かるが低温冷媒の温度は25℃程度でも可能である。実施例では、急速かつ効率的に冷却するために、低温冷媒の温度を5℃にして冷却を実施している。
また、高温冷媒に関して、高温とは、上昇融点以下であり、低温冷媒の温度より高く、油脂含有物の油脂の表面が一部溶け、潤滑性が生じる程度の温度であれば良い。油脂含有物の温度が上がる必要はなく、冷却枠体と油脂含有物が接する面に潤滑性が得られる温度であれば良い。具体的には、油脂含有物の油脂成分の上昇融点が43度の場合、高温冷媒の温度を25℃〜35℃で実施して押し出しの円滑性を確認している。
【0041】
<粉砕処理手段>
図1において、排出口部13から押し出された冷却固化した油脂混合物30は、往復動するカッター23などにより順次切り落とされ、コンベアー24等により次の作業工程の作業台25などに搬送され、粉砕機26等により粉砕加工されることとなる。
【0042】
<油脂含有物>
本発明に係る前記油脂含有物は、スープの素、ソースの素、調理用ルウ等であって、熱水等に溶かしたり、溶かして加熱調理等を行い、各種料理を作るためのものである。
油脂含有物は、保存性を向上させるために、油脂とその他の原料を油脂成分の上昇融点以上で加熱溶融し、冷却固化した後の油脂含有物の含水率が、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることが更に好ましい。
また、含水率を10質量%以下にするために、加熱溶融する温度を、水の沸点以上まで一度以上到達させることが好ましく、通常の気圧であるなら、加熱中に100度以上の温度にまで達することが好ましい。
【0043】
<ルウ>
本発明に係わるルウとは、小麦粉等の澱粉と、バターや各種油脂成分を混合し加熱し作られた、加水し調理した時に適度なとろみを持たせるソースの素をいう。
ルウの小麦粉等の澱粉の分量は、10質量%以上含まれていることが好ましい。また、ルウの油脂成分の分量は、15質量%以上含まれていることが好ましい。更に、小麦粉等の澱粉と、バターや各種油脂成分を混合し加熱して作られた本発明に係わるルウは、8質量%以下の水分含有量であることが好ましい。
【0044】
<使用する油脂細分>
本発明で用いられる油脂成分は、上昇融点以上で加熱溶融し、冷却することで固化する油脂成分であれば良く、好ましくは、上昇融点が、20℃以上であることが好ましく、35℃以上であることがより好ましく、40℃以上であることが冷却固化を行う環境面での対応も容易になることから更に好ましい。 また、油脂成分は、なたね油、オリーブ油、ごま油、パーム油や綿実油等の植物性油脂や、牛脂、豚脂や魚油等の動物性油脂や、これら油脂を加工したショートニング、マーガリンやバターや、エステル交換や水素添加などの加工を行った油脂、そして、それら油脂を混合したものであってもよい。
【0045】
<油脂量>
本発明に係る油脂含有物の油脂量としては、10質量%以上含まれることにより、使用する油脂の上昇融点より5℃以上低い温度で冷却するとき、粉粒体などの固体原料を均一に分散させた状態で固化させることができる。 油脂含有物の油脂量としては、好ましくは油脂が15質量%以上であって、より好ましくは20質量%以上含まれていることである。油脂量が多いほど、粉粒体等の固体原料と混合し、上昇融点以上に加熱溶融した時に流動体にすることが容易であるからである。
逆に、油脂量は60質量%以下が好ましい。55質量%以下がさらに好ましく、50質量%以下が最も好ましい。油脂含量が多いほど、表面と内側部分の冷却までの温度差による収縮が生じやすく、固化した後空洞などができやすくなる他、粉粒体などの固形原料が多く含まれる方が、冷却後に任意の大きさに粉砕等を行いやすくなるからである。
【0046】
<油脂成分以外の原料>
本発明において、油脂成分以外の原料としては、食品として適しているものであれば、液状、ペースト状の原料以外に、油溶性原料であっても、水溶性原料であっても、溶解性がない粉粒体の固体原料であっても良い。水溶性原料や溶解性がない粉粒体の固体原料においては、油脂成分と加熱混合した状態で流動体になればよく、具体的には、目開き10mmの篩を通過する粉粒体であることが好ましく、目開き5mmの篩を通過する粉粒体であることが更に好ましい。
