(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
表面と裏面との両面が看板面となっており内部に設けた発光装置から光を照射する内照式両面看板等の照明装置が知られている。この照明方式として、従来、
図15(a)及び
図15(b)に示すような側方照明方式を用いた照明装置100が知られている。なお、この側方照明方式を以下、エッジライト方式と呼ぶ場合もある。
【0003】
照明装置100は、筺体111と、その中に配設された複数の発光装置200と、を備えている。筺体111は、発光装置200が設置される底板112と、天板113と、看板面114,115と、側板116,117と、を備えている。底板112は例えば建物の壁に固定される。この側方照明方式は、発光面を上に向けて設置された発光装置200によって、発光装置200を間に挟むように側方にそれぞれ設置された2つの被照射面(両看板面114,115)を照射する方式である。この側方照明方式によれば、バックライトの照明方式として一般的な直下方式に比べて、照明装置をより薄型化できることが知られている。
【0004】
この種の照明装置では、
図16に示すように広配光角の発光装置200Aを用いた照明装置100Aとするか、又は、
図17に示すように狭配光角の発光装置200Bを用いた照明装置100Bとするかに応じて、発光装置同士の間隔を調整している。例えば
図16に示すように配光を広げた場合、隣り合う発光装置200Aからの光束の重なりによって、隣り合う発光装置200Aの中間地点に明るさが強調される箇所が生じてしまう。このとき発光装置200Aの間隔を単純に広くしても、発光装置200Aの配列方向(
図15のX軸方向)の照度ムラは解消できず、必要な明るさも得られなくなってしまう。
【0005】
特許文献1には、LEDからの光を所定形状の光束制御部材を介して出射する発光装置を備えた内照式の照明装置が記載されている。この照明装置は、発光装置と、隣り合う他の発光装置と、を光束制御部材の向きが180°異なるように交互に配置することで、複数の発光装置の配列方向(
図15のX軸方向)に均一の照度分布となるようにしている。
【0006】
また、特許文献2には、基板上の光源からの光を基板と直交する方向(発光ユニットの光軸方向)に配光制御する第1の光学部材の出射面と、第1の光学部材からの平行光と直交する方向に偏向拡散する第2の光学部材の入射面と、を一致させ、第2の光学部材を特別な形状にした発光ユニットにより、出射光の配光角度を広角にすることができ、かつ、光の利用効率の低下を抑制できることが記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態を、以下に図面を参照しながら説明する。但し、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具現化するための発光装置を例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる例示に過ぎない。尚、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。
【0017】
(第1実施形態)
[照明装置の構成]
以下では、
図1(a)において、看板面(被照射面)14,15に直交する方向をZ軸方向、底板12に平行かつZ軸方向に直交する方向をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に直交する方向をY軸方向として説明する。なお、照明装置10は、底板12の外面が例えば建物の壁に固定された状態で使用されることとする。
【0018】
図1(a)及び
図1(b)に示す照明装置10は、エッジライト方式の内照式両面看板である。この照明装置10は、筺体11と、その中に配設された複数の発光装置20と、を備えている。筺体11は、底板12と、天板13と、看板面14,15と、側板16,17と、を備えている。
【0019】
底板12及び天板13は、看板面14,15及び側板16,17に接続して筺体11を構成するものである。この底板12及び天板13は、ここでは、光透過性を有しない材料で形成されている。底板12及び天板13の内側の面は光反射率が高い方が好ましい。
