特許第6481471号(P6481471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6481471
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】光学部材、発光装置及び照明装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/08 20060101AFI20190304BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20190304BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20190304BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20190304BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20190304BHJP
   G09F 13/18 20060101ALN20190304BHJP
【FI】
   G02B3/08
   F21V5/00 510
   F21S2/00 494
   F21V8/00 310
   H01L33/00
   !G09F13/18 D
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-73893(P2015-73893)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-194568(P2016-194568A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2017年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】若藤 晃由
【審査官】 藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−145790(JP,A)
【文献】 特開2014−086513(JP,A)
【文献】 特表2014−529174(JP,A)
【文献】 特開2014−067023(JP,A)
【文献】 特開2012−069250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/08
F21V 5/00
F21S 2/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が発する光を集光して平行光にして出射面から平行光として出射する第1光学部と、
前記第1光学部の出射面の一部に設けられ、前記平行光の一部を入射して前記平行光とは異なる方向に光を出射する第2光学部と、を備え、
前記第2光学部は、前記第1光学部の出射面に突出部材を備え、前記突出部材は、前記第1光学部の出射面の垂直方向に向かって広がるように傾斜した傾斜面を備え、
前記第2光学部は、前記第1光学部の出射面の中央部に設けられており、
前記突出部材は、円環状に形成されており、その内側全周に等方的に前記傾斜面を備え、
前記突出部材は、前記第1光学部の出射面から光の出射方向に突出しており、
平面視において前記突出部材の直径は、前記第1光学部において前記光源からの光が入射する入射面よりも小さい光学部材。
【請求項2】
前記第1光学部と前記第2光学部とは透光性部材で一体成形されてなり、
前記第1光学部は、
光軸上に形成され前記光源からの光が入射する第1入射面と、
前記第1入射面の外側に連続して前記光軸を囲むように形成され前記光源からの光が入射する第2入射面と、
前記第2入射面を囲むように形成され前記第2入射面で屈折した光を反射して前記出射面から出射させる反射面と、を備え、
前記第2入射面の形状は、前記反射面で反射した光が前記平行光になるような形状である請求項1に記載の光学部材。
【請求項3】
前記第1光学部は、前記光源が配置される側に凹部を備え、
前記第1入射面は前記凹部の底面であり、前記第2入射面は前記凹部の側面であり、
前記第1入射面は、前記光源からの入射光を屈折させて前記平行光になるように、前記光源に向かって所定の凸形状に形成されている請求項に記載の光学部材。
【請求項4】
前記第1光学部は、
光軸上に支持され前記光源からの入射光を前記平行光にするレンズ部と、
前記光軸及び前記レンズ部を取り囲み、前記光源からの入射光を反射して前記平行光になるように基端から先端に向かって広がるように傾斜した反射面を有するリフレクタ部と、
前記リフレクタ部の先端を覆い前記第1光学部の出射面を形成するプレート部と、
を備え、
前記プレート部は、前記第2光学部と共に透光性部材で一体成形されてなる、
請求項1に記載の光学部材。
【請求項5】
前記第1光学部の出射面は、出射方向に突出した複数の直線状の凸部が並設された一軸拡散光学面である請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光学部材と、
前記光学部材に入射する光を発する光源とを備える発光装置。
【請求項7】
対面する2つの被照射面を照射する複数の発光装置として請求項に記載の発光装置を配列した照明装置。
【請求項8】
前記発光装置が備える前記光学部材の前記第2光学部は、前記複数の発光装置の配列方向に沿った中心軸上に設けられている請求項に記載の照明装置。
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光学部材と、前記光学部材に入射する光を発する光源と、を有する発光装置と、底板と天板との間に筒状の側面が形成された筺体と、を備え、前記発光装置によって前記筺体の側面を被照射面として照射する照明装置であって、