また、油脂以外の原料においては、油脂成分を吸収し流動体の物性を維持させることができるので、澱粉原料を含むこともでき、小麦粉やその他の澱粉原料が10%以上含まれることが好ましく、15%以上含まれると更に好ましい。なお、油脂含有物の流動性を保つために澱粉原料は60%以下であることが好ましい。
【0047】
<冷却固化>
本発明の冷却固化は、用いる油脂の上昇融点より5℃以上低い温度で冷却された状態で固化された状態で固形状態を維持できればよい。固形状態の維持とは、固化された油脂含有物の同じ大きさの立方体を2つ重ねた時に、下の油脂含有物の立方体が、上昇融点より5℃以上低い状態で5分以上変形しない状態をいう。
【実施例1】
【0048】
図1において、貯蔵タンク1の流動体を最大圧力2.5MPaの加圧ポンプ5により加圧して冷却固化装置10の内径23mm、長さ1000mm、起立角度25度の金属製の円形中空直管状の冷却枠体11内に毎分1500mLの充填流量で充填し冷却固化する。充填前の温度48度Cの流動体を冷却冷媒温度5度Cの冷却枠体11に充填し、充填完了後5分間停止して冷却固化し、固化した油脂混合物を導入口部12から充填した流動体により温度5度Cの冷却枠体11の排出口部13から押し出し、押し出し後に油脂混合物を粉砕したときの粉砕状況を調べた。
【0049】
実施例1は、流動体の油脂混合物の配合は、上昇融点40度Cの牛脂及び菜種油混合油脂12質量%、配合時の含水率11質量%の小麦粉・澱粉40質量%、その他のカレー粉・香辛料・塩・砂糖などの原料48%からなり、排出時の管内圧力は0.8MPa、排出時間は50秒、排出時の周囲の温度は17度Cであり、粉砕状況は良好であった。
【実施例2】
【0050】
実施例2は、実施例1と同じ冷却固化工程で、流動体の油脂混合物の配合は、上昇融点40度Cの牛脂及び菜種油混合油脂25質量%、配合時の含水率11質量%の小麦粉・澱粉35質量%、その他のカレー粉・香辛料・塩・砂糖などの原料40%からなり、排出時の管内圧力は0.8MPa、排出時間は50秒、排出時の周囲の温度は17度Cであり、粉砕状況は良好であった。
【実施例3】
【0051】
実施例3は、実施例1と同じ冷却固化工程で、流動体の油脂混合物(ルウ)の配合は、上昇融点40度Cの牛脂及び菜種油混合油脂45質量%、配合時の含水率11質量%の小麦粉・澱粉35質量%、その他のカレー粉・香辛料・塩・砂糖などの原料20%からなり、排出時の管内圧力は0.8MPa、排出時間は50秒、排出時の周囲の温度は17度Cであり、粉砕状況はカットできるが実施例1及び2に比較すると良好ではなかった。
【実施例4】
【0052】
実施例4は、実施例1と同じ冷却固化工程で、流動体の油脂混合物の配合は、上昇融点40度Cの牛脂及び菜種油混合油脂50質量%、配合時の含水率11質量%の小麦粉・澱粉30質量%、その他のカレー粉・香辛料・塩・砂糖などの原料20%からなり、排出時の管内圧力は0.8MPa、排出時間は50秒、排出時の周囲の温度は17度Cであり、粉砕状況はカットが困難であった。
【実施例5】
【0053】
実施例2と同じに流動体の油脂混合物の配合は、上昇融点40度Cの牛脂及び菜種油混合油脂25質量%、配合時の含水率11質量%の小麦粉・澱粉35質量%、その他のカレー粉・香辛料・塩・砂糖などの原料40%からなる油脂混合物を、起立角度80度の金属製の円形中空直管状の冷却枠体11内に毎分100mLの充填流量で連続的に充填し順次に冷却固化する。充填前の温度48度Cの流動体を冷却冷媒温度5度Cの冷却枠体11に充填し、初回のみ充填完了後5分間停止して冷却固化し、固化した油脂混合物を導入口部12から充填した流動体により順次に冷却枠体11の排出口部13から押し出したが、押し出し後の油脂混合物の粉砕状況は良好であった。ただし、初回のみ、充填を停止して冷却固化を確実にしてから連続充填することが好ましい。
【実施例6】
【0054】
実施例2と同じ配合の油脂混合物を同じ冷却工程で冷却枠体11の長さを2倍の2000mmにした場合、金属棒で押し出すことによって粉砕状況の良好な油脂混合物が得られた。
【実施例7】
【0055】
また、実施例2と同じ配合の油脂混合物を冷却枠体11の長さを2倍の2000mmにした場合、排出時の冷却枠体11の冷却冷媒温度を5度から31度まで上昇することによって、固化した油脂混合物を導入口部12から充填した流動体により管内圧力1.5MPaで排出時間23秒という大幅な短時間で押し出すことができ、油脂混合物を粉砕したときの粉砕状況も良好であった。