看板面14,15は、側板16,17、底板12及び天板13に接続して筺体11を構成するものである。この看板面14,15は、ここでは、光透過性を有する平板状の被照明部材で構成されている。光透過性を有する部材は、特に限定されないが、例えばアクリル樹脂等を挙げることができる。
側板16,17は、底板12、天板13及び看板面14,15に接続して筺体11を構成するものである。この側板16,17は、ここでは、例えば光透過性を有しない材料で形成されている。なお、内側の面は光反射率が高い方が好ましい。
【0020】
照明装置10は、対面する2つの看板面14,15を照射する複数の発光装置20を配列したものである。複数の発光装置20は、底板12の上に、発光面が上を向くように設置されて、看板面14,15に平行な方向に配列されている。ここでは、複数の発光装置20は、X軸方向に一列で配列されている。この照明装置10は、発光装置20の構成が従来の照明装置100とは異なっている。
【0021】
[発光装置の構成]
図2から
図4に示すように、発光装置20は、基台22と、光源21と、光学部材30と、支持部35と、を備えている。
基台22は、光源21及び光学部材30の土台となるものである。基台22の光源21が設置される面とは反対の面は、筺体11の底板12の内側の面に接着剤等を介して接合される面である。基台22は、例えば窒化アルミニウムセラミックス等の一般的な基板材料から構成され、上面が平坦に形成されている。この基台22の上面には、
図3及び
図4に示すように、金属膜23が設けられている。また、基台22は照明装置10の底板であってもよく、底板の上面に発光装置20が設けられていてもよく、また、金属膜23は光反射性を有するものであれば例えば樹脂等でもよい。
【0022】
金属膜23は、光源21からの光又は光学部材30を介して放出される光を良好に反射する反射層として、基台22上の光源21が設置される領域及びその周辺に形成されている。金属膜23は、例えば金、銀、アルミニウム等の反射率が高い金属めっきで構成される。金属膜23とは別の例又は組み合わせとしてTiO
2等の粒子を含んだ樹脂を挙げることができ、これによっても光源21からの光又は光学部材30を介して放出される光を反射する反射層として機能する。
【0023】
光源21は、例えば発光素子及びその周辺回路を構成する電子部品等で構成されている。発光素子は特に限定されない。発光素子の発光色としては、用途に応じて任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色(波長430nm〜490nmの光)の発光素子としては、GaN系やInGaN系を用いることができる。具体的にはIn
XAl
YGa
1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、X+Y≦1)等を用いることができる。
【0024】
光学部材30は、光源21からの光が入射されて、光軸上に多くの光束を集めて照らすことのできる所定形状で構成されている。光学部材30は、透光性部材で構成されている。透光性部材は、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂等の熱硬化性の樹脂材料、ポリカーボネートやアクリル等の熱可塑性の樹脂材料、ポリエチレン等のポリマー材料、あるいは光学ガラス等を挙げることができる。
【0025】
そして、光学部材30は、
図3及び
図4に示すように、第1光学部40と、この第1光学部40の出射面45の側に設けた第2光学部50と、を備えている。なお、第1光学部40は、支持部35を介して光源21上となるように基台22に設置されている。また、支持部35と基台22とが強固に固定されていることで防水性に優れた発光装置20とすることができる。
第1光学部40は、光源21が発する光を集光して平行光にするものである。本実施形態では、第1光学部40は、透光性部材で中実に構成されており、光源21側に設けた凹部41と、この凹部41に設けた第1入射面42及び第2入射面43と、凹部41から入射した光を反射する反射面44と、凹部41から入射した光を出射する出射面45とを備えている。