前記発光装置を前記筺体の底板に固定し、前記光学部材の前記第1光学部の出射面を、前記筺体の天板に向けて配設し、前記出射面を平坦面とした照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学部材、発光装置及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面と裏面との両面が看板面となっており内部に設けた発光装置から光を照射する内照式両面看板等の照明装置が知られている。この照明方式として、従来、図15(a)及び図15(b)に示すような側方照明方式を用いた照明装置100が知られている。なお、この側方照明方式を以下、エッジライト方式と呼ぶ場合もある。
【0003】
照明装置100は、筺体111と、その中に配設された複数の発光装置200と、を備えている。筺体111は、発光装置200が設置される底板112と、天板113と、看板面114,115と、側板116,117と、を備えている。底板112は例えば建物の壁に固定される。この側方照明方式は、発光面を上に向けて設置された発光装置200によって、発光装置200を間に挟むように側方にそれぞれ設置された2つの被照射面(両看板面114,115)を照射する方式である。この側方照明方式によれば、バックライトの照明方式として一般的な直下方式に比べて、照明装置をより薄型化できることが知られている。
【0004】
この種の照明装置では、図16に示すように広配光角の発光装置200Aを用いた照明装置100Aとするか、又は、図17に示すように狭配光角の発光装置200Bを用いた照明装置100Bとするかに応じて、発光装置同士の間隔を調整している。例えば図16に示すように配光を広げた場合、隣り合う発光装置200Aからの光束の重なりによって、隣り合う発光装置200Aの中間地点に明るさが強調される箇所が生じてしまう。このとき発光装置200Aの間隔を単純に広くしても、発光装置200Aの配列方向(図15のX軸方向)の照度ムラは解消できず、必要な明るさも得られなくなってしまう。
【0005】
特許文献1には、LEDからの光を所定形状の光束制御部材を介して出射する発光装置を備えた内照式の照明装置が記載されている。この照明装置は、発光装置と、隣り合う他の発光装置と、を光束制御部材の向きが180°異なるように交互に配置することで、複数の発光装置の配列方向(図15のX軸方向)に均一の照度分布となるようにしている。
【0006】
また、特許文献2には、基板上の光源からの光を基板と直交する方向(発光ユニットの光軸方向)に配光制御する第1の光学部材の出射面と、第1の光学部材からの平行光と直交する方向に偏向拡散する第2の光学部材の入射面と、を一致させ、第2の光学部材を特別な形状にした発光ユニットにより、出射光の配光角度を広角にすることができ、かつ、光の利用効率の低下を抑制できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−228241号公報
【特許文献2】特開2009−21086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、側方照明方式では、発光装置の配列方向(図15のX軸方向)だけでなく発光装置の高さ方向(主発光方向;図15のY軸方向)においても照度ムラが生じ易い。例えば、発光装置の配光を広げる場合、側板117の側から側板116の側を見たときに、図16に示すように発光装置200A近傍の看板面114,115の下部から中間部にかけての領域161では、到達光束が多いため明るくなるものの、看板面114,115の上部の領域162では到達光束が少なくなるため暗くなってしまう。なお、看板面114,115において発光装置200Aの近傍の領域163では、発光装置200Aからの漏れ光により明るくなる。
【0009】
一方、発光装置の配光を狭くする場合、図17に示すように、看板面114,115の中間部から上部にかけての領域171では、到達光束が多いため明るくなるものの、看板面114,115の下部の領域172では到達光束が少なくなるため暗くなってしまう。加えて、発光装置200Bの近傍の領域173では、発光装置200Bからの漏れ光により明るくなるため、看板面114,115において発光装置200Bの高さ方向(図15のY軸方向)の照度ムラが目立ってしまう。
【0010】
特許文献1に記載された照明装置では、被照射面の下部(図15の底板112の近傍に対応する部分)は暗くなっているので、被照射面の下部は看板面として使用できない。
特許文献2に記載された発光ユニットは、光軸上の光束が少ないため、光軸上に多くの光束を集めて遠くまで明るく照らすような用途には利用できず、発光装置の高さ方向(主発光方向;図15のY軸方向)における照度ムラを改善することができない。
【0011】
本開示は、前記した問題点に鑑みてなされたものであり、照明装置において被照射面に生じる照度ムラを低減する光学部材、発光装置及び照明装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の実施形態に係る光学部材は、光源が発する光を集光して平行光にして出射面から出射する第1光学部と、前記第1光学部の出射面の一部に設けられ、前記平行光の一部を入射して前記平行光とは異なる方向に光を出射する第2光学部と、を備えることとした。
また、本開示の実施形態に係る発光装置は、前記光学部材と、前記光学部材に入射する光を発する光源とを備えることとした。
また、本開示の実施形態に係る照明装置は、対面する2つの被照射面を照射する複数の発光装置として請求項8に記載の発光装置を配列したことを特徴とする。
【0013】