【0026】
凹部41の開口は、平面視で例えば円形であり、凹部の開口の直径は、光源21の外形よりも大きい。凹部41は、光を入射させる底面となる第1入射面42と、光を入射させる側面となる第2入射面43とを有している。凹部41の底面と光源21との間には空間が形成され、この空間の屈折率は空気の屈折率となる。凹部41の底面の中心は光軸a(
図7(a)及び
図7(b)参照)に一致している。
【0027】
図3及び
図4に示すように、第1入射面42は、光軸上に形成され光源21からの光が入射する面である。第1入射面42は、凹部41の底面(光源21からは上面)をなしている。第1入射面42は、光源21からの入射光を屈折させて出射面45から平行光として出射できる形状になっている。第1入射面42は、ここでは、凸レンズ状に形成され、光源21の位置に対して最適化した光学屈折面である。
【0028】
本実施形態では、第1入射面42は、光源21からの入射光を屈折させて平行光になるように、光源21に向かって所定の凸形状に形成されていることとした。つまり、凹部41の底面は外側に向けて盛り上がって凸レンズ面を形成している。
【0029】
第2入射面43は、第1入射面42の外側に連続して光軸を囲むように形成され光源21からの光が入射する面である。第2入射面43は、凹部41の側面をなしている。
第2入射面43は、光源21からの入射光を屈折させ、さらに反射面44で反射させて出射面45から平行光として出射できる形状になっている。
【0030】
反射面44は、第2入射面43を囲むように形成され第2入射面43で屈折した光を反射して出射面45から出射させる面である。反射面44は全反射面である。反射面44は、第2入射面43で屈折した光が到達する範囲内であって、第1光学部40の光軸を中心にした同心円状の表面において外面となる部位に形成されている。反射面44は、反射光が略平行光として出射されるように当該面が向く方向の角度等が調整されて形成されている。反射面44の形状は、凹部41のサイズや形状と併せて設定されている。
【0031】
出射面45は、反射面44の端部から連続して形成され第1光学部40の光軸に直交するように配置された面である。また、出射面45は、基台22の表面に平行になるように配置される。本実施形態では、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、出射面45には、光の出射方向に突出した複数の直線状の凸部46が並設されており一軸拡散光学面をなしている。
【0032】
平面視で、凸部46の幅は、第2光学部50の外形よりも小さく、凸部46の長さは、凸部46の高さ及び幅よりも大きい。
【0033】
一軸拡散光学面は、配光を偏らせる面であって、第1光学部40から出射する光を、一軸方向にはそのまま、当該一軸に直交する軸方向には拡散させる光学面である。本実施形態では、
図1(a)及び
図2に示すように、発光装置20を照明装置10に設置する際に、発光装置20の配列方向(X軸方向)に光が拡散する向きで設置する。これにより、一軸拡散光学面である出射面45は、発光装置20の主発光方向(Y軸方向)に直交する2軸方向のうち、X軸方向には光を拡散するが、Z軸方向には拡散せずに透過する。つまり、照明装置10では、発光装置20が、光軸a(
図7(a)及び
図7(b)参照)上に多くの光束を集めて照らしつつ、看板面14,15に平行な方向に光を効果的に拡散することができる。
【0034】
第2光学部50は、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、第1光学部40の出射面45の一部に設けられ、第1光学部40からの平行光の一部を入射して当該平行光とは異なる方向に光を出射するものである。
第2光学部50は、第1光学部40の出射面45の中央部の光軸近傍に設けられている。
第2光学部50は、第1光学部40の出射面45に突出部材51を備え、突出部材51は、第1光学部40の出射面45の垂直方向(Y軸方向のうち第1光学部40の出射面から突出する方向:
図2)に向かって広がるように傾斜した傾斜面52を備えている。
【0035】
本実施形態では、
図5(a)、
図5(b)及び
図6に示すように、第2光学部50は、中央に空間が形成されるように、当該中央の空間を取り囲むように突出部材51を備えており、光軸を含んで光軸に平行な方向に切断したときの断面が略三角形である。なお、この三角形は、底辺及びこの底辺に対向した頂点が、突出部材51の底面及び先端に対応する。突出部材51は、平面視で円環状に形成されており、突出部材51の直径は、第1光学部40の第1入射面42の直径よりも小さくなっている。その割合を具体的に表すと、突出部材51の直径を1とすると、第1入射面42の直径は、例えば5〜12に相当する(両者の比は、一例として1:5、1:8、1:10、1:12)。そして、突出部材51の内側面は、突出部材51の先端から底面に向かって傾斜する傾斜面52を備えている。傾斜面52は、第1光学部40からの平行光の一部を横方向(Z軸方向やX軸方向)に反射することができるようにその傾斜角度が設定されている。
【0036】
平面視で、突出部材51の直径としては、照明装置10(
図1参照)のZ軸方向の厚さ等に依存した照明装置10の看板面14,15と発光装置20上の光学部材30との位置関係に応じて適切な値が設定されている。光軸上で突出部材51の直径を変化させた状態で設置することで、反射光の拡散度合を制御することができる。突出部材51の高さや、傾斜面52の傾斜角を変化させた状態で設置することで、反射光の輝度を制御することができる。
【0037】
なお、
図2に示す第1光学部40と第2光学部50とは、ここでは、透光性部材で一体成形されている。また、本実施形態では、基台22上で光学部材30を支持する支持部35は、光学部材30と一体成形されている。支持部35は、
図3及び
図4に示すように、光学部材30の側では、第1光学部40の出射面45の外縁に接合している。そのため、支持部35は、高さ方向(Y軸方向)に伸びた略円筒状の部分を備えている。また、支持部35は、基台22の側では、第1光学部40を、金属膜23から離間させ所定の高さ位置となるように支持している。そのため、支持部35は、光源21の高さと同等の距離だけ離間した中空円板状の部分が、略円筒状の部分に連続して形成されている。なお、
図5では、支持部35を省略している。
【0038】
[発光装置の光路]
次に、発光装置20による発光の光路について
図7(a)及び
図7(b)を参照して説明する。発光装置20の光学部材30は、第1光学部40を備えているので、光源21(
図3及び
図4参照)から光学部材30に入射する光は、例えば第2入射面43で屈折し、反射面44で反射し、平行光として出射面45から出射する。又は、光源21から光学部材30に入射する光は、第1入射面42で屈折し、平行光として出射面45から出射する。
【0039】
また、
図7(a)に示すように、光学部材30をYZ平面に平行な面で見ると、出射面45である一軸拡散光学面は単なる光透過面(平面)として機能する。この光学部材30を備える発光装置20が照明装置10に設置されたときに、YZ平面に平行な面では、一軸拡散光学面における配光が光の屈折により狭角となり、看板面14,15の上部の領域まで照射光を届かせるように設定されている。
【0040】
一方、
図7(b)に示すように、光学部材30をXY平面に平行な面で見ると、出射面45である一軸拡散光学面は拡散効果を持つ面として機能する。この光学部材30を備える発光装置20が照明装置10に設置されたときに、XY平面に平行な面では、一軸拡散光学面における配光が光の屈折により広角となり、看板面14,15の全体に照射光を広げるように設定されている。
【0041】
さらに、光学部材30は、光軸aの近傍に第2光学部50を備えているので、第1光学部40の第1入射面42で屈折し、平行光として出射面45から出射する光の一部は、第2光学部50の傾斜面52で反射して、平行光とは異なる横方向に出射する。
【0042】
光学部材30は、第1光学部40からの平行光だけによって、発光装置20の配光を狭くすることが可能である。
図1の照明装置10では、この光学部材30を有する発光装置20を備えたので、看板面14,15の下部の領域のように輝度が従来であれば低くなる部位に相当する方位へ、光学部材30の第2光学部50からの反射光によって微量な輝度の向上を行うことができる。これにより、