また、本開示の実施形態に係る照明装置は、前記光学部材と、前記光学部材に入射する光を発する光源と、を有する発光装置と、底板と天板との間に筒状の側面が形成された筺体と、を備え、前記発光装置によって前記筺体の側面を被照射面として照射する照明装置であって、前記発光装置を前記筺体の底板に固定し、前記光学部材の前記第1光学部の出射面を、前記筺体の天板に向けて配設し、前記出射面を平坦面としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本開示の実施形態に係る光学部材、発光装置及び照明装置によれば、照明装置において被照射面に生じる照度ムラを低減できるので、表面裏面の両面に光を必要とする看板面等に均一な照度分布の光を用いることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る照明装置の概略を示す図であって、(a)は全体を示す斜視図、(b)は看板面側から見た装置内部を示す図である。
図2】第1実施形態に係る発光装置の概略を示す図であり、発光装置の全体を示す斜視図である。
図3】第1実施形態に係る発光装置の概略を示す図であり、図2のIII−III矢視方向を示した断面図である。
図4】第1実施形態に係る発光装置の概略を示す図であり、図2のIV−IV矢視方向を示した断面図である。
図5】第1実施形態に係る光学部材の概略を示す図であって、(a)は側面図、(b)は上面図である。
図6】第1実施形態に係る光学部材の概略を示す図であり、第2光学部の拡大図である。
図7】第1実施形態に係る光学部材の概略を示す図であって、(a)は図2のIII−III矢視方向の光路の説明図、(b)は図2のIV−IV矢視方向の光路の説明図である。
図8】第2実施形態に係る発光装置の概略を示す断面図である。
図9】第2実施形態に係る光学部材の概略を示す図であり、光路の説明図である。
図10】第3実施形態に係る照明装置の概略を示す図であって、(a)は発光装置を示す斜視図、(b)は照明装置を示す斜視図である。
図11】天板側から見た照明装置内部の概略を示す図であって、(a)は第1実施形態に係る照明装置の内部、(b)は第4実施形態に係る照明装置の内部を示している。
図12】発光装置の実施例に係る配光角の測定結果を示すグラフであって、(a)はグラフ全体、(b)は(a)の一部を拡大したグラフである。
図13A】照明装置の実施例に係る看板面全体の輝度分布を示す画像である。
図13B図13Aの看板面のX中心軸上の輝度分布及びY中心軸上の輝度分布をそれぞれ示すグラフである。
図14A】照明装置の比較例に係る看板面全体の輝度分布を示す画像である。
図14B図14Aの看板面のX中心軸上の輝度分布及びY中心軸上の輝度分布をそれぞれ示すグラフである。
図15】従来の側方照明方式の照明装置の概略を示す図であって、(a)は全体を示す斜視図、(b)は看板面側から見た装置内部を示す図である。
図16】従来の広配光角の発光装置を用いた照明装置の概略を示す図であり、側板側から見た装置内部を示す図である。
図17】従来の狭配光角の発光装置を用いた照明装置の概略を示す図であり、側板側から見た装置内部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態を、以下に図面を参照しながら説明する。但し、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具現化するための発光装置を例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる例示に過ぎない。尚、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。
【0017】
(第1実施形態)
[照明装置の構成]
以下では、図1(a)において、看板面(被照射面)14,15に直交する方向をZ軸方向、底板12に平行かつZ軸方向に直交する方向をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に直交する方向をY軸方向として説明する。なお、照明装置10は、底板12の外面が例えば建物の壁に固定された状態で使用されることとする。
【0018】
図1(a)及び図1(b)に示す照明装置10は、エッジライト方式の内照式両面看板である。この照明装置10は、筺体11と、その中に配設された複数の発光装置20と、を備えている。筺体11は、底板12と、天板13と、看板面14,15と、側板16,17と、を備えている。
【0019】
底板12及び天板13は、看板面14,15及び側板16,17に接続して筺体11を構成するものである。この底板12及び天板13は、ここでは、光透過性を有しない材料で形成されている。底板12及び天板13の内側の面は光反射率が高い方が好ましい。
看板面14,15は、側板16,17、底板12及び天板13に接続して筺体11を構成するものである。この看板面14,15は、ここでは、光透過性を有する平板状の被照明部材で構成されている。光透過性を有する部材は、特に限定されないが、例えばアクリル樹脂等を挙げることができる。
側板16,17は、底板12、天板13及び看板面14,15に接続して筺体11を構成するものである。この側板16,17は、ここでは、例えば光透過性を有しない材料で形成されている。なお、内側の面は光反射率が高い方が好ましい。
【0020】
照明装置10は、対面する2つの看板面14,15を照射する複数の発光装置20を配列したものである。複数の発光装置20は、底板12の上に、発光面が上を向くように設置されて、看板面14,15に平行な方向に配列されている。ここでは、複数の発光装置20は、X軸方向に一列で配列されている。この照明装置10は、発光装置20の構成が従来の照明装置100とは異なっている。
【0021】
[発光装置の構成]
図2から図4に示すように、発光装置20は、基台22と、光源21と、光学部材30と、支持部35と、を備えている。
基台22は、光源21及び光学部材30の土台となるものである。基台22の光源21が設置される面とは反対の面は、筺体11の底板12の内側の面に接着剤等を介して接合される面である。基台22は、例えば窒化アルミニウムセラミックス等の一般的な基板材料から構成され、上面が平坦に形成されている。この基台22の上面には、図3及び図4に示すように、金属膜23が設けられている。また、基台22は照明装置10の底板であってもよく、底板の上面に発光装置20が設けられていてもよく、また、金属膜23は光反射性を有するものであれば例えば樹脂等でもよい。
【0022】
金属膜23は、光源21からの光又は光学部材30を介して放出される光を良好に反射する反射層として、基台22上の光源21が設置される領域及びその周辺に形成されている。金属膜23は、例えば金、銀、アルミニウム等の反射率が高い金属めっきで構成される。金属膜23とは別の例又は組み合わせとしてTiO2等の粒子を含んだ樹脂を挙げることができ、これによっても光源21からの光又は光学部材30を介して放出される光を反射する反射層として機能する。
【0023】
光源21は、例えば発光素子及びその周辺回路を構成する電子部品等で構成されている。発光素子は特に限定されない。発光素子の発光色としては、用途に応じて任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色(波長430nm〜490nmの光)の発光素子としては、GaN系やInGaN系を用いることができる。具体的にはInXAlYGa1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、X+Y≦1)等を用いることができる。
【0024】
光学部材30は、光源21からの光が入射されて、光軸上に多くの光束を集めて照らすことのできる所定形状で構成されている。光学部材30は、透光性部材で構成されている。透光性部材は、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂等の熱硬化性の樹脂材料、ポリカーボネートやアクリル等の熱可塑性の樹脂材料、ポリエチレン等のポリマー材料、あるいは光学ガラス等を挙げることができる。
【0025】
そして、光学部材30は、図3及び図4に示すように、第1光学部40と、この第1光学部40の出射面45の側に設けた第2光学部50と、を備えている。なお、第1光学部40は、支持部35を介して光源21上となるように基台22に設置されている。また、支持部35と基台22とが強固に固定されていることで防水性に優れた発光装置20とすることができる。
第1光学部40は、光源21が発する光を集光して平行光にするものである。本実施形態では、第1光学部40は、透光性部材で中実に構成されており、光源21側に設けた凹部41と、この凹部41に設けた第1入射面42及び第2入射面43と、凹部41から入射した光を反射する反射面44と、凹部41から入射した光を出射する出射面45とを備えている。
【0026】
凹部41の開口は、平面視で例えば円形であり、凹部の開口の直径は、光源21の外形よりも大きい。凹部41は、光を入射させる底面となる第1入射面42と、光を入射させる側面となる第2入射面43とを有している。凹部41の底面と光源21との間には空間が形成され、この空間の屈折率は空気の屈折率となる。凹部41の底面の中心は光軸a(図7(a)及び図7(b)参照)に一致している。
【0027】
図3及び図4に示すように、第1入射面42は、光軸上に形成され光源21からの光が入射する面である。第1入射面42は、凹部41の底面(光源21からは上面)をなしている。第1入射面42は、光源21からの入射光を屈折させて出射面45から平行光として出射できる形状になっている。第1入射面42は、ここでは、凸レンズ状に形成され、光源21の位置に対して最適化した光学屈折面である。
【0028】
本実施形態では、第1入射面42は、光源21からの入射光を屈折させて平行光になるように、光源21に向かって所定の凸形状に形成されていることとした。つまり、凹部41の底面は外側に向けて盛り上がって凸レンズ面を形成している。
【0029】
第2入射面43は、第1入射面42の外側に連続して光軸を囲むように形成され光源21からの光が入射する面である。第2入射面43は、凹部41の側面をなしている。
第2入射面43は、光源21からの入射光を屈折させ、さらに反射面44で反射させて出射面45から平行光として出射できる形状になっている。
【0030】
反射面44は、第2入射面43を囲むように形成され第2入射面43で屈折した光を反射して出射面45から出射させる面である。反射面44は全反射面である。反射面44は、第2入射面43で屈折した光が到達する範囲内であって、第1光学部40の光軸を中心にした同心円状の表面において外面となる部位に形成されている。反射面44は、反射光が略平行光として出射されるように当該面が向く方向の角度等が調整されて形成されている。反射面44の形状は、凹部41のサイズや形状と併せて設定されている。
【0031】
出射面45は、反射面44の端部から連続して形成され第1光学部40の光軸に直交するように配置された面である。また、出射面45は、基台22の表面に平行になるように配置される。本実施形態では、図5(a)及び図5(b)に示すように、出射面45には、光の出射方向に突出した複数の直線状の凸部46が並設されており一軸拡散光学面をなしている。
【0032】
平面視で、凸部46の幅は、第2光学部50の外形よりも小さく、凸部46の長さは、凸部46の高さ及び幅よりも大きい。
【0033】