図1の照明装置10において発光装置20の側方に配置された被照射面(看板面14,15)を略均一に照明することができる。
【0043】
発光装置20の光学部材30は、第1光学部40における集光の度合いや一軸拡散の度合い、及び第2光学部50における同心円径方向の傾斜面52の直径及び傾斜面52の高さや形状を調整することで、
図1の照明装置10の看板面14,15のサイズや看板厚みに対応することができる。したがって、照明装置10は、発光装置20の真横の面を含む看板面14,15の照度ムラの改善を行うことができる。
【0044】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る照明装置は、
図1の筺体11の中に、発光装置20とは異なる発光装置が配設される。この第2実施形態に係る発光装置について
図8を参照して説明する。なお、第1実施形態の発光装置20と同じ構成には同じ符号を付し、説明を適宜省略する。
【0045】
図8に示すように、発光装置20Bは、基台22と、光源21と、光学部材30Bと、支持部35Bと、を備えている。なお、基台22の上面には金属膜23が設けられている。ここで、金属膜23とは別の例又は組み合わせとしてTiO
2等の粒子を含んだ樹脂を挙げることができ、これによっても光源21からの光又は光学部材30Bを介して放出される光を反射する反射層として機能する。
光学部材30Bは、透光性部材で形成され、第1光学部40Bと、第2光学部50と、を備えている。なお、第1光学部40Bは、支持部35Bを介して光源21上となるように基台22に設置されている。第1光学部40Bは、光源21が発する光を集光して平行光にするものであり、レンズ部47と、レンズ支持部47aと、リフレクタ部48と、プレート部49とを備えている。
【0046】
レンズ部47は、光軸a上に支持され光源21からの入射光を平行光にするものである。
本実施形態では、レンズ部47は、平凸レンズであるものとした。レンズ部47の凸面は、プレート部49と離間して配置され、レンズ部47の平らな面は、光源21と離間して配置される。平面視で、レンズ部47の直径は光源21の外形よりも大きく形成されている。
【0047】
そして、レンズ部47は、光源21からの光を入射する位置に、レンズ支持部47aによって支持されている。レンズ支持部47aは筒状に形成されており、上端部において、レンズ部47を所定高さ位置になるようにレンズ部47の周縁を支持している。また、レンズ支持部47aは、下端部がリフレクタ部48の基端に接続されている。これにより、本実施形態では、レンズ部47の平らな面と、光源21との間には空間が形成され、この空間の屈折率は空気の屈折率となる。また、支持部35Bは、光学部材30Bの側では、第1光学部40Bのプレート部49の外縁及びリフレクタ部48の先端に接合している以外、第1実施形態の支持部35と同様な構成である。
【0048】
リフレクタ部48は、光軸a及びレンズ部47を取り囲み、光源21からの入射光を反射して平行光になるように基端から先端に向かって広がるように傾斜した反射面44Bを有する。このリフレクタ部48の内周面は反射面44Bをなしている。また、リフレクタ部48の基端及び先端は、平面視で円形の開口部となっている。基端の開口部の直径は、先端の開口部の直径よりも小さくなるように形成されている。そして、リフレクタ部48の基端は、レンズ支持部47aの下端部に接続してレンズ支持部47aを支持している。また、リフレクタ部48の先端は、プレート部49及び支持部35Bに接続されている。
【0049】
リフレクタ部48の反射面44Bは、レンズ部47及びレンズ支持部47aを囲むように設置され光源21からレンズ支持部47aを透過した光を反射してプレート部49の出射面45Bから出射させる面である。この反射面44Bは全反射面(ミラー面でも可)である。そして、反射面44Bは、光源21からレンズ部47を介さずに光が到達する範囲内に形成されている。反射面44Bの形状は、反射光が略平行光として出射されるように形成されている。反射面44Bの形状は、レンズ部47及びレンズ支持部47aのサイズや形状と併せて設定されている。
【0050】