一軸拡散光学面は、配光を偏らせる面であって、第1光学部40から出射する光を、一軸方向にはそのまま、当該一軸に直交する軸方向には拡散させる光学面である。本実施形態では、図1(a)及び図2に示すように、発光装置20を照明装置10に設置する際に、発光装置20の配列方向(X軸方向)に光が拡散する向きで設置する。これにより、一軸拡散光学面である出射面45は、発光装置20の主発光方向(Y軸方向)に直交する2軸方向のうち、X軸方向には光を拡散するが、Z軸方向には拡散せずに透過する。つまり、照明装置10では、発光装置20が、光軸a(図7(a)及び図7(b)参照)上に多くの光束を集めて照らしつつ、看板面14,15に平行な方向に光を効果的に拡散することができる。
【0034】
第2光学部50は、図5(a)及び図5(b)に示すように、第1光学部40の出射面45の一部に設けられ、第1光学部40からの平行光の一部を入射して当該平行光とは異なる方向に光を出射するものである。
第2光学部50は、第1光学部40の出射面45の中央部の光軸近傍に設けられている。
第2光学部50は、第1光学部40の出射面45に突出部材51を備え、突出部材51は、第1光学部40の出射面45の垂直方向(Y軸方向のうち第1光学部40の出射面から突出する方向:図2)に向かって広がるように傾斜した傾斜面52を備えている。
【0035】
本実施形態では、図5(a)、図5(b)及び図6に示すように、第2光学部50は、中央に空間が形成されるように、当該中央の空間を取り囲むように突出部材51を備えており、光軸を含んで光軸に平行な方向に切断したときの断面が略三角形である。なお、この三角形は、底辺及びこの底辺に対向した頂点が、突出部材51の底面及び先端に対応する。突出部材51は、平面視で円環状に形成されており、突出部材51の直径は、第1光学部40の第1入射面42の直径よりも小さくなっている。その割合を具体的に表すと、突出部材51の直径を1とすると、第1入射面42の直径は、例えば5〜12に相当する(両者の比は、一例として1:5、1:8、1:10、1:12)。そして、突出部材51の内側面は、突出部材51の先端から底面に向かって傾斜する傾斜面52を備えている。傾斜面52は、第1光学部40からの平行光の一部を横方向(Z軸方向やX軸方向)に反射することができるようにその傾斜角度が設定されている。
【0036】
平面視で、突出部材51の直径としては、照明装置10(図1参照)のZ軸方向の厚さ等に依存した照明装置10の看板面14,15と発光装置20上の光学部材30との位置関係に応じて適切な値が設定されている。光軸上で突出部材51の直径を変化させた状態で設置することで、反射光の拡散度合を制御することができる。突出部材51の高さや、傾斜面52の傾斜角を変化させた状態で設置することで、反射光の輝度を制御することができる。
【0037】
なお、図2に示す第1光学部40と第2光学部50とは、ここでは、透光性部材で一体成形されている。また、本実施形態では、基台22上で光学部材30を支持する支持部35は、光学部材30と一体成形されている。支持部35は、図3及び図4に示すように、光学部材30の側では、第1光学部40の出射面45の外縁に接合している。そのため、支持部35は、高さ方向(Y軸方向)に伸びた略円筒状の部分を備えている。また、支持部35は、基台22の側では、第1光学部40を、金属膜23から離間させ所定の高さ位置となるように支持している。そのため、支持部35は、光源21の高さと同等の距離だけ離間した中空円板状の部分が、略円筒状の部分に連続して形成されている。なお、図5では、支持部35を省略している。
【0038】
[発光装置の光路]
次に、発光装置20による発光の光路について図7(a)及び図7(b)を参照して説明する。発光装置20の光学部材30は、第1光学部40を備えているので、光源21(図3及び図4参照)から光学部材30に入射する光は、例えば第2入射面43で屈折し、反射面44で反射し、平行光として出射面45から出射する。又は、光源21から光学部材30に入射する光は、第1入射面42で屈折し、平行光として出射面45から出射する。
【0039】
また、図7(a)に示すように、光学部材30をYZ平面に平行な面で見ると、出射面45である一軸拡散光学面は単なる光透過面(平面)として機能する。この光学部材30を備える発光装置20が照明装置10に設置されたときに、YZ平面に平行な面では、一軸拡散光学面における配光が光の屈折により狭角となり、看板面14,15の上部の領域まで照射光を届かせるように設定されている。
【0040】
一方、図7(b)に示すように、光学部材30をXY平面に平行な面で見ると、出射面45である一軸拡散光学面は拡散効果を持つ面として機能する。この光学部材30を備える発光装置20が照明装置10に設置されたときに、XY平面に平行な面では、一軸拡散光学面における配光が光の屈折により広角となり、看板面14,15の全体に照射光を広げるように設定されている。
【0041】
さらに、光学部材30は、光軸aの近傍に第2光学部50を備えているので、第1光学部40の第1入射面42で屈折し、平行光として出射面45から出射する光の一部は、第2光学部50の傾斜面52で反射して、平行光とは異なる横方向に出射する。
【0042】
光学部材30は、第1光学部40からの平行光だけによって、発光装置20の配光を狭くすることが可能である。図1の照明装置10では、この光学部材30を有する発光装置20を備えたので、看板面14,15の下部の領域のように輝度が従来であれば低くなる部位に相当する方位へ、光学部材30の第2光学部50からの反射光によって微量な輝度の向上を行うことができる。これにより、図1の照明装置10において発光装置20の側方に配置された被照射面(看板面14,15)を略均一に照明することができる。
【0043】
発光装置20の光学部材30は、第1光学部40における集光の度合いや一軸拡散の度合い、及び第2光学部50における同心円径方向の傾斜面52の直径及び傾斜面52の高さや形状を調整することで、図1の照明装置10の看板面14,15のサイズや看板厚みに対応することができる。したがって、照明装置10は、発光装置20の真横の面を含む看板面14,15の照度ムラの改善を行うことができる。
【0044】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る照明装置は、図1の筺体11の中に、発光装置20とは異なる発光装置が配設される。この第2実施形態に係る発光装置について図8を参照して説明する。なお、第1実施形態の発光装置20と同じ構成には同じ符号を付し、説明を適宜省略する。
【0045】
図8に示すように、発光装置20Bは、基台22と、光源21と、光学部材30Bと、支持部35Bと、を備えている。なお、基台22の上面には金属膜23が設けられている。ここで、金属膜23とは別の例又は組み合わせとしてTiO2等の粒子を含んだ樹脂を挙げることができ、これによっても光源21からの光又は光学部材30Bを介して放出される光を反射する反射層として機能する。
光学部材30Bは、透光性部材で形成され、第1光学部40Bと、第2光学部50と、を備えている。なお、第1光学部40Bは、支持部35Bを介して光源21上となるように基台22に設置されている。第1光学部40Bは、光源21が発する光を集光して平行光にするものであり、レンズ部47と、レンズ支持部47aと、リフレクタ部48と、プレート部49とを備えている。
【0046】
レンズ部47は、光軸a上に支持され光源21からの入射光を平行光にするものである。
本実施形態では、レンズ部47は、平凸レンズであるものとした。レンズ部47の凸面は、プレート部49と離間して配置され、レンズ部47の平らな面は、光源21と離間して配置される。平面視で、レンズ部47の直径は光源21の外形よりも大きく形成されている。
【0047】
そして、レンズ部47は、光源21からの光を入射する位置に、レンズ支持部47aによって支持されている。レンズ支持部47aは筒状に形成されており、上端部において、レンズ部47を所定高さ位置になるようにレンズ部47の周縁を支持している。また、レンズ支持部47aは、下端部がリフレクタ部48の基端に接続されている。これにより、本実施形態では、レンズ部47の平らな面と、光源21との間には空間が形成され、この空間の屈折率は空気の屈折率となる。また、支持部35Bは、光学部材30Bの側では、第1光学部40Bのプレート部49の外縁及びリフレクタ部48の先端に接合している以外、第1実施形態の支持部35と同様な構成である。
【0048】
リフレクタ部48は、光軸a及びレンズ部47を取り囲み、光源21からの入射光を反射して平行光になるように基端から先端に向かって広がるように傾斜した反射面44Bを有する。このリフレクタ部48の内周面は反射面44Bをなしている。また、リフレクタ部48の基端及び先端は、平面視で円形の開口部となっている。基端の開口部の直径は、先端の開口部の直径よりも小さくなるように形成されている。そして、リフレクタ部48の基端は、レンズ支持部47aの下端部に接続してレンズ支持部47aを支持している。また、リフレクタ部48の先端は、プレート部49及び支持部35Bに接続されている。
【0049】
リフレクタ部48の反射面44Bは、レンズ部47及びレンズ支持部47aを囲むように設置され光源21からレンズ支持部47aを透過した光を反射してプレート部49の出射面45Bから出射させる面である。この反射面44Bは全反射面(ミラー面でも可)である。そして、反射面44Bは、光源21からレンズ部47を介さずに光が到達する範囲内に形成されている。反射面44Bの形状は、反射光が略平行光として出射されるように形成されている。反射面44Bの形状は、レンズ部47及びレンズ支持部47aのサイズや形状と併せて設定されている。
【0050】
プレート部49は、リフレクタ部48の先端を覆い第1光学部40Bの出射面45Bが形成されると共に、第2光学部50が形成されている。このプレート部49は、円板状の部材であり、基台22の表面に平行になるように配置されている。プレート部49の上面は出射面45Bをなしている。また、プレート部49の出射面45Bの上には、第2光学部50が透光性部材でプレート部49と一体成形されている。
【0051】
出射面45Bは、光軸aに直交するように配置された面である。本実施形態では、出射面45Bには、光の出射方向に突出した複数の直線状の凸部46が並設されており一軸拡散光学面をなしている。一軸拡散光学面は、第1光学部40Bから出射する光を、一軸方向にはそのまま、当該一軸に直交する軸方向には拡散させる光学面である。なお、第2光学部50と、プレート部49と、支持部35Bとは、ここでは、透光性部材で一体成形されている。
【0052】
[発光装置の光路]
次に、発光装置20Bによる発光の光路について図9を参照して説明する。発光装置20Bの光学部材30Bは、第1光学部40Bを備えているので、光源21から光学部材30Bに入射する光は、例えば、実線の矢印で示すようにレンズ部47で屈折し、平行光としてプレート部49を通過して出射面45Bから出射する。又は、光源21から光学部材30Bに入射する光は、破線の矢印で示すようにレンズ支持部47aを通過し、リフレクタ部48の内側の反射面44Bで反射し、平行光としてプレート部49を通過して出射面45Bから出射する。
【0053】
このとき、光学部材30BをYZ平面に平行な面で見ると、出射面45Bである一軸拡散光学面における配光が光の屈折により狭角となり、XY平面に平行な面で見ると、一軸拡散光学面における配光が光の屈折により広角となる。さらに、光学部材30Bは、光軸aの近傍に第2光学部50を備えているので、第1光学部40Bのレンズ部47で屈折し、平行光として出射面45Bから出射する光の一部は、第2光学部50の傾斜面52で反射して、平行光とは異なる横方向に出射する。したがって、光源21から近い所も遠い所も光を適切に配光することができる。
【0054】