プレート部49は、リフレクタ部48の先端を覆い第1光学部40Bの出射面45Bが形成されると共に、第2光学部50が形成されている。このプレート部49は、円板状の部材であり、基台22の表面に平行になるように配置されている。プレート部49の上面は出射面45Bをなしている。また、プレート部49の出射面45Bの上には、第2光学部50が透光性部材でプレート部49と一体成形されている。
【0051】
出射面45Bは、光軸aに直交するように配置された面である。本実施形態では、出射面45Bには、光の出射方向に突出した複数の直線状の凸部46が並設されており一軸拡散光学面をなしている。一軸拡散光学面は、第1光学部40Bから出射する光を、一軸方向にはそのまま、当該一軸に直交する軸方向には拡散させる光学面である。なお、第2光学部50と、プレート部49と、支持部35Bとは、ここでは、透光性部材で一体成形されている。
【0052】
[発光装置の光路]
次に、発光装置20Bによる発光の光路について
図9を参照して説明する。発光装置20Bの光学部材30Bは、第1光学部40Bを備えているので、光源21から光学部材30Bに入射する光は、例えば、実線の矢印で示すようにレンズ部47で屈折し、平行光としてプレート部49を通過して出射面45Bから出射する。又は、光源21から光学部材30Bに入射する光は、破線の矢印で示すようにレンズ支持部47aを通過し、リフレクタ部48の内側の反射面44Bで反射し、平行光としてプレート部49を通過して出射面45Bから出射する。
【0053】
このとき、光学部材30BをYZ平面に平行な面で見ると、出射面45Bである一軸拡散光学面における配光が光の屈折により狭角となり、XY平面に平行な面で見ると、一軸拡散光学面における配光が光の屈折により広角となる。さらに、光学部材30Bは、光軸aの近傍に第2光学部50を備えているので、第1光学部40Bのレンズ部47で屈折し、平行光として出射面45Bから出射する光の一部は、第2光学部50の傾斜面52で反射して、平行光とは異なる横方向に出射する。したがって、光源21から近い所も遠い所も光を適切に配光することができる。
【0054】
(第3実施形態)
[照明装置の構成]
次に、第3実施形態について
図10(a)及び
図10(b)を参照して説明する。
図10(b)に示すように、第3実施形態に係る照明装置10Cは、円筒形内照照明の一例であって、筒状の筺体11Cと、その中に配設された発光装置20C(
図10(a))とを備えている。照明装置10Cは、発光装置20Cによって筺体11Cの側面を被照射面として照射するものである。
【0055】
図10(b)に示すように、筺体11Cは、底板12Cと、天板13Cと、看板面(被照射面)18と、を備えている。底板12C及び天板13Cは、看板面18に接続して筺体11Cを構成するものである。この底板12C及び天板13Cは、ここでは、円形に形成され、光透過性を有しない材料で形成されている。
看板面18は、筒状に形成され、底板12C及び天板13Cに接続して筺体11Cを構成するものである。この看板面18は、ここでは、光透過性を有する被照明部材で構成されている。
なお、底板12Cは円筒の下底に対応し、天板13Cは円筒の上底に対応し、看板面18は円筒の側面に対応している。また、照明装置10Cは、底板12Cの外面が例えば建物の壁に固定された状態で使用されることとする。
【0056】
発光装置20Cは、
図10(a)に示すように、光学部材30Cの構成が、配光を偏らせない光出射面となっており、第1実施形態の発光装置20(
図2)と相違している。発光装置20Cは、筺体11Cの底板12Cの内側の面に固定されている。発光装置20Cはその光軸が、円筒状の筺体11Cの中心軸bに一致するように配置されている。
発光装置20Cは、基台22と、光源21(
図4参照)と、光学部材30Cと、支持部35Cと、を備えている。なお、基台22の上面には金属膜23(
図4参照)が設けられている。
【0057】
図10(a)に示すように、光学部材30Cは、第1光学部40Cと、第2光学部50とを備えている。なお、第1光学部40Cは、支持部35Cを介して光源21(
図4参照)上となるように基台22に設置されている。第1光学部40Cは、出射面45Cの構成が、平坦面であって、筺体11Cの天板13Cに向けて配設され、第1実施形態の第1光学部40と相違している。この発光装置20Cは、配光を偏らせる一軸拡散光学面を用いていないので、照明装置10Cのように円筒状の筺体11Cの底板12Cの中心に1つの発光装置20Cを設置した円筒形の内照看板や、一般照明として利用することができる。つまり、光源21が発する光は、光学部材30Cの第1光学部40Cの出射面45Cからどの方位角に対しても同じように出射されると共に、看板面118の下部の領域のように輝度が低くなる部位に相当する方位へ第2光学部50からの反射光によって微量な輝度の向上を行っているので、円筒形の看板面18の上から下まで均等になるように配光することができる。
【0058】
(第4実施形態)
[照明装置の構成]
第4実施形態に係る照明装置について
図11(a)及び
図11(b)を参照して説明する。
図11(b)に示すように、第4実施形態に係る照明装置10Dは、発光装置20の光学部材30Dの構成が、第1実施形態の照明装置10(
図11(a)参照)と相違している。
図11(b)に示すように、光学部材30Dは、第1光学部40と、第2光学部50Dとを備えている。なお、第1光学部40は、
図4に示すように、支持部35を介して光源21上となるように基台22に設置されている。
【0059】
第2光学部50Dは、第1光学部40の光軸からずれた位置に設けられている点が第1実施形態の第2光学部50と相違している。この第2光学部50Dは、第1光学部40の出射面45の外縁周辺部よりも光軸a(
図7)近傍に設けることが好ましいが、複数の発光装置20を配列した照明装置10Dの全体の照明効果を考慮した場合、個々の発光装置20において、光学部材30Dの第2光学部50Dは、第1光学部40の光軸からずれた位置に設けても構わない。
【0060】
そこで、照明装置10Dでは、複数の発光装置20は、それぞれ同様に、光学部材30Dにおいて第2光学部50Dが第1光学部40の光軸からずれた位置に設けられている。ただし、平面視で、各発光装置20の第2光学部50Dは、複数の発光装置20の配列方向に沿った中心軸上(中心軸Cの上)に配設されている。なお、中心軸Cは、筺体11の底板12のX軸方向の中心線を示している。
照明装置10Dによれば、各発光装置20の光学部材30Dの第2光学部50DによるZ軸方向の配光への寄与が同等なので、第1実施形態の照明装置10と同様に、発光装置20の真横の面を含む看板面14,15の照度ムラの改善を行うことができる。
【実施例】
【0061】
[発光装置の配光]
次に、発光装置の配光について
図12(a)及び
図12(b)を参照して説明する。ここでは、第1実施形態に係る発光装置20(実施例)から第2光学部50を取り除いて構成した発光装置を比較例とする。
【0062】
図12(a)及び
図12(b)のグラフにおいて、横軸は配光角を示しており、縦軸は任意単位で輝度を示している。
太い実線a1は、実施例(発光装置20)についてのXY平面に平行な面(看板面14,15に平行な面)での配光を表している。
細い実線a2は、実施例(発光装置20)についてのYZ平面に平行な面(側板16,17に平行な面)での配光を表している。
太い破線b1は、比較例についてのXY平面に平行な面での配光を表している。
細い破線b2は、比較例についてのYZ平面に平行な面での配光を表している。
【0063】
XY平面に平行な面において実施例(a1)と比較例(b1)とを比較すると、主配光角(半値全角)は、共におよそ43度で同等である。
YZ平面に平行な面において実施例(a2)と比較例(b2)とを比較すると、主配光角(半値全角)は、共におよそ11度で同等である。
ただし、主配光角(半値全角)に影響しない範囲では、実施例は比較例よりも輝度が高くなっている。例えばYZ平面に平行な面において実施例(a2)と比較例(b2)とを比較すると、配光角が20〜80度付近にて輝度が向上していることが分かる。
【0064】
[照明装置の照度]
次に、照明装置の照度について
図13A、
図13B、
図14A及び
図14Bを参照して説明する。ここで、
図13A及び
図14Aは実施例に係る看板面の全体の輝度分布及びXY中心軸上の輝度分布を示し、
図13B及び
図14Bは比較例に係る看板面の全体の輝度分布及びXY中心軸上の輝度分布を示している。