(第3実施形態)
[照明装置の構成]
次に、第3実施形態について図10(a)及び図10(b)を参照して説明する。
図10(b)に示すように、第3実施形態に係る照明装置10Cは、円筒形内照照明の一例であって、筒状の筺体11Cと、その中に配設された発光装置20C(図10(a))とを備えている。照明装置10Cは、発光装置20Cによって筺体11Cの側面を被照射面として照射するものである。
【0055】
図10(b)に示すように、筺体11Cは、底板12Cと、天板13Cと、看板面(被照射面)18と、を備えている。底板12C及び天板13Cは、看板面18に接続して筺体11Cを構成するものである。この底板12C及び天板13Cは、ここでは、円形に形成され、光透過性を有しない材料で形成されている。
看板面18は、筒状に形成され、底板12C及び天板13Cに接続して筺体11Cを構成するものである。この看板面18は、ここでは、光透過性を有する被照明部材で構成されている。
なお、底板12Cは円筒の下底に対応し、天板13Cは円筒の上底に対応し、看板面18は円筒の側面に対応している。また、照明装置10Cは、底板12Cの外面が例えば建物の壁に固定された状態で使用されることとする。
【0056】
発光装置20Cは、図10(a)に示すように、光学部材30Cの構成が、配光を偏らせない光出射面となっており、第1実施形態の発光装置20(図2)と相違している。発光装置20Cは、筺体11Cの底板12Cの内側の面に固定されている。発光装置20Cはその光軸が、円筒状の筺体11Cの中心軸bに一致するように配置されている。
発光装置20Cは、基台22と、光源21(図4参照)と、光学部材30Cと、支持部35Cと、を備えている。なお、基台22の上面には金属膜23(図4参照)が設けられている。
【0057】
図10(a)に示すように、光学部材30Cは、第1光学部40Cと、第2光学部50とを備えている。なお、第1光学部40Cは、支持部35Cを介して光源21(図4参照)上となるように基台22に設置されている。第1光学部40Cは、出射面45Cの構成が、平坦面であって、筺体11Cの天板13Cに向けて配設され、第1実施形態の第1光学部40と相違している。この発光装置20Cは、配光を偏らせる一軸拡散光学面を用いていないので、照明装置10Cのように円筒状の筺体11Cの底板12Cの中心に1つの発光装置20Cを設置した円筒形の内照看板や、一般照明として利用することができる。つまり、光源21が発する光は、光学部材30Cの第1光学部40Cの出射面45Cからどの方位角に対しても同じように出射されると共に、看板面118の下部の領域のように輝度が低くなる部位に相当する方位へ第2光学部50からの反射光によって微量な輝度の向上を行っているので、円筒形の看板面18の上から下まで均等になるように配光することができる。
【0058】
(第4実施形態)
[照明装置の構成]
第4実施形態に係る照明装置について図11(a)及び図11(b)を参照して説明する。図11(b)に示すように、第4実施形態に係る照明装置10Dは、発光装置20の光学部材30Dの構成が、第1実施形態の照明装置10(図11(a)参照)と相違している。図11(b)に示すように、光学部材30Dは、第1光学部40と、第2光学部50Dとを備えている。なお、第1光学部40は、図4に示すように、支持部35を介して光源21上となるように基台22に設置されている。
【0059】
第2光学部50Dは、第1光学部40の光軸からずれた位置に設けられている点が第1実施形態の第2光学部50と相違している。この第2光学部50Dは、第1光学部40の出射面45の外縁周辺部よりも光軸a(図7)近傍に設けることが好ましいが、複数の発光装置20を配列した照明装置10Dの全体の照明効果を考慮した場合、個々の発光装置20において、光学部材30Dの第2光学部50Dは、第1光学部40の光軸からずれた位置に設けても構わない。
【0060】
そこで、照明装置10Dでは、複数の発光装置20は、それぞれ同様に、光学部材30Dにおいて第2光学部50Dが第1光学部40の光軸からずれた位置に設けられている。ただし、平面視で、各発光装置20の第2光学部50Dは、複数の発光装置20の配列方向に沿った中心軸上(中心軸Cの上)に配設されている。なお、中心軸Cは、筺体11の底板12のX軸方向の中心線を示している。
照明装置10Dによれば、各発光装置20の光学部材30Dの第2光学部50DによるZ軸方向の配光への寄与が同等なので、第1実施形態の照明装置10と同様に、発光装置20の真横の面を含む看板面14,15の照度ムラの改善を行うことができる。
【実施例】
【0061】
[発光装置の配光]
次に、発光装置の配光について図12(a)及び図12(b)を参照して説明する。ここでは、第1実施形態に係る発光装置20(実施例)から第2光学部50を取り除いて構成した発光装置を比較例とする。
【0062】
図12(a)及び図12(b)のグラフにおいて、横軸は配光角を示しており、縦軸は任意単位で輝度を示している。
太い実線a1は、実施例(発光装置20)についてのXY平面に平行な面(看板面14,15に平行な面)での配光を表している。
細い実線a2は、実施例(発光装置20)についてのYZ平面に平行な面(側板16,17に平行な面)での配光を表している。
太い破線b1は、比較例についてのXY平面に平行な面での配光を表している。
細い破線b2は、比較例についてのYZ平面に平行な面での配光を表している。
【0063】
XY平面に平行な面において実施例(a1)と比較例(b1)とを比較すると、主配光角(半値全角)は、共におよそ43度で同等である。
YZ平面に平行な面において実施例(a2)と比較例(b2)とを比較すると、主配光角(半値全角)は、共におよそ11度で同等である。