【0065】
図13A及び
図14Aにおいて、横軸は看板面の幅方向(X軸方向)、縦軸は看板面の高さ方向(Y軸方向)を示している。また、左側のスケールは、輝度(単位はlux)の数値と、濃淡の度合いとの対応関係を示している。ここでは、淡いほど(白いほど)輝度が高いことを示している。
図13B及び
図14Bにおいて、一方の横軸(上の横軸)は、看板面の幅方向(X軸方向)の測定位置を表している。他方の横軸(下の横軸)は、看板面の高さ方向(Y軸方向)の測定位置を表している。縦軸は、輝度(単位はlux)を表している。
図13B及び
図14Bにおいて、破線は、看板面の幅方向(X軸方向)の測定結果を表している。実線は、看板面の高さ方向(Y軸方向)の測定結果を表している。
【0066】
ここでは、照明装置10の看板面14,15は、高さ500mm、幅715mmとした。
Y軸方向については、照明装置10の底板12の高さを基準(0mm)として、−107.5mmの位置から607.5mmまでの範囲で、輝度を測定した。
X軸方向については、照明装置10の底板12の中心を基準(0mm)として、−357.5mmの位置から357.5mmまでの範囲で、輝度を測定した。
また、照明装置10を実施例とし、第1実施形態に係る発光装置20から第2光学部50を取り除いて構成した発光装置を配列した照明装置を比較例とする。
【0067】
比較例の照明装置では、
図14Aに示すように、看板面の下部(およそ0〜50mm)は、比較例の発光装置(第2光学部50を取り除いて構成した発光装置)からの漏れ光で明るくなっている。また、看板面の上部(およそ300mm以上)も明るい。しかしながら、中間域、すなわち看板面の高さでおよそ50〜150mm付近の板面照度が低くなっており、高さ方向には、照度ムラが大きく発生している。
【0068】
実施例の照明装置10では、
図13Aに示すように、看板面の中間域、すなわち看板面の高さでおよそ50〜150mm付近は明るくなっており、看板面の下部から中間部、上部まで照度がスムーズにつながり、均一度合いが上がっている。これは、
図12で示したように、実施例の発光装置20によれば、主配光角(半値全角)に影響しない範囲にて輝度が上昇する効果(例えばYZ平面に平行な面において配光角20〜80度での輝度上昇分)があることによるものであり、これが光学部材30の効果、特に第2光学部50による効果である。
【0069】
(変形例)
光学部材30の第1光学部40において、第1入射面42は、凸レンズ面に限定されず、例えば平面状に形成しても構わない。
図3には第2入射面43が光軸に平行な状態で図示されているが、これに限定されることなく光軸に対して傾斜させてもよい。つまり、凹部41の側面は傾斜面であってもよい。
【0070】
第1光学部40の出射面45において、
図6には、複数の凸部46が幅方向に隙間なく配列されている状態を示したが、凸部46と凸部46との間に、平坦面の隙間を設けてもよい。
【0071】
光学部材30の第2光学部50は、平面視で円環形状であるものとしたが、これに限らず、傾斜面52によって、第1光学部40からの平行光の一部を少なくともZ軸方向に反射することができれば、その形状を適宜変更することができる。例えば円環状の突出部材51においてZ軸に平行な部分を取り除き、傾斜面52を有した壁面にして、主にZ軸方向に光を反射する形状にしてもよい。
【0072】
光学部材30の支持部35は、平面視で円環形状の部分があるものとしたが、これに限らず、円周方向に等間隔の複数本の柱状部材で光学部材30を支持する形態であってもよい。
【0073】
発光装置20の基台22は、単一の構造に限定されるものではなく、例えば光源21が設置される面の側から、ヒートシンクと、背面基板と、を備える2層構造であってもよい。このような2層構造の場合、ヒートシンクは、例えば、Cu、Fe、CuW、CuMo、AlN、AlNにAuめっきを施したもの等から構成され、背面基板は、例えばFe等の金属から構成される。
【0074】
発光装置20の金属膜23に代わる反射層として、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の白色部材、白色部材を含有した白色樹脂等の絶縁性の反射層を採用してもよい。