ただし、主配光角(半値全角)に影響しない範囲では、実施例は比較例よりも輝度が高くなっている。例えばYZ平面に平行な面において実施例(a2)と比較例(b2)とを比較すると、配光角が20〜80度付近にて輝度が向上していることが分かる。
【0064】
[照明装置の照度]
次に、照明装置の照度について図13A図13B図14A及び図14Bを参照して説明する。ここで、図13A及び図14Aは実施例に係る看板面の全体の輝度分布及びXY中心軸上の輝度分布を示し、図13B及び図14Bは比較例に係る看板面の全体の輝度分布及びXY中心軸上の輝度分布を示している。
【0065】
図13A及び図14Aにおいて、横軸は看板面の幅方向(X軸方向)、縦軸は看板面の高さ方向(Y軸方向)を示している。また、左側のスケールは、輝度(単位はlux)の数値と、濃淡の度合いとの対応関係を示している。ここでは、淡いほど(白いほど)輝度が高いことを示している。
図13B及び図14Bにおいて、一方の横軸(上の横軸)は、看板面の幅方向(X軸方向)の測定位置を表している。他方の横軸(下の横軸)は、看板面の高さ方向(Y軸方向)の測定位置を表している。縦軸は、輝度(単位はlux)を表している。
図13B及び図14Bにおいて、破線は、看板面の幅方向(X軸方向)の測定結果を表している。実線は、看板面の高さ方向(Y軸方向)の測定結果を表している。
【0066】
ここでは、照明装置10の看板面14,15は、高さ500mm、幅715mmとした。
Y軸方向については、照明装置10の底板12の高さを基準(0mm)として、−107.5mmの位置から607.5mmまでの範囲で、輝度を測定した。
X軸方向については、照明装置10の底板12の中心を基準(0mm)として、−357.5mmの位置から357.5mmまでの範囲で、輝度を測定した。
また、照明装置10を実施例とし、第1実施形態に係る発光装置20から第2光学部50を取り除いて構成した発光装置を配列した照明装置を比較例とする。
【0067】
比較例の照明装置では、図14Aに示すように、看板面の下部(およそ0〜50mm)は、比較例の発光装置(第2光学部50を取り除いて構成した発光装置)からの漏れ光で明るくなっている。また、看板面の上部(およそ300mm以上)も明るい。しかしながら、中間域、すなわち看板面の高さでおよそ50〜150mm付近の板面照度が低くなっており、高さ方向には、照度ムラが大きく発生している。
【0068】
実施例の照明装置10では、図13Aに示すように、看板面の中間域、すなわち看板面の高さでおよそ50〜150mm付近は明るくなっており、看板面の下部から中間部、上部まで照度がスムーズにつながり、均一度合いが上がっている。これは、図12で示したように、実施例の発光装置20によれば、主配光角(半値全角)に影響しない範囲にて輝度が上昇する効果(例えばYZ平面に平行な面において配光角20〜80度での輝度上昇分)があることによるものであり、これが光学部材30の効果、特に第2光学部50による効果である。
【0069】
(変形例)
光学部材30の第1光学部40において、第1入射面42は、凸レンズ面に限定されず、例えば平面状に形成しても構わない。
図3には第2入射面43が光軸に平行な状態で図示されているが、これに限定されることなく光軸に対して傾斜させてもよい。つまり、凹部41の側面は傾斜面であってもよい。
【0070】
第1光学部40の出射面45において、図6には、複数の凸部46が幅方向に隙間なく配列されている状態を示したが、凸部46と凸部46との間に、平坦面の隙間を設けてもよい。
【0071】
光学部材30の第2光学部50は、平面視で円環形状であるものとしたが、これに限らず、傾斜面52によって、第1光学部40からの平行光の一部を少なくともZ軸方向に反射することができれば、その形状を適宜変更することができる。例えば円環状の突出部材51においてZ軸に平行な部分を取り除き、傾斜面52を有した壁面にして、主にZ軸方向に光を反射する形状にしてもよい。
【0072】
光学部材30の支持部35は、平面視で円環形状の部分があるものとしたが、これに限らず、円周方向に等間隔の複数本の柱状部材で光学部材30を支持する形態であってもよい。
【0073】
発光装置20の基台22は、単一の構造に限定されるものではなく、例えば光源21が設置される面の側から、ヒートシンクと、背面基板と、を備える2層構造であってもよい。このような2層構造の場合、ヒートシンクは、例えば、Cu、Fe、CuW、CuMo、AlN、AlNにAuめっきを施したもの等から構成され、背面基板は、例えばFe等の金属から構成される。
【0074】
発光装置20の金属膜23に代わる反射層として、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の白色部材、白色部材を含有した白色樹脂等の絶縁性の反射層を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示の実施形態に係る光学部材、発光装置及び照明装置は、看板照明や一般照明等に利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
10,10C,10D 照明装置
11,11C 筺体
12,12C 底板
13,13C 天板
14,15 看板面(被照射面)
16,17 側板
18 看板面(被照射面)
20,20B,20C 発光装置
21 光源
22 基台
23 金属膜
30,30B,30C,30D 光学部材
35,35B 支持部
40,40B,40C 第1光学部
41 凹部
42 第1入射面
43 第2入射面
44,44B 反射面
45,45B,45C 出射面
46 凸部
47 レンズ部
47a レンズ支持部
48 リフレクタ部
49 プレート部
50,50D 第2光学部
51 突出部材
52 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
図17